JP2007225073A - 車両のディファレンシャル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向の寸法を小さくできる車両のディファレンシャル装置を提供すること。
【解決手段】駆動源からの駆動力が入力するリングギヤ13とサンギヤ16は軸方向にスライド自在であり、リングギヤ13と、リングギヤ13と噛合するアウターピニオンギヤ14と、アウターピニオンギヤ14と噛合し、サンギヤ16とも噛合するインナーピニオンギヤ15と、サンギヤ16は、ヘリカルギヤである。ピニオンギヤ14,15の軸14A,15Aを支持するキャリア17の支持部17Aは、サンギヤ16の軸方向片側だけに配置された差動制限手段40のクラッチケース41と一体化されており、リングギヤ13とサンギヤ16に互いに逆向きのスラスト荷重が生じることにより、差動制限手段40の摩擦部材42〜47が圧接され、差動制限トルクのための摩擦トルクが生じる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に用いられるプラネタリギヤ式のディファレンシャル装置に係り、前後の車輪の回転数差を吸収するためのセンターディファレンシャル装置や、左右の前輪の回転数差を吸収するためのフロントディファレンシャル装置、左右の後輪の回転数差を吸収するためのリヤディファレンシャル装置として利用できるものである。
四輪駆動車両では、駆動源であるエンジンから出力されて変速機で変速された駆動力をセンターディファレンシャル装置で前輪と後輪に分配するとともに、旋回時等における前後の車輪の回転数差をこのセンターディファレンシャル装置で吸収している。下記の特許文献1のセンターディファレンシャル装置は、サンギヤやピニオンギヤによって構成されている。
また、四輪駆動車両では、前輪と後輪の一方がぬかるみに落ちるなどしてこの一方の車輪の路面抵抗が小さくなった場合に、路面抵抗が小さい車輪が空転して他方の車輪の駆動力が失われるのを防止するために、前輪側となっている第1回転機構の回転部材と後輪側となっている第2回転機構の回転部材との間での差動を制限する差動制限手段(LSD(リミテッド・スリップ・ディファレンシャル))が上記センターディファレンシャル装置に設けられている。下記の特許文献1における差動制限手段は摩擦式であり、この差動制限手段は、上述のサンギヤの軸方向両側に配置されているとともに、駆動源から出力されるトルクに応じて差動制限トルクのための摩擦トルクを発生させるトルク感応型となっている。
特開2004−100832
上述のように、差動制限手段がサンギヤの軸方向両側に配置されていると、それだけセンターディファレンシャル装置全体の軸方向の寸法が大きくなり、これによると、他の部品の配置位置に影響が生じたり、車両全体の小型化の要請に応えることが難しくなる。
本発明の目的は、軸方向の寸法を小さくできるようになる車両のディファレンシャル装置を提供するところにある。
本発明に係る車両のディファレンシャル装置は、駆動源からの駆動力が入力するリングギヤと、このリングギヤの中心部に配置されたサンギヤと、前記リングギヤと噛合するアウターピニオンギヤと、このアウターピニオンギヤと噛合し、前記サンギヤとも噛合するインナーピニオンギヤと、を有し、前記リングギヤと前記サンギヤと前記アウターピニオンギヤと前記インナーピニオンギヤはヘリカルギヤであるとともに、前記リングギヤと前記サンギヤは軸方向にスライド自在となっており、前記サンギヤの軸方向片側に、第1回転機構の回転部材と第2回転機構の回転部材との間での差動を制限する摩擦式の差動制限手段が配置され、この差動制限手段に、前記駆動源からの駆動力が入力した前記リングギヤのスラスト荷重と前記サンギヤのスラスト荷重とが作用することでこの差動制限手段に差動制限トルクのための摩擦トルクが生じることを特徴とするものである。
このディファレンシャル装置では、駆動源からの駆動力がリングギヤに入力すると、リングギヤとサンギヤとアウターピニオンギヤとインナーピニオンギヤはヘリカルギヤであるため、リングギヤとサンギヤは、互いに軸方向反対側へスライドし、これらのスラスト荷重により、差動制限手段に差動制限トルクのための摩擦トルクが発生することになる。
そして、このディファレンシャル装置では、車両の前進時と後進時において、リングギヤとサンギヤのスライド方向は逆となり、これらの前進時と後進時の両方において、差動制限手段に差動制限トルクを発生させることができるため、サンギヤの軸方向片側だけに差動制限手段を配置すればよく、このため、ディファレンシャル装置全体の軸方向の寸法を小さくすることができる。
また、本発明において、ディファレンシャル装置を、アウターピニオンギヤ及びインナーピニオンギヤを回転自在に備えるキャリアを有するものとし、このキャリアにリングギヤのスラスト荷重が作用することにより、差動制限手段に差動制限トルクのための摩擦トルクが生じるようにしてもよい。
このようにするためには、ディファレンシャル装置の差動制限手段を、前記第1回転機構側となっているクラッチケースと、このクラッチケース側の第1摩擦部材と、前記第2回転機構側となっている第2摩擦部材と、を含んで構成されたものとし、クラッチケースの内部に収納されている第1摩擦部材と第2摩擦部材を、キャリアに作用するリングギヤのスラスト荷重とサンギヤのスラスト荷重とによって圧接させるようにする。
そして、一例として、キャリアを、アウターピニオンギヤのピニオン軸とインナーピニオンギヤのピニオン軸とを支持していて軸方向に離れている2個の支持部を有するものとし、これらの支持部のうち、差動制限手段側の支持部をクラッチケースと一体化されたものとすることができる。
このように、キャリアの2個の支持部のうち、差動制限手段側の支持部をクラッチケースと一体化されたものとする場合には、それぞれ別に製造されたクラッチケースとキャリアの支持部とを結合一体化してもよく、あるいは、差動制限手段側の支持部を、クラッチケースを形成する部品の一部として製造してもよい。
後者によると、クラッチケースのための部品を製造する際に、キャリアの一方の支持部も同時に製造できることになり、キャリアの製造の容易化を図ることができるとともに、クラッチケースとキャリアの支持部とを結合一体化するための作業を省略することができる。
また、本発明において、前述した第2回転機構側となっている前記第2摩擦部材には、軸方向にスライド自在に配置され、かつ、サンギヤが差動制限手段側にスライドしたときのこのサンギヤのスラスト荷重を受ける第1スライド摩擦部材を含ませてもよい。
これによると、サンギヤが差動制限手段側にスライドすることによるスラスト荷重が、第2摩擦部材となっている第1スライド摩擦部材に作用することになり、この第1スライド摩擦部材と、クラッチケース側の第1摩擦部材とにより、差動制限手段に差動制限トルクを発生させることができる。
また、第2摩擦部材には、軸方向にスライド自在に配置され、かつ、サンギヤが差動制限手段とは反対側にスライドしたときのこのサンギヤのスラスト荷重を受ける第2スライド摩擦部材を含ませてもよい。
これによると、サンギヤが差動制限手段とは反対側にスライドすることによるスラスト荷重が、第2摩擦部材となっている第2スライド摩擦部材に作用することになり、この第2スライド摩擦部材と、クラッチケース側の第1摩擦部材とにより、差動制限手段に差動制限トルクを発生させることができる。
このように、第2摩擦部材には、軸方向にスライド自在に配置され、かつ、サンギヤが差動制限手段とは反対側にスライドしたときのこのサンギヤのスラスト荷重を受ける第2スライド摩擦部材を含ませる構成とした場合には、一例として、サンギヤと第2スライド摩擦部材を、これらのサンギヤと第2スライド摩擦部材の中心を貫通した軸にスプライン嵌合させ、この軸に、差動制限手段とは反対側へのサンギヤのスライドを止めるためのストップ部材と、第2スライド摩擦部材が係合し、かつ、差動制限手段とは反対側へのサンギヤのスラスト荷重を第2スライド摩擦部材に伝達するための段部とを設けてもよい。
これによると、サンギヤが差動制限手段とは反対側にスライドすることによるスラスト荷重は、上記軸と、この軸に設けられているストップ部材及び段部とを介して第2スライド摩擦部材に伝達されることになる。
また、キャリアの2個の支持部のうち、クラッチケースと一体化されている支持部と、第1スライド摩擦部材との間には、第1摩擦部材を配置し、かつ、この第1摩擦部材を、四輪駆動車両の前輪を回転させるための前記第1回転機構の回転部材とするとともに、第2摩擦部材を、四輪駆動車両の後輪を回転させるための前記第2回転機構の回転部材とし、サンギヤが差動制限手段とは反対側へスライドするときは、四輪駆動車両の前進時とすることが好ましい。
これによると、四輪駆動車両の前進時において、リングギヤは差動制限手段側へスライドするため、クラッチケースと一体化されている支持部と第1スライド摩擦部材との間に配置されている第1摩擦部材を含めた摩擦部材により、差動制限手段に、差動制限トルクのための摩擦トルクを発生させることができ、四輪駆動車両の前進時における前輪と後輪に伝達できるトルクを大きくすることができる。
さらに、サンギヤには、差動制限手段を間に挟んでアウターピニオンギヤ及びインナーピニオンギヤとは軸方向の反対側に配置されていて第2回転機構の回転部材となっているギヤを連結し、このギヤの差動制限手段と対面する側面に軸方向へ窪んだ凹部を形成し、この凹部に、差動制限手段の摩擦部材を押圧するピストンを収納することが好ましい。
これによると、摩擦式の差動制限手段が駆動源からのトルクに応じて差動制限トルクのための摩擦トルクを発生させるトルク感応型となっていて、四輪駆動車両の4つの車輪のうちの1個又は2個がぬかるみ等のために空転したときに、このぬかるみ等から脱出するために、この空転をセンサで検知した電子式油圧装置からの油圧で作動する上記ピストンを差動制限手段と軸方向に隣接させて設け、このピストンによって制限差動手段の摩擦部材を押圧して差動制限トルクのための摩擦トルクを発生させるようにした場合において、このピストンは、上記ギヤの差動制限手段と対面する側面に軸方向へ窪んで形成された凹部に収納されているため、ディファレンシャル装置全体の軸方向寸法を短縮することができる。
また、ピストンは、リングギヤ及びサンギヤと共に差動制限手段を挟んだ位置に配置されるため、これらのピストンとリングギヤ及びサンギヤとで差動制限手段の摩擦部材を確実に押圧することができる。
以上説明した本発明に係る車両のディファレンシャル装置は、前後の車輪の回転数差を吸収するためのセンターディファレンシャル装置としても適用でき、左右の前輪の回転数差を吸収するためのフロントディファレンシャル装置としても適用でき、左右の後輪の回転数差を吸収するためのリヤディファレンシャル装置としても適用できる。
また、本発明に係る車両のディファレンシャル装置を四輪駆動車両のセンターディファレンシャル装置として用いる場合には、すなわち、前記第1回転機構の回転部材を、四輪駆動車両の前輪を回転させるための部材とし、前記第2回転機構の回転部材を、前記四輪駆動車両の後輪を回転させるための部材とする場合には、第2回転機構の回転部材に、ギヤ部が差動制限手段に対してサンギヤとは反対側に配置されているリヤ駆動ギヤを含ませ、このリヤ駆動ギヤを、四輪駆動車両の前進時に差動制限手段とは反対側へのスラスト荷重が生じるヘリカルギヤとするとともに、リヤ駆動ギヤを、差動制限手段及びサンギヤの中心を貫通する筒状中心軸部を有するものとし、この筒状中心軸部に、リヤ駆動ギヤの差動制限手段側へのスラスト荷重をこの差動制限手段に伝達する部分と、サンギヤの差動制限手段とは反対側へのスラスト荷重を受ける部分と、を設けてもよい。
これによると、四輪駆動車両が前進しているときにエンジンブレーキを作動させると、ヘリカルギヤとなっているリヤ駆動ギヤには、後輪側からの逆動トルクによって差動制限手段側へのスラスト荷重が生じ、また、サンギヤには、後輪側からの逆動トルクによって差動制限手段とは反対側へのスラスト荷重が生じる。これらのスラスト荷重は、リヤ駆動ギヤの筒状中心軸部に設けられている上記2個の部分により、合力となって差動制限手段に作用する。また、リングギヤには、サンギヤのスラスト荷重の反力により、差動制限側へのスラスト荷重が生じる。このため、差動制限手段には、大きな摩擦力による摩擦トルクが発生することになり、この差動制限手段のディファレンシャルロック率は大きくなるため、エンジンブレーキを作動させた場合における四輪駆動車両の制動安定性を向上させることができる。
本発明によると、差動制限手段をサンギヤの軸方向片側だけに配置すればよいため、ディファレンシャル装置全体の軸方向の寸法を小さくできるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るセンターディファレンシャル装置が採用された四輪駆動車両の駆動系を示すスケルトン図であり、図2は、プラネタリギヤ式となっているそのセンターディファレンシャル装置の具体的構造を示す正断面図である。図1において、駆動源であるエンジン1の駆動力は、変速機2の出力軸3及びアイドルギヤ4を経てセンターディファレンシャル装置10に入力する。
ディファレンシャル装置10のディファレンシャルケース11は、外周面にアイドルギヤ4と噛合するアウターギヤ部11Aを有し、また、ディファレンシャルケース11は、同軸的に配置されている左前輪5用の左アクスルシャフト12Aと右前輪6用の右アクスルシャフト12Bとを中心に回転自在である。ディファレンシャルケース11の内周面には、リングギヤ13がスプライン嵌合し、このため、リングギヤ13は、ディファレンシャルケース11に対して軸方向にスライド自在となっている。リングギヤ13にはアウターピニオンギヤ14が噛合し、このアウターピニオンギヤ14にはインナーピニオンギヤ15が噛合している。インナーピニオンギヤ15は、リングギヤ13の中心部に配置されたサンギヤ16と噛合している。
ディファレンシャルケース11のアウターギヤ部11Aは直歯で形成されているが、リングギヤ13、アウターピニオンギヤ14、インナーピニオンギヤ15及びサンギヤ16のそれぞれの歯部は、はす歯となっている。このため、リングギヤ13、アウターピニオンギヤ14、インナーピニオンギヤ15及びサンギヤ16は、ヘリカルギヤである。また、図2のS3−S3線断面図である図3に示されているように、それぞれ1個のアウターピニオンギヤ14とインナーピニオンギヤ15からなる1組のダブルピニオンギヤは、サンギヤ16の円周方向に等間隔で3組配設されている。
リングギヤ13、アウターピニオンギヤ14、インナーピニオンギヤ15及びサンギヤ16はヘリカルギヤとなっているため、エンジン1からの駆動力でディファレンシャルケース11及びリングギヤ13が左右のアクスルシャフト12A,12Bを中心に回転したとき、リングギヤ13とサンギヤ16には、互いに軸方向反対側へのスラスト荷重が発生する。このときにおけるアウターピニオンギヤ14とインナーピニオンギヤ15は、アウターピニオンギヤ14にも、インナーピニオンギヤ15にも相殺されるスラスト荷重が作用するため、軸方向にスライドしない。
本実施形態では、リングギヤ13、アウターピニオンギヤ14、インナーピニオンギヤ15及びサンギヤ16のはす歯の向きの設定により、車両を前進させるときのリングギヤ13の回転時には、リングギヤ13には、図1及び図2において、後述する差動制限手段40が配置されている左側へのスラスト荷重が発生し、サンギヤ16には、差動制限手段40の配置側とは反対の右側へのスラスト荷重が発生するようになっており、車両を後進させるときのリングギヤ13の回転時には、リングギヤ13には、図1及び図2において、右側へのスラスト荷重が発生し、サンギヤ16には、左側へのスラスト荷重が発生するようになっている。
図2で示されているように、全部のアウターピニオンギヤ14とインナーピニオンギヤ15は、それぞれのピニオン軸14A,15Aを中心に回転自在となっており、これらのピニオン軸14A,15Aは、キャリヤ17で固定されて支持されている。すなわち、アウターピニオンギヤ14とインナーピニオンギヤ15は、キャリア17で回転自在に保持されている。キャリヤ17は、図2では差動制限手段40と同じ側の左側となっている第1支持部17Aと、右側となっている第2支持部17Bとを有する。
前述した左右のアクスルシャフト12A,12Bはフロントディファレンシャル装置20で接続され、ベベルギヤ式であるこのフロントディファレンシャル装置20は、アクスルシャフト12A,12Bの端部に固定されたサイドギヤ21,22と、ピニオンシャフト23に回転自在に取り付けられ、それぞれがサイドギヤ21,22に噛合しているピニオンギヤ24,25と、を含んで構成され、ピニオンシャフト23は、フロントディファレンシャル装置20のケースにもなっている回転体26に取り付けられている。この回転体26の内部に左右のアクスルシャフト12A,12Bが回転自在に挿通されているとともに、回転体26にキャリヤ17が連結されている。具体的には、回転体26にキャリア17の第2支持部17Bが連結されている。
このため、アウターピニオンギヤ14及びインナーピニオンギヤ15を備えているキャリヤ17のサンギヤ16を中心とする回転は、回転体26を介してピニオンシャフト23に伝達され、さらに、ピニオンシャフト23に取り付けられているピニオンギヤ24,25とサイドギヤ21,22を介した左右のアクスルシャフト12A,12Bの回転で左右の前輪5,6が駆動されるとともに、ピニオンシャフト23を中心とするピニオンギヤ24,25の回転により、旋回時等における左右の前輪5,6の回転数差が吸収される。
以上のキャリヤ17、回転体26、アクスルシャフト12A,12B等は、前輪5,6を駆動させるための第1回転機構を構成する回転部材となっている。
一方、後輪を駆動させるための第2回転機構は、サンギヤ16の中心部に挿入された筒状中心軸部30Aを有するリヤ駆動ギヤ30、及びこのリヤ駆動ギヤ30に噛合しているリヤ従動ギヤ31が含まれる回転部材によって構成されている。本実施形態では、これらのリヤ駆動ギヤ30とリヤ従動ギヤ31のそれぞれの歯は直歯となっており、このため、リヤ駆動ギヤ30とリヤ従動ギヤ31は、平歯車となっている。また、サンギヤ16は、リヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aの外周部にスプライン嵌合されているため、サンギヤ16は軸方向にスライド自在である。また、筒状中心軸部30Aには、サンギヤ16の図1及び図2における右側への所定以上のスライドを止めるためのスナップリングによるストップ部材32が設けられている。
また、リヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aは、図2から分かるように、回転体26の外周に回転自在に配置されているため、左右のアクスルシャフト12A,12Bを中心とするサンギヤ16の回転は、リヤ駆動ギヤ30、リヤ従動ギヤ31、伝動シャフト33、ベベルギヤ34,35及びプロペラシャフト36を介して図示しないベベルギヤ式のリヤディファレンシャル装置に伝達され、このリヤディファレンシャル装置で分配されるトルクにより、図示しない左右の後輪は回転する。
上述したキャリヤ17の第1支持部17Aの側には、言い換えると、アウターピニオンギヤ14及びインナーピニオンギヤ15とリヤ駆動ギヤ30のギヤ部30Bとの間には、湿式の多板摩擦式の差動制限手段40が配置されており、この差動制限手段40を構成する部材にはクラッチケース41が含まれている。図4で説明するように、このクラッチケース41はキャリヤ17の第1支持部17Aと結合一体化されているため、クラッチケース41は、上述した第1回転機構を構成する回転部材になっている。クラッチケース41の内部には、摩擦部材42〜47が収納され、これらの摩擦部材42〜47のうち、第1摩擦部材42,44,46はクラッチケース41に外周部がスプライン嵌合しているため、第1摩擦部材42,44,46は、前輪5,6を回転させるための上記第1回転機構の回転部材となっている。また、第2摩擦部材43,45,47は、上記リヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aに内周部がスプライン嵌合しているため、これらの第2摩擦部材43,45,47は、後輪を回転させるための上記第2回転機構を構成する回転部材となっている。
また、クラッチケース41における前記リヤ駆動ギヤ30のギヤ部30B側の端部には、スナップリングによるストップ部材48が取り付けられ、このストップ部材48により、第1摩擦部材42,44,46のうち、リヤ駆動ギヤ30のギヤ部30Bに最も近いエンドプレートとなっている摩擦部材46についてのギヤ部30B側への移動限位置が規定されている。
さらに、第2摩擦部材43,45,47のうち、第1摩擦部材42と44との間に配置されている摩擦部材43は、リヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aの外周部に嵌合した筒部43Aを有し、この筒部43Aは、サンギヤ16における差動制限手段40側の端面と対面している。そして、この摩擦部材43は、筒部43Aがリヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aで案内されて軸方向にスライドする第1スライド摩擦部材43となっている。また、第2摩擦部材43,45,47のうち、リヤ駆動ギヤ30のギヤ部30Bに最も近いエンドプレートとなっている摩擦部材47は、リヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aで案内されて軸方向にスライドする第2スライド摩擦部材47となっているとともに、この第2スライド摩擦部材47は、サンギヤ16と第2スライド摩擦部材47の中心を貫通しているリヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aに形成されている段部30Cに係合している。
このため、リヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aは、本実施形態において、サンギヤと第2スライド摩擦部材47の中心を貫通した軸となっている。
図4で示されているように、クラッチケース41には、キャリヤ17の前述した2個の第1及び第2支持部17A,17Bのうち、差動制限手段40側の第1支持部17Aが溶接等で結合一体化されている。この第1支持部17Aは、連結部17Cによってキャリヤ17の第2支持部17Bと連結され、これにより、キャリヤ17とクラッチケース41は結合一体化されている。連結部17Cは、第2支持部17Bとなる部材及びクラッチケース41となる部材とは別に予め製造された図4の部材49によって形成されており、この部材49を、第2支持部17Bとなる部材に溶接等で結合した後、部材49を第1支持部17Aとなる部材に締結具17Dで締結することにより、部材49がキャリヤ17の連結部17Cになる。締結具17Dで部材49を第1支持部17Aとなる部材に締結する作業は、クラッチケース41に第1支持部17Aとなる部材を溶接等で結合する前に行ってもよく、結合した後に行ってもよい。
また、図4で示されているように、キャリア17の第1及び第2支持部17A、17Bの互いに向かい合う内面のうち、前述したリングギヤ13の軸方向の両方の端面と対面する部分には、受圧部材50,51が取り付けられており、本実施形態では、第1支持部17Aに取り付けられている受圧部材50は、第1支持部17Aとクラッチケース41とに跨っている。さらに、図2で示されているようにリングギヤ13の軸方向の両方の端面にも、受圧部材52,53が取り付けられている。
図2で示されているとおり、前記リヤ駆動ギヤ30のギヤ部30Bは、差動制限手段40を間に挟んでアウターピニオンギヤ14及びインナーピニオンギヤ15とは軸方向の反対側に配置され、このギヤ部30Bの差動制限手段40と対面する側面に軸方向へ窪んだ凹部61が形成され、この凹部61に、差動制限手段40の摩擦部材47をアウターピニオンギヤ14及びインナーピニオンギヤ15側へ押圧するピストン60が軸方向に移動自在に収納されている。凹部61内のピストン60で区画される室62には、図示しない電子式油圧装置からの圧油が供給されるようになっており、この圧油の供給は、前輪と後輪との回転数差が極めて大きくなったときに、これを検知したセンサからの信号で電子式油圧装置が作動することによって行われる。また、この電子式油圧装置は、必要に応じて車両の発進制御や減速制御、旋回制御等のためにも用いられるものになっている。
リヤ駆動ギヤ30には、ピストン60と差動制限手段40との間において、室62の遠心油圧をキャンセルするためのキャンセラ63が配置され、このキャンセラ63とピストン60との間の室64は、図示しない油室に接続されている。このため、上記電子式油圧装置が作動しない通常時において、リヤ駆動ギヤ30が高速回転し、この高速回転のために、室62内の油及びこの室62に接続されている油圧回路内の油による遠心油圧がピニオン60に作用しても、室64内の油及びこの室64に接続されている油室内の油による遠心油圧が、室62とは反対側からピニオン60に作用するため、ピストン60が差動制限手段40に向かって移動することはない。
図1で示した駆動源であるエンジン1からの駆動力がディファレンシャルケース11へアウターギヤ部11Aから入力すると、前述したように、リングギヤ13、アウターピニオンギヤ14、インナーピニオンギヤ15及びサンギヤ16はヘリカルギヤであるため、リングギヤ13とサンギヤ16には、互いに軸方向反対側へのスラスト荷重が発生し、これらのスラスト荷重の作用方向へリングギヤ13とサンギヤ16はスライドする。車両の前進時と後進時では、リングギヤ13とサンギヤ16に生じるスラスト荷重の向きが反対となる。
本実施形態では、車両の前進時において、リングギヤ13に差動制限手段40側へのスラスト荷重が生じ、このスラスト荷重は、クラッチケース41と結合一体化されているキャリア17の第1支持部17Aに、受圧部材50,52を介して作用する。また、差動制限手段40とは反対側へのサンギヤ16のスラスト荷重は、ストップ部材32を介してリヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aに作用し、この筒状中心軸部30Aの移動により、筒状中心軸部30Aの段部30Cを介して第2スライド摩擦部材47はサンギヤ16側へ押圧される。
このため、車両の前進時には、クラッチケース41の内部に収納されている全部の摩擦部材42〜47が圧接され、これにより、差動制限手段40には、前輪側である第1回転機構の回転部材と後輪側である第2回転機構の回転部材との間での差動を制限する差動制限トルクのための摩擦トルクが発生する。
また、車両の後進時において、リングギヤ13に差動制限手段40とは反対側へのスラスト荷重が生じると、このスラスト荷重は、受圧部材51,53を介してキャリア17の第2支持部17Bと、この第2支持部17Bが連結部17Cで結合されている第1支持部17Aと、この第1支持部17Aが結合一体化されているクラッチケース41と、このクラッチケース41に取り付けられているストップ部材48とに作用する。また、差動制限手段40側へのサンギヤ16のスラスト荷重は、第1スライド摩擦部材43に作用し、第1スライド摩擦部材43はこのスラスト荷重の作用方向に押圧される。
このため、この車両の後進時には、クラッチケース41に内部に収納されている摩擦部材42〜47のうち、摩擦部材43〜46が圧接され、これにより、差動制限手段40には、車両の前進時と同じく、前輪側である第1回転機構の回転部材と後輪側である第2回転機構の回転部材との間での差動を制限する差動制限トルクのための摩擦トルクが発生する。
車両が直進前進走行しているときには、リングギヤ13、アウターピニオンギヤ14、インナーピニオンギヤ15、これらのアウターピニオンギヤ14とインナーピニオンギヤ15を支持しているキャリヤ17、及びサンギヤ16は、差動制限手段40の差動制限トルクにより、一体となって左右のアクスルシャフト12A,12Bを中心に回転するため、言い換えると、アウターピニオンギヤ14及びインナーピニオンギヤ15は、自転しつつサンギヤ16の回りを公転する遊星運動を行わないため、リングギヤ13とキャリア17とサンギヤ16は同じ回転数で回転し、前記第1回転機構と前記第2回転機構とによって駆動力が伝達される前輪と後輪も、同じ回転数で回転している。このとき、差動制限手段40によって前輪と後輪に分配される駆動トルクの割合は、リングギヤ13の半径とサンギヤ16の半径とで決まる。具体的には、前輪駆動トルク:後輪駆動トルク=(リングギヤの半径−サンギヤの半径):(サンギヤの半径)となり、この前後輪トルク配分は、四輪駆動車両を設計する際のコンセプトに応じて任意な値に設定することができ、例えば、(リングギヤの半径−サンギヤの半径):(サンギヤの半径)=1:1とすることにより、前輪と後輪には、エンジン1からリングギヤ13に入力したトルクが半分ずつ分配される。以上は、車両が直進後進走行するときも同じである。
一方、車両の旋回時においては、差動制限手段40は、エンジン1からリングギヤ13に入力する駆動トルクの大きさにより、差動制限トルクの大きさが決まるトルク感応型となっているため、言い換えると、エンジン1からの駆動力がリングギヤ13に入力すると、リングギヤ13とサンギヤ16に上述したスラスト荷重が発生し、これらのスラスト荷重により、差動制限手段40には、エンジン1からの駆動トルクの大きさに応じた差動制限トルクが摩擦トルクによって発生するため、車両の旋回のために前輪よりも回転数が少ない後輪には、駆動トルクが前輪よりも大きい割合で分配される。
例えば、車両の直進時の前後輪トルク配分を、上述のように1:1とし、かつ、差動制限トルクがエンジン1からの全伝達トルクの20%となるように設定した場合には、車両の前進旋回時における前輪駆動トルク:後輪駆動トルク=3:7の割合にすることができ、これにより、運転者は、後輪が駆動輪となっている車両と同様のスポーティーな走行感覚を得ながら、車両を前進旋回させることができる。また、後輪がスリップするような走行条件では、前輪に差動制限トルクが流れ、車両の駆動力が確保される。
なお、前輪と後輪に分配される駆動トルクの割合は、差動制限手段40の差動制限トルクの大きさで決まり、この差動制限トルクは差動制限手段40で生じる摩擦トルクに応じたものとなるため、前輪と後輪に分配される駆動トルクの割合を、差動制限手段40のクラッチケース41の内部に収納する摩擦部材42〜47の個数や有効半径、さらには第1摩擦部材42,44,46と第2摩擦部材43,45,47との間の摩擦係数等を任意に設定することにより、所望の割合にすることができる。
また、本実施形態では、車両の後進時には、上述したように摩擦部材42〜47のうち、摩擦部材43〜46が圧接されるが、車両の前進時には、クラッチケース41と一体化されているキャリア17の第1支持部17Aと、第1スライド摩擦部材43との間に配置されている第1摩擦部材42を含む全部の摩擦部材42〜47が圧接されるため、前進時におけるエンジン1からの駆動トルクを、これらの摩擦部材42〜47の摩擦力によって有効に前輪と後輪に伝達することができる。
また、全部の摩擦部材42〜47のうち、第1摩擦部材42,44,46は、前輪側である第1回転機構の回転部材となっているクラッチケース41にスプライン嵌合しており、このため、第1摩擦部材42,44,46とクラッチケース41との間ですべりは発生せず、また、摩擦部材42〜47のうち、残りの第2摩擦部材43,45,47は、後輪側である第2回転機構の回転部材となっているリヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aにスプライン嵌合しており、このため、第2摩擦部材43,45,47と筒状中心軸部30Aとの間でもすべりは生じない。したがって、エンジン1からの駆動力の全部を前輪と後輪に有効に分配伝達することができる。
また、走行している車両の前輪と後輪の一方が脱輪するなどしてこの一方の車輪が空転し、前輪と後輪の回転数差が極めて大きくなったときには、前述したように、これを検知したセンサからの信号で作動する前記電子式油圧装置によって図2で示されている室62に圧油が供給されるため、ピストン60は差動制限手段40側へ移動する。これにより、摩擦部材47におけるリヤ駆動ギヤ30のギヤ部30B側の面であって、摩擦面となっていない面が押圧されるため、差動制限手段40の全部の摩擦部材42〜47が圧接される。これにより、差動制限手段40には、上述したトルク感応によらない差動制限トルクが発生し、脱輪等していない車輪に伝達される駆動トルクによって、車両は脱輪等の状態から脱出することができる。
このピストン60は、リヤ駆動ギヤ30のギヤ部30Bにおける差動制限手段40と対面する側面に軸方向へ窪んで形成された凹部61に収納されているため、本実施形態に係るディファレンシャル装置10の全体の軸方向寸法を短縮することができる。
また、以上説明した本実施形態によると、車両の前進時と後進時の両方において、前述したように、リングギヤ13とサンギヤ16に、互いに軸方向反対側となったスラスト荷重が発生させることができ、これらのスラスト荷重によって差動制限手段40に差動制限トルクを発生させることができるとともに、この差動制限手段40はサンギヤ16の軸方向片側だけに配置すればよいため、本実施形態に係るセンターディファレンシャル装置全体の軸方向の寸法を小さくでき、車両の小型化に貢献できる。
図5は、クラッチケース41とキャリア17の第1支持部17Aとの一体化に関する別実施形態を示す。この実施形態におけるクラッチケース41とキャリア17の第1支持部17Aは、1個の部品70によって形成されている。すなわち、クラッチケース41を形成している部品70の一部が、キャリア17の第1支持部17Aとなっている。
これによると、クラッチケース41のための部品70を製造する際に、キャリア17の第1支持部17Aも同時に製造できることになり、キャリア17の製造の容易化を図ることができるとともに、クラッチケース41と第1支持部17Aとを結合一体化するための作業を省略することができる。
また、以上説明した実施形態は、車両の前進時において、リングギヤ13には差動制限手段40側へのスラスト荷重が生じ、サンギヤ16には差動制限手段40とは反対側へのスラスト荷重が生じようにするとともに、リヤ駆動ギヤ30とリヤ従動ギヤ31を平歯車とした場合であったが、車両の前進時において、リングギヤ13には差動制限手段40とは反対側へのスラスト荷重が生じ、サンギヤ16には差動制限手段40側へのスラスト荷重が生じるようにするとともに、リヤ駆動ギヤ30のギヤ部30Bとリヤ従動ギヤ31のそれぞれの歯をはす歯とし、これにより、ヘリカルギヤとなっていて、ギヤ部30Bが差動制限手段40に対してサンギヤ16とは反対側に配置されているリヤ駆動ギヤ30には、車両の前進時において、差動制限手段40とは反対側へのスラスト荷重が生じるようにしてもよい。
これによると、車両が前進しているときにエンジンブレーキを作動させた場合において、リヤ駆動ギヤ30には、後輪側からの逆動トルクによって差動制限手段40側へのスラスト荷重が生じることになり、このスラスト荷重は、リヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aに形成されている段部30Cから差動制限手段40の摩擦部材47に作用する。すなわち、この段部30Cは、リヤ駆動ギヤ30の差動制限手段40側へのスラスト荷重を、この差動制限手段40に伝達するためのリヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aにおける部分となっている。また、リヤ駆動ギヤ30と同じく後輪を回転させるための部材となっているサンギヤ16にも、後輪側からの逆動トルクによってリヤ駆動ギヤ30のスラスト荷重と同じ方向へのスラスト荷重が生じることになる。
サンギヤ16の中心には、リヤ駆動ギヤ30のギヤ部30Bから差動制限手段40側へ延びていてこの差動制限手段40の中心を通っているリヤ駆動ギヤ30の筒状中心軸部30Aが貫通し、この筒状中心軸部30Aの先端に、サンギヤ16の差動制限手段40とは反対側への上記スラスト荷重を受けるストップ部材32が設けられているため、言い換えると、このストップ部材32は、サンギヤ16の差動制限手段40とは反対側へのスラスト荷重を受けるための筒状中心軸部30Aの部分となっているため、車両の前進時にエンジンブレーキを作動させたときには、リヤ駆動ギヤ30のスラスト荷重とサンギヤ16のスラスト荷重との合力が、摩擦部材47から差動制限手段40に入力することになる。そして、リングギヤ13には、サンギヤ16の上記スラスト荷重の反力としてのスラスト荷重が、インナーピニオンギヤ15とアウターピニオンギヤ14を介して伝達され、このリングギヤ13のスラスト荷重は、リングギヤ13を差動制限手段40側へスライドさせる荷重であるため、差動制限手段40の全部の摩擦部材42〜47は大きな荷重で圧接され、これらの摩擦部材42〜47に大きな摩擦トルクを発生させることができる。
これによると、車両が前進しているときにエンジンブレーキを作動させた場合において、差動制限手段40に大きな差動制限トルクを発生させることができ、差動制限手段40のディファレンシャルロック率を向上させることができるため、エンジンブレーキを作動させたときにおける車両の制動安定性を高めることができる。
本発明は、例えば、四輪駆動車両のセンターディファレンシャル装置や、フロントディファレンシャル装置、リヤディファレンシャル装置に利用することができる。
本発明の一実施形態に係るセンターディファレンシャル装置が採用された四輪駆動車両の駆動系を示すスケルトン図である。 プラネタリギヤ式となっている図1のセンターディファレンシャル装置の具体的構造を示す正断面図である。 図2のS3−S3線断面図である。 キャリヤの一方の支持部とクラッチケースとの一体化構造を示す断面図である。 キャリヤの一方の支持部とクラッチケースとの一体化構造の別実施形態を示す図4と同様の図である。
符号の説明
1 駆動源であるエンジン
10 センターディファレンシャル装置
11 ディファレンシャルケース
12A,12B 第1回転機構の回転部材である左右前輪の左右アクスルシャフト
13 リングギヤ
14 アウターピニオンギヤ
14A アウターピニオンギヤのピニオン軸
15 インナーピニオンギヤ
15A インナーピニオンギヤのピニオン軸
16 サンギヤ
17 キャリヤ
17A 第1支持部
17B 第2支持部
17C 連結部
20 フロントディファレンシャル装置
30 第2回転機構の回転部材であって、サンギヤと連結されているギヤであるリヤ駆動ギヤ
30A サンギヤと第2スライド摩擦部材の中心を貫通した軸となっている筒状中心軸部
30B リヤ駆動ギヤのギヤ部
30C 段部
40 摩擦式の差動制限手段
41 第1回転機構の回転部材であるクラッチケース
42〜47 摩擦部材
42,44,46 第1摩擦部材
43,45,47 第2摩擦部材
43 第1スライド摩擦部材
47 第2スライド摩擦部材
60 ピストン
61 凹部

Claims (12)

  1. 駆動源からの駆動力が入力するリングギヤと、このリングギヤの中心部に配置されたサンギヤと、前記リングギヤと噛合するアウターピニオンギヤと、このアウターピニオンギヤと噛合し、前記サンギヤとも噛合するインナーピニオンギヤと、を有し、
    前記リングギヤと前記サンギヤと前記アウターピニオンギヤと前記インナーピニオンギヤはヘリカルギヤであるとともに、前記リングギヤと前記サンギヤは軸方向にスライド自在となっており、
    前記サンギヤの軸方向片側に、第1回転機構の回転部材と第2回転機構の回転部材との間での差動を制限する摩擦式の差動制限手段が配置され、この差動制限手段に、前記駆動源からの駆動力が入力した前記リングギヤのスラスト荷重と前記サンギヤのスラスト荷重とが作用することでこの差動制限手段に差動制限トルクのための摩擦トルクが生じることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  2. 請求項1に記載の車両のディファレンシャル装置において、前記アウターピニオンギヤ及び前記インナーピニオンギヤを回転自在に備えているキャリアを有し、このキャリアに前記リングギヤの前記スラスト荷重が作用することによって前記差動制限手段に差動制限トルクのための摩擦トルクが生じることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  3. 請求項2に記載の車両のディファレンシャル装置において、前記差動制限手段は、前記第1回転機構側となっているクラッチケースと、このクラッチケース側の第1摩擦部材と、前記第2回転機構側となっている第2摩擦部材と、を含んで構成されており、前記クラッチケースの内部に収納されている前記第1摩擦部材と前記第2摩擦部材は、前記キャリアに作用する前記リングギヤの前記スラスト荷重と前記サンギヤのスラスト荷重とによって圧接することを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  4. 請求項3に記載の車両のディファレンシャル装置において、前記キャリアは、前記アウターピニオンギヤのピニオン軸と前記インナーピニオンギヤのピニオン軸とを支持していて軸方向に離れている2個の支持部を有し、これらの支持部のうち、前記差動制限手段側の支持部は前記クラッチケースと一体化されていることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  5. 請求項4に記載の車両のディファレンシャル装置において、前記2個の支持部のうち、前記差動制限手段側の支持部は、前記クラッチケースを形成している部品の一部となっていることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の車両のディファレンシャル装置において、前記第2摩擦部材には、軸方向にスライド自在に配置され、かつ、前記サンギヤが前記差動制限手段側にスライドしたときのこのサンギヤのスラスト荷重を受ける第1スライド摩擦部材が含まれていることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載の車両のディファレンシャル装置において、前記第2摩擦部材には、軸方向にスライド自在に配置され、かつ、前記サンギヤが前記差動制限手段とは反対側にスライドしたときのこのサンギヤのスラスト荷重を受ける第2スライド摩擦部材が含まれていることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  8. 請求項7に記載の車両のディファレンシャル装置において、前記サンギヤと前記第2スライド摩擦部材は、これらのサンギヤと第2スライド摩擦部材の中心を貫通した軸にスプライン嵌合し、この軸に、前記差動制限手段とは反対側への前記サンギヤのスライドを止めるためのストップ部材と、前記第2スライド摩擦部材が係合し、かつ、前記差動制限手段とは反対側への前記サンギヤのスラスト荷重を前記第2スライド摩擦部材に伝達するための段部とが設けられていることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  9. 請求項3〜8のいずれかに記載の車両のディファレンシャル装置において、前記キャリアは、前記アウターピニオンギヤのピニオン軸と前記インナーピニオンギヤのピニオン軸とを支持していて軸方向に離れている2個の支持部を有し、これらの支持部のうち、前記差動制限手段側の支持部は前記クラッチケースと一体化され、前記第2摩擦部材には、軸方向にスライド自在に配置され、かつ、前記サンギヤが前記差動制限手段側にスライドしたときのこのサンギヤのスラスト荷重を受ける第1スライド摩擦部材が含まれており、前記クラッチケースと一体化されている支持部と、前記第1スライド摩擦部材との間には、前記第1摩擦部材が配置され、かつ、この第1摩擦部材は、四輪駆動車両の前輪を回転させるための前記第1回転機構の回転部材となっていて、前記第2摩擦部材は、四輪駆動車両の後輪を回転させるための前記第2回転機構の回転部材となっており、前記サンギヤが前記差動制限手段とは反対側へスライドするときは前記四輪駆動車両の前進時であることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の車両のディファレンシャル装置において、前記サンギヤには、前記差動制限手段を間に挟んで前記アウターピニオンギヤ及び前記インナーピニオンギヤとは軸方向の反対側に配置されていて、前記第2回転機構の回転部材となっているギヤが連結され、このギヤの前記差動制限手段と対面する側面に軸方向へ窪んだ凹部が形成され、この凹部に、前記差動制限手段の摩擦部材を押圧するピストンが収納されていることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  11. 請求項1〜8及び10のいずれかに記載の車両のディファレンシャル装置において、前記第1回転機構の回転部材は、四輪駆動車両の前輪を回転させるための部材であり、前記第2回転機構の回転部材は、前記四輪駆動車両の後輪を回転させるための部材であることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
  12. 請求項11に記載の車両のディファレンシャル装置において、前記第2回転機構の回転部材には、ギヤ部が前記差動制限手段に対して前記サンギヤとは反対側に配置されているリヤ駆動ギヤが含まれており、このリヤ駆動ギヤは、前記四輪駆動車両の前進時に前記差動制限手段とは反対側へのスラスト荷重が生じるヘリカルギヤとなっているとともに、前記リヤ駆動ギヤは、前記差動制限手段及び前記サンギヤの中心を貫通する筒状中心軸部を有しており、この筒状中心軸部に、前記リヤ駆動ギヤの前記差動制限手段側へのスラスト荷重をこの差動制限手段に伝達する部分と、前記サンギヤの前記差動制限手段とは反対側へのスラスト荷重を受ける部分と、が設けられていることを特徴とする車両のディファレンシャル装置。
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