JP2009162848A - 合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液および合成樹脂製レンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マトリックス形成成分とジルコニア微粒子とを含む合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液であって、 ジルコニア微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、屈折率が1.70〜2.20の範囲にあることを特徴とする合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液。前記ジルコニア微粒子が有機ケイ素化合物またはアミン類で表面処理されている。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、1.54以上の高屈折率樹脂を使用したレンズに同様のハードコート膜を形成すると、樹脂レンズとコーティング膜の屈折率差による干渉縞が発生し、外観不良の原因となることがあった。
満足するハードコート膜は得られていなかった。
たとえば、Al、Zr、Sn、Sbの酸化物微粒子のコロイド状分散体を1.54以上の高屈折率樹脂レンズのコーティング組成物として用いた場合、シリコン系のコーティング組成物に比べ、塗布・硬化後の干渉縞の程度を改善できる。しかしながら、AlまたはSbの酸化物微粒子を用いた場合は、コーティング被膜としての屈折率に限界があるため、1.60以上のレンズ基材に対しては干渉縞を完全に抑えることは不可能であった。これは、AlまたはSbの酸化物微粒子は、単体として1.60以上の高い屈折率を有しているものの、一般にコーティング材料として用いる際には、被膜形成成分として有機ケイ素化合物、エポキシ樹脂等を混合するため、充填率が下がり、被膜の屈折率が基材レンズよりも低くなってしまうためである。また、ZrまたはSnの酸化物微粒子は、その分散性が不安定であるため、多量に使うと透明な被膜を得ることができなかった。
、屈折率が1.60前後さらにはそれ以上の被膜を形成でき、しかも、同時に被膜の屈折率の選択の幅も広くなるという長所がある。しかしながら、TiO2 は光触媒活性が高く耐侯性が低いため、TiO2 を含むコーティング組成物から形成された被膜では、被膜形成成分の有機ケイ素化合物、エポキシ樹脂成分が分解したり、さらには樹脂基材表面での被膜の劣化が生じ、被膜の耐久性が不充分であるという問題点があった。また、形成された被膜は基材との密着性に劣るという問題点もあった。
また、特許文献7、特許文献8に記載された二酸化チタンと二酸化セリウムとの複合酸化物微粒子を含むコーティング組成物、あるいは特許文献9に記載された二酸化チタンと酸化鉄との複合酸化物微粒子を含むコーティング組成物では、二酸化チタンを単独で使用したものに比べ、耐候性は改良されるものの、必ずしも満足する耐候性を有するものではなかった。また、このような複合酸化物微粒子を含むコーティング組成物から得られる被膜には、着色するという問題点もあった。
用できるチタンと、ケイ素とジルコニウムおよび/またはアルミニウムの酸化物からなる複合酸化物微粒子とマトリックスとを含む被膜形成用塗布液を開示している。
そこで、本願出願人は特開2000−204301号公報(特許文献11)にて、屈折率が1.54以上のレンズ基材に好適に使用できる、核粒子と被覆層とからなる複合酸化
物微粒子、具体的には核粒子が酸化チタンと酸化錫とからなり、被覆層が珪素酸化物とジルコニウムおよび/またはアルミニウムの酸化物とからなり、核粒子がルチル型構造である複合酸化物微粒子とマトリックスとを含む被膜形成用塗布液を開示している。
[1]マトリックス形成成分とジルコニア微粒子とを含む合成樹脂製レンズ用透明被膜形成
用塗布液であって、
ジルコニア微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、屈折率が1.70〜2.20の範囲にあることを特徴とする合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液。
[2]前記ジルコニア微粒子が有機ケイ素化合物またはアミン類で表面処理されている[1]の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液。
[3]前記ジルコニア微粒子が、下記の工程(a)〜(d)から得られたものである[1]または[2]の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液;
(a)ジルコニウム化合物水溶液にアルカリ水溶液を加えてジルコニウム水酸化物ゲルの分散液を調製する工程、
(b)前記ジルコニウム水酸化物ゲルを洗浄する工程、
(c)前記洗浄したジルコニウム水酸化物ゲル分散液にアルカリ金属水溶液および過酸化水素水溶液を添加してジルコニウム水酸化物ゲルを溶解する工程、
(d)ついで、40〜300℃で水熱処理する工程。
[4](d)水熱処理の後、
(e)前記工程(a)〜(d)によって得られたジルコニア微粒子分散ゾルに、前記ジ
ルコニウム水酸化物ゲルの溶解溶液を混合して、40〜300℃で水熱処理する工程を行う[3]の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液。
[5]前記塗布液中のジルコニア微粒子の濃度が固形分として0.25〜70重量%の範囲
にあり、マトリックス形成成分の濃度が固形分として0.5〜66.5重量%の範囲にあ
り、合計の固形分の濃度が0.5〜50重量%の範囲にある[1]〜[4]の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液。
[6]前記マトリックス形成成分が、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物の加水分解
物および/または部分重縮合物の1種以上からなる[1]〜[5]の被膜形成用塗布液。
R1R2 aSi(OR3)3-a (1)
(式中、R1は炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基
、アミノ基またはエポキシ基を有する有機基、R2は炭素数1〜4の炭化水素基、R3は炭素数1〜8の炭化水素基、アルコキシアルキル基またはアシル基、aは0または1を表す。)
[7]前記マトリックス形成成分が塗料用樹脂である[1]〜[5]の合成樹脂製レンズ用透明被
膜形成用塗布液。
[8]屈折率が1.54以上のレンズ基材表面に、[1]〜[7]の合成樹脂製レンズ用透明被膜
形成用塗布液から形成された透明被膜を設けたことを特徴とする合成樹脂製レンズ。
[9]前記透明被膜上に、さらに反射防止膜を形成した[8]の合成樹脂製レンズ。
[10]前記レンズ基材と透明被膜との間に、さらにプライマー膜を形成した[8]または[9]の合成樹脂製レンズ。
[11]前記プライマー膜に酸化チタン系複合酸化物微粒子を含む[8]〜[10]の合成樹脂製レ
ンズ。
[合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液]
本発明に係る合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液は、マトリックス形成成分とジルコニア微粒子とからなる。
(i)ジルコニア微粒子
本発明に用いるジルコニア微粒子は平均粒子径が5〜100nm、さらには10〜60nmの範囲にあることが好ましい。
、これらで表面処理されたジルコニア微粒子を含む塗布液から得られる透明被膜は、表面処理されていないジルコニア微粒子を含む塗布液から得られる透明被膜よりも硬度が高く、透明性、耐擦傷性、基材との密着性、耐摩耗性、可撓性および染色性などにも優れている。
iX3、SiX4 などで表される有機ケイ素化合物が挙げられる(式中、Rはアルキル基
、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基を有する有機基、Xは、加水分解性基である)。
本発明に係る透明被膜形成用塗布液中に、前記(A)ジルコニア微粒子が、固形分として0.25〜63重量%、好ましくは1〜40重量%の量で含まれていることが望ましい。透明被膜形成用塗布液中のジルコニア微粒子濃度が少ないと、透明被膜の所望の屈折率が得られない場合があり、多すぎても、透明性が不十分となったり、マトリックス成分が少ないために膜の強度が不十分となることがある。
(a)ジルコニウム化合物水溶液にアルカリ成分を加えてジルコニウム水酸化物ゲルの分散液を調製する工程
(b)前記ジルコニウム水酸化物ゲルを洗浄する工程
(c)前記洗浄したジルコニウム水酸化物ゲル分散液にアルカリ金属水酸化物水溶液およ
び過酸化水素水溶液を添加してジルコニウム水酸化物ゲルを溶解する工程
(d)ついで、40〜300℃で水熱処理する工程
ジルコニウム化合物水溶液にアルカリ成分を加えてジルコニウム水酸化物ゲルの分散液を調製する。
アルカリ成分としては、NaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を用いる
ことができる。また、アンモニア、有機アミンなどの塩基性化合物を用いることも、これらと混合して用いることもできる。
次いで、生成したジルコニウム水酸化物ゲルを洗浄する。
前記洗浄したジルコニウム水酸化物ゲル分散液にアルカリ金属水酸化物水溶液および過酸化水素水溶液を添加してジルコニウム水酸化物ゲルを溶解する。アルカリ金属水酸化物としてはNaOH、KOH等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を用いることができる。本
発明では、種々の用途でナトリウム含有量の少ないジルコニアゾルが求められることからKOH水溶液を用いることが推奨される。
酸化物のモル数を(MOH)とし、過酸化水素のH2O2としてのモル数を(MPO)としたときに、(MOH)/(MZr)が1〜20、さらには2〜15の範囲にあり、(MPO)/(MZr)が5〜30、さらには8〜25の範囲にあることが好ましい。
(MOH)/(MZr)が低い場合、ジルコニウム水酸化物ゲルの溶解が不充分となり、平均粒子径が小さく、均一な粒子径分布を有するジルコニアゾルが得られないことがある。
(MOH)/(MZr)が20を越えてもさらにジルコニウム水酸化物ゲルの溶解が増すこともなく、後の工程でアルカリを除去・洗浄する負担が大きくなり経済的でない。
アルカリ金属水酸化物水溶液および過酸化水素水溶液を添加した洗浄ジルコニウム水酸化物ゲル分散液の濃度はZrO2に換算して0.1〜20重量%、さらには0.2〜15重量%、特に0.5〜10重量%の範囲に調整することが好ましい。この濃度が低いと、収率、生産効率が低下する問題がある。一方、濃度が高すぎると、最終的に得られるジルコニアゾルの粒子径分布が不均一になる傾向がある。
なお、本発明では、溶解工程を経ることなく次工程(d)を行うことができるが、予め溶解して水熱処理する方が粒子径の分布が狭く、均一で、分散性が高く、屈折率の高いジルコニア微粒子が得られる点で好ましい。
本発明では、溶解した後、アンモニアを添加して溶解溶液のpHを9〜14、さらには11〜14の範囲と可能な範囲で高くすることが好ましい。溶解溶液のpHを前記範囲に調整すると、結晶性が高く、屈折率の高いジルコニア微粒子、このようなジルコニア微粒子が安定に分散したジルコニアゾルを得ることができる。
ついで、ジルコニウム水酸化物ゲルの溶解液を40〜300℃、好ましくは100〜250℃で水熱処理する。水熱処理温度が低すぎると、粒子成長に長時間を要したり、所望の高屈折率あるいは所望の粒子径のジルコニアゾルを得ることが困難となることがある。水熱処理温度を前記範囲よりも長くしても、粒子成長時間がさらに短くなる効果は小さく、また屈折率がさらに高くなる効果も小さくなり、場合によっては粒子径分布が不均一になったり、粗大な粒子が生成することがある。
12時間である。このように水熱処理することによって平均粒子径が小さく、均一な粒子
径分布を有し、非凝集体で、分散性、安定性に優れた屈折率の高いジルコニア微粒子が分散したジルコニアゾルを製造することができる。
工程(e)では、工程(d)で得られたジルコニア微粒子に工程(c)で得られたジルコニウム水酸化物ゲルが緻密に積層して粒子成長して粒子径の大きいジルコニア微粒子を得ることができる。具体的には、工程(d)で得られるジルコニア微粒子の平均粒子径が5〜30nmであるのに対して、工程(e)で得られるジルコニア微粒子の平均粒子径は100nm程度まで可能である。
このように水熱処理することによって工程(d)で得られるジルコニア微粒子を粒子成長させることができ、均一な粒子径分布を有し、非凝集体で、分散性、安定性に優れた屈折率の高いジルコニア微粒子が分散したジルコニアゾルを製造することができる。
を用いることができる。また、アンモニア、有機アミンなどの塩基性化合物を用いることができる。
工程(d)または工程(e)で得られたジルコニアゾルは、そのまま用いることもできるが、必要に応じて、濃縮または希釈して用いることができる。
ポレーター等で加熱濃縮してもよく、さらには減圧下で加熱濃縮してもよく、限外濾過膜法で濃縮することもできる。
また、分散媒を所望の有機溶媒に置換して用いることもできる。
本発明では、前記工程(c)または工程(e)の後に過酸化水素を除去することが好ましい。
過酸化水素を除去する方法としては前記溶解後に加温下で開放系にすればよい。
焼成温度が800℃を超えると、結晶度は高くなるが粒子径も大きくなり過ぎることがあり用途が限定される。例えば、分散安定性、透明性等が低下し、被膜の強度あるいは透明性を必要とする被膜の形成には不向きである。
また、本発明のジルコニア微粒子は、光散乱法による平均粒子径(D2)(これを2次
粒子径という)を求め、(D2)/(D1)は粒子の凝集程度を表す指標となる。例えば、この比が大きくなるほど一次粒子が凝集していることを示す。
)は5〜300nm、さらには10〜200nmの範囲にあることが好ましい。
上記したジルコニアゾルの製造方法で得られたジルコニア微粒子は、標準屈折率液法で測定した屈折率が1.7〜2.2の範囲にある。
本発明に係る塗布液に含まれるマトリックス形成成分としては、式:R1R2 aSi(OR3)3-a(ここで、R1は炭素数1から6の炭化水素基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基またはエポキシ基を有する有機基、R2は、炭素数1から4の炭化水
素基、R3炭素数1から4の炭化水素基、アルコキシアルキル基またはアシル基、aは0
または1を表す。)で表される有機ケイ素化合物、この加水分解物、該加水分解物の部分縮合物およびこれらの混合物から選ばれる1種以上(以下、(B)成分という。)が用いられる。
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度が固形分として66.5重量%を
超えると、ジルコニア微粒子が不足して所望の屈折率が得られない場合がある。
本発明に係る塗布液には、前記(A)ジルコニア微粒子および(B)マトリックス形成成分とともに次のような(C)〜(G)成分の少なくとも1種以上を含んでいてもよい。
(C)成分は、式:Si(OR4)4 で表される四官能有機ケイ素化合物の加水分解物お
よび/または部分縮合物の1種以上である(ここで、R4は炭素数1から8の炭化水素基
、アルコキシアルキル基またはアシル基を表す)。
(D)成分は、ジルコニア微粒子以外の、Si、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、ZrおよびInから選ばれる1以上の元素の酸化物微粒子、またはSi、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、InおよびTiから選ばれる2以上の元素の酸化物から構成される複合酸化物微粒子である。
具体的に(D)成分としては、TiO2、SiO2、Al2O3、SnO2、Sb2O5、T
a2O3、CeO2 、La2O3 、Fe2O3 、ZnO、WO3、ZrO2 、In2O3等の無
機酸化物微粒子が水または有機溶媒にコロイド状に分散したものが使用される。また、これらの酸化物の成分元素を2種以上含む酸化物によって構成される複合酸化物微粒子が水または有機溶媒にコロイド状に分散したものを使用することもできる。いずれの場合においても粒子径は約1〜100nmが好適である。なおこのような(D)成分の使用量は、目的とする透明被膜性能により適宜選択される。
粒子がルチル型構造である複合酸化物微粒子を前期ジルコニア微粒子に混合して用いることもできる。
(E)成分は、多官能性エポキシ化合物、多価アルコール、多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物から選ばれる1種以上の化合物である。この(E)成分は、形成される透明被膜の染色性を向上させたり、あるいは耐久性を改良させたりするために使用される。
透明被膜中に占める前記(E)成分から誘導される透明被膜成分の割合は、40重量%未満以下であることが望ましい。(E)成分の量が多すぎると透明被膜と透明被膜上に形成される反射防止膜との密着性が低下することがある。
F成分のヒンダードアミン系化合物は、形成される被膜の染色性の向上を目的として用いられる。(F)成分としては、具体的には、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-ベンジル-7,7,9,9-テトラメチル-3-オクチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]ウンデカン-2,4-ジオン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]ウンデカン-2,4-ジオン、コハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)[2,2,6,6-テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4-ビス[N-ブチル-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)などが挙げられる。
(G)成分は、アミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトナート、有機酸の金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類および金属塩化物から選ばれる1種以上の化合物である。この(G)成分は、シラノールまたはエポキシ基の硬化を促進するために用いられる硬化触媒である。このような(G)成分を用いることによって透明被膜の硬化速度を速めることができる。
l3、FeCl3、TiCl4、ZnCl2、SbCl3などのルイス酸である金属塩化物な
どが挙げられる。
本発明に係る透明被膜形成用塗布液では、前記のような各成分が、水に分散または溶解している。溶媒として、塗布液に含まれている固形分濃度を調整したり、塗布液の表面張力、粘度、蒸発速度等を調整する目的で、有機溶媒を用いてもよい。
[合成樹脂製レンズ]
次いで、本発明に係る合成樹脂製レンズについて説明する。
基材の屈折率と同等の高屈折率の透明被膜(以下、ハードコート膜ということがある)を有することを特徴としている。
合成樹脂製レンズ基材としては、従来公知の合成樹脂製レンズ基材を用いることができ、例えば、含硫ウレタン系や(メタ)アクリル系、エピスルフィド系レンズ基材が好適であり、特に特開平9−71580号公報、特開平9−110979号公報、特開平9−255781号公報に開示された屈折率が1.67以上、かつアッベ数が30を超えるエビスルフィド化合物から得られるレンズ基材が好適である。
これらの合成樹脂製レンズ基材は、透明性、染色性、耐熱性、吸水性、曲げ強度、耐衝撃性、耐候性、加工性などの点から所望の特性を満足できるレンズ基材として好適である。
本発明に係る合成樹脂製レンズは、上述したようなレンズ基材表面に本発明に係る塗布液をディッピンク法、スピナー法、スプレー法あるいはフロー法などの方法で塗布・乾燥して被膜を形成し、次いでこのようにして基材表面に形成された透明被膜を基材の耐熱温度以下で加熱することによって製造することができる。
なお、塗布液のマトリックス形成成分として紫外線硬化樹脂を用いた場合には、塗布液をレンズ基材表面に塗布した後、この塗布液が塗布されている基材表面に所定の波長を有する紫外線を照射し、硬化するなどの方法で透明被膜を形成することができる。
屈折率が高い光学材料を使用した合成樹脂製レンズではレンズの厚さも薄くなり、表面に前記したようなハードコート膜を形成し、さらにこのハードコート膜上に反射防止を目的に無機物質からなる単層・多層の反射防止膜が形成される。
F2、Ta2O3等を用い、例えば、真空蒸着法等の薄膜形成方法により反射防止膜を形成
することができる。反射防止膜を形成することにより、反射の低減、透過率の向上を図ることができ、眼鏡レンズとしての機能をより向上させることができる。
に塗料用樹脂を含む透明被膜形成用塗布液を使用すれば、基材の屈折率と同程度のプライマー膜を形成することができる。特に、マトリックス形成成分としてウレタン系塗料用樹脂は好適である。
このような酸化チタン系複合酸化物微粒子を含んでいると、プライマー膜の屈折率をレンズ基材の屈折率と同程度に調整することができるとともに、耐候性を損なうことなく紫外線遮蔽効果が得られ、このため、紫外線によるレンズ基材の劣化を抑制することができる。酸化チタン系複合酸化物微粒子の含有量はプライマー膜中に1〜30重量%、さらには2〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ジルコニア微粒子(1)の調製
純水1,300gにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(ZrOCl2・8H2O)35gを溶解し、これに濃度10重量%のKOH水溶液123gを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO2濃度1重量%)を調製した。ついで、限外濾過膜法で電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄した。
この溶液をオートクレーブに充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、遠心沈降法によりジルコニア微粒子を分離し、充分に洗浄した。
しての濃度1.5重量%のジルコニアゾル(1)を調製した。
ついで、この分散媒の水をメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%になるまで濃縮してジルコニアオルガノゾル(1)を調製した。
ジルコニア微粒子(1)の平均一次粒子径(D1)は15nm、平均二次粒子径(D2)は3
8nmであった。また、屈折率は2.10であった。
屈折率の測定は下記の方法によった。
(1)ジルコニアゾル(1)をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(3)屈折率が既知の標準屈折率液を2,3滴ガラス基板状に滴下し、これにジルコニア粉末を混合する。
ついで、ジルコニアオルガノゾル(1)1000gを反応容器にとり、メチルトリメトキ
シシラン56gと純水20gを加えた後、50℃に加温し、18時間撹拌した。その後未反応のメチルトリメトキシシランを取り除いた後、濃縮し、固形分濃度が20重量%のメチルトリメトキシシランで表面処理したジルコニアオルガノゾル(1)を得た。
撹拌装置を備えたフラスコ中にエチルセルソルブ41.15g、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.26g、テトラメトキシシラン4.56gを撹拌しながら順次加え、ついで0.05Nの塩酸12.9gを添加して、30分間撹拌した。ついで、シリコン系界面活性剤(日本ユニカ(株)製:L−7604)を0.04g加え、5℃で24時
間熟成してマトリックス形成成分を調製した。
を231g添加し、さらにアルミニウムアセチルアセトナートを1g添加し、充分撹拌した後、0℃で48時間熟成して、透明被膜形成用塗布液(1)を調製した。
1,2-ジメチルカプトエタン94.2gとエピクロルヒドリン185.0gを液温を10℃迄冷却し、水酸化ナトリウム0.4gを水4mlに溶かした水溶液を加え、この温度で1
時間撹拌した。その後、液温を40〜45℃前後に保ちながら2時間撹拌した。室温に戻し、水酸化ナトリウム80.0gを水80mlに溶かした水溶液を、液温を40〜45℃
前後に保ちながら滴下し、この温度で3時間撹拌した。反応混合物に水200mlを加え、トルエン300mlで抽出し、トルエン層を水200mlで3回洗浄した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、無色透明液体の1,2-ビス(グリシジルチオ)エタンを202.0gを得た。次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管を装着したフラスコに1,2-ビス(グリシジルチオ)エタン79.9gとエタノール40mlをチオシアン酸カリウム87.5gを水60mlに溶解させた水溶液に加え、1時間かけて液温を45℃まで上昇させ、この温度で5時間反応させた。反応混合物に水500mlを加え、トルエン500mlで抽出し、トルエン層を水500mlで3回洗浄した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、1,2-ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタンを78.1g得た。
作製したエピスルフィド系樹脂レンズ(R1)を、濃度13重量%のNaOH水溶液中に5分間浸漬した後で充分に水洗し、乾燥した後、透明被膜形成用塗布液(1)を用い、スピン
コート法による塗布を行った。スピンコートの条件は、低回転中にハードコート液を塗布した後、回転数:2500rpm、回転時間:1秒で振り切りを行った。塗布後、90℃
で18分間仮乾燥した後、106℃で30分間加熱硬化し、冷却後、残りの面に同様の条件で塗布と仮乾燥を行った後、106℃で120分間加熱・硬化を行い、合成樹脂製レンズ(1)を作成した。透明被膜の膜厚は2.3μmであった。
用いて90℃の染色浴で3分間(生地)染色を行ったものについて、分光光度計(大塚電子(株)製、MCPD−1000)を用いて測定したところ、全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
着性、耐候性を以下の方法で評価し、結果を表1に示した。
生地染色を施さない合成樹脂製レンズ(1)(白レンズ)の着色の有無を肉眼で観察し、
以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
着色が認められない :○
着色が認められる :×
分光光度計で染色を施さない合成樹脂製レンズ(1)(白レンズ)の可視光の平均透過率
を測定した。
干渉縞の発生の有無について、背景を黒くした状態で蛍光灯の光をレンズ表面で反射させ、光の干渉による虹模様の発生を肉視で観察した。判定は次のようにして行った。
○:虹模様が認められない。
△:かすかに虹模様が認められる。
×:はっきりと虹模様が認められる。
♯0000スチールウールにより荷重1kg/cm2で10往復させた後の被膜の状態をみ
た。
A:全く傷がつかない。
B:ほとんど傷がつかない。
C:少し傷がつく。
D:多く傷がつく。
70℃の温水中に2時間浸漬した後、レンズ表面にナイフで縦横にそれぞれ1mm間隔で11本の平行線状の傷を付け100個のマス目を作りセロファンテープを接着・剥離後に被膜が剥がれずに残ったマス目の数をみた。(クロスカット・テープ試験という)
カーボンアーク電極を持つサンシャインウェザーメーター(スガ試験機(株)製)を用い、200時間暴露した後、以下の評価を行った。
i)外観
染色を施さないレンズ(白レンズ)の着色の有無を肉眼で評価した。
ii)透過率:試験後、分光光度計で染色を施さないレンズ(白レンズ)の可視光の平均透過率を測定した。
iii)密着性:試験後のレンズについて、前記と同様のクロスカット・テープ試験を暴露
面について行った。
ジルコニア微粒子(2)の調製
実施例1において、オートクレーブで、120℃で24時間水熱処理を行った以外は同様にして固形分濃度が20重量%の表面処理したジルコニアオルガノゾル(2)を調製した
。ジルコニア微粒子(7)の平均一次粒子径(D1)は10nm、平均二次粒子径(D2)は
32nmであった。また、結晶形は単斜晶で、屈折率は2.10であった。
実施例1において、表面処理したジルコニアオルガノゾル(2)を用いた以外は同様にし
て透明被膜形成用塗布液(2)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(2)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レ
ンズ(2)を作成した。得られた合成樹脂製レンズ(2)を実施例1と同様にして染色を行ったものの全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
また、合成樹脂製レンズ(2)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐
候性を評価し、結果を表1に示した。
ジルコニア微粒子(3)の調製
実施例1おいて、濃度28.8重量%のアンモニア水溶液140gを加えることなく充分撹拌した。この時pHは13.1であった。以降、実施例1と同様にして固形分濃度が20重量%の表面処理したジルコニアオルガノゾル(3)を調製した。ジルコニア微粒子(3)の平均一次粒子径は(D1)25nm、平均二次粒子径(D2)は60nmであった。また、結晶形は単斜晶で、屈折率は1.90であった。
実施例1において、表面処理したジルコニアオルガノゾル(3)を用いた以外は同様にし
て透明被膜形成用塗布液(3)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(3)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レ
ンズ(3)を作成した。
得られた合成樹脂製レンズ(3) を実施例1と同様にして染色を行ったものの全光線透過率は53%であり、良好な染色性を示した。
また、合成樹脂製レンズ(3)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐
候性を評価し、結果を表1に示した。
ジルコニア微粒子(4)の調製
実施例3と同様にしてZrO2としての濃度1.5重量%のジルコニアゾル(3)を調製した。
別途、実施例1と同様にして、純水1,300gにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(ZrOCl2・8H2O)35gを溶解し、これに濃度10重量%のKOH水溶液123gを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO2濃度1重量%)を調製した。ついで、限外濾過膜法で電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄した。
これに、ジルコニアゾル(3)42gを混合し、オートクレーブに充填し、150℃で1
1時間水熱処理を行った後、遠心沈降法によりジルコニア微粒子を分離し、充分に洗浄した。
ついで、実施例1と同様にして表面処理したジルコニアオルガノゾル(4)を調製した。
実施例1において、表面処理したジルコニアオルガノゾル(4)を用いた以外は同様にし
て透明被膜形成用塗布液(4)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(4)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レ
ンズ(4)を作成した。得られた合成樹脂製レンズ(4)を実施例1と同様にして染色を行ったものの全光線透過率は52%であり、良好な染色性を示した。
また、合成樹脂製レンズ(4)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐
候性を評価し、結果を表1に示した。
ジルコニア微粒子(5)の調製
実施例1と同様にして調製したジルコニアゾル(1)を100℃で15時間乾燥し、つい
で、600℃で2時間焼成し、ついで、ジルコニア微粒子(1)粉末56gを純水282g
に分散させ、これに、酒石酸7g、濃度10重量%のKOH水溶液22gを加えて充分攪拌した。
72nmであった。また、屈折率は2.20であった。
ついで、実施例1と同様にして表面処理したジルコニアオルガノゾル(5)を調製した。
実施例1において、表面処理したジルコニアオルガノゾル(5)を用いた以外は同様にし
て透明被膜形成用塗布液(5)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(5)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レ
ンズ(5)を作成した。
得られた合成樹脂製レンズ(5) を実施例1と同様にして染色を行ったものの全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
また、合成樹脂製レンズ(5)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐
候性を評価し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(6)の調製
実施例1と同様にして(撹拌装置を備えたフラスコ中にエチルセルソルブ41.15g
、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.26g、テトラメトキシシラン4.
56gを撹拌しながら順次加え、ついで0.05Nの塩酸12.9gを添加して、30分間撹拌した。ついで、シリコン系界面活性剤(日本ユニカ(株)製:L−7604)を0.
04g加え、5℃で24時間熟成して)マトリックス形成成分を調製した。
添加し、充分撹拌した後、0℃で48時間熟成して、透明被膜形成用塗布液(6)を調製し
た。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(6)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レ
ンズ(6)を作成した。
得られた合成樹脂製レンズ(6) を実施例1と同様にして染色を行ったものの全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
また、合成樹脂製レンズ(6)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐
候性を評価し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(7)の調製
実施例1と同様にして(撹拌装置を備えたフラスコ中にエチルセルソルブ41.15g
、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.26g、テトラメトキシシラン4.
56gを撹拌しながら順次加え、ついで0.05Nの塩酸12.9gを添加して、30分間撹拌した。ついで、シリコン系界面活性剤(日本ユニカ(株)製:L−7604)を0.
04g加え、5℃で24時間熟成して)マトリックス形成成分を調製した。
添加し、充分撹拌した後、0℃で48時間熟成して、透明被膜形成用塗布液(7)を調製し
た。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(7)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レ
ンズ(7)を作成した。
得られた合成樹脂製レンズ(7) を実施例1と同様にして染色を行ったものの全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
また、合成樹脂製レンズ(7)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐
候性を評価し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(8)の調製
実施例1と同様にして(撹拌装置を備えたフラスコ中にエチルセルソルブ41.15g
、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン47.26g、テトラメトキシシラン4.
56gを撹拌しながら順次加え、ついで0.05Nの塩酸12.9gを添加して、30分間
撹拌した。ついで、シリコン系界面活性剤(日本ユニカ(株)製:L−7604)を0.
04g加え、5℃で24時間熟成して)マトリックス形成成分を調製した。
%のメチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン系複合酸化物微粒子(R1)オルガノゾル115gとを添加し、さらにアルミニウムアセチルアセトナートを1g添加し、充分撹拌した後、0℃で48時間熟成して、透明被膜形成用塗布液(8)を調製した。
酸化チタン系複合酸化物微粒子(R1)の調製
(1)核粒子分散ゾル(調製液A)の調製
TiO2に換算したときに濃度が7.75重量%の四塩化チタン溶液93.665kgと、
濃度15重量%のアンモニア水36.295kgとを混合して中和したのち、純水によって
洗浄し、54.579kgの含水チタン酸を得た。得られたこの含水チタン酸を110℃で
乾燥した後、280℃で18時間焼成したときの比表面積は280m2/gであった。
gと水59.148kgとを添加し、80℃で2時間加熱して溶解したのち、水21.9kgを添加して、ポリ過酸化チタン酸水溶液を調製した。
Lのオートクレーブに入れ、撹拌しながら、175℃で18時間加熱して加水分解し、得られたコロイド溶液を濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタン、スズ、ケイ素からなりルチル型構造を有する複合固溶体酸化物の核粒子分散ゾル(調製液A)13.15kgを
得た。核粒子の平均粒子径は7nmであった。
オキシ塩化ジルコニウム26.3kgを純水474kgに加え、ZrO2に換算したときに濃
度が2重量%となるオキシ塩化ジルコニウム水溶液に、濃度15重量%のアンモニア水を添加し、pH8.5のジルコニアゲルのスラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄し、ZrO2に換算したときに濃度が10重量%のケーキを得た。
3.4kgを調製した。
市販の水ガラスを純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液を調製した。
(4)複合酸化物微粒子分散ゾルの調製
前記調製液A1kgに純水4kgを加えて固形分濃度を2重量%とした後、90℃に加熱し、これに調製液B3.4kgとケイ酸液2.65kgを徐々に添加し、ついでオートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行い、さらに濃縮して固形分濃度が20重量%の淡乳白色の透明な酸化チタン系複合酸化物微粒子(1)の水分散ゾルを調製した。
縮して、平均粒子径が7nmで、核粒子のTiO2/SnO2(重量比)が11、(TiO2+SnO2)/SiO2(重量比)が8/2で、被覆層のSiO2/ZrO2が3.118、核
粒子/被覆層(重量比)が100/7.012の核粒子がルチル型構造を有する酸化チタ
ン系複合酸化物微粒子(R1)オルガノゾルを得た。
径(D2)は38nmであった。また、屈折率は2.10であった。
ついで、酸化チタン系複合酸化物微粒子(R1)オルガノゾル100gを反応容器にとり、メチルトリメトキシシラン5.6gと純水2gを加えた後、50℃に加温し、18時間撹拌した。その後未反応のメチルトリメトキシシランを取り除いた後、濃縮し、固形分濃度が20重量%のメチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン系複合酸化物微粒子(R1)オルガノゾルを得た。
実施例1において、表面処理した酸化チタン系複合酸化物微粒子(R1)オルガノゾルを用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R1)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R1)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レンズ(R1)を作成した。透明被膜の膜厚は2.3μmであった。また、を実施例1と同様にして染色を行ったもの全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
また、得られた合成樹脂製レンズ(R1)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐候性を以下の方法で評価し、結果を表1に示した。
プライマー膜形成用塗布液(1)の調製
比較例1と同様にして調製した固形分濃度が20重量%のメチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン系複合酸化物微粒子(R1)オルガノゾル67.5gに、濃度30重量%のウレタンエラストマーの水分散体(第1工業製薬株式会社製:スーパーフレックス150)50gを混合して、プライマー膜形成用塗布液(1)を調製した。
プライマー膜の形成
実施例1で得たプラスチックレンズ(R1)を濃度が5重量%のNaOH水溶液中に5分間浸漬した後充分に水洗し、乾燥した。
次いで、このプラスチックレンズ(R1)を前記プライマー膜形成用塗布液(1)中に浸漬し
た後、引上げ速度95mm/分で引上げ、85℃で120分、104℃で60分間加熱硬化してレンズ表面にプライマー膜を形成した。
ト法による塗布を行った。スピンコートの条件は、低回転中にハードコート液を塗布した後、回転数:2500rpm、回転時間:1秒で振り切りを行った。塗布後、90℃で18分間仮乾燥した後、106℃で30分間加熱硬化し、冷却後、残りの面に同様の条件で塗布と仮乾燥を行った後、106℃で120分間加熱・硬化を行った。透明被膜の膜厚は2.3μmであった。
次いで、プライマー膜および高屈折率ハードコート用透明被膜形成したプラスチックレンズを真空中200Wの出力のアルゴンガスプラズマ中に30秒間暴露させた後、真空蒸着法により、レンズ側から大気側へ向かってSiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2の5層の薄膜を形成した。
O2の合計膜厚が、約λ/4、次のZrO2が、約λ/4、そして最上層のSiO2が約λ
/4であった。(設計波長λは510nm)
反射防止膜を形成して得られた合成樹脂製レンズ(8)について、外観、透過率、干渉縞
、耐擦傷性、密着性、耐候性を以下の方法で評価し、結果を表1に示した。また、合成樹
脂製レンズ(8)について、以下のように耐衝撃性テストを行ったが、割れは認められなか
った。
また、上記のようにして得られたプライマー膜、ハードコート用透明被膜および反射防止膜付きプラスチックレンズを用いて耐衝撃性テストを行った。耐衝撃性のテスト方法は、高さ126cmの所より、重さ16.2g、100g、200g、400gの4種類の鋼球をプラスチックレンズの上に垂直に落下させ、割れの有無で判定した。
ジルコニア微粒子(R2)の調製
純水2432gにオキシ塩化ジルコニウム8水塩(ZrOCl2・8H2O)65.5gを溶解し、これにリンゴ酸2.7gを添加し、ついで、濃度10重量%のKOH水溶液313gを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル分散液(ZrO2濃度1重量%)を調製した。このときの分散液のpHは10.5、温度は19℃であった。
ジルコニアゾルのpHは3.6であった。
ついで、この分散媒の水をメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%になるまで濃縮してジルコニアオルガノゾル(R2)を調製した。
ジルコニア微粒子(R2)の平均一次粒子径(D1)は15nm、平均二次粒子径(D2)は110nmであった。また、屈折率は2.00であった。
シラン5.6gと純水2gを加えた後、50℃に加温し、18時間撹拌した。その後未反応のメチルトリメトキシシランを取り除いた後、濃縮し、固形分濃度が20重量%のメチルトリメトキシシランで表面処理したジルコニアオルガノゾル(R2)を得た。
実施例1において、表面処理したジルコニアオルガノゾル(R2)を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R2)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R2)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レンズ(R2)を作成した。透明被膜の膜厚は2.3μmであった。また、を実施例1と同様にして染色を行ったもの全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
また、得られた合成樹脂製レンズ(R2)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐候性を以下の方法で評価し、結果を表1に示した。
ジルコニア微粒子(R3)の調製
実施例1において、ZrO2として濃度1重量%のジルコニウム水酸化物ヒドロゲル2,000gに濃度10重量%のKOH水溶液400gを加えて十分攪拌した後、過酸化水素水溶液を加えなかった以外は同様にして濃度1.5重量%のジルコニアゾル(R3)を調製した。ついで、この分散媒の水をメタノールに置換し、固形分濃度が20重量%になるまで濃縮してジルコニアオルガノゾル(R3)を調製した。
ジルコニア微粒子(R3)の平均一次粒子径(D1)は50nm、平均二次粒子径(D2)は120nmであった。また、屈折率は1.65であった。
実施例1において、表面処理したジルコニアオルガノゾル(R3)を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R3)を調製した。
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R3)を用いた以外は同様にして合成樹脂製レンズ(R3)を作成した。透明被膜の膜厚は2.3μmであった。また、を実施例1と同様にして染色を行ったもの全光線透過率は54%であり、良好な染色性を示した。
また、得られた合成樹脂製レンズ(R3)について、外観、透過率、干渉縞、耐擦傷性、密着性、耐候性を以下の方法で評価し、結果を表1に示した。
Claims (11)
- マトリックス形成成分とジルコニア微粒子とを含む合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液であって、
ジルコニア微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲にあり、屈折率が1.70〜2.20の範囲にあることを特徴とする合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液。 - 前記ジルコニア微粒子が有機ケイ素化合物またはアミン類で表面処理されていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液。
- 前記ジルコニア微粒子が、下記の工程(a)〜(d)から得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液;
(a)ジルコニウム化合物水溶液にアルカリ水溶液を加えてジルコニウム水酸化物ゲルの分散液を調製する工程、
(b)前記ジルコニウム水酸化物ゲルを洗浄する工程、
(c)前記洗浄したジルコニウム水酸化物ゲル分散液にアルカリ金属水溶液および過酸化水素水溶液を添加してジルコニウム水酸化物ゲルを溶解する工程、
(d)ついで、40〜300℃で水熱処理する工程。 - (d)水熱処理の後、
(e)前記工程(a)〜(d)によって得られたジルコニア微粒子分散ゾルに、前記ジ
ルコニウム水酸化物ゲルの溶解溶液を混合して、40〜300℃で水熱処理する工程を行うことを特徴とする、請求項3に記載の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液。 - 前記塗布液中のジルコニア微粒子の濃度が固形分として0.25〜70重量%の範囲にあり、マトリックス形成成分の濃度が固形分として0.5〜66.5重量%の範囲にあり、合計の固形分の濃度が0.5〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合成樹脂製レンズ用透明被膜成形用塗布液。
- 前記マトリックス形成成分が、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物の加水分解物および/または部分重縮合物の1種以上からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の被膜形成用塗布液。
R1R2 aSi(OR3)3-a (1)
(式中、R1は炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプト基
、アミノ基またはエポキシ基を有する有機基、R2は炭素数1〜4の炭化水素基、R3は炭素数1〜8の炭化水素基、アルコキシアルキル基またはアシル基、aは0または1を表す。) - 前記マトリックス形成成分が塗料用樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液。
- 屈折率が1.54以上のレンズ基材表面に、請求項1〜7のいずれかに記載の合成樹脂製レンズ用透明被膜形成用塗布液から形成された透明被膜を設けたことを特徴とする合成樹脂製レンズ。
- 前記透明被膜上に、さらに反射防止膜を形成したことを特徴とする請求項8に記載の合成樹脂製レンズ。
- 前記レンズ基材と透明被膜との間に、さらにプライマー膜を形成したことを特徴とする請求項8または9に記載の合成樹脂製レンズ。
- 前記プライマー膜に酸化チタン系複合酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項8〜10に記載の合成樹脂製レンズ。
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