JP4754053B2 - 四輪駆動車の動力分配装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、押圧式差動制限クラッチによって付与されるイニシャルトルクを設定車速以上で自動的にキャンセルする四輪駆動車の動力分配装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
四輪駆動車は、悪路走破性に優れているだけでなく、一般道においても加速性や走行安定性に優れていることから、急速に普及してきている。この四輪駆動車の駆動系は、基本的には、前後輪を直結することにより実現できるが、このようにした場合、強固な四輪駆動状態が得られるという利点がある反面、旋回走行時に前後輪間に生じる回転速度差が吸収できないため、いわゆるタイトコーナーブレーキング現象が発生し、旋回性能が悪化するという難点がある。
【0003】
従って、実用化されている四輪駆動車は、前後輪伝達軸間に適宜の駆動力配分伝達装置を介装し、この駆動力配分伝達装置によって、所定の差回転を許容した状態で前後輪を連結するようにしている。
【0004】
この駆動力配分伝達装置としては、センターディファレンシャル装置やトルクカップリング等が多く採用されている。トルクカップリングとしては、ビスカスカップリング、多板クラッチ、或いは前後輪の一方への伝達軸と連動回転されるケーシング内に、他方への伝達軸と連動回転されるロータを収納して油圧ポンプを構成した油圧絞り式等がある。
【0005】
しかし、これらの駆動力配分伝達装置を前後輪伝達軸間に介装した場合、低μ路等の悪路走行時に、前後輪の一方にスリップが発生し易くなるため、直結四輪駆動車に比し、トラクション性能の面で劣ってしまう。
【0006】
そのため、多くの場合、駆動力配分伝達装置に差動制限装置を併設し、前後輪伝達軸間にタイトコーナブレーキング現象を許容できるレベルのイニシャルトルクを付加するようにしている。例えば特開平10−44802号公報には、差動制限装置として多板クラッチを採用し、この多板クラッチを押圧する油圧、皿ばね等の荷重によりイニシャルトルクを発生させ、このイニシャルトルクにより、発進時等の差動制限トルクを得るようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、発進性能等から前後輪伝達軸に差動制限トルクを付与する必要がある中で、イニシャルトルクを多板クラッチ等の摩擦係合要素と、この摩擦係合要素に印加する荷重を皿ばねで発生させる構造では、このイニシャルトルクが前後輪伝達軸間に常に発生し得る状態にあるため、車速の高い、イニシャルトルクを必要としない領域であっても、前後輪間に差回転が発生した場合には、イニシャルトルクが発生するため、このイニシャルトルクが駆動系の出力損失として作用し、運転者に違和感を与えてしまうばかりでなく、燃費が悪化してしまう不都合がある。
【0008】
これに対処するに、例えば特許第2970913号公報には、多板クラッチの断続を油圧を用いて積極的に制御する技術が開示されている。この公報に記載された技術によれば、イニシャルトルクを必要としない領域では、多板クラッチを積極的に開放させることで、差動制限トルクをキャンセルさせることができる。
【0009】
しかし、この公報に開示されている技術では、多板クラッチを作動させるための油圧源が必ず必要となり、油圧源を備えていない駆動力配分伝達装置に対して簡単に取付けることができず、汎用性に欠ける問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、油圧源を必要とせず、差動制限トルクを必要としない領域では、この差動制限トルクを積極的にキャンセルすることが可能となり、運転者に違和感を与えることがなく、燃費の改善が図れるばかりでなく、汎用性に優れた四輪駆動車の動力分配装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、変速機出力軸に対して前輪伝達軸と後輪伝達軸とが駆動力配分伝達装置を介して連設されていると共に上記各軸の何れか2軸間或いは上記駆動力配分伝達装置の差動発生機構部位間がばねの付勢力に基づいてイニシャルトルクを付加する押圧式差動制限クラッチを介して連設され、上記押圧式差動制限クラッチに、設定車速以上で遠心力を利用して上記ばねの付勢力をキャンセルすることにより上記押圧式差動制限クラッチを開放し、上記イニシャルトルクをキャンセルする車速感応式トルクリミッタ装置が設けられている四輪駆動車の動力分配装置において、上記車速感応式トルクリミッタ装置が、スラスト方向へ付勢する上記ばねと、上記ばねの付勢力を受けて上記押圧式差動制限クラッチに上記イニシャルトルクを発生させるプレッシャプレートと、ウエイトとを有し、上記ウエイトが、上記プレッシャプレートと上記押圧式差動制限クラッチのクラッチハブとにそれぞれ一体形成されていると共にスラスト方向に対峙されているカム面間に介装され、上記プレッシャプレートのカム面が該プレッシャプレートの内周に形成され、上記クラッチハブのカム面が該クラッチハブの外周に形成されており、上記ウエイトに作用する上記遠心力により上記プレッシャプレートを上記ばねの付勢力と逆方向へ押圧して上記ぱねの付勢力をキャンセルすることを特徴とする。
【0012】
このような構成では、発進時等、車速が低い場合は、押圧式差動制限クラッチのイニシャルトルクにより発生する差動制限トルクにより、この押圧式差動制限クラッチを経て必要な駆動力が伝達される。一方、走行時において車速が設定車速を越えると、遠心力を利用して動作する車速感応式トルクリミッタ装置が作動し、この車速感応式トルクリミッタ装置が押圧式差動制限クラッチの動力伝達を遮断し、イニシャルトルクをキャンセルする。
【0013】
この場合、好ましくは、上記カム面間に、上記ウエイトを内部に配設するスリット状ポケットを径方向へ放射状に形成したポジションプレートが配設され、上記プレッシャプレートのカム面と上記クラッチハブのカム面との少なくとも一方が他方のカム面に収束するテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1に四輪駆動車の動力配分装置の概略構成図を示す。
【0015】
同図に示すように、本実施の形態では、四輪駆動車の駆動系として、縦置きトランスアクスル型を採用している。この駆動系は、前部にトルクコンバータケース1とディファレンシャルケース2を一体形成し、これらケース1,2の後部にトランスミッションケース3が接合されており、このトランスミッションケース3の後部にエクステンションケース4が接合され、このエクステンションケース4内に動力伝達装置が設けられている。更に、トランスミッションケース3の下部にオイルパン5が取付けられている。
【0016】
又、符号10はエンジンであり、このエンジン10のクランク軸11が、トルクコンバータケース1内部に配設されているロックアップクラッチ12を備えたトルクコンバータ13の入力側に連結され、更に、このトルクコンバータ13の出力側に、トランスミッションケース3に配設されている自動変速機30の変速機入力軸14が連結されている。
【0017】
一方、自動変速機30の出力軸(変速機出力軸)15は入力軸(変速機入力軸)14と同軸上に配設されており、この変速機出力軸15がエクステンションケース4に配設されている駆動力配分伝達装置としてのセンターディファレンシャル装置50の入力側に連結されている。更に、このセンターディファレンシャル装置50の出力側に、前輪伝達軸としてのフロントドライブ軸16と後輪伝達軸としてのリヤドライブ軸20とが分岐接続されている。
【0018】
フロントドライブ軸16は、トランスミッションケース3内に、変速機入力軸14と変速機出力軸15とに対し平行に配置されており、このフロントドライブ軸16の後端がセンターディファレンシャル装置50に一対のリダクションギヤ17,18を介して連結されている。更に、このフロントドライブ軸16の前端がディファレンシャルケース2に配設されているフロントディファレンシャル装置19に連設され、このフロントディファレンシャル装置19に、前輪を軸支する前輪出力軸(図示せず)が連設されている。又、リヤドライブ軸20はプロペラ軸21、リヤディファレンシャル装置22等を介して、後輪を軸支する後輪出力軸(図示せず)に連設されている。
【0019】
一方、自動変速機30は、フロントプラネタリギヤ31、リヤプラネタリギヤ32を有し、このフロントプラネタリギヤ31、リヤプラネタリギヤ32に対し、ハイクラッチ33、リバースクラッチ34、ブレーキバンド35、フォワードクラッチ36、オーバランニングクラッチ37、ローアンドリバースクラッチ38、ワンウエイクラッチ39,40が設けられ、これらを選択的に係合することで前進4段後進1段の変速段を得る。
【0020】
又、自動変速機30の前方には、オイルポンプ41がトルクコンバータのインペラスリーブ13aとドライブ軸42とを連結して常に駆動するように設けられ、オイルパン5にはコントロールバルブボデー43が収容されている。このコントロールバルブボデー43により上述の各摩擦係合要素に給排油し、個別的に係脱制御する。
【0021】
センターディファレンシャル装置50は複合プラネタリギヤ式であり、変速機出力軸15に設けられた第1のサンギヤ51に噛合する第1のピニオン52と、リヤドライブ軸20に設けられた第2のサンギヤ53に噛合する第2のピニオン54とが一体形成されている。又、リダクションギヤ17に、ピニオン52,54を回動自在に支持するキャリヤ55が連設されている。
【0022】
変速機出力軸15から出力される駆動力が第1のサンギヤ51を介して第1のピニオン52に伝達されると、この第1のピニオン52と一体の第2のピニオン54、及びキャリヤ55を介して、第2のサンギヤ53とリダクションギヤ17とに所定の配分比でトルクが伝達される。このとき、第1、第2のピニオン52,54の自転と公転とにより、第2のサンギヤ53とリダクションギヤ17との回転差が吸収される。尚、本実施の形態では、第1、第2のピニオン52,54のピッチ円半径を、基準トルク配分が後輪偏重となるように設定している。
【0023】
又、キャリヤ55とリヤドライブ軸20とが押圧式差動制限クラッチ60を介して連設されている。図2に示すように、この押圧式差動制限クラッチ60のクラッチドラム61がキャリヤ55に連結されており、この内周に、リヤドライブ軸20と一体回転するクラッチハブ62の外周が対設されている。更に、この両者間にドライブプレート63とドリブンプレート64とが交互に配設されており、フロント側外端に配設されているドライブプレート63の外側面にプレッシャプレート65の外周面が当接され、又、リヤ側外端に配設されているドライブプレート63の外側面にリテーナプレート66が当接されている。
【0024】
このドリブンプレート64、プレッシャプレート65、リテーナプレート66の外周がクラッチドラム61の内周に形成されているスプライン溝に係入されて軸方向へ進退自在に支持されていると共に、リテーナプレート66の外側面がスナップリング67にて抜け止めされている。又、ドライブプレート63の内周がクラッチハブ62の外周に形成されているスプライン溝に係入されて軸方向へ進退自在に支持されている。
【0025】
更に、プレッシャプレート65の背面に皿ばね68が介装され、プレッシャプレート65は皿ばね68の付勢力で、リテーナプレート66の方向へ常時押圧付勢されている。ドライブプレート63とドリブンプレート64との間には、皿ばね68の付勢力を受けて移動するプレッシャプレート65の押圧力により摩擦トルク(イニシャルトルク)が発生し、このイニシャルトルクが、センターディファレンシャル装置50が差動回転に入る際の差動制限トルクとなる。
【0026】
尚、差動制限トルクを発生させる態様は、入力側と一方の出力側との間、入力側と他方の出力側との間、両出力側間との3態様が考えられるが、本実施の形態のように両出力側間で発生させることで、一方の出力側から他方の出力側へ直接トルク移動が行えるため最も効果的である。
【0027】
又、センターディファレンシャル装置50には車速感応式トルクリミッタ装置70が設けられている。この車速感応式トルクリミッタ装置70は、車速が設定車速を越えたとき、押圧式差動制限クラッチ60のイニシャルトルクをキャンセルするもので、図2に示すように、プレッシャプレート65の内周とクラッチハブ62の外周面とに、互いにスラスト方向に対向する押圧面としてのフロントカム面65aとリヤカム面62aとがそれぞれ形成され、更に、クラッチハブ62にはリヤカム面62aに連続するベース面62bが形成されている。
【0028】
この両カム面62a,65aとベース面62bとで、径方向へ角度θ(図4参照)の傾斜角で収束する断面三角形のリング状空隙部73が形成され、この空隙部73にポジションプレート71が配設されている。ポジションプレート71の内周がベース面62bにスプライン係合されているため、クラッチハブ62と一体回転する。但し、このポジションプレート71の外周をプレッシャプレート65にスプライン係合させて、プレッシャプレート65と一体回転させるようにしても良い。
【0029】
又、図3に示すように、このポジションプレート71には、複数のポケット71aが放射状に形成されており、この各ポケット71aにボール状に形成したウエイト72が遊動自在に支持されている。このウエイト72は、ポケット71aにより、円周方向への移動が規制されていると共に径方向への移動が許容された状態で空隙部73に介装されており、クラッチハブ62が停止しているときは、フリーな状態にあり、クラッチハブ62の回転により遠心力が付与されると、径方向へ移動して、その両側面が、各カム面65a,62aを押圧する。
【0030】
次に、上記構成による本実施の形態の作用について説明する。先ず、エンジン10の動力はトルクコンバータ13を経て自動変速機30の変速機入力軸14に入力し、自動変速機30で所定に変速された変速動力が変速機出力軸15からセンターディファレンシャル装置50の第1のサンギヤ51に入力する。
【0031】
この第1のサンギヤ51に噛合する第1のピニオン52と、リヤドライブ軸20に設けた第2のサンギヤ53に噛合する第2のピニオン54とは一体に形成されており、又、フロントドライブ軸16に設けたリダクションギヤ18が、ピニオン52,54を支持するキャリヤ55に設けたリダクションギヤ17に噛合されているため、変速機出力軸15から出力されたトルクは、センターディファレンシャル装置50を介して、リヤドライブ軸20とフロントドライブ軸16とに分配される。
【0032】
そして、リヤドライブ軸20に分配されたトルクは、リヤドライブ軸20、プロペラ軸21、リヤディファレンシャル装置22を経て、後輪を軸支する後輪出力軸(図示せず)に伝達され、一方、フロントドライブ軸16に分配されたトルクは、フロントディファレンシャル装置19を経て、前輪を軸支する前輪出力軸(図示せず)に伝達されて、四輪駆動走行となる。
【0033】
そして、悪路から脱出する際、低μ路、或いは一輪が浮いた状態での走行に際し、前後輪伝達軸間に差動回転が発生するとき、及び差動回転発生中は、押圧式差動制限クラッチ60の、皿ばね68の押圧力により設定されるイニシャルトルクが差動制限トルクとして作用する。本実施の形態によるセンターディファレンシャル装置50の基準トルク配分が、後輪偏重となるように設定されている。後輪が前輪よりも先にスリップすると、そのときのリヤドライブ軸20側へ出力されるトルクの一部が押圧式差動制限クラッチ60を経てフロントドライブ軸16側へ伝達され、これにより後輪側のトルクが低減され、スリップの発生が解消される。
【0034】
その際、押圧式差動制限クラッチ60では、皿ばね68がプレッシャプレート65とリテーナプレート66との間に介装されているドライブプレート63とドリブンプレート64とを挟圧し、その摩擦力(イニシャルトルク)が差動制限トルクとして作用する。
【0035】
一方、高速走行においては、車速感応式トルクリミッタ装置70が作動し、押圧式差動制限クラッチ60のイニシャルトルクがキャンセルされる。すなわち、高速走行時、リヤドライブ軸20と一体回転するポジションプレート71に形成されているポケット71aに支持されているウエイト72が遠心力を受けて径方向へ移動し、カム面65a,62a間に割り込み、この両カム面65a,62aを押圧する。
【0036】
そして、ウエイト72の各カム面65a,62aに対する押圧力が、押圧式差動制限クラッチ60の皿ばね68の押圧力を上回ると、ウエイト72がカム面65a,62a間を押し広げ、カム面65aを形成するプレッシャプレート65が、皿ばね68の押圧力に抗して後退し、ドライブプレート63とドリブンプレート64との挟圧が開放され、イニシャルトルクがキャンセルされる。
【0037】
このように、差動制限トルクを必要としない高速領域では、この差動制限トルクとなる車速感応式トルクリミッタ装置70のイニシャルトルクを積極的にキャンセルすることで、走行安定性が向上し、且つトルク損失が軽減されるので、燃費の向上を図ることができる。
【0038】
ところで、図4に示すように、ウエイト72によってカム面65a,62a間に対し遠心力によって作用するスラスト力Fは、次式から求めることができる。
【0039】
F={(1/tanθ)−μ}m・n・r’・(2π/60)2N2
ここで、θはカム面のテーパ角度、μは摩擦係数、mはウエイトの質量、nはウエイトの個数、r’は設計半径である。
【0040】
そして、このスラスト力Fが、皿ばね68の付勢力によりカム面65に作用するスラスト力を越えたとき、プレッシャプレート65が後退し、差動制限トルクがキャンセルされる。尚、上式は、図4、及び、ω=(2π/60)Nより導き出される。又、図4の符号rは任意半径を示す。
【0041】
従って、ウエイト72の質量m、個数n、設計半径r’、及び、カム面65aのテーパ角度θを適宜設定することで、所望の速度領域での差動制限トルクのキャンセルが可能となる。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、差動制限トルクの不要となる設定車速以上では、車速感応式トルクリミッタ装置70のイニシャルトルクを積極的にキャンセルするようにしたので、走行安定性が向上し、トルク損失の軽減により燃費が向上する。
【0043】
更に、油圧源を必要としないため、トルクカップリング等、本来、油圧源を備えていない駆動力配分伝達装置に対しても比較的簡単に取付けることができ、汎用性に優れている。
【0044】
加えて、トルク損失が軽減される分、相対的に駆動系の強度を落とすことができ、結果として、装置全体の軽量化が実現できると共に、軽量化に伴い燃費を一層向上させることができる。
【0045】
尚、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、例えば車速感応式トルクリミッタ装置70は、トルクカップリングの差動発生機構部位間に介装しても良い。又、カム面62a,65aの一方が円周方向へ垂直に延出するように形成されていても良い。更に、例えばウエイト72はボール状のものに限定されず、遠心力によって周方向に移動しカム面を押圧するものであれば、例えばローラ状のものであってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、遠心力を利用して差動制限トルクをキャンセルするようにしたので、油圧源を必要とせず、従って、油圧源を備えていない駆動力配分伝達装置に対しても比較的簡単に取付けることができ、汎用性に優れている。
【0047】
又、差動制限トルクを必要としない領域では、この差動制限トルクを積極的にキャンセルするようにしたので、トルク損失が軽減され、走行安定性が向上するばかりでなく、燃費の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】四輪駆動車の動力配分装置の概略構成図
【図2】センターディファレンシャル装置の側面断面図
【図3】ポジションプレートの正面図
【図4】ウエイトとカム面との間で生ずる遠心力によるベクトルを示す説明図
【符号の説明】
15 変速機出力軸
16 フロントドライブ軸(前輪伝達軸)
20 リヤドライブ軸(後輪伝達軸)
50 センターディファレンシャル装置(駆動力配分伝達装置)
60 押圧式差動制限クラッチ
62a リヤカム面(押圧面)
65a フロントカム面(押圧面)
70 車速感応式トルクリミッタ装置
71 ポジションプレート
71a ポケット
72 ウエイト
Claims (2)
- 変速機出力軸に対して前輪伝達軸と後輪伝達軸とが駆動力配分伝達装置を介して連設されていると共に上記各軸の何れか2軸間或いは上記駆動力配分伝達装置の差動発生機構部位間がばねの付勢力に基づいてイニシャルトルクを付加する押圧式差動制限クラッチを介して連設され、
上記押圧式差動制限クラッチに、設定車速以上で遠心力を利用して上記ばねの付勢力をキャンセルすることにより上記押圧式差動制限クラッチを開放し、上記イニシャルトルクをキャンセルする車速感応式トルクリミッタ装置が設けられている四輪駆動車の動力分配装置において、
上記車速感応式トルクリミッタ装置が、スラスト方向へ付勢する上記ばねと、上記ばねの付勢力を受けて上記押圧式差動制限クラッチに上記イニシャルトルクを発生させるプレッシャプレートと、ウエイトとを有し、
上記ウエイトが、上記プレッシャプレートと上記押圧式差動制限クラッチのクラッチハブとにそれぞれ一体形成されていると共にスラスト方向に対峙されているカム面間に介装され、
上記プレッシャプレートのカム面が該プレッシャプレートの内周に形成され、上記クラッチハブのカム面が該クラッチハブの外周に形成されており、
上記ウエイトに作用する上記遠心力により上記プレッシャプレートを上記ばねの付勢力と逆方向へ押圧して上記ぱねの付勢力をキャンセルすることを特徴とする四輪駆動車の動力分配装置。 - 上記カム面間に、上記ウエイトを内部に配設するスリット状ポケットを径方向へ放射状に形成したポジションプレートが配設され、
上記プレッシャプレートのカム面と上記クラッチハブのカム面との少なくとも一方が他方のカム面に収束するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の四輪駆動車の動力分配装置。
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