JP2009155400A - 複合メソポーラスシリカ粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外殻部がメソ細孔構造を有する中空シリカ粒子からなり、該メソ細孔の平均細孔径が1〜10nmであり、該中空シリカ粒子の内部に香料を保持してなる複合メソポーラスシリカ粒子である。
【選択図】なし
Description
例えば、機能性材料とシリカとが1個の粉粒体中において混在しており、該粉粒体表面中央に開口部又は凹部を有する化粧料用機能性粉粒体(特許文献1)、表面に開口する多数の孔を有する親水性多孔質体の孔の中に、機能性材料と疎水性物質とを混練した状態で埋め込んだ徐放性機能剤(特許文献2)、油状香料を吸油する吸油性高分子と、固形粉末との混合物を成形した芳香剤(特許文献3)、シリカ等の粒状無機材に被覆剤を塗布してなる保持材料に、香料を吸着させた揮発性成分徐放剤(特許文献4)が知られている。
しかしながら、上記の従来技術には、香気を変調させたり、香料の担持濃度を高めることが困難である等の問題があり、徐放性香料材料として到底満足できるものではない。
例えば、特許文献5には、メソ細孔壁を有する中空シリカマイクロカプセルの製造方法が開示されている。この方法は、有機溶媒の乳化滴を用いて中空シリカ粒子を形成した後、界面活性剤の存在下で高熱処理することにより、メソ細孔を形成するとされている。しかしながら、実際に追試を行うと、中空部を有するメソポーラスシリカは形成せず、メソ細孔が存在しない中空シリカ粒子、中実シリカ粒子と、中空部を有しないメソポーラスシリカの不定形粒子の混合物しか得られなかった。
非特許文献3及び4の中空メソポーラスシリカ粒子は、反応初期に酸で中和することで粒子形成反応を止めて合成されており、比表面積は比較的大きいが、粒子径の分布がブロードである。さらに、非特許文献5の中空メソポーラスシリカ粒子は、反応溶液に超音波を照射することで形成されており、比表面積は比較的大きいが、粒子径の分布が非常にブロードであり、粒子形状も不定形である。
従って、非特許文献1〜5のメソポーラスシリカ粒子に香料を担持させたとしても、香料を安定して徐放することは困難であった。
すなわち、本発明は、外殻部がメソ細孔構造を有する中空シリカ粒子からなり、該メソ細孔の平均細孔径が1〜10nmであり、該中空シリカ粒子の内部に香料を保持してなる複合メソポーラスシリカ粒子を提供する。
[中空シリカ粒子]
本発明で用いられる中空シリカ粒子のメソ細孔構造の平均細孔径は、所望の残香期間、香料の揮散速度等の観点から調整しうるが、好ましくは1〜8nm、より好ましくは1〜5nmである。メソ細孔構造を有する外殻部と粒子内部の中空部分の構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することができ、その細孔径、細孔規則性、外殻部から内部への細孔の繋がり具合を確認することができる。
本発明の中空シリカ粒子のメソ細孔構造は、メソ細孔径が揃っていることが特徴の1つである。該メソ細孔径は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上が平均細孔径の±30%以内に入る。
メソ細孔径は製造時に用いる界面活性剤等のミセルの大きさに影響されることから、陽イオン界面活性剤を用いる場合は、該界面活性剤のアルキル基の炭素数の違いや、アルキル鎖の数によって調製することができる。
中空シリカ粒子のメソ細孔構造の平均細孔径、平均粒子径が揃っていれば、香料を、長期間、安定した速度で揮散させることができるため、所望の揮散制御を容易に行うことができる。
なお、中空シリカ粒子の平均粒子径は、製造時に使用しうる界面活性剤の選択、混合時の撹拌力、調製溶液の濃度や温度等によって調整することができる。また後述するプロトコア−シェル粒子のコアにポリマーを用いる製造方法では、ポリマーの大きさや分布の程度によっても得られる中空シリカの平均粒子径や、粒径のばらつきの程度を調製することができる。中空シリカ粒子の製造工程において、陽イオン界面活性剤等の界面活性剤を使用する場合は、界面活性剤が中空シリカ粒子内部、メソ細孔内、又はシリカ粒子表面に残留する可能性がある。界面活性剤が残留しても問題ない場合は除去する必要はないが、残留する界面活性剤の除去を望む場合は、水や酸性水溶液で洗浄処理して置換することにより除去することができる。
また、中空シリカ粒子のBET比表面積は、徐放性能等の観点から、好ましくは100〜1500m2/g、より好ましくは200〜1500m2/g、更に好ましくは300〜1500m2/gである。
中空シリカ粒子は、粉末X線回折(XRD)のパターンにおいて、d=2〜12nmの範囲に相当する回折角度に1本以上のピークを有するメソ領域に周期性のある物質である。なお、規則性が高くなるとピークは明瞭化され、高次ピークが見られる場合がある。
外郭部の平均厚みもまた、後述するプロトコア−シェル粒子のコア物質(ポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)、以下同じ)の大きさ及び濃度と、シリカ源の濃度との関係により適宜調製することができる。例えば、コア物質の大きさと濃度を一定にして、シリカ源の配合濃度を変化させた場合、そのシリカ源の量の違いが外殻部の平均厚みに影響する。
また、〔外殻部の平均厚み/中空シリカ粒子の平均粒子径〕の比は、通常0.01〜0.9、好ましくは0.05〜0.8、より好ましくは0.1〜0.7である。この比率もまた、コア物質の大きさ、コア物質の濃度、シリカ源の濃度、及び温度等の環境条件により適宜調整される。
なお、中空シリカ粒子の平均粒子径、平均外殻厚み、BET比表面積、平均細孔径、及び粉末X線回折(XRD)パターンの測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
本発明に用いられる香料に特に制限はないが、液体香料や揮散速度の早い香料は、本発明の香料の徐放性、経時残香性を効果的に発現させる観点から好ましい。
本発明の複合シリカ粒子においては、香料の揮散は、まず粒子の外表面付近に保持されている香料の揮散が始まり、その後、中空部及びメソ細孔に保持された香料が、長時間、安定した速度で揮散するため、揮散制御が容易である。
これらの香料の中で、酸やアルカリ、ゼオライト等の触媒活性を持つ無機粉体に不安定なエステル類やアセタール類であっても、本発明の複合シリカ粒子の内部に保持させれば、安定に保持され、徐放性、経時残香性に優れた香料粒子とすることができる。
炭化水素類としては、リモネン、α−ピネン、β−ピネン、テルピネン、セドレン、ロンギフォレン、バレンセン等が挙げられる。
アルコール類としては、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、テルピネオール、ジヒドロミルセノール、エチルリナロール、ファルネソール、ネロリドール、シス−3−ヘキセノール、セドロール、メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、フェニルエチルジメチルカルビノール、フェニルヘキサノール、2,2,6−トリメチルシクロヘキシル−3−ヘキサノール、1−(2−t−ブチルシクロヘキシルオキシ)−2−ブタノール等が挙げられる。
フェノール類としては、グアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、チモール、バニリン等が挙げられる。
さらに、ブラシル酸エステルとしては、エチレンブラシレート等、チグリン酸エステルとしては、ゲラニルチグレート、1−ヘキシルチグレート、シス−3−ヘキセニルチグレート等、ジャスモン酸エステルとしては、メチルジャスモネート、メチルジヒドロジャスモネート等、グリシド酸エステルとしては、メチル2,4−ジヒドロキシ−エチルメチルフェニルグリシデート、4−メチルフェニルエチルグリシデート等、アントラニル酸エステルとしては、メチルアントラニレート、エチルアントラニレート、ジメチルアントラニレート等が挙げられる。
その他、市販品として、花王株式会社製、フルテート(エチルトリシクロ[5,2,1,02,6]デカン−2−カルボキシレート:商品名:FRUITATE)等が挙げられる。
アルデヒド類としては、n−オクタナール、n−デカナ−ル、n−ドデカナ−ル、2−メチルウンデカナール、10−ウンデセナール、シトロネラール、シトラール、ヒドロキシシトロネラール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボアルデヒド(IFF社、商品名:リラール)、2−シクロヘキシルプロパナール、p−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p−イソプロピル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、p−エチル−α,α−ジメチルヒドロシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、α−メチル−3,4−メチレンジオキシヒドロシンナミックアルデヒド等が挙げられる。
アセタール類としては、ホルムアルデヒドシクロドデシルエチルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルプロピルアセタール、シトラールジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセリンアセタール、エチルアセトアセテートエチレングリコールアセタール等が挙げられる。
ニトリル類としては、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、ドデカンニトリル等が挙げられる。
カルボン酸類としては、安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、ヒドロ桂皮酸、酪酸、2−ヘキセン酸等が挙げられる。
ラクトン類としては、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−ヘキサラクトン、γ−ジャスモラクトン、ウイスキーラクトン、クマリン、シクロペンタデカノリド、シクロヘキサデカノリド、アンブレットリド、エチレンブラシレート、11−オキサヘキサデカノリド、ブチリデンフタリド等が挙げられる。
上記香料は、単独で又は2種以上を任意の割合で組み合わせて用いることができるが、中でも、炭化水素類、アルコール類、エステル類、カーボネート類、アルデヒド類等が好ましい。複数の香料を併用し、それぞれを異なる中空シリカ粒子に保持させれば、広範なかつ効果的な調香を行うことができる。
本発明の複合シリカ粒子の製造方法に特に制限はないが、下記工程(I)及び(II)を含む方法によれば、効率的に製造することができる。
工程(I):中空メソポーラスシリカ粒子を調製する工程
工程(II):工程(I)で得られた中空シリカ粒子に香料を含浸させ、複合シリカ粒子を得る工程
以下、工程(I)、(II)の詳細、及び各工程に用いる各成分等について説明する。
工程(I)は、中空シリカ粒子を調製する工程である。中空シリカ粒子を製造しうる方法であれば特に制限はないが、下記工程A〜Cを含む方法がより好ましい。
工程A:ポリマー粒子(a−1)を0.1〜50グラム/L、又は疎水性有機化合物(a−2)を0.1〜100ミリモル/Lと、下記一般式(1)及び(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上(b)を0.1〜100ミリモル/L、及び加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源(c)を0.1〜100ミリモル/L含有する水溶液を調製する工程。
[R1(CH3)3N]+X- (1)
[R1R2(CH3)2N]+X- (2)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
工程B:工程Aで得られた水溶液を10〜100℃の温度で撹拌して、シリカから構成される外殻を有し、かつ核にポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を有するプロトコア−シェル粒子の水分散液を調製する工程
工程C:工程Bで得られたプロトコア−シェル粒子を分散媒から分離し、焼成する工程
[工程A]
[ポリマー粒子(a−1)]
工程Aで用いられるポリマー粒子(a−1)としては、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー及び両性ポリマーから選ばれる1種以上のポリマーの粒子が好ましく、実質的に水不溶性のポリマーが好ましい。
[カチオン性ポリマー]
カチオン性ポリマーとしては、連続相を水系とする媒体中に、陽イオン界面活性剤の存在下で、ポリマーエマルジョンとなって分散可能であるポリマーが好ましく、陽イオン界面活性剤の存在下でカチオン性モノマー、特にはカチオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を、公知の方法で乳化重合して得られるものが好ましい。
カチオン性モノマーとしては、アミノ基を有する単量体の酸中和物、又は該単量体を4級化剤で4級化した第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
カチオン性モノマーの具体例としては、ジアルキルアミノ基又はトリアルキルアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、ジアルキルアミノ基又はトリアルキルアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートが最も好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を意味する。
カチオン性ポリマーを構成するカチオン性モノマー構成単位は少量でよく、カチオン性ポリマーを構成する殆どが疎水性モノマー由来の構成単位によって構成されていてもよい。カチオン性ポリマーに占めるカチオン性モノマー構成単位と疎水性モノマー由来の構成単位の合計量は、70〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%である。特に〔(カチオン性モノマー由来の構成単位)/(疎水性モノマー由来の構成単位)〕の重量比は、粒子形成性の観点から、好ましくは0.001〜0.5、より好ましくは0.002〜0.3、特に好ましくは0.003〜0.1である。
ノニオン性ポリマーは、水溶液中で荷電を有しないポリマーを意味する。ノニオン性ポリマーは、荷電を有しないモノマーすなわちノニオン性モノマーを由来とするポリマーであり、公知の乳化重合法、無乳化剤重合法等によりノニオン性モノマーを重合して得ることができる。
ノニオン性モノマーとしては、カチオン性ポリマーの説明で挙げた疎水性モノマー(段落〔0017〕)を挙げることができる。その好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数3〜22、より好ましくは炭素数3〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、及びスチレンから選ばれる一種以上が挙げられる。
ノニオン性ポリマーの具体例としては、ポリスチレン、エチルアクリレート・エチルメタクリレート共重合体、エチルアクリレート・メチルメタクリレート共重合体、オクチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・ブチルアクリレート・オクチルアクリレート共重合体、酢酸ビニル・スチレン共重合体、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、ブチルアクリレート、ポリスチレンアクリル酸樹脂等が挙げられる。
ポリマーは中空シリカ粒子の製造上、実質的に水に溶解しないものが用いられ、そのために疎水性モノマーの重合比率を高める方法、架橋する方法等を採用できる。
かかるポリマーの好適例として、アルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる疎水性モノマーとカチオン性基を有する(メタ)アクリレートとのコポリマー、並びにアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる一種以上の疎水性モノマーからなるノニオン性ポリマーを挙げることができる。
上記のポリマーは、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
ポリマー粒子の形状、形態は特に制限はなく、複合シリカ粒子の使用目的に応じて、粒子の大きさを変えたり、真球状、卵状等に形成することができる。ポリマー粒子の大きさや粒径分布を変えることで、中空シリカ粒子の粒径や中空部分の大きさを適宜調製することができる。
本発明において、疎水性有機化合物(a−2)とは、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する化合物を意味する。好ましくは、前記の第四級アンモニウム塩の存在下で分散可能な化合物である。このような疎水性有機化合物としては、LogP値が1以上、好ましくは2〜25の化合物が挙げられる。
(c)疎水性有機化合物としては、例えば、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6〜22の脂肪酸、炭素数6〜22のアルコール及びシリコーンオイル等の油剤や、香料、農薬、医薬等の各種基材等を挙げることができる。
疎水性有機化合物を用いる場合、中空シリカ粒子の粒径や中空部分の大きさは、疎水性有機化合物の液滴の大きさに影響されるので、疎水性有機化合物の融点、反応温度、攪拌速度、使用する界面活性剤等により適宜調整することができる。
第四級アンモニウム塩(b)は、メソ細孔の形成とポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)の分散のために用いられる。
前記一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2は、炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
一般式(1)及び(2)におけるXは、高い結晶性を得るという観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上である。Xとしては、より好ましくはハロゲンイオンであり、更に好ましくは塩素イオン又は臭素イオンであり、特に好ましくは臭素イオンである。
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
これらの第四級アンモニウム塩(b)の中では、規則的なメソ細孔を形成させる観点から、特に一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましく、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド又はドデシルトリメチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。
シリカ源(c)は、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成するものであり、下記一般式(3)〜(7)で示される化合物を挙げることができる。
SiY4 (3)
R3SiY3 (4)
R3 2SiY2 (5)
R3 3SiY (6)
Y3Si−R4−SiY3 (7)
(式中、R3はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R4は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
より好ましくは、一般式(3)〜(7)において、R3がそれぞれ独立して、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基であり、具体的には炭素数1〜22、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは炭素数8〜16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R4が炭素数1〜4のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基であり、Yが炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、又はフッ素を除くハロゲン基である。
・一般式(3)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
・一般式(4)又は(5)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であり、R3がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるトリアルコキシシラン又はジアルコキシシラン。
一般式(6)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であり、R3がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるモノアルコキシシラン。
・一般式(7)において、Yがメトキシ基であって、R4がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,1,1−トリフルオロプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
(a−1)成分の含有量は、好ましくは0.1〜50グラム/L、より好ましくは0.3〜40グラム/L、特に好ましくは0.5〜30グラム/Lである。
(a−2)成分の含有量は、0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
(b)成分の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lであり、(c)成分の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
(a)〜(c)成分を含有させる順序は特に制限はない。例えば、(i)水溶液を撹拌しながら(a)成分の懸濁液、(b)成分、(c)成分の順に投入する、(ii)水溶液を撹拌しながら(a)成分の懸濁液、(b)成分、(c)成分を同時に投入する、(iii)(a)成分の懸濁液、(b)成分、(c)成分の投入後に撹拌する、等の方法を採用することができるが、これらの中では(i)の方法が好ましい。
(a)〜(c)成分を含有する水溶液には、プロトコア−シェル粒子の形成を阻害しない限り、その他の成分として、メタノール等の有機化合物や、無機化合物等の他の成分を添加してもよく、前記のように、シリカや有機基以外の他の元素を担持したい場合は、それらの金属を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等の金属原料を製造時又は製造後に添加することもできる。
工程Bはプロトコア−シェル粒子の水分散液を調製する工程である。工程Aで得られる水溶液を10〜100℃、好ましくは10〜80℃の温度で所定時間撹拌した後、静置することで、ポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)の表面に、第四級アンモニウム塩(b)とシリカ源(c)によりメソ細孔が形成され、内部にポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含したプロトコア−シェル粒子を析出させることができる。撹拌処理時間は温度によって異なるが、通常10〜80℃で0.1〜24時間でプロトコア−シェル粒子が形成される。なお、この時点で得られるプロトコア−シェル粒子のメソ細孔には製造の際に用いた界面活性剤が詰った状態にある。
得られたプロトコア−シェル粒子は、水中に懸濁した状態で得られる。用途によってはこれをそのまま使用することもできるが、好ましくはプロトコア−シェル粒子を分離して使用する。分離方法としは、ろ過法、遠心分離法等を採用することができる。
工程Bで得られたプロトコア−シェル粒子に陽イオン界面活性剤等を含む場合は、酸性溶液と1回又は複数回接触させることにより陽イオン界面活性剤等を除去することができる。用いる酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;陽イオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液が挙げられるが、塩酸が特に好ましい。pHは通常1.5〜5.0に調整される。
上記の方法により細孔から界面活性剤が除去された粒子は、メソ細孔構造を表面に有し、BET比表面積の高い、ポリマー粒子(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含するプロトコア−シェル粒子である。
工程Cでは、工程Bで得られたプロトコア−シェル粒子を分散媒から分離し、必要に応じて、酸性水溶液と接触、水洗、乾燥、また、高温で処理した後、電気炉等で好ましくは350〜800℃、より好ましくは450〜700℃で、1〜10時間焼成し、内部のポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を除去する。得られる中空メソポーラスシリカ粒子は、その外殻部の基本構成は変わらないが、内部のポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)は焼成により除去されている。
本発明においては、ポリマー(a−1)又は疎水性有機化合物(a−2)を包含するプロトコア−シェル粒子を焼成するため、特に内包されるポリマー粒子(a−1)の形状、形態を所望の状態に予め制御しておくことにより、所望の形状、形態を有する中空シリカ粒子を容易に製造することができる。例えば、内部に真球状のポリマーを有するプロトコア−シェル粒子を焼成することにより、内部中空及び外形が真球状の中空シリカ粒子を製造することができる。
工程(II)では、上記の工程(I)で得られた中空シリカ粒子に、香料(液体香料)を含浸させ、複合シリカ粒子を得る。
香料の含浸処理は、香料が中空シリカ粒子に含浸できる方法であれば特に制限はなく、公知の真空含浸法等を採用することができる。例えば、容器内で香料を溶解した溶液と中空シリカ粒子とを混合し、該容器内を該香料溶液の蒸気圧より高く、用いる中空シリカ粒子のメソ細孔中における窒素の蒸気圧より小さい条件で含浸することが好ましい。この場合のメソ細孔中における窒素の蒸気圧は窒素の吸着等温線から求められる。
この条件で中空シリカ粒子の細孔内を脱気して香料溶液を強制含浸せしめ、1分間〜10時間、好ましくは1分間〜1時間撹拌した後に容器内の圧力を一旦大気圧に戻し、さらに1分間〜10時間、好ましくは1時間〜10時間静置することで、香料溶液を中空シリカ粒子のメソ細孔内を通して中空内部に導入する方法が挙げられる。なお含浸の程度は、中空シリカ粒子の中空部分全てに香料溶液が包含されるまで行うことが好ましい。
本発明の複合シリカ粒子には、香料の可溶化、溶解性、保存安定性の観点から、更に、公知の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%含有させることができる。
(1)平均粒子径及び平均外殻厚み及び中空部径の測定
日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−2100を用いて加速電圧160kVで測定を行い、それぞれ20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径および外殻厚みを写真上で実測する。この操作を、視野を5回変えて行う。得られたデータから平均粒子径及びその分布の程度、並びに外殻部の平均厚みを求めた。透過型電子顕微鏡の倍率の目安は1万〜10万倍であるが、シリカ粒子の大きさによって適宜調節される。観察に用いた試料は、高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(200−Aメッシュ、応研商事株式会社製)に付着させ、余分な試料をブローで除去して作成した。
株式会社島津製作所製、比表面積・細孔分布測定装置、商品名「ASAP2020」を使用し、液体窒素を用いて多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。窒素吸着等温線からBJH法を採用し、ピークトップを平均細孔径とした。前処理は250℃で5時間行った。
理学電機工業株式会社製、粉末X線回折装置、商品名「RINT2500VPC」を用いて、X線源:Cu-kα、管電圧:40mA、管電流:40kV、サンプリング幅:0.02°、発散スリット:1/2°、発散スリット縦:1.2mm、散乱スリット:1/2°、受光スリット:0.15mmの条件で粉末X線回折測定を行った。走査範囲は回折角(2θ)1〜20°、走査速度は4.0°/分で連続スキャン法を用いた。なお、試料は、粉砕した後、アルミニウム板に詰めて測定した。
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤Thermo plus TG8120を用いて、空気雰囲気下、室温から700℃まで10℃/分の速度で昇温した時に、減少した重量を香料の重量、残存した重量をシリカの重量とした。香料の重量をシリカの重量で割った値を粒子に保持された香料の重量(g(香料)/g(シリカ))とした。
(1)カチオン性ポリマー粒子の製造
2L−セパラフルフラスコにイオン交換水600部、メタクリル酸メチル99.5部と塩化メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム0.5部をいれ、内温70℃まで昇温させた。次いで水溶性開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬株式会社製、商品名:V−50)0.5部をイオン交換水5部に溶かした溶液を添加し、3時間加熱撹拌を行った。その後さらに75℃で3時間過熱撹拌を行った。冷却後、得られた混合液から凝集物を200メッシュ濾過(目開き;約75μm)し、得られた濾過液をエバポレーターにより加熱濃縮し、冷却後、濃縮液を1.2μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で濾過し、イオン交換水で調整することで、カチオン性ポリマー粒子の懸濁液〔固形分(有効分)含有量40%、平均粒径312nm〕を得た。
100mlフラスコに水60g、メタノール20g、1M水酸化ナトリウム水溶液0.46g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.35g、上記(1)で得られたカチオン性ポリマー粒子の懸濁液0.11gを入れ撹拌した。その水溶液にテトラメトキシシラン0.34gをゆっくりと加え、5時間撹拌後、12時間熟成させた。得られた白色沈殿物をろ別し、水洗、乾燥した。乾燥粉末を水100mlに分散し、1M塩酸を用いてpH2に調整し、一晩撹拌した。得られた白色沈殿物をろ別し、水洗後、乾燥して、ポリマー粒子を内包し、外殻部がメソ細孔構造を有する複合シリカ粒子を得た。
上記(2)で得られたポリマー粒子内包メソポーラスシリカ粒子を、1℃/分の速度で600℃まで昇温した後、2時間600℃で焼成し、ポリマー粒子を除去して、外殻部がメソ細孔構造を有する中空シリカ粒子を得た。得られた中空シリカ粒子の平均粒子径は0.56μm、メソ細孔の平均細孔径は1.5nm、外殻部の厚みは140nmであった。
なお、この中空シリカ粒子は、粉末X線回折(XRD)のパターンにおいて、d=2〜12nmの範囲に相当する回折角度に1本以上のピークを有していた。
上記(3)で得られた中空シリカ粒子0.1gを20mlのサンプル瓶へ入れ、その上に香料として(R)−(+)−リモネン(和光純薬工業株式会社製)2.0gを注いだ。その容器をガラス製デシケータ中に移し、ロータリーポンプを用い3分間減圧した。その後、窒素ガスを充填し内圧を常圧に戻した。この操作を3度繰り返した後、サンプルを一晩静置した。翌日、メンブレンフィルター(ADVANTEC社製、PTFE、孔径0.45μm)によりろ別し、香料を内包した複合シリカ粒子を得た。香料の担持量は2.7g/g(シリカ)であった。
上記(4)により得られた複合シリカ粒子を用いて、香料の揮散速度及び残香性を、以下の方法により評価した。結果を表1に示す。
(i)香料揮散速度の評価方法
理学電機工業株式会社製、差動型示差熱天秤「Thermo plus TG8120」を用いて、空気雰囲気下、40℃で保温したときのサンプル重量の経時変化を時間(分)で微分し、サンプルの揮発速度を求めた。その後、サンプルの重量変化がなくなった時点での残存重量をシリカ重量とし、この値を用いて揮発速度を補正することで、複合シリカ粒子に保持された香料の揮散速度を求め、120分経過後の値(mg(香料)/分/g(シリカ))を比較した。
(ii)香料の残香性評価方法
半分に切断し一度洗浄したタオルを、香料を付加させる素材として用い、そのタオルに複合シリカ粒子又は香料をふりかけ、匂いの残香性を調べた。タオル0.5枚に対し28mgの香料が付加されるように、香料を内包した複合シリカ粒子の量を調節した。香料を振りかけてから1週間後に匂いが維持されているかどうかを、5人以上の官能評価により3段階(3:匂う、2:かすかに匂う、1:匂わない)で評価した。
実施例1において、実施例1(3)で得られた中空シリカ粒子の代わりに、以下の方法で得られた中空シリカ粒子を用いた以外は、実施例1(4)と同様の操作を行って香料担持粒子を作製し、評価した。香料の担持量は1.0g/g(シリカ)であった。結果を表1に示す。
(3)中空シリカ粒子の合成
100mlフラスコに水60g、メタノール20g、1規定水酸化ナトリウム水溶液0.46g、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド0.35gを入れ攪拌した。その水溶液にテトラメトキシシラン0.17gとビストリエトキシシリルエタン0.15gを混合してからゆっくりと加え、5時間攪拌後、12時間熟成させた。得られた白色沈殿物をろ別し、水洗、乾燥の後、1℃/分の速度で450℃まで焼成した。なお、この中空シリカ粒子は、粉末X線回折(XRD)のパターンにおいて、d=2〜12nmの範囲に相当する回折角度に1本以上のピークを有していた。
実施例1において、実施例1(3)で得られた中空シリカ粒子の代わりに、フュームドシリカ(アルドリッチ製フュームドシリカ、平均粒子径0.007μm)を用いた以外は、実施例1(4)と同様の操作を行って香料担持粒子を作製し、評価した。香料の担持量は7.1g/g(シリカ)であった。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、実施例1(3)で得られた中空シリカ粒子の代わりに、球状シリカ粒子(触媒化成製COSMO55、平均粒子径0.50μm)を用いた以外は、実施例1(4)と同様の操作を行って香料担持粒子を作製し、評価した。香料の担持量は0.54g/g(シリカ)であった。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、実施例1(4)で得られた複合シリカ粒子を用いずに、香料としてリモネンをそのまま用いた以外は、実施例1と同様にして評価した。表1に示す。
Claims (4)
- 外殻部がメソ細孔構造を有する中空シリカ粒子からなり、該メソ細孔の平均細孔径が1〜10nmであり、該中空シリカ粒子の内部に香料を保持してなる複合メソポーラスシリカ粒子。
- 平均粒子径が0.05〜10μmである、請求項1に記載の複合メソポーラスシリカ粒子。
- 平均粒子径が0.05μm〜10μmであって、粒子全体の80%以上が平均粒子径±30%以内の粒子径を有する、請求項1又は2に記載の複合メソポーラスシリカ粒子。
- 香料が液体香料である、請求項1〜3のいずれかに記載の複合メソポーラスシリカ粒子。
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