JP7181679B2 - セメント硬化体構造物の剥落防止施工法およびセメント硬化体構造物の剥落防止構造 - Google Patents
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Description
本発明は以下の発明を含む。
本発明の剥落防止施工法は、第1接着剤塗布工程と、補強層積層工程と、第2接着剤塗布工程と、保護層積層工程と、を含む。
第1接着剤塗布工程では、セメント硬化体構造物の表面に第1の接着剤樹脂組成物を塗布する。補強層積層工程では、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層に網状シートを積層する。第2接着剤塗布工程では、網状シートに第2の接着剤樹脂組成物を塗布する。保護層積層工程では、第2の接着剤樹脂組成物の塗布層に保護シートを積層する。
保護シートは樹脂層と炭素膜とを含む。さらに、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層と第2の接着剤樹脂組成物の塗布層とは、網状シートの網の目を介して一体的に硬化される。
本発明の構成によって、セメント硬化体構造物と保護シートとの間の接着層に網状シートが介在させられ、かつ、網状シートを挟む接着層が網の目を介して一体的に硬化されるため、セメント硬化体構造物が経年劣化したとしても剥落を防止することができる。
さらに、保護シートの保護層を炭素膜で構成することによって、セメント硬化体構造物の中性化の進行を抑止させるため、硬化体構造物の経年劣化そのものも遅延させることができる。
これによって、長期的にセメント硬化体構造物の剥落を防止することが可能となる。
また、セメント硬化体構造物の中性化の評価は、一般的に、セメント硬化体を切り出して断面を露出させ、フェノールフタレインの呈色反応を利用することによって行うことができる。
上記(1)のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、網状シートが2軸以上の多軸メッシュであってよい。
上記(1)または(2)のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、網状シートが、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維およびガラス繊維の少なくともいずれかで構成されてよい。
上記(1)から(3)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、第1の接着剤樹脂組成物および第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の伸び率が50%以上であってよい。
なお、伸び率とは、JIS K6251に準拠してダンベル状3号形の試験片を引張速度500mm/分条件に供して得られる値である。
また、繰り返し加わる応力とは、たとえば、セメント硬化体構造物に生じているひび割れの開閉(たとえば振動に起因するもの)および/またはセメント体構造物自体の収縮(たとえば温度変化に起因するもの)が挙げられる(以下において「繰り返し応力が加わる」および「外部からの応力」などと記載される「応力」についても同様)。
上記(1)から(4)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、第1の接着剤樹脂組成物および第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の、10%伸長時の応力が、0.7N/mm2以下であってよい。
なお、10%伸長時の応力とは、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準拠した10%伸長時の応力(10%モジュラス)をいう。
上記(1)から(5)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、第1の接着剤樹脂組成物及び第2の接着剤樹脂組成物が、変性シリコーン樹脂およびエポキシ樹脂を含んでよい。
この場合、たとえばエポキシ系樹脂を接着剤として用いた場合と異なり、優れた弾性率によって、施工後の保護シートに繰り返し応力が加わったとしても、保護シートのひび割れを効果的に抑制することができる。このため、セメント硬化体構造物の経年劣化をより長く遅延させることができる。また、たとえばウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂などを接着剤として用いた場合と異なり、低分子のブリードアウト、溶剤による劣化などを効果的に抑制するため、実用性にも優れる。
上記(1)から(6)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、保護シートの樹脂層の厚みが、10μm以上500μm以下であってよい。
上記(1)から(6)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施工法では、炭素膜がダイヤモンドライクカーボン膜であってよい。
上記(1)から(8)のいずれかのセメント硬化体構造物の剥落防止施行法では、セメント硬化体構造物がはね出しスラブを含み、第1の接着剤樹脂組成物が塗布されるべき表面が少なくともはね出しスラブの表面であってよい。
本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造は、セメント硬化体構造物と、第1接着層と、補強層と、第2接着層と、保護シートと、を含む。
第1接着層は、セメント硬化体構造物の表面に設けられる。補強層は、第1接着層に積層された網状シートで構成される。第2接着層は、補強層に積層される。保護シートは、第2接着層に積層される。保護シートは、樹脂層と炭素膜とを含む。第1接着層と第2接着層とは、網状シートの網の目を介して一体的に硬化されている。
さらに、保護シートの保護層を炭素膜で構成することによって、セメント硬化体構造物の中性化の進行を抑止するため、硬化体構造物の経年劣化そのものも遅延させることができる。
これによって、長期的にセメント硬化体構造物の剥落を防止することが可能となる。
図1に、本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造の一例の模式的断面図である。
[1-1.構造概要]
図1に示す剥落防止構造100は、コンクリート建造物200と、保護シート300と、それらの間に介在する接着層400とを含む。接着層400は、第1接着層410と、網状シートで構成される補強層450と、第2接着層420とを含む。なお、図1ならびに以降の図面において、コンクリート建造物200に設けられる積層物は、厚みを極端に表現している。
コンクリート建造物200は、コンクリート210と、鉄筋などの芯材220とを含む。コンクリート210は、セメントに、水、砂利、砂などを混合し、セメントの水和反応により硬化したものである。コンクリート建造物200は、新設の物であってもよいし、供用中のものであってもよい。コンクリート建造物200としては、コンクリート高架橋(特に梁、柱)、コンクリート桁橋、電架柱、ビル、住宅などが挙げられる。
接着層400は、第1接着層410と、補強層450と、第2接着層420とを含む。接着層400全体の厚みは、0.3mm以上2.0mm以下、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であってよい。当該厚みが上記下限値以上であることは、良好な弾性を得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、接着剤樹脂組成物の節約の点で好ましい。
第1接着層410および第2接着層420は、それぞれ、第1接着剤樹脂組成物の塗布層410’(後述)および第2接着剤樹脂組成物の塗布層420’(後述)の硬化物である。第1接着層410および第2接着層420は、後述の補強層450の網の目455において一体化されているため、互いに同じ樹脂組成であってもよいし、樹脂組成物の相溶性が有る限りにおいて異なる樹脂組成であってもよい。
補強層450は、網状シートで構成される。網状シートは、長繊維で構成されかつ厚さ方向に連通する連通孔(つまり網の目455)が確保されたシートであれば特に限定されない。
保護シート300は、樹脂層310と炭素膜350とを含む。本実施形態では、保護シート300は、樹脂層310が接着層400に接する向きで設けられ、接着層400を介してコンクリート建造物200を覆う。
樹脂層310の材質としては樹脂であればよく、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアミド樹脂(ナイロンなど)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。
保護シート300の保護層は、炭素で構成される炭素膜350である。炭素膜350としては種々の炭素膜が適用されるが、中性化抑制効果の観点から好ましくはダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜が好ましい。また、DLC膜は、酸素、水蒸気および紫外線の透過を抑制することもできる。DLC膜は、ダイヤモンド構造(sp3結合)とグラファイト構造(sp2結合)とを両方含む非晶質の膜である。また、炭素膜には水素、酸素、窒素を含むことも許容する。ダイヤモンド構造とグラファイト構造との混在比率、および水素、酸素、窒素の含有率は特に限定されない。より具体的には、ta-C(テトラへドラルアモルファスカーボン)、a-C(アモルファスカーボン)、ta-C:H(水素化テトラへドラルアモルファスカーボン)、およびa-C:H(水素化アモルファスカーボン)が挙げられる。
図2から図5に、本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法の一例を模式的に示す。図2から図5に示す剥落防止施工法は、図1のセメント硬化体構造物の剥落防止構造100を得るための施工法の例であり、第1接着剤塗布工程(図2)と、補強層積層工程(図3)と、第2接着剤塗布工程(図4)と、保護層積層工程(図5)と、を含む。
図2に示すように、第1接着剤塗布工程では、第1の接着剤樹脂組成物をコンクリート建造物200の表面に塗布し、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’を得る。
以下において、第1の接着剤樹脂組成物を単に接着剤樹脂組成物と記載する。
オレフィン成分としては、イソブチレンが挙げられる。
変成シリコーン樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
有機チタネートとしては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラ(2-エチルヘキシルチタネート)トリエタノールアミンチタネートなどのチタンアルコキシド類、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、オクチレングリコレートなどのチタンキレート類などが挙げられる。
シラノール縮合触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記以外にも、エポキシ硬化剤としては、ポリアミド樹脂;2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;無水フタル酸などのカルボン酸無水物などの化合物が挙げられる。
エポキシ硬化剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
図3に示すように、補強層積層工程では、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’に網状シートを貼り付けることによって、網状シートで構成される補強層450を積層する。網状シートには、第1の接着剤樹脂組成物の塗布層410’に貼り付ける前に、上述した接着剤樹脂組成物を表面に塗っておいてもよいし、塗っておかなくてもよい。
図4に示すように、第2接着剤塗布工程では、補強層450である網状シートの上に第2の接着剤樹脂組成物を塗布し、第2の接着剤樹脂組成物の塗布層420’を得る。
図5に示すように、保護層積層工程では、炭素膜350を有する保護シート300を接着剤組成物の塗布層400’に(つまり第2の接着剤樹脂組成物の塗布層420’に)貼り付ける。本実施形態では、保護シート300の樹脂層310の側を貼り付けるが、後述の変形例(図6参照)のように、保護シート300を本実施形態とは表裏を逆にして炭素膜350の側を貼り付けてもよい。
[3-1.施工対象の変形例]
本発明の剥落防止施工法の施工対象としては、セメント硬化体構造物であればよいため、コンクリート建造物200のほか、樹脂製の芯材を有するコンクリート建造物であってもよいし、芯材を有しないコンクリート構造物であってもよいし、モルタル構造物であってもよい。
保護シート300の樹脂層310は、上述のように単層構造であってもよいが、複層構造であってもよい。樹脂層310が複層構造である場合、たとえば、最上層(つまり炭素膜350の隣接層)をポリエステル樹脂など上述の樹脂層310の構成樹脂として例示した樹脂で構成し、その下層として、別の樹脂層を積層してよい。当該別の樹脂層としては、接着層400との相性などに応じて所望の機能を発現する樹脂からなる1または複数の層を、当業者が適宜選択することができる。たとえば、上記のポリエステル樹脂層とは異なるバリア性、耐水性、および/または機械的特性などを有する樹脂層、ならびに接着層などが挙げられる。
図6は、本発明のセメント硬化体構造物の剥落防止構造の変形例の模式的断面図である。本変形例では、樹脂層310と炭素膜350とから構成される保護シート300が、炭素膜350の側で、接着層400を介してコンクリート建造物200を被覆している。この場合、炭素膜350が外部環境(たとえば風雨、飛来物など)の影響を直接的に受けないため、炭素膜350のひび割れを抑制しやすい。
コンクリート試験体に剥落防止施工を行って剥落防止施工構造試験体を作成し、押抜き荷重を東日本・中日本・西日本高速道路株式会社「JHS424-2004はく落防止の押抜き試験」に準じて測定した。
(1)ひび割れコンクリートのモデル(つまり長期劣化によってひび割れた生じたコンクリートのモデル)として、はく落防止の押抜き試験用コンクリートU形側溝蓋(株式会社ユーコウ商会製)(600mm×400mm×60mm)を試験体として用意した。この試験体の表面をディスクサンダー等でケレンした。ケレンは、試験体の最表面を極薄く除去する程度で軽く行った。
(2)U型側溝蓋のコア部(φ100)を中心として、400×400(mm)の正方形に、接着剤を0.6mmの厚さで塗布した。この接着剤は、変成シリコーン樹脂100重量部に対するエポキシ樹脂の混合量が70重量部である、変成シリコーン樹脂およびエポキシ硬化剤とを含む第I剤と、エポキシ樹脂およびシラノール縮合触媒を含む第II剤とが混合された2液型変成シリコーン-エポキシ系接着剤であり、硬化後の伸び率(JIS K6251に準拠)が180%、10%伸長時の応力(JIS K6251に準拠)が0.4N/mm2であった。
(3)接着剤の塗布層の面積と同サイズのメッシュ(クラレ社製ビニロン2軸シート)を、接着剤の塗布層に配置し、メッシュを軽くヘラ等で押しつけて接着剤の塗布層に馴染ませた。
(4)メッシュの上から、再度、上記と同じ接着剤を0.5mmの厚みで塗布した。メッシュを埋め込んだ状態の接着剤塗布層の総厚は1.1mmであった。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は42%、網の目のピッチは10mmであった。
(5)接着剤の塗布層およびメッシュの面積と同サイズの保護シートを接着剤塗布層に貼り付けた。この保護シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)層と炭素膜とから構成されており、樹脂層厚みは125μm、DLC膜の膜厚(走査型電子顕微鏡(SEM)で断面を観察)は0.1μmであった。
保護シート表面からコンクリート表面および気泡が目視で確認されない状態になるまで、ローラー等で脱泡した。
(6)7日間養生した。
(7)万能試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT-5T)を用いて、「構造物施工管理要領 平成23年7月東日本・中日本・西日本高速道路(株)」に準拠して押抜最大荷重を測定した。得られた押抜最大荷重の測定値は3.6kNであった。
JIS R5210-1997「セメントの物理試験方法」の10.4「試供体の作り
方」に規定される方法で、水、セメント、標準砂の質量比が0.65:1:2であるモル
タルを、100×100×400mmの型枠を用いて成型した。そのモルタルを、23±
2℃、湿度80%以上の状態で24時間養生したのち脱型し、材令7日まで、23±2℃
の下、水中養生した。その後、上記のモルタルから、1片が100mmの立方体を切り出
した。この立方体のモルタルにおいて、成型時に型枠の側面に接しており、互いに対向す
る2面に、上述の変成シリコーン-エポキシ系接着剤メッシュおよび保護シートを用いて、上述と同様に、接着剤の塗布、メッシュの積層、接着剤の再塗布、および保護シートの貼り付けを行うとともに、他の4面には、エポキシ樹脂(コニシ製、商品名:クイックメンダー)を塗装し、試験体とした。なお、保護シートは、DLC膜が形成されていない樹脂基材側の面を接着面として接着した。その後、試験体を14日間養生した。
70日間静置した後、保護シートを貼った2面を切断して試験体を2等分する断面において、試験体を割裂した。割裂後、直ちに、断面にフェノールフタレイン1%溶液を噴霧し、赤色に変化しない部分つまり中性化した部分の、保護シートを貼った表面からの最大深さ(中性化深さ)を測定した。
メッシュとしてビニロン3軸ソフ(積水フィルム社製ビニロン3軸ソフ)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は61.4%、網の目のピッチは10mmであった。
メッシュとしてポリプロピレン3軸ソフ(積水フィルム社製TS505PP)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は66.9%、網の目のピッチは5mmであった。
メッシュとしてポリエチレン3軸ソフ(積水フィルム社製TS510)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。メッシュ全体の面積に対する網の目の開口面積の割合は66.9%、網の目のピッチは10mmであった。
メッシュとして3軸ガラスクロス(日本電気硝子社製)を用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
保護シートとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)層と炭素膜とから構成され、樹脂層厚みは50μm、DLC膜の膜厚(走査型電子顕微鏡(SEM)で断面を観察)は0.1μmである保護シートを用いたことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
メッシュを用いなかったことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
保護シートを用いなかったことを除いて、実施例1と同様に押抜荷重の測定および中性化深さの測定を行った。
本発明においては、明細書の剥落防止構造100,100bが請求項の「セメント硬化体構造物の剥落防止構造」に相当し、コンクリート建造物200が「セメント硬化体構造物」に相当し、保護シート300,300aが「保護シート」に相当し、樹脂層310が「樹脂層」に相当し、炭素膜350が「炭素膜」に相当し、第1接着剤樹脂組成物の塗布層410’が「第1接着剤樹脂組成物の塗布層」に相当し、第1接着層410が「第1接着層」に相当し、第2接着剤樹脂組成物の塗布層420’が「第2接着剤樹脂組成物の塗布層」に相当し、第2接着層420が「第2接着層」に相当し、補強層450が「補強層」に相当し、網の目455が「網の目」に相当する。
200…コンクリート建造物(セメント硬化体構造物)
300,300a…保護シート
310…樹脂層
350…炭素膜
410’…第1接着剤樹脂組成物の塗布層
410…第1接着層
420’…第2接着剤樹脂組成物の塗布層
420…第2接着層
450…補強層
455…網の目
Claims (8)
- セメント硬化体構造物の表面に第1の接着剤樹脂組成物を塗布する第1接着剤塗布工程と、
前記第1の接着剤樹脂組成物の塗布層に網状シートを積層する補強層積層工程と、
前記網状シートに第2の接着剤樹脂組成物を塗布する第2接着剤塗布工程と、
前記第2の接着剤樹脂組成物の塗布層に保護シートを積層する保護層積層工程と、を含み、
前記保護シートは、樹脂層と炭素膜とを含み、かつ、前記第1の接着剤樹脂組成物の塗布層と前記第2の接着剤樹脂組成物の塗布層とは、前記網状シートの網の目を介して一体的に硬化され、
前記第1の接着剤樹脂組成物の塗布層に前記網状シートを積層する場合に、前記網状シートを前記第1の接着剤樹脂組成物の塗布層に押し付け、前記網状シートの網の目に前記第1の接着剤樹脂組成物の塗布層の樹脂組成物が進入するようにしてなじませて、前記網状シートの網の目の中に前記第1の接着剤樹脂組成物または前記第2の接着剤樹脂組成物が行き渡り、気泡が残存しないように施工され、
前記網状シートが、ビニロンの3軸ソフであって、施工後の剥落防止構造の押抜荷重が3.9kNを超え、かつ、前記網状シートの開口面積の割合が61.4%以上80%以下である、セメント硬化体構造物の剥落防止施工法。 - 前記第1の接着剤樹脂組成物および前記第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の伸び率が50%以上である、請求項1に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
- 前記第1の接着剤樹脂組成物および前記第2の接着剤樹脂組成物の硬化物の10%伸長時の応力が、0.7N/mm2以下である、請求項1または2に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
- 前記第1の接着剤樹脂組成物及び前記第2の接着剤樹脂組成物が、変性シリコーン樹脂およびエポキシ樹脂を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
- 前記保護シートの前記樹脂層の厚みが、10μm以上500μm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
- 前記炭素膜がダイヤモンドライクカーボン膜である、請求項1から5のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
- 前記セメント硬化体構造物がはね出しスラブを含み、前記表面が少なくとも前記はね出しスラブの表面である、請求項1から6のいずれか1項に記載のセメント硬化体構造物の剥落防止施工法。
- セメント硬化体構造物と、前記セメント硬化体構造物の表面に設けられた第1接着層と、前記第1接着層に積層された網状シートで構成される補強層と、前記補強層に積層された第2接着層と、前記第2接着層に積層された保護シートと、を含み、
前記保護シートは、樹脂層と炭素膜とを含み、かつ、前記第1接着層と前記第2接着層とが前記網状シートの網の目を介して一体的に硬化され、
前記網状シートの網の目の中に前記第1接着層の接着剤樹脂組成物または前記第2接着層の接着剤樹脂組成物が行き渡り、気泡が残存しておらず、
前記網状シートの網の目に前記第1接着層の樹脂組成物が進入しており、
前記網状シートが、ビニロンの3軸ソフであって、施工後の剥落防止構造の押抜荷重が3.9kNを超え、かつ、前記網状シートの開口面積の割合が61.4%以上80%以下である、セメント硬化体構造物の剥落防止構造。
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