JP2021153971A - 芳香組成物 - Google Patents

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Daisuke Namatame
大輔 生田目
和彰 大橋
Kazuaki Ohashi
和彰 大橋
真梨子 木村
Mariko Kimura
真梨子 木村
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Abstract

【課題】良い香りを発し、且つ、悪臭を選択的に消臭することができる、芳香組成物などが求められている。【解決手段】本発明によれば、金属がドープされている金属ドープメソポーラスシリカと、香料とを含む、芳香組成物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、金属ドープメソポーラスシリカと香料とを含む芳香組成物に関する。
各家庭や店舗のトイレ、ゴミ箱、ゴミ捨て場等から発散される悪臭、各種工場から排泄される廃液等から発散される悪臭など、悪臭は人々の暮らしにつきまとう問題である。一般に、悪臭の原因である悪臭成分として、アンモニア、トリメチルアミンなどの塩基性悪臭成分;酢酸、イソ吉草酸などの酸性悪臭成分;メチルメルカプタン、硫化水素などの硫黄含有悪臭成分;などが知られている。悪臭を消すことは衛生的で快適な暮らしのために大切である。
消臭剤には、物理的吸着によるもの、化学的吸着によるもの、生物学的手段によるものなどがある。物理的吸着による消臭剤としては、活性炭などの多孔質無機材料があげられる。多孔質無機材料は、悪臭成分を孔内に包接することにより消臭するものである。
近年は、生活の中で、不快な臭いを消して良い香りを楽しみたいというニーズが高まっている。そのため、消臭効果を有し且つ良い香りのする芳香剤製品や化粧品、消費財が求められている。しかしながら、活性炭などの多孔質無機材料は、悪臭だけでなく良い香りも消臭してしまうため、こうしたニーズに対応できなかった。
特許文献1では、MnまたはCuである金属Xがドープされた、多孔質シリカが開示されている。特許文献1の多孔質シリカは、硫黄含有臭気を高い効率で消臭することができ、パーマ毛髪用消臭剤、液状消臭剤などの用途に適用可能であるが、選択消臭性などの点で改善の余地があった。
特開2020−15640号公報
良い香りを発し、且つ、悪臭を選択的に消臭することができる、芳香組成物などが求められている。
本発明によれば、以下が提供される。
[1]金属がドープされている金属ドープメソポーラスシリカと、香料とを含む、芳香組成物。
[2]前記金属が、銅、マンガンおよびコバルトからなる群から選択される少なくとも1種類を含む、上記[1]に記載の芳香組成物。
[3]前記金属ドープメソポーラスシリカの細孔直径が、1〜50nmである、上記[1]または[2]に記載の芳香組成物。
[4]固体、液状、ゲル状、粉状、シート乃至フィルム状、泡状またはフレーク状である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の芳香組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の芳香組成物を含む、消臭剤製品または芳香剤製品。
[6]さらにバインダーを含む、上記[5]に記載の消臭剤製品または芳香剤製品。
[7]気流を案内する流路と、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の芳香組成物とを備えており、前記芳香組成物が、前記流路に配置されている、芳香装置。
本発明によれば、良い香りを発し、且つ、悪臭を選択的に消臭することができる、芳香組成物などが提供される。
1.芳香組成物
本発明は、一実施態様として芳香組成物を提供する。本実施態様の芳香組成物は、金属ドープメソポーラスシリカを含んでおり、かかるシリカは悪臭の消臭性が高く、香料由来の芳香成分などの他の匂いの消臭性が低い。さらに、本実施態様の芳香組成物は、香料を含んでいる。そのため、良い香りを発し、且つ、悪臭を選択的に消臭することができる。
本明細書において、匂い成分とは、ヒト、ペット、家畜などの動物に嗅がせたときに、動物の嗅覚受容体を刺激する成分を意味する。好適には、ヒトの嗅覚受容体を刺激しうる成分である。
本明細書において、匂い成分は、悪臭成分と、それ以外の他の匂い成分とに分類することができる。悪臭成分とは、動物に嗅がせると嗅覚受容体を刺激し、動物を不快にさせうる成分である。悪臭成分は、例えば、炭素原子、水素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される少なくとも1つを含む構造を有し且つ官能基末端を有する揮発性物質、または、硫黄原子を含む構造を有する揮発性物質である。「揮発性物質」とは、大気中に気体で存在する有機化合物のうち沸点が50〜260℃の物質を意味する。
悪臭成分は、好適には、塩基性悪臭成分、酸性悪臭成分、硫黄含有悪臭成分およびアルデヒド系悪臭成分からなる群より選択される少なくとも1つの成分である。最も好適には、塩基性悪臭成分、酸性悪臭成分および硫黄含有悪臭成分からなる群より選択される少なくとも1つの成分である。塩基性悪臭成分としては、アンモニア、トリメチルアミンなどがあげられる。酸性悪臭成分としては、酢酸、イソ吉草酸などがあげられる。硫黄含有悪臭成分としては、メチルメルカプタン、硫化水素、tert−ブチルメルカプタン、システアミン、チオグリコール酸、システイン、チアゾリジンなどがあげられる。アルデヒド系悪臭成分としては、アセトアルデヒド、ノネナール、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒドなどがあげられる。
<金属ドープメソポーラスシリカ>
本実施態様の芳香組成物は、金属ドープメソポーラスシリカを含む。金属ドープメソポーラスシリカとは、金属がドープされており且つメソ孔を有する多孔質シリカである。
金属ドープメソポーラスシリカでは、金属が多孔質シリカにドープされている。「ドープされている」とは、金属がシリカのSiO骨格内のSi元素の位置に組み込まれた状態をいう。
ドープされる金属(以下、金属Xと呼ぶことがある。)の種類は、消臭対象とする悪臭成分の種類にあわせて選択すればよい。金属Xの具体例としては、銅、マンガン、コバルト、亜鉛、銀、カルシウム、鉄などが挙げられる。たとえば、硫黄含有悪臭成分を消臭対象とする場合は、金属Xは、銅、マンガン、コバルトまたは鉄が好ましい。脂肪酸構造を有する悪臭成分やアルデヒド系悪臭成分を消臭対象とする場合、金属Xは、コバルト、亜鉛、銀またはカルシウムが好ましい。金属Xは1種の金属であっても複数種の金属であってもよい。
なお、酸性悪臭成分や塩基性悪臭成分は、ドープする金属によって消臭することもできるが、多孔質シリカ自体が本来有する効果によって消臭することもできる。
複数種の悪臭成分を消臭対象とする場合、悪臭成分ごとに金属を選択し、選択した金属を一括して多孔質シリカにドープしてもよい。また、選択した金属をそれぞれ別の多孔質シリカにドープして複数種の金属ドープメソポーラスシリカを得て、それを適当な量比で組み合わせて使用してもよい。
金属Xとしては、銅、マンガンおよびコバルトからなる群から選択される少なくとも1種類が好ましい。
金属Xを多孔質シリカにドープすると、金属Xをドープせず粒状で多孔質シリカに存在させる場合に比べて、高い悪臭消臭性を実現することができる。ドープにより、多孔質シリカの表面全体にわたって金属Xが存在することになり、その結果、悪臭成分と金属Xとの接触面積が大きくなるためと考えられる。
尚、「粒状で存在」とは、金属がドープされることなく多孔質シリカに支持されている状態をいう。
しかも、本実施態様の芳香組成物で使用する金属ドープメソポーラスシリカは、単に悪臭消臭性に優れているというだけでなく、その優れた悪臭消臭性を素早く発揮することができる。
また、芳香組成物を液体中に混合して使用する場合、金属Xがドープされずに存在していると、金属Xが金属イオンとして液中に溶出する虞があるが、金属Xをドープすることで、多孔質シリカからの金属Xの離脱を防止することができる。
更に、金属Xが多孔質シリカにドープされる形で含まれていると、金属Xが単独で存在する場合における色味が軽減される。
金属ドープメソポーラスシリカ中の金属Xの含有量は、悪臭消臭性と合成容易性のバランスの観点から、0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
金属ドープメソポーラスシリカには、金属Xとは異なる金属が含まれていることが好ましい。金属Xとは異なる金属は、ドープされていてもよく、ドープされていなくてもよい。
金属Xとは異なる金属として、例えば、多孔質シリカの加水分解を抑制するための金属Yが挙げられる。金属Yとしては、好適には、アルミニウムおよびジルコニウムからなる群から選択される金属が挙げられる。特に好適には、アルミニウムが挙げられる。金属ドープメソポーラスシリカの水熱耐久性を高める観点から、金属Yも、多孔質シリカにドープされていることが好ましい。
金属ドープメソポーラスシリカ中の金属Yの含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、特に0.1〜5質量%が好ましい。金属Yの含有量が過度に少ないと、シロキサン骨格の加水分解により、経時保管時に比表面積を維持できない虞がある。金属Yの含有量が過度に多いと、高い比表面積を実現できない虞がある。
金属ドープメソポーラスシリカの少なくとも一部は、下記式1で表される化学構造を有していることが好ましい。
(式1):SiO・aXOb/2・cYOd/2
式1中、Xは、金属Xを表す。Yは、金属Yを表す。aは、0より大きく0.1以下である数を表す。cは、0以上0.1以下である数を表す。bおよびdは、それぞれ、金属Xおよび金属Yの価数を表す。
金属ドープメソポーラスシリカは、少なくとも一部が不定形状であることが好ましい。不定形状とは、多面形状であること、あるいは、表面が粗くギザギザとしていることを意味する。不定形状の金属ドープメソポーラスシリカには、本実施態様の芳香組成物をファブリック用洗剤、ファブリック用柔軟剤、アイロン剤などのファブリック用製品やファブリック用消臭剤製品に使用する場合、ファブリックに金属ドープメソポーラスシリカが付着しやすくなるなどの利点がある。
金属ドープメソポーラスシリカの比表面積は、高い悪臭消臭性を得るという観点から、500m/g以上が好ましい。細孔構造を維持するための強度の観点から、比表面積の上限としては2000m/g以下が好ましい。より好適な比表面積は、800〜2000m/gであり、特に800〜1600m/gである。
金属ドープメソポーラスシリカの細孔直径は、1〜50nmが好ましく、選択消臭性を高める観点から、2〜10nmがより好ましい。細孔直径は、ガス吸着法またはX線小角散乱法で測定することができる。好適には、ガス吸着法で測定することができる。より好適には、窒素ガス吸着等温線からBJH法により求めることができる。
金属ドープメソポーラスシリカとしては、下記式で示される選択消臭性が10以上のものが好ましい。特に10〜30が好ましい。
選択消臭性=(B+B+B)/A
は、アンモニア1μlを含む500ml容器中に金属ドープメソポーラスシリカを10mg投入したときの消臭量(mmol/g)を示す。
は、酢酸1μlを含む500ml容器中に金属ドープメソポーラスシリカを10mg投入したときの消臭量(mmol/g)を示す。
は、メチルメルカプタン2μlを含む500ml容器中に金属ドープメソポーラスシリカを10mg投入したときの消臭量(mmol/g)を示す。
Aは、芳香成分2μlを含む500ml容器中に金属ドープメソポーラスシリカを10mg投入したときの消臭量(mmol/g)を示す。この場合、芳香成分は、所望の成分を適宜選択してよいが、好適にはリモネン、ピネン、シメン、テルピネン、リナロール、シトラール、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、オクタン酸エチル、デカン酸エチルおよびテルピネオールからなる群より選択される少なくとも1種である。より好適には、(R)−(+)−リモネン、酪酸エチルおよびα-テルピネオールから選択される少なくとも1種である。特に好適には、(R)−(+)−リモネン、酪酸エチルおよびα-テルピネオールのいずれか1種である。最も好適には(R)−(+)−リモネンである。
金属ドープメソポーラスシリカの悪臭消臭量(選択消臭性を示す式におけるB+B+B)は、1〜100mmol/1gが好ましく、10〜100mmol/1gがより好ましい。
金属ドープメソポーラスシリカの芳香消臭量(選択消臭性を示す式におけるA)は、0.1〜10mmol/1gが好ましく、0.1〜1mmol/1gがより好ましく、0.1mmol/1g以上1.00mmol/1g未満が特に好ましい。
金属ドープメソポーラスシリカは、好適には、下記式で示される比率Rが3以上である。特に好適には、3〜9である。
比率R=(B+B+B)/(A+A+A
〜Bは、選択消臭性を示す式におけるB〜Bと同様である。
は、(R)−(+)−リモネン2μlを含む500ml容器中に粉末サンプルを10mg投入したときの消臭量(mmol/g)を示す。
は、酪酸エチル2μlを含む500ml容器中に粉末サンプルを10mg投入したときの消臭量(mmol/g)を示す。
は、α-テルピネオール2μlを含む500ml容器中に粉末サンプルを10mg投入したときの消臭量(mmol/g)を示す。
選択消臭性を示す式におけるAならびに比率Rを示す式におけるA〜Aは、においモニター(例えば、神栄テクノロジー株式会社製ハンディにおいモニターOMX−SR)により測定することができる。具体的には、500ml容器の中に所定量の芳香成分を入れ、次いで、金属ドープメソポーラスシリカを10mg入れ、1時間後、においモニターを用いて容器に残存する芳香成分を測定する。同様にして、消臭剤を使用しない場合(ブランク)に容器に存在する芳香成分を測定する。ブランクの測定値との比較からAならびにA〜Aを算出する。
選択消臭性を示す式および比率Rを示す式におけるB〜Bは、後述の実施例に示す通り、ガス検知管を用いて測定することができる。具体的には、500ml容器の中に所定量の悪臭成分を入れ、次いで、金属ドープメソポーラスシリカを10mg入れ、1時間後、ガス検知管(たとえばガステック製)を用いて容器に残存する悪臭成分の濃度を測定し、初期濃度との比較からB〜Bを算出する。
なお、消臭量の単位をmmol/1gとするのは、ppm/1g等他の単位と違い、分子量の大小の影響を排除することができ、芳香消臭量と悪臭消臭量の比較がしやすくなるためである。
金属Xまたは金属Yのドープは、金属Xまたは金属Yを含む水溶性の金属塩を溶媒に溶解し、得られた水溶液に多孔質シリカまたはその前駆体を混合することで行われる。金属ドープメソポーラスシリカの少なくとも一部を不定形状とする場合は、不定形状の多孔質シリカまたはその前駆体を原料として使用するとよい。金属がドープしたことは、X線光電子分光もしくはラマン分光などにより、化学結合状態を測定することで確認できる。
金属ドープメソポーラスシリカは、好適には、以下の工程を含む方法により得ることができる。
(A)溶媒、界面活性剤、および金属Xを含有する金属Xドープ用化合物を混合し、界面活性剤溶液を調製する工程。
(B)界面活性剤溶液に、シリカ源を添加し、表面にシリカ源が集積したミセルを生成する工程。
(C)集積したシリカ源を縮合させる工程。
(D)縮合させる工程の後に、ミセルを回収し、焼成する工程。
以下、各工程について詳述する。
(A):界面活性剤溶液の調製
まず、溶媒に、界面活性剤および金属ドープ用化合物を添加し、界面活性剤溶液を調製する。界面活性剤溶液は、好ましくは、室温(通常20℃)以上200℃以下で、30分〜10時間攪拌される。これにより、界面活性剤がミセルを形成する。
溶媒としては、例えば水を用いることができる。また、水とエタノールやトルエンなどの有機溶媒との混合物が溶媒として用いられてもよい。
界面活性剤の添加量は、好ましくは50〜400mmol/L、より好ましくは50〜150mmol/Lである。或いは、後に添加されるシリカ源1モルに対して、好ましくは0.01〜5.0モル、より好ましくは0.05〜1.0モルである。
界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、陽イオン性、陰イオン性、および非イオン性の何れの界面活性剤も使用可能である。好ましくは、界面活性剤は、中性または陽イオン性のものであり、より好ましくはアルキルアンモニウム塩である。アルキルアンモニウム塩は、炭素数が8以上のものが好ましく、工業的な入手の容易さを鑑みると、炭素数が12から18のものがより好ましい。アルキルアンモニウム塩としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属Xドープ用化合物は、多孔質シリカにドープされる金属Xの供給源となる物質である。金属Xドープ用化合物としては、金属Xを含む水溶性の化合物が好ましい。より好ましくは、金属Xの塩化物、硝酸塩および硫酸塩などが用いられる。
例えば、金属Xが鉄である場合、塩化鉄(III)等が金属Xドープ用化合物として添加される。
例えば、金属Xが銅である場合、硝酸銅(II)、塩化銅等が金属Xドープ用化合物として添加される。
例えば、金属Xがマンガンである場合、塩化マンガン(II)等が金属Xドープ用化合物として添加される。
例えば、金属Xがコバルトである場合、硝酸コバルト等が金属X供給用化合物として添加される。
例えば、金属Xが亜鉛である場合、硝酸亜鉛等が金属X供給用化合物として添加される。
例えば、金属Xが銀である場合、硝酸銀等が金属X供給用化合物として添加される。
例えば、金属Xがカルシウムである場合、炭酸カルシウム等が金属X供給用化合物として添加される。
金属Xドープ用化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
金属Xドープ用化合物の添加量は、好適には、シリカ源1モルに対して0.001〜1モル、より好適には0.001〜0.5モル、特に好適には、0.01〜0.1モルである。
(B):シリカ源の添加
続いて、界面活性剤溶液に、シリカ源を添加する。
シリカ源は、シリカの原料となるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、およびケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのシリカ源は、単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリカ源は、好ましくはアルコキシシランである。シリカ源は、より好ましくはテトラエトキシシランである。ケイ素原子上の有機官能基は、加水分解によって失われるため、合成物の構造に影響を与えない。ただし、有機官能基が嵩高いと加水分解速度が遅くなり、合成時間が長くかかってしまう虞がある。
シリカ源の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、0.2〜1.8モル/Lが好ましい。或いは、溶媒が水を含む場合、シリカ源の濃度は、水1モルに対して、例えば0.001〜0.05モルが好ましい。
(C):シリカ源の縮合
次に、シリカ源を縮合させる。具体的には、シリカ源が縮合するまで、溶液のpHを増加または減少させる。例えば、塩基性水溶液を添加し、攪拌することにより、シリカ源を縮合させることができる。攪拌は、例えば、1時間以上、特に1〜24時間行う。塩基性水溶液の添加により、ミセルの表面に集積したシリカ源が脱水縮合し、シリカの壁を形成する。
塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどの水溶液が挙げられる。塩基性水溶液は、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である。これらの塩基性水溶液は、単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基性水溶液は、添加直後に好ましくはpHが8〜14となるように、より好ましくは9〜11となるように添加される。塩基水溶液の添加により、シリカ源の脱水縮合反応が加速する。
その結果、縮合部分の表面張力が上昇して、シリカの壁が球状となり、さらに球体が幾重にも接合した形態となって、スピノーダル分解(相分離)が引き起こされる。化学架橋によってこれらの構造が凍結される。
尚、シリカ源は、pHが低い状態においても縮合する性質を有している。従って、塩基性水溶液ではなく、酸性水溶液を添加することによっても、シリカ源を縮合させることができる。
(D):ミセルの回収および焼成
続いて、ミセルを、水溶液から前駆体として回収する。詳細には、シリカ源を縮合させると、ミセルが沈殿する。そこで、沈殿物を濾別することにより、ミセルを前駆体として回収する。回収した前駆体を乾燥させる。乾燥後、前駆体を焼成し、前駆体中に含まれる有機成分を除去する。すなわち、ミセルを構成していた界面活性剤を除去する。これにより、細孔を有する多孔質シリカが形成される。なお、焼成は、界面活性剤の分解温度以上で行われる。焼成温度は、例えば400〜600℃である。
以上の方法により、金属Xがドープされた多孔質シリカが得られる。この方法は、一例であり、工程の順序の入れ替え、工程の削除、新たな工程の追加などをおこなってもよい。例えば上記の方法では、金属Xドープ用化合物が工程(A)で添加される例について説明したが、金属Xドープ用化合物は、必ずしも工程(A)で添加される必要はなく、工程(D)の焼成前であればどの段階で溶液中に添加されてもよい。溶液中において、集積したシリカ源と金属Xドープ用化合物とが混合されていれば、金属Xドープ用化合物由来の金属Xがシリカ源に取り込まれ、金属Xがドープされた多孔質シリカが得られる。
また、金属Xに加えて、金属Yが含まれる金属ドープメソポーラスシリカを製造する場合には、工程(D)より前のいずれかの段階において、金属Yドープ用化合物を添加すればよい。金属Yドープ用化合物は、金属Yの供給源となる物質である。金属Yドープ用化合物としては、金属Yを含む水溶性の化合物が好ましく用いられる。より好ましくは、金属Yの塩化物、硝酸塩および硫酸塩などが用いられる。
例えば、金属Yがアルミニウムである場合、塩化アルミニウム等が金属Yドープ用化合物として添加される。
例えば、金属Yがジルコニウムである場合、オキシ塩化ジルコニウム等が金属Yドープ用化合物として添加される。
金属Yドープ用化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
金属Yドープ用化合物の添加量は、例えば、シリカ源1モルに対して0.001〜0.5モルが好ましく、0.01〜0.1モルがより好ましい。
本実施態様の芳香組成物における金属ドープメソポーラスシリカの含有量は、香料の種類、芳香組成物の用途、消臭対象とする悪臭成分の種類などに応じて適宜決定されるが、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
<香料>
本実施態様の芳香組成物は、金属ドープメソポーラスシリカの他に、香料を含む。
香料は、天然香料、合成香料、またはこれらの組み合わせのいずれであってもよく、単品香料、調合香料のいずれであってもよい。香料は様々な文献、例えば、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1960)、「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Pajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)、「Perfume and Flavor Chemicals(aroma chemicals)」,Vols.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)に記載の香料が使用できる。それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。以下に香料の代表例を挙げるが、香料は、これらに限定されるものではない。
天然香料としては、例えば、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ラバンジン油、ベルガモット油、パチュリ油、シダーウッド油、ペパーミント油等の天然精油等が挙げられる。
合成香料としては、例えば、ピネン(α−ピネン、β−ピネン)、リモネン、シメン(p−シメン)、テルピノレン、テルピネン(α−テルピネン、γ−テルピネン)、α−フェランドレン、ミルセン、カンフェン、o−シメン等の炭化水素テルペン;ヘプタナール、オクタナール、デカナール、ベンズアルデヒド、サリシリックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シトロネラール、ハイドロキシシトロネラール、ハイドロトロピックアルデヒド、リグストラール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、リラール、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン等のアルデヒド類;エチルフォーメート、メチルアセテート、酢酸エチル、メチルプロピオネート、メチルイソブチレート、エチルイソブチレート、酪酸エチル(エチルブチレート)、プロピルブチレート、イソブチルアセテート、イソブチルイソブチレート、イソブチルブチレート、イソブチルイソバレレート、エチル−2−メチルバレレート、イソアミルアセテート、テルピニルアセテート、イソアミルプロピオネート、アミルプロピオネート、アミルイソブチレート、アミルブチレート、アミルイソバレレート、アリルヘキサノエート、エチルアセトアセテート、エチルヘプチレート、ヘプチルアセテート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、エチルオクチレート、スチラリルアセテート、ベンジルアセテート、ノニルアセテート、ボルニルアセテート、リナリルアセテート、オルト−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、安息香酸リナリル、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、エチルシンナメート、メチルサリシレート、ヘキシルサリシレート、ヘキシルアセテート、ヘキシルブチレート、メンチルアセテート、ターピニルアセテート、アニシルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート、γ−ウンデカラクトン、γ−ノニルラクトン、シクロペンタデカノライド、クマリン、カプロン酸エチル、オクタン酸エチル、デカン酸エチル等のエステル・ラクトン類;アニソール、p−クレジルメチルエーテル、ジメチルハイドロキノン、メチルオイゲノール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、アネトール、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、ガラクソリド、アンブロックス等のエーテル類;イソプロピルアルコール、cis−3−ヘキセノール、ヘプタノール、2−オクタノール、ジメトール、ジヒドロミルセノール、リナロール、ベンジルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、テルピネオール、テトラハイドロゲラニオール、l−メントール、セドロール、サンタロール、チモール、アニスアルコール、フェニルエチルアルコール、ヘキサノール等のアルコール類;ジアセチル、メントン、イソメントン、チオメントン、アセトフェノン、α−またはβ−ダマスコン、α−またはβ−ダマセノン、α−、β−またはγ−ヨノン、α−、β−またはγ−メチルヨノン、メチル−β−ナフチルケトン、ベンゾフェノン、テンタローム、アセチルセドレン、α−またはβ−イソメチルヨノン、α−、β−またはγ−イロン、マルトール、エチルマルトール、cis−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、l−カルボン、ジヒドロカルボン、メチルアミルケトン等のケトン類、カンファー、1,8−シネオール、アリルアミルグリコレート、イソプレゴール、リグストラル、アリルカプロエートなどが挙げられる。
香料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。さらに、香料は、溶剤、香料安定化剤などをさらに含有する香料組成物であってもよい。
本実施態様の芳香組成物における香料の含有量は、香料の種類、芳香組成物の用途、消臭対象とする悪臭成分の種類などに応じて適宜決定されるが、0.01〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
本実施態様の芳香組成物は、任意の状態であってよく、例えば固体、液状、ゲル状、粉状、シート乃至フィルム状、泡状またはフレーク状であってよい。
本実施態様の芳香組成物は、金属ドープメソポーラスシリカと香料以外の他の材料を含んでよい。
本実施態様の芳香組成物を液状とする場合、例えば他の材料としてアルコール、水などを含んでよい。
本実施態様の芳香組成物をゲル状とする場合、例えば他の材料として高吸水性樹脂、色素、防腐剤、水などを含んでよい。
本実施態様の芳香組成物をシート乃至フィルム状とする場合、例えば金属ドープメソポーラスシリカを予め練りこんだ紙、布、樹脂製シート乃至フィルム等に、溶剤に溶かした香料を含侵させてよい。
本実施態様の芳香組成物は、金属ドープメソポーラスシリカ、香料および任意で使用する他の成分を公知の手段により混合等し、製造することができる。
<用途>
本実施態様の芳香組成物は、それ自体を消臭剤または芳香剤として使用することができる。
消臭剤または芳香剤は、悪臭の消臭と芳香の発生が求められる物品に対して使用される。たとえば、タンス、クローゼット、衣装ケース、下駄箱、ゴミ箱、キッチンの流しやその排水口、トイレやその排水口、車、冷蔵庫、冷凍庫、食品収納容器、食品収納袋、風呂や流しの排水口、エアコン等種々の物品に対して使用できる。
また、ファブリック、たとえば衣服、肌着、ストッキング、靴下、カバン、布団、布団カバー、座布団、毛布、じゅうたん、カーテン、ソファー、エアーフィルター、空気清浄器フィルター、マスク、おむつ、トイレシート、自動車のフロアマットや座席シート、カーエアコンフィルターなどに対して使用できる。
また、本実施態様の芳香組成物を、容器に収容する、担体に担持する、装置に配置するなどし、消臭剤製品または芳香剤製品に使用することもできる。消臭剤製品または芳香剤製品としては、例えば置型タイプ、スプレー容器に充填されているタイプ(以下、スプレー消臭剤製品またはスプレー芳香剤製品と呼ぶことがある。)、エアゾール缶に充填されているタイプ(以下、エアゾール消臭剤製品またはエアゾール芳香剤製品と呼ぶことがある。)、シート状タイプなどがあげられる。また、芳香剤製品としては、気流を案内する流路と、本実施態様の芳香組成物とを備えており、本実施態様の芳香組成物が、かかる流路に配置されている、芳香装置もあげられる。
本実施態様の芳香組成物をスプレー消臭剤製品またはスプレー芳香剤製品に使用する場合、たとえば、金属ドープメソポーラスシリカと香料を任意の他の添加剤とともに、水、アルコールなどの溶媒乃至分散媒中に混合して芳香組成物とし、かかる芳香組成物をスプレー容器等に充填するとよい。スプレー容器としては、トリガースプレー容器などの公知のものを用いることができる。
本実施態様の芳香組成物をエアゾール消臭剤製品またはエアゾール芳香剤製品に使用する場合、たとえば、金属ドープメソポーラスシリカと香料を任意の他の添加剤とともに、水、アルコールなどの溶媒乃至分散媒中に混合して芳香組成物とし、かかる芳香組成物を噴射剤とともにエアゾール缶等に充填するとよい。噴射剤としては、公知のものを使用すればよく、たとえばLPG、DME、炭酸ガス、HFCなどを使用すればよい。
本実施態様の芳香組成物をスプレー消臭剤製品、スプレー芳香剤製品、エアゾール消臭剤製品またはエアゾール芳香剤製品に使用する場合、対象物への接着性を向上する目的で、本実施態様の芳香組成物は、他の添加剤として、バインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノプラスト樹脂、エポキシ系樹脂、グリオキザール系樹脂、エチレン尿素樹脂などが挙げられる。ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましく、特に好ましくはウレタン系樹脂が使用される。かかるウレタン系樹脂としては、ポリウレタンエマルジョンあるいは水溶性ウレタン樹脂が好ましく用いられる。バインダーの含有量は、本実施態様の芳香組成物の組成等に応じて適宜決定することができるが、付着のしやすさと洗浄のしやすさのバランスの観点から、好適には0.1〜10質量%である。
また、本実施態様の芳香組成物を芳香装置に使用する場合、通常、本実施態様の芳香組成物は、気流を案内する流路に配置され、好適には、気流を案内する流路の内部、または、流路の出口乃至入口に配置され、特に好適には、流路の内部に配置される。芳香装置には、本実施態様の芳香組成物を空気に接触しやすくするために、あるいは、本実施態様の芳香組成物に接触した空気を外部に送りやすくするために、ファン等の送風装置を備えることが好ましい。
また、本実施態様の芳香組成物は、消臭剤製品や芳香剤製品の他に、化粧品、消費財など、香料を使用し、且つ、消臭性を求める分野の製品に含まれていてよい。
化粧品は、任意の用途の化粧品であってよいが、好適には、毛髪用(ヒト以外の動物の場合は毛用)化粧品、顔用化粧品、芳香化粧品またはボディ化粧品である。毛髪用(毛用)化粧品としては、例えばシャンプー、リンス、コンディショナーまたはトリートメント、ヘアスプレー、ヘアワックスなどが挙げられる。顔用化粧品としては、洗顔クリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし、などの基礎化粧品;ファンデーション、おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、ネイルエナメル、エナメルリムーバー、などの仕上げ化粧品;があげられる。芳香化粧品としては、香水、練り香水、芳香パウダーなどがあげられる。ボディ化粧品としては、ボディ洗浄料、ボディーパウダー、デオドラント用品(制汗剤など)、入浴剤、ボディローション、日焼け止め、ハンドクリームなどがあげられる。
また、消費財としては、上記で説明したファブリック;ファブリック用洗剤、ファブリック用柔軟剤、アイロン剤などのファブリック用製品;医療用包装紙・フィルム、食品用包装紙・フィルム、鮮度保持紙・フィルム、壁紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ゴミ袋、おしぼりなどのシート乃至フィルム状の製品;おむつ、ポータブルトイレなどの介護用品;ペット用品等が挙げられる。好適には、本実施態様の芳香組成物は、ファブリックまたはファブリック用製品に含まれる。
2.化粧品または消費財
これまで、本発明の一実施態様として芳香組成物について説明をしたが、本発明は、別の実施態様として、金属がドープされている金属ドープメソポーラスシリカと、香料とを含む、化粧品または消費財を提供する。本実施態様の化粧品または消費財の製造工程においては、金属ドープメソポーラスシリカと香料を同時に配合してもよく、別々に配合してもよい。
本実施態様の化粧品または消費財は、芳香組成物と同様、悪臭を選択的に消臭し、香料由来の芳香成分などの他の匂いをあまり消臭しない。本実施態様の化粧品または消費財に含まれる金属ドープメソポーラスシリカと香料の特徴、物性、製造方法は、1.芳香組成物の項で説明したとおりである。また、任意で使用可能な他の材料に関する説明、化粧品、消費財の説明も1.芳香組成物の項のとおりである。
ただ、本実施態様の化粧品または消費財に含まれる金属ドープメソポーラスシリカの量としては、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
本実施態様の化粧品または消費財に含まれる香料の量としては、0.01〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
3.金属ドープメソポーラスシリカ
本発明は、さらに別の実施態様として、金属がドープされており、香料含有化粧品または香料含有消費財に使用される、金属ドープメソポーラスシリカを提供する。本実施態様の金属ドープメソポーラスシリカの特徴、物性、製造方法は、1.芳香組成物の項で説明したとおりである。また、香料や任意で使用可能な他の材料に関する説明、消臭剤製品、芳香剤製品。化粧品、消費財の説明も1.芳香組成物の項のとおりである。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、これら実施例に限定されて解釈されるものではない。
<実施例1>
溶媒としての水に、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、金属Xドープ用化合物として塩化銅、金属Yドープ用化合物として塩化アルミニウムを加え、100℃で1時間攪拌した。室温まで水溶液を冷却した後、シリカ源としてテトラエトキシシランを加え、攪拌した。次いで、縮合触媒として水酸化ナトリウムを加え、攪拌した。各化合物の添加量は、テトラエトキシシラン1モルに対して、それぞれ以下の量とした。
界面活性剤(ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド):0.225モル
金属Xドープ用化合物(塩化銅):0.0204モル
金属Yドープ用化合物(塩化アルミニウム):0.0482モル
水:125モル
水酸化ナトリウム:0.195モル
得られた懸濁液から固体生成物をろ別し、乾燥した後、焼成を行って有機成分を除去し、金属ドープメソポーラスシリカを得た。得られた金属ドープメソポーラスシリカを、実施例1の粉末サンプルとした。実施例1の粉末サンプルの比表面積は1100m/gであり、細孔径は2.51nmであった。比表面積と細孔径は液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線からBJH法により求めた。
<比較例1>
株式会社クラレ製の活性炭粉末(クラレコール(登録商標)GG)を、比較例1の粉末サンプルとして用意した。
<比較例2>
東京化成工業株式会社製の活性炭粉末(CAS RN:7440−44−0)を比較例2の粉末サンプルとして用意した。
<比較例3>
シグマアルドリッチ製のメソポーラスシリカMCM−41(CAS RN:7631−86−9)を比較例3の粉末サンプルとして用意した。この粉末サンプルの比表面積は894m/gで、細孔径は2.61nmであった。比表面積と細孔径は液体窒素温度における窒素ガス吸着等温線からBJH法により求めた。
<消臭性>
匂い成分として、下記試薬を用意した。
Figure 2021153971
500mLの三角フラスコを3つ用意し、それぞれの三角フラスコに下記表に示す量(μl)の(R)−(+)−リモネンを滴下し、揮発させた。実施例1、比較例1および比較例2の粉末サンプル10mgを、別々の三角フラスコに加えた。1時間後の三角フラスコ中の(R)−(+)−リモネン量を、においモニター(ハンディにおいモニターOMX−SR、神栄テクノロジー株式会社)で測定した。同様にして、消臭剤を使用しない場合(ブランク)に容器に存在する芳香成分を測定した。ブランクの測定値との比較から(R)−(+)−リモネンの消臭量を算出した。
同様にして、酪酸エチル(エチルブチレート)、α―テルピネオールの消臭量を算出した。
また、500mLの三角フラスコを3つ用意し、それぞれの三角フラスコに下記表に示す量(μl)のアンモニアを滴下し、揮発させた。実施例1、比較例1および比較例2の粉末サンプル10mgを、別々の三角フラスコに加えた。1時間後の三角フラスコ中のアンモニア量を、ガス検知管(ガステック製)を用いて測定した。初期濃度との比較からアンモニアの消臭量を算出した。
同様にして、酢酸、メチルメルカプタンの消臭量を算出した。
なお、アンモニアと酢酸の滴下量を少量としたのは、初期濃度が他の匂い成分と同程度となるようにするためであった。
結果を下記表に示す。
Figure 2021153971
上記表中の初期濃度(ppm)の値は、下記式を用いて滴下量から計算した。
Figure 2021153971
式中、Mは分子量(g/mol)を表す。Tは実験時の室内の温度(℃)を表す。Pは実験時の室内の気圧(hPa)を表す。実験時、室内の温度は20℃、室内の気圧は1,013hPaであった。
実施例1の粉末は、比較例1、2の活性炭と同等乃至それ以上の悪臭消臭性を有していた。
実施例1の粉末を加えた三角フラスコには、比較例1,2の活性炭を加えた三角フラスコよりも顕著に多くの芳香成分が残っており、実施例1の粉末の芳香消臭性は、比較例1,2の活性炭の芳香消臭性より低かった。
下記式にもとづき、実施例1、比較例1、比較例2の粉末の選択消臭性を計算した。結果を下表に示す。
選択消臭性=(B+B+B)/A
式中、Bは、アンモニアの消臭量(mmol/g)を示す。
は、酢酸の消臭量(mmol/g)を示す。
は、メチルメルカプタンの消臭量(mmol/g)を示す。
Aは、芳香成分の消臭量(mmol/g)を示す。
Figure 2021153971
下記式にもとづき、実施例1、比較例1、比較例2の粉末の悪臭総消臭量と芳香総消臭量の比率Rを計算した。結果を下表に示す。
比率R=(B+B+B)/(A+A+A
〜Bは、選択消臭性を示す式におけるB〜Bと同じ意味である。
は、(R)−(+)−リモネンの消臭量(mmol/g)を示す。
は、酪酸エチルの消臭量(mmol/g)を示す。
は、α-テルピネオールの消臭量(mmol/g)を示す。
Figure 2021153971
<消臭速度>
500mLの三角フラスコを2つ用意し、それぞれの三角フラスコにパーミエーターを用いて、初期濃度が19ppmとなるように硫化水素ガスを調製した。実施例1、比較例3の粉末サンプル10mgを、別々の三角フラスコに加えた。5分後の三角フラスコ中の硫化水素量を、ガス検知管(ガステック製)を用いて測定した。
結果を下記表に示す。
Figure 2021153971
実施例1の粉末は、比較例3の粉末より消臭速度が速い。実施例1の粉末と比較例3の粉末では比表面積と細孔径に大きな違いがないことから、実施例1の粉末の消臭速度が速いのは金属ドープによる効果であると考えられる。
以上の各種特性を総合的に考慮すると、実施例1の金属ドープメソポーラスシリカ粉末と香料とを含む組成物を調製した場合、かかる組成物は、香料由来の芳香を効果的に発し、且つ、悪臭を選択的に且つ素早く消臭できることがわかった。

Claims (7)

  1. 金属がドープされている金属ドープメソポーラスシリカと、香料とを含む、芳香組成物。
  2. 前記金属が、銅、マンガンおよびコバルトからなる群から選択される少なくとも1種類を含む、請求項1に記載の芳香組成物。
  3. 前記金属ドープメソポーラスシリカの細孔直径が、1〜50nmである、請求項1または2に記載の芳香組成物。
  4. 固体、液状、ゲル状、粉状、シート乃至フィルム状、泡状またはフレーク状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香組成物を含む、消臭剤製品または芳香剤製品。
  6. さらにバインダーを含む、請求項5に記載の消臭剤製品または芳香剤製品。
  7. 気流を案内する流路と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香組成物とを備えており、
    前記芳香組成物が、前記流路に配置されている、芳香装置。
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