JP2019035233A - セメント硬化体構造物の剥落防止施工法およびセメント硬化体構造物の剥落防止構造 - Google Patents

セメント硬化体構造物の剥落防止施工法およびセメント硬化体構造物の剥落防止構造 Download PDF

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Abstract

【課題】構造物の強度低下による剥落を防止する施工方法および構造を提供する。【解決手段】本発明の剥落防止構造は、セメント硬化体構造物200と、セメント硬化体構造物200の表面に設けられた第1接着層410と、第1接着層410に積層された網状シートで構成される補強層450と、補強層450に積層された第2接着層420と、第2接着層420に積層された保護シート300と、を含み、保護シート300が樹脂層310と炭素膜350とを含み、かつ、第1接着層410と第2接着層420とが網状シートの網の目455を介して一体的に硬化されている。【選択図】図1

Description

本発明は、セメント硬化体構造物の補強技術に関する。具体的には、本発明は、セメント硬化体構造物の剥落防止施工法およびセメント硬化体構造物の剥落防止構造に関する。
コンクリートは、空気中の二酸化炭素によって徐々に中性化する。コンクリートの内部にまで中性化が進行すると、鉄筋が腐食し、コンクリート構造物の強度が大幅に低下してしまう。そのため、特開2003−342084号公報(特許文献1)などに、コンクリート構造物の表面にエポキシ樹脂組成物などから成る塗材を塗布し、コンクリートの中性化を防止する技術が提案されている。このように塗材をコンクリート構造物の表面に塗布する工法の、プライマー、パテ、下塗り、中塗り、上塗りなどの多くの層を順次形成する必要性を解消するため、施工に要する時間と労力とを削減する手段として、特開2014−9508号公報(特許文献2)に、コンクリート構造物と、コンクリート構造物の表面を覆う保護シートと、を含み、保護シートが、樹脂から成る基材と、炭素膜、好ましくはダイヤモンドライクカーボンの膜とを含むコンクリート構造物の保護構造及びコンクリート構造物の保護工法が提案されている。
特開2003−342084号公報 特開2014−9508号公報
特開2014−9508号公報(特許文献2)の保護シートによるコンクリート構造物保護構造は、実使用時に保護シートが野外へ曝露される。この場合、樹脂層と炭素膜との密着性が十分でないことにより、実使用時の太陽光および温湿度などの環境負荷によって炭素膜が剥離または割れが発生することがある。このような炭素膜の破損に伴って、中性化抑制効果が低下し、コンクリート構造物は経年劣化して強度が低下する。
仮に、特開2014−9508号公報(特許文献2)の保護シートに対し、炭素膜の剥離および/または割れを防止することを目的として、炭素膜の固着力を強化することができたとしても、コンクリート構造物の強度維持を保護シートつまり樹脂基材と炭素膜との積層物に依存する点に変わりはない。したがって、コンクリート構造物の長期使用に鑑みると、中性化の進行自体を止められても、中性化以外の要因で鉄筋が腐食し、かぶりコンクリートの浮きおよび/または剥離が生じる場合があるため、保護シートではコンクリート片の剥落を防止することまではできない。
そこで本発明の目的は、上記の問題に鑑み、より長期的に構造物の強度低下による剥落を防止する施工方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、セメント硬化体構造物に対し、保護シートによる化学的な劣化抑制手段と、接着層に網状シートを埋め込むことによる物理的な強化手段とを掛け合わせることによって上記の本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の発明を含む。
(1)
本発明の剥落防止施工法は、第1接着剤塗布工程と、補強層積層工程と、第2接着剤塗布工程と、保護層積層工程と、を含む。
第1接着剤塗布工程では、セメント硬化体構造物の表面に第1の接着剤樹脂組成物を塗布する。補強層積層工程では、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層に網状シートを積層する。第2接着剤塗布工程では、網状シートに第2の接着剤樹脂組成物を塗布する。保護層積層工程では、第2の接着剤樹脂組成物の塗布層に保護シートを積層する。
保護シートは樹脂層と炭素膜とを含む。さらに、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層と第2の接着剤樹脂組成物の塗布層とは、網状シートの網の目を介して一体的に硬化される。
本発明において、網状シートとは、長繊維で構成され、厚さ方向に連通する連通孔(つまり網の目)が確保されたシートである。
本発明の構成によって、セメント硬化体構造物と保護シートとの間の接着層に網状シートが介在させられ、かつ、網状シートを挟む接着層が網の目を介して一体的に硬化されるため、セメント硬化体構造物が経年劣化したとしても剥落を防止することができる。
さらに、保護シートの保護層を炭素膜で構成することによって、セメント硬化体構造物の中性化の進行を抑止させるため、硬化体構造物の経年劣化そのものも遅延させることができる。
これによって、長期的にセメント硬化体構造物の剥落を防止することが可能となる。
また、セメント硬化体構造物の中性化の評価は、一般的に、セメント硬化体を切り出して断面を露出させ、フェノールフタレインの呈色反応を利用することによって行うことができる。
(2)
上記(1)のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、網状シートが2軸以上の多軸メッシュであってよい。
この場合、セメント硬化体構造物の剥落をより効果的に防止することができる。
(3)
上記(1)または(2)のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、網状シートが、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維およびガラス繊維の少なくともいずれかで構成されてよい。
この場合、セメント硬化体構造物の剥落をより効果的に防止することができる。
(4)
上記(1)から(3)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、第1の接着剤樹脂組成物および第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の伸び率が50%以上であってよい。
この場合、コンクリート片に浮きおよび/または剥離が生じた場合でも、接着剤樹脂組成物がよく伸びるので浮きおよび/または剥離したコンクリート片の荷重を均一に受け止めることができ、高い剥落防止性能を得ることができる。
なお、伸び率とは、JIS K6251に準拠してダンベル状3号形の試験片を引張速度500mm/分条件に供して得られる値である。
また、繰り返し加わる応力とは、たとえば、セメント硬化体構造物に生じているひび割れの開閉(たとえば振動に起因するもの)および/またはセメント体構造物自体の収縮(たとえば温度変化に起因するもの)が挙げられる(以下において「繰り返し応力が加わる」および「外部からの応力」などと記載される「応力」についても同様)。
(5)
上記(1)から(4)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、第1の接着剤樹脂組成物および第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の、10%伸長時の応力が、0.7N/mm以下であってよい。
この場合、当該接着剤樹脂組成物の硬化物の弾性によって、施工後の保護シートに繰り返し応力が加わったとしても、保護シートのひび割れを効果的に抑制することができる。このため、セメント硬化体構造物の経年劣化をより長く遅延させることができる。
なお、10%伸長時の応力とは、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準拠した10%伸長時の応力(10%モジュラス)をいう。
(6)
上記(1)から(5)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、第1の接着剤樹脂組成物及び第2の接着剤樹脂組成物が、変性シリコーン樹脂およびエポキシ樹脂を含んでよい。
この場合、たとえばエポキシ系樹脂を接着剤として用いた場合と異なり、優れた弾性率によって、施工後の保護シートに繰り返し応力が加わったとしても、保護シートのひび割れを効果的に抑制することができる。このため、セメント硬化体構造物の経年劣化をより長く遅延させることができる。また、たとえばウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂などを接着剤として用いた場合と異なり、低分子のブリードアウト、溶剤による劣化などを効果的に抑制するため、実用性にも優れる。
(7)
上記(1)から(6)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、保護シートの樹脂層の厚みが、10μm以上500μm以下であってよい。
この場合、中性化抑制効果と接着施工性とを良好に得ることができる。
(8)
上記(1)から(6)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、炭素膜がダイヤモンドライクカーボン膜であってよい。
この場合、保護層である炭素膜のバリア性に優れ、セメント硬化体構造物の経年劣化をより長く遅延させることができる。
(9)
上記(1)から(8)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施行法では、セメント硬化体構造物がはね出しスラブを含み、第1の接着剤樹脂組成物が塗布されるべき表面が少なくともはね出しスラブの表面であってよい。
本発明による長期的なセメント硬化体構造物の剥落防止能は、はね出しスラブのような剥落防止能が求められる部位の施工に特に有用である。本発明による剥落防止の初期性能としては、東海道新幹線鉄筋コンクリート構造物維持管理基準にコンクリート保護材の品質規格値として定められている、C種(はねだしスラブ)が満たすべき押し抜き荷重試験の規格値(1.5kN以上)の合格ラインをはるかに超える性能を有し、かつ、当該品質規格値が想定していないセメント硬化体構造物の経年劣化後においても、当該合格ラインを超える性能を維持する。したがって、たとえばセメント硬化体構造物にひび割れが生じかつひび割れのせん断面の方向に負荷がかかる場合にあっても、優れた剥落防止効果を奏する。
(10)
本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造は、セメント硬化体構造物と、第1接着層と、補強層と、第2接着層と、保護シートと、を含む。
第1接着層は、セメント硬化体構造物の表面に設けられる。補強層は、第1接着層に積層された網状シートで構成される。第2接着層は、補強層に積層される。保護シートは、第2接着層に積層される。保護シートは、樹脂層と炭素膜とを含む。第1接着層と第2接着層とは、網状シートの網の目を介して一体的に硬化されている。
本発明の構成によって、セメント硬化体構造物と保護シートとの間の接着層に網状シートが介在させられ、かつ、網状シートを挟む接着層が網の目を介して一体的に硬化されているため、セメント硬化体構造物が経年劣化したとしても剥落を防止することができる。
さらに、保護シートの保護層を炭素膜で構成することによって、セメント硬化体構造物の中性化の進行を抑止するため、硬化体構造物の経年劣化そのものも遅延させることができる。
これによって、長期的にセメント硬化体構造物の剥落を防止することが可能となる。
本発明によれば、より長期的に構造物の強度低下による剥落を防止することができる。
本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造の一例の模式的断面図である。 図1のセメント硬化体構造物の剥落防止構造を得るための施工法の第1接着剤塗布工程を示す。 図2に引き続く補強層積層工程を示す。 図3に引き続く第2接着剤塗布工程を示す。 図4に引き続く保護層積層工程を示す。 本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造の変形例の模式的断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は基本的に繰り返さない。
[1.セメント硬化体構造物の剥落防止構造]
図1に、本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造の一例の模式的断面図である。
[1−1.構造概要]
図1に示す剥落防止構造100は、コンクリート建造物200と、保護シート300と、それらの間に介在する接着層400とを含む。接着層400は、第1接着層410と、網状シートで構成される補強層450と、第2接着層420とを含む。なお、図1ならびに以降の図面において、コンクリート建造物200に設けられる積層物は、厚みを極端に表現している。
[1−2.コンクリート建造物(セメント硬化体構造物)]
コンクリート建造物200は、コンクリート210と、鉄筋などの芯材220とを含む。コンクリート210は、セメントに、水、砂利、砂などを混合し、セメントの水和反応により硬化したものである。コンクリート建造物200は、新設の物であってもよいし、供用中のものであってもよい。コンクリート建造物200としては、コンクリート高架橋(特に梁、柱)、コンクリート桁橋、電架柱、ビル、住宅などが挙げられる。
また、コンクリート建造物200は、東海道新幹線鉄筋コンクリート構造物維持管理基準に定められている項目のうち、Ae種(高架橋における縦梁中央部(下面,側面)、RC桁における梁部中央部(下面,側面))、A種(高架橋における縦梁ハンチ部(下面,側面),横梁部(下面,側面)、RC桁における梁部端部(下面,側面))、B種(高架橋における中央スラブ部)、C種(高架橋におけるはね出しスラブ部、RC桁におけるはねだしスラブ部,中央はねだしスラブ部,中央スラブ部)のいずれに該当する部位であってもよい。したがって、本発明は、コンクリート建造物のどのような部位に対しても有用である。これらの中でも、本発明は、コンクリート建造物200としてはね出しスラブに施工する場合に特に有用である。
[1−3.接着層]
接着層400は、第1接着層410と、補強層450と、第2接着層420とを含む。接着層400全体の厚みは、0.3mm以上2.0mm以下、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であってよい。当該厚みが上記下限値以上であることは、良好な弾性を得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、接着剤樹脂組成物の節約の点で好ましい。
[1−3−1.第1接着層および第2接着層]
第1接着層410および第2接着層420は、それぞれ、第1接着剤樹脂組成物の塗布層410’(後述)および第2接着剤樹脂組成物の塗布層420’(後述)の硬化物である。第1接着層410および第2接着層420は、後述の補強層450の網の目455において一体化されているため、互いに同じ樹脂組成であってもよいし、樹脂組成物の相溶性が有る限りにおいて異なる樹脂組成であってもよい。
より具体的には、第1接着層410および第2接着層420は、保護対象であるコンクリート建造物200の線膨張率と保護シート300の樹脂層310の線膨張率との差を緩衝する点で、弾性接着層であることが好ましい。具体的には、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤の硬化物が挙げられ、さらに好ましくは、後述の変成シリコーン樹脂硬化物とエポキシ樹脂硬化物とを含む硬化樹脂が挙げられる。
変成シリコーン樹脂硬化物とエポキシ樹脂硬化物とを含む硬化樹脂は、変成シリコーン樹脂硬化物とエポキシ樹脂硬化物とのポリマーアロイである。好ましくは、変成シリコーン樹脂硬化物を主成分とし、変成シリコーン樹脂硬化物相中に、エポキシ樹脂硬化物相が分散した海島構造を有する。これによって、接着層400は、エポキシ樹脂硬化物に由来する靭性と変成シリコーン樹脂硬化物に由来する弾性との両方を兼ね備える。
第1接着層410および第2接着層420それぞれの層厚は、それぞれ、たとえば0.1mm以上1.9mm以下、好ましくは0.2mm以上1.3mm以下であってよい。上記下限値以上であることは、良好な弾性を得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、接着剤樹脂組成物の節約の点で好ましい。第1接着層410の層厚と第2接着層420の層厚とは、互いに同等であってもよいし、同等でなくてもよい。
第1接着層410および第2接着層420それぞれの、JIS K6251に準拠した伸び率は、50%以上、好ましくは100%以上であってよい。上記下限値以上であることにより、コンクリート片の浮きおよび/または剥離が生じた場合でも、接着剤樹脂組成物がよく伸びるので剥離したコンクリート片の荷重を均一に受け止めることができ、高い剥落防止性能を得ることができる。当該伸び率の範囲内の上限は特に限定されず、大きいほど好ましい。
第1接着層410および第2接着層420それぞれの、JIS K6251に準拠した10%伸長時の応力は、たとえば0.7N/mm以下、好ましくは0.5N/mm以下、さらに好ましくは0.3N/mm以下である。これによって、コンクリート建造物200から保護シート300の炭素膜350への応力が効果的に吸収され、炭素膜350のひび割れを好ましく抑制することができる。
[1−3−2.補強層]
補強層450は、網状シートで構成される。網状シートは、長繊維で構成されかつ厚さ方向に連通する連通孔(つまり網の目455)が確保されたシートであれば特に限定されない。
補強層450を構成する網状シートは、シート全体の面積に対する網の目455の開口面積の割合がたとえば30%以上80%以下であってよい。網の目455の開口面積の割合が上記下限値以上であることは、網状シートの両面側に配置される第1接着剤樹脂組成物と第2接着剤樹脂組成物との一体化性に優れる点で好ましく、上記上限値以下であることは、網状シートによる接着層400の補強強化、ひいては剥落防止能に優れる点で好ましい。
補強層450を構成する網状シートの網の目455のピッチ(最近接する網の目455同士において、それぞれの網の目455の中心同士の距離)は、3mm以上15mm以下、好ましくは5mm以上12mm以下であってよい。ピッチが上記下限値以上であることは、網状シートの両面側に配置される第1接着剤樹脂組成物と第2接着剤樹脂組成物との一体化性に優れる点で好ましく、上記上限値以下であることは、網状シートによる接着層400の補強強化、ひいては剥落防止能に優れる点で好ましい。
補強層450を構成する網状シートは、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの繊維で構成されてよい。特に、剥落防止能、柔軟性、第1接着層410、第2接着層420との接着性および実用性などの観点からポリプロピレン繊維およびビニロン繊維が好ましく、ビニロン繊維がより好ましい。また、実用性および剥落防止能の観点ではガラス繊維(ガラスクロス)がより好ましい。
網状シートの具体的態様としては、メッシュ、織布、編布(網)および不織布が挙げられ、これらの中から1種を単独で、または2種以上の組み合わせで用いることができる。この中でも、剥落防止能の観点から、メッシュが好ましい。本発明においてメッシュとは、複数本の連続繊維束が交差積層し、その交差部分において繊維束同士が好ましくは接着された構造を持つ基材を指す。具体的には、2軸メッシュ(格子状メッシュ)、3軸メッシュ、4軸メッシュ、5軸メッシュ、およびそれ以上の多軸メッシュ(多次元メッシュ)が挙げられ、剥落防止能をより好ましく得る観点からは、3軸以上の多軸メッシュであることが好ましい。3軸メッシュは、経方向、斜方向、逆斜方向の3方向に、具体的には繊維束の交差角が60度となるように積層した多軸メッシュであることが好ましい。より具体的には、組布(登録商標)が挙げられる。
補強層450の厚みは特に限定されないが、たとえば0.01mm以上1mm以下であってよい。上記下限値以上であることは、剥落防止能に優れる点で好ましく、上記上限値以下であることは、網状シートの両面側に配置される第1接着剤樹脂組成物と第2接着剤樹脂組成物との一体化が容易となる点、および第1接着剤樹脂組成物と補強層450と第2接着剤樹脂組成物との一体性が良好となる点で好ましい。
[1−4.保護シート]
保護シート300は、樹脂層310と炭素膜350とを含む。本実施形態では、保護シート300は、樹脂層310が接着層400に接する向きで設けられ、接着層400を介してコンクリート建造物200を覆う。
保護シート300が炭素膜350を有することによって、コンクリート210の中性化を抑制する。
保護シート300は、紫外線透過率がたとえば80%以下、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下であってよい。紫外線透過率は、分光光度計(たとえば島津製作所製、UV−2600)を用いて測定することができる。なお、ポリエステル系の樹脂は、波長325nm付近の光線で顕著に劣化することが知られているため、紫外線透過率は325nmにおける値とする。保護シート300がこのような紫外線バリア性を具備することによって、保護シート300自体の劣化、接着層400の劣化、および/またはコンクリート210の劣化を好ましく抑制することができる。
[1−4−1.樹脂層]
樹脂層310の材質としては樹脂であればよく、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアミド樹脂(ナイロンなど)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。
樹脂層310の膜厚は、たとえば10μm以上500μm以下、好ましくは50μm以上200μm以下である。上記下限値以上であることは、樹脂層310のコシが良好であるなどの点で好ましく、上記上限値以下であることは、樹脂層310自体の割れの防止および保護シート300のセメント硬化体構造物(コンクリート建造物200)への良好な接着施工性を得る点で好ましい。
樹脂層310の、JIS K7197に準拠した線膨張率は、10×10−5/K以下、好ましくは5×10−5/K以下、より好ましくは3×10-5/K以下、さらに好ましくは2×10-5/K以下、さらに一層好ましくは1.5×10-5/K以下であってよい。である。上記上限値以下であることは、樹脂層310自体の割れを防止し、炭素膜350の追随的な割れも防止する点で好ましい。当該線膨張率の範囲内の下限値は特に限定されないが、好ましくは0/Kである。
[1−4−2.炭素膜]
保護シート300の保護層は、炭素で構成される炭素膜350である。炭素膜350としては種々の炭素膜が適用されるが、中性化抑制効果の観点から好ましくはダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜が好ましい。また、DLC膜は、酸素、水蒸気および紫外線の透過を抑制することもできる。DLC膜は、ダイヤモンド構造(sp3結合)とグラファイト構造(sp2結合)とを両方含む非晶質の膜である。また、炭素膜には水素、酸素、窒素を含むことも許容する。ダイヤモンド構造とグラファイト構造との混在比率、および水素、酸素、窒素の含有率は特に限定されない。より具体的には、ta−C(テトラへドラルアモルファスカーボン)、a−C(アモルファスカーボン)、ta−C:H(水素化テトラへドラルアモルファスカーボン)、およびa−C:H(水素化アモルファスカーボン)が挙げられる。
本発明においては、保護シート300とコンクリート建造物200との間に接着層400が介在しているため、たとえば、ナノインデンテーション法で測定した硬さが1GPa以上の炭素膜であっても許容される。なお、ナノインデンテーション法とは、圧子(例えばナノオーダーの針)を材料表面に押込み、荷重と変位量とから微小領域の硬さ、ヤング率等を測定する方法である。一例として次のように測定することができる。ナノインデンター(Hysitron社製TriboIndenter TI900型)を用いて、ベルコビッチ型圧子と呼ばれる三角錘型ダイヤモンド製圧子を試料表面に直角に当て、炭素膜表面から炭素膜の膜厚の10%の押込み量まで徐々に荷重を印加後、荷重を0にまで徐々に戻す。この時の最大荷重Pを圧子接触部の投影面積Aで除した値P/Aを硬度として算出する。
炭素膜350の厚みは、樹脂層310の厚みに対したとえば0.005%以上0.5%以下であってよい。あるいは、10nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上500nm以下、さらに好ましくは10nm以上200nm以下であってもよい。炭素膜350の厚みが上記下限値以上であることは中性化抑制効果を得られやすい点で好ましく、上記上限値以下であることは炭素膜350の破損を起こしにくくすることができる点で好ましい。
保護シート300は、樹脂層310を基材とし、種々の気相成膜法によって炭素膜を形成することによって製造することができる。たとえば気相成膜法の具体例としては、プラズマCVD法およびスパッタ法などが挙げられる。さらに、プラズマCVD法としては、大気圧プラズマCVD法、および高真空下でのプラズマCVD法が挙げられる。
[2.セメント硬化体構造物の剥落防止工法]
図2から図5に、本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法の一例を模式的に示す。図2から図5に示す剥落防止施工法は、図1のセメント硬化体構造物の剥落防止構造100を得るための施工法の例であり、第1接着剤塗布工程(図2)と、補強層積層工程(図3)と、第2接着剤塗布工程(図4)と、保護層積層工程(図5)と、を含む。
[2−1.第1接着剤塗布工程]
図2に示すように、第1接着剤塗布工程では、第1の接着剤樹脂組成物をコンクリート建造物200の表面に塗布し、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’を得る。
第1の接着剤樹脂組成物は、硬化後に上述の第1接着層410を与える樹脂組成物であればよく、たとえば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤が挙げられ、さらに好ましくは、変成シリコーン樹脂と、エポキシ樹脂と、それぞれの樹脂を硬化させるための硬化剤とを含む接着剤樹脂組成物であってよい。
以下において、第1の接着剤樹脂組成物を単に接着剤樹脂組成物と記載する。
接着剤樹脂組成物は、いわゆる1液型の樹脂組成物であってもよいし、いわゆる2液混合型の樹脂組成物の2液混合物であってもよい。1液型の樹脂組成物である場合は、作業が容易であるとともに作業効率も良好であり、さらに、硬化に供する接着剤樹脂組成物の均一性が良好である点で硬化不良が起こりにくく、したがって容易に良好な接着性を得ることができる。2液混合型の樹脂組成物である場合は、コンクリート建造物200の表面における凹凸および/または割れの程度に関わらず接着性が良好であり、さらに、耐候性も良好である点で好ましい。
接着剤樹脂組成物が変成シリコーン樹脂と、エポキシ樹脂と、それぞれの樹脂を硬化させるための硬化剤とを含む接着剤樹脂組成物である場合、1液型の例として、接着剤樹脂組成物として、変成シリコーン樹脂と、エポキシ樹脂と、シラノール縮合触媒と、エポキシ硬化剤とを含む混合物が挙げられる。また、2液型の第I剤および第II剤の例としては次のものが挙げられる。第I剤には変成シリコーン樹脂が含まれ、第II剤にはエポキシ樹脂が含まれる。この場合、第I剤にさらにエポキシ硬化剤が含まれ、第II剤にさらにシラノール縮合触媒が含まれる。
変成シリコーン樹脂としては特に限定されないが、好ましくは湿気硬化型の変成シリコーン樹脂であり、この場合、加水分解性ケイ素基を有する。加水分解性ケイ素基を有する変成シリコーン樹脂は、ポリエーテル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーおよびアクリル系ポリマーからなる群から選ばれるポリマーを主鎖(加水分解性ケイ素基を除く部分)とする。したがって、主鎖は、アルキレンオキサイド成分、オレフィン成分およびアクリル成分からなる群から選ばれるモノマーの重合体であってよく、この重合体は、単独重合体および共重合体を問わない。共重合体である場合、共重合成分としては、アルキレンオキサイド成分、オレフィン成分、アクリル成分、および他のビニル成分からなる群から選ばれてよい。
アルキレンオキサイド成分としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。主鎖は、硬化後の伸びおよび粘性的な取り扱い易さの観点から、主としてプロピレンオキサイド単位から構成されるポリプロピレンオキサイドが好ましい。
オレフィン成分としては、イソブチレンが挙げられる。
アクリル成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。なお、アクリル系ポリマーが、他のビニルモノマー成分が共重合されたものである場合、加水分解性ケイ素基を有するビニルモノマー成分を共重合することにより加水分解性ケイ素基を導入することができる。
主鎖がアクリル単位を含んでいることは、耐候性が良好となる点で好ましい。さらに、耐候性の観点からは、主鎖中のアクリル単位の含有量は、5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、ハロゲン化シリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基、アルコキシシリル基などが挙げられる。ここで、加水分解性ケイ素基におけるケイ素原子に結合した加水分解性基の数は1以上3以下が好ましい。また、1つのケイ素原子に結合した加水分解性基は1種であってもよく、複数種であってもよい。更に、加水分解性基と非加水分解性基とが1つのケイ素原子に結合していてもよい。加水分解性ケイ素基としては、安定性に優れ、取り扱いが容易である点で、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基などのアルコキシシリル基が好ましい。
変成シリコーン樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
加水分解性ケイ素基を有する変成シリコーン樹脂の数平均分子量は、たとえば、1,000以上500,000以下、1,000以上100,000以下、10,000以上30,000以下、4,000以上500,000以下、または4,000以上30,000以下である。上記下限値以上であることは、接着剤樹脂組成物の硬化時間が短い点、または硬化後の接着強度が良好である点で好ましい。上記上限値以下であることは、接着剤樹脂組成物の粘度が適当であり取扱性が良好である点で好ましい。
シラノール縮合触媒は、変成シリコーン樹脂組成物を短時間で硬化させるために用いられる。シラノール縮合触媒としては、ポリ(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物、モノアルキル錫エステルおよびジアルキル錫エステルなどの錫触媒、有機チタネートなどが挙げられる。
モノアルキル錫エステルとしては、例えば、ブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)などが挙げられ、ジアルキル錫エステルとしては、例えば、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジオレート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫アセトアセテート、オクタン酸第1錫などが挙げられる。
有機チタネートとしては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシルチタネート)トリエタノールアミンチタネートなどのチタンアルコキシド類、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、オクチレングリコレートなどのチタンキレート類などが挙げられる。
シラノール縮合触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
接着剤組成物中のシラノール縮合触媒の含有量は、変成シリコーン樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下、好ましくは1重量部以上5重量部以下である。上記下限値以上であることは、硬化時間の短縮の点で好ましい。上記上限値以下であることは接着強度などの物性を担保する点で好ましい。
エポキシ樹脂としては特に限定されず、エポキシ基を有する樹脂であればよい。具体的には、不飽和の脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、および複素環式化合物からなる群から選ばれる化合物にグリシジル基が結合したものが挙げられる。中性化抑制効果の観点からは、芳香族化合物を含むものであることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型およびこれらの水添化物などのビスフェノール型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂などのエステル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型およびクレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂およびこれらの水添化物;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂などのトリスフェノール型の多官能エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート型、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型、テトラグリシジルメタキシレンジアミン型、ヒダントイン型などの含窒素環型多官能エポキシ樹脂;ナフタレン型などの縮環型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;エーテルエステル型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの脂環式構造を有するエポキシ樹脂;ウレタン型エポキシ樹脂;ポリブタジエンおよびアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのゴム骨格を有するゴム変成エポキシ樹脂などを用いることができる。
エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着剤組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、変成シリコーン樹脂100重量部に対し、たとえば1重量部以上100重量部以下、好ましくは2重量部以上80重量部以下である。上記下限値以上であることにより、硬化後の第1接着層410および第2接着層420において良好な靭性を得ることができ、上記上限値以下であることにより、硬化後の第1接着層410および第2接着層420において良好な弾性を得ることができる。したがって、保護シート300の炭素膜350のひび割れを好ましく抑制することができる。
エポキシ硬化剤としては、たとえばアミン化合物が挙げられる。アミン化合物としては、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族3級アミン類、N−メチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジンなどの脂環族3級アミン類、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの芳香族3級アミン類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン類、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジアミン、ノルボルデンジアミンなどの脂環式ジアミン類、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン類が挙げられる。
上記以外にも、エポキシ硬化剤としては、ポリアミド樹脂;2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;無水フタル酸などのカルボン酸無水物などの化合物が挙げられる。
さらに、エポキシ硬化剤としては、活性アミンがブロックされており、水分などの所定の条件下で活性化するケチミンなどの潜在型硬化剤であってもよい。たとえばケチミンは、水分がない状態では安定に存在するが、水分の存在によって一般に一級アミンとなり、エポキシ樹脂と反応する。具体的には、2,5,8-トリアザ-1,8- ノナジエン、2,10- ジメチル-3,6,9- トリアザ-2,9- ウンデカジエン、2,10- ジフェニール-3,6,9- トリアザ-2,9- ウンデカジエン、3,11- ジメチル-4,7,10-トリアザ-3,10-トリデカジエン、3,11- ジエチル-4,7,10-トリアザ-3,10-トリデカジエン、2,4,12,14-テトラメチル-5,8,11-トリアザ-4,11-ペンタデカジエン、2,4,20,22-テトラメチル-5,12,19- トリアザ-4,19-トリエイコサジエン、2,4,15,17-テトラメチル-5,8,11,14- テトラアザ-4,14-オクタデカジエンなどが挙げられる。
エポキシ硬化剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
接着剤樹脂組成物中のエポキシ硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、たとえば20重量部以上60重量部以下、好ましくは30重量部以上50重量部以下である。あるいは、エポキシ硬化剤として潜在型硬化剤を用いる場合は、活性化により生じる活性アミノ基の総モル数に対する、エポキシ樹脂のエポキシ基の総モル数(エポキシ基の総モル数/活性アミノ基の総モル数)は、たとえば0.8以上1.2以下、好ましくは0.9以上1.1以下である。上記下限値以上であることは、硬化膜の弾性率の観点で好ましく、上記上限値以下であることは、貯蔵安定性の点で好ましい。
接着剤樹脂組成物中には、必要に応じて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、脱水剤、エポキシシランカップリング剤、酸化防止剤、充填材、可塑剤、タレ防止剤、紫外線吸収剤、顔料、溶剤、及び香料などが挙げられる。
上述の接着剤樹脂組成物としては、さらに水が加えられた、非加熱または加熱されたものが用いられてよい。加熱される場合、たとえば40度以上80度以下の温度とすることができる。上記下限値以上であることは、短時間で十分な接着力を得る点で好ましい。上記上限値以下であることは、保護シート300の損傷を防ぐ点で好ましい。
接着剤樹脂組成物の粘度は、JIS K6833に準拠し、23℃、50%RHにおける初期粘度が10Pa・S以上1000Pa・S以下(初期粘度とは、BS型粘度計のローター7を使用し、回転数10rpmで測定した粘度)であることが好ましい。上記下限値以上であることは、適度な粘性となり施工性の点で好ましい。上記上限値以下であることは、コンクリート建造物200表面の凹凸への密着性が良好となり接着性の点で好ましく、また、補強層450の網の目455に入り込みやすいため第1接着剤樹脂組成物と第2接着剤樹脂組成物とを一体化させやすい点で好ましい。
なお、本発明において接着剤樹脂組成物を塗布するとは、塗布法によって接着剤樹脂組成物層を設けることに限定されず、浸漬法、スプレー法などによって接着剤樹脂組成物層を設けることも含む。塗布法としては、ロール、ヘラ、コテなどを用いた塗布、しごき塗り、刷毛塗り、流し塗りなどの方法が挙げられる。ロールを用いて塗布する場合、ゴム製または金属性のロールを用いることができ、さらに、2本ロールまたは3本ロールの態様で塗布することができる。
なお、コンクリート建造物200の表面に予め必要に応じて下地調整塗膜を設けておき、下地調整塗膜の上に第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’を設けてもよい。下地調整用塗料としては、エチレン酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、アクリルカチオン系エマルジョンなどが挙げられる。
[2−2.補強層積層工程]
図3に示すように、補強層積層工程では、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’に網状シートを貼り付けることによって、網状シートで構成される補強層450を積層する。網状シートには、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’に貼り付ける前に、上述した接着剤樹脂組成物を表面に塗っておいてもよいし、塗っておかなくてもよい。
網状シートには、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’に貼り付ける前に、その表面だけでなく網の目455に接着剤樹脂組成物を塗り込んでおいてもよい。あるいは、網状シートを第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’に貼り付ける時に、網状シートを塗布層410’に押しつけて、網の目455に塗布層410’の樹脂組成物が進入するようにしてなじませてもよい。これらによって、気泡が入りにくく、塗布層410’と補強層450との接着が良好となり、さらに、塗布層410’と後述の塗布層420’との一体化性も良好となる。
[2−3.第2接着剤塗布工程]
図4に示すように、第2接着剤塗布工程では、補強層450である網状シートの上に第2の接着剤樹脂組成物を塗布し、第2の接着剤樹脂組成物の塗布層420’を得る。
第2の接着剤樹脂組成物は、硬化後に上述の第2接着層420を与える接着剤樹脂組成物であればよく、その具体例としては、上述の第1の接着剤樹脂組成物の具体例として挙げた接着剤樹脂組成物が同様に挙げられる。また、第2の接着剤樹脂組成物は第1の接着剤樹脂組成物と同じ組成のものであってもよいし、互いに相溶して一体化する限りにおいて異なる組成のものであってもよい。一体化性を考慮すると、第1の接着剤樹脂組成物と同じ組成のものを用いることがより好ましい。
第2の接着剤樹脂組成物の塗布においては、補強層450である網状シートの網の目455の中に接着剤樹脂組成物が十分行き渡り、塗布層410’の接着剤樹脂組成物と一体化するように、十分に塗りつける。
これによって、コンクリート建造物200の表面上に、補強層450として網状シートが埋め込まれた接着剤組成物の塗布層400’が設けられる。
[2−4.保護層積層工程]
図5に示すように、保護層積層工程では、炭素膜350を有する保護シート300を接着剤組成物の塗布層400’に(つまり第2の接着剤樹脂組成物の塗布層420’に)貼り付ける。本実施形態では、保護シート300の樹脂層310の側を貼り付けるが、後述の変形例(図6参照)のように、保護シート300を本実施形態とは表裏を逆にして炭素膜350の側を貼り付けてもよい。
保護層積層工程が完了した後、養生して接着剤組成物の塗布層400’を硬化させる。これによって、保護シート300が接着層400によりコンクリート建造物200に強固に接着する。接着層400においては、第1接着層410と第2接着層420とが、補強層450の網の目455を介して一体的に硬化している。
[3.変形例]
[3−1.施工対象の変形例]
本発明の剥落防止施工法の施工対象としては、セメント硬化体構造物であればよいため、コンクリート建造物200のほか、樹脂製の芯材を有するコンクリート建造物であってもよいし、芯材を有しないコンクリート構造物であってもよいし、モルタル構造物であってもよい。
[3−2.保護シートの変形例]
保護シート300の樹脂層310は、上述のように単層構造であってもよいが、複層構造であってもよい。樹脂層310が複層構造である場合、たとえば、最上層(つまり炭素膜350の隣接層)をポリエステル樹脂など上述の樹脂層310の構成樹脂として例示した樹脂で構成し、その下層として、別の樹脂層を積層してよい。当該別の樹脂層としては、接着層400との相性などに応じて所望の機能を発現する樹脂からなる1または複数の層を、当業者が適宜選択することができる。たとえば、上記のポリエステル樹脂層とは異なるバリア性、耐水性、および/または機械的特性などを有する樹脂層、ならびに接着層などが挙げられる。
また、保護シート300は、樹脂層310と炭素膜350との間に、別の樹脂層が介在していてもよい。当該別の樹脂層の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群から挙げられる。別の樹脂層320の線膨張率(JIS K7197に準拠した測定値)は、たとえば10×10−5/K以下、好ましくは5×10−5/K以下であってよい。
[3−3.剥落防止構造の変形例]
図6は、本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造の変形例の模式的断面図である。本変形例では、樹脂層310と炭素膜350とから構成される保護シート300が、炭素膜350の側で、接着層400を介してコンクリート建造物200を被覆している。この場合、炭素膜350が外部環境(たとえば風雨、飛来物など)の影響を直接的に受けないため、炭素膜350のひび割れを抑制しやすい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
コンクリート試験体に剥落防止施工を行って剥落防止施工構造試験体を作成し、押抜き荷重を東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「JHS424−2004はく落防止の押抜き試験」に準じて測定した。
剥落防止施工構造試験体は、以下のように作成した。
(1)ひび割れコンクリートのモデル(つまり長期劣化によってひび割れた生じたコンクリートのモデル)として、はく落防止の押抜き試験用コンクリートU形側溝蓋(株式会社ユーコウ商会製)(600mm×400mm×60mm)を試験体として用意した。この試験体の表面をディスクサンダー等でケレンした。ケレンは、試験体の最表面を極薄く除去する程度で軽く行った。
(2)U型側溝蓋のコア部(φ100)を中心として、400×400(mm)の正方形に、接着剤を0.6mmの厚さで塗布した。この接着剤は、変成シリコーン樹脂100重量部に対するエポキシ樹脂の混合量が70重量部である、変成シリコーン樹脂およびエポキシ硬化剤とを含む第I剤と、エポキシ樹脂およびシラノール縮合触媒を含む第II剤とが混合された2液型変成シリコーン−エポキシ系接着剤であり、硬化後の伸び率(JIS K6251に準拠)が180%、10%伸長時の応力(JIS K6251に準拠)が0.4N/mmであった。
(3)接着剤の塗布層の面積と同サイズのメッシュ(クラレ社製ビニロン2軸シート)を、接着剤の塗布層に配置し、メッシュを軽くヘラ等で押しつけて接着剤の塗布層に馴染ませた。
(4)メッシュの上から、再度、上記と同じ接着剤を0.5mmの厚みで塗布した。メッシュを埋め込んだ状態の接着剤塗布層の総厚は1.1mmであった。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は42%、網の目のピッチは10mmであった。
(5)接着剤の塗布層およびメッシュの面積と同サイズの保護シートを接着剤塗布層に貼り付けた。この保護シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)層と炭素膜とから構成されており、樹脂層厚みは125μm、DLC膜の膜厚(走査型電子顕微鏡(SEM)で断面を観察)は0.1μmであった。
保護シート表面からコンクリート表面および気泡が目視で確認されない状態になるまで、ローラー等で脱泡した。
(6)7日間養生した。
(7)万能試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−5T)を用いて、「構造物施工管理要領 平成23年7月東日本・中日本・西日本高速道路(株)」に準拠して押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は3.6kNであった。
中性化抑止性の評価は、以下のように行った。
JIS R5210−1997「セメントの物理試験方法」の10.4「試供体の作り
方」に規定される方法で、水、セメント、標準砂の質量比が0.65:1:2であるモル
タルを、100×100×400mmの型枠を用いて成型した。そのモルタルを、23±
2℃、湿度80%以上の状態で24時間養生したのち脱型し、材令7日まで、23±2℃
の下、水中養生した。その後、上記のモルタルから、1片が100mmの立方体を切り出
した。この立方体のモルタルにおいて、成型時に型枠の側面に接しており、互いに対向す
る2面に、上述の変成シリコーン−エポキシ系接着剤メッシュおよび保護シートを用いて、上述と同様に、接着剤の塗布、メッシュの積層、接着剤の再塗布、および保護シートの貼り付けを行うとともに、他の4面には、エポキシ樹脂(コニシ製、商品名:クイックメンダー)を塗装し、試験体とした。なお、保護シートは、DLC膜が形成されていない樹脂基材側の面を接着面として接着した。その後、試験体を14日間養生した。
次に、試験体を、温度23±2℃、湿度60%、CO2濃度5%の中性化促進環境下で
70日間静置した後、保護シートを貼った2面を切断して試験体を2等分する断面において、試験体を割裂した。割裂後、直ちに、断面にフェノールフタレイン1%溶液を噴霧し、赤色に変化しない部分つまり中性化した部分の、保護シートを貼った表面からの最大深さ(中性化深さ)を測定した。
[実施例2]
メッシュとしてビニロン3軸ソフ(積水フィルム社製ビニロン3軸ソフ)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は61.4%、網の目のピッチは10mmであった。
[実施例3]
メッシュとしてポリプロピレン3軸ソフ(積水フィルム社製TS505PP)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は66.9%、網の目のピッチは5mmであった。
[実施例4]
メッシュとしてポリエチレン3軸ソフ(積水フィルム社製TS510)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は66.9%、網の目のピッチは10mmであった。
[実施例5]
メッシュとして3軸ガラスクロス(日本電気硝子社製)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
[実施例6]
保護シートとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)層と炭素膜とから構成され、樹脂層厚みは50μm、DLC膜の膜厚(走査型電子顕微鏡(SEM)で断面を観察)は0.1μmである保護シートを用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
[比較例1]
メッシュを用いなかったことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
[比較例2]
保護シートを用いなかったことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
実施例1から実施例6および比較例1,2の概要および結果を表1に示す。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
[実施形態の各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本発明においては、明細書の剥落防止構造100,100bが請求項の「セメント硬化体構造物の剥落防止構造」に相当し、コンクリート建造物200が「セメント硬化体構造物」に相当し、保護シート300,300aが「保護シート」に相当し、樹脂層310が「樹脂層」に相当し、炭素膜350が「炭素膜」に相当し、第1接着剤樹脂組成物の塗布層410’が「第1接着剤樹脂組成物の塗布層」に相当し、第1接着層410が「第1接着層」に相当し、第2接着剤樹脂組成物の塗布層420’が「第2接着剤樹脂組成物の塗布層」に相当し、第2接着層420が「第2接着層」に相当し、補強層450が「補強層」に相当し、網の目455が「網の目」に相当する。
100,100b…剥落防止構造
200…コンクリート建造物(セメント硬化体構造物)
300,300a…保護シート
310…樹脂層
350…炭素膜
410’…第1接着剤樹脂組成物の塗布層
410…第1接着層
420’…第2接着剤樹脂組成物の塗布層
420…第2接着層
450…補強層
455…網の目

Claims (10)

  1. セメント硬化体構造物の表面に第1の接着剤樹脂組成物を塗布する第1接着剤塗布工程と、
    前記第1の接着剤樹脂組成物の塗布層に網状シートを積層する補強層積層工程と、
    前記網状シートに第2の接着剤樹脂組成物を塗布する第2接着剤塗布工程と、
    前記第2の接着剤樹脂組成物の塗布層に保護シートを積層する保護層積層工程と、を含み、
    前記保護シートは、樹脂層と炭素膜とを含み、かつ、前記第1の接着剤樹脂組成物の塗布層と前記第2の接着剤樹脂組成物の塗布層とは、前記網状シートの網の目を介して一体的に硬化される、セメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  2. 前記網状シートが2軸以上の多軸メッシュである、請求項1に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  3. 前記網状シートが、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維およびガラス繊維の少なくともいずれかで構成される、請求項1または2に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  4. 前記第1の接着剤樹脂組成物および前記第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の伸び率が50%以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の剥落防止施工法。
  5. 前記第1の接着剤樹脂組成物および前記第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の10%伸長時の応力が、0.7N/mm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  6. 前記第1の接着剤樹脂組成物及び前記第2の接着剤樹脂組成物が、変性シリコーン樹脂およびエポキシ樹脂を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  7. 前記保護シートの前記樹脂層の厚みが、10μm以上500μm以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  8. 前記炭素膜がダイヤモンドライクカーボン膜である、請求項1から7のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  9. 前記セメント硬化体構造物がはね出しスラブを含み、前記表面が少なくとも前記はね出しスラブの表面である、請求項1から8のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
  10. セメント硬化体構造物と、前記セメント硬化体構造物の表面に設けられた第1接着層と、前記第1接着層に積層された網状シートで構成される補強層と、前記補強層に積層された第2接着層と、前記第2接着層に積層された保護シートと、を含み、
    前記保護シートは、樹脂層と炭素膜とを含み、かつ、前記第1接着層と前記第2接着層とが前記網状シートの網の目を介して一体的に硬化されている、セメント硬化体構造物の剥落防止構造。
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