JP3774805B2 - 出没式筆記具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキタンクの先端にペン先を取り付けたリフィルをコイルスプリングによって後方付勢しつつ軸筒内に前後動可能に収容し、軸筒の前側壁に形成した横孔より操作部材を突出させて操作可能となすと共に、この操作部材を軸筒の径方向に押圧操作し、径方向に付与される力を傾斜壁を有するスライド体に伝達して長手方向にスライドする力に変換することにより、リフィルに係合した係止機構を前進させて、この係止機構により軸筒先端口よりのペン先の先端出没係止をなす出没式筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軸筒の前側(ペン先側)部分の側壁に形成した横孔より、軸筒内部のペン先の出没係止機構を稼働させる操作部材を突出させ、筆記状態に近い把持状態でペン先の出没係止制御を手元操作にて行えるようなした出没式筆記具が知られている。
また、この手元操作として、操作部材を軸径方向に押圧操作するものとし、この径方向の押圧力を、傾斜壁を有する軸筒内を摺動可能な部材の前記傾斜壁で受けて、軸長手方向ペン先側への摺動力に変換し、出没係止する位置に係止機構及びリフィルを移動させるものが所謂サイドノック式筆記具などと称され知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなサイドノック式筆記具は、ペン先を突出させた状態では、係止機構及びリフィルの係止位置をペン先側寄りの位置に係止するものであり、その分、傾斜壁を有する部材もペン先側へ前進していることになり、操作部材は、傾斜壁を有する部材を前進させるために、軸筒径方向に移動している。この状態では、操作部材は抜け落ち係止されている以外は操作部材の移動範囲で操作部材が重力や筆記具本体の移動の慣性により絶えず動く状態が形成されることになる。このように操作部材が固定されない不安定な状態は、ペン先の突出状態である筆記時に形成され、また、操作部材は手元操作のために軸筒の前側部分に位置するために、操作部材が自由に動いてしまうと、把持した手にガタ付きとして感じてしまい、筆記の邪魔になるという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、インキタンクの先端にペン先を取り付けたリフィルをコイルスプリングによって後方付勢しつつ軸筒内に前後動可能に収容し、軸筒の前側壁に形成した横孔より操作部材を突出させて操作可能となすと共に、この操作部材を軸筒の径方向に押圧操作し、径方向に付与される力を傾斜壁を有するスライド体に伝達して長手方向にスライドする力に変換することにより、リフィルに係合した係止機構を前進させて、この係止機構により軸筒先端口よりのペン先の先端出没係止をなす出没式筆記具において、前記操作部材の軸筒内に位置する部位に外方凸部を形成し、軸筒先端口よりペン先を突出させた状態で前記外方凸部を軸筒内壁に圧接するようになし、軸筒先端口よりペン先を突出した状態の操作部材の位置を保持してなることを特徴とした出没式筆記具を要旨とする。
【0005】
【実施例】
以下、図面に基づき一例について説明する。いずれの図面のものもペン先の突出した筆記可能状態を示してある。
先端口に向かって次第に縮径する円錐体形状の先筒1aと後筒1bとからなる軸筒1内に、ボールペンチップ2aとインキを収容するポリプロピレン樹脂製のパイプ体であるインキタンク2bとを接続したリフィル2が、先筒1aの内部に配置したコイルスプリング3の弾撥力を側壁に形成した突条2cで受けて後方付勢され前後動可能に収容されている。また、軸筒1の後端にはクリップ4aを有する頭冠4が連結されている。
【0006】
また、軸筒1の内部にはリフィル2のボールペンチップ2aを先筒の先端口より出没維持する係止機構が収容されており、係止機構は後筒側壁の横孔5より突出する操作部材である押圧ボタン6に連結されている。押圧ボタン6はポリオキシメチレン樹脂製の箱型状部材であり、側壁に形成した外方凸部により後筒の横孔からの抜け落ち係止がなされている。
【0007】
図1の要部拡大図である図2にも示すように、リフィル2を摺動係止する係止機構は、回転により後筒1b内での長手方向位置を変化させる回転カム7と、回転カムに長手方向の摺動力と回転力とを付与する摺動カム8と、押圧ボタン6の径方向の押圧力を長手方向の摺動力に変換し摺動カム8を摺動させる連結部材9とからなっている。これら係止機構の各部材は他部材との当接、摺接を繰り返す部材であることから、摩擦抵抗が極力少なく、摩擦による変形、摩耗等の極力少ないポリオキシメチレン樹脂に脂肪酸等の滑剤を配合して成形されたものが使用されている。
【0008】
ペン先であるボールペンチップ2aの突出状態では、回転カム7は、後筒1bの内壁に形成された交互に配置された長さの異なる係止溝1cの内、短い溝に係止される複数の羽根7aを有している。即ち、より先端側に位置させている。また、この羽根7aは、後部が傾斜壁7bとなっており、後述する摺動カム8の前端の鋸歯状の山形傾斜面8aと当接すると一定方向に回転し、短い溝と長い溝の係合溝1cに交互に係合する。回転カム7の先端は、コイルスプリング3によって後方付勢されたリフィル2の突条2cと当接しており、羽根7aが交互に長い係止溝と短い係止溝に係合することによって交互にボールペンチップ2aの出没状態を形成する。
【0009】
摺動カム8は回転カム7との当接部分として前端に鋸歯状の山形傾斜面8aを複数有していると共に、側壁に後筒1b内壁に形成した摺動溝1dに係合して摺動する摺動突起8bを有している。
連結部材9は、押圧ボタン6の径方向の押圧力を受ける部分として2つの傾斜壁9aを有しており、押圧ボタン6の前後の脚6aと当接するようになっている。また、連結部材9は傾斜壁9aと反対側の側壁に後筒1b内壁と当接する突起9bを有しており、摺動時に後筒1bの内壁との接触面積を極力少なくして、摩擦抵抗を極力小さくするようにしてある。
【0010】
押圧ボタン6を押圧すると脚6aが連結部材9の傾斜壁9aに当接して連結部材が前方向に移動し、摺動カム8を移動させる。摺動カム8は山形傾斜面8aにて回転カム7の羽根7aに当接する。羽根7aの後部の傾斜壁7bと山形傾斜面8aとが押圧力を付与されつつ当接することによって、回転カム7は傾斜に摺れつつ前方に移動し、係合溝1cの開口部に達したときに回転して隣の係合溝1cに係合し、ペン先の出没係止をなすものである。
【0011】
ここで、ボールペンチップ2aを突出する小径の先端口を別部材である先筒1aに形成してある。この、先筒1aと後筒1bとの連結は螺合によりなしてあるが、先筒1aを外側部材となるように内壁に雌螺子部1fを形成し後筒1bの先端に形成した小径部外面に雄螺子部1gを形成することにより、外径を極力連続した形状とすることができ把持しやすく、軸筒内での摺動部材である係止機構を収容する後筒1bの内壁を段のない直管状に形成することができ、内容部材の移動に支障を来す恐れの極力抑制されたものとなる。尚、先筒1aと後筒1bとの連結は螺合の他に乗り越え嵌合や接着が考えられるが、リフィルの交換を考慮すると、螺合が好ましいものと言える。参照符号11は先筒1aを取り外した際に、内容物が一気に抜け落ちないようにするための軟質ポリエチレン樹脂製の係止リングであり、後筒1b開口部に圧入されている。
【0012】
図1のI−I線断面矢視図である図3に示すように、押圧ボタン6は側壁の最下部に外方凸部6bを有しており、軸筒1の横孔5の縁として形成される顎部5aにより横孔5よりの抜け落ち防止がなされている。また、外方凸部6bが摺動する範囲に相当する範囲において、軸筒1の押圧ボタン6を介在して対峙する内側壁1eは押圧ボタン6の外方凸部6bの形成する部材の最大幅よりも幅狭になっており、押圧ボタン6は内側壁1eに挟持圧接されその位置が保持される。即ち、押圧ボタン6は常に横孔5内でその位置が保持されることになり、最も横孔5に入り込んだ状態でも押圧ボタン6が、軸筒1の外形から突出する部分を少なく保持するので筆記の際の障害になり難い。
【0013】
図4に変形例を示す。図3に相当する図として示してある。外方凸部6bが摺動する範囲に相当する範囲において、軸筒1の押圧ボタン6を介在して対峙する内側壁1eは押圧ボタン6の押圧操作される方向に向かって次第にその幅を狭くするように内側に向かって傾斜している。ペン先収納状態となる、押圧ボタン6が連結部材9の傾斜面9aによって最も上側に押し上げられている状態では、前記外方凸部6bが最も顎部5aに近い位置にくるが、その位置に相当する内側壁1eはその対峙する壁との間が最も広く設定されており、外方凸部6bが内側壁1eに圧接しない。これに対して図示の、押圧ボタン6を押圧して連結部材9を前進させ、ボールペンチップ2aを突出状態とした際には、外方凸部6bが対峙する内側壁1eの幅狭部分に位置し、挟持圧接されその位置が保持される。この状態は、押圧ボタン6が最も横孔5に入り込んだ状態となっており、押圧ボタン6が、軸筒1の外形から突出する部分が少なく、筆記の際の障害になり難い。
【0014】
図5に他の変形例を示す。上述の例と異なる点は、押圧ボタン6の側壁に形成される外方凸部6bを台形状の凸部とし、軸筒1の内側壁1eに対する接触面積を増大させて、押圧ボタン6の保持力を部材間の摩擦抵抗を利用して高めた例である。
【0015】
以上の他にも本発明の要旨を逸脱しない限りで種々なせるものである。一例を挙げると、後軸1bをアクリルニトリルスチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の透明または半透明の材質により形成し、内部構造やインキ残量を視認可能としてもよいし、先筒1aを後筒1bと一体に形成してもよい。また、軸筒1の筆記時に把持する部分に、シリコンゴム等の弾性軟質部材を被覆してもよいし、押圧ボタンとして、その前端または後端を支点として円弧状の動きをする操作部材としてもよいし、少なくとも押圧する面に弾性軟質材を被覆してもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、軸筒の前側壁に操作部材を位置させた出没式筆記具であって、出没係止機構に回転カムを使用したものであっても、操作部材はペン先の突出時にも没入時にも固定される事になり、筆記時把持し易い状態を確保することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一例を示す断面図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】図1のI−I線断面矢視図。
【図4】変形例を示す図3相当図。
【図5】他の変形例を示す図3相当図。
【符号の説明】
1 軸筒
1a 先筒
1b 後筒
1c 係止溝
1d 摺動溝
1e 内側壁
1f 雌螺子部
1g 雄螺子部
2 リフィル
2a ボールペンチップ
2b インキタンク
2c 突条
3 コイルスプリング
4 頭冠
4a クリップ
5 横孔
5a 顎部
6 押圧ボタン
6a 脚
6b 外方凸部
7 回転カム
7a 羽根
7b 傾斜壁
8 摺動カム
8a 山形傾斜面
8b 摺動突起
9 連結部材
9a 傾斜壁
9b 突起

Claims (3)

  1. インキタンクの先端にペン先を取り付けたリフィルをコイルスプリングによって後方付勢しつつ軸筒内に前後動可能に収容し、軸筒の前側壁に形成した横孔より操作部材を突出させて操作可能となすと共に、この操作部材を軸筒の径方向に押圧操作し、径方向に付与される力を傾斜壁を有するスライド体に伝達して長手方向にスライドする力に変換することにより、リフィルに係合した係止機構を前進させて、この係止機構により軸筒先端口よりのペン先の先端出没係止をなす出没式筆記具において、前記操作部材の軸筒内に位置する部位に外方凸部を形成し、軸筒先端口よりペン先を突出させた状態で前記外方凸部を軸筒内壁に圧接するようになし、軸筒先端口よりペン先を突出した状態の操作部材の位置を保持してなることを特徴とした出没式筆記具。
  2. 前記係止機構を、軸筒内壁に形成した係止位置の異なる複数の係止溝に回転により交互に係止する回転カムと該回転カムに操作部材の操作による摺動力を付与する摺動子よりなるものとしたことを特徴とする請求項1記載の出没式筆記具。
  3. 前記軸筒内壁の少なくとも前記操作部材の外方凸部が移動する範囲の内壁部分を、ペン先の没入状態時の外方凸部の位置相当部からペン先突出時の外方凸部の位置相当部に向かって次第に幅狭となる傾斜壁としたことを特徴とする請求項1又は2記載の出没式筆記具。
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