JP2009143091A - グリーンシート成形用離型フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

グリーンシート成形用離型フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミック積層コンデンサー製造時に使用する、特に厚み(乾燥後)が2μm以下の薄膜グリーンシート成形用として、セラミックスラリーの塗工性に優れるとともに、離型フィルムの生産性が良好であり、かつ、グリーンシートの生産性にも有利な離型フィルムを提供すること。
【解決手段】離型層が特定の表面粗さの範囲にあり、かつ、離型層を有さない面が特定の表面粗さの範囲にあるような表面を有する離型フィルムとする。具体的には、離型層表面の3次元表面粗さを、SRaが5〜15nm、SRzが100〜230nm、SRmaxが130〜250nmとし、離型層を有さない側のポリエステルフィルム表面の3次元表面粗さを、SRzが100〜230nm、SRmaxが130〜250nmとなるよう制御した離型フィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明はグリーンシート成形用離型フィルムに関し、詳しくはセラミック積層コンデンサー製造時に使用する薄膜グリーンシート成形用として、特に厚み(乾燥後)が2μm以下のグリーンシート成形用として好適なグリーンシート成形用離型フィルムおよびその製造方法に関する。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムは、セラミック積層コンデンサー、セラミック基板等のセラミックシートの成形用として使用されている。そして、近年、セラミック積層コンデンサーの小型化・大容量化が進むに伴い、セラミックグリーンシートの厚みも益々薄膜化する傾向にある。
グリーンシートのさらなる薄膜化に伴い、特に厚み(乾燥後)が2μm以下という薄膜グリーンシートを成形しようとする場合には、離型フィルムの離型層には、セラミックスラリーの均一塗工性が求められる。得られるグリーンシートにおいて局所的に薄いクレーター状の部分が存在すると、当該部分からピンホール欠点が発生するためである。ここで、セラミックスラリーを均一に塗工するためには、離型層表面を平坦にする必要がある。
そこで、基材となるポリエステルフィルムの表面を平坦にすることにより、得られる離型フィルムの離型層表面を平坦にする方法が検討されている。しかしながら、この方法により離型フィルムの表面を平坦にしようとすると、離型フィルムの生産工程における巻き取り時にしわが発生し、離型フィルムの生産性を低下させる問題が発生していた。また、離型フィルムを巻き取った後にブロッキングを起こし、グリーンシート生産にあたっての巻き出し時にフィルムが破れてしまったり、剥離帯電によりフィルムが搬送ロールに貼り付いて、走行不能になるという問題が発生していた。さらには、離型層が反対面に転写して、グリーンシート剥離時に重剥離化し、グリーンシートの生産性を低下させるという問題も発生していた。
そこで、基材となるポリエステルフィルムとして、離型層に接する表面は平坦であり、離型層を有さない表面は粗くした、2層構成の積層フィルムを用いることが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載された離型フィルムは、粗くした面が、グリーンシート塗布後の巻き取りによってグリーンシートに転写してしまうことから、結果として得られるグリーンシートの平坦性を損ない、ピンホール欠点の多いものとなっていた。
したがって、薄膜グリーンシートを成形するにあたっては、用いる離型フィルムの離型層表面の平坦性と、離型層を有さない表面の粗さ(平滑性)とのバランスが重要であり、さらなる薄膜化を達成するためには、これらのバランスを満足させた離型フィルムが切望されて続けているのが実情である。
特開平11−320764号公報
本発明は上記上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、セラミック積層コンデンサー製造時に使用する、特に厚み(乾燥後)が2μm以下の薄膜グリーンシート成形用として、セラミックスラリーの塗工性に優れるとともに、離型フィルムの生産性が良好であり、かつ、グリーンシートの生産性にも有利な離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、離型層が特定の表面粗さの範囲にあり、かつ、離型層を有さない面が特定の表面粗さの範囲にあるように離型フィルムの表面を制御することにより、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ポリエステルフィルムの一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型層表面の3次元表面粗さは、SRaが5〜15nmであり、SRzが100〜230nmであり、SRmaxが130〜250nmであり、前記離型層を有さない側の前記ポリエステルフィルム表面の3次元表面粗さは、SRzが100〜230nmであり、SRmaxが130〜250nmであるグリーンシート成形用離型フィルムである。
本発明のグリーンシート成形用離型フィルムは、離型層表面の平坦性と離型層を有さない表面の粗さ(平滑性)とのバランスに優れる。このため、セラミックスラリーの塗工性に優れるとともに、離型フィルムの生産性に優れる。また、ロール状に巻き取った場合であってもブロッキングや転写の問題が生じないことから、グリーンシート、とりわけ厚み(乾燥後)が2μm以下の薄膜グリーンシートの生産性の向上に大きく寄与することができる。
さらに、離型層が特定量の界面活性剤を含有すれば、離型フィルム巻き取り時の帯電を抑制することができ、また、離型フィルムからグリーンシートを剥離する際の剥離帯電を抑制できることから、グリーンシートを積層してセラミック積層コンデンサーを製造する際のシートのズレを抑制することができ、その結果、コンデンサーの生産性向上に貢献することができる。また、界面活性剤を添加することにより、水性塗液とポリエステルフィルム表面の濡れ性がよくなり、その結果、局所的な水性塗液のハジキを抑えることができるため、均一塗布ができるばかりか、グリーンシート剥離時の破れによるピンホールを防ぐことができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<離型フィルム>
本発明の離型フィルムは、離型層表面および離型層を有さないポリエステルフィルム表面の粗さが特定範囲にあるものである。具体的には、離型層表面の3次元表面粗さは、SRaが5〜15nm、好ましくは6〜13nm、さらに好ましくは7〜12nmであり、SRzが100〜230nm、好ましくは120〜200nm、さらに好ましくは130〜180nmであり、SRmaxが130〜250nm、好ましくは130〜240nm、さらに好ましくは130〜230nmの範囲にあり、反対面となる離型層を有さないポリエステルフィルム表面の3次元表面粗さは、SRzが100〜230nm、好ましくは120〜200nm、さらに好ましくは130〜180nmであり、SRmaxが130〜250nm、好ましくは130〜240nm、さらに好ましくは130〜230nmの範囲にある。本発明の離型フィルムは、上記の表面粗さを有することにより、易滑性と平坦性を両立させることができる。
離型層表面の3次元表面粗さおよび反対面となる離型層を有さないポリエステルフィルム表面の3次元表面粗さは、ポリエステルフィルム中に含まれる滑剤の種類、大きさ、および、添加量等を制御することにより、所望の値とすることができる。
<ポリエステルフィルム>
[ポリエステル材料]
本発明に用いられるポリエステルフィルムの材料は、特に限定されるものではなく、ホモポリエステル、共重合ポリエステル、あるいはこれらの組成物のいずれであってもよい。
ホモポリエステルからなる場合には、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
共重合ポリエステルからなる場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルの酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸等)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
これらの中では、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、または、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。
[ポリエステルフィルム含有粒子]
本発明におけるポリエステルフィルムは、離型層表面および反対面となる離型層を有さないポリエステルフィルム表面の3次元表面粗さ(SRa、SRz、SRmax)を所定の数値に制御することを主たる目的として、粒子を含有していることが好ましい。
含有する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。あるいは、耐熱性有機粒子の別の例として、シリコーン、ポリスチレン、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等からなる粒子を用いてもよい。さらには、ポリエステル製造工程における触媒等の金属化合物の一部を、沈殿、微分散させた析出粒子をそのまま用いることもできる。
粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れの形状の粒子を用いてもよい。また、粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。なお、ポリエステルフィルムが含有する粒子は、1種単独であっても、必要に応じて2種類以上であってもよい。SRmaxを下げるためには、単分散の粒子、例えば、真球状のシリカフィラーや、シリコーンフィラーを用いることが好ましい。
粒子の平均粒径としては、0.1〜1μmを満足することが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.5μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、SRa、SRzの値が小さくなり、平滑性が得られず巻き取り性が悪くなる。一方で、1μmを超える場合には、、SRa、SRzの値が大きくなり、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、グリーンシート生産時にピンホールが発生する等の不具合を生じることがある。
粒子の含有量としては、ポリエステルフィルム全体に対して0.01〜2質量%を満足する範囲が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。粒子の含有量が0.01質量%未満の場合には、SRa、SRzの値が小さくなり、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方で、2質量%を超えて添加する場合には、SRa、SRzの値が大きくなり、フィルム表面が粗くなりすぎて、グリーンシート生産時にピンホールが発生する等の不具合を生じることがある。
なお、ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において粒子を添加することができ、好ましくはエステル化の初期からエステル交換反応終了までの段階、もしくは、エステル交換反応終了後に添加して、重縮合反応を進めてもよい。
ポリエステルを製造する段階において粒子を添加する場合には、エステル交換反応終了後、重縮合反応に入る前に、目開き1〜10μmのフィルターを使用することが好ましい。当該フィルターを使用するにより、凝集したフィラーや粗大な粒子を取り除くことができ、その結果、SRmaxの低いフィルムを得ることができる。
また、ベント付き混練押出機を用いて、エチレングリコールまたは水等の溶媒に粒子を分散させたスラリーとポリエステルとをブレンドする方法、あるいは、混練押出機を用いて、乾燥させた粒子とポリエステルとを直接ブレンドする方法等を採用することもできる。混練押出機を用いる場合には、押し出し時に、目開き5〜20μmのフィルターを使用して、凝集フィラーや粗大な粒子を取り除くことが好ましい。
なかでは、粘度の低いエステル交換反応後に、目開き1〜5μmのフィルターを使用することが、SRmaxの低いフィルムを得るにあたって非常に有益である。
[ポリエステルフィルムの厚み]
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは9〜60μm、さらに好ましくは15〜40μm、特に好ましくは20〜38μmの範囲である。
[ポリエステルフィルムの積層構成]
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは、最終的に得られる離型フィルムの3次元表面粗さを満足できるものであれば、単層構造であっても積層構造(例えば、A/B、A/B/A、A/B/C、A/B/A´等)であってもよく、積層構造である場合には、2層、3層構造以外にも、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定される訳ではない。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは、従来から知られている、または当業界に蓄積されている方法に準じて製造することができる。とりわけ、押出機によって押し出す際に、滑剤を含む溶融ポリエステルを、目開き5〜30μmのフィルターを使用して高精度ろ過することにより、溶融したポリエステル中に含まれる粗大粒子や粒子以外の外部異物成分を取り除くことができ、その結果、SRmaxを下げることができる。加えて、口金直前で10〜50μmのフィルターでさらにろ過することにより、熱劣化したポリエステルを取り除くことができ、よりSRmaxを下げることができる。
次いで、口金より融点270〜320℃の温度で、固有粘度0.5〜0.62の範囲でフィルム状に押出したのち、40〜90℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸フィルムを得る。
その後、得られた未延伸フィルムを常法に従い、一軸方向(縦方向または横方向のいずれであってもよい)に70〜140℃の温度で、2.5〜6.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜5.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)に80〜160℃の温度で延伸処理する。SRzを下げるにあたっては、この時の(二段目の)延伸応力を下げることが好ましく、このため二段目の延伸は、140〜160℃の範囲で行うことが好ましい。
なお、二段目の延伸は2〜5のゾーンに分けて行うことが好ましく、最初のゾーンが最終ゾーンの温度よりも低く、かつ、80℃以上とし、最終ゾーンの温度が140〜160℃の範囲となるように、温度勾配をつけることが好ましい。二段目の延伸倍率は2.5〜6.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜5.5倍の倍率とする。
さらに、必要に応じて、二段目の延伸終了後に、縦方向および/または横方向に、三段目の延伸を実施してもよい。すなわち、二段、三段、四段あるいは、さらに多段の延伸を行うことが好ましく、全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは10〜30倍、さらに好ましくは12〜20倍とする。
延伸処理の後には、熱固定処理を実施する。熱固定時間は1〜60秒の範囲とすることが好ましく、また、熱固定は、3ゾーン以上で実施することが好ましい。熱固定が3ゾーンの場合には、第1番目のゾーンの温度を横延伸温度と最高熱固定温度の中間の温度とすることが好ましく、具体的には、160〜200℃の範囲とすることが好ましい。第2番目のゾーンの温度は200〜230℃の温度、第3番目のゾーン(最後の熱固定ゾーン)は第2番目のゾーンよりも低い温度とし、その範囲を170〜210℃とすることが好ましい。熱固定処理を3ゾーン以上で実施する場合には、1番目のゾーンの温度と最高の熱固定温度のゾーン間で傾斜をつけて温度を増加させることが好ましい。また最後の熱固定ゾーンを最高の熱固定温度よりも低い温度とすることが好ましく、具体的には、170〜210℃の範囲とすることが好ましい。
なお、最後の熱固定ゾーンにおいては、そのレール幅を、フィルムの幅に対して好ましくは0.5〜5%の範囲縮めることにより、縦熱収縮率と横熱収縮率の小さなフィルムを製膜することが可能となる。
さらに、熱固定ゾーン以降の冷却ゾーンの温度を80〜130℃の範囲に設定することにより、平坦性に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。また、各ロール速度とフィルムの実速度の差を0〜1.5%の範囲内とすることにより、傷のほとんどないポリエステルフィルムを得ることができる。
<離型層>
[離型層の3次元表面粗さ]
本発明の離型フィルムの離型層は、上記した通り、SRaが5〜15nmの範囲であり、SRzが100〜230nmの範囲であり、SRmaxが130〜250nmの範囲である3次元表面粗さを有する。好ましくは、SRaが6〜13nm、SRzが120〜200nm、SRmaxが130〜240nmの範囲であり、特に好ましくは、SRaが7〜12nm、SRzが130〜180nm、SRmaxが130〜230nmの範囲の3次元表面粗さを有する。
[離型層の厚み]
本発明の離型フィルムの離型層の厚みは、20〜90nmの範囲とすることが好ましい。より好ましくは30〜80nmの範囲であり、特に好ましくは40〜70nmの範囲である。一般に、20nm未満の厚みでは剥離塗工後のフィラーが脱落しやすくなるため好ましくない。一方で、90nmを超える厚みの場合には、フィラーが離型層に埋まってしまうため滑り性が悪くなり、ロールに巻いたときにブロッキングを起こしやすくなるため好ましくない。また、費用の割に効果も少なくなる。
[離型層の製造方法]
本発明の離型フィルムを構成する離型層は、離型層を形成する水性塗液を、ポリエステルフィルムの離型面へ塗布することにより得られる。塗布は、ポリエステルフィルムを製造する工程中、最終延伸処理を施す以前の離型面の表面に行い、塗布後にフィルムを少なくとも一軸方向に延伸することが、離型層を20〜90nmの厚みに均一に塗工できるため好ましい。なお、離型層は、離型層を形成する水性塗液を塗布後、延伸の前あるいは途中で、当該塗液が乾燥硬化されることにより形成される。なかでは、塗工幅を狭くすることができ、かつ、均一に塗布できることから、離型層を形成する水性塗液の塗布は、未延伸フィルムまたは縦(一軸)延伸フィルムの表面に行うことが好ましく、縦延伸時のロールに離型層が接触して削れる可能性があることから、特に縦(一軸)延伸フィルムに行うのが好ましい。
水性塗液の塗布方法は特に限定されるものではなく、既知の任意の塗工技法を用いることができる。例えば、ローラーコーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、リバースグラビアコーティング、スロットコーティング等の公知の方法を採用することができる。
なお、塗液の乾燥硬化にあたっては、積極的な乾燥工程を設けてもよいが、通常、水性塗液塗布後の予熱、延伸処理、あるいは、熱固定処理の間に加えられる熱によって、ポリエステルフィルム上の塗布層から塗液を構成する溶媒を蒸発させて樹脂を硬化させ、形成される離型層をポリエステルフィルムに結合することができる。
[水性塗液の構成]
(シリコーン樹脂組成物)
本発明の離型フィルムを構成する離型層は、エマルジョンとして安定であることから、シリコーン樹脂組成物であることが好ましい。また、シリコーン樹脂組成物からなる離型層を形成するにあたり、本発明においては、離型層を形成するために用いる水性塗液として、熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いることが好ましい。熱硬化性シリコーン樹脂組成物であれば、ポリエステルフィルム製膜における熱固定ゾーンでの比熱が利用可能であり、架橋反応における硬化を十分に進めることができる。
水性塗液となる熱硬化性シリコーン樹脂組成物としては、例えば、シリコーン樹脂がエマルションとして含まれ、触媒として白金が使用されるものを挙げることができる。しかしながら、縮合タイプのシロキサンを用いてもよく、この場合には、シリコーン樹脂エマルションとともに、触媒として錫が使用される。なお、熱硬化のために使用する架橋剤は、使用する水性のシリコーン樹脂組成物について、当該シリコーン樹脂組成物の製造者が推奨するものであれば、特に限定されるものではない。
また、水性塗液における熱硬化性シリコーン樹脂の含有量は、0.5〜30質量%の範囲とすることが好ましい。1〜15質量%の範囲とすることがさらに好ましく、1.5〜10質量%の範囲とすることが特に好ましい。塗液中の熱硬化性シリコーン樹脂の含有量が0.5質量%未満である場合には、ポリエステルフィルム表面への水性塗液の塗工時に、塗液がポリエステル表面ではじかれてしまい、均一に塗工できないため好ましくない。一方で、30質量%を超える場合には、塗液がゲル化しやすくなり、塗液の寿命が短くなってしまうため好ましくない。
以下に、水性塗液として好適に用いることのできる水性のシリコーン樹脂組成物を具体的に示す。
1) Wacker Silicone(ミシガン州、Adrian)の水性の400Eシリコーン樹脂組成物。ポリシロキサン、白金触媒、および、メチル水素ポリシロキサンから成るV20架橋剤系を含む。
2) Dow Corning(ミシガン州、Midland)の水性のX2−7720シリコーン樹脂組成物。メチルビニルポリシロキサン、および、白金ポリシロキサンから成るX2−7721架橋剤系を含むメチル水素ポリシロキサンから成る。
3)PCL(Phone−Poulenc Inc., サウスカロライナ州、Rock Hill)の水性のPC−105シリコーン樹脂組成物。メチルビニルポリシロキサン、白金ポリシロキサンから成るPC−95の触媒成分を含むメチル水素ポリシロキサンから成る。
4) PCL PC−107水性のシリコーン樹脂組成物(PC−105と類似)。上記のPC−95架橋剤を含む。
5) PCL PC−188水性のシリコーン樹脂組成物(PC−105と類似)。上記のPC−95架橋剤を含む。
なお、水性のシリコーン樹脂組成物とブレンドする脱イオン水の量は、塗布方法およびポリエステルフィルムの上に塗布すべき所望の固形分重量(塗工量)により、適宜設定することができる。
(界面活性剤)
本発明の離型層を形成するための水性塗液は、公知の界面活性剤を含むことが好ましい。水性塗液に界面活性剤が含まれることにより、得られる離型フィルム巻き取り時の帯電を抑制することができる。また、離型フィルムからグリーンシートを剥離する際の剥離帯電を抑制できることから、グリーンシートを積層してセラミック積層コンデンサーを製造する際のシートのズレを抑制することができ、コンデンサーの生産性向上に貢献することができる。また、界面活性剤を添加することにより、水性塗液とポリエステルフィルム表面の濡れ性がよくなり、その結果、局所的な水性塗液のハジキを抑えることができるため、均一塗布ができるばかりか、グリーンシート剥離時の破れによるピンホールを防ぐことができる。
界面活性剤の含有量としては、離型層の全乾燥重量を基準として0.5〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.0〜7.0質量%、特に好ましくは2.0〜5.0質量%の範囲である。界面活性剤の含有量が0.5質量%未満の場合には、剥離帯電が高くなるため好ましくない。また、水性塗液とポリエステルフィルムとの濡れ性も悪くなる。一方で、10質量%を超える場合には、グリーンシートの重剥離の原因となり好ましくない。
離型層を形成するための水性塗液に用いることのできる界面活性剤としては、非イオン系(ノニオン系)界面活性剤が好ましい。アニオン系もしくはカチオン系、あるいは、両性イオン系の界面活性剤のを用いた場合には、これら界面活性剤はシリコーンの触媒毒となってしまうことから、シリコーンが硬化しない場合がある。
非イオン系の界面活性剤の具体例としては、脂肪酸系として、多価アルコールエステル系、EG/PEGエステル系等の脂肪酸エステル系、脂肪酸EO付加系、EO付加脂肪酸メチルエステル系、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。また、アミン系として、アルキルアミン系、アルキルジアミン系、アルキルアミドEO付加体等が挙げられる。高級アルコール系として、EO/PO系、モノオール系ブロックタイプ、天然アルコールタイプ等のポリオキシアルキレングリコール系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。アルキルフェノール系として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。さらに、シリコーン系として、ポリエーテル変性シリコーンとポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられ、それぞれ、直鎖状、分岐状、架橋状が挙げられる。なお、分岐状、架橋状については、さらにアルキル共変性によりアルキル鎖を導入することも可能である。
(離型層中のフィラー)
また、本発明の離型フィルムの離形層は、内添フィラーを含まない部分において2μ□をAFM(原子間力顕微鏡)で測定した場合の表面粗さARaが2〜5nm、ARzが30〜80nmの範囲となるように、フィラーを含むことが好ましい。ARaが2nmより平坦、または、ARzが30nmより平坦となる場合には、ブロッキングが発生してしまい好ましくない。一方で、ARaが5nmより粗く、または、ARzが80nmより粗くなる場合には、セラミックスラリー塗工時にフィラーの脱落により塗工ロールもしくは塗工ダイを汚してしまい、塗布スジを発生させてしまう。
上記のAFMで測定した場合の表面粗さを満足させるためには、例えば、離型層に粒径が10〜120nmのフィラーを存在させる方法が挙げられる。粒径が10nmよりも小さい場合には、塗布厚みに対して粒子が小さすぎてしまい、所望の粗さを得ることが困難となる。一方で、粒径が120nmより大きい場合には、粒子が削れてしまい、セラミックスラリー塗工時に塗布スジを発生させてしまう。離型層に配合するフィラーの粒径は、さらに好ましくは20〜100nmの範囲であり、特に好ましくは30〜80nmnmの範囲である。
シリコーン樹脂組成物からなる水性塗液への当該フィラーの添加にあたっては、粒径10〜120nmのフィラーを含むスラリーを用いて、当該フィラーの含有量が水性塗液の全固形分量に対して0.1〜5質量%となるよう添加することが好ましい。0.1質量%よりも少ない場合には、滑り性が得られないため好ましくない。一方で、5質量%を超える場合には、フィラーが削れてしまい好ましくない。
水性塗液に添加するフィラー含有スラリーのpHは、2〜4の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2.4〜3.7の範囲、もっとも好ましくは2.6〜3.5の範囲である。pHがこの範囲以外の場合には、水性塗液におけるフィラーの安定性が悪く、フィラーが凝集してしまう。
離型層を形成するための水性塗液の塗布厚みとフィラー粒径との関係の好ましい範囲は、フィラーの粒子径をd、水性塗液の塗布厚みをtとすると、0.5≦d/t≦1.0の範囲である。
なお、本発明の離型層に添加されるフィラーの材質としては、アクリル系樹脂を採用することが好ましい。アクリルフィラーは、pH2〜4の水性塗液において安定であり、凝集することなく存在することができる。また、その他のポリスチレン粒子やコアシェル型の有機球状フィラー等であっても、粒径およびスラリーのpHが上記範囲内であれば好ましく使用することができる。しかしながら、シリコーン粒子やシリカ粒子は、水性塗液中のシリコーン樹脂と反応して凝集してしまうため、、塗液の均一塗布が困難となり好ましくない。
(その他の任意成分)
さらに、離型層を形成するための水性塗液には、シランカツプリング剤を添加することもできる。シランカップリング剤としては、ポリエステル樹脂または架橋性シリコーン樹脂のいずれか、もしくは、双方と結合する反応基を持つ有機けい素低分子化合物を挙げることができ、反応基としては、メトキシ基、エトキシ基、シラノール基、ビニル基、エポキシ基、メタアクリル基、アミノ基、メルカプト基、クロル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等を単独種もしくは複数種で一個以上有しているものが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等限定を受けるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
(1)粒子の平均粒径1(ポリエステルフィルム内添フィラー)
島津製作所製、商品名:CP−50型セントリフューグル パーティクルサイズ アナライザー(Centrifugal Particle Size Analyzer)を用いて、ポリエステルフィルムに含まれている粒子について測定を実施した。測定により得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子と、その存在量との積算曲線から、50質量%に相当する粒径である「等価球直径」を読み取り、この値をポリエステルフィルムに含まれている粒子の平均粒径とした(Book「粒度測定技術」日刊工業新聞発行、1975年、頁242〜頁247参照)。
(2)粒子の平均粒径2(塗液に添加するためのフィラー)
塗液に添加するためのフィラーは、小突起を形成している粒子であるため、光散乱法を用いて測定した。具体的には、Nicomp Instruments Inc.社製の商品名:NICOMP MODEL 270 SUBMICRON PARTICLE SIZERを用いて、測定により求められた全粒子の50質量%の点にある粒子の「等価球直径」をもって、塗液に配合するフィラーの平均粒径とした。
(3)3次元表面粗さ(SRa、SRz、SRmax)
JIS規格(B0601:表面粗さ−定義および表示、B0651:触針表面粗さ測定器)に準拠し、3次元表面粗さ計((株)小坂研究所製、商品名:SURF CORDER SE−30C)を使用して、触針先端半径 2μm、倍率:2万倍、走査ピッチ:2μm、走査長:1mm、走査本数:100本、カットオフ:0.25mmの条件にて、中心線粗さSRa、10点平均粗さSRzを測定した。また、最大高さを求め、これを10点測定した結果の平均値をSRmaxとした。
(4)AFMによる表面粗さ(ARa、ARz)
Digital Instruments社製の原子間力顕微鏡(商品名:NanoScopeIII)、および、AFMのJスキャナーを使用して、以下の条件にて2μm×2μmの範囲を10ヶ所測定し、JIS規格(B0601:表面粗さ−定義および表示、B0651:触針表面粗さ測定器)に準拠して、中心線粗さARa、10点平均粗さARzを測定した。
深針 :単結晶シリコンナイトライド
走査モード :タッピングモード
面素数 :256×256データポイント
スキャン速度:2.0Hz
測定環境 :室温、大気中
(5)フィラー含有スラリーのpH
ラコムテスターハンディータイプpH計(型番:EC−PH5)を使用して、25℃におけるフィラー含有スラリーのpHを測定した。
(6)離型層の厚み
TEM(トプコン社製、商品名:LEM−2000)を使用して、加速電圧:100kV、倍率:10万倍の条件にて、10箇所を測定した結果の平均値を離型層の厚みとした。測定試料としては、離型フィルムをミクロトームにて90nmに薄切し、オスミウムにて離型層を染色したものを用いた。
(7)離型フィルムの生産性
離型フィルムの生産性を評価するにあたり、熱固定後の離型フィルムをマザーロールに巻き取った後に、150m/分の速度でスリットを実施した。離型フィルムの生産性として、このとき巻き取ったフィルムのしわの状態、および、ブロッキングの状態にて評価した。さらに別の離型フィルムの生産性評価として、以下に示す特定の状態におけるフィルムロールの剥離帯電位を測定した。
(7−1)しわの状態
以下の評価基準にて評価を実施し、3級までを合格とした。
1級:巻き取り後のフィルムを引き出して手でテンションをかけなくてもしわがみられない。
2級:巻き取り後のフィルムを引き出して手でテンションを軽くかけるとしわが消える。
3級:巻き取り後のフィルムを引き出して手でテンションを強くかけるとしわが消える。
4級:巻き取り後のフィルムを引き出して手でテンションを強くかけてもしわがわずかに残る。
5級:巻き取り後のフィルムを引き出して手でテンションを強くかけてもしわが残る。
(7−2)ブロッキングの状態
以下の評価基準にて、評価を実施した。
○:巻き取ったロールを100m/分のスピードで繰り出したときに貼りつきが見られない。
△:巻き取ったロールを100m/分のスピードで繰り出したとき、貼りつきが見られ、繰り出し時に異音がする。
×:巻き取ったロールを100m/分のスピードで繰り出したとき、貼りつきが見られ、繰り出し時に破れる。
(7−3)ロールの剥離帯電位
フイルムを22℃、44%RHの雰囲気下で、幅450mm、長手方向2000mの巻長にスリットし、引き続き、外径6インチの円筒状コアに巻きつけることによりフィルムロールを作成した。春日電機製、集中電位測定器(商品名:静電電位測定器 SV−10)にて、得られたフィルムロールを100m/分で繰出した時の剥離帯電を測定し、全長の剥離帯電位の範囲を評価した。
(8)離型フィルムを用いた加工適性評価(実用特性代用評価)
離型フィルムの離型層面に、下記組成からなるセラミックスラリーをダイコーターを用いて塗布し、塗布量(乾燥後)が2g/mとなるグリーンシ−トを成形した。離型フィルムを用いた加工適性評価として、このときのセラミックスラリー塗工性について評価を行った。
[セラミックスラリー組成]
・チタン酸バリウム(富士チタン社製、平均粒径:0.7μm):100部
・ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、商品名:エスレックBM−S):30部
・可塑剤(フタール酸ジオクチル):5部
・トルエン/エタノール混合溶媒(混合比率:6:4):200部
[評価基準]
○:スラリーのはじき、塗工スジが発生しない(実用上、問題ないレベル)
△:微小なスラリーのはじき、塗工スジが発生する場合がある(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:スラリーのはじき、塗工むらが発生する(実用上、問題あるレベル)
(9)グリーンシート表面の平坦性評価(実用特性代用評価)
(8)で得られたグリーンシート表面(測定対象面積:1m)につき、走査型レーザー顕微鏡(レーザーテック社製)を用いて表面観察を行い、下記の評価基準にて評価を行った。
○:深さ0.5μm以上のクレーター(凹み)が1個/m以下
(実用上、問題ないレベル)
△:深さ0.5μm以上のクレーター(凹み)が1個/mを超え2個/m未満
(実用上、問題になる場合があるレベル)
×:誘電体層表面に深さ0.5μm以上のクレーター(凹み)が2個/m以上
(実用上、問題あるレベル)
<実施例1>
[ポリエステルの製造]
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部との混合物に、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水塩を、得られるポリエステル中のマンガンの元素量が80ppmとなるように添加し、内温を150℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応が95%となった時点で、安定剤として亜リン酸を0.01部添加し、充分撹拌した後、1μmの金網フィルターにてろ過し、三酸化アンチモンを0.03部添加した。引き続き、系内に混入した水を充分に留出させた後、ポリエステル内添フィラーとして、平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.15質量%になるように添加し、充分に撹拌した。次いで、反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温295℃)にて重縮合を行い、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。
[熱硬化性シリコーン樹脂組成物の調製]
87部の脱イオン水、10部のシリコーンエマルション400E(Wacker Silicones社製、シリコーン:ビニル基を有するメチルポリシロキサン、架橋剤が添加されている場合には、白金触媒と早熟な反応を防止するための禁止剤が併用されている)、1部の架橋剤V72(Wacker Silicones社製、メチル水素ポリシロキサンのエマルションであり、ビニル基を有するメチルポリシロキサンの中の二重結合と反応する)に、0.5部のシランカップリング剤(信越シリコン社性、商品名:KBM−403)、0.5部のアクリルフィラースラリー(日本触媒製、商品名:アクリルフィラーME6U(粒径40nm)の10%スラリー、pH=2.5)(全固形分量対比1質量%)を添加し、さらに、1部の界面活性剤(東レダウコーニング社製、商品名:FZ−77)(全固形分対比2質量%)を添加することにより、水性の熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得た。なお、固形分重量は5質量%であった。
[未延伸フィルムの成形工程]
上記で得られたポリエチレンテレフタレート組成物を、170℃でポリマーの水分率が0.05質量%になるまで5時間乾燥した。引き続き、乾燥されたポリエチレンテレフタレート組成物を押し出し機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターを用いて高精度ろ過した後、さらに30μmのフィルターでろ過し、押出しダイを用いて、静電密着法にて冷却ドラムに接触急冷させることにより、厚さ450μmの未延伸ポリエステルフィルムを得た。
[一次延伸工程]
得られた未延伸フィルムを、78℃で予熱し、引き続き、低速・高速のロール間にてフィルム温度100℃で長手方向に3.6倍に延伸し、その後、急冷することにより縦延伸フィルムを得た。
[熱硬化性シリコーン樹脂組成物の塗布工程]
次いで、得られた縦延伸フィルム上に、上記で調製した水系の熱硬化性シリコーン樹脂組成物からなる塗液を、乾燥後の厚みが30nmになるように塗布した。
[二次延伸工程]
続いて、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の塗布層を有するポリエステルフィルムをステンターに供給し、100℃で予備加熱した後、120℃、135℃、150℃と段階的に温度を上げた3ゾーンで、合計で横方向に4.1倍となるよう延伸を実施し、二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
[熱固定工程]
得られた二軸延伸ポリエステルフィルムにつき、熱固定ゾーンにて220℃で4秒間の熱固定を実施し、引き続き、幅方向に3%の弛緩処理を実施することにより、全厚み31μmの離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを用いて、各種の測定・評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2009143091
<実施例2〜5、比較例1〜2>
ポリエステル内添フィラーの種類と添加量、および、熱硬化性シリコーン樹脂組成物に添加するフィラーの種類と添加量を、表1に示すように変更するほかは、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを用いて、各種の測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
ポリエステルフィルムとして、2層の積層ポリエステルフィルムを用いた。離型層側となるポリエステルの内添フィラーおよび離型層を有さない側となるポリエステルの内添フィラーの種類と添加量を表1のようにして、2種類のポリエステル樹脂組成物を用意し、これら2種類のポリエステル樹脂組成物を共押し出しすることにより、2層の積層ポリエステルフィルムを得た。離型層側となるポリエステルフィルム(平坦な側)に熱硬化性シリコーン樹脂組成物を塗布し、それ以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。得られた離型フィルムを用いて、各種の測定・評価を行った。結果を表1に示す。

Claims (8)

  1. ポリエステルフィルムの一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、
    前記離型層表面の3次元表面粗さは、SRaが5〜15nmであり、SRzが100〜230nmであり、SRmaxが130〜250nmであり、
    前記離型層を有さない側の前記ポリエステルフィルム表面の3次元表面粗さは、SRzが100〜230nmであり、SRmaxが130〜250nmであるグリーンシート成形用離型フィルム。
  2. 前記離型層がシリコーン樹脂組成物からなり、離型層の全乾燥重量を基準として0.5〜10質量%の界面活性剤を含むものである請求項1に記載のグリーンシート成形用離型フィルム。
  3. 前記離型層が、粒径10〜120nmのフィラーをさらに含むものである請求項1または2に記載のグリーンシート成形用離型フィルム。
  4. 前記フィラーが、アクリルフィラーである請求項3に記載のグリーンシート成形用離型フィルム。
  5. 前記離型層が、20〜90nmの厚みである請求項1から4いずれかに記載のグリーンシート成形用離型フィルム。
  6. ポリエステルフィルムの一方の面に離型層を有する離型フィルムの製造方法であって、
    熱硬化性シリコーン樹脂組成物からなる塗液をポリエステルフィルムに塗布し、前記塗液を乾燥硬化させることにより前記離型層を形成する工程を含み、
    前記塗液は、粒径10〜120nmのフィラーを、塗液の全固形分濃度に対して0.1〜5質量%含むものであり、
    前記離型層表面の3次元表面粗さは、SRaが5〜15nmであり、SRzが100〜230nmであり、SRmaxが130〜250nmであり、
    前記ポリエステルフィルムの前記離型層を有さない面の3次元表面粗さは、SRzが100〜230nmであり、SRmaxが130〜250nmである表面を有するグリーンシート成形用離型フィルムの製造方法。
  7. 前記フィラーは、フィラーを含むスラリーを用いて前記塗液に配合されるものであり、
    前記スラリーのpHが、2〜4である請求項6に記載のグリーンシート成形用離型フィルムの製造方法。
  8. 前記塗液における前記熱硬化性シリコーン樹脂の含有量が、0.5〜30質量%である請求項6または7に記載のグリーンシート成形用離型フィルムの製造方法。
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