JP2018194787A - 静電潜像現像用現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー粒子からのシェル層の脱離を抑制し、かつ、トナー粒子から脱離した外添剤に起因したトナーの帯電不良を効果的に抑制する。【解決手段】静電潜像現像用現像剤が、正帯電性トナーと、キャリアとを含む。トナー粒子におけるトナーコアとシェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合している。シェル層は、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を含有する。キャリア粒子のコート層は、第1樹脂と、第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂とを含有する。走査型プローブ顕微鏡で測定されるキャリア粒子の表面電位の平均値は、−2500mV以上−150mV以下である。キャリア粒子の表面領域のうち、上記平均値以下の表面電位を有する領域の面積割合は、20%以上45%以下である。走査型プローブ顕微鏡で測定されるトナー粒子の表面電位の標準偏差は、250mV以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像現像用現像剤に関する。
トナー粒子の外添剤によるキャリア汚染を抑制するために、導電性微粉末と仕事関数4.5eV以下の樹脂とを含有する被覆層(コート層)をキャリアコアの表面に形成する技術が、特許文献1に開示されている。
特開平9−179353号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、導電性微粉末と、仕事関数4.5eV以下の樹脂とが必要である。導電性微粉末が、キャリアの帯電付与性を損なう可能性があり、必ずしも十分なキャリアの帯電付与性を確保できるとは限らない。また、キャリア粒子の表面全域の付着性を弱めるには限界がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、トナー粒子からのシェル層の脱離を抑制し、かつ、トナー粒子から脱離した外添剤に起因したトナーの帯電不良を効果的に抑制することを目的とする。
本発明に係る静電潜像現像用現像剤は、トナーと、キャリアとを含む。トナーは、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。キャリアは、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を覆うコート層とを備えるキャリア粒子を、複数含む。前記トナーは、前記キャリアとの摩擦により正に帯電し得る正帯電性トナーである。前記トナー母粒子は、結着樹脂を含有するトナーコアと、前記トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。前記シェル層は、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を含有する。前記トナーコアと前記シェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合している。前記コート層は、第1樹脂と、前記第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂とを含有する。走査型プローブ顕微鏡で測定される前記キャリア粒子の表面電位の平均値は、−2500mV以上−150mV以下である。前記キャリア粒子の表面領域のうち、前記平均値以下の表面電位を有する領域の面積割合は、20%以上45%以下である。走査型プローブ顕微鏡で測定される前記トナー粒子の表面電位の標準偏差は、250mV以下である。
本発明によれば、トナー粒子からのシェル層の脱離を抑制し、かつ、トナー粒子から脱離した外添剤に起因したトナーの帯電不良を効果的に抑制することが可能になる。
本発明の実施形態に係る現像剤の断面構造の一例を示す図である。
本発明の実施形態について説明する。なお、粉体(より具体的には、トナーコア、トナー母粒子、外添剤、トナー、キャリアコア、又はキャリア等)に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、粉体に含まれる相当数の粒子について測定した値の個数平均である。
粉体の個数平均粒子径は、何ら規定していなければ、顕微鏡を用いて測定された1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。また、粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−750」)を用いて測定した値である。
帯電性の強さは、何ら規定していなければ、摩擦帯電し易さに相当する。例えばトナーは、日本画像学会から提供される標準キャリア(アニオン性:N−01、カチオン性:P−01)と混ぜて攪拌することで、摩擦帯電させることができる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えばKFM(ケルビンプローブフォース顕微鏡)でトナー粒子の表面電位を測定し、摩擦帯電の前後での電位の変化が大きい部位ほど帯電性が強いことになる。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。また、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。また、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
本願明細書中では、未処理のシリカ粒子(以下、シリカ基体と記載する)も、シリカ基体に表面処理を施して得たシリカ粒子(表面処理されたシリカ粒子)も、「シリカ粒子」と記載する。また、表面処理剤で疎水化されたシリカ粒子を「疎水性シリカ粒子」と、表面処理剤で正帯電化されたシリカ粒子を「正帯電性シリカ粒子」と、それぞれ記載する場合がある。
また、「アミノ基」は、無置換アミノ基(−NH2)と、無置換アミノ基中の水素が置換された置換アミノ基との両方を含む。無置換アミノ基の2つの水素のうち、1つの水素のみが置換された1置換アミノ基と、2つの水素が置換された2置換アミノ基とを、包括的に「置換アミノ基」と総称する。
本実施形態に係る現像剤は、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。以下、電子写真装置による画像形成方法の一例について説明する。
まず、電子写真装置の像形成部(例えば、帯電装置及び露光装置)が、画像データに基づいて感光体(例えば、感光体ドラムの表層部)に静電潜像を形成する。続けて、電子写真装置の現像装置(詳しくは、トナーとキャリアとを含む現像剤がセットされた現像装置)が、トナーを感光体に供給して、感光体に形成された静電潜像を現像する。トナーは、感光体に供給される前に、現像装置内で、キャリアとの摩擦により帯電する。例えば、正帯電性トナーは正に帯電する。現像工程では、感光体の近傍に配置された現像スリーブ(例えば、現像装置内の現像ローラーの表層部)上のトナー(詳しくは、帯電したトナー)が感光体に供給され、供給されたトナーが感光体の静電潜像に付着することで、感光体上にトナー像が形成される。消費されたトナーは、補給用トナーを収容するトナーコンテナから現像装置へ補給される。
続く転写工程では、電子写真装置の転写装置が、感光体上のトナー像を中間転写体(例えば、転写ベルト)に転写した後、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、電子写真装置の定着装置(定着方式:加熱ローラー及び加圧ローラーによるニップ定着)がトナーを加熱及び加圧して、記録媒体にトナーを定着させる。その結果、記録媒体に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。転写工程の後、感光体上に残ったトナーは、クリーニング部材(例えば、クリーニングブレード)により除去される。なお、転写方式は、感光体上のトナー像を、中間転写体を介さず、記録媒体に直接転写する直接転写方式であってもよい。また、定着方式は、ベルト定着方式であってもよい。
本実施形態に係る現像剤は、2成分現像剤である。2成分現像剤は、トナーとキャリアとを含む。トナーは、多数のトナー粒子から構成される粉体である。キャリアは、多数のキャリア粒子から構成される粉体である。2成分現像剤に含まれるトナーは、例えば正帯電性トナーとして用いることができる。正帯電性トナーは、キャリアと一緒に攪拌されることで、キャリアとの摩擦により正に帯電する。キャリアに含まれるキャリア粒子は、磁性を有する。キャリア粒子に磁性を付与するためには、磁性材料(例えば、フェライトのような強磁性物質)でキャリア粒子の少なくとも一部を形成してもよいし、磁性粒子を分散させた樹脂でキャリア粒子の少なくとも一部を形成してもよい。
本実施形態に係る現像剤は、次に示す構成(以下、基本構成と記載する)を有する静電潜像現像用現像剤である。
(現像剤の基本構成)
現像剤が、トナーと、キャリアとを含む。トナーは、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含む。キャリアは、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆うコート層とを備えるキャリア粒子を、複数含む。トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電し得る正帯電性トナーである。トナー母粒子は、結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。シェル層は、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を含有する。トナーコアとシェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合している。コート層は、第1樹脂と、第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂とを含有する。キャリア粒子の表面電位の平均値は、−2500mV以上−150mV以下である。キャリア粒子の表面領域のうち、上記平均値以下の表面電位を有する領域の面積割合は、20%以上45%以下である。トナー粒子の表面電位の標準偏差は、250mV以下である。
以下、上記基本構成において、キャリア粒子の表面電位の平均値を「キャリア平均表面電位」と、キャリア粒子の表面領域のうち平均値(すなわち、キャリア平均表面電位)以下の表面電位を有する領域の面積割合を「キャリア低電位面積率」と、トナー粒子の表面電位の標準偏差を「トナー電位標準偏差」と、それぞれ記載する場合がある。キャリア平均表面電位、キャリア低電位面積率、及びトナー電位標準偏差はそれぞれ、シェーカーミキサーで現像剤(詳しくは、トナーとキャリアとを含む現像剤)を30分間攪拌した後に走査型プローブ顕微鏡を用いて測定された値である。シェーカーミキサーで現像剤を攪拌することで、トナーとキャリアとの摩擦により、トナーとキャリアとがそれぞれ帯電する。走査型プローブ顕微鏡を用いることで、トナー粒子とキャリア粒子との各々の表面電位を測定できる。キャリア平均表面電位、キャリア低電位面積率、及びトナー電位標準偏差の各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。
また、シェル層を形成するための材料を「シェル材料」と、コート層を形成するための材料を「コート材料」と、それぞれ記載する場合がある。
一般的な画像形成装置において、2成分現像剤(トナー及びキャリア)は、現像装置内で攪拌されながら使用される。攪拌により、トナー粒子の外添剤がトナー粒子から脱離すると、脱離した外添剤が、キャリア粒子に付着することがある。現像装置内において、トナー粒子の外添剤がキャリア粒子に付着すると、キャリアの帯電付与性が変動して、トナーの帯電量が過剰になったり不十分になったりする傾向がある。トナーの帯電不良は、かぶりの原因になる。また、キャリアの帯電付与性が不十分になると、正帯電性トナーが本来の極性(すなわち、正)とは逆に帯電して、逆帯電トナー(詳しくは、負に帯電したトナー粒子)が生じることがある。逆帯電トナーは、かぶりの原因になる。
トナー粒子から脱離した外添剤がキャリア粒子に付着することを抑制するための方法としては、付着性の弱いコート層でキャリアコアを覆うことが考えられる。しかし、付着性の弱いコート層は、必ずしも十分な帯電付与性をキャリア粒子に付与しない。十分なキャリアの帯電付与性を確保するためには、付着性だけでなく帯電性も考慮して、コート層の材料を選ばなければならない。キャリア粒子の表面全域の付着性を弱めるには限界がある。
前述の基本構成を有する現像剤では、キャリア平均表面電位が−2500mV以上−150mV以下である。キャリア平均表面電位が適度に低いことで、キャリア粒子に適度な帯電付与性を持たせることができる。キャリア平均表面電位が低過ぎると、正帯電性トナーに対するキャリア粒子の帯電付与性が強くなり過ぎて、トナーを過剰に帯電させてしまうことが懸念される。
また、トナーの帯電不良を抑制するためには、トナー電位標準偏差が250mV以下であることが好ましい。トナー粒子の表面電位のばらつきが大きいと、局所的に逆帯電(又は、過剰帯電)し易くなり、トナーの帯電異常が生じ易くなる。なお、トナーの生産性の観点からは、トナー電位標準偏差が50mV以上であることが好ましい。
また、長期にわたってトナーの帯電不良を抑制するためには、トナー粒子からのシェル層の脱離を抑制することが好ましい。トナー粒子からシェル層が脱離すると、トナー粒子の帯電性が変わる。特に、シェル層によってトナー粒子に帯電性を付与している場合には、シェル層の脱離によってトナー粒子の帯電性が大幅に弱くなると考えられる。こうしたトナー粒子の帯電性の変化は、トナーの帯電不良の原因になる。
前述の基本構成を有する現像剤では、トナーコアとシェル層とが、アミド結合を介して、化学的に結合している。このため、トナーコアとシェル層との結合は強固であり、トナー粒子からシェル層が脱離しにくい。
例えば、シェル材料として、無置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を使用して、この樹脂の無置換アミノ基と、トナーコア中の結着樹脂のカルボキシル基とを反応させることで、トナーコアとシェル層との間にアミド結合を形成できる。しかし、無置換アミノ基は強い親水性を有するため、シェル層中に無置換アミノ基をそのまま残すと、空気中の水分の影響でトナー粒子の帯電性が変動し易くなる。本願発明者は、疎水化処理により、無置換アミノ基を、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基に変えることで、トナー粒子の帯電性の変動を抑制することに成功した。なお、置換アミノ基の置換基の好適な例としては、アシル基、又はカルボン酸アルキルエステル基が挙げられる。窒素を含む置換アミノ基が樹脂中に存在することで、樹脂の正帯電性が強くなる傾向がある。
正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電し得る。すなわち、正帯電性トナーは、キャリアよりも強い正帯電性を有する。正帯電性トナーでは、外添剤が正に帯電する傾向がある。トナー粒子から脱離した外添剤(詳しくは、正に帯電した外添剤)を捕獲するためには、キャリア粒子の表面に、局所的に電位が低い領域が存在することが好ましい。正に帯電し易い外添剤の例としては、シリカ粒子、又は樹脂粒子が挙げられる。前述の基本構成において、キャリア低電位面積率が20%以上45%以下であることは、キャリア粒子の表面に、局所的に電位が低い領域が存在することを意味する。以下、キャリア粒子の表面に存在する局所的に電位が低い領域を、「低電位部」と記載する場合がある。
キャリア粒子の表面に低電位部が存在することによって、トナー粒子から脱離した外添剤を的確に捕獲できるようになる。詳しくは、正に帯電した外添剤は、キャリア粒子の低電位部に引き寄せられて、静電気力によってキャリア粒子の表面に保持される。また、低電位部の存在によって、キャリア粒子の全面が外添剤で汚染されることを防止できる。
本願発明者は、シェル材料として、疎水性の強い樹脂(詳しくは、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂)を使用し、かつ、コート材料として、異なる帯電性を有する2種類の樹脂(すなわち、第1樹脂及び第2樹脂)を使用し、正に帯電し易い第1樹脂と、負に帯電し易い第2樹脂との、各々の量を適切な量とすることで、キャリア低電位面積率を適度に低い値(詳しくは、20%以上45%以下)にすることに成功した。なお、キャリアの生産性の観点からは、キャリア低電位面積率が35%以上であることが好ましい。コート層における第1樹脂と第2樹脂とを比べると、第1樹脂は第2樹脂よりも正に帯電し易く、第2樹脂は第1樹脂よりも負に帯電し易い。キャリア低電位面積率は、正に帯電し易い第1樹脂と、負に帯電し易い第2樹脂との分布に応じて変化する。例えば、キャリア粒子の表層部において、第1樹脂が密に存在する部位は表面電位が高くなる傾向がある。また、キャリア粒子の表層部において、第2樹脂が密に存在する部位は表面電位が低くなる傾向がある。キャリア粒子のコート層が1種類の樹脂のみを含む場合には、キャリア低電位面積率が50%に近い値になる(すなわち、45%を超える)傾向がある(例えば、後述する現像剤DB−1、DB−2、及びDB−8参照)。
例えば、フッ素樹脂とポリアミド樹脂とを含有するコート層は、電荷減衰し易い傾向がある。ポリアミド樹脂は、完全に縮合すると強い疎水性を有するようになるが、一般的なキャリア粒子の製造方法で形成されたコート層は、縮合率の低いポリアミド樹脂を含有する。縮合率の低いポリアミド樹脂の吸水性は高い。このため、キャリア粒子が帯電しにくくなり、キャリア低電位面積率が50%に近い値になる(すなわち、45%を超える)傾向がある(例えば、後述する現像剤DB−5及びDB−6参照)。ただし、トナー粒子のシェル層が疎水性の強い樹脂(詳しくは、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂)を含有する場合には、トナー粒子の表面が強い疎水性を有することによって、トナー粒子とキャリア粒子との摩擦で生じた電荷がキャリア粒子の表面に保持され易くなる。
他方、フッ素樹脂とアクリル酸系樹脂とを含有するコート層は、電荷減衰しにくい傾向がある。この理由は、アクリル酸系樹脂の疎水性が十分強いからであると考えられる。アクリル酸系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム化合物とを含む単量体(樹脂原料)の重合物が特に好ましい。
以上説明したように、現像剤が前述の基本構成を有することで、トナー粒子からのシェル層の脱離を抑制し、かつ、トナー粒子から脱離した外添剤に起因したトナーの帯電不良を抑制することが可能になる。
前述の基本構成を有する現像剤において、トナーの好適な第1の例では、トナーコア中の結着樹脂が、カルボキシル基を有する単位を含む樹脂であり、シェル層に含有される樹脂が、下記式(A−1)で表される単位と、下記式(A−2)で表される単位と、下記式(A−3)で表される単位とを含む。カルボキシル基を有する単位を含む結着樹脂の好適な例としては、ポリエステル樹脂、又はスチレン−アクリル酸系樹脂(例えば、スチレンとアクリル酸との重合物)が挙げられる。
Figure 2018194787
式(A−1)中、R1は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R1が置換基を有するアルキル基を表す場合の置換基の例としては、フェニル基が挙げられる。R1としては、水素原子、メチル基、エチル基、又はイソプロピル基が特に好ましい。
Figure 2018194787
式(A−2)中、R1は、式(A−1)中のR1と同一の基を表し、R21は、トナーコア中の結着樹脂を表す。
Figure 2018194787
式(A−3)中、R1は、式(A−1)中のR1と同一の基を表し、R31は、アルキル基を表す。R31としては、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下の直鎖アルキル基が特に好ましい。
下記式(1)で表される化合物を重合させることで、式(A−1)で表される単位をシェル層中に導入できる。以下、式(A−1)で表される単位を「単位(A−1)」と、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と、それぞれ記載する。
Figure 2018194787
式(1)中、R1は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。2−ビニル−2−オキサゾリンでは、式(1)中のR1が水素原子を表す。
ビニル化合物は、炭素二重結合「C=C」により付加重合(「C=C」→「−C−C−」)して、高分子(樹脂)になり得る。ビニル化合物の重合体において、ビニル化合物に由来する単位は、炭素二重結合「C=C」により付加重合していると考えられる。ビニル化合物は、ビニル基(CH2=CH−)、又はビニル基中の水素が置換された基を有する化合物である。ビニル化合物の例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、又はスチレンが挙げられる。
単位(A−1)は、未開環のオキサゾリン基を有する。未開環のオキサゾリン基は、環状構造を有し、強い正帯電性を示す。未開環のオキサゾリン基は、カルボキシル基、芳香族性スルファニル基、及び芳香族性水酸基と反応し易い。例えば、単位(A−1)が、トナーコア中の結着樹脂(式(A−2)中では、R21と表す)のカルボキシル基と反応すると、前述の式(A−2)に示すようにオキサゾリン基が開環し、アミドエステル結合が形成される。以下、式(A−2)で表される単位を、単位(A−2)と記載する。
単位(A−1)のオキサゾリン基が、トナーコア中の結着樹脂(式(A−2)中のR21)のカルボキシル基と反応することで、単位(A−2)が生成すると考えられる。単位(A−2)では、トナーコアとシェル層との間にアミド結合(−NH−CO−)が存在する。すなわち、トナーコアとシェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合している。こうした強固な結合(詳しくは、アミド結合)が形成されることで、トナーコアからのシェル層の脱離が抑制されることになる。
また、単位(A−1)のオキサゾリン基を、カルボン酸(例えば、吉草酸)と反応させることで、前述の式(A−3)に示すようにオキサゾリン基を開環させることができる。以下、式(A−3)で表される単位を、単位(A−3)と記載する。
例えば、単位(A−1)のオキサゾリン基を吉草酸(CH3(CH23COOH)と反応させた場合には、R31が炭素数4の直鎖アルキル基(n−ブチル基)を表す単位(A−3)が生成すると考えられる。単位(A−3)は、単位(A−1)よりも強い疎水性を有する。また、無置換アミノ基中の水素が吉草酸エチルエステル基(CH3(CH23COO(CH22−)で置換された置換アミノ基は、無置換アミノ基よりも強い疎水性を有する。すなわち、前述のカルボン酸(例えば、吉草酸)は、疎水化剤として機能する。
樹脂中の複数の単位(A−1)のうち、一部(詳しくは、任意の数)の単位(A−1)を単位(A−2)に、別の一部(詳しくは、任意の数)の単位(A−1)を単位(A−3)に、それぞれ変えて、他の単位(A−1)はそのまま残すことで、単位(A−1)、単位(A−2)、及び単位(A−3)を有する樹脂が得られる。シェル層中に単位(A−1)が存在することで、シェル層が十分な正帯電性を有し易くなる。
前述の基本構成を有する現像剤において、トナーの好適な第2の例では、トナーコア中の結着樹脂が、カルボキシル基を有する単位を含む樹脂であり、シェル層に含有される樹脂が、下記式(B−1)で表される単位と、下記式(B−2)で表される単位とを含む。カルボキシル基を有する単位を含む結着樹脂の好適な例としては、ポリエステル樹脂、又はスチレン−アクリル酸系樹脂(例えば、スチレンとアクリル酸との重合物)が挙げられる。
Figure 2018194787
式(B−1)中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、R3は、アルキレン基を表し、R41は、トナーコア中の結着樹脂を表す。R3としては、炭素数1以上4以下のアルキレン基が特に好ましい。
Figure 2018194787
式(B−2)中、R2は、式(B−1)中のR2と同一の基を表し、R3は、式(B−1)中のR3と同一の基を表し、R51は、アルキル基を表す。R51としては、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下の直鎖アルキル基が特に好ましい。
(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルを重合させることで、下記式(2)で表される単位をシェル層中に導入できる。以下、式(2)で表される単位を「単位(2)」と記載する。
Figure 2018194787
式(2)中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、R3は、アルキレン基を表す。
単位(2)は、端部に無置換アミノ基(−NH2)を有する。適切な縮合剤を使用することで、単位(2)の無置換アミノ基とトナーコア中の結着樹脂(式(B−1)中のR41)のカルボキシル基とを脱水縮合反応させることができる。こうした反応により、式(B−1)で表される単位が生成すると考えられる。以下、式(B−1)で表される単位を、単位(B−1)と記載する。単位(B−1)では、トナーコアとシェル層との間にアミド結合(−NH−CO−)が存在する。すなわち、トナーコアとシェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合している。こうした強固な結合(詳しくは、アミド結合)が形成されることで、トナーコアからのシェル層の脱離が抑制されることになる。
また、適切な縮合剤を使用することで、単位(2)の無置換アミノ基とカルボン酸(例えば、吉草酸)とを脱水縮合反応させることもできる。こうした反応により、式(B−2)で表される単位が生成すると考えられる。以下、式(B−2)で表される単位を、単位(B−2)と記載する。
縮合剤を用いて、単位(2)の無置換アミノ基を吉草酸(CH3(CH23COOH)と反応させた場合には、R51が炭素数4の直鎖アルキル基(n−ブチル基)を表す単位(B−2)が生成すると考えられる。単位(B−2)は、単位(2)よりも強い疎水性を有する。また、無置換アミノ基中の水素がアシル基(詳しくは、CH3(CH23CO−)で置換された置換アミノ基は、無置換アミノ基よりも強い疎水性を有する。すなわち、前述のカルボン酸(例えば、吉草酸)は、疎水化剤として機能する。
樹脂中の複数の単位(2)のうち、一部(詳しくは、任意の数)の単位(2)を単位(B−1)に、別の一部(詳しくは、任意の数)の単位(2)を単位(B−2)に、それぞれ変えて、他の単位(2)はそのまま残すことで、単位(B−1)、単位(B−2)、及び単位(2)を有する樹脂が得られる。ただし、全ての単位(2)を単位(B−1)又は単位(B−2)に変えて、樹脂中に単位(2)を残さないようにしてもよい。
前述の基本構成を有する現像剤において、トナーの好適な第3の例では、トナーコア中の結着樹脂が、カルボキシル基を有する単位を含む樹脂であり、シェル層に含有される樹脂が、下記式(C−1)で表される単位と、下記式(C−2)で表される単位とを含む。カルボキシル基を有する単位を含む結着樹脂の好適な例としては、ポリエステル樹脂、又はスチレン−アクリル酸系樹脂(例えば、スチレンとアクリル酸との重合物)が挙げられる。
Figure 2018194787
式(C−1)中、R4は、水素原子又はメチル基を表し、R61は、トナーコア中の結着樹脂を表す。
Figure 2018194787
式(C−2)中、R4は、式(C−1)中のR4と同一の基を表し、R71は、アルキル基を表す。R71としては、炭素数1以上12以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下の直鎖アルキル基が特に好ましい。
ポリ(メタ)アクリルアミド樹脂は、下記式(3)で表される単位を含む。以下、式(3)で表される単位を「単位(3)」と記載する。
Figure 2018194787
式(3)中、R4は、水素原子又はメチル基を表す。
単位(3)は、端部に無置換アミノ基(−NH2)を有する。適切な縮合剤を使用することで、単位(3)の無置換アミノ基とトナーコア中の結着樹脂(式(C−1)中のR61)のカルボキシル基とを脱水縮合反応させることができる。こうした反応により、式(C−1)で表される単位が生成すると考えられる。以下、式(C−1)で表される単位を、単位(C−1)と記載する。単位(C−1)では、トナーコアとシェル層との間にアミド結合(−NH−CO−)が存在する。すなわち、トナーコアとシェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合している。こうした強固な結合(詳しくは、アミド結合)が形成されることで、トナーコアからのシェル層の脱離が抑制されることになる。
また、適切な縮合剤を使用することで、単位(3)の無置換アミノ基とカルボン酸(例えば、吉草酸)とを脱水縮合反応させることもできる。こうした反応により、式(C−2)で表される単位が生成すると考えられる。以下、式(C−2)で表される単位を、単位(C−2)と記載する。
縮合剤を用いて、単位(3)の無置換アミノ基を吉草酸(CH3(CH23COOH)と反応させた場合には、R71が炭素数4の直鎖アルキル基(n−ブチル基)を表す単位(C−2)が生成すると考えられる。単位(C−2)は、単位(3)よりも強い疎水性を有する。また、無置換アミノ基中の水素がアシル基(詳しくは、CH3(CH23CO−)で置換された置換アミノ基は、無置換アミノ基よりも強い疎水性を有する。すなわち、前述のカルボン酸(例えば、吉草酸)は、疎水化剤として機能する。
樹脂中の複数の単位(3)のうち、一部(詳しくは、任意の数)の単位(3)を単位(C−1)に、別の一部(詳しくは、任意の数)の単位(3)を単位(C−2)に、それぞれ変えて、他の単位(3)はそのまま残すことで、単位(C−1)、単位(C−2)、及び単位(3)を有する樹脂が得られる。ただし、全ての単位(3)を単位(C−1)又は単位(C−2)に変えて、樹脂中に単位(3)を残さないようにしてもよい。
無置換アミノ基の脱水縮合反応を促進するための縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を使用できる。なお、縮合剤は、洗浄により除去される。
上記好適な第1〜第3の例に係るトナーを含む現像剤に関しては、キャリア粒子のコート層が、次に示す第1樹脂及び第2樹脂を含有することが好ましい。すなわち、第1樹脂が、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリイミド樹脂であり、第2樹脂が、フッ素樹脂であることが好ましい。また、キャリアコアはフェライト粒子であることが好ましい。フェライト粒子は、画像形成のために十分な磁性を有する傾向がある。また、一般的な製法により作製されたフェライト粒子は、真球にはならず、表面に適度な凹凸を有する傾向がある。詳しくは、フェライト粒子の表面の算術平均粗さ(詳しくは、JIS(日本工業規格)B0601−2013で規定される算術平均粗さRa)は0.3μm以上2.0μm以下である傾向がある。キャリアコアの表面が適度な粗さを有することで、キャリアコアの表面とコート層との密着性が向上し、コート層の剥がれが抑制されると考えられる。
画像形成に適した現像剤を得るためには、トナー粒子のシェル層の厚さが1nm以上100nm以下であり、キャリア粒子のコート層の厚さが500nm以上1500nm以下であることが好ましい。
トナー粒子のシェル層が薄過ぎると、トナーの耐熱保存性及び帯電性が不十分になり易くなる。トナー粒子のシェル層が厚過ぎると、トナーの低温定着性が不十分になり易くなる。
キャリア粒子のコート層が薄過ぎると、キャリア粒子の耐久性が不十分になり易くなる。コート層が剥がれてキャリアコアが露出すると、キャリアの帯電付与性が不十分になり易くなる。キャリア粒子のコート層が厚過ぎると、キャリア粒子の表面に対するキャリアコアの磁力の影響が弱くなり、十分なキャリアの磁力を確保しにくくなる。また、コート層を形成するための材料の添加量を増やすと、コート層が硬化する前にキャリアが凝集し易くなる。
シェル層の厚さの測定方法とコート層の厚さの測定方法とについて説明する。なお、シェル層の厚さの測定方法とコート層の厚さの測定方法とは同じであるため、代表として、コート層の厚さの測定方法についてのみ説明する。コート層の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてキャリア粒子の断面のTEM撮影像を解析することによって計測できる。1つのキャリア粒子においてコート層の厚さが均一でない場合には、均等に離間した4箇所(詳しくは、キャリア粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線がコート層と交差する4箇所)の各々でコート層の厚さを測定し、得られた4つの測定値の算術平均を、そのキャリア粒子の評価値(コート層の厚さ)とする。なお、TEM撮影像においてキャリアコアとコート層との境界が不明瞭である場合には、TEMと電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせて、TEM撮影像中で、コート層に含まれる特徴的な元素のマッピングを行うことで、キャリアコアとコート層との境界を明確にすることができる。
また、上記のような厚さを有するシェル層、コート層はそれぞれ、次に示すような態様で、トナーコア、キャリアコアを被覆していることが好ましい。
画像形成に適した現像剤を得るためには、シェル層が、トナーコアの表面領域のうち、40%以上100%以下の面積を覆っており、コート層が、キャリアコアの表面領域のうち70%以上100%以下の面積を覆っていることが好ましい。これらシェル層の被覆率とコート層の被覆率とはそれぞれ、予め染色されたトナー粒子(又は、予め染色されたキャリア粒子)の表面を電子顕微鏡で撮影し、得られた撮影像を、市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することで、測定できる。
図1に、本実施形態に係る2成分現像剤の概略構成を示す。図1に示される2成分現像剤は、複数のトナー粒子10と、複数のキャリア粒子20とを含む。
トナー粒子10は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤(複数の外添剤粒子13)とを備える。トナー母粒子は、トナーコア11と、トナーコア11の表面を覆うシェル層12とを備える。トナーコア11は、結着樹脂(例えば、ポリエステル樹脂)を含有する。シェル層12は、例えば、少なくとも1つの水素がアシル基で置換された置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を含有する。無置換アミノ基中の水素がアシル基で置換されることで、置換アミノ基の疎水性は無置換アミノ基よりも強くなる。外添剤粒子13は、無機粒子(例えば、シリカ粒子)であってもよいし、樹脂粒子であってもよい。
キャリア粒子20は、キャリアコア21と、キャリアコア21の表面を覆うコート層22とを備える。キャリアコア21は、例えばフェライト粒子である。コート層22は、第1樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)及び第2樹脂(例えば、フッ素樹脂)を含有する樹脂膜である。
一般に、トナーコアは、粉砕コア(粉砕トナーとも呼ばれる)と重合コア(ケミカルトナーとも呼ばれる)とに大別される。粉砕法で得られたトナーコアは粉砕コアに属し、凝集法で得られたトナーコアは重合コアに属する。前述の基本構成において、トナーコアは、ポリエステル樹脂を含有する粉砕コアであることが好ましい。トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立を図るためには、トナーコアが、溶融混練された1種以上の結晶性ポリエステル樹脂と1種以上の非結晶性ポリエステル樹脂とを含有することが特に好ましい。トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立を図るためには、粉砕コアは、非結晶性ポリエステル樹脂として、軟化点90℃以下の第1非結晶性ポリエステル樹脂と、軟化点100℃以上115℃以下の第2非結晶性ポリエステル樹脂と、軟化点125℃以上の第3非結晶性ポリエステル樹脂とを含有することが特に好ましい。
トナーコアの作製方法の好適な例としては、粉砕法又は凝集法が挙げられる。これらの方法は、結着樹脂中に内添剤を良好に分散させ易い。
粉砕法の一例では、まず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を混合する。続けて、得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕した後、分級する。これにより、トナーコアが得られる。粉砕法は、凝集法よりも容易にトナーコアを作製できることが多い。
凝集法の一例では、まず、結着樹脂、離型剤、及び着色剤の各々の微粒子を含む水性媒体中で、これらの微粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有する凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含有される成分を合一化させる。これにより、所望の粒子径を有するトナーコアが得られる。
シェル層の形成方法の例としては、in−situ重合法、液中硬化被膜法、又はコアセルベーション法が挙げられる。より具体的には、水溶性のシェル材料を溶かした水性媒体中にトナーコアを入れた後、その水性媒体を加熱することにより、シェル材料の重合反応を進行させて、トナーコアの表面にシェル層を形成する方法(第1シェル形成方法)が好ましい。
また、シェル層の形成において、シェル材料として樹脂粒子(例えば、樹脂分散液)を使用してもよい。より具体的には、樹脂粒子とトナーコアとを含む液(例えば、水性媒体)中で、トナーコアの表面に樹脂粒子を付着させた後、液を加熱することにより、樹脂粒子の膜化を進行させて、トナーコアの表面にシェル層を形成する方法(第2シェル形成方法)が好ましい。液を高温に保っている間に、トナーコアの表面において樹脂粒子同士の結合(ひいては、各樹脂粒子における架橋反応)を進行させることができる。
水性媒体は、水を主成分とする媒体(より具体的には、純水、又は水と極性媒体との混合液等)である。水性媒体中の極性媒体としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール又はエタノール等)を使用できる。水性媒体の沸点は約100℃である。
コート層の形成方法は、次に示すような、複合化工程と、熱処理工程とを含むことが好ましい。なお、第1樹脂粒子は、実質的に第1樹脂から構成される粒子である。また、第2樹脂粒子は、実質的に第2樹脂から構成される粒子である。
複合化工程では、例えば乾式粒子複合化装置を用いて、キャリアコア(粉体)と、第1樹脂粒子(粉体)と、第2樹脂粒子(粉体)とを攪拌して、キャリアコアの表面に、第1樹脂粒子(例えば、ポリアミドイミド樹脂粒子)と、第2樹脂粒子(例えば、フッ素樹脂粒子)とを機械的に付着させる。乾式粒子複合化装置としては、例えばホソカワミクロン株式会社製の「ノビルタ(登録商標)」を使用できる。ノビルタは、水平配置型の円筒状容器と、水冷ジャケットと、周速30m/秒以上で高速回転可能なローターとを備える。ローターの形状は、圧縮力、剪断力、及び衝撃力が個々の粒子に均一に作用するように設計されている。
熱処理工程では、上記複合化工程により得た複合粒子(詳しくは、キャリアコアと第1樹脂粒子と第2樹脂粒子との複合粒子)に、温度200℃以上400℃以下の熱処理を施すことによって、キャリアコアの表面における第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子の膜化を促進する。熱処理の時間は、30分間以上180分間以下であることが好ましい。これにより、キャリアコアの表面に、第1樹脂及び第2樹脂を含有する膜が形成される。なお、膜は、粒状感のない膜であってもよいし、粒状感のある膜であってもよい。
画像形成に適した現像剤を得るためには、トナーの体積中位径(D50)が4μm以上9μm以下であり、キャリアの体積中位径(D50)が20μm以上120μm以下であることが好ましい。
次に、トナーコア(結着樹脂及び内添剤)、シェル層、外添剤、キャリアコア、及びコート層について、順に説明する。
[トナーコア]
トナーコアは結着樹脂を含有する。また、トナーコアは、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有してもよい。
(結着樹脂)
トナーコアでは、一般的に、成分の大部分を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の性質がトナーコア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、結着樹脂の性質(より具体的には、水酸基価、酸価、Tg、又はTm等)を調整することができる。結着樹脂がエステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有する場合には、トナーコアはアニオン性になる傾向が強くなり、結着樹脂がアミノ基又はアミド基を有する場合には、トナーコアはカチオン性になる傾向が強くなる。トナーコアとシェル層との結合性(反応性)を高めるためには、結着樹脂の酸価が10mgKOH/g以上であることが好ましい。
トナーコアの結着樹脂としては、熱可塑性樹脂(より具体的には、ポリエステル樹脂、又はスチレン−アクリル酸系樹脂等)が好ましい。トナーコア中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるためには、トナーコアが、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性ポリエステル樹脂とを含有することが特に好ましい。
トナーコアに含有される結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂に関しては、トナーコアの質量に対して、結晶性ポリエステル樹脂の総量が5質量%以上15質量%以下であり、非結晶性ポリエステル樹脂の総量が60質量%以上80質量%以下であり、非結晶性ポリエステル樹脂の総量と結晶性ポリエステル樹脂の総量との合計量が75質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコール(より具体的には、以下に示すような、脂肪族ジオール、ビスフェノール、又は3価以上のアルコール等)と1種以上の多価カルボン酸(より具体的には、以下に示すような2価カルボン酸又は3価以上のカルボン酸等)とを縮重合させることで得られる。また、ポリエステル樹脂は、他のモノマー(多価アルコール及び多価カルボン酸のいずれでもないモノマー)に由来する繰返し単位を含んでいてもよい。
脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、α,ω−アルカンジオール(より具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、又は1,12−ドデカンジオール等)、2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノールの好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、芳香族ジカルボン酸(より具体的には、フタル酸、テレフタル酸、又はイソフタル酸等)、α,ω−アルカンジカルボン酸(より具体的には、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、又は1,10−デカンジカルボン酸等)、α,ω−アルカンジカルボン酸に側鎖が付与されたジカルボン酸(より具体的には、アルキルコハク酸、又はアルケニルコハク酸等)、不飽和ジカルボン酸(より具体的には、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、又はグルタコン酸等)、又はシクロアルカンジカルボン酸(より具体的には、シクロヘキサンジカルボン酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂(結着樹脂)の好適な例としては、1種以上の炭素数2以上12以下のα,ω−アルカンジオール(例えば、2種類のα,ω−アルカンジオール:炭素数4の1,4−ブタンジオール及び炭素数6の1,6−ヘキサンジオール)と、1種以上の炭素数4以上10以下のα,ω−アルカンジカルボン酸(例えば、炭素数4のコハク酸)と、1種以上のスチレン系モノマーと、1種以上のアクリル酸系モノマーとを含む単量体(樹脂原料)の重合物が挙げられる。スチレン系モノマーの例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、ヒドロキシスチレン(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、又はm−ヒドロキシスチレン等)、又はハロゲン化スチレン(より具体的には、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレン等)が挙げられる。アクリル酸系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
トナーコアが適度なシャープメルト性を有するためには、トナーコア中に、結晶性指数0.90以上1.20以下の結晶性ポリエステル樹脂を含有させることが好ましい。樹脂の結晶性指数は、樹脂の融点(Mp)に対する樹脂の軟化点(Tm)の比率(=Tm/Mp)に相当する。非結晶性樹脂については、明確なMpを測定できないことが多い。樹脂のMp及びTmの各々の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はその代替方法である。結晶性ポリエステル樹脂の結晶性指数は、結晶性ポリエステル樹脂を合成するための材料の種類又は使用量(配合比)を変更することで、調整できる。トナーコアは、結晶性ポリエステル樹脂を1種類だけ含有してもよいし、2種以上の結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
軟化点90℃以下の非結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、アルコール成分として、ビスフェノール(例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物及び/又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物)を含み、酸成分として、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸)及び不飽和ジカルボン酸(例えば、フマル酸)を含む非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
軟化点100℃以上115℃以下の非結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、アルコール成分として、ビスフェノール(例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物及び/又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物)を含み、酸成分として、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸)を含み、不飽和ジカルボン酸を含まない非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
軟化点125℃以上の非結晶性ポリエステル樹脂の好適な例としては、アルコール成分として、ビスフェノール(例えば、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物及び/又はビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物)を含み、酸成分として、炭素数10以上20以下のアルキル基を有するジカルボン酸(例えば、炭素数12のアルキル基を有するドデシルコハク酸)、不飽和ジカルボン酸(例えば、フマル酸)、及び3価カルボン酸(例えば、トリメリット酸)を含む非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。画像形成に適したトナーを得るためには、着色剤の量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、イエロー着色剤(より具体的には、ナフトールイエロー、モノアゾイエロー、ジアゾイエロー、ジスアゾイエロー、又はアントラキノン化合物等)、マゼンタ着色剤(より具体的には、キナクリドン化合物、ナフトール化合物、カーミン6B、又はモノアゾレッド等)、又はシアン着色剤(より具体的には、フタロシアニンブルー、又はアントラキノン化合物等)のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーコアのアニオン性を強めるためには、アニオン性を有するワックスを用いてトナーコアを作製することが好ましい。画像形成に適したトナーを得るためには、離型剤の量が、トナーコアの質量に対して3質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。1種類の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
トナーコアに負帯電性の電荷制御剤(より具体的には、有機金属錯体又はキレート化合物等)を含有させることで、トナーコアのアニオン性を強めることができる。また、トナーコアに正帯電性の電荷制御剤(より具体的には、ピリジン、ニグロシン、又は4級アンモニウム塩等)を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。ただし、トナーにおいて十分な帯電性が確保される場合には、トナーコアに電荷制御剤を含有させる必要はない。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれらの合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、又は二酸化クロム等)、又は強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)を好適に使用できる。1種類の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
磁性粉からの金属イオン(例えば、鉄イオン)の溶出を抑制するためには、磁性粉を表面処理することが好ましい。酸性条件下でトナーコアの表面にシェル層を形成する場合に、トナーコアの表面に金属イオンが溶出すると、トナーコア同士が固着し易くなる。磁性粉からの金属イオンの溶出を抑制することで、トナーコア同士の固着を抑制することができると考えられる。
[シェル層]
前述の基本構成を有する現像剤では、シェル層が、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を含有する。
シェル層の好適な第1の例としては、単位(A−1)と、単位(A−2)と、単位(A−3)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位(詳しくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの付加重合単位)とを含む樹脂を含有するシェル層が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位によって、シェル層の被覆性が向上する傾向がある。特に、エステル部に炭素数1以上4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位が好ましい。
シェル層の好適な第2の例としては、単位(B−1)と、単位(B−2)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位(詳しくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの付加重合単位)とを含む樹脂を含有するシェル層が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位によって、シェル層の被覆性が向上する傾向がある。特に、エステル部に炭素数1以上4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位が好ましい。
シェル層の好適な第3の例としては、単位(C−1)と単位(C−2)とを含む樹脂を含有するシェル層が挙げられる。
[外添剤]
前述の基本構成を有する現像剤では、トナー母粒子の表面に外添剤(詳しくは、複数の外添剤粒子)が付着している。外添剤は、内添剤とは異なり、トナー母粒子の内部には存在せず、トナー母粒子の表面(トナー粒子の表層部)のみに選択的に存在する。例えば、トナー母粒子(粉体)と外添剤(粉体)とを一緒に攪拌することで、トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させることができる。トナー母粒子と外添剤粒子とは、互いに化学反応せず、化学的ではなく物理的に結合する。トナー母粒子と外添剤粒子との結合の強さは、攪拌条件(より具体的には、攪拌時間、及び攪拌の回転速度等)、外添剤粒子の粒子径、外添剤粒子の形状、及び外添剤粒子の表面状態などによって調整できる。
外添剤粒子としては、シリカ粒子、金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子、又は樹脂粒子が好ましい。1種類の外添剤を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤を併用してもよい。
シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数の水酸基(−OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、水酸基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤を用いてシリカ基体の表面を処理した場合、シランカップリング剤の水酸基(例えば、水分によりシランカップリング剤のアルコキシ基が加水分解されて生成する水酸基)がシリカ基体の表面に存在する水酸基と脱水縮合反応(「A(シリカ基体)−OH」+「B(カップリング剤)−OH」→「A−O−B」+H2O)する。こうした反応により、アミノ基を有するシランカップリング剤とシリカとが化学結合することで、シリカ粒子の表面にアミノ基が付与されて、正帯電性シリカ粒子が得られる。より詳しくは、シリカ基体の表面に存在する水酸基が、端部にアミノ基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−(CH23−NH2等)に置換される。アミノ基が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い正帯電性を有する傾向がある。また、アルキル基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、疎水性シリカ粒子が得られる。より詳しくは、上記脱水縮合反応により、シリカ基体の表面に存在する水酸基を、端部にアルキル基を有する官能基(より具体的には、−O−Si−CH3等)に置換することができる。このように、親水性基(水酸基)の代わりに疎水性基(例えば、炭素数1以上3以下のアルキル基)が付与されたシリカ粒子は、シリカ基体よりも強い疎水性を有する傾向がある。
トナーの流動性を向上させるためには、外添剤粒子として、個数平均1次粒子径5nm以上30nm以下の無機粒子(粉体)を使用することが好ましい。外添剤をトナー粒子間でスペーサーとして機能させてトナーの耐熱保存性を向上させるためには、外添剤粒子として、個数平均1次粒子径50nm以上200nm以下の樹脂粒子(粉体)を使用することが好ましい。樹脂粒子は、高い電気抵抗を有するため、摩擦により帯電し易い。また、大きい樹脂粒子は、トナー粒子から脱離し易い。
トナー粒子からの外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(複数種の外添剤粒子を使用する場合には、それら外添剤粒子の合計量)が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
[キャリア]
前述の基本構成を有する現像剤では、キャリアが、複数のキャリア粒子を含む。キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆うコート層とを備える。
(キャリアコア)
キャリアコアは、磁性材料を含有することが好ましい。キャリアコアが磁性材料の粒子であってもよいし、キャリアコアの結着樹脂中に磁性材料の粒子を分散させてもよい。キャリアコアに含有される磁性材料の例としては、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれら金属の1種以上を含む合金等)、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト等)が挙げられる。フェライトの好適な例としては、マグネタイト(スピネルフェライト)、バリウムフェライト、Mnフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Ca−Mgフェライト、Liフェライト、Cu−Znフェライト、又はMn−Mg−Srフェライトが挙げられる。個々のキャリアコアの材料として、1種類の磁性材料を単独で使用してもよいし、2種以上の磁性材料を併用してもよい。キャリアコアとしては、市販品を使用してもよい。また、磁性材料を粉砕及び焼成してキャリアコアを自作してもよい。キャリアコアの作製において、磁性材料の添加量(特に、強磁性材料の割合)を変えることで、キャリアの飽和磁化を調整することができる。また、キャリアコアの作製において、焼成温度を変えることで、キャリアの円形度を調整することができる。
(コート層)
コート層は、実質的に樹脂から構成される。ただし、コート層を構成する樹脂中に添加剤が分散していてもよい。前述の基本構成を有する現像剤では、コート層が、第1樹脂と、第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂とを含有する。
第1樹脂と第2樹脂との組合せの好適な第1の例では、第1樹脂が、アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂であり、第2樹脂が、フッ素樹脂である。アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(より具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン等)、ポリヘキサフルオロプロピレン、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が特に好ましい。
第1樹脂と第2樹脂との組合せの好適な第2の例では、第1樹脂が、アクリル酸系樹脂であり、第2樹脂が、フッ素樹脂である。アクリル酸系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(より具体的には、メタクリル酸メチル又はアクリル酸ブチル等)と、(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム化合物とを含む単量体(樹脂原料)の重合物が特に好ましい。(メタ)アクリロイル基含有4級アンモニウム化合物の例としては、(メタ)アクリルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩(より具体的には、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド等)、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメチルアンモニウム塩(より具体的には、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド等)が挙げられる。
コート層の好適な第1の例では、第1樹脂が、ポリアミドイミド樹脂であり、第2樹脂が、フッ素樹脂であり、コート層が、キャリアコア100質量部に対して、0.3質量部以上0.7質量部以下の第1樹脂と、1.0質量部以上2.0質量部以下の第2樹脂とを含有する。また、コート層の好適な第2の例では、第1樹脂が、アクリル酸系樹脂であり、第2樹脂が、フッ素樹脂であり、コート層が、キャリアコア100質量部に対して、1.0質量部以上2.0質量部以下の第1樹脂と、1.0質量部以上2.0質量部以下の第2樹脂とを含有する。
本発明の実施例について説明する。表1に、実施例又は比較例に係る現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9(それぞれ静電潜像現像用現像剤)を示す。表2には、表1に示される各現像剤の製造に用いられるトナーT−1〜T−6を示す。
Figure 2018194787
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表2中の「シェル材料」に関して、「S−1」〜「S−5」はそれぞれ、後述するシェル材料S−1〜S−5であった。表2中、「縮合剤」は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)であった。表2中、「疎水化剤」は、吉草酸(東京化成工業株式会社製)であった。
以下、現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9の製造方法、評価方法、及び評価結果について、順に説明する。なお、誤差が生じる評価においては、誤差が十分小さくなる相当数の測定値を得て、得られた測定値の算術平均を評価値とした。
[材料の準備]
(非結晶性ポリエステル樹脂APES−1の合成)
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量10Lの4つ口フラスコ内に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物370gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物3059gと、テレフタル酸1194gと、フマル酸286gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)10gと、没食子酸2gとを入れた。続けて、窒素雰囲気かつ温度230℃の条件で、反応率が90質量%以上になるまで、フラスコ内容物を反応させた。反応率は、式「反応率=100×実際の反応生成水量/理論生成水量」に従って計算した。続けて、減圧雰囲気(圧力8.3kPa)かつ温度230℃の条件で、反応生成物(樹脂)のTmが所定の温度(89℃)になるまで、フラスコ内容物を反応させた。その結果、Tm89℃、Tg50℃の非結晶性ポリエステル樹脂APES−1が得られた。
(非結晶性ポリエステル樹脂APES−2の合成)
非結晶性ポリエステル樹脂APES−2の合成方法は、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物370g、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物3059g、テレフタル酸1194g、及びフマル酸286gに代えて、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物1286g、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物2218g、及びテレフタル酸1603gを使用した以外は、非結晶性ポリエステル樹脂APES−1の合成方法と同じであった。得られた非結晶性ポリエステル樹脂APES−2に関しては、Tmが111℃、Tgが69℃であった。
(非結晶性ポリエステル樹脂APES−3の合成)
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量10Lの4つ口フラスコ内に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物4907gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物1942gと、フマル酸757gと、ドデシルコハク酸無水物2078gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)30gと、没食子酸2gとを入れた。続けて、窒素雰囲気かつ温度230℃の条件で、前述の式で表される反応率が90質量%以上になるまで、フラスコ内容物を反応させた。続けて、減圧雰囲気(圧力8.3kPa)かつ温度230℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた。続けて、無水トリメリット酸548gをフラスコ内に加えて、減圧雰囲気(圧力8.3kPa)かつ温度220℃の条件で、反応生成物(樹脂)のTmが所定の温度(127℃)になるまで、フラスコ内容物を反応させた。その結果、Tm127℃、Tg51℃の非結晶性ポリエステル樹脂APES−3が得られた。
(結晶性ポリエステル樹脂CPESの合成)
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量10Lの4つ口フラスコ内に、1,6−ヘキサンジオール2643g、1,4−ブタンジオール864g、及びコハク酸2945gを入れた。続けて、フラスコ内容物を温度160℃に加熱して、添加した材料を溶解させた。続けて、滴下漏斗を用いて、スチレン等の混合液(スチレン1831gとアクリル酸161gとジクミルパーオキサイド110gとの混合液)を1時間かけて一定速度でフラスコ内に滴下した。続けて、フラスコ内容物を攪拌しながら温度170℃で1時間反応させて、フラスコ内のスチレン及びアクリル酸を重合させた。その後、フラスコ内を減圧雰囲気(圧力8.3kPa)に1時間保って、フラスコ内の未反応のスチレン及びアクリル酸を除去した。続けて、2−エチルヘキサン酸錫(II)40gと、没食子酸3gとを、フラスコ内に加えた。続けて、フラスコ内容物を昇温させて、温度210℃で8時間反応させた。続けて、減圧雰囲気(圧力8.3kPa)かつ温度210℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた。その結果、Tm92℃、Mp96℃、結晶性指数0.95の結晶性ポリエステル樹脂CPESが得られた。
(シェル材料S−1の準備)
温度計、冷却管、窒素導入管、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコ内に、イソブタノール90gと、メタクリル酸メチル100gと、アクリル酸n−ブチル35gと、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(Alfa Aesar社製)30gと、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)6gとを入れた。続けて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物を3時間反応させた。その後、フラスコ内に2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)3gを加えて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物をさらに3時間反応させて、重合体を含む液を得た。続けて、得られた液中の重合体を、減圧雰囲気、温度150℃の条件で乾燥した。続けて、乾燥した重合体を解砕し、正帯電性樹脂を得た。
続けて、混合装置(プライミクス株式会社製「ハイビスミックス(登録商標)2P−1型」)の容器に、上記のようにして得られた正帯電性樹脂200gと、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)184mLとを入れた。続けて、その混合装置を用いて、回転速度20rpmで容器内容物を1時間攪拌して、高粘度の溶液を得た。その後、得られた高粘度の溶液に、酢酸エチル等の水溶液(詳しくは、1N−塩酸18mLとカチオン界面活性剤(日本乳化剤株式会社製「テクスノール(登録商標)R5」、成分:アルキルベンジルアンモニウム塩)20gと酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)20mLとをイオン交換水562gに溶かした水溶液)を加えた。その結果、正帯電性樹脂粒子のサスペンション(以下、シェル材料S−1と記載する)が得られた。得られたシェル材料S−1に含まれる樹脂粒子に関して、個数平均粒子径は35nmであり、Tgは80℃であった。
(シェル材料S−2の準備)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを温度30℃のウォーターバスにセットし、フラスコ内に、イオン交換水875mLと、アニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマール(登録商標)0」、成分:ラウリル硫酸ナトリウム)5gとを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を80℃に昇温させた。続けて、80℃のフラスコ内容物に2種類の液(第1の液及び第2の液)をそれぞれ5時間かけて一定速度で滴下した。第1の液は、スチレン13mLと、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル5mLと、アクリル酸エチル3mLとの混合液であった。第2の液は、過硫酸カリウム0.5gをイオン交換水30mLに溶かした溶液であった。続けて、フラスコ内の温度を80℃にさらに2時間保って、フラスコ内容物を重合させた。その結果、負帯電性樹脂粒子のサスペンション(以下、シェル材料S−2と記載する)が得られた。得られたシェル材料S−2に含まれる樹脂粒子に関して、個数平均粒子径は55nm、Tgは73℃であった。
(シェル材料S−3の準備)
シェル材料S−3としては、市販品を使用した。詳しくは、シェル材料S−3は、オキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS−300」、モノマー組成:メタクリル酸メチル/2−ビニル−2−オキサゾリン、固形分濃度:10質量%)であった。
(シェル材料S−4の準備)
シェル材料S−4としては、市販品を使用した。詳しくは、シェル材料S−4は、ポリアクリルアミド樹脂(荒川化学工業株式会社製「ポリストロン(登録商標)705」)であった。
(シェル材料S−5の準備)
温度計、冷却管、窒素導入管、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコ内に、イソプロピルアルコール200gと、メタクリル酸メチル100gと、アクリル酸n−ブチル35gと、メタクリル酸2−アミノエチル(東京化成工業株式会社製)30gと、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)6gとを入れた。続けて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物を3時間反応させた。その後、フラスコ内に2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)3gを加えて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物をさらに3時間反応させて、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸2−アミノエチルとの重合物を含む溶液(以下、シェル材料S−5と記載する)を得た。
[トナーの製造方法]
(トナーコアの作製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、結晶性ポリエステル樹脂(前述の手順で合成した結晶性ポリエステル樹脂CPES)100gと、第1非結晶性ポリエステル樹脂(前述の手順で合成した非結晶性ポリエステル樹脂APES−1)300gと、第2非結晶性ポリエステル樹脂(前述の手順で合成した非結晶性ポリエステル樹脂APES−2)100gと、第3非結晶性ポリエステル樹脂(前述の手順で合成した非結晶性ポリエステル樹脂APES−3)600gと、第1離型剤(株式会社加藤洋行製「カルナウバワックス1号」、成分:カルナバワックス)12gと、第2離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−3」、成分:合成エステルワックス)48gと、着色剤(山陽色素株式会社製「カラーテックス(登録商標)ブルーB1021」、成分:フタロシアニンブルー)144gとを、回転速度2400rpmで混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度(シリンダー温度)100℃の条件で溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、粉砕機(旧東亜機械製作所製「ロートプレックス16/8型」)を用いて粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、Tm90℃、Tg49℃、体積中位径(D50)6.7μmのトナーコアが得られた。
トナーT−1の製造では、下記シェル層形成工程Aで上記トナーコアにシェル層を形成して、トナー母粒子を得た。トナーT−2〜T−6の各々の製造では、下記シェル層形成工程Bで上記トナーコアにシェル層を形成して、トナー母粒子を得た。
(シェル層形成工程A)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを4に調整した。
続けて、10mLのシェル材料S−1(前述の手順で調製した正帯電性樹脂粒子のサスペンション)と、20mLのシェル材料S−2(前述の手順で調製した負帯電性樹脂粒子のサスペンション)とを、それぞれフラスコ内に添加した。
続けて、フラスコ内に、前述の手順で作製したトナーコア300gを添加し、回転速度300rpmでフラスコ内容物を1時間攪拌した。その後、フラスコ内にイオン交換水300mLを添加した。続けて、回転速度100rpmでフラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を1.0℃/分の速度で73℃まで昇温させた。続けて、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。続けて、フラスコ内容物をその温度が常温(約25℃)になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
(シェル層形成工程B)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れた。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。
続けて、表2に示す種類及び量のシェル材料及び縮合剤をフラスコ内に加えた後、フラスコ内容物を十分攪拌した。例えば、トナーT−2の製造では、30gのシェル材料S−3(エポクロスWS−300)を添加し、縮合剤は添加しなかった。また、トナーT−3の製造では、10gのシェル材料S−4(ポリストロン705)と、5gの縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)とを添加した。
続けて、フラスコ内に、前述の手順で作製したトナーコア300gを添加し、回転速度200rpmでフラスコ内容物を1時間攪拌した。その後、フラスコ内にイオン交換水300mLを添加した。
続けて、濃度1質量%アンモニア水溶液6mLをフラスコ内に添加した。続けて、回転速度150rpmでフラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を0.5℃/分の速度で60℃まで昇温させた。
フラスコ内の温度が60℃に到達した後、表2に示す量の疎水化剤をフラスコ内に添加した。詳しくは、トナーT−2〜T−4の各々の製造では、5gの疎水化剤(吉草酸)をフラスコ内に添加した。トナーT−5及びT−6の各々の製造では、疎水化剤を添加しなかった。
続けて、回転速度100rpmでフラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を60℃に1時間保った。その後、フラスコ内に水酸化ナトリウムを加えて、フラスコ内容物のpHを7に調整した。続けて、フラスコ内容物をその温度が常温(約25℃)になるまで冷却して、トナー母粒子を含む分散液を得た。
(洗浄工程)
上記のようにして得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)した。その結果、ウェットケーキ状のトナー母粒子が得られた。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子を再度イオン交換水に分散させた。分散とろ過とを合計5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
続けて、得られたトナー母粒子を、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で乾燥させた。その結果、乾燥したトナー母粒子の粉体が得られた。
(外添工程)
続けて、得られたトナー母粒子に、次に示すような外添処理を行った。ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて、正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、内容:表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約20nm)を解砕して、シリカ粒子(粉体)を準備した。
トナー母粒子100質量部と、上記のようにして得たシリカ粒子(予め解砕されたシリカ粒子の粉体)1.50質量部と、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、基材:TiO2、被覆層:SbドープSnO2膜、体積中位径:約0.35μm)1.00質量部と、架橋樹脂粒子(樹脂:架橋スチレン−アクリル酸系樹脂、個数平均1次粒子径:約0.08μm)1.25質量部とを、容量10LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて10分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(樹脂粒子、酸化チタン粒子、及びシリカ粒子)を付着させた。その後、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、多数のトナー粒子を含むトナー(トナーT−1〜T−6)が得られた。
[キャリアの製造]
(キャリアコアの準備)
キャリアコアとして、Mn−Mg−Srフェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF−35」、体積中位径:35μm、飽和磁化:68emu/g)を準備した。
(キャリアC−1の製造)
ポリアミドイミド樹脂(無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの共重合体)をメチルエチルケトンで希釈して、固形分濃度10質量%の樹脂溶液を得た。続けて、得られた樹脂溶液0.5質量部と、前述のキャリアコア(EF−35)100質量部と、PTFE樹脂粒子(旭硝子株式会社製「Fluon(登録商標)L173」、体積中位径:0.3μm)1.5質量部とを、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン株式会社製「ノビルタ NOB−130」)を用いて、攪拌速度5000rpmで5分間攪拌した。これにより、キャリアコアの表面に、ポリアミドイミド樹脂粒子と、PTFE樹脂粒子とが付着した。その結果、キャリアコアとポリアミドイミド樹脂粒子とPTFE樹脂粒子との複合粒子(粉体)が得られた。
続けて、上記のようにして得た複合粒子(粉体)に、小型高温チャンバー(エスペック株式会社製「STH−120」)を用いて、温度280℃の条件で、1時間の熱処理を施した。その結果、多数のキャリア粒子を含むキャリアC−1が得られた。得られたキャリアC−1では、キャリアコアの表面に、ポリアミドイミド樹脂とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂とを含有するコート層が形成されていた。
(キャリアC−2の製造)
キャリアC−2の製造方法は、各材料の量を、「キャリアコア/ポリアミドイミド樹脂粒子/PTFE樹脂粒子=100質量部/0.5質量部/1.5質量部」から、「キャリアコア/ポリアミドイミド樹脂粒子/PTFE樹脂粒子=100質量部/0.5質量部/1.0質量部」に変更した以外は、キャリアC−1の製造方法と同じであった。
(キャリアC−3の製造)
加熱硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KR−220L」、樹脂:メチルシリコーン樹脂、性状:白色固体のフレーク、不揮発分:100質量%)を溶剤(イソプロピルアルコール)に溶かして、固形分濃度10質量%のコート液を調製した。
転動流動コーティング装置(株式会社パウレック製「マルチプレックスMP−01」)に前述のキャリアコア(EF−35)を投入し、キャリアコアを流動させながら、キャリアコアに向けて上記コート液(「KR−220L」を含む液)をスプレーした。コート液の添加量は、コート層の厚さが300nmになるような量とした。続けて、上記転動流動コーティング装置内の流動層に、温度220℃の条件で、1時間の熱処理を施した。その結果、多数のキャリア粒子を含むキャリアC−3が得られた。得られたキャリアC−3では、キャリアコアの表面に、シリコーン樹脂を含有するコート層が形成されていた。
(キャリアC−4の製造)
キャリアC−4の製造方法は、前述のコート液の代わりに、下記方法で調製したコート液を使用した以外は、キャリアC−3の製造方法と同じであった。キャリアC−4の製造方法では、加熱硬化型シリコーン樹脂溶液(東レダウコーニング株式会社製「SR2431」、樹脂:メチルシリコーン樹脂、不揮発分:20質量%)を溶剤(トルエン)で希釈して、固形分濃度10質量%のコート液を調製した。得られたキャリアC−4では、キャリアコアの表面に、厚さ300nmのコート層が形成されていた。コート層は、シリコーン樹脂を含有していた。
(キャリアC−5の製造)
温度計、冷却管、窒素導入管、及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコ内に、イソブタノール90gと、メタクリル酸メチル100gと、アクリル酸n−ブチル35gと、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(Alfa Aesar社製)30gと、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)6gとを入れた。続けて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物を3時間反応させた。その後、フラスコ内に2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)(和光純薬工業株式会社製「VA−086」)3gを加えて、窒素雰囲気、温度80℃の条件で、フラスコ内容物をさらに3時間反応させて、重合体を含む液を得た。続けて、得られた液中の重合体を、減圧雰囲気、温度150℃の条件で乾燥した。続けて、乾燥した重合体を解砕し、正帯電性樹脂を得た。
続けて、混合装置(プライミクス株式会社製「ハイビスミックス(登録商標)2P−1型」)の容器に、上記のようにして得られた正帯電性樹脂200gと、酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)184mLとを入れた。続けて、その混合装置を用いて、回転速度20rpmで容器内容物を1時間攪拌して、高粘度の溶液を得た。その後、得られた高粘度の溶液に、酢酸エチル等の水溶液(詳しくは、1N−塩酸18mLとカチオン界面活性剤(日本乳化剤株式会社製「テクスノールR5」)12gと酢酸エチル(和光純薬工業株式会社製「酢酸エチル特級」)20mLとをイオン交換水562gに溶かした水溶液)を加えた。その結果、正帯電性アクリル酸系樹脂粒子のサスペンションが得られた。得られたサスペンションに含まれる樹脂粒子に関して、個数平均粒子径は150nmであった。
続けて、上記のようにして得た正帯電性アクリル酸系樹脂粒子のサスペンションと、前述のキャリアコア(EF−35)100質量部と、PTFE樹脂粒子(旭硝子株式会社製「Fluon L173」、体積中位径:0.3μm)1.5質量部とを、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン株式会社製「ノビルタ NOB−130」)に投入した。正帯電性アクリル酸系樹脂粒子のサスペンションの投入量は、正帯電性アクリル酸系樹脂粒子の投入量が1.2質量部となるような量とした。その乾式粒子複合化装置を用いて、攪拌速度5000rpmで5分間攪拌処理を行った。これにより、キャリアコアの表面に、正帯電性アクリル酸系樹脂粒子(詳しくは、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルと2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドとの重合物を含有する樹脂粒子)と、PTFE樹脂粒子とが付着した。その結果、キャリアコアと正帯電性アクリル酸系樹脂粒子とPTFE樹脂粒子との複合粒子(粉体)が得られた。
続けて、上記のようにして得た複合粒子(粉体)に、小型高温チャンバー(エスペック株式会社製「STH−120」)を用いて、温度280℃の条件で、1時間の熱処理を施した。その結果、多数のキャリア粒子を含むキャリアC−5が得られた。得られたキャリアC−5では、キャリアコアの表面に、正帯電性アクリル酸系樹脂とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂とを含有するコート層が形成されていた。
(キャリアC−6の製造)
キャリアC−6の製造方法は、各材料の量を、「キャリアコア/正帯電性アクリル酸系樹脂粒子/PTFE樹脂粒子=100質量部/1.2質量部/1.5質量部」から、「キャリアコア/正帯電性アクリル酸系樹脂粒子/PTFE樹脂粒子=100質量部/0.8質量部/1.5質量部」に変更した以外は、キャリアC−5の製造方法と同じであった。
[2成分現像剤の製造]
表1に示すキャリア(キャリアC−1〜C−6のいずれか)10gと、表1に示すトナー(トナーT−1〜T−6のいずれか)0.8gとを、シェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラー(登録商標)ミキサーT2F」)を用いて30分間混合して、2成分現像剤(現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9)を調製した。例えば、現像剤DA−1の製造では、10gのキャリアC−1と、0.8gのトナーT−2とを混合した。
上記のようにして得られた現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9の各々に関して、キャリア平均表面電位と、キャリア低電位面積率と、トナー電位標準偏差との各々の測定結果を、表1に示している。例えば、現像剤DA−1では、キャリア平均表面電位(詳しくは、キャリア粒子の表面電位の平均値)が−2409mVであり、キャリア低電位面積率(詳しくは、キャリア粒子の表面領域のうち−2409mV以下の表面電位を有する領域の面積割合)が44%であり、トナー電位標準偏差(詳しくは、トナー粒子の表面電位の標準偏差)が240mVであった。キャリア平均表面電位、キャリア低電位面積率、及びトナー電位標準偏差はそれぞれ、走査型プローブ顕微鏡を用いて下記条件で測定した。
<表面電位の測定方法>
2成分現像剤(測定対象:現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9のいずれか)を、温度25℃かつ湿度60%RHの環境下に48時間静置した。続けて、その2成分現像剤をシェーカーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「ターブラーミキサー」)にセットし、そのシェーカーミキサーを用いて、温度25℃かつ湿度60%RHの環境下、攪拌時間30分間の条件で攪拌処理を行うことにより、トナーとキャリアとの摩擦により、トナーとキャリアとの各々を帯電させた。この攪拌処理の後、シェーカーミキサーから現像剤(トナー及びキャリア)を取り出した。そして、取り出されたトナーに含まれるトナー粒子と、取り出されたキャリアに含まれるキャリア粒子との各々について、下記条件で表面電位を測定した。測定装置としては、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(株式会社日立ハイテクサイエンス製「多機能型ユニットAFM5200S」)を備えたSPMプローブステーション(株式会社日立ハイテクサイエンス製「NanoNaviReal」)を使用した。
(SPM測定条件)
・測定ユニットの可動範囲(測定できるサンプルの大きさ):100μm(Small Unit)
・測定探針:カンチレバー(株式会社日立ハイテクサイエンス製「SI−DF3−R」、先端半径:30nm、探針コート材:ロジウム(Rh)、バネ定数:1.6N/m、共振周波数:27kHz)
・測定モード:KFM(ケルビンプローブフォース顕微鏡)モード/サイクリックコンタクトモード
・測定範囲(1つの視野):トナー粒子「5μm×5μm」、キャリア粒子「25μm×25μm」
・解像度(Xデータ/Yデータ):256/256
・振幅減衰率:−0.499
・走査周波数:0.10Hz
・励振電圧:2.002V
・トレース高さ(測定対象とプローブとの間隔):49.95nm
・トレースディレイ:50m秒
・信号倍率:10倍
温度25℃かつ湿度60%RHの環境下で、探針の位置を粒子(トナー粒子又はキャリア粒子)の頂部に合わせて、上記測定モード(KFMモード/サイクリックコンタクトモード)により、粒子のKFM像(表面電位の分布を示す画像)を得た。得られたKFM像(データ数:256×256個/μm2)に基づいて、トナー電位標準偏差、キャリア平均表面電位、及びキャリア低電位面積率を求めた。トナーに含まれる10個のトナー粒子についてそれぞれ表面電位の標準偏差を測定し、10個のトナー粒子の個数平均値を、そのトナーの評価値(トナー電位標準偏差)とした。また、キャリアに含まれる10個のキャリア粒子についてそれぞれ表面電位の平均値を測定し、10個のキャリア粒子の個数平均値を、そのキャリアの評価値(キャリア平均表面電位)とした。また、キャリアに含まれる10個のキャリア粒子の各々について、キャリア平均表面電位以下の表面電位を有する領域の面積割合を測定し、10個のキャリア粒子の個数平均値を、そのキャリアの評価値(キャリア低電位面積率)とした。
[評価方法]
各試料(現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9)の評価方法は、以下の通りである。
(耐かぶり性)
評価機として、複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」)を用いた。現像剤(評価対象:現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9のいずれか)を評価機の現像装置に投入し、補給用トナー(現像剤に対応する表1に示すトナー:トナーT−1〜T−6のいずれか)を評価機のトナーコンテナに投入した。また、初期の画像濃度(測定装置:X−Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)が1.0以上1.2以下になるように、評価機の現像スリーブとマグネットロールとの間の電圧を200V以上300V以下の範囲で調整した。
温度25℃かつ湿度60%RHの環境下、上記評価機を用いて、印字率5%のサンプル画像を記録媒体(印刷用紙)に5万枚連続で印刷する耐刷試験を行った。耐刷試験中、1万枚印刷するごとに、反射濃度計(X−Rite社製「SpectroEye」)を用いて、印刷された紙における空白部の反射濃度を測定した。そして、次の式に基づいて、かぶり濃度(FD)を求めた。
かぶり濃度=空白部の反射濃度−未印刷紙の反射濃度
また、耐刷試験中の各タイミング(1万枚印刷ごとのタイミング)で測定された全てのかぶり濃度(FD)の中で最も高いかぶり濃度(最大かぶり濃度)を求めた。最大かぶり濃度が、0.005以下であれば○(良い)と評価し、0.005を超えれば×(良くない)と評価した。
[評価結果]
現像剤DA−1〜DA−5及びDB−1〜DB−9の各々について、耐かぶり性(最大かぶり濃度)を評価した結果を、表3に示す。
Figure 2018194787
現像剤DA−1〜DA−5(実施例1〜5に係る現像剤)はそれぞれ、前述の基本構成を有していた。詳しくは、現像剤DA−1〜DA−5はそれぞれ、トナーと、キャリアとを含んでいた。トナーは、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤(詳しくは、樹脂粒子、酸化チタン粒子、及びシリカ粒子)とを備えるトナー粒子を、複数含んでいた。トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電し得る正帯電性トナーであった。トナーとキャリアとの攪拌により、トナー粒子は正に、キャリア粒子は負に、それぞれ帯電した。
トナーは、トナーT−2〜T−4のいずれかであった(表1参照)。トナー母粒子は、結着樹脂(詳しくは、ポリエステル樹脂)を含有するトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備えていた。シェル層は、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を含有していた。トナーコアとシェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合していた。トナーT−2では、シェル層が、単位(A−1)と、単位(A−2)と、単位(A−3)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位とを含む樹脂を含有していた。トナーT−3では、シェル層が、単位(3)と単位(C−1)と単位(C−2)とを含む樹脂を含有していた。トナーT−4では、シェル層が、単位(2)と、単位(B−1)と、単位(B−2)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位とを含む樹脂を含有していた。
キャリアは、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆うコート層とを備えるキャリア粒子を、複数含んでいた。詳しくは、キャリアは、キャリアC−1、C−2、又はC−5であった(表1参照)。キャリア粒子のコート層は、第1樹脂(詳しくは、ポリアミドイミド樹脂)と、第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂(詳しくは、PTFE樹脂)とを含有していた。
キャリア平均表面電位は−2500mV以上−150mV以下であった(表1参照)。キャリア低電位面積率は20%以上45%以下であった(表1参照)。トナー電位標準偏差は250mV以下であった(表1参照)。
表3に示されるように、現像剤DA−1〜DA−5の各々を用いた連続印刷では、かぶりが十分に抑制された。連続印刷中においては、トナー粒子からのシェル層の脱離が十分に抑制され、かつ、トナー粒子から脱離した外添剤に起因するトナーの帯電不良が十分に抑制された。
本発明に係る静電潜像現像用現像剤は、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
10 トナー粒子
11 トナーコア
12 シェル層
13 外添剤粒子
20 キャリア粒子
21 キャリアコア
22 コート層

Claims (10)

  1. トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を、複数含むトナーと、
    キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を覆うコート層とを備えるキャリア粒子を、複数含むキャリアと、
    を含む静電潜像現像用現像剤であって、
    前記トナーは、前記キャリアとの摩擦により正に帯電し得る正帯電性トナーであり、
    前記トナー母粒子は、結着樹脂を含有するトナーコアと、前記トナーコアの表面を覆うシェル層とを備え、
    前記シェル層は、無置換アミノ基よりも疎水性の強い置換アミノ基を有する単位を含む樹脂を含有し、
    前記トナーコアと前記シェル層とは、アミド結合を介して、化学的に結合しており、
    前記コート層は、第1樹脂と、前記第1樹脂よりも強い負帯電性を有する第2樹脂とを含有し、
    シェーカーミキサーによる30分間攪拌後に走査型プローブ顕微鏡で測定される前記キャリア粒子の表面電位の平均値は、−2500mV以上−150mV以下であり、前記キャリア粒子の表面領域のうち、前記平均値以下の表面電位を有する領域の面積割合は、20%以上45%以下であり、
    シェーカーミキサーによる30分間攪拌後に走査型プローブ顕微鏡で測定される前記トナー粒子の表面電位の標準偏差は、250mV以下である、静電潜像現像用現像剤。
  2. 前記第1樹脂が、アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂であり、前記第2樹脂が、フッ素樹脂である、請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤。
  3. 前記アミド結合及び/又はイミド結合を有する単位を含む樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリイミド樹脂である、請求項2に記載の静電潜像現像用現像剤。
  4. 前記第1樹脂は、ポリアミドイミド樹脂であり、
    前記第2樹脂は、フッ素樹脂であり、
    前記コート層は、前記キャリアコア100質量部に対して、0.3質量部以上0.7質量部以下の前記第1樹脂と、1.0質量部以上2.0質量部以下の前記第2樹脂とを含有する、請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤。
  5. 前記置換アミノ基の置換基の少なくとも1つは、アシル基、又はカルボン酸アルキルエステル基である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の静電潜像現像用現像剤。
  6. 前記結着樹脂は、カルボキシル基を有する単位を含む樹脂であり、
    前記シェル層に含有される前記樹脂は、下記式(A−1)で表される単位と、下記式(A−2)で表される単位と、下記式(A−3)で表される単位とを含む、請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤。
    Figure 2018194787
    [式(A−1)中、R1は、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す。]
    Figure 2018194787
    [式(A−2)中、R1は、式(A−1)中のR1と同一の基を表し、R21は、前記結着樹脂を表す。]
    Figure 2018194787
    [式(A−3)中、R1は、式(A−1)中のR1と同一の基を表し、R31は、アルキル基を表す。]
  7. 前記結着樹脂は、カルボキシル基を有する単位を含む樹脂であり、
    前記シェル層に含有される前記樹脂は、下記式(B−1)で表される単位と、下記式(B−2)で表される単位とを含む、請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤。
    Figure 2018194787
    [式(B−1)中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、R3は、アルキレン基を表し、R41は、前記結着樹脂を表す。]
    Figure 2018194787
    [式(B−2)中、R2は、式(B−1)中のR2と同一の基を表し、R3は、式(B−1)中のR3と同一の基を表し、R51は、アルキル基を表す。]
  8. 前記結着樹脂は、カルボキシル基を有する単位を含む樹脂であり、
    前記シェル層に含有される前記樹脂は、下記式(C−1)で表される単位と、下記式(C−2)で表される単位とを含む、請求項1に記載の静電潜像現像用現像剤。
    Figure 2018194787
    [式(C−1)中、R4は、水素原子又はメチル基を表し、R61は、前記結着樹脂を表す。]
    Figure 2018194787
    [式(C−2)中、R4は、式(C−1)中のR4と同一の基を表し、R71は、アルキル基を表す。]
  9. 前記第1樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリイミド樹脂であり、
    前記第2樹脂は、フッ素樹脂である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の静電潜像現像用現像剤。
  10. 前記第1樹脂は、アクリル酸系樹脂であり、
    前記第2樹脂は、フッ素樹脂である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の静電潜像現像用現像剤。
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JP7396109B2 (ja) 2020-02-20 2023-12-12 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 現像剤用キャリア、現像剤、画像形成装置、及び画像形成方法

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