JP2009150482A - 差動制限装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トルクカムによるクラッチ締結力、電子制御によるクラッチ締結力、リダクションギヤによるスラスト力の相互干渉を防ぐこと、リダクションギヤによるスラスト力がクラッチ締結力に影響を及ぼさないようにすること、低コストでトルク感応型LSDセンタデフに電子制御型差動制限装置を付設すること、が可能な差動制限装置を提供する。
【解決手段】遊星歯車装置14のリングギヤ144と後輪出力軸13との間に、トルクカム153によりトルク感応型LSD15の湿式多板クラッチ154を前方から後方に向かって押圧するクラッチハブ152を介設すると共に、クラッチドラム151の内周部とクラッチハブ152との対向面間にトルク感応型LSD15の湿式多板クラッチ154及び後方への移動が規制されたリテーナプレート155を設け、湿式多板クラッチ154を後方から前方に向かって押圧する電子制御式差動制限装置16を配設する。
【選択図】図1

Description

本発明は、差動制限装置に関し、特に、遊星歯車装置を用いたセンタデフと、トルクカムにより前後輪の差動を制限するトルク感応型LSDと、このトルク感応型LSDのクラッチ締結力を電子制御する電子制御式差動制限装置と、を備えた差動制限装置に関する。
前後輪の回転差を吸収し、駆動力を前後輪に分配、伝達する差動制限装置にあっては、変速機後部にプラネタリキャリア式のセンタデフを配置し、このセンタデフからフロント出力とリヤ出力との間にトルク感応型LSDを配置し、ドライバーの意志(アクセル開度)に応じた差動制限を行う差動制限装置から、近時、車両の挙動(車輪のスリップ、横G/ヨーレイト等)に応じてトルク感応型LSDのクラッチ締結力を自動制御して前後輪へのトルク配分を行うことによって、常に最適なトラクションを発揮するようにした差動制限装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1に開示されている従来の差動制限装置は、図3に示されるように、トルクカムとしてのドグ(15)の互いに噛合するカム面に、走行時の抵抗によって生じるトルクが印加されて軸方向に作用する押圧力が発生すると、出力リングギヤ部材(6b)が、前側プレッシャプレート(6d)を介して多板クラッチ(10)を締結させて入力軸(3)とリヤドライブ軸(8)、すなわち前後輪の差動を制限する。一方、車輪のスリップ等を検知して電子制御型差動制限装置(31)が動作すると、後側プレッシャプレート(30)を介して多板クラッチ(10)を締結させて前後輪の差動を制限するというものである。
特開2004−225716号公報(図1)
しかしながら、上述の差動制限装置にあっては、図3に示されるように、ドグ(15)による多板クラッチ(10)のクラッチ締結力と、電子制御型差動制限装置(31)によるクラッチプレート(35)のクラッチ締結力と、図示しないリダクションギヤに噛み合った際にリヤドライブギヤ(8c)に発生するスラスト力との伝達経路の一部がデフケース(2)で重なっている。そのため、上述したクラッチ締結力やスラスト力が相互に干渉してしまい、多板クラッチ(10)のクラッチ締結力に影響を及ぼしてしまうという問題がある。そのうえ、リヤドライブギヤ(8c)に発生するスラスト力が、電子制御型差動制限装置(31)のドラム(38)からクラッチプレート(35)を経て装置側プレッシャプレート(34)にかかり、後側プレッシャプレート(30)を押圧してしまうために、多板クラッチ(10)のクラッチ締結力に影響を及ぼしてしまうという問題もある。
さらには、差動制限装置は、多板クラッチ(10)に電子制御型差動制限装置(31)を追加した構成なので、製造コスト(部品及び製造コスト)がかかるだけでなく、差動制限装置の大型化を招くという問題もある。また、差動制限装置は、電子制御型差動制限装置の有無によって2通りの仕様を設ける必要があり、コストがかかってしまうという問題もある。
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、トルクカムによるクラッチ締結力、電子制御によるクラッチ締結力、リダクションギヤによるスラスト力の相互干渉を防ぐこと、リダクションギヤによるスラスト力がクラッチ締結力に影響を及ぼさないようにすること、低コストでトルク感応型LSDセンタデフに電子制御型差動制限装置を付設すること、が可能な差動制限装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、入力軸によって伝達された駆動力を第1の出力軸と第2の出力軸とに分配する遊星歯車装置と、前記第1の出力軸に連なった車輪と前記第2の出力軸に連なった車輪との差動をトルクカムにより制限するトルク感応型差動制限装置と、前記トルク感応型差動制限装置のクラッチ締結力を電子制御する電子制御式差動制限装置と、を備えた差動制限装置において、
前記遊星歯車装置のプラネタリキャリアを前記入力軸からの入力、サンギヤを前記第1の出力軸への出力、リングギヤを前記第2の出力軸への出力とし、
前記第1の出力軸と前記トルク感応型差動制限装置の外殻をなすドラム状部材の一端部をスプライン嵌合させ、前記ドラム状部材の内周部に前記リングギヤを相対回転可能に設けると共に、前記リングギヤと前記第2の出力軸との間に、前記トルクカムにより前記トルク感応型差動制限装置の摩擦材を前方から後方に向かって押圧する押圧部材を介設すると共に、前記リングギヤと前記押圧部材との対向面間に互いに噛み合うカム部を設けて前記トルクカムとし、
前記ドラム状部材の内周部と前記押圧部材との対向面間に前記トルク感応型差動制限装置の摩擦材及び後方への移動が規制されたリテーナプレートをスプライン嵌合し、前記リテーナプレートの後方に前記リテーナプレートを介して前記摩擦材を後方から前方に向かって押圧する前記電子制御式差動制限装置を配設したことを特徴とする。
上記目的を達成するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記電子制御型差動制限装置は、車両の挙動に応じて前記トルク感応型差動制限装置に差動制限トルクを発生させるためのクラッチ部を油圧ピストンによって動作させることを特徴とする。
上記目的を達成するため請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記プラネタリキャリアと前記押圧部材との対向面間、及び前記プラネタリキャリアと前記第1の出力軸との対向面間にスラストベアリングをそれぞれ配設したことを特徴とする。
請求項1〜3に記載の発明によれば、トルクカムによる湿式多板クラッチのクラッチ締結力に対して、電子制御(油圧ピストン)によるクラッチ締結力は、トルクカムを回避して伝達され、第1の出力軸に連なるリダクションギヤによるスラスト力は、トルクカム及びトルク感応型差動制限装置の摩擦材を回避して伝達される。これにより、トルクカムによるクラッチ締結力、電子制御によるクラッチ締結力、リダクションギヤによりスラスト力の相互干渉を防ぐことができると共に、リダクションギヤによるスラスト力がクラッチ締結力に影響を及ぼさないようにすることができる。また、電子制御式差動制限装置のクラッチ部を電子制御式の油圧ピストンによって動作するようにしたので、遊星歯車装置、トルク感応型差動制限装置、電子制御式差動制限装置を簡易、かつコンパクトに配置することができる。
本発明の差動制限装置によれば、トルクカムによるクラッチ締結力、電子制御によるクラッチ締結力、リダクションギヤによりスラスト力の相互干渉を防ぐことができると共に、リダクションギヤによるスラスト力がクラッチ締結力に影響を及ぼさないようにすることができるので、遊星歯車装置により設定されたトルク配分を走行状況に応じて連続可変制御することにより、コーナリング時の優れた回頭性と直進時での走行安定性を両立することが可能なコンパクトな差動制限装置がローコストに実現する。
本発明の実施の形態に係る差動制限装置について図1,2を参照して詳細に説明する。図1は、本差動制限装置の一実施形態を示した断面図、図2は、トルクカムによりクラッチ締結力、電子制御によるクラッチ締結力、リダクションギヤによるスラスト力の伝達経路を示した図である。
なお、図1の差動制限装置にあっては、図面左側が前側(前輪側)、図面右側が後側(後輪側)として説明する。
図1に示されるように、この発明による差動制限装置100は、入力軸11、第1の出力軸を含んだ前輪出力ギヤ12、第2の出力軸としての後輪出力軸13、遊星歯車装置14、トルク感応型差動制限装置(トルク感応型LSD)15、電子制御式差動制限装置16、を備えている。
入力軸11は、図示しない変速装置から出力された駆動力を差動制限装置100に伝達するように前後方向に延びたトランスミッション出力軸である。この入力軸11の後方(軸方向)には、差動制限装置100により後輪側に配分された駆動力を伝達する後輪出力軸13が、入力軸11と同一軸心となるように配置されている。入力軸11の後部は、後輪出力軸13の軸内部に挿入された状態で、後輪出力軸13にニードルベアリング17を介して相対回転可能に支持されている。また、後輪出力軸13の前部は、差動制限装置100のハウジング10にボールベアリング18を介して回転可能に支持されていると共に、ハウジング10とボールベアリング18のアウタレース側面との間には、スラストワッシャ(スラストベアリング)19が介設されている。さらに、後輪出力軸13に近接した入力軸11の外周部(半径方向)には、遊星歯車装置14のプラネタリキャリア141がスプライン嵌合しており、入力軸11とプラネタリキャリア141とが一体回転するようになっている。
遊星歯車装置14は、シングルピニオン式遊星歯車装置が用いられており、入力軸11の外周部に連なったプラネタリキャリア141と、後述する前輪出力ギヤ12のギヤ部12bに隣接するようにプラネタリキャリア141に回転可能に支持されたピニオンギヤ142と、ピニオンギヤ142に噛み合うようにピニオンギヤ142の半径方向に設けられたサンギヤ143及びリングギヤ144と、を備えている。
サンギヤ143は、入力軸11の外周部(半径方向)に相対回転可能に設けられた前輪出力ギヤ12の後部に一体的に連なっている。
ここで前輪出力ギヤ12について説明すると、前輪出力ギヤ12は、サンギヤ143が一体的に連なった中空状の軸部12a(第1の出力軸に相当)と、軸部12aの外周部(半径方向)に一体的に設けられたギヤ部12bとを備えている。軸部12aの後部における内周部は、入力軸11にニードルベアリング20を介して相対回転可能に支持されていると共に、外周部には上述したサンギヤ143が連なっている。また、軸部12aの前部における内周部は、入力軸11から離間していると共に、外周部は、ハウジング10にボールベアリング21を介して回転可能に支持されている。
また、ピニオンギヤ142よりも前側に位置する軸部12aの外周部には、詳しくは後述するが、トルク感応型LSD15及び電子制御式差動制限装置16の一部をなすドラム状部材としてのクラッチドラム151の前端部がスプライン嵌合しており、前輪出力ギヤ12とクラッチドラム151とが一体回転するようになっている。このクラッチドラム151の内周面部には、上述したリングギヤ144がクラッチドラム151に対して相対回転可能となるように設けられている。さらに、このリングギヤ144の後側の端面には、カム部144aが一体形成されていると共に、リングギヤ144の前側の端面は、クラッチドラム151にスラストプレート22を介して連接するようになっている。
また、クラッチドラム151との結合部よりも後側の軸部12aの外周部とプラネタリキャリア141の前端面との間には、スラストベアリング23がベアリングリテーナ24に保持された状態で介設されている。
また、ギヤ部12bは、図示しないリダクションギヤに噛み合うことによって、差動制限装置100により前輪側に配分された駆動力を前輪側に伝達する。
なお、遊星歯車装置14は、シングルピニオン式遊星歯車装置に限定されるものではなく、ダブルピニオン式遊星歯車装置を用いてもよい。
トルク感応型LSD15は、上述したクラッチドラム151の他に、押圧部材としてのクラッチハブ152、トルクカム153、湿式多板クラッチ154、を備えている。
詳述すると、クラッチハブ152は、後輪出力軸13の外周部とリングギヤ144の後側の端面とを連接するように屈曲形成されているものであって、後輪出力軸13の外周部にスプライン嵌合する第1の軸部152aの前側に、湿式多板クラッチ154の摩擦材としての複数のドリブンプレート154aの内周部がスプライン嵌合する第2の軸部152bが延設されている。この第2の軸部152bの前部とプラネタリキャリア141との間には、スラストベアリング25が介設されている。また、この第2の軸部152bの前部が、半径方向に向かうように屈曲されることによって、湿式多板クラッチ154の摩擦材としてのドリブンプレート154a及びドライブプレート154bを前方から後方に向かって押圧する押圧部152cが形成されている。なお、この押圧部152cが直接押圧するのは、ドリブンプレート154aであると共に、ドリブンプレート154aとドライブプレート154bとは交互に配設されている。また、この押圧部152cの前端部は、前方に向かって屈曲形成されていると共に、その先端部には、カム部144aと噛み合うカム部152dが一体形成されている。
このカム部152dと上述したカム部144aとによりトルクカム153が形成されている。トルクカム153は、図示はしないが、カム部144aとカム部152dとのそれぞれの噛み合い面に、ドライブ走行時(アクセルオン時、エンジンブレーキ時)に係合するドライブカム面と、コースト走行時(惰行時)に係合するコーストカム面とが形成されており、ドライブ走行時とコースト走行時とにおいて各々最適な差動制限トルクが得られるようになっている。
ところで、ドリブンプレート154aと交互に配設されるドライブプレート154b(図中にあっては1枚のみが図示されているが、複数枚でもよい)の外周部は、クラッチドラム151の後部に拡径形成された拡径部151aの内周部にスプライン嵌合していると共に、このドライブプレート154bから所定距離をあけた位置には、ドリブンプレート154aが押圧されるリテーナプレート155の外周部がスプライン嵌合している。このリテーナプレート155は、クラッチドラム151の内周部に嵌着したスナップリング156によって後方への移動が規制されるようになっている。これにより、トルクカム153によるクラッチ締結力が電子制御式差動制限装置16のクラッチ締結力に影響がないようになっている。
そして、このトルク感応型LSD15の後側に、電子制御式差動制限装置16が配設されている。
電子制御式差動制限装置16は、図示しない制御ユニット、油圧ピストン161、クラッチ部162を備えている。
油圧ピストン161は、制御ユニットの制御下で前後方向に向かって往復動するようにハウジング10に保持されている。この油圧ピストン161の前側には、内周部がクラッチドラム151の外周部にスプライン嵌合しているクラッチ部162のクラッチプレート162aを後方から前方に向かって押圧するプレッシャプレート162bがボールベアリング26を介して回転可能に配設されている。そして、制御ユニットは、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ、前後加速度センサ、ヨーセンサ等の車両の挙動を検出するセンサが検出した検出値に基づいて、湿式多板クラッチ154に差動制限トルクを発生させるためのクラッチ部162の押圧力を設定し、その設定した押圧力に応じて油圧ピストン161をスライド移動させるようになっている。
次に、本差動制限装置100における作用について説明する。
(前後輪の回転速度差がない場合)
変速機から出力された駆動力は、入力軸11を介して差動制限装置100に入力され、入力軸11に連なったプラネタリキャリア141及びピニオンギヤ142を介して、サンギヤ143とリングギヤ144とに伝達される。サンギヤ143とリングギヤ144とに伝達される駆動力は、前後輪の回転速度差が殆どなく、差動制限がない場合では、サンギヤ143とリングギヤ144とのギヤ比で決定される配分比率(例えば、前輪4:後輪6)で配分されて、サンギヤ143に連なった前輪出力ギヤ12を介して前輪を回転駆動すると共に、リングギヤ144に連なったクラッチハブ152から後輪出力軸13に伝達されて後輪を回転駆動する。
(アクセル開度に応じた差動制限を行う場合)
アクセル開度が大きくなると、カム部144aとカム部152aとの間には後ろ向きの押圧力が発生し、クラッチハブ152を後方へ移動させる。すると、押圧部152cが湿式多板クラッチ154のドライブプレート154bとドリブンプレート154aとをリテーナプレート155に押し付け、湿式多板クラッチ154に差動制限トルク(クラッチ締結力)を発生させる。すると、リングギヤ144→クラッチハブ152→後輪出力軸13からなるトルク経路の他に、クラッチドラム151→ドライブプレート154b→ドリブンプレート154a→第2の軸部152b(クラッチハブ152)からなるトルクバイパス経路が形成されることとなり、その結果、前輪出力ギヤ12に伝達される駆動力の一部が後輪出力軸13に伝達(アドオン)され、後輪駆動力が増大する。
なお、湿式多板クラッチ154に発生する差動制限トルクは、ドライブプレート154b及びドリブンプレート154aの枚数に応じて設定されるようになっている。
(車両の挙動に応じた差動制限を行う場合)
例えば、車輪がスリップすると、走行時の抵抗(走行抵抗、加速抵抗)によってトルクカム153に生じるトルクは小さくなり、カム部144a,152d間に生じる軸方向への押圧力も小さくなるので、差動制限は殆ど行われなくなり、スリップしている車輪に駆動力が奪われてしまう。そこで、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサで検出した車輪速に基づき、車輪のスリップを検出した場合は、電子制御式差動制限装置16のクラッチ部162を締結動作させて、前後輪の差動を積極的に制限するようになっている。
すなわち、前輪がスリップした場合、制御ユニットは、油圧ピストン151を前側に移動させ、プレッシャプレート162bを介してプレッシャプレート162bをリテーナプレート155に押し付け、さらに、前方に移動したリテーナプレート155がドリブンプレート154aとドライブプレート154bとを押し付けることによって湿式多板クラッチ154に差動制限トルク(クラッチ締結力)を発生させる。すると、前輪出力ギヤ12→クラッチドラム151→湿式多板クラッチ154(ドライブプレート154b→ドリブンプレート154a)及びプレッシャプレート→第2の軸部152b(クラッチハブ152)→後輪出力軸13からなるトルクバイパス経路が形成されることとなり、前輪出力ギヤ12に伝達される駆動力の一部が後輪出力軸13に伝達され、後輪駆動力が増大する。
また、後輪がスリップした場合、制御ユニットは、油圧ピストン151を前側に移動させ、プレッシャプレート162bを介してプレッシャプレート162bをリテーナプレート155に押し付け、さらに、前方に移動したリテーナプレート155がドリブンプレート154aとドライブプレート154bとを押し付けることによって湿式多板クラッチ154に差動制限トルク(クラッチ締結力)を発生させる。すると、リングギヤ144→トルクカム153→第2の軸部152b(クラッチハブ152)→湿式多板クラッチ154(ドリブンプレート154a→ドライブプレート154b)→クラッチドラム151→前輪出力ギヤ12からなるトルクバイパス経路が形成されることとなり、後輪出力軸13に伝達される駆動力の一部が前輪出力ギヤ12に伝達され、前輪駆動力が増大する。
ところで、トルクカム153による湿式多板クラッチ154のクラッチ締結力は、図2中の点線で示すように、クラッチドラム151←リングギヤ144←トルクカム153→クラッチハブ152の押圧部→湿式多板クラッチ154(ドリブンプレート154a→ドライブプレート154b→ドリブンプレート154a)→リテーナプレート155→スナップリング→クラッチドラム151に伝達されることとなる。すなわち、トルクカム153からクラッチドラム151に伝達されるようになっている。
これに対し、電子制御(ピストン)による湿式多板クラッチ154のクラッチ締結力は、図2中の一点鎖線で示すように、ハウジング10←油圧ピストン161→ボールベアリング26→プレッシャプレート162b→クラッチプレート162a→リテーナプレート155→湿式多板クラッチ154(ドリブンプレート154a→ドライブプレート154b→ドリブンプレート154a)→クラッチハブ152→スラストベアリング25→プラネタリキャリア141→スラストベアリング23→前輪出力ギヤ12→ボールベアリング21→ハウジング10に伝達される。すなわち、電子制御による湿式多板クラッチ154のクラッチ締結力は、トルクカム153を回避して、油圧ピストン161からハウジング10に伝達するようになっており、トルクカム153による湿式多板クラッチ154のクラッチ締結力に影響を及ぼすことはない。
また、リダクションギヤによるスラスト力は、図2中の二点鎖線で示すように、ハウジング10←ボールベアリング21←前輪出力ギヤ12→スラストベアリング23→プラネタリキャリア141→スラストベアリング25→クラッチハブ152(第2の軸部152b→第1の軸部152a)→ボールベアリング18→ハウジング10に伝達される。したがって、リダクションギヤによるスラスト力は、トルクカム153及び湿式多板クラッチ154を回避して、前輪出力ギヤ12からハウジング10に伝達するようになっているので、リダクションギヤによるスラスト力は、トルクカム153によるクラッチ締結力及び電子制御による湿式多板クラッチ154のクラッチ締結力に影響を与えることはない。
以上述べたように本発明の差動制限装置100によれば、トルクカム153による湿式多板クラッチ154のクラッチ締結力に対して、電子制御(油圧ピストン161)によるクラッチ締結力は、トルクカム153を回避して伝達され、リダクションギヤによるスラスト力は、トルクカム153及びトルク感応型差動制限装置15の湿式多板クラッチ154を回避して伝達される。これにより、トルクカム153によるクラッチ締結力、電子制御(油圧ピストン161)によるクラッチ締結力、リダクションギヤによるスラスト力の相互干渉を防ぐことができると共に、リダクションギヤによるスラスト力がクラッチ締結力に影響を及ぼさないようにすることができる。また、電子制御式差動制限装置16のクラッチ部162を電子制御の油圧ピストン161によって動作させるので、遊星歯車装置14、トルク感応型差動制限装置15、電子制御式差動制限装置16を簡易、かつコンパクトに配置することができる。
その結果、遊星歯車装置14により設定されたトルク配分を走行状況に応じて連続可変制御することにより、コーナリング時の優れた回頭性と直進時での走行安定性を両立することが可能なコンパクトな差動制限装置100がローコストに実現する。
本差動制限装置の一実施形態を示した断面図である。 トルクカムによるクラッチ締結力、電子制御によるクラッチ締結力、リダクションギヤによるスラスト力の伝達経路を説明するための図である。 従来の差動制限装置を説明するための図である。
符号の説明
100…差動制限装置
10…ハウジング
11…入力軸
12…前輪出力ギヤ
12a…軸部(第1の出力軸)
13…後輪出力軸(第2の出力軸)
14…遊星歯車装置
141…プラネタリキャリア
143…サンギヤ
144…リングギヤ
144a…カム部(トルクカム)
15…トルク感応型LSD(トルク感応型差動制限装置)
151…クラッチドラム(ドラム状部材)
152…クラッチハブ(押圧部材)
152d…カム部
153…トルクカム
154…湿式多板クラッチ(摩擦材)
16…電子制御式差動制限装置
161…油圧ピストン
162…クラッチ部

Claims (3)

  1. 入力軸によって伝達された駆動力を第1の出力軸と第2の出力軸とに分配する遊星歯車装置と、前記第1の出力軸に連なった車輪と前記第2の出力軸に連なった車輪との差動をトルクカムにより制限するトルク感応型差動制限装置と、前記トルク感応型差動制限装置のクラッチ締結力を電子制御する電子制御式差動制限装置と、を備えた差動制限装置において、
    前記遊星歯車装置のプラネタリキャリアを前記入力軸からの入力、サンギヤを前記第1の出力軸への出力、リングギヤを前記第2の出力軸への出力とし、
    前記第1の出力軸と前記トルク感応型差動制限装置の外殻をなすドラム状部材の一端部をスプライン嵌合させ、前記ドラム状部材の内周部に前記リングギヤを相対回転可能に設けると共に、前記リングギヤと前記第2の出力軸との間に、前記トルクカムにより前記トルク感応型差動制限装置の摩擦材を前方から後方に向かって押圧する押圧部材を介設すると共に、前記リングギヤと前記押圧部材との対向面間に互いに噛み合うカム部を設けて前記トルクカムとし、
    前記ドラム状部材の内周部と前記押圧部材との対向面間に前記トルク感応型差動制限装置の摩擦材及び後方への移動が規制されたリテーナプレートをスプライン嵌合し、前記リテーナプレートの後方に前記リテーナプレートを介して前記摩擦材を後方から前方に向かって押圧する前記電子制御式差動制限装置のクラッチ部を配設したことを特徴とする差動制限装置。
  2. 前記電子制御型差動制限装置は、車両の挙動に応じて前記トルク感応型差動制限装置に差動制限トルクを発生させるためのクラッチ部を油圧ピストンによって動作させることを特徴とする請求項1に記載の差動制限装置。
  3. 前記プラネタリキャリアと前記押圧部材との対向面間、及び前記プラネタリキャリアと前記第1の出力軸との対向面間にスラストベアリングをそれぞれ配設したことを特徴とする請求項1に記載の差動制限装置。
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