JP2016212323A - トナー及び現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】広い温度領域での離型性を確保しつつ、ワックススペントに伴う凝集を抑制でき、現像ストレスに対する変形、破砕、固着を抑止し、トナー帯電性、トナー耐久性、及び耐オフセット性の両立を図ったトナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有するトナーであって、前記トナーの割断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真より検出される前記離型剤の総面積Wtaに対して、表層から0.3μm以内の離形剤面積Wsaの比率、Wsa/Wtaが2〜5%であり、前記トナーの表面からトナーの直径dの1/4(1/4d)までの深さ領域Aaに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDa、Aaより内部の領域Abに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDb、としたときのWDa、WDbの関係が、WDa<WDbであり、かつ、微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が700nm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像を現像するために使用されるトナー及び現像剤に関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等に於いて使用されるトナーは、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。定着方法としては、加熱したロールやベルト等を用いて接触加熱溶融することで定着する方法が熱効率が良いため一般的に行われている。しかし、接触加熱定着方法では熱ロールやベルトにトナーが融着するオフセットの発生がおこりやすいという問題がある。
このオフセット性を防止するため、トナー自体にワックスなどの離型剤を添加する方法がある。
これらの離型剤は、接触加熱定着方法において、加熱されたロールやベルト部材をトナーが通過する際に速やかにメルトして、トナー粒子表面に露出することでトナーの定着部材への融着を抑止している。定着温度が低い側でのオフセット性(コールドオフセット)のみならず、定着温度が高い側でのオフセット性(ホットオフセット)いずれにも影響を与える。
トナーからの露出を促進させる手段として、トナー表面近傍に離型剤を配置させた場合には、オフセットは抑止されるものの、例えば現像機中で攪拌されるうちに前記離型剤を基点とした融着が起こりやすく、トナーが押しつぶされたような形でキャリアや感光体に付着してトナーの帯電量が低下しやすくなる。すなわち、離型剤は攪拌・保存時にはトナー内部に保護されるように存在しており、定着時、定着部材を通過する短時間のうちに効果的に表面に露出させて定着部材からの離型性を発現させる必要がある。
かかる課題に対して、離型剤であるワックスの分散粒径を規定した提案が多数報告されている(特許文献1及び2参照)。これらは、分散粒径を規定することでトナー造粒性を維持しつつオフセットを防止するという効果がある。しかし、通常ワックスを分散させた形態でトナーへ導入させる際にはトナー粒径よりも微細にならざるを得ず、それら微細なワックスを表面近傍に露出することなく保持することは非常に困難である。
また、耐オフセット性を発現させるにはトナー中で微細なドメインとして離型剤が局在するよりも、比較的大きな塊として存在しているほうが有効である。ところが、ドメインを大きくするために必要以上に添加量を増やすと、トナー全体の強度は低下して、つぶれやすくなり、帯電低下や地汚れが悪化しやすい。
特に非磁性一成分現像に離型剤を含有するトナーを用いた場合、トナー層の厚みを規制するブレードを通過する際に、該ブレード部分で過度な負荷がかかることで押しつぶされて固着し、画像品質を著しく悪化させることが分かっており、二成分現像以上の耐久性がトナーに求められる。
トナー中の離型剤のアスペクト比、大きさを規定した上記特許文献2に記載されるトナーは、低温定着性、地汚れ、及び帯電性が改善するものの、良好な耐オフセット性を示し、トナー粒子強度を向上させて、良好なトナー帯電性及びトナー耐久性を示すという観点からは、十分なものであるとはいえない。
また、トナー組成液を吐出孔から吐出し、液滴化して製造されたトナーであって、耐ホットオフセット性と地肌汚れに優れたトナーが提案されている(特許文献3参照)。しかし特許文献3の記載によれば該トナー粒子における離型剤の存在状態についての規定はされておらず、上記特許文献3の製造方法に基づき製造されるトナーでは、トナー最表面近傍に存在する離型剤の存在比率は極めて少なく、それに伴い、広い温度領域での離型性を確保するのが困難である。また、本製造方法では一度離型剤を溶媒中に溶解させた後、乾燥の過程で結着樹脂と相分離させることで、トナー内部に離型剤ドメインが分散された構造になるため、部分的には相分離が不十分になる部位があり、印刷時の現像器内の攪拌ストレスでトナー破砕や変形が起こりやすい。
トナーの付着・変形の課題に対しては、特許文献4、5の記載によれば、トナー粒子の硬度を規定して課題を達成できることも報告されている。しかし、これらのような従来の重合トナーや粉砕トナーを用いた場合には、離型剤の添加量が多くならざるを得ない上に、表面近傍の離型剤存在量が多くなるため、キャリアへの離型剤成分の固着に伴う帯電量低下や凝集にともなう転写不良等が起こりやすい。
このように、広い温度領域での離型性を確保しつつ、ワックススペントに伴う凝集を抑制でき、現像ストレスに対する変形、破砕、固着を抑止するためには、更なる改善が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、広い温度領域での離型性を確保しつつ、ワックススペントに伴う凝集を抑制でき、現像ストレスに対する変形、破砕、固着を抑止し、トナー帯電性、トナー耐久性、及び耐オフセット性の両立を図り、これら全ての項目においてバランスよく良好な結果を示すことができるトナー、現像剤の提供を目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係るトナーは、(i)少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有し、(ii)トナーの割断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真より検出される前記離型剤の総面積Wtaに対して、表層から0.3μm以内の離形剤面積Wsaの比率、Wsa/Wtaが2〜5%であり、(iii)トナーの表面からトナーの直径dの1/4(1/4d)までの深さ領域Aaに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDa、Aaより内部の領域Abに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDb、としたときのWDa、WDbの関係が、WDa<WDbであり、かつ(iv)微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が700nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、広い温度領域での離型性を確保しつつ、ワックススペントに伴う凝集を抑制でき、現像ストレスに対する変形、破砕、固着を抑止し、トナー帯電性、トナー耐久性、及び耐オフセット性の両立を図り、これら全ての項目においてバランスよく良好な結果を示すことができる。
本発明に係る代表的なトナーの断面図である。 (a)は図1の画像を2値化した画像、(b)は図1の画像のうちトナー最表面から深さ0.3μmまでの深さに範囲規定した画像、(c)は(b)の画像を2値化した画像、(d)は図1の画像のうちトナー直径dと、トナー最表面から1/4dまでの深さ領域Aa、Aaより内部の領域Abとを規定した画像である。 本発明に係るトナーの個数粒径と頻度(個数)とをプロットした分布の一例を示すグラフである。 液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 粒子製造装置の概略図である。
本発明に係るトナーは、(i)少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有し、(ii)トナーの割断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真より検出される前記離型剤の総面積Wtaに対して、表層から0.3μm以内の離形剤面積Wsaの比率、Wsa/Wtaが2〜5%であり、(iii)トナーの表面からトナーの直径dの1/4(1/4d)までの深さ領域Aaに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDa、Aaより内部の領域Abに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDb、としたときのWDa、WDbの関係が、WDa<WDbであり、かつ(iv)微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が700nm以下であることを特徴とする。
次に、本発明に係るトナー、及びその製造方法についてさらに詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
〔トナー〕
本発明のトナーは、(i)少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有し、(ii)トナーの割断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真より検出される前記離型剤の総面積Wtaに対して、表層から0.3μm以内の離形剤面積Wsaの比率、Wsa/Wtaが2〜5%であり、(iii)トナーの表面からトナーの直径dの1/4(1/4d)までの深さ領域Aaに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDa、Aaより内部の領域Abに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDb、としたときのWDa、WDbの関係が、WDa<WDbであり、かつ(iv)微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が700nm以下であることを特徴とする。
上記要件を満たし、トナー中の所望の領域に所望の大きさの離型剤が配置された、所定の押し込み変位量を有する本発明のトナーは前記課題を解決可能な構成となっている。
<結着樹脂>
前記結着樹脂としては、後述する製造方法で使用する有機溶剤に溶解するものであれば、特に制限はなく、公知の樹脂の中から、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン単量体、アクリル単量体、メタクリル単量体等のビニル単量体の単独重合体、これらの単量体が2種類以上からなる共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(ビニル単量体)
前記スチレン単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体などが挙げられる。
前記アクリル単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル類などが挙げられる。
前記アクリル酸のエステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
前記メタクリル単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸のエステル類などが挙げられる。
前記メタクリル酸のエステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
前記ビニル単量体の単独重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、以下の(1)〜(18)が挙げられる。
(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類
(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類
(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類
(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類
(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類
(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類
(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物
(8)ビニルナフタリン類
(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等
(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸
(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物
(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステル
(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル
(14)クロトン酸、ケイヒ酸等のα、β−不飽和酸
(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα、β−不飽和酸無水物
(16)該α、β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー
(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類
(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマーこれらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
前記結着樹脂の共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。
また、前記架橋剤として、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)等のポリエステル型ジアクリレート類が挙げられる。
また、前記架橋剤として、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等の多官能の架橋剤が挙げられる。
これらの架橋剤のうち、トナー用樹脂における定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好ましい。
前記結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3千〜5万(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在するとよい。
(ポリエステル樹脂)
前記ポリエステル樹脂(ポリエステル系重合体)を構成するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコール成分と、酸成分とからなることが好ましい。
前記アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
3価以上の多価アルコールや3価以上の酸を併用することにより、前記ポリエステル樹脂を架橋させることができるが、樹脂が有機溶剤に溶解することを妨げない範囲の使用量とする必要がある。
前記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
前記ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物などが挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。
本発明においては、結着樹脂がポリエステル樹脂を主成分とする態様が好ましい。特に、後述する離型剤が脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックスである場合に、結着樹脂をポリエステル樹脂とし、それらを組みわせて用いる態様がより好ましい。
前記結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましい。また、THF可溶分の分子量10万以下の成分が、70%〜100%となるような結着樹脂が、吐出性の面から好ましい。更に、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
本発明において、前記結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
前記結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gがさらに好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、基本操作は、JIS K−0070に準じ、以下の方法により求める。
(1)試料は、予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、前記結着樹脂及び前記架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから前記結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300mLのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150mLを加え溶解する。
(3)0.1mol/Lの水酸化カリウム(KOH)のエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(mL)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(mL)とし、以下の式で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W
前記結着樹脂及び該結着樹脂を含むトナー組成物のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー保存性の観点から、35℃〜80℃が好ましく、40℃〜70℃がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)が、35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすくなることがある。また、ガラス転移温度(Tg)が、80℃を超えると、定着性が低下することがある。
結着樹脂は、用いる有機溶剤や離型剤によって上記より適切なものを選択すればよいが、有機溶剤への溶解性が優れた離型剤を用いた場合は、トナーの軟化点を低下させる場合がある。そのような場合は結着樹脂の重量平均分子量を高めて結着樹脂の軟化点を高めておくことがホットオフセット性を良好に保つために有効な手段となる。
<離型剤>
前記離型剤としては、前記有機溶剤に溶解するものであれば、特に制限はなく、公知の離型剤の中から、目的に応じて適宜選択することができるが、ワックス類が好ましい。
前記離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;各種の合成エステルワックス、合成アミドワックスなどが挙げられる。
前記離型剤のその他の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、その他の直鎖アルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、その他の長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明においては、離型剤が脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス、又はアミドワックスが好ましい。特に離型剤が脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックスである場合に、結着樹脂をポリエステル樹脂とし、それらを組みわせて用いる態様がより好ましい。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも前記離型剤として好ましく用いられる。
前記離型剤の溶解度としては、定着性と耐オフセット性、耐固着性のバランスを取るために、45℃の酢酸エチル100g当たり70g以上が好ましく、200g以上がより好ましい。前記溶解度が70g/(100g酢酸エチル)以上であることにより、請求項1に記載のようなトナー内部での離型剤ドメインの存在状態にすることが容易となり、定着性と耐オフセット性を有しながら、耐固着性の効果が十分に発現される。
本発明における前記離型剤の溶解度は、例えば以下に示すようにして求めることができる。前記離型剤をメノウ乳鉢を用いて、細かく粉砕する。次いで該離型剤の重量に対して25質量%に相当する酢酸エチルを70℃に加熱し、前記ヘキサン抽出物を攪拌しながら投入して、70℃を維持したまま30分間攪拌する。30分後、攪拌した状態で45℃まで冷却し、45℃に到達した時点で攪拌を止めてさらに1時間温度を保持しながら静置する。このときの上澄み液を一定量秤量し、次いで150℃で1時間減圧乾燥することで溶剤を除去し、乾燥物を秤量することで残存する固形分の濃度を算出する。得られた濃度から酢酸エチル100gあたりに相当する前記離型剤の溶解度を求めることが出来る。本測定法においては、離型剤が全量酢酸エチルに溶解する場合の溶解度最大値は400gとなるが、その場合は前述の投入する酢酸エチルの比率を25質量%からさらに下げることによって、45℃時点で沈殿が発生する程度に調整して、適宜溶解度を算出する。
前記離型剤の融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、60℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは50℃〜60℃の範囲である。前記融点が、50℃以上であることにより耐ブロッキング性が低下することがなく、60℃以下であることにより耐オフセット効果が十分に発現される。
なお、本発明では、示差走査熱量測定(DSC)において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもって離型剤の融点とする。
前記離型剤及びトナーの融点を測定するためのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計が好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
本発明では、トナー中の所望の領域に所望の大きさの離型剤を配置したトナーを得るうえで、離型剤の種類及び含有量を考慮することが重要である。
(離型剤の含有量)
前記離型剤の含有量は、DSC(示差走査熱量計)法により求められる離型剤の吸熱量を質量換算した値で、前記トナーに対し4質量%〜10質量%である。
前記トナーのFTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる離型剤量が、0.05質量%〜0.1質量%である。
トナーの表面近傍に存在する離型剤が、トナー表面にしみ出しやすい位置にあることから、上記規定を満足するトナーは、トナー離型性を効果的に発揮するものとなっている。よって、FTIR−ATR法によって求められるトナー表面近傍に存在する前記離型剤量の範囲は、0.05質量%〜0.1質量%が好ましい。前記表面の離型剤量が0.05質量%以上であることにより、トナー粒子の表面近傍の離型剤量が少なすぎることがなく、従って定着の際に十分な離型性を得ることができる。また、表面離型剤量が0.1質量%以下であることにより、トナー粒子の表面近傍の離型剤量が多くなり過ぎることがなく、トナー粒子最表面に露出せず、キャリア表面への離型剤を介在した付着が増大して、現像剤の耐フィルミング性を悪化させるということがない。このように、上記規定する範囲を満足するトナーは、定着時の耐オフセット性と、帯電性、現像性、耐フィルミング性等との両立を図ることができる。
また、DSC法により求められる離型剤の総量は、トナー粒子中4質量%〜10質量%であることが好ましい。前記離型剤の総量が4質量%以上であることにより、トナー粒子中に含有される離型剤の量が少なすぎることがなく、定着時に十分な離型性を得ることができ、耐オフセット性を低下させることがない。また、離型剤の総量が10質量%以下であることにより耐フィルミング性が低下したり、カラー画像においては定着後の光沢性が失われたりすることがないので好ましい。
上記DSC(示差走査熱量計)法及びFTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法による離型剤の含有量の測定は、以下のようにして行うことができる。
[DSC(示差走査熱量計)法による離型剤の含有量(質量%)の測定]
トナー粒子中の離型剤の総量は、DSC(示差走査熱量計)法で得られる。以下の測定装置及び条件により、トナー試料と離型剤単体試料とをそれぞれ測定し、それぞれ得られる離型剤の吸熱量の比からトナー中の離型剤の含有量を求める。
・測定装置:DSC装置(DSC60;島津製作所社製)
・試料量:約5mg
・昇温温度:10℃/min
・測定範囲:室温〜150℃
・測定環境:窒素ガス雰囲気中
離型剤の総量は、以下の式で算出する。
離型剤の総量(質量%)=(トナー試料の離型剤の吸熱量(J/g))×100)/(離型剤単体の吸熱量(J/g))
この測定法によると、トナー製造工程中に離型剤が流出して、仕込んだ全ての離型剤がトナーに含有されない場合においても、トナー粒子中の離型剤の総量が測定できる。
[FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法による離型剤の含有量(質量%)の測定]
トナー粒子の表面離型剤量は、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法で求められる。測定原理から分析深さは0.3μm程度であり、この分析により、トナー粒子の表面近傍の離型剤量を求めることができる。測定方法は以下の通りである。
先ず、試料として、トナー3gを自動ペレット成型器(Type M No.50 BRP−E;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)で6tの荷重で1分間プレスして40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製する。
そのトナーペレット表面をFTIR−ATR法により測定する。
用いる顕微鏡FTIR装置は、PERKIN ELMER社製Spectrum OneにMultiScope FTIR ユニットを設置したもので、直径100μmゲルマニウム(Ge)結晶のマイクロATRで測定する。
赤外線の入射角41.5°、分解能4cm−1、積算20回で測定する。
得られた離型剤由来のピークと結着樹脂由来のピークとの強度比をトナー粒子の表面の相対的な離型剤量とした。値は測定場所を変えて4回測定した後の平均値を用いる。
前記試料における表面離型剤量を、既知の離型剤量を均一に分散した検量線用試料の相対的な離型剤量との関係から算出する。
<その他の成分>
本発明のトナーは、着色剤、帯電制御剤などの、その他の成分を含有してもよい。
(着色剤)
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤の中から、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーに対して1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
前記マスターバッチとともに混練される樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂をイソシアネート基やエポキシにより変性させた変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とポリカルボン酸とからなる未変性ポリエステル樹脂が挙げられる。また、該変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。
この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も使用できる。この方法によれば、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がない。
混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、前記着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、前記着色剤を分散させて使用することがより好ましい。
前記酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。
前記酸価は、例えば、JIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価は、例えば、JIS K7237に記載の方法により測定することができる。
‐顔料分散液−
前記着色剤は、顔料分散液に分散させた着色剤分散液として用いることもできる。
前記顔料分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができるが、顔料分散性の点で、前記結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、そのような市販品としては、例えば、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)などが挙げられる。
前記顔料分散剤の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000がさらに好ましく、5,000〜30,000が特に好ましい。
前記分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、前記分子量が100,000を超えると、有機溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記顔料分散剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤100質量部に対して、1質量部〜200質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。前記添加量が、1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると帯電性が低下することがある。
(帯電制御剤)
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができる。例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カ一リット社製);銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、フェノール系樹脂、フッ素系化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の使用量としては、特に制限はなく、前記結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法などに応じて、適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記帯電制御剤の使用量が、10質量部を超える場合、トナーの定着性を阻害することがある。
これらの帯電制御剤は、有機溶剤に溶解することが製造安定性の面から好ましいが、ビーズミルなどで有機溶剤に微分散して加えてもよい。
<トナーの特性>
本発明のトナーは、TEM画像において、トナー表面から0.3μmの深さにおいて離型剤が一定比率含まれること(Wsa/Wtaが2〜5%)、および、トナー表面近傍よりもトナー中心部に存在する離型剤の粒子径が大きくなる(WDa<WDb)ように存在していることが特徴である。このような構造をとることにより、定着時の離型剤の染み出しの効果を維持しつつ、トナー表面への露出を抑えることができ、粒子強度を高め、ブリードによるトナー帯電低下や地汚れの発生を防止することができる。
本発明で規定する所望のトナーを得るためには、結着樹脂、離型剤、その他トナーに含有させる成分の種類や含有量などを十分考慮する必要がある。そして、本発明では、後述する製造方法を用いることにより、好適に製造される。その際、トナー組成液中の有機溶剤の種類や、該有機溶剤に対する離型剤の溶解性を考慮すると良く、前述のような有機溶剤に対する溶解度を有する離型剤を用いることで達成することが出来る。
前記Wta、前記Wsa、前記WDa、前記WDbは、トナー粒子の割断面を透過型電子顕微鏡(TEM)写真に基づいて決定することができる。
具体的な測定手段を以下に示す。
例えば、トナーをエポキシ樹脂に包埋したのち、ウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)でスライスしてトナーの薄片を作製し、これを透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、顕微鏡の倍率を調整してトナーの割断面から離型剤ドメインの粒子径が計測可能になるまで顕微鏡の視野を拡大して割断面を観察することで任意の50点のトナーの割断面を測定用サンプルとして抽出する。このとき必要に応じてルテニウムやオスミウムを用いた染色を行い、コントラストを調整することでトナー中の離型剤ドメインを強調しても構わない。抽出後、それらの画像ファイルを例えば画像解析用ソフトウェアImageJを用いてWta、Wsa、WDa、WDbを測定用サンプルごとに求め、それらの50点サンプルの平均値を求める。
(Wta、Wsaの測定方法)
画像解析用ソフトウェアImageJにより、前記画像ファイルを8bit2値化画像に変換する。次いで、画像上の離型剤ドメインが最も識別され、かつノイズが極小となるようにThresholdのUpper Level・Lower Levelを設定する。さらに「Analyze Particle」のコマンドにてSizeに抽出したい面積の下限値として0.0001μm-infinityを入力し、・「Display results」,「Exclude on edges」,「Include holes」にチェックを入れた状態でOKを押すことで、2値化にて識別された離型剤ドメインの個別の面積がResultsとして出力される。この面積の総和が前記Wtaに相当する。
さらに、前記画像ファイルにおいてトナー外周より0.3μmより深い範囲のトナー内部の画像を消去乃至は隠すことで、トナー粒子の最外層から深さ0.3μmの範囲のみが解析対象となる画像ファイルを作成する。このとき、消去乃至隠されたトナー内部は、画像上で識別される離型剤とは逆のコントラスト(例えば離型剤が白く見える場合は黒)にしておく。この加工された画像ファイルを前述のWtaを求めるのと同様の方法で解析することにより、深さ0.3μmの範囲に存在する離型剤の総面積Wsaを求めることが出来る。
また、Set Scaleコマンドより撮影されたTEM画像に挿入したスケール値を入力し、解析に用いる。さらに、前記離型剤が画像上白く見える場合と黒く見える場合の両方が混在する場合(例えば、黒く観察される離型剤が割断面作成時に脱離して、白く見える部位がある等)には、それぞれのコントラストから求められる離型剤の面積の和を前記Wta、Wsaと定義する。
(WDa、WDbの測定方法)
画像解析用ソフトウェアImageJにより、前記画像ファイルからトナー直径dを求めるが、トナー直径dとしては、トナー割断面の外周のうち、両端の接点を通る二本の平行線を引いたときに、最大になるときの二本の平行線間の距離と定義する。ここから求められるトナーの表面からトナーの直径dの1/4(1/4d)までの深さ領域Aaに存在する、前記離型剤ドメインの両端の接点を通る二本の平行線を引いたときの最大になるときの二本の平行線間の距離を離型剤の粒径とし、任意に50点抽出して求めた平均値を個数平均粒径WDaと定義する。また、前記トナーの表面からトナーの直径dの1/4(1/4d)までの深さ領域Aaより内側を領域Abと定義し、領域Ab内部に存在する前記離型剤ドメインの両端の接点を通る二本の平行線を引いたときの最大になるときの二本の平行線間の距離を離型剤の粒径とし、任意に50点抽出して求めた平均値を個数平均粒径WDbと定義する。
代表的なトナーの断面図(画像)を図1に示した。この断面図において、前記離型剤はいずれも白色のコントラストとなっているドメインに相当する。
図1の画像を上記方法にて2値化した画像が図2(a)に示したものである。図1の画像のトナーのうち、最表面から深さ0.3μmまでの深さ範囲規定した画像が図2(b)に示したものである。図2(b)の画像を上記方法にて2値化した画像が図2(c)に示したものである。図1の画像のうち、トナー直径dとAa、Abを規定した画像が図2(d)に示したものである。
前記トナー粒子中の離型剤の総面積Wtaに対して、表層から0.3μm以内の離形剤面積Wsaの比率、Wsa/Wtaは2〜5%であることが必要である。この条件を満たさず、2%より小さい場合は、定着時に十分な離型性が得られず、広い温度領域での離型性を確保することが困難となる。また、5%より大きい場合は最表層に存在する離型剤の比率が高くなることでスペントに伴う凝集や帯電低下が起こりやすくなる場合がある。
また、領域Aaに存在する前記離型剤の個数平均粒径WDa、領域Abに存在する前記離型剤の個数平均粒径WDbは、WDa<WDbの関係にあることが必要である。この条件を満たさず、WDaがWDbと同等もしくはWDaがWDbよりも大きい場合には、最表層に存在する離型剤が現像剤攪拌時にもトナー表面にブリードアウトしやすくなり、スペントに伴う凝集や帯電低下が起こりやすくなる場合がある。
さらに、本発明のトナーは微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が700nm以下であることを特徴とする。好ましくは500nm以下が望ましい。変位量が700nmより大きいと、トナーが柔らかすぎるため現像プロセスでのストレスによりトナーの変形が発生することがある。また、変位量が大きいことは250μNの負荷に耐えられず、測定時に破砕している場合もある。この場合、現像ストレスに耐え切れず、現像機内にて破砕し、キャリア汚染等による帯電低下を引き起こす。
以下、微小圧縮試験の方法について記載する。
トナー粒子硬度(変位量)の測定は、エリオニクス社製のナノインデンター(ENT−2100)のような超微小押し込み硬さ試験機を用いて行う。
(変位量の測定方法)
最大荷重250μNとなるようにトナー粒子に荷重を印加して、稜間角115°である円錐形状のBerkovich圧子をトナー粒子に押し込み、トナー粒子にかかる荷重が0μNから250μNまで変化する間のBerkovich圧子の変位量を測定し、最大荷重250μNの際の変位量を測定値とする。
本発明において、前記微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が700nm以下であることを満たすためのトナー構成として特に規定はないが、好ましい方法としては、トナーを、構成する結着樹脂のガラス転移温度Tgに対して[Tg−5℃]の温度で30分〜60分間追加乾燥する乾燥工程を追加することが挙げられる。本発明の規定を満たすトナーの好ましい手段として、溶解性に優れる離型剤を溶剤中に結着樹脂と共に溶解し、それを液滴化し、乾燥させることでトナーを得る方法があるが、このとき溶剤溶解度の高い離型剤は乾燥・析出の際に結着樹脂と部分的に相溶している箇所があると考えられる。この部分的な相溶状態にある離型剤・結着樹脂の相分離を促進させることで、トナー全体の強度を上げることが出来る。そのためには結着樹脂のガラス転移温度に近い温度で加温させ、離型剤や結着樹脂分子の移動性を上げ、相分離を促すことが効果的である。
前記追加の乾燥工程は[Tg−5℃]の温度が好ましい。Tg−5℃よりも大きい温度や60分以上の乾燥を行うと、トナー粒界の融着が進行し、ブロッキングが発生して好ましくない。また、Tg−5℃より低い温度で乾燥を行ったり、30分未満で乾燥を終了させると、相分離進行が不十分となり、所望の変位量以下となる構成のトナーを得ることが困難となり好ましくない。
本発明では更に、前記トナーのヘキサンによるソックスレー抽出により得られた抽出物のDSC(示差走査熱量計)法における再結晶化ピークが少なくとも2箇所であることが好ましく、それらの再結晶化ピークが45℃以上であるのがより好ましい。
トナー中の離型剤は、ヘキサンによるソックスレー抽出後の抽出液に多く含有される。従ってこの抽出液を乾燥固化させた、抽出物の熱特性を調べることで、トナー中に含まれる離型剤の熱特性の情報とすることが出来る。抽出物のDSC(示差走査熱量計)法における再結晶化ピークが少なくとも2箇所であるということは、該トナーに含まれる再結晶化温度の異なる離型剤が少なくとも二種類以上含有されることを示す。請求項1に記載のようなトナー内部での離型剤ドメインの存在状態にするためには、前述の通り酢酸エチルに対する溶解度の高い離型剤を使用することが必要条件であるものの、そのような離型剤は溶解度に応じて融点が低くなることが多く、得られるトナーの熱耐性が不十分となることがある。一方、融点の高い離型剤のみを用いた場合、前述の酢酸エチルに対する離型剤の溶解度は低くなり、請求項1に示すような離型剤ドメインの存在状態になりがたく、定着離型性の悪化や、現像剤攪拌ストレスに伴う固着、破砕が起こりやすくなる。これらの課題を両立する構成として、前述のような融点の異なる二種以上の離型剤を併用することが、請求項1に記載する本発明を更に効果的にする手段となりうる。
前記再結晶化ピークは45℃以上であることが好ましい。45℃より小さいと、二種以上用いられる離型剤の融点が低いことを示しており、トナーの耐熱性が損なわれることがあり好ましくない。
前記ヘキサンによる抽出物のDSC法における2個所の再結晶化ピークにおいて、低温側の再結晶化ピーク高さPt1、および高温側の再結晶化ピーク高さPt2、および前記ヘキサンによるソックスレー抽出により得られた抽出物の45℃の酢酸エチル100g当りの溶解度Sとしたとき、S×(Pt1+Pt2)/Pt1≧70の関係を満たすことが好ましく、S×(Pt1+Pt2)/Pt1≧200であることが更に好ましい。70よりも小さい値であると、請求項1に記載の離型剤の存在状態とすることが困難になり、定着離型性の悪化や、現像剤攪拌ストレスに伴う固着、破砕が起こりやすくなり好ましくない。
ここで、ヘキサンのソックスレー抽出による抽出物は以下のようにして得ることが出来る。
トナーNo86Rの円筒ろ紙に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてヘキサンを用いて、8時間抽出する。このとき、溶媒の抽出サイクルが約15分〜20分に一回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、抽出液を容器に移し、溶媒を留去する。さらに60℃で15時間真空乾燥し、ヘキサンによる抽出物を得る。
また、抽出物のDSC(示差走査熱量計)法における再結晶化ピークは以下の条件で求めることが出来る。以下の測定装置及び条件により、前記抽出物のDSCチャートを得る。
・測定装置:DSC装置(DSC60;島津製作所社製)
・試料量:約5mg
・昇温温度:10℃/min
・測定範囲:室温〜150℃昇温後、150℃〜0℃まで降温
・測定環境:窒素ガス雰囲気中
得られたDSC降温チャートから得られる発熱ピークを選択し、それらのピーク温度を再結晶化ピーク温度と定義する。
<トナー形状>
本発明のトナーの体積平均粒径としては、高解像度で、高精細・高品質な画像を形成する観点から、1μm〜8μmが好ましい。
また、前記トナーの粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)としては、長期にわたって安定した画像を維持する観点から、1.00〜1.15が好ましい。
さらに、本発明のトナーは、トナーの個数粒径と頻度(個数)とをプロットした分布において、最も頻度(個数)の多い個数粒径(「最頻径」ともいう)の1.21倍〜1.31倍の個数粒径の範囲内に第二の頻度(個数)ピークを有するものであることが好ましい。
前記第二の頻度(個数)ピークを示さない場合、特に前記粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が1.00(単分散)に近づいた場合には、トナーの細密充填性が非常に高くなるため、初期の流動性低下やクリーニング不良が起こりやすくなる。また、前記1.31倍より大きい個数粒径に第二の頻度(個数)ピークがある場合には、トナーとしての粗大粉が多く含まれることによる画質粒状性の低下が見られ好ましくない。
図3は、本発明のトナーの個数粒径と頻度(個数)とをプロットした分布の一例を示すグラフである。図3において、横軸は、個数粒径(μm)を、縦軸は、頻度(個数)を表す。最も頻度(個数)の多い個数粒径(「最頻径」ともいう)の1.21倍〜1.31倍の個数粒径の範囲内に第二の頻度(個数)ピークを有していることが示されている。
粒径及び粒度分布の測定は、以下のようにして行う。
[トナーの粒径及び粒度分布の測定]
本発明のトナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径50μmで測定する。トナー粒子の体積及び個数を測定後、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。粒度分布は、トナーの体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除したDv/Dnを用いる。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
本発明のトナーには、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などの外添剤を、必要に応じて添加することができる。
(流動性向上剤)
本発明に係るトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
前記流動性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ等の金属酸化物の微粉末、及びそれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ;フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカがより好ましい。
前記流動性向上剤の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、平均一次粒径として、0.001μm〜2μmが好ましく、0.002μm〜0.2μmがより好ましい。
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84;Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5;Wacker HDK(WACKER−CHEMIE社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40;D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名);Franso1(Fransi1社商品名)などが挙げられる。
更には、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が、好ましくは30%〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。
前記有機ケイ素化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。更に、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記流動性向上剤の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、5nm〜100nmが好ましく、5nm〜50nmがより好ましい。
前記流動性向上剤の比表面積としては、BET法で測定した窒素吸着による比表面積で、30m/g以上が好ましく、60m/g〜400m/gがより好ましい。
前記流動性向上剤が表面処理された微粉体の場合、その比表面積としては、20m/g以上が好ましく、40m/g〜300m/gがより好ましい。
前記流動性向上剤の適用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、トナー粒子100質量部に対して0.03質量部〜8質量部が好ましい。
(クリーニング性向上剤)
記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナーの除去性を向上させるためのクリーニング性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子などを挙げることかできる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭く、重量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。
これらの流動性向上剤やクリーニング性向上剤等は、トナーの表面に付着ないし固定化させて用いられるため、外添剤とも呼ばれている。このような外添剤をトナーに外添する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、各種の粉体混合機等が用いられる。前記粉体混合機としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられ、固定化も行う場合に用いる粉体混合機としては、ハイブリタイザー、メカノフュージョン、Qミキサー等が挙げられる。
〔現像剤〕
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有し、更に必要に応じて、キャリアなどのその他の成分を含有する。
上記で得られた本発明のトナーは、一成分現像剤にも、キャリアと混合して二成分現像剤にも、いずれにも好適に用いることができる。特に、本発明のトナーは、粒子強度が向上しており、ブレードによる押しつぶれを防止することができ、耐固着性に優れているため、一成分現像剤に有効に使用できる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト等のキャリア、樹脂コートキャリアなどを挙げることができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子と該キャリアコア粒子の表面を被覆(コート)する樹脂である樹脂被覆材とからなる。
前記被覆材に使用する樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが好適に挙げられる。この他にも、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆材として使用できる樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記キャリアとして、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
前記樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、例えば、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁せしめて塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が挙げられる。
前記樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆材の使用割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂コートキャリア100質量部に対して、0.01質量〜5質量が好ましく、0.1質量〜1質量がより好ましい。
2種以上の混合物の前記樹脂被覆材で前記磁性体を被覆する使用例としては、次の(1)、(2)を挙げることができる。
(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジ、メチルジクロロシランとジメチルシリコーンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対して、ジメチルジクロロシランとジメチルシリコーンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したもの前記樹脂被覆材としては、例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂などが好適に使用され、これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
前記含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物などが挙げられる。前記シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂が挙げられる。
前記キャリアコアの磁性材料としては、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの合金などが挙げられる。また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。これらの磁性材料の中でも、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガンーマグネシウムー鉄系フェライトが特に好適に挙げられる。
前記キャリアの体積抵抗値としては、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を適宜調整することにより設定することができ、例えば、10Ω・cm〜1010Ω・cmが好ましい。
前記キャリアの粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4μm〜200μmが好ましく、10μm〜150μmがより好ましく、20μm〜100μmがさらに好ましい。その中でも、樹脂コートキャリアの粒径としては、50%粒径が、20μm〜70μmが特に好ましい。2成分系現像剤では、キャリア100質量部に対して、本発明のトナー1質量部〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、トナー2質量部〜50質量部で使用するのがより好ましい。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造手段の一例を以下、図4および図5を用いて説明する。本発明のトナー製造手段は液滴調整手段、液滴吐出手段、液滴搬送固化手段、液滴捕集手段に分けられる。それぞれ下記で解説する。
<液滴調整手段>
前記液滴形成手段は、少なくとも結着樹脂及び離型剤を有機溶剤中に溶解乃至分散させたトナー組成液を吐出させて液滴を形成する手段である。
前記トナー組成液は、前記結着樹脂、及び前記離型剤を少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の着色剤、顔料分散剤、帯電制御剤などの成分を含有するトナー組成物を、有機溶剤に溶解乃至分散させて得ることができる。
前記有機溶剤としては、前記トナー組成液中のトナー組成物を溶解乃至分散できる揮発性のものであり、かつ、前記トナー組成液中の前記結着樹脂及び前記離型剤を相分離させることなく溶解させることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類の有機溶剤が好ましく用いられ、特にテトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明では、有機溶剤として酢酸エチルを用いた場合、前述した通り、45℃の酢酸エチル100g当たり70g以上、さらに好ましくは200g以上溶解する離型剤を用いるのがよい。
(トナー組成液の調製方法)
前記トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散することによりトナー組成液を得ることができる。前記トナー組成液の調製には、ホモミキサーやビーズミルなどを用いて、着色剤等の分散体がノズルの開口径に対して充分微細とすることが吐出孔の詰りを防止するために重要となる。
前記トナー組成液の固形分は3質量%〜40質量%であることが好ましい。前記固形分が3質量%未満であると、生産性が低下するだけでなく、着色剤等の分散体が沈降や凝集を起こしやすくなりためトナー粒子ごとの組成が不均一になりやすくトナー品質が低下する場合がある。前記固形分が40質量%を超えると、小粒径のトナーが得られない場合がある。
前記トナー組成液を吐出させて液滴を形成する工程としては、液滴吐出手段を用いて液滴を吐き出させて行うことができる。
また、前記トナー組成液の液温は50〜60℃程度が好ましい。液温が50℃を下回ると、吐出直後に瞬時に乾燥しないため、液滴の合着が発生し、粒度分布の悪化を招く恐れがある。一方で、液温が60℃より高すぎると、溶剤が蒸発しやすくなり、固形分濃度が上がってしまいやすくなるため、上述の通り所望の粒径のトナーが得られなくなる懸念がある。
<液滴吐出手段>
本発明で用いる液滴吐出手段は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられ、膜振動タイプとしては例えば、特許第5055154号公報、レイリー分裂タイプとしては特許第4647506号公報、液振動タイプとしては特許第5315920号公報、液柱共鳴タイプとしては特開2011‐212668号公報に記載されている。
液滴の粒径分布が狭く、トナーの生産性を確保するためには、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出孔から液体を吐出する液滴化液柱共鳴があり、これらのいずれかを用いるが好ましい。
(液柱共鳴吐出手段)
液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段について解説する。
図4に液柱共鳴液滴吐出手段11を示す。液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んで構成されている。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
本発明で吐出手段より吐出される液体としては、得ようとしている微粒子の成分が溶解又は分散させた分散された状態のものである。(以下、トナーを製造する場合についての説明のため、これらを「トナー成分液」と記して説明する)トナー成分液14は図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、液共通供給路17内に流入し、液柱共鳴液室18に供給される。そして、トナー成分液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。定在波の腹となる領域であれば、吐出孔が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路17を通過したトナー成分液14は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内のトナー成分液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給されるトナー成分液14の流量が増加し、液柱共鳴液室18内にトナー成分液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内にトナー成分液14が補充されると、液共通供給路17を通過するトナー成分液14の流量が元に戻る。
<滴搬送固化手段>
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー成分液の液滴を搬送し(液滴搬送手段)、固化させた後に(液滴固化手段)、捕集することで本発明のトナーを得ることが出来る。前記液滴搬送手段と液滴固化手段は同じ手段を用いて搬送しつつ固化する方法であっても、固化した後に液滴捕集手段まで搬送しても、また、液滴を捕集後に固化する方法であっても構わない。
液滴搬送手段の好ましい例として、図5に本発明の装置の概略図を示す。液滴吐出手段により吐出された液滴は、後述する気流温度調整手段により温度調整された気流によって、液滴搬送手段により搬送され、液滴は乾燥・固化して、粒子補修手段に搬送され、固体粒子として捕集される。
図5で示されるように液滴吐出手段より吐出した液滴は、液滴搬送手段により搬送されることで、連続的に液滴を形成することができる。液滴搬送手段は図4に示すように、液滴の吐出方向に対して、横方向からの気流で搬送されることが望ましい。これは液滴どうしの距離を効率的に引き離すことが可能となるためである。液滴吐出方向と同じ向きの場合は、平面上に配置された吐出孔近傍で気流の滞留を生じるため、液滴同士を引き離すことができず、液敵同士が接触しやすくなる。図5において、本発明の微粒子製造装置を記載しているが、液滴吐出手段により図の右方向に吐出した液滴が、図の上方から流れてくる搬送気流によって搬送される。
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し、1つの粒子になってしまう(以下この現象を「合着」と呼ぶことがある)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴同士の距離を保つ必要がある。しかし、噴射された液滴は、一定の初速度を持っているが、空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は、定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下をなくし、液滴同士を接触させないように搬送気流によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送することが好ましい。そこで、前記搬送気流によって、固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶことが、製造効率がよい点で好ましい。
また、液滴固化手段としては、トナー成分液の性状しだいで、考え方は異なるが、基本的にトナー成分液を固体状態にできれば手段を問わない。
例えばトナー成分液が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解または分散させたものであれば、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することが出来る。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。前記例に従わなくとも、温度変化や化学的反応等の適用で達成しても良い。
(気流温度調整手段、および気流温度調整工程)
図5は本発明の装置の概略図であり、液滴搬送手段には前述した気流温度調整手段が含まれる。気流温度調整手段としては、液滴搬送手段での搬送気流温度を調整できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
気流温度調整工程としては、液滴搬送手段での搬送気流温度を調整できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記気流温度調整手段を用いることが好ましい。
気流温度調整手段としては図5には図示してないが、気流調整手段には気流温度を測定し、気流温度が安定化するような制御機構を持ったものが好ましい。本発明では複数の気流温度調整手段を有するが、気流温度調整手段毎に温度調整できる機構を有する。
本発明においては特に、複数の気流温度調整手段として、液滴吐出部の温度と乾燥温度に温度差をつけることで、粒子の乾燥状態を制御することが、本発明に記載の離型剤の存在状態を構築する上では重要となる。
具体的には、図5に示した装置において、吐出された液滴21を気流供給手段31および32により搬送気流41a、41bによって搬送する。この際、供給される気流をノズルに近い側(41a)とノズルから遠い側(41b)で温度の異なる気流を31および32から供給する。気流41aは低温とすることで吐出直後の液滴の中心付近の離型剤のドメインを成長させ、その後の気流41bは高温とすることで、離型剤の再結晶化を促進して、小さなドメインを形成するとともに、溶剤の急激な乾燥に伴い表面近傍まで移動させることができる。
図中、35は上流から発生する二種類の気流を分けた状態で気流整流手段36まで送り込むためのガイドである。
本発明においては、気流整流手段36を設けることで複数の温度の気流が混合することなく層状を保った状態で液滴形成手段まで通過するため、液滴形成手段に形成される吐出孔面の温度上昇を更に低減することができる。気流整流手段36は、ハニカム形状でも良いし、複数の平板を気流の向きに対して垂直方向に、液滴吐出手段を配置した気流路面に対して平行な平板でもかまわなく、液滴吐出手段を配置した気流路面に対して平行な平板を層状に積み上げたものでも良い。
前記気流41aは40℃以下であることが好ましい。40℃よりも高い温度となると、吐出直後の粒子の乾燥が急激に進行し、十分な大きさの離型剤ドメインを成長させることが出来ず、トナー表面付近と内部の離型剤の大きさの差が小さくなり請求項1記載のWDa<WDbの関係を満たすトナーを得ることが困難になる。また、気流41bは50℃以上であることが好ましい。50℃未満であると、離型剤の微小なドメインが形成されがたく、かつ溶剤の急激な乾燥で発生する粒子内の対流が起こりがたくなり、微小な離型剤がトナー表層近傍に集まりにくくなることで、請求項1記載のWsa/Wtaが2〜5%の関係を満たすトナーが得られにくくなる。すなわち、吐出直後とその後の乾燥温度差をつけることが、本発明記載の離型剤のモルホロジーを構築する上で有効な手段となる。
<固化粒子捕集手段>
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することが出来る。
<二次乾燥>
図5で示された乾燥捕集手段によって得られたトナー粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることが出来る。有機溶剤がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、「部」は質量部を表わす。
〔実施例1〕
(トナー1の作製)
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤として、カーボンブラック分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)20部、及び顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ社製)2部を、酢酸エチル78部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(フロリナートメンブレンフィルターFHLP09050、日本ミリポア社製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させたカーボンブラック分散液を調製した。
−トナー組成液の調製−
酢酸エチル676.7部に、離型剤として[WAX1]を20部、離形剤分散剤を2部、結着樹脂として[ポリエステル樹脂A]を263.3部を混合して70℃にて攪拌羽を有するミキサーを使用して溶解した。離型剤分散剤としては、ポリエチレン離型剤にスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。[WAX1]及び[ポリエステル樹脂A]はともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解した。溶解後、液温を55℃に調整し、さらに前記カーボンブラック分散液100部を混合し、10分間撹拌することによりトナー組成液を調製した。
なお、[WAX1]は融点62.6℃で再結晶化温度は52.7℃の合成アミドワックスである(日油社製)。
また、[ポリエステル樹脂A]は、テレフタル酸/イソフタル酸/コハク酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコールールからなり、それらを0.38/0.57/0.05/0.5/0.5のモル比にて重合反応させることで得られるポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量は24,000、Tgは65℃である。
結着樹脂の重量平均分子量Mwは、結着樹脂のTHF溶解分をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー) 測定装置GPC−150C(ウォーターズ社製)によって測定した。カラムにはKF801〜807(ショウデックス社製)を使用し、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。酢酸エチルの沸点は76.8℃である。
−トナーの作製−
得られたトナー組成液を、図4に示す液滴吐出手段として液滴吐出ヘッドを有する図5のトナー製造装置を用いて以下のような条件で、液滴を吐出させた。液滴を吐出させた後、乾燥窒素を用いた液滴固化手段により該液滴を乾燥固化し、サイクロン捕集した後、さらに35℃/90%RHにて48時間、40℃/50%RHにて24時間送風乾燥することにより、トナー母体粒子中間体を作製した。得られたトナー母粒子を以下条件にて追加乾燥し、トナー母体粒子を得た。
トナーの作製は連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 30分間
次に、このトナー母体粒子100部に対し、市販のシリカ微粉体であるNAX50[日本アエロジル社製;平均一次粒径30nm]2.8部、及びH20TM[クラリアント社製;平均一次粒径20nm]0.9部をヘンシェルミキサーにより混合した。次いで、これを目開き60μmの篩を通過させることにより粗大粒子や凝集物を取り除くことで、[トナー1]を得た。
この[トナー1]をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラソニックミクロトームにて切片を作製した。これをRuO水溶液の雰囲気に曝して染色後、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、画像解析ソフトImageJを用いてトナー粒子中の離形剤の総面積Wtaと、表面から0.3μmの領域の離型剤ドメインの面積Wsaを算出し、その比率Wsa/Wtaをそれぞれ求めた。
さらに、[トナー1]のDSC(示差走査熱量計)法で求められる吸熱量を質量換算した値で、離形剤の含有量を求めた。また、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量も求めた。
また、トナー1をヘキサンにて6時間ソックスレー抽出を行い、得られた抽出液を60℃で15時間乾燥させたものをDSCを用いて再結晶化ピークの数を求めた。再結晶化ピーク数が2個以上で有る場合には、再結晶化ピーク高さPt1 Pt2、および、抽出物の酢酸エチル溶解度Sを求め、S×(Pt1+Pt2)/Pt1を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例2〕
(トナー2の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX2]を使用したこと以外は実施例1と同様にして[トナー2]を得た。
なお、[WAX2]は融点53.0℃、再結晶化温度は46.0℃の脂肪族エステルを主成分とする合成エステルワックス(WAX−158:日油社製)である。[WAX2]及び[ポリエステル樹脂A]はともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解した。
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー2]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例3〕
(トナー3の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと以外は実施例1と同様にして[トナー3]を得た。
なお、[WAX3]は融点55.2℃、再結晶化温度は48℃の脂肪族エステルを主成分とする合成エステルワックス(WAX−42:日油社製)である。
[WAX3]及び[ポリエステル樹脂A]はともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解した。
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー3]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例4〕
(トナー4の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を70℃、追加乾燥時の乾燥時間を45分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー4]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 70℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 45分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー4]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例5〕
(トナー5の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、離形剤の添加量を40部としたこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を50℃、追加乾燥時の乾燥時間を60分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー5]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 50℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 60分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー5]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法に夜表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例6〕
(トナー6の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、離形剤の添加量を10部としたこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を75℃としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー6]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 75℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 30分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー6]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例7〕
(トナー7の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、結着樹脂として[ポリエステルA]に代えて[ポリエステルB]を使用したこと、トナー作製条件において、以下のように追加乾燥温度を65℃、追加乾燥時間を60分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー7]を得た。なお、[ポリエステル樹脂B]はテレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコールからなり、それらを0.4/0.6/0.5/0.5のモル比にて重合反応させることで得られるポリエステル樹脂である。ポリエステルBの重量平均分子量は26,000、Tgは70℃である。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 65℃
追加乾燥時間 : 60分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー7]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例8〕
(トナー8の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、トナー作製条件において、以下のように追加乾燥時の乾燥時間を120分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー8]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 120分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー8]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例9〕
(トナー9の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX1]を10部、〔WAX7〕を10部使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を60℃、追加乾燥時の乾燥時間を60分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー9]を得た。[WAX7]は、融点64.6℃で再結晶化温度は57.0℃の脂肪族エステルを主成分とする合成エステルワックス(WAX−16:日油社製)である。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 60分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー9]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例10〕
(トナー10の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX2]を8部、〔WAX7〕を12部使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を60℃、追加乾燥時の乾燥時間を60分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー10]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 60分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー10]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例11〕
(トナー11の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を15部、〔WAX7〕を5部使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を60℃、追加乾燥時の乾燥時間を60分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー11]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 60分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー11]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例12〕
(トナー12の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を30部、〔WAX7〕を10部使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を50℃、追加乾燥時の乾燥時間を60分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー12]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 50℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 60分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー12]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔実施例13〕
(トナー13の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を7.5部、〔WAX7〕を2.5部使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を70℃、追加乾燥時の乾燥時間を60分としたこと以外は実施例1と同様にして[トナー13]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 70℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 60分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー13]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例1〕
(トナー14の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX4]を用いこと以外は実施例1と同様にして[トナー9]を得た。
なお、[WAX4]は融点75.2℃、再結晶化温度は64.3℃の合成エステルワックス(WEP−2:日油社製)である。[WAX4]及び[ポリエステル樹脂A]はともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解した。
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー14]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例2〕
(トナー15の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX5]を用いこと以外は実施例1と同様にして[トナー15]を得た。
なお、[WAX5]は、融点82℃、再結晶化温度は70℃の脂肪族エステルを主成分とする合成エステルワックス(WEP−5:日油社製)である。[WAX5]及び[ポリエステル樹脂A]はともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解した。
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー15]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例3〕
(トナー16の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX6]を用いこと以外は実施例1と同様にして[トナー16]を得た。
なお、[WAX6]は、融点68℃、再結晶化温度は60℃のパラフィンワックス(HNP-11:日本精鑞社製)である。[WAX6]及び[ポリエステル樹脂A]はともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解した。
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー16]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例4〕
(トナー17の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX7]を用いこと以外は実施例1と同様にして[トナー17]を得た。
なお、[WAX7]は、融点64.6℃で再結晶化温度は57.0℃の脂肪族エステルを主成分とする合成エステルワックスである(WAX−16:日油株式会社製)[WAX7]及び[ポリエステル樹脂A]はともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解した。
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー17]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例5〕
(トナー18の作製)
実施例1において、離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、トナー作製条件において、以下のように追加乾燥時を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして[トナー18]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : なし
追加乾燥時間 : なし
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー18]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例6〕
(トナー19の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を40℃、追加乾燥を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして[トナー19]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 40℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : なし
追加乾燥時間 : なし
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー19]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例7〕
(トナー20の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、トナー作製条件において、以下のように乾燥温度を40℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして[トナー20]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 40℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 60℃
追加乾燥時間 : 30分間
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー20]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔比較例8〕
(トナー21の作製)
実施例1において離型剤として[WAX1]に代えて[WAX3]を使用したこと、トナー作製条件において、以下のように追加乾燥温度を70℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナー21を作製しようとした。しかし、追加乾燥時にブロッキングが発生し、トナー粒子が得られなかった。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 70℃
追加乾燥時間 : 30分間
〔比較例9〕
(トナー22の作製)
実施例11において、トナー作製条件において、追加乾燥の実施しなかったこと以外は実施例11と同様にして[トナー22]を得た。
[トナー作製条件]
液柱共鳴液室の長手方向の長さL : 1.85mm
吐出孔開口部 : 直径8.0μm
液滴吐出部温度 : 40℃
乾燥温度(窒素) : 60℃
酢酸エチル相対湿度(窒素気流中) : 8%
駆動周波数 : 340kHz
圧電体への印加電圧 : 10.0V
追加乾燥温度 : 実施せず
追加乾燥時間 : 実施せず
また、トナーの作製を連続して6時間行ったが、吐出孔が詰まることはなかった。
この[トナー22]について実施例1と同様にして、DSC(示差走査熱量計)法で求められる離形剤の含有量、Wsa/Wta、FTIR−ATR法により表面から0.3μmの領域の離型剤量を求めた。
トナーの作製に使用したWAX及び樹脂の種類及びトナー作製条件を表1、トナーの物性等を表2に示す。
〔キャリアの作製〕
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100部
トルエン 100部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5部
カーボンブラック 10部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調製した。このコート層形成液を、流動床型コーティング装置を用いて、粒径50μmの球状マグネタイト1000部の表面にコーティングして磁性キャリアを得た。
〔二成分現像剤の作製〕
得られたトナー1〜22を4部及び上記磁性キャリア96.0部をボールミルで混合して実施例1〜13および比較例1〜9の二成分現像剤1〜22を作製した。
〔二成分現像剤の評価結果〕
現像剤1〜22を用いて、コールドオフセット性・帯電安定性・画像安定性・保存安定性の評価を以下に示した評価方法により実施し、その評価結果を下記の表3に示した。また、トナーの粒径及び粒度分布の評価方法についても以下に記載した。
(評価方法)
<コールドオフセット性>
現像剤を、市販の複写機リコー製複写機imageo Neo C600を使用し、A4サイズの用紙(T6000 70W T目、リコー社製)に3cm×5cmの長方形となるような画像を紙面の先端から5cmの位置に付着量0.85mg/cm2のトナーサンプルを作製した。続いて定着部材の温度を130℃に常に制御した上で線速300mm/secにて定着させた(トナー重量は画像出力前後の用紙の重量から計算した)。130℃においてオフセットの発生有無を試験者の目視評価にて基準で判定した
◎ : コールドオフセットが発生していない
○ : 微小なコールドオフセット箇所が認められるが3箇所以下である
△ : 微小なコールドオフセット箇所が3箇所より多く発生している
× : コールドオフセットが発生している
<画像安定性評価>
現像剤を、市販の複写機(イマジオネオ455、リコー社製)に入れ、画像占有率7%の印字率でリコー社製タイプ6000ペーパーを用いて5万枚及び10万枚の連続ランニングテストを実施し、5万枚目の画像品質(画像濃度、細線再現性)を下記の基準で評価した。
○ : 5万枚目でも初期画像と同等の良好な画像であった場合
△ : 画像濃度、細線再現性のいずれかの評価項目で初期画像より変化を生じたが許容範囲の変化である場合
× : 画像濃度、細線再現性のいずれかの評価項目で初期画像より明らかな変化を生じて許容できる水準でない場合
<破砕性評価>
現像剤650gを、市販の複写機(RICOH MP C6502、リコー社製)に入れ、画像を印刷せず現像ユニットのみを駆動する設定とした後に、20時間現像ユニットを空攪拌することで、劣化剤を作製した。
(小粒子率の測定)
攪拌後の剤を以下の手順でトナーを分離し、FPIA−3000を用いて測定を実施した。小粒子率とは、3.5μm以下のトナーの個数頻度であり、初期トナーと劣化トナーとの小粒子率の差し引き値をΔ小粒子率とする。耐ストレス性の高いトナーはΔ小粒子率が小さく、耐ストレス性の低いトナーは破砕により、Δ小粒子率が大きい。
(固着評価後剤中トナーの分離方法)
劣化剤2gをドライウェル(富士フィルム社製)1gをイオン交換水によって3倍に希釈し、さらにイオン交換水を15g計量した後、超音波洗浄機に入れ、1分間分散した。その上澄み液を採取し、FPIA−3000によってトナー粒子を計測した。
〔評価基準〕
◎ : Δ小粒子率が1%未満
○ : Δ小粒子率が1%以上5%未満
△ : Δ小粒子率が5%以上10%未満
× : Δ小粒子率が10%以上
<保存安定性評価>
50mlのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に48時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、前記針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
◎:針入度25mm以上
○:針入度15mm以上25mm未満
△:針入度5mm以上15mm未満
×:針入度5mm未満
2:液滴吐出手段
9:弾性板
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:原料収容器
14:トナー組成液
15:液循環ポンプ
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴流路
19:吐出口
20:振動発生手段
21:液滴
22:液戻り管
31:気流供給手段
32:気流供給手段
33:搬送気流導入口
34:搬送気流導入口
35:気流ガイド
36:気流清流手段
41a:搬送気流
41b:搬送気流
60:乾燥捕集手段
62:トナー捕集手段
63:トナー貯留部
65:搬送気流排出口
P1:液圧力計
P2:チャンバ内圧力計
特開2009−134061号公報 特許第5146665号公報 特開2012−185219号公報 特開2014−164274号公報 特許第5451226号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有するトナーであって、前記トナーの割断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真より検出される前記離型剤の総面積Wtaに対して、表層から0.3μm以内の離形剤面積Wsaの比率、Wsa/Wtaが2〜5%であり、前記トナーの表面からトナーの直径dの1/4(1/4d)までの深さ領域Aaに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDa、Aaより内部の領域Abに存在する前記離型剤の個数平均粒径をWDb、としたときのWDa、WDbの関係が、WDa<WDbであり、かつ、微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が700nm以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記離型剤の溶解度が、45℃の酢酸エチル100g当たり70g以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記離型剤の溶解度が、45℃の酢酸エチル100g当たり200g以上である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記離型剤の融点が、60℃以下である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記トナーのヘキサンによるソックスレー抽出により得られた抽出物のDSC(示差走査熱量計)法における再結晶化ピークが少なくとも2箇所であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  6. 前記抽出物のDSC法における2個所の再結晶化ピークが45℃以上であることを特徴とする請求項5に記載のトナー。
  7. 前記抽出物のDSC法における2個所の再結晶化ピークにおいて、低温側の再結晶化ピーク高さPt1および高温側の再結晶化ピーク高さPt2、および前記ヘキサンによるソックスレー抽出により得られた抽出物の45℃の酢酸エチル100g当りの溶解度Sが以下の関係を満たすことを特徴とする請求項5又は6に記載のトナー。
    S × (Pt1+Pt2)/Pt1 ≧ 70
  8. 前記抽出物のDSC法における2個所の再結晶化ピークにおいて、低温側の再結晶化ピーク高さPt1、および高温側の再結晶化ピーク高さPt2、および前記ヘキサンによるソックスレー抽出により得られた抽出物の45℃の酢酸エチル100g当りの溶解度Sが以下の関係を満たすことを特徴とする請求項5又は6に記載のトナー。
    S × (Pt1+Pt2)/Pt1 ≧ 200
  9. 前記トナーの微小圧縮試験において250μN付与時の変位量が500nm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトナー。
  10. 少なくとも請求項1〜9のいずれかに記載のトナーとキャリアとを含有することを特徴とする二成分系の現像剤。
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