JP2009144104A - 熱成型性を有する接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱成型性等の実用物性を大きく低下させず、遮水性が高く、耐水性に優れ、かつ乾燥性に優れた作業効率に優れる熱成型性を有する接着剤組成物の提供。
【解決手段】 体積平均粒子径が0.05〜0.3μmである合成ゴムラテックス(A)100重量部(固形分換算)に対して体積平均粒子径が1〜1000μmである合成樹脂パウダー(B)を20〜300重量部(固形分換算)の割合で混合した混合物を主要成分として用いる熱成型性を有する接着剤組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱成型性を有する接着剤組成物に関するものである。詳しくは、合成ゴムラテックスと合成樹脂パウダーを含む熱成型性等の実用物性を大きく低下させず、遮水性が高く、耐水性に優れ、かつ乾燥性に優れるため作業効率に優れた熱成型性を有する接着剤組成物に関するものである。
従来、合成ゴムラテックスを含む接着剤は、繊維基材に強度と風合いを付与するために用いられている。例えば、自動車内装用のニードルパンチカーペットおよびタフテッドカーペットは、スチレンーブタジエン系ゴムラテックス、エチレンー酢酸ビニル系の樹脂エマルジョンを主成分とする接着剤組成物を該カーペット裏面に塗布または含浸加工した後に、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂皮膜を熱融着によって裏打ちする2段加工法、または、特定の合成ゴムラテックスとそれとは異なる共重合体ラテックスからなる接着剤組成物を用いることにより、熱可塑性樹脂皮膜の熱融着を必要としない1段加工法が採用されて製造されている(特公平8−13960号公報、特許第2528008号、特許第2704320号)。
しかしながら、上記2段加工法ではカーペットの製造工程が煩雑となる欠点を有している。
また、従来の1段加工法では、熱成型性には優れるものの、遮水性、耐水性が低く、さらに接着剤組成物の乾燥性に劣るため、作業効率にも劣るといった欠点を有していた。特に、遮水性を高め、耐水性を改良することを目的とし、塗布量を増加させた場合、乾燥が不充分であると強度が低下し、また十分に乾燥させるために加熱時間を延長したり乾燥温度を上げると、フクレが発生する問題も生じる。さらに地球環境を考慮した場合、接着剤の重量増と、加熱乾燥に多大なエネルギーを必要とすることも問題である。
特公平8−13960号公報 特許第2528008号 特許第2704320号
本発明の目的は、熱成型性等の実用物性を大きく低下させず、遮水性が高く、耐水性に優れ、かつ乾燥性に優れた作業効率に優れる熱成型性を有する接着剤組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、体積平均粒子径が0.05〜0.3μmである合成ゴムラテックス(A)100重量部(固形分換算)に対して体積平均粒子径が1〜1000μmである合成樹脂パウダー(B)を20〜300重量部(固形分換算)の割合で混合した混合物を主要成分として用いることを特徴とする熱成型性を有する接着剤組成物を提供するものである。
本発明によって、熱成型性等の実用物性を大きく低下させず、遮水性が高く、耐水性に優れ、かつ乾燥性に優れた作業効率に優れる熱成型性を有する接着剤組成物が得られるものである。また本発明においては、合成樹脂パウダーを添加することから、従来の1段加工用の接着剤に比べて固形分を高くすることができ、加熱乾燥工程の短縮化が可能となり、生産性の向上の面においても有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明にて用いられる合成ゴムラテックス(A)としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体ラテックス、塩化ビニル重合体ラテックス、塩化ビニル−アクリレート系共重合体ラテックス、クロロプレン重合体ラテックス、エチンレン−塩化ビニル系共重合体ラテックス、塩化ビニリデン−アクリレート系共重合体ラテックス、塩化ビニリデン−ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ラテックスおよびポリブタジエンラテックスなどが挙げられ、これらの中から1種もしくは2種以上を用いることができる。これらのうち、特に、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスが好ましい。
また、上記合成ゴムラテックス(A)の体積平均粒子径は0.05〜0.3μmであることが必要である。合成ゴムラテックス(A)の体積平均粒子径が0.05μm未満では、ラテックス粘度が高くなるため作業性に劣り、また0.3μmを超えるラテックスを重合するためには多大なエネルギーを必要とするため好ましくない。
なお、ラテックスの体積平均粒子径は、ラテックスをオスミウム酸で処理し、これを電子顕微鏡を用いて倍率3万倍で写真撮影し、得られた顕微鏡写真における粒子500個の粒子径を測定して、体積平均して求めた値である。
本発明における合成樹脂パウダー(B)としては、PS(ポリスチレン)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらの中から1種もしくは2種以上を用いることができる。これらのうち、特に、スチレン系樹脂パウダーが好ましい。
また、上記合成樹脂パウダー(B)の体積平均粒子径は1〜1000μmであることが必要である。合成樹脂パウダー(B)の体積平均粒子径が1μm未満では、合成樹脂パウダーの取扱い性に劣り、また1000μmを超えると接着剤組成物の塗布面の外観が低下するため好ましくない。
本発明の接着剤組成物には、さらに酸化防止剤、充填剤、成膜助剤、難燃剤、増粘剤、界面活性剤、架橋剤、撥水剤などを含むことができる。
また、本発明の接着剤組成物は、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、羊毛などの繊維を用いたタフテッドカーペット、ニードルパンチカーペットなどのカーペットに適用される。
本発明の接着剤組成物を塗布するに際しては、接着剤を発泡あるいは増粘させて用いてもよい。その加工方法としては、リックロール、絞りロール等が挙げられる。また、カーペットへの含浸を完全にするためには、塗布された接着剤組成物を絞りロールにより圧搾することが好ましい。接着剤組成物を塗布した後、加熱により水分を除去して成型可能な製品を得ることができる。製品を成型する方法としては加熱後加圧ロールまたはプレス成型機による成型方法等が挙げられる。
なお、本発明の接着剤組成物をカーペット裏面に塗布した後、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂皮膜を熱融着によって裏打ちすることを何ら妨げるものではない。
〔実施例〕
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。尚、実施例中の部および%は断りのない限り全て重量部および重量%を意味する。
〔実施例1〜5および比較例1〜4〕
体積平均粒子径がそれぞれ0.1μm、0.18μm、0.25μmであるスチレンブタジエン系共重合体ラテックス(固形分)A−1、A−2、A−3に対し、体積平均粒子径が135μmであるアクリロニトリル−スチレン共重合体のパウダーB−1(MD−1;ユーエムジー・エービーエス(株)製)、体積平均粒子径が10μmであるエチレン−アクリル酸共重合体のパウダーB−2(LE−2080;住友精化(株)製)、体積平均粒子径が25μmであるポリエチレンのパウダーB−3(UF−20;住友精化(株)製)、体積平均粒子径が600μmであるポリエチレンのパウダーB−4(CL−8007;住友精化(株)製)、体積平均粒子径が0.1μm、0.2μm、0.28μmであるアクリロニトリル−スチレン共重合体のラテックス(固形分)C−1、C−2、C−3、さらに体積平均粒子径が25μmである水酸化アルミニウム(C−325;住友化学(株)製)を表1に示す割合にて添加し、酸化防止剤(スミライザーS;住友化学(株)製)1部、増粘剤(A−7055;東亜合成(株)製)および水を所定量添加して、表1に示す固形分の接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物について、耐水性を下記の測定方法に基いて試験した。
また、得られた接着剤組成物をホバートミキサーにて2倍容量に泡立て、ポリエステル混紡ニードルパンチカーペットに300g/m(但し、比較例3のみ400g/m)の塗布量にて塗布した。その後、130℃にて乾燥し、乾燥にかかる時間を測定した。さらに、得られたカーペット試料について、熱成型性および遮水性を各々次の測定方法に基づいて試験した。結果を表1に示す。
耐水性:熱プレスにてフィルムを作成した後、得られたフィルムを水に水漬し、次の評価基準にて判定した。
(評価基準)
「○」…24時間後の吸水率が3%未満であった。
「×」…24時間後の吸水率が3%以上であった。
乾燥性:カーペット試料を130℃のオーブン中にて乾燥させた。重量減少が無くなる時点を乾燥時間として測定し、次の評価基準にて判定した。
(評価基準)
○:20分未満
△:20分以上30分未満
×:30分以上
熱成型性:カーペット試料を200℃のオーブン中にて5分間加熱した後、第1図に示す凹凸状の金型(A部:90度)にてプレス成形(1分間)して型付けを施した。この成形品を金型より取り出し、第2図に示すA′部の角度を測定し、次の評価基準にて判定した。
(評価基準)
○:80度超
△:75〜80%度
×:75度未満
遮水性:カーペット試料の接着剤組成物の塗布面を上にして、常温の水を20g静かに載せ、この状態で1分間放置した。1分経過後に、マットに吸水した量を測定した。裏面に透水した場合、マットに吸水した量と裏面に透水した量の合計を測定した。測定結果を、次評価基準にて判定した。
(評価基準)
「○」…マットへの吸水量、透水量の合計は6g未満であった。
「△」…マットへの吸水量、透水量の合計は6g以上、8g未満であった。
「×」…マットへの吸水量、透水量の合計は8g以上であった。
Figure 2009144104
上記のとおり、本発明によって、熱成型性等の実用物性を大きく低下させず、遮水性が高く、耐水性に優れ、かつ乾燥性に優れた作業効率に優れる熱成型性を有する接着剤組成物が得られるものであり、また本発明においては、合成樹脂パウダーを添加することから、従来の1段加工用の接着剤に比べて固形分を高くすることができ、加熱乾燥工程の短縮化が可能となり、生産性の向上の面においても有用である。
型付け金型の断面図を示す。 熱成型後のカーペットの断面図を示す。
符号の説明
イ:金型
ロ:カーペット
A:型付け時の角度(90度)
A′:熱成型後の角度

Claims (3)

  1. 体積平均粒子径が0.05〜0.3μmである合成ゴムラテックス(A)100重量部(固形分換算)に対して体積平均粒子径が1〜1000μmである合成樹脂パウダー(B)を20〜300重量部(固形分換算)の割合で混合した混合物を主要成分として用いることを特徴とする熱成型性を有する接着剤組成物。
  2. 合成ゴムラテックスがスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスである請求項1記載の熱成型性を有する接着剤組成物。
  3. 合成樹脂パウダーがスチレン系樹脂パウダーである請求項1記載の熱成型性を有する接着剤組成物。
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