JP5724464B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、接触加熱定着方法では熱ロールやベルトにトナーが融着するホットオフセットの発生が起こりやすいという問題があった。
しかし、近年高画質な画像を得るためトナーが小粒径化する傾向にあり、前記粉砕法では、8μm以下の小粒径にすると粉砕効率が低下するとともに分級によるロスが大きくなり、生産性が低い上にコストアップとなってしまう点で問題である。
しかし、このトナーの製造方法においては、ノズル(「吐出孔」、「貫通孔」とも称する。)からノズル径に対応した液滴を放出しなければならず、この方法ではトナーの粒度分布が広いため微粉や粗粉を除去する分級工程が必要となり生産性が低下してしまう点で問題であった。
しかし、このような微小な吐出孔からトナー組成物を吐出させてトナー粒子を形成する方法の場合、トナー組成物中に粒子として含有する顔料や離型剤に起因する吐出孔の詰まりが生じやすいという問題があった。顔料は、比較的微細化が容易であり、微細化した方が色再現性の面から好都合であるが、離型剤の場合は、微細化が困難であると同時に微細化すると離型性が低下するため吐出孔閉塞の原因となりやすい点で問題であった。
特に、カルナバワックスや、パラフィンワックスは、特に微細化が困難であり、大粒径のワックス粒子によって吐出孔の閉塞が頻繁に生じるという問題があった。
しかし、このレイリー分裂法は、吐出孔を形成した貯留部に耐圧性が要求されるため、該貯留部の膜厚を厚くせねばならず、小径の吐出孔を形成するのが困難であり、トナー粒径のばらつきが大きくなるという問題があった。
<1> 少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させ、かつ、前記結着樹脂と前記離型剤とを相分離しないように溶解させたトナー組成液を調製するトナー組成液調製工程と、
複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動手段により振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に形成された前記複数の吐出孔から前記トナー組成液を該吐出孔の外側に周期的に吐出して液滴を形成する液滴形成工程と、
前記液滴形成工程で形成された液滴から前記有機溶剤を除去し、前記結着樹脂と前記離型剤とが相分離しているトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、
を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
<2> 定在波の腹となる領域の少なくとも1つに対して、複数の吐出孔が形成されている前記<1>に記載のトナーの製造方法である。
<3> 液滴形成工程におけるトナー組成液の温度が、下記式(I)を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
トナー組成液の温度(℃)<[有機溶剤の沸点(℃)−20(℃)]・・・式(I)
<4> 離型剤が、合成エステルワックス、合成アミドワックス、及びマイクロクリスタリンワックスの少なくともいずれかを含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<5> 離型剤の添加量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜50質量部である前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<6> 結着樹脂が、重量平均分子量5,000〜300,000のポリエステル樹脂及びスチレンアクリル酸共重合体の少なくともいずれかを含む前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<7> 液柱共鳴液室に形成された吐出孔の開口径が、3μm〜30μmである前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<8> 振動手段が、液柱共鳴液室の複数の吐出孔が形成された面に対して平行な振動面を有し、前記振動面が前記液柱共鳴液室の複数の吐出孔が形成された面に対して垂直方向に縦振動する振動手段である前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<9> 液滴形成工程におけるトナー組成液の温度及びトナー組成液が接する部材の温度を所定の温度で制御する温度制御工程を含む前記<3>から<8>のいずれかに記載のトナー製造方法である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーの製造方法により得られ、体積平均粒径が1μm〜8μmであり、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.00〜1.15の範囲にあることを特徴とするトナーである。
<11> 少なくとも前記<10>に記載のトナーと、キャリアとを含有することを特徴とする現像剤である。
本発明のトナーの製造方法は、トナー組成液調製工程と、液滴形成工程と、トナー粒子形成工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じて、温度制御工程、合着防止工程などのその他の工程を含む。
前記トナー組成液調製工程は、トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させたトナー組成液を調製する工程である。
前記トナー組成物は、少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含み、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記トナー組成液は、結着樹脂、着色剤、離型剤、有機溶剤を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記結着樹脂としては、前記有機溶剤に溶解するものであれば、特に制限はなく、公知の樹脂の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン単量体、アクリル単量体、メタクリル単量体等のビニル単量体、これらの単量体が2種類以上からなる共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体などが挙げられる。
前記誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することがでる。
前記アクリル酸のエステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
前記メタクリル酸のエステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。
(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマー。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類などが挙げられる。その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物なども挙げられる。また、前記架橋剤として、例えば、商品名:MANDA(日本化薬株式会社製)などのポリエステル型ジアクリレート類なども用いることができる。
これらの架橋剤のうち、トナーの定着性、耐ホットオフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好ましい。
前記架橋剤の添加量としては、前記結着樹脂が前記有機溶剤に溶解できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
前記ポリエステル樹脂(重合体)を構成するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコール成分と、酸成分とからなることが好ましい。
前記3価以上の多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記3価以上の多価アルコールの含有量としては、前記結着樹脂が前記有機溶剤に溶解できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記3価以上の酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル等の多価カルボン酸成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記3価以上の酸の含有量としては、前記結着樹脂が前記有機溶剤に相分離せずに溶解できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、テトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量50,000以下の成分が70%〜100%となるような結着樹脂が、吐出性の面から好ましい。
(1)試料は、予め前記結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、前記結着樹脂及び前記架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。測定対象試料を0.5g〜2.0g精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから前記結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により前記結着樹脂の酸価を求める。
(2)300mLのビーカーに前記測定対象試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1(体積比))の混合液150mLを加え溶解する。
(3)0.1mol/Lの水酸価カリウム(KOH)のエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOHのエタノール溶液の使用量をS(mL)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOHのエタノール溶液の使用量をB(mL)とし、下記式(C)で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W ・・・式(C)
前記ガラス転移温度は、例えば、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(例えば、「DSC−60」、島津製作所製)を用いて、昇温速度10℃/分間で測定することができる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチとともに混練されるマスターバッチ用の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂をイソシアネート基やエポキシにより変性させた変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とポリカルボン酸とからなる未変性ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
この際、前記着色剤と前記マスターバッチ用の樹脂との相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる、前記着色剤の水を含んだ水性ペーストを、前記マスターバッチ用の樹脂と有機溶剤とともに混合乃至混練し、前記着色剤を前記マスターバッチ用の樹脂側に移行させ、水分と前記有機溶剤成分を除去する方法も、前記着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。
前記マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを混合乃至混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用することができる。
前記酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性が不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。
前記酸価は、例えば、JIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価は、例えば、JIS K7237に記載の方法により測定することができる。
前記着色剤は、顔料分散液に分散させた着色剤分散液として用いることもできる。
前記顔料分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができるが、顔料分散性の点で、前記結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、そのような市販品としては、例えば、商品名で、アジスパーPB821、アジスパーPB822(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)、Disperbyk−2001(ビックケミー社製)、EFKA−4010(EFKA社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記離型剤としては、前記有機溶剤に溶解するものであれば、特に制限はなく、公知の離型剤の中から、目的に応じて適宜選択することができるが、ワックス類が好ましい。
なお、前記有機溶剤及び前記トナー組成液を加熱して前記離型剤を溶解することも可能であるが、その場合、安定した連続吐出のためには下記式(I’)を満たす温度で加熱とすることが重要である。下記式(I’)を満たす温度で加熱を行うと、前記有機溶剤の蒸発によりトナー組成液室内で気泡を生じることや、吐出孔近傍でトナー組成液が乾燥して吐出孔を狭めてしまうことがあり、安定した吐出を阻害する場合がある。
離型剤の加熱温度(℃)<[有機溶剤の沸点(℃)−20(℃)]・・・式(I’)
これらの中でも、前記離型剤は、合成エステルワックス、合成アミドワックス、及びマイクロクリスタリンワックスの少なくともいずれかを含むことが、液滴の吐出を安定的に実施するために、ワックスの溶解性を確保することができる点で好ましい。
前記2価以上のアルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ポリエステル樹脂で挙げた成分などが挙げられる。
前記脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数12〜28の直鎖又は分岐鎖を有する脂肪酸などが挙げられる。
前記合成エステルワックスの具体例としては、商品名で、WAX−42、WEP−2(以上、日油株式会社製)などが挙げられる。
このような合成アミドワックスとしては、例えば、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、ジメチトール油アミド、ジメチルラウリン酸アミド、ジメチルステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプロン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、N−ブチル−N’ステアリル尿素、N−プロピル−N’ステアリル尿素、N−アリル−N’ステアリル尿素、N−ステアリル−N’ステアリル尿素などが挙げられる。
前記合成アミドワックスの具体例としては、商品名で、WAX−3、WAX−4、WA−8(以上、日油株式会社製)などが挙げられる。
前記マイクロクリスタリンワックスの具体例としては、商品名で、BSQ−180W(東洋アドレ株式会社製)などが挙げられる。
前記離型剤及びトナーの融点を測定するためのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計が好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/分間で昇温させた時に測定されるものを用いる。
前記有機溶剤としては、前記トナー組成液中のトナー組成物を溶解乃至分散できる揮発性のものであり、かつ、前記トナー組成液中の前記結着樹脂及び前記離型剤を相分離させることなく溶解させることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエンが特に好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、従来の電子写真用トナーに用いられる公知の材料の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電制御剤、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤等の界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の含有量としは、特に制限は無く、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて適宜選択することができる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のもの中から適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、フェノール系樹脂、フッ素系化合物なども用いることができる。
これらの帯電制御剤は、有機溶剤に溶解することが吐出安定性の面から好ましいが、ビーズミルなどで前記有機溶剤に微分散して加えてもよい。
前記トナー組成液の調製方法としては、該トナー組成液中に前記結着樹脂及び前記離型剤を相分離することなく溶解させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記トナー組成液の調製には、ホモミキサーやビーズミルなどを用いて、前記着色剤などの分散体がノズルの開口径に対して十分微細とすることが吐出孔の詰りを防止するために重要となる。
前記液滴形成工程は、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動手段により振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に形成された前記複数の吐出孔から前記トナー組成液を該吐出孔の外側に周期的に吐出して液滴を形成する工程である。この液柱共鳴法を用いることで、小粒径かつ単一分散性を有するトナーを効率よく生産することができる。
トナー組成液の温度(℃)<[有機溶剤の沸点(℃)−20(℃)]・・・式(I)
トナー組成液の温度(℃)<[有機溶剤の沸点(℃)−30(℃)]・・・式(II)
トナー組成液の温度(℃)<[有機溶剤の沸点(℃)−40(℃)]・・・式(III)
前記トナー組成液及び該トナー組成液が接する部材の温度は、後述する温度制御工程で所望の温度に制御することができる。
前記液柱共鳴液室とは、後述する液柱共鳴現象の原理に従い、前記振動手段によって付与される振動により圧力定在波を形成することができる液室であり、該圧力定在波の腹となる領域に吐出孔が形成され、トナー組成液供給のための連通口を有してなり、必要に応じて、前記液柱共鳴液室の長手方向の片端乃至両端における少なくとも一部に反射壁面を有する。
前記トナー組成液供給のための連通口は、前記液柱共鳴液室の長手方向の端部に設けられることが好ましく、前記反射壁面は、前記液柱共鳴液室の長手方向の軸と垂直な面に設けられることが好ましい。
また、前記液柱共鳴液室は、液柱共鳴液室の長手方向と平行な壁の1つに配置された振動手段を有することが好ましく、また、振動手段が配置された壁と対面する壁に吐出孔が形成されていることが好ましい。
また、図2に示す、前記液柱共鳴液室の幅Wとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、前記液柱共鳴液室の長さLの2分の1より小さいことが好ましい。
前記撥液膜に用いる材料としては、絶縁体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のエポキシ樹脂;SiO2などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、特開2010−107904号公報に記載の、SiO2膜上にパーフルオロアルキル基を有し、かつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する化合物からなる撥液膜も好適に用いることができる。
前記吐出孔(「ノズル」、「貫通孔」と称することもある。)は、前記液柱共鳴液室の一の面(壁)に形成されている。
前記吐出孔としては、前記圧力定在波の腹となる領域に形成されたものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記圧力定在波の腹となる領域の少なくとも1つに対して、複数形成されていることが好ましい。
前記吐出孔が、前記圧力定在波の腹となる領域に形成されていると、複数の吐出孔が開口されていても、それぞれの吐出孔からほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる点で好ましい。
ここで、前記吐出孔の開口径とは、前記吐出孔の吐出開口(吐出孔の吐出方向における端部)の開口径を意味する。前記吐出孔の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円や、四角形、六角形、八角形等の多角形又は正多角形であれば平均径を意味する。また、「同じ開口径」とは、平均開口径が±10%の範囲内であることをいう。
吐出孔間のピッチは、複数の吐出孔間において、全て等間隔であってもよく、少なくとも1つのピッチが異なっていてもよいが、等間隔であることが、均一な粒子径のトナー粒子を得ることができる点で好ましい。
図8Aは、吐出孔19の接液面69から吐出方向に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、振動が発生した際に吐出孔19の出口付近で前記トナー組成液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
図8Bは、吐出孔19の接液面69から吐出方向に向かって一定の角度をもって開口径が狭くなるような形状を有しており、この吐出孔の断面における接液面から吐出口に向かう角度(以下、「吐出孔の角度」と称することがある。)44は、適宜変更することができる。図8Aと同様に吐出孔の角度44によって振動が発生した際の吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができる。前記吐出孔の角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60°〜90°が好ましい。60°未満であると、前記トナー組成液に圧力がかかりにくく、更に加工もし難いため好ましくない。
吐出孔の角度が90°のときは、図8Cが相当するが、吐出孔19の出口に圧力がかかりにくくなるため、90°が最大値となる。90°を超えると、吐出孔19の出口に圧力がかからなくなるため、液滴吐出が非常に不安定化する。
図8Dは、図8Aと図8Bとを組み合わせたような形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
前記振動手段としては、振動を発生させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これにより、前記液柱共鳴液室における複数の吐出孔内のトナー組成液が液滴状に吐出される。
前記振動手段は、前記液柱共鳴液室の複数の吐出孔が形成された面に対して平行な振動面を有し、前記振動面が前記液柱共鳴液室の複数の吐出孔が形成された面に対して垂直方向に縦振動するものであることが好ましい。
前記圧電体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどが挙げられる。前記圧電セラミックスは、一般に変位量が小さいため、積層して使用されることが多い。また、その他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3等の単結晶などが挙げられる。これらの中でも、前記振動手段は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が振動制御性の点で好ましい。
更に、前記振動手段は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されることが好ましい。また、液柱共鳴液室の配置にあわせて、弾性板を介してブロック状の圧電体などの振動手段を配置することが、それぞれの液柱共鳴液室を個別制御できる観点から好ましい。
次に、本実施の形態の液滴形成のメカニズムについて説明する。
図1は、液柱共鳴液滴形成手段の一例を示す断面図である。図1に示す液柱共鳴液滴形成手段11は、トナー組成液14を内部に貯留する液柱共鳴液室18及び液共通供給路17を有する。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有する。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続される。
λ=c/f ・・・(式1)
液共通供給路17側の端部が閉じている固定端と等価であるとした両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の(式2)で表現される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数を表す。)
図1において、液柱共鳴液室18の固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さが、長さLに相当する。また、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80μm)は、連通口の高さh2(=約40μm)の約2倍あり当該端部が閉じている両側固定端と等価であるとみなすことができる。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、前記(式2)のNが奇数で表現される。なお、両側開放端の場合は、Lが波長の4分の1の偶数倍、片側固定端の場合は、Lが波長の4分の1の奇数倍に相当する。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
(但し、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、cはトナー組成液の音波の速度を表し、Nは整数を表す。)
したがって、本発明のトナーの製造方法において、前記トナー組成液に対して、前記(式1)が成立する周波数fの振動を付与することが好ましい。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する(式4)及び(式5)に示すように、(式3)に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
本来は疎密波(縦波)であるが、図3A〜D及び図4A〜Cのように表記することが一般的である。図3A〜D及び図4A〜Cにおいて、実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。
例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図3Aからわかるように、速度分布の場合閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となる。
液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口若しくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図3A〜D及び図4A〜Cのような形態の共鳴定在波を生じるが、吐出孔数、吐出孔の開口位置によっても定在波パターンは変動し、前記(式3)より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れるが、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。
他の例では、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmと、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、前記(式2)より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれ、同じ構造を有する液柱共鳴液室であっても、より高次の共鳴を利用することができる。
例えば、吐出孔19の数(開口数)を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室18の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液共通供給路17側に存在する吐出孔19の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出孔19の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動手段に電圧を与えたとき、振動手段20が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液共通供給路17側の端部に最も近い吐出孔19までの距離をLeとしたとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記(式4)及び(式5)で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
(但し、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Leは液供給路側の端部に最も近い吐出孔までの距離を表し、cはトナー組成液の音波の速度を表し、Nは整数を表す。)
なお、図5A〜Eにおいて、液柱共鳴液室内に記した実線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を「+」とし、その逆方向を「−」とする。
また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を「+」とし、負圧は「−」とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。
更に、図5A〜Eにおいて、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が好ましくは約2倍以上であるため、液柱共鳴液室18はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
また、図7は、第1から第4の吐出孔がN=1の共鳴モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を配置し、駆動周波数85kHz〜165kHzの同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性、及び、第1から第4の吐出孔がN=2の共鳴モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を配置し、駆動周波数290kHz〜395kHzの同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性を示す特性図である。図7からわかるように、第1から第4の吐出孔において駆動周波数が340kHz付近では各吐出孔からの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっている。この特性結果から、液柱共鳴周波数のN=2の共鳴モード、駆動周波数340kHzにおいて、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることがわかる。また、図7の特性結果から、N=1の共鳴モードである130kHzにおいての液滴吐出速度ピークと、N=2の共鳴モードである340kHzにおいての液滴吐出速度ピークとの間では液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることがわかる。
液柱共鳴法において、液滴形成手段2(液滴吐出ユニット)は、図1及び図2に示す、吐出孔19によって外部と連通する液吐出領域を有する液柱共鳴液室であって、前記メカニズムにより液柱共鳴定在波が発生する液柱共鳴液室18内のトナー組成液14を液滴21として吐出孔19から吐出する液滴形成手段2が複数配列された液滴形成ユニットである。
トナー製造装置1は、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を、液供給管16を通して液循環ポンプ15により圧送し、液滴形成手段2に供給する。更にトナー組成液14は、液滴形成手段2から液戻り管22を通って原料収容器13に戻る。
液柱共鳴液室18内には、吐出孔19が複数形成されている。複数の吐出孔19は、図2に示すように液柱共鳴液室18内の幅W方向に設けることが、吐出孔19の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなるために好ましい。なお、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
図9に示す原料収容器13に収容されているトナー組成液14は、当該トナー組成液14を循環させるための液循環ポンプ15によって液供給管16を通って、図2に示す液滴形成ユニットの液共通供給路17内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴形成手段11の液柱共鳴液室18に供給される。
そして、トナー組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19からトナー液滴21が吐出される。
前記温度制御工程は、前記トナー組成液や、該トナー組成液が接するトナー製造装置中の部材の温度を制御する工程である。前記温度制御工程は、温度制御手段により好適に行われる。
前記温度制御手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、間接加熱型ヒーター、接触加熱型ヒーターなどが挙げられる。また、ヒーターと温度レギュレーターを備えた槽に一定温度の液体を循環させ、当該手段を浸漬させることや、一定温度の液体を当該手段に密着させるように循環経路を組むこともできる。
前記トナー組成液が接する部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、原料収容器、液供給管、液滴形成手段(液滴形成ユニット)などが挙げられる。
前記トナー粒子形成工程は、前記液滴形成工程で形成された液滴から前記有機溶剤を除去し、液適を乾燥固化することによりトナー粒子を形成する工程である。前記トナー粒子形成工程は、トナー粒子形成手段により好適に行われる。
前記トナー粒子は、前記結着樹脂及び前記離型剤が相分離していることを必須とする。前記トナー粒子において、前記結着樹脂及び前記離型剤が相分離していることは、トナー粒子をエポキシ樹脂等の公知の材料で包埋し、ウルトラソニックミクロトームにて切片を作成し、RuO4にて染色後、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察することにより確認することができる。
図1は、気流通路12の方向は液滴21吐出方向と同じ方向であるが、必ずしもその必要はなく、気流通路12の方向は適宜選択できる。
なお、搬送気流102を発生させる搬送気流発生手段として、チャンバ61上部の搬送気流導入口64に送風機を設けて加圧する方法と、搬送気流排出口65より吸引する方法のいずれを採用することもできる。
搬送気流(101、102)は、液滴21同士の合着を抑制することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流(101、102)を構成する気体の種類は特に限定はなく、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いてもよいが、液滴21が乾燥することで合着しなくなる性質があるために、液滴21の乾燥を促進できる条件を持つことが好ましい。
このことから、搬送気流(101、102)は、トナー組成液14に含まれる有機溶剤の蒸気を含まないことが好ましい。また搬送気流(101、102)の温度は適宜調整することができ、生産時において変動のないことが望ましい。
またチャンバ61内に搬送気流(101、102)の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流(101、102)は液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ61や、気流通路(12、12−1、12−2)に付着することを防止することに用いてもよい。
有機溶剤がトナー中に残留すると、耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく、加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者及び周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため十分な乾燥を実施する必要がある。そのため、二次乾燥を行うことでトナー組成液中の有機溶剤を十分に乾燥させることができる点で有利である。
前記トナー粒子形成工程において、搬送気流により粒子の合着を抑えることができるが、これでも不十分な場合は、本発明のトナーの製造方法は、更なる合着防止工程を含んでいてもよい。前記合着防止工程は、合着防止手段により好適に行われる。
前記合着防止手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記液滴形成手段付近に補助搬送気流を導入する手段、液滴へ同一極性の帯電を付与する手段などが挙げられる。
液滴形成手段2の周りにはシュラウド66が配置されており、その一部に補助搬送気流導入口67が配置されている。補助搬送気流導入口67から導入された気体は、シュラウド66によって形成された補助搬送気流通路12−3を通って液滴形成手段2の吐出孔19の周辺に補助搬送気流68が作られる。液滴形成手段2から吐出された液滴21は、順次補助搬送気流68によって、液滴形成手段2の近傍においては速度を落とすことなく移動するので、液滴同士の合着の頻度はきわめて低く抑えることができる。補助搬送気流68の速度は、液滴形成手段2から吐出された直後の液滴速度に対して同じか、速いことが望ましく、それより遅い場合は逆効果となる場合もある。
前記補助搬送気流68を構成する気体の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素等の不燃性気体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーは、本発明の前記トナーの製造方法により得られるトナーであり、その体積平均粒径は、1μm〜8μmであり、3μm〜6μmが好ましい。前記トナーの体積平均粒径が1μm〜8μmの範囲内であると、高解像度で、高精細、高品質な画像を形成することができる。
前記トナーの粒度分布(Dv/Dn)としては、1.00〜1.15であり、1.00〜1.10が好ましく、1.00〜1.05が特に好ましい。Dv/Dnが1.00〜1.15の範囲内であると、長期にわたって安定した画像を維持することができる。
なお、一般的な粉砕トナーは、Dv/Dnが1.15〜1.25程度である。また重合トナーは、Dv/Dnが1.10〜1.15程度である。
本発明のトナーの製造方法によれば、Dv/Dnが、1.00〜1.15はもちろんのこと、1.00〜1.10のトナーも容易に得ることができる点で有利である。
本発明のトナーの製造方法により得られたトナーの粒径分布の一例を図13に示す。これは捕集したトナーの一例であるが、ほとんど単一粒径のトナー粒子しか存在しないことがわかる。これは前記トナー粒子形成工程において液滴21が合着することなく、乾燥して得られた場合に得られる。
前記トナーの粒径分布の測定は、粒度測定器(商品名:マルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
前記流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善する(流動しやすくする)ものである。
前記流動性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナなどの金属酸化物の微粉末、及びそれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ;フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記流動性向上剤は、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカがより好ましい。
前記流動性向上剤の平均一次粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001μm〜2μmが好ましく、0.002μm〜0.2μmがより好ましい。
前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体の具体例としては、商品名で、AEROSIL−130、AEROSIL−300、AEROSIL−380、AEROSIL−TT600、AEROSIL−MOX170、AEROSIL−MOX80、AEROSIL−COK84(以上、日本アエロジル社製);Ca−O−SiL−M−5、Ca−O−SiL−MS−7、Ca−O−SiL−MS−75、Ca−O−SiL−HS−5、Ca−O−SiL−EH−5(以上、CABOT社製);Wacker HDK−N20 V15、Wacker HDK−N20E、Wacker HDK−T30、Wacker HDK−T40(以上、ACKER−CHEMIE社製);D−CFineSi1ica(ダウコーニング社製);Franso1(Fransi1社製)などが挙げられる。
前記流動性向上剤をBET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30m2/g以上が好ましく、60m2/g〜400m2/gがより好ましい。
前記表面処理された微粉体の比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20m2/g以上が好ましく、40m2/g〜300m2/gがより好ましい。なお、前記微粉体の比表面積は、BET比表面積測定装置により求めることができる。
前記クリーニング性向上剤は、記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナーの除去性を向上させるためのものである。
前記クリーニング向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子などを挙げることかできる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭く、重量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーと、キャリアと、を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト等のキャリア、樹脂コートキャリアなどを挙げることができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子と該キャリアコア粒子の表面を被覆(コート)する樹脂である樹脂被覆材とからなる。
前記キャリアコアの磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの合金などが挙げられる。
また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどが挙げられる。
これらの磁性材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの磁性材料の中でも、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが特に好ましい。
また、前記キャリアコア粒子として、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアを用いることもできる。
前記被覆に使用する樹脂(樹脂被覆材)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが好適に挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆材として使用できる樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記樹脂被覆材としては、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、フッ素含有樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂などが好ましく、シリコーン樹脂が特に好ましい。
本発明のトナーを用いた現像剤は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できる。例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体などが好適に使用可能である。
テレフタル酸50部及びイソフタル酸50部と、ネオペンチルグリコール50部とエチレングリコール50部とを反応させて、ポリエステル樹脂Aを合成した。
得られたポリエステル樹脂Aは、重量平均分子量65,000、ガラス転移温度(Tg)60℃、酸価10mg/KOHであった。
ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、ポリエステル樹脂AのTHF溶解分をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定装置(商品名:GPC−150C、ウォーターズ社製)によって測定した。カラムにはKF801〜807(ショウデックス社製)を使用し、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(例えば、「DSC−60」、島津製作所製)を用いて、昇温速度10℃/分間で測定した。
ポリエステル樹脂Aの酸価は、基本操作は、JIS K−0070に準じ、以下の方法により求めた。
(1)ポリエステル樹脂Aを0.5〜2.0g精秤し、前記ポリエステル樹脂Aの重さをWgとした。
(2)300mLのビーカーにポリエステル樹脂Aを入れ、トルエン/エタノール(4/1(体積比))の混合液150mLを加え溶解した。
(3)0.1mol/LのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定した。
(4)この時のKOHのエタノール溶液の使用量をS(mL)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOHのエタノール溶液の使用量をB(mL)とし、下記式(C)で算出した。ただしfは、KOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W ・・・式(C)
テレフタル酸50部、イソフタル酸45部、及びアジピン酸5部と、ネオペンチルグリコール50部とエチレングリコール50部とを反応させて、ポリエステル樹脂Bを合成した。
得られたポリエステル樹脂Bの重量平均分子量、ガラス転移温度、及び酸価を合成例1と同様の方法で測定したところ、重量平均分子量61,000、ガラス転移温度(Tg)50℃、酸価10mg/KOHであった。
スチレン55モルと、アクリル酸メチル45モルとを反応させて、スチレン−アクリル酸メチル共重合体を合成した。
得られたスチレン−アクリル酸メチル共重合体の重量平均分子量、ガラス転移温度、及び酸価を合成例1と同様の方法で測定したところ、重量平均分子量68,000、ガラス転移温度(Tg)60℃であった。また、スチレンとアクリル酸メチルの共重合比は、スチレン:アクリル酸メチル=55:45(モル比)であった。
<着色剤分散液の調製>
攪拌羽根を有するミキサーを用いて、カーボンブラック(商品名:Regal400、Cabot社製)20質量部、及び顔料分散剤(商品名:アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)2質量部を、酢酸エチル78質量部に一次分散させた。得られた一次分散液を、ビーズミル(商品名:アシザワファインテック社製LMZ、ジルコニアビーズ 0.3mmφ)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(商品名:フロリナートメンブレンフィルターFHLP09050、日本ミリポア株式会社)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させたカーボンブラック分散液を調製した。
酢酸エチル676.7質量部に、離型剤(商品名:WAX−42、日油株式会社製)10質量部、及び結着樹脂(合成例1で合成したポリエステル樹脂A)263.3質量部を混合し、25℃にて攪拌羽を有するミキサーを用いて溶解した。
この溶解液に、更に前記カーボンブラック分散液50質量部を混合し、10分間撹拌することによりトナー組成液を調製した。
なお、WAX−42は、合成エステルワックスであり、後述する方法で測定した融点は、55.2℃であり、酢酸エチルに25℃にて11質量%溶解可能であった。また、酢酸エチルの沸点は76.8℃であった。
得られたトナー組成液を、液滴形成手段として図1に示す液柱共鳴液滴形成手段11を有する図9のトナーの製造装置を用いて以下に示す条件で液滴を吐出させた後、乾燥窒素を用いた液滴固化手段により該液滴を乾燥固化し、サイクロン捕集した後、更に温度35℃、相対湿度90%にて48時間、温度40℃、相対湿度50%にて24時間送風乾燥することにより、実施例1のトナー母体粒子を調製した。
なお、このとき、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材は、電気配線を密閉系で配線した状態で、全ての機器を25℃の水を循環させた水槽に投入することで25±1℃に温度制御した。
[液滴吐出条件]
液柱共鳴液室18の長手方向の長さL :1.85mm
吐出孔19が形成されている面の液柱共鳴液室18の壁の厚み :130μm
吐出孔の断面形状 :図8Cに示す吐出孔の角度が90°の形状
吐出孔の開口部の形状 :真円
吐出孔開口部の開口径 :8.0μm
吐出孔のピッチ :135μm
乾燥温度(窒素) :40℃
駆動周波数 :340kHz
圧電体への印加電圧 :10.0V
結果を図14に示す。図14において、黒い部分は離型剤(WAX−42)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂A)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
下記材料の混合物をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調製した。このコート層形成液を、流動床型コーティング装置を用いて、粒径50μmの球状マグネタイト1,000質量部の表面にコーティングして磁性キャリアを得た。
−コート層形成液の材料−
シリコーン樹脂 100質量部
(商品名:オルガノストレートシリコーン、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
トルエン 100質量部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5質量部
カーボンブラック 10質量部
トナー4質量部及び前記磁性キャリア96.0質量部をボールミルで混合して現像剤を調製した。
得られた現像剤の耐ホットオフセット性及び画像安定性を後述する方法で評価した結果、耐ホットオフセット性及び画像安定性ともに良好であった。この結果を下記表2に示す。
<<トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂の分離の分析>>
離型剤及び結着樹脂を有機溶剤に溶解させた溶解液(カーボンブラック分散液を添加する前の溶解液)を、該溶解液調製時の溶解温度と同じ温度(実施例1では25℃)に調温したスライドガラスとカバーグラスに挟み透過型光学顕微鏡(倍率1,000倍)にて観察した。観察した結果、透明であるものが、離型剤及び結着樹脂が有機溶剤に溶解しているものと判断した。
トナー母体粒子をエポキシ樹脂に包埋し、ウルトラソニックミクロトームにて切片を作成し、RuO4にて染色後、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した。
トナーの調製を連続して6時間行った後、吐出孔の閉塞及び吐出液量の減少の有無を下記評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
○:吐出孔が詰まることはなく初期の吐出量を維持していた
△:吐出液量の減少量が20%未満であり、吐出孔の一部に閉塞が認められた
×:吐出液量の減少量が20%以上であり、吐出孔の一部に閉塞が認められた
トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(商品名:マルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径50μmで測定した。即ち、トナー粒子又はトナーの体積及び個数を測定後、体積分布と個数分布を算出した。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)を求めた。粒度分布の指標としては、トナーの体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除したDv/Dnを用いた。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
現像剤を、市販の複写機(商品名:イマジオネオ455、株式会社リコー製)に入れ、記録媒体(商品名:タイプ6000ペーパー、株式会社リコー製)を用いて定着温度を低温から高温に変化させながら画像を出力した。画像の光沢度が低下した温度若しくは画像にオフセット画像が見られた場合をオフセット発生温度とした。このオフセット発生温度を、下記評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
○:オフセット発生温度が200℃以上
×:オフセット発生温度が200℃未満
現像剤を、市販の複写機(商品名:イマジオネオ455、株式会社リコー製)に入れ、画像占有率7%の印字率で、記録媒体(商品名:タイプ6000ペーパー、株式会社リコー製)を用いて5万枚の連続ランニングテストを実施し、5万枚目の画像品質(画像濃度、細線再現性、及び地肌汚れ)を下記評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
○:5万枚目でも初期画像と同等の良好な画像である
△:画像濃度、細線再現性、及び地肌汚れのいずれかの評価項目で初期画像より変化を生じたが許容範囲の変化である
×:画像濃度、細線再現性、及び地肌汚れのいずれかの評価項目で初期画像より明らかな変化を生じて許容できる水準でない
実施例1において、トナー組成液の調製方法及びトナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例1のトナー組成液の調製において、離型剤としてWAX−42に代えてWA−4(日油株式会社製)を用い、溶解温度を25℃に変えて30℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例2のトナー組成液を調製した。
なお、WA−4は、合成アミドワックスであり、実施例1に記載の方法で測定した融点は、62.6℃であり、酢酸エチルに30℃にて2.9質量%溶解可能であった。
実施例1のトナーの調製において、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材を25±1℃で温度制御したことに変えて30±1℃で温度制御したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のトナーを調製した。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生せず、トナーの体積平均粒径(Dv)は、4.9μm、Dv/Dnは、1.05と非常にシャープな粒度分布であり、良好な画像が得られ、耐ホットオフセット性及び画像安定性も良好であった。結果を下記表2に示す。
また、実施例2で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した結果を図15に示す。図15において、黒い部分が離型剤(WAX−4)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂A)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例1において、トナー組成液の調製方法及びトナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例1のトナー組成液の調製において、離型剤としてWAX−42に代えてWA−3(日油株式会社製)を用い、結着樹脂としてポリエステル樹脂Aに代えて合成例2で合成したポリエステル樹脂Bを用い、溶解温度を25℃に変えて35℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例3のトナー組成液を調製した。
なお、WA−3は、合成アミドワックスであり、実施例1に記載の方法で測定した融点は、61.0℃であり、酢酸エチルに35℃にて3.3質量%溶解可能であった。
実施例1のトナーの調製において、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材を25±1℃で温度制御したことに変えて35±1℃で温度制御したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のトナーを調製した。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生せず、トナーの体積平均粒径(Dv)は、5.1μm、Dv/Dnは、1.06と非常にシャープな粒度分布であり、良好な画像が得られ、耐ホットオフセット性及び画像安定性も良好であった。結果を下記表2に示す。
また、実施例3で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEにて観察した結果を図16に示す。図16において、針状の黒く細長い部分は離型剤(WA−3)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂B)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例1において、トナー組成液の調製方法及びトナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例1のトナー組成液の調製において、離型剤としてWAX−42に代えてWEP−2(日油株式会社製)を用い、結着樹脂としてポリエステル樹脂Aに代えて合成例2で合成したポリエステル樹脂Bを用い、溶解温度を25℃に変えて40℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例4のトナー組成液を調製した。
なお、WEP−2は、合成エステルワックスであり、実施例1に記載の方法で測定した融点は、75.2℃であり、酢酸エチルに40℃にて4.4質量%溶解可能であった。
実施例1のトナーの調製において、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材を25±1℃で温度制御したことに変えて40±1℃で温度制御したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4のトナーを調製した。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生せず、トナーの体積平均粒径(Dv)は、5.1μm、Dv/Dnは、1.06と非常にシャープな粒度分布であり、良好な画像が得られ、耐ホットオフセット性及び画像安定性も良好であった。結果を下記表2に示す。
また、実施例4で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEにて観察した結果を図17に示す。図17において、黒い部分は離型剤(WEP−2)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂B)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例1において、トナー組成液の調製方法及びトナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例1のトナー組成液の調製において、離型剤としてWAX−42に代えてWA−8(日油株式会社製)を用い、結着樹脂としてポリエステル樹脂Aに代えてポリエステル樹脂Bを用い、溶解温度を25℃に変えて50℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例5のトナー組成液を調製した。
なお、WA−8は、合成アミドワックスであり、実施例1に記載の方法で測定した融点は、67.4℃であり、酢酸エチルに50℃にて9.5質量%溶解可能であった。
実施例1のトナーの調製において、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材を25±1℃で温度制御したことに変えて50±1℃で温度制御したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5のトナーを調製した。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生せず、トナーの体積平均粒径(Dv)は、5.2μm、Dv/Dnは、1.07と非常にシャープな粒度分布であり、良好な画像が得られ、耐ホットオフセット性及び画像安定性も良好であった。結果を下記表2に示す。
また、実施例5で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEにて観察した結果を図18に示す。図18において、黒く細長い部分は離型剤(WA−8)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂B)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例5において、トナー組成液の調製方法及びトナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例5と同様の方法で、実施例6のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例5のトナー組成液の調製において、溶解温度を50℃に変えて55℃としたこと以外は、実施例5と同様の方法で実施例6のトナー組成液を調製した。
実施例5のトナーの調製において、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材を50±1℃で温度制御したことに変えて55±1℃で温度制御したこと以外は、実施例5と同様の方法で、実施例6のトナーを調製した。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の一部に閉塞が認められ、トナー調製開始から6時間経過後の吐出量は初期に比べて4%減少した。
トナーの体積平均粒径(Dv)は、5.1μm、Dv/Dnは、1.11とやや微粉量の増加が認められたが、耐ホットオフセット性及び画像安定性は良好であった。結果を下記表2に示す。
また、実施例6で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEにて観察した結果を図19に示す。図19において、黒く細長い部分は離型剤(WA−8)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂B)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例1において、トナー組成液の調製方法及びトナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例7のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
トルエン676.7質量部に、離型剤(商品名:BSQ−180W、東洋アドレ株式会社製)10質量部、及び結着樹脂としての合成例3で合成したスチレン−アクリル酸メチル共重合体 263.3質量部を混合し、70℃にて攪拌羽を有するミキサーを用いて溶解した。前記溶解液に、更に前記カーボンブラック分散液50質量部を混合し、10分間撹拌することによりトナー組成液を調製した。
なお、BSQ−180Wは、マイクロクリスタリンワックスであり、実施例1に記載の方法で測定した融点は、86.4℃であり、トルエンに70℃にて6質量%溶解可能であった。また、トルエンの沸点は、110.6℃であった。
実施例1のトナーの調製において、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材を25±1℃で温度制御したことに変えて70±1℃で温度制御したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例7のトナーを調製した。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生せず、トナーの体積平均粒径(Dv)は4.9μm、Dv/Dnは、1.07と非常にシャープな粒度分布であり、良好な画像が得られ、耐ホットオフセット性及び画像安定性も良好であった。結果を下記表2に示す。
また、実施例7で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEにて観察した結果を図20に示す。図20において、黒い細長い部分は離型剤(BSQ−180W)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(スチレン−アクリル酸メチル共重合体)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例1において、トナー組成液の調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例1のトナー組成液の調製において、離型剤を添加せず、酢酸エチルの添加量を676.7質量部に変えて653.3質量部とし、ポリエステル樹脂Aの添加量を263.3質量部に変えて296.7質量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のトナー組成液を調製した。
その結果、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生せず、トナーの体積平均粒径(Dv)は、4.8μm、Dv/Dnは、1.05と非常にシャープな粒度分布であった。しかし、低温での定着でもホットオフセットが発生してしまい、画像安定性の試験は実施できなかった。
実施例1において、トナー組成液の調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例1のトナー組成液の調製において、離型剤としてWAX−42に代えてIrganox245(チバ・ジャパン株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例2のトナー組成液を調製した。
なお、Irganox245は、ヒンダードフェノール系エステルであり、実施例1に記載の方法で測定した融点は、76℃であり、酢酸エチルに25℃にて30質量%以上溶解可能であった。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなくトルエンに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生せず、トナーの体積平均粒径(Dv)は、4.8μm、Dv/Dnは、1.05と非常にシャープな粒度分布であったが、低温での定着でもホットオフセットが発生してしまい、画像安定性の試験は実施できなかった。結果を下記表2に示す。
また、比較例2で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した結果を図21に示す。図21において、離型剤(Irganox245)が確認できず、結着樹脂と離型剤が相分離していないことが確認された。
実施例3において、トナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例3と同様の方法で、比較例3のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
トナー組成液を、液滴形成手段として二流体スプレーノズル(6552−1/8JAC、スプレーイングシステムスジャパン社製、ノズル開口径:250μm)を有する図9のトナーの製造装置を用い、空気圧0.15MPaで乾燥窒素中に噴霧し、サイクロン捕集した後、更に温度35℃、相対湿度90%にて48時間、温度40℃、相対湿度50%にて24時間送風乾燥することにより、比較例3のトナー母体粒子を調製した。
なお、このとき、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材は、35℃±1℃に温度制御した。
その結果、トナー組成液中の離型剤及び結着樹脂は、ともに相分離することなく酢酸エチルに透明に溶解(相溶)していた。
また、トナー調製において吐出孔の詰まりは発生しなかったが、トナーの体積平均粒径(Dv)は、5.3μm、Dv/Dnは、1.47と非常に粒度分布の広いトナーであり、ランニングテスト5万枚目の画像は明らかに変化しており、画像濃度が低下し、細線が太り、地肌汚れの増加が認められた。結果を下記表2に示す。
また、比較例3で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した結果を図22に示す。図22において、黒い部分は離型剤(WA−3)であり白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂A)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例5において、トナー組成液の調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例5と同様の方法で、比較例4のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
−ワックス分散液の調製−
撹拌羽と温度計をセットした容器に、WA−8を20質量部及び酢酸エチル80質量部を仕込み、60℃に加温しながら20分間撹拌し、WA−8を溶解させた後、急冷してWA−8の微粒子を析出させた。このWA−8分散液を0.3μmφのジルコニアビーズを充填したスターミル(商品名:LMZ06、アシザワファインテック株式会社製)を用いて回転数1,800回転/分間にて更に細かく分散し、ワックスの平均粒径が0.3μm、最大粒径が0.8μmのWA−8分散液を調製した。ワックスの粒径は、粒度分布計(商品名:NPA150、マイクロトラック社製)で測定した。
その結果、トナー組成液中の離型剤と結着樹脂とは相分離していることが確認された。
また、一部の吐出孔に閉塞が認められ、トナー調製開始から6時間経過後の吐出量は初期に比べて38%減少した。トナーの体積平均粒径(Dv)は、5.0μm、Dv/Dnは、1.28であり、微粉量の増加が認められた。耐ホットオフセット性は良好であったが、ランニングテスト5万枚目の画像は、細線の若干の太りと地肌汚れの若干の増加が認められた。結果を下記表2に示す。
また、比較例4で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEにて観察した結果を図23に示す。図23において、黒く細長い部分は離型剤(WA−8)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂B)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
実施例5において、トナー組成液の調製方法及びトナーの調製方法を以下の方法に変えたこと以外は、実施例5と同様の方法で、比較例5のトナー組成液、トナー、キャリア、及び現像剤を調製した。
実施例5のトナー組成液の調製において、溶解温度を50℃に変えて60℃としたこと以外は、実施例5と同様の方法で比較例5のトナー組成液を調製した。
実施例5のトナーの調製において、トナー組成液及びトナー組成液が接するトナーの製造装置の部材を50±1℃で温度制御したことに変えて60±1℃で温度制御したこと以外は、実施例5と同様の方法で、比較例5のトナーを調製した。
その結果、トナー組成液中の離型剤と結着樹脂とは相分離していることが確認された。
また、一部の吐出孔に閉塞が認められ、トナー調製開始から6時間経過後の吐出量は初期に比べて29%減少した。トナーの体積平均粒径(Dv)は、5.4μm、Dv/Dnは、1.22であり、微粉量の増加が認められた。耐ホットオフセット性は良好であったが、ランニングテスト5万枚目の画像は、地肌汚れの若干の増加が認められた。結果を下記表2に示す。
また、比較例5で調製したトナー母体粒子を実施例1と同様に透過型電子顕微鏡(TEにて観察した結果を図24に示す。図24において、黒い部分が離型剤(WA−8)であり、白い部分は測定時に離型剤が抜け落ちてしまったところ(本来離型剤である部分)であり、その他の部分が結着樹脂(ポリエステル樹脂B)である。これより、結着樹脂と離型剤とが相分離していることが確認された。
2 液滴形成手段
6 トナー組成液供給口
11 液柱共鳴液滴形成手段
12 気流通路
12−1 第1の気流通路
12−2 第2の気流通路
12−3 補助搬送気流通路
13 原料収容器
14 トナー組成液
15 液循環ポンプ
16 液供給管
17 液共通供給路
18 液柱共鳴液室
19 吐出孔
20 振動発生手段
21 液滴
22 液戻り管
44 吐出孔の角度
60 トナー粒子形成手段
61 チャンバ
62 トナー捕集手段
63 トナー貯留部
64 搬送気流導入口
65 搬送気流排出口
66 シュラウド
67 補助搬送気流導入口
68 補助搬送気流
69 接液面
101、102 搬送気流
P1 液圧力計
P2 チャンバ内圧力計
Claims (9)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させ、かつ、前記結着樹脂と前記離型剤とを相分離しないように溶解させたトナー組成液を調製するトナー組成液調製工程と、
複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動手段により振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に形成された前記複数の吐出孔から前記トナー組成液を該吐出孔の外側に周期的に吐出して液滴を形成する液滴形成工程であって、以下の式4及び式5を満たす駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出する液滴形成工程と、
前記液滴形成工程で形成された液滴から前記有機溶剤を除去し、前記結着樹脂と前記離型剤とが相分離しているトナー粒子を形成するトナー粒子形成工程と、
を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le)・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le)・・・(式5)
但し、Lは液柱共鳴液室の長手方向の長さを表し、Leは液供給路側の端部に最も近い吐出孔までの距離を表し、cはトナー組成液の音波の速度を表し、Nは整数を表す。 - 定在波の腹となる領域の少なくとも1つに対して、複数の吐出孔が形成されている請求項1に記載のトナーの製造方法。
- 液滴形成工程におけるトナー組成液の温度が、下記式(I)を満たす請求項1から2のいずれかに記載のトナーの製造方法。
トナー組成液の温度(℃)<[有機溶剤の沸点(℃)−20(℃)]・・・式(I) - 離型剤が、合成エステルワックス、合成アミドワックス、及びマイクロクリスタリンワックスの少なくともいずれかを含む請求項1から3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 離型剤の添加量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部〜50質量部である請求項1から4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 結着樹脂が、重量平均分子量5,000〜300,000のポリエステル樹脂及びスチレンアクリル酸共重合体の少なくともいずれかを含む請求項1から5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 液柱共鳴液室に形成された吐出孔の開口径が、3μm〜30μmである請求項1から6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 振動手段が、液柱共鳴液室の複数の吐出孔が形成された面に対して平行な振動面を有し、前記振動面が前記液柱共鳴液室の複数の吐出孔が形成された面に対して垂直方向に縦振動する振動手段である請求項1から7のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 液滴形成工程におけるトナー組成液の温度及び該トナー組成液が接する部材の温度を所定の温度で制御する温度制御工程を含む請求項3から8のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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