JP2009154105A - 塗布方法および塗布装置並びに液晶ディスプレイ用部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布開始部にパーティクル欠点やすじ欠点等の塗布欠点が発生しないプレートを使用した初期化手段と、繰り返し予備塗布をしてもプレートの清浄度を一定に保つ洗浄手段とを具現化することによって、常に安定した塗布品質を実現するプレートの初期化システムを提供するとともに、低コストで高品質の液晶ディスプレイ用部材を高い生産性で製造できる液晶ディスプレイ用部材の製造方法を提供する。
【解決手段】塗布液を吐出するために一方向に伸びる吐出口を有する塗布器から平面を有するプレートに向かって塗布液を吐出して予備塗布を行い、引き続いて被塗布部材に塗布を行う塗布方法において、少なくとも2個以上のプレートに予備塗布を行うことを特徴とする塗布方法。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えばカラー液晶ディスプレイ用カラーフィルタやTFT用アレイ基板等の液晶ディスプレイ用部材を製造する分野に主として使用されるものであり、詳しくはガラス基板などの被塗布部材表面に均一な塗布膜を多数枚にわたって形成するために必要な塗布器の初期化に関わる塗布方法及び塗布装置並びに液晶ディスプレイ用部材の製造方法の改良に関する。
カラー液晶用ディスプレイは、カラーフィルタ、TFT用アレイ基板などにより構成されているが、カラーフィルタ、TFT用アレイ基板ともに、低粘度の液体材料を塗布して乾燥させ、塗布膜を形成する製造工程が多く含まれている。たとえば、カラーフィルタの製造工程では、ガラス基板上に黒色のフォトレジスト材の塗布膜を形成し、フォトリソ法により塗布膜を格子状に加工した後に、格子間に赤色、青色、緑色のフォトレジスト材の塗布膜を同様の手法により順次形成していく。その他にも、フォトレジスト材を塗布して塗布膜を形成後、カラーフィルタとTFT用アレイ基板との間に注入される液晶のスペースを確保する柱を形成したり、カラーフィルタ上の表面の凹凸を平滑化するためのオーバーコート塗布膜を形成する製造工程や、TFT用アレイ基板に所定のパターンを形成するためにフォトレジスト材の塗布膜を形成する製造工程などもある。
この塗布膜形成のための塗布装置としては、塗布液の消費量や消費電力の削減、さらに2m角以上という超大型基板に対応する装置の大型化が容易であるなどの理由により、近年に至ってスリットコータ(例えば特許文献1)の使用が増加してきている。この公知のスリットコータは塗布器としてスリットノズルを有し、このスリットノズルに設けられたスリット状の吐出口から塗布液を吐出しながら、一方向に走行するガラス基板などの被塗布部材上に塗布膜を形成するものとなっている。
このスリットコータで多数枚の被塗布部材に続けて塗布する場合には、どの被塗布部材に対してもスリットノズルの吐出口とその周辺の状態を同じにする、すなわち初期化をしてから塗布を始めないと、塗布開始部の塗布膜の膜厚プロファイルが再現せず、同じ品質を維持できない。そのために塗布前には一枚一枚の被塗布部材ごとに、スリットノズルの初期化が必ず行われる。このスリットノズルの初期化を非接触の状態で行うのが、回転ロールにスリットノズルで予備塗布を行うものである(例えば特許文献2)。この予備塗布では、被塗布部材への塗布の時と同じように、スリットノズルを回転ロールに近接させてから塗布液を吐出して塗布を行い、一定厚さの塗布膜を回転ロール上に形成した後に、塗布液の吐出を終了して、スリットノズルを回転ロールから引き離す。この時、引き離されたスリットノズルの吐出口を含む吐出口面には一定量の塗布液が付着するが、スリットノズルの吐出口面の両隣に隣接する両隣接面には塗布液は付着していない状態になっている。この状態を初期化された状態と称している。両隣接面に塗布液が付着していると、塗布開始時に付着塗布液も塗布されるので、塗布開始部が厚くなったり、付着塗布液を起点としてすじ状の欠点が発生したりする。また吐出口面に付着している塗布液がいつも一定でないと、塗布開始部の膜厚分布が再現されない。
スリットノズルは、常に同じ条件で回転ロールに予備塗布を行い、予備塗布終了時にスリットノズルを回転ロールから引き離せば、毎回同じ初期化された状態になる。回転ロールにスリットノズルで予備塗布を行う手段はスリットノズルの初期化には有効であるが、回転ロールを常に清浄にして同じ状態で予備塗布を行えるようにする必要がある。そうしないと、繰り返して同じように予備塗布膜を形成できず、その結果スリットノズルを一定の初期化された状態にすることができない。回転ロールの清浄状態を繰り返し維持するために、特許文献2に示されるように、回転ロール上に予備塗布された塗布液に対して、回転ロールの回転方向の上流側から洗浄液を付着させ、次いで塗布液と洗浄液の混合物をブレードでかき落とし、最後に残存液体を窒素ガス等を噴きつけて乾燥させる、ことが行われる。
しかし公知の手段では、生産時のように多量の塗布を行うと、ブレードが磨耗してかき落とし能力が急激に低下するなどするために、回転ロールの清浄状態を常に均質に維持することは極めて困難である。その結果、予備塗布の均一化や再現性が損なわれてしまう。また回転ロールの洗浄にあたっては多量の洗浄液を必要とするので、製造コストが高くなるという欠点もある。このような回転ロールを予備塗布に用いることによる様々な欠点を回避するために、所定の面積を有するプレートの平面上に予備塗布を行うものがある(例えば特許文献3、4)。この方式の場合は、予備塗布で平面状のプレートに付着した塗布液の除去を、予備塗布後に最適な条件下で時間をかけて行ってもよく、形状的にもロールよりは洗浄が容易である。さらにプレートの長手方向に洗浄部材を移動させて洗浄することになるので、洗浄部材そのものは、ロールに比べればはるかに狭幅のものとなり、洗浄部材の調整が容易となる。
しかし、初期化のために予備塗布が行うのがロールであれ、プレートであれ、高精度の塗布に必要十分な塗布品質が実現されているとはいいがたい。ここでいう塗布品質とは、被塗布部材の塗布開始部に特に現れるものであり、パーティクル欠点やパーティクル起因のすじ欠点のことを指している。これらの欠点は次のようにして発生する。すなわちスリットノズルを何回も繰り返して塗布を行っていると、スリットノズルの吐出口周辺に塗布液が薄く乾燥した固化物が次第に形成され、この固化物が以降の塗布時に塗布液を吐出したときに一部溶出したり、吐出口周辺から分離したりしてパーティクルとなり、それが塗布開始部に付着してパーティクル欠点となったり、このパーティクルを起点として発生するすじ欠点となる。従来のロールやプレートを使用する初期化手段では、これらの欠点は防げないので、塗布を一定回数行うごとに、スリットノズルの吐出口周辺を洗浄溶剤で洗浄をしている。しかしながら、非常に乾燥しやすい塗布液では、1回の塗布後にスリットノズルに塗布液が乾燥した固化物が付着し、上記の欠点が発生するので、毎回の塗布終了後にスリットノズルの吐出口周辺を洗浄溶剤で洗浄する必要がある。そのために塗布のタクトタイムが長くなって、生産性が低下するという問題があった。さらにまた繰り返し安定して初期化を行って塗布品質を維持するには、ロールやプレートの洗浄を十分に行って、予備塗布が行われる表面の清浄度を常に一定に保つことが必要となる。プレートを使用した初期化手段の方が、狭幅で洗浄を行うので、均一に洗浄をするための調整が容易で清浄度を高くしやすい。しかし特許文献3、4のように、プレート表面と線状に接触するブレードでは、プレート端部に予備塗布された塗布液が残り、十分に除去できず清浄度が維持できない。このため、予備塗布をした塗布液が端部に残存した状態で予備塗布を行うことになり、これが新たな予備塗布時にスリットノズルに付着するので、塗布開始部のすじ欠点が発生してしまう。すなわち、公知のプレートの洗浄手段では繰り返し安定して初期化を行って、塗布品質を維持することができない。
特開平6-339656号公報(第5欄18行目〜第8欄1行目、第10欄9行目〜43行目、図1、図3、図4) 特開2005−254090号公報(第0036欄〜第0047欄、第0061欄〜第0067欄、第0070欄、図2〜図4) 特開2004−55607号公報(第0068欄〜第0076欄、第0077欄〜第0088欄、図11、図13、図14) 特開2007−268391号公報(第0012欄〜第0033欄、図2〜図4)
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、乾燥しやすい塗布液を使用して、スリットノズルの吐出口周辺を頻繁に洗浄しないでも、塗布開始部にパーティクル欠点やすじ欠点等の塗布欠点が発生しないプレートを使用した初期化手段と、繰り返し予備塗布を行ってもプレートの清浄度を一定に保つ洗浄手段とを具現化することによって、常に安定した塗布品質を実現するプレートの初期化システムを提供することにある。そしてそれによって低コストで高品質のカラーフィルターやTFTアレイ基板等の液晶ディスプレイ用部材を高い生産性で製造できる液晶ディスプレイ用部材の製造方法を提供する。
上記本発明の目的は、以下に述べる手段によって達成される。
本発明になる塗布方法は、塗布液を吐出するために一方向に伸びる吐出口を有する塗布器から平面を有するプレートに向かって塗布液を吐出して予備塗布を行い、引き続いて被塗布部材に塗布を行う塗布方法において、少なくとも2個以上のプレートに予備塗布を行うことを特徴とする。
ここで、前記予備塗布終了後に、前記少なくとも2個以上のプレートに予備塗布された塗布液の除去を洗浄手段により行うこと、前記洗浄手段は、プレートの予備塗布される面とそれに隣接する面に接触し、かつプレートの長手方向に走行するブレードであること、前記洗浄手段は、予備塗布されたプレートに向かって洗浄液を吐出する洗浄ノズルを、気体吐出する気体ノズルに先行させてプレートの長手方向に移動させるものである、ことが好ましい。
本発明になる塗布装置は、塗布液を吐出するために一方向に伸びる吐出口を有する塗布器と、塗布器から塗布液が平面を有するプレート上に吐出されて予備塗布がなされる予備塗布装置と、被塗布部材に塗布膜の形成がなされる本塗布装置と、を備えた塗布装置において、予備塗布が行われるプレートは少なくとも2個以上備えられていることを特徴とする。
ここで、予備塗布終了後に前記少なくとも2個以上のプレートに予備塗布された塗布液の除去を行う洗浄手段をさらに有し、該洗浄手段はプレートの予備塗布される面とそれに隣接する面に接触し、かつプレートの長手方向に走行するブレードであることが好ましい。また予備塗布終了後に前記少なくとも2個以上のプレートに予備塗布された塗布液の除去を行う洗浄手段をさらに有し、該洗浄手段は予備塗布されたプレートに向かって洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、気体を吐出する気体ノズルを備え、さらに洗浄ノズルを気体ノズルに先行させてプレートの長手方向に移動させる移動手段を有することも好ましい。
本発明になる液晶ディスプレイ用部材の製造方法は、請求項1〜4に記載のいずれかの塗布方法を用いて液晶ディスプレイ用部材を製造することを特徴とする。
本発明になる塗布方法および塗布装置を用いれば、少なくとも2個以上のプレートにそれぞれ予備塗布を行うのであるから、塗布器の吐出口周辺に塗布液が乾燥した固化物があっても、少なくとも2回以上の予備塗布を行ってこれらの固化物が一部溶出したり、吐出口周辺から分離することでパーティクルとなり、それを予備塗布をしたプレートに全て付着させられるので、被塗布部材への塗布時には塗布開始部にこのようなパーティクルが付着せず、パーティクルを起因としたすじ欠点も発生しない。その結果、塗布品質が従来のロールや単一のプレートを使用した初期化手段よりも向上する。
さらには、乾燥しやすい塗布液を使用して毎回の塗布終了後に塗布器の吐出口周辺に塗布液が乾燥した固化物が発生しても、塗布前に上記の予備塗布を行うことによって、被塗布部材の塗布開始部にパーティクル欠点やすじ欠点等の塗布欠点が発生しないようにすることが可能となる。またそれによって塗布器の吐出口周辺の頻繁な洗浄が不要になり、洗浄周期を非常に長くすることも可能となる。洗浄周期が長くできると、塗布のタクトタイムを短くすることができるので、生産性を向上させることが可能となる。
またプレートの洗浄を、プレートの予備塗布される面とそれに隣接する面に接触するブレードを長手方向に走行させたり、洗浄液を吐出する洗浄ノズルと気体を吐出する気体ノズルとを長手方向に移動させたりするので、プレート全面にわたって予備塗布された塗布液を完全に除去することが可能となる。その結果、繰り返し予備塗布をプレートに行っても確実に洗浄が行われて、プレートの予備塗布面の清浄度を常に一定に保つことが可能となる。プレートの清浄度が繰り返し予備塗布を行っても一定に保たれるのであるから、スリットノズルの初期化も安定して行われ、その結果繰り返し安定した塗布品質や膜厚分布再現性を実現することができる。
本発明になる液晶ディスプレイ用部材の製造方法によれば、上記の優れた塗布方法を用いて液晶ディスプレイ用部材製造するのであるから、低コストで、塗布膜の均一性や再現性、ならびに塗布品質に優れた高品質の液晶ディスプレイ用部材を高い生産性で製造することができる。
以下、この発明の好ましい一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る予備塗布装置200を含むスリットコータ1の概略正面図、図2は本発明による塗布方法で予備塗布をしている状況をステップ的に示した概略正面図、図3は別の予備塗布装置300の一部を示した拡大概略正面図、図4は別の清掃装置350を示した拡大概略正面図、図5は図4の部分概略側面図、である。
まず図1を参照すると、本発明の予備塗布装置200を装備したスリットコータ1が示されている。このスリットコータ1は基台2を備えており、基台2上には、被塗布部材である基板Aの載置台、すなわちステージ6が配置されている。ステージ6の上面は図示しない吸着孔からなる真空吸着面となっており、基板Aを吸着保持することができる。基台2上には、さらに一対のガイドレール4が設けられており、このガイドレール4上には、門型ガントリー10が両矢印で示されるX方向に案内自在に搭載されている。門型ガントリー10には、上下昇降ユニット70を介して、塗布器であるスリットノズル20がステージ6の上方の位置にくるように取り付けられている。門型ガントリー10は図示しないリニアモータで駆動されるので、これに搭載されているスリットノズル20は、X方向に自在に往復動することができる。なおX方向は塗布方向となる。
スリットノズル20は、X方向に直交する方向(紙面に垂直な方向)にのびているフロントリップ22、及びリアリップ24を、シム32を介してX方向に重ね合わせ、図示しない複数の連結ボルトにより一体的に結合されている。スリットノズル20内の中央部にはマニホールド26が形成されており、このマニホールド26もスリットノズル20の長手方向(X方向に直交する方向)にのびている。なおスリットノズル20の長手方向は塗布幅方向となる。マニホールド26の下方には、スリット28が連通して形成されている。このスリット28もスリットノズル20の長手方向にのびており、その下端がスリットノズル20の最下端面である吐出口面36で開口して、吐出口34を形成する。したがって吐出口34は吐出口面36に含まれることになる。なおスリット28はシム32によって形成されるので、スリット28の間隙(X方向に測定)は、シム32の厚さと等しくなる。吐出口面36の両隣には、斜め上方に切り上がっているリップ斜面38A、Bが設けられている。リップ斜面38A、Bは、吐出口面36に連なる両隣接面となる。
このスリットノズル20を昇降させる上下昇降ユニット70は、スリットノズル20を吊り下げる形で保持する吊り下げ保持台80、吊り下げ保持台80を昇降させる昇降台78、昇降台78を上下方向に案内するガイド74、モータ72の回転運動を昇降台78の直線運動に変換するボールねじ76より構成されている。上下昇降ユニット70はスリットノズル20の長手方向の両端部を支持するよう左右1対あって、各々が独立に昇降できるので、スリットノズル20長手方向の水平に対する傾き角度を任意に設定することができる。これによってスリットノズル20の吐出口面36と基板Aを、スリットノズル20の長手方向、すなわち塗布幅方向にわたって略並行にすることができる。さらに、この上下昇降ユニット70によって、ステージ6上の基板Aとスリットノズル20の吐出口面36の間にすきま、すわなち、クリアランスを、任意の大きさに設けることができる。
再びスリットノズル20を見ると、スリットノズル20のマニホールド26の上流側は、塗布液供給装置40に連なる供給ホース60に、内部通路(図示しない)を介して常時接続されており、これにより、マニホールド26へは塗布液供給装置40から塗布液を供給することができる。マニホールド26に入った塗布液は塗布幅方向に均等に拡幅されて、スリット28を経て、吐出口34から吐出される。
なお、塗布液供給装置40は、供給ホース60の上流側に、フィルター46、供給バルブ42、シリンジポンプ50、吸引バルブ44、吸引ホース62、タンク64を備えている。タンク64には塗布液66が蓄えられており、圧空源68に連結されて任意の大きさの背圧を塗布液66に付加することができる。タンク64内の塗布液66は、吸引ホース62を通じてシリンジポンプ50に供給される。シリンジポンプ50では、シリンジ52、ピストン54が本体56に取り付けられている。ここでピストン54は図示しない駆動源によって上下方向に自在に往復動できる。シリンジポンプ50は、一定の内径を有するシリンジ52内に塗布液を充填し、それをピストン54により押し出して、スリットノズル20に基板Aを一枚塗布する容量の塗布液を供給する定容量間欠供給型のポンプである。シリンジ52内に塗布液66を充填するときは、吸引バルブ44を開、供給バルブ42を閉として、ピストン54を下方に移動させる。またシリンジ52内に充填された塗布液をスリットノズル20に向かって供給するときは、吸引バルブ44を閉、供給バルブ42を開とし、ピストン54を上方に移動させることで、ピストン54でシリンジ52内部の塗布液66を押し上げて排出する。
さらに図1で基台2の左側端部を見ると、予備塗布装置200が基台2上に取り付けられている。スリットノズル20は破線で示すように、門型ガントリー10の移動によって、予備塗布装置200の静止した板状体202Aの左側端部の上方まで移動することができる。
さて予備塗布装置200の構成をより詳細に見てみると、中央に予備塗布される2個のプレートである板状体202A、202Bが、L型のブラケット216A、Bを介して本体220に締結固定されている。板状体202A、Bの下方には、トレイ230も配置されている。板状体202A、Bは、その長手方向がスリットノズル20の長手方向(紙面に垂直な方向)と一致しているので、塗布幅方向とも一致する。さて板状体202A、Bは、スリットノズル20から予備塗布される平面である予備塗布面204A、Bを、その最上部に有している。この予備塗布面204A、Bはスリットノズル20の吐出口面36と略平行に配される。予備塗布面204A、Bの左側端部は開始エッジ208A、B、右側端部は終了エッジ210A、Bとなっており、開始エッジ208A、Bから終了エッジ210A、Bに向かって予備塗布が行われる。開始エッジ208A、Bと終了エッジ210Aの下側には、予備塗布面204A、Bと直交する一対の垂直面206A、Bが連なっている。垂直面206A、Bは、板状体202A、Bの予備塗布される面である予備塗布面204A、Bに隣接する面となる。また予備塗布面204A、B上に予備塗布された塗布液が除去されると、トレイ230の方に落下し、廃液222となる。廃液222は、トレイ230に接続されている排出管212、配管214を通じて図示されない回収源に回収される。
次に予備塗布装置200の左側を見ると、板状体202A、Bの予備塗布面204A、Bを清掃する清掃装置240が、本体220の一端上に配置されている。清掃装置240は、予備塗布面204A、Bとそれに隣接する垂直面206A、Bに線接触しながら塗布幅方向に摺動して、予備塗布面204A、B上の塗布液を除去するブレード242A、B、ブレード242A、Bを保持する保持体244A、B、保持体244A、Bとブレード242A、Bを上下方向に昇降させるエアーシリンダー246A、B、エアーシリンダー246A、Bを保持するアーム252、アーム252を一点鎖線で示される中心線回りに回転させる回転機254、回転機254を支持するテーブル250、テーブル250を塗布幅方向に往復自在に案内するとともに、本体220上の固定台228に固定されている1対のレール248より構成されている。テーブル250には図示されないボールネジが係合していて、ボールネジに接続している図示されていないサーボモータの回転によって、テーブル250を自在に塗布幅方向に往復動させることができる。ここでブレード242A、Bはプレートである板状体202A、Bに予備塗布された塗布液の除去を行う洗浄手段の一実施態様となる。
以上詳細を説明した予備塗布装置200の他、制御信号にて動作するリニアモータ、モータ72、塗布液供給装置40等はすべて、図1に示されている制御装置100に電気的に接続されている。そして、制御装置100に組み込まれた自動運転プログラムにしたがって制御指令信号が各機器に送信されて、あらかじめ定められた動作を行う。なお条件変更時は操作盤102に適宜変更パラメータを入力すれば、それが制御装置100に伝達されて、運転動作の変更が実現でき、制御装置100からの指令により、任意の動作をさせることができる。
なお以上説明したスリットコータ1で、予備塗布装置200以外の部分は、基板Aに塗布液を塗布する本塗布装置としての機能を備えている。
次にスリットノズル20の初期化を行うための、清掃装置240を含む予備塗布装置200を使用した予備塗布方法について詳細に説明する。
まず準備動作として、塗布液66をタンク64〜スリットノズル20まで充填して空気抜きも済ませておくとともに、板状体202A、Bの予備塗布面204A、B、垂直面206A、Bを、溶剤をしみこませた布(クリーンワイパー)で清掃し、予備塗布面204A、B、垂直面206A、Bに付着物がない状態にする。またこの時、清掃装置240の各部位は初期位置にある。すなわちブレード242A、Bは、矢印で示されるX方向には、図1に示されるように回転機254の中心線(一点鎖線)から見て、板状体202A、Bとは180度逆側にある。ブレード242A、Bは、塗布幅方向には板状体202A、Bの塗布幅方向の端部となる摺動開始位置にあり、上下方向にはエアーシリンダー246A、Bが上限位置にあるので、ブレード242A、Bも上限位置にある。したがってブレード242A、Bは予備塗布面204A、Bから上下方向に最も離れた位置にある。以上の準備動作が完了したら、門型ガントリー10をX方向に予備塗布装置200に向かって移動させる。そして第1回目の予備塗布を行うために、図2(a)に示すようにスリットノズル20の吐出口34を、板状体202Aの開始エッジ208Aを含む予備塗布開始部の真上の位置に来るようにして、門型ガントリー10を停止させる。つづいて上下昇降ユニット70を駆動してスリットノズル20を下降させ、スリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204Aとの間のすきまが第1クリアランスC1になる位置で停止させる。この第1クリアランスC1の大きさは好ましくは40〜200μm、より好ましくは50〜100μmとする。このすきまが小さすぎるとスリットノズル20と板状体202Aが衝突するおそれがあり、すきまが大きすぎると後述する予備塗布ビードBp、すなわち塗布液の溜りが形成されないので、予備塗布を行うことができない。
さてスリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204Aとの間のすきまが第1クリアランスC1になったら、シリンジポンプ50を駆動して初期出し量Q1だけ塗布液をスリットノズル20から吐出し、吐出完了後から同じ姿勢のまま待機時間T1だけ待機する。これによってスリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204Aの間に予備塗布ビードBpを形成する。塗布液を初期出し量Q1だけ吐出してから待機時間T1だけ待機するのは、予備塗布ビードBpが吐出口面36と予備塗布面204A間のすきまに、長手方向全体にわたって確実に形成されるのを待つためであるが、待機時間T1はゼロであってもよい。なお初期出し量Q1はスリットノズル20の塗布幅方向1mあたりで好ましくは20〜500μl、より好ましくは50〜200μlである。この範囲より小さいと予備塗布ビードBpが形成されず、この範囲より大きいと、吐出口面36〜予備塗布面204A、B間のすきまから塗布液があふれだしてしまう。さてスリットノズル20から初期出し量Q1で塗布液を吐出完了後T1秒たったら、上下昇降ユニット70を駆動してスリットノズル20を上昇させ、スリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204Aの間のすきまが第2クリアランスC2になる位置で、スリットノズル20を停止させる。第2クリアランスC2は通常の塗布を行うのに最適な大きさにし、好ましくは50〜300μm、より好ましくは80〜200μmであり、第1クリアランスC1よりも大きくする。このとき、再びシリンジポンプ50を駆動してスリットノズル20から塗布液を塗布厚さに対応した吐出速度で吐出開始する。シリンジポンプ50の再駆動開始から待機時間T2後に門型ガントリー10を終了エッジ210Aの方に向かって速度V1で駆動し、予備塗布面204Aに塗布液を予備塗布開始する。ここで待機時間T2は、予備塗布開始部の膜厚を制御するパラメータであって、大きいほど予備塗布開始部の膜厚が大きくなるが、ゼロであってもよい。さて門型ガントリー10に搭載されたスリットノズル20は、図2(b)に示す予備塗布膜256を予備塗布面204A上に形成しながら塗布方向であるX方向に終了エッジ210Aに向かって移動し、終了エッジ210Aから長さS1だけ手前にある地点がスリットノズル20の吐出口34の直下に達したら、シリンジポンプ50を減速開始して停止させる。一方門型ガントリー10は同じ速度V1のまま移動を続け、終了エッジ210Aが吐出口34の近傍に来た時に、図2(b)に示すようにスリットノズル20を上昇させて、スリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204A間に形成された予備塗布ビードBpを断ち切り、第1回目の予備塗布を終了する。第1回目の予備塗布が終了しても門型ガントリー10は速度V1で移動しているが、図2(c)に示すように、第2回目の予備塗布開始部である板状体202Bの開始エッジ208Bが、スリットノズル20の吐出口34の直下となる位置に来たときに停止させる。つづいて上下昇降ユニット70を駆動してスリットノズル20を下降させ、スリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204Bの間のすきまが第1クリアランスC1となる位置で、スリットノズル20の下降を停止させる。以降は第1回目の予備塗布と全く同じ手順で、予備塗布面204Bに第2回目の予備塗布を行う。そして終了エッジ210Bがスリットノズル20の吐出口34の近傍に来た時に、スリットノズル20を上昇させて、スリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204B間に形成された予備塗布ビードBpを断ち切り、図2(d)に示すように予備塗布面204B上にも予備塗布膜256を形成して、第2回目の予備塗布を終了する。第2回目の予備塗布が終了してスリットノズル20の初期化は完了するが、門型ガントリー10は速度V1でステージ6の方向に向かって移動しつづけ、ステージ6上の基板Aに塗布を行うために、スリットノズル20の吐出口34の直下に基板Aの塗布開始部が来た時に、ガントリー10を停止させる。
第2回目の予備塗布が終了してから予備塗布面204A、Bに予備塗布された塗布液の除去、洗浄を、清掃装置240を用いて以下の清掃方法で引き続いて実施する。まずスリットノズル20が清掃装置240とは干渉しない基板Aの塗布開始位置に移動、停止したことを確認してから、清掃装置240の回転機254を駆動してアーム252を180度回転させ、ブレード242A、Bが予備塗布面204A、Bの直上の位置に来るようにする。それからエアーシリンダー246A、Bを下降させて、ブレード242A、Bを予備塗布面204A、Bと垂直面206A、Bに一定圧力で接触させた後に、テーブル250を駆動してブレード242A、Bを摺動開始位置から摺動終了位置に向かって塗布幅方向に移動させる。この移動の間、ブレード242A、Bは予備塗布面204A、Bと垂直面206A、Bに摺動し、予備塗布面204A、Bに残存している塗布液を除去する。ブレード242A、Bと垂直面206A、Bとの接触は、予備塗布面204A、Bから除去された塗布液が垂直面206の上部を伝わって、清掃後の予備塗布面204A、Bに抜けて行き再付着するのを防止するのに役立つ。予備塗布面204A、Bから除去された塗布液は、廃液222として、トレイ230に落下、回収される。トレイ230に落下した廃液222は、排出管212から配管214を介して、図示されていない廃液回収装置に回収される。
さてブレード242A、Bが摺動終了位置まで移動して来たら、エアーシリンダー246A、Bを上限位置まで上昇させてブレード242A、Bを予備塗布面204A、Bから引き離す。そしてテーブル250が移動終了位置で停止して、ブレード242A、Bの塗布幅方向の移動も終了する。つづいて回転機254を駆動してアーム252を180°回転させ、予備塗布面204A、Bとは逆側にブレード242A、Bを回転移動させる。ついでテーブル250を先ほどとは逆方向に駆動して、ブレード242A、Bを摺動開始位置まで移動させる。以上の予備塗布面204A、Bの塗布液の除去、洗浄が終了したら、次の予備塗布を行うために待機する。そしてスリットノズル20の吐出口34が、予備塗布開始部となる予備塗布面204Aの開始エッジ208Aの真上に来て停止したら、同じように予備塗布のサイクルを繰り返す。
以上詳細を述べた予備塗布面204A、Bに塗布液を予備塗布をする予備塗布方法では、必ず予備塗布開始時にガントリー10ならびにスリットノズル20を停止させ、予備塗布ビードをBpを形成してから予備塗布するようにしているので、安定して予備塗布膜を形成できる。この予備塗布方法は好ましい一例であるが、これに限ることなくどのような予備塗布方法を適用してもよい。たとえば、スリットノズル20と予備塗布面204A、Bの間のすきまを第2クリアランスC2に固定し、ガントリー10を一定速度V1で移動させ、スリットノズル20の吐出口34の直下に予備塗布面204A、204Bが来る時にのみ塗布液を吐出して、予備塗布面204A、B上に予備塗布膜を形成するようにしもよい。本発明の要所は、2回の予備塗布を行うことによって、第1回目の予備塗布でスリットノズル20の吐出口34周辺に残存している塗布液が乾燥した固化物を溶出させたり吐出口34周辺から分離させたりし、つづく第2回目の予備塗布で溶出/分離させた固化物をパーティクルとして予備塗布面204Bに付着させるところにある。予備塗布面204Bにパーティクルを付着させる結果、予備塗布に続く基板Aへの塗布では、基板Aにパーティクルが付着することはなくなり、パーティクル起因のすじ欠点も発生しない。いいかえると、基板Aにパーティクルを付着させず、パーティクル起因のすじ欠点を発生させないようにするには、少なくとも2回以上の予備塗布を行えばよいということである。また予備塗布回数が多ければ多いほど不要なパーティクルが予備塗布面に付着して、その後に塗布液が塗布される基板Aにパーティクルが付着しにくくなるので、基板Aの塗布品質は向上する。したがって、予備塗布面を有するプレートである板状体は2個以上あってもよい。ただし、予備塗布の回数が多くなると、予備塗布を含むスリットノズル20の初期化に時間がかかるので、予備塗布回数は2回以上3回以下が好ましい。これに伴って、予備塗布される板状体は2個以上3個以下が好ましい。またさらに、乾燥しやすい塗布液を使用し、塗布後に塗布液が吐出口面36やリップ斜面38に残存して乾燥した固化物になっても、以降の第1回目の予備塗布で乾燥した固化物が塗布液と接触することで、塗布液に溶出したり、吐出口面36や斜面38から分離したりするので、第2回目の予備塗布で溶出/分離した固化物がパーティクルとして予備塗布面に塗布される。すなわち乾燥しやすい塗布液を使用しても、塗布液が乾燥した固化物に由来するパーティクルは予備塗布面に付着し、基板Aには塗布されないので、スリットノズル20の吐出口34付近を頻繁に洗浄する必要はなく、洗浄周期を長くすることができる。それによって塗布のタクトタイムが短くなり、生産性が向上する。
ここで乾燥のしやすさは塗布液に含まれる有機溶媒の沸点で規定される。すなわち有機溶媒の沸点が低ければ蒸発が促進されて乾燥しやすく、逆に沸点がたかければ蒸発しにくくなって乾燥しにくくなる。本発明が好ましく適用されるのは、沸点が160℃以下の有機溶媒を含む塗布液を塗布する場合である。
なお予備塗布時の塗布速度は、好ましくは10〜400mm/s、より好ましくは20〜100mm/sである。この範囲より遅いと予備塗布の時間がかかりすぎてタクトタイムが長くなり、逆に早いと膜切れが生じて予備塗布が行えない。また予備塗布の長さは好ましくは10〜100mm、より好ましくは20〜60mmである。短すぎると塗布液が乾燥してスリットノズル20に付着した固化物が溶出したり、吐出口面36等から分離する時間的余裕がなく、2回目以降の予備塗布で、固化物が溶出/分離したものをパーティクルとして付着させることができない。逆に長すぎるとタクトタイムが長くなってしまう。上記の好ましい予備塗布長さにあわせて、予備塗布面204A、Bの塗布方向長さを定めることが好ましい。
また上記で示したように、予備塗布は予備塗布面204A、Bの開始エッジ208A、Bかその近傍で開始するが、終了エッジ210A、Bにて、スリットノズル20と予備塗布面204A、Bの間の予備塗布ビードBpを断ち切って、予備塗布を終了することが好ましい。これは終了エッジ210A、Bにより、予備塗布ビードBpがスリットノズル20の長手方向にわたって一様に容易に断ち切られ、スリットノズル20の吐出口面36に塗布液が一様に残るようになるためである。このように予備塗布後に塗布液を一様にスリットノズル20に残すようにできると、次の基板Aでの塗布で塗布開始部の膜厚が安定化し、膜厚不均一が原因のすじ欠点も生じない。言いかえると、終了エッジ210A、Bの存在は塗布品質の安定化に寄与するので、予備塗布面は終了エッジができるように不連続で複数個設けるほうが好ましい。予備塗布面は予備塗布ごとに分離されている方が、面積が小さくなるので予備塗布された塗布液が容易に除去、洗浄できるという優位点もある。しかしながら、1つの大きな面積の連続した予備塗布面に、複数回の予備塗布を行ってスリットノズル20の初期化を行っても、2回目以降の予備塗布面にパーティクルを付着させて、その後に塗布される基板Aへのパーティクル付着防止やパーティクル起因のすじ欠点防止という、本発明の目的は達せられる。
また清掃装置240による予備塗布面204A、Bの清掃については、塗布液を溶解する溶剤を使用しなくても実施可能であるが、極く少量の溶剤を供給しながら清掃を行ってもよい。いずれにしろ、溶剤を使用したとしても極くわずかであり、スリットノズル20の初期化を回転ロールで行う方法に比べて、溶剤使用量を大幅に削減しても、安定した高品位の予備塗布面204A、Bの清浄状態を得ることができる。また予備塗布面204A、Bの塗布方向の長さは各々100mm以下と比較的小さいので、ブレード242A、Bの予備塗布面204A、Bとの線接触部長さも短くなり、均一に接触させることやそのための調整が容易である。その結果、予備塗布面204A、Bからの塗布液の除去が容易で、しかも比較的小規模な設備で行える。また、従来技術のように、予備塗布をしながら予備塗布面の洗浄を行うのではなくて、予備塗布を終了してから最適な条件で予備塗布面に付着している塗布液の除去と洗浄が行えるので、繰り返し多数回にわたって予備塗布面の清浄度を常に一定に保つことが容易に行える。
予備塗布面204A、B、垂直面206A、Bには、塗布液が除去しやすいようにテフロン等の濡れ角度が大きく、疎水特性を有するコーティングまたは表面処理を施してもよい。清掃装置240に用いられるブレード242A、Bとしては、厚さの小さな高分子樹脂の他、合成ゴムを使用することが好ましい。合成ゴムの場合は、その直線状の1辺をエッジとして予備塗布面204A、Bと垂直面206A、Bに均等に線接触させることが比較的容易に行えるので、より好ましい。
図3は別の予備塗布装置300の拡大概略正面図である。予備塗布装置300は予備塗布装置200の板状体202A、Bを別の板状体302A、B、清掃装置240を清掃装置318に置き換えたものである。ここで清掃装置318は、清掃装置240でブレード242A、Bを別のブレード320A、Bに置き換えたものである。図3で、板状体302A、Bは、予備塗布面304A、Bと、予備塗布面304A、Bに対して角度θ1、θ2をなして隣接する斜面306A、Bと斜面308A、Bを備えたものである。そして、斜面306A、Bと予備塗布面304A、Bとの境界が長手方向(塗布幅方向)に伸びる開始エッジ310A、Bとなり、斜面308A、Bと予備塗布面304A、Bとの境界が長手方向に伸びる終了エッジ312A、Bとなる。予備塗布面304A、Bの塗布液を除去、洗浄することになるブレード320A、Bは、予備塗布面304A、B、斜面306A、B、斜面308A、Bと同時に線接触する形状となっている。角度θ1とθ2は120〜150度が好ましく、さらにθ1=θ2が好ましい。この角度範囲にあるならば、終了エッジ312A、Bはエッジとしての効果を保持し、予備塗布終了時に予備塗布ビードBpが長手方向にわたって一様に断ち切られるので、次の塗布開始部の膜厚が安定化し、膜厚不均一が原因のすじ欠点も生じない。またブレード320A、Bが、ブレード242A、Bと板状体202A、Bの組み合わせよりも一様な圧力を予備塗布面304A、B、斜面306A、B、斜面308A、Bに加えながら線接触することできるので、予備塗布面304A、Bからの予備塗布された塗布液の除去、洗浄がより高い品質で行われる。その結果、予備塗布面304A、Bの清浄度をより一層高めることが可能となる。清掃装置318を用いた板状体302A、Bに予備塗布された塗布液の除去方法については、清掃装置240を用いた板状体202A、Bに予備塗布された塗布液の除去方法と全く同じである。
以上の清掃装置240のブレード242A、Bで予備塗布面204A、B上の塗布液、並びに清掃装置318のブレード320A、Bで予備塗布面304A、B上の塗布液、を除去するための長手方向、すなわち塗布幅方向の移動速度は、好ましくは10〜800mm/s、より好ましくは100〜500mm/sである。この範囲よりも大きいと十分に塗布液を除去して予備塗布面を清浄化することができず、逆にこの範囲よりも小さいと清掃のために時間がかかってタクトタイムが長くなる。
また予備塗布装置200の清掃装置240、及び予備塗布装置300の清掃装置318は、図4、5に示す清掃装置350であってもよい。図4は清掃装置350の概略正面図、図5は図4の部分概略側面図である。図4、図5を見ると、清掃装置350は、清掃装置240の保持体244A、Bとブレード242A、Bの代わりに清掃ユニット360をエアーシリンダー246A、Bに取り付けたものである。清掃ユニット360は、予備塗布面204A、Bに多数の吐出孔を有する吐出部370A、Bから洗浄液を吐出する洗浄ノズル364、同様に多数の吐出孔から構成される吐出部368A、Bからエアー、窒素ガス等の気体を噴出する気体ノズル366、洗浄ノズル364と気体ノズル366を保持する保持部材362より構成される。なお洗浄ノズル364の吐出部370A、Bの塗布方向すなわちX方向長さは、それぞれ予備塗布面204A、BのX方向長さ全域にわたって洗浄液を供給できる長さを有している。同様に気体ノズル366の吐出部368A、BのX方向長さも、それぞれ予備塗布面204A、BのX方向長さ全域にわたって気体を吐出できる長さを有している。そして洗浄ノズル364は、進行方向に対して気体ノズル366よりも前側、すなわち先行する側に配置されている。さらに洗浄ノズル364、気体ノズル366には、図示されない洗浄液供給装置と気体供給装置が接続されていて、それぞれ所定の流量速度で洗浄液と気体が供給される。
以上の構成を有する清掃装置350を使用しての予備塗布面204A、Bに予備塗布された塗布液の除去、洗浄は次のようにして行う。まず清掃装置350を構成する機器は初期位置にある。すなわち清掃ユニット360は、矢印で示されるX方向には、図4に示されるように回転機254の中心線(一点鎖線)から見て、板状体202A、Bとは180度逆側にあり、塗布幅方向には板状体202A、Bの塗布幅方向の端部となる清掃開始位置にある。また上下方向にはエアーシリンダー246A、Bが上限位置にあるのに伴って、清掃ユニット360も上限位置にあるので、清掃ユニット360は予備塗布面204A、Bから上下方向に最も離れた位置にあることになる。なお清掃開始位置は図4では紙面に対して手前側、図5では塗布幅方向で右側にある。さてスリットノズル20が板状体202A、Bの予備塗布面204A、Bに予備塗布膜256を形成する予備塗布を終了し、清掃装置350と干渉しない位置にまで移動したことを確認してから、回転機254を駆動してアーム252を180度回転させ、清掃ユニット360に保持されている洗浄ノズル364と気体ノズル366の各々が予備塗布面204A、Bの直上の位置に来るようにする。それに続いてエアーシリンダー246A、Bを駆動して洗浄ノズル364と気体ノズル366を下降させ、洗浄ノズル364の吐出部370A、Bおよび気体ノズル366の吐出部368A、Bのそれぞれの最下端部と予備塗布面204A、Bとの間に所定量のすきまを設ける。つづいて洗浄ノズル364から洗浄液を、気体ノズル366から気体を吐出開始する。次にテーブル250を駆動し、テーブル250を塗布幅方向に清掃終了位置に向かって一定速度で移動させる。このテーブル250の移動によって、洗浄ノズル364と、気体ノズル366はそれぞれ洗浄液と気体を吐出しながら移動する。図5で示されるように、洗浄ノズル364の方が気体ノズル366よりも矢印で示す進行方向の前側に配置されているので、まず洗浄ノズル364の吐出部370A、Bから吐出される洗浄液によって予備塗布面204A、B上の塗布液を部分的に押し流す。つづいて洗浄ノズル364の後からくる気体ノズル366の吐出部368A、Bから吐出される気体で、洗浄ノズル364通過後に残存している塗布液や洗浄液を吹き飛ばして、さらに予備塗布面204A、Bを乾燥させる。この結果、予備塗布面204A、Bの塗布液の除去と洗浄が行われることになるので、予備塗布面204A、Bの清浄度が一定のものに保たれる。洗浄ノズル364と気体ノズル366が清掃終了位置に達して清掃が完了したら、洗浄ノズル364と気体ノズル366からの洗浄液と気体の吐出も停止するとともに、テーブル250を停止させる。そしてエアーシリンダー246A、Bを上限まで上昇させてから、回転機254を駆動して清掃ユニット360を180度回転させ、清掃ユニット360を板状体202A、Bとは180度逆側に移動させる。ついでテーブル250を逆方向に駆動して、清掃ユニット360を清掃開始位置まで復帰させる。
以上が清掃装置350による1回の清掃となるが、これを複数回繰り返してもよい。洗浄液は塗布液の主溶剤が好ましいが、塗布液が溶解するその他の有機溶媒、アルカリ液等を洗浄液として使用してもよい。また気体ノズル366から吐出する気体は、露点−30℃以下のクリーン化処理した乾燥空気や、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましい。上記実施態様では洗浄ノズル364と気体ノズル366から洗浄液や気体を吐出するのは孔としたが、スリットであってもよい。また洗浄ノズル364の吐出孔が並ぶ方向やスリットの長手方向を、この実施態様例のように洗浄ノズル364と気体ノズル366の移動方向に対して直交させてもよいし、5〜45度の傾斜角度をもたせてもよい。
さらに上記の実施態様例では、洗浄ノズル364から吐出する洗浄液で予備塗布された塗布液を押し流したが、洗浄ノズル364からの洗浄液の吐出速度を小さくして、洗浄液を予備塗布された塗布液上にのせるようにし、洗浄液で濃度が薄められた塗布液を気体ノズル366から吐出される気体で移動させて除去するようにしてもよい。この場合、予備塗布された塗布液上の洗浄液によって、塗布液中の顔料等が上部に浮き上がる一方で、洗浄液が予備塗布面204A、Bとの界面に達することがある。そのため、少量の洗浄液を塗布液上に散布する場合は、洗浄ノズル364から洗浄液を吐出してから、10〜120秒後に気体ノズル366で残存している塗布液と洗浄液を気体で移動させるとともに乾燥させるようにすることが好ましい。洗浄ノズル364からの洗浄液の吐出流量速度は、好ましくは1mあたりで10〜5000μl/s、より好ましくは100〜1000μl/sである。気体ノズル366の各吐出孔からの気体の吐出速度は、好ましくは1〜100m/s、より好ましくは5〜40m/sである。また洗浄ノズル364、気体ノズル366の移動速度は、好ましくは10〜800mm/s、より好ましくは100〜500mm/sである。この範囲よりも大きいと十分に塗布液を除去して予備塗布面を清浄化することができず、逆にこの範囲よりも小さいと清掃のために時間がかかってタクトタイムが長くなる。
さらに洗浄ノズル364と気体ノズル366の間にブレードをいれ、この3つを塗布幅方向に移動させることで、洗浄ノズル364から吐出される洗浄液で予備塗布面の塗布液を押し流した後で、ブレードで残りの塗布液や洗浄液を除去して残存量を少なくし、そのあと残存した液体を気体ノズル366から吐出される気体で移動させて除去しつつ、乾燥するようにしてもよい。
清掃装置240、清掃装置350ともに、板状体202A、Bの予備塗布面204A、Bに予備塗布された塗布液を完全に除去することが可能である。したがって繰り返し予備塗布を板状体202A、Bの予備塗布面204A、Bに行っても確実に塗布液の除去、洗浄が行われて、予備塗布面204Aの清浄度を常に一定に保つことが可能となる。これによって、スリットノズル20の初期化も常に安定して行われることになり、基板Aに繰り返して安定した、塗布欠点のない塗布品質の高い塗布を実現することができる。
次に本発明の予備塗布装置200を備えたスリットコータ1での塗布方法について図1を見ながら詳述する。
まず準備作業として、タンク64〜スリットノズル20まで塗布液66はすでに充満されており、タンク64以降のスリットノズル20までの残留空気を排出する作業も既に終了している。この時の塗布液供給装置40の状態は、シリンジ52に塗布液66が充填、吸引バルブ44は閉、供給バルブ42は開、そしてピストン54は最下端の位置にあり、いつでも塗布液66をスリットノズル20に供給できるようになっている。さらに板状体202A、Bの予備塗布面204A、Bの清掃も、同じく準備作業としてすでに完了している。
つづいてスリットコータ1の動作開始信号が操作盤102から制御装置100に伝えられると、門型ガントリー10は予備塗布装置200の板状体202Aの方に移動し、予備塗布面204Aの開始エッジ208A上部にあるスタンバイ位置(図1の破線で示す位置)にスリットノズル20を配置させて停止する。つづいてスリットノズル20を下降させ、スリットノズル20の吐出口面36と予備塗布面204Aとの間のすきまが第1クリアランスC1になる位置で停止させる。
次に、ステージ6の表面に図示しないリフトピンが上昇し、図示しないローダから基板Aがリフトピン上部に載置される。そしてリフトピンを下降させて基板Aをステージ6上に載置し、同時に吸着保持する。基板Aがステージ6に吸着保持完了した段階で、図示しない厚さセンサーによって基板Aの厚さが測定される。
これと並行して、上記に詳細を述べた予備塗布方法によって、スリットノズル20から予備塗布面204A、Bに塗布液を合計2回予備塗布する。予備塗布面204Bでの第2回目の予備塗布が終了したら、門型ガントリー10をX方向にステージ6の方に向かって移動させ、スリットノズル20を基板Aの塗布開始位置の真上で停止させる。スリットノズル20が基板Aの塗布開始位置に達してから、上記の予備塗布方法に記載した清掃装置240を用いた清掃方法で、予備塗布面204A、Bに予備塗布された塗布液の除去、洗浄を行う。
一方基板Aの塗布開始位置の直上にあるスリットノズル20については、測定した基板Aの厚さデータを用い、上下昇降ユニット70を駆動してスリットノズル20を下降させ、スリットノズル20の吐出口面36を基板Aからあらかじめ与えたクリアランス分離れた位置まで近接させる。続いて、シリンジポンプ50のピストン54を所定速度で上昇させ、スリットノズル20から塗布液66を吐出して吐出口面36と基板Aとの間に液だまりである塗布ビードBcを形成するとともに、門型ガントリー10を所定速度でX方向に移動開始し、塗布液66の基板Aへの塗布を始めて、塗布膜Cを形成する。基板Aの塗布終了部がスリットノズル20の吐出口34の位置にきたらシリンジポンプ50のピストン54を停止させて塗布液66の供給を停止し、つづいて上下昇降ユニット70を駆動して、スリットノズル20を上昇させる。これによって基板Aとスリットノズル20の間に形成された塗布ビードBcが断ち切られ、塗布が終了する。塗布終了後も門型ガントリー10は動きつづけ、終点位置にきたら一旦停止し、今度は原点位置に向かって逆方向に門型ガントリー10を移動させる。そしてスリットノズル20の吐出口34が、板状体202Aの予備塗布面204Aの開始エッジ208Aの上方に来たら停止させる。続いて基板Aの吸着を解除し、リフトピンを上昇させて基板Aを持ち上げる。この時図示されないアンローダによって基板Aの下面が保持され、次の工程に基板Aを搬送する。
これと並行して、供給バルブ42を閉、吸引バルブ44は開としてから、ピストン54を一定速度で下降させ、タンク64の塗布液66をシリンジ52に充填する。充填完了後、ピストン54を停止させ、吸引バルブ44を閉、供給バルブ42を開として、次の基板Aが来るのを待ち、同じ動作をくりかえす。
以上の本発明が適用できる塗布液としては、粘度が1〜100mPaS、より望ましくは1〜50mPaSであり、ニュートニアンであることが塗布性から好ましいが、チキソ性を有する塗布液にも適用できる。とりわけ溶剤に揮発性の高いもの、たとえばPGMEA、酢酸ブチル、乳酸エチル等を使用している塗布液を塗布するときに有効である。具体的に適用できる塗布液の例としては、上記にあげたカラーフィルター用のブラックマトリックス、RGB色画素形成用塗布液の他、レジスト液、オーバーコート材、柱形成材料、TFTアレイ基板用のポジレジスト等がある。基板である被塗布部材としてはガラスの他にアルミ等の金属板、セラミック板、シリコンウェハー等を用いてもよい。さらに塗布速度は好ましくは2〜400mm/s、より好ましくは50〜200mm/s、スリットノズル20のスリット間隙は50〜200μm、より好ましくは80〜120μm、塗布厚さはウェット状態で好ましくは1〜50μm、より好ましくは2〜20μmである。
なお本実施態様例では、定容量間欠供給型ポンプの例としてシリンジポンプを示したが、これに限定されない。間欠的に定容量供給が可能なポンプであれば、ベロフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、チュービングポンプ、ギアポンプ等、いかなるものであってもよい。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
1100×1300mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板を洗浄装置に投入した。ウェット洗浄によって基板上のパーティクルを除去後、図1のスリットコータ1でブラックマトリックス材を10μm基板全面に塗布した。ブラックマトリックス材には、遮光材にカーボンブラック、バインダーにアクリル樹脂、溶剤にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を使用し、さらに感光剤を添加して、固形分濃度15%、粘度4mPasに調整したペーストを用いた。この時のスリットノズル20は吐出口の間隙が90μmで、長さが1100mm、吐出口面36の塗布方向の長さ=0.5mm、吐出口面36と斜面38A、Bのなす角度が45度のものを使用し、スリットノズル20と基板間のすきまであるクリアランスは150μm、塗布速度は100mm/sで、塗布のタクトタイムは60秒であった。塗布前には毎回必ず予備塗布装置200でスリットノズル20による予備塗布を行って、スリットノズル20の初期化を行った。予備塗布装置200で、板状体202A、Bはステンレス製で長手方向長さが1200mm、長手方向に直交する予備塗布方向の長さは50mm、厚さ30mmで、板状体202Aと板状体202Bとの間の距離は40mmであった。予備塗布面204A、B、垂直面206A、Bには表面処理は行わず、表面粗度を最大高さRzで0.1μmの鏡面にした。また予備塗布による初期化を行う時は、板状体202A、Bの予備塗布面204A、Bとスリットノズル20の吐出口面36とのすきまは、第1クリアランスC1を80μm、第2クリアランスC2を150μmとし、初期出し量Q1=100μl、待機時間T1=0.5秒、待機時間T2=0.05秒、予備塗布速度は100mm/S、予備塗布厚さはウェットで12μm、予備塗布長さは50mmにした。また、予備塗布終了時に行うシリンジポンプ50の減速は終了エッジ210A、BからS1=5mm手前の地点から開始した。予備塗布後の塗布液の除去、洗浄を行う清掃装置240のブレード242A、Bにはエチレンプロピレンゴム製の厚さ5mmで予備塗布方向(ブレード242の長手方向)の長さ50mm、垂直面206A、Bに沿う方向の長さを25mmのものを用いた。ブレード242A、Bの予備塗布面204A、B、垂直面206A、Bとの接触部分は、線接触するようにエッジを形成した。このブレード242A、Bが予備塗布面204A、Bと10Nの線圧で接触するようにし、100mm/sで塗布幅方向に摺動することで、予備塗布面204A、Bの清掃を行った。
以上のブラックマトリックス塗布工程で塗布された基板を、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、100℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行った後、260℃のホットプレートで30分加熱して、キュアを行い、基板の幅方向にピッチが254μm、基板の長手方向にピッチが85μm、線幅が20μm、RGB画素数が1600(基板長手方向)×1200(基板幅方向)、対角の長さが20インチ(基板長手方向に406mm、基板幅方向に305mm)となる格子形状で、厚さが1μmとなるブラックマトリックス膜を、基板内の9箇所(9面取)に作成した。
次にウェット洗浄後、R色用塗布液を厚さ20μm、スリットノズル20と基板との間のクリアランス150μm、門型ガントリー移動速度100mm/sにて塗布した。R色用塗布液はアクリル樹脂をバインダー、PGMEAを溶媒、ピグメントレッド177を顔料にして固形分濃度12%で混合し、さらに粘度を5mPaSに調整した感光性のものであった。塗布した基板は、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、90℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行って、R画素部にのみ厚さ2μmのR色塗膜を残し、260℃のホットプレートで30分加熱して、キュアを行なった。つづいてブラックマトリックス、R色の塗膜を形成した基板に、G色用塗布液を厚さ20μm、スリットノズル20と基板との間のクリアランス140μm、門型ガントリー移動速度100mm/sにて塗布後、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、100℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行って、G色画素部にのみ厚さ2μmのG色塗膜を残し、260度のホットプレートで30分加熱して、キュアを行なった。
さらにブラックマトリックス、R色、G色の塗膜を形成した基板に、B色用塗布液を厚さ20μm、スリットノズル20と基板との間のクリアランス120μm、門型ガントリー移動速度100mm/sにて塗布し、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、100℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行って、B色画素部にのみ厚さ2μmのB色塗膜を残し、260℃のホットプレートで30分加熱して、キュアを行なった。なお、G色用塗布液はR色用塗布液で顔料をピグメントグリーン36にして固形分濃度13%で粘度を4mPaSに調整したもの、B色用塗布液にはR色用塗布液で顔料をピグメントブルー15にして固形分濃度14%で粘度を4mPaSに調整したものであった。R、G、B色塗布液の塗布はいずれも、ブラックマトリックス塗布工程と同じ形状のスリットノズル20と予備塗布装置200を用い、特に予備塗布装置200については同じ条件で予備塗布を行って、スリットノズル20の初期化を行った。さらに、R、G、B色塗布工程とも、ブラックマトリックス塗布工程と同じく、エチレンプロピレンゴム製のブレード242A、Bを使用して同じ条件で予備塗布面204A、B、垂直面206A、Bの摺動を行わせ、予備塗布面204に残存する塗布液の除去を毎回の予備塗布ごとに行って、清掃した。R、G、B色塗布工程でも本発明の手段を用いてスリットノズル20の初期化を塗布前に各基板ごとに行ったので、塗布膜厚の再現性、特に塗布開始部の再現性が高く、膜厚精度が端部10mmを除いて±3%以下の均一厚さの塗布膜を安定して形成できた。また、塗布開始部でのパーティクルの付着や、パーティクル起因のすじ欠点は皆無であった。
以上ブラックマトリックスにRGB色を着色したものに、柱材とオーバーコート材を塗布後、最後にITOをスパッタリングで付着させた。この製造方法にて、1000枚のカラーフィルターを作成した。得られたカラーフィルターは、塗布むらがなく、色度も基板全面にわたって均一で、品質的に申し分ないものであった。
さらに、このカラーフィルターをTFTアレイを形成した基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧しながら160℃で90分間加熱して、シール剤を硬化させた。このセルに液晶注入を行った後、紫外線硬化樹脂により液晶注入口を封口した。次に、偏光板をセルの2枚のガラス基板の外側に貼り付け、さらに、得られたセルをモジュール化して、液晶表示装置を完成させた。以上のようにして1000枚の液晶表示装置を作成したが、得られた液晶表示装置はいずれも混色やすじ状の欠点がなく、色度も基板全面に渡って、均一で品質的に申し分ないものであった。
本発明に係る予備塗布装置200を含むスリットコータ1の概略正面図である。 本発明による塗布方法で予備塗布をしている状況をステップ的に示した概略正面図である。 別の予備塗布装置300の拡大概略正面図である。 別の清掃装置350を示した拡大概略正面図である。 図4の部分概略側面図である。
符号の説明
1 スリットコータ
2 基台
4 ガイドレール
6 ステージ
10 門型ガントリー
20 スリットノズル(塗布器)
22 フロントリップ
24 リアリップ
26 マニホールド
28 スリット
32 シム
34 吐出口
36 吐出口面
38A、B リップ斜面
40 塗布液供給装置
42 供給バルブ
44 吸引バルブ
46 フィルター
50 シリンジポンプ
52 シリンジ
54 ピストン
56 本体
60 供給ホース
62 吸引ホース
64 タンク
66 塗布液
68 圧空源
70 上下昇降ユニット
72 モータ
74 ガイド
76 ボールネジ
78 昇降台
80 吊り下げ保持台
100 制御装置
102 操作盤
200 予備塗布装置
202A、B 板状体
204A、B 予備塗布面
206A、B 垂直面
208A、B 開始エッジ
210A、B 終了エッジ
212 排出管
214 配管
216A、B ブラケット
220 本体
222 廃液
228 固定台
230 トレイ
240 清掃装置
242A、B ブレード
244A、B 保持体
246A、B エアーシリンダー
248 レール
250 テーブル
252 アーム
254 回転機
256 予備塗布膜
300 予備塗布装置
302A、B 板状体
304A、B 予備塗布面
306A、B 斜面
308A、B 斜面
310A、B 開始エッジ
312A、B 終了エッジ
318 清掃装置
320A、B ブレード
350 清掃装置
360 清掃ユニット
362 保持部材
364 洗浄ノズル
366 気体ノズル
368A、B 吐出部
370A、B 吐出部
A 基板(被塗布部材)
Bc 塗布ビード
Bp 予備塗布ビード
C 塗布膜
L1、L2、L3 板状体202の各部の長さ
θ1 予備塗布面304A、Bと斜面306A、Bのなす角度
θ2 予備塗布面304A、Bと斜面308A、Bのなす角度

Claims (8)

  1. 塗布液を吐出するために一方向に伸びる吐出口を有する塗布器から平面を有するプレートに向かって塗布液を吐出して予備塗布を行い、引き続いて被塗布部材に塗布を行う塗布方法において、少なくとも2個以上のプレートに予備塗布を行うことを特徴とする塗布方法。
  2. 前記予備塗布終了後に、前記少なくとも2個以上のプレートに予備塗布された塗布液の除去を洗浄手段により行うことを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  3. 前記洗浄手段は、プレートの予備塗布される面とそれに隣接する面に接触し、かつプレートの長手方向に走行するブレードであることを特徴とする請求項2に記載の塗布方法。
  4. 前記洗浄手段は、予備塗布されたプレートに向かって洗浄液を吐出する洗浄ノズルを、気体吐出する気体ノズルに先行させてプレートの長手方向に移動させるものであることを特徴とする請求項2に記載の塗布方法。
  5. 塗布液を吐出するために一方向に伸びる吐出口を有する塗布器と、塗布器から塗布液が平面を有するプレート上に吐出されて予備塗布がなされる予備塗布装置と、被塗布部材に塗布膜の形成がなされる本塗布装置と、を備えた塗布装置において、予備塗布が行われるプレートは少なくとも2個以上備えられていることを特徴とする塗布装置。
  6. 予備塗布終了後に前記少なくとも2個以上のプレートに予備塗布された塗布液の除去を行う洗浄手段をさらに有し、該洗浄手段はプレートの予備塗布される面とそれに隣接する面に接触し、かつプレートの長手方向に走行するブレードであることを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
  7. 予備塗布終了後に前記少なくとも2個以上のプレートに予備塗布された塗布液の除去を行う洗浄手段をさらに有し、該洗浄手段は、予備塗布されたプレートに向かって洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、気体を吐出する気体ノズルを備え、さらに洗浄ノズルを気体ノズルに先行させてプレートの長手方向に移動させる移動手段を有することを特徴とする請求項5に記載の塗布装置。
  8. 請求項1〜4に記載のいずれかの塗布方法を用いて液晶ディスプレイ用部材を製造することを特徴とする液晶ディスプレイ用部材の製造方法。
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