JP2009145877A - 磁性トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】使用環境によらず安定した画像濃度が得られ、カブリ等の画像欠陥を起こさない磁性トナーを提供することにある。
【解決手段】結着樹脂、磁性体を含む磁性トナー母体と、無機微粉体を有する磁性トナーであって、
(i)該磁性トナーの平均円形度が0.950以上1.000以下であり、(ii)該磁性トナーの圧縮率が30以下であり、(iii)該磁性トナーが、無機微粉体としてメジアン径(D50)0.5μm以上8.0μm以下の窒化ほう素粒子を磁性トナー母体100質量部あたり0.05質量部以上1.00質量部以下含有していることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法又はトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
乾式現像法の一つであるジャンピング現像法に適用される磁性一成分トナーにおいて、いくつかの方法で円形度を高めたトナーに関する提案がなされている(特許文献1乃至3)。磁性トナーにおいて円形度を高めた場合、高画質化及び転写効率の向上などに効果が見られる一方、いくつかの電子写真特性において以下に述べる弊害も見られるようになる。一つにはトナーの最密充填化が促進されやすくなるため、磁性トナー同士の摺擦や摩擦が高くなり、磁性トナー母体へ後から外添した処理剤がトナーに埋没や脱離をしたり、磁性トナー母体が欠けたりする等のいわゆるトナー劣化という問題が発生しやすくなる。このようなトナー劣化が進むと、帯電量が大きく変化したり、発生した微粉がトナー担持体や規制部材に固着することで生じる帯電不良に伴う画像欠陥が起こりやすくなる。
このような問題点に対して、磁性トナーの流動性を制御することで改善する試みがなされている。例えば凝集度を調整したもの(特許文献4)、トナーの圧縮率を制御したもの(特許文献5)などがあるが、高速機への対応などを考えると画像品質の向上、及び耐久性の改善には未だ課題を残している。
また磁性トナーの円形度を高めた場合の弊害として、電子写真プロセスにおけるクリーニング工程における不具合も生じやすくなる。
クリーニング手段としては、簡単で且つ小型な構成であり、またコスト面からも有利であることから、ゴム弾性材から成るクリーニングブレードを感光体表面に圧接させた構成のブレードクリーニング手段が一般的に用いられている。このブレードクリーニング手段はコストパフォーマンスに優れる反面、感光体表面に対してクリーニングブレードを強く圧接させ摺擦する構成のため、感光体融着を発生し易い。更にはクリーニングブレードと感光体表面との僅かな隙間からトナーがすり抜ける現象であるクリーニング不良を発生し易い。特に円形度を高めた磁性トナーを適用した場合、このような問題が顕著となる。
これらの改良を目的として、磁性トナー中に研磨剤や潤滑剤として無機微粉体を含有させることが提案されている。例えば、導電性酸化亜鉛及び酸化錫を含有させることや、フッ化セリウム或いは、フッ素含有酸化セリウム粒子を含有させることが開示されている(特許文献6乃至9)。しかし、これらの方法では研磨粒子の硬度が一定でないために感光体を不均一に削ってしまう。それにより研磨部分と未研磨部分とで感光体とクリーニングブレード間の摩擦係数が異なることにより、ブレードのめくれ、トナー粒子のすり抜けが発生したりしやすいという傾向があった。更には研磨粒子の粒径が大きく、粒度分布もブロードな場合、感光体表面を均一に研磨するには、トナーに多量に添加する必要があるが、多量に添加すると現像特性(特に飛散や反転カブリ、研磨粒子の蓄積)への問題が発生しやすい等の弊害も大きかった。
特開平10−97095号公報 特開2000−29239号公報 特開2001−235897号公報 特開2003−43738号公報 特開2001−356516号公報 特開昭59−168460号公報 特開昭59−170847号公報 特開平1−204068号公報 特開平8−82949号公報
本発明は、上述のごとき問題点を解決したトナーを提供することにある。
本発明の目的は、使用環境によらず安定した画像濃度が得られ、カブリ等の画像欠陥を起こさない磁性トナーを提供することにある。
本発明の目的は、クリーニング不良や感光体融着といった問題を起こさない磁性トナーを提供することにある。
本発明者らは、磁性トナーの円形度及び圧縮率を規定するとともに、粒径を制御した窒化ほう素を磁性トナー母体に添加することで、高画質化と安定したクリーニング特性を両立できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下の構成のいずれかによって達成される。
(1)結着樹脂、磁性体を少なくとも含む磁性トナー母体と、無機微粉体を有する磁性トナーであって、
(i)該磁性トナーの平均円形度が0.950以上1.000以下であり、
(ii)該磁性トナーの下記式(1)
圧縮率={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100 式(1)
から得られる圧縮率が30以下であり、
(iii)該磁性トナーが、無機微粉体としてメジアン径(D50)0.5μm以上8.0μm以下の窒化ほう素粒子を磁性トナー母体100質量部あたり0.05質量部以上1.00質量部以下含有していることを特徴とする磁性トナー。
(2)該磁性トナーの重量平均粒径(D4)が4.0μm以上9.0μm以下であり、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比が1.25以下であることを特徴とする(1)記載の磁性トナー。
(3)該窒化ほう素粒子のメジアン径(D50)が1.0μm以上6.0μm以下であり、変動係数が70以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁性トナー。
(4)該磁性トナーが、磁性トナー母体と窒化ほう素粒子及び粒径の異なる2種類の無機酸化物を少なくとも含有することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の磁性トナー。
(5)該磁性トナーが、磁性トナー母体と窒化ほう素粒子、及び、比表面積が100乃至300m2/gの疎水性シリカを磁性トナー母体100質量部あたり0.1乃至3質量部と、個数平均粒径が80nm乃至1μmの金属酸化物を磁性トナー母体100質量部あたり0.1乃至3質量部とを少なくとも含有することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の磁性トナー。
(6)該磁性トナーの磁場79.6kA/mで着磁されたときの残留磁化が4.0Am2/kg以下であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の磁性トナー。
磁性トナー母体と外添剤とが改良された本発明によれば、使用環境によらず画像濃度が安定し、鮮鋭な画像を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
磁性一成分トナーを使用したジャンピング現像においては、円形度を高めた磁性トナーを使用する場合、環境変動や繰り返し使用した場合において、高画質化及び安定したクリーニング性の達成には下記点が重要となる。それは現像スリーブ上でのトナーコート量及び帯電量を安定化させること、及び磁性トナーと感光ドラム間での潤滑性を向上させることである。
本発明者らが鋭意検討した結果、この現像スリーブ上でのトナーコート量及び帯電量の安定化、及び、磁性トナーと感光ドラム間での潤滑性向上に対して、磁性トナーの圧縮率を制御するとともに、粒径を制御した窒化ほう素を添加することで両立可能であるとの知見を得、本発明に至った。
まず本発明において、磁性トナーの圧縮率は下記式(1)から求められる。
圧縮率={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100 式(1)
この圧縮率はトナーの見掛け密度及びタップ密度から計算される値であり、見掛け密度とタップ密度の変化率を表す。現像スリーブ近傍において磁性トナーの攪拌状態や現像スリーブへの押圧状態は、環境変化、経時使用に伴うトナー残量等に対応して変動する。特に円形度を高めた磁性トナーの場合、後から外添した処理剤がトナーに埋没や脱離をしたり、磁性トナー母体が欠けたりする等のいわゆるトナー劣化という問題が発生しやすくなる。このためこのような変動に対して現像スリーブ上でのコート量及び帯電量が不安定となりやすい。磁性トナーの圧縮率は、このような変動に対しての現像スリーブ上での磁性トナーのコート量及び帯電量の安定性を図る指標となるものである。
本発明において、磁性トナーの圧縮率を30以下とする必要がある。圧縮率が30より大きくなると、現像スリーブ近傍での状態変化が大きくなり、現像スリーブ上での磁性トナーのコート量及び帯電量が不安定化しやすくなる。具体的にはスリーブ上のコート量が変化することで濃度変動や、カブリなどの画像欠陥が起こりやすくなる。
これらトナーの圧縮率を制御する方法の例としては、下記の(A)乃至(D)の方法が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいが、複数を組み合わせることによって達成しても良い。
(A)磁性トナーの形状(平均円形度)及び表面平滑性を高め、トナー粒子間の接触面積を減少させる方法
(B)磁性トナーの粒度分布を適正化し、微粉及び粗粉量を適正化してパッキング性を制御する方法
(C)磁性トナー表面に表面エネルギー/疎水性/粒径などを適正化した有機及びまたは無機微粒子層を複数種付着させる方法
(D)磁性トナーの磁気特性を適正化し、磁気凝集性を低減させる方法
本発明においては、磁性トナー母体(磁性トナー粒子)に対してメジアン径(D50)が0.5μm以上8.0μm以下である窒化ほう素を磁性トナー母体100質量部あたり0.05質量部以上1.00質量部以下含有するものである。
本発明で使用される窒化ほう素は、六方晶系の結晶構造を有する。この構造は黒鉛と似ており、層間を弱いファンデルワールス力で結合していることから、互いに滑りやすいため潤滑性及び離型性が高い特徴を有する。また黒鉛とは異なり電気抵抗が高い。
このような特性を有する窒化ほう素を、圧縮率を制御した磁性トナー母体表面に固着させることにより、一つにはトナー間凝集力が低減し、耐ストレス性が格段に向上する。また黒鉛とは異なり電気抵抗が高いため、帯電量への影響も少ないためスリーブ上トナー帯電特性を安定化できるものである。また現像スリーブに対する付着性も低減するため、繰り返し使用しても現像スリーブへの汚染を低減することも可能となる。
またクリーニング部ではクリーニング部材と感光体間に介在することで潤滑性を付与し、円形度を高めたトナーを適用した場合でも安定したクリーニングを達成できるものである。また上記の圧縮率を30以下に制御した磁性トナーと組み合わせた場合、トナー間凝集力を常に一定にすることが可能となり、クリーニング特性が飛躍的に向上するものである。
本発明において、窒化ほう素のメジアン径(D50)は0.5μm以上8.0μm以下、好ましくは1.0μm以上6.0μm以下であり、変動係数は70以下である。メジアン径(D50)が0.5μmより小さくなると、潤滑性及び離型性が低下し、現像スリーブへの付着性やクリーニング部での安定性が低下する。また8.0μmより大きくなる、及び変動係数が70より大きくなると、磁性トナー母体から遊離する窒化ほう素の割合が増加し、遊離した窒化ほう素が現像スリーブや感光体自体に付着してしまい、磁性トナーと現像スリーブとの帯電を阻害するようになる。更にはブレードへ付着した部分で潤滑性が変化することで、感光体が局所的に削れるようになり、クリーニング部でのすり抜けなどが発生しやすくなる。
本発明において、窒化ほう素は公知の方法で製造される。例えば(1)ほう酸、無水ほう酸、もしくはホウ砂等をアンモニアガスまたは窒素ガス雰囲気中で加熱する方法、(2)これらのほう酸誘導体とメラミン、尿素、グアニジン等の含窒素化合物とを混合した後、この混合物をアンモニア、窒素、アルゴン、ヘリウム等の還元性ガスまたは不活性ないし非酸化性ガス雰囲気中で加熱する方法などで製造される。本発明においては、得られた粉末を風力分級機などで適宜調整し、本発明の粒径及び粒度分布とすることが好ましい。 本発明では、トナーの平均円形度が0.950以上1.000以下であり、好ましくは0.960以上である。これは一つには磁性トナーにおいて、平均円形度が高いことで現像スリーブ上での帯電量分布が均一化しやすいためである。このため平均円形度がこの範囲より低くなると、画像濃度の低下や画質の低下などの問題を起こしやすくなる。
また、本発明のトナーは、重量平均粒径(D4)が4.0以上9.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径(D4)が9.0μmを超えるような場合、微小ドット画像の再現性が低下する。一方、トナーの重量平均粒径(D4)が4.0μmより小さい場合には、トナーの比表面積が増大し、トナー間凝集力が高くなりすぎるために、濃度薄や画像欠陥等の問題が発生しやすくなる。本発明のトナーにおいて帯電安定性や流動性の改善等の効果がより顕著に現れるのは、重量平均粒径(D4)が4.0μm以上9.0μm以下の場合であり、さらに、より一層の高画質化という点では5.0μm以上8.0μm以下が好ましい。
本発明の磁性トナーは重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比が1.25以下であることが好ましい。1.25より大きくなる、つまりは粒度分布がブロードになると、圧縮率を制御することが難しくなり、現像スリーブ上でのトナー物性が不安定になりやすい。また磁性トナー母体に固着している窒化ほう素の割合も不均一化することで、クリーニング部でのすり抜けや感光体融着を発生しやすくなる。
本発明において、更に磁性トナーの磁気特性を制御することで効果を得られやすくなる。磁場79.6kA/mで着磁したときの残留磁化が4.0Am2/kg以下とすることで、トナーの磁気凝集性を低下することが可能となり、圧縮率を適正化しやすい。
次に本発明におけるトナーの製造方法を説明する。
本発明のトナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。この中で、分散重合法、会合凝集法、懸濁重合法など湿式媒体中でトナーを製造する重合法は、トナー形状及び表面性を制御しやすく、本発明のトナー物性を得やすいため好ましい。特に懸濁重合法は特に好ましい。
製造法の一例として懸濁重合法によるトナーの製造について説明する。懸濁重合法では重合性単量体中に、磁性酸化鉄、着色剤、離型剤、可塑剤、結着剤、荷電制御剤、架橋剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させる。こうして得られた単量体系(単量体組成物)を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。造粒後は通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
懸濁重合法においては、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤が超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛の如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることができる。例えば燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。但し、この塩化ナトリウム塩は重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を単独でまたは2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
また微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50乃至90℃の温度に設定して重合を行うことが好ましい。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90乃至150℃にまで上げることは可能である。
本発明においては、磁性トナーの形状及び表面平滑性を制御するために、得られたトナー粒子を含む重合体分散液に水蒸気を導入することで調整することが好ましい。
本発明に使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドが挙げられる。
これらの重合性単量体は単独または混合して使用し得る。上述の重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの重合性単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明のトナーを重合法で製造する際には、重合反応時に半減期0.5乃至30時間である重合開始剤を、重合性単量体の0.5乃至20質量%の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明では、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001乃至15質量%である。
本発明のトナーで使用される磁性体としては、従来公知の磁性材料が用いられる。磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属あるいはこれらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金;及びこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミニウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。本発明では磁性材料として、少なくとも磁性酸化鉄を含有し、必要に応じて一種又は二種以上の他の金属を任意に選択して使用することが可能である。
このような磁性酸化鉄は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2乃至30m2/g、特に3乃至28m2/gであり、更にモース硬度が5乃至7のものが好ましい。
また、磁性酸化鉄の形状としては、8面体、6面体、球状、針状、鱗片状などがあるが、8面体、6面体、球状、不定形の如き異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった形状は、SEMなどによって確認することができる。
磁性酸化鉄の粒度としては、0.03μm以上の粒径を有する粒子を対象とした粒度の測定において、個数平均粒径が0.1乃至0.3μmであり、かつ0.03乃至0.1μmの粒子が40個数%以下であることが好ましい。
個数平均粒径が0.1μm未満の磁性酸化鉄を用いた磁性トナーから画像を得ると、画像の色味が赤味にシフトし、画像の黒色度が不足したり、ハーフトーン画像ではより赤味が強く感じられる傾向が強くなったりするなど、一般的に好ましいものではない。また、磁性酸化鉄の表面積が増大するために分散性が低下し、製造時に要するエネルギーが増大し、効率的ではない。また、磁性酸化鉄の着色剤としての効果が弱くなり、画像の濃度が不足することもあり、好ましいものではない。
一方、磁性酸化鉄の個数平均粒径が0.3μmを超えると、一粒子あたりの質量が大きくなるため、製造時にバインダーとの比重差の影響でトナー表面に露出する確率が高まったり、製造装置の摩耗などが著しくなる可能性が高まったり、分散物の沈降安定性などが低下するため好ましくない。
またトナー中において、該磁性酸化鉄の0.1μm以下の粒子が40個数%を超えると、磁性酸化鉄微粒子の表面積が増大して分散性が低下し、トナー中にて凝集塊を生じやすくなりトナーの帯電性を損なったり、着色力が低下したりする可能性が高まるため40個数%以下であることが好ましい。さらに30個数%以下とすると、その傾向はより小さくなるため好ましい。
なお0.03μm未満の磁性酸化鉄は、粒子径が小さいことに起因してトナー製造時に受ける応力が小さいため、トナー粒子の表面へ出る確率が低くなる。さらに、仮に粒子表面に露出してもリークサイトとして作用することはほとんど無く実質上問題とならない。そのため、本発明では、0.03μm以上の粒子に注目し、その個数%を定義するものである。
また、本発明においては、磁性酸化鉄微粒子中の0.3μm以上の粒子が10個数%以下であることが好ましい。10個数%を超えると、着色力が低下し、画像濃度が低下する傾向になることに加え、同じ使用量であっても個数的に少ないためにトナー粒子表面の近傍まで存在させること及び各トナー粒子に均一個数を含有させることが確率的に難しくなり、好ましくない。より好ましくは5個数%以下とするのが良い。
これらの磁性酸化鉄の79.58kA/m(1kエルステッド)印加での磁気特性は、抗磁力が1.5kA/m乃至12kA/m、飽和磁化が30乃至120Am2/kg(好ましくは40乃至80Am2/kg)、残留磁化が1乃至10Am2/kgのものが好ましい。なお磁性体の磁気特性は、25℃、外部磁場79.6kA/mの条件下において振動型磁力計、例えばVSM P−1−10(東英工業社製)を用いて測定することができる。
本発明においては、磁性トナーの79.58kA/m(1kエルステッド)印加での残留磁化が4.0Am2/kg以下となるように磁性体の磁気特性及び添加量を調整することが好ましい。
本発明のトナーを重合法に適用する場合には、磁性体として使用される磁性酸化鉄微粒子は、疎水化処理されたものであることが好ましい。この疎水化処理を調整することで、磁性酸化鉄のトナー中での存在状態を厳密にコントロールできる。
磁性酸化鉄表面をカップリング剤等で処理する方法としては、乾式処理と湿式処理の二つがある。本発明ではどちらの方法で行っても良いが、水系媒体中での湿式処理方法は、気相中での乾式処理に比べ、酸化鉄粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性酸化鉄間の帯電反発作用が働き、磁性酸化鉄はほぼ一次粒子の状態でカップリング剤による表面処理されるようになるため好ましい。
本発明において磁性酸化鉄の表面処理に使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(A)
mSiYn (A)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1乃至3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、メタクリル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1乃至3の整数を示す。]
で示されるものである。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランを挙げることができる。
特に、式(B)
p2p+1−Si−(OCq2q+13 (B)
[式中、pは2乃至20の整数を示し、qは1乃至3の整数を示す]
で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して磁性酸化鉄表面を疎水化処理するのが良い。
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難となることがあり、またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性酸化鉄同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性酸化鉄を十分に分散させることが困難となることがある。また、qが3より大きいと、シランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなることがある。
よって、式中のpが2乃至20の整数(より好ましくは、3乃至15の整数)を示し、qが1乃至3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが好ましい。その処理量は処理前の磁性酸化鉄微粒子100質量部に対して、0.05乃至20質量部、好ましくは0.1乃至10質量部とするのが良い。
本発明において、磁性酸化鉄の疎水性を制御する方法として、上記のカップリング剤のpが異なる2種類以上のシランカップリング剤で処理する方法が挙げられる。このカップリング剤の種類及び処理量の割合を適宜調整することで、疎水化処理の程度に分布を有する磁性酸化鉄を得ることが可能となる。
磁性酸化鉄の表面処理として水系媒体中でカップリング剤により処理するには、水系媒体中で適量の磁性酸化鉄及びカップリング剤を撹拌する方法が挙げられる。
水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1乃至5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。
撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、酸化鉄微粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
こうして得られる磁性酸化鉄は表面が均一に疎水化処理されているため、重合性単量体組成物中における分散性が非常に良好であり、磁性酸化鉄の含有率が揃ったトナー母粒子を得ることができるようになる。
本発明のトナーに用いられる磁性酸化鉄は、例えば下記方法で製造される。
硫酸第一鉄水溶液などの第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8乃至10)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行ない、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に、前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6乃至10に維持しつつ空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調整し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に撹拌する。カップリング剤を添加して十分に混合撹拌し、撹拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水化性処理磁性酸化鉄が得られる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄を、乾操せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。
いずれにせよ、水溶液中で生成した未処理の磁性酸化鉄を、乾燥工程を経る前の含水スラリーの状態で疎水化することが好ましい。これは、未処理の磁性酸化鉄をそのまま乾燥してしまうと粒子同士の凝集による合一が避けられず、こういった凝集状態の粉末にたとえ湿式疎水化処理を行っても均一な疎水化処理が難しいためである。
磁性酸化鉄微の製造の際に第一鉄塩水溶液に用いる第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、硫酸第一鉄以外には更に塩化鉄等が可能である。
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法では一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5乃至2mol/リットルの硫酸第一鉄水溶液が用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
本発明においては、このようにして製造された疎水性磁性酸化鉄を使用することが好ましい。
本発明のトナーに用いる磁性酸化鉄は、結着樹脂100質量部に対して、10乃至200質量部用いることが好ましく、より好ましくは20乃至180質量部、更に好ましくは40乃至160質量部である。磁性酸化鉄の配合量が10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難であり、一方、200質量部を超えると、トナー担持体への磁力による保持が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性酸化鉄の均一な分散が難しくなったりするだけでなく、定着性が低下してしまうことがある。
本発明では、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基の如き親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体の如き共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミドの如き重縮合体、ポリエーテル、ポリイミンの如き重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。その使用量としては、重合性単量体100質量部に対して1乃至20質量部が好ましい。使用量が1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えて使用された場合には、重合トナーの種々の物性設計が難しくなってしまう。またこれら極性官能基を含む高分子重合体としては、平均分子量が3000以上のものが好ましく用いられる。分子量3000未満、特に2000以下では、本重合体が表面付近に集中し易いことから、現像性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。また、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることができる。本発明のトナーは、重合性単量体に添加する樹脂としてポリエステル樹脂を添加することが好ましい。
次に本発明のトナーを粉砕法によって製造する場合について説明する。
結着樹脂、磁性体、及び必要に応じて他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により十分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化し、その後、固化物を粉砕し、粉砕物を分級することによりトナー母粒子を得る方法が好ましい。このトナー母粒子と外添剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により必要に応じて十分混合することにより得ることができる。
また本発明のトナーを製造するに当たって、分級はトナー母粒子生成後の任意の時期に行うことができ、例えば外添剤との混合後に分級を行っても良い。
以下にトナー製造用装置として一般的に使用できる装置の例を挙げるが、これらに限定されるものではない。表1にはトナー製造用粉砕装置の例を、表2にはトナー製造用分級装置の例を、表3にはトナー製造用篩装置の例を、表4にはトナー製造用混合装置の例を、表5にはトナー製造用混練装置の例を、それぞれ挙げる。
Figure 2009145877
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本発明においては、粉砕法で得られたトナーの圧縮率を制御するためには、得られた粒子を瞬間的にトナー粒子表面に高温の熱風を吹きつけ、直後に冷風によってトナー粒子を冷却する装置を用いて磁性トナー母体の形状及び表面改質を行う方法が好ましい。このような手法によって磁性トナー母体の表面を改質することは、トナー粒子に過度の熱を加えることがないので原材料成分の変質を防ぎつつトナー粒子の表面改質を行うことができる。また、瞬時に冷却するのでトナー粒子同士が過度に合一して、表面改質前のトナー粒径から大きく変動してしまうことがないので、トナー生産工程においても表面改質後のトナーの物性を制御しやすい。このような装置としては、例えばメテオレインボー(日本ニューマチック工業社製)が挙げられる。
本発明において、粉砕法で製造する場合に使用される結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂成分とスチレン−アクリル系樹脂成分を含むハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられるが、特に限定されず従来公知の樹脂を用いることができる。このうち特に、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂などが定着性などの点で好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂、及びポリエステル樹脂成分のモノマーとしては以下のものが挙げられる。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノ−ルA、また(ア)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(イ)式で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 2009145877
また、全酸成分中50mol%以上を含む2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6乃至18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
またグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、さらには、例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などの多価カルボン酸類等が挙げられる。
スチレン−アクリル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては次のようなものが挙げられる。
スチレン:o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類:ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸無水物;該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
また必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ:エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレー卜類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100重量%に対して、0.01乃至10重量%(さらに好ましくは0.03乃至5重量%)用いることができる。
これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
本発明のスチレン−アクリル系樹脂を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−カーバモイルアゾ−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパ−オキサイドの如きケトンパ−オキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパ−オキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパ−オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパ−オキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパ−オキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロビルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パ−オキシカ−ボネ−ト、アセチルシクロヘキシルスルホニルパ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパ−オキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ−ト、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート,ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
ポリエステル樹脂成分及びスチレン−アクリル系樹脂成分からなるハイブリッド樹脂を合成する場合、上述のポリエステル樹脂成分とスチレン−アクリル系樹脂成分の両方と反応し得るモノマー成分を含むことが必要である。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちスチレン−アクリル系樹脂成分と反応し得るものとしては、例えばフマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。スチレン−アクリル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシル基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
さらに本発明においては、必要に応じて離型剤を含有させることもできる。
本発明のトナーに使用可能な離型剤としては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス等の、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックス等の、脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られる、ヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;炭素数12以上の長鎖アルキルアルコール又は長鎖アルキルカルボン酸;等が挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、アルキレンを高圧化でラジカル重合し、又は低圧化でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したもの;が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、例えば、金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレン等のアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素;が挙げられる。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましく、特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
本発明において離型剤は、離型剤を含有するトナー粒子を示差走査熱量計で測定したときに、得られるDSC曲線において50乃至90℃の領域に吸熱メインピークが現れるようにトナー粒子に含まれていることが、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性の点で好ましい。DSC測定において吸熱が50℃未満の領域に存在すると、ワックス成分の染み出しが起こりやすくなり、保存性が悪化する。一方、吸熱が90℃を超えた領域に存在すると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しやすくなるので好ましくない。さらに、水系媒体中で重合法により直接トナーを得る場合、吸熱領域の温度が高いと、多量に添加する場合、造粒中にワックス成分が析出する等の問題が生じるため好ましくない。
上記吸熱ピーク温度は、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用い、ASTM D3418−82に準じて測定することができ、上記のピークが出現する温度は、融点やガラス転移点、及び重合度等を適切に調整された離型剤を用いることによって調整することが可能である。なお、上記DSC−7は、上記ピーク温度の他、結着樹脂のガラス転移点、軟化点、ワックスの融点等の、トナー粒子やトナー粒子材料の熱的物性を示す温度の測定に適用することができる。
本発明において離型剤として使用できるワックスの具体的な例としては、ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200 (三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)等が挙げられる。
本発明において、上記ワックスは磁性トナー中で融解熱量が8J/g以上となるように添加量を調整する必要がある。具体的にはトナー粒子中で5質量%以上、好ましくは7質量%以上含有させることが好ましい。
本発明のトナーには、帯電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
さらに、直接重合法を用いてトナーを製造する場合には重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料もしくはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、その四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。これらの荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対して0.5乃至10質量部使用することが好ましい。しかしながら、本発明の画像形成方法に関わるトナーは、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層圧規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
より具体的には、負帯電用として、例えばSpilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89 (オリエント化学社)がより好ましいものとして挙げられ、正帯電用として、例えばTP−302、TP−415 (保土谷化学社)、BONTRON(登録商標) N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学社)、コピーブルーPR(クラリアント社)が好ましいものとして挙げられる。
本発明においては、磁性酸化鉄微粒子に着色剤としての機能を兼ねさせても良いが、磁性酸化鉄微粒子以外の他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色材料としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルの如き強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素を加えた合金、ヘマタイト、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニンが挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いても良い。
本発明のトナーは、上述したトナー粒子(トナー母体)に、上記窒化ほう素粒子に加え、トナーの種類に応じた種々の材料を外添して用いられる。外添される材料としては、例えば無機微粉体等のようにトナーの流動性を向上させる流動性向上剤や、金属酸化物微粒子等のようにトナーの帯電性を調整するための導電性微粉体等の外添剤が挙げられる。
上記流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することによりトナーの流動性を向上し得るものが挙げられる。このような流動性向上剤としては、例えば湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ;これらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ;等が挙げられる。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上であることが好ましく、比表面積が50m2/g以上であることがより好ましく、より好ましくは比表面積が100乃至300m2/gの下記に述べる疎水化処理シリカである。流動性向上剤は、流動性向上剤の種類によって異なるが、例えばトナー粒子100質量部に対して0.01乃至5質量部を配合することが好ましく、0.1乃至3質量部を配合することがより好ましい。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。このようなシリカは、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のような式(3)で示されるものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl (3)
この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、本発明で流動性向上剤として利用されるシリカ微粉体はそれらも包含する。その粒径は、平均一次粒径として0.001乃至2μmの範囲内であることが好ましく、特に0.002乃至0.2μmの範囲内であることがより好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下のような商品名で市販されているもの、すなわちAEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84;Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5;Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40;D−C Fine SiliCa(ダウコーニングCO.社);Franso1(Fransil社)等が挙げられる。
本発明では、上記シリカ微粉体は、疎水化処理されていることが好ましい。また上記シリカ微粉体は、メタノール滴定試験によって測定される疎水化度が30乃至80度の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが、トナーの濡れ性を制御する上で特に好ましい。なお上記疎水化度は、水中で攪拌されている所定量のシリカ微粉体にメタノールを滴下し、シリカ微粉体の沈降終了時におけるメタノール及び水の液状混合物中におけるメタノールの百分率として表される。シリカ微粉体の疎水化方法としては、例えばシリカ微粉体と反応し、又はシリカ微粒子に物理吸着する有機ケイ素化合物やシリコーンオイルでシリカ微粒子を化学的に処理する方法が挙げられる。より好ましくは、有機ケイ素化合物による疎水化処理である。ここで、上記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位においてSiに結合する水酸基を有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上の混合物で用いられる。
シリカ微粉体の疎水化処理においては、上記有機ケイ素化合物の中でもさらに窒素原子を有するシランカップリング剤の一種又は二種以上を用いることが可能である。このような含窒素シランカップリング剤としては、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン等が挙げられる。
なお本発明において、好ましいシランカップリング剤としてはヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
またシリカ微粉体の疎水化処理で好ましく使用されるシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5乃至10000mm2/s(センチストークス)であることが好ましく、1乃至1000mm2/sであることがより好ましく、10乃至200mm2/sであることがより一層好ましい。また、特に好ましいシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルを用いるシリカ微粉体の表面疎水化処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解又は分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法;が挙げられる。
シリコーンオイルによってシリカ微粉体の表面疎水化処理を行う場合では、シリコーンオイルの処理後にシリカ微粉体を不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し、表面のコートを安定化させることがより好ましい。
本発明においては、シリカ微粉体の表面疎水化処理に、前述したシランカップリング剤及びシリコーンオイルの両方を用いることが可能である。このような表面疎水化処理方法としては、シリカ微粉体を予めシランカップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、又はシリカ微粉体をシランカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法等が挙げられる。
さらに、本発明中のトナーには、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤を添加してもよい。
例えば、圧縮率を調整する等の目的で、個数平均粒径が30nmを超える微粒子、より好ましくは個数平均粒径が80nm乃至1μmで球状に近い無機微粒子または有機微粒子をさらにトナー母粒子に添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状のシリカ粒子、球状のポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状の樹脂粒子を用いるのが好ましい。
このように粒径の異なる無機微粉体を2種類以上添加することで、磁性トナーの圧縮率を適正化することが行いやすくなり、好ましいものである。
更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;または酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;ケーキング防止剤;または例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量加えることもできる。これらの添加剤も、その表面を疎水化処理して用いることも可能である。
上述の如き外添剤は、磁性トナー母体100質量部に対して0.1乃至3質量部(好ましくは0.1乃至2質量部)使用するのが定着性及び帯電特性の点で好ましい。
本発明における各物性の測定法を以下に詳述する。
(1)トナーの圧縮率の測定方法
本発明の見掛け密度、タップ密度は、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用いて以下の方法で測定する。
直径5.03cm,容積100cm3の円筒容器へ目開き608μm(24メッシュ)の篩いを通して上方から均一に30秒間供給した。この時の供給速度は、30秒間で円筒容器にトナーが充分満たされるように調整した。30秒間供給した直後に円筒容器の上面のトナーをブレードによりすり切り、円筒容器内のトナー質量を測定し、トナー質量÷100から見掛け密度(g/cm3)を得た。この操作を5回行い、平均値を本発明における見掛け密度(g/cm3)とした。
見掛け密度測定後に円筒状のキャップをはめ、この上縁までトナーを加えてタップ高さ1.8cmのタッピングを180回行う。終了後、キャップを外して円筒容器の上面のトナーをブレードによりすり切り、円筒容器内のトナー質量を測定し、トナー質量÷100からタップ密度(g/cm3)を得る。この操作を5回行い、平均値を本発明におけるタップ密度とした。
なお、圧縮率は、圧縮率={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100%から求めた。
(2)窒化ほう素の体積基準のメジアン径(D50)の測定方法
本発明で用いられる窒化ほう素の体積基準のメジアン径(D50)の測定は、JIS Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows(登録商標) WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、予め不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下の通りである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、ファイル「110A000I」(相対屈折率1.10)を選択する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行なった後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行なう。
(7)ガラス製の100ml平底ビーカーに約60mlのイオン交換水を入れる。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)前記(9)のビーカー内の水溶液に超音波を照射した状態で、約1mgの窒化ほう素を少量ずつ前記ビーカー内の水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、この際に窒化ほう素が固まりとなって液面に浮く場合があるが、その場合はビーカーを揺り動かすことで固まりを水中に沈めてから60秒間の超音波分散を行なう。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した窒化ほう素が分散した水溶液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、体積基準のメジアン径(D50)及び変動係数を算出する。
変動係数=〔粒径標準偏差σ/メジアン径(D50)×100(%)〕
(3)トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
(4)トナー平均円形度の測定
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定する。詳細は以下の通りである。
先ず、円形度を次式より算出する。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度は粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度をci、測定粒子数をmとすると、下記式(1)から算出される。
Figure 2009145877
また、円形度標準偏差SDは、平均円形度C、各粒子における円形度ci、測定粒子数をmとすると下記式(2)から算出される。
Figure 2009145877
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約10mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.1ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。超音波分散器としては、発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用いる。尚、超音波分散器の水槽内には、所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールする。また、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmの標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、測定時のトナー粒子濃度が約5000個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整して計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2.00μm以上、40.02μm未満の範囲のトナーの平均円形度を求める。尚、円相当径は、以下のようにして算出される値である。
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来トナーの形状を観察するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μm)及び処理粒子画像の倍率が向上した装置である。また、取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)させた装置であり、トナーの形状測定の精度が向上した装置である。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明を限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
<磁性酸化鉄の製造例1>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0乃至1.1当量の苛性ソーダ溶液(Feに対しP換算で1質量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含有)を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80乃至90℃で酸化反応を行ない、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9乃至1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを約6に調整し、シランカップリング剤として、n−C817Si(OC253を磁性酸化鉄100部に対しそれぞれ2.0部添加し、十分撹拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集している粒子を解砕処理し、磁性酸化鉄1を得た。磁性酸化鉄1の個数平均粒径は0.28μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における飽和磁化及び残留磁化が68.0Am2/kg(emu/g)、3.0Am2/kg(emu/g)であった。
<磁性酸化鉄の製造例2及び3>
表6に示すように、磁性酸化鉄の磁気特性及びシランカップリング剤での表面処理no有無を変更した以外は同様にして、磁性酸化鉄2及び3を得た。
<磁性トナーAの製造>
イオン交換水709部に0.1mol/リットル−Na3PO4水溶液451部を投入し60℃に加温した後、1.0mol/l−CaCl2水溶液67.7部を徐々に添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
一方、下記の処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・飽和ポリエステル樹脂 6部(モノマー構成;ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物/テレフタル酸、酸価; 12mgKOH/g、Tg=72℃、Mn=3900、Mw=10000)
・負荷電性制御剤 3部
(T−77;モノアゾ染料系のFe化合物(保土ヶ谷化学工業社製))
・磁性酸化鉄1 95部
この単量体組成物を63℃に加温し、そこに日本精鑞社製;HNP−9(パラフィンワックス、DSC吸熱メインピーク=78℃)8部を混合溶解し、これに重合開始剤ブチルパーオキサイド4部を溶解して重合性単量体系を得た。
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下においてクレアミックス(エム・テクニック社製)にて15,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、68℃で1時間反応させた。その後更に6時間撹拌を続けた。その後系内に水蒸気を導入し、3時間経過後に懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO42を溶解し、濾過、水洗、乾燥した。この粉体を風力分級機にて分級し、磁性トナー母体aを得た。
この磁性トナー母体a100部と、ヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積が160m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部、表7に示す窒化ほう素1を0.5部、及び表8に示す外添剤2を0.5部とを、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して磁性トナーAを調製した。この磁性トナーAの物性を表10に示す。
<磁性トナーB及びCの製造>
磁性トナーAの製造例において、重合性単量体を反応後、系内に水蒸気を導入する時間を1時間及び5時間に変更した以外は同様にして磁性トナー母体b及びcを得た。その後表9に示す外添剤を使用し磁性トナーB及びCを得た。この磁性トナーB及びCの物性を表10に示す。
<磁性トナーD乃至Mの製造>
表9に示す通りに磁性体、外添剤、Ca3(PO42の添加量を調整しトナーの粒径を変更した以外は同様にして、磁性トナーD乃至Mを得た。磁性トナーD乃至Mの物性を表10に示す。
<磁性トナーNの製造>
(結着樹脂の製造例)
テレフタル酸 27mol%
アジピン酸 15mol%
トリメリット酸 6mol%
前記式(ア)で示されるビスフェノール誘導体 35mol%
(プロピレンオキサイド2.5mol付加物)
前記式(ア)で示されるビスフェノール誘導体 17mol%
(エチレンオキサイド2.5mol付加物)
上記に示すポリエステルモノマー及びエステル化触媒を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着し、窒素雰囲気下にて230℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、軟化点143℃の樹脂Aを得た。
次に、
テレフタル酸 24mol%
アジピン酸 16mol%
トリメリット酸 10mol%
前記式(ア)で示されるビスフェノール誘導体 30mol%
(プロピレンオキサイド2.5mol付加物)
前記式(ア)で示されるビスフェノール誘導体 20mol%
(エチレンオキサイド2.5mol付加物)
上記に示すポリエステルモノマー及びエステル化触媒を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着し、窒素雰囲気下にて230℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、軟化点98℃の樹脂Bを得た。
樹脂A及びBのそれぞれ50部をヘンシェルミキサーで混合し、結着樹脂1とした。この結着樹脂1のガラス転移温度は59℃、軟化点は128℃、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける分子量1万以下の成分を43%含有するものであった。
・結着樹脂1 100部
・磁性酸化鉄3 90部
・モノアゾ鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1部
・フィッシャートロプシュワックス(融点100℃) 5部
(日本精鑞社製、FT100)
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。そこで得られたトナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は7.2μmであった。
その原料トナー粒子を、熱風を吹きつけることによりトナー粒子の表面改質を行う装置であるメテオレインボーMR−3型(日本ニューマチック工業社製)で表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度2kg/hr、熱風流量700L/min、吐出熱風温度200℃で行った。
この磁性トナー母体100部と、ヘキサメチルジシラザン処理した後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積が160m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部、表7に示す窒化ほう素3を0.2部、及び表8に示す外添剤2を0.3部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して磁性トナーNを調製した。この磁性トナーNの物性を表10に示す。
<比較用磁性トナーa乃至dの製造>
磁性トナーAの製造例において、表9に示す通りに磁性酸化鉄及び外添剤を変更し、更にトナー粒径を変更した以外は上記磁性トナーAの製造と同様にして、比較用磁性トナーa乃至dを得た。比較用磁性トナーa乃至dの物性を表10に示す。
<比較用磁性トナーeの製造>
磁性トナーNの製造例において、表9に示す通りに磁性酸化鉄及び外添剤を変更し、更にトナー粒径を変更した以外は上記磁性トナーNの製造と同様にして、比較用磁性トナーeを得た。比較用磁性トナーeの物性を表10に示す。
<実施例1>
市販のキヤノン製複写機IR3570に磁性トナーAを充填したもので下記評価を実施した。
常温低湿環境(温度23℃、湿度5%)において、5万枚の通紙耐久試験を行った。原稿は画像比率5%のチャートを使用した。その後高温高湿環境(温度30%、湿度80%)において5万枚の通紙耐久を行った。ここで耐久前後での画像濃度、カブリ、デジタル画像の鮮鋭さ、現像スリーブの汚染レベルを下記基準により評価した。
(画像評価)
1.画像濃度
画像濃度は、常温低湿環境(温度23℃、湿度5%)において初期及び5万枚の通紙耐久後、及び、高温高湿環境(温度30%、湿度80%)において初期及び5万枚の通紙耐久後に、印字紙全面にベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度計にて測定を行った。
2.カブリ
カブリは、常温低湿環境(温度23℃、湿度5%)において初期及び5万枚の通紙耐久後に、カブリ測定用反射測定機REFLECTMETER(東京電色(株))にて、上記の画像の白部及び未使用紙の反射率を測定し、両者の差をカブリとした。
(未使用紙反射率−画像白部の反射率=カブリ%)
A:カブリ0.3%未満
B:カブリ0.3〜1.0%未満
C:カブリ1.0〜2.0%未満
D:カブリ2.0〜2.5%未満
E:カブリ2.5%以上
3.デジタル画像の鮮鋭さ
ライン及び文字を含む原稿を使用し、常温低湿環境において5万枚の通紙耐久後、及び、高温高湿環境において5万枚の通紙耐久後の画像を目視及び拡大顕微鏡を使用して、以下の基準で評価した。
A:文字画像及びライン画像ともに、細部まで忠実に再現している
B:細部に多少の乱れまたは飛び散りが生じているが、目視では問題ないレベルである
C:目視でも乱れや飛び散りがわかるレベルである
D:乱れ、飛び散りが多数発生し、原稿を再現していない
4.現像スリーブの汚染レベル
高温高湿環境(温度30%、湿度80%)において5万枚通紙耐久後の現像スリーブを目視し、汚染レベルを下記基準で評価した。
A:スリーブ上、画像上ともに問題なし
B:スリーブ上の一部に若干の汚染があるが、画像上問題なし
C:スリーブ上の一部に汚染があり、画像の一部で濃度薄などが発生する
D:スリーブ全体に汚染があり、画像全体に濃度薄などが発生する
また常温常湿環境(温度23℃、湿度50%)において、IR3570のクリーニングブレードの設定圧を+30%及び−30%に変化させて、それぞれ1万枚連続通紙を行い、感光体融着及びクリーニング不良の発生レベルを下記基準にて確認した。
5.感光体融着及びクリーニング不良
A:感光体融着及びクリーニング不良の発生が全く見られない
B:感光体上に融着が見られるが、画像にはほとんど影響ない
C:クリーニングブレードの設定圧が+30%もしくは−30%のどちらかで融着もしく はクリーニング不良の画像が見られる
D:クリーニングブレードの設定圧が+30%、−30%の両方で融着もしくはクリーニ ング不良の画像が見られる
その結果、表11に示すように良好な結果が得られた。
<実施例2乃至14>
実施例1において、磁性トナーB乃至Nを用いて同様の評価を行った結果、表11に示すように良好な結果が得られた。
<比較例1乃至5>
実施例1において、比較用磁性トナーa乃至eを用いて同様の評価を行った結果、表11に示すような結果が得られた。
Figure 2009145877
Figure 2009145877
Figure 2009145877
Figure 2009145877
Figure 2009145877
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Claims (6)

  1. 結着樹脂、磁性体を少なくとも含む磁性トナー母体と、無機微粉体を有する磁性トナーであって、
    (i)該磁性トナーの平均円形度が0.950以上1.000以下であり、
    (ii)該磁性トナーの下記式(1)
    圧縮率={1−(見掛け密度/タップ密度)}×100 式(1)
    から得られる圧縮率が30以下であり、
    (iii)該磁性トナーが、無機微粉体としてメジアン径(D50)が0.5μm以上8.0μm以下の窒化ほう素粒子を磁性トナー母体100質量部あたり0.05質量部以上1.00質量部以下含有していることを特徴とする磁性トナー。
  2. 該磁性トナーの重量平均粒径(D4)が4.0μm以上9.0μm以下であり、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比が1.25以下であることを特徴とする請求項1記載の磁性トナー。
  3. 該窒化ほう素粒子のメジアン径(D50)が1.0μm以上6.0μm以下であり、変動係数が70以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性トナー。
  4. 該磁性トナーが、磁性トナー母体と窒化ほう素粒子及び粒径の異なる2種類の無機酸化物を少なくとも含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
  5. 該磁性トナーが、磁性トナー母体と窒化ほう素粒子、及び、比表面積が100乃至300m2/gの疎水性シリカを磁性トナー母体100質量部あたり0.1乃至3質量部と、個数平均粒径が80nm乃至1μmの金属酸化物を磁性トナー母体100質量部あたり0.1乃至3質量部とを少なくとも含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性トナー。
  6. 該磁性トナーの磁場79.6kA/mで着磁されたときの残留磁化が4.0Am2/kg以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性トナー。
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