JP2019012166A - 静電潜像現像用現像剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】補給かぶり及び放置かぶりの両方を抑制して、高画質の画像を継続的に形成できる静電潜像現像用現像剤を提供する。【解決手段】静電潜像現像用現像剤は、トナー及びキャリアを含む。トナーは、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。キャリアは、複数のキャリア粒子を含む。外添剤は、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第1外添剤粒子の粉体と、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第2外添剤粒子の粉体とを含む。第2外添剤粒子は、第1外添剤粒子よりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有する。トナー外添比率A1/A2とキャリア移行比率C1/C2とが、下記式(M3)及び(M4)を満たす。0.80×(A1/A2)≦(C1/C2) …(M3)1.20×(A1/A2)≧(C1/C2) …(M4)【選択図】図1
Description
本発明は、静電潜像現像用現像剤に関する。
特許文献1には、疎水化処理された2種類のシリカ粉体(正帯電性シリカ粉体及び負帯電性シリカ粉体)を外添剤として含む非磁性1成分現像用トナーが開示されている。
特許文献1に記載される技術だけでは、補給かぶり及び放置かぶりの両方を抑制して、高画質の画像を継続的に形成できる静電潜像現像用現像剤を提供することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、補給かぶり及び放置かぶりの両方を抑制して、高画質の画像を継続的に形成できる静電潜像現像用現像剤を提供することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用現像剤は、トナー及びキャリアを含む。トナーは、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。キャリアは、複数のキャリア粒子を含む。前記外添剤は、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第1外添剤粒子の粉体と、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第2外添剤粒子の粉体とを含む。前記第2外添剤粒子は、前記第1外添剤粒子よりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有する。前記第1外添剤粒子の総質量A1と、前記第2外添剤粒子の総質量A2と、前記キャリア粒子に付着している前記第1外添剤粒子の質量SAと、前記キャリア粒子に付着している前記第2外添剤粒子の質量TAと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後に前記キャリア粒子に付着している前記第1外添剤粒子の質量SBと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後に前記キャリア粒子に付着している前記第2外添剤粒子の質量TBとが、下記式(M1)〜(M4)を満たす。
C1=SB−SA …(M1)
C2=TB−TA …(M2)
0.80×(A1/A2)≦(C1/C2) …(M3)
1.20×(A1/A2)≧(C1/C2) …(M4)
C1=SB−SA …(M1)
C2=TB−TA …(M2)
0.80×(A1/A2)≦(C1/C2) …(M3)
1.20×(A1/A2)≧(C1/C2) …(M4)
本発明によれば、補給かぶり及び放置かぶりの両方を抑制して、高画質の画像を継続的に形成できる静電潜像現像用現像剤を提供することが可能になる。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナー母粒子、外添剤、トナー、又はキャリア等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、その粉体に含まれる相当数の粒子について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−750」)を用いて測定した値である。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、周知の帯電列などで確認できる。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。本願明細書中では、未処理のシリカ粒子(以下、「シリカ基体」と記載する)も、シリカ基体に表面処理を施して得たシリカ粒子(表面処理されたシリカ粒子)も、「シリカ粒子」と記載する。また、表面処理剤で疎水化されたシリカ粒子を、「疎水性シリカ粒子」と記載する場合がある。また、表面処理剤で正帯電性が強められたシリカ粒子を、「正帯電性シリカ粒子」と記載する場合がある。未処理の酸化チタン粒子(以下、「酸化チタン基体」と記載する)も、酸化チタン基体に表面処理を施して得た酸化チタン粒子(表面処理された酸化チタン粒子)も、「酸化チタン粒子」と記載する。また、表面処理剤で疎水化された酸化チタン粒子を、「疎水性酸化チタン粒子」と記載する場合がある。
本実施形態に係る現像剤は、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、電子写真装置の像形成部(例えば、帯電装置及び露光装置)が、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。続けて、電子写真装置の現像装置(詳しくは、トナーとキャリアとを含む現像剤がセットされた現像装置)が、トナーを感光体に供給して、感光体に形成された静電潜像を現像する。トナーは、感光体に供給される前に、現像装置内で、キャリアとの摩擦により帯電する。例えば、正帯電性トナーは正に帯電する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ(例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部)上のトナー(詳しくは、帯電したトナー)が感光体に供給され、供給されたトナーが感光体の静電潜像に付着することで、感光体上にトナー像が形成される。消費されたトナーは、補給用トナーを収容するトナーコンテナから現像装置へ補給される。
続く転写工程では、電子写真装置の転写装置が、感光体上のトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、電子写真装置の定着装置(定着方式:加熱ローラー及び加圧ローラーによるニップ定着)がトナーを加熱及び加圧して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。転写工程の後、感光体上に残ったトナーは、クリーニング部材(例えば、クリーニングブレード)により除去される。なお、転写方式は、感光体上のトナー像を、中間転写体を介さず、記録媒体に直接転写する直接転写方式であってもよい。また、定着方式は、ベルト定着方式であってもよい。
本実施形態に係る現像剤は、2成分現像剤である。2成分現像剤は、トナーとキャリアとを含む。トナーは、多数のトナー粒子から構成される粉体である。キャリアは、多数のキャリア粒子から構成される粉体である。2成分現像剤に含まれるトナーは、例えば正帯電性トナーとして用いることができる。正帯電性トナーは、キャリアと一緒に攪拌されることで、キャリアとの摩擦により正に帯電する。キャリアに含まれるキャリア粒子は、磁性を有する。キャリア粒子に磁性を付与するためには、磁性材料(例えば、フェライトのような強磁性物質)でキャリア粒子の少なくとも一部を形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリア粒子の少なくとも一部を形成してもよい。
本実施形態に係る現像剤は、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する静電潜像現像用現像剤である。
(現像剤の基本構成)
現像剤が、トナー及びキャリアを含む。トナーは、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。キャリアは、複数のキャリア粒子を含む。外添剤は、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第1外添剤粒子の粉体と、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第2外添剤粒子の粉体とを含む。個数平均1次粒子径は、顕微鏡を用いて撮影した粒子投影像における1次粒子の円相当径の個数平均値である。第2外添剤粒子は、第1外添剤粒子よりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有する。第1外添剤粒子の総質量A1と、第2外添剤粒子の総質量A2と、キャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SAと、キャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TAと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SBと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TBとが、第1外添剤粒子の総質量A1と、第2外添剤粒子の総質量A2と、キャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SAと、キャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TAと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SBと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TBとが、下記式(M1)〜(M4)を満たす。
C1=SB−SA …(M1)
C2=TB−TA …(M2)
0.80×(A1/A2)≦(C1/C2) …(M3)
1.20×(A1/A2)≧(C1/C2) …(M4)
現像剤が、トナー及びキャリアを含む。トナーは、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。キャリアは、複数のキャリア粒子を含む。外添剤は、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第1外添剤粒子の粉体と、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第2外添剤粒子の粉体とを含む。個数平均1次粒子径は、顕微鏡を用いて撮影した粒子投影像における1次粒子の円相当径の個数平均値である。第2外添剤粒子は、第1外添剤粒子よりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有する。第1外添剤粒子の総質量A1と、第2外添剤粒子の総質量A2と、キャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SAと、キャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TAと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SBと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TBとが、第1外添剤粒子の総質量A1と、第2外添剤粒子の総質量A2と、キャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SAと、キャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TAと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量SBと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後にキャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量TBとが、下記式(M1)〜(M4)を満たす。
C1=SB−SA …(M1)
C2=TB−TA …(M2)
0.80×(A1/A2)≦(C1/C2) …(M3)
1.20×(A1/A2)≧(C1/C2) …(M4)
以下、未使用状態(例えば、製品販売時)の現像剤を「初期現像剤」と、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後の現像剤を「攪拌後現像剤」と、それぞれ記載する場合がある。また、上記基本構成で規定される「第1外添剤粒子の粉体」及び「第2外添剤粒子の粉体」をそれぞれ、包括的に「第1外添剤」及び「第2外添剤」と記載する場合がある。
上記基本構成において、A1は、初期現像剤に含まれる全ての第1外添剤粒子の総質量である。A2は、初期現像剤に含まれる全ての第2外添剤粒子の総質量である。以下、上記基本構成において、A1を「第1トナー外添量」と、A2を「第2トナー外添量」と、それぞれ記載する場合がある。また、第1トナー外添量A1を第2トナー外添量A2で除した値「A1/A2」を、「トナー外添比率」と記載する場合がある。
上記基本構成において、SAは、初期現像剤においてキャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量である。TAは、初期現像剤においてキャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量である。以下、上記基本構成において、SAを「初期キャリア第1外添量」と、TAを「初期キャリア第2外添量」と、それぞれ記載する場合がある。
上記基本構成において、SBは、攪拌後現像剤に含まれるキャリア粒子に付着している第1外添剤粒子の質量である。TBは、攪拌後現像剤に含まれるキャリア粒子に付着している第2外添剤粒子の質量である。以下、上記基本構成において、SBを「攪拌後キャリア第1外添量」と、TBを「攪拌後キャリア第2外添量」と、それぞれ記載する場合がある。
以下、上記基本構成において、SBからSAを減算した値C1(=SB−SA)を「第1キャリア移行量」と、TBからTAを減算した値C2(=TB−TA)を「第2キャリア移行量」と、それぞれ記載する場合がある。また、第1キャリア移行量C1を第2キャリア移行量C2で除した値「C1/C2」を、「キャリア移行比率」と記載する場合がある。
また、キャリア移行比率「C1/C2」をトナー外添比率「A1/A2」で除した値「(C1/C2)/(A1/A2)」を、「外添比率変動指数」と記載する場合がある。
初期現像剤においては、トナー粒子から外添剤がほとんど脱離していない。初期現像剤においてトナー粒子から脱離している外添剤の量は、例えば、初期現像剤中の全ての外添剤の質量に対して3質量%以下である。このため、トナー外添比率A1/A2は、初期現像剤中でトナー粒子の表面に付着している第1外添剤粒子の質量と第2外添剤粒子の質量との比率(詳しくは、第2外添剤粒子の質量に対する第1外添剤粒子の質量の比率)に概ね一致する傾向がある。
第1キャリア移行量C1、第2キャリア移行量C2はそれぞれ、現像剤が攪拌されることによってトナー粒子からキャリア粒子に移行した外添剤(第1外添剤粒子、第2外添剤粒子)の質量に概ね一致する傾向がある。また、キャリア移行比率C1/C2は、攪拌による第1外添剤粒子の移行量と、攪拌による第2外添剤粒子の移行量との比率(詳しくは、第2外添剤粒子の移行量に対する第1外添剤粒子の移行量の比率)に概ね一致する傾向がある。
2成分現像剤(キャリア及びトナー)においては、キャリアとトナーとの摩擦により、トナーが帯電する。正帯電性トナーは、正に帯電する。初期のトナーの帯電性だけの調整であれば、一般的なトナーの設計手法(より具体的には、結着樹脂の選定、及び外添剤の量の調整等)により、比較的容易に所望の範囲に調整できる。しかし、連続印刷において、現像装置内でのトナーの帯電性の変動を抑制することは難しい。
例えば、トナーの正帯電性を強めるために、表面処理剤で正帯電化されたシリカ粒子(外添剤)をトナー粒子の表面に付与することがある。表面処理剤(例えば、アミノシラン化合物)を用いて、シリカ粒子の表面にアミノ基を付与することで、強い正帯電性を有する正帯電性シリカ粒子が得られる。現像装置内でトナーとキャリアとが攪拌されることにより、正帯電性シリカ粒子は正に帯電する。また、現像装置内での攪拌によりトナーがストレスを受けると、トナー粒子からシリカ粒子が脱離することがある。正帯電したシリカ粒子がトナー粒子から脱離すると、シリカ粒子がキャリア粒子の表面に付着する現象(以下、「キャリア汚染」と記載する)が起きる。キャリア汚染が生じると、トナーの帯電性とキャリアの帯電付与性とがそれぞれ変動する。
トナー粒子からキャリア粒子に移行したシリカ粒子は、キャリア粒子の表面に存在し、キャリア粒子の帯電付与性を弱めるように作用する傾向がある。また、トナー粒子に正帯電性を付与していたシリカ粒子がトナー粒子から脱離することで、トナー粒子の正帯電性が弱くなる傾向がある。連続印刷において、現像装置内でのトナーの帯電性の変動及び/又はキャリアの帯電付与性の変動が大きくなると、補給かぶりが生じ易くなる。補給かぶりは、現像装置内へトナーを補給した時にトナーの帯電不良に起因して生じるかぶりである。
画像形成装置の始動時(例えば、朝一番の稼働時)、及び、画像形成装置を一定時間放置した後の再稼働時に、トナーを十分に帯電させることができない場合には、帯電不足のトナーの存在により、かぶりが生じ易くなる。以下、こうしたかぶりを、上記補給かぶりとは区別して、放置かぶりと記載する。2成分現像剤におけるトナーの帯電立ち上がり性及び電荷保持性が不十分である場合には、帯電不足のトナーの存在により、放置かぶりが生じ易くなる。
本願発明者は、2種類の外添剤粒子(詳しくは、正帯電性の外添剤粒子、及び負帯電性の外添剤粒子)を使用することで、キャリア汚染によるトナーの帯電性とキャリアの帯電付与性との各々の変動を抑制することを考えついた。この方法を試してみたところ、確かに、トナーの帯電性とキャリアの帯電付与性との各々の変動は抑制される傾向があった。しかし、上記2種類の外添剤粒子を備えるトナー粒子の粉体を含む2成分現像剤を長期にわたって使用すると、トナーの帯電性とキャリアの帯電付与性との各々の変動が生じることが、本願発明者の実験によって分かっている。この理由は、正帯電性の外添剤粒子と負帯電性の外添剤粒子とでは、キャリアへの移行し易さが異なるからであると考えられる。例えば、正帯電性トナーを含む2成分現像剤では、トナーを正に帯電させるために負帯電性キャリアが使用される。負に帯電したキャリアには、正に帯電した外添剤粒子が静電引力により引き寄せられる。このため、正帯電性トナーを含む2成分現像剤では、負帯電性の外添剤粒子よりも正帯電性の外添剤粒子の方がキャリアへ移行し易い。
本願発明者は、自らの実験等から得た上記知見に基づき、前述の基本構成を有する現像剤を発明した。詳しくは、前述の基本構成を有する現像剤では、トナー母粒子の表面に、第1外添剤粒子(詳しくは、第2外添剤粒子よりも正に帯電し易い外添剤粒子)の粉体と、第2外添剤粒子(詳しくは、第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い外添剤粒子)の粉体とが付着している。第1外添剤粒子の粉体と第2外添剤粒子の粉体との各々の個数平均1次粒子径は、5nm以上30nm以下である。そして、外添比率変動指数が1に近い。詳しくは、外添比率変動指数が0.80以上1.20以下である。このため、初期現像剤と攪拌後現像剤とで、トナー粒子の表面に付着している第1外添剤粒子の質量と第2外添剤粒子の質量との比率が概ね同じになる。すなわち、前述の基本構成を有する現像剤は、攪拌されても、トナー粒子の表面に付着している第1外添剤粒子の質量と第2外添剤粒子の質量との比率がほとんど変化しない。
例えば、第1外添剤粒子の質量と第2外添剤粒子の質量との比率を調整することによって、外添比率変動指数を1に近づけることができる。しかし、正帯電性トナーを含む2成分現像剤を用いた画像形成において放置かぶりを抑制するためには、トナー外添比率A1/A2が、1.5以上3.0以下であることが好ましい。特に、第1外添剤粒子が正帯電性シリカ粒子であり、第2外添剤粒子が疎水性酸化チタン粒子であるトナーでは、トナー母粒子100質量部に対して、第1外添剤粒子の量が1.2質量部以上2.0質量部以下であり、第2外添剤粒子の量が0.4質量部以上1.0質量部以下であることが好ましい。連続印刷において継続的に高画質の画像を形成するためには、前述の基本構成を有する現像剤において、第1外添剤粒子が、トナー母粒子及び第2外添剤粒子のいずれよりも正に摩擦帯電し易い帯電性を有し、第2外添剤粒子が、トナー母粒子及び第1外添剤粒子のいずれよりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有することが好ましい。
正帯電性トナーを含む2成分現像剤では、前述の静電引力によって、第1外添剤粒子が第2外添剤粒子よりもキャリアへ移行し易い。このため、キャリア移行比率C1/C2が大きくなり易く、外添比率変動指数を1.20以下にすることが難しかった(後述する現像剤DB−3参照)。本願発明者は、正帯電性トナーの製造において、先に、第1外添剤粒子をトナー母粒子に外添してから、第2外添剤粒子をトナー母粒子に外添することで、外添比率変動指数を0.80以上1.20以下にすることに成功した。こうして得られたトナー粒子では、トナー母粒子の表面に付着した第1外添剤粒子の粉体と第2外添剤粒子の粉体とが、トナー母粒子側から、第1外添剤粒子の粉体、第2外添剤粒子の粉体の順に積み重なる態様で、トナー母粒子の表面に存在する。このため、第2外添剤粒子よりもトナー母粒子側に位置する第1外添剤粒子は、第2外添剤粒子と比べて、位置的にキャリアへ移行しにくくなる。前述の静電引力によって、第2外添剤粒子と比べて第1外添剤粒子はキャリアへ移行し易くなるが、第1外添剤粒子は第2外添剤粒子よりもキャリアへ移行しにくい位置に存在することで、第1キャリア移行量C1と第2キャリア移行量C2との差が小さくなる。
第1外添剤粒子及び第2外添剤粒子の各々の帯電性を調整することによっても、第1キャリア移行量C1と第2キャリア移行量C2との差を小さくすることができる。しかし、画像形成に適した正帯電性を有するトナーを得るためには、第1外添剤粒子の等電点P1と第2外添剤粒子の等電点P2とが、下記式(M5)及び(M6)を満たすことが好ましい。また、第2外添剤粒子の等電点P2は、2以上5以下であることが好ましい。第1外添剤粒子の等電点P1が、第2外添剤粒子の等電点P2に比べて大き過ぎると、外添比率変動指数を1に近づけにくくなる。なお、外添剤粒子の等電点は、温度23℃の水性媒体中で測定される外添剤粒子のゼータ電位が0Vになる時の水性媒体のpHに相当する。
7≦P1≦10 …(M5)
+3≦P1−P2≦+6 …(M6)
7≦P1≦10 …(M5)
+3≦P1−P2≦+6 …(M6)
以下、図1及び図2を参照して、前述の基本構成を有する現像剤に含まれるトナー粒子の構造の一例について説明する。なお、図1は、トナー粒子の構造の一例を示す図である。図2は、図1に示されるトナー粒子の表面を拡大して示す図である。
図1に示されるトナー粒子10は、トナー母粒子11と、複数の第1外添剤粒子12aと、複数の第2外添剤粒子12bとを備える。複数の第1外添剤粒子12aと複数の第2外添剤粒子12bとの各々の個数平均1次粒子径は、5nm以上30nm以下である。第2外添剤粒子12bは、第1外添剤粒子12aよりも負に帯電し易い粒子である。第1外添剤粒子12aの粉体と第2外添剤粒子12bの粉体とは、トナー母粒子11側から、第1外添剤粒子12aの粉体、第2外添剤粒子12bの粉体の順の積重構造を有する。詳しくは、図2に示すように、第1外添剤粒子12aの粉体と第2外添剤粒子12bの粉体とは、トナー母粒子11側から、第1外添剤粒子12aの粉体、第2外添剤粒子12bの粉体の順に積み重なる態様で、トナー母粒子11の表面に存在する。第1外添剤粒子12aは第2外添剤粒子12bよりもトナー母粒子11側に位置する。全ての第1外添剤粒子12aが第2外添剤粒子12bよりもトナー母粒子11側に位置する。すなわち、第2外添剤粒子12bよりもトナー母粒子11側に位置する第2外添剤粒子12bは存在しない。第1外添剤粒子12aは、トナー母粒子11の表面に付着している。第2外添剤粒子12bは、第1外添剤粒子12aの表面に付着している。ただし、トナー母粒子11の表面領域のうち第1外添剤粒子12aが存在しない領域においては、トナー母粒子11の表面に第2外添剤粒子12bが付着することがある。第2外添剤粒子12bと同じ層、又は第2外添剤粒子12bよりも上の層に、他の外添剤が存在していてもよい。
例えば、次に示すような第1外添工程及び第2外添工程により、トナー母粒子の表面に、第1外添剤と第2外添剤との積重構造(1段目:第1外添剤、2段目:第2外添剤)を形成することができる。第1外添工程では、トナー母粒子(粉体)と第1外添剤(第1外添剤粒子の粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に第1外添剤粒子が付着する。例えば、トナー母粒子(粉体)と第1外添剤とを強く攪拌することで、第1外添剤粒子の一部(底部)をトナー母粒子の表層部に埋め込み、トナー母粒子の表面に第1外添剤粒子を固定することができる。以下、表面に複数の第1外添剤粒子が付着したトナー母粒子(詳しくは、第1外添剤粒子を外添した後、かつ、第2外添剤粒子を外添する前のトナー母粒子)を、「第1外添後トナー母粒子」と記載する場合がある。続く第2外添工程では、第1外添後トナー母粒子(粉体)と第2外添剤(第2外添剤粒子の粉体)とを一緒に攪拌することで、ファンデルワールス力で第1外添後トナー母粒子の表面に第2外添剤粒子が付着する。また、第1外添剤粒子と第2外添剤粒子とは、互いに静電的な力によっても結合する。
第1外添剤及び第2外添剤に加えて、他の外添剤(例えば、個数平均1次粒子径200nm以上500nm以下の酸化チタン粒子の粉体)を、トナー母粒子の表面に付着させてもよい。他の外添剤は、第2外添工程において第2外添剤と一緒に外添してもよいし、第2外添工程の後の第3外添工程において、第2外添剤の上に積み重ねてもよい。第2外添工程において第2外添剤と一緒に他の外添剤を外添した場合には、他の外添剤が、第2外添剤粒子12bと同じ層に存在することになる。また、第2外添工程の後の第3外添工程において他の外添剤を外添した場合には、他の外添剤が、第2外添剤粒子12bよりも上の層に存在することになる。
次に、図3〜図7を参照して、前述の基本構成により補給かぶりが抑制される理由について説明する。図3〜図7に示す現像剤に含まれるトナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電し得る正帯電性トナーである。また、この正帯電性トナーに含まれるトナー粒子は、トナー母粒子と正帯電性外添剤粒子と負帯電性外添剤粒子とを備える。正帯電性外添剤粒子は、トナー粒子に正帯電性を付与している。詳しくは、正帯電性外添剤粒子は、トナー母粒子及び負帯電性外添剤粒子のいずれよりも正に摩擦帯電し易い帯電性を有する。負帯電性外添剤粒子は、トナー粒子に負帯電性を付与している。詳しくは、負帯電性外添剤粒子は、トナー母粒子及び正帯電性外添剤粒子のいずれよりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有する。
まず、図3〜図5を参照して、前述の基本構成を有しない現像剤について説明する。未使用状態の現像剤を、図3に示す。攪拌後の現像剤を、図4に示す。攪拌後の現像剤に対して新しいトナーが補給された状態を、図5に示す。
図3に示すキャリア粒子C1、トナー粒子T1はそれぞれ、初期現像剤(すなわち、未使用状態の現像剤)に含まれるキャリア粒子、トナー粒子である。トナー粒子T1は、正帯電性外添剤粒子と負帯電性外添剤粒子とを質量比4:1(=正:負)で備える。トナー外添比率A1/A2は、4(=4/1)である。
図4に示すキャリア粒子C2、トナー粒子T2はそれぞれ、攪拌後現像剤(すなわち、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後の現像剤)に含まれるキャリア粒子、トナー粒子である。キャリア粒子C2の表面には、質量比9:1(=正:負)で、正帯電性外添剤粒子と負帯電性外添剤粒子とが存在している。トナー粒子T2の表面には、質量比11:4(=正:負)で、正帯電性外添剤粒子と負帯電性外添剤粒子とが存在している。キャリア移行比率C1/C2は、9(=9/1)である。
図5は、攪拌後現像剤に対してトナー粒子T1が補給された状態を示している。トナー粒子T1とトナー粒子T2とを比べると、トナー粒子T1のほうが高い質量割合で正帯電性外添剤粒子を備えている。このため、トナー粒子T1はトナー粒子T2よりも強い正帯電性を有する傾向がある。こうしたトナー粒子T1及びT2を含む現像剤が攪拌されると、相対的に負に帯電し易いトナー粒子T2が、トナー粒子T1とトナー粒子T2との摩擦によって負に帯電する傾向がある。正帯電性トナー用の画像形成装置において、逆極性に帯電したトナー粒子(詳しくは、負に帯電したトナー粒子T2)は、トナー飛散及び補給かぶりの原因になる。
次に、図3、図6、及び図7を参照して、前述の基本構成を有する現像剤について説明する。未使用状態の現像剤を、図3に示す。攪拌後の現像剤を、図6に示す。攪拌後の現像剤に対して新しいトナーが補給された状態を、図7に示す。未使用状態は、前述の基本構成を有しない現像剤と同じである。
図6に示すキャリア粒子C3、トナー粒子T3はそれぞれ、攪拌後現像剤(すなわち、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後の現像剤)に含まれるキャリア粒子、トナー粒子である。キャリア粒子C3の表面には、質量比4:1(=正:負)で、正帯電性外添剤粒子と負帯電性外添剤粒子とが存在している。トナー粒子T3の表面には、質量比4:1(=正:負)で、正帯電性外添剤粒子と負帯電性外添剤粒子とが存在している。キャリア移行比率C1/C2は、4(=4/1)である。
図7は、攪拌後現像剤に対してトナー粒子T1が補給された状態を示している。トナー粒子T1とトナー粒子T3とは、同程度の質量割合で正帯電性外添剤粒子を備えている。このため、トナー粒子T1及びT3を含む現像剤が攪拌されても、逆極性に帯電したトナー粒子(詳しくは、負に帯電したトナー粒子)は生じにくい。よって、前述の基本構成を有する現像剤では、補給かぶりが抑制される。前述の基本構成によれば、現像剤に含まれる外添剤の総量(ひいては、キャリアへの外添剤の移行量)が多くなっても補給かぶりを抑制することができる。例えば、第1キャリア移行量C1と第2キャリア移行量C2とのうち少なくとも一方が、キャリア粒子の質量に対して0.0100質量%以上であっても、補給かぶりを十分抑制することができる。ただし、第1キャリア移行量C1と第2キャリア移行量C2とはそれぞれ、キャリア粒子の質量に対して0.0500質量%以下であることが好ましい。
図8及び図9に、正帯電性外添剤粒子と負帯電性外添剤粒子との各々について測定されたゼータ電位とpHとの関係を示す。以下、ゼータ電位とpHとの関係を示すグラフを、「ζ電位特性曲線」と記載する場合がある。図8は、正帯電性外添剤粒子のζ電位特性曲線を示し、図9は、負帯電性外添剤粒子のζ電位特性曲線を示す。図8及び図9の各々に示すζ電位特性曲線は、温度23℃の水性媒体中でレーザードップラー方式の電気泳動法により測定した値である。
図8及び図9に示されるように、正帯電性外添剤粒子のζ電位特性曲線も負帯電性外添剤粒子のζ電位特性曲線も、pHが大きくなるにつれてゼータ電位が小さくなっている。例えば、粒子の表面に水酸基(−OH)を有する場合、pHが小さくなる(酸性が強くなる)と、水酸基がプロトン化されて(−OH2 +になって)、粒子の表面は正の電荷を帯びる傾向がある。また、pHが大きくなる(塩基性が強くなる)と、水酸基からプロトン(H+)が解離し、水酸基が「−O-」になって、粒子の表面は負の電荷を帯びる傾向がある。
図8に示されるように、正帯電性外添剤粒子の等電点は8.1である。また、図9に示されるように、負帯電性外添剤粒子の等電点は4.7である。前述の基本構成を有する現像剤が、第1外添剤粒子として図8に示す特性を有する正帯電性外添剤粒子を含み、第2外添剤粒子として図9に示す特性を有する負帯電性外添剤粒子を含む場合、第1外添剤粒子の等電点P1と第2外添剤粒子の等電点P2とが、前述の式(M5)の要件「7≦P1≦10」と、前述の式(M6)の要件「+3≦P1−P2≦+6」とを満たすことになる。
トナー母粒子は、シェル層を備えないトナー母粒子(以下、非カプセルトナー母粒子と記載する)であってもよいし、シェル層を備えるトナー母粒子(以下、カプセルトナー母粒子と記載する)であってもよい。カプセルトナー母粒子は、結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアを覆うシェル層とを備える。非カプセルトナー母粒子(トナーコア)の表面にシェル層を形成することで、カプセルトナー母粒子を製造することができる。シェル層は、実質的に樹脂から構成される。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。シェル層は、トナーコアの表面全体を覆っていてもよいし、トナーコアの表面を部分的に覆っていてもよい。
非カプセルトナー母粒子は、例えば粉砕法又は凝集法により作製できる。これらの方法は、非カプセルトナー母粒子の結着樹脂中に内添剤を良好に分散させ易い。
粉砕法の一例では、まず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を混合する。続けて、得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕し、得られた粉砕物を分級する。これにより、所望の粒子径を有する非カプセルトナー母粒子が得られる。粉砕法を用いた場合には、凝集法を用いた場合よりも容易にトナー母粒子を作製できることが多い。
凝集法の一例では、まず、複数の結着樹脂微粒子と複数の離型剤微粒子と複数の着色剤微粒子とを含む水性媒体中で、これらの微粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含む凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。これにより、所望の粒子径を有する非カプセルトナー母粒子が得られる。
カプセルトナー母粒子を製造する場合、シェル層の形成方法は任意である。例えば、in−situ重合法、液中硬化被膜法、又はコアセルベーション法により、トナーコア(非カプセルトナー母粒子)の表面にシェル層を形成できる。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナーの体積中位径(D50)が4μm以上9μm以下であることが好ましい。
次に、非カプセルトナー母粒子(結着樹脂及び内添剤)及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分を割愛してもよい。
[トナー母粒子]
(結着樹脂)
トナー母粒子では、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。
(結着樹脂)
トナー母粒子では、一般的に、成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。
結着樹脂の例としては、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N−ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)を使用してもよい。
結着樹脂としては、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。また、トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。トナー母粒子に結晶性ポリエステル樹脂を含有させることで、トナー母粒子にシャープメルト性を付与できる。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコール(より具体的には、以下に示すような、脂肪族ジオール、ビスフェノール、又は3価以上のアルコール等)と1種以上の多価カルボン酸(より具体的には、以下に示すような2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸等)とを縮重合させることで得られる。また、ポリエステル樹脂は、他のモノマー(多価アルコール及び多価カルボン酸のいずれでもないモノマー)に由来する繰返し単位を含んでいてもよい。
脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、α,ω−アルカンジオール(より具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、又は1,12−ドデカンジオール等)、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノールの好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、芳香族ジカルボン酸(より具体的には、フタル酸、テレフタル酸、又はイソフタル酸等)、α,ω−アルカンジカルボン酸(より具体的には、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,10−デカンジカルボン酸等)、α,ω−アルカンジカルボン酸に側鎖が付与されたジカルボン酸(より具体的には、アルキルコハク酸、又はアルケニルコハク酸等)、不飽和ジカルボン酸(より具体的には、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、又はグルタコン酸等)、又はシクロアルカンジカルボン酸(より具体的には、シクロヘキサンジカルボン酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
非結晶性ポリエステル樹脂としては、アルコール成分として、少なくともビスフェノール(より具体的には、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等)を含む非結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、1種以上のビスフェノールと1種以上の芳香族ジカルボン酸(より具体的には、テレフタル酸等)とを含む単量体(樹脂原料)の重合物が特に好ましい。
十分なトナーの強度及び定着性を確保するためには、トナー母粒子に含有される非結晶性ポリエステル樹脂の、数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であり、かつ、分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)が9以上21以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、1種以上の炭素数2以上6以下のα,ω−アルカンジオール(例えば、炭素数2のエチレングリコール)と、1種以上の炭素数6以上10以下のα,ω−アルカンジカルボン酸(例えば、炭素数8のスベリン酸)とを含む単量体(樹脂原料)の重合物が挙げられる。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の量は、トナー母粒子中のポリエステル樹脂の総量(結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂との合計量)に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。例えば、トナー母粒子中のポリエステル樹脂の総量が100gである場合には、トナー母粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂の量が5g以上20g以下であることが好ましい。
トナー母粒子が適度なシャープメルト性を有するためには、トナー母粒子中に、結晶性指数0.90以上1.20以下の結晶性ポリエステル樹脂を含有させることが好ましい。樹脂の結晶性指数は、樹脂の融点(Mp)に対する樹脂の軟化点(Tm)の比率(=Tm/Mp)に相当する。非結晶性樹脂については、明確なMpを測定できないことが多い。樹脂のMp及びTmの各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。結晶性ポリエステル樹脂の結晶性指数は、結晶性ポリエステル樹脂を合成するための材料の種類又は使用量(配合比)を変更することで、調整できる。トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を1種類だけ含有してもよいし、2種以上の結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図るためには、トナー母粒子が、融点(Mp)70℃以上85℃以下の結晶性ポリエステル樹脂を含有することが特に好ましい。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。画像形成に適したトナーを得るためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。画像形成に適したトナーを得るためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー母粒子は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
トナー母粒子は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
離型剤としてはワックスが好ましい。ワックスの例としては、エステルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂ワックス(例えば、テフロン(登録商標)含有ワックス)、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、又はモンタンワックスが挙げられる。トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させるためには、エステルワックスが好ましい。エステルワックスとしては、天然エステルワックス(例えば、カルナウバワックス、又はライスワックス)、又は合成エステルワックスが挙げられる。これらの離型剤のなかでも、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、結着樹脂との相溶性を向上させるためには、トナー母粒子中に分散する離型剤が、例えば、エステルワックス(例えば、カルナウバワックス)、又はポリエチレンワックスであることが好ましい。結着樹脂がスチレン系樹脂又はその共重合体である場合、結着樹脂との相溶性を向上させるためには、トナー母粒子中に分散する離型剤が、例えば、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスであることが好ましい。1種類の離型剤を単独で使用してもよく、2種以上の離型剤を組み合わせて使用してもよい。結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナー母粒子に負帯電性の電荷制御剤(より具体的には、有機金属錯体又はキレート化合物等)を含有させることで、トナー母粒子のアニオン性を強めることができる。また、トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤(より具体的には、ピリジン、ニグロシン、又は4級アンモニウム塩等)を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナー母粒子に電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナー母粒子は、磁性粉を含有してもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
トナー母粒子は、磁性粉を含有してもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナー母粒子の表面にシェル層を形成する場合に、トナー母粒子の表面に金属イオンが溶出すると、トナー母粒子同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナー母粒子同士の固着を抑制することができると考えられる。
[外添剤]
外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面(トナー粒子の表層部)のみに選択的に存在する。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させることができる。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、化学的ではなく物理的に結合する。トナー母粒子と外添剤粒子との結合の強さは、攪拌条件(より具体的には、攪拌時間、及び攪拌の回転速度等)、外添剤粒子の粒子径、外添剤粒子の形状、及び外添剤粒子の表面状態などによって調整できる。
外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面(トナー粒子の表層部)のみに選択的に存在する。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させることができる。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、化学的ではなく物理的に結合する。トナー母粒子と外添剤粒子との結合の強さは、攪拌条件(より具体的には、攪拌時間、及び攪拌の回転速度等)、外添剤粒子の粒子径、外添剤粒子の形状、及び外添剤粒子の表面状態などによって調整できる。
前述の基本構成を有する現像剤では、トナー母粒子の表面に、第1外添剤粒子(詳しくは、第2外添剤粒子よりも正に帯電し易い外添剤粒子)の粉体と、第2外添剤粒子(詳しくは、第1外添剤粒子よりも負に帯電し易い外添剤粒子)の粉体とが付着している。また、トナー母粒子の表面に、第1外添剤及び第2外添剤に加えて、他の外添剤(複数の他の外添剤粒子)を付着させてもよい。他の外添剤粒子は、無機粒子であってもよいし、樹脂粒子であってもよい。他の外添剤としては、個数平均1次粒子径200nm以上500nm以下の酸化チタン粒子の粉体が好ましい。適度に大きい酸化チタン粒子は、適度な研磨性を有するため、感光体の表面をリフレッシュするために有効である。個数平均1次粒子径200nm以上500nm以下の酸化チタン粒子の粉体の量は、トナー母粒子100質量部に対して0.5質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。トナーの流動性を向上させるためには、シリカ粒子を使用することが好ましい。トナーの研磨性を向上させるためには、酸化チタン粒子を使用することが好ましい。
外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はアルミネートカップリング剤等)、シラザン化合物(例えば、鎖状シラザン化合物又は環状シラザン化合物)、又はシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)を好適に使用できる。
外添剤粒子を表面処理する方法の例としては、外添剤粒子を高速で攪拌しながらその外添剤粒子に向けて表面処理剤を滴下又は噴霧する第1の方法と、表面処理剤の溶液又は分散液を攪拌しながらその液中に外添剤粒子を添加する第2の方法とが挙げられる。表面処理剤が付着した外添剤粒子を加熱することで、外添剤粒子と表面処理剤との間での反応を十分に進行させて、外添剤粒子の表面の性質を安定化させることができる。表面処理剤は、有機溶剤に溶解させてもよい。また、市販の表面処理剤を有機溶剤で希釈して使用してもよい。例えば、シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数の水酸基(−OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、水酸基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。
前述の基本構成における第1外添剤粒子としては、シランカップリング剤及び/又はシラザン化合物で表面処理された正帯電性シリカ粒子が好ましい。
例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いてシリカ基体の表面を処理した場合、シランカップリング剤の水酸基(例えば、水分によりシランカップリング剤のアルコキシ基が加水分解されて生成する水酸基)がシリカ基体の表面に存在する水酸基と脱水縮合反応(「A(シリカ基体)−OH」+「B(カップリング剤)−OH」→「A−O−B」+H2O)する。こうした反応により、アミノ基を有するシランカップリング剤とシリカとが化学結合することで、シリカ粒子の表面にアミノ基が付与される。より詳しくは、シリカ基体の表面に存在する水酸基が、端部にアミノ基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−(CH2)3−NH2等)に置換される。アミノ基が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い正帯電性を有する傾向がある。また、アルキル基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、上記脱水縮合反応により、シリカ基体の表面に存在する水酸基を、端部にアルキル基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−CH3等)に置換することができる。このように、親水性基(水酸基)の代わりに疎水性基(アルキル基)が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い疎水性を有する傾向がある。
また、鎖状シラザン化合物を用いてシリカ基体の表面を処理した場合、シラザン化合物中のイミノ基(−NH−)とシリカ基体の表面に存在する水酸基とが加水分解反応(「HO−A(シリカ基体)−OH」+「XA,YA,ZA−Si−NH−Si−XB,YB,ZB」(シラザン化合物)+H2O→「XA,YA,ZA−Si−O−A(シリカ基体)−O−Si−XB,YB,ZB」+NH3)する。こうした反応により、シリカ粒子の表面に所定の官能基を付与できる。例えば、表面処理剤としてHMDSを用いた場合には、シリカ基体の表面に存在する水酸基を、端部にアルキル基を有する官能基(トリメチルシリルオキシ基:−O−Si(CH3)3)に置換することができる。また、環状シラザン化合物を使用することで、シリカ基体の表面に存在する水酸基を、イミノ基(−NH−)を含む官能基(例えば、[ジメチル[2−メチル−3−(メチルアミノ)プロピル]シリル]オキシ基:−O−Si(CH3)2−CH2−CH(CH3)−CH2−NH−CH3)に置換することができる。イミノ基が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い正帯電性を有する傾向がある。シリカ粒子にイミノ基を付与するための環状シラザン化合物の好適な例としては、アザシラシクロアルカン(より具体的には、1−アザ−2−シラシクロペンタン等)もしくはその誘導体、又はジアザシラシクロアルカンもしくはその誘導体が挙げられる。アザシラシクロアルカンの誘導体の好適な例としては、アザシラシクロアルカンの環を構成するN原子、Si原子、及びC原子の少なくとも1つに1個以上のアルキル基及び/又は1個以上のアルコキシ基が付いたアザシラシクロアルカン誘導体(より具体的には、N−メチル−アザ−2,2,4−トリメチルシラシクロペンタン等)が挙げられる。ジアザシラシクロアルカンの誘導体の好適な例としては、ジアザシラシクロアルカンの環を構成するN原子、Si原子、及びC原子の少なくとも1つに1個以上のアルキル基及び/又は1個以上のアルコキシ基が付いたジアザシラシクロアルカン誘導体(より具体的には、2,2−ジメトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン等)が挙げられる。環状シラザンは、例えば、アミン(例えば、メチルアミン)と線状二官能性シランとの環化反応により合成することができる。また、環状シラザンは、アミノアルキルアルコキシシランの環化反応により調製されてもよい。
前述の基本構成における第2外添剤粒子としては、シランカップリング剤及び/又はチタネートカップリング剤で表面処理された疎水性酸化チタン粒子が好ましい。酸化チタン粒子の疎水化剤として好適なチタネートカップリング剤の例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、又はイソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネートが挙げられる。
シリカ粒子及び酸化チタン粒子の各々の疎水化剤として好適なシランカップリング剤の例としては、アルキルハロシラン(より具体的には、トリクロロ(メチル)シラン、ジクロロジメチルシラン、クロロトリメチルシラン、又はtert−ブチルジメチルクロロシラン等)、フェニルハロシラン(より具体的には、フェニルトリクロロシラン、又はジクロロジフェニルシラン等)、ビニルハロシラン(より具体的には、ビニルトリクロロシラン等)、テトラアルコキシシラン(より具体的には、テトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシラン等)、アルキルアルコキシシラン(より具体的には、トリメトキシ(メチル)シラン、ジメトキシジメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、又はデシルトリメトキシシラン等)、ハロゲン化アルキルアルコキシシラン(より具体的には、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等)、フェニルアルコキシシラン(より具体的には、トリメトキシフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、又はジフェニルジエトキシシラン等)、ビニルアルコキシシラン(より具体的には、ビニルトリメトキシシラン、又はビニルトリエトキシシラン等)、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤(より具体的には、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル等)、エポキシ基を有するシランカップリング剤(より具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、又は3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等)、又はメルカプト基を有するシランカップリング剤(より具体的には、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)が挙げられる。
[キャリア]
前述の基本構成を有する現像剤では、キャリアが、複数のキャリア粒子を含む。キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆うコート層とを備えることが好ましい。
前述の基本構成を有する現像剤では、キャリアが、複数のキャリア粒子を含む。キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆うコート層とを備えることが好ましい。
(キャリアコア)
キャリアコアは、磁性材料を含有することが好ましい。キャリアコアが磁性材料の粒子であってもよいし、キャリアコアの結着樹脂中に磁性材料の粒子を分散させてもよい。キャリアコアに含有される磁性材料の例としては、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト等)が挙げられる。フェライトの好適な例としては、マグネタイト(スピネルフェライト)、バリウムフェライト、Mnフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Ca−Mgフェライト、Liフェライト、Cu−Znフェライト、又はMn−Mg−Srフェライトが挙げられる。個々のキャリアコアの材料として、1種類の磁性材料を単独で使用してもよいし、2種以上の磁性材料を併用してもよい。キャリアコアとしては、市販品を使用してもよい。また、磁性材料を粉砕及び焼成してキャリアコアを自作してもよい。キャリアコアの作製において、磁性材料の添加量(特に、強磁性材料の割合)を変えることで、キャリアの飽和磁化を調整することができる。また、キャリアコアの作製において、焼成温度を変えることで、キャリアの円形度を調整することができる。
キャリアコアは、磁性材料を含有することが好ましい。キャリアコアが磁性材料の粒子であってもよいし、キャリアコアの結着樹脂中に磁性材料の粒子を分散させてもよい。キャリアコアに含有される磁性材料の例としては、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト等)が挙げられる。フェライトの好適な例としては、マグネタイト(スピネルフェライト)、バリウムフェライト、Mnフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Ca−Mgフェライト、Liフェライト、Cu−Znフェライト、又はMn−Mg−Srフェライトが挙げられる。個々のキャリアコアの材料として、1種類の磁性材料を単独で使用してもよいし、2種以上の磁性材料を併用してもよい。キャリアコアとしては、市販品を使用してもよい。また、磁性材料を粉砕及び焼成してキャリアコアを自作してもよい。キャリアコアの作製において、磁性材料の添加量(特に、強磁性材料の割合)を変えることで、キャリアの飽和磁化を調整することができる。また、キャリアコアの作製において、焼成温度を変えることで、キャリアの円形度を調整することができる。
(コート層)
コート層は、実質的に樹脂から構成される。ただし、コート層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。コート層は、第1樹脂と、第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂とを含有することが好ましい。第1樹脂と第2樹脂との組合せの好適な例では、第1樹脂が、アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂であり、第2樹脂が、フッ素樹脂である。アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(より具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン等)、ポリヘキサフルオロプロピレン、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が特に好ましい。
コート層は、実質的に樹脂から構成される。ただし、コート層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。コート層は、第1樹脂と、第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂とを含有することが好ましい。第1樹脂と第2樹脂との組合せの好適な例では、第1樹脂が、アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂であり、第2樹脂が、フッ素樹脂である。アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(より具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン等)、ポリヘキサフルオロプロピレン、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が特に好ましい。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係る現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5(それぞれ静電潜像現像用現像剤)を示す。
表1中、外添剤の量(単位:質量部)は、トナー母粒子100質量部に対する相対的な量を示している。
表1中、外添剤に関して、「P−1」、「P−2」、「P−3」、「N−1」、及び「N−2」の意味は、下記のとおりである。
外添剤P−1は、正帯電性シリカ粒子(表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子:日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA200」、個数平均1次粒子径:約12nm)であった。
外添剤P−2は、正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、内容:表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約20nm)であった。
外添剤P−3は、正帯電性シリカ粒子(キャボット社製「CAB−O−SIL(登録商標)TG−7120」、表面処理剤:ヘキサメチルジシラザン(HMDS)及び環状シラザン、個数平均1次粒子径:約18nm)であった。
外添剤N−1は、疎水性酸化チタン粒子(日本アエロジル株式会社製「VP NKT65」、表面処理剤:アルキルシラン、個数平均1次粒子径:約18nm)であった。
外添剤N−2は、疎水性酸化チタン粒子(テイカ株式会社製「JMT−150IB」、表面処理剤:アルキルシラン、個数平均1次粒子径:約15nm)であった。
外添剤P−2は、正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、内容:表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約20nm)であった。
外添剤P−3は、正帯電性シリカ粒子(キャボット社製「CAB−O−SIL(登録商標)TG−7120」、表面処理剤:ヘキサメチルジシラザン(HMDS)及び環状シラザン、個数平均1次粒子径:約18nm)であった。
外添剤N−1は、疎水性酸化チタン粒子(日本アエロジル株式会社製「VP NKT65」、表面処理剤:アルキルシラン、個数平均1次粒子径:約18nm)であった。
外添剤N−2は、疎水性酸化チタン粒子(テイカ株式会社製「JMT−150IB」、表面処理剤:アルキルシラン、個数平均1次粒子径:約15nm)であった。
外添剤P−1〜P−3、N−1、及びN−2はそれぞれ、シャープな粒度分布を有していた。詳しくは、各外添剤は、「個数平均1次粒子径−5nm」以上「個数平均1次粒子径+5nm」以下の粒子径(詳しくは、円相当径)を有する1次粒子を80個数%以上の割合で含んでいた。外添剤P−1〜P−3、N−1、及びN−2はいずれも、粒子径(詳しくは、円相当径)100nm未満の1次粒子のみを含んでいた。すなわち、外添剤P−1〜P−3、N−1、及びN−2はいずれも、100nmを超える粒子径(詳しくは、円相当径)の1次粒子を含んでいなかった。
外添剤P−1〜P−3はそれぞれ、外添剤N−1及びN−2のいずれよりも強い正帯電性を有していた。次に示す方法で各外添剤のζ電位特性曲線を測定した結果、外添剤P−1の等電点は8.1であり、外添剤P−2の等電点は8.0であり、外添剤P−3の等電点は8.5であり、外添剤N−1の等電点は4.7であり、外添剤N−2の等電点は4.4であった。
<ζ電位特性曲線の測定方法>
イオン交換水99.9gに、外添剤(測定対象:外添剤P−1〜P−3及びN−1〜N−2のいずれか)1gと、ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の濃度10質量%水溶液0.1gとを入れた。続けて、その液に対して、超音波液体混合装置(アズワン株式会社販売「スーパーソニックVS−F100」、高周波出力:最大100W、発振周波数:50kHz)を用いて3分間の超音波処理を行って、液中に外添剤(詳しくは、外添剤粒子の粉体)を分散させた。続けて、得られた外添剤の分散液のpHを所定のpHに調整し、pHが調整された外添剤の分散液を得た。続けて、pHが調整された外添剤の分散液について、電気泳動法(より詳しくは、レーザードップラー方式の電気泳動法)により、温度23℃の条件で外添剤のゼータ電位を測定した。測定装置には、レーザードップラー方式のゼータ電位計(大塚電子株式会社製「ELSZ−1000」)を用いた。
イオン交換水99.9gに、外添剤(測定対象:外添剤P−1〜P−3及びN−1〜N−2のいずれか)1gと、ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)の濃度10質量%水溶液0.1gとを入れた。続けて、その液に対して、超音波液体混合装置(アズワン株式会社販売「スーパーソニックVS−F100」、高周波出力:最大100W、発振周波数:50kHz)を用いて3分間の超音波処理を行って、液中に外添剤(詳しくは、外添剤粒子の粉体)を分散させた。続けて、得られた外添剤の分散液のpHを所定のpHに調整し、pHが調整された外添剤の分散液を得た。続けて、pHが調整された外添剤の分散液について、電気泳動法(より詳しくは、レーザードップラー方式の電気泳動法)により、温度23℃の条件で外添剤のゼータ電位を測定した。測定装置には、レーザードップラー方式のゼータ電位計(大塚電子株式会社製「ELSZ−1000」)を用いた。
測定pH範囲は、3.0以上11.0以下であった。まず、希塩酸を用いて外添剤分散液のpHを3.0に調整して、外添剤のゼータ電位を測定した。続けて、水酸化ナトリウムを用いて0.5ずつ外添剤分散液のpHを大きくして、3.0以上11.0以下のpH範囲について、各pHにおける外添剤のゼータ電位を測定した。各pH(3.0、3.5、…、10.5、11.0)で、1つの測定対象(外添剤)につき3回測定し、得られた3つの測定値の算術平均を、その測定対象(外添剤)の評価値(詳しくは、ゼータ電位)とした。そして、上記測定により得られたデータ(詳しくは、pH及びゼータ電位)をプロットして、ζ電位特性曲線を得た。
以下、現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[トナーの製造方法]
(トナー母粒子の作製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、非結晶性ポリエステル樹脂(花王株式会社製「タフトン(登録商標)NE−410」)86質量部と、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)3質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)2質量部と、ポリマー型正帯電性電荷制御剤(藤倉化成株式会社製「アクリベ−ス(登録商標)FCA−201−PS」、成分:4級アンモニウム塩由来の繰返し単位を含むスチレン−アクリル酸系樹脂)4質量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)5質量部とを、回転速度2400rpmで180秒間混合した。
(トナー母粒子の作製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、非結晶性ポリエステル樹脂(花王株式会社製「タフトン(登録商標)NE−410」)86質量部と、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)3質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)2質量部と、ポリマー型正帯電性電荷制御剤(藤倉化成株式会社製「アクリベ−ス(登録商標)FCA−201−PS」、成分:4級アンモニウム塩由来の繰返し単位を含むスチレン−アクリル酸系樹脂)4質量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)5質量部とを、回転速度2400rpmで180秒間混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度150rpm、設定温度(シリンダー温度)150℃の条件で溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、粉砕機(旧東亜機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)7.0μmのトナー母粒子(粉体)が得られた。
現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−2の各々のためのトナーの製造では、第1外添工程及び第2外添工程により、トナー母粒子に対して外添剤(第1外添剤及び第2外添剤)を付着させた。現像剤DB−3〜DB−5の各々のためのトナーの製造では、第1外添工程により、トナー母粒子に対して外添剤(第1外添剤)を付着させた。現像剤DB−3〜DB−5の各々のためのトナーの製造では、第2外添工程は行わなかった。
(第1外添工程)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10」)を用いて、上記のようにして得たトナー母粒子100質量部と、表1に示す種類及び量の1段目外添剤(各現像剤に定められた、外添剤P−1〜P−3及びN−1〜N−2からなる群より選択される1種以上の外添剤)とを、回転速度3500rpmで、表1に示す時間だけ混合した。例えば、現像剤DA−1用トナーの製造では、トナー母粒子100質量部と、1段目外添剤(外添剤P−1)1.5質量部とを5分間混合した。また、現像剤DB−3用トナーの製造では、トナー母粒子100質量部と、1段目外添剤2.1質量部(1.5質量部の外添剤P−1、及び0.6質量部の外添剤N−1)とを10分間混合した。
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10」)を用いて、上記のようにして得たトナー母粒子100質量部と、表1に示す種類及び量の1段目外添剤(各現像剤に定められた、外添剤P−1〜P−3及びN−1〜N−2からなる群より選択される1種以上の外添剤)とを、回転速度3500rpmで、表1に示す時間だけ混合した。例えば、現像剤DA−1用トナーの製造では、トナー母粒子100質量部と、1段目外添剤(外添剤P−1)1.5質量部とを5分間混合した。また、現像剤DB−3用トナーの製造では、トナー母粒子100質量部と、1段目外添剤2.1質量部(1.5質量部の外添剤P−1、及び0.6質量部の外添剤N−1)とを10分間混合した。
上記混合により、トナー母粒子の表面に1段目外添剤(詳しくは、シリカ粒子及び酸化チタン粒子の少なくとも一方)が付着して、第1外添後トナー母粒子(詳しくは、表面に1段目外添剤が付着したトナー母粒子)が得られた。
(第2外添工程)
続けて、第1外添後トナー母粒子が残っている状態の上記FMミキサーに、表1に示す量の2段目外添剤(各現像剤に定められた、外添剤N−1〜N−2のいずれか)と、他の外添剤(個数平均1次粒子径0.35μmの酸化チタン粒子)1.0質量部とを加えて、そのFMミキサーを用いて、回転速度3500rpmで、さらに表1に示す時間だけ混合した。他の外添剤(個数平均1次粒子径0.35μmの酸化チタン粒子)は、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、基体:TiO2粒子、被覆層:SbドープSnO2層)であった。他の外添剤(EC−100)は、100nmを超える粒子径(詳しくは、円相当径)の1次粒子のみを含んでいた。すなわち、他の外添剤(EC−100)は、粒子径(詳しくは、円相当径)100nm未満の1次粒子を含んでいなかった。例えば、現像剤DA−1用トナーの製造では、第1外添後トナー母粒子101.5質量部(トナー母粒子100質量部及び第1外添剤1.5質量部)と、2段目外添剤(外添剤N−1)0.6質量部と、他の外添剤(EC−100)1.0質量部とを5分間混合した。
続けて、第1外添後トナー母粒子が残っている状態の上記FMミキサーに、表1に示す量の2段目外添剤(各現像剤に定められた、外添剤N−1〜N−2のいずれか)と、他の外添剤(個数平均1次粒子径0.35μmの酸化チタン粒子)1.0質量部とを加えて、そのFMミキサーを用いて、回転速度3500rpmで、さらに表1に示す時間だけ混合した。他の外添剤(個数平均1次粒子径0.35μmの酸化チタン粒子)は、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、基体:TiO2粒子、被覆層:SbドープSnO2層)であった。他の外添剤(EC−100)は、100nmを超える粒子径(詳しくは、円相当径)の1次粒子のみを含んでいた。すなわち、他の外添剤(EC−100)は、粒子径(詳しくは、円相当径)100nm未満の1次粒子を含んでいなかった。例えば、現像剤DA−1用トナーの製造では、第1外添後トナー母粒子101.5質量部(トナー母粒子100質量部及び第1外添剤1.5質量部)と、2段目外添剤(外添剤N−1)0.6質量部と、他の外添剤(EC−100)1.0質量部とを5分間混合した。
上記混合により、第1外添後トナー母粒子の表面に、2段目外添剤(詳しくは、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の酸化チタン粒子)と、他の外添剤(個数平均1次粒子径0.35μmの酸化チタン粒子)とが付着した。
上記第2外添工程の後(ただし、現像剤DB−3〜DB−5の各々のためのトナーの製造では、上記第1外添工程の後)、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、多数のトナー粒子を含むトナー(現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5の各々のためのトナー)が得られた。
(キャリアの製造)
ポリアミドイミド樹脂30gに水2Lを加えて樹脂溶液を調製した。続けて、得られた樹脂溶液に、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gと、酸化ケイ素3gとを分散させて、キャリアコート液を得た。続けて、流動層被覆装置を用いて、ノンコートフェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35B」、体積中位径35μm)10kgを上記キャリアコート液で被覆した。その後、樹脂で被覆されたフェライト粒子を250℃で1時間焼成した。その結果、多数のキャリア粒子を含むキャリアが得られた。
ポリアミドイミド樹脂30gに水2Lを加えて樹脂溶液を調製した。続けて、得られた樹脂溶液に、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)120gと、酸化ケイ素3gとを分散させて、キャリアコート液を得た。続けて、流動層被覆装置を用いて、ノンコートフェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35B」、体積中位径35μm)10kgを上記キャリアコート液で被覆した。その後、樹脂で被覆されたフェライト粒子を250℃で1時間焼成した。その結果、多数のキャリア粒子を含むキャリアが得られた。
(トナーとキャリアとの混合)
表1に示すトナー(各現像剤に定められたトナー)30gと、前述の手順で得たキャリア300gとを、ポリエチレン製容器に入れた状態で、シェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラー(登録商標)ミキサーT2F」)を用いて混合して、2成分現像剤(現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5)を得た。
表1に示すトナー(各現像剤に定められたトナー)30gと、前述の手順で得たキャリア300gとを、ポリエチレン製容器に入れた状態で、シェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラー(登録商標)ミキサーT2F」)を用いて混合して、2成分現像剤(現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5)を得た。
上記のようにして得た現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−3の各々に関して、キャリア移行比率C1/C2を測定した結果を、表2に示す。また、測定されたキャリア移行比率C1/C2に基づいて外添比率変動指数「(C1/C2)/(A1/A2)」を算出した結果も、表2に示している。ただし、現像剤DB−4及びDB−5では、1種類の外添剤しか使用していないため、キャリア移行比率C1/C2を測定しなかった。
例えば、現像剤DA−1では、キャリア移行比率C1/C2が2.76であり、外添比率変動指数「(C1/C2)/(A1/A2)」が1.11であった。なお、現像剤DA−1〜DA−3、DA−6〜DA−8、及びDB−1〜DB−3の各々において、トナー外添比率A1/A2は、2.5(=1.5/0.6)であった。現像剤DA−4において、トナー外添比率A1/A2は、2.125(=1.7/0.8)であった。現像剤DA−5において、トナー外添比率A1/A2は、2.0(=1.2/0.6)であった。シリカ粒子(外添剤P−1〜P−3のいずれか)が第1外添剤粒子に相当し、酸化チタン粒子(外添剤N−1〜N−2のいずれか)が第2外添剤粒子に相当する。第1トナー外添量A1は、現像剤(詳しくは、初期現像剤)に含まれるシリカ粒子の総質量に相当する。第2トナー外添量A2は、現像剤(詳しくは、初期現像剤)に含まれる酸化チタン粒子の総質量に相当する。
攪拌処理前の現像剤に含まれるキャリア(以下、初期キャリアと記載する)と、攪拌処理後の現像剤に含まれるキャリア(以下、攪拌後キャリアと記載する)とについて、第1キャリア移行量C1及び第2キャリア移行量C2を測定した後、第1キャリア移行量C1を第2キャリア移行量C2で除して、キャリア移行比率C1/C2を算出した。初期キャリアと攪拌後キャリアとの各々を準備する方法と、第1キャリア移行量C1及び第2キャリア移行量C2の各々の測定方法とを、以下に示す。
<初期キャリアの準備>
吸引分離(詳しくは、メッシュ越しの吸引)により、前述の手順で得た2成分現像剤(測定対象:現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−3のいずれか)からキャリアのみを分離回収して、初期キャリアを得た。
吸引分離(詳しくは、メッシュ越しの吸引)により、前述の手順で得た2成分現像剤(測定対象:現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−3のいずれか)からキャリアのみを分離回収して、初期キャリアを得た。
<攪拌後キャリアの準備>
前述の手順で得た2成分現像剤(測定対象:現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−3のいずれか)を、温度23℃かつ50%RHの環境下でシェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラーミキサーT2F」)を用いて120分間攪拌した。その後、吸引分離(詳しくは、メッシュ越しの吸引)により、キャリアとトナーとの混合物からキャリアのみを分離回収して、攪拌後キャリアを得た。
前述の手順で得た2成分現像剤(測定対象:現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−3のいずれか)を、温度23℃かつ50%RHの環境下でシェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラーミキサーT2F」)を用いて120分間攪拌した。その後、吸引分離(詳しくは、メッシュ越しの吸引)により、キャリアとトナーとの混合物からキャリアのみを分離回収して、攪拌後キャリアを得た。
<キャリア移行量の測定方法>
初期キャリア及び攪拌後キャリアの各々について、下記条件で蛍光X線分析を行い、検出対象(所定の元素)に由来するピークを含む蛍光X線スペクトル(横軸:エネルギー、縦軸:強度(光子の数))を得た。検出対象は、外添剤粒子中の特徴的な元素(シリカ粒子:Si、酸化チタン粒子:Ti)とした。
初期キャリア及び攪拌後キャリアの各々について、下記条件で蛍光X線分析を行い、検出対象(所定の元素)に由来するピークを含む蛍光X線スペクトル(横軸:エネルギー、縦軸:強度(光子の数))を得た。検出対象は、外添剤粒子中の特徴的な元素(シリカ粒子:Si、酸化チタン粒子:Ti)とした。
(蛍光X線分析の条件)
・分析装置:走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX」)
・X線管球(X線源):Rh(ロジウム)
・励起条件:管電圧50kV、管電流50mA
・測定領域(X線照射範囲):直径30mm
・測定元素:Si(珪素)、Ti(チタン)
・分析装置:走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX」)
・X線管球(X線源):Rh(ロジウム)
・励起条件:管電圧50kV、管電流50mA
・測定領域(X線照射範囲):直径30mm
・測定元素:Si(珪素)、Ti(チタン)
上記蛍光X線分析により初期キャリア及び攪拌後キャリアの各々について得た蛍光X線スペクトルに基づいて、シリカ粒子のキャリア移行量(すなわち、第1キャリア移行量C1)と、酸化チタン粒子のキャリア移行量(すなわち、第2キャリア移行量C2)とを、それぞれ算出した。
詳しくは、検量線を用いて、初期キャリアの蛍光X線スペクトル中のシリカ粒子由来のピーク強度から、初期キャリアにおいてキャリア粒子に付着しているシリカ粒子の質量(すなわち、初期キャリア第1外添量SA)を求めた。また、検量線を用いて、攪拌後キャリアの蛍光X線スペクトル中のシリカ粒子由来のピーク強度から、攪拌後キャリアにおいてキャリア粒子に付着しているシリカ粒子の質量(すなわち、攪拌後キャリア第1外添量SB)を求めた。そして、式「C1=SB−SA」に従って、シリカ粒子のキャリア移行量(すなわち、第1キャリア移行量C1)を算出した。表2には、キャリア粒子の質量に対する第1キャリア移行量C1の割合を示している。
酸化チタン粒子のキャリア移行量(すなわち、第2キャリア移行量C2)も、上記シリカ粒子のキャリア移行量(すなわち、第1キャリア移行量C1)と同様の方法で求めた。詳しくは、検量線を用いて、初期キャリアの蛍光X線スペクトル中の酸化チタン粒子由来のピーク強度から、初期キャリアにおいてキャリア粒子に付着している酸化チタン粒子の質量(すなわち、初期キャリア第2外添量TA)を求めた。また、検量線を用いて、攪拌後キャリアの蛍光X線スペクトル中の酸化チタン粒子由来のピーク強度から、攪拌後キャリアにおいてキャリア粒子に付着している酸化チタン粒子の質量(すなわち、攪拌後キャリア第2外添量TB)を求めた。そして、式「C2=TB−TA」に従って、酸化チタン粒子の移行量(すなわち、第2キャリア移行量C2)を算出した。表2には、キャリア粒子の質量に対する第2キャリア移行量C2の割合を示している。
[評価方法]
各試料(現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5)の評価方法は、以下のとおりである。
各試料(現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5)の評価方法は、以下のとおりである。
(評価機の準備)
評価機として、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を用いた。現像剤(評価対象:現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5のいずれか)を評価機の現像装置に投入し、補給用トナー(現像剤に対応するトナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
評価機として、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 500ci」)を用いた。現像剤(評価対象:現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5のいずれか)を評価機の現像装置に投入し、補給用トナー(現像剤に対応するトナー)を評価機のトナーコンテナに投入した。
(補給かぶり)
前述の手順で準備された評価機を用いて、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で10000枚連続印刷する第1耐刷試験と、印字率2.0%で2000枚連続印刷する第2耐刷試験と、印字率20%で1000枚連続印刷する第3耐刷試験とを、この順で行った。第3耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(1000枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。以下、ここで測定されたかぶり濃度の最大値を、「補給かぶり濃度」と記載する。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
前述の手順で準備された評価機を用いて、常温常湿環境(温度23℃、湿度50%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で10000枚連続印刷する第1耐刷試験と、印字率2.0%で2000枚連続印刷する第2耐刷試験と、印字率20%で1000枚連続印刷する第3耐刷試験とを、この順で行った。第3耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(1000枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。以下、ここで測定されたかぶり濃度の最大値を、「補給かぶり濃度」と記載する。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
補給かぶりの評価基準は、次のとおりである。
○(良い):補給かぶり濃度が0.010以下であった。
×(良くない):補給かぶり濃度が0.010超であった。
○(良い):補給かぶり濃度が0.010以下であった。
×(良くない):補給かぶり濃度が0.010超であった。
(放置かぶり)
前述の手順で準備された評価機を、低温低湿環境(温度10℃、湿度10%RH)下に12時間静置した。その後、低温低湿環境(温度10℃、湿度10%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で1000枚連続印刷する第1耐刷試験を行った。第1耐刷試験の後、同一環境(上記低温低湿環境)下に、評価機を12時間静置した。その後、同一環境(上記低温低湿環境)下において、評価機を用いて、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で50枚連続印刷する第2耐刷試験を行った。第2耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(50枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。以下、ここで測定されたかぶり濃度の最大値を、「放置かぶり濃度」と記載する。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
前述の手順で準備された評価機を、低温低湿環境(温度10℃、湿度10%RH)下に12時間静置した。その後、低温低湿環境(温度10℃、湿度10%RH)下において、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で1000枚連続印刷する第1耐刷試験を行った。第1耐刷試験の後、同一環境(上記低温低湿環境)下に、評価機を12時間静置した。その後、同一環境(上記低温低湿環境)下において、評価機を用いて、A4サイズの普通紙に対して、印字率5.0%で50枚連続印刷する第2耐刷試験を行った。第2耐刷試験においては、印刷後の紙の空白部(背景部分)の反射濃度を、反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)の最大値(50枚で最も大きいかぶり濃度)を求めた。以下、ここで測定されたかぶり濃度の最大値を、「放置かぶり濃度」と記載する。なお、かぶり濃度(FD)は、印刷後の紙の空白部の反射濃度からベースペーパー(未印刷紙)の反射濃度を引いた値に相当する。
放置かぶりの評価基準は、次のとおりである。
○(良い):放置かぶり濃度が0.010以下であった。
×(良くない):放置かぶり濃度が0.010超であった。
○(良い):放置かぶり濃度が0.010以下であった。
×(良くない):放置かぶり濃度が0.010超であった。
[評価結果]
現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5の各々について、補給かぶり(補給かぶり濃度)及び放置かぶり(放置かぶり濃度)を評価した結果を、表3に示す。
現像剤DA−1〜DA−8及びDB−1〜DB−5の各々について、補給かぶり(補給かぶり濃度)及び放置かぶり(放置かぶり濃度)を評価した結果を、表3に示す。
現像剤DA−1〜DA−8(実施例1〜8に係る現像剤)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、現像剤DA−1〜DA−8はそれぞれ、トナー及びキャリアを含んでいた。トナーにおける外添剤は、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第1外添剤粒子の粉体と、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第2外添剤粒子の粉体とを含んでいた。第2外添剤粒子は、第1外添剤粒子よりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有していた。詳しくは、第1外添剤粒子は、正帯電性シリカ粒子(外添剤P−1〜P−3のいずれか)であり、第2外添剤粒子は、疎水性酸化チタン粒子(外添剤N−1又はN−2)であった(表1参照)。また、現像剤DA−1〜DA−8はそれぞれ、前述の式(M1)〜(M4)を満たしていた。詳しくは、外添比率変動指数「(C1/C2)/(A1/A2)」が0.80以上1.20以下であった(表2参照)。
表3に示されるように、現像剤DA−1〜DA−8のいずれを使用した場合でも、補給かぶり及び放置かぶりの両方を抑制して、高画質の画像を継続的に形成することができた。
本発明に係る静電潜像現像用現像剤は、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
10 トナー粒子
11 トナー母粒子
12a 第1外添剤粒子
12b 第2外添剤粒子
C1〜C3 キャリア粒子
T1〜T3 トナー粒子
11 トナー母粒子
12a 第1外添剤粒子
12b 第2外添剤粒子
C1〜C3 キャリア粒子
T1〜T3 トナー粒子
Claims (7)
- トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含むトナーと、
複数のキャリア粒子を含むキャリアと、
を含む静電潜像現像用現像剤であって、
前記外添剤は、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第1外添剤粒子の粉体と、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の第2外添剤粒子の粉体とを含み、
前記第2外添剤粒子は、前記第1外添剤粒子よりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有し、
前記第1外添剤粒子の総質量A1と、前記第2外添剤粒子の総質量A2と、前記キャリア粒子に付着している前記第1外添剤粒子の質量SAと、前記キャリア粒子に付着している前記第2外添剤粒子の質量TAと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後に前記キャリア粒子に付着している前記第1外添剤粒子の質量SBと、シェーカーミキサーで120分間攪拌した後に前記キャリア粒子に付着している前記第2外添剤粒子の質量TBとが、下記式(M1)〜(M4)を満たす、静電潜像現像用現像剤。
C1=SB−SA …(M1)
C2=TB−TA …(M2)
0.80×(A1/A2)≦(C1/C2) …(M3)
1.20×(A1/A2)≧(C1/C2) …(M4) - 前記第1外添剤粒子の総質量A1を前記第2外添剤粒子の総質量A2で除した値A1/A2は、1.5以上3.0以下である、請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤。
- 前記第1外添剤粒子が正帯電性シリカ粒子であり、前記第2外添剤粒子が疎水性酸化チタン粒子であり、前記トナー母粒子100質量部に対して、前記第1外添剤粒子の量が1.2質量部以上2.0質量部以下であり、前記第2外添剤粒子の量が0.4質量部以上1.0質量部以下である、請求項2に記載の静電潜像現像用現像剤。
- 前記第1外添剤粒子の等電点P1と前記第2外添剤粒子の等電点P2とが、下記式(M5)及び(M6)を満たす、請求項2又は3に記載の静電潜像現像用現像剤。
7≦P1≦10 …(M5)
+3≦P1−P2≦+6 …(M6) - 前記式(M1)で表されるC1は、前記キャリア粒子の質量に対して0.0100質量%以上である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の静電潜像現像用現像剤。
- 前記トナーは、前記キャリアとの摩擦により正に帯電し得る正帯電性トナーであり、
前記第1外添剤粒子は、前記トナー母粒子よりも正に摩擦帯電し易い帯電性を有し、
前記第2外添剤粒子は、前記トナー母粒子よりも負に摩擦帯電し易い帯電性を有し、
前記第1外添剤粒子の粉体と前記第2外添剤粒子の粉体とは、前記トナー母粒子側から、前記第1外添剤粒子の粉体、前記第2外添剤粒子の粉体の順に積み重なる態様で、前記トナー母粒子の表面に存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電潜像現像用現像剤。 - 前記トナー母粒子は、ポリエステル樹脂を含有し、
前記第1外添剤粒子はシリカ粒子であり、前記第2外添剤粒子は酸化チタン粒子である、請求項6に記載の静電潜像現像用現像剤。
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---|---|---|---|---|
JP2021113862A (ja) * | 2020-01-16 | 2021-08-05 | キヤノン株式会社 | 二成分現像剤 |
EP3926406A4 (en) * | 2019-02-13 | 2022-11-02 | Powdertech Co., Ltd. | MEDIA, XEROGRAPHIC DEVELOPER AND MEDIA PRODUCTION METHOD |
-
2017
- 2017-06-30 JP JP2017128546A patent/JP2019012166A/ja active Pending
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EP3926406A4 (en) * | 2019-02-13 | 2022-11-02 | Powdertech Co., Ltd. | MEDIA, XEROGRAPHIC DEVELOPER AND MEDIA PRODUCTION METHOD |
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