JP2018072534A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電立上り性に優れ、かつ、長期にわたって高画質の画像を形成できる静電潜像現像用トナーを提供する。【解決手段】静電潜像現像用トナーは、トナー母粒子11と、トナー母粒子11の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。外添剤は、複数の第1外添剤粒子12aと、それぞれ第1外添剤粒子12aよりも負に帯電し易い複数の第2外添剤粒子12bとを含む。複数の第1外添剤粒子12aと複数の第2外添剤粒子12bとは、トナー母粒子11側から、複数の第1外添剤粒子12a、複数の第2外添剤粒子12bの順に積み重なる態様で、トナー母粒子11の表面に存在する。ストレス付与前のトナーのゼータ電位ζAと、ストレス付与後のトナーのゼータ電位ζBとは、式(M1)及び(M2)を満たす。3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)0.0mV≦ζB−ζA …(M2)【選択図】図2
Description
本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
特許文献1には、疎水化処理された2種類のシリカ粉体(正帯電性シリカ粉体及び負帯電性シリカ粉体)を外添剤として含む非磁性1成分現像用トナーが開示されている。
特許文献1に記載される技術だけでは、帯電立上り性に優れ、かつ、長期にわたって高画質の画像を形成できる静電潜像現像用トナーを提供することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、帯電立上り性に優れ、かつ、長期にわたって高画質の画像を形成できる静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。前記外添剤は、複数の第1外添剤粒子と、それぞれ前記第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い複数の第2外添剤粒子とを含む。前記複数の第1外添剤粒子と前記複数の第2外添剤粒子とは、前記トナー母粒子側から、前記複数の第1外添剤粒子、前記複数の第2外添剤粒子の順に積み重なる態様で、前記トナー母粒子の表面に存在する。ストレス付与前の前記トナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含む前記トナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζAと、ストレス付与後の前記トナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含む前記トナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζBとは、下記式(M1)及び(M2)を満たす。
3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)
0.0mV≦ζB−ζA …(M2)
[前記トナーに対する前記ストレス付与は、個数平均1次粒子径50μmのフェライトキャリア100質量部と前記トナー10質量部との混合物を、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下でターブラーミキサーを用いて60分間攪拌することにより行われる。]
3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)
0.0mV≦ζB−ζA …(M2)
[前記トナーに対する前記ストレス付与は、個数平均1次粒子径50μmのフェライトキャリア100質量部と前記トナー10質量部との混合物を、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下でターブラーミキサーを用いて60分間攪拌することにより行われる。]
本発明によれば、帯電立上り性に優れ、かつ、長期にわたって高画質の画像を形成できる静電潜像現像用トナーを提供することが可能になる。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー母粒子、外添剤、又はトナー等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から平均的な粒子を相当数選び取って、それら平均的な粒子の各々について測定した値の個数平均である。また、酸価及び水酸基価の各々の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従って測定した値である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−750」)を用いて測定した値である。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、周知の帯電列などで確認できる。
疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。本願明細書中では、未処理のシリカ粒子も、シリカ基体(未処理のシリカ粒子)に表面処理を施して得たシリカ粒子(表面処理されたシリカ粒子)も、「シリカ粒子」と記載する。また、表面処理剤で疎水化されたシリカ粒子を、疎水性シリカ粒子と記載する場合がある。
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態のトナーは、複数のトナー粒子(それぞれ後述する構成を有する粒子)を含む粉体である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(より具体的には、ボールミル等)を用いてトナーとキャリアとを混合して2成分現像剤を調製してもよい。高画質の画像を形成するためには、キャリアとしてフェライトキャリア(フェライト粒子の粉体)を使用することが好ましい。また、長期にわたって高画質の画像を形成するためには、キャリアコアと、キャリアコアを被覆する樹脂層とを備える磁性キャリア粒子を使用することが好ましい。キャリア粒子に磁性を付与するためには、磁性材料(例えば、フェライトのような強磁性物質)でキャリアコアを形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリアコアを形成してもよい。また、キャリアコアを被覆する樹脂層中に磁性粒子を分散させてもよい。高画質の画像を形成するためには、2成分現像剤におけるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。なお、2成分現像剤に含まれる正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。
本実施形態に係るトナーは、複数のトナー粒子を含む粉体である。トナー粒子は、トナー母粒子と外添剤とを備える。トナー母粒子は、結着樹脂を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、結着樹脂以外に、内添剤(例えば、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有してもよい。外添剤は、トナー母粒子の表面に付着している。
本実施形態に係るトナーは、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、電子写真装置の像形成部(帯電装置及び露光装置)が、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。続けて、電子写真装置の現像装置(詳しくは、トナーを含む現像剤がセットされた現像装置)が、トナーを感光体に供給して、感光体に形成された静電潜像を現像する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ(例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部)上のトナー(例えば、キャリア又はブレードとの摩擦により帯電したトナー)が感光体に供給され、供給されたトナーが感光体の静電潜像に付着することで、感光体上にトナー像が形成される。消費されたトナーは、補給用トナーを収容するトナーコンテナから現像装置へ補給される。
続く転写工程では、電子写真装置の転写装置が、感光体上のトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、電子写真装置の定着装置(定着方式:加熱ローラー及び加圧ローラーによるニップ)によりトナーを加熱及び加圧して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。なお、転写方式は、感光体上のトナー像を、中間転写体を介さず、記録媒体に直接転写する直接転写方式であってもよい。また、定着方式は、ベルト定着方式であってもよい。
本実施形態に係るトナーは、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する静電潜像現像用トナーである。
(トナーの基本構成)
静電潜像現像用トナーが、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。外添剤は、複数の第1外添剤粒子と、それぞれ第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い複数の第2外添剤粒子とを含む。複数の第1外添剤粒子と複数の第2外添剤粒子とは、トナー母粒子側から、複数の第1外添剤粒子、複数の第2外添剤粒子の順に積み重なる態様で、トナー母粒子の表面に存在する。ストレス付与前のトナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含むトナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζAと、ストレス付与後のトナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含むトナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζBとは、下記式(M1)及び(M2)を満たす。
3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)
0.0mV≦ζB−ζA …(M2)
なお、トナーに対する上記ストレス付与は、個数平均1次粒子径50μmのフェライトキャリア100質量部とトナー10質量部との混合物を、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下でターブラーミキサーを用いて60分間攪拌することにより行われる。
静電潜像現像用トナーが、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。外添剤は、複数の第1外添剤粒子と、それぞれ第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い複数の第2外添剤粒子とを含む。複数の第1外添剤粒子と複数の第2外添剤粒子とは、トナー母粒子側から、複数の第1外添剤粒子、複数の第2外添剤粒子の順に積み重なる態様で、トナー母粒子の表面に存在する。ストレス付与前のトナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含むトナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζAと、ストレス付与後のトナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含むトナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζBとは、下記式(M1)及び(M2)を満たす。
3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)
0.0mV≦ζB−ζA …(M2)
なお、トナーに対する上記ストレス付与は、個数平均1次粒子径50μmのフェライトキャリア100質量部とトナー10質量部との混合物を、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下でターブラーミキサーを用いて60分間攪拌することにより行われる。
上記基本構成において、ゼータ電位の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。以下、上記基本構成で規定される「複数の第1外添剤粒子」及び「複数の第2外添剤粒子」をそれぞれ、包括的に「第1外添剤」及び「第2外添剤」と記載する場合がある。
トナーの帯電性(特に、帯電立上り性)が不十分である場合には、トナーが摩擦帯電しにくくなる。このため、トナーを摩擦帯電させても、静電潜像の現像のために十分な帯電量まで帯電しないトナー(以下、帯電不足のトナーと記載する場合がある)が多くなる。帯電不足のトナーは、かぶりの原因となる。以下、こうした帯電不足のトナーに起因して生じるかぶりを、正かぶりと記載する場合がある。また、帯電不足のトナーは、現像装置内に飛散し易く、現像性が低い。
また、現像装置にセットされたトナーは、静電潜像の現像に消費されるまでは現像装置中に残り、現像装置中で攪拌される。現像装置中でトナーが攪拌されると、トナーにストレスが付与される。このため、長期間にわたってトナーを使用すると、現像装置中のトナーが劣化する。劣化によりトナーの帯電性は弱くなる。このため、現像装置へ新しいトナーを補給すると、劣化したトナー(古いトナー)と、補給された新しいトナーとの間で、帯電性の強さに差が生じる。そして、これらトナー(新しいトナー及び古いトナー)が現像装置中で攪拌されると、これらトナーの摩擦により、古いトナーが逆極性(正帯電性トナーでは、負)に帯電し易くなる。以下、本来の極性とは逆の極性に帯電したトナーを、逆帯電トナーと記載する場合がある。逆帯電トナーは、かぶりの原因となる。以下、こうした逆帯電トナーに起因して生じるかぶりを、正かぶりとは区別して、逆かぶりと記載する場合がある。
初期のトナーの帯電性だけの調整であれば、一般的なトナーの設計手法(より具体的には、結着樹脂の選定、及び外添剤の量の調整等)により、比較的容易に所望の範囲に調整できる。しかし、初期のトナーの帯電性を、十分強い正帯電性(例えば、上記基本構成で規定されるゼータ電位ζAが3.0mV以上になるような帯電性)にすると、逆帯電トナー(ひいては、逆かぶり)が生じ易くなる。この理由は、古いトナーの帯電性が新しいトナーの帯電性に比べて弱くなり過ぎるからであると考えられる。
逆かぶりを抑制するために、初期のトナーの帯電性を弱い正帯電性(例えば、上記基本構成で規定されるゼータ電位ζAが2.5mVになるような帯電性)にすることも考えられる。しかし、こうした弱い正帯電性を有するトナーを用いて画像を形成した場合には、画像形成装置の始動時(例えば、朝一番の稼働時)、又は、画像形成装置を一定時間放置した後の再稼働時において、正かぶりを十分に抑制できないという課題が生じることが、本願発明者によって確認された(例えば、後述するトナーTB−4参照)。
前述の基本構成を有するトナーでは、外添剤が、複数の第1外添剤粒子と複数の第2外添剤粒子とを含む。第2外添剤粒子は、第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い。そして、複数の第1外添剤粒子と複数の第2外添剤粒子とは、トナー母粒子側から、複数の第1外添剤粒子、複数の第2外添剤粒子の順に積み重なる態様で、トナー母粒子の表面に存在する。初期のトナーにおいて、このような積重構造(下から1段目:第1外添剤粒子、下から2段目:第2外添剤粒子)がトナー母粒子の表面に存在することで、初期のトナーの帯電性を十分強い正帯電性(例えば、前述の基本構成で規定されるゼータ電位ζAが3.0mV以上になるような帯電性)にし、かつ、ストレス付与後においても十分なトナーの帯電性を確保することができることを、本願発明者が見出した。前述の基本構成を有するトナーは、式(M2)「0.0mV≦ζB−ζA」を満たす。すなわち、前述の基本構成を有するトナーは、ストレス付与後において、正帯電性が弱くならず、初期と同じか、又は初期よりも強い正帯電性を有する。以下、ストレス付与後のトナーのうち、ストレスが付与されることで、初期よりも強い正帯電性が付与されたトナーを、ストレス付与により劣化したトナーとは区別して、リフレッシュトナーと記載する場合がある。また、ストレス付与後のトナーのうち、ストレスが付与された後においても初期と同じ強さの正帯電性を維持しているトナーを、非劣化トナーと記載する場合がある。
前述の基本構成を有するトナーを画像形成装置で使用した場合、長期間にわたってトナーを使用しても、現像装置中には、主に、新しいトナーと同じ正帯電性を有するトナー(非劣化トナー)、又は新しいトナーよりも強い正帯電性を有するトナー(リフレッシュトナー)が存在すると考えられる。このため、現像装置へ新しいトナーを補給しても、逆帯電トナー(負に帯電するトナー)は生じにくいと考えられる。
以下、図1〜図3を参照して、前述の基本構成を有するトナーの構造の一例と、前述の積重構造(1段目:第1外添剤粒子、2段目:第2外添剤粒子)によって式(M1)及び(M2)の両方を満たすことが可能になる理由とについて、それぞれ説明する。なお、図1は、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の構造の一例を示す図である。図2及び図3はそれぞれ、図1に示されるトナー粒子の表面を拡大して示す図である。ただし、図2は、ストレス付与前の状態を示す図であり、図3は、ストレス付与後の状態を示す図である。
図1に示されるトナー粒子10は、トナー母粒子11と、複数の第1外添剤粒子12aと、複数の第2外添剤粒子12bとを備える。第2外添剤粒子12bは、第1外添剤粒子12aよりも負に帯電し易い粒子である。複数の第1外添剤粒子12aと複数の第2外添剤粒子12bとは、トナー母粒子11側から、複数の第1外添剤粒子12a、複数の第2外添剤粒子12bの順の積重構造を有する。詳しくは、図2に示すように、複数の第1外添剤粒子12aと複数の第2外添剤粒子12bとは、トナー母粒子11側から、複数の第1外添剤粒子12a、複数の第2外添剤粒子12bの順に積み重なる態様で、トナー母粒子11の表面に存在する。第1外添剤粒子12aは第2外添剤粒子12bよりもトナー母粒子11側に位置する。第1外添剤粒子12aは、トナー母粒子11の表面に付着している。第2外添剤粒子12bは、第1外添剤粒子12aの表面に付着している。ただし、トナー母粒子11の表面領域のうち第1外添剤粒子12aが存在しない領域においては、トナー母粒子11の表面に第2外添剤粒子12bが付着することがある。
図2に示すトナーにストレス(外力)が加わると、第1外添剤粒子12aよりも外側(上側)に位置する第2外添剤粒子12bが、トナー粒子10から脱離したり、第1外添剤粒子12aの上からずり落ちてトナー母粒子11の表面に付着したりする。ストレス付与後のトナーでは、図3に示すように、第2外添剤粒子12bで覆われていた第1外添剤粒子12a(すなわち、第2外添剤粒子12bで保護されていた第1外添剤粒子12a)が、第2外添剤粒子12bの移動により露出することになる。こうして新たに露出した第1外添剤粒子12aの表面は、摩擦帯電し易いため、トナーの正帯電性を強めるように作用すると考えられる。また、トナーにストレスが付与されることで、比較的強い負帯電性を有する第2外添剤粒子12bの数が、ストレス付与前よりも減る傾向がある。トナー母粒子11の表面に存在する第2外添剤粒子12bの数が減ると、相対的に第1外添剤粒子12aの影響が強くなり、トナーの正帯電性が強くなると考えられる。
前述の基本構成を有するトナーでは、上記のような積重構造(1段目:第1外添剤粒子、2段目:第2外添剤粒子)の作用により、式(M1)及び(M2)の両方を満たすことが可能になると考えられる。
例えば、次に示すような第1外添工程及び第2外添工程により、トナー母粒子の表面に、第1外添剤と第2外添剤との積重構造を形成することができる。第1外添工程では、トナー母粒子(粉体)と第1外添剤(第1外添剤粒子の粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に第1外添剤粒子が付着する。例えば、トナー母粒子(粉体)と第1外添剤とを強く攪拌することで、第1外添剤粒子の一部(底部)をトナー母粒子の表層部に埋め込み、トナー母粒子の表面に第1外添剤粒子を固定することができる。以下、表面に複数の第1外添剤粒子が付着したトナー母粒子(詳しくは、第1外添剤粒子を外添した後、かつ、第2外添剤粒子を外添する前のトナー母粒子)を、第1外添後トナー母粒子と記載する場合がある。続く第2外添工程では、第1外添後トナー母粒子(粉体)と第2外添剤(第2外添剤粒子の粉体)とを一緒に攪拌することで、ファンデルワールス力で第1外添後トナー母粒子の表面に第2外添剤粒子が付着する。また、第1外添剤粒子と第2外添剤粒子とは、互いに静電的な力によっても結合する。
第1外添剤及び第2外添剤に加えて、他の外添剤を、トナー母粒子の表面に付着させてもよい。他の外添剤は、第2外添工程において第2外添剤と一緒に外添してもよいし、第2外添工程の後の第3外添工程において、第2外添剤の上に積み重ねてもよい。
初期のトナーに対して過剰に強い正帯電性を有するリフレッシュトナーが生じると、現像装置へ補給された新しいトナーが逆帯電トナーになることも考えられる。逆帯電トナーの発生(ひいては、逆かぶりの発生)を抑制するためには、式(M2)に加えて、「ζB−ζA≦5.0mV」をさらに満たすことがより好ましい。
前述の基本構成で規定される「ζB−ζA」は、第1外添剤粒子及び第2外添剤粒子の各々の帯電性(特に、正帯電性の強さ)、及び第1外添剤粒子及び第2外添剤粒子の各々の量(特に、第1外添剤粒子の量に対する第2外添剤粒子の量の比率)などによって調整できる。外添剤粒子の帯電性は、基体の材料、表面処理の有無、及び表面処理剤の種類などによって調整できる。
また、前述の基本構成を有するトナーでは、初期のトナーの帯電性が強過ぎない(詳しくは、前述の基本構成で規定されるゼータ電位ζAが15.0mV以下である)ことで、十分高い画像濃度を有する画像を形成することが可能になる。
外添剤粒子の正帯電性の強さ(又は、負帯電性の強さ)は、外添剤粒子の分散液中で測定されるゼータ電位が0Vになる水性媒体のpH(以下、「外添剤の等電点を示すpH」と記載する場合がある)に基づいて判定できる。外添剤の等電点を示すpHの測定方法は、後述するゼータ電位ζA及びζBの測定方法に準ずる。外添剤の等電点を示すpHが高くなるほど、外添剤の正帯電性が強くなる傾向がある。前述の基本構成を有するトナーでは、第1外添剤の等電点を示すpHが8以上であり、第2外添剤の等電点を示すpHが6以下であることが好ましい。
トナーの第1の好適な例では、前述の基本構成において、トナー母粒子がポリエステル樹脂を含有し、第1外添剤粒子が、表面にアミノ基又はイミノ基を含む官能基を有するシリカ粒子であり、第2外添剤粒子が、表面にアミノ基及びイミノ基のいずれも有しないシリカ粒子である。第2外添剤粒子は、シリカ基体(未処理のシリカ粒子)であってもよいし、表面処理によりアミノ基及びイミノ基のいずれでもない官能基(例えば、疎水性の官能基)が付与されたシリカ粒子であってもよい。
トナーの第2の好適な例では、前述の基本構成において、トナー母粒子がポリエステル樹脂を含有し、第1外添剤粒子が、表面にアミノ基又はイミノ基を含む官能基を有するシリカ粒子であり、第2外添剤粒子が、表面にアミノ基及びイミノ基のいずれも有しない酸化チタン粒子である。第2外添剤粒子は、酸化チタン基体(未処理の酸化チタン粒子)であってもよいし、表面処理によりアミノ基及びイミノ基のいずれでもない官能基(例えば、疎水性の官能基)が付与された酸化チタン粒子であってもよい。
トナーの上記第1及び第2の好適な例では、トナー母粒子が適度な負帯電性を有し、第1外添剤粒子が適度な正帯電性を有し、第2外添剤粒子が適度な負帯電性を有する傾向がある。このため、トナー母粒子と第1外添剤粒子とを、静電的な引力で強く結合させることができる。また、第2外添剤粒子同士は、静電的な斥力で反発する。このため、複数の第2外添剤粒子を、トナー母粒子の表面に適度に分散させることができる。
トナーの上記第1の好適な例では、シリカ粒子のみ(詳しくは、2種類のシリカ粒子)でトナー母粒子の表面に積重構造を形成できるため、技術的にもコスト的にもトナーの製造が容易になり、トナーの生産性が向上する。また、トナーの上記第2の好適な例では、酸化チタン粒子によってトナーに研磨性を付与できる。
トナーが前述の基本構成における式(M1)及び(M2)を満たすためには、第2外添剤(複数の第2外添剤粒子)の量が、第1外添剤(複数の第1外添剤粒子)100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましい。第1外添剤でトナーの十分な正帯電性を確保しつつ、第1外添剤よりも少量の第2外添剤でトナーの正帯電性を適度に弱めることで、トナーの帯電性を好適に調整できる。また、第2外添剤の量が少ないことで、トナー母粒子の表面に適度に分散し易くなる。以下、第1外添剤の質量MAに対する第2外添剤の質量MBの比率(=MB/MA)を、外添剤比率と記載する場合がある。例えば、外添剤比率が0.10であることは、第1外添剤100質量部に対して、第2外添剤の量が10質量部であることを意味する。
主に第1外添剤及び第2外添剤によってトナーの帯電性を調整して、画像形成に適したトナーを得るためには、第1外添剤(複数の第1外添剤粒子)の量が、トナー母粒子(粉体)100質量部に対して、1.2質量部以上2.0質量部以下であり、第2外添剤(複数の第2外添剤粒子)の量が、トナー母粒子(粉体)100質量部に対して、0.1質量部以上0.6質量部以下であることが好ましい。
トナーが、前述の基本構成における式(M1)及び(M2)を満たし、かつ、十分な流動性を有するためには、第1外添剤(複数の第1外添剤粒子)の個数平均1次粒子径と第2外添剤(複数の第2外添剤粒子)の個数平均1次粒子径とがそれぞれ、5nm以上30nm以下であることが好ましい。
トナーの帯電安定性を向上させるためには、第1外添剤粒子及び第2外添剤粒子の各々の表面が、疎水化処理されていることが好ましい。それぞれ疎水化処理された第1外添剤(複数の第1外添剤粒子)と第2外添剤(複数の第2外添剤粒子)とが積み重なることで、トナー粒子の表面を長期にわたって疎水性の状態に保つことが可能になる。そのため、高温高湿環境下においても十分なトナーの帯電性を確保し易くなる。
トナー母粒子は、シェル層を備えないトナー母粒子(以下、非カプセルトナー母粒子と記載する)であってもよいし、シェル層を備えるトナー母粒子(以下、カプセルトナー母粒子と記載する)であってもよい。カプセルトナー母粒子は、結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアを覆うシェル層とを備える。非カプセルトナー母粒子(トナーコア)の表面にシェル層を形成することで、カプセルトナー母粒子を製造することができる。シェル層は、実質的に樹脂から構成される。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。シェル層は、トナーコアの表面全体を覆っていてもよいし、トナーコアの表面を部分的に覆っていてもよい。
非カプセルトナー母粒子は、例えば粉砕法又は凝集法により作製できる。これらの方法は、非カプセルトナー母粒子の結着樹脂中に内添剤を良好に分散させ易い。
粉砕法の一例では、まず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を混合する。続けて、得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕し、得られた粉砕物を分級する。これにより、所望の粒子径を有する非カプセルトナー母粒子が得られる。粉砕法を用いた場合には、凝集法を用いた場合よりも容易にトナー母粒子を作製できることが多い。
凝集法の一例では、まず、結着樹脂、離型剤、及び着色剤の各々の微粒子を含む水性媒体中で、これらの微粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含む凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。これにより、所望の粒子径を有する非カプセルトナー母粒子が得られる。
カプセルトナー母粒子を製造する場合、シェル層の形成方法は任意である。例えば、in−situ重合法、液中硬化被膜法、又はコアセルベーション法により、トナーコア(非カプセルトナー母粒子)の表面にシェル層を形成できる。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナーの体積中位径(D50)が4μm以上9μm以下であることが好ましい。
次に、非カプセルトナー母粒子(結着樹脂及び内添剤)及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、内添剤又は外添剤)を割愛してもよい。
[トナー母粒子]
(結着樹脂)
トナー母粒子では、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナー母粒子はアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基を有する場合には、トナー母粒子はカチオン性になる傾向が強くなる。
(結着樹脂)
トナー母粒子では、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナー母粒子はアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基を有する場合には、トナー母粒子はカチオン性になる傾向が強くなる。
結着樹脂の例としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)を使用してもよい。
結着樹脂としては、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。また、トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。トナー母粒子に結晶性ポリエステル樹脂を含有させることで、トナー母粒子にシャープメルト性を付与できる。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコール(より具体的には、以下に示すような、脂肪族ジオール、ビスフェノール、又は3価以上のアルコール等)と1種以上の多価カルボン酸(より具体的には、以下に示すような2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸等)とを縮重合させることで得られる。また、ポリエステル樹脂は、他のモノマー(多価アルコール及び多価カルボン酸のいずれでもないモノマー)に由来する繰返し単位を含んでいてもよい。
脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、α,ω−アルカンジオール(より具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、又は1,12−ドデカンジオール等)、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノールの好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、芳香族ジカルボン酸(より具体的には、フタル酸、テレフタル酸、又はイソフタル酸等)、α,ω−アルカンジカルボン酸(より具体的には、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,10−デカンジカルボン酸等)、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸等)、アルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸等)、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、又はシクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂としては、アルコール成分として、少なくともビスフェノール(より具体的には、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等)を含む非結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、1種以上のビスフェノールと1種以上の芳香族ジカルボン酸(より具体的には、テレフタル酸等)との重合体が特に好ましい。
十分なトナーの強度及び定着性を確保するためには、トナー母粒子に含有される非結晶性ポリエステル樹脂の、数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であり、かつ、分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)が9以上21以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、1種以上の炭素数2以上6以下のα,ω−アルカンジオール(例えば、炭素数2のエチレングリコール)と、1種以上の炭素数(2つのカルボキシル基の炭素を含む)6以上10以下のα,ω−アルカンジカルボン酸(例えば、炭素数8のスベリン酸)との重合体が挙げられる。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の量は、トナー母粒子中のポリエステル樹脂の総量(結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂との合計量)に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。例えば、トナー母粒子中のポリエステル樹脂の総量が100gである場合には、トナー母粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂の量が5g以上20g以下であることが好ましい。
トナー母粒子が適度なシャープメルト性を有するためには、トナー母粒子中に、結晶性指数0.90以上1.20以下の結晶性ポリエステル樹脂を含有させることが好ましい。樹脂の結晶性指数は、樹脂の融点(Mp)に対する樹脂の軟化点(Tm)の比率(=Tm/Mp)に相当する。非結晶性樹脂については、明確なMpを測定できないことが多い。樹脂のMp及びTmの各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。結晶性ポリエステル樹脂の結晶性指数は、結晶性ポリエステル樹脂を合成するための材料の種類又は使用量(配合比)を変更することで、調整できる。トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を1種類だけ含有してもよいし、2種以上の結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子が、融点(Mp)70℃以上85℃以下の結晶性ポリエステル樹脂を含有することが特に好ましい。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。画像形成に適したトナーを得るためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。画像形成に適したトナーを得るためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー母粒子は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としてはワックスが好ましい。ワックスの例としては、エステルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂ワックス(例えば、テフロン(登録商標)含有ワックス)、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、又はモンタンワックスが挙げられる。トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させるためには、エステルワックスが好ましい。エステルワックスとしては、天然エステルワックス(例えば、カルナウバワックス、又はライスワックス)、又は合成エステルワックスが挙げられる。これらの離型剤のなかでも、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、結着樹脂との相溶性を向上させるためには、トナー母粒子中に分散する離型剤が、例えば、エステルワックス(例えば、カルナウバワックス)、又はポリエチレンワックスであることが好ましい。結着樹脂がスチレン系樹脂又はその共重合体である場合、結着樹脂との相溶性を向上させるためには、トナー母粒子中に分散する離型剤が、例えば、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスであることが好ましい。1種類の離型剤を単独で使用してもよく、2種以上の離型剤を組み合わせて使用してもよい。結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子に負帯電性の電荷制御剤(より具体的には、有機金属錯体又はキレート化合物等)を含有させることで、トナー母粒子のアニオン性を強めることができる。また、トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤(より具体的には、ピリジン、ニグロシン、又は4級アンモニウム塩等)を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナー母粒子に電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナー母粒子は、磁性粉を含有してもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
トナー母粒子は、磁性粉を含有してもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナー母粒子の表面にシェル層を形成する場合に、トナー母粒子の表面に金属イオンが溶出すると、トナー母粒子同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナー母粒子同士の固着を抑制することができると考えられる。
[外添剤]
外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面(トナー粒子の表層部)のみに選択的に存在する。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させることができる。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、化学的ではなく物理的に結合する。トナー母粒子と外添剤粒子との結合の強さは、攪拌条件(より具体的には、攪拌時間、及び攪拌の回転速度等)、外添剤粒子の粒子径、外添剤粒子の形状、及び外添剤粒子の表面状態などによって調整できる。
外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面(トナー粒子の表層部)のみに選択的に存在する。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させることができる。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、化学的ではなく物理的に結合する。トナー母粒子と外添剤粒子との結合の強さは、攪拌条件(より具体的には、攪拌時間、及び攪拌の回転速度等)、外添剤粒子の粒子径、外添剤粒子の形状、及び外添剤粒子の表面状態などによって調整できる。
前述の基本構成を有するトナーでは、第2外添剤粒子は、第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い。第1外添剤(複数の第1外添剤粒子)と第2外添剤(複数の第2外添剤粒子)とは、トナー母粒子側から、複数の第1外添剤粒子、複数の第2外添剤粒子の順に積み重なる態様で、トナー母粒子の表面に存在する。また、トナー母粒子の表面に、第1外添剤及び第2外添剤に加えて、他の外添剤(複数の他の外添剤粒子)を付着させてもよい。他の外添剤粒子は、無機粒子であってもよいし、樹脂粒子であってもよい。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。トナーの流動性を向上させるためには、シリカ粒子を使用することが好ましい。トナーの研磨性を向上させるためには、酸化チタン粒子を使用することが好ましい。
外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はアルミネートカップリング剤等)、シラザン化合物(例えば、鎖状シラザン化合物又は環状シラザン化合物)、又はシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)を好適に使用できる。表面処理剤としては、シランカップリング剤又はシラザン化合物が特に好ましい。シランカップリング剤の好適な例としては、シラン化合物(より具体的には、メチルトリメトキシシラン、又はアミノシラン等)が挙げられる。シラザン化合物の好適な例としては、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)が挙げられる。シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数の水酸基(−OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、水酸基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。
例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いてシリカ基体の表面を処理した場合、シランカップリング剤の水酸基(例えば、水分によりシランカップリング剤のアルコキシ基が加水分解されて生成する水酸基)がシリカ基体の表面に存在する水酸基と脱水縮合反応(「A(シリカ基体)−OH」+「B(カップリング剤)−OH」→「A−O−B」+H2O)する。こうした反応により、アミノ基を有するシランカップリング剤とシリカとが化学結合することで、シリカ粒子の表面にアミノ基が付与される。より詳しくは、シリカ基体の表面に存在する水酸基が、端部にアミノ基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−(CH2)3−NH2等)に置換される。アミノ基が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い正帯電性を有する傾向がある。また、アルキル基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、上記脱水縮合反応により、シリカ基体の表面に存在する水酸基を、端部にアルキル基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−CH3等)に置換することができる。このように、親水性基(水酸基)の代わりに疎水性基(アルキル基)が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い疎水性を有する傾向がある。
また、鎖状シラザン化合物を用いてシリカ基体の表面を処理した場合、シラザン化合物中のイミノ基(−NH−)とシリカ基体の表面に存在する水酸基とが加水分解反応(「HO−A(シリカ基体)−OH」+「XA,YA,ZA−Si−NH−Si−XB,YB,ZB」(シラザン化合物)+H2O→「XA,YA,ZA−Si−O−A(シリカ基体)−O−Si−XB,YB,ZB」+NH3)する。こうした反応により、シリカ粒子の表面に所定の官能基を付与できる。例えば、表面処理剤としてHMDSを用いた場合には、シリカ基体の表面に存在する水酸基を、端部にアルキル基を有する官能基(トリメチルシリルオキシ基:−O−Si(CH3)3)に置換することができる。また、環状シラザン化合物を使用することで、シリカ基体の表面に存在する水酸基を、イミノ基(−NH−)を含む官能基(例えば、[ジメチル[2−メチル−3−(メチルアミノ)プロピル]シリル]オキシ基:−O−Si(CH3)2−CH2−CH(CH3)−CH2−NH−CH3)に置換することができる。イミノ基が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い正帯電性を有する傾向がある。シリカ粒子にイミノ基を付与するための環状シラザン化合物の好適な例としては、アザシラシクロアルカン(より具体的には、1−アザ−2−シラシクロペンタン等)もしくはその誘導体、又はジアザシラシクロアルカンもしくはその誘導体が挙げられる。アザシラシクロアルカンの誘導体の好適な例としては、アザシラシクロアルカンの環を構成するN原子、Si原子、及びC原子の少なくとも1つに1個以上のアルキル基及び/又は1個以上のアルコキシ基が付いたアザシラシクロアルカン誘導体(より具体的には、N−メチル−アザ−2,2,4−トリメチルシラシクロペンタン等)が挙げられる。ジアザシラシクロアルカンの誘導体の好適な例としては、ジアザシラシクロアルカンの環を構成するN原子、Si原子、及びC原子の少なくとも1つに1個以上のアルキル基及び/又は1個以上のアルコキシ基が付いたジアザシラシクロアルカン誘導体(より具体的には、2,2−ジメトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン等)が挙げられる。環状シラザンは、例えば、アミン(例えば、メチルアミン)と線状二官能性シランとの環化反応により合成することができる。また、環状シラザンは、アミノアルキルアルコキシシランの環化反応により調製されてもよい。
外添剤粒子として、導電層を備える外添剤粒子を使用してもよい。導電層は、例えばドーピングにより導電性が付与された金属酸化物(以下、ドーピング金属酸化物と記載する)の膜(より具体的には、SbドープSnO2膜等)である。また、導電層は、ドーピング金属酸化物以外の導電性材料(より具体的には、金属、炭素材料、又は導電性高分子等)を含む層であってもよい。
本発明の実施例について説明する。表1及び表2に、実施例又は比較例に係るトナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6(それぞれ静電潜像現像用トナー)を示す。表1中、第1外添剤及び第2外添剤の各々の量(単位:質量部)は、トナー母粒子100質量部に対する相対的な量を示している。
以下、トナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[トナーの製造方法]
(トナー母粒子の作製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、非結晶性ポリエステル樹脂(花王株式会社製「タフトン(登録商標)NE−410」)86質量部と、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)3質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)2質量部と、ポリマー型正帯電性電荷制御剤(藤倉化成株式会社製「アクリベ−ス(登録商標)FCA−201−PS」、成分:4級アンモニウム塩由来の繰返し単位を含むスチレン−アクリル酸系樹脂)4質量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)5質量部とを、回転速度2400rpmで180秒間混合した。
(トナー母粒子の作製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、非結晶性ポリエステル樹脂(花王株式会社製「タフトン(登録商標)NE−410」)86質量部と、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)3質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)2質量部と、ポリマー型正帯電性電荷制御剤(藤倉化成株式会社製「アクリベ−ス(登録商標)FCA−201−PS」、成分:4級アンモニウム塩由来の繰返し単位を含むスチレン−アクリル酸系樹脂)4質量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)5質量部とを、回転速度2400rpmで180秒間混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度150rpm、設定温度(シリンダー温度)150℃の条件で溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、粉砕機(旧東亜機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6.5μmのトナー母粒子(粉体)が得られた。
(第1外添工程)
続けて、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、上記のようにして得たトナー母粒子100質量部と、表1に示す種類及び量の第1外添剤(各トナーに定められた、外添剤P−1〜P−2及びN−1のいずれか)とを、回転速度3500rpmで5分間混合した。例えば、トナーTA−1の製造では、トナー母粒子100質量部と、第1外添剤(外添剤P−1)1.5質量部とを混合した。
続けて、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、上記のようにして得たトナー母粒子100質量部と、表1に示す種類及び量の第1外添剤(各トナーに定められた、外添剤P−1〜P−2及びN−1のいずれか)とを、回転速度3500rpmで5分間混合した。例えば、トナーTA−1の製造では、トナー母粒子100質量部と、第1外添剤(外添剤P−1)1.5質量部とを混合した。
外添剤P−1は、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA−200H」、内容:トリメチルシリル基とアミノ基とで表面修飾された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約12nm)であった。
外添剤P−2は、親水性フュームドシリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL200」、表面処理:なし、個数平均1次粒子径:12nm)であった。
外添剤N−1は、疎水性酸化チタン粒子(日本アエロジル株式会社製「VP NKT65」、表面処理剤:アルキルシラン、個数平均1次粒子径:約18nm)であった。
外添剤P−2は、親水性フュームドシリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL200」、表面処理:なし、個数平均1次粒子径:12nm)であった。
外添剤N−1は、疎水性酸化チタン粒子(日本アエロジル株式会社製「VP NKT65」、表面処理剤:アルキルシラン、個数平均1次粒子径:約18nm)であった。
外添剤P−1及びP−2はそれぞれ、外添剤N−1よりも強い正帯電性を有していた。
上記混合により、トナー母粒子の表面に第1外添剤(複数の第1外添剤粒子)が付着して、第1外添後トナー母粒子(表面に複数の第1外添剤粒子が付着したトナー母粒子)が得られた。
(第2外添工程)
続けて、第1外添後トナー母粒子が残っている状態の上記FMミキサーに、表1に示す量の第2外添剤(各トナーに定められた、外添剤N−1〜N−2のいずれか)を加えて、そのFMミキサーを用いて回転速度3500rpmでさらに5分間混合した。例えば、トナーTA−1の製造では、第1外添後トナー母粒子(トナー母粒子100質量部及び第1外添剤1.5質量部)と、第2外添剤(外添剤N−1)0.4質量部とを混合した。
続けて、第1外添後トナー母粒子が残っている状態の上記FMミキサーに、表1に示す量の第2外添剤(各トナーに定められた、外添剤N−1〜N−2のいずれか)を加えて、そのFMミキサーを用いて回転速度3500rpmでさらに5分間混合した。例えば、トナーTA−1の製造では、第1外添後トナー母粒子(トナー母粒子100質量部及び第1外添剤1.5質量部)と、第2外添剤(外添剤N−1)0.4質量部とを混合した。
外添剤N−1は、第1外添工程で使用した外添剤N−1と同じである。
外添剤N−2は、疎水性シリカ粒子(キャボット社製「CAB−O−SIL(登録商標)TS−820F」、内容:トリメチルシリルオキシ基と[ジメチル[2−メチル−3−(メチルアミノ)プロピル]シリル]オキシ基とで表面修飾された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約7nm)であった。
外添剤N−2は、疎水性シリカ粒子(キャボット社製「CAB−O−SIL(登録商標)TS−820F」、内容:トリメチルシリルオキシ基と[ジメチル[2−メチル−3−(メチルアミノ)プロピル]シリル]オキシ基とで表面修飾された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約7nm)であった。
外添剤P−1及びP−2はそれぞれ、外添剤N−2よりも強い正帯電性を有していた。
上記混合により、第1外添後トナー母粒子の表面に第2外添剤(複数の第2外添剤粒子)が付着した。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、多数のトナー粒子を含むトナー(表1に示されるトナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6)が得られた。
上記のようにして得られたトナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6の各々に関して、ゼータ電位ζA及びζBを測定した結果は、表1に示すとおりであった。詳しくは、ストレス付与される前のトナー(以下、初期トナーと記載する)と、ストレス付与された後のトナー(以下、攪拌後トナーと記載する)との各々について、ゼータ電位ζA及びζBをそれぞれ測定した。トナーに対するストレス付与の方法、及びゼータ電位の測定方法を、以下に示す。
<ストレス付与の方法>
Mn−Mg−Srフェライトキャリア(パウダーテック株式会社製「EF−50」、個数平均粒子径50μm)100質量部と試料(初期トナー)10質量部との混合物を、温度23℃かつ50%RHの環境下でシェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラーミキサーT2F」)を用いて60分間攪拌した。その後、吸引分離(詳しくは、メッシュ越しの吸引)により、フェライトキャリアとトナーとの混合物からトナーのみを分離回収して、攪拌後トナーを得た。
Mn−Mg−Srフェライトキャリア(パウダーテック株式会社製「EF−50」、個数平均粒子径50μm)100質量部と試料(初期トナー)10質量部との混合物を、温度23℃かつ50%RHの環境下でシェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラーミキサーT2F」)を用いて60分間攪拌した。その後、吸引分離(詳しくは、メッシュ越しの吸引)により、フェライトキャリアとトナーとの混合物からトナーのみを分離回収して、攪拌後トナーを得た。
<ゼータ電位の測定方法>
イオン交換水98gに、1gの試料(初期トナー又は攪拌後トナー)と、ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の濃度10質量%水溶液2gとを入れた。そして、超音波分散機(超音波工業株式会社製「ウルトラソニックミニウェルダーP128」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて1分間の超音波処理を行うことにより、液中に試料(初期トナー又は攪拌後トナー)を分散させた。これにより、分散媒(ノニオン界面活性剤を含む水性媒体)の質量(100g)に対して1質量%の割合でトナー(初期トナー又は攪拌後トナー)を含むトナー分散液が得られた。続けて、得られたトナー分散液のpHを、1N−塩酸を用いて5に調整し、pH5のトナー分散液を得た。そして、pH5のトナー分散液を測定対象として、電気泳動法(より詳しくは、レーザードップラー方式の電気泳動法)により、試料のゼータ電位を測定した。詳しくは、温度23℃かつpH5の分散液中の試料(初期トナー又は攪拌後トナー)のゼータ電位を、レーザードップラー方式のゼータ電位計(大塚電子株式会社製「ELSZ−1000」)を用いて測定した。
イオン交換水98gに、1gの試料(初期トナー又は攪拌後トナー)と、ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の濃度10質量%水溶液2gとを入れた。そして、超音波分散機(超音波工業株式会社製「ウルトラソニックミニウェルダーP128」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて1分間の超音波処理を行うことにより、液中に試料(初期トナー又は攪拌後トナー)を分散させた。これにより、分散媒(ノニオン界面活性剤を含む水性媒体)の質量(100g)に対して1質量%の割合でトナー(初期トナー又は攪拌後トナー)を含むトナー分散液が得られた。続けて、得られたトナー分散液のpHを、1N−塩酸を用いて5に調整し、pH5のトナー分散液を得た。そして、pH5のトナー分散液を測定対象として、電気泳動法(より詳しくは、レーザードップラー方式の電気泳動法)により、試料のゼータ電位を測定した。詳しくは、温度23℃かつpH5の分散液中の試料(初期トナー又は攪拌後トナー)のゼータ電位を、レーザードップラー方式のゼータ電位計(大塚電子株式会社製「ELSZ−1000」)を用いて測定した。
また、表1中の数値に基づき、外添剤比率(第1外添剤の質量MAに対する第2外添剤の質量MBの比率)と、ζB−ζA(ゼータ電位ζBからゼータ電位ζAを引いた値)とを算出した結果を、表2に示す。例えば、トナーTA−1では、ゼータ電位ζAが+9.6mVであり、ゼータ電位ζBが+10.8mVであり、「ζB−ζA」が+1.2mVであり、外添剤比率が0.27(=0.4/1.5)であった。
[評価方法]
各試料(トナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6)の評価方法は、以下のとおりである。
各試料(トナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6)の評価方法は、以下のとおりである。
(評価用キャリアの作製)
ポリアミドイミド樹脂30gに水2Lを加えて樹脂溶液を調製した。続けて、得られた樹脂溶液に、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gと、酸化ケイ素3gとを分散させて、キャリアコート液を得た。続けて、流動層被覆装置を用いて、ノンコートフェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35B」、粒子径35μm)10kgを上記キャリアコート液で被覆した。その後、樹脂で被覆されたフェライト粒子を250℃で1時間焼成した。その結果、評価用キャリアが得られた。
ポリアミドイミド樹脂30gに水2Lを加えて樹脂溶液を調製した。続けて、得られた樹脂溶液に、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gと、酸化ケイ素3gとを分散させて、キャリアコート液を得た。続けて、流動層被覆装置を用いて、ノンコートフェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35B」、粒子径35μm)10kgを上記キャリアコート液で被覆した。その後、樹脂で被覆されたフェライト粒子を250℃で1時間焼成した。その結果、評価用キャリアが得られた。
(評価用現像剤の調製)
試料(トナー)30gと、上述のようにして調製した評価用キャリア300gとを、ポリエチレン製容器に入れた状態で、シェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラーミキサーT2F」)を用いて30分間混合して、評価用現像剤(2成分現像剤)を調製した。
試料(トナー)30gと、上述のようにして調製した評価用キャリア300gとを、ポリエチレン製容器に入れた状態で、シェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラーミキサーT2F」)を用いて30分間混合して、評価用現像剤(2成分現像剤)を調製した。
(評価機の準備)
評価機として、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を用いた。上記のようにして調製した評価用現像剤を評価機の現像装置に投入し、試料(補給用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
評価機として、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を用いた。上記のようにして調製した評価用現像剤を評価機の現像装置に投入し、試料(補給用トナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
(逆かぶり)
前述の手順で準備された評価機を用いて、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で10000枚連続印刷する第1耐刷試験と、印字率2.0%で2000枚連続印刷する第2耐刷試験と、印字率20%で1000枚連続印刷する第3耐刷試験とを、この順で行った。第3耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(1000枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
前述の手順で準備された評価機を用いて、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で10000枚連続印刷する第1耐刷試験と、印字率2.0%で2000枚連続印刷する第2耐刷試験と、印字率20%で1000枚連続印刷する第3耐刷試験とを、この順で行った。第3耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(1000枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
逆かぶりの評価基準は、次のとおりである。
○(良い):かぶり濃度(FD)が0.010以下であった。
×(良くない):かぶり濃度(FD)が0.010超であった。
○(良い):かぶり濃度(FD)が0.010以下であった。
×(良くない):かぶり濃度(FD)が0.010超であった。
(正かぶり及び画像濃度)
前述の手順で準備された評価機を用いて、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で1000枚連続印刷する第1耐刷試験を行った。第1耐刷試験の後、同一環境(上記常温常湿環境)下において、評価機を24時間静置した。その後、同一環境(上記常温常湿環境)下において、評価機を用いて、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で50枚連続印刷する第2耐刷試験を行った。第2耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(50枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
前述の手順で準備された評価機を用いて、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で1000枚連続印刷する第1耐刷試験を行った。第1耐刷試験の後、同一環境(上記常温常湿環境)下において、評価機を24時間静置した。その後、同一環境(上記常温常湿環境)下において、評価機を用いて、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で50枚連続印刷する第2耐刷試験を行った。第2耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(50枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
また、第2耐刷試験の後、上記評価機を用いて、ソリッド部と空白部とを含むサンプル画像を評価用紙に印刷した。そして、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて、印刷された評価用紙におけるサンプル画像のソリッド部の反射濃度(ID:画像濃度)を測定した。
正かぶりの評価基準は、次のとおりである。
○(良い):かぶり濃度(FD)が0.010以下であった。
×(良くない):かぶり濃度(FD)が0.010超であった。
○(良い):かぶり濃度(FD)が0.010以下であった。
×(良くない):かぶり濃度(FD)が0.010超であった。
画像濃度の評価基準は、次のとおりである。
○(良い):画像濃度(ID)が1.0以上であった。
×(良くない):画像濃度(ID)が1.0未満であった。
○(良い):画像濃度(ID)が1.0以上であった。
×(良くない):画像濃度(ID)が1.0未満であった。
[評価結果]
トナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6の各々について、逆かぶり(かぶり濃度)、正かぶり(かぶり濃度)、及び画像濃度(○:1.0以上、×:1.0未満)を評価した結果を、表3に示す。
トナーTA−1〜TA−7及びTB−1〜TB−6の各々について、逆かぶり(かぶり濃度)、正かぶり(かぶり濃度)、及び画像濃度(○:1.0以上、×:1.0未満)を評価した結果を、表3に示す。
トナーTA−1〜TA−7(実施例1〜7に係るトナー)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、トナーTA−1〜TA−7ではそれぞれ、トナー母粒子の表面に付着した外添剤が、複数の第1外添剤粒子(外添剤P−1又はP−2)と、それぞれ第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い複数の第2外添剤粒子(外添剤N−1又はN−2)とを含んでいた(表1参照)。複数の第1外添剤粒子と複数の第2外添剤粒子とは、トナー母粒子側から、複数の第1外添剤粒子、複数の第2外添剤粒子の順に積み重なる態様で、トナー母粒子の表面に存在していた。ゼータ電位ζA(ストレス付与前のトナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含むトナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位)とゼータ電位ζB(ストレス付与後のトナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含むトナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位)とは、下記式(M1)及び(M2)を満たしていた(表1及び表2参照)。
3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)
0.0mV≦ζB−ζA …(M2)
3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)
0.0mV≦ζB−ζA …(M2)
レーザードップラー方式のゼータ電位計(大塚電子株式会社製「ELSZ−1000」)を用いて、前述のゼータ電位ζA及びζBの測定方法に準ずる方法で測定した結果、外添剤P−1及びP−2の各々の等電点を示すpHは8以上であり、外添剤N−1及びN−2の各々の等電点を示すpHは6以下であった。等電点を示すpHの測定では、水性媒体(詳しくは、ノニオン界面活性剤を含む水性媒体)に外添剤を分散させて、外添剤の分散液を得た。続けて、1N−塩酸を用いて、外添剤の分散液のpHを3(最初の測定pH)に調整した後、分散液中の外添剤のゼータ電位を測定した。続けて、1N−水酸化ナトリウム水溶液を用いて、外添剤の分散液のpHを、次のpH値(測定pH)まで上昇させた。こうしたpHの調整とゼータ電位の測定とを繰り返しながら、pH3〜10の範囲についてゼータ電位の測定を行い、外添剤の等電点を示すpHを求めた。
表3に示されるように、トナーTA−1〜TA−7は、帯電立上り性に優れていた。また、トナーTA−1〜TA−7は、長期にわたって高画質の画像を形成できた。
本発明に係る静電潜像現像用トナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
10 トナー粒子
11 トナー母粒子
12a 第1外添剤粒子
12b 第2外添剤粒子
11 トナー母粒子
12a 第1外添剤粒子
12b 第2外添剤粒子
Claims (7)
- トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む静電潜像現像用トナーであって、
前記外添剤は、複数の第1外添剤粒子と、それぞれ前記第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い複数の第2外添剤粒子とを含み、
前記複数の第1外添剤粒子と前記複数の第2外添剤粒子とは、前記トナー母粒子側から、前記複数の第1外添剤粒子、前記複数の第2外添剤粒子の順に積み重なる態様で、前記トナー母粒子の表面に存在し、
ストレス付与前の前記トナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含む前記トナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζAと、ストレス付与後の前記トナーを分散媒の質量に対して1質量%の割合で含む前記トナーの分散液についてpH5の条件で測定されるゼータ電位ζBとは、下記式(M1)及び(M2)を満たす、静電潜像現像用トナー。
3.0mV≦ζA≦15.0mV …(M1)
0.0mV≦ζB−ζA …(M2)
[前記トナーに対する前記ストレス付与は、個数平均1次粒子径50μmのフェライトキャリア100質量部と前記トナー10質量部との混合物を、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下でターブラーミキサーを用いて60分間攪拌することにより行われる。] - 前記トナー母粒子は、ポリエステル樹脂を含有し、
前記第1外添剤粒子は、表面にアミノ基又はイミノ基を含む官能基を有するシリカ粒子であり、
前記第2外添剤粒子は、表面にアミノ基及びイミノ基のいずれも有しないシリカ粒子である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記トナー母粒子は、ポリエステル樹脂を含有し、
前記第1外添剤粒子は、表面にアミノ基又はイミノ基を含む官能基を有するシリカ粒子であり、
前記第2外添剤粒子は、表面にアミノ基及びイミノ基のいずれも有しない酸化チタン粒子である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記複数の第2外添剤粒子の量は、前記複数の第1外添剤粒子100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下である、請求項2又は3に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記複数の第1外添剤粒子の量は、前記トナー母粒子100質量部に対して、1.2質量部以上2.0質量部以下であり、
前記複数の第2外添剤粒子の量は、前記トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上0.6質量部以下である、請求項4に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記複数の第1外添剤粒子の個数平均1次粒子径と前記複数の第2外添剤粒子の個数平均1次粒子径とはそれぞれ、5nm以上30nm以下である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記第1外添剤粒子及び前記第2外添剤粒子の各々の表面は、疎水化処理されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電潜像現像用トナー。
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WO2020045037A1 (ja) * | 2018-08-29 | 2020-03-05 | 信越化学工業株式会社 | 正帯電型疎水性球状シリカ粒子、その製造方法及びそれを用いた正帯電トナー組成物 |
-
2016
- 2016-10-28 JP JP2016211389A patent/JP2018072534A/ja active Pending
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WO2020045037A1 (ja) * | 2018-08-29 | 2020-03-05 | 信越化学工業株式会社 | 正帯電型疎水性球状シリカ粒子、その製造方法及びそれを用いた正帯電トナー組成物 |
JP2020033223A (ja) * | 2018-08-29 | 2020-03-05 | 信越化学工業株式会社 | 正帯電型疎水性球状シリカ粒子、その製造方法及びそれを用いた正帯電トナー組成物 |
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