JP2009162033A - 繊維シート接着工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 重労働で熟練を要する工程を極力少なくして施工性がよく、施工時間が短く、そのため施工コストが安い繊維シート接着工法を提供すること。
【解決手段】 繊維シート接着工法において、補強繊維の周りを透明又は半透明な基材樹脂で固化して一体化した常温で可撓性を有するFRPシートからなる繊維シート(1)をコンクリート構造物Cに貼り付ける側を上向きにして平坦な面に置き、所定の粘度を有するパテ状の接着樹脂4を塗り付け、この接着樹脂4が塗られた繊維シート(1)をコンクリート構造物Cの表面に貼り付ける。
【選択図】 図6

Description

この発明は、コンクリート製のトンネル・高架道路・橋梁や、地下鉄構内・PC造・RC造・SRC造の建築物などのコンクリート構造物の表面に補強用の繊維シートを接着して被覆することでコンクリート構造物からのコンクリート片の剥落を防止する繊維シート接着工法に関するものである。
コンクリート構造物には、アルカリ骨材反応やコンクリートの中性化による鋼材の腐食膨張などによりコンクリート構造物に亀裂が生じ、その表層部からコンクリート片が剥落することが問題となっており、このような問題を解決するために種々の剥落防止工法が提案されている。そして、この剥落防止工法の1つとして、従来から、補修対象となるコンクリート構造物の表面に繊維シートを接着して覆い、コンクリート構造物からコンクリート片が剥落してこないように補修すると共に、水、酸素、塩分、炭酸ガス、硫酸等のコンクリート内への侵入を防いでコンクリートの劣化を防止する繊維シート接着工法(繊維シート被覆工法)が知られている。このような従来の繊維シート接着工法は、コンクリート構造物において、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維などの補強繊維に接着剤として樹脂を含浸させながら補修個所の表面に貼り付けてコンクリート片の剥落を防止するものである。
図10は、このような従来の一般的な繊維シート接着工法の工程を概念的に示す説明図である。図10に示すように、従来の一般的な繊維シート接着工法は、以下に示す工程からなっている。先ず、コンクリート構造物Cの表面の状況に応じて下地処理や断面修復などの必要な処理を施し、なだらかな面となるようにする。次に、
1.毛細管現象などでコンクリートに接着樹脂の水などの液体成分が吸収されるのを防ぎ、コンクリートと接着樹脂との付着性を向上させるためプライマーを塗布する。その後、2.オープンタイムをおいてプライマーの表面がある程度乾燥するのを待ち、不陸調整のためのパテ状の接着樹脂を鏝などで塗り付ける。そして、
3.パテ状の接着樹脂とは別の接着樹脂である中塗り剤を塗布し、
4.この中塗り剤が硬化する前に補強繊維を貼着し、更に、
5.その上からもう一度中塗り剤を塗布し、補強繊維に中塗り剤を含浸させて硬化させ、補強繊維と接着剤を一体化してFRP層を形成する。
また、コンクリート構造物が屋外に設置されている場合は、
6.紫外線による接着樹脂や補強繊維の劣化を防止するため保護塗装を施す。
このように多くの工程と時間を要するため、従来の繊維シート接着工法は、以下に示すような種々の問題点があった。
(1)使用する材料の種類が多く、工程数も多いため施工費が高くなってしまう。
(2)補強繊維への接着樹脂の含浸作業に熟練を要し、含浸が不十分で補強繊維と樹脂との間に気泡が残ると、コンクリート構造物の表面と補強繊維との接着力が低下し、剥落防止効果が十分に発揮されなくなる。
(3)接着樹脂の塗りムラにより樹脂の層厚が不均一になり易く、所定の接着力が得られるようにするための品質管理が難しい。
(4)接着樹脂の硬化途中で補強繊維の自重や風などの影響で、剥がれたり捲くれたりして、交通障害を引き起こす危険がある。
(5)接着樹脂の含浸作業時に接着樹脂が垂れたり、飛散したりして周囲を汚すおそれがある。
(6)炭素繊維やアラミド繊維などの有色の補強繊維を使用したり、有色の接着樹脂を使用した場合、施工後に下地であるコンクリート構造物の表面が見えなくなってしまい、劣化の進展を目視で確認できなくなる。
(7)屋外構造物の補修の場合、太陽光等からの紫外線による劣化防止用の保護塗装が必要となり、施工手間が増える。
また、他の繊維シート接着工法の具体的な例としては、特許文献1に、−30℃〜50℃においても十分な性能を発揮することを主目的として、接着剤を塗布する工程、補強オレフィン系繊維シートを貼り着ける工程を含む剥落防止工法において、補強オレフィン系繊維シートをポリエチレン繊維或いは線状複合材繊維の2軸或いは3軸のメッシュ状シートとし、その表面濡れ張力の被補強面側を25mN/m以上、45mN/m以下とする剥落防止工法(繊維シート接着工法)が記載されている。
この剥落防止工法は、特許文献1の発明の詳細な説明の記載によると、前述の一般的な繊維シート接着工法における3.中塗り剤の塗布工程と5.中塗り剤の再塗布工程が省略されている。しかし、そのためには、塗布する接着樹脂を特殊で高価なものとしなければならないし、この特許文献1に記載の剥落防止工法も、結局、前述の一般的な繊維シート接着工法と同様に、コンクリート構造物に接着剤を塗布して、その後、補強繊維に接着剤を含浸させてFRP層を形成する点には変わりなく、壁面や天井面へ均一厚に接着剤を塗布し(塗り付ける)、繊維シートに接着剤が含浸するまで待つという頭上作業や垂直作業が連続する重労働で熟練を要する工程はあまり省略することができていなかった。つまり、従来の一般的な繊維シート接着工法の前記問題点も十分には解決することができていなかった。
なお、この含浸作業は、コンクリート構造物と補強繊維との一体性に直接影響するため熟練を要し、熟練者の数が工事の進捗に影響を及ぼしたり、施工費がアップする要因になるなど従来から問題となっていた。そして、前述のようなトンネル、高架道路などのコンクリート構造物において、コンクリート片の剥落の危険があるのは、垂直面、傾斜面、天井面であり、当然、剥落防止のために行う繊維シート接着工事の施工場所も垂直面、傾斜面、天井面となる場合がほとんどである。
特開2007−146588号公報
そこでこの発明は、前記従来の問題点を解決し、重労働で熟練を要する工程を極力少なくして施工性がよく、施工時間が短く、そのため施工コストが安い繊維シート接着工法を提供することを目的とする。また、品質管理が容易で、交通障害を防止でき、周囲をあまり汚さず、施工中や施工後にコンクリート構造物のひび割れ等の目視観察が可能であり、且つ、紫外線劣化防止用の保護塗装が不要である繊維シート接着工法を提供することも目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、コンクリート構造物の表面に補強用の繊維シートを接着して被覆することでコンクリート構造物からの剥落を防止する繊維シート接着工法において、繊維シートは、補強繊維の周りを透明又は半透明な基材樹脂で固化して一体化した常温で可撓性を有するFRPシートであり、前記繊維シートをコンクリート構造物に貼り付ける側を上向きにして平坦な面に置き、所定の粘度を有するパテ状の接着樹脂を塗り付ける工程と、この接着樹脂が塗られた前記繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程では、前記繊維シートの一端から他端へ向けて繊維シートの上からゴムローラやヘラなどの押圧器具で押圧して空気を抜きながら接着することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程の後に、前記繊維シートの縁をアンカーでコンクリート構造物に止め付ける工程を備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、コンクリート構造物の表面を広範囲に亘って被覆する場合、前記繊維シート同士を一部分重ね合わせて接着して一体化することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、コンクリート構造物の表面に突起物やうねりなどの部分的に不陸部分が存在する場合、当該不陸部分の周りには、紫外線硬化型のプリプレグシートを前記繊維シートと一部分重ね合わせて接着し、前記繊維シートで被覆した部分と前記プリプレグシートで被覆した部分とを一体化することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の発明において、前記補強繊維は、複数本のマルチフィラメントの束の周りを前記マルチフィラメントより融点の低いポリオレフィン系樹脂を溶融して被覆した複合線状体を3軸方向で交わるように配列してその交点で熱融着した3軸メッシュ状体に成形されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記3軸メッシュ状体は、コロナ放電処理やプラズマ処理などの乾式表面改質処理で改質してあることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、前記基材樹脂は、紫外線吸収能を有する紫外線吸収剤を含有することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の発明において、前記接着樹脂は、硬化後もヘイズ値が20%以下、全光線透過率が80%以上の透明性を有することを特徴とする。
この発明は前記のようであって、請求項1に記載の発明によれば、コンクリート構造物の表面に補強用の繊維シートを接着して被覆することでコンクリート構造物からの剥落を防止する繊維シート接着工法において、繊維シートは、補強繊維の周りを透明又は半透明な基材樹脂で固化して一体化した常温で可撓性を有するFRPシートであり、前記繊維シートをコンクリート構造物に貼り付ける側を上向きにして平坦な面に置き、所定の粘度を有するパテ状の接着樹脂を塗り付ける工程と、この接着樹脂が塗られた前記繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程とを備えるので、コンクリート構造物と補強繊維との一体性に直接影響するため熟練を要し、熟練者の数が工事の進捗に影響を及ぼしたり、施工費がアップする要因となっていた接着樹脂の補強繊維への含浸作業を省くことができる。このため、従来重労働で熟練を要する工程を極力少なくして施工性がよく、施工時間が短く、そのため施工コストを安くすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程では、繊維シートの一端から他端へ向けて繊維シートの上からゴムローラやヘラなどの押圧器具で押圧して空気を抜きながら接着するので、前記効果に加え、コンクリート構造物と繊維シートを確実に密着させることができる。このため、接着樹脂と基材樹脂を介して補強繊維もコンクリート構造物と一体化でき、コンクリート構造物からのコンクリート片の剥落を確実に防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程の後に、繊維シートの縁をアンカーでコンクリート構造物に止め付ける工程を備えるので、前記効果に加え、接着樹脂が硬化するまでの間に繊維シートの自重や風圧などの影響で繊維シートが剥がれたり捲れたりすることを防止することができ、交通障害を引き起こす危険を少なくすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、コンクリート構造物の表面を広範囲に亘って被覆する場合、繊維シート同士を一部分重ね合わせて接着して一体化するので、前記効果に加え、作用する荷重により1つの繊維シートに発生する引張り応力を他の繊維シートに伝達することができ、広範囲に亘って複数の繊維シートが一体となり、コンクリート片の剥落を防止することができる。
請求項5に記載の発明によれば、コンクリート構造物の表面に突起物やうねりなどの部分的に不陸部分が存在する場合、当該不陸部分の周りには、紫外線硬化型のプリプレグシートを繊維シートと一部分重ね合わせて接着し、繊維シートで被覆した部分とプリプレグシートで被覆した部分とを一体化するので、前記効果に加え、コンクリート構造物の表面の補修箇所に、本発明の繊維シート接着工法を適用できない不陸部分が存在しても、その部分だけ紫外線硬化型のプリプレグシートを貼着することで対応し、コンクリート構造物の表面全体に一体化したFRP層を形成することができる。
請求項6に記載の発明によれば、補強繊維は、複数本のマルチフィラメントの束の周りをマルチフィラメントより融点の低いポリオレフィン系樹脂を溶融して被覆した複合線状体を3軸方向で交わるように配列してその交点で熱融着した3軸メッシュ状体に成形されているので、即ち、補強繊維の強軸方向である繊維方向を全て違う方向として等角3方向に配置しているので、前記効果に加え、繊維シートにあらゆる方向から外力が作用しても補強繊維の強軸方向である繊維方向で負担することができる。
請求項7に記載の発明によれば、3軸メッシュ状体は、コロナ放電処理やプラズマ処理などの乾式表面改質処理で改質してあるので、前記効果に加え、基材樹脂との親和性、密着性があがり、基材樹脂と3軸メッシュ状体との接着強度が向上する。
請求項8に記載の発明によれば、基材樹脂は、紫外線吸収能を有する紫外線吸収剤を含有するので、前記効果に加え、従来必要であった紫外線による劣化防止用保護塗装の塗布工程を省略することができる。このため、施工コストを削減することができる。
請求項9に記載の発明によれば、接着樹脂は、硬化後もヘイズ値が20%以下、全光線透過率が80%以上の透明性を有するので、前記効果に加え、施工中や施工後にコンクリート構造物のひび割れの進展状況などの下地の劣化状況を目視で確認することができる。
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(繊維シート)
先ず、本実施の形態の繊維シート接着工法に用いる繊維シートについて説明する。図1は、この繊維シートの部材断面を模式的に表した構成説明図である。図1に示すように、繊維シートである透明シート1は、樹脂繊維を補強繊維2とし、後述の基材樹脂3を補強繊維2に含浸させて硬化させ、厚さが0.5mm程度のフィルム状に成形した常温で可撓性を有する透明又は半透のFRPシートであり、従来の繊維シート(プリプレグシートなど)が貼着後に熱やエネルギー線によってラジカルを発生させて熱硬化や光硬化させるのに対して既に貼着する前に硬化している点で相違する。また、透明シート1が汚れたり、傷ついたりするのを保護するために、透明シート1の両面に、保護フィルム1a,1bが設けられている。この保護フィルム1a,1bは、ポリエステル樹脂からなる厚さ20〜60μm程度の透明なフィルムであり、適度な柔軟性などを考慮すると、ポリエチレン・テレフタテレート樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
<補強繊維>
図2は、図1の繊維シートの複合モノフィラメントの製法を示す説明図である。繊維シート1の補強繊維2(図1参照)は、融点の比較的高いマルチフィラメントの束を芯繊維21とし、その周りを低融点のオレフィン系樹脂22で鞘状に被覆して1本の連続長繊維とした複合モノフィラメント20からなり、図2に示すように、芯繊維21の周りを低融点のオレフィン系樹脂22で被覆した複数本の複合マルチフィラメント23未延伸糸(繊維)を、マルチフィラメントの融点以下の高温下で圧力をかけてマルチフィラメントよりも融点の低い低融点のオレフィン系樹脂22を溶融させて延伸することで製造されている。
この芯繊維21となるマルチフィラメントとしては、鞘成分の低融点のオレフィン系樹脂22より融点が20℃程度高いものであればよく、例えば、ビニロン繊維のごとく明瞭な融点を有しないもの、超高分子量ポリエチレン繊維の如く溶融しても極めて高粘度のもの、あるいは芳香族ポリアミド繊維、ポリベンツオキサゾール繊維のような液晶高分子繊維などの熱融着し難い有機繊維、あるいは炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維などが挙げられる。マルチフィラメントの構成は、単繊維径が概ね0.5〜50μm、フィラメントが10〜500本程度のものであって、トータル繊度は、概ね100〜5000dtexが好ましく、100dtex未満であると、メッシュ状体として、目的とする物性が得られ難くなり、5000dtexを超えると柔軟性や追随性が損なわれる虞がある。よって、500〜3000dtex程度が好ましい。
また、複合モノフィラメント20として1本に集束するフィラメント数は、10〜2000本が好ましく、10本未満であると、溶融するオレフィン系樹脂22の不足により芯繊維21のフィラメントとの接着力が弱く、2000本を超えると、溶融するオレフィン系樹脂22の含浸不良により芯繊維21のフィラメント間の接着力が不足し、目止めが不十分となる。
鞘成分の低融点のオレフィン系樹脂としては、溶融後の凝集性に富むものであることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、プロピレン、ブテン−1等のα−オレフィンの2元共重合体、または3元共重合体等が挙げられる。本実施の形態では、複合モノフィラメント20は、芯繊維21としてアイソタクチックポリプロピレン樹脂(mp=163℃)を用い、鞘成分である低融点のオレフィン系樹脂22として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(mp=110℃)を用いる組み合わせを採用している。
図3は、図1の繊維シートの補強繊維の平面形状の一例として挙げる3軸メッシュ状体を示す平面図である。図3に示すように、本実施の形態に係る補強繊維2は、前記の複合モノフィラメント20を等間隔に配列したものを繊維方向が全て異方向で等角交差するよう3層に積層し、その交点で鞘成分である低融点のオレフィン系樹脂成分を溶融して複合モノフィラメント同士を熱融着し、3軸メッシュ状体2aに成形されている。このように、補強繊維2の形状を3軸メッシュ状体2aに成形したのは、透明シート1(図1参照)に作用する力がどの方向に働くかは予め分からないため、補強繊維の強軸方向である繊維方向を全て違う方向として等角3方向にすればあらゆる方向に働く力に対応し得るからである。また、3軸メッシュ状体2aの開口は、補修後の外部からの視認性を考慮すると光の透過率が30%以上のものであることが好ましい。
この補強繊維2からなる3軸メッシュ状体2aは、基材樹脂3(図1参照)との濡れ性を向上させて接着強度を向上させるために、その補強繊維2の表面が改質されている。この表面改質は、少なくとも濡れ指数が34mN/m以上となるように改質されており、より好ましくは、56mN/m以上となるようにする。濡れ指数56mN/m以上とすると、半年程度の保管でも濡れ指数34mN/m以上を保持できるので、保管管理にゆとりが持て、透明シート1の可使用期間を長くすることができる。
この表面改質処理の方法としては、コロナ放電処理やプラズマ処理などの乾式表面改質処理が簡単な施設で高速連続処理が行える点で好ましく、他の方法としては、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線照射処理、スルホン化などの親水性官能基付与処理などの表面処理方法が挙げられる。
<基材樹脂>
基材樹脂3は、(図1参照)補強繊維2との接着性が良好で、即ち、前記のように濡れ指数が所定の範囲内であり、常温で可撓性を有する樹脂であり、且つ、施工中や施工後にコンクリート構造物のひび割れの進展状況などの下地の劣化状況を目視で確認することができるように、所定の透明性を有するように調整された透明又は半透明の樹脂である。本実施の形態では、基材樹脂3は、アクリル樹脂又はビニルエステル樹脂を主剤樹脂とする組成物からなるが、耐候性、耐光性、透明性、柔軟性、防汚性の観点からアクリル樹脂を主剤樹脂とすることが好ましい。このアクリル樹脂とは、アクリル基又はメタクリル基を有する重合性モノマーの重合により形成される重合体を主成分とする樹脂を指す。
また、アクリル樹脂自体も耐光性は有しているが、紫外線に対する耐久性を更に高くし、直射日光に長期間晒されてもあまり経年劣化しないように、紫外線吸収剤などを基材樹脂3に所望の透明性が得られる範囲内で含有させてもよい。その他、基材樹脂3には、必要に応じて防カビ剤、抗菌剤、難燃剤等を添加することもできる。
また、下地の劣化状況を目視で確認する観点から基材樹脂も所定の透明性を確保していることが望ましく、そのため、基材樹脂3は、ヘイズ値(濁度)が20%以下で、全光線透過率が80%以上となるように調整されている。なお、このヘイズ値と全光線透過率は、厚さ0.5mmの透明シート1の成形品を、JIS−K7361およびJIS−K7136に従って測定した値である。
なお、前述の補強繊維2に含浸させる際の基材樹脂3の溶液粘度としては、100〜50000cPであることが好ましく、800〜1000cPであればより好ましい。
次に、本発明の繊維シート接着工法の一実施の形態について図4〜図7を参照しつつ説明する。図4は、第1の実施の形態に係る繊維シート接着工法の工程を概念的に示す説明図、図5は、同繊維シート接着工法の接着樹脂塗付け工程を垂直断面で示す説明図、図6(A)は、同繊維シート接着工法の透明シート貼着工程を正面で示す説明図、図6(B)は、同A−A線断面で示す説明図、図7は、同繊維シート接着工法のアンカー止め付け工程を垂直断面で示す説明図である。本発明の繊維シート接着工法は、トンネル覆工などの剥落防止工事において、コンクリート製のトンネル・高架道路・橋梁や、地下鉄構内・PC造・RC造・SRC造の建築物などのコンクリート構造物に適用され、このようなコンクリート構造物の補修を要する箇所に、補強繊維と一体となった繊維シートに接着樹脂を塗布して貼り付けることにより、剥落防止工事を容易に施工することができるものである。
(実施の形態1)
この繊維シート接着工法の第1の実施の形態は、図4に示すように、先ず、従来と同様に、コンクリート構造物Cの表面の状況に応じて下地処理や断面修復などの必要な処理を施し、なだらかな面となるようにした後、(1)接着樹脂塗付け工程、(2)透明シート貼着工程、(3)アンカー止め付け工程を実行するものである。下地処理や断面修復では、例えば、打合せや事前検査などにより予め定められた補修範囲内のひび割れなどを目視等で点検し、既にコンクリートが剥落しそうな箇所がある場合には、該当箇所をハンマードリル等のハツリ機でハツリ取るなど必要な処置を施す。コンクリート構造物の補修範囲の表面に、汚れ、遊離石灰(エフロレッセンス)、錆汁、糊(粘着性の付着物)等の付着物がある場合には、それらをハンディータイプのグラインダー等で削り取って除去すると共に、表面の突起・窪み・大きな段差などを平滑にする。また、粉塵・油汚れ等が付着している場合には、集塵機や高圧洗浄機、有機溶剤などを用いて除去するなどの作業が行われる。
なお、必要であれば後工程である透明シート貼着工程のシートの割付けに応じて墨出しをする。
(1)接着樹脂塗付け工程では、図5に示すように、作業をするのに適当な高さの台の上などの前述の透明シート1の1シートを広げるのに適当な広さの(所定面積を有する)平坦な水平面上に透明シート1をコンクリート構造物C(図4参照)に貼り付ける側である接着面を上向きにして置く。そして、この透明シート1の接着面にパテ状の接着樹脂4を左官鏝などの塗り付け器具Kで塗り付ける。
なお、接着樹脂4を塗り付ける前に接着面の保護フィルム1a(図1参照)を剥がしておく。
この接着樹脂4は、前述の基材樹脂3(図1参照)及びコンクリート面との接着性が良好で所定の接着力を発現する樹脂(例えば、エポキシ系樹脂、エポキシウレタン系樹脂、ウレタン樹脂など)を主剤とする組成物からなり、コンクリート構造物の表面の不陸調整や、後述の透明シート貼着工程での樹脂ダレを防止する目的で増粘剤等で適度な粘度(及びチクソトロピー性を示すTI値)に調整されたパテ状の接着剤である。コンクリート面との接着性を考慮するとエポキシ系樹脂が好ましく、本実施の形態では、エポキシ系樹脂を主剤としている。
また、前記基材樹脂3と同様、施工中や施工後にコンクリート構造物のひび割れの進展状況などの下地の劣化状況を目視で確認することができるように、所定の透明性を有するように調整されていることが望ましく、本実施の形態では、ヘイズ値(濁度)が、20%以下で、全光線透過率が80%以上となるように調整されている。
このように、接着樹脂4は、コンクリート構造物との接着性が良好で、粘度調整がなされているため、従来必要だった、プライマー塗布工程及び、パテ状接着樹脂の塗付け工程、中塗り接着剤の塗布工程(図5参照)を1つの接着樹脂塗付け工程を行うだけで済み、作業中に樹脂が垂れたり、飛散したりして周囲を汚すおそれがない。
また、作業をするのに適当な高さの水平面上で塗付け作業を行うので、頭上作業や垂直作業とならないため重労働とならず、しかも熟練者でなくても作業することができる。
(2)透明シート貼着工程では、図6に示すように、割付に応じて(墨出しが行われている場合はその墨に合わせて)接着樹脂4が塗り付けられた透明シート1をコンクリート構造物Cの補修箇所の表面に貼り付ける。このとき、透明シート1の一端から他端へ向けて一定の方向へゴムローラやヘラなどの押圧器具Rで透明シート1の上から押圧して空気を抜き、接着樹脂4とコンクリート構造物Cの表面とを確実に密着させながら貼り付ける。また、透明シート1と他の透明シート1とは、所定長の重ね代をとって、一部分が重なり合うように貼着する。
また、透明シート1を貼り付けたあとに残りの保護シート1b(図1参照)を剥がすが、最初に保護シート1a,1b共に剥がしてもよいことは言うまでもない。
このように、従来では、補強繊維の貼着工程、中塗り剤を更に塗布する工程で行っていた頭上作業や垂直作業となっていた作業を接着樹脂4が塗り付けられた透明シート1を貼着するだけの工程にしたので、工程数も少なく、且つ短時間で施工することができ、そのため、施工費を大幅に削減することができる。また、補強繊維への中塗り剤の含浸作業が不要となるため、含浸不足による品質の低下を心配する必要がなくなると共に、FRP層の層厚が均一な仕上がりとなり、品質管理がし易く、安定した品質の補修工事を提供することができる。
また、重ね代をとって透明シート1同士を貼着することにより、接着樹脂4及び基材樹脂3を介して補強繊維2も重ね合わされるので、作用する荷重により1つの透明シート1に発生する引張り応力を他の透明シート1に伝達することができ、広範囲に亘って複数の透明シートが一体となり、コンクリート片の剥落を防止することができる。
(3)アンカー止め付け工程では、図7に示すように、透明シート貼着工程の後、透明シート1の上からその四隅などの縁に沿った所定の箇所(図4参照)にハンマードリル等の穴あけ器具でコンクリート構造物Cに所定径(直径8mm程度)、所定深さ(60mm程度)の穴をあけ、その穴にプラスチックアンカー5をゴムハンマー等の打撃器具で叩き込んで挿入し、透明シート1を止め付ける。
なお、コンクリート構造物Cに穴をあける作業は、下地処理が終了した段階で透明シート貼着工程の前に行っても構わない。
このプラスチックアンカー5は、ポリプロピレン樹脂製からなり、アンカー本体50の長さが50mm程度、釘の頭部分に相当する押え付け部51の外径が60mm程度の頭部分が大きい略釘形状のものであり、アンカー本体50の先端部分の外周面に複数の襞52が形成され、襞52の外径より小さい径の穴に挿入することで穴の内周面に襞52が引っ掛かり、プラスチックアンカー5が抜けないようになっている。
但し、このようなアンカーは、プラスチックアンカー5に限られるものではなく、機械的に透明シート1を止め付けられて、透明シート1の自重を支えられるものであれば、コンポジットアンカー、アンカーピン、カールプラグ、ホールインアンカー、ケミカルアンカー等、各種のアンカーを採用することができる。
このようにプラスチックアンカー5で透明シート1を止め付けると、接着樹脂4が硬化するまでの間に透明シート1の自重や風圧などの影響で透明シート1が剥がれたり捲れたりすることを防止することができ、交通障害を引き起こす危険を少なくすることができる。
以上説明したような本実施の形態(実施の形態1)に係る繊維シート接着工法によれば、重労働で熟練を要する工程を極力少なくして施工性がよく、施工時間が短く、そのため施工コストを安くすることができる。また、従来技術と比べて以下に示す様々な有利な効果を奏することができる。
(1)使用する材料の種類が少なく、工程数も少ないため施工費が安い。
(2)補強繊維への含浸作業が不要となるため、含浸不足による品質の低下が少ない。
(3)層厚が均一な仕上がりとなり、品質管理がし易い。
(4)シート端部をアンカーボルトで仮止めすることができるため、接着樹脂の硬化途中で繊維シートの自重や風圧などの影響で剥がれたり捲れたりすることを防止でき、交通障害の危険を防止できる。
(5)樹脂の含浸作業時に樹脂が垂れたり、飛散したりして周囲を汚すおそれがない。
(6)透明シートを使用するため、施工中や施工後に下地のコンクリート構造物の表面が透けて見えるので、ひび割れの進展等下地の劣化状況を目視で確認することができる。
(7)屋外構造物の補修の場合でも、太陽光等からの紫外線による劣化防止用の保護塗装の塗布作業が不要となる。
次に、本発明の繊維シート接着工法の第2の実施の形態について図8〜図9を参照しつつ説明する。図8(A)は、第2の実施の形態に係る繊維シート接着工法の不陸部分が突起物である場合を示す正面説明図、図8(B)同B−B線断面で表す説明図、図9(A)は、同繊維シート接着工法の不陸部分がうねりである場合を示す正面説明図、図9(B)同C−C線断面で表す説明図である。第2の実施の形態に係る繊維シート接着工法が、第1の実施の形態と相違する点は、補修範囲のコンクリート構造物Cに突起物やうねりなどの部分的に不陸部分が存在し、その不陸部分の周りには、前述の透明シート1ではなく紫外線硬化型のプリプレグシート6を貼着する点である。
このプリプレグシート6は、補強繊維をガラス繊維とする一般的なチョップドストランドマットを基材とし、いわゆる紫外線硬化性樹脂、即ち、紫外線硬化性ラジカル重合型樹脂組成物を加熱して含浸させ、厚さが1.5mm程度のプリプレグシートとしたものである。この紫外線硬化性ラジカル重合型樹脂組成物は、一般的な紫外線硬化性の樹脂を主剤樹脂とし、その他、液状重合性単量体と、紫外線重合開始剤などを含有する組成物である。しかし、この主剤樹脂は、紫外線硬化性のものに限られず、可視光線、近赤外線などのエネルギー線によってラジカルを発生する光硬化性のものであればよく、例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アリルエステル樹脂、キシレン樹脂などを挙げることができ、これらの2種以上が混合されたものであっても構わない。液状重合性単量体は、主剤樹脂成分の溶剤として用いられるもので、例えばアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物であるスチレンを挙げることができる。光重合開始剤(紫外線重合開始剤)としては、例えばベンゾフェノン、アセトフェノン、これらの誘導体を挙げることができる。
図8に示すように、補修範囲のコンクリート構造物Cに突起物が存在する場合、この突起物を避けるため透明シート1に穴をあけてしまうと、補強繊維が前記のようにモノフィラメントからなるため、その部分において剥離荷重に作用するシートの引張り応力の伝達がなされなくなり、コンクリート構造物Cの表面に一体化したFRP層を形成することができない。そこで、本実施の形態では、突起物がある部分にはプリプレグシート6にその突起物を避けるだけの穴をあけ、穴をあけたプリプレグシート6を透明シート1と第1の実施の形態と同様に重ね代をとって一部分重ね合わせて接着し、その後、プリプレグシート6で被覆した部分には、紫外線照射機で紫外線を照射し、プリプレグシート6を硬化させて透明シート1で被覆した部分とプリプレグシート6で被覆した部分とを一体化する。
前述のように、プリプレグシート6は、短繊維からなるガラス繊維を叩いてマット状に成形したものを補強繊維としているので、即ち、補強繊維自体が引っ張る方向により異なった引張り強さを示さないので、このように、プリプレグシート6を部分的に切り欠いて施工しても剥離荷重に作用する引張り応力の伝達が可能であり、また、実施の形態1で説明した接着樹脂4(図4〜6参照)は、本実施の形態に係る主剤樹脂(例えば、エポキシアクリレート樹脂)と接着性が良好である。そのため、透明シート1で被覆した部分とプリプレグシート6で被覆した部分とが一体となったFRP層を簡単に短期間で形成することができる。
また、図9に示すように、補修範囲のコンクリート構造物Cにうねりが存在する場合、このうねりがある箇所に透明シート1を貼着しようとすると、透明シート1は、厚さが0.5mm程度と薄いため、しわが生じ易く上手くコンクリート構造物Cと密着させ難い。そこで、この場合も、うねり部分の周りには、紫外線硬化型のプリプレグシート6を貼着することとし、プリプレグシート6を透明シート1とに重ね代をとって一部分重ね合わせて接着し、その後、プリプレグシート6で被覆した部分には、紫外線照射機で紫外線を照射し、プリプレグシート6を硬化させ、透明シート1で被覆した部分とプリプレグシート6で被覆した部分とを一体化する。
プリプレグシート6は、厚さが1.5mm程度あってシート自体のコシが強く、下地に塗布する接着樹脂を厚く塗っておき、あまり押し付けないで浮かすように貼着することが可能である。そのため、このようなうねり部分に対してもしわがよったりせずに上手く貼着させることができる。
以上説明したような実施の形態2に係る繊維シート接着工法によれば、コンクリート構造物の表面に突起物やうねりなどの部分的に不陸部分が存在する場合であっても、紫外線硬化型のFRPシートなどの従来工法と本発明に係る繊維シート接着工法を上手く組み合わせることで、全体として一体化したFRP層を簡単に短い期間で形成でき、重労働で熟練を要する工程を極力少なくして施工性がよく、施工時間が短く、そのため施工コストを安くすることができる。
なお、前記実施の形態において、図面等で示した部材の形状や構造等は、あくまでも好ましい一例を示すものであり、その実施に際しては特許請求の範囲に記載した範囲内で、任意に設計変更・修正ができるものである。また、第2の実施の形態において、プリプレグシートを紫外線硬化型のFRPシートで説明したが、他の従来工法(例えば、炭素繊維シート工法のエポキシ樹脂と本発明の接着樹脂も接着性は良好)に置き換えることが可能であり、その場合であっても同様の効果を奏することは明らかである。
この発明の一実施の形態に係る繊維シートの部材断面を模式的に表した構成説明図である。 図1の繊維シートの複合モノフィラメントの製法を示す説明図である。 図1の繊維シートの補強繊維の平面形状の一例として挙げる3軸メッシュ状体を示す平面図である。 この発明の第1の実施の形態に係る繊維シート接着工法の工程を概念的に示す説明図である。 同上の繊維シート接着工法の接着樹脂塗付け工程を垂直断面で示す説明図である。 (A)は、同上の繊維シート接着工法の透明シート貼着工程を正面で示す説明図、(B)は、同A−A線断面で示す説明図である。 同上の繊維シート接着工法のアンカー止め付け工程を垂直断面で示す説明図である。 (A)は、この発明の第2の実施の形態に係る繊維シート接着工法の不陸部分が突起物である場合を正面で示す説明図、(B)は、同B−B線断面で示す説明図である。 (A)は、この発明の第2の実施の形態に係る繊維シート接着工法の不陸部分がうねりである場合を正面で示す説明図、(B)は、同C−C線断面で示す説明図である。 従来の一般的な繊維シート接着工法の工程を概念的に示す説明図である。
符号の説明
1 透明シート(繊維シート)
2 補強繊維
2a 3軸メッシュ状体
20 複合モノフィラメント(複合線状体)
21 芯繊維(マルチフィラメント)
3 基材樹脂
4 接着樹脂
5 プラスチックアンカー(アンカー)
6 プレプリグシート
C コンクリート構造物

Claims (9)

  1. コンクリート構造物の表面に補強用の繊維シートを接着して被覆することでコンクリート構造物からの剥落を防止する繊維シート接着工法において、
    繊維シートは、補強繊維の周りを透明又は半透明な基材樹脂で固化して一体化した常温で可撓性を有するFRPシートであり、
    前記繊維シートをコンクリート構造物に貼り付ける側を上向きにして平坦な面に置き、所定の粘度を有するパテ状の接着樹脂を塗り付ける工程と、
    この接着樹脂が塗られた前記繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程とを備えることを特徴とする繊維シート接着工法。
  2. 前記繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程では、前記繊維シートの一端から他端へ向けて繊維シートの上からゴムローラやヘラなどの押圧器具で押圧して空気を抜きながら接着することを特徴とする請求項1に記載の繊維シート接着工法。
  3. 前記繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付ける工程の後に、前記繊維シートの縁をアンカーでコンクリート構造物に止め付ける工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維シート接着工法。
  4. コンクリート構造物の表面を広範囲に亘って被覆する場合、前記繊維シート同士を一部分重ね合わせて接着して一体化することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の繊維シート接着工法。
  5. コンクリート構造物の表面に突起物やうねりなどの部分的に不陸部分が存在する場合、当該不陸部分の周りには、紫外線硬化型のプリプレグシートを前記繊維シートと一部分重ね合わせて接着し、前記繊維シートで被覆した部分と前記プリプレグシートで被覆した部分とを一体化することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の繊維シート接着工法。
  6. 前記補強繊維は、複数本のマルチフィラメントの束の周りを前記マルチフィラメントより融点の低いポリオレフィン系樹脂を溶融して被覆した複合線状体を3軸方向で交わるように配列してその交点で熱融着した3軸メッシュ状体に成形されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の繊維シート接着工法。
  7. 前記3軸メッシュ状体は、コロナ放電処理やプラズマ処理などの乾式表面改質処理で改質してあることを特徴とする請求項6に記載の繊維シート接着工法。
  8. 前記基材樹脂は、紫外線吸収能を有する紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の繊維シート接着工法。
  9. 前記接着樹脂は、硬化後もヘイズ値が20%以下、全光線透過率が80%以上の透明性を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の繊維シート接着工法。
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