以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、説明が重複して冗長になるのを避けるため、各図において同一または相当する機能を有する要素には同一符号を付してある。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の構成を示す概略ブロック図であり、表示装置の代表例として液晶表示装置10の全体構成を示している。
液晶表示装置10は、液晶アレイ部20と、ゲート線駆動回路(走査線駆動回路)30と、ソースドライバ40とを備える。後の説明により明らかになるが、本発明の実施の形態に係る双方向シフトレジスタはゲート線駆動回路30に搭載される。
液晶アレイ部20は、行列状に配設された複数の画素25を含む。画素の行(以下「画素ライン」とも称する)の各々にはそれぞれゲート線GL1,GL2,…(総称「ゲート線GL」)が配設され、また、画素の列(以下「画素列」とも称する)の各々にはそれぞれデータ線DL1,DL2,…(総称「データ線DL」)がそれぞれ設けられる。図1には、第1行の第1列および第2列の画素25、並びにこれに対応するゲート線GL1およびデータ線DL1,DL2が代表的に示されている。
各画素25は、対応するデータ線DLと画素ノードNpとの間に設けられる画素スイッチ素子26と、画素ノードNpおよび共通電極ノードNCの間に並列に接続されるキャパシタ27および液晶表示素子28とを有している。画素ノードNpと共通電極ノードNCとの間の電圧差に応じて、液晶表示素子28中の液晶の配向性が変化し、これに応答して液晶表示素子28の表示輝度が変化する。これにより、データ線DLおよび画素スイッチ素子26を介して画素ノードNpへ伝達される表示電圧によって、各画素の輝度をコントロールすることが可能となる。即ち、最大輝度に対応する電圧差と最小輝度に対応する電圧差との間の中間的な電圧差を、画素ノードNpと共通電極ノードNCとの間に印加することによって、中間的な輝度を得ることができる。従って、上記表示電圧を段階的に設定することにより、階調的な輝度を得ることが可能となる。
ゲート線駆動回路30は、所定の走査周期に基づき、ゲート線GLを順に選択して駆動する。本実施の形態では、ゲート線駆動回路30は双方向シフトレジスタにより構成されており、ゲート線GLを活性化させる順番の向きを切り替えることができる。画素スイッチ素子26のゲート電極は、それぞれ対応するゲート線GLと接続される。特定のゲート線GLが選択されている間は、それに接続する各画素において、画素スイッチ素子26が導通状態になり画素ノードNpが対応するデータ線DLと接続される。そして、画素ノードNpへ伝達された表示電圧がキャパシタ27によって保持される。一般的に、画素スイッチ素子26は、液晶表示素子28と同一の絶縁体基板(ガラス基板、樹脂基板等)上に形成されるTFTで構成される。
ソースドライバ40は、Nビットのデジタル信号である表示信号SIGによって段階的に設定される表示電圧を、データ線DLへ出力するためのものである。ここでは一例として、表示信号SIGは6ビットの信号であり、表示信号ビットDB0〜DB5から構成されるものとする。6ビットの表示信号SIGに基づくと、各画素において、26=64段階の階調表示が可能となる。さらに、R(Red)、G(Green)およびB(Blue)の3つの画素により1つのカラー表示単位を形成すれば、約26万色のカラー表示が可能となる。
また、図1に示すように、ソースドライバ40は、シフトレジスタ50と、データラッチ回路52,54と、階調電圧生成回路60と、デコード回路70と、アナログアンプ80とから構成されている。
表示信号SIGにおいては、各々の画素25の表示輝度に対応する表示信号ビットDB0〜DB5がシリアルに生成される。すなわち、各タイミングにおける表示信号ビットDB0〜DB5は、液晶アレイ部20中のいずれか1つの画素25における表示輝度を示している。
シフトレジスタ50は、表示信号SIGの設定が切り換わる周期に同期したタイミングで、データラッチ回路52に対して、表示信号ビットDB0〜DB5の取り込みを指示する。データラッチ回路52は、シリアルに生成される表示信号SIGを順に取り込み、1つの画素ライン分の表示信号SIGを保持する。
データラッチ回路54に入力されるラッチ信号LTは、データラッチ回路52に1つの画素ライン分の表示信号SIGが取り込まれるタイミングで活性化する。データラッチ回路54はそれに応答して、そのときデータラッチ回路52に保持されている1つの画素ライン分の表示信号SIGを取り込む。
階調電圧生成回路60は、高電圧VDHおよび低電圧VDLの間に直列に接続された63個の分圧抵抗で構成され、64段階の階調電圧V1〜V64をそれぞれ生成する。
デコード回路70は、データラッチ回路54に保持されている表示信号SIGをデコードし、当該デコード結果に基づいて各デコード出力ノードNd1,Nd2,…(総称「デコード出力ノードNd」)に出力する電圧を、階調電圧V1〜V64のうちから選択して出力する。
その結果、デコード出力ノードNdには、データラッチ回路54に保持された1つの画素ライン分の表示信号SIGに対応した表示電圧(階調電圧V1〜V64のうちの1つ)が同時に(パラレルに)出力される。なお、図1においては、第1列目および第2列目のデータ線DL1,DL2に対応するデコード出力ノードNd1,Nd2が代表的に示されている。
アナログアンプ80は、デコード回路70からデコード出力ノードNd1,Nd2,…に出力された各表示電圧に対応したアナログ電圧を、それぞれデータ線DL1,DL2,…に出力する。
ソースドライバ40が、所定の走査周期に基づいて、一連の表示信号SIGに対応する表示電圧を1画素ライン分ずつデータ線DLへ出力し、ゲート線駆動回路30がその走査周期に同期してゲート線GL1,GL2,…をこの順あるいはその逆順に駆動することにより、液晶アレイ部20に表示信号SIGに基づいた画像あるいはその反転画像の表示が成される。
なお、図1には、ゲート線駆動回路30およびソースドライバ40が液晶アレイ部20と一体的に形成された液晶表示装置10の構成例を示したが、ゲート線駆動回路30と液晶アレイ部20とを一体的に形成し、ソースドライバ40については液晶アレイ部20の外部回路として設ける、あるいはゲート線駆動回路30、およびソースドライバ40については液晶アレイ部20の外部回路として設けることも可能である。
本実施の形態に係るゲート線駆動回路30の全体的な構成・動作およびその制御信号について説明する。図2は、本実施の形態に係るゲート線駆動回路30の構成を示す図である。このゲート線駆動回路30は、複数段の双方向シフトレジスタにより構成されている。即ち、当該ゲート線駆動回路30は縦続接続(カスケード接続)したn個の双方向単位シフトレジスタSR1,SR2,…,SRnから成っている(以下、縦続接続するシフトレジスタSR1,SR2,…,SRnを「単位シフトレジスタSR」と総称することもある)。単位シフトレジスタSRは、1つの画素ラインすなわち1つのゲート線GL毎に1つずつ設けられる。
図2に示すクロック信号発生器31は、クロック信号CLK,/CLK,CLKn,/CLKn,CLKr,/CLKrをゲート線駆動回路30の各単位シフトレジスタSRに供給するものである。クロック信号CLK,/CLKは、互いに相補な(Hレベルになる期間(活性期間)が重ならない)信号であり、表示装置の走査周期に同期したタイミングで活性化されるように制御されている。
クロック信号CLKn,/CLKnは、ゲート線駆動回路30が図3のように前段から後段への向き(単位シフトレジスタSR1,SR2,SR3,…の順(この向きを「順方向」と定義する))に信号をシフトする場合に、それぞれクロック信号CLK,/CLKと同じタイミングで活性化される。また図4のように、後段から前段への向き(単位シフトレジスタSRn,SRn-1,SRn-2,…の順(この向きを「逆方向」と定義する))に信号をシフトさせる場合には、非活性状態(Lレベルに固定)になる。
一方、クロック信号CLKr,/CLKrは、ゲート線駆動回路30が図3のように順方向シフトを行う場合に非活性状態(Lレベルに固定)になり、図4のように逆方向シフトを行う場合には、それぞれクロック信号CLK,/CLKと同じタイミングで活性化される。
このようにクロック信号CLKn,/CLKnは、順方向シフト時のみに活性化し、クロック信号CLKr,/CLKrは、逆方向シフト時のみに活性化する。以下では、クロック信号CLKn,/CLKnを「順方向クロック」称し、クロック信号CLKr,/CLKrを「逆方向クロック」と称する。
図5(a),(b)に、クロック信号発生器31の構成例を示す。同図は、互いに相補な基本クロック信号CLK0,/CLK0を用いて、上記のクロック信号CLK,/CLK、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrを生成する回路を示している。
同図の如く、クロック信号CLK,/CLK、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrは、クロック信号発生器31の端子COUT1〜COUT6からそれぞれ出力されるものとする。また同図の第1電源端子S1には、Lレベルの電位(低電位側電源電位VSS)が供給されている。
スイッチSW1は、クロック信号CLKの位相を切り換える役割をしており、端子COUT1に基本クロック信号CLK0,/CLK0のいずれかを選択的に供給する。スイッチSW2は、クロック信号/CLKの位相を切り換えるものであり、端子COUT2に、基本クロック信号CLK0,/CLK0のうち端子COUT1とは逆相のものを供給する。
スイッチSW3は、順方向クロックCLKnの状態を切り替えるものであり、端子COUT3の接続先を端子COUT1または第1電源端子S1にする。スイッチSW4は、順方向クロック/CLKnの状態を切り替えるものであり、端子COUT4の接続先を端子COUT2または第1電源端子S1にする。スイッチSW5は、逆方向クロックCLKrの状態を切り替えるものであり、端子COUT5の接続先を端子COUT1または第1電源端子S1にする。スイッチSW6は、逆方向クロック/CLKrの状態を切り替えるものであり、端子COUT6の接続先を端子COUT2または第1電源端子S1にする。
図5(a)は順方向シフト時の状態を示している。スイッチSW1は、端子COUT1に、クロック信号CLKとして基本クロック信号CLK0を供給し、スイッチSW2は、端子COUT2に、クロック信号/CLKとして基本クロック信号/CLK0を供給する。スイッチSW3は、端子COUT3を端子COUT1に接続して、当該端子COUT3に順方向クロックCLKnとしてクロック信号CLKを供給する。スイッチSW4は、端子COUT4を端子COUT2に接続させ、当該端子COUT4に順方向クロック/CLKnとしてクロック信号/CLKを供給する。またスイッチSW5,SW6は、端子COUT5,COUT6を第1電源端子S1に接続させ、逆方向クロックCLKr,/CLKrをLレベルに固定する。
図5(b)は逆方向シフト時の状態を示している。スイッチSW1は、端子COUT1に、クロック信号CLKとして基本クロック信号/CLK0を供給し、スイッチSW2は、端子COUT2に、クロック信号/CLKとして基本クロック信号CLK0を供給する。これにより、クロック信号CLK,/CLKの位相が入れ代わる。スイッチSW3,SW4は、端子COUT3,COUT4を第1電源端子S1に接続させ、順方向クロックCLKn,/CLKnをLレベルに固定する。そしてスイッチSW5は、端子COUT5を端子COUT1に接続して、当該端子COUT5に逆方向クロックCLKrとしてクロック信号CLKを供給する。スイッチSW6は、端子COUT6を端子COUT2に接続させ、当該端子COUT6に逆方向クロック/CLKrとしてクロック信号/CLKを供給する。
クロック信号発生器31が、図5(a),(b)のように動作することにより、クロック信号CLK,/CLK、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrのそれぞれが、図3、図4に示したように、信号のシフト方向に応じた挙動となる。
また図5(a),(b)のような回路を用いれば、クロック信号発生器31は、2つの基本クロック信号CLK0,/CLK0のみを用いて、クロック信号CLK,/CLK、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrという6つの信号を生成することができるため、コストの低減を図ることができる。もちろん、クロック信号発生器31が、それら6つの信号をそれぞれ独立に生成するものであっても、ゲート線駆動回路30の動作には問題はない。
図2に示すスタート/エンド信号発生器32は、ゲート線駆動回路30に信号のシフト動作を開始させるスタート信号、およびそれを終了させるエンド信号EDを、ゲート線駆動回路30の最前段(単位シフトレジスタSR1)あるいは最後段(単位シフトレジスタSRn)に供給するものである。スタート信号は映像信号のフレーム周期の先頭に対応したタイミングで活性化され、エンド信号は同フレーム期間の末尾に同期したタイミングで活性化される。
スタート/エンド信号発生器32は、2つのスタート信号STn,STr、および2つのエンド信号EDn,EDrを出力する。順方向シフト時には、それらのうちスタート信号STnおよびエンド信号EDnが活性化され、スタート信号STrおよびエンド信号EDrは非活性状態(Lレベルに固定)になる(図3参照)。逆方向シフト時には、スタート信号STrおよびエンド信号EDrが活性化され、スタート信号STnおよびエンド信号EDnは非活性状態になる(図4参照)。以下、スタート信号STnを「順方向スタート信号」、エンド信号EDnを「順方向エンド信号」と称し、スタート信号STrを「逆方向スタート信号」、エンド信号EDrを「逆方向エンド信号」と称する。
図6(a),(b)にスタート/エンド信号発生器32の構成例を示す。同図は、基本となる通常のスタート信号STおよびエンド信号ED(各フレーム期間の先頭および末尾にそれぞれ対応するもの)を用いて、上記の順方向スタート信号STn、順方向エンド信号EDn、逆方向スタート信号STrおよび逆方向エンド信号EDrを生成する回路を示している。
同図の如く、順方向スタート信号STn、順方向エンド信号EDn、逆方向スタート信号STrおよび逆方向エンド信号EDrは、それぞれスタート/エンド信号発生器32の端子SOUT1,EOUT1,SOUT2,EOUT2から出力されるものとする。同図においても第1電源端子S1には、Lレベルの電位(低電位側電源電位VSS)が供給されている。
スイッチSW7は、順方向スタート信号STnの状態を切り替えるものであり、端子SOUT1の接続先をスタート信号STまたは第1電源端子S1にする。スイッチSW8は、順方向エンド信号EDnの状態を切り替えるものであり、端子EOUT1の接続先をエンド信号EDまたは第1電源端子S1にする。スイッチSW9は、逆方向スタート信号STrの状態を切り替えるものであり、端子SOUT2の接続先をスタート信号STまたは第1電源端子S1にする。スイッチSW10は、逆方向エンド信号EDrの状態を切り替えるものであり、端子EOUT2の接続先をエンド信号EDまたは第1電源端子S1にする。
図6(a)は順方向シフト時の状態を示している。スイッチSW7は、端子SOUT1に順方向スタート信号STnとしてスタート信号STを供給する。スイッチSW8は、端子EOUT1に順方向エンド信号EDnとしてエンド信号EDを供給する。またスイッチSW9,SW10は、端子SOUT2,EOUT2を第1電源端子S1に接続させ、逆方向スタート信号STrおよび逆方向エンド信号EDrをLレベルに固定する。
図6(b)は逆方向シフト時の状態を示している。スイッチSW7,SW8は、端子SOUT1,EOUT1を第1電源端子S1に接続させ、順方向スタート信号STnおよび順方向エンド信号EDnをLレベルに固定する。スイッチSW9は、端子SOUT2に逆方向スタート信号STrとしてスタート信号STを供給する。スイッチSW10は、端子EOUT2に逆方向エンド信号EDrとしてエンド信号EDを供給する。
スタート/エンド信号発生器32が、図6(a),(b)のように動作することにより、順方向スタート信号STn、順方向エンド信号EDn、逆方向スタート信号STrおよび逆方向エンド信号EDrのそれぞれが、図3,図4に示したように、信号のシフト方向に応じた挙動となる。
また図6(a),(b)のような回路を用いれば、スタート/エンド信号発生器32は、通常のスタート信号STおよびエンド信号EDのみを用いて、順方向スタート信号STn、順方向エンド信号EDn、逆方向スタート信号STrおよび逆方向エンド信号EDrという4つの信号を生成することができるため、コストの低減を図ることができる。もちろん、スタート/エンド信号発生器32が、それら4つの信号をそれぞれ独立に生成するものであっても、ゲート線駆動回路30の動作には問題はない。
なお、図5のクロック信号発生器31および図6のスタート/エンド信号発生器32が備えるスイッチSW1〜SW10の切り換えは、プログラムあるいは配線の接続変更により、信号のシフト方向に応じて行われる。配線の接続変更による切り換えは、表示装置の製造前にシフトの方向を一方向に固定するような場合に有効である。またプログラムによる切り換えは、表示装置の製造後にシフト方向を一方向に固定する、あるいは表示装置の使用中にシフト方向を変更できるようにするような場合に有効である。
再び図2を参照する。各双方向単位シフトレジスタSRは、2つの入力端子(順方向入力端子INn(第1入力端子)および逆方向入力端子INr(第2入力端子))と、3つの出力端子(出力端子OUT(第1出力端子)、順方向出力端子OUTn(第2出力端子)および逆方向出力端子OUTr(第3出力端子))と、2つのリセット端子(順方向リセット端子RSTn(第1リセット端子)および逆方向リセット端子RSTr(第2リセット端子))と、4つのクロック端子(第1および第2クロック端子CK1,CK2、第1順方向クロック端子CK1n並びに第1逆方向クロック端子CK1r)とを備える。各端子の機能については後述することとし、ここでは各単位シフトレジスタSRにおける接続関係を説明する。
各単位シフトレジスタSRにおいて、第1および第2クロック端子CK1,CK2には、互いに位相が異なるクロック信号がそれぞれ入力される。本実施の形態では図2の如く、第1および第2クロック端子CK1,CK2には、クロック信号発生器31からのクロック信号CLK、/CLKのいずれかが供給される。図2の例では、奇数段(単位シフトレジスタSR1,SR3,…,SRn-1)では、第1クロック端子CK1にクロック信号CLKが、第2クロック端子CK2にクロック信号/CLKがそれぞれ入力される。また偶数段(単位シフトレジスタSR2,SR4,…,SRn)では、第1クロック端子CK1にクロック信号/CLKが、第2クロック端子CK2にクロック信号CLKがそれぞれ入力される。
一方、各単位シフトレジスタSRの第1順方向クロック端子CK1nには、順方向クロックCLKn,/CLKnのいずれかが入力される。図2の例では、奇数段に順方向クロックCLKnが、偶数段に順方向クロック/CLKnがそれぞれ入力される。また各単位シフトレジスタSRの第1逆方向クロック端子CK1rには、逆方向クロックCLKr,/CLKrの何れかが入力される。図2の例では、奇数段に逆方向クロックCLKrが、偶数段に逆方向クロック/CLKrがそれぞれ入力される。
また、各単位シフトレジスタSRの出力端子OUTにはそれぞれゲート線GLが接続する。つまり、出力端子OUTから出力される信号Gは、ゲート線GLを活性化するための垂直(水平)走査パルスとなる。
各単位シフトレジスタSRの順方向出力端子OUTnは、自己の次段の順方向入力端子INn並びに自己の前段の順方向リセット端子RSTnに接続される。また、逆方向出力端子OUTrは、自己の前段の逆方向入力端子INr並びに自己の次段の逆方向リセット端子RSTrに接続される。言い換えれば、各単位シフトレジスタSRの順方向入力端子INnは自己の前段の順方向出力端子OUTnに、順方向リセット端子RSTnは自己の後段の順方向出力端子OUTnに、逆方向入力端子INrは自己の後段の逆方向出力端子OUTrに、逆方向リセット端子RSTrは自己の前段の逆方向出力端子OUTrにそれぞれ接続される。
但し、最前段である単位シフトレジスタSR1においては、順方向入力端子INnに順方向スタート信号STnが入力され、逆方向リセット端子RSTrに逆方向エンド信号EDrが入力される。また、最後段である単位シフトレジスタSRnにおいては、逆方向入力端子INrに逆方向スタート信号STrが入力され、順方向リセット端子RSTnに順方向エンド信号EDnが入力される。
本実施の形態では、各単位シフトレジスタSRを構成するトランジスタは、全て同一導電型の電界効果トランジスタであり、ここでは全てN型のa−Si TFTであるものとする。N型TFTは、ゲートがHレベルになると活性(オン)状態となり、Lレベルで非活性(オフ)状態となる。但し、単位シフトレジスタはP型トランジスタで構成することも可能であり、P型トランジスタの場合はゲートがLレベルになると活性(オン)状態となり、Hレベルで非活性(オフ)状態となる。また本発明はa−Si TFTで構成されたシフトレジスタだけでなく、例えば有機TFTで構成されたものに対しても適用可能である。
図7〜図9は、本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。図7はゲート線駆動回路30の中間段(単位シフトレジスタSR2〜SRn-1)に属する第k段目の単位シフトレジスタSRkを、図8は最前段である単位シフトレジスタSR1を、図9は最後段である単位シフトレジスタSRnをそれぞれ示している。最前段、中間段、最後段とで入力される信号が若干異なるものの、基本的に単位シフトレジスタSR1〜SRnの回路構成は全て同じである。
なお、図7に示す単位シフトレジスタSRkでは、第1クロック端子CK1にクロック信号CLKが、第2クロック端子CK2にクロック信号/CLKが、第1順方向クロック端子CK1nに順方向クロックCLKnが、第1逆方向クロック端子CK1rに逆方向クロックCLKrがそれぞれ入力されている。つまり図7の単位シフトレジスタSRkは奇数段である(図2参照)。先に述べたように、偶数段では、第1クロック端子CK1にクロック信号/CLKが、第2クロック端子CK2にクロック信号CLKが、第1順方向クロック端子CK1nに順方向クロック/CLKnが、第1逆方向クロック端子CK1rに逆方向クロック/CLKrがそれぞれ入力される。回路構成は偶数段も奇数段も同じなので、偶数段の回路の図示は省略する。
単位シフトレジスタSR1〜SRnは全て同じ構成であるので、ここでは代表的に図7の単位シフトレジスタSRkを参照してその構成を説明する。図7のように、単位シフトレジスタSRkは、図2に示した各端子の他に、低電位電源電位VSSが供給される第1電源端子S1を有している(図5,図6の第1電源端子S1と共通でよい)。以下の説明では、低電位電源電位VSSを回路の基準電位(=0V)とするが、実際の画像表示装置の基準電位は、画素に書き込まれる表示信号の電圧を基準にして設定され、例えば−12Vなどと設定される。その場合、クロック信号CLK、/CLKをはじめとする各制御信号のLレベルも−12Vとされ、Hレベルは例えば17V程度に設定される。
単位シフトレジスタSRkは、それぞれが1段のシフトレジスタとしての機能を備える3つの回路、即ちゲート線駆動部41(第1要素シフトレジスタ)、順方向シフト部42(第2要素シフトレジスタ)および逆方向シフト部43(第3要素シフトレジスタ)とから成っている。
ゲート線駆動部41は、出力端子OUTから信号Gk(第1出力信号)を出力する。出力端子OUTは対応するゲート線GLkに接続されており、信号Gkはゲート線GLkの駆動に使用される。以下、単位シフトレジスタSRの出力端子OUTから出力される信号Gを「ゲート線駆動信号」と称する。通常、ゲート線GLは比較的大きな寄生容量を有しており、それを高速に充放電できるよう、ゲート線駆動部41は一定以上の駆動能力を有している。
一方、順方向シフト部42並びに逆方向シフト部43は、当該ゲート線駆動回路30における信号のシフト方向を制御する働きをする。順方向シフト部42の順方向出力端子OUTnから出力される信号Gnk(第2出力信号)および、逆方向シフト部43の逆方向出力端子OUTrから出力される信号Grk(第3出力信号)は、シフト方向の制御信号として使用される。以下、各単位シフトレジスタSRから出力される信号Gnを「順方向信号」、信号Grを「逆方向信号」と称する。
図7から分かるように、順方向シフト部42と逆方向シフト部43とは同一の回路構成である。しかし両者は信号のシフト方向が互いに異なっている。順方向シフト部42は、専ら順方向シフトの動作を行うものであり、逆方向シフト部43は、専ら逆方向シフトの動作を行うものである。つまり、順方向シフト部42は、前段の順方向信号Gnk-1信号が活性化したとき、それに続いて順方向信号Gnkを活性化させるように動作し、逆方向シフト部43は、次段の逆方向信号Grk+1が活性化したとき、それに続いて逆方向信号Grkを活性化させるように動作する。
それに対し、上記のゲート線駆動部41は、順方向信号Gnについての順方向シフトと、逆方向信号Grについての逆方向シフトの両方を行う。つまり単位シフトレジスタSRkのゲート線駆動部41は、順方向入力端子INnに入力される前段の順方向信号Gnk-1が活性化されたときと、逆方向入力端子INrに入力される次段の逆方向信号Grk+1が活性化されたときの両方に、それに続いてゲート線駆動信号Gkを活性化させる。
ゲート線駆動部41の回路構成を説明する。ゲート線駆動部41の出力端子OUTにはトランジスタQ1,Q2A,Q2Bが接続している。トランジスタQ1(第1トランジスタ)は、出力端子OUTと第1クロック端子CK1との間に接続する。即ちトランジスタQ1は、第1クロック端子CK1に入力されるクロック信号を出力端子OUTへ供給するトランジスタである。トランジスタQ2A,Q2Bは共に出力端子OUTと第1電源端子S1との間に接続する。即ちトランジスタQ2A,Q2Bは、出力端子OUTを放電するトランジスタである。ここで、トランジスタQ1のゲートが接続するノード(ゲートノード)を「ノードN1」と定義する。
トランジスタQ1のゲート・ソース間すなわちノードN1と出力端子OUTとの間には容量素子C1が設けられている。この容量素子C1は、出力端子OUTとノードN1とを容量結合し、出力端子OUTのレベル上昇に伴うノードN1の昇圧効果を高めるためのものである。但し、容量素子C1は、トランジスタQ1のゲート・チャネル間容量が充分大きい場合にはそれで置き換えることができ、その場合には省略してもよい。
トランジスタQ1は、ノードN1に接続したトランジスタQ3Dn,Q4Dn,Q3Dr,Q4Drから成る回路によって駆動される。トランジスタQ3Dnは、ノードN1と順方向入力端子INnとの間に接続し、ゲートが順方向入力端子INnに接続している。即ち、トランジスタQ3Dnは、順方向入力端子INn側がアノード、ノードN1側がカソードとなるようにダイオード接続されている。従って、トランジスタQ3Dnは、前段の順方向信号Gnk-1に応じてノードN1を充電するよう機能する。トランジスタQ4Dnは、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートが順方向リセット端子RSTnに接続している。よってトランジスタQ4Dnは、次段の順方向信号Gnk+1に応じてノードN1を放電するよう機能する。
トランジスタQ3Drは、ノードN1と逆方向入力端子INrとの間に接続し、ゲートが逆方向入力端子INrに接続している。即ち、トランジスタQ3Drは、逆方向入力端子INr側がアノード、ノードN1側がカソードとなるようにダイオード接続されている。従って、トランジスタQ3Drは、次段の逆方向信号Grk+1に応じてノードN1を充電するよう機能する。トランジスタQ4Drは、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートが逆方向リセット端子RSTrに接続している。よってトランジスタQ4Drは、前段の逆方向信号Grk-1に応じてノードN1を放電するよう機能する。
またゲート線駆動部41は、ノードN1を入力端とするインバータを備えている。当該インバータは、容量素子C2とトランジスタQ6とから成っており、当該容量素子C2を負荷素子とする容量性負荷型のインバータである。但し、当該インバータは、第1クロック端子CK1に入力されるクロック信号が電源として供給されている点で、通常のインバータとは異なる。
当該インバータの出力端を「ノードN2」と定義すると、容量素子C2は、ノードN2と第1クロック端子CK1との間に接続している(即ちノードN2は、容量素子C2(負荷)を介して第1クロック端子CK1に接続している)。当該容量素子C2は、インバータの負荷素子であると共に、その出力端(ノードN2)と第1クロック端子CK1との間の結合容量としても機能する。またトランジスタQ6は、ノードN2と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートが当該インバータの入力端であるノードN1に接続している。つまりトランジスタQ6は、ノードN1のレベルにより制御され、ノードN2を放電するものである。
当該インバータの電源は第1クロック端子CK1に入力されるクロック信号であり、また容量素子C2が第1クロック端子CK1とノードN2とを容量結合させるので、当該インバータは、第1クロック端子CK1に入力されるクロック信号に同期して活性化される交流的な動作を行う。具体的には、第1クロック端子CK1に入力されるクロック信号が活性化される(Hレベルになる)と、当該インバータは、ノードN1のレベルを反転させてノードN2に出力する。しかし第1クロック端子CK1に入力されるクロック信号が非活性(Lレベル)のときには、ノードN1のレベルに関係なくノードN2はLレベルになる。
トランジスタQ2AのゲートはノードN2に接続される。つまりトランジスタQ2Aは、容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータにより駆動される。一方、トランジスタQ2Bのゲートは、第2クロック端子CK2に接続される。第2クロック端子CK2には、第1クロック端子CK1に入力されるものとは位相が異なるクロック信号が入力される。単位シフトレジスタSRkでは、第1クロック端子CK1にクロック信号CLKが、第2クロック端子CK2にクロック信号/CLKがそれぞれ入力されている。
さらにゲート線駆動部41は、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートがノードN2に接続したトランジスタQ5を備えている。つまりトランジスタQ5は、容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータの出力により制御され、ノードN1を放電するトランジスタである。
次に、順方向シフト部42および逆方向シフト部43の構成を説明する。順方向シフト部42および逆方向シフト部43は共に同じ回路構成であり、その構成はゲート線駆動部41に類似している(図7では、ゲート線駆動部41と順方向シフト部42とで同様に機能する要素には、「D」、「n」、「r」等の添え字を除いて共通した符号を付してある)。
順方向シフト部42の順方向出力端子OUTnには、トランジスタQ1n,Q2An,Q2Bnが接続している。トランジスタQ1nは、順方向出力端子OUTnと第1順方向クロック端子CK1nとの間に接続する。即ちトランジスタQ1nは、第1順方向クロック端子CK1nに入力されるクロック信号(順方向クロック)を順方向出力端子OUTnへ供給するトランジスタである。単位シフトレジスタSRkの第1順方向クロック端子CK1nには順方向クロックCLKnが入力されている。
トランジスタQ2An,Q2Bnは共に順方向出力端子OUTnと第1電源端子S1との間に接続する。よってトランジスタQ2An,Q2Bnは、順方向出力端子OUTnを放電するよう機能する。ここで、トランジスタQ1nのゲートノードを「ノードN1n」と定義する。
トランジスタQ1nのゲート・ソース間すなわちノードN1nと順方向出力端子OUTnとの間には容量素子C1nが設けられている。この容量素子C1nは、順方向出力端子OUTnのレベル上昇に伴うノードN1nの昇圧効果を高めるためのものである。この容量素子C1nも、トランジスタQ1nのゲート・チャネル間容量が充分大きい場合にはそれで置き換えることができ、その場合には省略してもよい。
トランジスタQ1nは、ノードN1nに接続したトランジスタQ3n,Q4nから成る回路によって駆動される。トランジスタQ3nは、ノードN1nと順方向入力端子INnとの間に接続し、ゲートが順方向入力端子INnに接続している。即ち、トランジスタQ3nは、順方向入力端子INn側がアノード、ノードN1n側がカソードとなるようにダイオード接続されている。従って、トランジスタQ3nは、前段の順方向信号Gnk-1に応じてノードN1nを充電するよう機能する。トランジスタQ4nは、ノードN1nと第1電源端子S1との間に接続し、ゲートが順方向リセット端子RSTnに接続している。よってトランジスタQ4nは、次段の順方向信号Gnk+1が活性化したときに、それに応じてノードN1nを放電するよう機能する。
本実施の形態において、順方向シフト部42自体はインバータを含んでいないが、ゲート線駆動部41の容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータの出力が、順方向シフト部42にも共有されている。つまりトランジスタQ2Anは、ゲート線駆動部41が備えるインバータの出力端であるノードN2に接続される。また、ノードN1nと第1電源端子S1との間に接続するトランジスタQ5nのゲートもノードN2に接続される。トランジスタQ2Bnのゲートは、第2クロック端子CK2に接続される。
一方、逆方向シフト部43の逆方向出力端子OUTrには、トランジスタQ1r,Q2Ar,Q2Brが接続している。トランジスタQ1rは、逆方向出力端子OUTrと第1逆方向クロック端子CK1rとの間に接続する。即ちトランジスタQ1rは、第1逆方向クロック端子CK1rに入力されるクロック信号(逆方向クロック)を逆方向出力端子OUTrへ供給するトランジスタである。トランジスタQ2Ar,Q2Brは共に逆方向出力端子OUTrと第1電源端子S1との間に接続する。即ちトランジスタQ2Ar,Q2Brは、逆方向出力端子OUTrを放電するトランジスタである。ここで、トランジスタQ1rのゲートノードを「ノードN1r」と定義する。
トランジスタQ1rのゲート・ソース間すなわちノードN1rと逆方向出力端子OUTrとの間には容量素子C1rが設けられている。この容量素子C1rは、逆方向出力端子OUTrのレベル上昇に伴うノードN1rの昇圧効果を高めるためのものである。この容量素子C1rも、トランジスタQ1rのゲート・チャネル間容量が充分大きい場合にはそれで置き換えることができ、その場合には省略してもよい。
トランジスタQ1rは、ノードN1rに接続するトランジスタQ3r,Q4rから成る回路によって駆動される。トランジスタQ3rは、ノードN1rと逆方向入力端子INrとの間に接続し、ゲートが逆方向入力端子INrに接続している。即ち、トランジスタQ3rは、逆方向入力端子INr側がアノード、ノードN1r側がカソードとなるようにダイオード接続されている。従って、トランジスタQ3rは、前段の逆方向信号Grk-1に応じてノードN1rを充電するよう機能する。トランジスタQ4rは、ノードN1rと第1電源端子S1との間に接続し、逆方向リセット端子RSTrに接続している。よってトランジスタQ4rは、次段の逆方向信号Grk+1が活性化したときに、それに応じてノードN1rを放電するよう機能する。
逆方向シフト部43もインバータを含んでいないが、ゲート線駆動部41のインバータの出力が、逆方向シフト部43にも共有されている。つまりトランジスタQ2Arは、ゲート線駆動部41が備えるインバータの出力端であるノードN2に接続される。また、ノードN1rと第1電源端子S1との間に接続するトランジスタQ5rのゲートもノードN2に接続される。トランジスタQ2Brのゲートは、第2クロック端子CK2に接続される。
以上が、図7に示した単位シフトレジスタSRkの構成である。図8および図9に示した単位シフトレジスタSR1,SRnもそれと同様の構成である。但し、図2を用いて説明したように、最前段である単位シフトレジスタSR1においては、順方向入力端子INnに順方向スタート信号STnが入力され、逆方向リセット端子RSTrに逆方向エンド信号EDrが入力される。また、最後段である単位シフトレジスタSRnにおいては、逆方向入力端子INrに逆方向スタート信号STrが入力され、順方向リセット端子RSTnに順方向エンド信号EDnが入力される。
次に、本実施の形態に係る双方向単位シフトレジスタSRの動作について説明する。以下では簡単のため、クロック信号CLK,/CLK、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKr、順方向スタート信号STn、順方向エンド信号EDn、逆方向スタート信号STr、並びに逆方向エンド信号EDrのHレベルおよびLレベルの電位はそれぞれ互いに等しいものとする。そして、そのHレベルの電位は高電位側電源電位VDDであり、Lレベルの電位は低電位側電源電位VSS(=0V)であるとする。さらに、単位シフトレジスタSRを構成するトランジスタのしきい値電圧は全て等しいと仮定し、その値をVthとする。
単位シフトレジスタSR1〜SRnの動作は基本的に全て同じであるので、ここでも代表的に、図7に示した第k段目の単位シフトレジスタSRkの動作について説明する。ここでも単位シフトレジスタSRkは図2の奇数段であると仮定し、第1クロック端子CK1には、図4の如くクロック信号CLKが入力され、第2クロック端子CK2にはクロック信号/CLKが入力されるものとする。またその第1順方向クロック端子CK1nには順方向クロックCLKnが、第1逆方向クロック端子CK1rには逆方向クロックCLKrがそれぞれ入力されるものとする。
まず、単位シフトレジスタSRkの順方向シフト時の動作を説明する。図10は、単位シフトレジスタSRkの順方向シフト時の動作を示すタイミング図である。なお、同図ではクロック信号CLKの活性期間(Hレベルになる期間)とクロック信号/CLKの活性期間との間に一定の間隔を設けた例を示しているが、この間隔は無くてもよい。即ち、クロック信号CLKが立ち上がるのと同時にクロック信号/CLKが立ち下がり、クロック信号CLKが立ち下がるのと同時にクロック信号/CLKが立ち上がるような2相クロックでよい。
順方向シフト時には、クロック信号発生器31から供給される順方向クロックCLKn,/CLKnは、それぞれクロック信号CLK,/CLKと同じタイミングで活性化し、逆方向クロックCLKr,/CLKrはLレベルに固定される。逆方向シフト部43が出力する逆方向信号Grkは、逆方向クロックCLKrに応じて活性化されるものであるので、順方向シフト時には逆方向信号Grkは常にLレベルである。
初期状態の単位シフトレジスタSRkとして、ゲート線駆動部41のノードN1、順方向シフト部42のノードN1nおよび逆方向シフト部43のノードN1rが、それぞれLレベルである状態を仮定する。以下では、ノードN1、ノードN1nおよびノードN1rがLレベルである状態を、ゲート線駆動部41、順方向シフト部42および逆方向シフト部43それぞれの「リセット状態」と称する。ノードN1がLレベルのときにはトランジスタQ6はオフであるので、ノードN2はフローティング状態になるが、この初期状態ではノードN2はLレベル(VSS)であると仮定する。またこのときクロック信号CLK,/CLKはいずれもLレベルであるとする。
上記初期状態から、クロック信号/CLKおよび順方向クロック/CLKnがHレベルになる時刻t1で、図10の如く前段の単位シフトレジスタSRk-1からゲート線駆動信号Gk-1および順方向信号Gnk-1がHレベルになったとする。このとき単位シフトレジスタSRkでは、クロック信号/CLKがHになったことで、トランジスタQ2B,Q2Bn,Q2Brがオンする。また前段の順方向信号Gnk-1がHレベルになったことで、トランジスタQ3Dn,Q3nがオンし、ノードN1,N1nがそれぞれ充電されてHレベル(VDD−Vth)になる。応じて、トランジスタQ1,Q1nがオンになる。以下、ノードN1、ノードN1nおよびノードN1rがHレベルである状態を、ゲート線駆動部41、順方向シフト部42および逆方向シフト部43それぞれの「セット状態」と称する。
このようにトランジスタQ1,Q1n,Q2B,Q2Bn,Q2Brがオン状態になるので、出力端子OUT、順方向出力端子OUTnおよび逆方向出力端子OUTrはそれぞれ低インピーダンスのLレベルになる。出力端子OUT、順方向出力端子OUTnおよび逆方向出力端子OUTrが低インピーダンスでLレベルにされている間は、ノイズ等の影響により、誤信号としてのゲート線駆動信号Gk、順方向信号Gnkおよび逆方向信号Grkが出力されることが防止される。
またノードN1がHレベルであるので、トランジスタQ6がオンし、ノードN2も低インピーダンスのLレベルになる。よってこのときトランジスタQ2A,Q2An,Q2Ar,Q5,Q5n,Q5rはオフに維持される。
時刻t2で、クロック信号/CLKおよび順方向クロック/CLKnがLレベルになると、前段のゲート線駆動信号Gk-1および順方向信号Gnk-1もLレベルになる。よってトランジスタQ2B,Q2Bn,Q2Br,Q3Dn,Q3nがオフになる。ノードN1,N1nはフローティング状態でHレベルに維持され、トランジスタQ1,Q1nのオン状態は続き、出力端子OUT、順方向出力端子OUTnは低インピーダンスのLレベルに維持される。またトランジスタQ6のオンも維持されるので、ノードN2も低インピーダンスのLレベルに維持される。但し、トランジスタQ1rはオフであるので、ノードOUTrは高インピーダンスのLレベルとなる。
時刻t3で、クロック信号CLKおよび順方向クロックCLKnがHレベルになると、ゲート線GLkの選択動作が開始される。即ち、クロック信号CLKおよび順方向クロックCLKnのHレベルが、それぞれオン状態のトランジスタQ1,Q1nを介して出力端子OUTおよび順方向出力端子OUTnに伝達され、ゲート線駆動信号Gkおよび順方向信号GnkがHレベルとなる。
このとき、容量素子C1,C1nを介する結合により、ノードN1,N1nがそれぞれ昇圧され、それらの電位は共に2×VDD−Vthにまで上昇する。その結果、トランジスタQ1,Q1nは非飽和領域の動作(非飽和動作)となり、ゲート線駆動信号Gkおよび順方向信号Gnkの電位は、クロック信号CLKおよび順方向クロックCLKnと同じVDDにまで上昇する。
ゲート線駆動信号Gkは、対応するゲート線GLkに供給され、当該ゲート線GLkを活性化する。一方、順方向信号Gnkは、次段(単位シフトレジスタSRk+1)の順方向入力端子INnに供給され、当該次段のゲート線駆動部41および順方向シフト部42をセット状態にする。また順方向信号Gnkは、前段(単位シフトレジスタSRk-1)の順方向リセット端子RSTnにも供給され、当該前段のゲート線駆動部41および順方向シフト部42をリセット状態にする。
なお時刻t3では、クロック信号CLKの立ち上がり時に、容量素子C2を介する結合によって、ノードN2のレベルが上昇しようとするが、トランジスタQ6がオンしているのでそのレベル上昇はすぐに引き下げられ、当該単位シフトレジスタSRkの動作には影響しない。
時刻t4で、クロック信号CLKおよび順方向クロックCLKnがLレベルになると、出力端子OUTおよび順方向出力端子OUTnがそれぞれトランジスタQ1,Q1nを通して放電されて、ゲート線駆動信号Gkおよび順方向信号GnkはLレベル(VSS)になる。その結果、ゲート線GLkの選択動作が終了する。
時刻t5で、クロック信号/CLKおよび順方向クロック/CLKnがHレベルになると、後段(単位シフトレジスタSRk+1)のゲート線駆動信号Gk+1および順方向信号Gnk+1がHレベルになる。ゲート線駆動信号Gk+1は、ゲート線GLk+1の活性化(選択)を行う。一方、順方向信号Gnk+1は、単位シフトレジスタSRkの順方向リセット端子RSTnに入力される。
単位シフトレジスタSRkでは、次段の順方向信号Gnk+1がHレベルになると、トランジスタQ4Dn,Q4nがオンになり、ノードN1,N1nをLレベルにする。即ち、ゲート線駆動部41および順方向シフト部42はリセット状態に戻る。ノードN1がLレベルになったことでトランジスタQ6がオフになるが、クロック信号CLKがLレベルである(容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータは非活性状態である)ので、ノードN2の電位は上昇せず、高インピーダンスのLレベルになる。一方、クロック信号/CLKがHレベルになったことで、トランジスタQ2B、Q2Bn、Q2Brがオンになり、出力端子OUT、順方向出力端子OUTnおよびOUTrは低インピーダンスのLレベルになる。
時刻t6で、クロック信号/CLKおよび順方向クロック/CLKnがLレベルになると、次段のゲート線駆動信号Gk+1および順方向信号Gnk+1がLレベルになる。その結果、トランジスタQ4Dn,Q4nがオフになり、ノードN1,N1nは高インピーダンスのLレベルになる。
時刻t7で、クロック信号CLKおよび順方向クロックCLKnがHレベルになる(容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータが活性化される)と、容量素子C2を介した結合により、ノードN2がHレベルになる。応じて、トランジスタQ2A,Q2An,Q2Arがオンし、出力端子OUT、順方向出力端子OUTn並びに逆方向出力端子OUTrはそれぞれ低インピーダンスのLレベルになる。またノードN2がHレベルになったことにより、トランジスタQ5,Q5n,Q5rもオンし、それぞれノードN1,N1n,N1rを低インピーダンスのLレベルにする。
ここでトランジスタQ5,Q5n,Q5rの働きについて説明する。例えば単位シフトレジスタSRkがゲート線駆動信号Gkを活性化させない(Lレベルに維持する)期間(非選択期間)においては、そのノードN1はLレベルであり、トランジスタQ1はオフに維持されるべきである。しかしクロック信号CLKの立ち上がり時には、トランジスタQ1のドレイン・ゲート間のオーバラップ容量(不図示)を介した結合により、ノードN1の電位が上昇しようとする。その電位上昇によりトランジスタQ1がオンすると、誤信号としてのゲート線駆動信号Gkが出力され問題となる。時刻t7におけるように、トランジスタQ5は、非選択期間においてクロック信号CLKがHレベルになるときオンし、ノードN1の電荷を放電する。その結果、非選択期間におけるクロック信号CLKの立ち上がり時でのノードN1の電位上昇を防止でき、誤信号としてのゲート線駆動信号Gkの発生が防止される。
単位シフトレジスタSRkのトランジスタQ5n,Q5rについても同様であり、それらも非選択期間におけるクロック信号CLKの立ち上がり時にオンする。順方向クロックCLKnは順方向シフト時にクロック信号CLKに同期し、逆方向クロックCLKrは逆方向シフト時にクロック信号CLKに同期するので、結果として、トランジスタQ5n,Q5rは、それぞれ順方向クロックCLKnおよび逆方向クロックCLKrの立ち上がり時にオンすることになる。よって、非選択期間におけるトランジスタQ1n,Q1rのドレイン・ゲート間のオーバラップ容量によるノードN1n,N1rの電位上昇を防止することができ、誤信号としての順方向信号Gnkおよび逆方向信号Grkの発生を防止できる。
続く時刻t8で、クロック信号CLKおよび順方向クロックCLKnがLレベルになる。クロック信号CLKがLレベルになる(容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータが非活性状態になる)ことにより、ノードN2はLレベルになる。応じて、トランジスタQ5,Q5n,Q5rがオフになり、ノードN1,N1n,N1rは高インピーダンスのLレベルになる。またトランジスタQ2A,Q2An,Q2Arがオフになり、出力端子OUT、順方向出力端子OUTn並びに逆方向出力端子OUTrも、それぞれ高インピーダンスのLレベルになる。
そして時刻t9で、クロック信号/CLKおよび順方向クロック/CLKnがHレベルになると、トランジスタQ2B、Q2Bn、Q2Brがオンし、出力端子OUT、順方向出力端子OUTn並びに逆方向出力端子OUTrは低インピーダンスのLレベルになる。
時刻t10でクロック信号/CLK、順方向クロック/CLKnがLレベルになると、トランジスタQ2B、Q2Bn、Q2Brがオフになり、出力端子OUT、順方向出力端子OUTn並びに逆方向出力端子OUTrは高インピーダンスのLレベルになる。
以降、次のフレーム期間における単位シフトレジスタSRkの選択期間まで、時刻t7〜時刻t10の動作が繰り返され、ゲート線駆動信号Gkおよび順方向信号GnkはLレベルに維持される。
以上のように、順方向シフト時の単位シフトレジスタSRkにおいては、前段の順方向信号Gnk-1を受けると、ゲート線駆動部41および順方向シフト部42がセット状態となり、その次にクロック信号CLKおよび順方向クロックCLKnが活性化するタイミングで、ゲート線駆動信号Gkおよび順方向信号Gnkが活性化される(Hレベルになる)。そして次段の順方向信号Gnk+1を受けるとゲート線駆動部41および順方向シフト部42はリセット状態に戻り、ゲート線駆動信号Gkおよび順方向信号GnkをLレベルに維持する。
なお単位シフトレジスタSR1(図8)および単位シフトレジスタSRn(図9)においても、順方向入力端子INnおよび順方向リセット端子RSTnに入力される信号がそれぞれ順方向スタート信号STnおよび順方向エンド信号EDnであるという違いがあるものの、単位シフトレジスタSRkと同様の動作が行われる。
このように動作する単位シフトレジスタSRが図2のように縦続接続して成るゲート線駆動回路30によれば、図3の如く、単位シフトレジスタSR1に入力される順方向スタート信号STnを切っ掛けにして、単位シフトレジスタSR1,SR2,SR3,…からゲート線駆動信号G1,G2,G3,…が、クロック信号CLK,/CLKに同期してこの順に出力される。それによってゲート線駆動回路30は、所定の走査周期でゲート線GL1,GL2,GL3,…を順に駆動することができる。なお、図3に示すように、順方向エンド信号EDnは、最後段の単位シフトレジスタSRnがゲート線駆動信号Gnを出力した直後に、単位シフトレジスタSRnに入力される。
次に、単位シフトレジスタSRkの逆方向シフト時の動作を説明する。図11は、単位シフトレジスタSRkの逆方向シフト時の動作を示すタイミング図である。ゲート線駆動回路30が逆方向シフトの動作を行う場合、クロック信号発生器31は、順方向クロックCLKn,/CLKnはLレベルに固定し、逆方向クロックCLKr,/CLKrをクロック信号CLK,/CLKと同じタイミングでレベル遷移させる。
この場合、単位シフトレジスタSRkの順方向シフト部42の順方向出力端子OUTnは活性化されることはないので、順方向信号Gnkは常にLレベルである。一方、逆方向シフト部43は、順方向シフト時における順方向シフト部42と同様に動作し、逆方向信号Grkを出力するようになる。詳細な説明は省略するが、図10と図11の波形を比較すれば、順方向シフト部42の動作と逆方向シフト部43の動作が、順方向シフトの場合と入れ代わっていることが分かる。
その結果、各単位シフトレジスタSRのから逆方向信号Grが出力されるようになることで、単位シフトレジスタSRkのゲート線駆動部41においては、順方向シフト時にはオンすることが無かったトランジスタQ3Dr,Q4Drが、順方向シフト時のトランジスタQ3Dn,Q4Dnと同様に動作してノードN1の充放電を行うようになる(図10と図11とではノードN1のレベルの振る舞いは同じである)。
従って、逆方向シフト時の単位シフトレジスタSRkにおいては、次段の逆方向信号Grk+1を受けると、ゲート線駆動部41および逆方向シフト部43がセット状態となり、その次にクロック信号CLKおよび逆方向クロックCLKrが活性化するタイミングで、ゲート線駆動信号Gkおよび逆方向信号Grkが出力される。そして前段の逆方向信号Grk-1を受けるとゲート線駆動部41および逆方向シフト部43はリセット状態に戻り、ゲート線駆動信号Gkおよび逆方向信号GrkをLレベルに維持する。
なお単位シフトレジスタSR1(図8)および単位シフトレジスタSRn(図9)においても、逆方向リセット端子RSTrおよび逆方向入力端子INrに入力される信号がそれぞれ逆方向エンド信号EDrおよび逆方向スタート信号STrであるという違いがあるものの、単位シフトレジスタSRkと同様の動作が行われる。
このように動作する単位シフトレジスタSRが図2のように縦続接続して成るゲート線駆動回路30によれば、図4の如く、単位シフトレジスタSRnに入力される逆方向スタート信号STrの活性化を切っ掛けにして、単位シフトレジスタSRn,SRn-1,SRn-2,…からゲート線駆動信号Gn,Gn-1,Gn-2,…が、クロック信号CLK,/CLKに同期してこの順に活性化される。それによってゲート線駆動回路30は、所定の走査周期でゲート線GLn,GLn-1,GLn-2,…を順に駆動することができる。なお、図4に示すように、逆方向エンド信号EDrは、最後段の単位シフトレジスタSR1がゲート線駆動信号G1を活性化した直後に活性化される。
本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRでは、順方向シフトの場合、ノードN1,N1nがトランジスタQ3Dn,Q3nによって充電され、トランジスタQ4Dn,Q4nによって放電される。このときトランジスタQ3Dn,Q3nはソースフォロワ動作であるのでしきい値電圧の正側へのシフトは生じないが、トランジスタQ4Dn,Q4nではしきい値電圧の正側へのシフトが生じる。一方、トランジスタQ3Dr,Q3r,Q4Dr,Q4rのゲートはLレベルに固定されているため、それらのしきい値電圧の正側へのシフトは生じない。
また逆方向シフトの場合には、ノードN1,N1rがトランジスタQ3Dr,Q3rによって充電され、トランジスタQ4Dr,Q4rによって放電される。このときトランジスタQ3Dr,Q3rはソースフォロワ動作であるのでしきい値電圧の正側へのシフトは生じないが、トランジスタQ4Dr,Q4rではしきい値電圧の正側へのシフトが生じる。一方、逆方向シフト時のトランジスタQ3Dn,Q3n,Q4Dn,Q4nのゲートはLレベルに固定されるため、それらのしきい値電圧の正側へのシフトは生じない。
このように、本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRにおいては、順方向シフト時においても、逆方向シフト時においても、しきい値電圧の正側へのシフトが生じないトランジスタQ3Dn,Q3n,Q3Dr,Q3rが、ノードN1,N1n,N1rの充電に使用されることになる。従って信号のシフト方向を切り替えた場合においても、トランジスタのしきい値電圧シフトに起因して充電後のノードN1,N1n,N1rレベルが低下することが防止される。その結果、トランジスタQ1,Q1n,Q1rの駆動能力の低下が抑えられる。また単位シフトレジスタSRの動作マージンの低下を防ぎ、誤動作の発生を防止することができる。
ところで、各単位シフトレジスタSRの非選択期間では、その出力端子OUT、順方向出力端子OUTn、逆方向出力端子OUTr、およびノードN1,N1n,N1rは、誤信号の発生を防止するためにLレベルに維持される必要がある。第k段目の単位シフトレジスタSRkを例にすると、その非選択期間では、トランジスタQ2A,Q2An,Q2Arがクロック信号CLKの活性期間にオンして、それぞれ出力端子OUT、順方向出力端子OUTnおよび逆方向出力端子OUTrを放電する。またトランジスタQ2B,Q2Bn,Q2Brがクロック信号/CLKの活性期間にオンして、それぞれ出力端子OUT、順方向出力端子OUTnおよび逆方向出力端子OUTrを放電する。
つまり非選択期間の単位シフトレジスタSRkにおいては、トランジスタQ2A,Q2Bがクロック信号CLK,/CLKの周期で交互に出力端子OUTを放電し、トランジスタQ2Ar,Q2Brが同周期で交互に順方向出力端子OUTnを放電し、トランジスタQ2A,Q2Bが同周期で交互に逆方向出力端子OUTrを放電する。よって、出力端子OUT、順方向出力端子OUTn、逆方向出力端子OUTrは非選択期間中の殆どの期間、低インピーダンスのLレベルにされ、誤信号の発生が防止されている。
また上記したように、単位シフトレジスタSRkのトランジスタQ5,Q5n,Q5rは、非選択期間において、クロック信号CLKの活性期間にオンし、それぞれノードN1,N1n,N1rを放電する。それにより、トランジスタQ1,Q1n,Q1rのドレイン・ゲート間のオーバラップ容量に起因するノードN1,N1n,N1rのレベル上昇を抑え、誤信号の発生を防止している。
このように誤信号の発生を防止するための放電動作を行うトランジスタQ2A,Q2B,Q2An,Q2Bn,Q2Ar,Q2Br,Q5,Q5n,Q5rの各ゲートは、非選択期間の間、継続的(直流的)にバイアスされるのではなく、クロック信号CLK,/CLKの周期で交流的にバイアスされる。従って、トランジスタQ2A,Q2B,Q2An,Q2Bn,Q2Ar,Q2Br,Q5,Q5n,Q5rのしきい値電圧シフトは抑えられている。よって、それらの駆動能力の低下を抑制でき、より確実に誤信号の発生を防止することができる。
<実施の形態2>
図12は、実施の形態2に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。実施の形態1と同様に、基本的に単位シフトレジスタSR1〜SRnは同じ回路となるので、ここでも代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、第2順方向クロック端子CK2nおよび第2逆方向クロック端子CK2rを備えている。第2順方向クロック端子CK2nは、第1順方向クロック端子CK1nと同様に順方向クロックCLKn,/CLKnの何れかが供給されるものであるが、第1順方向クロック端子CK1nとは逆のものが供給される。例えば図12のように、第1順方向クロック端子CK1nに順方向クロックCLKnが供給される単位シフトレジスタSRkにおいては、その第2順方向クロック端子CK2nに順方向クロック/CLKnが供給される。
また第2逆方向クロック端子CK2rは、第1逆方向クロック端子CK1rと同様に逆方向クロックCLKr,/CLKrの何れかが供給されるものであるが、第1逆方向クロック端子CK1rとは逆のものが供給される。例えば図12のように、第1逆方向クロック端子CK1rに逆方向クロックCLKrが供給される単位シフトレジスタSRkにおいては、その第2逆方向クロック端子CK2rに逆方向クロック/CLKrが供給される。
図12の単位シフトレジスタSRは、図7の回路に対し、トランジスタQ2Bnのゲートを第2順方向クロック端子CK2nに接続させ、トランジスタQ2Brのゲートを第2逆方向クロック端子CK2rに接続させたものである。このような構成をとっても、実施の形態1の単位シフトレジスタSRと同様の動作が可能である。
本実施の形態では、順方向シフト時のトランジスタQ2Brおよび逆方向シフト時のトランジスタQ2Bnが駆動されなくなるので、順方向シフト部42および逆方向シフト部43うちの非活性側のもの(順方向シフト時の逆方向シフト部43および逆方向シフト時の順方向シフト部42)における無効電力を削減できるという効果が得られる。
但し、順方向シフト時にトランジスタQ2Brがオフに維持され、逆方向シフト時のQ2Bnがオフに維持されるので、例えば順方向シフト時には、トランジスタQ2Arがオフしたとき逆方向出力端子OUTrが高インピーダンスになる。また逆方向シフト時には、トランジスタQ2Anがオフしたとき順方向出力端子OUTnが高インピーダンスになる。従って、実施の形態1と比較すると、ノイズ等の影響によって誤信号としての順方向信号Gnおよび逆方向信号Grが出力されやすい点に留意すべきである。
なお、本実施の形態では各単位シフトレジスタSRに供給される信号の数が実施の形態1の場合よりも増えるのでそのための配線が必要になる。しかし実施の形態1でも、例えば図7の単位シフトレジスタSRkに隣接する単位シフトレジスタSRk-1,SRk+1(不図示)には、順方向クロック/CLKnおよび逆方向クロック/CLKrが供給されているので、単位シフトレジスタSRkにそれらの信号を引き込むために必要な(実施の形態1からの)レイアウト変更は僅かでよい。従って実施の形態1に比較しても回路面積の増大は伴わない。
<実施の形態3>
図13は、実施の形態3に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。
図7の単位シフトレジスタSRkでは、非選択期間にクロック信号CLKがLレベルになると、トランジスタQ5,Q5n,Q5rがオフになり、そのときノードN1,N1n,N1rは高インピーダンスのLレベルになる。よってその間は、ノードN1,N1n,N1rのレベルがノイズの影響等を受けやすくなる。本実施の形態では、その問題の対策の一つを提案する。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRでは、順方向リセット端子RSTnに、順方向クロックCLKn,/CLKnのうち、第1順方向クロック端子CK1nとは逆のものを入力し、逆方向リセット端子RSTrに、逆方向クロックCLKr,/CLKrのうち、第1逆方向クロック端子CK1rとは逆のものを入力する。例えば単位シフトレジスタSRkでは、図13のように順方向リセット端子RSTnに順方向クロック/CLKnを入力し、逆方向リセット端子RSTrには逆方向クロック/CLKrを入力する。そして、トランジスタQ4Dn,Q4nのソースを順方向入力端子INnに接続させ、トランジスタQ4Dr,Q4rのソースを逆方向入力端子INrに接続させる。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRによれば、順方向シフト時の非選択期間にはトランジスタQ4Dn,Q4nとトランジスタQ5,Q5nとが交互にオンするようになり、非選択期間の殆どでノードN1,N1nが低インピーダンスになる。また逆順方向シフト時の非選択期間にはトランジスタQ4Dr,Q4rとトランジスタQ5,Q5rとが交互にオンするようになり、非選択期間の殆どでノードN1,N1rが低インピーダンスになる。従って、実施の形態1の単位シフトレジスタSRよりも、ノイズの影響を受けにくくなり、動作の信頼性が高まる。
またトランジスタQ4Dn,Q4nのソースには、前段の順方向信号Gnk-1が供給されているので、前段の順方向信号Gnk-1が活性化されるときにはトランジスタQ4Dn,Q4nはオンしない。よって、順方向シフトの動作においてトランジスタQ3Dn,Q3nがノードN1,N1nの充電を行うときに、トランジスタQ4Dn,Q4nがそれを妨げることはない。従って、図13の単位シフトレジスタSRも、図7の単位シフトレジスタSRと同様の順方向シフトが可能である。
同様に、トランジスタQ4Dr,Q4rのソースには、次段の逆方向信号Grk+1が供給されているので、次段の逆方向信号Grk+1が活性化されるときにはトランジスタQ4Dr,Q4rはオンしない。よって、逆方向シフトの動作においてトランジスタQ3Dr,Q3rがノードN1,N1rの充電を行うときに、トランジスタQ4Dr,Q4rがそれを妨げることはない。従って、図13の単位シフトレジスタSRも、図7の単位シフトレジスタSRと同様の逆方向シフトが可能である。
また本実施の形態では、各単位シフトレジスタSRの順方向リセット端子RSTnに、次段の順方向信号Gnを入力させる必要がなく、また逆方向リセット端子RSTrに前段の逆方向信号Grを入力させる必要がない。つまり、各単位シフトレジスタSR間でやり取りする信号の数が減るので、配線が単純化され、回路のレイアウト設計が容易になる。
さらに、各単位シフトレジスタSRの順方向信号Gnおよび逆方向信号Grにかかる負荷容量が減少するので、それらの立ち上がり速度が高速化される。従ってゲート線駆動回路30の動作の高速化を図ることができる。
但し、非選択期間においても、トランジスタQ4Dn,Q4n(順方向シフト時)またはトランジスタQ4Dr,Q4r(逆方向シフト時)のゲート容量の充放電が繰り返されるようになるため、実施の形態1の場合よりも消費電力が増大する点に留意すべきである。
本実施の形態の変形例として、順方向リセット端子RSTnおよび逆方向リセット端子RSTrに、第2クロック端子CK2と同じクロック信号を入力してもよい。例えば、図13の単位シフトレジスタSRkであれば、順方向リセット端子RSTnおよび逆方向リセット端子RSTrにクロック信号/CLKを入力する。この変形例によれば、逆順方向シフト、逆方向シフトを問わず、非選択期間にはトランジスタQ4Dn,Q4n,Q4rとトランジスタQ5,Q5n,Q5rとが交互にオンするようになり、非選択期間の殆どでノードN1,N1n,N1rが低インピーダンスになり、上記と同様の効果が得られる。
また上記の実施の形態2は本実施の形態の単位シフトレジスタSRに対しても適用可能である。即ち、図13の単位シフトレジスタSRに対し、トランジスタQ2Bn,Q2Brのゲートをそれぞれ第2逆方向クロック端子CK2rおよび第2逆方向クロック端子CK2rにそれぞれ接続させてもよい。
<実施の形態4>
図14は、実施の形態4に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRでは、図7の回路に対し、トランジスタQ3Dn,Q3Dr,Q3n,Q3rのドレインを、一定電位VDD1が供給される第2電源端子S2に接続させたものである。電位VDD1のレベルは、ゲート線駆動回路30が正常に動作する範囲内であれば任意でよいが、クロック信号CLK,/CLK等のHレベルの電位(実施の形態1での電位VDD)と同じであってもよい。
実施の形態1では、単位シフトレジスタSRのノードN1,N1n,N1rを充電するための電源として、前段の順方向信号Gnおよび後段の逆方向信号Grが用いられるが、本実施の形態ではその電源は第2電源端子S2から供給される。従って、各単位シフトレジスタSRにおいて順方向信号Gnおよび後段の逆方向信号Grにかかる負荷が軽減され、それらの立ち上がり速度が高速化される。従ってゲート線駆動回路30の動作の高速化を図ることができる。但し、電位VDD1を供給するための外部端子および配線領域が必要となる点に留意すべきである。
上記の実施の形態2は本実施の形態の単位シフトレジスタSRに対しても適用可能である。即ち、図14の単位シフトレジスタSRに対し、トランジスタQ2Bn,Q2Brのゲートをそれぞれ第2逆方向クロック端子CK2rおよび第2逆方向クロック端子CK2rにそれぞれ接続させてもよい。
さらに、実施の形態3も、本実施の形態の単位シフトレジスタSRに対して適用可能である。例えば第k段目の単位シフトレジスタSRkであれば、図15のように、トランジスタQ4Dn,Q4nのゲート(順方向リセット端子RSTn)に順方向クロック/CLKn(又はクロック信号/CLK)を供給させると共に、そのソースを順方向入力端子INnに接続させる。またトランジスタQ4Dr,Q4rのゲート(逆方向リセット端子RSTr)に逆方向クロック/CLKr(又はクロック信号/CLK)を供給すると共に、そのソースを逆方向入力端子INrに接続させる。
特に本実施の形態では、実施の形態3の適用は有効である。その理由は次のとおりである。即ち、図14の単位シフトレジスタSRではトランジスタQ3Dn,Q3Dr,Q3n,Q3rのドレインに常に一定電位VDD1が印加されているので、クロック信号CLKの非活性期間において、それらのリーク電流に起因するノードN1,N1n,N1rのレベル上昇が懸念される。そうなると、順方向シフト時には誤信号としてのゲート線駆動信号Gおよび順方向信号Gnが生じやすくなり、逆方向シフト時には誤信号としてのゲート線駆動信号Gおよび逆方向信号Grが生じやすくなる。図15のように、実施の形態3を適用すると、クロック信号CLKの非活性期間にトランジスタQ4Dn,Q4n,Q4rがオンし、ノードN1,N1n,N1rの低インピーダンスのLレベルにするので、上記リーク電流の問題を解決できる。
<実施の形態5>
図16は、実施の形態5に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、自己の前段のゲート線駆動信号Gが入力される順方向駆動信号入力端子IN1nと、自己の後段のゲート線駆動信号Gが入力される逆方向駆動信号入力端子IN1rとを備えている。そして実施の形態4で示した図14の回路に対し、トランジスタQ3Dn,Q3nのドレインを順方向駆動信号入力端子IN1nに接続させ、トランジスタQ3Dr,Q3rのドレインを逆方向駆動信号入力端子IN1rに接続させている。
その結果、各単位シフトレジスタSRにおいて順方向信号Gnおよび後段の逆方向信号Grにかかる負荷が軽減され、それらの立ち上がり速度が高速化される。ゲート線駆動信号Gの負荷容量は、ノードN1、N1n、N1rに付随の容量成分に比べて十分大きいので、ゲート線駆動信号Gの負荷としてノードN1、N1n、N1rが加わったとしても、ゲート線駆動信号Gの立ち上がり遅延等の問題は生じない。もちろん図14の回路で必要であった、電位VDD1を供給するための外部端子および配線領域は必要ない。
なお、上記の実施の形態2,3は本実施の形態に対しても適用可能である。
<実施の形態6>
図17は、実施の形態6に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRでは、図7の回路に対し、トランジスタQ2A,Q2An,Q2Arのソースを第2クロック端子CK2に接続させ、トランジスタQ2B,Q2Bn,Q2Brのソースを第1クロック端子CK1に接続させている。
この構成によれば、トランジスタQ2A,Q2An,Q2Ar,Q2B,Q2Bn,Q2Brのそれぞれにおいて、ゲートがLレベルになりオフになったときに、ソースに入力される信号がHレベルになる。つまりゲートがソースに対して負にバイアスされるのと等価な状態になり、正側にシフトしたしきい値電圧が負側へ戻って回復する。その結果、トランジスタQ2A,Q2An,Q2Ar,Q2B,Q2Bn,Q2Brの駆動能力の低下が軽減され、回路の動作寿命が延びるという効果が得られる。
また本実施の形態の変形例としては、図18に示すように、トランジスタQ2Bnのソースを第1順方向クロック端子CK1nに接続させ、トランジスタQ2Brのソースを第1順方向クロック端子CK1nに接続させてもよい。
さらに同図の如く、単位シフトレジスタSRに実施の形態2で説明した第2順方向クロック端子CK2nおよび第2逆方向クロック端子CK2rを設け、トランジスタQ2Anのソースを第2順方向クロック端子CK2nに接続させ、トランジスタQ2Arのソースを第2逆方向クロック端子CK2rに接続させてもよい。なお同図においては、実施の形態2を適用して、トランジスタQ2Bnのゲートを第2順方向クロック端子CK2nに接続させ、トランジスタQ2Brのゲートを第2順方向クロック端子CK2nに接続させた例を示している。もちろんそれらトランジスタQ2Bn,Q2Brのゲートは、図17と同様に、第2クロック端子CK2に接続していてもよい。
なお上記の実施の形態2,3は本実施の形態に対しても適用可能である。
<実施の形態7>
図19は実施の形態6に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。
本実施の形態では、実施の形態3(図13)を、実施の形態6で説明した変形例の単位シフトレジスタSR(図18)に適用させたものである。この構成によれば、実施の形態3,6それぞれの効果が得られる。さらに単位シフトレジスタSRを構成するトランジスタのうち、ソースが第1電源端子S1に接続されるものはトランジスタQ5,Q5n,Q5r,Q6だけになり、低電位側電源電位VSSを供給するための配線領域を最小限にすることができる。よって回路の占有面積を小さくすることができる。
<実施の形態8>
先に述べたとおり実施の形態1では、非選択期間に出力端子OUT、順方向出力端子OUTn、逆方向出力端子OUTrおよびノードN1,N1n,N1rを放電(プルダウン)するトランジスタ(以下「プルダウントランジスタ」と称す)Q2A,Q2B,Q2An,Q2Bn,Q2Ar,Q2Br,Q5,Q5n,Q5rのゲートを、クロック信号CLK,/CLKの周期で交流的にバイアスすることによって、それらのしきい値電圧シフトを抑制していた。それにより、各プルダウントランジスタの駆動能力の低下を抑え、誤信号の発生を防止する効果を高めていた。
本実施の形態ではそれとは別の手法により、非選択期間に出力端子OUT、順方向出力端子OUTn、逆方向出力端子OUTrおよびノードN1,N1n,N1rを放電するプルダウントランジスタのしきい値電圧シフトを抑制する手法を示す。
図20は実施の形態6に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。同図を参照し、本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRの構成について説明する。
本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRには、所定の第1および第2フレーム信号VFR,/VFR(第1および第2制御信号)がそれぞれ入力される第1および第2フレーム信号端子CTA,CTB(第1および第2制御端子)を備えている。回路の対称性から、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRは、それぞれ第1および第2フレーム信号端子CTA,CTBのどちらに入力されてよいが、ここでは単位シフトレジスタSR1〜SRnの全てにおいて、第1フレーム信号端子CTAには第1フレーム信号VFRが入力され、第2フレーム信号端子CTBには第2フレーム信号/VFRが入力されるものとする。
上記の第1および第2フレーム信号VFR,/VFRは互いに相補な信号である。この第1および第2フレーム信号VFR,/VFRは、表示画像のフレーム間のブランキング期間にレベルが切り替わる(交番する)よう制御されることが望ましく、例えば、表示画像の1フレーム毎の周期でレベルが切り替わるよう制御される。当該周期は1フレーム毎でなくてもよく、その整数倍(例えば2フレーム毎、3フレーム毎など)であってもよい。ゲート線駆動回路30は、1フレーム期間ごとにゲート線GL1〜GLnを繰り返し活性化させるように動作するので、映像信号のフレーム周期がその動作周期と定義される。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRも、ゲート線駆動部41、順方向シフト部42および逆方向シフト部43とから成っている。
ゲート線駆動部41の出力段は、実施の形態1と同様に、出力端子OUTと第1クロック端子CK1との間に接続するトランジスタQ1と、共に出力端子OUTと第1電源端子S1との間に接続するトランジスタQ2A,Q2Bとにより構成されている。ここでも、トランジスタQ1のゲートが接続するノードを「ノードN1」と定義する。トランジスタQ1のゲートとソースとの間すなわちノードN1と出力端子OUTとの間には容量素子C1が設けられている。
トランジスタQ1は、トランジスタQ3Dn,Q4Dn,Q3Dr,Q4Drから成る回路によって駆動され、当該回路は図7に示したものと同様の構成である。即ち、トランジスタQ3Dnは、順方向入力端子INn側がアノード、ノードN1側がカソードとなるようにダイオード接続されおり、トランジスタQ4Dnは、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートが順方向リセット端子RSTnに接続する。またトランジスタQ3Drは、逆方向入力端子INr側がアノード、ノードN1側がカソードとなるようにダイオード接続され、トランジスタQ4Drは、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、ゲートが逆方向リセット端子RSTrに接続する。
本実施の形態のゲート線駆動部41は、インバータを2つ(第1および第2インバータ)備えている。トランジスタQ2Aのゲートノードを「ノードN2A」、トランジスタQ2Bのゲートノードを「ノードN2B」とそれぞれ定義すると、トランジスタQ6A,Q7Aから成る第1インバータは、ノードN1を入力端とし、ノードN2Aを出力端としている。またトランジスタQ6B,Q7Bから成る第2インバータは、ノードN1を入力端とし、ノードN2Bを出力端としている。
つまり、トランジスタQ2A,Q2Bは共に出力端子OUTを放電するものであるが、トランジスタQ2Aは第1インバータの出力に制御され、トランジスタQ2Bは第2インバータの出力に制御されることとなる。
第1インバータにおいて、トランジスタQ6Aは、ノードN2Aと第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN1に接続される。トランジスタQ7Aは、ノードN2Aと第1フレーム信号端子CTAとの間に接続され、そのゲートは第1フレーム信号端子CTAに接続される。つまりトランジスタQ7Aは、第1フレーム信号端子CTA側がアノード、ノードN2A側がカソードとなるようにダイオード接続されている。
トランジスタQ6AはトランジスタQ7Aよりもオン抵抗が充分低く設定されている。つまり第1インバータは、ダイオード接続されたトランジスタQ7Aを負荷素子とするレシオ型インバータであり、それが出力するLレベルの電位はトランジスタQ6A,Q7Aのオン抵抗の比で決まる値となる。但し当該第1インバータは、通常のインバータと異なり、その電源として第1フレーム信号VFRが供給されている。
第2インバータにおいては、トランジスタQ6Bは、ノードN2Bと第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートはノードN1に接続される。負荷素子であるトランジスタQ7Bは、ノードN2Bと第2フレーム信号端子CTBとの間に接続され、そのゲートは第2フレーム信号端子CTBに接続される。つまりトランジスタQ7Bは、第2フレーム信号端子CTB側がアノード、ノードN2B側がカソードとなるようにダイオード接続されている。この第2インバータもレシオ型インバータであり、その電源としては第2フレーム信号/VFRが供給されている。
さらにゲート線駆動部41は、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートがノードN2Aに接続したトランジスタQ5Aと、ノードN1と第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートがノードN2Bに接続したトランジスタQ5Bとを備えている。つまりトランジスタQ5A,Q5Bは共にノードN1を放電するものであるが、トランジスタQ5Aは第1インバータの出力により制御され、トランジスタQ5Bは第2インバータの出力により制御される。
このようにゲート線駆動部41においては、出力端子OUTおよびノードN1のプルダウントランジスタのうちのトランジスタQ2A,Q5Aは第1インバータにより駆動される。即ち、当該トランジスタQ2A,Q5Aは、ノードN1のレベルを第1インバータが反転させたレベルに基づいて制御されることになる。但し、第1インバータは第1フレーム信号VFRを電源としているため、そのような制御が行われるのは第1フレーム信号VFRがHレベルの期間だけであり、それ以外の期間ではトランジスタQ2A,Q5Aはゲートがバイアスされず休止状態になる。
一方、トランジスタQ2B,Q5Bは第2インバータにより駆動される。即ち、当該トランジスタQ2B,Q5Bは、ノードN1のレベルを第2インバータが反転させたレベルに基づいて制御されることになる。但し、第2インバータは第2フレーム信号/VFRを電源としているため、そのような制御が行われるのは第2フレーム信号/VFRがHレベルの期間だけであり、それ以外の期間ではトランジスタQ2B,Q5Bはゲートがバイアスされず休止状態になる。
さらにゲート線駆動部41は、第1フレーム信号端子CTAとノードN2Aの間に接続したトランジスタQ8Aと、第2フレーム信号端子CTBとノードN2Bとの間に接続したトランジスタQ8Bとを備える。トランジスタQ8AのゲートはトランジスタQ8Bのソース(第2フレーム信号端子CTB)に接続し、トランジスタQ8BのゲートはトランジスタQ8Aのソース(第1フレーム信号端子CTA)に接続する。即ち、トランジスタQ8AおよびトランジスタQ8Bは、その片方の主電極(ソース)がたすき掛けに互いのゲートに接続されており、いわゆるフリップフロップ回路を構成している。
次に、順方向シフト部42および逆方向シフト部43の構成を説明する。順方向シフト部42および逆方向シフト部43は、図7に示したものに類似した構成を有している。
即ち、本実施の形態の順方向シフト部42は、ノードN1nのプルダウントランジスタとして、図7のトランジスタQ5nに代えて、2つのトランジスタQ5An,Q5Bnを設けたものである。トランジスタQ5An,Q5Bnは、共にノードN1nと第1電源端子S1との間に接続しているが、トランジスタQ5AnのゲートはノードN2Aに接続され、トランジスタQ5BnのゲートはノードN2Bに接続される。さらに、トランジスタQ2AnのゲートはノードN2Aに接続され、トランジスタQ2BnのゲートはノードN2Bに接続される。
つまり順方向シフト部42において、順方向出力端子OUTnおよびノードN1nのプルダウントランジスタのうちのトランジスタQ2An,Q5Anは、ゲート線駆動部41の第1インバータにより駆動される。一方、トランジスタQ2Bn,Q5Bnはゲート線駆動部41の第2インバータにより駆動される。
また本実施の形態の逆方向シフト部43は、図7のトランジスタQ5rに代えて、2つのトランジスタQ5Ar,Q5Brを設けたものである。トランジスタQ5Ar,Q5Brは、共にノードN1rと第1電源端子S1との間に接続しているが、トランジスタQ5ArのゲートはノードN2Aに接続され、トランジスタQ5BrのゲートはノードN2Bに接続される。さらに、トランジスタQ2ArのゲートはノードN2Aに接続され、トランジスタQ2BrのゲートはノードN2Bに接続される。
つまり逆方向シフト部43において、逆方向出力端子OUTrおよびノードN1rのプルダウントランジスタのうちのトランジスタQ2Ar,Q5Arは、ゲート線駆動部41の第1インバータにより駆動される。一方、トランジスタQ2Br,Q5Brはゲート線駆動部41の第2インバータにより駆動される。
このように、本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、出力端子OUT、順方向出力端子OUTn、逆方向出力端子OUTr、ノードN1,N1n,N1rのプルダウントランジスタをそれぞれ2個ずつ有している。そして、それらのうちトランジスタQ2A,Q5A,Q2An,Q5An,Q2Ar,Q5Arのグループ(以下「グループA」)が、第1インバータにより駆動され、トランジスタQ2B,Q5B,Q2Bn,Q5Bn,Q2Br,Q5Brのグループ(以下「グループB」)が第2インバータにより駆動される。上記の第1および第2フレーム信号VFR,/VFRは、その2つのグループを切り替えて動作させるための信号として機能する。
以下、本実施の形態に係るゲート線駆動回路30の動作を説明する。ここで、第1および第2フレーム信号は、他の各信号での仮定と同様に、そのHレベルの電位が高電位側電源電位VDD、Lレベルの電位が低電位側電源電位VSS(=0V)であるとする。但し、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRのHレベル、Lレベルの各電位は、ゲート線駆動回路30を正常に動作させることができる範囲のものであれば任意でよい。
図20を参照し、代表的に単位シフトレジスタSRkの動作について説明する。あるブランキング期間に、第1フレーム信号VFRがLレベルからHレベルに、第2フレーム信号/VFRがHレベルからLレベルに、それぞれ切り換わったとする。すると単位シフトレジスタSRkでは、第1フレーム信号端子CTAがHレベル、第2フレーム信号端子CTBがLレベルになるので、トランジスタQ7Aがオン、トランジスタQ7Bがオフになる。つまりゲート線駆動部41において、第1インバータが活性状態になり、第2インバータが非活性状態になる。
またトランジスタQ8Bがオンになり、ノードN2BがLレベル(第2フレーム信号/VFRのレベル)になる。応じてトランジスタQ5Bはオフになるが、当該トランジスタQ5Bはその直前まではオンしてノードN1をLレベルにしている。そのためこの時点でトランジスタQ6Aはオフである。また第2フレーム信号/VFRがLレベルになったことでトランジスタQ8Aもオフである。従って、第1インバータの出力端であるノードN2AはトランジスタQ7Aにより充電されてHレベルになる。
他方、第2フレーム信号/VFRがLレベルになると、第2インバータには電源が供給されず、また第1フレーム信号VFRによってトランジスタQ8Bがオンにされるので、第2インバータの出力端であるノードN2Bは、Lレベル(VSS)に固定される。つまりその間、ゲート線駆動部41のトランジスタQ2B,Q5Bは、ゲートがバイアスされず休止状態になる。
その結果、図20のゲート線駆動部41において、トランジスタQ1,Q2A,Q3Dn,Q3Dr,Q4Dn,Q4Dr,Q5A,Q6A,Q7Aの組み合わせにより、図7のゲート線駆動部41とほぼ同様の回路が構成される。
従って、第1フレーム信号VFRがHレベル、第2フレーム信号/VFRがLレベルのときの図20のゲート線駆動部41は、図7のゲート線駆動部41と同様の動作を行うようになる。但し、図7のゲート線駆動部41が備えるインバータがクロック信号CLKに応じて活性化するインバータであったのに対し、図20のゲート線駆動部41の第1インバータは、第1フレーム信号VFRに応じて活性化するのでノードN2Aは非選択期間の間Hレベルに保たれる。つまり図7のトランジスタQ2A,Q5Aは非選択期間の間クロック信号/CLKの周期でオン、オフを繰り返すが、図20のトランジスタQ2A,Q5Aは非選択期間の間オンに維持される。その点で図7のゲート線駆動部41の動作とは異なる。
次に、第1フレーム信号VFRがHレベル、第2フレーム信号/VFRがLレベルのときの図20の順方向シフト部42および逆方向シフト部43について説明する。上記のように、第1フレーム信号VFRがHレベル、第2フレーム信号/VFRがLレベルのとき、ノードN2BはLレベルに固定されるので、順方向シフト部42においてはトランジスタQ2Bn,Q5Bnが休止状態になり、それ以外のトランジスタによって図7の順方向シフト部42とほぼ同様の回路が構成される。同様に逆方向シフト部43においてはトランジスタQ2Br,Q5Brが休止状態になり、それ以外のトランジスタによって図7の逆方向シフト部43とほぼ同様の回路が構成される。
その結果、図20の順方向シフト部42および逆方向シフト部43は、図7のそれらとほぼ同様の動作を行うことになる。但し、上記のように本実施の形態では非選択期間の間ノードN2AはHレベルに保たれるので、その間はトランジスタQ2An,Q5An,Q2Ar,Q5Arはオンに維持される。その点で図7の順方向シフト部42および逆方向シフト部43の動作とは異なる。
以上より、第1フレーム信号VFRがHレベル、第2フレーム信号/VFRがLレベルである期間は、図20の単位シフトレジスタSRkは、図7の単位シフトレジスタSRkとほぼ同様の動作を行うことになる。
そして次のブランキング期間で、第1フレーム信号VFRがLレベル、第2フレーム信号/VFRがHレベルになると、ゲート線駆動部41ではそれまでとは逆に、トランジスタQ8Bがオフすると共にトランジスタQ6B,Q7Bより成る第2インバータが活性化されて、ノードN2BがHレベルになる。またトランジスタQ8Aがオンになると共に第1インバータが非活性状態になるため、ノードN2AはLレベル(VSS)に固定される。
即ち、第1フレーム信号VFRがLレベル、第2フレーム信号/VFRがHレベルである期間では、トランジスタQ2A,Q5Aのゲートはバイアスされず、当該トランジスタQ2A,Q5Aが休止状態になる。また、第1インバータも電源が供給されないため動作しない。従って、図20のゲート線駆動部41においては、トランジスタQ1,Q2B,Q3Dn,Q3Dr,Q4Dn,Q4Dr,Q5B,Q6B,Q7Bの組み合わせにより、図7のゲート線駆動部41とほぼ同様の回路が構成される。
その結果、図20のゲート線駆動部41は、図7のゲート線駆動部41と同様の動作を行うようになる。但し、第2インバータは第2フレーム信号/VFRに応じて活性化するので、非選択期間の間ノードN2BはHレベルに保たれ、その間トランジスタQ2B,Q5Bはオンに維持される。その点で図7のゲート線駆動部41の動作とは異なる。
また順方向シフト部42においてはトランジスタQ2An,Q5Anが休止状態になり、それ以外のトランジスタによって図7の順方向シフト部42とほぼ同様の回路が構成される。同様に逆方向シフト部43においてはトランジスタQ2Ar,Q5Arが休止状態になり、それ以外のトランジスタによって図7の逆方向シフト部43とほぼ同様の回路が構成される。
その結果、図20の順方向シフト部42および逆方向シフト部43は、図7のそれらとほぼ同様の動作を行うことになる。但し、非選択期間の間ノードN2BはHレベルに保たれるので、トランジスタQ2B,Q5Bはオンに維持される。その点で図7の順方向シフト部42および逆方向シフト部43の動作とは異なる。
以上より、第1フレーム信号VFRがLレベル、第2フレーム信号/VFRがHレベルである期間も、図20の単位シフトレジスタSRkは、図7の単位シフトレジスタSRkとほぼ同様の動作を行うことができる。
このように、本実施の形態の単位シフトレジスタSRも、図7の回路と同様の動作を行うことができる。そして、プルダウントランジスタのグループA(トランジスタQ2A,Q5A,Q2An,Q5An,Q2Ar,Q5Ar)とグループB(トランジスタQ2B,Q5B,Q2Bn,Q5Bn,Q2Br,Q5Br)とが、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRが反転する毎に交互に休止状態になるので、それらのゲートが継続的にバイアスされることが防止される。従って、各プルダウントランジスタのしきい値電圧シフトは抑えられ、それらの駆動能力の低下が抑制される。よって非選択期間における出力端子OUT、順方向出力端子OUTn、逆方向出力端子OUTrおよびノードN1,N1n,N1rをより確実にLレベルに維持することができるようになり、誤信号の発生を防止する高い効果が得られる。
また本実施の形態では、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRによるグループAとグループBとの切り換え周期(フレーム期間に相当)が、実施の形態1におけるトランジスタQ2,Q5とトランジスタQ7,Q8との切り換え周期(クロック信号CLK,/CLKの周期に相当)よりも数十倍長い。そのため実施の形態1よりも消費電力を低減することができる。但し、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRの生成回路をゲート線駆動回路30あるいは表示装置外部に設ける必要がある。
なお、上記の実施の形態3〜5は、本実施の形態の単位シフトレジスタSRに対しても適用可能である。
<実施の形態9>
実施の形態9では、実施の形態8の変形例を示す。図21は実施の形態9に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。同図の如く、本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、図20の回路からトランジスタQ4n,Q4rを省略したものである。
図20の単位シフトレジスタSRkにおいて、例えば順方向シフト時に順方向リセット端子RSTnに入力される次段のゲート線駆動信号Gk+1が活性化すると、トランジスタQ4Dn,Q4n,Q4rがオンすることによって、ノードN1,N1n,N1rが放電され、ゲート線駆動部41、順方向シフト部42および逆方向シフト部43がそれぞれリセット状態になる。
しかし図20の単位シフトレジスタSRでは、必ず第1および第2インバータの片方が活性状態にあるので、ノードN1がLレベルになればノードN2A,N2Bの何れかがHレベルになり、それに応じてトランジスタQ5An,Q5ArまたはトランジスタQ5An,Q5Brがオンし、それらによってもノードN1n,N1rの放電が行われる。つまり、トランジスタQ5Anは、トランジスタQ4nと同様に、順方向リセット端子RSTnに入力される次段の順方向信号Gnk+1が活性化したときにノードN1nを放電することができ、トランジスタQ5Arは、トランジスタQ4rと同様に、順方向リセット端子RSTrに入力される次段の順方向信号Grk+1が活性化したときにノードN1rを放電することができる。
従って、トランジスタQ4n,Q4rを使用せずとも、ゲート線駆動部41、順方向シフト部42および逆方向シフト部43をリセット状態にすることができる。よって、図21のようにトランジスタQ4n,Q4rを省略しても、当該単位シフトレジスタSRは、図20の回路と同様の動作を行うことができる。
本実施の形態によれば、トランジスタQ4n,Q4rが省略される分、回路の形成面積の縮小化を図ることができる。
<実施の形態10>
実施の形態8の単位シフトレジスタSRにおいては、プルダウントランジスタのグループA(トランジスタQ2A,Q5A,Q2An,Q5An,Q2Ar,Q5Ar)とグループB(トランジスタQ2B,Q5B,Q2Bn,Q5Bn,Q2Br,Q5Br)との交互の駆動を、それぞれ別のインバータ(第1および第2インバータ)を用いて行っているが、本実施の形態では同様の動作を1つのインバータを用いて行う例を示す。
図22は、当該単位シフトレジスタSRの回路構成を示す図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、図20の第1および第2インバータ(トランジスタQ6A,Q7A,Q6B,Q7B)に代えて、トランジスタQ6,Q7から成る1つのインバータと、トランジスタQ9A,Q9Bとから成る回路を設けたものであり、各プルダウントランジスタはその回路によって駆動される。
トランジスタQ6,Q7はレシオ型インバータを構成している。当該インバータの負荷素子であるトランジスタQ7は、当該インバータの出力端(「ノードN3」と定義する)と高電位側電源電位VDD2が供給される第3電源端子S3との間に接続しており、第3電源端子S3側がアノード、ノードN3側がカソードになるようダイオード接続される。トランジスタQ6は、ノードN3と第1電源端子S1との間に接続され、そのゲートは当該インバータの入力端であるノードN1に接続される。トランジスタQ6のオン抵抗は、トランジスタQ7よりも充分小さく設定されている。なお電位VDD2は、上記の電位VDD(各信号のHレベル)と同じであってもよい。
トランジスタQ9Aは、ノードN3とノードN2Aとの間に接続し、トランジスタQ9BはノードN3とノードN2Bとの間に接続する。トランジスタQ9Aのゲートは、第1フレーム信号VFRが入力される第1フレーム信号端子CTAに接続され、トランジスタQ9Bのゲートは第2フレーム信号/VFRが入力される第2フレーム信号端子CTBに接続されている。
この構成によれば、第1フレーム信号VFRがHレベル、第2フレーム信号/VFRがLレベルの期間は、トランジスタQ9Aがオン、トランジスタQ9Bがオフになるので、インバータの出力端すなわちノードN3はノードN2Aに電気的に接続される。
つまりその間は、プルダウントランジスタのグループAが駆動され、グループBは休止状態になる。逆に、第1フレーム信号VFRがLレベル、第2フレーム信号/VFRがHレベルの期間は、トランジスタQ9Aがオフ、トランジスタQ9Bがオンになるので、ノードN3はノードN2Bに電気的に接続される。つまりその間は、グループBが駆動され、グループAは休止状態になる。
このように、トランジスタQ9A,Q9Bは、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRに基づいて、トランジスタQ6,Q7より成るインバータの出力端(ノードN3)を、ノードN2AおよびノードN2Bへと交互に接続させる切替回路として機能する。
実施の形態8では、プルダウントランジスタのグループAとグループBとの交互の動作を2つのインバータ(第1および第2インバータ)を交互に動作させることで行っていた。それに対し本実施の形態では、単一のインバータの出力端の接続先を、ノードN2AとノードN2Bとに交互に切り替えることによって行っている。その点を除けば、本実施の形態の単位シフトレジスタSR(ゲート線駆動部41、順方向シフト部42および逆方向シフト部43)の動作は実施の形態8と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
本実施の形態においても、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRが反転する毎に、プルダウントランジスタのグループAとグループBとが交互に休止状態になるので、それらのゲートが直流的にバイアスされることが防止される。従って、実施の形態8と同様にプルダウントランジスタのしきい値電圧シフトを防止でき、誤信号の発生を防止することができる。
また本実施の形態では、実施の形態8と比較してゲートがノードN1に接続したトランジスタが少なく、ノードN1に接続されるトランジスタのゲート容量が小さくなる。よって、ノードN1の寄生容量が低減され、第1クロック端子CK1に入力されるクロック信号によるノードN1の昇圧効果が高くなり、トランジスタQ1の駆動能力が向上するという利点もある。また使用されるトランジスタが実施の形態8より少ないため、回路の占有面積が小さくなるという利点もある。
なお、上記の実施の形態3〜5は、本実施の形態の単位シフトレジスタSRに対しても適用可能である。また実施の形態9も本実施の形態の単位シフトレジスタSRに対して適用可能である。即ち、図23に示すように、図22の回路からトランジスタQ4n,Q4rを省略してもよい。
<実施の形態11>
図24は、実施の形態11に係る単位シフトレジスタSRの回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、図7の回路に対し、ゲート線駆動部41のトランジスタQ2Aを省略している。
トランジスタQ2Aは、容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータの出力(ノードN2のレベル)に応じて出力端子OUTの電荷を放電するよう機能するものであったが、出力端子OUT(ゲート線GL)におけるノイズ発生のタイミングや、そのノイズの大きさ等によってはそれを省略することができる場合がある。
トランジスタQ2Aが省略されることにより、単位シフトレジスタSRの形成面積を縮小化できる。またノードN2に付随する寄生容量が低減されるので、容量素子C2の容量値を小さくすることができる点でも、回路面積の縮小化に寄与できる。またトランジスタQ2Aのゲート容量により消費されていた電力を削減できるという利点もある。
またトランジスタQ2Aのみならず、順方向シフト部42のトランジスタQ2An並びに逆方向シフト部43のトランジスタQ2Arも省略してもよい。但し、トランジスタQ2Aを省略しても、トランジスタQ2An,Q2Arは残した方が、より誤動作は起こり難い。
例えば、トランジスタQ2Anが省略された場合、順方向シフト時の第1順方向クロック端子CK1nのクロック信号(順方向クロック)の立ち上がりのタイミングで、順方向出力端子OUTnが高インピーダンス状態になる。順方向出力端子OUTnは、その容量負荷が、ゲート線GLが接続される出力端子OUTに比べて小さいため、高インピーダンス状態になると第1順方向クロック端子CK1nのクロック信号の立ち上がりに応じてレベルが上昇しやすくなる。つまり誤信号としての順方向信号Gnが出力されやすくなる。
また、逆方向出力端子OUTrも、その容量負荷が出力端子OUTに比べて小さいため、トランジスタQ2Arが省略された場合には、逆方向シフト時に第1逆方向クロック端子CK1rのクロック信号(逆方向クロック)の立ち上がりのタイミングで、誤信号としての逆方向信号Grが出力されやすくなる。これらの誤信号の発生を防止すべく、トランジスタQ2An,Q2Arは残しておくことが好ましい。
<実施の形態12>
図25は実施の形態12に係る単位シフトレジスタSRの構成を示す回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。当該単位シフトレジスタSRは、図7の回路に対し、トランジスタQ2Bを省略している。
トランジスタQ2Bは、第2クロック端子CK2のクロック信号に応じて出力端子OUTの電荷を放電するよう機能するものであったが、出力端子OUT(ゲート線GL)におけるノイズ発生のタイミングや、そのノイズの大きさ等によってはそれを省略することができる場合がある。
トランジスタQ2Bが省略されることにより、単位シフトレジスタSRの形成面積を縮小化できる。またトランジスタQ2Bのゲート容量により消費されていた電力を削減できるという利点もある。
トランジスタQ2BのみならずトランジスタQ2Bn,Q2Brも省略してもよい。但し、トランジスタQ2Bを省略しても、トランジスタQ2Bn,Q2Brは残した方が、より誤動作は起こり難い。
先に述べたように、順方向出力端子OUTnおよび逆方向出力端子OUTrは、その容量負荷が出力端子OUTに比べ小さいため、トランジスタQ2Bn,Q2Brが省略されたことで高インピーダンス状態になると、そのレベルがノイズの影響等により上昇しやすい。つまり誤信号としての順方向信号Gnおよび逆方向信号Grが(実施の形態11のようにトランジスタQ2An,Q2Arを省略した場合ほどではないが)出力されやすくなる。よってそれを防止すべく、トランジスタQ2Bn,Q2Brは残しておくことが好ましい。
<実施の形態13>
図26は、実施の形態13に係る単位シフトレジスタSRの構成を示す回路図である。同図においても、代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。本実施の形態では、特に回路の占有面積の削減を優先した例である。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、図7の回路に対し、ゲート線駆動部41のノードN1と、順方向シフト部42のノードN1nと、逆方向シフト部43のノードN1rとを互いに接続させたものである。ノードN1,N1n,N1rを共通化すると、トランジスタQ3Dn,Q3nが完全に並列な関係になるので、それらの機能を1つのトランジスタで実現できる(片方を省略できる)。同様に、トランジスタQ4Dn,Q4nも互いに並列な関係になるので、それらの機能を1つのトランジスタで実現できる。またトランジスタQ3Dr,Q3rも互いに並列な関係になるので、それらの機能を1つのトランジスタで実現でき、トランジスタQ4Dr,Q4rも互いに並列な関係になるので、それらの機能を1つのトランジスタで実現できる。さらに、トランジスタQ5,Q5r,Q5nも互いに並列になるのでそれらの機能を1つのトランジスタで実現できる(そのうち2つを省略できる)。
図26では、トランジスタQ3Dn、Q3Dr、Q4Dn、Q4Dr、Q5Dn、Q5Drを省略している。また図7の容量素子C1を残し、容量素子C1n,C1rを省略している。
このようにノードN1,N1n,N1rを共通化することによって、トランジスタの数を少なくすることができ、回路の占有面積を削減することができる。但し、以下の問題を伴う点に留意すべできる。
図26の単位シフトレジスタSRkにおいて、例えば順方向シフト時にクロック信号CLKの立ち上がり応じてノードN1,N1n,N1r(以下「ノードN1」と総称する)が昇圧されたとき、トランジスタQ1rのドレイン(第1逆方向クロック端子CK1r)およびソース(逆方向出力端子OUTr)は共にLレベル(VSS)である。つまりそのときトランジスタQ1rのゲートは、ソースおよびドレインに対して正にバイアスされ、その大きさは昇圧後のノードN1の電圧という大きなものなる。よってトランジスタQ1rのしきい値電圧は、図7の回路よりも大きく正側にシフトする。
従って、その後にゲート線駆動回路30を逆方向シフトの動作に切り換えたときに、逆方向信号Grのレベルがそのしきい値電圧シフト分だけ低下し、逆方向信号Grにおけるマージンが低下するという問題が生じる。
また順方向シフト時においても、ノードN1が昇圧されている間はトランジスタQ1rにはチャネルが形成され、これがノードN1とトランジスタQ1rのドレインおよびソースと間の寄生容量を増大させる。このノードN1に付随する寄生容量の増大は、容量素子C1によるノードN1の昇圧効果を低下させる方向に働くので、その大きさによってはトランジスタQ1の駆動能力を低下させてしまう場合もある。
また上記のように、図26では、図7の容量素子C1を残し、容量素子C1n,C1rを省略している。その理由は、出力端子OUTは順方向シフト時および逆方向シフト時の両方で活性化されるため、容量素子C1は常に共通化されたノードN1の昇圧効果を高めるように作用できるが、容量素子C1n,C1rはそうとは限らないからである。
即ち、順方向出力端子OUTnは順方向シフト時のみ活性化され、逆方向出力端子OUTrは逆方向シフト時のみ活性化されるので、容量素子C1nは順方向シフト時のみ、容量素子C1rは逆方向シフト時のみにしか、それぞれノードN1を昇圧させることができない。しかも、逆方向シフト時の容量素子C1nおよび順方向シフト時の容量素子C1rは、それぞれノードN1の昇圧を抑えるように作用するため、結果的として容量素子C1n,C1rは互いの昇圧効果を相殺するように働く。よって容量素子C1n,C1rを残すのは占有面積の観点のみならず、動作効率の観点からも非効率である。
なお、本実施の形態は、上記の実施の形態2〜12の単位シフトレジスタSR(図12〜図25)に対しても適用可能である。それら各単位シフトレジスタSRにおいても、ノードN1,N1n,N1rを共通にすれば、トランジスタQ3Dn,Q3nの片方、トランジスタQ4Dn,Q4nの片方、トランジスタQ3Dr,Q3rの片方、トランジスタQ4Dr,Q4rの片方が省略できる。さらに、実施の形態2〜7,11,12の単位シフトレジスタSR(図12〜図19、図24および図25)に適用した場合には、トランジスタQ5,Q5n,Q5rのうちの2つを省略できる。また実施の形態8〜10の単位シフトレジスタSR(図20〜図23)に適用した場合には、トランジスタQ5A,Q5An,Q5Arのうちの2つ、並びに、トランジスタQ5B,Q5Bn,Q5Brのうちの2つを省略できる。
<実施の形態14>
図27は、実施の形態14に係るゲート線駆動回路30の構成を示す図である。同図のように、本実施の形態では、最前段の単位シフトレジスタSR1のさらに前段にダミーの単位シフトレジスタであるダミー段SRD1を設けると共に、最後段の単位シフトレジスタSRnのさらに次段にもダミーの単位シフトレジスタであるダミー段SRD2を設けている。なお、単位シフトレジスタSR1〜SRnの回路構成は、上記の実施の形態1〜13および後述の実施の形態15のいずれのものを用いてもよい。
ダミー段SRD1は、単位シフトレジスタSR1が出力する逆方向信号Gr1を受け、それが活性化された次のタイミングで当該ダミー段SRD1の出力信号であるダミー信号Drを活性化させる。よってダミー信号Drは、逆方向シフトのエンド信号として用いることができる。そこで単位シフトレジスタSR1の逆方向リセット端子RSTrには、図2の逆方向エンド信号EDrに代えて、ダミー信号Drを入力させる。
ダミー段SRD2は、単位シフトレジスタSRnが出力する順方向信号Gnnを受け、それが活性化された次のタイミングで当該ダミー段SRD2の出力信号であるダミー信号Dnを活性化させる。よってダミー信号Dnは、順方向シフトのエンド信号として用いることができる。そこで単位シフトレジスタSRnの順方向リセット端子RSTnには、図2の順方向エンド信号EDnに代えて、ダミー信号Dnを入力させる。
このように本実施の形態では、順方向エンド信号EDnおよび逆方向エンド信号EDrが不要になる。そのため図27のゲート線駆動回路30では、図2のスタート/エンド信号発生器32に代えて、順方向スタート信号STnおよび逆方向スタート信号STrだけを出力するスタート信号発生器33を採用している。
図28(a),(b)に、スタート信号発生器33の構成例を示す。同図は、基本となる通常のスタート信号ST(各フレーム期間の先頭に対応するもの)を用いて、順方向スタート信号STnおよび逆方向スタート信号STrを生成する回路を示している。図28(a),(b)のスタート信号発生器33は、図6(a),(b)のスタート/エンド信号発生器32の回路のうちの、順方向スタート信号STnおよび逆方向スタート信号STrを生成する部分だけを取り出したものと同じである。図28(a),(b)においても、順方向スタート信号STnは端子SOUT1から出力され、逆方向スタート信号STrは端子SOUT2から出力されるものとする。
図28(a)は順方向シフト時の状態を示している。スイッチSW7は、端子SOUT1に順方向スタート信号STnとしてスタート信号STを供給し、スイッチSW9は端子SOUT2を第1電源端子S1に接続させて、逆方向スタート信号STrをLレベルに固定する。図28(b)は逆方向シフト時の状態を示している。スイッチSW7、端子SOUT1を第1電源端子S1に接続させ、順方向スタート信号STnをLレベルに固定し、スイッチSW9は、端子SOUT2に逆方向スタート信号STrとしてスタート信号STを供給する。
図28(a),(b)のような回路を用いれば、スタート信号発生器33は、実質的に通常のスタート信号STのみを用いて、順方向スタート信号STnおよび逆方向スタート信号STrを生成することができるため、コストの低減を図ることができる。もちろん、スタート信号発生器33が、その2つの信号をそれぞれ独立に生成するものであってもよい。
ダミー段SRD1,SRD2としては、単位シフトレジスタSR1〜SRnと同様の構成のもの使用することもできる。しかし上記したように、ダミー段SRD1は、自己の次段である単位シフトレジスタSR1からの逆方向信号Gr1を受け、その次のタイミングでダミー信号Drを出力する動作、即ち逆方向シフトを専ら行うものである。よってダミー段SRD1は、ゲート線駆動部41および順方向シフト部42を備える必要はない。
同様に、ダミー段SRD2は、自己の前段である単位シフトレジスタSRnからの順方向信号Gnnを受け、その次のタイミングでダミー信号Dnを出力する動作、即ち順方向シフトを専ら行うものである。よってダミー段SRD2は、ゲート線駆動部41および逆方向シフト部43を備える必要はない。
以下に、ダミー段SRD1,SRD2の構成例を示す。図29は、ダミー段SRD1の構成を示す回路図である。このダミー段SRD1は、逆方向シフト部43のみから成っている。即ち、当該ダミー段SRD1は、逆方向出力端子OUTrから出力される信号をダミー信号Drとして用いている。
但し、上記の各実施の形態で示した単位シフトレジスタSRでは、逆方向シフト部43のトランジスタQ2Ar,Q5rはゲート線駆動部41内のインバータによって制御されており逆方向シフト部43自身はインバータを備えていなかった。ダミー段SRD1ではゲート線駆動部41が省略されているので、代わりに逆方向シフト部43自身にノードN1rを入力端、トランジスタQ2Ar,Q5rのゲートノード(「ノードN2r」と定義)を出力端とするインバータを設ける。
本実施の形態ではそのインバータとして、容量素子C2rおよびトランジスタQ6rから成る容量性負荷型のインバータを用いている。図29の如く、容量素子C2rは、ノードN2rと第1逆方向クロック端子CK1rとの間に接続する。つまり当該インバータには、逆方向クロック/CLKrが電源として供給される。またトランジスタQ6rは、ノードN2rと第1電源端子S1との間に接続し、ゲートがノードN1rに接続される。
またダミー段SRD1よりも前段は存在しないので、当該ダミー段SRD1をリセット状態にするために、実施の形態3の技術を適用する。即ち、逆方向リセット端子RSTr(トランジスタQ4rのゲート)に逆方向クロックCLKrを入力させると共に、トランジスタQ4rのソースを、逆方向信号Gr1が入力される逆方向入力端子INrに接続させる。実施の形態3で説明したように、このように構成すれば、逆方向リセット端子RSTrにその前段の逆方向信号Grを入力させる必要がなくなる。よって、自己よりも前段が存在しないダミー段SRD1もリセット状態になることができる。
なお、ダミー段SRD1の動作は、上記の各実施の形態における逆方向シフト部43と基本的に同じであるので、ここでの説明は省略する。
また図30は、ダミー段SRD2の構成を示す回路図である。このダミー段SRD2は、順方向シフト部42のみから成っている。即ち、当該ダミー段SRD2は、順方向出力端子OUTnから出力される信号をダミー信号Dnとして用いている。
但し、上で示した各単位シフトレジスタSRでは、順方向シフト部42自身はトランジスタQ2An,Q5nを駆動するインバータを備えていなかった。そこでその代わりに、ダミー段SRD2には、順方向シフト部42自身に、ノードN1nを入力端、トランジスタQ2An,Q5nのゲートノード(「ノードN2n」と定義)を出力端とするインバータを設ける。
ダミー段SRD2では、図30の如く、容量素子C2nおよびトランジスタQ6nから成る容量性負荷型のインバータを設けている。容量素子C2nは、ノードN2nと第1順方向クロック端子CK1nとの間に接続する。つまり当該インバータには、順方向クロックCLKnが電源として供給される。またトランジスタQ6nは、ノードN2nと第1電源端子S1との間に接続し、ゲートがノードN1nに接続される。
ダミー段SRD2よりも後段は存在しないので、当該ダミー段SRD2をリセット状態にするために、ここでも実施の形態3の技術を適用する。即ち、順方向リセット端子RSTn(トランジスタQ4nのゲート)に順方向クロック/CLKnを入力させると共に、トランジスタQ4nのソースを、順方向信号Gnnが入力される順方向入力端子INnに接続させる。実施の形態3で説明したように、このように構成すれば、順方向リセット端子RSTnにその後段の逆方向信号Gnを入力させる必要がなくなる。よって、自己よりも後段が存在しないダミー段SRD2もリセット状態になることができる。
なお、ダミー段SRD2の動作は、上記の各実施の形態における順方向シフト部42と基本的に同じであるので、ここでの説明は省略する。
<実施の形態15>
以上の各実施の形態においては、ゲート線駆動回路30における信号のシフト方向の制御に、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrが用いられていた。それにより、順方向シフト時に誤信号としての逆方向信号Grが発生することが防止されると共に、逆方向シフト時に誤信号としての順方向信号Gnが発生することが防止され、順方向シフトおよび逆方向シフトが正常に行われる。
しかし、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrという4つの制御信号が用いられるために、その配線面積の増大が懸念される。そこで本実施の形態では、制御信号の数を抑えつつ、上記のような誤信号の発生を防止する別の手法を提案する。
図31は、実施の形態15に係るゲート線駆動回路30の構成を示す図である。同図の如く本実施の形態では、クロック信号発生器34はクロック信号CLK,/CLKのみを出力するものである。つまり順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrは使用しない。その代わりに、所定の第1および第2電圧信号Vn,Vrを出力する電圧信号発生器35が設けられる。
第1および第2電圧信号Vn,Vrは、本実施の形態のゲート線駆動回路30における信号のシフト方向を決定する制御信号である。電圧信号発生器35は、ゲート線駆動回路30が順方向シフトを行う場合には、第1電圧信号VnをHレベル、第2電圧信号VrをLレベルにする。逆に、逆方向シフトを行う場合には、第2電圧信号VrをHレベル、第1電圧信号VnをLレベルにする。つまり第1および第2電圧信号Vn,Vrは互いに相補な関係になる。なお、第1および第2電圧信号Vn,Vrの電位は、ゲート線駆動回路30が正常に動作する範囲内であれば任意でよいが、ここでは他の信号と同様にHレベルを電位VDD、Lレベルを電位VSSと仮定する。
また図31に示すように、本実施の形態の単位シフトレジスタSRのそれぞれには、第1電圧信号Vnを入力するための第1電圧信号端子T1および、第2電圧信号Vrを入力するための第2電圧信号端子T2がそれぞれ設けられている。
図32は、本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRの構成を示す図である。ここでも代表的に第k段目の単位シフトレジスタSRkを示している。本実施の形態の単位シフトレジスタSRは、図7の回路に対し、トランジスタQ1,Q1n,Q1rのドレインは全て第1クロック端子CK1に接続させ、トランジスタQ3nのドレインを第1電圧信号端子T1に接続させ、トランジスタQ3rのドレインを第2電圧信号端子T2に接続させたものである。
本実施の形態に係る単位シフトレジスタSRkの動作を説明する。順方向シフト時には、第1電圧信号VnはHレベル(VDD)、第2電圧信号VrはLレベル(VSS)になる。この場合、トランジスタQ3rのドレインはLレベルに固定されるため、逆方向シフト部43のノードN1rが充電されることはなく、トランジスタQ1rはオフに維持される。そのため、トランジスタQ1rのドレインにクロック信号CLKが入力されていても、逆方向信号Grkが出力されることは防止される。一方、ゲート線駆動部41および順方向シフト部42は、図7の回路の順方向シフト時と同様に動作することができる。
また逆方向シフト時には、第2電圧信号VrがHレベル、第1電圧信号VnがLレベルになる。この場合、トランジスタQ3nのドレインはLレベルに固定されるため、順方向シフト部42のノードN1nが充電されることはなく、トランジスタQ1nはオフに維持される。そのため、トランジスタQ1nのドレインにクロック信号CLKが入力されていても、逆方向信号Grkが出力されることは防止される。一方、ゲート線駆動部41および順方向シフト部42は、図7の回路の順方向シフト時と同様に動作することができる。
本実施の形態によれば、実施の形態1と比較して、使用する制御信号の数が少なくなるので、ゲート線駆動回路30における配線面積の縮小を図ることができる。
但し、本実施の形態では、順方向シフト時にはトランジスタQ3Dnのドレインが常にHレベルになり、逆方向シフト時にはトランジスタQ3Drのドレインが常にHレベルになる。よって、例えば順方向シフト時の非選択期間において、トランジスタQ3nのリーク電流に起因するノードN1nのレベル上昇が懸念される。また逆方向シフト時の非選択期間においては、トランジスタQ3rのリーク電流に起因するノードN1rのレベル上昇が懸念される。そうなると、順方向シフト時には誤信号としてのゲート線駆動信号Gおよび順方向信号Gnが生じやすくなり、逆方向シフト時には誤信号としてのゲート線駆動信号Gおよび逆方向信号Grが生じやすくなる。即ち、順方向シフト部42および逆方向シフト部43において実施の形態4(図14)の回路と同じ問題が生じる可能性がある。
そこで、本実施の形態の順方向シフト部42および逆方向シフト部43に対しても、上記の実施の形態3と同様の手法をとることが好ましい。即ち図33のように、トランジスタQ4nのゲートを第2クロック端子CK2に接続させると共に、ソースを順方向入力端子INnに接続させる。またトランジスタQ4rのゲートを第2クロック端子CK2に接続させると共に、ソースを逆方向入力端子INrに接続させる。そうすることにより、非選択期間にトランジスタQ4Dn,Q4n,Q4rとトランジスタQ5,Q5n,Q5rとが交互にオンし、ノードN1,N1n,N1rを低インピーダンスのLレベルにするので、上記リーク電流の問題を解決できる。
なお本実施の形態は、上記の各実施の形態に対しても適用可能である。もちろん実施の形態8〜10のように、第1および第2フレーム信号VFR,/VFRを用いて、駆動するプルダウントランジスタを切り替える構成のものに対しても適用可能である。例えば、図34は、実施の形態8(図20)に適用した例を示している。図34の如く、この場合も、トランジスタQ1,Q1n,Q1rのドレインは全て第1クロック端子CK1に接続させ、トランジスタQ3nのドレインを第1電圧信号端子T1に接続させ、トランジスタQ3rのドレインを第2電圧信号端子T2に接続させればよい。
但し、実施の形態13(図26)に対しては適用するメリットは少ない。図26の単位シフトレジスタSRはノードN1,N1n,N1rが共通であるため、順方向シフト時でも逆方向シフト時でも、ゲート線駆動部41、順方向シフト部42および逆方向シフト部43は全て同時にセット状態になる。よって各単位シフトレジスタSRが、順方向シフト時に逆方向信号Grを活性化させず、逆方向シフト時に順方向信号Gnを活性化させないようにするために、結局、順方向クロックCLKn,/CLKnおよび逆方向クロックCLKr,/CLKrによる制御が必要となり、かえって配線面積が増大してしまう。そのため、実施の形態13でのトランジスタ数の削減による占有面積の縮小の効果が小さくなる。
<実施の形態16>
図7の単位シフトレジスタSRkが順方向シフトの動作を行っているとき、そのゲート線駆動部41が出力するゲート線駆動信号Gkおよび順方向シフト部421が出力する順方向信号Gnkは所定のタイミングで活性化される(Hレベルになる)が、逆方向シフト部43が出力する逆方向信号Grkは非活性状態(Lレベルに固定)になる。
このときの逆方向シフト部43に注目すると、それに供給される逆方向クロックCLKrおよび逆方向信号Grk+1,Grk-1はLレベルに固定されている。よってトランジスタQ3r,Q4rはオフに維持される。しかしノードN2はクロック信号CLKの周期でHレベルになるので(図10参照)、トランジスタQ5r,Q2Arは周期的にオンし、それによってノードN1rおよび逆方向出力端子OUTrはLレベルに維持される。
よって順方向シフト時では、トランジスタQ1r,Q3r,Q4rは全ての端子がLレベルに維持されており、それらのしきい値電圧のシフトは生じない。しかしゲートがノードN2に接続したトランジスタQ5r,Q2Ar、並びにゲートにクロック信号/CLKが供給されるトランジスタQ2Brは、ゲートが交流的にバイアスされるため次第にしきい値電圧がシフトして駆動能力が低下する。
このことは、単位シフトレジスタSRkの動作が順方向シフトから逆方向シフトに切り替わったときに以下の問題を生じさせる。本来トランジスタQ5rは、逆方向シフト時の単位シフトレジスタSRkの非選択期間に、トランジスタQ1rのドレイン・ゲート間のオーバラップ容量を介した結合により、逆方向クロックCLKrの立ち上がり時にノードN1rのレベルが上昇するのを防止するよう機能するものである。しかしトランジスタQ5rの駆動能力が低下していると、そのノードN1rのレベル上昇を充分に抑えることができなくなる。しかもトランジスタQ1rにはしきい値電圧のシフトが生じていないため比較的オンしやすい状態にある。その結果、非選択期間であるにも拘わらず、逆方向クロックCLKrの立ち上がり時にトランジスタQ1rがオンになり、逆方向出力端子OUTrのレベルが上昇しようとする。
このときトランジスタQ2Arがオンになるため、本来はこの逆方向出力端子OUTrのレベル上昇は抑制されるはずだが、トランジスタQ2Arの駆動能力が低下しているとそれを充分に抑制することができない。その結果、誤信号としての逆方向信号Grkが発生し、それが前段の単位シフトレジスタSRk-1を活性化させることで表示不良の問題が生じる。
なおトランジスタQ2Brは、クロック信号CLKrの非活性時、つまり上記の誤信号が発生しない期間にオンして逆方向出力端子OUTrをLレベルに維持すればよいため、高い駆動能力は要求されない。よってトランジスタQ2Brに関しては、しきい値電圧のシフトが生じてもさほど問題とはならない。
この誤信号発生の問題は、単位シフトレジスタSRkの動作が逆方向シフトから順方向シフトに切り替わったときには、順方向シフト部42で生じる。即ち、逆方向シフトの動作が長期間継続されると、トランジスタQ1n,Q3n,Q4nにはしきい値電圧のシフトが無く、トランジスタQ2An,Q2Bn,Q5nはしきい値電圧がシフトした(駆動能力が低下した)状態となる。その状態から順方向シフトに転じると、順方向クロックCLKnに立ち上がり時に誤信号としての順方向信号Gnkが発生する。なお、トランジスタQ2Bnは高い駆動能力は要求されないため、しきい値電圧がシフトしてもさほど問題とはならない。
実施の形態16では、以上の問題を解決できる単位シフトレジスタを提供する。図35は、実施の形態16に係る単位シフトレジスタSRkの構成を示す回路図である。
実施の形態1(図7)の単位シフトレジスタSRkでは、順方向シフト部42のトランジスタQ2An,Q5nおよび逆方向シフト部43のトランジスタQ2Ar,Q5rは、いずれもゲートがノードN2に接続されており、ゲート線駆動部41の容量素子C2とトランジスタQ6から成るインバータによって駆動されていた。
それに対し図35の回路では、順方向シフト部42のトランジスタQ2An,Q5nと、逆方向シフト部43のトランジスタQ2Ar,Q5rとを、それぞれ独立に駆動する。即ち、本実施の形態の単位シフトレジスタSRkは、順方向シフト部42に容量素子C2nとトランジスタQ6nから成るインバータを備えており、それによってトランジスタQ2An,Q5nを駆動する。同様に逆方向シフト部43には容量素子C2rとトランジスタQ6rから成るインバータが設けられ、それによってトランジスタQ2Ar,Q5rを駆動する。
順方向シフト部42において、容量素子C2nおよびトランジスタQ6nは、容量素子C2nを負荷素子とする容量性負荷型のインバータを構成している。当該インバータの構成は、基本的にゲート線駆動部41の容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータと同様であるが、第1順方向クロック端子CK1nに入力されるクロック信号が電源として供給されている。
このインバータの入力端はノードN1nであり、出力端(「ノードN2n」と定義する)はトランジスタQ2An,Q5nのゲートに接続される。即ち、容量素子C2nはノードN2nと第1順方向クロック端子CK1nとの間に接続しており、またトランジスタQ6nはノードN2nと第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートがノードN1nに接続している。即ち、トランジスタQ5nは、容量素子C2n(負荷)を介して第1順方向クロック端子CK1nに接続したゲート(ノードN2n)を有し、ノードN1nを放電するものであり、またトランジスタQ6nは、ノードN1nに接続したゲートを有し、ノードN2nを放電するものである。
当該インバータは、第1順方向クロック端子CK1nに入力されるクロック信号に同期して活性化される交流的な動作を行う。具体的には、第1順方向クロック端子CK1nに入力されるクロック信号が活性レベル(Hレベル)の期間は、当該インバータはノードN1nのレベルを反転させてノードN2nに出力する。しかし第1順方向クロック端子CK1nに入力されるクロック信号が非活性レベル(Lレベル)の期間は、ノードN1nのレベルに関係なくノードN2nはLレベルになる。
同様に、逆方向シフト部43において、容量素子C2rおよびトランジスタQ6rは、容量素子C2rを負荷素子とする容量性負荷型のインバータを構成している。当該インバータの構成も、基本的にゲート線駆動部41の容量素子C2およびトランジスタQ6から成るインバータと同様であるが、第1逆方向クロック端子CK1rに入力されるクロック信号が電源として供給されている。
このインバータの入力端はノードN1rであり、出力端(「ノードN2r」と定義する)はトランジスタQ2Ar,Q5rのゲートに接続される。即ち、容量素子C2rはノードN2rと第1逆方向クロック端子CK1rとの間に接続しており、またトランジスタQ6rはノードN2rと第1電源端子S1との間に接続し、そのゲートがノードN1rに接続している。即ち、トランジスタQ5rは、容量素子C2r(負荷)を介して第1逆方向クロック端子CK1rに接続したゲート(ノードN2r)を有し、ノードN1rを放電するものであり、またトランジスタQ6rは、ノードN1rに接続したゲートを有し、ノードN2rを放電するものである。
当該インバータは、第1逆方向クロック端子CK1rに入力されるクロック信号に同期して活性化される交流的な動作を行う。具体的には、第1逆方向クロック端子CK1rに入力されるクロック信号が活性レベル(Hレベル)の期間は、当該インバータはノードN1rのレベルを反転させてノードN2rに出力する。しかし第1逆方向クロック端子CK1rに入力されるクロック信号が非活性レベル(Lレベル)の期間は、ノードN1rのレベルに関係なくノードN2rはLレベルになる。
本実施の形態の単位シフトレジスタSRkの動作は基本的に図7の回路と同様である。但し、順方向シフト時にはトランジスタQ2Ar,Q5rのゲート(ノードN2r)がLレベルに固定され、逆順方向シフト時にはトランジスタQ2An,Q5nのゲート(ノードN2n)がLレベルに固定される。つまり、順方向シフト時のトランジスタQ2Ar,Q5rのしきい値電圧のシフト、並びに逆順方向シフト時のトランジスタQ2An,Q5nのしきい値電圧のシフトがそれぞれ防止されるので、上記の問題は起こらない。
なお本実施の形態では、トランジスタQ2An,Q2ArのゲートをそれぞれノードN2n,N2rに接続させたが、図7の回路と同様にそれらをノードN2に接続してもよい。その場合、トランジスタQ2An,Q2Arに、図7の場合と同様のしきい値電圧のシフトが生じるが、トランジスタQ5n,Q5rのしきい値電圧のシフトが抑えられることで誤信号の発生は防止できる。また順方向シフト時の逆方向出力端子OUTrのレベル上昇および逆方向シフト時に順方向出力端子OUTnのレベル上昇をより確実に防止できる点で有効である。
図35では図7の回路に対する変更例を示したが、本実施の形態は図8、図9、図12〜図19、図24〜図26、図29、図30、図32、図33の単位シフトレジスタSRに対しても適用可能である。
30 ゲート線駆動回路、31 クロック信号発生器、32 スタート/エンド信号発生器、33 スタート信号発生器、34 クロック信号発生器、35 電圧信号発生器、41 ゲート線駆動部、42 順方向シフト部、43 逆方向シフト部、SR 単位シフトレジスタ、SRD1,SRD2 ダミー段、GL ゲート線。