JP2528003B2 - 4輪駆動車の動力配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の動力配分制御装置

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JP2528003B2 JP27459489A JP27459489A JP2528003B2 JP 2528003 B2 JP2528003 B2 JP 2528003B2 JP 27459489 A JP27459489 A JP 27459489A JP 27459489 A JP27459489 A JP 27459489A JP 2528003 B2 JP2528003 B2 JP 2528003B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、複合プラネタリギヤ式センターディファレ
ンシャル装置を備えた4輪駆動車において、前後輪への
動力配分制御装置に関し、詳しくは、センターディファ
レンシャル装置による前後輪の基準トルク配分比を複数
設けるものに関する。
〔従来の技術〕 一般に4輪駆動車の前後輪の基準トルク配分は、駆動
力が最大に発揮されるように加速時の重心移動を加味し
た動的重量配分により比例して設定される。このため、
フロントエンジン・フロントドライブ(FF)ベースでは
前輪トルクTFと後輪トルクTRとが、TF:TR≒50:50に
設定され、フロントエンジン・リヤドライブ(FR)ベー
スではTF:TR≒40:60に設定される。またセンターディ
ファレンシャル装置は、これらの基準トルク配分の状態
により等分の場合はベベルギヤ式が、不等分の場合はシ
ンプルプラネタリギヤ式等が選択される。
ここでトルク配分が等分なセンターディファレンシャ
ル付4輪駆動車では、悪路での走破性が最大に発揮され
る。しかし、低μ路等の悪路で容易にスリップが発生
し、このスリップ発生時にセンターディファレンシャル
装置に差動制限機能を追加すると、駆動力は確かに向上
するが、操縦性は特に向上するわけでなく、4輪のスリ
ップ発生条件が同一のため、高速旋回時等において4輪
が同時にスリップして操縦困難になる場合もある。そこ
でかかるスリップ状態でも操縦安定性を確保するには、
シンプルプラネタリギヤ式センターディファレンシャル
装置を使用し、後輪偏重に基準トルク配分を設定する。
これにより、常に後輪を先にスリップさせ、ドライバの
アクセス操作で後輪にパワースライドを発生させ、車両
のテールを流しながら操縦する。
そこで従来、上記プラネタリギヤ式センターディファ
レンシャル装置を備えた4輪駆動車に関しては、例えば
特開昭63−176728号公報の先行技術がある。ここで、シ
ンプルプラネタリギヤのセンターディファレンシャル装
置を有し、変速出力をキャリヤに入力し、サンギヤとリ
ングギヤの一方から前輪に、他方から後輪にそれぞれト
ルクを、サンギヤとリングギヤのピッチ円径の違いに応
じ不等配分して分配する。また、サンギヤ,リングギヤ
およびキャリヤのいずれかの2つの要素の間に差動制限
用油圧多板クラッチを配設することが示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上記先行技術のものにあっては、シンプル
プラネタリギヤ式のセンターディファレンシャル装置で
あるため、基準トルク配分比はサンギヤとリングギヤと
の噛合いピッチ円径の比のみで決定され、これ以外の自
由度がない。また、変速機出力とリヤドライブ軸とが同
軸の駆動系に配置されると、サンギヤの内側に変速機出
力軸が挿通されるため、サンギヤのサイズ減少に限界が
ある。一方、リングギヤのサイズの増大はトランスファ
全体の大型化,車室内居住性の悪化を招いて限界があ
る。従って、サンギヤとリングギヤとの噛合いピッチ円
径比によるトルク配分比は、周囲の制約から設定範囲に
自由度がない。このため、後輪への駆動トルク配分を大
きくしたり、または前後輪のトルク配分を等配分に近く
設定することが難しい。更に、FFベースまたはFRベース
の4輪駆動のように前後輪重量配分の異なる種々の車両
に適応した場合に、後輪偏重のトルク配分に設定しにく
いため、トルク配分制御の効果を発揮できない。
更に、基準トルク配分を後輪側に大きく設定しにくい
ため、油圧多板クラッチによるトルク配分制御において
制御域が狭く、走破性,操縦性を適正化し難い等の問題
がある。
このことから、センターディファレンシャル装置では
周囲の制約を受けることなく、基準トルク配分の決定自
由度を増し、充分に後輪偏重の基準トルク配分比に設定
可能にすることが望まれる。また、後輪偏重の度合によ
りアンダーステアまたはオーバステア気味になり、安定
性,回頭性,操舵感等の性能が変化するが、基準トルク
配分比が1つの場合は1種類の設定しか得られず、種々
の路面や道路の状況,走行状態に対し最適化し難い。こ
のため、基準トルク配分比を複数設け、種々の走行条件
に対して適した性能を発揮することが望まれる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、複合プラネタリギヤ式センターディ
ファレンシャル装置により後輪偏重の基準トルク配分比
を複数設け、種々の条件で切換えることが可能な4輪駆
動車の動力配分制御装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、各々の基準
トルク配分比において、後輪偏重のトルク配分と直結式
4輪駆動状態のトルク配分との間で、スリップ等の状態
に応じて差動制限機能を適正に可変制御することが可能
な4輪駆動車の動力配分制御装置を提供することにあ
る。
更に、本発明の他の目的とするところは、複合プラネ
タリギヤ構成を利用し、複数の油圧多板クラッチとの組
合わせでコンパクトに構成することが可能な4輪駆動車
の動力配分制御装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明の4輪駆動車の動力
配分制御装置は、入力側サンギヤ,一方の出力側のサン
ギヤを有し、これらサンギヤに一体形成されたピニオン
をそれぞれ噛合せ、他方の出力側のキャリヤで上記ピニ
オンを軸支する複合プラネタリギヤ式センターディファ
レンシャル装置を備えた4輪駆動車において、上記セン
ターディファレンシャル装置の一方の出力側の伝達要素
として互いに噛合うサンギヤとピニオンとを複数列設
け、入力側の列のサンギヤ,ピニオンと一方の出力側の
各列のサンギヤ,ピニオンとの組合わせにより、基準ト
ルク配分を複数有するように構成するものである。
〔作用〕
上記構成に基づき、後輪偏終の基準トルク配分比を定
めると共に、差動機能を備える複合プラネタリギヤ式セ
ンターディファレンシャル装置において、一方の出力側
のサンギヤとピニオンの列を複数追加した簡単な構成
で、後輪偏重の基準トルク配分比が複数得られる。そこ
で、路面や道路の状況,走行状態等により各々の基準ト
ルク配分比を選択することで、回頭性,安定性,操縦
性,操舵感等を最適に発揮することが可能になる。
〔実 施 例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図において、本発明が適用される縦置きトランス
アクスル型の駆動系について述べると、トルクコンバー
タケース1,ディファレンシャルケース2の後部にトラン
スミッションケース3が接合し、トランスミッションケ
ース3の後部にトランスファケース4,インタミディエー
トケース6およびエクステンションケース7が順次接合
し、トランスミッションケース3の下部にはオイルパン
5が取付けられる。符号10はエンジンであり、このエン
ジン10のクランク軸11がトルクコンバータケース1内部
のロックアップクラッチ12を備えたトルクコンバータ13
に連結し、トルクコンバータ13からの入力軸14がトラン
スミッションケース3内部の自動変速機30に入力する。
自動変速機30からの出力軸15は入力軸14と同軸上に出力
し、この出力軸15がトランスファケース4内部のセンタ
ーディファレンシャル装置50に同軸上に連結する。トラ
ンスミッションケース3内部において入,出力軸14,15
に対しフロントドライブ軸16が平行配置され、このフロ
ントドライブ軸16の後端はセンターディファレンシャル
装置50に一対のリダクションギヤ17,18を介して連結
し、フロントドライブ軸16の前端はディファレンシャル
ケース2内部のフロントディファレンシャル装置19を介
して前輪に伝動構成される。
一方、センターディファレンシャル装置50の後部のイ
ンタミディエートケース6の内部には油圧多板クラッチ
装置70が設けられて、センターディファレンシャル装置
50の動作を切換制御して動力を出力し、更に差動制限作
用するようになっている。そしてこの油圧多板クラッチ
装置70からはリヤドライブ軸20が出力し、このリヤドラ
イブ軸20はプロペラ軸21,リヤディファレンシャル装置2
2等を介して後輪に伝動構成される。
自動変速機30は、フロントプラネタリギヤ31,リヤプ
ラネタリギヤ32を有し、これらのフロントプラネタリギ
ヤ31,リヤプラネタリギヤ32に対し、ハイクラッチ33,リ
バースクラッチ34,ブレーキバンド35,フォワードクラッ
チ36,オーバランニングクラッチ37,ローアンドリバース
クラッチ38,ワンウエイクラッチ39,40が設けられ、これ
らを選択的に係合することで前進4段後進1段の変速段
を得る。また自動変速機30の前方には、オイルポンプ41
がトルクコンバータのインペラスリーブ13aとドライブ
軸42とを連結して常に駆動するように設けられ、オイル
パン5にはコントロールバイブボデー43が収容される。
そしてコントロールバルブボデー43により上述の各摩擦
要素に給排油し、選択的に係合するようになっている。
第2図において、センターディファレンシャル装置50
と油圧多板クラッチ装置70の部分について述べる。
センターディファレンシャル装置50は、変速機出力軸
15の端部の内側に第1の中間軸51がブッシュ23,スラス
トワッシャ24を介して同軸上に嵌合し、第1の中間軸51
の後部の外側に第2の中間軸52がブッシュ23を介して同
軸上に嵌合して配置される。そして出力軸15には入力サ
ンギヤ53が、第1,第2の中間軸51,52には第1,第2のリ
ヤサンギヤ54,55が形成され、これら入力サンギヤ53と
第1,第2のリヤサンギヤ54,55とが一直線上に近接して
配列される。また、ピニオン部材56には第1ないし第3
のピニオン57ないし59が形成され、第1のピニオン57は
入力サンギヤ53に、第2のピニオン58は第1のリヤサン
ギヤ54に、第3のピニオン59は第2のリヤサンギヤ55に
それぞれ噛合い、3列噛合い構造になっている。
一方、リダクションギヤ17は、変速機出力軸15の入力
サンギヤ53の直前方にブッシュ23,スラストベアリング2
5を介して回転自在に嵌合し、これらリダクションギヤ1
7,変速機出力軸15が、トランスミッションケース3に対
しボールベアリング26で支持される。そこでキャリヤ60
が、このリダクションギヤ17に一体化してピニオン領域
に装架され、キャリヤ60の後端の支持プレート61は、ベ
アリング27を介して第2の中間軸52に嵌合すると共に、
トランスファケース4に対しボールベアリング26で支持
されている。そしてキャリヤ60と一体のリダクションギ
ヤ17と支持プレート61との間に、ピニオン軸62が両持ち
で取付けられ、このピニオン軸62にピニオン部材56がニ
ードルベアリング28を介して回転自在に嵌合する。こう
してリングギヤが無く、リヤ側に2組のギヤ列を有する
複合プラネタリギヤを成す。
次いで、油圧多板クラッチ装置70について述べると、
インタミディエートケース6の内部に基準トルク配分比
切換用の2組の第1,第2の油圧多板クラッチ71,72と差
動制限用の第3の油圧多板クラッチ73とが収容設置され
ている。第1の油圧多板クラッチ71は、第1中間軸51と
それに同軸上に回転自在に嵌合するリヤドライブ軸20と
の間に介設されるものであり、ドラム71aがインタミデ
ィエートケース6の中心のボス部6aに回転自在に嵌合
し、リヤドライブ軸20のフランジ部20aにスプライン結
合して設置され、ハブ71bが第1中間軸51にスプライン
結合され、これらドラム71aとハブ71bとの間にドライブ
プレートとドリブンプレートからなる摩擦係合プレート
71cが配置される。ドラム71aの内部には油圧室71dとピ
ストン71eとが設けられ、このピストン71eにより上記摩
擦係合プレート71cを一体的にする係合することで、2
列目の第2ピニオン58,第2のリヤサンギヤ54から分割
動力を出力するようになっている。
第2の油圧多板クラッチ72は、第2中間軸52とリヤド
ライブ軸20との間に介設されており、上述の第1の油圧
多板クラッチ71の前方でドラム72aが第2の中間軸52に
一体結合され、ハブ72bがリヤドライブ軸20と一体の上
記第1の油圧多板クラッチ71のドラム71aに連結され、
両者の間にドライブプレートとドリブンプレートからな
る摩擦係合プレート72cが配置される。そしてドラム72a
内部に設けられる油圧室72dのピストン72eで上記摩擦係
合プレート72cを一体的に係合し、3列目の第3のピニ
オン59,第2のリヤサンギヤ55から分割動力を出力する
ようになっている。
第3の油圧多板クラッチ73は、キャリヤ60とリヤドラ
イブ軸20との間に介設されており、ドラム73aがキャリ
ヤ60の支持プレート61に結合し、上記第1の油圧多板ク
ラッチ71のドラム71aの外側に延設されている。ここ
で、ドラム71aはハブを兼ねており、これらドラム73aと
71aとの間にドライブプレートとドリブンプレートから
なる摩擦係合プレート73cが配置される。また、インタ
ミディエートケース6の段部6bに油圧室73dとピストン7
3eとが設けられ、ピストン73eにはレリーズベアリング7
3fを介して押圧プレート73gが取付けられ、押圧プレー
ト73gで上記摩擦係合プレート73cを所定量係合して差動
制限トルクが生じ、この差動制限トルクをバイパスして
タイヤのグリップ限界を越えた駆動輪側からスリップの
生じていない駆動輪側に移動するようになっている。
なお、第2の中間軸52の両側,ハブ71b,リヤドライブ
軸20のフランジ部20a,ボス部6aの間にはスラストベアリ
ング25が設けられて、構成部材を回転自在に軸承してい
る。
潤滑系として、変速機出力軸15,第1の中間軸51の途
中に油路15a,51aが連通して設けられ、トランスミッシ
ョンケース3の油路3aに孔15bを介して連通している。
そして油路51aから孔51bを介してスラストベアリング2
5,1列目のギヤ噛合部等に給油し、孔51cを介してブッシ
ュ23およびスラストベアリング25,2列目および3列目の
ギヤ噛合部等に給油している。
油圧制御系として、第1の油圧多板クラッチ71の油圧
室71dへの油路78がインタミディエートケース6のボス
部6aに設けられる。また、第2の油圧多板クラッチ72の
油圧室72dへの油路79がインタミディエートケース6か
らリヤドライブ軸20,第1の中間軸51の内部を通って設
けられ、第3の油圧多板クラッチ73の油圧室73dへの油
路82がインタミディエートケース6に連設されている。
ここで、第3図の略図を用いてセンターディファレン
シャル装置50のトルク配分について述べる。
先ず、入力サンギヤ53の入力トルクTi、その噛合いピ
ッチ半径rs1、キャリヤ60の前輪トルクTF1,TF、第1,
第2,第3のピニオン57,58,59の噛合いピッチ半径rp1,rp
2,rp3、第1のリヤサンギヤ54の後輪トルクTR1,その噛
合いピッチ半径rs2、第2のリヤサンギヤ55の後輪トル
クTR、その噛合いピッチ半径rs3とすると、 Ti=TF+TR (1) Ti=TF+TR (2) rs1+rp1=rs2+rp2=rs3+rp3 (3) が成立する。
また1列目の入力サンギヤ53と第1のピニオン57との
噛合い点に作用する接線荷重Pは、キャリヤ60に作用す
る前輪トルクTFの接線荷重P1と2列目の第1のリヤ
サンギヤ54と第2のピニオン58との噛合い点に作用する
接線荷重P2との和に等しい。更に、接線荷重Pは、キャ
リヤ60に作用する前輪トルクTFの接線荷重P3と3列
目の第2のリヤサンギヤ55と第3のピニオン59との噛合
い点に作用する接線荷重P4との和に等しい。従って、次
式が成立する。
P=Ti/rs1 P1=TF1/(rs1+rp1) P2=TR1/rs2 P3=TF2/(rs1+rp1) P4=TR2/rs3 Ti/rs1={TF1/(rs1+rp1)}+TR1/rs2 (4) Ti/rs1={TF2/(rs1+rp1)}+TR2/rs3 (5) (1)〜(3)式を(4),(5)式に代入して整理
すると、以下のようになる。
TF=(1−rp1・rs2/rs1・rp2)×Ti TR=(rp1・rs2/rs1・rp2)×Ti TF=(1−rp1・rs3/rs1・rp3)×Ti TR=(rp1・rs3/rs1・rp3)×Ti このことから、2種類の基準トルク配分TF1:TR1,T
F2:TRが得られる。そして入力サンギヤ53,第1,第2の
リヤサンギヤ54,55と第1ないし第3のピニオン57ない
し59との噛合いピッチ半径を選択することで、2つの基
準トルク配分比を自由に設定し得ることがわかる。
ここで、例えばrs1=22.8mm,rp1=17.1mm,rp2=21.8m
m,rs2=18.1mm,rp3=19.95mm,rs3=19.95mmにすると、 TF=0.38Ti,TR≒0.62Ti TF=0.25Ti,TR=0.75Ti になる。従って、前後輪の2つの基準トルク配分比は、
TF1:TR≒38:62,TF2:TR=25:75になり、2つ共に充
分に後輪偏重で、第2のトルク配分比の場合はFRに非常
に近いトルク配分である。
第4図において、油圧制御径および電子制御系につい
て述べる。
符号41はオイルポンプであり、このオイルポンプ41の
吐出圧がレギュレータ弁75で調圧されてライン圧が生
じ、このライン圧が自動変速機の図示しない油圧制御装
置に用いられる。ライン圧油路76は、切換弁77に連通
し、切換弁77から油路78,79を介して第1,第2の油圧多
板クラッチ71,72の油圧室71d,72dに連通する。符号77は
切換弁であり、ソレノイド77aに切換スイッチ80が接続
してあって、切換スイッチ80のオン・オフで切換弁77を
第1,第2の油圧多板クラッチ71,72の一方に給油し、他
方をドレンするように切換動作する構成である。
またライン圧油路76は、クラッチ制御弁81,油路82を
介して第3の油圧多板クラッチ73の油圧室73dに連通
し、更にパイロット弁83を介してデューティソレノイド
弁81に連通する。そしてデューティソレノイド弁84のデ
ューティ圧が、油路85によりクラッチ制御弁81の制御側
に導かれて、第3の油圧多板クラッチ73の差動制限トル
クを可変に制御するようになっている。
一方、制御ユニット90の入力信号として、少なくとも
前輪回転数センサ91,後輪回転数センサ92,舵角センサ93
を有する。前輪回転数センサ91の前輪回転数NF,後輪
回転数センサ92の後輪回転数NRはスリップ率算出部94
に入力するが、TF<TRの基準トルク配分で常に後輪が
先にスリップすることから、スリップ率Sが、S=NF/
NR(S>0)により算出される。このスリップ率Sと舵
角センサ93の舵角とは差動制限トルク設定部95に入力
し、マップ設定部96のマップから差動制限トルクTcを検
索する。ここで、S≧1のノンスリップでは差動制限ト
ルクTcは低い値に設定してあり、S<1のスリップ状態
でスリップ率Sの減少に応じて差動制限トルクTcを増大
し、設定値SI以下ではTmaxに定める。また、舵角の
増大に応じ差動制限トルクTcを減少してタイトコーナブ
レーキング現象を回避する。この差動制限トルクTcは、
デューティ変換部97に入力してデューティ比Dに変換さ
れ、このデューティ信号がデューティソレノイド弁84に
出力するものである。
次いで、かかる構成の4輪駆動車の作用を、第5図の
特性図を用いて述べる。
先ず、エンジン10の動力はトルクコンバータ13,入力
軸14を介して自動変速機30に入力し、自動変速された動
力が変速機出力軸15からセンターディファレンシャル装
置50の入力サンギヤ53に入力する。
ここで、市街地等で安定した走行性能を得る場合は、
切換スイッチ80の操作で切換弁77により第1の油圧多板
クラッチ71に給油して一体的に係合する。すると、セン
ターディファレンシャル装置50の第1のリヤサンギヤ54
が第1の中間軸51,第1の油圧多板クラッチ71を介して
リヤドライブ軸20に連結し、第1のリヤサンギヤ54から
の動力が後輪側に取出されて、第1の基準トルク配分比
をもつモードになる。この第1のモードでは、センター
ディファレンシャル装置50の1列目と2列目の第1,第2
のリヤサンギヤ54,55と第1,第2のピニオン57,58との歯
車諸元により基準トルク配分がTF1:TR≒38:62に設定
されていることで、変速動力の38%がキャリヤ60に、そ
の62%が第1のリヤサンギヤ54に分配して出力される。
そしてキャリヤ60の動力は、リダクションギヤ17,18,フ
ロントドライブ軸16,フロントディファレンシャル装置1
9等を介して前輪に伝達し、第1のリヤサンギヤ54の動
力は、第1の中間軸51,第1の油圧多板クラッチ71,リヤ
ドライブ軸20,プロペラ軸21,リヤディファレンシャル装
置22等を介して後輪に伝達して、4輪駆動走行する。
一方このとき、前,後輪回転数NF,NRおよび舵角の
信号が制御ユニット90に入力し、スリップ率算出部94で
スリップ率Sが算出されている。そこで乾燥路面でS≧
1のノンスリップ状態では、差動制限トルク設定部95で
Tcが低い値に設定され、デューティ比変換部97から例え
ばデューティ比100%の信号がデューティソレノイド弁8
4へ出力する。このためデューティ圧が零になって、ク
ラッチ制御弁81は、油路76を閉じて第3の油圧多板クラ
ッチ73をドレンするように動作するのであり、これによ
り第3の油圧多板クラッチ73は解放されて差動制限トル
クが零になり、上述のセンターディファレンシャル装置
50をフリーにする。
従って前後輪のトルク配分は、第5図の点P1のように
上述の基準トルク配分TF1,TRと同一になる。このト
ルク配分では後輪偏重であるが、前輪寄りであり、アン
ダーテスア気味になって安定性を備えた操縦性等を有す
る。また旋回時には、センターディファレンシャル装置
50が前後輪の回転数差に応じてピニオン部材56を自転,
公転させて回転数差を完全に吸収することになり、自由
に旋回することが可能になる。
次いで、滑り易い路面走行時には、後輪偏重のトルク
配分により常に後輪が先にスリップし、制御ユニット90
のスリップ率算出部94でスリップ状態に応じたスリップ
率S1(S<1)が算出される。そしてこのスリップ率S1
に応じた差動制限トルクTc1のデューティ信号がデュー
ティソレノイド弁84に出力してクラッチ制御弁81を動作
することで、第3の油圧多板クラッチ73はライン圧を調
圧した油圧が供給されて所定の差動制限トルクTc1が生
じる。そこで、センターディファレンシャル装置50で、
2つの出力要素のキャリヤ60と第1のリヤサンギヤ54と
一体のリヤドライブ軸20との間に第3の油圧多板クラッ
チ73を経由した伝動系路がバイパスして形成されること
になり、高回転側のリヤドライブ軸20から差動制限トル
クTc1分だけ低回転側のキャリヤ60にトルクがバイパス
して伝達される。これによりトルク配分は、第5図の制
御ラインlに沿って前輪寄りに変化し、後輪トルクは減
じてスリップを生じなくなり、走破性を増大すると共に
操縦性も良好に保つ。
そして上述のスリップ率Sが設定値SI以下になる
と、第3の油圧多板クラッチ73の油圧と共に差動制限ト
ルクが最大になって、センターディファレンシャル装置
50のキャリヤ60と第1のリヤサンギヤ54とを直結する。
このためセンターディファレンシャル装置50はディファ
レンシャルロックされ、第5図の点P2のように前後輪の
軸重配分に相当したトルク配分の直結式4輪駆動走行に
なり、走破性が最大に発揮される。こうしてスリップ状
態に応じ、後輪偏重のトルク配分と直結式の4輪駆動と
の間でトルク配分が可変に制御されるのである。
次いで、山谷部等で回頭性,操縦性,操舵感を重視し
た性能を得る場合は、スイッチ操作で切換弁77により第
2の油圧多板クラッチ72を給油して係合するように切換
える。すると今度は、センターディファレンシャル装置
50の第2のリヤサンギヤ55が第2の中間軸52,第2の油
圧多板クラッチ72,ドラム71aを介してリヤドライブ軸20
に連結して、第2の基準トルク配分をもつモードにな
る。この第2のモードでは、センターディファレンシャ
ル装置50の3列目の第2のリヤサンギヤ55と第3のピニ
オン59との歯車諸元により基準トルク配分がTF2:TR
=25:75に設定されることで、第5図の点P′のよう
に後輪偏重で更にFRに近いものになる。従ってこの場合
は、オーバステア気味になり、回頭性,操縦性,操舵感
が良好なスポーティな性能を発揮する。
一方、かかる第2のモードでは後輪スリップが生じ易
くなるが、上述と同様にスリップ状態に応じて電子的に
第3の油圧多板クラッチ73で差動制限トルクTcが生じ
る。そしてこの差動制限トルクTcが第5図の制御ライン
l′に沿い前輪にトルクバイパスし、点P2の直結式4輪
駆動の間でトルク配分制御され、同様に後輪スリップを
防止して走破性を確保する。
第6図において、本発明の他の実施例について述べる
と、センターディファレンシャル装置50の第1のリヤサ
ンギヤ54,第2のリヤサンギヤ55が、第1の油圧多板ク
ラッチ71,第2の油圧多板クラッチ72を介してリヤドラ
イブ軸20に連結した構成になっている。また制御系にお
いて制御回路100には、第1のモードスイッチ80a,第2
のモードスイッチ80bおよび直結用スイッチ80cが接続さ
れており、第1,第2の油圧多板クラッチ71,72の油路78,
79に切換弁77a,77bが設けられる。そして第1のモード
スイッチ80aの操作により切換弁77aで第1の油圧多板ク
ラッチ71に給油し、第2のモードスイッチ80bの操作に
より第2の油圧多板クラッチ72に給油し、直結用スイッ
チ80cの操作により2つの切換弁77a,77bで第1,第2の油
圧多板クラッチ71,72に共に給油するようになってい
る。
この実施例により、上述と同様に後輪偏重の第1,第2
のモードが得られる。また第1,第2の油圧多板クラッチ
71,72が給油して係合することで、センターディファレ
ンシャル装置50は一体化して直結式4輪駆動が得られる
ことになる。ところでこの場合は、油圧による差動制限
トルクの可変機構が無いため、例えばセンターディファ
レンシャル装置50に入力トルク比例式の差動制限機能が
機械的に発生するように構成することが望ましい。
以上、本発明の実施例について述べたが、第1と第2
のモードの切換えは、スロットル開度,ギヤ位置,車速
等により走行状態を判断して自動的に行い得る。
また、変速機が手動変速機および無段変速機の場合,
横置きの場合等にも適用し得る。
〔発明の効果〕
以上述べてきたように、本発明によれば、 複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装
置を備えた4輪駆動車において、後輪偏重の基準トルク
配分比をもつモードが複数設けられるため、路面や道路
の状況,走行状態等に対し最適な性能を発揮することが
でき、安定性,回頭性,操縦性,操舵感等も向上する。
さらに、複合プラネタリギヤの構成を利用して油圧多
板クラッチを組合わせた構成であるから、コンパクトな
構造で充分に後輪偏重の複数のモードを得ることができ
る。
また、第1,第2の各モードにおいてスリップ状態に応
じて差動制限機能を可変に制御する機構が付加されるた
め、スリップ防止等を適切に行い得る。
さらにまた、第2の実施例では油圧多板クラッチが2
個ですむので、構造が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の4輪駆動車の動力配分制御装置の実施
例を示すスケルトン図、 第2図はセンターディファレンシャル装置と油圧多板ク
ラッチ装置の部分の拡大断面図、 第3図はトルク配分状態を説明する略図、 第4図は油圧制御と電子制御の回路図、 第5図はトルク配分制御の特性図、 第6図は本発明の他の実施例の構成図である。 50……センターディファレンシャル装置、53……入力サ
ンギヤ、54,55……第1,第2のリヤサンギヤ、57〜59…
…第1〜第3のピニオン、60……キャリヤ、70……油圧
多板クラッチ装置、71〜73……第1〜第3の油圧多板ク
ラッチ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力側サンギヤ,一方の出力側のサンギヤ
    を有し、これらサンギヤに一体形成されたピニオンをそ
    れぞれ噛合せ、他方の出力側のキャリヤで上記ピニオン
    を軸支する複合プラネタリギヤ式センターディファレン
    シャル装置を備えた4輪駆動車において、 上記センターディファレンシャル装置の一方の出力側の
    伝達要素として互いに噛合うサンギヤとピニオンとを複
    数列設け、 入力側の列のサンギヤ,ピニオンと一方の出力側の各列
    のサンギヤ,ピニオンとの組合わせにより、基準トルク
    配分を複数有するように構成することを特徴とする4輪
    駆動車の動力配分制御装置。
  2. 【請求項2】一方の出力側の複数列の各サンギヤを、そ
    れぞれ基準トルク配分比切換用油圧多板クラッチを介し
    て出力軸に連結し、 他方の出力側のキャリヤと上記出力軸との間に差動制限
    用油圧多板クラッチをバイパスして設け、 上記基準トルク配分比切換用油圧多板クラッチを、路面
    状態や走行条件でいずれか1つを係合するように切換動
    作する制御系を備えることを特徴とする請求項(1)記
    載の4輪駆動車の動力配分制御装置。
JP27459489A 1989-10-20 1989-10-20 4輪駆動車の動力配分制御装置 Expired - Fee Related JP2528003B2 (ja)

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