JP2020133168A - コンクリート片はく落防止工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウレタンまたはウレアシートを貼り付けるだけですむので、補強用の繊維等も不要で、かつ、手作業で下地コンクリートに塗布ものに比べて、簡易かつ迅速に施工でき、高所作業車での作業においても、各工程で高所作業車を移動する必要がなく、プライマー工程から仕上工程まで完結できるため、工期の短縮が図れる上に、施工の品質も均一で安定したものとなるコンクリート片のはく落防止工法を提供する。【解決手段】コンクリート構造物の表層に厚み0.5mm以上3.0mm以下のウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けた。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート構造物において、コンクリートの劣化により当該構造物表面のコンクリート片が剥離して落下することを防止するコンクリート片はく落防止工法に関する。
従来、コンクリート構造物は、コンクリートの硬化収縮、中性化や、地盤沈下などでコンクリート構造物に変形応力が加わることを原因とするひび割れが発生することがあり、当該ひび割れが進行するとコンクリートの一部欠落やコンクリート構造物自体の破壊等が生じる恐れがある。
このため、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、首都高速道路公団、国土交通省等の指針にそって、コンクリート片はく落防止対策が実施されている。
(株)高速道路総合技術研究所発行の構造物施工管理要領(平成19年8月)では、はく落防止の押抜き試験方法によって、そのはく落防止性能は、変位10mm以上であって且つ1.5kN以上を保持することが規定されている。
また、首都高速道路株式会社においては、剥落防止対策の適用区分をA種:高欄及び張出床板(半地下への張り出し部等も含む)、B種:高欄側面、PC・RC桁、RC橋脚やトンネルなどのコンクリート構造物、に分類し、A種は、変位10mm以上であって且つ1.5kN以上を保持することが規定され、B種は、変位10mm以上であって且つ0.3kN以上を保持することが規定されている。
コンクリート構造物の表面に樹脂層を形成してなるコンクリート片のはく落防止方法としては、下記特許文献にもあるように、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維といった強化繊維を配列した強化繊維基材を、エポキシ樹脂等の常温硬化性樹脂で、コンクリート構造物表面に含浸接着する方法が知られている。
特開平9−59937号公報
この強化繊維基材を、エポキシ樹脂等の常温硬化性樹脂で、コンクリート構造物表面に含浸接着させる方法では、エポキシ樹脂を塗布する工程と繊維シートを積層する工程とによって施工工程数が増加し、施工に多大な時間を要する。
下記特許文献は前記はく落防止性能を満たしながら、繊維シートによる補強を不要とすることで施工に要する時間を大幅に削減し、また応力を分散させるための変位層を不要とし、さらには鏝やヘラ等を使用して手作業で施工が可能とすることで、吹き付け施工の際の施工を行なわない部位の入念な養生を不要とし、加えて指触乾燥時間が十分に速いポリウレア樹脂を使用することで、上層に上塗材を施工するまでの養生時間が極めて短時間となるコンクリート片はく落防止樹脂組成物及びその施工方法を提供するものとして提案された。
特許第5680821号公報
この特許文献2は、コンクリート構造物の表層に塗布する希釈材を含まないコンクリート片はく落防止樹脂組成物であって、芳香環直結のアミノ基を2つ含有する芳香族アミンのみから成るアミン樹脂と、NCO%が5%以上20%以下の末端イソシアネートプレポリマーから成るイソシアネート樹脂とを混合して成り、アミン樹脂とイソシアネート樹脂の混合後の粘度が、均一に混合された直後の粘度の2倍となるまでの時間が23℃にて5分以上30分未満であり、指触乾燥時間が5時間未満/23℃であり、引張強度が7.8MPa以上16.2MPa以下であり、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法の押し抜き最大荷重が1.5kN以上となることを特徴とするコンクリート片はく落防止樹脂組成物である。
特許文献2によれば、芳香族アミンから成るアミン樹脂とNCO%が5%以上20%以下の末端イソシアネートプレポリマーから成るイソシアネート樹脂とを混合することで、鏝やヘラを使用して手作業で塗布することができる可使時間が確保されると共に、塗膜の硬化が早く、上塗材を塗布するまでの養生時間が短時間である。また手作業で下地コンクリートに塗布することができるため、塗布を要しない部位の養生は簡易でよいとされる。
また、硬化後の塗膜は強靭であり、繊維シートによる補強や、変位層を設けることなく、(株)高速道路総合技術研究所発行の構造物施工管理要領(平成19年8月)による、はく落防止性能を満たすことができる。
コンクリート片はく落防止工事の適用部位は、橋梁高欄側面、張出床板下面、桁側面、桁下面、橋脚横梁側面、横梁下面、トンネル天井および側壁など、高所作業車や仮設足場にての作業となる。
前記特許文献2のような従来の工法は、プライマーを塗布した後、硬化乾燥養生行い、硬化乾燥を待ってパテ作業を行い、その後、中塗りを塗布した後、硬化乾燥養生行い、硬化乾燥を待って上塗りを行うために、実際の塗布作業よりも硬化乾燥養生のために時間を費やしていた。
そのため、各工程で高所作業車を移動し、再度、高所作業車を戻して次工程に移るという効率の悪い作業工程となっていた。
また、芳香環直結のアミノ基を2つ含有する芳香族アミンのみから成るアミン樹脂と、NCO%が5%以上20%以下の末端イソシアネートプレポリマーから成るイソシアネート樹脂とを混合して成るものであり、(この反応は、ポリウレアになる)芳香環直結のアミノ基を2つ含有する芳香族アミンのみ(ハードセグメントのみ)となるため、弾力性の少ないプラスティックライクの硬いものになってしまう。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、ウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるだけですむので、補強用の繊維等も不要で、かつ、手作業で下地コンクリートに塗布するものに比べて、簡易かつ迅速に施工でき、高所作業車での作業においても、各工程で高所作業車を移動する必要がなく、プライマー工程から仕上工程まで完結できるため、工期の短縮が図れる上に、施工の品質も均一で安定したものとなるコンクリート片はく落防止工法を提供することにある。
前記目的を達成するため、請求項1記載の本発明はコンクリート構造物の表層に厚み0.5mm以上3.0mm以下のウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けたことを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、下地コンクリートに塗布することの欠点を解消するため、成形したウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるものであり、このウレタンまたはウレアシートが厚み0.5mm以上3.0mm以下のものであれば、接着材により貼り付けることで、所望のはく落防止性能を満たすことができる。
プライマーを塗布した後、硬化乾燥養生行い、接着剤を塗布しながらウレタンまたはウレアシートを貼り付けてジョイント部を均せば終了となるため、高所作業車での作業においても、各工程で高所作業車を移動する必要がなく、プライマー工程から仕上工程まで完結するできるため、工期の短縮が図れる上に、工場で製造された均一な厚みと性能を有したウレタンまたはウレアシートによって、安定したコンクリート片はく落防止性能を担保することができる。
請求項2記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートは、23℃で引張強さが、10N/mm以上、引裂強さが30N/mm以上のJIS A 6021屋根用塗膜防水材のウレタンゴム系高強度形の性能を有することを要旨とするものである。
請求項2の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートは強靭であり、これを接着材によりコンクリート構造物の表層に貼り付けることにより、繊維シートによる補強や、変位層を設けることなく、(株)高速道路総合技術研究所発行の構造物施工管理要領(平成19年8月)による,はく落防止性能を満たすことができる。
請求項3記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートは、水酸基を2個以上有するポリプロピレングリコール(PPG)の水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマーに0%以上、15%以下の可塑剤を加えたNCO%が、8%以上〜16%以下の主材と、アミノ基を2個以上有するDETDAやPOAPA等のアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤、反応触媒、消泡剤および顔料を混合した硬化剤とを、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形したことを要旨とするものである
請求項3記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートは主材と硬化剤とを、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形することで、簡単に厚み0.5mm以上3.0mm以下のものが成形できる。
また、主材は水酸基を2個以上有するポリプロピレングリコール(PPG)の水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマー0%以上、15%以下の可塑剤を加えたNCO%が、8%以上〜16%以下のもの、硬化剤は、アミノ基を2個以上有するDETDAやPOAPA等のアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤、反応触媒、消泡剤および顔料を混合したものであり、60℃程度に加温することで、粘度が100mPa・s程度の低粘度になるため、ホースでの圧送が容易で、先端のガンで衝突混合により容易に混合されスプレー塗工され、塗工後、数十秒でゲル化し、30分程度で硬化するため、短いサイクルで製品の供給が可能である。
請求項4記載の本発明は、硬化剤のアミノ基と水酸基の割合は、アミノ基:水酸基=100:0〜60:40であることを要旨とするものである。
100:0は、全てアミノ基となるため、ポリウレア樹脂となり、水酸基が60:40の40部入ること、その40部との反応物は、ウレタン樹脂となる。
請求項4記載の本発明によれば、アミノ基との反応によるポリウレア樹脂と水酸基との反応によるウレタン樹脂が混在するポリウレアウレタン樹脂となる。
ウレア結合とウレタン結合では、結合エネルギーが異なり、ウレア結合>ウレタン結合となり、一定以上のウレア結合が性能を担保するために必要となる。
請求項5記載の本発明は、主剤のNCO基と硬化剤のアミノ基と水酸基を合計した基の比率は、NCO基:(アミノ基+水酸基)=1.0:1.05〜1.0:0.75であることを要旨とするものである。
請求項5記載の本発明によれば、主剤のNCO基に対し、アミノ基+水酸基を合計した基が多くなりすぎると、物性が低下し、硬化不良となり、少なすぎるとNCO基が空気中の水分と反応し、塗膜が発泡してしまう。
請求項6記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートの表面には、予め紫外線劣化を防ぐトップコートを施すことを要旨とするものである。
請求項6記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートの表面には、予め紫外線劣化を防ぐトップコートを施すことにより、コンクリート片はく落防止を行えるとともに、耐紫外線性能を発揮でき、劣化を防止できる。
請求項7記載の本発明は、接着剤は、壁面や天井面でもウレタンまたはウレアシートを固定できる揺変性性状を有し、下地プライマーとウレタンまたはウレアシートと接着する一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能とし、塗布する厚みは、0.2mm以上、2.0mm以下で好ましくは0.5mm以上1.5mm以下とすることを要旨とするものである。
成形したウレタンまたはウレアシートを貼り付けて所望のはく落防止性能を満たすことを行うのに、接着剤の性能、施工性は重要である。
請求項7記載の本発明によれば、一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能を有するものなので、ウレタンまたはウレアシートおよび下地プライマーに対する接着強度や伸び率等が高いので、耐久性があり、経時によって物性が低下することもなく、また、ウレタンまたはウレアシートが経時によって剥離することもない。
また、塗布する厚みは、0.2mm以上、2.0mm以下で好ましくは0.5mm以上1.5mm以下で済むので、均一な厚み確保を必要とせず、下地の凹凸に対して表面を平滑もしくは、櫛目状に塗布することで、表目のウレタンまたはウレアシートも平滑に仕上げることができる。
請求項8記載の本発明は、接着剤を塗布した後にウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、ウレタンまたはウレアシート同士の接合部は、突付けとし、接着剤をシートジョイント部で平滑に均すことを要旨とするものである。
請求項8記載の本発明によれば、接合部は、突付けとし、平坦な状態でジョイントすることができるので、ウレタンまたはウレアシートを変形させて貼り付ける必要がなく、且つ、ジョイント部が雨水等を受けることがなくなる。
また、シートジョイント部で平滑に均す接着剤は、一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能を有するものとする。
さらに、ウレタンまたはウレアシートを貼付ける際には接合部が生じるが、面での強度を重視するコンクリート片のはく落防止の観点から、2点ジョイントもしくは3点ジョイントとすることが好ましく、特に厚いウレタンまたはウレアシートを貼り付ける場合に有効な方法である。
請求項9記載の本発明は、接着剤を塗布した後にウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、ウレタンまたはウレアシート同士の接合部は、ラップもしくは、増し貼りとして接合部をより補強することを要旨とするものである。
請求項9記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートを貼付ける際には接合部が生じるが、このシートの接合部はラップもしくは、増し貼りとして接合部をより補強することで所望のはく落防止性能を満たすことができる。
これは、接合部は、ラップもしくは、増し貼りとして接合部の補強をすることができ、特に薄いウレタンまたはウレアシートを貼り付ける場合に有効な方法である。
請求項10記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートは、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が1.5kN以上で10mm以上の変位が確認できること、または、橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編(平成18年8月)首都高速道路株式会社の剥落防止工の評価基準B種のはく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が0.3kN以上で10mm以上の変位が確認できることの何れかに適合することを要旨とするものである。
請求項10記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートに使用する樹脂の物性強度や厚み、および、接着材およびジョイントシール材の物性強度を上げることで、最大荷重が1.5kN以上に適合できる。
請求項11記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートは、裏面を凹凸形状としたことを要旨とするものである。
請求項11記載の本発明によれば、シートの裏面を凹凸形状とし、凸部がいわゆる足となるのでコンクリート構造物の表層への接着はシートの裏面全面ではなく部分接着となり、シートが拘束され逃げることがなく、精度のよい防水施工ができる。
また、足相互間に形成される防水シート裏面凹部の空間は接着剤の充填箇所となり、接着面積が増し、かつ余分な接着剤の逃げ道となるもので、接着剤を好適厚さ、しかも均一に配設でき、精度のよい防水施工ができる。
以上述べたように本発明のコンクリート片はく落防止工法は、ウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるだけですむので、補強用の繊維等も不要で、かつ、手作業で下地コンクリートに塗布ものに比べて、簡易かつ迅速に施工でき、高所作業車での作業においても、各工程で高所作業車を移動する必要がなく、プライマー工程から仕上工程まで完結できるため、工期の短縮が図れる上に、施工の品質も均一で安定したものとなるものである。
本発明の効果を確認するための供試体の説明図である。 本発明の効果を確認するための供試体の浸水状態を示す側面図である。 本発明の効果を確認するための供試体のパターン説明図である。 シート相互の接合において、増し貼りの説明図である。 シート相互の接合において、重ね貼りの説明図である。 本発明の効果を確認するための供試体の押し抜き装置の説明図である。 本発明の剥落防止性能試験結果を示す写真である。 シートの裏面を凹凸形状とした場合の部分縦断側面図である。 シートの裏面を凹凸形状とした場合の部分裏面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、コンクリート構造物の表層に厚み0.5mm以上3.0mm以下のウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるものである。
本発明によるウレタンまたはウレアシートはその物性を下記表1に示すが、(リムクイック10・リムクイック15)23℃で引張強さが、10N/mm以上(このましくは11〜12N/mm以上)引裂強さが30N/mm以上のJIS A 6021屋根用塗膜防水材のウレタンゴム系高強度形の性能を有する。
本発明のウレタンまたはウレアシートは、主材と硬化剤とからなる2液タイプの材料を、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形したものである。
また、ウレタンまたはウレアシートは、図8、図9に示すように、シートの接着面(裏面)を波型のまたは凸部を点在させた凹凸形状としたものでよい。
図示の例ではシート1に球形の足1aを点在させた。足1a相互間に形成されるシート接着面凹部の空間を接着剤の充填箇所、かつ接着剤の逃げ道とすることができる。
前記主材と硬化剤とからなる2液タイプの材料のうち、主材は、水酸基を2個以上有するポリプロピレングリコール(PPG)の水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマーに0%以上、15%以下の可塑剤を加えたNCO%が、8%以上〜16%以下のものである。
ここで、「水酸基当量」とは、分子量を該分子中に含まれる水酸基の数で割った値を言う。「PPGの水酸基当量」とは、PPGの数平均分子量を、PPG1分子に含まれる水酸基の数で割った値を言う。
このようなPPGとしては、限定はされないが、具体的には、例えば、日油(株)社製、ユニオールD−1000、D−1500、D−2000、D−3000、D−4000、T−1500、T−3000、T−4000、T−5000等が挙げられる。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
前記4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートは、融点が40℃であるためイソシアネート基の一部をカルボジイミドおよび/またはウレトンイミン変性した常温で液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートもあり、MDI系プレポリマー性状を液状にするために用いられる。
MDI系プレポリマーを構成する、水酸基を2個以上有するPPGと、MDIとの配合比は、PPGの水酸基(OH基)と、MDIのイソシアネート基(NCO基)とのモル当量比(NCO/OH)で 1.8〜4.0であることが好ましく、2.7〜3.3であることがより好ましい。
前記のモル当量比(NCO/OH)が1.8未満では、MDI系プレポリマーの粘度が極端に高くなり機械で圧送することができなくなる上にNCO%が低くなり、物性が低下する。一方、上記のモル当量比(NCO/OH)が4.0を超えると、MDI系プレポリマーの粘度は低くなるがNCO%が高くなり、高温で硬化する時に発泡しやすくなる。
前記のモル当量比(NCO/OH)が2.7では、MDIプレポリマーのイソシアネート基(NCO基)とMDIモノマーのイソシアネート基(NCO基)とのモル当量比が1.0:0.7となり、前記のモル当量比(NCO/OH)が3.3では、MDIプレポリマーとMDIのモノマーとのモル当量比が1.0:1.3となる。MDIプレポリマーとMDIのモノマーとのモル当量比が1.0:1.0±0.3の範囲であることが好ましい理由は、反応性の関係から、硬化剤中のアミンと、分子量が小さく、反応性の高いMDIのモノマーとが先に反応して、ウレア結合して硬度を発現し、硬化剤中のアミンおよびポリオールがMDIプレポリマーと反応して伸びを発現する高分子になると考えられるからである。
MDIプレポリマーを生成するには、水酸基を2個以上有するPPGとMDIのモノマーとを、上記の配合比で混合し、その液状の混合物を攪拌しながら加熱して、反応させる。
ここで可塑剤とは、公知のものが使用できるが、フタル酸エステル系やエーテル系可塑剤が好ましい。
可塑剤は、ブリードや抽出、安全性等の観点から以下のものが好ましい。具体的には、例えば、DINP(三菱ケミカル株式会社製)、DMP(大八化学工業株式会社製)、DEP(大八化学工業株式会社製)、DBP(大八化学工業株式会社製)、DOP(大八化学工業株式会社製)、DIDP(大八化学工業株式会社製)、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの酢酸エステル(三洋化成工業社製、サンフレックスSK−500)、末端エステル化多官能ポリエーテル(三洋化成工業社製、サンフレックスGPA−3000)、ショ糖のポリエーテル化樹脂(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80、数平均分子量8000)、水酸基をアルキルエステル化(封鎖)したポリオキシアルキレン(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80)、末端エステル化多官能ポリエーテル(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80)等が挙げられる。
硬化剤は、アミノ基を2個以上有するジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)やPOAPA等のアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤、反応触媒、可塑剤、消泡剤および顔料を混合したものである。
DETDAは、ベンゼン環に、2個のエチル基と、1個のメチル基と、2個のアミノ基が結合した化合物を言い、2,4−ジエチル−6−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン等が挙げられる。また、「DETDA」には、それらの混合物も含まれる。
硬化剤中にDETDAを含有させることによって、主剤(ウレタンプレポリマー)との反応で、シートの引張り強度等の強度又は硬度と言った物性を向上させる効果を奏する。
POAPA(ポリオキシアルキレンポリアミン)中のアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定はないが、2個以上5個以下が好ましく、2個以上4個以下がより好ましく、2個又は3個が特に好ましい。POAPA中のアミノ基の数が多過ぎると、三次元的に速く反応するために粘度上昇が速くなる等の場合がある。
POAPAとしては、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシトリメチレンジアミン(ポリトリメチレンエーテルジアミン)、ポリオキシテトラメチレンジアミン(ポリテトラメチレンエーテルジアミン)(PTMEDA)等が、主剤中のウレタンプレポリマーとの反応性や粘度性状及び原料価格等の点等から特に好ましい。
ウレタンまたはウレアシートのウレタンシートの場合は、ポリウレタン樹脂によるもので、主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーと、硬化剤としてのポリオールとを混合撹拌することによって、ウレタン結合を形成させて得られるものである。
ウレアシートの場合は、ポリウレア樹脂によるもので、主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーと、硬化剤としてのポリアミンとを混合撹拌することによって、ウレア結合(尿素結合)を形成させて得られるものである。
一般に使用されているポリウレア樹脂(ポリウレア塗膜形成組成物)における主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーは、末端に2個の水酸基(−OH)を有する化合物に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を反応させて得られるものである。すなわち、該ポリイソシアネートプレポリマーとしては、水酸基のモル数に対し過剰にMDIを添加して、高温にて混合撹拌して反応させた、イソシアネート基(−NCO)が約13〜約16%のMDIプレポリマーが用いられている。
一方、一般に使用されているポリウレア樹脂(ポリウレア塗膜形成組成物)における硬化剤としては、種々のジアミン化合物に顔料を混合したもの等が知られている。
ウレタンまたはウレアシートの表面には、予め紫外線劣化を防ぐトップコートを施すこともできる。紫外線防止機能を有する材料としては、例えば、株式会社ダイフレックスのコスミック・トップUV、コスミック・トップS、コスミック・トップP、コスミック・ゼロトップAS、コスミック・フッ素ゼロトップ、コスミック・水性トップ100Sを使用する。
前記のごとくウレタンまたはウレアシートは、主材と硬化剤とからなる2液タイプの材料を、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形したものであるが、材料を吹き付ける前に、トップコートの材料を吹き付けておく。
すなわち、ウレタンまたはウレアシートは、予め工場内で型枠に、先ずトップコート剤を吹き付けるか又はローラーや刷毛にて塗布し、硬化させた後に、前記材料を吹き付け、硬化させた後に該型枠から剥離することにより得ることが好ましい。型枠表面は、硬化させて得られたウレタンまたはウレアシートが型枠表面から剥離し易いように、離型剤により離型処理しておくことが好ましい。
接着剤は、壁面や天井面でもウレタンまたはウレアシートを固定できる揺変性性状を有し、下地プライマーとウレタンまたはウレアシートと接着する一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能とし、塗布する厚みは、0.5mm以上、2.0mm以下で好ましくは0.5mm以上1.5mm以下とする。
このような接着剤としては、一成分形のものとしては、株式会社ダイフレックスのハイフレックスUH−1、株式会社東郊産業のSUシーラントQUICK NBを挙げることができる。
二成分形のものとしては、株式会社ダイフレックスのハイフレックスPU−2、コニシ株式会社のボンド ビューシール6909を挙げることができる。
本発明は、接着剤を塗布した後に、ウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、シートの接合部は突付けとし、接着剤をジョイント部で平滑に均す。
また、接合部は、付け合わせまたは重ね貼り(ラップ)もしくは、増し貼りとして接合部をより補強する。図4に増し貼りの例を、図5に重ね貼りの例を示す。
ウレタンまたはウレアシートは、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が1.5kN以上で10mm以上の変位が確認できること、または、橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編(平成18年8月)首都高速道路株式会社の剥落防止工の評価基準B種のはく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が0.3kN以上で10mm以上の変位が確認できることの何れかに適合するものである。
次に、本発明の効果を確認するために行った評価試験結果について説明する。
評価方法は下記の通りである。
(押し抜き最大荷重)
供試体
JIS A5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)付属書5に規定する上ぶた式U形側溝(ふた)の1種呼び名300(400×600×60mm)(以下、「U形ふた」という。)のコンクリート中央部裏面を、φ100mmの形状かつ55mm±0.5mmの深さで、コンクリート用コアカッターにより切り込みを入れた。
U形ふたを23±2℃に保たれた水中に24時間以上水浸させた。
U形ふたを水中より取出し、U形ふたを30mm水浸した状態に再設置し、表面の水滴をウエスで除去する。表面を、サンディング処理し、この処理面に対し、レジプライマーPW−F(株式会社ダイフレックス社製エポキシ樹脂プライマー)を0.2kg/m2を塗布し、30分間養生した後にハイフレックスUH−1(株式会社ダイフレックス社製)を0.5〜2.0kg/m2を塗布した。
ハイフレックスUH−1塗布後直ちに、23℃、RH50%条件下にてプラマックス5000(株式会社ダイフレックス製ポリウレア樹脂)、リムクイック10および15製シート(多摩防水技研株式会社製ポリウレタン樹脂)厚み0.5〜3.0mm、縦横400mmを貼り付けて転圧後、7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、10、20、30、40mm変位時の剥離範囲でマーキングを行い、最大50mmの変位まで載荷を行い、10mm変位以上の最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
また、三点ジョイントの性能を確認するために、ハイフレックスUH−1塗布後直ちに、23℃、RH50%条件下にてプラマックス5000(株式会社ダイフレックス製ポリウレア樹脂)、リムクイック10および15製シート(多摩防水技研株式会社製ポリウレタン樹脂)厚み0.5〜3.0mm、縦400mm、横198mm1枚と、縦198mm、横198mmを2枚、3〜4mmの隙間を開けて貼り付けて転圧後、ジョイント部の接着剤をヘラで平滑に均し、7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、10、20、30、40mm変位時の剥離範囲でマーキングを行い、最大50mmの変位まで載荷を行い、10mm変位以上の最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
比較例として、縦600mm、横450mmの厚み6.0mmのガラス板4枚を水平に設置し、離型剤N−920(中京油脂株式会社製)を0.5kg/m2を塗布し、30分間乾燥養生をした後、周囲に0.5mm×5.0mm、1.0mm×5.0mm、2.0mm×5.0mm、3.0mm×5.0mmの糊付バックアップ材を貼り付けた。
そこに、(JIS A 6021ウレタンゴム系塗膜防水材高伸長形のコスミック ゼロ12(株式会社ダイフレックス製)を混合攪拌し、ウエットゲージで測定しながら0.5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmの厚みになるように流し込み、7日間養生した後、脱型して高伸長形ウレタンのシートを作成した。
U形ふたを水中より取出し、U形ふたを30mm水浸した状態に再設置し、表面の水滴をウエスで除去する。表面を、サンディング処理し、この処理面に対し、レジプライマーPW−F(株式会社ダイフレックス社製エポキシ樹脂プライマー)を0.2kg/m2を塗布し、30分間養生した後にハイフレックスUH−1(株式会社ダイフレックス社製)を0.5〜2.0kg/m2を塗布した。
ハイフレックスUH−1塗布後直ちに、23℃、RH50%条件下にてコスミック ゼロ12(株式会社ダイフレックス製)で作成した高伸長形ウレタンのシート厚み0.5〜3.0mm、縦横400mmを貼り付けて転圧後、7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、10、20、30、40mm変位時の剥離範囲でマーキングを行い、最大50mmの変位まで載荷を行い、10mm変位以上の最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
総合評価
下記表2に示すように、総合評価は、10mm変位以上で押し抜き最大荷重が1.5kN以上を満たすものを◎、0.3kN以上を満たすものを〇、そうでないものを×とした。

本発明は、コンクリート構造物において、コンクリートの劣化により当該構造物表面のコンクリート片が剥離して落下することを防止するコンクリート片はく落防止工法に関する。
従来、コンクリート構造物は、コンクリートの硬化収縮、中性化や、地盤沈下などでコンクリート構造物に変形応力が加わることを原因とするひび割れが発生することがあり、当該ひび割れが進行するとコンクリートの一部欠落やコンクリート構造物自体の破壊等が生じる恐れがある。
このため、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、首都高速道路公団、国土交通省等の指針にそって、コンクリート片はく落防止対策が実施されている。
(株)高速道路総合技術研究所発行の構造物施工管理要領(平成19年8月)では、はく落防止の押抜き試験方法によって、そのはく落防止性能は、変位10mm以上であって且つ1.5kN以上を保持することが規定されている。
また、首都高速道路株式会社においては、剥落防止対策の適用区分をA種:高欄及び張出床板(半地下への張り出し部等も含む)、B種:高欄側面、PC・RC桁、RC橋脚やトンネルなどのコンクリート構造物、に分類し、A種は、変位10mm以上であって且つ1.5kN以上を保持することが規定され、B種は、変位10mm以上であって且つ0.3kN以上を保持することが規定されている。
コンクリート構造物の表面に樹脂層を形成してなるコンクリート片のはく落防止方法としては、下記特許文献にもあるように、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維といった強化繊維を配列した強化繊維基材を、エポキシ樹脂等の常温硬化性樹脂で、コンクリート構造物表面に含浸接着する方法が知られている。
特開平9−59937号公報
この強化繊維基材を、エポキシ樹脂等の常温硬化性樹脂で、コンクリート構造物表面に含浸接着させる方法では、エポキシ樹脂を塗布する工程と繊維シートを積層する工程とによって施工工程数が増加し、施工に多大な時間を要する。
下記特許文献は前記はく落防止性能を満たしながら、繊維シートによる補強を不要とすることで施工に要する時間を大幅に削減し、また応力を分散させるための変位層を不要とし、さらには鏝やヘラ等を使用して手作業で施工が可能とすることで、吹き付け施工の際の施工を行なわない部位の入念な養生を不要とし、加えて指触乾燥時間が十分に速いポリウレア樹脂を使用することで、上層に上塗材を施工するまでの養生時間が極めて短時間となるコンクリート片はく落防止樹脂組成物及びその施工方法を提供するものとして提案された。
特許第5680821号公報
この特許文献2は、コンクリート構造物の表層に塗布する希釈材を含まないコンクリート片はく落防止樹脂組成物であって、芳香環直結のアミノ基を2つ含有する芳香族アミンのみから成るアミン樹脂と、NCO%が5%以上20%以下の末端イソシアネートプレポリマーから成るイソシアネート樹脂とを混合して成り、アミン樹脂とイソシアネート樹脂の混合後の粘度が、均一に混合された直後の粘度の2倍となるまでの時間が23℃にて5分以上30分未満であり、指触乾燥時間が5時間未満/23℃であり、引張強度が7.8MPa以上16.2MPa以下であり、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法の押し抜き最大荷重が1.5kN以上となることを特徴とするコンクリート片はく落防止樹脂組成物である。
特許文献2によれば、芳香族アミンから成るアミン樹脂とNCO%が5%以上20%以下の末端イソシアネートプレポリマーから成るイソシアネート樹脂とを混合することで、鏝やヘラを使用して手作業で塗布することができる可使時間が確保されると共に、塗膜の硬化が早く、上塗材を塗布するまでの養生時間が短時間である。また手作業で下地コンクリートに塗布することができるため、塗布を要しない部位の養生は簡易でよいとされる。
また、硬化後の塗膜は強靭であり、繊維シートによる補強や、変位層を設けることなく、(株)高速道路総合技術研究所発行の構造物施工管理要領(平成19年8月)による、はく落防止性能を満たすことができる。
コンクリート片はく落防止工事の適用部位は、橋梁高欄側面、張出床板下面、桁側面、桁下面、橋脚横梁側面、横梁下面、トンネル天井および側壁など、高所作業車や仮設足場にての作業となる。
前記特許文献2のような従来の工法は、プライマーを塗布した後、硬化乾燥養生行い、硬化乾燥を待ってパテ作業を行い、その後、中塗りを塗布した後、硬化乾燥養生行い、硬化乾燥を待って上塗りを行うために、実際の塗布作業よりも硬化乾燥養生のために時間を費やしていた。
そのため、各工程で高所作業車を移動し、再度、高所作業車を戻して次工程に移るという効率の悪い作業工程となっていた。
また、芳香環直結のアミノ基を2つ含有する芳香族アミンのみから成るアミン樹脂と、NCO%が5%以上20%以下の末端イソシアネートプレポリマーから成るイソシアネート樹脂とを混合して成るものであり、(この反応は、ポリウレアになる)芳香環直結のアミノ基を2つ含有する芳香族アミンのみ(ハードセグメントのみ)となるため、弾力性の少ないプラスティックライクの硬いものになってしまう。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、ウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるだけですむので、補強用の繊維等も不要で、かつ、手作業で下地コンクリートに塗布するものに比べて、簡易かつ迅速に施工でき、高所作業車での作業においても、各工程で高所作業車を移動する必要がなく、プライマー工程から仕上工程まで完結できるため、工期の短縮が図れる上に、施工の品質も均一で安定したものとなるコンクリート片はく落防止工法を提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、コンクリート構造物の表層に厚み0.5mm以上3.0mm以下で、23℃で引張強さが、10N/mm 以上、引裂強さが30N/mm以上のJIS A 6021屋根用塗膜防水材のウレタンゴム系高強度形の性能を有するウレタンまたはウレアシートを、壁面や天井面でもウレタンまたはウレアシートを固定できる揺変性性状を有し、下地プライマーとウレタンまたはウレアシートと接着する一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能とし、塗布する厚みは、0.2mm以上、2.0mm以下で好ましくは0.5mm以上1.5mm以下とする接着材により貼り付けたことを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、下地コンクリートに塗布することの欠点を解消するため、成形したウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるものであり、このウレタンまたはウレアシートが厚み0.5mm以上3.0mm以下のものであれば、接着材により貼り付けることで、所望のはく落防止性能を満たすことができる。
プライマーを塗布した後、硬化乾燥養生行い、接着剤を塗布しながらウレタンまたはウレアシートを貼り付けてジョイント部を均せば終了となるため、高所作業車での作業においても、各工程で高所作業車を移動する必要がなく、プライマー工程から仕上工程まで完結するできるため、工期の短縮が図れる上に、工場で製造された均一な厚みと性能を有したウレタンまたはウレアシートによって、安定したコンクリート片はく落防止性能を担保することができる。
さらに、ウレタンまたはウレアシートは強靭であり、これを接着材によりコンクリート構造物の表層に貼り付けることにより、繊維シートによる補強や、変位層を設けることなく、(株)高速道路総合技術研究所発行の構造物施工管理要領(平成19年8月)による,はく落防止性能を満たすことができる。
また、成形したウレタンまたはウレアシートを貼り付けて所望のはく落防止性能を満たすことを行うのに、接着剤の性能、施工性は重要である。
一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能を有するものなので、ウレタンまたはウレアシートおよび下地プライマーに対する接着強度や伸び率等が高いので、耐久性があり、経時によって物性が低下することもなく、また、ウレタンまたはウレアシートが経時によって剥離することもない。
また、塗布する厚みは、0.2mm以上、2.0mm以下で好ましくは0.5mm以上1.5mm以下で済むので、均一な厚み確保を必要とせず、下地の凹凸に対して表面を平滑もしくは、櫛目状に塗布することで、表目のウレタンまたはウレアシートも平滑に仕上げることができる。
請求項記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートは、水酸基を2個以上有するポリプロピレングリコール(PPG)の水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマーに0%以上、15%以下の可塑剤を加えたNCO%が、8%以上〜16%以下の主材と、アミノ基を2個以上有するDETDAやPOAPA等のアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤、反応触媒、消泡剤および顔料を混合した硬化剤とを、加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形したことを要旨とするものである
請求項記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートは主材と硬化剤とを、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形することで、簡単に厚み0.5mm以上3.0mm以下のものが成形できる。
また、主材は水酸基を2個以上有するポリプロピレングリコール(PPG)の水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマー0%以上、15%以下の可塑剤を加えたNCO%が、8%以上〜16%以下のもの、硬化剤は、アミノ基を2個以上有するDETDAやPOAPA等のアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤、反応触媒、消泡剤および顔料を混合したものであり、60℃程度に加温することで、粘度が100mPa・s程度の低粘度になるため、ホースでの圧送が容易で、先端のガンで衝突混合により容易に混合されスプレー塗工され、塗工後、数十秒でゲル化し、30分程度で硬化するため、短いサイクルで製品の供給が可能である。
請求項記載の本発明は、硬化剤のアミノ基と水酸基の割合は、アミノ基:水酸基=100:0〜60:40であることを要旨とするものである。
100:0は、全てアミノ基となるため、ポリウレア樹脂となり、水酸基が60:40の40部入ること、その40部との反応物は、ウレタン樹脂となる。
請求項記載の本発明によれば、アミノ基との反応によるポリウレア樹脂と水酸基との反応によるウレタン樹脂が混在するポリウレアウレタン樹脂となる。
ウレア結合とウレタン結合では、結合エネルギーが異なり、ウレア結合>ウレタン結合となり、一定以上のウレア結合が性能を担保するために必要となる。
請求項記載の本発明は、主剤のNCO基と硬化剤のアミノ基と水酸基を合計した基の比率は、NCO基:(アミノ基+水酸基)=1.0:1.05〜1.0:0.75であることを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、主剤のNCO基に対し、アミノ基+水酸基を合計した基が多くなりすぎると、物性が低下し、硬化不良となり、少なすぎるとNCO基が空気中の水分と反応し、塗膜が発泡してしまう。
請求項記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートの表面には、予め紫外線劣化を防ぐトップコートを施すことを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートの表面には、予め紫外線劣化を防ぐトップコートを施すことにより、コンクリート片はく落防止を行えるとともに、耐紫外線性能を発揮でき、劣化を防止できる。
請求項記載の本発明は、接着剤を塗布した後にウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、ウレタンまたはウレアシート同士の接合部は、突付けとし、接着剤をシートジョイント部で平滑に均すことを要旨とするものである。
請求項記載の本発明は、接着剤を塗布した後にウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、ウレタンまたはウレアシート同士の接合部は、ラップもしくは、増し貼りとして接合部をより補強することを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートを貼付ける際には接合部が生じるが、このシートの接合部はラップもしくは、増し貼りとして接合部をより補強することで所望のはく落防止性能を満たすことができる。
これは、接合部は、ラップもしくは、増し貼りとして接合部の補強をすることができ、特に薄いウレタンまたはウレアシートを貼り付ける場合に有効な方法である。
請求項記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートは、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が1.5kN以上で10mm以上の変位が確認できること、または、橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編(平成18年8月)首都高速道路株式会社の剥落防止工の評価基準B種のはく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が0.3kN以上で10mm以上の変位が確認できることの何れかに適合することを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、ウレタンまたはウレアシートに使用する樹脂の物性強度や厚み、および、接着材およびジョイントシール材の物性強度を上げることで、最大荷重が1.5kN以上に適合できる。
請求項記載の本発明は、ウレタンまたはウレアシートは、裏面を凹凸形状としたことを要旨とするものである。
請求項記載の本発明によれば、シートの裏面を凹凸形状とし、凸部がいわゆる足となるのでコンクリート構造物の表層への接着はシートの裏面全面ではなく部分接着となり、シートが拘束され逃げることがなく、精度のよい防水施工ができる。
また、足相互間に形成される防水シート裏面凹部の空間は接着剤の充填箇所となり、接着面積が増し、かつ余分な接着剤の逃げ道となるもので、接着剤を好適厚さ、しかも均一に配設でき、精度のよい防水施工ができる。
以上述べたように本発明のコンクリート片はく落防止工法は、ウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるだけですむので、補強用の繊維等も不要で、かつ、手作業で下地コンクリートに塗布ものに比べて、簡易かつ迅速に施工でき、高所作業車での作業においても、各工程で高所作業車を移動する必要がなく、プライマー工程から仕上工程まで完結できるため、工期の短縮が図れる上に、施工の品質も均一で安定したものとなるものである。
本発明の効果を確認するための供試体の説明図である。 本発明の効果を確認するための供試体の浸水状態を示す側面図である。 本発明の効果を確認するための供試体のパターン説明図である。 シート相互の接合において、増し貼りの説明図である。 シート相互の接合において、重ね貼りの説明図である。 本発明の効果を確認するための供試体の押し抜き装置の説明図である。 本発明の剥落防止性能試験結果を示す写真である。 シートの裏面を凹凸形状とした場合の部分縦断側面図である。 シートの裏面を凹凸形状とした場合の部分裏面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、コンクリート構造物の表層に厚み0.5mm以上3.0mm以下のウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けるものである。
本発明によるウレタンまたはウレアシートはその物性を下記表1に示すが、(リムクイック10・リムクイック15)23℃で引張強さが、10N/mm以上(このましくは11〜12N/mm以上)引裂強さが30N/mm以上のJIS A 6021屋根用塗膜防水材のウレタンゴム系高強度形の性能を有する。
本発明のウレタンまたはウレアシートは、主材と硬化剤とからなる2液タイプの材料を、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形したものである。
また、ウレタンまたはウレアシートは、図8、図9に示すように、シートの接着面(裏面)を波型のまたは凸部を点在させた凹凸形状としたものでよい。
図示の例ではシート1に球形の足1aを点在させた。足1a相互間に形成されるシート接着面凹部の空間を接着剤の充填箇所、かつ接着剤の逃げ道とすることができる。
前記主材と硬化剤とからなる2液タイプの材料のうち、主材は、水酸基を2個以上有するポリプロピレングリコール(PPG)の水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマーに0%以上、15%以下の可塑剤を加えたNCO%が、8%以上〜16%以下のものである。
ここで、「水酸基当量」とは、分子量を該分子中に含まれる水酸基の数で割った値を言う。「PPGの水酸基当量」とは、PPGの数平均分子量を、PPG1分子に含まれる水酸基の数で割った値を言う。
このようなPPGとしては、限定はされないが、具体的には、例えば、日油(株)社製、ユニオールD−1000、D−1500、D−2000、D−3000、D−4000、T−1500、T−3000、T−4000、T−5000等が挙げられる。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
前記4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートは、融点が40℃であるためイソシアネート基の一部をカルボジイミドおよび/またはウレトンイミン変性した常温で液状の変性ジフェニルメタンジイソシアネートもあり、MDI系プレポリマー性状を液状にするために用いられる。
MDI系プレポリマーを構成する、水酸基を2個以上有するPPGと、MDIとの配合比は、PPGの水酸基(OH基)と、MDIのイソシアネート基(NCO基)とのモル当量比(NCO/OH)で 1.8〜4.0であることが好ましく、2.7〜3.3であることがより好ましい。
前記のモル当量比(NCO/OH)が1.8未満では、MDI系プレポリマーの粘度が極端に高くなり機械で圧送することができなくなる上にNCO%が低くなり、物性が低下する。一方、上記のモル当量比(NCO/OH)が4.0を超えると、MDI系プレポリマーの粘度は低くなるがNCO%が高くなり、高温で硬化する時に発泡しやすくなる。
前記のモル当量比(NCO/OH)が2.7では、MDIプレポリマーのイソシアネート基(NCO基)とMDIモノマーのイソシアネート基(NCO基)とのモル当量比が1.0:0.7となり、前記のモル当量比(NCO/OH)が3.3では、MDIプレポリマーとMDIのモノマーとのモル当量比が1.0:1.3となる。MDIプレポリマーとMDIのモノマーとのモル当量比が1.0:1.0±0.3の範囲であることが好ましい理由は、反応性の関係から、硬化剤中のアミンと、分子量が小さく、反応性の高いMDIのモノマーとが先に反応して、ウレア結合して硬度を発現し、硬化剤中のアミンおよびポリオールがMDIプレポリマーと反応して伸びを発現する高分子になると考えられるからである。
MDIプレポリマーを生成するには、水酸基を2個以上有するPPGとMDIのモノマーとを、上記の配合比で混合し、その液状の混合物を攪拌しながら加熱して、反応させる。
ここで可塑剤とは、公知のものが使用できるが、フタル酸エステル系やエーテル系可塑剤が好ましい。
可塑剤は、ブリードや抽出、安全性等の観点から以下のものが好ましい。具体的には、例えば、DINP(三菱ケミカル株式会社製)、DMP(大八化学工業株式会社製)、DEP(大八化学工業株式会社製)、DBP(大八化学工業株式会社製)、DOP(大八化学工業株式会社製)、DIDP(大八化学工業株式会社製)、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの酢酸エステル(三洋化成工業社製、サンフレックスSK−500)、末端エステル化多官能ポリエーテル(三洋化成工業社製、サンフレックスGPA−3000)、ショ糖のポリエーテル化樹脂(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80、数平均分子量8000)、水酸基をアルキルエステル化(封鎖)したポリオキシアルキレン(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80)、末端エステル化多官能ポリエーテル(三洋化成工業社製、サンフレックスSPX−80)等が挙げられる。
硬化剤は、アミノ基を2個以上有するジエチルメチルベンゼンジアミン(DETDA)やPOAPA等のアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤、反応触媒、可塑剤、消泡剤および顔料を混合したものである。
DETDAは、ベンゼン環に、2個のエチル基と、1個のメチル基と、2個のアミノ基が結合した化合物を言い、2,4−ジエチル−6−メチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,6−ジエチル−4−メチル−1,3−ベンゼンジアミン等が挙げられる。また、「DETDA」には、それらの混合物も含まれる。
硬化剤中にDETDAを含有させることによって、主剤(ウレタンプレポリマー)との反応で、シートの引張り強度等の強度又は硬度と言った物性を向上させる効果を奏する。
POAPA(ポリオキシアルキレンポリアミン)中のアミノ基の数は、2個以上であれば特に限定はないが、2個以上5個以下が好ましく、2個以上4個以下がより好ましく、2個又は3個が特に好ましい。POAPA中のアミノ基の数が多過ぎると、三次元的に速く反応するために粘度上昇が速くなる等の場合がある。
POAPAとしては、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシトリメチレンジアミン(ポリトリメチレンエーテルジアミン)、ポリオキシテトラメチレンジアミン(ポリテトラメチレンエーテルジアミン)(PTMEDA)等が、主剤中のウレタンプレポリマーとの反応性や粘度性状及び原料価格等の点等から特に好ましい。
ウレタンまたはウレアシートのウレタンシートの場合は、ポリウレタン樹脂によるもので、主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーと、硬化剤としてのポリオールとを混合撹拌することによって、ウレタン結合を形成させて得られるものである。
ウレアシートの場合は、ポリウレア樹脂によるもので、主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーと、硬化剤としてのポリアミンとを混合撹拌することによって、ウレア結合(尿素結合)を形成させて得られるものである。
一般に使用されているポリウレア樹脂(ポリウレア塗膜形成組成物)における主剤としてのポリイソシアネートプレポリマーは、末端に2個の水酸基(−OH)を有する化合物に、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を反応させて得られるものである。すなわち、該ポリイソシアネートプレポリマーとしては、水酸基のモル数に対し過剰にMDIを添加して、高温にて混合撹拌して反応させた、イソシアネート基(−NCO)が約13〜約16%のMDIプレポリマーが用いられている。
一方、一般に使用されているポリウレア樹脂(ポリウレア塗膜形成組成物)における硬化剤としては、種々のジアミン化合物に顔料を混合したもの等が知られている。
ウレタンまたはウレアシートの表面には、予め紫外線劣化を防ぐトップコートを施すこともできる。紫外線防止機能を有する材料としては、例えば、株式会社ダイフレックスのコスミック・トップUV、コスミック・トップS、コスミック・トップP、コスミック・ゼロトップAS、コスミック・フッ素ゼロトップ、コスミック・水性トップ100Sを使用する。
前記のごとくウレタンまたはウレアシートは、主材と硬化剤とからなる2液タイプの材料を、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形したものであるが、材料を吹き付ける前に、トップコートの材料を吹き付けておく。
すなわち、ウレタンまたはウレアシートは、予め工場内で型枠に、先ずトップコート剤を吹き付けるか又はローラーや刷毛にて塗布し、硬化させた後に、前記材料を吹き付け、硬化させた後に該型枠から剥離することにより得ることが好ましい。型枠表面は、硬化させて得られたウレタンまたはウレアシートが型枠表面から剥離し易いように、離型剤により離型処理しておくことが好ましい。
接着剤は、壁面や天井面でもウレタンまたはウレアシートを固定できる揺変性性状を有し、下地プライマーとウレタンまたはウレアシートと接着する一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能とし、塗布する厚みは、0.5mm以上、2.0mm以下で好ましくは0.5mm以上1.5mm以下とする。
このような接着剤としては、一成分形のものとしては、株式会社ダイフレックスのハイフレックスUH−1、株式会社東郊産業のSUシーラントQUICK NBを挙げることができる。
二成分形のものとしては、株式会社ダイフレックスのハイフレックスPU−2、コニシ株式会社のボンド ビューシール6909を挙げることができる。
本発明は、接着剤を塗布した後に、ウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、シートの接合部は突付けとし、接着剤をジョイント部で平滑に均す。
また、接合部は、付け合わせまたは重ね貼り(ラップ)もしくは、増し貼りとして接合部をより補強する。図4に増し貼りの例を、図5に重ね貼りの例を示す。
ウレタンまたはウレアシートは、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が1.5kN以上で10mm以上の変位が確認できること、または、橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編(平成18年8月)首都高速道路株式会社の剥落防止工の評価基準B種のはく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が0.3kN以上で10mm以上の変位が確認できることの何れかに適合するものである。
次に、本発明の効果を確認するために行った評価試験結果について説明する。
評価方法は下記の通りである。
(押し抜き最大荷重)
供試体
JIS A5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)付属書5に規定する上ぶた式U形側溝(ふた)の1種呼び名300(400×600×60mm)(以下、「U形ふた」という。)のコンクリート中央部裏面を、φ100mmの形状かつ55mm±0.5mmの深さで、コンクリート用コアカッターにより切り込みを入れた。
U形ふたを23±2℃に保たれた水中に24時間以上水浸させた。
U形ふたを水中より取出し、U形ふたを30mm水浸した状態に再設置し、表面の水滴をウエスで除去する。表面を、サンディング処理し、この処理面に対し、レジプライマーPW−F(株式会社ダイフレックス社製エポキシ樹脂プライマー)を0.2kg/m2を塗布し、30分間養生した後にハイフレックスUH−1(株式会社ダイフレックス社製)を0.5〜2.0kg/m2を塗布した。
ハイフレックスUH−1塗布後直ちに、23℃、RH50%条件下にてプラマックス5000(株式会社ダイフレックス製ポリウレア樹脂)、リムクイック10および15製シート(多摩防水技研株式会社製ポリウレタン樹脂)厚み0.5〜3.0mm、縦横400mmを貼り付けて転圧後、7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、10、20、30、40mm変位時の剥離範囲でマーキングを行い、最大50mmの変位まで載荷を行い、10mm変位以上の最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
また、三点ジョイントの性能を確認するために、ハイフレックスUH−1塗布後直ちに、23℃、RH50%条件下にてプラマックス5000(株式会社ダイフレックス製ポリウレア樹脂)、リムクイック10および15製シート(多摩防水技研株式会社製ポリウレタン樹脂)厚み0.5〜3.0mm、縦400mm、横198mm1枚と、縦198mm、横198mmを2枚、3〜4mmの隙間を開けて貼り付けて転圧後、ジョイント部の接着剤をヘラで平滑に均し、7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、10、20、30、40mm変位時の剥離範囲でマーキングを行い、最大50mmの変位まで載荷を行い、10mm変位以上の最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
比較例として、縦600mm、横450mmの厚み6.0mmのガラス板4枚を水平に設置し、離型剤N−920(中京油脂株式会社製)を0.5kg/m2を塗布し、30分間乾燥養生をした後、周囲に0.5mm×5.0mm、1.0mm×5.0mm、2.0mm×5.0mm、3.0mm×5.0mmの糊付バックアップ材を貼り付けた。
そこに、(JIS A 6021ウレタンゴム系塗膜防水材高伸長形のコスミック ゼロ12(株式会社ダイフレックス製)を混合攪拌し、ウエットゲージで測定しながら0.5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmの厚みになるように流し込み、7日間養生した後、脱型して高伸長形ウレタンのシートを作成した。
U形ふたを水中より取出し、U形ふたを30mm水浸した状態に再設置し、表面の水滴をウエスで除去する。表面を、サンディング処理し、この処理面に対し、レジプライマーPW−F(株式会社ダイフレックス社製エポキシ樹脂プライマー)を0.2kg/m2を塗布し、30分間養生した後にハイフレックスUH−1(株式会社ダイフレックス社製)を0.5〜2.0kg/m2を塗布した。
ハイフレックスUH−1塗布後直ちに、23℃、RH50%条件下にてコスミック ゼロ12(株式会社ダイフレックス製)で作成した高伸長形ウレタンのシート厚み0.5〜3.0mm、縦横400mmを貼り付けて転圧後、7日間養生して、押し抜き最大荷重測定用試験体を得た。その後、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法に準じて試験を行ない、10、20、30、40mm変位時の剥離範囲でマーキングを行い、最大50mmの変位まで載荷を行い、10mm変位以上の最大荷重を押し抜き最大荷重(KN)とした。
総合評価
下記表2に示すように、総合評価は、10mm変位以上で押し抜き最大荷重が1.5kN以上を満たすものを◎、0.3kN以上を満たすものを〇、そうでないものを×とした。

Claims (11)

  1. コンクリート構造物の表層に厚み0.5mm以上3.0mm以下のウレタンまたはウレアシートを接着材により貼り付けたことを特徴とするコンクリート片はく落防止工法。
  2. ウレタンまたはウレアシートは、23℃で引張強さが、10N/mm以上、引裂強さが30N/mm以上のJIS A 6021屋根用塗膜防水材のウレタンゴム系高強度形の性能を有する請求項1記載のコンクリート片はく落防止工法。
  3. ウレタンまたはウレアシートは、水酸基を2個以上有するポリプロピレングリコール(PPG)の水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマーに0%以上、15%以下の可塑剤を加えたNCO%が、8%以上〜16%以下の主材と、アミノ基を2個以上有するDETDAやPOAPA等のアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤、反応触媒、消泡剤および顔料を混合した硬化剤とを、専用の機械にて加温し、ホース圧送してホース先端にて混合、攪拌して平坦、凹状もしくは凸状型枠に吹きつけて成形した請求項1または請求項2記載のコンクリート片はく落防止工法。
  4. 硬化剤のアミノ基と水酸基の割合は、アミノ基:水酸基=100:0〜60:40である請求項3に記載のコンクリート片はく落防止工法。
  5. 主剤のNCO基と硬化剤のアミノ基と水酸基を合計した基の比率は、NCO基:(アミノ基+水酸基)=1.0:1.05〜1.0:0.75である請求項3または請求項4に記載のコンクリート片はく落防止工法。
  6. ウレタンまたはウレアシートの表面には、予め紫外線劣化を防ぐトップコートを施す請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のコンクリート片はく落防止工法。
  7. 接着剤は、壁面や天井面でもウレタンまたはウレアシートを固定できる揺変性性状を有し、下地プライマーとウレタンまたはウレアシートと接着する一成分形もしくは二成分形のウレタンもしくはウレア系で、建築用シーリング材JIS A 5758:2016のタイプF−12.5、クラス8020適合以上の性能とし、塗布する厚みは、0.2mm以上、2.0mm以下で好ましくは0.5mm以上1.5mm以下とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコンクリート片はく落防止工法。
  8. 接着剤を塗布した後にウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、ウレタンまたはウレアシート同士の接合部は、突付けとし、接着剤をシートジョイント部で平滑に均す請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のコンクリート片はく落防止工法。
  9. 接着剤を塗布した後にウレタンまたはウレアシートを貼付けるが、ウレタンまたはウレアシート同士の接合部は、ラップもしくは、増し貼りとして接合部をより補強する請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のコンクリート片はく落防止工法。
  10. ウレタンまたはウレアシートは、JHS 424−2004 はく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が1.5kN以上で10mm以上の変位が確認できること、または、橋梁構造物設計要領 コンクリート片剥落防止編(平成18年8月)首都高速道路株式会社の剥落防止工の評価基準B種のはく落防止の押し抜き試験方法のφ10cm当たりの押し抜き最大荷重が0.3kN以上で10mm以上の変位が確認できることの何れかに適合する請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のコンクリート片はく落防止工法。
  11. ウレタンまたはウレアシートは、裏面を凹凸形状とした請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のコンクリート片はく落防止工法。
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