JP2009154458A - 回転繰出し式筆記具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 回転カム50に押し上げられた際のスライド駒21を前記回転カム50の傾斜面51前端側の係止凹部52に係止して、リフィール31,32前端の筆記部31a,32aを突出状態に維持するようにした回転繰出し式筆記具であって、前記係止凹部52は、軸筒後方へ凹んだ底部52aと、該底部52aの端部側で軸筒前方へ突出するとともに前記傾斜面51に連続する突縁部52bとを有し、前記スライド駒21は、前記傾斜面51によって押し上げられて移動し、更に前記突縁部52bによって押し上げられる際に、前記突縁部52bとの接触箇所を後方へ滑らせるように形成されている。
【選択図】 図1
Description
この従来の回転繰出し式筆記具によれば、山形の回転カムが回転操作されることにより、該回転カムの傾斜面がリフィール後端のスライド駒を軸筒前方へ押し上げる。したがって、リフィール前端の筆記部が、軸筒前端の先口から突出することになる。
より詳細に説明すれば、図5に示すように、回転カム110を回転させると、スライド駒120が相対的に回転カム110の傾斜面110aを上るようにして移動する。回転カム110を回転させるのに必要な力は、傾斜面110aの傾斜角度aが急であるほど大きくなる。また、スライド駒120が図示しない圧縮スプリングにより後方へ付勢されているため、前記回転力は、スライド駒120が、傾斜面110aの前端側(換言すれば山形の回転カム110の頂部側)に近づくほど、大きくなる。特に、スライド駒120が、回転カム110前端の係止凹部111に係止される手前で、係止凹部111の縁部分111aを乗り越える際(図5によれば、スライド駒120が実線で示す位置にある際)に、回転カム110の回転抵抗が最大になる。
そのため、回転カム110を回転させる際の操作感が低下したり、強引に回転カム110を回そうしたことに起因して、スライド駒120が係止凹部111に係止されず該係止凹部111を乗り越えてしまったり等の問題を生じる場合がある。
しかしながら、特許文献1の発明では、山形の回転カムにおける両側の傾斜面(端面22c,22c)について前記のように前端側の傾斜角度を緩くしているため、係止凹部(22d)の幅が狭くなり、ひいては、該係止凹部にスライド駒を係止した際の安定性が低下したり、スライド駒が係止凹部に係止されず該係止凹部を乗り越えてしまったり等のおそれがある。
回転カムを回転させると、スライド駒が先ず傾斜面によって押し上げられて移動する。そして、更にスライド駒が突縁部によって押し上げられる際に、該スライド駒は、突縁部との接触箇所を後方へ滑らせる。
したがって、スライド駒が突縁部によって押し上げられる際における回転カムの回転抵抗を比較的小さくすることができる。しかも、従来技術のように係止凹部の幅を狭く設定する必要もないため、係止凹部とスライド駒との係合性を損なうこともない。
回転繰出し式筆記具1は、軸筒10と、該軸筒10内で前後方向へスライドするように設けられた複数のスライド駒21,22と、各スライド駒21,22の前端側に接続されたリフィール31,32と、各スライド駒21,22を軸筒後方へ付勢する付勢部材40と、軸筒10内で回動する傾斜面51によって各スライド駒21,22を軸筒前方へ押し上げる回転カム50とを備える。
そして、この回転繰出し式筆記具1は、回転カム50に押し上げられた際の各スライド駒21,22を前記傾斜面51前端側の係止凹部52に係止して、各リフィール31,32前端の各筆記部31a,32aを突出状態に維持する。
この軸筒10の径は、計四本のリフィール31,32を収納可能であって、且つ握り感触を損ねないように適宜に設定され、従来構造の回転繰出し式筆記具に計四本のリフィールを内在する場合と比較し、細身に形成されている。
なお、図中、軸筒10後端側の符号91はクリップ、符号92は消しゴムを内在する尾栓である。
また、他方の接続部22aは、シャープペンシル用リフィール32の後端部に対し直接的に接続されるようになっている。
そして、この係合部21bは、図2に示すように、回転カム50の傾斜面51に対向する対向面21b1を有し、この対向面21b1の前端側を前記傾斜面51に対し略点接触し、その点接触箇所を回転カム50の突縁部52bに押し上げられる際に後端側へ滑らせるように形成されている。
この点接触は図2の展開図に示すように軸筒周方向における点接触であればよいが、本実施の形態の好ましい一例では、軸筒径方向(図2における奥行き方向)においても略点接触となるようにしている。この構成によれば、スライド駒21と回転カム50との摩擦抵抗を、より軽減することができる。
この構成によれば、ボールペン用リフィール31の筆記部31aを突出させるために回転カム50を回転させる操作と、シャープペンシル用リフィール32の筆記部32aを突出させるために回転カム50を回転させる操作とで、突縁部52bに相対するスライド駒21の滑り量を変化させることができ、ひいては、筆記者が、回転カム50を回転させる際の操作感により、ボールペン用リフィール31又はシャープペンシル用リフィール32を選択して突出させることができる。
なお、前記とは逆に、シャープペンシル用リフィール32に対応するスライド駒22の前記対向面(図示せず)における滑り方向の長さを、ボールペン用リフィール31用のスライド駒21の対向面21b1の滑り方向の長さLよりも長く形成してもよい。
更に他例としては、インク色の異なる複数種類のボールペン用リフィール31について、スライド駒21の対向面21b1の滑り方向の長さLを変えて、筆記者が筆記部を視認することなく回転カム50の操作感によりインク色を選択できるようにすることも可能である。
この筒部53の前端部は、リフィール31,32の没入状態を維持するための基端部53aとされる。この基端部53aは、後述する傾斜面51の後端に接続された面であり、軸筒周方向へわたっている。
内側傾斜面52cは、底部52aの端部から斜め前方へ延びる略直線状の面である。この内側傾斜面52cの軸筒周方向に対する傾斜角度θ3は、スライド駒21の対向面21b1の軸筒周方向に対する傾斜角度θ2よりも若干小さく設定されている。この構成によれば、係止凹部52に対しスライド駒21をより深くまで係合させ易く、ひいては、係止凹部52内にスライド駒21を係合した際の安定性を向上することができる。
外部からの操作により回転カム50が軸筒周方向へ回転されると、スライド駒21が、回転する回転カム50の傾斜面51に押し上げられて、軸筒前方へ移動する。更に、スライド駒21は、傾斜面51前端の突縁部52bに押し上げられる。
スライド駒21が係止凹部52に嵌まり合った状態では、図2において二点差線で示されるように、スライド駒21における係合部21bの後端側頂部が、係止凹部52における底部52aに当接する。この状態において、スライド駒21の対向面21b1と、係止凹部52の内側傾斜面52cとの間には、若干の隙間(余裕空間)が確保される。
そのため、回転カム50の回転抵抗が減少し、回転カム50を回転操作する際の操作感を向上することができる。しかも、前記滑りにより、突縁部52bを乗り越える際のスライド駒21の移動量が比較的小さくなるため、スライド駒21が急激に移動して係止凹部52に係止されずに該係止凹部52を乗り越えてしまうようなことを防ぐことができ、スライド駒21と係止凹部52との係合性が良好である。
図4(a)は、スライド駒21の対向面21b1の前端側が傾斜面51に接触した状態を示す模式図である。
図中、矢印Fは、付勢部材40の付勢力が回転カム50に対し作用した力を示す。この力は、回転カム50の傾斜面51に対する垂直方向の力としてあらわされる。
矢印Fnと矢印Fsは、それぞれ前記矢印Fの分力を示す。
矢印Sは、スライド駒21が傾斜面51を上ろうとする力を示す。この矢印Sの力は、前記矢印Fsの力の反力となる。
角度2θは、回転カム50における左右の傾斜面51,51間の角度を示す。
角度2Φは、スライド駒21における左右の対向面21b1,21b1間の角度を示す。
S=Fs+μFn=Fcosθ+μsinθ・・・(1)
ここで、前記摩擦係数μを無視すれば、以下の(2)式が成り立つ。
S=Fcosθ・・・(2)
図中、矢印Fは、付勢部材40の付勢力が回転カム50に対し作用した力を示す。この力は、スライド駒21の対向面21b1(詳細には直線状面部21b11)に対する垂直方向の力としてあらわされる。
矢印Fαyと矢印Fαxは、それぞれ前記矢印Fの分力を示す。
矢印S’は、スライド駒21が傾斜面51を上ろうとする力を示す。この矢印Sの力は、矢印Fs’で示す力の反力となる。
矢印Fs”は、前記Fαyについて傾斜面51に沿う方向の分力である。
矢印Fs’は、前記Fαxについて傾斜面51に沿う方向の分力である。
一点鎖線で示すL1−L1は、スライド駒21における左右の対向面21b1,21b1間の角度を二等分する直線である。
一点鎖線で示すL2−L2は、回転カム50における左右の傾斜面51,51間の角度を二等分する直線であり、L1−L1に平行する。
角度Φは、二等分線L1−L1と対向面21b1との間の角度である。L1−L1とL2−L2が平行であるため、L2−L2と対向面21b1との間の角度もΦとなる。
角度θは、二等分線L2−L2と傾斜面51との間の角度である。
角度αは、矢印Fと傾斜面51との間の角度である。
角度βは、矢印Fαyと矢印Fs”との間の角度であり、且つ、矢印Fs’に直交する直線と二等分線L2−L2との間の角度でもある。すなわち、図4(b)中において、この角度βを有する二つの三角形は相似である。
S’=Fs’−Fs”・・・(3)
付勢部材40の付勢力Fは、スライド駒21の対向面21b1に対し、略垂直に発生する。以下に、前記付勢力Fの分力からFs’、Fs”を求める。
Fαx=Fcos(α+θ)・・・(4)
Fαy=Fsin(α+θ)・・・(5)
Fs’=Fαxcosθ=Fcos(α+θ)×cosθ・・・(6)
Fs”=Fαycosβ=Fsin(α+θ)× cosβ・・・(7)
Φ+θ+α=π/2・・・(8)
∴α=π/2−Φ−θ・・・(9)
同図中、角度βを有する三角形において以下の(10)(11)式が成り立つ。
θ+β=π/2・・・(10)
∴β=π/2−θ・・・(11)
Fs’=Fcos(π/2−Φ)×cosθ・・・(12)
Fs”=Fsin(π/2−Φ)×cos(π/2−θ)・・・(13)
S=0.94×F
Fs’=0.43×F
Fs”=0.30×F
S’=0.12×F
21,22:スライド駒 21b1:対向面
40:付勢部材 50:回転カム
21:スライド駒 51:傾斜面
52:係止凹部 31:ボールペン用リフィール
32:シャープペンシル用リフィール 31a,32a:筆記部
52a:底部 52b:突縁部
Claims (5)
- 軸筒と、該軸筒内で前後方向へスライドするように設けられたスライド駒と、前記スライド駒の前端側に接続されたリフィールと、前記スライド駒を軸筒後方へ付勢する付勢部材と、軸筒内で回動する傾斜面によって前記スライド駒を軸筒前方へ押し上げる回転カムとを備え、前記回転カムに押し上げられた際の前記スライド駒を前記傾斜面前端側の係止凹部に係止して、前記リフィール前端の筆記部を突出状態に維持するようにした回転繰出し式筆記具であって、
前記係止凹部は、軸筒後方へ凹んだ底部と、該底部の端部側で軸筒前方へ突出するとともに前記傾斜面に連続する突縁部とを有し、
前記スライド駒は、前記傾斜面によって押し上げられて移動し、更に前記突縁部によって押し上げられる際に、前記突縁部との接触箇所を後方へ滑らせるように形成されていることを特徴とする回転繰出し式筆記具。 - 前記スライド駒は、前記傾斜面に対向する対向面を有し、この対向面の前端側を前記傾斜面に対し略点接触し、その点接触箇所を前記突縁部に押し上げられる際に後端側へ滑らせるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転繰出し式筆記具。
- 前記スライド駒は、前記傾斜面に対向する対向面を有し、
この対向面は、軸筒周方向に対する傾斜角度が前記傾斜面の軸筒周方向に対する傾斜角度よりも小さい直線状に形成された直線状面部と、該直線状面部の前端側に接続されて前記傾斜面から離間する方向へ延設された逃げ面部とを有し、これら直線状面部と逃げ面部との間の箇所を前記傾斜面に対し略点接触し、その点接触箇所を、前記突縁部に押し上げられる際に前記直線状面部側へ滑らせるようにしていることを特徴とする請求項1記載の回転繰出し式筆記具。 - 複数種類のリフィールを具備した回転繰出し式筆記具であって、
前記複数種類のリフィールの内、少なくとも一つのリフィールに対応する前記スライド駒について、前記対向面における滑り方向の長さを他のものと異なるようにしたことを特徴とする請求項2又は3記載の回転繰出し式筆記具。 - 前記回転カムは、前記突縁部が略円弧状に形成され、この円弧状の突縁部の一端側を前記傾斜面の前端に接続するとともに、同突縁部の他端側を前記係止凹部の底面へ向けていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の回転繰出し式筆記具。
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