JP2970913B2 - 4輪駆動車のトルク配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車のトルク配分制御装置

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JP2970913B2
JP2970913B2 JP1170896A JP17089689A JP2970913B2 JP 2970913 B2 JP2970913 B2 JP 2970913B2 JP 1170896 A JP1170896 A JP 1170896A JP 17089689 A JP17089689 A JP 17089689A JP 2970913 B2 JP2970913 B2 JP 2970913B2
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俊夫 高野
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、複合プラネタリギヤ式センターディファレ
ンシャル装置を備えた4輪駆動車のトルク配分制御装置
に関し、詳しくは、エンジンのクランク軸と変速機出力
軸が車両の進行方向に配置される縦置き型で変速機出力
側とリヤドライブ軸とが同軸上に配置される駆動系のセ
ンターディファレンシャル装置と、その差動制限用油圧
多板クラッチのトルク配分制御に関する。
〔従来の技術〕
一般に4輪駆動車の前後輪の基準トルク配分は、駆動
力が最大に発揮させるように加速時の重心移動を加味し
た動的重量配分により比例して設定される。このため、
フロントエンジン・フロントドライブ(FF)ベースでは
前輪トルクTFと後輪トルクTRとが、TF:TR≒50:50に
設定され、フロントエンジン・リヤドライブ(FR)ベー
スではTF:TR≒40:60に設定される。またセンターディ
ファレンシャル装置は、これらの基準トルク配分の状態
により等分の場合はベベルギヤ式が、不等分の場合はシ
ンプルプラネタリギヤ式等が選択される。
ここでトルク配分が等分なセンターディファレンシャ
ル付4輪駆動車では、悪路での走破性が最大に発揮され
る。しかし、低μ路等の悪路で容易にスリップが発生
し、このスリップ発生時にセンターディファレンシャル
装置に差動制限機能を追加すると、駆動力は確かに向上
するが、操縦性は特に向上するわけではなく、4輪のス
リップ発生条件が同一のため、高速旋回時等において4
輪が同時にスリップして操縦困難になる場合もある。そ
こでかかるスリップ状態でも操縦安定性を確保するに
は、シンプルプラネタリギヤ式センターディファレンシ
ャル装置を使用し、後輪偏重に基準トルク配分を設定す
る。これにより、常に後輪を先にスリップさせ、ドライ
バのアクセル操作で後輪にパワースライドを発生させ、
車両のテールを流しながら操縦する。
そこで従来、上記プラネタリギヤ式センターディファ
レンシャル装置を備えた4輪駆動車に関しては、例えば
特開昭63−176728号公報の先行技術がある。ここで、シ
ンプルプラネタリギヤのセンターディファレンシャル装
置を有し、変速出力をキャリヤに入力し、サンギヤとリ
ングギヤの一方から前輪に、他方から後輪にそれぞれト
ルクを、サンギヤとリングギヤのピッチ円径の違いに応
じ不等配分して分配する。また、サンギヤ,リングギヤ
およびキャリヤのいずれかの2つの要素の間に差動制限
用油圧多板クラッチを配設することが示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上記先行技術のものにあっては、シンプル
プラネタリギヤ式のセンターディファレンシャル装置で
あるため、基準トルク配分比はサンギヤとリングギヤと
のかみ合いピッチ円径の比のみで決定されてしまい、こ
れ以外の自由度がない。
また、エンジンのクランク軸と変速機出力軸が車両の
進行方向に配置される縦置きのパワートレーンでは、変
速機出力軸とリヤドライブ軸とが同軸の駆動系に適用さ
れると、サンギヤの内側に変速機出力軸が挿通されるた
め、サンギヤのサイズ減少にも限界がある。一方、リン
グギヤのサイズの増大はトランスファ全体の大型化,車
室内居住性の悪化を招いて限界がある。従って、サンギ
ヤとリングギヤとのかみ合いピッチ円径比による後輪へ
の駆動トルク配分比は周囲の制約から比較的設定範囲に
自由度がないため、後輪への駆動トルク配分を大きくし
たり、あるいは前後輪への駆動トルク配分を等配分に近
い値に設定したくても難しく、FFベースとFRベースの4
輪駆動のように前後重量配分の異なる種々の車両に適応
させた後輪偏重のトルク配分が設定しにくいため、その
効果を充分に発揮し難い。
更に、上述のように基準トルク配分が後輪側に比較的
大きく設定しにくいため、油圧多板クラッチによりトル
ク配分制御する場合もその制御域が狭く、走破性とを適
正に制御し得ない等の不都合がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、複合プラネタリギヤ式センターディ
ファレンシャル装置により基準トルク配分の決定の自由
度を増大する。
また、縦置きトランスアクスル型やFR方式で変速機出
力軸とリヤドライブ軸とが同軸の駆動系に適用した場合
に、充分後輪偏重のトルク配分に設定し、かつ油圧多板
クラッチで幅広くトルク配分制御することが可能な4輪
駆動車のトルク配分制御装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明による
4輪駆動車のトルク配分制御装置は、変速機出力軸に後
輪側伝達軸が同軸上に配置されると共に、上記変速機出
力軸と平行に前輪側伝達軸が配置され、変速機出力軸、
前輪側伝達軸及び後輪側伝達軸の間にセンターディファ
レンシャル装置が配置されたセンターディファレンシャ
ル付4輪駆動車において、前記センターディファレンシ
ャル装置を変速機の後部に配置構成し、該センターディ
ファレンシャル装置は、上記変速機出力軸と後輪側伝達
軸とを同軸上に回転自在に嵌合し、変速機出力軸に固設
された第1のサンギヤと、該第1のサンギヤよりも噛み
合いピッチ半径が小さく且つ第1のサンギヤに近接して
上記後輪側伝達軸に固設された第2のサンギヤと、第1,
第2のサンギヤとそれぞれ噛合し一体形成された第1,第
2のピニオンと、該ピニオンを枢支すると共に上記変速
機出力軸の外周に回転自在に軸支されるキャリアとから
なり、変速機出力軸の外周に軸支された上記キャリアと
前輪側伝達軸とを伝達構成し、さらに、上記キャリアと
後輪側伝達軸との間にセンターディファレンシャル装置
の差動を制限する油圧多板クラッチを上記第2のピニオ
ンに近接して介設し、該油圧多板クラッチは、そのドラ
ムが上記キャリアの後端のブレートに結合されると共
に、ハブが上記後輪側伝達軸に結合されることを特徴と
する。
請求項2記載の発明による4輪駆動車のトルク配分制
御装置は、変速機出力軸に後輪側伝達軸が同軸上に配置
されると共に、上記変速機出力軸と平行に前輪側伝達軸
が配置され、変速機出力軸、前輪側伝達軸及び後輪側伝
達軸の間にセンターディファレンシャル装置が配置され
たセンターディファレンシャル付4輪駆動車において、
上記センターディファレンシャル装置を変速機の後部に
配置構成し、該センターディファレンシャル装置は、上
記変速機出力軸と後輪側伝達軸とを同軸上に回転自在に
嵌合し、変速機出力軸に固設された第1のサンギヤと、
該第1のサンギヤよりも噛み合いピッチ半径が小さく且
つ第1のサンギヤに近接して上記後輪側伝達軸に固設さ
れた第2のサンギヤと、第1,第2のサンギヤとそれぞれ
噛合し一体形成された第1,第2のピニオンと、該ピニオ
ンを枢支すると共に上記変速機出力軸の外周に回転自在
に軸支されるキャリアとからなり、変速機出力軸の外周
に軸支された上記キャリアと前輪側伝達軸とを伝達構成
し、さらに、上記キャリアと変速機出力軸との間にセン
ターディファレンシャル装置の差動を制限する油圧多板
クラッチを介設し、該油圧多板クラッチは、そのドラム
が上記キャリアに結合されると共に、ハブが上記変速機
出力軸に結合されることを特徴とする。
請求項3記載の発明による4輪駆動車のトルク配分制
御装置は、変速機出力軸に後輪側伝達軸が同軸上に配置
されると共に、上記変速機出力軸と平行に前輪側伝達軸
が配置され、変速機出力軸、前輪側伝達軸及び後輪側伝
達軸の間にセンターディファレンシャル装置が配置され
たセンターディファレンシャル付4輪駆動車において、
前記センターディファレンシャル装置を変速機の後部に
配置構成し、該センターディファレンシャル装置は、上
記変速機出力軸と後輪側伝達軸とを同軸上に回転自在に
嵌合し、変速機出力軸に固設された第1のサンギヤと、
該第1のサンギヤよりも噛み合いピッチ半径が小さく且
つ第1のサンギヤに近接して上記後輪側伝達軸に固設さ
れた第2のサンギヤと、第1,第2のサンギヤとそれぞれ
噛合し一体形成された第1,第2のピニオンと、該ピニオ
ンを枢支すると共に上記変速機出力軸の外周に回転自在
に軸支されるキャリアとからなり、変速機出力軸の外周
に軸支された上記キャリアと前輪側伝達軸とを伝動構成
し、さらに、上記変速機出力軸と後輪側伝達軸との間に
センターディファレンシャル装置の差動を制限する油圧
多板クラッチを介設し、該油圧多板クラッチは、そのド
ラムが上記第2のサンギヤに隣接して後輪側伝達軸に結
合されると共に、ハブが上記変速機出力軸に結合される
ことを特徴とする。
請求項4記載の発明による4輪駆動車のトルク配分制
御装置は、請求項1ないし請求項3記載の発明におい
て、更に、前・後輪の回転数比に基づいて後輪のスリッ
プを検出し、該スリップの大小関係に比例して上記油圧
多板クラッチのクラッチトルクを可変制御する制御手段
を備えたことを特徴とする。
〔作用〕
請求項1〜請求項3記載の発明では、4輪駆動車のセ
ンターディファレンシャル装置として複合プラネタリギ
ヤ式のセンターディファレンシャル装置を採用するとこ
で、第1,第2のサンギヤと、キャリアに支持されてこれ
らのサンギヤに噛み合う第1,第2のピニオンとの4つの
歯車要素の噛み合いピッチ円半径により前後輪の基準ト
ルク配分が決定され、前後輪の基準トルク配分の自由度
が増大する。
そして、このセンターディファレンシャル装置を構成
する第1のサンギヤと第2のサンギヤ、これらサンギヤ
に噛み合う第1のピニオンと第2のピニオンとを軸方向
に近接配置することが可能となる。また、これらの歯車
要素に軸方向に近接してキャリア及び差動制限を行う油
圧多板クラッチを配置することができるため、或いは、
これらの歯車要素に軸方向に近接してキャリア、差動制
限を行う油圧多板クラッチを順に配置することができる
ため、油圧多板クラッチを含むセンターディファレンシ
ャル装置が、径方向は勿論のこと、軸方向に非常にコン
パクトに実現される。また、第1,第2のピニオンを枢支
するキャリアを変速機出力軸に回転自在に軸支し、変速
機出力軸に平行に配置された前輪側駆動軸と上記キャリ
アとを伝動構成するため、キャリアから前輪側伝達軸へ
の動力伝達を変速機出力軸側で行うことが可能となり、
変速機出力軸に平行に配置される前輪側伝達軸の軸長が
短縮される。従って、センターディファレンシャル装置
の軸方向のコンパクト化と相まって前輪側伝達軸の軸長
の短縮により、センターディファレンシャル装置を含む
ミッション系の全長をコンパクト化することが可能とな
る。
また、変速機出力軸に固設された第1のサンギヤに対
して、後輪側伝達軸に固設された第2のサンギヤの噛み
合いピッチ半径を小さく設定し、第2のサンギヤから後
輪側伝達軸に動力伝達すると共に、これら第1,第2のサ
ンギヤに噛み合う第1,第2のピニオンを枢支するキャリ
アを前輪側伝達軸に伝動構成することで、4輪駆動車の
前後輪トルク配分は、通常時にセンターディファレンシ
ャル装置に差動制限トルクを付与しない状態で充分に後
輪偏重になり、自由に旋回可能で、アンダーステア気味
の良好な操縦性を発揮し、常に後輪を先にスリップさせ
る4輪駆動走行となる。
そして、請求項4記載の発明では、前・後輪の回転数
比に基づき後輪のスリップを検出し、このスリップの大
小関係に比例して上記油圧多板クラッチのクラッチトル
クを可変制御することで、後輪のスリップが生じたとき
には、後輪スリップを回避すべく幅広く迅速に前後輪に
対するトルク配分を制御することが可能となり、後輪ス
リップの大小に応じた最適なクラッチトルクが即座に得
られる。そのスリップの大小関係に比例して油圧多板ク
ラッチに差動制限トルクを生じさせて、そのクラッチト
ルク分を後輪側伝達軸から前輪側伝達軸に伝達し、また
は、変速機出力軸から前輪側伝達軸に差動制限トルクを
伝達することで、直ちに前輪側トルク配分が増加して後
輪スリップが解消すると共に駆動力が確保され、走破性
が向上する。
〔実 施 例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図において、本発明が適用される縦置きトランス
アクスル型の駆動系について述べると、トルクコンバー
タケース1,ディファレンシャルケース2の後部にトラン
スミッションケース3が接合し、トランスミッションケ
ース3の後部にトランスファケース4が接合し、トラン
スミッションケース3の下部にはオイルパン5が取付け
られる。符号10はエンジンであり、このエンジン10のク
ランク軸11がトルクコンバータケース1内部のロックア
ップクラッチ12を備えたトルクコンバータ13に連結し、
トルクコンバータ13からの入力軸14がトランスミッショ
ンケース3内部の自動変速機30に入力する。自動変速機
30からの出力軸15は入力軸14と同軸上に出力し、この出
力軸15がトランスファケース4内部のセンターディファ
レンシャル装置50に同軸上に連結する。トランスミッシ
ョンケース3内部において入,出力軸14,15に対しフロ
ントドライブ軸16が平行配置され、このフロントドライ
ブ軸16の後端はセンターディファレンシャル装置50に一
対のリダクションギヤ17,18を介して連結し、フロント
ドライブ軸16の前端はディファレンシャルケース2内部
のフロントディファレンシャル装置19を介して前輪に伝
動構成される。
一方、センターディファレンシャル装置50からリヤド
ライブ軸20に出力し、このリヤドライブ軸20はプロペラ
軸21,リヤディファレンシャル装置22等を介して後輪に
伝動構成される。そしてセンターディファレンシャル装
置50には、湿式多板の油圧多板クラッチ60が設けられ
る。
自動変速機30は、フロントプラネタリギヤ31,リヤプ
ラネタリギヤ32を有し、これらのフロントプラネタリギ
ヤ31,リヤプラネタリギヤ32に対し、ハイクラッチ33,リ
バースクラッチ34,ブレーキバンド35,フォワードクラッ
チ36,オーバランニングクラッチ37,ローアンドリバース
クラッチ38,ワンウエイクラッチ39,40が設けられ、これ
らを選択的に係合することで前進4段後進1段の変速段
を得る。また自動変速機30の前方には、オイルポンプ41
がトルクコンバータのインペラスリーブ13aとドライブ
軸42とを連結して常に駆動するように設けられ、オイル
パン5にはコントロールバルブボデー43が収容される。
そしてコントロールバルブボデー43により上述の各摩擦
要素に給排油し、選択的に係合するようになっている。
第2図(a)において、センターディファレンシャル
装置50の部分について述べる。
先ず、変速機出力軸15とリヤドライブ軸20は、プッシ
ュ23a,スラストベアリング24を介して同軸上に回転自在
に嵌合し、リダクションギヤ17も出力軸15にニードルベ
アリング23を介して同軸上に嵌合しており、これら3者
の間にセンターディファレンシャル装置50が同軸上に設
けられる。センターディファレンシャル装置50は複合プ
ラネタリギヤ式であり、出力軸15に形成される第1のサ
ンギヤ51,それに噛合う第1のピニオン52,リヤドライブ
軸20に形成される第2のサンギヤ53,それに噛合う第2
のピニオン54を有する。第1,第2のピニオン52,54は一
体化しており、リダクションギヤ17に一体形成されるキ
ャリヤ55のピン56にニードルベアリング23を介して軸支
される。そしてリダクションギヤ17を備えたキャリヤ55
の前後がボールベアリング25で軸支されている。
こうして、変速機出力軸15の動力が第1のサンギヤ51
に入力し、第1,第2のピニオン52,54を介してキャリヤ5
5と第2のサンギヤ53とに所定の配分比でトルクが伝達
される。そしてかかるトルクの伝達時に、第1,第2のピ
ニオン52,54の自転と公転とにより、キャリヤ55と第2
のサンギヤ53との回転差を吸収するものである。
ここで、第3図の略図を用いてセンターディファレン
シャル装置50のトルク配分について詳記する。
第1のサンギヤ51の入力トルクをTi、そのかみ合いピ
ッチ半径をrs1、キャリヤ55のフロント側トルクをTF、
第1,第2のピニオン52,54のかみ合いピッチ半径をrp1,r
p2、第2のサンギヤ53のリヤ側トルクをTR、そのかみ
合いピッチ半径をrs2とすると、 Ti=TF+TR (1) rs1+rp1=rs2+rp2 (2) が成立する。また第1のサンギヤ51と第1のピニオン52
との噛合点に作用する接線方向荷重Pは、キャリヤ55に
作用する接線方向荷重P1と、第2のサンギヤ53と第2の
ピニオン54との噛合点に作用する接線方向荷重P2との和
に等しい。
P=Ti/rs1 P1=TF/(rs1+rp1) P2=TR/rs2 Ti/rs1={(TF/(rs1+rp1)}+TR/rs2 (3) (1),(2)式を(3)式に代入して整理すると、 TF=(l−rp1・rs2/rs1・rp2)・Ti TR=(rp1・rs2/rs1・rp2)・Ti となる。このことから、第1,第2のサンギヤ51,53と第
1,第2のピニオン52,54とのかみ合いピッチ半径によ
り、フロント側トルクTFおよびリヤ側トルクTRの基準
トルク配分を自由に設定し得ることがわかる。
ここで、rs1=23.5mm,rp1=16.5mm,rp2=21.2mm,rs2
=18.8mmとすると、 TF=20/53・Ti TR=33/53・Ti になる。従って前後輪トルク配分は、 TF:TR≒38:62 になり、充分に後輪偏重の基準トルク配分に設定し得
る。
第2図(a)において油圧多板クラッチ60について述
べると、ドラム61がキャリヤ55の後端のプレート57に結
合し、ハブ62が第2のサンギヤ53と一体のリヤドライブ
軸20にスプライン結合する。こうして油圧多板クラッチ
60は、第2図(b)に示すようにセンターディファレン
シャル装置50のキャリヤ55の支柱55aと第2のサンギヤ5
3との間にバイパスして、トルク移動とディファレンシ
ャルロック可能に介設される。そして油圧室63の油圧で
ピストン64,ベアリング65,プレッシャプレート66を介
し、ドラム61とハブ62との間のドライブプレート67a,リ
テーニングプレート67b,67c,プレート67を押圧してクラ
ッチトルクを生じるように構成される。
第4図(a)において、油圧多板クラッチ60の油圧お
よび電気制御系について述べる。
符号41はエンジン駆動されるオイルポンプであり、こ
のオイルポンプ41の吐出圧がレギュラレータ弁80で調圧
されてライン圧を生じ、このライン圧が自動変速に用い
られる。またこのライン圧油路81は、クラッチ制御弁8
2,油路83を介して油圧多板クラッチ60の油圧室63に連通
し、油路81は、パイロット弁84,オリフィス85を有する
油路86によりデューティソレノイド弁87,クラッチ制御
弁82の制御側に連通する。そして制御ユニット90のデュ
ーティ信号がデューティソレノイド弁87に入力してデュ
ーティ圧を生じ、このデューティ圧でクラッチ60のクラ
ッチ圧と共にクラッチトルクを可変制御するようになっ
ている。
一方、制御ユニット90の入力信号として、少なくとも
前輪回転数センサ91,後輪回転数センサ92,舵角センサ93
およびシフト位置センサ100を有する。前輪回転数セン
サ91は、第2図(a)のようにフロントドライブ軸16に
固定されたパーキングギヤ91aにピックアップ91bを対向
させて成り、後輪回転数センサ92はリヤドライブ軸20の
パルスギヤ92aにピックアップ92bを対向させて成り、前
輪回転数NFと後輪回転数NRとを検出する。これらの前
輪回転数NF,後輪回転数NRはスリップ率算出部94に入
力するが、TF<TRの基準トルク配分で常に後輪が先に
スリップすることから、スリップ率Sが、S=NF/NR
(S>0)により算出される。このスリップ率Sと舵角
センサ93の舵角とはクラッチ圧設定部95に入力し、マ
ップ設定部65の第5図に示すマップからクラッチ圧Pcを
検索する。ここで、S≧1のノンスリップではクラッチ
圧Pcは低い値に設定されてあり、S<1のスリップ状態
でスリップ率Sの減少に応じてクラッチ圧Pcを増大し、
設定値SI以下ではPmaxに定める。また、舵角の増大
に応じクラッチ圧Pcを減少してタイトコーナブレーキン
グ現象を回避する。このクラッチ圧Pcは、デューティ変
換部97に入力してクラッチ圧Pcに応じたデューティ比D
に変換され、このデューティ信号が出力するものであ
る。
第7図は、制御ユニット90内において行なわれる処理
の流れを示している。上述したように、まず前後輪の回
転数を検出し、前後輪のスリップの有無を演算し、スリ
ップ率が設定値以下ならばスロットル開度,車速,ギヤ
位置,舵角等で予め設定したマップから必要差動制限ト
ルクを検索する。そしてこのクラッチのトルク伝達容量
に対応したデューティ比を選択して、デューティソレノ
イド弁87に出力する。ここで、スリップが設定値以上に
なるとスリップと判断し、スリップ発生時のマップ値を
検索してデューティソレノイド弁87に出力する。
次いで、このように構成された4輪駆動車の作用を、
第6図の特性図を用いて述べる。
先ず、エンジン10の動力はトルクコンバータ13,入力
軸14を介して自動変速機30に入力し、この自動変速機30
で自動的に変速された変速動力が出力軸15からセンター
ディファレンシャル装置50の第1のサンギヤ51に入力す
る。ここで、センターディファレンシャル装置50の各歯
車要素の諸元により例えばTF:TR≒38:62に設定されて
いることで、変速動力の38%のトルクがキャリヤ55と一
体になったリダクションギヤ17に、その62%のトルクが
第2のサンギヤ53に分配して出力される。
一方このとき、前,後輪回転数NF,NRおよび舵角の
信号が制御ユニット90に入力し、スリップ率算出部94で
スリップ率Sが算出されている。そこで乾燥路面でS≧
1のノンスリップ状態では、クラッチ圧設定部95でPcが
低い値に設定され、デューティ比変換部97から例えばデ
ューティ比100%の信号がデューティソレノイド弁87へ
出力する。このためデューティ圧が零になって、クラッ
チ制御弁82は、油路81を閉じて油圧多板クラッチ60をド
レンするように動作するのであり、これにより油圧多板
クラッチ60は解放されてクラッチトルクが零になり、上
述のセンターディファレンシャル装置50をフリーにす
る。
従って、キャリヤ55と一体になったリダクションギヤ
17に出力した38%のトルクは、そのままリダクションギ
ヤ18,フロントドライブ軸18,フロントディファレンシャ
ル装置19を介して前輪に伝達する。また、第2のサンギ
ヤ23に出力した62%のトルクは、リヤドライブ軸20,プ
ロペラ軸21,リヤディファレンシャル装置22を介して後
輪に伝達し、後輪偏重の4輪駆動走行となる。そしてこ
のトルク配分ではアンダーステア気味になることで、操
縦性が良好に確保される。また旋回時には、センターデ
ィファレンシャル装置50が前後輪の回転数差に応じて第
1,第2のピニオン52,54を自転,公転させて回転数差を
完全に吸収することになり、自由に旋回することが可能
になる。
次いで、滑り易い路面走行時には、後輪偏重のトルク
配分により常に後輪が先にスリップし、制御ユニット90
のスリップ率算出部94でスリップ状態に応じたスリップ
率S1(S<1)が算出される。そしてこのスリップ率S1
に応じたクラッチ圧Pc1のデューティ信号がデューティ
ソレノイド弁87に出力してクラッチ制御弁82を動作する
ことで、油圧多板クラッチ60はライン圧を調圧した油圧
が供給されて所定のクラッチトルクTcを生じる。そこで
センターディファレンシャル装置50で、2つの出力要素
のキャリヤ55と第2のサンギヤ53との間に油圧多板クラ
ッチ60を経由した伝動系路がバイパスして形成されるこ
とになり、トルク配分の多い第2のサンギヤ53からクラ
ッチトルクTcの分だけキャリヤ55にトルクがバイパスし
て伝達される。これによりトルク配分は、第6図のよう
にTF:TR=TF1:TRに変化し、後輪トルクは減じてス
リップを生じなくなり、走破性を増大すると共に操縦性
も良好に保つ。
そして上述のスリップ率Sが設定値SI以下になる
と、油圧多板クラッチ60の油圧と共に差動制限トルクが
最大になって、センターディファレンシャル装置50のキ
ャリヤ55と第2のサンギヤ53とを直結する。このためセ
ンターディファレンシャル装置50はディファレンシャル
ロックされ、前後輪の軸重配分に相当したトルク配分の
直結式4輪駆動走行になり、走破性が最大に発揮され
る。こうしてスリップ状態に応じ、それを回避すべく幅
広く前後輪へトルク配分制御されるのである。
また、上述のスリップの発生に伴うトルク配分制御に
おいて、旋回する場合はその舵角により油圧多板クラ
ッチ60の差動制限トルクが減少補正される。このため、
センターディファレンシャル装置50の差動制限は減じて
回転数差を充分に吸収することが可能になり、タイトコ
ーナブレーキング現象が回避され、操縦性が良好に確保
される。
なお、基準トルク配分,スリップ等に対するトルク配
分制御の特性は実施例以外に任意に設定し得る。
以上、本発明の実施例について述べたが、第8図
(a),(b)において油圧多板クラッチ60によるトル
ク配分制御の他の実施例について述べる。
第8図(a)において、センターディファレンシャル
装置50の入力側の変速出力軸15に前輪出力側のリダクシ
ョンギヤ17が遊嵌することから、これらの変速機出力軸
15とリダクションギヤ17との間に油圧他板クラッチ60が
介設される。
これにより、変速機出力軸15からセンターディファレ
ンシャル装置50を介してリダクションギヤ17とリヤドラ
イブ軸20とに至る駆動系に対し、油圧多板クラッチ60の
バイパス系101が各別に構成される。このバイパス系101
では、後輪がスリップするとセンターディファレンシャ
ル装置50内で後輪回転数NR>変速機出力軸15の回転数
>前輪回転数NFの差動機能が成立し、変速機出力軸15
からクラッチトルクTcに応じてリダクションギヤ17に直
接トルクを伝達し、さらに第1のサンギヤ51からは、前
輪側に流れたクラッチトルクTc分を減じたトルクが入力
し、第1のピニオン52,第2のピニオン54,第2のサンギ
ヤ53を介してリヤドライブ軸20にもトルクが伝達するの
であり、この結果、前後輪トルクTF,TRは以下のように
なる。
TF=0.38(Ti−Tc)+Tc TR=0.62(Ti−Tc) 従ってノンスリップ状態では、クラッチトルクTcが零
のためTF:TR=38:62の後輪偏重にトルク配分され、後
輪スリップ発生時にクラッチトルクTcが生じると、この
クラッチトルクTcに応じて入力トルクTiが直接的に前輪
側に伝達する。そしてクラッチトルクTcが大きい程、バ
イパス系101を経由して入力トルクTiが前輪側に流れ、
前輪トルクが積極的に増大制御される。
第8図(b)のものは、上述と同様のセンターディフ
ァレンシャル装置50において、変速機出力軸15が第2の
サンギヤ53側に延長され、この変速機出力軸15と第2の
サンギヤ53との間に油圧多板クラッチ60が介設され、油
圧多板クラッチ60のドラム61を介して第2のサンギヤ53
がリヤドライブ軸20に連結される。従ってこの実施例の
場合も、変速機出力軸15,油圧多板クラッチ60からリヤ
ドライブ軸20と、さらに第2のサンギヤ53,第2のピニ
オン54,キャリヤ55を介してリダクションギヤ17とに至
るバイパス系101が構成され、後輪がスリップすると、
後輪回転数NR>変速機出力軸15の回転数>前輪回転数
NFの差動機能が成立し、前後輪トルクTF,TRは以下の
ようになる。
TF=0.38(Ti−Tc) TR=0.62(Ti−Tc)−Tc こうして、後輪スリップ発生時は、クラッチトルクTc
に応じた差動制限トルクが入力トルクTiに加算されて、
前輪トルクTFが積極的に増大制御されるのである。
なお、上述した実施例は、フロントエンジンの縦置き
トランスアクスルに本発明を適用したものを示すが、FR
方式の4輪駆動車のように前輪へのトルク伝達にトラン
スファギヤ(リダクションギヤ)の代りにスプロケット
とチェーンを設けた構成にも適用でき、また、リヤエン
ジン・リヤドライブ(RR)ベースの4輪駆動車にも本発
明が適用できることは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、
下記の効果を有する。
1).センターディファレンシャル付4輪駆動車におい
て、複合プラネタリギヤ系センターディファレンシャル
装置を採用し、センターディファレンシャル装置におけ
る2つのサンギヤとピニオンとの噛み合いピッチ半径に
より基準トルク配分を決定すると共に、第1のサンギヤ
と第1のピニオンの歯車諸元、及び第2のサンギヤと第
2のピニオンの歯車諸元を変えることで、前・後輪への
基準トルク配分の決定の自由度を増大することができ
る。
2).また、上記センターディファレンシャル装置を変
速機の後部に配置すると共に、このセンターディファレ
ンシャル装置は、変速機出力軸と後輪側伝達軸とを同軸
上に回転自在に嵌合し、変速機出力軸に固設された第1
のサンギヤと、該第1のサンギヤよりも噛み合いピッチ
半径が小さく且つ第1のサンギヤに近接して後輪側伝達
軸に固設された第2のサンギヤと、第1,第2のサンギヤ
とそれぞれ噛合し一体形成された第1,第2のピニオン
と、該ピニオンを枢支すると共に上記変速機出力軸の外
周に回転自在に軸支されるキャリアとからなり、また、
キャリアと後輪側伝達軸との間にセンターディファレン
シャル装置の差動を制限する油圧多板クラッチを上記第
2のピニオンに近接して介設し、該油圧多板クラッチ
は、そのドラムを上記キャリアの後端のプレートに結合
すると共に、ハブを上記後輪側伝達軸に結合するので、
センターディファレンシャル装置を構成する第1のサン
ギヤと第2のサンギヤ、これらサンギヤに噛み合う第1
のピニオンと第2のピニオンとを軸方向に近接配置する
ことが可能となり、また、これらの歯車要素に軸方向に
近接してキャリア及び差動制限を行う油圧多板クラッチ
を配置することができるため、油圧多板クラッチを含む
センターディファレンシャル装置を、径方向は勿論のこ
と、軸方向に非常にコンパクトに実現することができ
る。また、第1,第2のピニオンを枢支するキャリアを変
速機出力軸に回転自在に軸支し、変速機出力軸に平行に
配置された前輪側伝達軸と上記キャリアとを伝動構成す
るので、キャリアから前輪側伝達軸への動力伝達を変速
機出力軸側で行うことが可能となり、変速機出力軸に平
行に配置される前輪側伝達軸の軸長を短縮することがで
きる。その結果、センターディファレンシャル装置の軸
方向のコンパクト化と相まって前輪側伝達軸の軸長の短
縮により、センターディファレンシャル装置を含むミッ
ション系の全長をコンパクト化することができ、特に縦
置きトランスアクスル型において有効である効果を有す
る。
3).また、変速機出力軸に固設された第1のサンギヤ
に対して、後輪側伝達軸に固設された第2のサンギヤの
噛み合いピッチ半径を小さく設定し、第2のサンギヤか
ら後輪側伝達軸に動力伝達すると共に、これら第1,第2
のサンギヤに噛み合う第1,第2のピニオンを枢支するキ
ャリアを前輪側伝達軸に伝動構成するので、センターデ
ィファレンシャル装置による前後輪への基準トルク配分
を充分に後輪偏重に設定することができ、この充分な後
輪偏重の基準トルク配分によって良好な操縦性を確保す
ることが可能となり、前輪に対して常に後輪を先にスリ
ップさせることができる。
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発
明による上記1)及び3)と同様の効果を得ることがで
き、また、上記請求項1記載の発明による上記2)の効
果に代え、下記の効果を有する。
2′).センターディファレンシャル装置を変速機の後
部に配置すると共に、このセンターディファレンシャル
装置は、変速機出力軸と後輪側伝達軸とを同軸上に回転
自在に嵌合し、変速機出力軸に固設された第1のサンギ
ヤと、該第1のサンギヤよりも噛み合いピッチ半径が小
さく且つ第1のサンギヤに近接して後輪側伝達軸に固設
された第2のサンギヤと、第1,第2のサンギヤとそれぞ
れ噛合し一体形成された第1,第2のピニオンと、該ピニ
オンを枢支すると共に上記変速機出力軸の外周に回転自
在に軸支されるキャリアとからなり、また、キャリアと
変速機出力軸との間にセンターディファレンシャル装置
の差動を制限する油圧多板クラッチを介設し、該油圧多
板クラッチは、そのドラムを上記キャリアに結合すると
共に、ハブを上記変速機出力軸に結合するので、センタ
ーディファレンシャル装置を構成する第1のサンギヤと
第2のサンギヤ、これらのサンギヤに噛み合う第1のピ
ニオンと第2のピニオンとを軸方向に近接配置すること
が可能となり、また、これらの歯車要素に軸方向に近接
してキャリア、差動制限を行う油圧多板クラッチを順に
配置することができるため、油圧多板クラッチを含むセ
ンターディファレンシャル装置を、径方向は勿論のこ
と、軸方向に非常にコンパクトに実現することができ
る。また、第1,第2のピニオンを枢支するキャリアを変
速機出力軸に回転自在に軸支し、変速機出力軸に平行に
配置された前輪側伝達軸と上記キャリアとを伝動構成す
るので、キャリアから前輪側伝達軸への動力伝達を変速
機出力軸側で行うことが可能となり、変速機出力軸に平
行に配置される前輪側伝達軸の軸長を短縮することがで
きる。その結果、上記請求項1記載の発明と同様に、セ
ンターディファレンシャル装置の軸方向のコンパクト化
と相まって前輪側伝達軸の軸長の短縮により、センター
ディファレンシャル装置を含むミッション系の全長をコ
ンパクト化することができ、特に縦置きトランスアクス
ル型において有効である効果を有する。
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発
明による上記1)及び3)と同様の効果を得ることがで
き、また、上記各請求項記載の発明による上記2)、
2′)の効果に代え、下記の効果を有する。
2″).センターディファレンシャル装置を変速機の後
部に配置すると共に、このセンターディファレンシャル
装置は、変速機出力軸と後輪側伝達軸とを同軸上に回転
自在に嵌合し、変速機出力軸に固設された第1のサンギ
ヤと、該第1のサンギヤよりも噛み合いピッチ半径が小
さく且つ第1のサンギヤに近接して後輪側伝達軸に固設
された第2のサンギヤと、第1,第2のサンギヤとそれぞ
れ噛合し一体形成された第1,第2のピニオンと、該ピニ
オンを枢支すると共に上記変速機出力軸の外周に回転自
在に軸支されるキャリアとからなり、また、変速機出力
軸と後輪側伝達軸との間にセンターディファレンシャル
装置の差動を制限する油圧多板クラッチを介設し、この
油圧多板クラッチは、そのドラムを上記第2のサンギヤ
に隣接して後輪側伝達軸に結合されると共に、ハブを上
記変速機出力軸に結合するので、センターディファレン
シャル装置を構成する第1のサンギヤと第2のサンギ
ヤ、これらサンギヤに噛み合う第1のピニオンと第2の
ピニオンとを軸方向に近接配置することが可能となり、
また、これらの歯車要素に軸方向に近接してキャリア及
び差動制限を行う油圧多板クラッチを配置することがで
きるため、油圧多板クラッチを含むセンターディファレ
ンシャル装置を、径方向は勿論のこと、軸方向に非常に
コンパクトに実現することができる。また、第1,第2の
ピニオンを枢支するキャリアを変速機出力軸に回転自在
に軸支し、変速機出力軸に平行に配置された前輪側伝達
軸と上記キャリアとを伝動構成するので、キャリアから
前輪側伝達軸への動力伝達を変速機出力軸側で行うこと
が可能となり、変速機出力軸に平行に配置される前輪側
伝達軸の軸長を短縮することができる。
その結果、上記各請求項記載の発明と同様に、センタ
ーディファレンシャル装置の軸方向のコンパクト化と相
まって前輪側伝達軸の軸長の短縮により、センターディ
ファレンシャル装置を含むミッション系の全長をコンパ
クト化することができ、特に縦置きトランスアクスル型
において有効である効果を有する。
請求項4記載の発明によれば、上記各請求項記載の発
明による効果に加え、下記の効果を有する。
4).そして、センターディファレンシャル装置による
基準トルク配分を充分に後輪偏重に設定することを可能
として前輪に対し常に後輪を先にスリップさせることが
できるようにし、これを前提として、前・後輪の回転数
比に基づき後輪のスリップを検出し、このスリップの大
小関係に比例して上記油圧多板クラッテのクラッチトル
クを可変制御するので、後輪のスリップが生じたときに
は、後輪スリップを回避すべく幅広く迅速に前後輪に対
するトルク配分を制御することが可能となる。従って、
後輪スリップの大小に応じた最適なクラッチトルクを即
座に得ることができて、後輪のスリップを迅速に解消す
ることができ、車輌操縦性、車輌安定性、及び走破性を
著しく向上することができる効果を有する。
5).さらに、後輪スリップ時には、後輪スリップの大
小関係に比例したクラッチトルクが設定され、このクラ
ッチトルクによる油圧多板クラッチの作動制限トルクに
応じ後輪トルクが前輪に流れるため、リニアな特性を得
ることができ、これによっても車輌操縦性を著しく向上
することができる。また、後輪スリップの大小関係に比
例したクラッチトルクによって、前輪トルクアップを的
確に行うことが可能となり、センターディファレンシャ
ル装置による前・後輪の差動制限制御の応答性を著しく
向上することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の4輪駆動車の実施例の全体構成図、 第2図(a)は要部の断面図,第2図(b)はキャリヤ
支柱を示す略図、 第3図はセンターディファレンシャル装置の部分の略
図、 第4図は油圧多板クラッチの油圧および電気制御系の回
路図、 第5図はクラッチ圧のマップを示す図、 第6図はトルク配分制御の作用を示す図、 第7図は制御ユニット内の演算処理を示す流れ図、 第8図(a),(b)は油圧多板クラッチによるトルク
配分制御の他の実施例を示すスケルトン図である。 15……出力軸、16……フロントドライブ軸、17,18……
リダクションギヤ、20……リヤドライブ軸、30……自動
変速機、50……センターディファレンシャル装置、60…
…油圧多板クラッチ、101……バイパス系
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−218228(JP,A) 特開 昭53−53836(JP,A) 特開 昭61−184128(JP,A) 特開 昭63−176728(JP,A) 特開 昭63−8026(JP,A) 特開 昭62−289434(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 17/346 - 17/348 F16H 1/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】変速機出力軸に後輪側伝達軸が同軸上に配
    置されると共に、上記変速機出力軸と平行に前輪側伝達
    軸が配置され、変速機出力軸、前輪側伝達軸及び後輪側
    伝達軸の間にセンターディファレンシャル装置が配置さ
    れたセンターディファレンシャル付4輪駆動車におい
    て、 上記センターディファレンシャル装置を変速機の後部に
    配置構成し、 該センターディファレンシャル装置は、上記変速機出力
    軸と後輪側伝達軸とを同軸上に回転自在に嵌合し、変速
    機出力軸に固設された第1のサンギヤと、該第1のサン
    ギヤよりも噛み合いピッチ半径が小さく且つ第1のサン
    ギヤに近接して上記後輪側伝達軸に固設された第2のサ
    ンギヤと、第1,第2のサンギヤとそれぞれ噛合し一体形
    成された第1,第2のピニオンと、該ピニオンを枢支する
    と共に上記変速機出力軸の外周に回転自在に軸支される
    キャリアとからなり、 変速機出力軸の外周に軸支された上記キャリアと前輪側
    伝達軸とを伝達構成し、 さらに、上記キャリアと後輪側伝達軸との間にセンター
    ディファレンシャル装置の差動を制限する油圧多板クラ
    ッチを上記第2のピニオンに近接して介設し、該油圧多
    板クラッチは、そのドラムが上記キャリアの後端のブレ
    ートに結合されると共に、ハブが上記後輪側伝達軸に結
    合されることを特徴とする4輪駆動車のトルク配分制御
    装置。
  2. 【請求項2】変速機出力軸に後輪側伝達軸が同軸上に配
    置されると共に、上記変速機出力軸と平行に前輪側伝達
    軸が配置され、変速機出力軸、前輪側伝達軸及び後輪側
    伝達軸の間にセンターディファレンシャル装置が配置さ
    れたセンターディファレンシャル付4輪駆動車におい
    て、 上記センターディファレンシャル装置を変速機の後部に
    配置構成し、 該センターディファレンシャル装置は、上記変速機出力
    軸と後輪側伝達軸とを同軸上に回転自在に嵌合し、変速
    機出力軸に固設された第1のサンギヤと、該第1のサン
    ギヤよりも噛み合いピッチ半径が小さく且つ第1のサン
    ギヤに近接して上記後輪側伝達軸に固設された第2のサ
    ンギヤと、第1,第2のサンギヤとそれぞれ噛合し一体形
    成された第1,第2のピニオンと、該ピニオンを枢支する
    と共に上記変速機出力軸の外周に回転自在に軸支される
    キャリアとからなり、 変速機出力軸の外周に軸支された上記キャリアと前輪側
    伝達軸とを伝達構成し、 さらに、上記キャリアと変速機出力軸との間にセンター
    ディファレンシャル装置の差動を制限する油圧多板クラ
    ッチを介設し、該油圧多板クラッチは、そのドラムが上
    記キャリアに結合されると共に、ハブが上記変速機出力
    軸に結合されることを特徴とする4輪駆動車のトルク配
    分制御装置。
  3. 【請求項3】変速機出力軸に後輪側伝達軸が同軸上に配
    置されると共に、上記変速機出力軸と平行に前輪側伝達
    軸が配置され、変速機出力軸、前輪側伝達軸及び後輪側
    伝達軸の間にセンターディファレンシャル装置が配置さ
    れたセンターディファレンシャル付4輪駆動車におい
    て、 上記センターディファレンシャル装置を変速機の後部に
    配置構成し、 該センターディファレンシャル装置は、上記変速機出力
    軸と後輪側伝達軸とを同軸上に回転自在に嵌合し、変速
    機出力軸に固設された第1のサンギヤと、該第1のサン
    ギヤよりも噛み合いピッチ半径が小さく且つ第1のサン
    ギヤに近接して上記後輪側伝達軸に固設された第2のサ
    ンギヤと、第1,第2のサンギヤとそれぞれ噛合し一体形
    成された第1,第2のピニオンと、該ピニオンを枢支する
    と共に上記変速機出力軸の外周に回転自在に軸支される
    キャリアとからなり、 変速機出力軸の外周に軸支された上記キャリアと前輪側
    伝達軸とを伝達構成し、 さらに、上記変速機出力軸と後輪側伝達軸との間にセン
    ターディファレンシャル装置の差動を制限する油圧多板
    クラッチを介設し、該油圧多板クラッチは、そのドラム
    が上記第2のサンギヤに隣接して後輪側伝達軸に結合さ
    れると共に、ハブが上記変速機出力軸に結合されること
    を特徴とする4輪駆動車のトルク配分制御装置。
  4. 【請求項4】更に、前・後輪の回転数比に基づいて後輪
    のスリップを検出し、該スリップの大小関係に比例して
    上記油圧多板クラッチのクラッチトルクを可変制御する
    制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求
    項3記載の4輪駆動車のトルク配分制御装置。
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