JP4684790B2 - トルク配分装置 - Google Patents

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Description

本発明は、第1出力軸からの駆動トルクを2つの出力軸にトルク配分する差動手段の差動を、運転状態に応じて制限するトルク配分装置に関する。
従来から、フルタイム式の4輪駆動車では、トルク配分装置として、プラネタリギヤ機構を用いたセンタデファレンシャル(差動手段)が知られている。又、この種のセンタデファレンシャルには、センタデファレンシャルに作用するトルクに応じて前後輪の差動を制限することで、トルク配分を適切に行う差動制限機構を併設するものが多い。
例えば、特許文献1(特開2004−225716号公報)には、電子制御型差動制限装置(差動制限手段)及びトルク感応型差動制限機構を備える差動装置が開示されている。すなわち、この文献では、プラネタリギヤ機構を構成するリングギヤ部材を入力側リングギヤ部材と出力側リングギヤ部材とに二分割し、入力側リングギヤ部材をプラネタリピニオンに噛合させ、出力側リングギヤ部材をメインクラッチを介してサンギヤ軸に連設させると共に、入力側リングギヤ部材と出力側リングギヤ部材との間にトルクカム機構を配設する。
そして、入力側リングギヤ部材に走行時の抵抗によって生じる入力トルクが印加されて、トルクカム機構に軸方向に作用するカムスラスト力が発生すると、出力側リングギヤ部材がプレッシャプレートを介してメインクラッチに差動制限トルク(クラッチ押圧力)を付与する。その結果、電子制御型差動制限装置の動作に拘わりなく、入力トルクに応じた差動制限を得ることができる。
特開2004−225716号公報
ところで、上述した文献に開示されている技術では、メインクラッチに付与するクラッチ押圧力(差動制限トルク)は、最大入力トルク時に発生する押圧力が最大値であり、それ以上の押圧力をメインクラッチに付与することはできない。
メインクラッチに付与するクラッチ押圧力を増幅させる技術として、差動制限装置を構成する電磁コイルの容量を増加し、或いはパイロットクラッチのクラッチ枚数を増加させることが考えられるが、装置全体が大型化するばかりでなく、構造が複雑化するため、実現性に乏しい。
本発明は、上記事情に鑑み、差動制限トルクを電子的に制御する差動制限手段の容量を増加させることなく、しかも走行時の抵抗によって生じる入力トルクに拘わりなく、差動制限トルクの最大値を増幅させることのできるトルク配分装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明によるトルク配分装置は、第1出力軸からの駆動トルクを第2出力軸と第3出力軸とにトルク配分する差動手段と、上記差動手段に併設すると共に上記第2出力軸と上記第3出力軸との一方に連設する回転部材と、上記回転部材と上記第2出力軸と上記第3出力軸との他方に介装する摩擦締結手段と、上記摩擦締結手段に付与する差動制限トルクを車両の運転状態に応じて電子的に制御する差動制限手段とを備え、上記回転部材を上記第2出力軸と上記第3出力軸との他方側に連設する第1の回転部材と上記摩擦締結手段側に連設する第2の回転部材とに分割し、上記第2の回転部材を上記摩擦締結手段を解放/締結する方向へスライド自在に設け、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材との間に、上記差動制限手段にて上記摩擦締結手段に上記差動制限トルクを付与したときの差回転に応じて上記摩擦締結手段に対するアシスト力を発生させるトルクカム機構を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、差動制限手段が作動したときにのみトルクカム機構を作動させて、メインクラッチに対する差動制限トルクをアシストさせるようにしたので、走行時の抵抗によって生じる入力トルクに拘わりなく、しかも差動制限手段の容量を増加させることなく、差動制限トルクの最大値を増幅させることができる。
以下、図面に基づいて本発明の一形態を説明する。図1〜図5に本発明の第1形態を示す。図1はセンタデファレンシャル装置の軸方向に沿った断面側面図、図2はトルクカム機構の要部拡大図である。
トルク配分装置の一例であるセンタデファレンシャル装置1は、トランスミッションケースの後部に接合されたトランスファーケース2、及びエクステンションケース3内に収容されており、図示しない変速機から延出する第1出力軸としての変速機出力軸4の後端に、センタデファレンシャル装置1の入力軸8が結合されている。
更に、この変速機出力軸4内に、第2出力軸としてのフロントドライブ軸5が相対回動自在に挿通支持されている。このフロントドライブ軸5の後部に、第3出力軸であるリヤドライブ軸6が軸受けを介して回動自在に支持されている。このリヤドライブ軸6の後部にボス部6aが突設され、このボス部6aに軸受け7が嵌合されている。ボス部6aは軸受け7を介して、エクステンションケース3に回動自在に支持される。尚、このリヤドライブ軸6に形成されているリヤドライブギヤ6bは、リダクションギヤ(図示せず)を介して、後輪側へ延出されているトランスファ軸に連設されており、このトランスファ軸がプロペラ軸及びリヤデフ装置を介して後輪軸に連設される。
又、フロントドライブ軸5と変速機出力軸4とリヤドライブ軸6と間の軸周上に、前後輪間の差動を吸収する差動手段としてのプラネタリギヤ機構10と、このプラネタリギヤ機構10の差動を制限する、差動制限手段としての電子制御型差動制限装置(以下「差動制限装置」と称する)31を構成する各部材が配設されている。
プラネタリギヤ機構10はサンギヤ11と、このサンギヤ11の外周に配設されているリングギヤ13と、このリングギヤ13の外周に係合して、このリングギヤ13と一体回転するデファレンシャルケース12とを有している。更に、このサンギヤ11とリングギヤ13との間にプラネタリピニオン14が介装されている。尚、このデファレンシャルケース12の後端に、差動制限装置31を構成するクラッチハウジング38を介してドラム39が一体形成されている。
本形態では、複数(例えば6個)のプラネタリピニオン14が等間隔で配設されており、各プラネタリピニオン14の両端が前後プラネタリキャリア15,16に軸受けを介して回動自在に支持されている。更に、両プラネタリキャリア15,16は、プラネタリピニオン14と干渉しない部位でボルト17を介して一体結合されている。
又、前側プラネタリキャリア15に一体形成された入力軸8が、変速機出力軸4の後部に係合されている。この入力軸8の外周に、支持プレート18が回動自在に挿通され、この支持プレート18の外周がデファレンシャルケース12に係合されている。
又、サンギヤ11とフロントドライブ軸5との間に、第1の回転部材としてのフロント出力軸19が介装されている。このフロント出力軸19の内周、及び外周がフロントドライブ軸5とフロント出力軸19とにスプライン係合されている。
更に、フロント出力軸19の後部外周に、第2の回転部材としてのクラッチハブ21の内周が挿通され、このクラッチハブ21の内周後部側縁とフロント出力軸19の後部とが係合されており、この係合部位にトルクカム機構20が設けられている。
このトルクカム機構20の詳細な構成については後述するが、その動作について簡単に説明する。トルクカム機構20の互いに係合する歯面が台形カム歯となっており、後述するメインクラッチ25が締結されて、フロント出力軸19とクラッチハブ21との間に差回転が発生すると、トルクカム機構20の台形カム歯間に軸方向への滑りが生じ、フロント出力軸19とクラッチハブ21とが互いに離間する方向へスライドしようとする。しかし、フロント出力軸19の先端がスナップリング9を介してサンギヤ11の側壁に掛止されているため、その反作用でクラッチハブ21が、図1の左方向へスライドする。
このクラッチハブ21に後側クラッチプレート22が一体形成されている。一方、後側プラネタリキャリア16の側面に前側クラッチプレート23が固設されている。この前側クラッチプレート23と後側クラッチプレート22との間に、摩擦締結手段としてのメインクラッチ(本形態では、湿式多板クラッチ)25が配設されている。このメインクラッチ25は、それが締結されることで、プラネタリギヤ機構10の差動回転を制限するもので、外周がデファレンシャルケース12にスプライン嵌合されているプレートと、内周がクラッチハブ21にスプライン嵌合されているプレートとが交互に配設されて構成されている。
又、後側クラッチプレート22の背面に、プレッシャプレート24が一体回転自在にスプライン嵌合されている。更に、このプレッシャプレート24の後方に、上述した差動制限装置31が配設されている。この差動制限装置31の構成については、本出願人が先に提出した特開平6−320973号公報に詳述されている。
ここで、差動制限装置31の構成について簡単に説明する。この差動制限装置31は、電磁コイル32を収容する電磁石33を有し、この電磁石33がドラム39に回動自在に支持されている。尚、ドラム39はリヤドライブ軸6にスプライン嵌合されて一体回転され、更に、このドラム39にデファレンシャルケース12が一体形成されている。
又、電磁石33の前方にクラッチハウジング38が対設されており、このクラッチハウジング38の前方に、このクラッチハウジング38にスプライン係合されて進退自在に支持されている装置側プレッシャプレート34が対設されており、この装置側プレッシャプレート34とクラッチハウジング38との間にパイロットクラッチ35が配設されている。
パイロットクラッチ35はドライブプレートとドリブンプレートとを所定間隔を開けて交互に配設された構成となっており、ドライブプレートの外周がデファレンシャルケース12の内周にスプライン嵌合され、一方、ドリブンプレートの内周がクラッチハブ36にスプライン嵌合されている。クラッチハブ36は、リヤドライブ軸6に回転自在で、且つ軸方向への移動が規制された状態で外装されている。更に、このクラッチハブ36とプレッシャプレート24との対向面にカム溝が各々形成されており、このカム溝間にカムボール37が収容されている。
そして、図示しない制御ユニットから電磁石33に収容されている電磁コイル32に対して制御電流Iを通電し、電磁石33を磁化させて、装置側プレッシャプレート34と電磁石33との間に介装されているパイロットクラッチ35を締結させて、クラッチハブ36を回転させたとき、クラッチハブ36とプレッシャプレート24との間に差回転が生じると、互いに対向するカム溝の位相にずれが生じ、その結果、カムボール37がプレッシャプレート24を前方へ押圧する。尚、制御ユニットでは、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサや、前後加速度センサ等、車両の挙動を検出するセンサ類で検出した値に基づいて、プレッシャプレート24に発生させるスラスト力に対応した制御電流Iを設定する。
又、後側プラネタリキャリア16の側面にボス部16aが突設されている。このボス部16aは、プラネタリピニオン14と干渉しない部位でサンギヤ11とリングギヤ13との間に臨まされ、その先端に前側プラネタリキャリア15の側壁が当接される。ボス部16aの先端に前側プラネタリキャリア15の側面を当接させることで、両プラネタリキャリア15,16間の間隔を一定に保持することができる。更に、このボス部16aに、ボルト17が前側プラネタリキャリア15側から螺入されて、両プラネタリキャリア15,16が締結固定される。又、ボルト17の先端にピン17aが突設されており、このピン17aに、前側クラッチプレート23が係入されている。従って、前側クラッチプレート23と後側プラネタリキャリア16とはピン17aを介して一体回転される。
又、フロント出力軸19とクラッチハブ21との係合部位に設けられているトルクカム機構20は、互いに噛合する台形カム歯41,42を有し、この各台形カム歯41,42が、フロント出力軸19の後部外周とクラッチハブ21の内周後部側縁部とに、一定の間隔を開けて形成されている。尚、図2においては、各台形カム歯41,42が展開された状態で示されており、同図に矢印で示す方向を、前進走行時の回転方向としている。
又、この各台形カム歯41,42に、ドライブ走行時、及びコースト走行時の差回転により、互いに係合するカム面41a,42a、及び41b,42bが各々形成されている。尚、一方のカム面41a,42aのカム角(台形カム歯41,42を展開したときの台形カム歯41,42のスラスト方向の軸とカム面41a,42a間とのなす角度)θ1と、他方のカム面41b,42bのカム角(台形カム歯41,42を展開したときの台形カム歯41,42のスラスト方向の軸とカム面41b,42b間とのなす角度)θ2とは、走行状態に応じて最適な差動制限トルクを得ることができるような値に設定されている。
次に、このような構成による本形態の作用について説明する。
前進走行時において、変速機にて所定に変速されて変速機出力軸4から出力される駆動トルクは、この変速機出力軸4に結合されているセンタデファレンシャル装置1の入力軸8に入力され、この入力軸8に一体形成されている、プラネタリギヤ機構10の前側プラネタリキャリア15を介して、この前側プラネタリキャリア15と後側プラネタリキャリア16とに支持されているプラネタリピニオン14を公転させる。
このプラネタリピニオン14は、サンギヤ11とリングギヤ13とに噛合されている。又、サンギヤ11がフロントドライブ軸5に、フロント出力軸19を介して連結され、一方、リングギヤ13の外周にデファレンシャルケース12がスプライン嵌合されている。更に、このデファレンシャルケース12の後端に、差動制限装置31に設けられているドラム39が一体形成されており、このドラム39がリヤドライブ軸6にスプライン嵌合されている。
従って、変速機出力軸4から出力された駆動トルクは、このプラネタリピニオン14により、サンギヤ11側とリングギヤ13側とに、サンギヤ11とリングギヤ13とのギヤ比で決定される基本トルク配分比率(例えば、前輪4:後輪6)で配分されて、フロントドライブ軸5とリヤドライブ軸6とに伝達され、この両ドライブ軸5,6を介して、駆動トルクが前後輪へ伝達されて4輪駆動走行が行われる。
一方、差動制限装置31は、図示しない制御ユニットから走行時の運転条件に応じて設定した制御電流Iを電磁コイル32に通電し、メインクラッチ25に対するクラッチ押圧力を制御する。この場合、例えば、乾燥路面等の比較的高μ路な路面において、図示しない制御ユニットから通電される制御電流Iが零に設定された状態では、パイロットクラッチ35が解放状態となるので、メインクラッチ25も解放される。
メインクラッチ25が解放された状態では、サンギヤ11とリングギヤ13との相対回転が許容されているため、変速機出力軸4から出力された駆動トルクは、図3の中央に実線で示すように、プラネタリギヤ機構10で設定される基本トルク配分比率(例えば、前輪4:後輪6)に従って、前輪側伝達トルクTFと後輪側伝達トルクTRとに配分される。
一方、雨路、雪路等、低μ路状態にある路面において、車両を発進させる際、或いはカーブなどを走行中に前後輪の一方がスリップすると、それを検出した制御ユニット(図示せず)では、そのスリップ状態に応じた制御電流Iを電磁コイル32へ出力する。すると、この電磁コイル32に配設されている電磁石33が磁化され、パイロットクラッチ35を介して対設する装置側プレッシャプレート34が吸引される。
装置側プレッシャプレート34が電磁石33に吸引されると、この装置側プレッシャプレート34とクラッチハウジング38との間に介装されているパイロットクラッチ35が締結され、デファレンシャルケース12の回転がパイロットクラッチ35を介してクラッチハブ36に伝達されて、クラッチハブ36が回転する。
一方、このクラッチハブ36に対設するプレッシャプレート24は、後側クラッチプレート22にスプライン係合され、更に、この後側クラッチプレート22がフロント出力軸19にトルクカム機構20を介して連設されており、このフロント出力軸19がサンギヤ11とフロントドライブ軸5との間にスプライン係合されている。従って、プレッシャプレート24は、フロントドライブ軸5と一体回転する。
上述したように、制御ユニットでは、前後輪の一方のスリップを検出してパイロットクラッチ35を締結動作させるようにしているので、クラッチハブ36とプレッシャプレート24との間に差回転が生じる。クラッチハブ36とプレッシャプレート24との間に差回転が生じると、この両部材の対向面に形成されているカム溝の位相がずれるため、このカム溝間に介装されているカムボール37がプレッシャプレート24を前方へ押圧し、このプレッシャプレート24に、所定のスラスト力を発生させ、メインクラッチ25を前側クラッチプレート23へ押圧し、所定のクラッチ押圧力(差動制限トルク)を発生させる。
前側クラッチプレート23は後側プラネタリキャリア16と一体回転しているため、メインクラッチ25にクラッチ押圧力が発生すると、前側クラッチプレート23とデファレンシャルケース12との間の差回転、及び前側クラッチプレート23とクラッチハブ36との間の差回転が次第に縮小されて、両ドライブ軸5,6間の差動が制限される。
その際、メインクラッチ25のクラッチ押圧力を越えて前輪或いは後輪がスリップしようとすると、クラッチハブ36とフロント出力軸19との間に設けたトルクカム機構20を構成する台形カム歯41,42の互いに噛合するカム面41a,42a(或いは41b,42b)に、回転方向に作用するトルクカム伝達トルクTAと、軸方向に作用するアシスト力としてのカムスラスト力TSとが発生する(図2参照)。
この場合、フロント出力軸19の前端部はスナップリング9によって、サンギヤ11の前側面に掛止されているため、フロント出力軸19は後方(図1の右側)への移動が規制されている。従って、互いに噛合するカム面41a,42a(或いは41b,42b)間に発生したカムスラスト力TSにて、クラッチハブ21側の台形カム歯42に形成されているカム面42aが前方(図1の左方向)へ押圧移動されて、メインクラッチ25に対するクラッチ押圧力がアシストされ、より強いクラッチ押圧力が発生する。
その結果、差動制限装置31によって制御されるクラッチ押圧力を越えて、前輪或いは後輪がスリップしようとした場合は、トルクカム機構20によりメインクラッチ25に対するクラッチ押圧力がアシストされるので、差動制限装置31では制御しきれない瞬間的な変動領域であってもスリップの発生を抑制することができる。
このように、本形態では、トルクカム機構20により、差動制限装置31によって制御されるクラッチ押圧力をアシストするようにしたので、メインクラッチ25に発生させるクラッチ押圧力の最大値を、入力トルクとは無関係に設定することができる。従って、差動制限装置31の容量を増加させることなく、クラッチ押圧力の最大値を増幅させることができるので、装置全体の大型化を抑制することができる。
この場合、メインクラッチ25の容量が従来の仕様で充分なときは、相対的に差動制限装置31の電磁コイル32の容量やパイロットクラッチ35の枚数を縮小することが可能となり、構造の簡素化、及び装置全体の小型化を実現することができる。
次に、図4、図5を用いて、前輪側回転数NFと後輪側回転数NRとの関係から、前輪側へ伝達される駆動トルク(以下「前輪側伝達トルクTF」と称する)と、後輪側へ伝達される駆動トルク(以下「後輪側伝達トルクTR」と称する)の変化について説明する。
図4は前輪にスリップが発生して、メインクラッチ25にクラッチ押圧力が付与された状態が示されている。メインクラッチ25にクラッチ押圧力が発生すると、リヤドライブ軸6に、クラッチハウジング38などを介して連設するデファレンシャルケース12と、フロントドライブ軸5にフロント出力軸19を介して連設するクラッチハブ21との間に、メインクラッチ25を介してトルク経路がバイパス形成される。更に、後側プラネタリキャリア16と、デファレンシャルケース12及びクラッチハブ21との間に、メインクラッチ25を介してトルク経路がバイパス形成される。
前輪にスリップが発生した状態では、前輪側回転数NFが後輪側回転数NRよりも高いので(NF>NR)、同図に中線の矢印で示すように、サンギヤ11に伝達される前輪側伝達トルクTFの一部が、フロント出力軸19、クラッチハブ21から、メインクラッチ25によって形成されたトルク経路を経て、リヤドライブ軸6へ一定割合のトルク移動が行われる。その結果、リヤドライブ軸6には、トルク経路を介して入力される駆動トルク(中線の矢印で示す)が合算された後輪側伝達トルクTR(太線の矢印で示す)が入力されて、後輪へ伝達される。
一方、コースト走行においては、変速機出力軸4からのエンジンブレーキトルクが前側プラネタリキャリア15に入力されて、上述と同様、メインクラッチ25にクラッチ押圧力が発生し、リヤドライブ軸6とフロントドライブ軸5との間にトルク経路がバイパス形成される。その結果、通常走行時と同様、リヤドライブ軸6とフロントドライブ軸5との間で、この両者の回転数NR,NFの大きい方から小さい方へトルク経路を経て、一定割合のトルク移動が行われる。
又、図5は後輪にスリップが発生して、メインクラッチ25にクラッチ押圧力が付与された状態が示されている。上述と同様、メインクラッチ25によりトルク経路がバイパス形成されると共に、後側プラネタリキャリア16と、デファレンシャルケース12及びクラッチハブ21との間に、メインクラッチ25を介してトルク経路がバイパス形成される。
後輪にスリップが発生した状態では、後輪側回転数NRが前輪側回転数NFよりも高いので(NR>NF)、同図に中線の矢印で示すように、プラネタリピニオン14からデファレンシャルケース12に伝達される後輪側伝達トルクTRの一部が、メインクラッチ25、クラッチハブ21、フロント出力軸19を介して、フロントドライブ軸5へ一定割合のトルク移動が行われる。
すると、フロントドライブ軸5には、トルク経路を介して入力される駆動トルク(中線の矢印で示す)が合算された前輪側伝達トルクTF(太線の矢印で示す)が入力されて、前輪へ伝達される。
次に、図3に示す特性図を用いて、前輪側回転数NF及び後輪側回転数NRと、前輪側伝達トルクTF及び後輪側伝達トルクTRとの関係を説明する。
前輪側回転数NFと後輪側回転数NRとが等しく、メインクラッチ25が解放状態にある場合、図の中央に実線で示すように、プラネタリギヤ機構10により設定される基本トルク配分で、前輪側伝達トルクTFと後輪側伝達トルクTRとが設定される。
一方、同図にハッチングで示すように、前輪側回転数NFが後輪側回転数NRよりも大きくなろうとする領域、及び後輪側回転数NRが前輪側回転数NFよりも大きくなろうとする領域では、差動制限装置31が動作し、パイロットクラッチ35による差動制限量にてメインクラッチ25が締結動作されるため、差動が制限される。その際、前輪側回転数NFが後輪側回転数NRよりも大きくなろうとする領域では、前輪側へ伝達される駆動トルクの一部が後輪側へ伝達されて、後輪側伝達トルクTRが大きくなる。一方、後輪側回転数NRが前輪側回転数NFよりも大きくなろうとする領域では、後輪側へ伝達される駆動トルクの一部が前輪側へ伝達されて、前輪側伝達トルクTFが大きくなる。
その結果、例えば低μ路の路面での発進時及び走行時のスリップの発生を抑制することができる。この場合、同図に一点鎖線で示すように、メインクラッチ25の締結力の限界を超えて前輪、或いは後輪がスリップしてしまう領域では、トルクカム機構20が作動し、差動制限装置31によって設定されたクラッチ押圧力をアシストして、増幅させる。クラッチ押圧力をトルクカム機構20の動作により増幅させることで、差動制限装置31では制御しきれない瞬間的な変動領域であってもスリップの発生を抑制することができる。従って、差動制限装置31の制御動作に比し応答性がよく全体として良好な走行性能を得ることができる。
又、図6、図7に本発明の第2形態を示す。上述した第1形態では、トルクカム機構20を、互いに噛合する台形カム歯41,42で構成し、この台形カム歯41,42のカム面41a,42a(或いは41b,42b)間に発生するカムスラスト力TSで、メインクラッチ25を押圧するようにしたが、本形態では、トルクカム機構20として、いわゆるボールカムを採用したものである。尚、トルクカム機構20以外の構成は、第1形態と同様であるため、同一構成部分については第1形態と同一の符号を付して図面による説明は省略する。
本形態によるトルクカム機構20は、フロント出力軸19とクラッチハブ21との対向面の円周上に複数のカム溝46,47が所定間隔毎に形成されており、この各カム溝46,47間にカムボール48が転動自在に介装されている。各カム溝46,47に、最深部の中立溝46a,47aから周方向両側へ向けて深さが浅くなるカム面46b,46c、及び47b,47cが各々形成されている。尚、各カム面46b,46c,47b,47cの傾斜角は任意に設定することができる。更に、各カム面46b,46c,47b,47cの傾斜角は同一である必要はなく、個々に異なる傾斜角を有していても良い。
このような構成では、図6に示すように、フロント出力軸19とクラッチハブ21との間に差回転が発生していない状態、すなわち、メインクラッチ25が解放状態にあるときは、カムボール48が中立溝46a,47a間に臨まされている。
そして、差動制限装置31の動作により、メインクラッチ25が締結した状態で、フロント出力軸19とクラッチハブ21との間に差回転が発生すると、図7に示すように、両カム溝46,47間の位相にずれが生じ、カムボール48が互いに対向するカム面46c,47b(或いは46b,47c)上を転動するため、クラッチハブ21が押圧されて、差動制限装置31によって設定されたクラッチ押圧力をアシストするアシスト力が発生し、メインクラッチ25がより強固に締結される。
カムボール48は転動しながらクラッチハブ21を押圧するので、第1形態のように、台形状のカム面41a,42a(或いは41b,42b)をスライドさせてカム動作させる場合に比し、ヒステリシスが少なく、タイトコーナブレーキング現象の発生を抑制することができる。カム溝46,47の形成が、第1形態のような台形カム歯41,42を形成する場合に比し容易で、製造コストの低減を図ることができる。更に、カム溝46,47の傾斜角は簡単に設計変更することができるため、第1形態に比しクラッチ押圧力の調整が容易となる。
第1形態によるセンタデファレンシャル装置の軸方向に沿った断面側面図 同、トルクカム機構の要部拡大図 同、差動制限トルクの特性を示す説明図 同、前輪側回転数が後輪側回転数よりも高い状態のときのトルクカム機構の動作による駆動トルクの流れを示す説明図 同、後輪側回転数が前輪側回転数よりも高い状態のときのトルクカム機構の動作による駆動トルクの流れを示す説明図 第2形態によるトルクカム機構の要部拡大図 同、図6の状態別の要部拡大図
符号の説明
1 センタデファレンシャル装置、
4 変速機出力軸、
5 フロントドライブ軸、
6 リヤドライブ軸、
8 入力軸、
10 プラネタリギヤ機構、
11 サンギヤ、
12 デファレンシャルケース、
13 リングギヤ、
15 前側プラネタリキャリア、
16 後側プラネタリキャリア、
19 フロント出力軸、
20 トルクカム機構、
21 クラッチハブ、
25 メインクラッチ、
31 差動制限装置、
35 パイロットクラッチ、
38 クラッチハウジング、
41,42 台形カム歯、
41a,41b,42a,42b カム面、
46,47 カム溝、
46a,47a 中立溝、
46b,46c,47b,47c カム面、
48 カムボール、
NF 前輪側回転数、
NR 後輪側回転数、
TA 伝達トルク、
TF 前輪側伝達トルク、
TR 後輪側伝達トルク、
TS カムスラスト力

Claims (3)

  1. 第1出力軸からの駆動トルクを第2出力軸と第3出力軸とにトルク配分する差動手段と、
    上記差動手段に併設すると共に上記第2出力軸と上記第3出力軸との一方に連設する回転部材と、
    上記回転部材と上記第2出力軸と上記第3出力軸との他方に介装する摩擦締結手段と、
    上記摩擦締結手段に付与する差動制限トルクを車両の運転状態に応じて電子的に制御する差動制限手段と
    を備え、
    上記回転部材を上記第2出力軸と上記第3出力軸との他方側に連設する第1の回転部材と上記摩擦締結手段側に連設する第2の回転部材とに分割し、
    上記第2の回転部材を上記摩擦締結手段を解放/締結する方向へスライド自在に設け、
    上記第1の回転部材と上記第2の回転部材との間に、上記差動制限手段にて上記摩擦締結手段に上記差動制限トルクを付与したときの差回転に応じて上記摩擦締結手段に対するアシスト力を発生させるトルクカム機構を設けた
    ことを特徴とするトルク配分装置。
  2. 上記トルクカム機構が、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材との対向面間に形成されて互いに係合する台形カムを有している
    ことを特徴とする請求項1記載のトルク配分装置。
  3. 上記トルクカム機構が、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材との対向面間にカム溝を各々設けると共に該両カム溝間にカムボールを介装したボールカムである
    ことを特徴とする請求項1記載のトルク配分装置。
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