JP3696910B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真,静電記録,静電印刷等における静電荷像を現像するための画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真の高精細,高画質化と共に画像形成方法の高信頼性,高耐久性の要求が市場では高まっている。当該技術分野では主に高精細,高画質化に対してはトナーの粒径を細かくして高画質カラー化を達成しようという試みがなされているが、粒径が細かくなると単位重量当りの表面積が増え、トナーの帯電量が大きくなる傾向にあり、画像濃度薄や耐久劣化が懸念されるところである。加えてトナーの帯電量が大きいために、トナー同士の付着力が強く、流動性が低下し、トナー補給の安定性や補給トナーへのトリボ付与に問題が生じてくる。
【0003】
また、カラー画像形成方法において、トナーの場合は磁性体等の導電性物質を含まないので、帯電をリークする部分がなく一般に帯電量が大きくなる傾向にある。この傾向は、特に帯電性能の高いポリエステル系バインダーを使用したときにより顕著である。
【0004】
また、画像形成方法の高耐久性を達成するために、転写部材等に剛体を用い、当接転写によって画像を形成すると、画像における中抜け、あるいは非画像部へのトナー粒子の飛び散り等の発生が避けられない。
【0005】
特に、カラー画像形成方法においては、1枚の画像において4色のトナーを現像しなければならないので、転写部材等に剛体の部材を用いて当接転写によって画像を形成すると、特に画像における中抜け、あるいは非画像部へのトナー粒子の飛び散り等の発生が生じやすくなり、美しいピクトリアルな画像を得ることができなかった。
【0006】
特にカラー画像形成方法においては、下記に示すような特性が強く望まれている。
【0007】
(1)定着したトナーは、光に対して乱反射して、色再現を妨げることのないように、トナー粒子の形が判別出来ないほどのほぼ完全溶融に近い状態となることが必要である。
【0008】
(2)そのトナー層の下にある異なった色調のトナー層を妨げない透明性を有する着色トナーでなければならない。
【0009】
(3)構成する各トナーはバランスのとれた色相及び分光反射特性と十分な彩度を有しなければならない。
【0010】
(4)各トナーの現像、転写方法は中抜け,飛び散りの無い高信頼性のものでなければならない。
【0011】
(5)フルカラー画像を得るためには、多重転写をしなければならないため、構成部材は高耐久性のものでなければならない。
【0012】
このような観点からトナーにおいては、多くの結着樹脂に関する検討がなされているが、未だ上記の特性を全て満足するトナーは開発されていない。今日当該技術分野においてはポリエステル系の樹脂がカラー用結着樹脂として多く用いられているが、ポリエステル系樹脂からなるトナーは一般に温湿度の影響を受け易く、低湿下での帯電量過大,高湿下での帯電量不足といった問題が起こり、広範な環境においても安定した帯電量を有するカラートナー及び画像形成方法の開発が急務とされている。
【0013】
一方、こういった諸問題を解決する手段の一つにトナーに種々の化学物質を添加する方法がある。特に、解像性,濃度均一性,かぶりなどの種々の画像特性を改良するのを目的として、トナーの帯電性および流動性の向上の為に種々の微粉体を添加することが広く行なわれている。
【0014】
こういったトナー諸特性改良の為に添加される微粉体として汎用されているものの一つに酸化チタン微粒子が挙げられ、特にシリコーンオイル,シランカップリング剤あるいはシリコーンワニスで表面処理されたものは高い疎水化度を持ち、好ましく用いられる。
【0015】
これまでに、疎水化酸化チタンをトナーに含有する例として特公昭53−39307号公報、特開昭60−238849号公報、特開平4−204750号公報、特開昭64−88554号公報、特開昭60−112052号公報、特開平2−109058号公報、特開平5−19528号公報、特開平5−188633号公報、特開平5−119517号公報、特開平5−289391号公報、特開平6−11886号公報、特開平6−11887号公報、特開平6−19186号公報等に表面処理した酸化チタンを含有するトナーが提案されているが、酸化チタンの添加によって、確かに電子写真特性は向上しているものの、疎水化の均一性が不十分で高湿下や長期間の放置によって十分な摩擦帯電量が得られなくなり、画像濃度の低下やかぶりが生じるようになる。またトナーのドラムからの十分な離型性が得られず転写性が不十分になり、転写効率の低下や転写中抜けが生じるようになることがあり、これらの両者を同時に解決するものがなかった。
【0016】
また、画像形成装置の耐久性の向上のため現像、転写部材に剛体部材を用いると転写中抜け,飛び散りの問題が生じ、高耐久性と高画質性が同時に解決される画像形成方法はなかった。
【0017】
更に、フルカラートナーに適用した場合特に厳しく満足の行くものではなかった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のごとき問題点を解決した画像形成方法を提供することにある。
【0019】
すなわち、本発明の目的は、高転写圧においても十分な転写性が得られる画像形成方法を提供することにある。
【0020】
更に、本発明の目的は湿度の影響を受けにくく、長期の放置においても十分な転写性が維持される画像形成方法を提供することにある。
【0021】
更に、本発明の目的はトナーに離型性を与え、転写効率を高め、美しいピクトリアルなフルカラー画像の形成を容易にする画像形成方法を提供することにある。
【0022】
更に、本発明の目的はライン画像部における転写中抜け,画像飛び散りを生じない画像形成方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、潜像保持体上あるいは中間転写体上に形成されたトナー像を記録材に当接転写する画像形成方法であり、
▲1▼該トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と酸化チタン粒子またはアルミナ粒子とを有するトナーであって、該酸化チタン粒子またはアルミナ粒子は、その表面が有機処理され、メタノール濡れ性半値が55%以上であり、
▲2▼該転写時の潜像保持体または中間転写体と記録材との当接圧が1.0×10-4MPa以上であり、
▲3▼(i)潜像保持体上のトナー像をゴム弾性層を有する転写ドラム上の記録材に転写する転写工程、または、
(ii)ゴム弾性層を有する中間転写体上のトナー像を記録材に転写する転写工程
を有することを特徴とする画像形成方法に関し、高湿下での優れた現像性を有し、放置による現像性の劣化を減少させ、転写性に優れた画像形成方法とすることができる。
【0024】
ここで、メタノール濡れ性半値とは、メタノール疎水化度測定時に利用されるメタノール滴定で透過率を測定し、試料がすべて沈んだ点、すなわち透過率が最小となる点(メタノール疎水化度は、この点を終点とし、メタノールの使用体積%で表わす)の透過率と試料添加前の透過率の中間の透過率に達した時点におけるメタノール使用体積%をもって定義する。
【0025】
この値は酸化チタン粒子,アルミナ粒子の疎水性の均一性を示しており、この値が大きい程、疎水性の高い酸化チタン粒子,アルミナ粒子に均一に揃っていることを示す。つまり、メタノール疎水化度が小さい場合には、トナーに耐湿性を与えられないのは当然であるが、メタノール疎水化度が大きい場合でも、メタノール濡れ性半値が小さいものはトナーに十分な耐湿性を与えられない。このようなものは酸化チタン粒子,アルミナ粒子の疎水化度の分布が広く疎水性の低いものが多く含まれるため、これらがトナーの耐湿性に対し悪影響を及ぼすためである。したがって、このメタノール濡れ性半値が55%以上であるとき酸化チタン粒子,アルミナ粒子が高疎水性のものに均一に揃っているために、トナーに優れた耐湿性と離型性を付与することができる。
【0026】
本発明の構成に関し以下に詳細に説明する。
【0027】
本発明に好ましく用いられる画像形成法は図1及び2の概略図に示したような構成のものが用いられる。すなわち、図1に示されるような、潜像保持体上に形成された単色のトナー像を転写体表面に保持された記録材上に転写する工程を、各色ごとに複数回繰り返すことによって多重当接転写する画像形成方法;図2に示されるような、潜像保持体上に形成された各色トナー像を中間転写体表面に順次多重転写し、その後中間転写体表面に保持されたトナーを記録材上に一括転写する画像形成方法;が好ましく用いられる。以下に各画像形成方法に関して詳細に説明する。
【0028】
図1に示す画像形成方法は次のような構成になっている。すなわち、潜像保持体に順次現像され、記録材を保持した転写体に順次当接転写された多重トナー粉像を定着ユニットにて定着する画像形成方法である。さらに詳細な構成の説明をすると、図示のように、装置内に像担持体として電子写真感光体1を備え、感光体1の周囲には、ローラー状電極からなる一次帯電器3、複数の現像器を有する回転式現像器4、転写装置10及びクリーニング器26が設置されている。また、感光体1の上方には、露光装置を構成するレーザーダイオード11、高速モーター12によって回転される多面鏡13、それとレンズ14及び折り返しミラー15が配置される。
【0029】
感光体1は、アルミニウム等の金属剛体シランリンダーの外周部に有機感光体(OPC)からなる光導電体を塗付してなっている。光導電体はアモルファスシリコン,CdS,Se等でもよい。
【0030】
転写装置10Aは転写材担持体として転写ドラム10を備え、転写ドラム10の周囲には、吸着ローラー23、除電帯電器2、分離爪24、クリーナ27及び除電ローラー28が配設されている。転写ドラム10は、その外周面の一所に、記録材把持部材のグリッパ22を有している。
【0031】
一方、転写装置10Aの転写ドラム10に記録材カセット17内から記録材(転写紙)がピックアップローラー18によって感光ドラム1の画像と同期して供給される。転写ドラム10は、供給された記録材29をグリッパ22によって把持して図の矢印方向に回転することにより、感光体1と対向した画像転写部へ搬送する。画像転写部へ搬送された記録材は、感光体によって当接され、転写ドラム10と感光体1との間に一定の当接転写圧と印加された転写電圧によって、感光体1上の各色のトナー像が順次記録材上に転写される。
【0032】
このとき、転写と同時に転写電圧によって記録材に電荷が付与され、転写ドラム10の表面に記録材が静電吸着されて保持される。この記録材の静電吸着を強化するために、転写ドラム10の記録材の給紙部近くに前記の吸着ローラー23を設置して吸着用の電圧を印加することにより、グリッパ22による把持後に予め記録材を静電吸着するようにされることが多い。
【0033】
4色のトナー像の転写が終了した記録材は、次いで転写ドラム10の周囲に配置された除電帯電器2によって除電した後、その下流側の分離爪24により転写ドラム10から剥離して定着装置25に送られる。そしてそこで加熱および加圧により4色のトナー像を定着して、トナー像の混色及び記録材への固定を行い、フルカラーの永久像とされた後、画像形成装置の機外へ排出される。好ましくは、記録材が剥離された転写ドラム10は、ファーブラシ,ウエブ等のクリーニング部材を備えたクリーナ27によって表面の残留トナーが清掃される。
【0034】
また、転写材が分離爪24により転写ドラム10から剥離されるのとほぼ同時に、除電ローラー28が転写ドラム10に当接され、除電ローラー28に印加されたACバイアス(もしくはこれに重畳されたDCバイアス)の作用により転写ドラムの表面が除電される。
【0042】
図2に示す画像形成方法は次のような構成になっている。すなわち、単一の潜像保持体の周囲に帯電ユニット、露光ユニット、各色トナー画像を現像する複数の現像ユニットを配置してなる像形成部と、必要とする色数のトナー粉像を保持する画像保持中間転写体とからなり、該画像保持中間転写体上にトナー画像がすべて形成された後に、記録紙へのトナー画像の当接転写を行い、定着ユニットにて定着する画像形成方法である。ここでは、画像保持媒体(中間転写体)42を用い、感光体43上に先ず、帯電器44により一様に帯電させ、ついで露光ユニット45により静電的な潜像を形成する。この形成された潜像部もしくは背景部に現像部46において第1色目のトナーを付着させ、画像形成する。形成されたトナー画像は中間転写体42へ転写され、感光体43上に残ったトナーはクリーナユニット48においてすべて除去され、第1色目の画像形成を終了する。さらに、第2色目以降は同様に帯電,露光,現像,転写,クリーニングを繰り返して行われ、順次中間転写体42上に転写される。中間転写体42上に全色のトナーが構成された後、記録材54上へ当接転写される。
【0043】
図中、転写器はローラー転写器49となっている。また、図中のローラー転写器49は中間転写体42上にトナー画像が形成されている間は中間転写体42より隔離していることとし、記録体54上へ転写する際にのみ図示のように中間転写体42に接触するものとする。
【0044】
中間転写体42は、好ましくは金属ドラムに導電性ゴムをライニングしたものを用いる。これにより感光体43とは面接触となる。このように、中間転写体42を用い、形成されたトナー画像を各色毎に順次該中間転写体42上に転写することで、感光体43上に形成するトナー画像形成条件を一定にすることができる。
【0045】
さらに、中間転写体42に印加する転写電圧を増加する場合には、転写するトナー画像の中間転写体42と感光体43との接触部の近傍で発生する強い電界によりトナー画像に乱れが発生しないように中間転写体42を、金属ドラム52上に加圧導電性ゴム53をライニングしたもので構成してもよい。この場合、中間転写体42上の加圧導電性ゴムは感光体43と中間転写体42との接触圧力によりその導電性が発生し、それ以外では絶縁であるために接触部近傍における強い電界は発生しない。また、記録材54へ転写する際には、ローラー転写器49との接触圧力により導電性が発生する。
【0047】
上記2つの画像形成方法はいずれも画像形成部材に高耐久性部材を用い、装置の高耐久性,高信頼性を達成している。また、該画像形成方法は当接転写によって記録材にトナー粉像が転写されるが、該画像形成方法にて記録材への当接転写圧は、好ましくは1.0×10-4MPa以上、更に好ましくは1.0×10-4MPa以上3.0×10-2MPa以下、特に好ましくは3.0×10-4MPa以上1.0×10-2MPa以下にて行われる。1.0×10-4MPa未満では良好な転写効率が得られない。
【0048】
特に後述する、本発明によって提供される表面が有機物により均一に高疎水性に処理された酸化チタンまたはアルミナを含有するトナーを用い画像形成を行うと良好な現像性,離型性,転写効率を示す。さらに高当接圧では改良するのが困難であった画像の中抜けや飛び散りが非常に良好になる。
【0049】
また、高当接圧力に耐えうる機械的強度と高画質が同時に達成されているため、潜像保持体,中間転写体,転写体などの画像形成部材のクリーニング方式も各種のものが利用でき、また、トナーの帯電性が均一であるためクリーニング性も良好である。
【0050】
以下に本発明にて用いられるトナーについて詳細に説明する。
【0051】
本発明のトナーに用いられる酸化チタン粒子またはアルミナ粒子は、メタノール濡れ性半値が55%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上である。透過率測定によるメタノール濡れ性半値は、酸化チタン粒子またはアルミナ粒子の疎水化度分布を簡便にみることができ、その値が55%以上であるときに十分な疎水性を持った酸化チタン粒子またはアルミナ粒子を多く含有することになるので、トナーに良好な帯電性,離型性,流動性を与えることができ優れた現像性,転写性が得られる。この値が55%未満の場合には、十分な疎水性を持たない酸化チタン粒子またはアルミナ粒子が増加してくるので、その弊害として耐湿性が劣るようになり、高湿下,長期放置において現像性に劣るようになり、かぶりや画像濃度の低下をもたらす。一般に定義されているメタノール疎水化度が大きくても、このメタノール濡れ性半値が小さければ、たしかに高疎水化された酸化チタン粒子またはアルミナ粒子を含んでいるが、疎水化度の小さい酸化チタン粒子またはアルミナ粒子を多く含有することになりその弊害を生ずるようになる。本発明においてはこのメタノール濡れ性半値を55%以上とした酸化チタン粒子またはアルミナ粒子を用いることにより、従来よりも高疎水性に揃った酸化チタン粒子またはアルミナ粒子とすることができ優れた性能を示すことができるようになったのである。一方、メタノール滴定で酸化チタン粒子またはアルミナ粒子が濡れて沈み始める点(透過率測定では透過率が減少し始める点)は、疎水性の低いものから濡れていくわけであるが、この点はどこであってもメタノール濡れ性半値が十分な値を持っていれば疎水性の低い酸化チタン粒子またはアルミナ粒子の含有量が少ないので大きな問題にはならない。
【0052】
本発明に用いられるメタノール濡れ性半値は、メタノール疎水化度を測定するメタノール滴定を利用できる。すなわち水に試料を浮かべ、メタノールを滴定していくと、疎水性の低い試料から濡れ初め、試料が沈み始める。そしてメタノールを添加し続け最後に疎水性の高い試料が濡れ試料すべてが液中に沈み、この点を終点とし、メタノール疎水化度が一般的に定義されている。本発明では、このメタノール滴定時に透過率を測定することでメタノール濡れ性半値を求めることができる。すなわち試料が沈み始めると透過率は減少し、すべての試料が沈んだときに最低の透過率を示すようになり、更に滴定を続ければメタノール量が増え透過率は再び増加し始める。つまり、透過率が最低になった点がメタノール滴定の終点で、一般に定義されているメタノール疎水化度と同じ意味を持つものになる。
【0053】
またメタノールの滴定を進めていって、その透過率の減少が初めゆっくりで終点に近づいたときに透過率の下がり方が大きくなれば、終点に近い疎水性を持ったものが多く含まれていることを示す。したがって、透過率が終点の時の透過率の半分になった点で求められるメタノール体積%、すなわちメタノール疎水化度が高ければ、疎水性の高いものが多く含まれていることになる。つまり本発明ではこの点をメタノール濡れ性半値として定義しており、この値が55%以上である時に、高疎水性のものの含有率が高いばかりでなく均一に処理されているのでその特性が均質なものとなり、従来のものに比して良好な結果が得られるもので、優れた流動性,帯電性,離型性,耐湿性,経時安定性をトナーに与えることができるものである。
【0054】
一方、疎水化度分布が広い場合には、透過率の減少は逐次的にみられ、たとえ終点が遅くメタノール疎水化度が大きく示されるものであっても(確かに高疎水性のものを含有するが)、メタノール濡れ性半値の値が小さくなり、低疎水性のものが多く含まれていることになり、その処理のされ方も不均質なものとなる。また、疎水化度分布が狭くてもメタノール疎水化度が小さいと、疎水性が不十分であるものに揃っていることになる。
【0055】
本発明においてメタノール濡れ性半値は以下のようにして求められる。200cm3ビーカーにイオン交換水42cm3、メタノール28cm3を量り取る。本発明においては、メタノール濡れ性半値が55%以上であることを特徴とするので初期濃度40%より測定を開始する。試料0.0100gをメタノール水溶液に入れ粉体濡れ性試験機WET−100P(株式会社レスカ製)を用いて透過率の測定を行なう。透過率測定には、出力3mW、波長780nmの半導体レーザを用いた。測定条件としては、スターラ回転速度 5s-1メタノール流量 毎分2.5cm3にて行なう。試料添加前の透過率をI0(100%),測定時の透過率をI(%),測定される最低の透過率をImin(%)とした時、メタノール濡れ性半値は透過率IがI=100−〔(I0−Imin)/2〕(%)となる時のメタノール使用体積%をもって表わす。
【0056】
メタノール濡れ性半値(%)={[メタノール使用量(cm3)]/[メタノール使用量+42.0(cm3)]}×100となるので、
メタノール濡れ性半値(%)={[メタノール滴定量+28.0(cm3)]/[メタノール滴定量+28.0+42.0(cm3)]}×100となる。
【0057】
ここで透過率Iminの時のメタノール使用体積%がメタノール疎水化度と同等の意味を持つものであり、この点をメタノール濡れ性終点と定義する。
【0058】
メタノール濡れ性終点(%)={[透過率最低点までのメタノール総使用量(cm3))]/[透過率最低点までのメタノール総使用量+42.0(cm3)]}×100
【0059】
またメタノール疎水化度は、200cm3のビーカーにイオン交換水50cm3を入れ、試料0.200gを計り採りそこに入れ、撹拌しながら、ビュレットによりメタノールを滴下して行き、液面上に浮いた試料が完全になくなった点を終点とし、次式から疎水化度を求める。
【0060】
疎水化度(%)={滴定量(cm3)/[滴定量(cm3)+50(cm3)]}×100
【0061】
更に、本発明の酸化チタン粒子,アルミナ粒子はメタノール濡れ性終点およびメタノール疎水化度が60%以上であることが好ましく、更に好ましくは65%以上であり、特には70%以上である。60%未満では主な構成成分の疎水性が不十分になり始め、この値が低くなるほど耐湿性に劣るようになり、高湿下の現像性や放置による現像性の経時劣化を生じるようになってくる。
【0062】
本発明に用いられる酸化チタン粒子は、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物例えばチタンアルコキシド,チタンハライド,チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)により得られる酸化チタン粒子が用いられ、結晶系としてはアナターゼ型,ルチル型,これらの混晶型,アモルファスのいずれのものも用いることができる。
【0063】
本発明に用いられるアルミナ粒子は、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ粒子が用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α,δ,γ,θ,混晶型,アモルファスのものが好ましく用いられる。
【0064】
本発明で有機処理する処理剤としては、前記酸化チタン粒子,アルミナ粒子と反応あるいは物理吸着する有機珪素化合物,有機チタン化合物,有機アルミニウム化合物などが用いられ、シラン化合物,シリコーンオイル,シリコーンワニスが好ましく用いられ、複数種類の処理剤を併用しても良い。
【0065】
特にシラン化合物,シリコーンオイルで処理されたものが好ましく、中でも両者で処理されたものが特に好ましい。すなわち、この2つのタイプの処理剤で表面処理することで疎水化度分布を高疎水性のものに揃え、しかも均質に処理でき、優れた流動性,均一帯電性,離型性,耐湿性を付与できるようになり、トナーに良好な現像性、特に高湿下での現像性,転写性,耐久・放置安定性を与えることができる。
【0066】
シリコーンオイルを用いない場合には、十分な疎水性が得られなかったり、離型性が得られなかったりすることがあり、高湿下での現像性が劣ったり、転写効率が低下したり、ライン画像部で転写中抜け現象を生じるようになる。
【0067】
一方、シラン化合物を用いない場合には、十分な疎水性が得られなかったり、均質性が不十分で、流動性,均一帯電性が劣ったりして現像性が低下し、画像に濃度むらが出たり、かぶりが発生したり、高湿下での現像性に劣るようになる。
【0068】
また処理後の酸化チタン粒子,アルミナ粒子の平均粒径が0.1μm未満であることが好ましく、0.1μm以上では十分な流動性,均一帯電性が得られず現像性,耐久性に劣るようになる。ここで平均粒径は10万倍の透過電子顕微鏡像から任意の一次粒子400個の粒子径を実測し、個数平均径を出したものである。
【0069】
更に、酸化チタン粒子,アルミナ粒子の含水率が処理後で3.0質量%以下であることが好ましく、良好な耐湿性が得られる。含水率が3.0質量%を超える場合には、酸化チタン粒子,アルミナ粒子の吸湿性が高く、高湿下や長期保存後の現像性が劣るようになりかぶり等が発生するようになる。また含水率は2.0質量%以下であることがより好ましく、特には0.5〜1.5質量%であることが好ましい。0.5質量%未満の場合には、帯電量が高くなり過ぎることがある。
【0070】
本発明において含水率は全自動水分測定システムAQS−624型(平沼産業(株)製)を用いて測定される。試料は、1gの検体を23℃,60%RHの環境に12時間放置したものを用い、約0.2gを正確に秤量したもの(Ag)を測定する。サンプルを200℃で加熱し吸着水分を蒸発させ、上記水分計にて20分間滴定を行ない試料の吸着水分量(Bμg)とレファレンスの水分量(Cμg)を求める。含水率は以下の式で算出される。
【0071】
含水率(質量%)=[(B−C)/(A×1,000,000)]×100
その他の物性としては、BET1点法による比表面積が15m2/g以上であることが好ましく、更に好ましくは20m2/gであり、特に好ましくは25m2/g以上である。比表面積が15m2/g未満であると、流動性,離型性に劣るようになり、現像性,転写性に悪影響を及ぼす。
【0072】
また、嵩密度が0.5g/cm3以下であることが好ましく、さらには0.45g/cm3以下であることが好ましく、特に好ましくは0.4g/cm3以下である。嵩密度が0.5g/cm3を超えると流動性,帯電均一性が劣るようになってきて、現像性不均一となり、濃度ムラを生じるようになる。
【0073】
そして、ブローオフによる帯電量が絶対値で100mC/kg以下であることが好ましく、更には80mC/kg以下であることが好ましい。100mC/kgを超える場合は、帯電性に不均一や、帯電過剰を生じやすくなり、画像濃度ムラやかぶりを発生しやすくなる。
【0074】
本発明の酸化チタン粒子,アルミナ粒子の含有量は、トナー100質量部に対し0.2〜5.0質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜4.0質量部であり、特に好ましくは0.4〜3.5質量部である。0.2質量部未満の場合にはその添加効果が小さくなり、5.0質量部を超える場合には感光ドラム上にフィルミングを生じたり、クリーニング不良を生じやすくなってくる。
【0075】
本発明において、比表面積は流動式比表面積自動測定装置マイクロメリティックスフローソーブII 2300型(島津製作所社製)にて測定され、試料0.2gを窒素30体積%,ヘリウム70体積%の混合気流を用い、70℃で30分脱ガス処理後測定を行なう。
【0076】
嵩密度はJIS K−5101に準じて行なう。
【0077】
ブローオフ帯電量は、ブローオフ粉体帯電測定装置TB−200(東芝ケミカル株式会社製)を用いて測定を行なう。測定試料およびキャリア(TEFV 200/300 還元鉄粉 日本鉄粉株式会社製)を12時間以上、23℃,60%RHの環境に保存する。
【0078】
測定試料(A):キャリア(B)=0.15g:29.85gの比で試料,キャリアを秤量し、試料混合容器(ポリプロピレン製 50cm3円筒瓶)に入れ密栓した後、ミックスローター(MR−2型 井内盛栄堂社製)にて5分間震盪しその後5分間静置する。混合容器中の混合試料約0.2gを精秤(秤量値をCとする)し、ブローオフ測定器のファラディゲージに入れ、以下の条件で測定する。
【0079】
ブロー圧:9.8×10-2MPa
ブロー時間:10s
ブローガス:窒素
測定環境:23℃,60%RH
ファラデイゲージフィルタ:sus316 400メッシュ
下記の計算式より帯電量を導きだす。
【0080】
帯電量=測定電荷量Q/[C×A/(A+B)]mC/kg
【0081】
シラン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルメチルジクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にシラノール基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。
【0082】
これらのシラン化合物の中でも一般式(1)で表わせるシラン化合物が好ましい。
【0083】
(R1nSi(OR24-n・・・・・(1)
【0084】
ただし、R1は水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていても良い、アリール基,アルアルキル基,アルキニル基,アルケニル基,アルキル基を表わすが、感光ドラムのクリーニング性向上の為や粒子表面を均一に処理しメタノール濡れ性半値を大きくする為に無置換のものが好ましい。R2はアルキル基を表わし、nは1〜3の整数を表わす。また、複数の置換基を持つ場合には、それぞれの置換基R1は異なっていても良い。
【0085】
例えば、水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていてもよい、トリル基、スチリル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、エチニル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを異なる複数の置換基を持っていても良いアルコキシシランである。
【0086】
この中でも、一般式(1)においてR1が炭素数5以下のアルキル基であることが、凝集物を少なくし均一に処理するために好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基などを異なる複数の置換基を持っていても良いメトキシシラン、エトキシシランである。
【0087】
具体的には、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジt−ブチルメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、エチルジメチルメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルジメチルメトキシシラン、ブチルメチルジメトキシシラン、ブチルジメチルメトキシシラン、およびこれらのエトキシシランなどである。これらのシラン化合物を用いることにより、高流動性,高転写性,帯電安定化が得られる。
【0088】
本発明に好ましく用いられるシリコーンオイルとしてはアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、異種官能基変性などの反応性シリコーン;ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、脂肪酸変性、アルコキシ変性、フッ素変性、などの非反応性シリコーン;ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、ジフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンなどのストレートシリコーンがある。
【0089】
これらのシリコーンオイルの中でも離型性の点から置換基として、アルキル基、アリール基、フルオロアルキル基、水素などを置換基として有するシリコーンオイルが好ましい。具体的には、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどである。
【0090】
これらのシリコーンオイルは、25℃における粘度が5〜2,000mm2/sであることが好ましい。更に好ましくは10〜1,000mm2/sである。5mm2/s未満では十分な疎水性が得られないことがあり、2,000mm2/sを超える場合には酸化チタン,アルミナ処理時に均一に処理しずらくなったり、凝集物ができやすく十分な流動性が得られないことがある。
【0091】
本発明において酸化チタン粒子,アルミナ粒子100質量部に対する処理剤の処理量は、1〜60質量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜50質量部である。1質量部未満では処理効果が現われず、60質量部を超える場合には母体である酸化チタン粒子,アルミナ粒子の帯電性が温和であるという特性が活かされない。
【0092】
処理剤がシラン化合物の場合には、酸化チタン粒子,アルミナ粒子100質量部に対し1〜40質量部で処理されていることが好ましく、更に好ましくは2〜40質量部、特に好ましくは3〜35質量部である。1質量部未満では疎水化が不十分であったり、均一処理がなされなかったりする。一方40質量部を超える場合には、凝集体を発生したり、処理が不均一になったりすることがある。
【0093】
処理剤がシリコーンオイルの場合には、これらが酸化チタン粒子,アルミナ粒子100質量部に対し2〜40質量部で処理されていることが好ましく、更に好ましくは3〜35質量部、特に好ましくは4〜30質量部である。2質量部未満では疎水化が不十分であったり、離型性が得られなかったりする。一方40質量部を超える場合には、凝集体を発生したり、処理が不均一になったりすることがある。また、シラン化合物,シリコーンオイルを数種類用いて処理してもよい。
【0094】
またこれら2つのタイプの処理剤を用いる場合は、各処理剤が上記の範囲内で用いられ、両者をあわせた処理量が50質量部以下であることが好ましく、更に好ましくは3〜45質量部、特に好ましくは6〜40質量部である。50質量部を超える場合には、凝集体を発生したり、処理が不均一になり易くなる。
【0095】
シラン化合物の処理量のシリコーンオイルの処理量に対する比が0.2〜5であることが好ましく、この比で処理されていると表面処理の均一性が得られやすく、更に高い疎水性が得られ、また効果的な離型性も得やすい。
【0096】
酸化チタン粒子,アルミナ粒子への各種処理剤の処理法としては、水系媒体中で処理する方法、有機溶剤中で処理する方法、気相中で処理する方法などがある。
【0097】
水系媒体中で処理する方法は、酸化チタン粒子,アルミナ粒子を一次粒子となる様に分散し、シラン化合物を加水分解しながら処理をする。シリコーンオイルの場合はエマルジョンを利用して処理をする。この処理法では、被処理粒子を製造してから乾燥工程を経ずに、水系ペーストのまま水系媒体中に分散できるので、一次粒子に分散し易い反面、処理後、処理粒子が親油性を示すので、粒子の合一が始まり、凝集体ができやすい傾向にある。
【0098】
気相法のなかには、被処理粒子を機械的にあるいは気流で十分に撹はんしながら、処理剤を滴下または噴霧して処理をする方法(これを「気相法1」と称す)がある。この際、反応機を窒素置換したり、50〜350℃に加熱することも好ましい。また、処理剤の粘度が高い場合には、アルコール,ケトン,炭化水素等の溶剤を用いて希釈しても良い。また処理時に反応性を高めるために、アンモニア,アミン,アルコール,水などを添加しても良い。この処理法では反応がしっかり行なわれるので、高疎水化と均一性が得られやすい好ましい方法であるが、未処理の粒子を強く長時間撹はんすると、粒子の合一化が生じたり、処理の不均一性を生じやすいので注意が必要である。
【0099】
気相法のもう一つの方法として、気相法(塩素法,低温酸化法等)で被処理粒子をキャリアガス中に生成させた直後に(取り出すことをせずに)処理剤を、場合によっては溶剤で希釈して、気化,霧化し気相中で被処理粒子に処理する方法(これを「気相法2」と称す)がある。この方法では気相法1の利点に加えて、被処理粒子が合一する前に処理が行なわれるので、凝集体ができにくく好ましい方法である。
【0100】
有機溶剤中で処理する方法は、被処理粒子を有機溶剤中に分散させ、処理剤により処理し、濾別または溶剤を溜去してその後乾燥する方法である。凝集物を減らすために、この後ピンミル,ジェットミル等で解砕処理をほどこすことも好ましい。乾燥工程は静置下でも、流動させながらでも良く、50〜350℃程度に加熱することが好ましく、減圧しても良い。有機溶剤としては、トルエン,キシレン,ヘキサン,アイソパー等の炭化水素系有機溶剤が好ましく用いられる。分散処理する方法としては、かくはん機,振とう機,粉砕機,混合機,分散機が用いられ、中でもセラミックス,メノウ,アルミナ,ジルコニア等でできたボール、ビーズ等のメディアを用いた分散機が好ましく用いられる。例えば、サンドミル,グレンミル,バスケットミル,ボールミル,サンドグラインダー,ビスコミル,ペイントシェイカー,アトライター,ダイノミル,パールミルなどがある。特に好ましい処理法としては、被処理粒子を有機溶剤中に分散させペーストとしてから処理剤を添加して分散機にかける方法、処理剤を含む有機溶剤の被処理粒子ペーストを分散機にかける方法、有機溶剤に処理剤と被処理粒子を加えペーストとしたものを分散機にかける方法、ペーストを分散機にかけながら処理剤を添加する方法がある。有機溶剤中で処理する方法は被処理粒子を分散した状態で処理でき、また処理後も合一が起こりにくく、凝集体が発生しずらいので好ましい方法である。
【0101】
処理方法は上記の四つの方法が利用でき、処理剤は同時に処理しても良いし、順不同で数段階に分けて処理しても良い。また複数回に分けて処理する場合には、どのような処理法の組み合わせであっても良い。
【0102】
またどの工程を用いても処理後に、ピンミル、ハンマミル、ジェットミル等の粉砕機を利用し解砕処理をほどこすことも凝集体を減らし本発明の酸化チタン,アルミナの効果を十分に発揮するためにも好ましい。
【0103】
また、処理時における合一を防ぎ、凝集体の発生を押さえたり、均一な高疎水化と均一な離型性を達成するために、シラン化合物とシリコーンオイルを同時に処理するか(処理剤として両者を同時に添加する)、シラン化合物で処理した後シリコーンオイルで処理することが好ましい。処理法としては、有機溶剤中での処理・気相法が好ましい。中でも好ましい方法としては、有機溶剤中でシラン化合物とシリコーンオイルを同時に処理する方法と気相法2で、シラン化合物とシリコーンオイルを同時に処理する方法がある。また、水系媒体中、気相法、有機溶剤中でシラン化合物処理したものを有機溶剤中あるいは気相法でシリコーンオイルで処理する方法がある。これらの方法のなかでシリコーンオイルによる処理が有機溶剤中で行なわれることが特に好ましい方法である。
【0104】
本発明でトナーの結着樹脂としては、下記の結着樹脂の使用が可能である。
【0105】
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。好ましい結着物質としては、スチレン系共重合体もしくはポリエステル樹脂、エポキシ樹脂があり、特にはポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂である。
【0106】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル、アクリルアミドなどのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルなどのような二重結合を有するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエステル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのようなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのようなビニルケトン類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのようなビニルエーテル類;等のビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0107】
スチレン系重合体またはスチレン系共重合体は架橋されていてもよくまた混合樹脂でもかまわない。
【0108】
結着樹脂の架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンなどのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0109】
本発明の酸化チタン粒子,アルミナ粒子は耐湿性に優れるので、帯電性において湿度の影響を受け易いポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂を含有するトナーに好適に用いられる。すなわち、これらの樹脂の弊害を補い、高湿下における良好な現像性を維持することができる。ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、エポキシ樹脂は定着性に優れ、特にフルカラートナーにおいては混色性に優れるので好ましく用いられている。すなわち、本発明の酸化チタン粒子,アルミナ粒子をポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、エポキシ樹脂を結着樹脂成分として含有しているトナー粒子と共に用いると、定着性と高湿下の現像性、経時における放置安定性が得られる。更にカラートナーにおいては、優れた転写性と混色性が得られるので、美しいピクトリアル画像が得られる。
【0110】
また、上述の理由から、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、エポキシ樹脂の混合物、更にこれらの樹脂のグラフト共重合体、ブロック共重合体およびこれらの混合物にも好ましく用いられる。
【0111】
本発明に用いられるエポキシ樹脂、ポリオール樹脂は以下のようなものである。例えば、骨格としてはビスフェノールA型、ハロゲン化ビスフェノールA型、ビフェニル型、サリゲニン型、スルフォン型、長鎖ビスフェノール型、レゾルシン型、ビスフェノールF型、テトラハイドロキシフェニルエタン型、ノボラック型、アルコール型、ポリグリコール型、ポリオール型、グリセリントリエーテル型、ポリオレフィン型、エポキシ化大豆油、脂環型等のものが用いられ、好ましくはビスフェノール型のものが用いられる。さらにこれらのものに、硬化剤と反応させたもの、また末端エポキシ基を活性水素を有する化合物を反応させたもの、フェノール・多価フェノール類と反応させたもの、アミン類・多価アミン類と反応させたもの、カルボン酸・多塩基酸・酸無水物・エステル誘導体・ラクトンと反応させたもの、ポリアミドと反応させたもの、カルボン酸基を有するオリゴマーと反応させたものが好ましく用いられる。さらに、水酸基をカルボン酸・酸無水物・ラクトン・ラクタムと反応させたものが特に好ましく用いられる。
【0112】
活性水素含有化合物としては、例えば次のようなものが挙げられる。フェノール類として、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられ、2価フェノール類として、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等が挙げられる。カルボン酸として、酢酸、プロピオン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、オレイン酸、マーガリン酸、アラギン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。エステル誘導体として、上記カルボン酸のアルキルエステルが挙げられ、なかでも低級アルキルエステルが好ましく、とくにはメチルエステル、エチルエステル等が好ましく用いられる。ラクトン類として、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等が挙げられる。
【0113】
本発明に用いられるポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
【0114】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0115】
【化1】
Figure 0003696910
【0116】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0117】
また(B)式で示されるジオール類;
【0118】
【化2】
Figure 0003696910
【0119】
(式中、R’は−CH2CH2−又は
【0120】
【化3】
Figure 0003696910
であり、x’,y’は0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0〜10である。)
が挙げられる。
【0121】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0122】
また、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが耐久性を向上させる上で好ましい。
【0123】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0124】
また、本発明における3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;
次式
【0125】
【化4】
Figure 0003696910
【0126】
(式中、Xは炭素数1以上の側鎖を1個以上有していてもよい炭素数30以下のアルキレン基又はアルケニレン基)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0127】
本発明に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。
【0128】
また3価以上の多価の成分は、全成分中の1〜60mol%であることも好ましい。
【0129】
また、現像性、定着性、耐久性、クリーニング性の点からスチレン系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、エポキシ樹脂、およびこれらのブロック共重合体、グラフト共重合体あるいはこれら樹脂の混合物が好ましい。
【0130】
スチレン系樹脂およびスチレン系樹脂との混合物においてはGPCにより測定される分子量分布で105以上の領域にピークを有することが好ましく、更に3×103〜5×104の領域にもピークを有することが定着性、耐久性の点で好ましい。
【0131】
このような樹脂成分は、たとえば以下に示すような方法を用いて得ることができる。
【0132】
溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、ブロック共重合、グラフト化などを応用し、分子量3×103〜5×104の領域にメインピークを有する重合体(L)と、105以上の領域にメインピークを有する重合体あるいはゲル成分を含有する重合体(H)を形成する。これらの成分を溶融混練時にブレンドすることによって得ることができる。ゲル成分は溶融混練時に一部あるいは全部切断することができ、THF可溶分となって105以上の領域の成分としてGPCで測定されるようになる。
【0133】
特に好ましい方法としては、重合体(L)または重合体(H)を溶液重合で形成し、重合終了時に、他方を溶媒中でブレンドする方法、一方の重合体存在下で他方の重合体を重合する方法、重合体(H)を懸濁重合で形成し、この重合体存在下で重合体(L)を溶液重合で重合して得る方法や溶液重合終了時に溶媒中で重合体(H)をブレンドする方法、重合体(L)存在下で、重合体(H)を懸濁重合で重合し得る方法などがある。これらの方法を用いることにより、低分子量分と高分子量分が均一に混合した重合体が得られる。
【0134】
圧力定着方式に供せられるトナー用の結着樹脂としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、高級脂肪酸、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらは、単独でまたは混合して用いることができる。
【0135】
結着樹脂としてスチレン系共重合体を使用する時には、良好な定着性,耐ブロッキング性,現像性を得る為に、以下のようなトナーが好ましい。
【0136】
トナーのGPC(ジェルパーメイションクロマトグラフィ)による分子量分布において、3×103〜5×104の領域、好ましくは3×103〜3×104の領域、特に好ましくは5×103〜2×104の領域に少なくともひとつのピーク(P1)が存在することで、良好な定着性,現像性,耐ブロッキング性を得ることができる。3×103未満では、良好な耐ブロッキング性が得られず、5×104を超える場合には良好な定着性が得られない。また105以上の領域、好ましくは3×105〜5×106の領域に少なくともひとつのピーク(P2)が存在し、3×105〜2×106の領域に105以上の領域での最大ピークがあることが特に好ましく、良好な耐高温オフセット性,耐ブロッキング性,現像性が得られる。このピーク分子量は、大きいほど高温オフセットには強くなるが、5×106以上の領域ピークが存在する場合には、圧力のかけることのできる熱ロールでは問題ないが、圧力のかけられない時には、弾性が大きくなり定着性に影響を及ぼすようになる。従って、中低速機で用いられる比較的圧力の低い加熱定着においては、3×105〜2×106領域にピークが存在し、これが105以上の領域での最大ピークであることが好ましい。
【0137】
また、105以下の領域の成分を50%以上、好ましくは60〜90%、特に好ましくは65〜85%とする。この範囲内にあることで、良好な定着性と耐オフセット性が得られる。50%未満では、十分な定着性が得られないだけでなく粉砕性も劣るようになる。また90%を超えるような場合には、耐オフセット性,耐ブロッキング性に対して弱くなる傾向にある。
【0138】
ポリエステル系樹脂,エポキシ系樹脂,ポリオール系樹脂の使用時には、トナーのGPCによる分子量分布において分子量3×103〜2.0×104の領域、好ましくは4×103〜1.7×104の領域、特に好ましくは5×103〜1.5×104の領域にメインピークが存在することが好ましい。また、磁性トナーに用いる場合には、1.5×104以上の領域に少なくとも1つのピークまたショルダーが存在するかあるいは5×104以上の領域が5%以上であることが好ましく、Mw/Mnが10以上であることも好ましい。
【0139】
以上のような分子量分布である時に良好な現像性,耐ブロッキング性,定着性,耐オフセット性を得ることができる。
【0140】
メインピークが3×103未満である場合には、耐ブロッキング性,現像性が低下しやすくなる。メインピークが2.0×104を超える場合には、良好な定着性が得られなくなる。1.5×104以上の領域にピーク,ショルダーが存在する場合や5×104以上の領域が5%以上である場合やMw/Mnが10以上である場合には良好な耐オフセット性を得ることが可能となる。
【0141】
また、本発明のトナーに用いる結着樹脂はガラス転移点(Tg)が50〜70℃であることが好ましい。Tgが50℃未満の場合には耐ブロッキング性が悪化してしまう。またTgが70℃を超える場合には定着性が悪化する。
【0142】
本発明において、トナーのGPCによるクロマトグラムの分子量分布は次の条件で測定される。
【0143】
すなわち、40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラハイドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0144】
また、試料は以下のようにして作製する。
【0145】
試料をTHF中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0146】
ガラス転移点の測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。定義は次のように定める。
【0147】
ガラス転移点(Tg)
昇温時のDSC曲線において比熱変化の現われる前後のベースラインの中間点を結ぶ線とDSC曲線の交点の温度。
【0148】
また、定着時の定着部材からの離型性の向上,定着性の向上の点から、次のようなワックス類をトナー中に含有させることも好ましい。
【0149】
パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ひまし油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタム等も利用できる。
【0150】
中でも好ましく用いられるワックスは、オレフィンを高圧下でラジカル重合あるいはチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のポリオレフィン及びこの時の副生成物、高分子量のポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量のポリオレフィン、一酸化炭素、水素からなる合成ガスから触媒を用いて得られる炭化水素の蒸留残分、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素などから得られるワックスが用いられ、酸化防止剤が添加されていてもよい。あるいは、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステルあるいは、モンタン系誘導体である。また、脂肪酸等の不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0151】
本発明のトナーに使用し得る着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料が挙げられる。トナーの着色剤としては、例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーがある。これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要充分な量が用いられ、好ましくは樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部の添加量が良い。
【0152】
更に、同様の目的で染料が用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり、これらは好ましくは樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部、より好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
【0153】
本発明のシアン色,マゼンタ色,イエロー色のトナーに使用される着色剤としては、下記の有機顔料又は有機染料が好ましく用いられる。
【0154】
顔料としてはジスアゾイエロー系顔料、不溶性アゾ系顔料、銅フタロアニン系顔料、染料としては塩基性染料又は油溶性染料がある。
【0155】
染料としては、例えばC.I.ダイレクトレッド1;C.I.ダイレクトレッド4;C.I.アシッドレッド1;C.I.ベーシックレッド1;C.I.モーダントレッド30;C.I.ダイレクトブルー1;C.I.ダイレクトブルー2;C.I.アシッドブルー9;C.I.アシッドブルー15;C.I.ベーシックブルー3;C.I.ベーシックブルー5;C.I.モーダントブルー7等が挙げられる。
【0156】
顔料としては、ナフトールイエローS,ハンザイエローG,パーマネントイエローNCG,パーマネントオレンジGTR,ピラゾロンオレンジG,ベンジジンオレンジG,パーマネントレッド4R,ウオッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン38,ファストバイオレットB,メチルバイオレットレーキ,フタロシアニンブルー,ファーストスカイブルー,インダンスレンブルーBC等が挙げられる。
【0157】
特に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83;C.I.ピグメントイエロー97;C.I.ピグメントイエロー17;C.I.ピグメントイエロー15;C.I.ピグメントイエロー13;C.I.ピグメントイエロー14;C.I.ピグメントイエロー12;C.I.ピグメントレッド5;C.I.ピグメントレッド3;C.I.ピグメントレッド2;C.I.ピグメントレッド6;C.I.ピグメントレッド7;C.I.ピグメントレッド57;C.I.ピグメントレッド122;C.I.ピグメントブルー15;C.I.ピグメントブルー16又は下記で示される構造式(I)を有する、フタロシアニン骨格に置換基を2〜3個置換した銅フタロシアニン系顔料が挙げられる。
【0158】
【化5】
Figure 0003696910
【0159】
[式中、X1,X2,X3及びX4は、
【0160】
【化6】
Figure 0003696910
【0161】
又はHを示す。但し、X1〜X4のすべてが−Hの場合を除く。]
【0162】
染料としては、C.I.ソルベントレッド49;C.I.ソルベントレッド52;C.I.ソルベントレッド109;C.I.ベイシックレッド12;C.I.ベイシックレッド1;C.I.ベイシックレッド3bが挙げられる。
【0163】
その含有量としては、OHPフィルムの透過性に対し敏感に反映するイエロートナーについては、結着樹脂100質量部に対して12質量部以下が好ましく、より好ましくは0.5〜7質量部が好ましい。
【0164】
12質量部を超えると、イエローと他の色との混合で生成されるグリーン色、レッド色の再現性が劣る。さらに人間の肌色の再現性にも劣るようになる。
【0165】
その他マゼンタトナー、シアントナーについては、結着樹脂100質量部に対しては15質量部以下、より好ましくは0.1〜9質量部が好ましい。
【0166】
黒色の着色剤としては、染顔料を混色させたもの、カーボンブラック、黒色を呈する金属酸化物などが好ましく用いられる。これらの着色剤は、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部で用いられる。
【0167】
また着色剤に磁性を有するものを用いれば、磁性材料としての役割をかねさせることもでき、磁性トナーとしても使用しうる。このような着色剤としての磁性粉は、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物が用いられ、磁性酸化鉄の表面あるいは内部にSi,Al,Mg等の金属イオンの酸化物、含水酸化物、水酸化物等の化合物を含むものが好ましく用いられる。特にケイ素元素を含有する磁性酸化鉄が好ましく、その含有率が磁性粉を基準として0.1〜3質量%であることが好ましい。更に好ましくは0.15〜3質量%であり、特に好ましくは0.2〜2.0質量%である。
【0168】
磁性粉の形状としては、6面体,8面体,10面体,12面体,14面体などの多面体、針状,鱗片状,球形,不定形のものなどが用いられる。
【0169】
磁性粉の窒素ガス吸着法によるBET比表面積としては、1m2/g〜40m2/g、さらには2m2/g〜30m2/gのものが好ましく、さらには、3m2/g〜20m2/gのものが好ましい。
【0170】
磁性粉の飽和磁化としては、796kA/mの磁場で、5〜200Am2/kg、さらには10〜150Am2/kgの範囲のものが好ましい。
【0171】
磁性粉の残留磁化としては、796kA/mの磁場で、1〜100Am2/kg、さらには1〜70Am2/kgが好ましい。
【0172】
磁性粉の平均粒子径としては、2.0μm以下、好ましくは0.03〜1.0μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μm、さらに好ましくは0.1〜0.4μmのものが良い。
【0173】
磁性粉をトナー粒子中に含有させる量としては、結着樹脂100質量部に対し10〜200質量部、好ましくは20〜170質量部、特に好ましくは30〜150質量部である。
【0174】
以上のような着色剤を用いて本発明のトナーは一成分系現像剤又は二成分系現像剤として用いられる。
【0175】
本発明のトナーに適切な帯電量をトナーに与えるため、次の荷電制御剤を添加することも好ましく、他の構成材料ごとによって、添加する化合物の種類,添加量によってその程度をコントロールすることができる。
【0176】
トナーを正荷電性に制御するものとして下記の物質がある。
【0177】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(C)
【0178】
【化7】
Figure 0003696910
で表わされるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0179】
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。
【0180】
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0181】
また次に示した一般式(D)で表わされるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0182】
【化8】
Figure 0003696910
【0183】
特に中心金属としてはFe,Crが好ましく、置換基としてはハロゲン,アルキル基,アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素,アルカリ金属,アンモニウム,脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0184】
あるいは次の一般式(E)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明に使用できる。
【0185】
【化9】
Figure 0003696910
【0186】
特に中心金属としてはFe,Cr,Si,Zn,Alが好ましく、置換基としてはアルキル基,アニリド基,アリール基,ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素,アルカリ金属,アンモニウム,脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0187】
電荷制御剤をトナー粒子に含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外添する場合は、樹脂100質量部に対し0.01〜10質量部が好ましく、特に、メカノケミカル的にトナー粒子表面に固着させるのが好ましい。
【0188】
本発明に係るトナーを製造するにあたっては、上述した様なトナー構成材料をボールミル、その他の混合機により充分混合した後、熱ロールニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて良く混練し、混練物を冷却固化後、機械的な粉砕、粉砕物の分級によってトナーを得る方法が好ましい。他には、結着樹脂の溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法;結着樹脂を構成すべき単量体に所定の材料を混合して乳化懸濁液とした後に、重合させてトナーを得る重合法によるトナーの製造法がある。本発明に係るトナーは、コア材及びシェル材から成るマイクロカプセルトナーであっても良い。
【0189】
本発明のトナーは、以上のようなトナー粒子に、本発明の特徴とする酸化チタン粒子,アルミナ粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合して得ることができる。
【0190】
更に必要に応じ以下の添加剤を添加しても良い。
【0191】
現像性,耐久性を向上させるために次の無機粉体を添加することもできる。マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモンなどの金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムなどの複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム等の金属塩;カオリンなどの粘土鉱物;アパタイトなどリン酸化合物;シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトなどの炭素粉末が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムなどが好ましい。
【0192】
同様の目的で、以下の有機粒子や複合粒子を添加することもできる。ポリアミド樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、ウレタン粒子、メラミン−ホルムアルデヒド粒子、アクリル樹脂粒子などの樹脂粒子;ゴム、ワックス、脂肪酸系化合物、樹脂等と金属、金属酸化物、塩、カーボンブラック等の無機粒子とからなる複合粒子が挙げられる。
【0193】
更に次のような滑剤粉末を添加することもできる。テフロン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂;フッ化カーボンなどのフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体;硫化モリブデン、アミノ酸およびアミノ酸誘導体が挙げられる。
【0194】
本発明のトナーを二成分系現像剤として用いる場合には、キャリアと混合して用いられ、トナーとキャリアの混合比は、トナー濃度として0.1〜50質量%で用いられ、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは3〜10質量%である。
【0195】
このキャリアコア材料としては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、コバルト、ニッケル銅、亜鉛、マンガン、クロム希土類の金属、それらの合金、化合物、酸化物、磁性フェライトなどが用いられる。なかでもフェライトキャリアを98質量%以上含有するものが好ましく用いられる。キャリアの製造方法として特別な制約はない。コア材の表面を樹脂等で被覆したコートキャリアは特に好ましい。被覆する方法としては、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて被覆液を調製し、該被覆液をキャリア粒子表面に塗布しキャリア粒子表面に付着せしめる方法、単にキャリア粒子と被覆粉体を乾式混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
【0196】
コートキャリアの被覆用に用いられる結着樹脂としては、スチレン、クロルスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステルビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体などが挙げられ、特に代表的な結着樹脂としては、導電性微粒子の分散性やコート層としての製膜性,トナースペント防止,生産性という点などから、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。更にポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド等が挙げられる。特にスペント防止という観点から、臨界表面張力の小さい樹脂、例えばポリオレフィン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいることがより望ましい。
【0197】
なおブレンド量は、全バインダー量に対するフッ素系樹脂またはポリオレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂の割合は、1.0〜60質量%が適当であり、特に2.0〜40質量%が望ましい。含有量が1.0質量%未満であると、表面改質効果が十分でなく、トナースペントに効果がない。一方60質量%を超えると、両者が均一に分散されにくいため、体積抵抗値に部分的なムラが生じ、帯電特性が悪くなるためである。
【0198】
なおキャリアの被覆用結着樹脂として用いられるフッ素樹脂としては、例えばフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフロオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等と他のモノマーとの溶剤可溶性の共重合体が挙げられる。
【0199】
またキャリアの被覆用結着樹脂として用いられるシリコーン樹脂としては、例えば信越シリコーン社製KR271、KR282、KR311、KR255、KR155(ストレートシリコーンワニス)、KR211、KR212、KR216、KR213、KR217、KR9218(変性用シリコーンワニス)、SA−4、KR206、KR5206(シリコーンアルキッドワニス)、ES1001、ES1001N、ES1002T、ES1004(シリコーンエポキシワニス)、KR9706(シリコーンアクリルワニス)、KR5203、KR5221(シリコーンポリエステルワニス)や東レシリコーン社製のSR2100、SR2101、SR2107、SR2110、SR2108、SR2109、SR2400、SR2410、SR2411、SH805、SH806A、SH840等が用いられる。
【0200】
上記の材料の使用量は、適宜決定すれば良いが、一般的には総量でキャリアに対し0.1〜30質量%(好ましくは0.5〜20質量%)が好ましい。
【0201】
キャリアの平均粒径は20〜100μm、好ましくは25〜70μm、より好ましくは25〜65μmを有することが好ましい。
【0202】
特に好ましいキャリアとしては、Cu−Zn−Fe〔組成重量比(5〜20):(5〜20):(30〜80)〕の3元系のフェライト粒子であり、その表面をフッ素系樹脂又はスチレン系樹脂又はシリコーン樹脂又はそれらの混合樹脂で被覆したものが挙げられる。例えば混合樹脂としてポリフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂;ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂;フッ素系共重合体とスチレン系共重合体;等を90:10〜20:80、好ましくは70:30〜30:70の重量比率の混合物が挙げられる。コーティング剤を0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%コーティングし、250メッシュをパスし350メッシュにオンするキャリア粒子が70質量%以上ある上記平均粒径を有するコート磁性フェライトキャリアが好ましいキャリアとして挙げられる。該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(20:80〜80:20)、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシン−メタクリル酸メチル共重合体(20〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
【0203】
粒度分布のシャープな上記コート磁性フェライトキャリアは、本発明のトナーに対し、好ましい摩擦帯電を付与し、さらに電子写真特性を向上させる効果がある。
【0204】
本発明のトナーとキャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、1質量%〜15質量%、好ましくは2質量%〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が1質量%未満では画像濃度が低くなり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を短縮しがちである。
【0205】
本発明のトナーは離型性が良く、転写性に優れているので、潜像保持体上に形成されたトナー像を記録材あるいは中間転写体に転写する画像形成方法において、記録材上あるいは中間転写体上に複数の潜像保持体上のトナー像を多重転写する画像形成方法に好ましく用いられる。
【0206】
また、潜像保持体上あるいは中間転写体上に形成されたトナー像を記録材に転写する画像形成方法において、該潜像保持体上あるいは中間転写体上に複数のトナーにより形成された多重トナー像を記録材に一括転写する画像形成方法にも好ましく用いられる。
【0207】
【実施例】
以下、具体的実施例によって本発明を説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。
【0208】
画像形成方法
画像形成方法例1(画像形成法1)
図1に示されるような装置を用いた。すなわち、潜像保持体として負帯電極性のOPC感光体1を備え、感光体1の周囲には、ローラー状電極からなる一次帯電器3、複数の現像器を有する回転式現像器4、転写装置10A及びクリーニング器26が設置されている。ここで帯電ローラー3としては、例えばEPDM等の導電性弾性層上に、例えばウレタンゴム層、ナイロン系の表層などを積層し、総抵抗値として105〜107Ω程度に調整したものが用いられる。
【0209】
帯電ローラー3により感光体1を帯電するには、直流又はこれに交流を重畳したバイアス電圧を帯電ローラー3に印加して行われる。ここでは、直流−720Vと交流1800VP-P(P−Pはピーク間電圧)とを重畳したバイアス電圧により、感光体1を約−700Vに均一に帯電した。
【0210】
図の露光装置はレーザーダイオード11,多面鏡13等により走査光16を形成し、感光ドラム1上を主走査一方向に走査する。このとき露光を受けた部分の表面電位は約−100Vに減衰し、この減衰域が負極性トナーにより反転現像を受ける。
【0211】
一方、現像後のトナー像は転写部位にて転写ドラムを介して予め転写ドラム上に保持された転写材29に転写される。このとき、転写ドラム10の構成としては、アルミニウム等の導電性基板10a上に、厚さ5mm,硬度80度(アスカーF測定による),体積抵抗率106Ωcm以下の発泡EPDMゴム層による導電性弾性層10bを形成し、更に、その上を体積抵抗率1014〜1015Ωcm,厚さ40μmのウレタン製誘電層である10cでコートしたものを用いた。そして、感光体1と転写ドラム10との当接は、転写ドラム10の両端に設けた絶縁性のフランジである突当て部10dで行い、感光体1に対する弾性体10bの侵入量を約0.3mmとして、ニップでの当接圧を常に一定とした。また、転写時には基板10aに対し、1色めは+750V、2色め以降は順次250Vずつ更に電圧を高めてゆく様に転写電圧をVTを設定して印加していった。
【0217】
画像形成方法例2(画像形成法2)
図2に示す画像形成方法を用いた。また、これに用いた画像保持媒体(中間転写体)42の実施例を図3に示す。図3において、中間転写体42はアルミ等の導電性を有するドラム52上に体積抵抗率106〜108Ωcmの導電性ゴム53を厚さ2mmでライニングしたものである。図2において、現像部46における現像色の順序はイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックとして、各色毎の中間転写体42上への転写電圧を順次高くした。中間転写体42上に転写する前に感光体43上の余分な電荷を除去し、転写電圧を低下させるために感光体43上に除電用の光を照射する転写前除電器47を用いた。
【0218】
これにより画像保持媒体42上に形成されたトナー画像は画像表面よりブラック,シアン,マゼンタ,イエローの順となる。中間転写体42上にトナー画像が全て形成された後、転写器49が中間転写体42上に接触する位置に来て、中間転写体42上のトナー画像が記録紙54上に転写される。転写器49は中間転写体42上にトナー画像が形成されている間は中間転写体42より離れており、記録紙54への転写の際にのみ中間転写体42に一定の圧力で当接され、電圧を加えることで転写する。ここで記録紙54上への転写電圧を低下するために感光体43より中間転写体42上にトナー画像を全て転写した後、中間転写体42のアルミ管52をアースに落とすようにした。
【0220】
処理酸化チタン,アルミナの製造例
実施例に用いられる被処理粒子を表1に示す。
【0221】
【表1】
Figure 0003696910
【0222】
処理法は以下の方法により行なった。
【0223】
有機溶剤法(溶剤法)
容器中にトルエン1kgと被処理粒子200gを入れ、ミキサーにより撹はんしてスラリーとし、ここに処方量の処理剤を添加し、更にミキサーで十分に撹はんした。このスラリーをジルコニアボールをメディアとするサンドミルに30分間かけた。
【0224】
スラリーをサンドミルから取り出し、60℃で減圧しながらトルエンを除去した後、ステンレス容器中で撹はんしながら250℃で2時間乾燥した。ここで得られた粉体をハンマミルにて解砕処理をし、処理粒子を得た。
【0225】
気相法
密閉型高速撹はんミキサーに被処理粒子20gを入れ、窒素置換した。穏やかに撹はんしながら処理剤を、必要に応じて適当量のn−ヘキサンで希釈して噴霧し、更に被処理粒子180gを添加すると同時に残りの処方量の処理剤を噴霧し、添加終了後室温で10分間撹はんした後、高速撹はんしながら加熱し300℃に昇温させて1時間撹はんした。撹はんしながら室温に戻し、ミキサーから粉体を取り出し、ハンマミルにて解砕処理をし、処理粒子を得た。
【0226】
実施例に用いられる処理粒子の製法、処方を表2に示し、物性を表3,4に示す。処理剤・希釈剤の処理量は被処理粒子100質量部に対する質量部である。
【0227】
【表2】
Figure 0003696910
【0228】
【表3】
Figure 0003696910
【0229】
【表4】
Figure 0003696910
【0230】
結着樹脂の製造例
テレフタル酸 6.0mol
n−ドデセニル無水琥珀酸 3.0mol
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 10.0mol
ジブチルチンオキサイド 0.05g
【0231】
上記化合物を反応器に入れ、温度計,撹はん棒,コンデンサー,窒素導入管を取り付け、窒素置換した後、撹はんしながら徐々に昇温し、170℃で5時間反応させ、次いで190℃に昇温し、4時間反応させた。その後、以下の化合物を加えた。
【0232】
無水トリメリット酸 0.7mol
ジブチルチンオキサイド 0.3g
【0233】
その後、190℃で3時間反応させ、さらに200℃に昇温し、減圧(15 hPa)して5時間反応させ脱水縮合させ、反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。
【0234】
このポリエステル樹脂は、ピーク分子量8,700、ガラス転移点64℃であった。
【0235】
トナー粒子(分級品)の製造例
上記ポリエステル樹脂 100質量部
銅フタロシアニンフタルイミド誘導体顔料 5質量部
ジ−t−ブチルサリチル酸クロム錯体 4質量部
【0236】
上記の原材料をヘンシェルミキサで前混合したのち、130℃に設定した二軸押し出し機によって溶融混練した。混練物を冷却後、ジェット気流を用いた粉砕機によって微粉砕し、風力分級機を用いて分級し、重量平均径8μmのシアントナー粒子(分級品)を得た。
【0237】
また顔料をC.I.Pigment Red 122 5質量部、C.I.Pigment Yellow 17 3.5質量部、カーボンブラック5質量部に変更する以外は同様にしてマゼンタトナー粒子(分級品)、イエロートナー粒子(分級品)、ブラックトナー粒子(分級品)を得た。
【0238】
トナーおよび現像剤の製造例
トナー粒子(分級品)100質量部に対し、表5に示す処方で、ヘンシェルミキサで十分撹はんし、本発明の酸化チタン粒子,アルミナ粒子を外添混合しトナーを得た。
【0239】
【表5】
Figure 0003696910
【0240】
実施例1
シアントナー1から作製した現像剤を画像形成法1の構成を有する画像形成法を用いた転写当接圧力を1.0×10-3MPaに設定し、23℃,60%RH下で10,000枚の耐刷試験を行なった。
【0241】
濃度はマクベス濃度計RD918型(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して反射濃度測定を行ない、5mm丸の画像を測定し画像濃度とした。
【0242】
画像上のかぶりは反射濃度計(リフレクトメーター モデルTC−6DS 東京電色社製)を用いて行ない、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drをかぶり量としてかぶりの評価を行なった。この値が1%以下の場合はかぶりが非常に良好なレベルであり、1.5%以下であれば実質的にかぶりの良好な画像であり、2%以下であれば実用上問題がない。
【0243】
転写効率は転写電流250μA時の感光体上の転写前後のトナー像のマクベス濃度の変化から求める。転写紙上の定着後の画像のマクベス濃度が1.5となる時の感光ドラム上の転写前後の画像をポリエステルフィルムの接着テープで移し取り、それぞれおよびテープのみを転写紙に貼り付け、マクベス濃度測定を行なう。転写前の濃度をDa、転写後の濃度をDb、テープのみの濃度をDcとしたとき、転写効率は次式で求められるもので定義する。
【0244】
転写効率={[(Da−Dc)−(Db−Dc)]/(Da−Dc)}×100
【0245】
すなわちこの値が高いほど転写効率が高く、転写性が良好である。
【0246】
また転写ラチチュードは、16階調の画像を形成させ、転写電流を変化させて得られる転写画像を定着したものを目視により判断する。全階調の画像が転写ムラ、がさつき、とびちりの良好な画像が得られている転写電流の範囲を求める。すなわち転写性に優れていれば、低転写電流でもきちんと転写し、転写むらもなく画像濃度がしっかりでており階調性のある画像が得られる。また、転写性に優れたトナーは必要以上に高転写電流にすることがないので、がさつき、とびちりの良好な画像が得られる。すなわち転写良好な転写電流値が低いところから始まり転写上限までの幅が広いものが、転写性に優れており、転写ラチチュードが広いトナーである。つまり転写ラチチュードが広ければ、転写材,画像形成環境の適用範囲が広くなると共に、画像形成装置の転写制御を容易なものとすることができる。
【0247】
転写中抜けは文字部における中抜けを目視により判断した。A:中抜けはほとんどない。B:中抜けがわずかにある。C:中抜けはあるが実用上問題なし。D:中抜けが目立ち実用上不可である。
【0248】
階調性は16階調の画像を目視より判断した。A:16階調確認でき、ハーフトーン部にがさつきがなく、ハイライト部もきちんと再現されている。B:16階調確認できるが、ハーフトーン部に多少がさつきがみられる。C:ハイライト部再現が悪くなって来ているが実用上問題なし。D:14階調以上確認できず、実用上不可。
【0249】
表6に試験時の初期、1,000枚目、10,000枚目のかぶり、画像濃度、ライン部の転写中抜け、階調性を示し、表7に1,000枚時における転写効率、転写ラチチュードを示す。
【0250】
更に、30℃,80%RHの環境下で耐刷試験を行なった。現像器および補給用トナーを試験環境に1週間なじませてからスタートし、1,000枚プリントした。その後この環境に1週間放置してから再スタートし、1,000枚プリントし更に2週間放置して1,000枚プリントした。各ステップの初期、100枚目、1,000枚目のかぶり、画像濃度、ライン部の転写中抜け、階調性を表8,9,10に記する。
【0251】
表6,7と表8,9,10に示す通り、通常環境下、高温高湿下において本発明の画像形成方法はシアントナー1において、画像濃度が高く、かぶりもなく、ライン部の中抜けもなく、階調性の優れた鮮明なシアン画像が得られた。また転写効率も良く、転写ラチチュードの広いトナーであった。
【0252】
実施例2〜10
シアントナー4〜12を実施例1と同様の評価を行なった結果を表6,7と表8,9,10に記す。
【0253】
比較例1
シアントナー2を実施例1と同様の評価方法で転写当接圧のみを5.0×10-5MPaに設定し評価を行なった結果を表6,7と表8,9,10に記すが、文字部の中抜けがみられ、転写ラチチュードが狭かった。また高湿下における現像性に劣り、とくに初期および放置後のスタート時のかぶりが悪かった。
【0254】
比較例2
シアントナー3を実施例1と同様の評価方法で転写当接圧のみを5.0×10-5MPaに設定し評価を行なった結果を表6,7と表8,9,10に記す。文字部の中抜け,転写ラチチュードには問題なかった。
【0255】
しかし、高湿下における現像性に劣り、特に初期および放置後のスタート時のかぶりが悪かった。
【0256】
実施例11〜13
シアントナー1を用い画像形成法1及び2によって表11に示す条件にて、23℃,60%RH下で10,000の耐刷試験を行った。
【0257】
表12に試験時の初期、1,000枚目、10,000枚目のかぶり、画像濃度、ライン部の転写中抜け、階調性を、表13に1,000枚時における転写効率、転写ラチチュードを示す。
【0258】
さらに、30℃,80%RHの環境下で耐刷試験を行った。現像器および補給用トナーを試験環境に1週間なじませてから、スタートし1,000枚プリントした。その後、この環境に1週間放置してから再スタートし1,000枚プリントし、更に2週間放置して1,000枚プリントした。各ステップの初期、100枚目、1,000枚目のかぶり、画像濃度、ライン部の転写中抜け、階調性を表14,15,16に記す。
【0259】
表12,13と表14,15,16に示す通り、通常環境下、高温高湿下において本発明の画像形成方法はシアントナー1において、画像濃度が高く、かぶりもなく、ライン部の中抜けもなく、階調性に優れた鮮明なシアン画像が得られた。また、転写効率も良く、転写ラチチュードの広いトナーであった。
【0260】
比較例3
実施例1と同様の評価方法で転写当接圧のみを5.0×10-5MPaに設定し評価を行った結果を表12,13に記すが、文字部の中抜けがみられ、転写ラチチュードが狭かった。
【0261】
実施例14
シアントナー1、マゼンタトナー1、イエロートナー1、ブラックトナー1から作製した現像剤を市販のデジタルフルカラー電子写真複写機(カラーレーザーコピア550 キヤノン株式会社製)にて、23℃,60%RH下で2,000枚のフルカラー複写試験を行なった。この際、転写体を改造し、転写材に感光ドラムが1.0×10-3MPaの当接圧で転写できるよう改造した。その結果、色再現,階調性に優れた色むらのない美しいピクトリアル画像が得られ複写中の画像に色差はほとんど見られなかった。
【0262】
更に、30℃,80%RHの環境下で複写試験を行なった。現像器および補給用トナーを試験環境に1週間なじませてから500枚複写した。その後、この環境に1週間放置してから再スタートし500枚複写試験を行なった。その結果、美しいフルカラー画像が得られ、かぶりも4色重ねた最悪値で1.3%以下であり、初期および再スタート時においても問題なかった。
【0263】
【表6】
Figure 0003696910
【0264】
【表7】
Figure 0003696910
【0265】
【表8】
Figure 0003696910
【0266】
【表9】
Figure 0003696910
【0267】
【表10】
Figure 0003696910
【0268】
【表11】
Figure 0003696910
【0269】
【表12】
Figure 0003696910
【0270】
【表13】
Figure 0003696910
【0271】
【表14】
Figure 0003696910
【0272】
【表15】
Figure 0003696910
【0273】
【表16】
Figure 0003696910
【0274】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法は、メタノール濡れ性半値の高い酸化チタン粒子,アルミナ粒子を有するトナーを使用しているため、耐湿性,離型性,帯電性,流動性に優れており、現像性,転写性,放置安定性に優れ、特に高転写当接圧においても転写性,耐久性に優れた画像形成方法とすることができる。
【0275】
すなわち、高湿下や長期の放置においても十分な現像性が得られる画像形成方法である。
【0276】
さらに、転写効率が良く、転写ラチチュードの広い、美しいピクトリアルなフルカラー画像が容易に得られる画像形成方法である。
【0277】
さらに、ライン画像部,文字部においても転写中抜けを抑制する画像形成方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置を示す概略図である。
【図2】本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置を示す概略図である。
【図3】画像形成方法例2の画像保持体の概略図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム(潜像保持体)
2 除電帯電器
3 一次帯電器(帯電ローラー)
4 回転式現像機
10A 転写装置
10 転写ドラム
10a 導電性基板
10b 導電性弾性層
10c 誘電性高抵抗層
11 レーザーダイオード
12 高速モーター
13 多面鏡
16 画像露光
17 記録材カセット
18 ピックアップローラー
22 グリッパ
23 吸着ローラー
24 分離爪
25 定着装置
26 クリーニング器
27 クリーナー
28 除電ローラー
29 記録材(転写材)
42 画像保持体
43 感光体
44 帯電ユニット
45 露光ユニット
46 現像ユニット
47 除電器
48 クリーナー
49 転写ローラー
50 定着ユニット
52 金属性ドラム
53 導電性ゴム
54 記録材

Claims (7)

  1. 潜像保持体上あるいは中間転写体上に形成されたトナー像を記録材に当接転写する画像形成方法であり
    ▲1▼該トナーが、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と酸化チタン粒子またはアルミナ粒子とを有するトナーであって、該酸化チタン粒子またはアルミナ粒子は、その表面が有機処理され、メタノール濡れ性半値が55%以上であり、
    ▲2▼該転写時の潜像保持体または中間転写体と記録材との当接圧が1.0×10-4MPa以上であり、
    ▲3▼(i)潜像保持体上のトナー像をゴム弾性層を有する転写ドラム上の記録材に転写する転写工程、または、
    (ii)ゴム弾性層を有する中間転写体上のトナー像を記録材に転写する転写工程
    を有することを特徴とする画像形成方法。
  2. 1つまたは複数の潜像保持体上のトナー像を記録材上に多重転写することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 該酸化チタン粒子またはアルミナ粒子は、平均粒径が0.1μm未満であり、シラン化合物とシリコーンオイルで処理され、含水率が3.0質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 該シラン化合物が一般式(1)で表わされることを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
    (R1nSi(OR24-n・・・・・(1)
    [ただし、R1はアリール基,アルアルキル基,アルキニル基,アルケニル基またはアルキル基を表わし、R2はアルキル基を表わし、nは1〜3の整数を表わす。]
  5. 該シラン化合物の一般式(1)においてR1が炭素数5以下のアルキル基であることを特徴とする請求項に記載の画像形成方法。
  6. 該シリコーンオイルは、置換基がアルキル基,アリール基,フルオロアルキル基または水素であり、25℃における粘度が5〜2,000mm2/sであることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 該シラン化合物及びシリコーンオイルが酸化チタン粒子またはアルミナ粒子100質量部に対し1〜40質量部で処理されており、両者をあわせた処理量が50質量部以下であり、該シラン化合物の処理量の該シリコーンオイルの処理量に対する比が0.2〜5であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の画像形成方法。
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