JP2009109824A - 磁性トナー - Google Patents

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恵理子 柳瀬
Tadashi Michigami
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道久 馬籠
Takashi Matsui
崇 松井
Tomohisa Sano
智久 佐野
Akira Sakakibara
彰 榊原
Shuichi Hiroko
就一 廣子
Sadataka Suzumura
禎崇 鈴村
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Abstract

【課題】低温定着性及び耐久性に優れ、廃トナーパンクの発生のないトナーを提供することにある。
【解決手段】結着樹脂及び磁性粉体を少なくとも含有するトナー粒子を有する磁性トナーであって、
前記磁性トナーのフローテスター昇温法による流出開始温度Tfb(℃)と1/2軟化温度T1/2(℃)とが、下記式(1)、(2)
式(1) 75≦Tfb≦100
式(2) 10≦T1/2−Tfb≦50
を満たし、前記磁性トナーに対する微小圧縮試験において、磁性トナーの1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで荷重9.8×10-4Nを負荷した時の最大変位量X100(μm)と、前記トナーの個数平均粒径D1とが、下記式(3)
式(3) X100/D1≦0.15
の関係を満たすことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット法の如き記録方法に用いられるトナーに関するものである。
近年、コンピュータ及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、高精細画像を出力する手段が要望されている。ヘビーユーザーは、多数枚の複写又はプリントによっても画質低下のない高耐久性を要求している。一方で、スモールオフィスや家庭では、高画質な画像を得ると共に、省スペース・省エネルギーの観点から装置の小型化、廃トナーの再利用又は廃トナーレス(クリーナーレス)、定着温度の低温化が要望されている。これらの目的を達成するため各々の観点からトナーの検討が行われている。
耐久性と定着性の両立という観点では、トナーの粘弾性や軟化温度で議論されることが多い。一般的にトナーは、現像装置内で機械的な摩擦力を受け劣化するので、トナーの粘弾性や軟化温度を高くする方が有利である。しかしながら、定着工程では消費エネルギーが増大する方向なので不利となる。これら両者のバランスを満足する手法がこれまで検討されている。
中でも、転写工程においては現像されたトナーが感光ドラムと転写材により挟まれた状態で接触転写されるため、トナー粒子それぞれに比較的大きな圧力がかかり、変形してしまうトナー粒子もある。この転写工程では100%の転写性を達成することは難しく、一部は転写残トナーとして廃トナー容器に蓄積される。転写工程においてストレスを受け変形、劣化してしまったトナーが転写残トナーとして廃トナー容器に蓄積、経時とともに成長すると様々な問題の原因となる。例えば、劣化して流動性の低下した転写残トナーが廃トナー容器の開口部に蓄積、融着し、入り口を塞いでしまうことにより廃トナーパンクという問題が生じてしまう。
近年の装置の小型化に伴い、廃トナー容器と定着器の配置がより近接するようになってきた。そのため、連続使用においては廃トナー容器の温度が上がりやすく、特に高温高湿環境下での長期使用において廃トナーパンクが頻繁に発生してしまう。深刻な問題となってきているため、対策が求められている。
耐久性と定着性を両立させるための検討において、トナー粒子の内部構造を考慮する場合は、トナーの1粒子単位の耐ストレス性や定着性を議論することが必要となり、トナーの1粒子単位の硬度(微小圧縮硬度)が有効な指標となる。トナーの1粒子の硬度(微小圧縮硬度)は、トナー粒子の変形度合い(弾性・塑性)を示す。
例えば、低ガラス転移点を有する熱可塑性樹脂から成る熱溶融性芯材と非晶質ポリエステルを主成分とする外殻から構成されるカプセルトナーが提案されている。このカプセルトナーにおいて、トナーの1粒子に荷重を負荷した際に圧縮される変位量と荷重の関係を特定の範囲に規定することで、低温定着性、耐オフセット性、及び耐ストレス性が両立可能であることが開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。更に、トナーの1粒子の微小圧縮試験を行って得られる荷重−変位曲線が変曲点を有し、且つ、その変曲点の荷重が現像装置内でトナーが受ける負荷よりも大きいことを特徴とするトナーが提案されている。このトナーを用いることにより、定着工程では簡単に圧裂するものの、現像器内の耐ストレス性に優れ安定した帯電特性が得られることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらのトナーは加熱加圧定着工程では定着性を満足し得るが、定着工程の軽負荷化あるいは高速化に適用する場合は、低温定着性が低下してしまう。また、本発明者らが検討したところ、小型プリンターでの高温高湿環境下における長期使用においては、廃トナーパンクが発生してしまうことが分かってきた。
更なる高速化、及び高精細画像が要求されている現状において、良好な定着性を維持した上で、高耐久性を十分に満足し、廃トナーパンクの発生しないトナーが待望されている。
特許第03003018号 特許第03391931号 特開2005−300937号公報
本発明の目的は、低温定着性及び耐久性に優れ、廃トナーパンクの発生のないトナーを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、高温高湿環境下における長期の使用においても画像濃度が高く、廃トナーパンクによる機内トナー飛散などの発生が無いトナーを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、結着樹脂及び磁性粉体を少なくとも含有するトナー粒子を有する磁性トナーであって、
前記磁性トナーのフローテスター昇温法による流出開始温度Tfb(℃)と1/2軟化温度T1/2(℃)とが、下記式(1)、(2)
式(1) 75≦Tfb≦100
式(2) 10≦T1/2−Tfb≦50
を満たし、前記磁性トナーに対する微小圧縮試験において、磁性トナーの1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで荷重9.8×10-4Nを負荷した時の最大変位量X100(μm)と、前記トナーの個数平均粒径D1とが、下記式(3)
式(3) X100/D1≦0.15
の関係を満たすことを特徴とする磁性トナーに関する。
本発明によれば、低温定着性及び耐久性に優れ、廃トナーパンクの発生のないトナーを提供することができる。
さらに、本発明によれば、高温高湿環境下における長期の使用においても画像濃度が高く、廃トナーパンクによる機内トナー飛散の発生が無いトナーを提供することができる。
本発明のトナーは、結着樹脂及び磁性粉体を少なくとも含有するトナー粒子を有する磁性トナーであって、
前記磁性トナーのフローテスター昇温法による流出開始温度Tfb(℃)と1/2軟化温度T1/2(℃)とが、下記式(1)、(2)
式(1) 75≦Tfb≦100
式(2) 10≦T1/2−Tfb≦50
を満たし、前記磁性トナーに対する微小圧縮試験において、磁性トナーの1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで荷重9.8×10-4Nを負荷した時の最大変位量X100(μm)と、前記トナーの個数平均粒径D1とが、下記式(3)
式(3) X100/D1≦0.15
の関係を満たすことを特徴とする。
本発明者らは、磁性トナーの流出開始温度及び1/2軟化温度と、微小圧縮試験における最大変位量X100の値を一定の範囲に制御することで、これまで困難であった定着性と耐久性の両立に成功した。さらには、転写残トナーの劣化抑制による廃トナーパンクにも非常に効果的であることを見出し、本発明に至った。
上記条件の本発明の磁性トナーに対する微小圧縮試験において、最大変位量X100と個数平均粒径D1との関係がX100/D1≦0.15であるということは、この時のトナー粒径の変形率が15%以下であることを意味する。即ち、上記特性を有する本発明の磁性トナーは、現像装置内及び転写工程で受ける程度の負荷ではほとんど変形せず形状を維持できる。この為トナー劣化が抑制され、長期に渡って安定した現像性を維持できる。さらに、転写残トナーの流動性が低下することなく、廃トナー容器の開口部に廃トナーが詰まることもないので、廃トナーパンクの発生を防止することができる。
100/Dが0.15より大きい場合は、現像装置内や、特に転写工程で受けるストレスによってトナー粒子が変形してしまい、廃トナーパンクのレベルが悪化してしまう。また、長期の使用においてはトナー劣化が進み、トナー担持体への融着が発生し易く、画像濃度が低下し易くなる。
本発明における微小圧縮試験は、(株)エリオニクス社製 超微小硬度計ENT1100を用いた。本装置は、圧子を試料へ押し込んだときの、圧子への負荷荷重と押し込み深さを負荷時、除荷時にわたり連続的に測定することにより、負荷荷重−押し込み深さ曲線を得、この曲線から微小圧縮硬度・弾性率等のデータを得るものである。該装置を用いた測定方法は、(株)エリオニクス発行のENT1100操作マニュアルに記載されているが、具体的には以下の通りである。
使用圧子は20μm×20μm四方の平圧子を用い、測定環境は温度27℃、湿度60%RHで測定する。最大荷重を9.8×10-4Nに設定し、9.8×10-5N/secのスピードで荷重を掛ける。最大荷重(9.8×10-4N)に到達後、0.1secの間、その荷重で放置する。該最大荷重到達後0.1sec経過時に変位している量を最大変位量X100(μm)とする。
実際の測定はセラミックセル上に樹脂粒子を塗布し、樹脂粒子がセル上に分散するように微小なエアーを吹き付ける。そのセルを装置にセットして測定する。
測定は、装置付帯の顕微鏡を覗きながら測定用画面(横幅:160μm 縦幅:120μm)に樹脂粒子が1粒子で存在しているもの選択する。変位量の誤差を極力無くすため、樹脂粒子径が個数平均粒径D1の±0.20μmのものを選択して測定する。なお、測定用画面から任意の樹脂粒子を選択するが、粒子径の測定手段は超微小硬度計ENT1100付帯のソフトを用いて樹脂粒子の長径と短径を測定し、それらから求められるアスペクト比[(長径+短径)/2]をD(μm)とした。
測定に際しては、粒子径が上記条件を満たす任意の樹脂粒子100個を選んで最大変位量X100を測定し、得られた最大変位量X100(μm)の最大値、及び最小値から大きい順番又は小さい順番にそれぞれ10個のトナー粒子を除いた残り80個のトナー粒子をデータとして使用する。該選択されたトナー粒子80個について算術平均値を求め、X100とする。
本発明のトナー(実施例1のトナーA)の、微小圧縮試験における荷重−変位曲線を表したグラフを図1に示す。
上記微小圧縮試験に関する上記種々条件は、トナー粒子の製造方法や製造条件、磁性粉体のトナー中での分散性、及び使用する添加剤の物性等を調節することで満たすことが可能である。
また、本発明のトナーは、トナーのフローテスター昇温法による流出開始温度Tfb(℃)と1/2軟化温度T1/2(℃)とが、下記式(1)、(2)
式(1) 75≦Tfb≦100
式(2) 10≦T1/2−Tfb≦50
を満たすことを特徴とし、さらに下記式(4)
式(4) 80≦Tfb≦98
を満たすことが好ましい。
流出開始温度Tfbと1/2軟化温度T1/2とが上記範囲を満たすことで、X100/D1≦0.15であるような耐久劣化に強い剛性に優れたトナーであっても、定着工程においてはシャープメルト性を発揮し、十分な低温定着性を得ることができる。
流出開始温度Tfbが80℃未満の場合は、低温定着性には優れるものの、耐高温オフセット性が低下する。さらに、流出開始温度Tfbが75℃未満の場合は、高温高湿環境下における長期使用においては廃トナー容器内において凝集、融着が発生しやすく、廃トナーパンクが発生し易くなる。一方、流出開始温度Tfbが100℃を超える場合は、低温定着性が低下するため、軽負荷定着においては耐低温オフセット性が悪くなる。また、流出開始温度Tfbが98℃を超える場合は、軽負荷定着でプロセススピードが高い場合の低温定着性が低下する傾向にある。
また、1/2軟化温度T1/2と流出開始温度Tfbの差(T1/2−Tfb)は、定着工程におけるシャープメルト性を表す。(T1/2−Tfb)が10未満の場合は、低温定着性には優れるものの、高温における弾性に乏しいため、高温オフセットや、定着器への転写材の巻きつき等が発生し易くなる。さらには、長期の使用においてはX100/D1≦0.15の範囲を維持することが困難になり、現像スジが発生し易く、また廃トナーパンクも発生し易くなる。一方、(T1/2−Tfb)が50を超える場合は、シャープメルト性に劣るため、高速度プリンターにおいては定着性が低下してしまう。
トナーの流出開始温度や1/2軟化点温度、及びその差については、トナーの結着樹脂の熱的特性や分子量、ゲル分率などを調整することにより満たすことが可能である。
本発明の磁性トナーは、個数平均粒径D1が3.0μm以上8.0μm以下であることが好ましい。磁性トナーの個数平均粒径D1は、高画質化という点から8.0μm以下であることが好ましい。一方、磁性トナーの個数平均粒径D1が3.0μmより小さい場合は、鏡像力やファンデルワールス力に起因する磁性トナーの感光ドラムへの付着力が大きくなり、転写性が悪化するため好ましくない。さらに、流動性が低化するため現像性が低下し易くなる。
前記磁性トナーの個数平均粒径D1は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子または樹脂粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子または樹脂粒子を分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
本発明の磁性トナーは、平均円形度が0.950以上1.000以下であることが好ましい。磁性トナーの平均円形度が上記範囲を満たす場合、転写性に非常に優れるため、廃トナー容器に蓄積するトナー量自体が減少するため好ましい。平均円形度が0.950より小さいと、転写性が低下するだけでなく、トナー形状がいびつで不均一であるので、現像時や転写工程における負荷を受けやすくなるため好ましくない。
上記磁性トナーの平均円形度は、磁性トナー粒子の製造方法や製造条件などを調節することで満たすことが可能である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定する。詳細は以下の通りである。
先ず、円形度を次式より算出する。
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、「粒子投影面積」とは二値化された粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度は粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度をci、測定粒子数をmとすると、下記式(7)から算出される。
Figure 2009109824
また、円形度標準偏差SDは、平均円形度C、各粒子における円形度ci、測定粒子数をmとすると下記式(8)から算出される。
Figure 2009109824
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、分散させる。分散させる手段としては、発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を温度23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が約5000個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整して計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナーの平均円形度を求める。尚、円相当径は、以下のようにして算出される値である。
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
本発明の磁性トナーは、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分が、樹脂成分に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。THF不溶分量が上記範囲を満たすことで樹脂強度や弾性が向上するため、非常に耐久性に優れたトナーとなる。THF不溶分が10質量%より小さい場合は、長期の使用においてカブリが悪化し易く、また定着工程において耐高温オフセット性に乏しくなる。一方、THF不溶分が50質量%を超える場合は、低温定着性が悪化する。
トナー中の樹脂成分のTHF不溶分は、以下のようにして測定する。
トナー約1.0gを秤量(W1g)し、予め秤量した円筒濾紙(例えば、商品名No.86R(サイズ28×100mm)、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。そして、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mlを用いて16時間抽出する。このとき、溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、40℃で8時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量(W2g)を算出する。
そして、樹脂成分以外の成分の含有量(W3g)を下記式(9)のように差し引くことによって、THF不溶分を求めることができる。
THF不溶分(質量%)={(W2−W3)/(W1−W3)}×100・・・(9)
樹脂成分以外の成分の含有量は、公知の分析手段によって測定することができる。分析が困難な場合には、以下のようにして樹脂成分以外の成分の含有量(トナー中の焼却残灰分(W3’g))を見積もり、その含有量を差し引くことによって、THF不溶分を求めることができる。
トナー中の焼却残灰分は以下の手順で求める。予め秤量した30mlの磁性るつぼに約2gのトナーを秤量(Wag)する。るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分(Wbg)を算出する。そして、下記式(10)により、試料W1g中の焼却残灰分の質量(W3’g)を算出する。
W3’=W1×(Wb/Wa)・・・(10)
この場合、THF不溶分は、下記式(11)で求められる。
THF不溶分(質量%)={(W2−W3’)/(W1−W3’)}×100
・・・(11)
また、本発明の磁性トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量Mpが10,000以上30,000以下、重量平均分子量Mwが80,000以上350,000以下、及び重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布Mw/Mnが4以上20以下であることが好ましい。トナーのTHF可溶分の分子量分布が上記範囲を満たすことで、低温定着性と耐久性に優れるトナーを得ることが容易になる。また、フローテスター昇温法による流出開始温度Tfb(℃)と1/2軟化温度T1/2(℃)において、本発明の好ましい範囲を得ることが容易になるため好ましい。
トナーのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
次に本発明におけるトナーの製造方法を説明する。
本発明の磁性トナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。この中で、分散重合法、会合凝集法、懸濁重合法など湿式媒体中でトナーを製造する重合法は、トナー形状及び磁性体の分散性を制御しやすく、本発明のトナー物性を得やすいため好ましい。これらの方法のうち、円形度が高く表面が均一な粒子を得ることがきる点、及び溶媒に溶剤を使用しないといった製造コスト面から、懸濁重合法を用いるのが最も好ましい。
製造法の一例として懸濁重合法によるトナーの製造について説明する。懸濁重合法では重合性単量体中に、磁性粉体、着色剤、離型剤、可塑剤、結着剤、荷電制御剤、架橋剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させる。こうして得られた単量体系(単量体組成物)を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
懸濁重合法においては、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛の如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることができる。例えば燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。但し、この塩化ナトリウム塩は重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2以上20質量部以下を単独でまたは2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
また微粒化されたトナーを目的とする場合には、0.001以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムが挙げられる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50以上90℃以下の温度に設定して重合を行うことが好ましい。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90以上150℃以下にまで上げることは可能である。
本発明に使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドが挙げられる。
これらの重合性単量体は単独または混合して使用し得る。上述の重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの重合性単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明のトナーを重合法で製造する際には、重合反応時に半減期0.5乃至30時間である重合開始剤を、重合性単量体の0.5乃至20質量%の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量1万以上10万以下の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。重合開始剤の例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明では、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001乃至15質量%である。
ここで、架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
本発明のトナーで使用される磁性体としては、従来公知の磁性材料が用いられる。磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属あるいはこれらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金;及びこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミニウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。本発明では磁性材料として、少なくとも磁性酸化鉄を含有し、必要に応じて一種又は二種以上の他の金属を任意に選択して使用することが可能である。
このような磁性酸化鉄は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2以上30m2/g以下、特に3以上28m2/g以下であり、更にモース硬度が5以上7以下のものが好ましい。
また、磁性酸化鉄の形状としては、8面体、6面体、球状、針状、鱗片状などがあるが、8面体、6面体、球状、不定形の如き異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった形状は、SEMなどによって確認することができる。
磁性酸化鉄の粒度としては、0.03μm以上の粒径を有する粒子を対象とした粒度の測定において、個数平均粒径が0.1乃至0.3μmであり、かつ0.03乃至0.1μmの粒子が40個数%以下であることが好ましい。
個数平均粒径が0.1μm未満の磁性酸化鉄を用いた磁性トナーから画像を得ると、画像の色味が赤味にシフトし、画像の黒色度が不足したり、ハーフトーン画像ではより赤味が強く感じられる傾向が強くなったりするなど、一般的に好ましいものではない。また、磁性酸化鉄の表面積が増大するために分散性が低下し、製造時に要するエネルギーが増大し、効率的ではない。また、磁性酸化鉄の着色剤としての効果が弱くなり、画像の濃度が不足することもあり、好ましいものではない。
一方、磁性酸化鉄の個数平均粒径が0.3μmを超えると、一粒子あたりの質量が大きくなるため、製造時にバインダーとの比重差の影響でトナー表面に露出する確率が高まったり、製造装置の摩耗などが著しくなる可能性が高まったり、分散物の沈降安定性などが低下するため好ましくない。
またトナー中において、該磁性酸化鉄の0.1μm以下の粒子が40個数%を超えると、磁性酸化鉄微粒子の表面積が増大して分散性が低下し、トナー中にて凝集塊を生じやすくなりトナーの帯電性を損なったり、着色力が低下したりする可能性が高まるため40個数%以下であることが好ましい。さらに30個数%以下とすると、その傾向はより小さくなるため好ましい。
また、本発明においては、磁性酸化鉄微粒子中の0.3μm以上の粒子が10個数%以下であることが好ましい。10個数%を超えると、着色力が低下し、画像濃度が低下する傾向になることに加え、同じ使用量であっても個数的に少ないためにトナー粒子表面の近傍まで存在させること及び各トナー粒子に均一個数を含有させることが確率的に難しくなり、好ましくない。より好ましくは5個数%以下とするのが良い。
これらの磁性酸化鉄の79.58kA/m(1kエルステッド)印加での磁気特性は、抗磁力が1.5乃至12kA/m、飽和磁化が30乃至120Am2/kg(好ましくは40以上80Am2/kg以下)、残留磁化が1以上10Am2/kg以下のものが好ましい。なお磁性体の磁気特性は、25℃,外部磁場79.6kA/mの条件下において振動型磁力計、例えばVSM P−1−10(東英工業社製)を用いて測定することができる。
本発明のトナーを重合法に適用する場合には、磁性体として使用される磁性酸化鉄微粒子は、疎水化処理されたものであることが好ましい。この疎水化処理を調整することで、磁性酸化鉄のトナー中での存在状態を厳密にコントロールできる。
磁性酸化鉄表面をカップリング剤等で処理する方法としては、乾式処理と湿式処理の二つがある。本発明ではどちらの方法で行っても良いが、水系媒体中での湿式処理方法は、気相中での乾式処理に比べ、酸化鉄粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性酸化鉄間の帯電反発作用が働き、磁性酸化鉄はほぼ一次粒子の状態でカップリング剤による表面処理されるようになるため好ましい。
本発明において磁性酸化鉄の表面処理に使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(A)
mSiYn (A)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1以上3以下の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、メタクリル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこれらの誘導体を示し、nは1以上3以下の整数を示す。]
で示されるものである。例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシランを挙げることができる。
特に、式(B)
p2p+1−Si−(OCq2q+13 (B)
[式中、pは2以上20以下の整数を示し、qは1以上3以下の整数を示す]
で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して磁性酸化鉄表面を疎水化処理するのが良い。
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難となることがあり、またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性酸化鉄同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性酸化鉄を十分に分散させることが困難となることがある。また、qが3より大きいと、シランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなることがある。
よって、式中のpが2以上20以下の整数(より好ましくは、3以上15以下の整数)を示し、qが1以上3以下の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが好ましい。その処理量は処理前の磁性酸化鉄微粒子100質量部に対して、0.05乃至20質量部、好ましくは0.1乃至10質量部とするのが良い。
本発明において、磁性酸化鉄の疎水性を制御する方法として、上記のカップリング剤のpが異なる2種類以上のシランカップリング剤で処理する方法が挙げられる。このカップリング剤の種類及び処理量の割合を適宜調整することで、疎水化処理の程度に分布を有する磁性酸化鉄を得ることが可能となる。
磁性酸化鉄の表面処理として水系媒体中でカップリング剤により処理するには、水系媒体中で適量の磁性酸化鉄及びカップリング剤を撹拌する方法が挙げられる。
水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1乃至5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸の如き無機酸が挙げられる。
撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機(具体的には、アトライター、TKホモミキサーの如き高剪断力混合装置)で、酸化鉄微粒子が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
本発明においては、磁性酸化鉄の疎水性をより高めるために、カップリング剤による表面処理後のスラリーをろ過、乾燥させた後、60〜80℃の低温で熱処理を行うことができる。低温熱処理を行うことで、カップリング処理の均一性が非常に高くなり、凝集・合一のない磁性酸化鉄を得ることが可能になる。さらに、重合法によるトナー製造時において、一部カップリング処理の不十分な処理剤が単量体中へ溶出することもない。また、処理剤のはがれた磁性体同士が凝集することもなく、磁性酸化鉄が高度に一次分散されたトナーを得ることが可能になる。
こうして得られる磁性酸化鉄は表面が均一に疎水化処理されているため、重合性単量体組成物中における分散性が非常に良好であり、磁性酸化鉄の含有率が揃ったトナー粒子を得ることができるようになる。このためトナー粒子個々の剛性や耐久性も均一に高いものにできる。
本発明のトナーに用いられる磁性酸化鉄は、例えば下記方法で製造される。
硫酸第一鉄水溶液などの第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムの如きアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8乃至10)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に、前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6乃至10に維持しつつ空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応の終期に液のpHを調整し、磁性酸化鉄が一次粒子になるよう十分に撹拌する。カップリング剤を添加して十分に混合撹拌し、撹拌後に濾過し、乾燥し、軽く解砕することで疎水化処理磁性酸化鉄が得られる。あるいは、酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄を、乾操せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを調整し、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、カップリング処理を行っても良い。
いずれにせよ、水溶液中で生成した未処理の磁性酸化鉄を、乾燥工程を経る前の含水スラリーの状態で疎水化することが好ましい。これは、未処理の磁性酸化鉄をそのまま乾燥してしまうと粒子同士の凝集による合一が避けられず、こういった凝集状態の粉末にたとえ湿式疎水化処理を行っても均一な疎水化処理が難しいためである。
磁性酸化鉄微の製造の際に第一鉄塩水溶液に用いる第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、硫酸第一鉄以外には更に塩化鉄等が可能である。
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法では一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5乃至2mol/リットルの硫酸第一鉄水溶液が用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
本発明においては、このようにして製造された疎水性磁性酸化鉄を使用することが好ましい。
本発明のトナーに用いる磁性酸化鉄は、結着樹脂100質量部に対して、10乃至200質量部用いることが好ましく、より好ましくは20乃至180質量部、更に好ましくは40乃至160質量部である。磁性酸化鉄の配合量が10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、トナー担持体への磁力による保持が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性酸化鉄の均一な分散が難しくなったりするだけでなく、定着性が低下してしまうことがある。
本発明においては、磁性トナーの5mol/l塩酸溶解時における、3分,15分時点での磁性体総含有量に対する溶解量S3(質量%)、S15(質量%)が下記式(5)、(6)
式(5) 0.5≦S3≦10
式(6) 40≦S15≦80
を満足することが好ましい。
本発明においては磁性トナーを塩酸で抽出する時間を変更することで、トナーの最表面から内部への磁性体の存在状態を推定することが出来る。このとき5mol/l塩酸3分で抽出されるのはトナーの最表面部分に存在する磁性体であり、15分で抽出される磁性体量は表面近傍に存在する磁性体の存在量を表すものと考えられる。
本発明において、磁性トナーを5mol/l塩酸で3分間抽出した磁性体量(S3)は0.5%以上10%以下が好ましく、さらに好ましくは5%以下である。このように微量の磁性体のみが最表面部分に存在することで、磁性体による吸湿の影響がほとんどないために、環境安定性に優れた帯電特性を有することが出来る。更には磁性一成分現像方式においてトナー担持体とトナー規制部材間のストレスを受けた場合でも、遊離した磁性体の量を軽減することで、この微粉によるトナー担持体への汚染を抑制することが可能となる。S3が0.5%未満となると、リークサイトとして働く低抵抗成分である磁性体量が最表面にほとんど存在しないために低湿環境下でのチャージアップが起こりやすくなり、安定した帯電特性が得られなくなる。また10%より大きくなると、高湿環境下での帯電量の低下、環境安定性及び遊離の磁性体量の増加を抑制するのが難しくなる。
本発明において、5mol/l塩酸で15分間抽出した磁性体量(S15、S30)はそれぞれ40%以上80%以下が好ましく、さらに好ましくは45%以上75%以下である。S15は表面近傍に存在する磁性体量に対応している。本発明においては、磁性体がトナー表面近傍に偏在化しているように分布させることで、耐ストレス性を向上させることが可能となる。また、本発明の磁性トナーの特徴である、微小圧縮試験における最大変位量の範囲(X100/D1≦0.15)を得ることが容易になる。
15が40%未満となると、表面近傍に存在する磁性体量が少ないことで、トナーの対ストレス性が低下し、長期使用によりトナー劣化を起こしやすくなり、廃トナーパンクが発生しやすくなる。またS15が80%超になると、表面近傍に磁性体が集中するため、磁性体やその他の添加剤の分散性が悪化するようになり、耐久に伴う濃度薄や画像欠陥が発生しやすくなる。
本発明では、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基の如き親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体の如き共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミドの如き重縮合体、ポリエーテル、ポリイミンの如き重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。その使用量としては、重合性単量体100質量部に対して1乃至20質量部が好ましい。使用量が1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えて使用された場合には、重合トナーの種々の物性設計が難しくなってしまう。またこれら極性官能基を含む高分子重合体としては、平均分子量が3000以上のものが好ましく用いられる。分子量3000未満、特に2000以下では、本重合体が表面付近に集中し易いことから、現像性、耐ブロッキング性等に悪い影響が起こり易くなり好ましくない。また、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、重合性単量体に添加する樹脂としてポリエステル樹脂を添加することが好ましい。中でも、トナーに適度な強度を持たせるために、重合触媒としてポリアルカノールアミンを配位子とするチタン化合物を使用したポリエステル樹脂を添加することが好ましい。このようなポリエステルを使用すると、チタン化合物が重合反応の際に結着樹脂中に取り込まれつつ反応するため、チタン及び配位子起因の特異的な構造を取ることで、樹脂強度向上効果を得ていると考えられる。
チタン含有触媒として好ましいものは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、これらの重縮合物、及びこれらの併用である。更に好ましくは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)である。
これらのチタン含有触媒は、例えばチタニウムジアルコキシビス(アルコールアミネート)を水存在下で70乃至90℃にて反応させることで安定的に得ることが出来る。
次に本発明のトナーを粉砕法によって製造する場合について説明する。
結着樹脂、磁性紛体、及び必要に応じて他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により十分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、溶融混練物を冷却固化し、その後、固化物を粉砕し、粉砕物を分級することによりトナー粒子を得る方法が好ましい。
本発明においては、粉砕法で得られたトナーの微小圧縮試験における変位量を制御するためには、得られた粒子を磁性粉体、または結着樹脂よりも高いガラス転移温度を有する樹脂粒子等で表面処理を行うことが好ましい。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率の点からは、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いて行うことができる。本発明の好ましい範囲である円形度の高い現像剤を得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、または補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法,熱気流中を通過させる方法などを用いてもよい。
機械的衝撃力を加える方法としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法がある。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法を用いてもよい。
機械的衝撃を加える処理をする場合には、処理時の雰囲気温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(すなわち、ガラス転移点Tgの±30℃の範囲の温度)とすることが、凝集防止と生産性の観点から好ましい。
本発明において、粉砕法で製造する場合に使用される結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂成分とスチレン−アクリル系樹脂成分を含むハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられるが、特に限定されず従来公知の樹脂を用いることができる。このうち特に、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂などが定着性などの点で好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
Figure 2009109824
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
(B)式で示されるジオール類;
Figure 2009109824
2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、又は低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、又は低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類又はその無水物、又は低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、又は低級アルキルエステル。
また架橋成分として働く3価以上のアルコール成分や3価以上の酸成分を単独で使用するか、もしくは併用することが好ましい。
3価以上の多価アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン。
他の2価アルコール類としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールの如き炭素数2〜12のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きアルキレンエ−テルグリコール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAの如き炭素数6〜30の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSの如きビスフェノール類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド(EO、PO、ブチレンオキシド等)2〜8モル付加物。
他の3価以上のアルコール類としては、以下のものが挙げられる。ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンの如き炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール;1,3,5−トリヒドロキシルメチルベンゼンの如き炭素数6〜20の芳香族多価アルコール;これらのアルキレンオキサイド付加物。
また、三価以上の多価カルボン酸成分としては、以下の多価カルボン酸及びその誘導体が挙げられる。ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;次式
Figure 2009109824
(式中Xは炭素数3以上の側鎖を1個以上有する炭素数5乃至30のアルキレン基又はアルケニレン基)
で表わされるテトラカルボン酸;これらの無水物、低級アルキルエステル。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸およびこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
本発明に用いられるアルコール成分としては40乃至60mol%、好ましくは45乃至55mol%、酸成分としては60乃至40mol%、好ましくは55乃至45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5乃至60mol%であることが好ましい。
該ポリエステル樹脂は、通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル樹脂の重合反応は通常触媒の存在下温度150乃至300℃、好ましくは温度170乃至280℃の条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、もしくは加圧下で行うことができる。
上記触媒としては、通常ポリエステル化に用いられる触媒が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。スズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウムの如き金属;これら金属含有化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン)。
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、以下のものが挙げられる。ビニルトルエンの如きスチレン誘導体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルの如きメタクリル酸エステル;マレイン酸;マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸エステル;アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル。これらのビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
ポリエステル樹脂成分及びスチレン−アクリル系樹脂成分からなるハイブリッド樹脂を合成する場合、上述のポリエステル樹脂成分とスチレン−アクリル系樹脂成分の両方と反応し得るモノマー成分を含むことが必要である。ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちスチレン−アクリル系樹脂成分と反応し得るものとしては、例えばフマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。スチレン−アクリル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシル基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
さらに本発明においては、必要に応じて離型剤を含有させることもできる。
本発明のトナーに使用可能な離型剤としては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス等の、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックス等の、脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、フウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られる、ヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;炭素数12以上の長鎖アルキルアルコール又は長鎖アルキルカルボン酸;等が挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、アルキレンを高圧化でラジカル重合し、又は低圧化でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したもの;が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、例えば、金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレン等のアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素;が挙げられる。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましく、特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素がその分子量分布からも好ましい。
本発明において離型剤は、離型剤を含有するトナー粒子を示差走査熱量計で測定したときに、得られるDSC曲線において50乃至90℃の領域に吸熱メインピークが現れるようにトナー粒子に含まれていることが、トナーの低温定着性及び耐高温オフセット性の点で好ましい。DSC測定において吸熱が50℃未満の領域に存在すると、ワックス成分の染み出しが起こりやすくなり、保存性や耐久性が悪化する。一方、吸熱が90℃を超えた領域に存在すると定着温度が高くなり低温オフセットが発生しやすくなるので好ましくない。さらに、水系媒体中で重合法により直接トナーを得る場合、吸熱領域の温度が高いと、多量に添加する場合、造粒中にワックス成分が析出する等の問題が生じるため好ましくない。
上記吸熱ピーク温度は、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用い、ASTM D3418−82に準じて測定することができ、上記のピークが出現する温度は、融点やガラス転移点、及び重合度等を適切に調整された離型剤を用いることによって調整することが可能である。なお、上記DSC−7は、上記ピーク温度の他、結着樹脂のガラス転移点、軟化点、ワックスの融点等の、トナー粒子やトナー粒子材料の熱的物性を示す温度の測定に適用することができる。
本発明において離型剤として使用できるワックスの具体的な例としては、ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)等が挙げられる。
本発明のトナーには、帯電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料もしくはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、その四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。これらの荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対して0.5以上10質量部以下使用することが好ましい。しかしながら、本発明の画像形成方法に関わるトナーは、荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層圧規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
より具体的には、負帯電用として、例えばSpilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学社)がより好ましいものとして挙げられ、正帯電用として、例えばTP−302、TP−415(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学社)、コピーブルーPR(クラリアント社)が好ましいものとして挙げられる。
本発明においては、磁性酸化鉄微粒子に着色剤としての機能を兼ねさせても良いが、磁性酸化鉄微粒子以外の他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色材料としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルの如き強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素を加えた合金、ヘマタイト、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニンが挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いても良い。
本発明のトナーは、上述したトナー粒子に、トナーの種類に応じた種々の材料を外添して用いられる。外添される材料としては、例えば無機微粉体等のようにトナーの流動性を向上させる流動性向上剤や、金属酸化物微粒子等のようにトナーの帯電性を調整するための導電性微粉体等の外添剤が挙げられる。
上記流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することによりトナーの流動性を向上し得るものが挙げられる。このような流動性向上剤としては、例えば湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ;これらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ;等が挙げられる。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましい。流動性向上剤は、流動性向上剤の種類によって異なるが、例えばトナー粒子100質量部に対して0.01乃至5質量部を配合することが好ましく、0.1乃至3質量部を配合することがより好ましい。
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。このようなシリカは、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のような式(12)で示されるものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl (12)
この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、本発明で流動性向上剤として利用されるシリカ微粉体はそれらも包含する。その粒径は、平均一次粒径として0.001乃至2μmの範囲内であることが好ましく、特に0.002乃至0.2μmの範囲内であることがより好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下のような商品名で市販されているもの、すなわちAEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84;Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5;Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40;D−C Fine SiliCa(ダウコーニングCO.社);Franso1(Fransil社)等が挙げられる。
本発明では、上記シリカ微粉体は、疎水化処理されていることが好ましい。また上記シリカ微粉体は、メタノール滴定試験によって測定される疎水化度が30乃至80度の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが、トナーの濡れ性を制御する上で特に好ましい。なお上記疎水化度は、水中で撹拌されている所定量のシリカ微粉体にメタノールを滴下し、シリカ微粉体の沈降終了時におけるメタノール及び水の液状混合物中におけるメタノールの百分率として表される。シリカ微粉体の疎水化方法としては、例えばシリカ微粉体と反応し、又はシリカ微粒子に物理吸着する有機ケイ素化合物やシリコーンオイルでシリカ微粒子を化学的に処理する方法が挙げられる。より好ましくは、有機ケイ素化合物による疎水化処理である。
ここで、上記有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位においてSiに結合する水酸基を有するジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは一種あるいは二種以上の混合物で用いられる。
シリカ微粉体の疎水化処理においては、上記有機ケイ素化合物の中でもさらに窒素原子を有するシランカップリング剤の一種又は二種以上を用いることが可能である。このような含窒素シランカップリング剤としては、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン等が挙げられる。
なお本発明において、好ましいシランカップリング剤としてはヘキサメチルジシラザン(HMDS)が挙げられる。
またシリカ微粉体の疎水化処理で好ましく使用されるシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が0.5以上10000mm2/s(センチストークス)以下であることが好ましく、1以上1000mm2/s以下であることがより好ましく、10以上200mm2/s以下であることがより一層好ましい。また、特に好ましいシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルを用いるシリカ微粉体の表面疎水化処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法;適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解又は分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法;が挙げられる。
シリコーンオイルによってシリカ微粉体の表面疎水化処理を行う場合では、シリコーンオイルの処理後にシリカ微粉体を不活性ガス中で200℃以上(より好ましくは250℃以上)に加熱し、表面のコートを安定化させることがより好ましい。
本発明においては、シリカ微粉体の表面疎水化処理に、前述したシランカップリング剤及びシリコーンオイルの両方を用いることが可能である。このような表面疎水化処理方法としては、シリカ微粉体を予めシランカップリング剤で処理した後にシリコーンオイルで処理する方法、又はシリカ微粉体をシランカップリング剤とシリコーンオイルで同時に処理する方法等が挙げられる。
さらに、本発明中のトナーには、必要に応じて流動性向上剤以外の外部添加剤を添加してもよい。
例えば、圧縮度を調整する等の目的で、一次粒径が30nmを超える微粒子、より好ましくは一次粒径が100nm以上で球状に近い無機微粒子または有機微粒子をさらにトナー粒子に添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状のシリカ粒子、球状のポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状の樹脂粒子を用いるのが好ましい。
更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;または酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;ケーキング防止剤;または例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量加えることもできる。これらの添加剤も、その表面を疎水化処理して用いることも可能である。
上述の如き外添剤は、磁性トナー粒子100質量部に対して0.1乃至2質量部(好ましくは0.1乃至1.5質量部)使用するのが定着性及び帯電特性の点で好ましい。
本発明のトナーを好適に用いることの出来る画像形成装置の一例を図に沿って具体的に説明する。
図2の画像形成装置において、100は感光ドラムで、その周囲に一次帯電ローラー117、現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナ116、レジスタローラー124等が設けられている。そして感光体100は一次帯電ローラー117によって、例えば−700Vに帯電される(印加電圧は交流電圧−2.0kVpp、直流電圧−700Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって一成分磁性現像剤で現像され、転写材を介して感光体に当接された転写帯電ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像をのせた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナ116によりクリーニングされる。現像器140は図3に示すように感光体100に近接してアルミニウム、ステンレスの如き非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下現像スリーブと称す)が配設され、感光体100と現像スリーブ102との間隙は図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等により約300μmに維持されている。現像スリーブ内にはマグネットローラー104が現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し、現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラー104には図示のように複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。トナーは、トナー塗布ローラ141によって、現像スリーブ102に塗布され、付着して搬送される。搬送されるトナー量を規制する部材として弾性ブレード103が配設され、弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が制御される。現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流及び交流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上の現像剤は静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
<磁性酸化鉄の製造例1>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0当量の苛性ソーダ溶液(Feに対しP換算で1質量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含有)を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80乃至90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを約6に調整し、シランカップリング剤として、n−C49Si(OCH33及びn−C817Si(OC253を磁性酸化鉄100部に対しそれぞれ0.9部/0.6部添加し、十分撹拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥した。凝集している粒子を解砕処理した後、温度60℃で3時間熱処理を行って、表1に示す磁性酸化鉄1を得た。
磁性酸化鉄1の平均粒径は0.24μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における飽和磁化及び残留磁化が68.6Am2/kg(emu/g)、3.4Am2/kg(emu/g)であった。
<磁性酸化鉄の製造例2乃至6>
表1に示すように、カップリング処理剤の種類及び添加量、及び解砕処理後の熱処理の温度及び時間を変更した以外は同様にして、表1に示す磁性酸化鉄2乃至6を得た。
Figure 2009109824
<チタン含有触媒1乃至3の合成>
冷却管、撹拌機及び液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部とイオン交換水126部を入れ、窒素にて液中バブリング下、90℃まで徐々に昇温し、90℃で4時間反応(加水分解)させることで、表2に示すチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)[チタン含有触媒1]を得た。
また、試薬を変更して同様の操作をすることで、表2に示すチタン含有触媒2及び3を合成した。
Figure 2009109824
<ポリエステル樹脂1乃至4の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記成分を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。
ビスフェノールA EO 2モル付加物 350部
ビスフェノールA PO 2モル付加物 326部
テレフタル酸 278部
チタン含有触媒1 2部
次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸62部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂1を得た。樹脂と触媒の対応及び樹脂物性を表3に示す。
また、表3のように触媒を変更したこと以外は同様の操作を行って、ポリエステル樹脂2、3、及び4を合成した。
Figure 2009109824
<磁性トナー1の製造>
イオン交換水720部に0.1M−Na3PO4水溶液450部を投入し温度60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
スチレン 79部
n−ブチルアクリレート 21部
ジビニルベンゼン 0.5部
ポリエステル樹脂1 5部
負荷電制御剤・T−77(保土ヶ谷化学製) 1部
磁性酸化鉄1 90部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を温度60℃に加温し、そこにパラフィンワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク78℃)10部を添加し混合溶解し、これに重合開始剤ベンゾイルパーオキサイド6部を溶解して重合性単量体組成物とした。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、温度80℃で8時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して磁性トナー粒子1を得た。
トナー粒子1を100部と、一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用い混合し、磁性トナー1を調製した。磁性トナー1の物性を表4に示す。
<磁性トナー2乃至7の製造>
磁性トナー1の製造において、表4に示すように、使用する磁性酸化鉄やポリエステル樹脂の種類を変更して、磁性トナー2乃至6を得た。磁性トナー2乃至7の物性を表4に示す。
<磁性トナー8の製造>
磁性トナー1の製造において、スチレンの添加量を73部、n−ブチルアクリレートの添加量を27部に変更し、パラフィンワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク78℃)10部をエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク73℃)15部に変更したこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー8を得た。磁性トナー8の物性を表4に示す。
<磁性トナー9の製造>
磁性トナー1の製造において、ジビニルベンゼンの添加量を0.6部、重合開始剤ベンゾイルパーオキサイドの添加量を4部に変更したこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー9を得た。磁性トナー9の物性を表4に示す。
<磁性トナー10の製造>
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比79/21) 100部
(Mp=14000 Mw=270000 Mw/Mn=22.1 Tg=56℃)
ポリエステル樹脂1 5部
磁性トナー1の製造で用いたパラフィンワックス 5部
磁性酸化鉄1 10部
負荷電制御剤・T−77(保土ヶ谷化学製) 2部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級してトナー母粒子を得た。その後該トナー母粒子122部に対して磁性酸化鉄1を80部外添し、衝撃式表面処理装置(処理温度55℃、回転式処理ブレード周速90m/sec.)を用いて磁性酸化鉄を表面に固着させて磁性酸化鉄固着トナー母粒子を得た。
さらに磁性体固着トナー母粒子100部に対して乳化粒子(スチレン−メタクリル酸、Mn=6800、Mw=32000、粒径0.05μm、Tg=73℃)8部を外添した後、衝撃式表面処理装置(処理温度50℃、回転式処理ブレード周速90m/sec.)を用いて固着・被膜形成を行い、被膜トナー母粒子を得た。得られた被膜トナー母粒子100部に磁性トナー1の製造と同様にして、疎水性シリカ微粉体1.4部を外添し、磁性トナー10を調製した。得られた磁性トナー10の物性を表4に示す。
<比較磁性トナー1の製造>
磁性トナー1の製造において、表4に示すように、使用する磁性酸化鉄やポリエステル樹脂の種類を変更して、比較磁性トナー1を得た。比較磁性トナー1の物性を表4に示す。
<比較磁性トナー2の製造>
磁性トナー1の製造において、ジビニルベンゼンの添加量を0.4部、重合開始剤ベンゾイルパーオキサイドの添加量を12部に変更し、ポリエステル樹脂1の替わりにポリエステル樹脂2を8部添加したこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、比較磁性トナー2を得た。比較磁性トナー2の物性を表4に示す。
<比較磁性トナー3の製造>
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比79/21) 100部
(Mp=14000 Mw=270000 Mw/Mn=22.1 Tg=56℃)
ポリエステル樹脂1 5部
フィッシャートロプシュワックス(Tm=105℃) 5部
磁性酸化鉄1 90部
負荷電制御剤・T−77(保土ヶ谷化学製) 2部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて、入口と出口のエアー温度を調整して機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。そこで得られた原料トナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径7.2μmであった。
得られたトナー粒子100部に、磁性トナー1の製造と同様にして疎水性シリカ微粉体1.0部を外添し、比較磁性トナー3を調製した。比較磁性トナー3の物性を表4に示す。
<比較磁性トナー4の製造>
比較磁性トナー3の製造において、スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(Mp=18000 Mw=430000 Mw/Mn=32.4 Tg=63℃)を使用したこと以外は比較磁性トナー3の製造と同様にして、比較磁性トナー4を調製した。比較磁性トナー4の物性を表4に示す。
Figure 2009109824
<実施例1>
画像形成装置としてLBP−3000を使用した。ここで、プロセススピードを105mm/secとし、現像バイアスとして−430Vの直流電圧Vdcに1.6kVpp、周波数2200Hzの交番電界を重畳したものを用いた。この条件において、磁性トナー1を使用し、常温常湿環境下(温度23℃、湿度50%RH)及び高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度80%RH)において8ポイントのA文字を用い印字率を1%とした画像にて耐久試験を行った。間欠モードで1日あたり2,000枚耐久を行い、3日かけて6,000枚の耐久試験を行った。なお、記録媒体としてはA4の75g/m2の紙を使用した。その結果、耐久試験を通して廃トナーパンクの発生がなく、定着性も良好であった。耐久終了時の画像濃度は1.4以上であり、カブリの無い高品位な画像を得ることができた。常温常湿環境下での評価結果を表5に、高温高湿環境下での評価結果を表6に示す。
本発明の実施例、ならびに、比較例中に記載の評価項目とその判断基準について述べる。
(画像濃度)
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
(カブリ)
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通り。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上乃至2.5%未満)
C:普通(2.5%以上乃至4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
(低温定着性)
評価には、定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した改造定着器を用いた。常温常湿(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にてXerox64g/m2紙を用いて評価を行った。未定着画像のトナーのり量が0.6mg/cm2となるように調整した後、温度130乃至200℃の範囲を温度5℃間隔で設定した定着温度で、A4紙中に5cm角のベタ画像を9点出力させた。その画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5回往復し、濃度低下率が20%以上となる温度を定着下限温度として評価した。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、DおよびEは使用上問題となるレベルである。
A:定着下限温度が、155℃未満
B:定着下限温度が、155℃以上、170℃未満
C:定着下限温度が、170℃以上、185℃未満
D:定着下限温度が、185℃以上
(耐高温オフセット性)
評価には、定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した改造定着器を用いた。常温常湿(N/N:温度23.5℃,湿度60%RH)環境下にてXerox75g/m2紙を用いて評価を行った。未定着画像のトナーのり量が0.6mg/cm2となるように調整した後、170乃至200℃の範囲を温度5℃間隔で設定した定着温度で、A4横置きで先端から5cmの全域が画像濃度0.5のハーフトーン、それ以外がベタ白という画像を出力させた。この際の白地部に現れるオフセットのレベルを目視確認した。A,BおよびCは使用上問題とならないレベルであるが、DおよびEは使用上問題となるレベルである。
A:オフセットが全く発生しない
B:定着温度200℃で、A4縦置きで通紙した部分以外の端部にうっすらとオフセットが発生した。
C:定着温度200℃で、長手方向全域に、オフセットが発生した。
D:定着温度190℃で、長手方向全域に、オフセットが発生した。
<実施例2乃至10>
トナーとして、磁性トナー2乃至10を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験、定着性評価及び耐久性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題なく、印字6000枚までいずれも大きな問題のない結果が得られた。常温常湿環境下での評価結果を表5に、高温高湿環境下での評価結果を表6に示す。
<比較例1乃至4>
トナーとして、比較磁性トナー1乃至4を使用し、実施例1と同様の条件で画出し試験、定着性評価及び耐久性評価を行った。その結果、比較磁性トナー1、3については廃トナーパンクが発生し、耐久による濃度低下も著しかった。比較磁性トナー2については、耐高温オフセット性が悪かった。また比較磁性トナー4については、低温定着性が悪かった。常温常湿環境下での評価結果を表5に、高温高湿環境下での評価結果を表6に示す。
Figure 2009109824
Figure 2009109824
本発明の磁性トナーの、微小圧縮試験における荷重−変位曲線を表したグラフである。 本発明の実施例に用いた画像形成装置の一例を示す概略図である。 現像部の拡大図である。
符号の説明
100 感光体
102 現像スリーブ(トナー担持体)
114 転写帯電ローラー
116 クリーナ
117 一次帯電ローラー
121 レーザー発生装置
123 レーザー光
124 レジスタローラー
125 搬送ベルト
126 定着器
140 現像器
141 トナー塗布ローラ

Claims (9)

  1. 結着樹脂及び磁性粉体を少なくとも含有するトナー粒子を有する磁性トナーであって、
    前記磁性トナーのフローテスター昇温法による流出開始温度Tfb(℃)と1/2軟化温度T1/2(℃)とが、下記式(1)、(2)
    式(1) 75≦Tfb≦100
    式(2) 10≦T1/2−Tfb≦50
    を満たし、前記磁性トナーに対する微小圧縮試験において、磁性トナーの1粒子に負荷速度9.8×10-5N/secで荷重9.8×10-4Nを負荷した時の最大変位量X100(μm)と、前記トナーの個数平均粒径D1とが、下記式(3)
    式(3) X100/D1≦0.15
    の関係を満たすことを特徴とする磁性トナー。
  2. 前記磁性トナーのフローテスター昇温法による流出開始温度Tfb(℃)が下記式(4)
    式(4) 80≦Tfb≦98
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 前記磁性トナーの個数平均粒径D1が3.0μm以上8.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性トナー。
  4. 前記磁性トナーは、平均円形度が0.950以上1.000以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性トナー。
  5. 前記磁性トナーの5mol/l塩酸溶解時における、3分、15分時点での磁性体総含有量に対する溶解量S3(質量%)、S15(質量%)が下記式(5)、(6)
    式(5) 0.5≦S3≦10
    式(6) 40≦S15≦80
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性トナー。
  6. 前記磁性トナーは、該磁性トナー粒子が水系媒体中で製造されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁性トナー。
  7. 前記磁性トナーは、重合性単量体及び磁性粉体を少なくとも含有する単量体組成物を水系媒体中で重合することによって製造される磁性トナー粒子を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁性トナー。
  8. 前記磁性トナーの樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)不溶分が、樹脂成分に対して10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁性トナー。
  9. 前記磁性トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、メインピークの分子量Mpが10,000以上30,000以下、重量平均分子量Mwが80,000以上350,000以下、及び重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比で表される分子量分布Mw/Mnが4以上20以下であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の磁性トナー。
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