JP2017193952A - 躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法 - Google Patents

躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017193952A
JP2017193952A JP2017068977A JP2017068977A JP2017193952A JP 2017193952 A JP2017193952 A JP 2017193952A JP 2017068977 A JP2017068977 A JP 2017068977A JP 2017068977 A JP2017068977 A JP 2017068977A JP 2017193952 A JP2017193952 A JP 2017193952A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
layer
resin composition
adhesive sheet
curable resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017068977A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6783175B2 (ja
Inventor
吉田 博次
Hirotsugu Yoshida
博次 吉田
智章 平子
Tomoaki Hirako
智章 平子
刈茅 孝一
Koichi Karikaya
孝一 刈茅
冨永 聡
Satoshi Tominaga
聡 冨永
昌行 木下
Masayuki Kinoshita
昌行 木下
尚久 千東
Naohisa Sendo
尚久 千東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Sekisui Film Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Sekisui Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd, Sekisui Film Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Publication of JP2017193952A publication Critical patent/JP2017193952A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6783175B2 publication Critical patent/JP6783175B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】躯体に対する剥落防止または腐食防止を躯体の供用を妨げることなく長期に亘って持続させるだけでなく、躯体に発生したひび割れ、特に漏水を伴うひび割れに対しても、躯体の供用を妨げることなく長期に亘って漏水を止めることができ、かつ施工性に優れた補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法を提供する。
【解決手段】本発明の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層と、当該一液湿気硬化型樹脂組成物層の少なくとも一方の面に積層された水溶性層と、を含む。本発明の躯体の補修方法は、接着工程と硬化工程とを含む。接着工程では、上記の補修用接着剤シートを、躯体に接着する。この時、躯体の補修すべき面および接着剤シートの水溶性層の少なくともいずれかが湿潤した状態で接着する。硬化工程では、一液湿気硬化型樹脂組成物を硬化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法に関する。
高架橋およびトンネルといったコンクリート建造物などの躯体に発生する一般的なひび割れを補修する方法として、種々の補修材を注入または浸透させる工法が一般的に行われている。一般的な補修材としては、エポキシ樹脂(特許文献1,2,3)、ケイ酸塩(特許文献4)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリマーセメントなどが知られている。
漏水を伴う特殊なひび割れに対する止水工法の一例としては、漏水空隙に向かって注入用の孔を穿設し、注入用の孔から注入器によって止水材を注入する工法が提案されている(特許文献5)。止水工法の他の例としては、漏水のあるひび割れ等に沿って切削した溝に水膨潤性ゴムを挿入し、この水膨潤性ゴムの膨張性を利用して一時的な止水を行った後、エポキシ樹脂を塗布することにより止水するトンネルの止水工法が提案されている(特許文献6)。
一方、水膨潤性を有する粘土鉱物を、金属の水酸化物又は酸化物を脂肪酸とともに鉱油、天然もしくは合成の芳香族炭化水素系油、及び天然もしくは合成の脂肪族炭化水素系油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油に添加して反応させゲル化基油としたものに含んでなる高水膨潤性で、粘土状の可塑性止水材の表面に水溶性物質を被覆したことを特徴とする複合止水材が提案されている(特許文献7)。
また、広い面積にわたって表面に少しづつ漏水がにじみ出る、いわゆるにじみ漏水部をあらかじめ処理する方法として、急結セメントを用いる工法がある。この工法では、粉末状の急結セメントをトンネル等の躯体のにじみ漏水部分に、すり込むようにして押え込んで行くと、急結セメントの粉体がにじみ漏水を吸水することにより、水と反応して瞬時に硬化する。この時、水と接して急結に要する硬化時間は、30秒〜60秒程度の短時間である。さらに、上層に急結セメントの粉体を塗り付けると、先に急結セメントが硬化された層を通してにじみ出て来る水と急結セメントとが反応し、硬化する。このような操作を何度となく繰り返すことにより止水層を形成し、さらにこの止水層の内側(上層)にポリマーセメントモルタルを塗付けて補強層を形成していた。このように、急結セメントモルタルよりなる止水層を形成するためには、何度となく繰り返し粉末状の急結セメントを塗付けなければならないので、止水には多くの時間と手間がかかって作業能率が低く、しかも止水層の厚みも必然的に厚いものになっていた。
上記の工法の不都合を解決する手段として、セメントと骨材としての砂とのセメント−砂比が1/1〜1/4(重量比)であり、硬化時間が5〜15分の急結性能を有する急結セメントに、ポリマーエマルジョンを10〜30重量%添加して混練したポリマーセメントモルタルを、予め躯体の止水個所に固着した網目構造を有する網布ネットに塗付けられて硬化させることを特徴とするという止水工法が提案されている(特許文献8)。
特許第3933527号 特許第3820469号 特許第3976394号 特許第4317736号 特許第5300162号 特開平01−121500号公報 特許第3497027号 特開2000−272950号公報
特許文献1から4に記載された一般的なひび割れ補修用の補修材は、漏水が伴う特殊なひび割れの補修には適さない。
また、特許文献5に記載された止水工法は注入用の孔を穿設する必要があるため、煩雑であるとともに孔を穿設する作業のために躯体の供用が妨げられる場合もある。特許文献6に記載された止水工法は、水膨潤性ゴムを挿入するために、ひび割れに沿ってダイヤモンドカッター等により、覆工コンクリートを幅10mm程度、深さ20mm程度にU字型に切削する必要があるため、煩雑であるとともに切削作業のために躯体の供用が妨げられる場合もある。かつ、特許文献6に記載された止水工法で用いられる湿潤面用エポキシ樹脂は、パテ状の主剤と硬化剤との2種類を混合する必要があり、この点でも煩雑である。
さらに、特許文献7に記載された複合止水材は、止水材と銘打っているものの、漏水を予防するシール材という側面が強い。このため、漏水を伴うひび割れに適用して補修しようとすると、止水効果は短期間しか発揮できず、長期的には複合止水材の変形が起き、漏水が再発する問題がある。
特許文献8に記載された止水工法は、網目構造を有する網布ネットを予め躯体の止水個所に固着させる必要があるため、煩雑である。
そこで本発明の目的は、上記の問題に鑑み、躯体に対する剥落防止または腐食防止を躯体の供用を妨げることなく長期に亘って持続させるだけでなく、躯体に発生したひび割れ、特に漏水を伴うひび割れに対しても、躯体の供用を妨げることなく長期に亘って漏水を止めることができ、かつ施工性に優れた補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法を提供することにある。
(1)
本発明の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層と、当該一液湿気硬化型樹脂組成物層の少なくとも一方の面に積層された水溶性層と、を含む。
このように、躯体の補修すべき面と接着させる接着剤として一液湿気硬化型樹脂組成物を用いることで、硬化後、躯体との接着性が長期に亘って安定的に保たれる。したがって、補修対象である躯体に対する剥落防止または腐食防止を躯体の供用を妨げることなく長期に亘って持続させるだけでなく、補修対象である躯体が漏水を伴うひび割れを有する場合にも止水効果を長期に亘って保つことができる。また、このような一液湿気硬化型樹脂組成物をシート状とすることによって、躯体表面に貼り付けるだけで被覆ができるという容易さに加えて補修すべき面が広範囲に亘る場合であっても速やかに被覆ができるため、施工性に優れる。さらに、一液湿気硬化型樹脂組成物の層に水溶性層を積層しておくことで、施工直前まで接着剤シートの施工面のベタつきがなく取扱性に優れる上に、施工時に水溶性層が湿潤状態にさせられることで溶けて一液湿気硬化型樹脂組成物の層を容易に露出させることができるため、施工性にさらに優れる。
なお、本発明においては、ひび割れが生じていない躯体の組織剥落防止のための処理および腐食防止のための処理、ならびに、ひび割れが生じている躯体のひび割れに対する処理をいずれも「補修」と記載する。
(2)
上記(1)の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層が強化繊維を含んでよい。
この場合、一液湿気硬化型樹脂層が硬化されるとその内部に含ませられた強化繊維で強化されるため、躯体との固着状態が長期に亘ってより安定的に保たれる。これによって、剥落防止または腐食防止だけでなく、躯体にすでにひび割れが生じている場合にひび割れの拡大および当該ひび割れ拡大による躯体の剥落を良好に防止することができる。
(3)
上記(1)または(2)の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層が変性シリコーン樹脂を含んでよい。
この場合、変成シリコーン樹脂硬化物が、躯体が漏水によって湿潤状態となっているコンクリートである場合に特に高い接着力で接着させられる点で好ましい。
(4)
上記(1)から(3)のいずれかの躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物のチクソインデックス値が、3.0以上10.0以下であってよい。
これにより、躯体の補修用接着剤シートを垂直な躯体表面に貼付けた場合であっても、躯体の補修用接着剤シートがずり落ちにくいため、施工性に優れる。また、躯体の補修用接着剤シートの製造過程において、一液湿気硬化型樹脂組成物層に水溶性層を積層するときの作業性が良好となる。
(5)
上記(1)から(4)のいずれかの躯体の補修用接着剤シートは、水溶性層が一液湿気硬化型樹脂組成物層の一方の面に積層され、他方の面に非水溶性層が積層されていてよい。
これによって、施工直前まで接着剤シートの施工面の反対側の面もべたつかないため取扱性により優れ、かつ、施工時の湿潤状態にも耐えるため施工性にもより優れる。
(6)
上記(5)の躯体の補修用接着剤シートは、非水溶性層が繊維を含んでよい。
強化繊維が一液湿気硬化型樹脂層に接して積層されている場合、一液湿気硬化型樹脂層が硬化されるとその表層に積層された強化繊維で強化されるため、躯体との固着状態が長期に亘ってより安定的に保たれる。これによって、ひび割れの拡大、およびひび割れ拡大による躯体の剥落を良好に防止することができる。
(7)
上記(5)または(6)に記載の躯体の補修用接着剤シートは、非水溶性層にさらに剥離シート層が設けられてもよい。
これにより、移送に伴う振動または温度変化によって一液湿気硬化型樹脂組成物が非水溶性層の表面に滲みでてきた場合であっても、一液湿気硬化型樹脂組成物が包装体に付着するのを防ぐことができる。
(8)
上記(5)から(7)のいずれかに記載の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層が積層されていない部分が、非水溶性層の表面に額縁状に設けられていてもよい。
接着工程において、躯体との躯体の補修用接着剤シートの間に気泡が入ることがあるため、脱泡のために中央部から端に向かって一液湿気硬化型樹脂組成物を押出すように施工することができる。また、一液湿気硬化型樹脂組成物が非水溶性層の端部まで出ることによって、接着工程が完了したことが容易に確認できる。したがって、躯体と躯体の補修用接着剤シートとの接着性を向上させることができるとともに、施工性に優れる。
(9)
本発明の躯体の補修方法は、接着工程と硬化工程とを含む。接着工程では、上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の接着剤シートを、躯体に接着する。この時、躯体の補修すべき面および接着剤シートの水溶性層の少なくともいずれかが湿潤した状態で接着する。硬化工程では、一液湿気硬化型樹脂組成物を硬化させる。
このように、躯体の補修すべき面と接着させる接着剤として一液湿気硬化型樹脂組成物を用いることで、硬化後、躯体との接着性が長期に亘って安定的に保たれる。したがって、補修対象である躯体に対する剥落防止または腐食防止を躯体の供用を妨げることなく長期に亘って持続させるだけでなく、補修対象である躯体が漏水を伴うひび割れを有する場合にも止水効果を長期に亘って保つことができる。また、このような一液湿気硬化型樹脂組成物をシート状とすることによって、躯体表面に貼り付けるだけで被覆ができるという容易さに加えて補修すべき面が広範囲に亘る場合であっても速やかに被覆ができるため、施工性に優れる。さらに、一液湿気硬化型樹脂組成物の層に水溶性層を積層しておくことで、施工直前まで接着剤シートの施工面のベタつきがなく取扱性に優れる上に、施工時に水溶性層が湿潤状態にさせられることで溶けて一液湿気硬化型樹脂組成物の層を容易に露出させることができるため、施工性にさらに優れる。
(10)
上記(9)の躯体の補修方法は、一液湿気硬化型樹脂の硬化物の引張強さが0.7N/mm2以上であってよい。
この場合、躯体の表面との接着強度により一層優れ、止水性により一層優れる点で好ましい。
(11)
上記(9)または(10)の躯体の補修方法は、一液湿気硬化型樹脂の硬化物の破断時伸びが10%以上であってよい。
この場合、躯体の表面との接着強度により一層優れ、止水性により一層優れる点で好ましい。
本発明によれば、躯体に対する剥落防止または腐食防止を躯体の供用を妨げることなく長期に亘って持続させるだけでなく、躯体に発生したひび割れ、特に漏水を伴うひび割れに対しても、躯体の供用を妨げることなく、長期に亘って漏水を止めることができ、かつ施工性に優れた補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法が提供される。
第1実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。 図1の円囲み部分の第1変形例である。 図1の円囲み部分の第2変形例である。 図1の円囲み部分の第3変形例である。 第2実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。 第3実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。 図1の接着剤シートを用いた第4実施形態の躯体の補修方法を説明する模式的断面図である。 図1の接着剤シートを用いた第4実施形態の躯体の補修方法(図7の続き)を説明する模式的断面図である。 図8の四角囲み部分の拡大図である。 図5の接着剤シートを用いた第5実施形態の躯体の補修方法によって得られる補修躯体の拡大断面を模式的に示す。 実施例1から実施例4で用いた、躯体を模したコンクリートの試験体を示す。 実施例1から実施例4で得られた補修試験体の試験方法を説明する模式的外観斜視図である。 実施例1から実施例4の補修試験体における補修材の平面接着力を測定するための予備試験体を示す。 実施例5から実施例7で得られた補修試験体を示す。 図1の接着剤シートに剥離シート層を設けた場合の模式的断面図である。 一液湿気硬化型樹脂組成物層が積層されていない部分が、非水溶性層の表面に額縁状に設けられた場合の接着剤シートを模式的に示した一部透過図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の要素には同一の符号を付しており、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は基本的に繰り返さない。
[1.第1実施形態−接着剤シート]
[1−1.基本構成]
図1に、第1実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。図1に示す接着剤シート100は、一液湿気硬化型樹脂組成物層120と、水溶性層150と、非水溶性層160とを含む。水溶性層150および非水溶性層160は、一液湿気硬化型樹脂組成物層120に直接積層されている。水溶性層150および非水溶性層160のうち、水溶性層150の側が、躯体の補修すべき面に貼り付けられる側となる。図2、図3および図4は、それぞれ、図1の円囲み部分の第1変形例、第2変形例および第3変形例を示す。
[1−2.一液湿気硬化型樹脂組成物層]
一液湿気硬化型樹脂組成物層120は、一液湿気硬化型樹脂組成物で構成される。一液湿気型硬化樹脂組成物は、一液湿気型硬化樹脂の未硬化物である。一液型であることにより、二液型のような混合作業が不要となるだけでなくシート化しておくことが可能であるため、樹脂組成物を現場で塗布する必要がなく、施工性が極めて良好である。さらに、混合作業が必要な二液型と異なり、硬化に供する樹脂組成物の均一性が良好である点で硬化不良が起こりにくく、したがって容易に良好な接着性を得ることができる。また、湿気硬化型であることにより、湿潤環境を有効利用して硬化させることができる。
一液湿気硬化型樹脂の例としては、変成シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリサルファイド樹脂が挙げられる。この中でも、変成シリコーン樹脂は、湿潤状態のコンクリートに対しても高い接着力を有するため好ましい。
変成シリコーン樹脂を用いた一液湿気型硬化樹脂組成物は、変成シリコーン樹脂と、その硬化剤とを含む。変成シリコーン樹脂を用いた一液湿気型硬化樹脂組成物は、具体的には変成シリコーン樹脂とシラノール縮合触媒とを含む混合物が挙げられる。この樹脂組成物は、さらに、エポキシ樹脂を含んでもよい。
変成シリコーン樹脂としては特に限定されないが、好ましくは加水分解性ケイ素基を有する。加水分解性ケイ素基を有する変成シリコーン樹脂は、ポリエーテル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーおよびアクリル系ポリマーからなる群から選ばれるポリマーを主鎖(加水分解性ケイ素基を除く部分)とする。したがって、主鎖は、アルキレンオキサイド成分、オレフィン成分およびアクリル成分からなる群から選ばれるモノマーの重合体であってよく、この重合体は、単独重合体および共重合体を問わない。共重合体である場合、共重合成分としては、アルキレンオキサイド成分、オレフィン成分、アクリル成分、および他のビニル成分からなる群から選ばれてよい。
アルキレンオキサイド成分としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。主鎖は、硬化後の伸びおよび粘性的な取り扱い易さの観点から、主としてプロピレンオキサイド単位から構成されるポリプロピレンオキサイドが好ましい。
オレフィン成分としては、イソブチレンが挙げられる。
アクリル成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。なお、アクリル系ポリマーが、他のビニルモノマー成分が共重合されたものである場合、加水分解性ケイ素基を有するビニルモノマー成分を共重合することにより加水分解性ケイ素基を導入することができる。
主鎖がアクリル単位を含んでいることは、耐候性が良好となる点で好ましい。さらに、耐候性の観点からは、主鎖中のアクリル単位の含有量は、5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、ハロゲン化シリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基、アルコキシシリル基などが挙げられる。ここで、加水分解性ケイ素基におけるケイ素原子に結合した加水分解性基の数は1以上3以下が好ましい。また、1つのケイ素原子に結合した加水分解性基は1種であってもよく、複数種であってもよい。更に、加水分解性基と非加水分解性基とが1つのケイ素原子に結合していてもよい。加水分解性ケイ素基としては、安定性に優れ、取り扱いが容易である点で、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基などのアルコキシシリル基が好ましい。
変成シリコーン樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
加水分解性ケイ素基を有する変成シリコーン樹脂の数平均分子量は、たとえば、500以上500,000以下、500以上100,000以下、5,000以上30,000以下、1,000以上500,000以下、または1,000以上30,000以下である。上記下限値以上であることは、樹脂組成物の硬化時間が短い点、または硬化後の接着強度が良好である点で好ましい。上記上限値以下であることは、樹脂組成物の粘度が適当であり取扱性が良好である点で好ましい。
シラノール縮合触媒は、変成シリコーン樹脂組成物を短時間で硬化させるために用いられる。シラノール縮合触媒としては、ポリ(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物、モノアルキル錫エステルおよびジアルキル錫エステルなどの錫触媒、有機チタネートなどが挙げられる。
モノアルキル錫エステルとしては、例えば、ブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)などが挙げられ、ジアルキル錫エステルとしては、例えば、ジブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジオレート、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫アセトアセテート、オクタン酸第一錫などが挙げられる。
有機チタネートとしては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシルチタネート)トリエタノールアミンチタネートなどのチタンアルコキシド類、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、オクチレングリコレートなどのチタンキレート類などが挙げられる。
シラノール縮合触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
樹脂組成物中のシラノール縮合触媒の含有量は、変成シリコーン樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下、好ましくは1重量部以上5重量部以下である。上記下限値以上であることは、硬化時間の短縮の点で好ましい。上記上限値以下であることは接着強度などの物性を担保する点で好ましい。
エポキシ樹脂としては特に限定されず、エポキシ基を有する樹脂であればよい。具体的には、不飽和の脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、および複素環式化合物からなる群から選ばれる化合物にグリシジル基が結合したものが挙げられる。中性化抑制効果の観点からは、芳香族化合物を含むものであることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型およびこれらの水添化物などのビスフェノール型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂などのエステル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型およびクレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂およびこれらの水添化物;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂などのトリスフェノール型の多官能エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート型、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型、テトラグリシジルメタキシレンジアミン型、ヒダントイン型などの含窒素環型多官能エポキシ樹脂;ナフタレン型などの縮環型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;エーテルエステル型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの脂環式構造を有するエポキシ樹脂;ウレタン型エポキシ樹脂;ポリブタジエンおよびアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのゴム骨格を有するゴム変成エポキシ樹脂などを用いることができる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、変成シリコーン樹脂100重量部に対し、たとえば1重量部以上100重量部以下、好ましくは2重量部以上80重量部以下であってよい。当該含有量が上記下限値以上であることは、接着層の良好な靭性、およびコンクリートとの特に湿潤状態における良好な接着強度を得ることができる点で好ましく、上記上限値以下であることは、接着層の良好な弾性を得ることができる点で好ましい。したがって、当該含有量を上記範囲とすることにより、躯体に発生した漏水を伴うひび割れに対して、長期に亘って漏水を止めることができる。
シリコーン樹脂は、オルガノハロゲンシランもしくはオルガノアルコキシシランを加水分解し縮重合し、分子末端がシラノール又はアルコキシシリルで封鎖されたものであればよく、特に限定を受けない。例えば、ジメチルシリコーン、ジメチルシリコーンのジフェニル誘導体、ジメチルシリコーンのメチルフェニル誘導体、ジメチルシリコーンのメチルトリフルオロプロピル誘導体、ジメチルシリコーンのテトラクロロフェニル誘導体などから導かれる主鎖を有するシリコーン樹脂が挙げられる。
例えば、ジメチルシリコーン、ジメチルシリコーンのジフェニル誘導体、ジメチルシリコーンのメチルフェニル誘導体、ジメチルシリコーンのメチルトリフルオロプロピル誘導体、ジメチルシリコーンのテトラクロロフェニル誘導体などから導かれる主鎖を有するシリコーン樹脂が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、一液型シーラント材として公知のポリウレタンを広く用いることができ、特に限定を受けないが、ウレタンプレポリマーとして公知の液状のものが挙げられ、イソシアネートを0.5%以上5%以下程度含有するウレタンプレポリマーが挙げられる。このようなポリウレタンは、通常、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物から製造される。
ポリオールとしては、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられるものを使用することができ、具体的には、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどのポリオレフィン系ポリオール、アジペート系ポリオール、ラクトン系ポリオール、ヒマシ油などのポリエステル系ポリオールなどが挙げられる。これらの化合物を2種以上併用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられるものを使用することができ、具体的には、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4、4’ージフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタデシルジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環式イソシアネート;キシレンジイソシアネートなどのアリール脂肪族イソシアネート;上記各イソシアネートの変性イソシアネート、または多価アルコール類と上述のジイソシアネート化合物との反応生成物であるトリイソシアネートなどが挙げられる。これらの化合物を2種以上併用してもよい。ポリウレタンは、上述のポリオールとポリイソシアネート化合物とから、通常のポリウレタン製造方法に準じて製造することができる。
ポリサルファイド樹脂としては、特に限定を受けないが、たとえばHS−(R−Smn−SHで表される重合体を用いることができる。式中、mの平均値は1.5以上2以下であってよく、nは2以上45以下であってよい。Rとしては2価の脂肪族基などが挙げられ、脂肪族基の炭素原子間には酸素原子が介在していてもよい。Rの具体例としては、−C24−、−C36−、−C48−、−C24OC24−、−C36OC36−、−C48OC48−、−C24OCH2OC24−、−C36OCH2OC36−、−C48OCH2OC48−などの2価の基が挙げられる。また芳香族ポリサルファイド、さらには末端にメルカプト基を有し、主鎖に主としてポリエーテルウレタン結合を有する変性ポリサルファイドを挙げることもできる。このようなポリサルファイドとして、具体的には、チオコールLPシリーズ(東レチオコール社製)として上市されているポリサルファイドが挙げられる。
一液湿気硬化型樹脂の樹脂組成物中には、必要に応じて、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤としては、水酸化アルミニウムなどの難燃剤、脱水剤、エポキシシランカップリング剤、酸化防止剤、充填材、可塑剤、タレ防止剤、紫外線吸収剤、顔料、溶剤、及び香料などが挙げられる。
一液湿気硬化型樹脂組成物は、粘度が、たとえば1万mPa・s以上100万mPa・s以下、好ましくは2万mPa・s以上50万mPa・s以下であってよい。粘度が上記下限値以上であることは、接着剤シート100の製造において一液湿気硬化型樹脂組成物の層と水溶性物質の層とを積層する時に、樹脂組成物の垂れにくさの点で好ましく、上記上限値以下であることは、一液湿気硬化型樹脂組成物層120が躯体の表面へ良好に密着する点で好ましい。なお、粘度は、JIS Z 8803に準拠して単一円筒形回転粘度計としてB型粘度計を用い、No.7ローター、23℃で測定した値である。
一液湿気硬化型樹脂組成物のチクソインデックス値は、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、さらに好ましくは5.0以上とするとよい。これにより、接着剤シート100を垂直な躯体表面に貼付けた場合であっても、接着剤シート100がずり落ちにくいため、施工性に優れる。また、チクソインデックス値は、10.0以下であることが好ましく、8.0以下であることがより好ましく、7.0以下であることがさらに好ましい。これにより、接着剤シート100の製造過程において、一液湿気硬化型樹脂組成物層に水溶性物質層を積層するときの作業性が良好となる。
本発明においてチクソインデックス値は、23℃の条件下で、B型粘度計のNo.7ローターを用いて、回転速度1rpmおよび10rpmで計測される粘度(Pa・s)の比〔(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)〕から求めた値である。
一液湿気硬化型樹脂組成物層120の厚さは、たとえば1mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上7mm以下であってよい。当該厚さが上記下限値以上であることは良好な止水効果および接着強度を得る点で好ましく、上記上限値以下であることは一液湿気硬化型樹脂量の節約の点で好ましい。
[1−3.水溶性層]
水溶性層150は、任意の水溶性物質で構成される。たとえば、水溶性物質としては、天然、合成、および半合成の水溶性高分子が挙げられる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、グアガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、キサンタンガム、カンテン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ジエチルアミノアセテート、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸ソーダ/メタクリル酸ソーダ共重合体、アクリル酸ソーダ/マレイン酸ソーダ共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸ソーダ共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド系高分子等およびそれらの誘導体であり、好ましくはポリビニルアルコールおよびその誘導体、メチルセルロース、ポリビニルアセタールが挙げられる。
水溶性層150の厚さは、たとえば、5μm以上100μm以下、好ましくは20μm以上50μm以下であってよい。当該厚さが上記下限値以上であることは、表面がよりベタつきにくく取扱性がより良好である点で好ましく、上記上限値以下であることは、水溶性層150が湿潤状態に付された場合に溶けて一液湿気硬化型樹脂組成物層120をより容易に露出させることができる点で好ましい。同様の観点で、本発明では、水溶性物質としてポリビニルアルコールを用い、たとえば10μm以上80μm以下、好ましくは20μm以上45μm以下の厚さで設けることが特に好ましい。
水溶性層150はエンボス加工されていてもよい。エンボス加工を施すことにより水溶性層150の表面積が拡大する。このため水分との接触面積が大きくなり水溶性物質が細かく溶解するため、一液湿気硬化型樹脂組成物層と躯体の接着力が良好である点で好ましい。
[1−4.非水溶性層]
非水溶性層160は、任意の非水溶性物質を含んで構成される。
非水溶性層160に含まれる非水溶性物質としては、たとえば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなどの非水溶性樹脂;およびガラス、バサルトなどの無機物が挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエステルは、接着剤シート100にコシを与えて取扱性を向上させ、ガスバリア性も向上させる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレンおよびポリプロピレンが挙げられる。ポリオレフィンは、接着剤シート100にコシを与えて取扱性を向上させる。ポリアミドとしては、ナイロンが挙げられる。ポリアミドは、施工後の接着剤シート100(具体的には、補修材200。後述図8参照)に耐衝撃性および耐寒冷性を与える。無機物は、不燃性である点で好ましい。
また、非水溶性層160に含まれる非水溶性物質は、繊維の態様であってもよい。繊維は、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの繊維で構成されてよい。特に、強度、柔軟性などの観点からビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維が好ましい。また、強度、隣接する一液湿気硬化型樹脂組成物層120との接着性、および不燃性などの観点からガラス繊維が好ましい。
繊維の具体的態様としては、メッシュ、織布、網、編布および不織布が挙げられ、これらの中から1種を単独で、または2種以上の組み合わせで用いることができる。なお、メッシュとは、複数本の連続繊維束が交差積層し、その交差部分において繊維束同士が好ましくは接着された構造を持つ基材である。具体的には、2軸メッシュ(格子状メッシュ)、3軸メッシュ、4軸メッシュ、5軸メッシュ、およびそれ以上の多次元メッシュが挙げられる。好ましくは、経方向、斜方向、逆斜方向の3方向(具体的には繊維束の交差角が60度となるよう)に積層した3軸メッシュが用いられる。
本実施形態では、非水溶性層160は、図1に示すように単層であってもよいし、図2、図3および図4に示す非水溶性層160,160,160のように複層であってもよい。
図1に示す単層の非水溶性層160は、上述の樹脂または無機物のみで構成されてよい。層の態様は、ソリッド層であってもよいし、繊維層であってもよい。あるいは、単層の非水溶性層160は、上述の繊維とそれに含浸された樹脂で構成されてもよい。単層の非水溶性層160に繊維が含まれる場合は、当該繊維は隣接する一液湿気硬化型樹脂組成物層120に積層されている態様であるため、一液湿気硬化型樹脂組成物層120が硬化されると繊維により当該層120が強化され、躯体との固着状態が長期に亘ってより安定的に保たれる。
また、非水溶性層160は、適宜、接着剤層を介して積層されていてよい。あるいは、非水溶性層160が繊維層である場合、繊維層の凹凸がアンカー効果により一液湿気硬化型樹脂組成物層120の表面に食い込んでいてもよい。
単層の非水溶性層160の厚みは、たとえば20μm以上1000μm以下、好ましくは50μm以上500μm以下であってよい。当該厚みが上記下限値以上であることは、樹脂の所望の機能を発揮させる点で好ましく、上記上限値以下であることは、接着剤シート100の薄膜化および取扱性などの点で好ましい。
図2に示す複層の非水溶性層160は、異なる材料で構成される複数の層が積層されている。図2に示す非水溶性層160は第1非水溶性層161および第2非水溶性層162からなる2層構成であるが、3層以上で構成されてもよい。複数の層で構成されることにより、非水溶性層160にそれぞれの層が有する機能を兼備させることができる。
たとえば、非水溶性層160において、第1非水溶性層161および第2非水溶性層162は、それぞれ異なる樹脂で構成されてよい。
非水溶性層160において、第1非水溶性層161および第2非水溶性層162のそれぞれが、態様の異なる繊維で構成されてもよい。一例として、メッシュと不織布との複層構造が挙げられる。この場合、互いの繊維層が、ニードルパンチ加工などで一体化させられていてよい。
非水溶性層160において、第1非水溶性層161および第2非水溶性層162の一方が繊維層、他方が樹脂層であってもよい。この場合、繊維層の凹凸がアンカー効果により樹脂層表面に食い込んでいてもよい。また、繊維層が一液湿気硬化型樹脂組成物層120に隣接する第1非水溶性層161の方を構成する場合、凹凸が一液湿気硬化型樹脂組成物層120の表面に食い込んでいてもよい。さらに、繊維層が接着剤シートの最表面側の第2非水溶性層162を構成する場合、繊維層が無機繊維で構成されることで、施工後、補修材200の表面が不燃性を有し火災のリスクを低下させることができる。
さらに、上述の非水溶性層160の例において、非水溶性層160に繊維が含まれる場合、繊維層には樹脂が含浸されていてもよい。
また、非水溶性層160に繊維が含まれかつ当該繊維が一液湿気硬化型樹脂組成物層120に接している場合、繊維が一液湿気硬化型樹脂組成物層120に積層されている態様であるため、一液湿気硬化型樹脂組成物層120が硬化されると繊維により当該層120が強化され、躯体との固着状態が長期に亘ってより安定的に保たれる。
図3に示す複層の非水溶性層160は、第1非水溶性層161および第2非水溶性層162が別の樹脂層163を介して一体化されていることを除いて、図2に示す非水溶性層160と同様である。別の樹脂層163は、接着剤層であってもよいし、ポリエチレンなどによって構成される熱可塑性樹脂層であってもよい。一例として、第1非水溶性層161を構成するメッシュと、第2非水溶性層162を構成する樹脂シートとを用意し、別の樹脂層163を構成するポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融混練し、メッシュと樹脂シートの間に、押出機からポリエチレン等の樹脂をシート状に押出して連続的に押出ラミネートすることによって積層一体化することで、複層の非水溶性層160が調製されてよい。
図4に示す複数の非水溶性層160は、2つの第1非水溶性層161で第2非水溶性層162を挟むように積層されていることを除いて、図2に示す非水溶性層160と同様である。なお、図4に示す複数の非水溶性層160では、それぞれの層が直接的に積層されているが、それぞれの層は接着剤層を介して接着されていてもよい。
複層の非水溶性層160,160,160の厚みは、たとえば20μm以上1000μm以下、好ましくは50μm以上500μm以下であってよい。当該厚みが上記下限値以上であることは、接着剤シート100の強化の点で好ましく、上記上限値以下であることは、接着剤シート100の薄膜化および取扱性などの点で好ましい。
さらに、非水溶性層160,160,160,160は、一液湿気硬化型樹脂組成物層120の硬化後に剥離可能となるように、離型処理されていてもよい。
[1−5.製造]
接着剤シート100の製造方法としては特に限定されないが、膜状に押し出された一液湿気硬化型樹脂組成物の一方の面に水溶性層150、他方の面に非水溶性層160を設けることで得ることができる。なお、以下において、非水溶性層160は非水溶性層160,160,160に置き換えてもよい。
水溶性層150は、予め成膜した一液湿気硬化型樹脂組成物層120の表面に水溶性物質のシートを貼り合わせる方法によって設けてもよいし、水溶性物質のシートの上で一液湿気硬化型樹脂組成物を押し出して成膜する方法によって設けてもよいし、成膜した一液湿気硬化型樹脂組成物層120の表面に水溶性物質の溶液を塗布し乾燥させる方法によって設けてもよい。
非水溶性層160は、予め成膜した一液湿気硬化型樹脂組成物層120の表面に非水溶性物質のシートを貼り合わせる方法によって設けてもよいし、非水溶性物質のシートの上で一液湿気硬化型樹脂組成物を押し出して成膜する方法によって設けてもよい。
また、非水溶性層160が積層されている接着剤シート100では、一液湿気硬化型樹脂組成物層120が積層されていない部分を、非水溶性層160の表面に額縁状に設けてもよい。図16に、一液湿気硬化型樹脂組成物層が積層されていない部分が、非水溶性層の表面に額縁状に設けられた場合の接着剤シートを模式的に示す。
接着工程において、躯体との接着剤シート100の間に気泡が入ることがあるため、脱泡のために中央部から端に向かって一液湿気硬化型樹脂組成物を押出すように施工することができる。また、一液湿気硬化型樹脂組成物が非水溶性層の端部まで出ることによって、接着工程が完了したことが容易に確認できる。
額縁上に設けられた、一液湿気硬化型樹脂組成物層120が積層されていない部分の幅(t)は、10mm以上100mm以下とすることが好ましく、20mm以上70mm以下とすることがさらに好ましい。また、一液湿気硬化型樹脂組成物層120の面積(S)と非水溶性層160の面積(S’)の比〔S/S’〕は、0.5以上0.95以下とすることが好ましく、0.6以上0.9以下とすることがさらに好ましい。
これにより、接着工程において一液湿気硬化型樹脂組成物を押出すように施工し、一液湿気硬化型樹脂組成物が非水溶性層160の端部まで出ることによって接着工程が確実に完了したことが容易に確認できる。したがって、躯体900と接着剤シート100とを確実に接着させることができるとともに、施工性に優れる。
また、接着工程において躯体との接着剤シート100の間の気泡を排除することができるため、躯体900と接着剤シート100との接着性を向上させることができる。
一方、幅(t)は、10mm未満であると、気泡の排除を十分にすることができない恐れがあり、幅(t)は、100mm超過の場合には、一液湿気硬化型樹脂組成物を押出す作業が多くなるため施工性が劣る可能性がある。また、面積の比〔S/S’〕は、0.5未満であると、一液湿気硬化型樹脂組成物を押出す作業が多くなるため施工性が劣る可能性があり、面積の比〔S/S’〕は、0.95超過の場合には、気泡の排除を十分にすることができない恐れがある。
[1−6.保存]
接着剤シート100は、使用直前まで、湿気の遮断性を有する包装体内に密封収容される。包装体は、少なくとも湿気の遮断性を有していればよく、ハンドリングおよび廃棄性の観点から、たとえばヒートシールまたは粘着剤によって密封された包装袋であることが好ましく、さらに、金属(特にアルミニウムなど)箔または金属(特にアルミニウムなど)蒸着層を有することがより好ましい。
さらに、包装体に吸湿層を設けてもよいし、包装袋内に乾燥剤を別途封入してもよい。これにより、包装体の内部に含まれる水分が吸湿されるため、接着剤シート100を長期間保存することができる。
包装体に吸湿層を設ける場合は、吸湿能のある組成物が包装体内部に積層されていればよく、例えば、乾燥剤を練り込んだ樹脂組成物を包装体内部に積層することができる。包装体内部に積層する樹脂組成物としては、包装体に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト、硫酸ガリウム、硫酸チタン、硫酸ニッケル、シリカゲル、塩化カルシウム、アルミナ、活性炭などが挙げられ、特に吸湿性能の点でゼオライト、酸化カルシウム、硫酸マグネシウムが好ましい。
乾燥剤としては、例えばゼオライト、硫酸マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、塩化カルシウムのような無機系乾燥剤、ポリアクリル酸誘導体、セルロース誘導体のような吸水性ポリマーなどが挙げられる。乾燥剤は、樹脂組成物に練り込むほか、包装体内部に別途封入して使用してもよい。
また、接着剤シート100の非水溶性層160に、剥離シート層170を設けてもよい。図15に接着剤シート100に剥離シート層170を設けた場合の模式的断面図を示す。これにより、移送に伴う振動または温度変化によって一液湿気硬化型樹脂組成物が非水溶性層160の表面に滲みでてきた場合であっても、一液湿気硬化型樹脂組成物が包装体に付着するのを防ぐことができる。剥離シートとしては、ポリエチレンテレフタラート樹脂シート(PETシート)、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、塩ビシート、ナイロンシートなどが挙げられ、扱いやすさの点でポリエチレンテレフタラート樹脂シート(PETシート)が好ましい。
[2.第2実施形態−接着剤シート]
図5に、第2実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。図5に示す接着剤シート100aは、一液湿気硬化型樹脂組成物層120aと、水溶性層150と、非水溶性層160(または非水溶性層160,160,160)とを含む。接着剤シート100aは、一液湿気硬化型樹脂組成物層120aを除いて第1実施形態の接着剤シート100と同様である。
一液湿気硬化型樹脂組成物層120aは、一液湿気硬化型樹脂組成物と強化繊維とを含む。強化繊維には、一液湿気硬化型樹脂組成物が含浸されている。本実施形態では、一液湿気硬化型樹脂組成物が含浸された樹脂含浸繊維層130aの両面に、繊維を含まない一液湿気硬化型樹脂組成物で構成される樹脂層121a,122aが積層されている。本実施形態では、樹脂含浸繊維層130aの両面に樹脂層121a,122aが積層されているが、少なくとも、水溶性層150の側に樹脂層121aが積層されていればよい。このように、躯体900の表面920に接触させる側に繊維を含まない樹脂層121aを積層することで、接着剤シート100aの当該表面920への密着性が良好となる。
樹脂含浸繊維層130aに含まれる強化繊維は、その厚さ方向に連通する連通孔を有していればよい。強化繊維全体の面積に対する連通孔の開口面積の割合はたとえば30%以上80%以下であってよい。当該開口面積の割合が上記下限値以上であることは、樹脂含浸繊維層130aとそれに隣接する樹脂層121a,122aとの接着性との一体性に優れる点で好ましく、上記上限値以下であることは、強化繊維による一液湿気硬化型樹脂組成物層120aの補強強化に優れる点で好ましい。
強化繊維は、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの繊維で構成されてよい。特に、強度、柔軟性、一液湿気硬化型樹脂組成物との接着性、躯体の表面との密着性などの観点からビニロン繊維が好ましい。また、強度、一液湿気硬化型樹脂との接着性、および不燃性などの観点からガラス繊維が好ましい。
強化繊維の具体的態様としては、メッシュ、織布、網、編布および不織布が挙げられ、これらの中から1種を単独で、または2種以上の組み合わせで用いることができる。なお、メッシュとは、複数本の連続繊維束が交差積層し、その交差部分において繊維束同士が好ましくは接着された構造を持つ基材である。具体的には、2軸メッシュ(格子状メッシュ)、3軸メッシュ、4軸メッシュ、5軸メッシュ、およびそれ以上の多次元メッシュが挙げられる。好ましくは、経方向、斜方向、逆斜方向の3方向(具体的には繊維束の交差角が60度となるよう)に積層した3軸メッシュが用いられる。
[3.第3実施形態−接着剤シート]
図6に、第3実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。図6に示す接着剤シート100bは、一液湿気硬化型樹脂組成物層120と、水溶性層150とを含む。水溶性層150は、一液湿気硬化型樹脂組成物層120の一方の面だけでなく他方の面にも積層されていることを除いて第1実施形態の接着剤シート100と同様である。
本実施形態の接着剤シート100bには表裏がない点で取扱及び施工が容易である。
[4.第4実施形態−施工(躯体の補修方法)]
本発明の接着剤シートを躯体に施工して躯体を補修することで、躯体の補修体が得られる。図7から図9に、第4実施形態の躯体の補修方法を説明する模式的断面図を示す。
躯体の補修方法は、接着剤シートを躯体に接着する接着工程(図7参照)と、接着剤シートの一液湿気硬化型樹脂組成物を硬化する硬化工程(図8およびその一部拡大図である図9参照)とを含む。なお、接着工程に先立って、適宜、前処理がなされる。本実施形態では第1実施形態の接着剤シート100を用いて施工する例を挙げるが、他の実施形態の接着剤シートにも同様に適用される。
[4−1.躯体]
本発明で補修対象となる図7における躯体900としては、鉄道、道路等のトンネル、橋梁、建物等のコンクリート構造物であってよい。本発明は、躯体900が供用中のものである場合に特に有用である。
本実施形態では、補修対象の躯体900にはひび割れ910が生じている。本発明は、水がひび割れ910の空隙を通って表面920で漏水が生じている場合に特に有用である。
[4−2.前処理]
前処理においては、躯体900の表面920が調整されてよい。具体的には、表面調整の方法として、躯体の表面に存在する脆弱層を除去することができる。このような表面調整のより具体的な方法として、研磨、ケレン、サンドブラスト、ウォータージェット等が挙げられ、このような方法を行うために、サンダー、グラインダー、ワイヤーブラシ等を用いることができる。表面調整は、接着剤シート100が貼り付けられるひび割れ910の周辺部分のみに施されてよい。
漏水の水量が多い(具体的には水がひび割れ910から噴き出すくらい)場合は、前処理において、急結セメント、発泡ウレタン、セメント接着剤などの仮止め剤をひび割れ910の噴き出し部分に塗り込み、目止めを行うのが好ましい。仮止め剤で目止めを行うことにより、接着剤シート100による止水効果の確実性を向上させることができる。仮止め剤は比較的短時間(たとえば30分程度)で硬化するものであれば特に限定されない。例えば、急結セメントの例として、独カスター社製KD2モルタルなどが挙げられる。
仮止め剤で目止めを行う場合、ひび割れの表面への開口部(漏水部)を切削してVカット部を形成することが好ましい。これによって、急結セメントの接着面積が増え、かつ厚みを稼ぎやすいため、止水効果をより確実に得ることができる。
漏水の水量が少ない(具体的には水がひび割れ910からにじみ出るくらい)場合は、可塑性止水材を、ひび割れを覆うように被覆してもよい。この場合、可塑性止水材がひび割れからの漏水を吸収することで膨潤し、高い止水性能を発揮する。あるいは、上述の目止め後に、目止め剤の上からさらに可塑性止水材で被覆してもよい。この場合、目止め剤によって勢いが弱められつつも完全に止水されていない漏水を可塑性止水材が吸収することで膨潤することができ、高い止水性能を発揮する。
可塑性止水材は、水膨潤性を有する粘土鉱物であり、水膨潤性を有する粘土鉱物とゲル化基油とを含むことが好ましい。
水膨潤性を有する粘土鉱物としては、例えばベントナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、および膨潤性雲母などの粘土鉱物が挙げられる。これらの粘土鉱物は、天然物および合成物を問わない。また、これらの粘土鉱物は、未変性のものであってもよいし、変性により親油性としたものであってもよい。さらに、これらの粘土鉱物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合させて用いてもよい。これらの粘土鉱物の中でも、天然に産する無機系の粘土であるため安全性に優れ、且つ土中の微生物に分解されない性質により、長期的に止水効果を保持できる点で、ベントナイトが好ましい。
ゲル化基油は、非水系液体とゲル化剤とを含み、より具体的には、非水系液体とゲル化剤との反応物である。このようなゲル化基油は、熱安定性などの点で好ましい。非水系液体は、可塑性止水材に親油性を与え、ゲル化剤は可塑性止水材に可塑性を与えることができる。
非水系液体は、鉱油、芳香族炭化水素系油、および脂肪族炭化水素系油からなる群から選ばれる少なくとも1種の油である。これらの油は、天然物および合成物を問わない。また、これらの油は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合させて用いてもよい。これらの油の中でも、微生物に分解されにくいことにより長期的に止水効果を保持できる点で、鉱油が好ましい。鉱油としては、高芳香族系鉱油であることがより好ましい。
また、粘性の高い油は、ゲル化剤の使用量を少量に抑えることができる点で好ましい。
ゲル化剤は、金属の水酸化物、金属の酸化物、および脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
金属は、好ましくはアルカリ土類金属である。
金属の水酸化物または酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等を挙げることができるが、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムが好ましく、水酸化カルシウムが特に好ましい。
脂肪酸としては、各種公知の脂肪酸を用いることができる。好ましくは、高級脂肪酸、例えば炭素数10以上40以下の飽和または不飽和脂肪酸であってよく、具体例として、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リシノール酸等が挙げられる。これらの脂肪酸のうち、炭素数10以上30以下の飽和脂肪酸がさらに好ましく、ラウリン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸が特に好ましい。
ゲル化基油は、加熱反応により生じさせることができる。反応温度は特に限定されず、ゲル化が十分に進行する時間を当業者が適宜選択することができる。具体的には、たとえば70℃以上、好ましくは90℃以上であってよい。
ゲル化基油中の油および脂肪酸の使用量は、油100重量部に対して脂肪酸が通常10重量部以上100重量部以下、好ましくは25重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは40重量部以上65重量部以下となる量であってよい。
また、金属の水酸化物又は酸化物の使用量は特に限定されず、脂肪酸を金属の塩とするのに十分な量を当業者が適宜選択することができる。理論上は、金属の水酸化物又は酸化物を、脂肪酸と化学量論量用いることができるが、脂肪酸と金属の水酸化物又は酸化物とのうち、いずれか一方を、いずれか他方に対して少過剰となるように用いてもよい。具体的には、金属の水酸化物又は酸化物の使用量は、その金属で換算した量として、脂肪酸に対して好ましくは0.5当量以上2当量以下、さらに好ましくは0.8当量以上1.5当量以下であってよい。
可塑性止水材は、水膨潤性の粘土鉱物をゲル化基油中に均一に分散して調製することができる。
可塑性止水材中における粘土鉱物およびゲル化基油の含有量は特に限定されず、選択した具体的成分や所望する可塑性止水材の性能に応じて当業者が適宜決定することができる。
たとえば、可塑性止水材中、粘土鉱物は、たとえば40重量%以上90重量%以下、好ましくは50重量%以上80重量%以下、さらに好ましくは60重量%以上75重量%以下含ませることができる。また、可塑性止水材中、ゲル化基油は、たとえば10重量%以上60重量%以下、好ましくは20重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは25重量%以上40重量%以下含ませることができる。
[4−3.接着工程]
図7に示すように、接着工程では、ひび割れ910を含む躯体900の補修すべき面および接着剤シート100の水溶性層150の少なくともいずれかが湿潤した状態で、接着剤シート100を接着する。ひび割れ910を含む躯体900の補修すべき面には、躯体900に前処理がされている場合は、施された目止め剤および/または可塑性止水剤の面も含む。
具体的には、躯体900の補修すべき面を水で濡らした状態または漏水で濡れている状態、接着剤シート100の水溶性層150表面を水で濡らした状態、もしくは、躯体900の補修すべき面と接着剤シート100の水溶性層150表面との両方が水および/または漏水で濡れている状態で、接着剤シート100を貼り付ける。このような湿潤状態で接着剤シート100を貼り付けることにより、水溶性層150が溶けて一液湿気硬化型樹脂組成物層120が露出し、躯体900の補修すべき面に一液湿気硬化型樹脂組成物層120が密着する。必要に応じて接着剤シート100を転圧し、より良好な密着状態を生じさせる。
躯体900のひび割れ910から漏水している状態において、ひび割れ910の亀裂に沿って、半割パイプ、メッシュ状パイプを固定し、半割パイプ、メッシュ状パイプの上から接着剤シート100を貼り付けることができる。これにより、ひび割れ910から漏れる水を半割パイプ、メッシュ状パイプで導水し、躯体900の補修すべき面から適切に漏水を排出することができる。また、半割パイプ又はメッシュ状パイプを用いて導水するほかに、可塑性止水剤を土手状に設けることで、ひび割れ910から漏れる水を導水してもよい。
[4−4.硬化工程]
図8に示すように、硬化工程では、躯体900に接着された接着剤シート100の一液湿気硬化型樹脂組成物層120を硬化する。一液湿気硬化型樹脂組成物層120は、躯体900の補修すべき面に密着させられた状態で、接着工程で与えられた水分を利用して硬化反応が進行する。その結果、一液湿気硬化型樹脂硬化層220が生じる(図9参照)。これによって、一液湿気硬化型樹脂硬化層220が躯体900の補修すべき面に強固に固着し、補修材200が躯体900と一体化する。これによって、躯体900の補修材200による補修躯体990が得られる。
一液湿気硬化型樹脂硬化層220(つまり一液湿気硬化型樹脂組成物の硬化物)の引張強さTB(N/mm2)は、たとえば0.7N/mm2以上、好ましくは1.0N/mm2以上、より好ましくは1.5N/mm2以上であってよい。また、破断時伸びEB(%)は、たとえば10%以上、好ましくは50%以上であってよい。引張強さTBおよび破断時伸びEBが上記範囲となるように設計することにより、躯体900の表面920との接着強度により一層優れ、止水性により一層優れる。引張強さTBの上限は特に限定されず、大きいほど好ましい。破断時伸びEBの上限も特に限定されず、大きいほど好ましい。
なお、引張強さTBおよび破断時伸びEBは、JIS K6251に準拠してダンベル状3号形の試験片を引張速度500mm/分にて得られる値である。
[4−5.仕上げ処理]
硬化工程により一液湿気硬化型樹脂硬化層220を得た後、非水溶性層160は一液湿気硬化型樹脂硬化層220に積層されたままであってもよいし、剥離させてもよい。
また、アクリルウレタン系トップコート、アクリルシリコン系トップコート、フッ素系トップコート、アクリル系トップコート、ウレタン系トップコート、ポリウレア系トップコート等を施してもよい。
[5.第5実施形態−施工(躯体の補修方法)]
図10に、第5実施形態の躯体の補修方法によって得られる補修躯体990aの断面を模式的に示す。本実施形態では第2実施形態の接着剤シート100aを用いて施工する例を挙げる。
本実施形態でも、第4実施形態と同様に、適宜前処理を行い、接着工程および硬化工程を行い、適宜仕上げ処理を行うことができる。本実施形態では、躯体900の補修材200aによる補修躯体990aを、一液湿気硬化型樹脂硬化層220aが強化繊維で強化された状態で得ることができるため、躯体900と補修材200aとの固着状態が長期に亘ってより安定的に保たれる。したがって、ひび割れ910の拡大、およびひび割れ910の拡大による躯体900の剥落を良好に防止することができる。
[6.第6実施形態−施工(躯体の補修方法)]
本発明は第4実施形態および第5実施形態のように躯体900ひび割れ910から漏水が生じている過酷な条件下で有用であるため、躯体900にひび割れが生じておらず躯体組織の剥落防止または腐食防止を施す場合にも同様に有用であることはいうまでもない。
[実施例1]
1.接着剤シートの作成
非水溶性層160を構成するためのポリエチレンテレフタレートシートの上に、一液湿気硬化型樹脂組成物層120を構成するための変性シリコーン樹脂(積水フーラー社製A430−S)を塗布したのち、水溶性層150を構成するためのポリビニルアルコールシートを積層することによって、第1実施形態の接着剤シート100(図1参照)を作成した。得られた接着剤シート100において、一液湿気硬化型樹脂組成物層120(変成シリコーン樹脂層)の厚みは3mm、水溶性層150(ポリビニルアルコールシート層)の厚みは40μm、非水溶性層160(ポリエチレンテレフタレートシート層)の厚みは50μmであった。
2.コンクリート試験体の補修
躯体を模して、図11に示すコンクリートの試験体900c(140mm×70mm×10mm)を用意した。試験体の中央にはひび割れを模して幅(CRW)1mm、長さ60mmのスリット910cが設けられており、水中に24時間浸漬された。
スリット910cおよびその周辺の試験体900c表面に、接着剤シート100の水溶性層150(ポリビニルアルコールシート層)の面(図1参照)を水で濡らした状態にし、当該面を躯体900に貼り付けた。その後、7日間養生させることにより、補修材200によりスリット910cが補修された補修試験体990cを得た。
[実施例2]
一液湿気硬化型樹脂組成物として、変成シリコーン樹脂(積水フーラー社製#77EXIIホワイト)を用いたことを除いて、実施例1と同様に接着剤シート100を作成し、スリット910cの補修を行った。
[実施例3]
一液湿気硬化型樹脂組成物として、シリコーン樹脂(アルコール系、積水フーラー社製スーパーシーラー21)を用いたことを除いて、実施例1と同様に接着剤シート100を作成し、スリット910cの補修を行った。
[実施例4]
一液湿気硬化型樹脂組成物として、シリコーン樹脂(オキシム系、積水フーラー社製セキスイシーラント)を用いたことを除いて、実施例1と同様に接着剤シート100を作成し、スリット910cの補修を行った。
[比較例1]
接着剤シート100を貼り付ける代わりに、一液湿気硬化型樹脂組成物(積水フーラー社製#77EXIIホワイト)を直接塗りつけたことを除いて、実施例1と同様にスリット910cの補修を行った。
[比較例2]
接着剤シート100を貼り付ける代わりに、シリコーン粘着シート(信越化学工業製シンエツパッチシール)を貼付したことを除いて、実施例1と同様にスリット910cの補修を行った。
[一液湿気硬化型樹脂の諸物性]
実施例1から実施例4で用いた一液湿気硬化型樹脂組成物およびその硬化物について、以下のように諸物性を測定した。
一液湿気硬化型樹脂組成物(硬化前)の粘度を、JIS Z 8803に準拠して単一円筒形回転粘度計としてB型粘度計を用い、No.7ローター、23℃で測定した。
一液湿気硬化型樹脂組成物(硬化前)のチクソインデックス値は、23℃の条件下で、B型粘度計のNo.7ローターを用いて、回転速度1rpmおよび10rpmで計測される粘度(Pa・s)の比〔(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)〕から求めた。
一液湿気硬化型樹脂硬化物(硬化後)の引張強さTBおよび破断時伸びEBを、JIS K6251に準拠してダンベル状3号形の試験片を引張速度500mm/分にて測定した。
測定結果を下記表1に示す。
[止水性試験]
実施例1から実施例4の補修試験体990cおよび比較例1および比較例2の補修試験体について、以下のとおり止水性試験を行った。
図12に示すように、補修試験体990c(または比較例の補修試験体)の補修材200とは反対側に、両端開口した筒体(開口断面積約30 cm2)を配し、当該筒体の中に300gの水を入れた。これにより、スリット910cの開口部に約10gf/cm2の水圧を負荷し、1週間放置した。
[結果]
上記の止水性試験の結果について、作業性の評価とともに下記表2に示す。

[平面接着力]
実施例1から実施例4の補修試験体990cにおける補修材200の平面接着力を測定するため、以下のようにして図13に示す予備試験体990c’を作成した。
コンクリート普通平板900c’(300mm×300mm×60mm)を24時間、水に浸漬した。軽く表面の水を拭取ったのち、接着剤シート100の水溶性層(ポリビニルアルコールシート層)の面を水で濡らした状態にし、当該面を貼り付け、7日間養生した。これによって得られた、補修材200によるコンクリート普通平板900c’の補修体を、40mm×40mmの方形にダイヤモンドカッターにて切り出し、図13に示す予備試験体990c’を作成した。
さらに、図13に示すように補修試験体990cに40mm×40mm×10mmの鋼製アタッチメントATをエポキシ樹脂系接着剤によって貼り付け、接着剤を硬化させた。その後、建研式接着力試験器を用い、施工面に対し垂直方向(図13中矢印方向)に引張り、補修材200の固着力(平面接着力)を測定した。
[結果]
上記の平面接着力の結果について、下記表3に示す。湿潤状態のコンクリートに対する接着力については、実施例1から実施例4の中でも、特に変成シリコーン樹脂を用いた実施例1および実施例2で高い固着力が認められた。
[実施例5]
図14に示す補修試験体990d(図中、補修材200aの厚みは極端に表示している。)を作成し、補修材の押抜き荷重を東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「JHS424−2004はく落防止の押抜き試験」に準じて測定した。
補修試験体990dは、以下のように作成した。
(1)強化繊維シート(積水フィルム社製ビニロン3軸ソフ)で強化された一液湿気硬化型樹脂組成物(変成シリコーン樹脂、積水フーラー社製#77EXIIホワイト)を用いたことを除いて実施例1と同様にして、400mm×400mm×平均厚み3mmの第2実施形態の接着剤シート100a(図5参照)を作成した。
(2)躯体のモデルとして、はく落防止の押抜き試験用コンクリートU形側溝蓋(株式会社ユーコウ商会製)900d(600mm×400mm×60mm)を用意した。この躯体を24時間水に浸漬した。
(3)コンクリートU形側溝蓋900d表面の水を軽く拭取った後、コンクリートU形側溝蓋900dの片面において、コア部950d’の中心を通る直線状に幅40mm、平均厚み1.5mmとなるように可塑性止水材210(クニミネ工業製クニシールC−31)を塗りつけた。
(4)接着剤シート100aの水溶性層150(ポリビニルアルコールシート層)の面を水で濡らした状態にし、当該面を、可塑性止水材210の表面とその周辺のコンクリートU形側溝蓋900d表面に、接着剤シート100aを貼り付けた。
(5)接着剤シート100aが貼り付けられたコンクリートU形側溝蓋900dを7日間養生し、補修材200aによる補修試験体990dを得た。
(6)万能試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−5T)を用いて、「構造物施工管理要領 平成 23 年 7 月 東日本・中日本・西日本高速道路(株)」に準拠して押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は2.9kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
[実施例6]
可塑性止水材210(クニミネ工業製クニシールC−31)を塗りつけなかったことを除いて実施例5と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は3.3kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
[実施例7]
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートシートと厚み20μmのポリエチレンシートと繊維製シート(積水フィルム社製ポリエチレン3軸ソフ)がこの順番で積層され、ラミネートされて一体化したシートを用いて非水溶性層160を得、ポリエチレンテレフタレートシートの側を一液湿気硬化型樹脂組成物層と接するようにしたことを除き、実施例1と同様にして接着剤シート100を作成した。この接着剤シート100を用い、実施例6と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は1.6kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
[実施例8]
厚み400μmのガラス繊維不織布とガラス繊維製シート(日本電気硝子社製2軸ガラスメッシュ)と厚み200μmガラス繊維不織布とがサンドイッチ状にラミネートされ一体化したシートを用いて非水溶性層160を得、厚み400μmのガラス繊維不織布の側を一液湿気硬化型樹脂組成物層と接するようにしたことを除き、実施例1と同様にして接着剤シート100を作成した。この接着剤シート100を用い、実施例6と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は3.3kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
[実施例9]
厚み40μmのポリビニルアルコールシートと強化繊維シート(積水フィルム社製ビニロン3軸ソフ)とがラミネートされ一体化したシートを用いて水溶性層150を得、強化繊維シートの側を一液湿気硬化型樹脂組成物層と接するようにしたことを除き、実施例1と同様にして接着剤シート100を作成した。
この接着剤シート100を用い、実施例6と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は2.9kNであり、はく落防止基準の1.5kN以上を満たしていた。
[実施形態の各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本明細書において、接着剤シート100,100a,100bが請求項の「接着剤シート」に相当し、一液湿気硬化型樹脂組成物層120,120aが「一液湿気硬化型樹脂組成物層」に相当し、一液湿気硬化型樹脂組成物層120aが「強化繊維」を含む「一液湿気硬化型樹脂組成物層」に相当し、水溶性層150が「水溶性層」に相当し、非水溶性層160,160,160,160が「非水溶性層」に相当し、剥離シート層170が請求項の「剥離シート層」に相当し、一液湿気硬化型樹脂硬化層220が「一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物」に相当し、躯体900、試験体900c、コンクリート普通平板900c’、およびコンクリートU形側溝蓋900dが「躯体」に相当し、ひび割れ910およびスリット910cが「ひび割れ」に相当し、表面920が「補修すべき面」に相当し、補修躯体990,990a、補修試験体990c,990d、および予備試験体990c’が「躯体の補修体」に相当する。
100,100a,100b 接着剤シート
120 一液湿気硬化型樹脂組成物層
120a 一液湿気硬化型樹脂組成物層(強化繊維を含む一液湿気硬化型樹脂組成物層)
130a 樹脂含浸繊維層
150 水溶性層
160,160,160,160 非水溶性層
170 剥離シート層
220 一液湿気硬化型樹脂硬化層(一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物)
220a 一液湿気硬化型樹脂硬化層
900 躯体
900c 試験体(躯体のモデル)
900c’ コンクリート普通平板(躯体のモデル)
900d コンクリートU形側溝蓋(躯体のモデル)
910 ひび割れ
910c スリット(ひび割れのモデル)
920 表面(補修すべき面)
990,990a 補修躯体(躯体の補修体)
990c,990d 補修試験体(躯体の補修体のモデル)
990c’ 予備試験体(躯体の補修体のモデル)

Claims (11)

  1. 一液湿気硬化型樹脂組成物層と、前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の少なくとも一方の面に積層された水溶性層と、を含む、躯体の補修用接着剤シート。
  2. 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層が強化繊維を含む、請求項1に記載の躯体の補修用接着剤シート。
  3. 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層が変性シリコーン樹脂を含む、請求項1または2に記載の躯体の補修用接着剤シート。
  4. 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の樹脂組成物のチクソインデックス値が、3.0以上10.0以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の躯体の補修用接着剤シート。
  5. 前記水溶性層が前記一方の面に積層され、他方の面に非水溶性層が積層されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の躯体の補修用接着剤シート。
  6. 前記非水溶性層が繊維を含む、請求項5に記載の躯体の補修用接着剤シート。
  7. 前記非水溶性層にさらに剥離シート層が設けられた、請求項5または6に記載の躯体の補修用接着剤シート。
  8. 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層が積層されていない部分が、前記非水溶性層の表面に額縁状に設けられた、請求項5から7のいずれか1項に記載の躯体の補修用接着剤シート。
  9. 躯体に、請求項1から8のいずれか1項に記載の接着剤シートを、前記躯体の補修すべき面および前記接着剤シートの前記水溶性層の少なくともいずれかが湿潤した状態で接着する接着工程と、
    前記一液湿気硬化型樹脂組成物層を硬化させる硬化工程と、
    を含む、躯体の補修方法。
  10. 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物の引張強さが0.7N/mm2以上である、請求項9に記載の躯体の補修方法。
  11. 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物の破断時伸びが10%以上である、請求項9または10に記載の躯体の補修方法。
JP2017068977A 2016-04-07 2017-03-30 躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法 Active JP6783175B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016077177 2016-04-07
JP2016077177 2016-04-07

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017193952A true JP2017193952A (ja) 2017-10-26
JP6783175B2 JP6783175B2 (ja) 2020-11-11

Family

ID=60155416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017068977A Active JP6783175B2 (ja) 2016-04-07 2017-03-30 躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6783175B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018145778A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 積水化学工業株式会社 躯体のひび割れの補修方法
JP2019173465A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 信越ポリマー株式会社 封止材の貼付方法
JP2019190078A (ja) * 2018-04-23 2019-10-31 信越ポリマー株式会社 表面保護基材付き封止材
JP2020133168A (ja) * 2019-02-15 2020-08-31 多摩防水技研株式会社 コンクリート片はく落防止工法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018145778A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 積水化学工業株式会社 躯体のひび割れの補修方法
JP7048235B2 (ja) 2017-03-08 2022-04-05 積水化学工業株式会社 躯体のひび割れの補修方法
JP2019173465A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 信越ポリマー株式会社 封止材の貼付方法
JP7030597B2 (ja) 2018-03-29 2022-03-07 信越ポリマー株式会社 封止材の貼付方法
JP2019190078A (ja) * 2018-04-23 2019-10-31 信越ポリマー株式会社 表面保護基材付き封止材
JP7161864B2 (ja) 2018-04-23 2022-10-27 信越ポリマー株式会社 表面保護基材付き封止材
JP2020133168A (ja) * 2019-02-15 2020-08-31 多摩防水技研株式会社 コンクリート片はく落防止工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6783175B2 (ja) 2020-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2017193952A (ja) 躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法
JP2017075522A (ja) 漏水を伴う躯体のひび割れの補修方法、および躯体の補修体
KR100938923B1 (ko) 방수 도막용 우레탄 조성물, 이를 이용한 건축물 보수용복합 방수 구조 및 복합 방수 공법
KR100344940B1 (ko) 미가류 상태인 점착성 방수시트의 제조방법 및 그것을사용한 시공방법
JP2007198119A (ja) コンクリート水路目地部遮水構造および遮水工法
KR101778261B1 (ko) 건축물의 복합 방수구조물 및 이의 시공방법
KR101733535B1 (ko) 유무기 하이브리드 방수재적층 자착형 부직포 방수시트 및 이를 이용한 방수시공공법
KR101744766B1 (ko) 유무기 하이브리드 방수재적층 자착형 부직포 방수시트를 이용한 방수시공공법
KR101843811B1 (ko) 아크릴계 공중합 액상수지 및 무기질계 분체 복합 하이브리드 방수재
KR100957621B1 (ko) 방수 방근 구조 및 이를 이용한 방수 방근 공법
KR101902836B1 (ko) 콘크리트 일체형 유무기 하이브리드 방수재 적층 자착형 점착씰 보강방수시트를 이용한 콘크리트 단면보수시공공법
KR101889329B1 (ko) 유무기 하이브리드 방수재적층 자착형 부직포 방수시트
JP2017128923A (ja) 漏水を伴う躯体のひび割れの補修方法、および躯体の補修体
CN108868187B (zh) 一种电梯井渗漏水修缮系统的施工方法
JP2019077988A (ja) 導水補修工法
KR20210017202A (ko) 비노출형 복합방수공법
KR102071458B1 (ko) 친환경 도막방수제 및 이를 이용한 복합방수공법
JP2019199781A (ja) 構造物の補修方法
JP3732625B2 (ja) ゴム組成物、止水材及び止水構造
KR101752214B1 (ko) 침투식 액체 방수제, 아스팔트 및 보강그리드 적층 복합 방수구조 및 그 시공공법
JP2008190157A (ja) 屋上用防水シート材
KR20170108616A (ko) 아스팔트계 방수재 및 벨크로파스너 부직포시트 적층 복합 방수구조 및 그 시공공법
JP2017133342A (ja) 目地構造を有する壁、目地施工方法、及び一液常温湿気硬化型シーリング材組成物
JP6947581B2 (ja) セメント硬化体構造物の表面保護工法およびセメント硬化体構造物の表面保護構造
JP4551149B2 (ja) 地中構造物外壁用止水材

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20170530

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170825

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20180511

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191016

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200918

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201006

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201021

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6783175

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250