JP6783175B2 - 躯体の補修用接着剤シート、およびそれを用いた躯体の補修方法 - Google Patents
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Description
本発明の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層と、当該一液湿気硬化型樹脂組成物層の少なくとも一方の面に積層された水溶性層と、を含む。
なお、本発明においては、ひび割れが生じていない躯体の組織剥落防止のための処理および腐食防止のための処理、ならびに、ひび割れが生じている躯体のひび割れに対する処理をいずれも「補修」と記載する。
上記(1)の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層が強化繊維を含んでよい。
上記(1)または(2)の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層が変性シリコーン樹脂を含んでよい。
上記(1)から(3)のいずれかの躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物のチクソインデックス値が、3.0以上10.0以下であってよい。
上記(1)から(4)のいずれかの躯体の補修用接着剤シートは、水溶性層が一液湿気硬化型樹脂組成物層の一方の面に積層され、他方の面に非水溶性層が積層されていてよい。
上記(5)の躯体の補修用接着剤シートは、非水溶性層が繊維を含んでよい。
上記(5)または(6)に記載の躯体の補修用接着剤シートは、非水溶性層にさらに剥離シート層が設けられてもよい。
上記(5)から(7)のいずれかに記載の躯体の補修用接着剤シートは、一液湿気硬化型樹脂組成物層が積層されていない部分が、非水溶性層の表面に額縁状に設けられていてもよい。
本発明の躯体の補修方法は、接着工程と硬化工程とを含む。接着工程では、上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の接着剤シートを、躯体に接着する。この時、躯体の補修すべき面および接着剤シートの水溶性層の少なくともいずれかが湿潤した状態で接着する。硬化工程では、一液湿気硬化型樹脂組成物を硬化させる。
上記(9)の躯体の補修方法は、一液湿気硬化型樹脂の硬化物の引張強さが0.7N/mm2以上であってよい。
上記(9)または(10)の躯体の補修方法は、一液湿気硬化型樹脂の硬化物の破断時伸びが10%以上であってよい。
[1−1.基本構成]
図1に、第1実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。図1に示す接着剤シート100は、一液湿気硬化型樹脂組成物層120と、水溶性層150と、非水溶性層160とを含む。水溶性層150および非水溶性層160は、一液湿気硬化型樹脂組成物層120に直接積層されている。水溶性層150および非水溶性層160のうち、水溶性層150の側が、躯体の補修すべき面に貼り付けられる側となる。図2、図3および図4は、それぞれ、図1の円囲み部分の第1変形例、第2変形例および第3変形例を示す。
一液湿気硬化型樹脂組成物層120は、一液湿気硬化型樹脂組成物で構成される。一液湿気型硬化樹脂組成物は、一液湿気型硬化樹脂の未硬化物である。一液型であることにより、二液型のような混合作業が不要となるだけでなくシート化しておくことが可能であるため、樹脂組成物を現場で塗布する必要がなく、施工性が極めて良好である。さらに、混合作業が必要な二液型と異なり、硬化に供する樹脂組成物の均一性が良好である点で硬化不良が起こりにくく、したがって容易に良好な接着性を得ることができる。また、湿気硬化型であることにより、湿潤環境を有効利用して硬化させることができる。
加水分解性ケイ素基を有する変成シリコーン樹脂の数平均分子量は、たとえば、500以上500,000以下、500以上100,000以下、5,000以上30,000以下、1,000以上500,000以下、または1,000以上30,000以下である。上記下限値以上であることは、樹脂組成物の硬化時間が短い点、または硬化後の接着強度が良好である点で好ましい。上記上限値以下であることは、樹脂組成物の粘度が適当であり取扱性が良好である点で好ましい。
樹脂組成物中のシラノール縮合触媒の含有量は、変成シリコーン樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下、好ましくは1重量部以上5重量部以下である。上記下限値以上であることは、硬化時間の短縮の点で好ましい。上記上限値以下であることは接着強度などの物性を担保する点で好ましい。
本発明においてチクソインデックス値は、23℃の条件下で、B型粘度計のNo.7ローターを用いて、回転速度1rpmおよび10rpmで計測される粘度(Pa・s)の比〔(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)〕から求めた値である。
水溶性層150は、任意の水溶性物質で構成される。たとえば、水溶性物質としては、天然、合成、および半合成の水溶性高分子が挙げられる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、グアガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、キサンタンガム、カンテン、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ジエチルアミノアセテート、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸ソーダ/メタクリル酸ソーダ共重合体、アクリル酸ソーダ/マレイン酸ソーダ共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸ソーダ共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド系高分子等およびそれらの誘導体であり、好ましくはポリビニルアルコールおよびその誘導体、メチルセルロース、ポリビニルアセタールが挙げられる。
水溶性層150はエンボス加工されていてもよい。エンボス加工を施すことにより水溶性層150の表面積が拡大する。このため水分との接触面積が大きくなり水溶性物質が細かく溶解するため、一液湿気硬化型樹脂組成物層と躯体の接着力が良好である点で好ましい。
非水溶性層160は、任意の非水溶性物質を含んで構成される。
非水溶性層160に含まれる非水溶性物質としては、たとえば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドなどの非水溶性樹脂;およびガラス、バサルトなどの無機物が挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエステルは、接着剤シート100にコシを与えて取扱性を向上させ、ガスバリア性も向上させる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレンおよびポリプロピレンが挙げられる。ポリオレフィンは、接着剤シート100にコシを与えて取扱性を向上させる。ポリアミドとしては、ナイロンが挙げられる。ポリアミドは、施工後の接着剤シート100(具体的には、補修材200。後述図8参照)に耐衝撃性および耐寒冷性を与える。無機物は、不燃性である点で好ましい。
繊維の具体的態様としては、メッシュ、織布、網、編布および不織布が挙げられ、これらの中から1種を単独で、または2種以上の組み合わせで用いることができる。なお、メッシュとは、複数本の連続繊維束が交差積層し、その交差部分において繊維束同士が好ましくは接着された構造を持つ基材である。具体的には、2軸メッシュ(格子状メッシュ)、3軸メッシュ、4軸メッシュ、5軸メッシュ、およびそれ以上の多次元メッシュが挙げられる。好ましくは、経方向、斜方向、逆斜方向の3方向(具体的には繊維束の交差角が60度となるよう)に積層した3軸メッシュが用いられる。
また、非水溶性層160は、適宜、接着剤層を介して積層されていてよい。あるいは、非水溶性層160が繊維層である場合、繊維層の凹凸がアンカー効果により一液湿気硬化型樹脂組成物層120の表面に食い込んでいてもよい。
また、非水溶性層1601に繊維が含まれかつ当該繊維が一液湿気硬化型樹脂組成物層120に接している場合、繊維が一液湿気硬化型樹脂組成物層120に積層されている態様であるため、一液湿気硬化型樹脂組成物層120が硬化されると繊維により当該層120が強化され、躯体との固着状態が長期に亘ってより安定的に保たれる。
接着剤シート100の製造方法としては特に限定されないが、膜状に押し出された一液湿気硬化型樹脂組成物の一方の面に水溶性層150、他方の面に非水溶性層160を設けることで得ることができる。なお、以下において、非水溶性層160は非水溶性層1601,1602,1603に置き換えてもよい。
接着工程において、躯体との接着剤シート100の間に気泡が入ることがあるため、脱泡のために中央部から端に向かって一液湿気硬化型樹脂組成物を押出すように施工することができる。また、一液湿気硬化型樹脂組成物が非水溶性層の端部まで出ることによって、接着工程が完了したことが容易に確認できる。
これにより、接着工程において一液湿気硬化型樹脂組成物を押出すように施工し、一液湿気硬化型樹脂組成物が非水溶性層160の端部まで出ることによって接着工程が確実に完了したことが容易に確認できる。したがって、躯体900と接着剤シート100とを確実に接着させることができるとともに、施工性に優れる。
また、接着工程において躯体との接着剤シート100の間の気泡を排除することができるため、躯体900と接着剤シート100との接着性を向上させることができる。
一方、幅(t)は、10mm未満であると、気泡の排除を十分にすることができない恐れがあり、幅(t)は、100mm超過の場合には、一液湿気硬化型樹脂組成物を押出す作業が多くなるため施工性が劣る可能性がある。また、面積の比〔S/S’〕は、0.5未満であると、一液湿気硬化型樹脂組成物を押出す作業が多くなるため施工性が劣る可能性があり、面積の比〔S/S’〕は、0.95超過の場合には、気泡の排除を十分にすることができない恐れがある。
接着剤シート100は、使用直前まで、湿気の遮断性を有する包装体内に密封収容される。包装体は、少なくとも湿気の遮断性を有していればよく、ハンドリングおよび廃棄性の観点から、たとえばヒートシールまたは粘着剤によって密封された包装袋であることが好ましく、さらに、金属(特にアルミニウムなど)箔または金属(特にアルミニウムなど)蒸着層を有することがより好ましい。
包装体に吸湿層を設ける場合は、吸湿能のある組成物が包装体内部に積層されていればよく、例えば、乾燥剤を練り込んだ樹脂組成物を包装体内部に積層することができる。包装体内部に積層する樹脂組成物としては、包装体に応じて適宜選択されるものであるが、例えば、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト、硫酸ガリウム、硫酸チタン、硫酸ニッケル、シリカゲル、塩化カルシウム、アルミナ、活性炭などが挙げられ、特に吸湿性能の点でゼオライト、酸化カルシウム、硫酸マグネシウムが好ましい。
乾燥剤としては、例えばゼオライト、硫酸マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、塩化カルシウムのような無機系乾燥剤、ポリアクリル酸誘導体、セルロース誘導体のような吸水性ポリマーなどが挙げられる。乾燥剤は、樹脂組成物に練り込むほか、包装体内部に別途封入して使用してもよい。
図5に、第2実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。図5に示す接着剤シート100aは、一液湿気硬化型樹脂組成物層120aと、水溶性層150と、非水溶性層160(または非水溶性層1601,1602,1603)とを含む。接着剤シート100aは、一液湿気硬化型樹脂組成物層120aを除いて第1実施形態の接着剤シート100と同様である。
図6に、第3実施形態の接着剤シートの断面を模式的に示す。図6に示す接着剤シート100bは、一液湿気硬化型樹脂組成物層120と、水溶性層150とを含む。水溶性層150は、一液湿気硬化型樹脂組成物層120の一方の面だけでなく他方の面にも積層されていることを除いて第1実施形態の接着剤シート100と同様である。
本実施形態の接着剤シート100bには表裏がない点で取扱及び施工が容易である。
本発明の接着剤シートを躯体に施工して躯体を補修することで、躯体の補修体が得られる。図7から図9に、第4実施形態の躯体の補修方法を説明する模式的断面図を示す。
本発明で補修対象となる図7における躯体900としては、鉄道、道路等のトンネル、橋梁、建物等のコンクリート構造物であってよい。本発明は、躯体900が供用中のものである場合に特に有用である。
本実施形態では、補修対象の躯体900にはひび割れ910が生じている。本発明は、水がひび割れ910の空隙を通って表面920で漏水が生じている場合に特に有用である。
前処理においては、躯体900の表面920が調整されてよい。具体的には、表面調整の方法として、躯体の表面に存在する脆弱層を除去することができる。このような表面調整のより具体的な方法として、研磨、ケレン、サンドブラスト、ウォータージェット等が挙げられ、このような方法を行うために、サンダー、グラインダー、ワイヤーブラシ等を用いることができる。表面調整は、接着剤シート100が貼り付けられるひび割れ910の周辺部分のみに施されてよい。
また、粘性の高い油は、ゲル化剤の使用量を少量に抑えることができる点で好ましい。
金属は、好ましくはアルカリ土類金属である。
金属の水酸化物または酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等を挙げることができるが、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムが好ましく、水酸化カルシウムが特に好ましい。
また、金属の水酸化物又は酸化物の使用量は特に限定されず、脂肪酸を金属の塩とするのに十分な量を当業者が適宜選択することができる。理論上は、金属の水酸化物又は酸化物を、脂肪酸と化学量論量用いることができるが、脂肪酸と金属の水酸化物又は酸化物とのうち、いずれか一方を、いずれか他方に対して少過剰となるように用いてもよい。具体的には、金属の水酸化物又は酸化物の使用量は、その金属で換算した量として、脂肪酸に対して好ましくは0.5当量以上2当量以下、さらに好ましくは0.8当量以上1.5当量以下であってよい。
可塑性止水材中における粘土鉱物およびゲル化基油の含有量は特に限定されず、選択した具体的成分や所望する可塑性止水材の性能に応じて当業者が適宜決定することができる。
たとえば、可塑性止水材中、粘土鉱物は、たとえば40重量%以上90重量%以下、好ましくは50重量%以上80重量%以下、さらに好ましくは60重量%以上75重量%以下含ませることができる。また、可塑性止水材中、ゲル化基油は、たとえば10重量%以上60重量%以下、好ましくは20重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは25重量%以上40重量%以下含ませることができる。
図7に示すように、接着工程では、ひび割れ910を含む躯体900の補修すべき面および接着剤シート100の水溶性層150の少なくともいずれかが湿潤した状態で、接着剤シート100を接着する。ひび割れ910を含む躯体900の補修すべき面には、躯体900に前処理がされている場合は、施された目止め剤および/または可塑性止水剤の面も含む。
図8に示すように、硬化工程では、躯体900に接着された接着剤シート100の一液湿気硬化型樹脂組成物層120を硬化する。一液湿気硬化型樹脂組成物層120は、躯体900の補修すべき面に密着させられた状態で、接着工程で与えられた水分を利用して硬化反応が進行する。その結果、一液湿気硬化型樹脂硬化層220が生じる(図9参照)。これによって、一液湿気硬化型樹脂硬化層220が躯体900の補修すべき面に強固に固着し、補修材200が躯体900と一体化する。これによって、躯体900の補修材200による補修躯体990が得られる。
なお、引張強さTBおよび破断時伸びEBは、JIS K6251に準拠してダンベル状3号形の試験片を引張速度500mm/分にて得られる値である。
硬化工程により一液湿気硬化型樹脂硬化層220を得た後、非水溶性層160は一液湿気硬化型樹脂硬化層220に積層されたままであってもよいし、剥離させてもよい。
また、アクリルウレタン系トップコート、アクリルシリコン系トップコート、フッ素系トップコート、アクリル系トップコート、ウレタン系トップコート、ポリウレア系トップコート等を施してもよい。
図10に、第5実施形態の躯体の補修方法によって得られる補修躯体990aの断面を模式的に示す。本実施形態では第2実施形態の接着剤シート100aを用いて施工する例を挙げる。
本発明は第4実施形態および第5実施形態のように躯体900ひび割れ910から漏水が生じている過酷な条件下で有用であるため、躯体900にひび割れが生じておらず躯体組織の剥落防止または腐食防止を施す場合にも同様に有用であることはいうまでもない。
1.接着剤シートの作成
非水溶性層160を構成するためのポリエチレンテレフタレートシートの上に、一液湿気硬化型樹脂組成物層120を構成するための変性シリコーン樹脂(積水フーラー社製A430−S)を塗布したのち、水溶性層150を構成するためのポリビニルアルコールシートを積層することによって、第1実施形態の接着剤シート100(図1参照)を作成した。得られた接着剤シート100において、一液湿気硬化型樹脂組成物層120(変成シリコーン樹脂層)の厚みは3mm、水溶性層150(ポリビニルアルコールシート層)の厚みは40μm、非水溶性層160(ポリエチレンテレフタレートシート層)の厚みは50μmであった。
躯体を模して、図11に示すコンクリートの試験体900c(140mm×70mm×10mm)を用意した。試験体の中央にはひび割れを模して幅(CRW)1mm、長さ60mmのスリット910cが設けられており、水中に24時間浸漬された。
スリット910cおよびその周辺の試験体900c表面に、接着剤シート100の水溶性層150(ポリビニルアルコールシート層)の面(図1参照)を水で濡らした状態にし、当該面を躯体900に貼り付けた。その後、7日間養生させることにより、補修材200によりスリット910cが補修された補修試験体990cを得た。
一液湿気硬化型樹脂組成物として、変成シリコーン樹脂(積水フーラー社製#77EXIIホワイト)を用いたことを除いて、実施例1と同様に接着剤シート100を作成し、スリット910cの補修を行った。
一液湿気硬化型樹脂組成物として、シリコーン樹脂(アルコール系、積水フーラー社製スーパーシーラー21)を用いたことを除いて、実施例1と同様に接着剤シート100を作成し、スリット910cの補修を行った。
一液湿気硬化型樹脂組成物として、シリコーン樹脂(オキシム系、積水フーラー社製セキスイシーラント)を用いたことを除いて、実施例1と同様に接着剤シート100を作成し、スリット910cの補修を行った。
接着剤シート100を貼り付ける代わりに、一液湿気硬化型樹脂組成物(積水フーラー社製#77EXIIホワイト)を直接塗りつけたことを除いて、実施例1と同様にスリット910cの補修を行った。
接着剤シート100を貼り付ける代わりに、シリコーン粘着シート(信越化学工業製シンエツパッチシール)を貼付したことを除いて、実施例1と同様にスリット910cの補修を行った。
実施例1から実施例4で用いた一液湿気硬化型樹脂組成物およびその硬化物について、以下のように諸物性を測定した。
実施例1から実施例4の補修試験体990cおよび比較例1および比較例2の補修試験体について、以下のとおり止水性試験を行った。
上記の止水性試験の結果について、作業性の評価とともに下記表2に示す。
実施例1から実施例4の補修試験体990cにおける補修材200の平面接着力を測定するため、以下のようにして図13に示す予備試験体990c’を作成した。
上記の平面接着力の結果について、下記表3に示す。湿潤状態のコンクリートに対する接着力については、実施例1から実施例4の中でも、特に変成シリコーン樹脂を用いた実施例1および実施例2で高い固着力が認められた。
図14に示す補修試験体990d(図中、補修材200aの厚みは極端に表示している。)を作成し、補修材の押抜き荷重を東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「JHS424−2004はく落防止の押抜き試験」に準じて測定した。
(1)強化繊維シート(積水フィルム社製ビニロン3軸ソフ)で強化された一液湿気硬化型樹脂組成物(変成シリコーン樹脂、積水フーラー社製#77EXIIホワイト)を用いたことを除いて実施例1と同様にして、400mm×400mm×平均厚み3mmの第2実施形態の接着剤シート100a(図5参照)を作成した。
(2)躯体のモデルとして、はく落防止の押抜き試験用コンクリートU形側溝蓋(株式会社ユーコウ商会製)900d(600mm×400mm×60mm)を用意した。この躯体を24時間水に浸漬した。
(3)コンクリートU形側溝蓋900d表面の水を軽く拭取った後、コンクリートU形側溝蓋900dの片面において、コア部950d’の中心を通る直線状に幅40mm、平均厚み1.5mmとなるように可塑性止水材210(クニミネ工業製クニシールC−31)を塗りつけた。
(4)接着剤シート100aの水溶性層150(ポリビニルアルコールシート層)の面を水で濡らした状態にし、当該面を、可塑性止水材210の表面とその周辺のコンクリートU形側溝蓋900d表面に、接着剤シート100aを貼り付けた。
(5)接着剤シート100aが貼り付けられたコンクリートU形側溝蓋900dを7日間養生し、補修材200aによる補修試験体990dを得た。
(6)万能試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−5T)を用いて、「構造物施工管理要領 平成 23 年 7 月 東日本・中日本・西日本高速道路(株)」に準拠して押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は2.9kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
可塑性止水材210(クニミネ工業製クニシールC−31)を塗りつけなかったことを除いて実施例5と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は3.3kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートシートと厚み20μmのポリエチレンシートと繊維製シート(積水フィルム社製ポリエチレン3軸ソフ)がこの順番で積層され、ラミネートされて一体化したシートを用いて非水溶性層160を得、ポリエチレンテレフタレートシートの側を一液湿気硬化型樹脂組成物層と接するようにしたことを除き、実施例1と同様にして接着剤シート100を作成した。この接着剤シート100を用い、実施例6と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は1.6kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
厚み400μmのガラス繊維不織布とガラス繊維製シート(日本電気硝子社製2軸ガラスメッシュ)と厚み200μmガラス繊維不織布とがサンドイッチ状にラミネートされ一体化したシートを用いて非水溶性層160を得、厚み400μmのガラス繊維不織布の側を一液湿気硬化型樹脂組成物層と接するようにしたことを除き、実施例1と同様にして接着剤シート100を作成した。この接着剤シート100を用い、実施例6と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は3.3kNであり、はく落防止基準1.5kN以上を満たしていた。
厚み40μmのポリビニルアルコールシートと強化繊維シート(積水フィルム社製ビニロン3軸ソフ)とがラミネートされ一体化したシートを用いて水溶性層150を得、強化繊維シートの側を一液湿気硬化型樹脂組成物層と接するようにしたことを除き、実施例1と同様にして接着剤シート100を作成した。
この接着剤シート100を用い、実施例6と同様にして補修試験体を作成し、押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は2.9kNであり、はく落防止基準の1.5kN以上を満たしていた。
本明細書において、接着剤シート100,100a,100bが請求項の「接着剤シート」に相当し、一液湿気硬化型樹脂組成物層120,120aが「一液湿気硬化型樹脂組成物層」に相当し、一液湿気硬化型樹脂組成物層120aが「強化繊維」を含む「一液湿気硬化型樹脂組成物層」に相当し、水溶性層150が「水溶性層」に相当し、非水溶性層160,1601,1602,1603が「非水溶性層」に相当し、剥離シート層170が請求項の「剥離シート層」に相当し、一液湿気硬化型樹脂硬化層220が「一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物」に相当し、躯体900、試験体900c、コンクリート普通平板900c’、およびコンクリートU形側溝蓋900dが「躯体」に相当し、ひび割れ910およびスリット910cが「ひび割れ」に相当し、表面920が「補修すべき面」に相当し、補修躯体990,990a、補修試験体990c,990d、および予備試験体990c’が「躯体の補修体」に相当する。
120 一液湿気硬化型樹脂組成物層
120a 一液湿気硬化型樹脂組成物層(強化繊維を含む一液湿気硬化型樹脂組成物層)
130a 樹脂含浸繊維層
150 水溶性層
160,1601,1602,1603 非水溶性層
170 剥離シート層
220 一液湿気硬化型樹脂硬化層(一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物)
220a 一液湿気硬化型樹脂硬化層
900 躯体
900c 試験体(躯体のモデル)
900c’ コンクリート普通平板(躯体のモデル)
900d コンクリートU形側溝蓋(躯体のモデル)
910 ひび割れ
910c スリット(ひび割れのモデル)
920 表面(補修すべき面)
990,990a 補修躯体(躯体の補修体)
990c,990d 補修試験体(躯体の補修体のモデル)
990c’ 予備試験体(躯体の補修体のモデル)
Claims (11)
- 一液湿気硬化型樹脂組成物層と、前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の少なくとも一方の面に積層された水溶性層と、を含む、躯体の補修用接着剤シート。
- 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層が強化繊維を含む、請求項1に記載の躯体の補修用接着剤シート。
- 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層が変性シリコーン樹脂を含む、請求項1または2に記載の躯体の補修用接着剤シート。
- 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の樹脂組成物のチクソインデックス値が、3.0以上10.0以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の躯体の補修用接着剤シート。
- 前記水溶性層が前記一方の面に積層され、他方の面に非水溶性層が積層されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の躯体の補修用接着剤シート。
- 前記非水溶性層が繊維を含む、請求項5に記載の躯体の補修用接着剤シート。
- 前記非水溶性層にさらに剥離シート層が設けられた、請求項5または6に記載の躯体の補修用接着剤シート。
- 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層が積層されていない部分が、前記非水溶性層の表面に額縁状に設けられた、請求項5から7のいずれか1項に記載の躯体の補修用接着剤シート。
- 躯体に、請求項1から8のいずれか1項に記載の接着剤シートを、前記躯体の補修すべき面および前記接着剤シートの前記水溶性層の少なくともいずれかが湿潤した状態で接着する接着工程と、
前記一液湿気硬化型樹脂組成物層を硬化させる硬化工程と、
を含む、躯体の補修方法。 - 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物の引張強さが0.7N/mm2以上である、請求項9に記載の躯体の補修方法。
- 前記一液湿気硬化型樹脂組成物層の硬化物の破断時伸びが10%以上である、請求項9または10に記載の躯体の補修方法。
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