以下、図面を参照して実施の形態について説明する。以下の各実施の形態は、床暖房マット及び暖房床への本発明の適用例である。なお、以下の各実施の形態は本発明の一例であり、本発明は以下の各実施の形態以外の形態をもとりうる。
[第1の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1]
第1図は第1の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1の平面図、第2図は第1図のII−II線に沿う断面図、第3図はこの床暖房マット1の分解断面図である。なお、第1図では均熱シート及び均熱板の図示が省略されている。また、第3図は、第2図と同一部分の断面を示している。
この床暖房マット1は、複数枚(この実施の形態では10枚)の略長方形の薄板状の基板10〜19と、各基板10〜19の上面に設けられた配管収容用の溝2と、この溝2に収容されるようにして配材された温調用配管としての温水配管3と、該温水配管3が連なるヘッダー4と、各基板10〜19の上面を覆うように配置され、各基板10〜19の上面に付着された均熱シート5と、該温水配管3と接するように溝2の内面から各基板10〜19の上面にかけて配材された均熱板6と、溝2の底部を塞ぐように各基板10〜19の下面に貼り付けられた裏張りシート7等を備えている。
第2,3図に示すように、この床暖房マット1にあっては、各基板10〜19は、各々の底面に溝2が露呈する厚さとなっている。
第2図の通り、この実施の形態では、各基板10〜19の上面からの溝2の深さは、温水配管3の外径と略等しいものとなっている。即ち、各基板10〜19の厚さも、温水配管3の外径と略等しいものとなっている。
温水配管3は、第2,3図のように、略円形の断面形状となっている。
この実施の形態では、第2図の通り、溝2の長手方向と直交方向(即ち溝2の幅方向)の断面形状は、その底部が該温水配管3の外面に沿うように半円弧状に湾曲した略U字形となっている。この溝2の底部の幅方向の中央付近が、各基板10〜19を貫通して各基板10〜19の下面に露呈している。
この実施の形態では、各基板10〜19に、それぞれ4条ずつ溝2が設けられている。
第2,3図に示すように、均熱板6は、この実施の形態では、溝2の内面に沿うU字部6aと、該U字部6aの両端(上端)から各基板10〜19の上面に沿って側方に延出する1対のフランジ部6bとを有した略Ω字形断面形状のものである。
この均熱板6のU字部6aが溝2内に配置され、その上から、温水配管3がこのU字部6a内に嵌め込まれるようにして溝2に収容されている。
なお、本発明においては、温水配管3の外径は、通常、5〜10mm、特に6〜7mmであることが好ましい。また、均熱板6の厚さは、通常、0.03〜1mm、特に0.08〜1mmであることが好ましい。
本発明においては、各基板10〜19の厚さは、通常、5〜10mm、特に6〜7mmであることが好ましい。とりわけ、各基板10〜19の厚さは、通常、温水配管3の外径+0.03〜1mm、特に温水配管3の外径+0.08〜0.1mmであることが好ましい。
裏張りシート7は、各基板10〜19の下面に露呈した各溝2を覆うように各基板10〜19の下面に沿って配置され、接着剤等により各基板10〜19の下面に貼り付けられている。
なお、第2図に示すように、この実施の形態では、該裏張りシート7は、細長い帯状のものであり、溝2を1条ずつ覆っているが、隣り合う複数の溝2を連続して覆うものであってもよく、あるいは各基板10〜19の下面の略全体を覆うものであってもよい。
この実施の形態では、該裏張りシート7は、低熱伝導材よりなる。この低熱伝導材としては、不織布や合成樹脂シートあるいは紙等を用いることができる。
これらの低熱伝導材の熱伝導率は、通常、0.02〜0.5W/m・k、好ましくは0.02〜0.1W/m・kである。
第1図の通り、この実施の形態では、隣り合う基板10〜19同士の間にそれぞれ小根太20が配置されている。
第2,3図に示すように、この実施の形態では、各小根太20は、帯板状の小根太本体20aの上下両面に補強板20b,20bを接着剤等で貼り付けてなる。この実施の形態では、これらの小根太本体20aと上下の補強板20b,20bとの厚さの合計は、各基板10〜19の厚さと略同じとなっている。
各小根太20は、隣接する基板10〜19の長側辺に沿って延在し、且つ各々の上面及び下面が、それぞれ隣接する基板10〜19の上面及び下面と略面一状に連続するように配設されている。
各小根太20の長さは、各基板10〜19の長さよりも短い。
第1図の通り、基板10,11同士の間、基板12,13同士の間、基板14,15同士の間、基板16,17同士の間及び基板18,19同士の間の各小根太20は、それぞれ、一端(第1図における下端。以下、同様。)を各基板10〜19の一端に揃えるようにして配置されている。また、基板11,12同士の間、基板13,14同士の間、基板15,16同士の間及び基板17,18同士の間の各小根太20は、それぞれ、他端(第1図における上端。以下、同様。)を各基板10〜18の他端に揃えるようにして配置されている。
基板10,11同士、基板12,13同士、基板14,15同士、基板16,17同士及び基板18,19同士は、各々の間の小根太20の前記他端側を回り込むように形成された連結部21によって連結されている。また、基板11,12同士、基板13,14同士、基板15,16同士及び基板17,18同士は、各々の間の小根太20の前記一端側を回り込むように形成された連結部21によって連結されている。
連結部21によって連結された基板10〜19同士の間においては、この連結部21を通って各々の溝2同士が連続している。
各連結部21の小根太20と反対側には、小小根太22が取り付けられている。
図示は省略するが、小小根太22も、小根太20と同様に、帯板状の小小根太本体の上下両面に補強板を接着剤等で貼り付けてなり、これらの小小根太本体と上下の補強板との厚さの合計が、各基板10〜19の厚さと略同じとなっている。各小小根太22も、上面及び下面が、それぞれ隣接する基板10〜19の上面及び下面と略面一状に連続するように配設されている。
この実施の形態では、基板13の一端側にヘッダー4が配置されている。第1図の通り、この実施の形態では、ヘッダー4に2回路の温水配管3が接続されている。
これらの温水配管3は、互いに略平行に、該ヘッダー4から各連結部21を通って基板13,12,11をこの順に経由して基板10まで引き回され、次いで、この基板10から各連結部21を通って基板11,12,13,14,15,16,17,18をこの順に経由して基板19まで引き回され、次いで、この基板19から各連結部21を通って基板18,17,16,15,14をこの順に経由して基板13まで引き回され、終端がそれぞれヘッダー4に接続されている。
各温水配管3を溝2(U字部6a)に収容しつつこのように引き回した後、基板10〜19及びこれらの間の各小根太20並びに各小小根太22の上面を連続して覆うように均熱シート5が配置され、該均熱シート5がこれらの基板10〜19及び各小根太20並びに各小小根太22の上面に接着剤等により貼り付けられている。この均熱シート5により、これらの基板10〜19及び各小根太20並びに各小小根太22が連結されている。
このように構成された床暖房マット1にあっては、各基板10〜19は、各々の上面に設けられた配管収容用の溝2が下面に露呈する程厚さが小さく、これにより、床暖房マット1の全体の厚さも小さいものとなっている。
図示は省略するが、この床暖房マット1を用いて暖房床を構築する場合には、床下地(例えば床のリフォームの場合には既存の床)上にこの床暖房マット1を敷き、その上に仕上げ床材を敷設する。上記の通り、この床暖房マット1にあっては、厚さが小さいので、この床暖房マット1を敷設した床のレベルと、この床暖房マット1を敷設していない部屋の床レベルとの差を小さく抑えることができる。
また、このように床暖房マット1の厚さが小さいので、その分だけ、この床暖房マット1の上に敷設される仕上げ床材として厚さの大きいものを用いても、床のレベルが過度に高くなることが防止される。このように仕上げ床材として厚さの大きいものを用いることにより、構築された暖房床の強度及び剛性を高めることができる。また、仕上げ床材の選択の自由度も高まる。
この床暖房マット1にあっては、各基板10〜19の下面に、各溝2を塞ぐように裏張りシート7が貼り付けられているので、各基板10〜19の強度も確保される。また、この裏張りシート7により、各溝2からの各基板10〜19の下面側への放熱も抑制される。
さらに、この実施の形態では、第2,3図の通り、各溝2の断面形状を略U字形としたことにより、各基板10〜19の下面に露呈する各溝2の幅が小さくなっている。このように構成したことによっても、各溝2からの各基板10〜19の下面への放熱が抑制される。
この実施の形態では、基板10〜19同士の間に小根太20が配置されているので、この小根太20により、床暖房マット1の強度が高められている。
この実施の形態では、小根太20は、小根太本体20aの上下両面にそれぞれ補強板20bが貼り付けられてなるものである。従って、この小根太20は、厚さが各基板10〜19と同程度であるが、十分に強度が確保されたものとなっている。そのため、このように厚さが小さい小根太20であっても、十分に床暖房マット1の強度を高めることができる。
この実施の形態では、溝2内の温水配管3と接触するように溝2の内面から各基板10〜19の上面に重なる均熱板6が設置されているので、温水配管3からの熱を効率よく均熱シート5に伝えることができる。
[第2の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1A]
第4図は第2の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Aの断面図であり、第5図はこの床暖房マット1Aの分解断面図である。なお、第4図及び第5図は、前述の第2図と同様の部分における断面を示している。
この床暖房マット1Aは、前述の第1〜3図の床暖房マット1において、各基板10〜19(第4,5図では基板13〜19は図示略。以下、同様。)に、略U字形断面形状の溝2の代わりに、略方形断面形状の溝2Aが形成された構成となっている。
第4,5図の通り、この溝2Aは、各基板10〜19の上面から下面まで略等幅となっている。
この床暖房マット1Aのその他の構成は、第1〜3図の床暖房マット1と同様となっており、第4,5図において第1〜3図と同一符号は同一部分を示している。
この床暖房マット1Aにあっては、各溝2Aの断面形状が略方形であり、各基板10〜19の上面から下面まで略等幅となっているので、この溝2A付きの基板10〜19の成形が容易である。
なお、この床暖房マット1Aにあっても、略U字形の溝2により奏される下面側への放熱抑制効果を除き、床暖房マット1と同様の作用効果が奏される。
[第3の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1B]
第6図は第3の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Bの折り畳み手順を示す側面図であり、第7図は第6図のVII部分の平面図(拡大図)である。なお、第7図では、均熱シート5、均熱板6及び温水配管3の図示が省略されている。
この床暖房マット1Bは、4枚の基板A,B,C,Dを一列に配列してなる。
この実施の形態では、各基板A〜D同士の間には小根太が配置されておらず、これらの基板A〜Dは、直に各々の一側辺同士を突き合わせるようにして配列されている。
第6図(a)に示すように、この床暖房マット1Bにおいては、基板配列方向において、該基板配列方向の両端側の基板A,Dの幅が、該基板配列方向の中央側の基板B,Cの幅よりも小となっている。また、この実施の形態では、該基板配列方向において、基板Aの幅と基板Dの幅とが略等しく、基板Bの幅と基板Cの幅とが略等しくなっている。なお、これらの基板A,Dの幅及び基板B,Cの幅は、それぞれ、303mmの整数倍であることが好ましく、これらの基板A,Dの幅と基板B,Cの幅との差も、303mmの整数倍であることが好ましい。
これらの基板A,B同士の突き合わせ部、基板B,C同士の突き合わせ部及び基板C,D同士の突き合わせ部を跨いで、これらの基板A〜Dに連続して温水配管3が引き回されている。
基板B,C間を例に挙げて説明するが、第7図に示すように、基板Bにおいては、溝2の基板C側の端部は、該基板Bの基板C側の端辺に臨んでおり、基板Cにおいては、溝2の基板B側の端部は、該基板Cの基板B側の端辺に臨んでいる。
第7図の通り、基板Bにおいては、溝2が該基板Bの基板C側の端部付近で円弧状に湾曲しており、この溝2の端部は、該基板Bの基板C側の端辺に沿って延在している。また、基板Cにおいても、溝2が該基板Cの基板B側の端部付近で円弧状に湾曲しており、この溝2の端部は、該基板Cの基板B側の端辺に沿って延在している。
床暖房マット1Bを展開した状態においては、基板B側の溝2の端部と、基板C側の溝2の端部とがそれぞれ対面する。これにより、溝2が基板B,C同士の突き合わせ部を跨いで基板Bから基板Cに連続して延在したものとなる。この実施の形態では、第7図の通り、溝2は、基板Bから基板Cにかけて略S字形を呈するように連続する。
各溝2の端部は基板B,Cの端辺に沿って延在しているので、これらの溝2の端部同士が対面することにより、基板B,C同士の突き合わせ部を跨ぎ、且つこれらの突き合わせ部に沿って延在する溝2’(第7図)が形成される。第7図の通り、基板B,Cの端辺からの各溝2の端部の幅は、各溝2の他の部分の幅の半分かそれよりも若干大きなものとなっている。従って、これらの溝2の端部同士が対面することにより形成される溝2’の幅は、各溝2の他の部分の幅と略同等の大きさとなる。
温水配管3は、この溝2’に収容されるようにして、基板B,C同士の突き合わせ部を跨いで該基板Bから基板Cに連続して引き回されている。
なお、第7図では、各溝2は基板B,C同士の突き合わせ部を跨いで基板Bから基板Cにかけて略S字形を呈しているが、他の形態として、溝2は、基板B,C同士の突き合わせ部を、該突き合わせ部の延在方向と略交叉方向に跨いでもよく、あるいは、該突き合わせ部の延在方向に対し斜め方向に略直線状に跨いでもよい。
詳しい図示は省略するが、基板Aと基板Bとの間、並びに基板Cと基板Dとの間にも、それぞれ、これらの基板同士の突き合わせ部を跨ぎ、且つ該突き合わせ部に沿って延在する溝2’が形成されており、この溝2’に収容されるようにして、それぞれ該突き合わせ部を跨いで一方の基板から他方の基板に連続して温水配管3が引き回されている。
この実施の形態では、各基板A〜Dの上面にそれぞれ均熱シート5が貼り付けられている。この実施の形態では、基板A,B間、基板B,C間、並びに基板C,D間で、これらの突き合わせ部に沿って均熱シート5が分断されており、各基板A〜Dの上面に貼られた均熱シート5同士は連続していない。
この床暖房マット1Bにおいては、基板A,B同士の突き合わせ部、基板B,C同士の突き合わせ部及び基板C,D同士の突き合わせ部が、それぞれ、床暖房マット1Bを折り畳むための折り線部30,31,32となっている。
この床暖房マット1Bのその他の構成は、第1〜3図の床暖房マット1と同様となっており、第6,7図において第1〜3図と同一符号は同一部分を示している。
この床暖房マット1Bを折り畳む場合には、まず、第6図(a)のように床暖房マット1Bが展開された状態から、第6図(b)のように、基板A,B間の折り線部30に沿って、該基板A,B間を山折りし、これらの基板A,Bの下面同士を対面させるようにして、該基板Aを基板Bの下面側に折り重ねる。また、基板C,D間の同士の折り線部32に沿って、該基板C,D間を山折りし、これらの基板C,Dの下面同士を対面させるようにして、該基板Dを基板Cの下面側に折り重ねる。
なお、前述の通り、この床暖房マット1Bにおいては、基板配列方向において、基板A,Dの幅が基板B,Cの幅よりも小となっているので、これらの基板A,Dは、互いに重なり合うことなく、それぞれ基板B,Cにのみ重なっている。
次に、第6図(c)のように、基板B,C間の折り線部31に沿って、該基板B,C間を山折りし、これらの基板B,Cの下面同士を対面させ、且つこれらの間に基板A,Dを挟み込むようにして、該基板A,Bの折り重ね体と基板C,Dの折り重ね体とを重ね合わせる。
この際、基板A,Dは、いずれも、該基板B,C間の折り線部31に重なっていないので、これらの基板B,C間の山折りをスムーズに行うことができる。
なお、この実施の形態では、前述の通り、温水配管3のうち、基板A,B間の折り線部30を跨ぐ部分、基板B,C間の折り線部31を跨ぐ部分、並びに基板C,D間の折り線部32を跨ぐ部分が、それぞれ、これらの折り線部30〜32(基板同士の突き合わせ部)に沿って延在しているので、これらの折り線部30〜32に沿って基板A,B間、基板B,C間及び基板C,D間を山折りした際には、温水配管3は、これらの折り線部30〜32を跨ぐ部分がその軸心回りに捩れるようにして曲がる。
これにより、基板A,B間、基板B,C間及び基板C,D間の山折りに伴い、温水配管3が座屈して破損することが防止される。
以上のように、床暖房マット1Bを折り線部30,31,32で全て山折りにて折り畳むことにより、各基板A〜Dの下面に各溝2を塞ぐように貼り付けられた裏張りシート7(第6,7図では図示略。)を剥がさずに床暖房マット1Bを折り畳むことができる。
[第4の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1C]
第8図は第4の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Cの小根太付近の断面図である。なお、第8図(a)は床暖房マット1C上に仕上げ床材を敷設する前の状態を示し、第8図(b)は床暖房マット1C上に仕上げ床材を敷設した後の状態を示している。
この床暖房マット1Cにおいては、第8図(a)の通り、各小根太20の厚さT1は、各基板10〜19(第8図では、代表して基板10,11のみ図示。)の厚さT2よりも小さなものとなっている。本発明においては、各基板10〜19の厚さT2と小根太20の厚さT1との差(T2−T1)は、0.1〜1mm、特に0.2〜0.5mmであることが好ましい。
各小根太20は、下面が各基板10〜19の下面と略面一状となるように配置されている。即ち、第8図(a)の通り、各小根太20の上面は、各基板10〜19の上面よりも前記(T2−T1)だけ低くなっている。
なお、この実施の形態でも、各基板10〜19の上面と各小根太20の上面とに跨って均熱シート5が配置され、接着剤(図示略)により該均熱シート5が各基板10〜19の上面と各小根太20の上面とにそれぞれ接着されているが、各小根太20の上面が各基板10〜19の上面よりも低くなっている分だけ、均熱シート5の上面も、第8図(a)の通り、各小根太20上においては各基板10〜19上よりも低くなっている。
なお、図示は省略するが、この実施の形態では、各小小根太22の厚さも、各基板10〜19の厚さT2よりも小さい厚さT1となっており、各小小根太22の上面は、各小根太20と同様に、各基板10〜19の上面よりも低くなっている。そのため、均熱シート5の上面は、各小小根太22上においても、各基板10〜19上よりも低くなっている。
この床暖房マット1Cのその他の構成は、前述の第1〜3図の床暖房マット1と同様である。
この床暖房マット1Cを用いて暖房床を構築する場合には、床下地(図示略)上にこの床暖房マット1Cを敷き、釘(図示略)で各小根太20及び小小根太22を該床下地に留め付ける。その後、各小根太20上及び小小根太22上(この実施の形態では、各小根太20及び小小根太22の上面をそれぞれ覆っている均熱シート5上。以下、同様。)に接着剤41を塗布し、その上に仕上げ床材40を敷設し、該仕上げ床材40を接着剤41により床暖房マット1Cの上面に接着する。
なお、仕上げ床材40は、接着剤41で各小根太20及び小小根太22に接着されるだけでなく、釘(図示略)により各小根太20及び各小小根太22に留め付けられてもよい。この釘は、各小根太20及び小小根太22を貫通して床下地に打ち込まれてもよい。
この床暖房マット1Cにあっては、各小根太20及び小小根太22の厚さT1が各基板10〜19の厚さT2よりも小さく、各小根太20及び小小根太22の上面が各基板10〜19の上面よりも低くなっているので、各小根太20上及び小小根太22上にそれぞれ接着剤41を塗布して仕上げ床材40を床暖房マット1Cの上面に接着しても、この接着剤41の厚さにより仕上げ床材40が各基板10〜19の上面(この実施の形態では、各基板10〜19の上面を覆う均熱シート5の上面。以下、同様。)から浮き上がってしまうことが防止される。
[第5の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1D]
第9図は第5の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Dの小根太付近の断面図である。なお、第9図(a)は床暖房マット1D上に仕上げ床材を敷設する前の状態を示し、第9図(b)は床暖房マット1D上に仕上げ床材を敷設した後の状態を示している。
この床暖房マット1Dにおいても、第9図(a)の通り、各小根太20は、各基板10〜19(第9図では、代表して基10,11のみ図示。)の厚さT2よりも小さい厚さT1を有したものとなっている。
この実施の形態でも、均熱シート5は、各基板10〜19の上面と、隣接する各小根太20の上面とに跨って配置され、接着剤(図示略)によりこれらに接着されているが、この床暖房マット1Dでは、各小根太20上において、該小根太20を挟んだ一方の基板側と他方の基板側とに均熱シート5が分断されており、該一方の基板側の均熱シート5と他方の基板側の均熱シート5との間に小根太20の上面が露出したものとなっている。
以下、基板10,11間を例に挙げて各小根太20上における均熱シート5の配置について説明する。なお、他の基板11〜19間においても、この基板10,11間と同様の構成となっている。
第9図(a)の通り、この実施の形態では、基板10上に配置された均熱シート5の基板11側の端部は、小根太20の全幅W0の半分よりも小さい所定幅W1だけ、これらの基板10,11間の小根太20上へ張り出し、該小根太20の上面の基板10側の縁部に貼り付けられている。また、基板11上に配置された均熱シート5の基板10側の端部も、該基板10側の均熱シート5と同程度の所定幅W1だけ、これらの基板10,11間の小根太20上に張り出し、該小根太20の上面の基板11側の縁部に貼り付けられている。
一般に、各小根太20の幅W0は、45mmに設定される。この場合、基板10,11間の小根太20上への該基板10側及び基板11側の各均熱シート5の張り出し幅W1は、2〜17.5mm、特に5〜10mmであることが好ましい。即ち、基板10側の均熱シート5と基板11側の均熱シート5との間に露出した小根太20の上面の幅(W0−2W1)は、10〜41mm、特に25〜35mmであることが好ましい。
図示は省略するが、各小小根太22も、各基板10〜19の厚さT2よりも小さい厚さT1を有したものとなっており、各小小根太22の上面は、各基板10〜19の上面よりも低くなっている。また、各小小根太22上においても、該小小根太22を挟んだ一方の基板側と他方の基板側とに均熱シート5が分断されており、該一方の基板側の均熱シート5と他方の基板側の均熱シート5との間に小小根太22の上面が露出したものとなっている。
各小小根太22上における均熱シート5の配置は、前述の基板10,11間の小根太20上と同様となっている。
この床暖房マット1Dのその他の構成は、前述の第8図の床暖房マット1Cと同様である。
この床暖房マット1Dを用いて暖房床を構築する手順も、第8図の床暖房マット1Cと同様である。即ち、床下地(図示略)上にこの床暖房マット1Dを敷き、釘(図示略)で各小根太20及び各小小根太22を該床下地に留め付ける。その後、各小根太20上及び小小根太22上に接着剤41を塗布し、その上に仕上げ床材40を敷設し、該接着剤41により仕上げ床材40を各小根太20及び小小根太22に接着する。
この床暖房マット1Dにあっては、各小根太20の上面及び各小小根太22の上面が該床暖房マット1Dの表面に露出しているので、床暖房マット1D上に敷設された仕上げ床材40を各小根太20及び小小根太22に直接的に接着することができる。これにより、仕上げ床材40を各小根太20及び小小根太22に強固に固定することができる。
なお、この実施の形態でも、仕上げ床材40は、接着剤41で各小根太20及び小小根太22に接着されるだけでなく、釘(図示略)により各小根太20及び各小小根太22に留め付けられてもよい。この釘は、各小根太20及び小小根太22を貫通して床下地に打ち込まれてもよい。
[第6の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1E]
第10図は第6の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Eの断面図であり、第11図(a),(b)はこの床暖房マット1Eの配管収容溝付近の拡大断面図である。なお、第11図(a)は床暖房マット1Eを床下地上に設置する前の状態を示し、第11図(b)は床暖房マット1Eを床下地上に設置した後の状態を示している。
この床暖房マット1Eにおいては、各配管収容用溝2Aの底部を塞ぐ裏貼りシート7の下側に、さらに、耐貫通性を有する貫通防止層50が設けられている。該貫通防止層50は、この実施の形態では、合成樹脂製の単層又は複層フィルムよりなる。この単層又は複層フィルムの材質としては、ポリプロピレンやポリエステル等が好適である。
この貫通防止層50の厚さは0.025〜0.2mm、特に0.05〜0.1mmであることが好ましい。
なお、貫通防止層50の材質はこれに限定されるものではない。これ以外にも、例えば紙や不織布のシート、あるいは紙と合成樹脂製の単層又は複層フィルムとを積層した複合シート、不織布と合成樹脂製の単層又は複層フィルムとを積層した複合シート等により貫通防止層50を構成してもよい。
なお、この貫通防止層50の材質としては、金属は不向きである。なぜなら、金属は、紙や不織布、合成樹脂に比べて熱伝導率が高いので、貫通防止層50を金属により構成した場合、この貫通防止層50を介して熱が床下地に伝えられ、床暖房マット1Dの上面の暖房効率が低下するおそれがあるからである。
この実施の形態では、該貫通防止層50は、床暖房マット1Eの下面全体を覆う大きさとなっている。この貫通防止層50は、その外周縁部のみが床暖房マット1Eに接着剤等により接着されており、それ以外の大部分は床暖房マット1Eの下面に対し非接着とされている。
この床暖房マット1Eのその他の構成は、前述の第4,5図の床暖房マット1Aと同様であり、第10,11図において第4,5図と同一符号は同一部分を示している。
この床暖房マット1Eを用いて暖房床を構築する手順は前述の各実施の形態と同様である。即ち、床下地51上にこの床暖房マット1Eを敷き、その上に仕上げ床材(図示略)を敷設する。
床下地51が合板等により構成されている場合には、第11図(a)のように、床下地51の表面がささくれて鋭く尖った棘52が突き出していることがある。
この実施の形態では、床暖房マット1Eの下面に貫通防止層50が設けられているので、この棘52の上に床暖房マット1Eを敷いても、第11図(b)のように、この棘52は貫通防止層50を貫通することができずに床暖房マット1Eによって押し潰される。これにより、この棘52が裏貼りシート7を貫いて温水配管3に突き刺さることが防止される。
なお、この床暖房マット1Eは、第4,5図の床暖房マット1Aと同様に、各基板10〜19の上面側から下面側まで等幅の略方形の断面形状の配管収容用溝2Aが設けられたものとなっているが、前述の第1〜3図の床暖房マット1と同様に、略U字形の断面形状の配管収容用溝2が設けられたものであってもよい。
[貫通防止層のその他の構成例]
第12図は、貫通防止層の別の構成例を示す、第11図と同様部分の拡大断面図である。
この実施の形態では、貫通防止層50は、前述した合成樹脂製の単層又は複層フィルムと紙又は不織布とを積層してなる複合シートにより構成されている。この紙又は不織布の層53は、図示の通り、該単層又は複層フィルムの下側に形成されている。
床下地51が、ワックスが塗布された既存床である場合、この床下地51上に床暖房マットを敷設して温調床を構築すると、この床暖房マットからの熱により床下地51の表面のワックスが溶け出すおそれがある。この実施の形態では、貫通防止層50の下側の紙又は不織布の層53は、この溶け出したワックスを吸収しうるものとなっている。即ち、この実施の形態では、該紙又は不織布の層53は、ワックス吸収層となっている。
このワックス吸収層53は、貫通防止層50の下面の全体にわたって形成されている。
この実施の形態のその他の構成は、前述の第10,11図の実施の形態と同様となっている。
この実施の形態にあっては、床下地51の表面のワックスが床暖房マットからの熱により溶け出しても、このワックスはワックス吸収層53によって吸収されるため、暖房床上を人が歩いても、床暖房マットが床下地51上を滑って音鳴りすることが防止される。
なお、本発明においては、前述のように貫通防止層50自体を紙又は不織布により構成し、この貫通防止層50自体がワックスを吸収しうるように構成してもよい。
[第7の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Fとその設置構造]
第13図は第7の実施の形態に係る温調マットとしての床暖房マット1Fの設置構造の平面図、第14図は第13図のXIV部分の拡大図、第15図は第13図のXV−XV線に沿う断面図である。
この床暖房マット1Fも、複数枚(この実施の形態でも10枚)の略長方形の薄板状の基板60と、複数本(この実施の形態でも9本)の小根太20とが、各々の長手方向を平行方向として交互に配列され、各基板60上に温水配管3が引き回された構成となっている。この実施の形態では、各小根太20の長手方向の途中部に、隣り合う基板60,60同士を連結するスペース(符号略)が形成されており、温水配管3は、このスペースを通って隣り合う一方の基板60から他方の基板60に連続して引き回されている。
第15図に示すように、この実施の形態では、該床暖房マット1Fは、第4,5図の床暖房マット1Aと同様に、各基板60の上面側から下面側まで等幅の略方形の断面形状の配管収容用溝2Aが設けられたものとなっている。ただし、前述の第1〜3図の床暖房マット1と同様に、略U字形の断面形状の配管収容用溝2が設けられてもよい。
なお、一般に流通している仕上げ床材としてのフローリング材(図示略)は、短辺が303mm(一尺)であり、長辺が303mmの整数倍となっている。そのため、この床暖房マット1Fも、303mmを基本単位として各部の寸法が設定されている。
具体的には、この床暖房マット1Fにおいては、各基板60の全長は、実質的に303mmの整数倍となっている。また、隣り合う小根太20の幅方向の中心(芯)同士の間隔、即ち小根太20の配設ピッチP(第14図)は実質的に303mmとなっている。この実施の形態では、例えば各小根太20の幅W2(第14図)が45mmとされ、隣り合う小根太20,20同士の間に配材される各基板60の幅W3(第14図)が285mmとされている。
なお、本発明において、実質的に303mmとは、293〜313mmの範囲にあることを表している。
この床暖房マット1Fのその他の構成は、前述の第4,5図の床暖房マット1Aと同様であり、第13〜16図において第4,5図と同一符号は同一部分を示している。
次に、この床暖房マット1Fを用いて暖房床を構築する手順について説明する。
通常、床暖房マット1Fの縦横の長さは、暖房床が構築される室の床下地の縦横の幅よりも小さい。一般的に、この床暖房マット1Fと床下地の縦横の寸法差は、実質的に303mmの整数倍、又は151.5mm(1/2尺)の整数倍となっている。なお、本発明において、実質的に151.5mmとは、141.5〜161.5mmの範囲にあることを表す。
そこで、第13図のように、床暖房マット1Fを床下地上に敷設すると共に、その周囲にダミー材を配材し、床下地全体をこの床暖房マット1Fとダミー材とで覆う。
なお、本発明の床暖房マット1Fは、一般的な床暖房マットよりも厚みが小さいため、一般的な床暖房マットを設置する場合に配材されるダミー材では、本発明の床暖房マット1Fよりも厚みが大きすぎて使用できない。そのため、この実施の形態では、専用のダミー材を用いる。
この実施の形態のダミー材は、ダミー小根太61a,61bと、ダミー基板62a,62bとからなる。
第13図のように、ダミー小根太61a及びダミー基板62aは、床暖房マット1Fの小根太20及び基板60の長手方向の両端側に配材される。また、ダミー小根太61b及びダミー基板62bは、床暖房マット1Fの小根太20及び基板60の配列方向の両端側に配材される。
これらのダミー小根太61a,61b及びダミー基板62a,62bは、それぞれ、予め303mmの整数倍又は151.5mmの整数倍の所定長さ(例えば1818mm)に成形された共通のダミー小根太母材及びダミー基板母材(いずれも図示略)を現場寸法に合わせてカットしたり継ぎ足したりして製作される。
このダミー小根太61a,61bは、幅W4(第14図)及び厚さT3(第15図)が、それぞれ床暖房マット1Fの各小根太20の幅W2及び厚さT1(第8図(a)参照。)と同等となっている。第15図の通り、この実施の形態では、ダミー小根太61a,61bも、床暖房マット1Fの各小根太20と同様に、小根太本体61cの上下両面に補強板61d,61dを貼り付けてなる。この小根太本体61c及び補強板61dの材質等の構成は、それぞれ小根太20の小根太本体20a及び補強板20bと同様である。即ち、この実施の形態では、該ダミー小根太61a,61bは、床暖房マット1Fの小根太20と同一のものとなっている。
また、ダミー基板62a,62bは、幅W5(第14図)及び厚さT4(第15図)が、それぞれ床暖房マット1Fの各基板60の幅W3及び厚さT5(第15図)と同等となっている。このダミー基板62a,62bの材質も、基板60と同様となっている。即ち、この実施の形態では、該ダミー基板62a,62bは、上面に配管収容用溝が設けられていないこと以外は、床暖房マット1Fの各基板60と同様のものとなっている。
各ダミー小根太61aとダミー基板62aとは、第13,14図のように、床暖房マット1Fの各小根太20及び各基板60を各々の長手方向に延長するように配材される。即ち、各ダミー小根太61aは、床暖房マット1Fの各小根太20の両端側に、該小根太20と等ピッチPにて、且つ各小根太20と芯を揃えて配材され、これらの間にそれぞれダミー基板62aが配材される。
また、第13,15図のように、床暖房マット1Fの小根太20及び基板60の配列方向の両端側においては、それぞれ、各ダミー小根太61bが各小根太20と平行に且つ等ピッチPにて配材され、これらの間に、それぞれダミー基板62bが長手方向を各ダミー小根太61bと平行方向として配材される。
各ダミー基板62a,62bは、床暖房マット1Fの各基板60と同等の厚さとなっているので、この床暖房マット1Fの各基板60とその周囲のダミー基板62a,62bの上面とは略同レベルとなる。
このように床暖房マット1F並びに各ダミー小根太61a,61b及びダミー基板62a,62bを床下地上に敷設した後、各小根太20上及び各ダミー小根太61a,61b上にそれぞれ接着剤を塗布する。その後、これらの上に、室の端から順次仕上げ床材としてのフローリング材(図示略)を敷設する。この際、各フローリング材を、その長手方向が床暖房マット1Fの各小根太20の延在方向と略直交方向となるように配材する。
フローリング材は、複数の小根太20に跨って配置される。この際、各フローリング材の短辺を小根太20に重ねるようにする。そして、各フローリング材を接着剤により各小根太20及び各ダミー小根太61a,61bに接着すると共に、釘(図示略)で各小根太20及び各ダミー小根太61a,61bに留め付ける。
なお、前述の通り、一般的に流通している規格品のフローリング材は、短手幅が実質的に303mmであり、長手幅が実質的に303mmの整数倍となっている。この床暖房マット1Fは、隣り合う小根太20,20の芯同士の間隔が303mmとなっているので、フローリング材の一方の短辺を小根太20に重ねると、このフローリング材の他方の短辺も別の小根太20に重なるようになる。
この実施の形態では、床暖房マット1Fの周囲にも、この床暖房マット1Fの小根太20と等ピッチPにてダミー小根太61a,61bが配材されているので、この床暖房マット1Fの周囲のダミー材上においても、床暖房マット1F上と同様に、フローリング材を各ダミー小根太61a,61bに揃えて配材して各ダミー小根太61a,61bに釘留めすることができる。
なお、この実施の形態の床暖房マット設置構造は一例であり、本発明の床暖房マットは、上記以外の構造により設置することも可能である。例えば、本発明の床暖房マットの各基板と同等の厚みの合板を製材し、この合板をダミー材として床暖房マットの周囲に配材するようにしてもよい。
[実施の形態に係る温調床としての暖房床]
第16図は実施の形態に係る温調床としての暖房床の平面図、第17図はこの暖房床に用いられる熱媒体供給部材としてのヘッダーの支持部材の平面図、第18図は第17図のXVIII−XVIII線に沿う断面図、第19図は第17図のXIX−XIX線に沿う断面図、第20図(a)はヘッダーの平面図、第20図(b)は第20図(b)のB−B線矢視図、第21図はこの暖房床のヘッダー付近の拡大平面図、第22図は第21図のXXII−XXII線に沿う断面図、第23図は第21図のXXIII−XXIII線に沿う断面図である。
この実施の形態では、床下地51(第22,23図)上に、略方形の2枚の床暖房マット1G,1Gを敷設すると共に、各床暖房マット1Gの温水配管3に温水を供給するためのヘッダー4Aを設置し、その周囲にダミー小根太61a,61b及びダミー基板62a,62bからなるダミー材を配材した後、これらの上に床仕上げ材(図示略)を施工することにより、暖房床が構築されている。
第16図の通り、この実施の形態でも、各床暖房マット1Gは、複数枚の略長方形の薄板状の基板60と、複数本の小根太20とが、各々の長手方向を平行方向として交互に配列され、各基板60上に温水配管3が引き回された構成となっている。この実施の形態では、各小根太20の一端側又は他端側あるいは長手方向の途中部に、隣り合う基板60,60同士を連結するスペース(符号略)が形成されており、温水配管3は、このスペースを通って隣り合う一方の基板60から他方の基板60に連続して引き回されている。各基板60に設けられた配管収容用溝(図示略)の本数及びこの溝に沿って各基板60上を引き回された温水配管3の本数は、前述の実施の形態と同じ(即ちそれぞれ4本)である。
詳しい図示は省略するが、前述の実施の形態と同様に、各基板60は、各々に設けられた配管収容用溝(図示略)が各々の下面に露呈する厚さ、即ち温水配管3の外径と略同等の厚さとなっている。また、各小根太20は、この基板60と同程度の厚さか、又はそれよりも所定寸法だけ小さい厚さとなっている。各基板60の配管収容用溝の断面形状は、前述の実施の形態と同様、基板60の上面側から下面側まで等幅の略方形であってもよく、底面が温水配管3の外面に沿うように湾曲した略U字形であってもよい。
この実施の形態では、床暖房マット1G,1G同士の間に中間小根太20’が配材され、各床暖房マット1Gは、各々の小根太方向を該中間小根太20’と平行方向とし、且つ各々の一端辺を該中間小根太20’に突き合わせるようにして配置されている。
第16図の通り、各床暖房マット1Gは、中間小根太20’の一端側及び他端側の各端辺をそれぞれ該中間小根太20’の一端及び他端に揃えて配置されている。以下、便宜上、左右方向とは第16図の左右方向をいう。また、以下の説明において、各床暖房マット1Gの上辺、下辺、左辺及び右辺とは、それぞれ、第16図における上辺、下辺、左辺及び右辺に対応する。
この実施の形態では、ヘッダー4Aは、各床暖房マット1Gの外側に配置されている。第16図の通り、各床暖房マット1Gの中間小根太20’と反対側の端辺(即ち左側の床暖房マット1Gの左辺及び右側の床暖房マット1Gの右辺)の長手方向の途中部にそれぞれ配管引き出し用スペース70が設けられている。各床暖房マット1G上を引き回された温水配管3は、それぞれ、これらのスペース70から各床暖房マット1Gの外側へ引き出されている。
各床暖房マット1Gの中間小根太20’と反対側の端辺に隣接してそれぞれ配管引き出し用基板71が配材されている。これらの配管引き出し用基板71は、それぞれ各床暖房マット1Gの配管引き出し用スペース70に係合している。
各配管引き出し用基板71には、それぞれ、一端が該配管引き出し用スペース70を介して各床暖房マット1Gの各配管収容用溝に連なる4条の配管収容用溝(符号略)が設けられている。この実施の形態では、該配管引き出し用基板71の各配管収容用溝は、それぞれ、他端側が途中で第16図における上方及び下方へ枝分かれした略Y字形となっている。各配管収容用溝の枝分かれした後の上端側及び下端側は、それぞれ配管引き出し用基板71の上辺及び下辺に臨んでいる。
各床暖房マット1Gから配管引き出し用基板71上に引き出された各温水配管3は、この溝に沿って第16図における上方及び下方のいずれにも引き回すことができるようになっている。即ち、この実施の形態では、該配管引き出し用基板71は、第16図における左右兼用のものとなっている。同一構成の2枚の配管引き出し用基板71が、第16図における左右の向きを逆にして左側の床暖房マット1Gと右側の床暖房マット1Gとにそれぞれ配材されている。
各配管引き出し用基板71も、各床暖房マット1Gの基板60と同様に、配管収容用溝が各々の下面に露呈する厚さ、即ち温水配管3の外径と略同等の厚さとなっている。
第16図の通り、この実施の形態では、床暖房マット1Gの下辺に沿ってヘッダー4Aが設置されている。なお、詳しくは、該ヘッダー4Aは左側の床暖房マット1Gの右から2番目の基板60の下辺に沿って配置されているが、ヘッダー4Aの配置はこれに限定されない。
この実施の形態では、共通のヘッダー4Aに双方の床暖房マット1Gの温水配管3がそれぞれ接続されている。この実施の形態では、左側の床暖房マット1Gの配管引き出し用基板71から、この左側の床暖房マット1Gの左辺及び下辺に沿ってヘッダー4Aまで配管引き回し用基板72が配材されている。また、右側の床暖房マット1Gの配管引き出し用基板71からも、この右側の床暖房マット1Gの右辺及び下辺に沿ってヘッダー4Aまで配管引き回し用基板72が配材されている。
各配管引き回し用基板72には、それぞれ、一端が配管引き出し用基板71の各配管収容用溝に連なり、他端がヘッダー4Aの各配管接続口4aに臨む4条の配管収容用溝(符号略)が延設されている。各配管引き回し用基板72も、該配管収容用溝が各々の下面に露呈する厚さ、即ち温水配管3の外径と略同等の厚さとなっている。
各床暖房マット1Gから引き出された各温水配管3は、それぞれ、各配管引き出し用基板71及び配管引き回し用基板72の配管収容用溝に沿ってヘッダー4Aまで引き回され、該ヘッダー4Aの各配管接続口4aに接続されている。
次に、このヘッダー4Aの設置構造について詳細に説明する。
ヘッダー4Aは、この実施の形態では、第20図(a),(b)に示すように、対向する1対の側面にそれぞれ配管接続口4aが設けられた略直方体形状のケーシング4bと、該ケーシング4bの下面にそれぞれ設けられた給湯管接続部4c及び排湯管接続部4d(第22図)と、該ケーシング4bの他の1対の側面からそれぞれ該ケーシング4bの上面と略面一状に側方へ延出した1対の鍔部4e,4e等を備えている。
この実施の形態では、ケーシング4bの該1対の側面に、それぞれ給湯用及び排湯用の各配管接続口4aが2個ずつ、計4個の配管接続口4aが設けられている。これらの配管接続口4a同士は、第20図(b)の通り、水平方向に所定の間隔をあけて配列されている。
この実施の形態では、該ヘッダー4Aは、従来の床暖房マットに合わせて各部の寸法が設定された汎用品である。従来の床暖房マットは、厚みが温水配管3の外径よりも大きなものとなっている。前述の通り、温水配管3の外径は、通常、7mm程度とされているが、従来の床暖房マットは、通常、11mm程度とされている。汎用品のヘッダー4Aも、ケーシング4bの上下方向の厚みTH(第20図(b))は、通常、この従来の床暖房マットの厚みと同等の11mm程度とされている。
本発明においては、床暖房マット1Gの各基板60の厚みは温水配管3と同程度であるため、この汎用品のヘッダー4Aをそのまま床下地51上に設置すると、このヘッダー4Aが床暖房マット1Gの上面から突出してしまう。そこで、本発明においては、床下地51上に凹所を設け、この凹所にヘッダー4Aを設置している。
この実施の形態では、床下地51にヘッダー設置用の開口51aが設けられ、この開口51aに、ヘッダー4Aを支持するための支持部材80が設置されている。この支持部材80は、該開口51aに嵌合した上開容器状のヘッダー収容部81と、このヘッダー収容部81の上縁から四方へ延出しており、該開口51aの周囲の床下地51の上面に重なったフランジ部82a,82b,82c,82d等を有している。このヘッダー収容部81内が前記凹所となっている。第18図の通り、このヘッダー収容部81の底面は、各フランジ部82a〜82dの下面よりも下位となっている。
この実施の形態では、該ヘッダー収容部81は、略方形の平面視形状を有している。このヘッダー収容部81内の深さD1(第18図)は、ヘッダー4Aのケーシング4bの上下方向の厚みTHと略同等かそれよりも大きな寸法とされている。具体的には、このヘッダー収容部81の深さD1は、11〜15mm、特に12mm程度であることが好ましい。該ヘッダー収容部81の底面には、ヘッダー4Aの給湯管接続部4c及び排湯管接続部4dがそれぞれ挿通される各接続部挿通口83a,83bが設けられている。
各フランジ部82a〜82dは、それぞれ、第18,19図に示すように、ヘッダー収容部81の各側面から該ヘッダー収容部81の側外方へ向って、該ヘッダー収容部81の上面と面一状に突設されている。この実施の形態では、各フランジ部82a〜82dの上下方向の厚さTF(第18図)は、床暖房マット1Gの基板60と略同厚さ(好ましくは1〜7mm、特に7mm程度)となっている。
対向する1対のフランジ部82a,82bには、それぞれ、ヘッダー収容部81の出入り方向に延在する配管収容用溝84が形成されている。この実施の形態では、各フランジ部82a,82bに、それぞれ、該ヘッダー収容部81の出入り方向と交叉方向に間隔をおいて4条の配管収容用溝84が設けられている。この配管収容用溝84,84同士の間隔は、ヘッダー4Aの隣り合う配管接続口4a,4a同士の間隔と略同等である。
各配管収容用溝84は、一端がヘッダー収容部81内に連通し、他端は各フランジ部82a,82bのヘッダー収容部81からの突出方向の先端面に開放している。各配管収容用溝84は、各フランジ部82a,82bの下面に露呈している。なお、隣り合う配管収容用溝84,84同士の間隔は、13〜25mm、特に18mm程度であることが好ましい。
各フランジ部82a,82bにおいて、隣り合う配管収容用溝84,84同士の間の部分、及び両端側の各配管収容用溝84と該フランジ部82a,82bの両側縁との間の部分には、それぞれ、該フランジ部82a,82bを上下方向に貫通したビス挿通孔85が設けられている。
残りの対向する1対のフランジ部82c,82dの上面には、それぞれ、ヘッダー4Aの各鍔部4eが係合可能な、周囲よりも一段低い低段部86が形成されている。各鍔部4eの上下方向の厚さは、好ましくは1〜5mm、特に1〜2mmとされ、各低段部86の深さは、該低段部86に各鍔部4eが係合した状態において、各鍔部4eの上面が各フランジ部82c,82dの上面と略面一かそれよりも低位となる寸法とされている。
各フランジ部82c,82dには、第17図の通り、該低段部86内及び該低段部86と該フランジ部82c,82dの両側縁との間の部分に、それぞれ、該フランジ部82c,82dを上下方向に貫通したビス挿通孔85が設けられている。また、ヘッダー4Aの各鍔部4eにも、該鍔部4eが低段部86に係合した状態において該低段部86内のビス挿通孔85と重なり合う位置関係にて、該鍔部4eを上下方向に貫通したビス挿通孔4fが設けられている。
この支持部材80の材質としては、床上荷重に十分に耐えうる強度を有するものであれば特に制限はないが、成形性やコストの面からPP、ABS、PPS等の合成樹脂が好適である。例えば支持部材80をPP製とした場合、該支持部材のヘッダー収容部81の肉厚は3mm程度とされることが好ましい。
ヘッダー4Aを設置するに当っては、予め、床下地51のヘッダー設置予定領域に、支持部材80のヘッダー収容部81が嵌合しうる大きさの開口51aをあけておく。そして、フランジ部82a,82bの向きを第16,21図における左右方向として、ヘッダー収容部81を該開口51aに上方から嵌め込み、各フランジ部82a〜82dを床下地51上に重ねる。このヘッダー収容部81の底面は各フランジ部82a〜82dの下面よりも低位となっているので、第22,23図の通り、該ヘッダー収容部81内は床下地51の上面よりも低い凹所となる。
次に、一方の配管引き回し用基板72上を引き回されてきた各温水配管3をヘッダー4Aの一方の側面の各配管接続口4aに接続すると共に、他方の配管引き回し用基板72上を引き回されてきた各温水配管3をヘッダー4Aの他方の側面の各配管接続口4aに接続する。また、このヘッダー4Aの下面の給湯管接続部4c及び排湯管接続部4dに、それぞれ、ヘッダー収容部81の底面の各挿通孔83a,83bを介してボイラからの給湯管及び排湯管(いずれも図示略)を接続する。
その後、各温水配管3を双方のフランジ部82a,82bの各配管収容用溝84に収容しつつ、ヘッダー4Aのケーシング4bをヘッダー収容部81内に嵌め込む。この際、該ケーシング4bから延出した各鍔部4eを支持部材80の各フランジ部82c,82dの低段部86にそれぞれ上方から係合させる。
その後、各ビス挿通孔85,4fを通してビス87を床下地51に螺じ込み、支持部材80及びヘッダー4Aを床下地51に固定する。これにより、ヘッダー4Aの床下地51への設置作業が完了する。
なお、ヘッダー4Aの設置手段は、これに限定されない。
ヘッダー4Aを床下地51上に設置した後、第16図のように、各床暖房マット1G、各配管引き出し用基板71、各配管引き回し用基板72及びヘッダー4A(ヘッダー収容部80)の周囲にダミー小根太61a,61b及びダミー基板62a,62bを配材する。なお、ダミー小根太61a,61b及びダミー基板62a,62bの施工時期はこれに限定されない。これらのダミー小根太61a,61b及びダミー基板62a,62bの構成及び施工方法は、前述の第13〜15図の実施の形態と同様である。
その後、これらの上に床仕上げ材(図示略)を施工することにより、暖房床が構築される。
このように構成された本発明の暖房床にあっては、ヘッダー4Aの上面が床暖房マット1Gの上面と略同レベルか又はそれよりも下位となっているので、該ヘッダー4A上にも床暖房マット1G上と略同レベルにて床仕上げ材を施工することができる。
この実施の形態では、底面が床下地51の上面よりも低いヘッダー収容部81を有する支持部材80を該床下地51に設置し、このヘッダー収容部81内にヘッダー4Aを設置しているので、厚さTHが床暖房マット1Gの厚さよりも大きい汎用品のヘッダー4Aであっても、このヘッダー4Aの上面を床暖房マット1Gの上面と略同レベルかそれよりも下位とすることができる。
また、このように支持部材80を介してヘッダー4Aを設置することにより、例えば床下地51が合板等で構成され、その表面がささくれ易いものであっても、このささくれにより生じた棘がヘッダー4Aに刺さることが防止される。また、この支持部材80の上面は床暖房マット1Gの上面と略同レベルとなっているので、床上荷重がヘッダー4Aに加えられることが防止ないし緩和される。
この実施の形態では、支持部材80の上部から側方へ向って、該支持部材80の上面と略面一状に、床暖房マット1Gの基板60と略同厚さのフランジ部82a〜82dが突設されており、このフランジ部82a〜82dを開口51aの周囲の床下地51の上面に重ねるようにして支持部材80を該開口51aに設置するようにしているので、ヘッダー収容部81を開口51aに嵌め込むだけで該支持部材80の上面を床暖房マット1Gの上面と略同レベルとすることができ、施工が容易である。また、このフランジ部82a〜82dを介して支持部材80が開口51aの周囲の床下地51の上面に支持されるため、該支持部材80に加えられる床上荷重が分散される。
この実施の形態では、ヘッダー4Aの上部から側方へ向って、該ヘッダー4Aの上面と略面一状に鍔部4e,4eが突設されており、この鍔部4e,4eを支持部材80のフランジ部82c,82d上に載荷させている。そのため、この鍔部4e,4eを介してヘッダー4Aが該フランジ部82c,82dに支持されるため、ヘッダー4Aに上方から加えられる荷重が分散される。
この実施の形態では、場合、該フランジ部82c,82dの上面にそれぞれ低段部86が設けられ、この低段部86に各鍔部4eを係合させているので、この鍔部4e,4eが支持部材80の上面から突出しない。
なお、図示は省略するが、本発明では、このヘッダー収容部81を覆う蓋を設けてもよい。この蓋は、その上面が床暖房マット1Gの上面と略同レベルとなるように設置される。これにより、該ヘッダー収容部81の直上からの床上荷重がヘッダー4Aに加えられることを防止ないし緩和することができる。
[熱媒体供給部材及びその支持部材の別の構成例]
第24図は熱媒体供給部材の支持部材の別の構成例を示す平面図、第25図は第24図のXXV−XXV線に沿う断面図、第26図は第24図のXXVI−XXVI線に沿う断面図、第27図はこの支持部材を用いて構築された暖房床の断面図である。
この実施の形態では、第27図の通り、熱媒体供給部材として、下方及び水平二方向の三方にそれぞれ配管接続口90aを有するT字形の継手90が用いられている。
この実施の形態でも、該継手90は、従来の床暖房マットに合わせて各部の寸法が設定された汎用品であり、その上下方向の厚みは、本発明の床暖房マットの厚みよりも大きなものとなっている。
この実施の形態の支持部材80Aは、床下地51に設けられた開口51aに嵌合する上開容器状の継手収容部81Aと、この継手収容部81Aの上縁から互いに反対方向へ延出しており、該開口51aの周囲の床下地51の上面に重なるフランジ部82a,82bと、各フランジ部82a,82bにそれぞれ設けられた、該継手収容部81A内に連通する複数(この実施の形態でも各フランジ部82a,82bに4条)の配管収容用溝84等を有している。この継手収容部81A内の底面は、各フランジ部82a,82bの下面よりも下位となっている。即ち、この実施の形態でも、該継手収容部81Aは、該底面が床下地51の上面よりも低い凹所となっている。
この実施の形態では、第24図の通り、該継手収容部81A内は、各フランジ部82a,82bの対向する配管収容用溝84ごとに、仕切り壁88により複数(この実施の形態では4室)の小室89に区画されている。これらの小室89内にそれぞれ継手90が収容されている。各小室89の底面には、それぞれ、継手90の下側の配管接続口90aを挿通するための挿通口83cが設けられている。
この実施の形態では、第27図に示すように、一方の配管引き回し用基板72上を引き回されてきた各温水配管3を、それぞれ各継手90の水平方向の一方の配管接続口90aに接続すると共に、他方の配管引き回し用基板72上を引き回されてきた各温水配管3を、それぞれ各継手90の水平方向の他方の配管接続口90aに接続する。また、各小室89の底面の挿通口83cを介して各継手90の下側の配管接続口90aにボイラからの給湯管又は排湯管(いずれも図示略)を接続する。そして、各小室89に連通する一方の配管収容用溝84内に該一方の温水配管3を配材すると共に、他方の配管収容用溝84内に該他方の温水配管3を配材しつつ、各継手90を各小室89内に収容する。
この支持部材80Aのその他の構成及びこの支持部材80Aを用いて構築される暖房床のその他の構成並びに施工手順は、前述の第16〜23図の実施の形態と同様であり、第24〜27図において第16〜23図と同一符号は同一部分を示している。
この実施の形態にあっても、底面が床下地51の上面よりも低い継手収容部81Aを有する支持部材80Aを該床下地51に設置し、この継手収容部81A内に継手90を設置しているので、本発明の床暖房マットよりも厚さが大きい汎用品の継手90であっても、この継手90の上面を本発明の床暖房マットの上面と略同レベルかそれよりも下位とすることができる。
なお、この実施の形態では、支持部材80Aは、4個の継手90を収容する構造となっているが、3個以下又は5個以上の継手90を収容する構造であってもよい。この場合、継手90の個数に合わせて小室89及び溝84の個数を変更する。
[熱媒体供給部材及びその支持部材のさらに別の構成例]
上記実施の形態では、熱媒体供給部材として、下方及び水平二方向の三方にそれぞれ配管接続口90aを有するT字形の継手90が用いられているが、本発明では、第28,29図のように、下方及び水平一方向の二方向にのみ配管接続口90aを有するL字形の継手90Aが用いられてもよい。
第28図はこのL字形の継手90Aを支持するための支持部材の平面図であり、第29図はこの支持部材を用いて構築された暖房床の断面図である。
この継手90Aも、従来の床暖房マットに合わせて各部の寸法が設定された汎用品であり、その上下方向の厚みは、本発明の床暖房マットの厚みよりも大きなものとなっている。
この実施の形態における支持部材80Bは、床下地51に設けられた開口51aに嵌合する上開容器状の継手収容部81Bと、この継手収容部81Bの上縁から互いに反対方向へ延出しており、該開口51aの周囲の床下地51の上面に重なるフランジ部82a,82b’と、一方のフランジ部82aに設けられた、該継手収容部81B内に連通する複数の配管収容用溝84等を有している。該継手収容部81B内の底面は、各フランジ部82a,82b’の下面よりも下位となっている。この実施の形態では、他方のフランジ部82b’には、配管収容用溝84は設けられていない。
即ち、この支持部材80Bは、前述の第24〜27図の支持部材80Aにおいて、フランジ部82bの配管収容用溝84を省略した如き構成となっている。
この実施の形態でも、該支持部材80Bは4個の継手90Aを収容するものであり、継手収容部81B内は、仕切り壁88により4個の小室89に区画されている。また、フランジ部82aには、これらの小室89にそれぞれ連通する4条の配管収容用溝84が設けられている。各小室89の底面には、それぞれ継手90の下側の配管接続口90aを挿通するための挿通口83cが設けられている。
なお、支持部材80Bに収容される継手90Aの個数はこれに限定されない。
この支持部材80Bのその他の構成は第24〜27図の支持部材80Aと同様であり、第28,29図において第24〜27図と同一符号は同一部分を示している。
この支持部材80Bを用いて暖房床を構築する場合、上記の各実施の形態の支持部材80,80Aと同様の手順で床暖房マット及びこの支持部材80Bを床下地51上に設置した後、該床暖房マットから引き出された4本の温水配管3にそれぞれ継手90Aの水平方向の配管接続口90aを接続すると共に、各小室89の底面の挿通口83cを介して各継手90Aの下側の配管接続口90aにボイラからの給湯管又は排湯管(いずれも図示略)を接続する。そして、各温水配管3を各配管収容用溝84内に配材しつつ各継手90Aを各小室89内に収容する。
この実施の形態にあっても、底面が床下地51の上面よりも低い継手収容部81Bを有する支持部材80Bを該床下地51に設置し、この継手収容部81B内に継手90Aを設置しているので、本発明の床暖房マットよりも厚さが大きい汎用品の継手90Aであっても、この継手90Aの上面を本発明の床暖房マットの上面と略同レベルかそれよりも下位とすることができる。
[材質等]
上記各部材の材質の一例として次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
基板としては例えば発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等の発泡合成樹脂のほか木材等を用いることができる。発泡合成樹脂としては、断熱性の点から、内部の気泡が独立気泡となっているものが好ましい。
本発明においては、裏張りシートは、低熱伝導材よりなることが好ましい。この低熱伝導材としては、不織布や合成樹脂シートあるいは紙等を用いることができる。
小根太及び小小根太としては、木材や、釘打ち可能な合成木材又は合成樹脂あるいは合成樹脂発泡体等が好ましい。
上記の各実施の形態における小根太20のように、小根太本体20aの上下両面に補強板20b,20bを貼り付ける場合には、該小根太本体20aとしては、例えば合板等を用いることができ、補強板20bとしては、金属板又は金属箔や、樹脂板、あるいは金属と樹脂との複合材料よりなる板材等を用いることがきる。なお、この場合、該補強板20bの厚さは、該補強板20bに釘が入る程度のものとする。小小根太22についても同様である。
ただし、小根太及び小小根太の構成はこれに限定されない。例えば、本発明においては、小根太本体及び小小根太本体が十分な強度を有していれば、補強板は省略されてもよい。
均熱シート及び均熱板としては、アルミ又は銅等の金属箔が好ましい。
均熱シートの表面にポリエチレンテレフタレート等のフィルムをラミネートすることにより、温調マットの梱包時や運搬時等に均熱シートの破損を防止することができる。なお、このフィルムの材質はポリエチレンテレフタレート以外であってもよい。
温水配管としては、可撓性のポリエチレン等の合成樹脂チューブや銅パイプが例示される。
[その他の構成]
上記の実施の形態は、いずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は図示の構成に限定されない。
本発明の温調マットを構成する基板の枚数に特に制限はなく、4枚及び10枚以外の枚数の基板を用いて温調マットを構成してもよい。
本発明においては、配管収容用の溝の内側にも、この溝の底部を塞ぐように低熱伝導材が設けられてもよい。また、均熱板が設けられる場合には、この均熱板の外面に低熱伝導材が貼り付けられてもよい。このように構成することにより、基板の下面側への放熱が一層抑制される。
上記の各実施の形態の床暖房マット1,1A,1C〜1Gは、それぞれ、基板同士の間に小根太20が配設された構成となっているが、本発明の温調マットの構成はこれに限定されるものではない。例えば、本発明においては、小根太20は省略されてもよい。
小根太20を省略する場合には、各基板自体の強度を高くする。例えば、各基板を発泡合成樹脂製とした場合には、この発泡合成樹脂の発泡倍率を適宜調節することにより、各基板の強度を高めることができる。これ以外の方法、例えば、各基板に補強材を設けることにより、各基板の強度を高めるように構成してもよい。
なお、小根太20を設けた場合には、基板自体の強度は比較的低くても足りるため、床暖房マット1,1A,1C〜1Gの構成コストを比較的低く抑えることができる。
上記の実施の形態は、床暖房マットに関するものであるが、本発明の温調マットは、壁や天井等に配置されてもよい。また、温水ではなく、冷水を配管に通水して冷房するようにしてもよい。水以外のオイル、不凍液等の熱媒体を流通させてもよい。