[ベース樹脂(A)]
ベース樹脂としては、成形用として利用される種々の樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
(1)ポリエステル系樹脂
ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合、オキシカルボン酸又はラクトンの重縮合、またはこれらの成分の重縮合などにより得られるホモポリエステル又はコポリエステルである。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、飽和ポリエステル系樹脂、特に芳香族飽和ポリエステル系樹脂が含まれる。
ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などの炭素数4〜40程度のジカルボン酸、好ましくは炭素数4〜14程度のジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸(例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などの炭素数8〜12程度のジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸などの炭素数8〜16程度のジカルボン酸)、又はこれらの誘導体(例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。さらに、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
好ましいジカルボン酸成分には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸が含まれる。
ジオール成分には、例えば、脂肪族アルキレンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどの炭素数2〜12程度の脂肪族グリコール、好ましくは炭素数2〜10程度の脂肪族グリコール)、ポリオキシアルキレングリコール[アルキレン基の炭素数が2〜4程度であり、複数のオキシアルキレン単位を有するグリコール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど]、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなど)などが挙げられる。また、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールを併用してもよい。これらのジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。さらに、必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオールを併用してもよい。
好ましいジオール成分には、C2−6アルキレングリコール(エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状アルキレングリコール)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール[ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2−4アルキレン)単位を含むグリコール]、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
オキシカルボン酸には、例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、オキシカプロン酸などのオキシカルボン酸又はこれらの誘導体などが含まれる。
ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなど)などのC3−12ラクトンなどが含まれる。
好ましいポリエステル系樹脂には、アルキレンテレフタレート、アルキレンナフタレートなどのアルキレンアリレートを主成分(例えば、50〜100重量%、好ましくは75〜100重量%程度)とするホモポリエステル又はコポリエステル[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2−4アルキレンテレフタレート)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンナフタレート)などのホモポリエステル;アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレンナフタレート単位を主成分(例えば、50重量%以上)として含有するコポリエステル]が含まれる。特に好ましいポリエステル系樹脂には、ブチレンテレフタレート単位を主成分として含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートコポリエステル)やエチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエチレンテレフタレート系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコポリエステル)が含まれる。なお、これらのポリエステル系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、コポリエステルにおいて、共重合可能な単量体としては、C2−6アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの直鎖状アルキレングリコールなど)、繰返し数が2〜4程度のオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレングリコール(ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシ−C2−4アルキレン)単位を含むグリコールなど)、脂環族ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)、芳香族ジオール[2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパンなど]、C6−12脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸など)、オキシカルボン酸(オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸など)などが挙げられる。なお、ポリエステル系樹脂は、溶融成形性などを損なわない限り、直鎖状のみならず分岐鎖構造を有していてもよく、架橋されていてもよい。また、液晶ポリエステルであってもよい。
ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、例えば、エステル交換、直接エステル化法などにより製造できる。
(2)ポリアセタール系樹脂
ポリアセタール系樹脂には、オキシメチレン基(−CH2O−)を構成単位とするポリアセタールホモポリマー、及びオキシメチレン基以外に他のコモノマー単位を含有するポリアセタールコポリマーが含まれる。コポリマーにおいて、コモノマー単位には、オキシC2−6アルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基などのオキシC2−4アルキレン単位)が含まれる。コモノマー単位の含有量は、ポリアセタール系樹脂全体に対して、例えば、0.01〜30モル%、好ましくは0.03〜20モル%、さらに好ましくは0.03〜15モル%程度の範囲から選択できる。
ポリアセタールコポリマーは、二成分で構成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマーなどであってもよい。ポリアセタールコポリマーは、ランダムコポリマーの他、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーなどであってもよい。また、ポリアセタール系樹脂は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタール系樹脂の末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸又はそれらの無水物とのエステル化などにより安定化してもよい。
前記ポリアセタール系樹脂は、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールなどの環状エーテルや環状ホルマールを重合することにより製造できる。
(3)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系単量体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなど)の単独又は共重合体;スチレン系単量体とビニル単量体(例えば、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などのα,β−モノオレフィン性不飽和カルボン酸又は酸無水物あるいはそのエステルなど)との共重合体;スチレン系グラフト共重合体、スチレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
好ましいスチレン系樹脂としては、ポリスチレン(GPPS)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、ゴム成分にスチレン系単量体が重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリスチレン系グラフト又はブロック共重合体などが含まれる。ポリスチレン系グラフト共重合体としては、ゴム成分に少なくともスチレン系単量体および共重合性単量体がグラフト重合した共重合体(例えば、ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したABS樹脂、アクリルゴムにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したAAS樹脂、塩素化ポリエチレンにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合したACS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体にスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、エチレン−プロピレンゴムにスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合した重合体、ポリブタジエンにスチレンとメタクリル酸メチルをグラフト重合したMBS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムにスチレン及びアクリロニトリルがグラフト重合した樹脂などが挙げられる。ブロック共重合体としては、ポリスチレンブロックとジエン又はオレフィンブロックとで構成された共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体)などが挙げられる。これらのスチレン系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(4)ポリアミド系樹脂
ポリアミドには、ジアミンとジカルボン酸とから誘導されるポリアミド;アミノカルボン酸、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸を併用して得られるポリアミド;ラクタム、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸との併用により誘導されたポリアミドが含まれる。ポリアミドには、少なくとも2種の異なったポリアミド形成成分により形成されるコポリアミドも含まれる。
ジアミンとしては、例えば、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ジアミンが挙げられる。また、フェニレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンを併用してもよい。これらのジアミンは1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
ジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸などのC4−20脂肪族ジカルボン酸;二量体化脂肪酸(ダイマー酸);シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸やテレフタル酸、ナフタレンカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、例えば、アミノヘプタン酸、アミノノナン酸、アミノウンデカン酸などのC4−20アミノカルボン酸が例示される。アミノカルボン酸も一種で又は二種以上使用できる。
ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタムなどのC4−20ラクタムが挙げられる。これらのラクタムも1種で又は2種以上組み合せて使用できる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸および/又はイソフタル酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなど)とから得られるポリアミド、芳香族および脂肪族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸とアジピン酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)とから得られるポリアミドなどが挙げられる。これらのポリアミドは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいポリアミドには、非芳香族及び脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12など)、半芳香族ポリアミド(ナイロンMXD6、ナイロン9Tなど)、半芳香族共重合ポリアミド(ナイロン6T/6、ナイロン6T/66、ナイロン6T/12、ナイロン6I/6、ナイロン6I/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/6I/6、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/M5Tなど)などが含まれる。ポリアミド系樹脂は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(5)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂には、ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとの反応により得られる重合体が含まれる。ジヒドロキシ化合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好ましくはビスフェノール化合物である。
ビスフェノール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C4−10シクロアルカン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトンなどが挙げられる。
好ましいポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールA型ポリカーボネートが含まれる。ポリカーボネート系樹脂は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(6)ポリフェニレンオキシド系樹脂
ポリフェニレンオキシド系樹脂(ポリフェニレンエーテル系樹脂)には、単独重合体および共重合体が含まれる。単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,5−ジエチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−メトキシ−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレン)オキシド等のポリ(モノ、ジ又はトリC1−6アルキル−フェニレン)オキシド、ポリ(モノ又はジC6−20アリール−フェニレン)オキシド、ポリ(モノC1−6アルキル−モノC6−20アリール−フェニレン)オキシドなどが挙げられる。
ポリフェニレンオキシドの共重合体としては、前記単独重合体のモノマーユニットを2つ以上有する共重合体(例えば、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド単位と、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンオキシド単位とを有するランダム共重合体など)、ベンゼンホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂などのベンゼン環含有化合物のホルムアルデヒド縮合物)やアルキルベンゼンホルムアルデヒド樹脂に、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなどのアルキルフェノールを反応させて得られるアルキルフェノール変性ベンゼンホルムアルデヒド樹脂ブロックと、主体構造としてのポリフェニレンオキシドブロックとで構成された変性ポリフェニレンオキシド共重合体、ポリフェニレンオキシド又はその共重合体にスチレン系モノマー及び/又は不飽和酸無水物がグラフトしている変性グラフト共重合体などが挙げられる。ポリフェニレンオキシド系樹脂は1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(7)ビニル系樹脂
ビニル系樹脂としては、ビニル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル;塩素含有ビニル単量体(例えば、塩化ビニル、クロロプレンなど);フッ素含有ビニル単量体(例えば、フルオロエチレンなど);メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどのビニルアミン類など)の単独又は共重合体、あるいは他の共重合可能なモノマーとの共重合体などが含まれる。
前記ビニル系樹脂の誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)も使用できる。これらのビニル系樹脂は1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(8)オレフィン系樹脂
オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのα−C2−10オレフィンや環状オレフィン[例えば、シクロプロピレン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロプロピン、シクロブチン、シクロペンチン、シクロヘキシン、シクロオクチン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジシクロヘプタジエン、テトラジシクロドデセン、ヘキサシクロヘプタデセン又はこれらの誘導体(アルキル置換体、アルキリデン置換体、アルコキシ置換体、アシル置換体、カルボキシ置換体など)など]の単独又は共重合体、特に、α−C2−3オレフィン系樹脂[例えば、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸金属塩共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(エチレン−エチルアクリレート共重合体など)、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体など]、環状オレフィン系樹脂(例えば、環状オレフィンの単独重合体、α−C2−10オレフィン−環状オレフィン共重合体など)などが挙げられる。
(9)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂には、例えば、(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル酸又はそのエステルなど)の単独又は共重合体の他、 (メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体などが含まれる。
(10)その他の樹脂
その他の樹脂としては、脂肪族ポリケトン系樹脂(ケトン樹脂);ポリスルホン(例えば、熱可塑性ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(4,4′−ビスフェノールエーテルスルホン)など);ポリエーテルケトン;ポリ(エーテルエーテルケトン);ポリエーテルイミド;熱可塑性ポリウレタン系樹脂(例えば、トリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、前記グリコール及び/又は前記ジアミンとの反応により得られる重合体、ポリテトラメチレングリコールなどのセグメントを有していてもよいポリウレタンエラストマーなど);熱可塑性ポリイミド;ポリオキシベンジレン;熱可塑性エラストマーなどが例示できる。
これらの高分子化合物を、単独でまたは二種以上組合わせて使用してもよい。
好ましいベース樹脂としては、液晶ポリエステルであってもよいポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられ、さらに好ましくは、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂が挙げられ、特にポリエステル系樹脂(PBT系樹脂、PET系樹脂など)が好ましい。ポリエステル系樹脂とスチレン系樹脂とを併用してもよい。
前記ベース樹脂の数平均分子量は、特に制限されず、樹脂の種類や用途に応じて適宜選択され、例えば、5×103〜200×104、好ましくは1×104〜150×104、さらに好ましくは1×104〜100×104程度の範囲から選択できる。また、ベース樹脂がポリエステル系樹脂の場合、数平均分子量は、例えば、5×103〜100×104、好ましくは1×104〜70×104、さらに好ましくは1.2×104〜30×104程度であってもよい。
[シアノ基を有する複素環式化合物(B)]
シアノ基を有する複素環式化合物(シアノ基含有複素環式化合物)において、複素環式化合物には、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択された少なくとも一種のヘテロ原子を環の構成原子として有するヘテロ環状化合物が含まれる。これらのヘテロ環状化合物のうち、ヘテロ原子として窒素含有ヘテロ環状化合物又は酸素含有ヘテロ環状化合物が好ましい。
窒素含有ヘテロ環には、窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員飽和又は不飽和窒素含有ヘテロ環や、これらの5又は6員窒素含有ヘテロ環同士の縮合複素環又はこれらの5又は6員窒素含有ヘテロ環とベンゼン環との縮合複素環等が含まれる。このような窒素含有ヘテロ環としては、例えば、窒素含有5員環(ピロール、ピラゾリン、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾリジン等)、窒素及び硫黄含有5員環(チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、チアジアゾリン、チアゾリジン、チアジアゾリジン等)、窒素及び酸素含有5員環(オキサゾリン、フラザン等)、窒素含有6員環(ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピペリジン、ピペラジン等)、窒素及び酸素含有6員環(オキサジンなど)、窒素及び硫黄含有6員環(チアジン、チアジアジン等)、縮合複素環(インドール、インダゾール、キノリン、プリン、フェナントリジン等)などが挙げられる。これらの窒素含有環のうち、複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不飽和窒素含有環が好ましく、特に、トリアゾール及びトリアジンが好ましい。
トリアゾール化合物としては、1,2,3−トリアゾール類(1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール類、2H−1,2,3−トリアゾール類等)、及び1,2,4−トリアゾール類(1,2,4−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール類、4H−1,2,4−トリアゾール類等)が例示できる。シアノ基はトリアゾール環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。シアノ基の個数は、特に制限されず、1〜3個、特に1〜2個程度である。
トリアジン化合物としては、1,3,5−トリアジン類[1,3,5−トリアジン;シアヌール酸又はイソシアヌール酸;アンメリン、アンメリドなどのシアヌール酸アミド類;メラミン、置換メラミン(2−メチルメラミンなどのアルキルメラミン、グアニルメラミンなど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−メラミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂など)などのメラミン又はその誘導体;グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、CTU−グアナミンなどのグアナミン又はその誘導体など]、1,2,3−トリアジン類(1,2,3−トリアジン;5−位、4,5−位等にアミノ基が置換した1,2,3−トリアジン、4−アミノ−ベンゾ−1,2,3−トリアジンなど)、1,2,4−トリアジン類(1,2,4−トリアジン;3−位、5−位、3,5−位等にアミノ基が置換した1,2,4−トリアジンなど)などの各種トリアジン類が挙げられる。シアノ基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。シアノ基の個数は特に制限されず、1〜4個、特に1〜3個程度である。
これらの窒素含有ヘテロ環のうち、トリアジン化合物、特に1,3,5−トリアジン類が好ましい。
シアノ基を有する窒素含有ヘテロ環状化合物としては、例えば、(シアノアルキル)イソシアヌレート[例えば、モノ乃至トリ(2−シアノエチル)イソシアヌレートなどの(シアノC1−6アルキル)イソシアヌレート、モノ乃至トリ(2−シアノ−1,1−ジメチルエチル)イソシアヌレート、モノ乃至トリ(3−シアノ−1,1−ジメチルプロピル)イソシアヌレート、モノ乃至トリ(3−シアノ−2,2−ジメチルプロピル)イソシアヌレート等の(シアノC1−6アルキル)イソシアヌレートなど]、(シアノアリール)イソシアヌレート[例えば、モノ乃至トリ(4−シアノフェニル)イソシアヌレートなどの(シアノC6−10アリール)イソシアヌレートなど]、(シアノアラルキル)イソシアヌレート[例えば、モノ乃至トリ(4−シアノベンジル)イソシアヌレート、モノ乃至トリ(4−シアノフェネチル)イソシアヌレートなどの(シアノC7−15アラルキル)イソシアヌレートなど]などが例示できる。
酸素含有ヘテロ環としては、5又は6員複素環(フラン、ヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、ジオキシン、ジオキセン、ピラン、ヒドロピラン等)、これらの複素環がベンゼン環と縮合した縮合複素環、ヘテロ原子として酸素を含むスピロ環等のヘテロ環が例示できる。これらの酸素含有ヘテロ環のうち、酸素含有ヘテロ環式スピロ環が特に好ましい。
酸素含有ヘテロ環式スピロ環としては、オキサスピロジシクロペンタン類(例えば、1−オキサスピロ[4.4]ウンデカン、1,4,6,9−テトラオキサスピロ[4.4]ウンデカン等)、オキサシクロペンタンスピロシクロヘキサン類(例えば、1−オキサスピロ[4.5]デカン、1,4,6,10−テトラオキサスピロ[4.5]デカン等)、オキサスピロジシクロヘキサン類(例えば、1−オキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等)などが例示できる。
これらのスピロ環のうち、オキサスピロジシクロヘキサン類が好ましく、複数の酸素原子をヘテロ原子として含有する2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが特に好ましい。
スピロ環化合物としては、例えば、ビス(シアノアルキル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン{例えば、3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[2−シアノ−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[3−シアノ−1,1−ジメチルプロピル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[3−シアノ−2,2−ジメチルプロピル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等の3,9−ビス(シアノC1−6アルキル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなど}、ビス(シアノアリール)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン{例えば、3,9−ビス(4−シアノフェニル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの3,9−ビス(4−シアノC6−10アリール)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなど}、ビス(シアノアラルキル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン{例えば、3,9−ビス(4−シアノベンジル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(4−シアノフェネチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの3,9−ビス(4−シアノC7−15アラルキル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなど}などを好ましく使用できる。
これらのシアノ基含有複素環式化合物(B)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
[シアノ基含有複素環式化合物(B)の使用割合]
本発明では、難燃剤としてシアノ基含有複素環式化合物(B)を用いることにより、幅広いベース樹脂に対して、少量の添加であっても高い難燃性を付与できる。複素環式化合物(B)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜80重量部、さらに好ましくは5〜70重量部程度である。ベース樹脂(A)に対して複素環式化合物(B)の割合が多すぎると、樹脂組成物の機械的特性が低下する。
[難燃助剤(C)]
本発明では、難燃助剤(C)は、リン含有化合物(C1)、芳香族樹脂(C2)、窒素含有化合物(C3)、無機金属系化合物(C4)、硫黄含有化合物(C5)及びケイ素含有化合物(C6)などで構成されている。これらの難燃助剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C1)リン含有化合物
リン含有化合物としては、無機リン化合物、有機リン化合物(モノマー型有機リン化合物、ポリマー型有機リン化合物など)等が挙げられる。
(無機リン化合物)
無機リン化合物には、例えば、赤リン、(ポリ)リン酸塩[オルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸(メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等)、ポリ亜リン酸(メタ亜リン酸、ピロ亜リン酸等)などの非縮合又は縮合(亜)リン酸のアンモニウム塩等]などが含まれる。
赤リンは、難燃効果が高く、少量であっても樹脂に難燃性を付与できる。また、少量で効果が得られるため、樹脂の特性(例えば、機械的特性や電気的特性)を損なうことなく難燃化できる。赤リンとしては、通常、安定化処理を施した赤リン(安定化赤リン)が好ましく用いられる。特に、赤リンの粉砕を行わず、赤リン表面に水や酸素との反応性が高い破砕面を形成させずに微粒子化する方法で得られた赤リン、さらには、赤リンの表面が、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)、金属、金属化合物(例えば、金属水酸化物、金属酸化物等)等により単独で又は2種以上組み合わせて被覆された赤リンなどが使用できる。
赤リンの表面を被覆する熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、アルキッド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等が挙げられ、金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化スズ等が挙げられる。
さらに、赤リンの表面を金属で被覆し安定化する方法としては、例えば、無電解メッキ法により、金属(鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、亜鉛、マンガン、スズ、チタン、ジルコニウムなど)又はこれらの合金で被覆する方法が挙げられる。その他の赤リン表面の被覆方法としては、金属塩(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、チタン、銅、銀、鉄、ニッケルなどの塩)の溶液で赤リンを処理し、赤リンの表面に金属リン化合物を形成させて安定化する方法なども含まれる。
特に、赤リン表面に破砕面を形成させないで赤リンを微粒子化する方法を用い、金属成分(金属水酸化物や金属酸化物)の被膜と樹脂の被膜とを組み合わせて複数層で被覆処理、特に金属成分の被膜で被覆した上に樹脂被覆で多重に被覆処理してもよい。これらの安定化赤リンは、耐熱安定性、耐加水分解性に優れており、水分の存在下や高温下での分解反応によりホスフィンの生成が著しく少なく、本発明の樹脂組成物を製造する際、および成形品を製造する際の安全上の観点から好ましい。
赤リンとしては、通常、安定化赤リンを粉粒状で使用できる。安定化赤リンの粒子径としては、例えば、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜70μm、さらに好ましくは0.1〜50μm程度である。
(有機リン化合物)
前記有機リン化合物のうち、モノマー型有機リン化合物には、リン酸エステル、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、ポリリン酸塩、有機ホスホン酸化合物(ホスホン酸エステル、金属塩など)、有機ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド(トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフィンオキシドなど)などが含まれる。
(1)リン酸エステル
リン酸エステルとしては、脂肪族リン酸エステル[リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、リン酸ペンタエリスリトール(例えば、Great Lakes Chemical社のNH−1197、特開2001−106889号公報に記載のビシクロリン酸エステルなど)などのリン酸トリC1−10アルキルエステル;前記リン酸トリエステルに対応するリン酸ジC1−10アルキルエステル及びリン酸モノC1−10アルキルエステルなど]、芳香族リン酸エステル[リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)などのリン酸トリC6−20アリールエステルなど]、脂肪族−芳香族リン酸エステル[リン酸メチルジフェニル、リン酸フェニルジエチル、スピロ環状芳香族リン酸エステル(米国特許第3090799号明細書、特開平5−92986号公報記載のジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート、ジクレジルペンタエリスリトールジホスフェート、ジキシリルペンタエリスリトールジホスフェート等)など]などが挙げられる。
(2)リン酸エステルアミド
リン酸エステルアミドとしては、リン酸エステル及びリン酸アミドの結合様式を含み、特開2001−139823号公報、特開2000−154277号公報、特開平10−175985号公報、特開平8−59888号公報、特開昭63−235363号公報に記載のリン酸エステルアミドなどが使用できる。
好ましいリン酸エステルアミドとして、縮合リン酸エステルアミド類が挙げられる。このようなリン酸エステルアミドとしては、例えば、N−(ジアリールオキシホスフィニル)置換アルキレンアミン類[例えば、N,N′−ビス(ジフェノキシホスフィニル)ピペラジン、N,N′−ビス(ジトルイルオキシホスフィニル)ピペラジン、N,N′−ビス(ジキシリルオキシホスフィニル)ピペラジン、N,N′−ビス(ジ又はトリメチルフェニルオキシホスフィニル)ピペラジンなど]、ビス乃至テトラキス[(ジアリールオキシホスフィニル)アミノ]置換芳香族化合物類{例えば、1,3−又は1,4−ビス[(ジフェノキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジトルイルオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジキシリルオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジ又はトリメチルフェニルオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジフェノキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジトルイルオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジキシリルオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ジ−トリメチルフェニルオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼンなど}、N−(環状アルキレンジオキシホスフィニル)置換アルキレンアミン類[例えば、N,N′−ビス(ネオペンチレンジオキシホスフィニル)ピペラジンなど]、ビス乃至テトラキス[(環状アルキレンジオキシホスフィニル)アミノ]置換芳香族化合物類{例えば、1,3−又は1,4−ビス[(ネオペンチレンジオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ネオペンチレンジオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼンなど}、N−(環状アリーレンジオキシホスフィニル)置換アルキレンアミン類[例えば、N,N′−ビス(フェニレン−1,2−ジオキシホスフィニル)ピペラジン、1,3−又は1,4−ビス[(ビフェニレン−2,2′−ジオキシホスフィニル)アミノメチル]ピペラジンなど]、ビス乃至テトラキス[(環状アリーレンジオキシホスフィニル)アミノ]置換芳香族化合物類{例えば、1,3−又は1,4−ビス[(フェニレン−1,2−ジオキシホスフィニル)アミノ]ベンゼン、1,3−又は1,4−ビス[(ビフェニレン−2,2′−ジオキシホスフィニル)アミノメチル]ベンゼンなど}、3,9−ビス(N−置換アミノ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]−ウンデカン−3,9−ジオキシド類[例えば、N−置換アミノ基が、ジアルキルアミノ基(ジエチルアミノ基など)、環状アミノ基(ピペリジノ基、ピペコリノ基、ジメチルピペリジノ基、モルホリノ基など)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基など)、アルキルアリールアミノ基(メチルフェニルアミノ基など)などであるスピロ環状リン酸エステルアミド]などが含まれる。
リン酸エステルアミドは、商品名「リン酸エステルアミド系難燃剤SPシリーズ(例えば、SP−601、SP−670、SP−703、SP−720など)」(四国化成工業(株)製)として入手できる。
(3)ホスホニトリル化合物
ホスホニトリル化合物としては、例えば、(ポリ)フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン、(ポリ)キシレニルオキシホスファゼン、(ポリ)メチルナフチルオキシホスファゼン等の環状又は鎖状アリールオキシホスファゼン、(ポリ)メトキシフェノキシホスファゼン、(ポリ)メトキシトリルオキシホスファゼン、(ポリ)メトキシナフチルオキシホスファゼン等の環状又は鎖状アルコキシアリールオキシホスファゼン、(ポリ)メトキシホスファゼンなどの環状又は鎖状アルコキシホスファゼン等が例示できる。
(4)有機ホスホン酸化合物
有機ホスホン酸(亜リン酸)化合物としては、例えば、芳香族亜リン酸エステル(アリールがフェニル、クレジル、キシリル等である亜リン酸トリC6−20アリールエステルなど)、脂肪族亜リン酸エステル(アルキルがメチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル等である亜リン酸トリC1−10アルキルエステル;前記亜リン酸トリアルキルエステルに対応する亜リン酸ジ又はモノC1−10アルキルエステルなど)、有機亜リン酸エステル[例えば、アルキルが前記例示のアルキルであり、アリールがフェニル、クレジル、キシリルなどであるC1−6アルキルホスホン酸ジC1−6アルキル、C1−6アルキルホスホン酸ジC6−10アリール、C1−6アルキルホスホン酸C1−6アルキルC6−10アリールなどのアルキルホスホン酸ジエステル;前記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC6−10アリール−ホスホン酸ジエステル;環状有機ホスホン酸ジエステル{例えば、4−メチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−オキシドなどの4−C1−6アルキル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−オキシド、ペンタエリスリトールビス(メチルホスホネート)、ペンタエリスリトールビス(エチルホスホネート)、ペンタエリスリトールビス(プロピルホスホネート)、ペンタエリスリトールビス(ブチルホスホネート)などのスピロ環状アルキルホスホン酸エステル、ペンタエリスリトールビス(シクロヘキシルホスホネート)などのスピロ環状シクロアルキルホスホン酸エステル、ペンタエリスリトールビス(ベンジルホスホネート)などのスピロ環状アラルキルホスホン酸エステル、ペンタエリスリトールビス(フェニルホスホネート)、ペンタエリスリトールビス(トリルホスホネート)などのスピロ環状アリールホスホン酸エステルなど};C6−15アリールホスホン酸モノエステル(例えば、10−ヒドロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなど);ホスホノカルボン酸エステル(メトキシカルボニルメチルホスホン酸ジメチルなどの前記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC1−4アルコキシカルボニルオキシC1−4アルキルホスホン酸ジエステル)などのホスホノカルボン酸トリエステル]などの各種ホスホン酸エステルが含まれる。また、アルキル又はアリール基で置換されていてもよい亜リン酸、(環状)亜リン酸モノエステル、又はホスホノカルボン酸(例えば、アルキルホスホン酸、アルキルホスホン酸モノアルキルエステル、アルキルホスホン酸モノアリールエステル、アリールホスホン酸、アリールホスホン酸モノアルキルエステル、アリールホスホン酸モノアリールエステルなど)の金属塩(Ca,Mg,Zn,Ba,Al塩など)なども含まれる。このような有機ホスホン酸化合物の代表的な化合物に関しては、例えば、米国特許第3789091号明細書、米国特許第3849368号明細書、米国特許第4162278号明細書、特開昭47−43144号公報、特開昭52−12329号公報、特開昭63−22866号公報、特開平1−226891号公報、特開平4−234893号公報、特開平8−245659号公報、特開平9−272759号公報などを参照できる。
(5)有機ホスフィン酸化合物
有機ホスフィン酸化合物には、アルキル基(C1−4アルキル基など)又はアリール基(C6−10アリール基など)が置換(一置換又は二置換)していてもよいホスフィン酸エステル(ホスフィン酸メチルなどのホスフィン酸C1−6アルキル、ホスフィン酸フェニルなどのホスフィン酸C6−10アリール、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−C1−30アルキル又はC6−20アリール置換−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどの環状ホスフィン酸エステルなど)などが含まれる。また、アルキル基又はアリール基が置換していてもよいホスフィン酸(例えば、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸など)の金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)、ホスフィニコカルボン酸エステル(例えば、3−メチルホスフィニコプロピオン酸エステル、3−フェニルホスフィニコプロピオン酸エステルなど)、及びその単独重合体や共重合体なども含まれる。これらの有機ホスフィン酸金属塩の代表的な化合物としては、例えば、特開昭55−5979号公報、特開平11−60924号公報、特開平11−140228号公報、特開平11−236392号公報、特開2001−2686号公報、特表2001−513784号公報、特表2001−513786号公報、米国特許第5973194号明細書、米国特許第6011172号明細書、米国特許第6248921号明細書等を参照できる。
(6)ポリマー型有機リン化合物
前記ポリマー型有機リン化合物としては、モノマー型有機リン化合物の縮合物を用いることができる。前記縮合物には、ポリマー型リン酸エステルが含まれ、例えば、レゾルシノールホスフェート類(レゾルシノールとフェニルホスフェートとの縮合物、レゾルシノールとクレジルホスフェートとの縮合物、レゾルシノールとキシリルホスフェートとの縮合物等)、ハイドロキノンホスフェート類(ハイドロキノンとフェニルホスフェートとの縮合物、ハイドロキノンとクレジルホスフェートとの縮合物、ハイドロキノンとキシレニルホスフェートとの縮合物等)、ビフェノールホスフェート類(ビフェノールとフェニルホスフェートとの縮合物、ビフェノールとクレジルホスフェートとの縮合物、ビフェノールとキシレニルホスフェートとの縮合物等)、ビスフェノールホスフェート類(ビスフェノールAとフェニルホスフェートとの縮合物、ビスフェノールAとクレジルホスフェートとの縮合物、ビスフェノールAとキシレニルホスフェートとの縮合物等)などが挙げられる。このようなポリマー型リン酸エステルの代表的な製造方法として、米国特許第261687号明細書、米国特許第2636876号明細書、米国特許第4482693号明細書、特開昭48−91147号公報、特開平9−255786号公報、Polymer,Vol29,p756(1988)などを参照できる。
また、前記ポリマー型有機リン化合物は、ヒドロキシル基を有するポリマー(フェノール樹脂など)のリン酸エステルであってもよい。さらに、前記ポリマー型有機リン化合物には、ポリホスフィニコカルボン酸エステル、ポリホスホン酸アミドも含まれる。
好ましいリン含有化合物としては、無機リン化合物(例えば、赤リン、(ポリ)リン酸アンモニウム等)、リン酸エステル(例えば、脂肪族リン酸エステル、芳香族リン酸エステル及び縮合リン酸エステル、特に縮合リン酸エステルなど)、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸化合物(例えば、ホスファフェナントレン類など)、有機ホスフィン酸化合物(例えば、ジアルキルホスフィン酸金属塩など)等が挙げられる。
(C2)芳香族樹脂
芳香族樹脂には、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、芳香族ナイロン、芳香族エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、芳香族ビニル樹脂等の炭化性又はチャー形成性芳香族樹脂が含まれる。ポリフェニレンオキシド系樹脂及びポリカーボネート系樹脂としては、前記ベース樹脂の項で例示した樹脂と同様の樹脂を使用することができ、ベース樹脂と芳香族樹脂とは、通常、異種の樹脂が使用される。
(ポリフェニレンスルフィド系樹脂)
ポリフェニレンスルフィド系樹脂(ポリフェニレンチオエーテル系樹脂)としては、ポリフェニレンスルフィド骨格−(Ar−S−)−[式中、Arはフェニレン基を示す]を有する単独重合体及び共重合体が含まれる。フェニレン基(−Ar−)としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基(例えば、C1−5アルキル基などの置換基を有するアルキルフェニレン基や、フェニル基などの置換基を有するアリールフェニル基)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′ジフェニレンエーテル基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基等が例示できる。ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、このようなフェニレン基で構成されるフェニレンスルフィド基のうち、同一の繰返し単位を用いたホモポリマーであってもよく、組成物の加工性の点から、異種繰返し単位を含むコポリマーであってもよい。
ホモポリマーとしては、p−フェニレンスルフィド基を繰返し単位とする実質上線状のものが好ましく用いられる。コポリマーは、前記フェニレンスルフィド基の中で相異なる2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、コポリマーとしては、p′−フェニレンスルフィド基を主繰返し単位とし、m−フェニレンスルフィド基を含む組み合わせが好ましく、耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から、p−フェニレンスルフィド基を60モル%(好ましくは70モル%)以上含む実質上線状のコポリマーが特に好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は、比較的低分子量の線状ポリマーを酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーであってもよく、2官能性モノマーを主体とするモノマーから縮重合によって得られる実質的に線状構造の高分子量ポリマーであってもよい。得られる成形物の物性の点からは、縮重合によって得られる実質的に線状構造ポリマーの方が好ましい。又、ポリフェニレンスルフィド樹脂としては、前記のポリマーの他に、3個以上の官能基を有するモノマーを組み合わせて重合した分岐又は架橋ポリフェニレンスルフィド樹脂や、この樹脂を前記の線状ポリマーにブレンドした樹脂組成物も用いることができる。
ポリフェニレンスルフィド系樹脂としては、ポリフェニレンスルフィドやポリビフェニレンスルフィド(PBPS)の他、ポリフェニレンスルフィドケトン(PPSK)、ポリビフェニレンスルフィドスルホン(PPSS)等も使用できる。ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリフェニレンスルフィド系樹脂の数平均分子量は、例えば、300〜30×104、好ましくは400〜10×104程度である。
(芳香族ナイロン)
難燃剤を構成する芳香族ナイロンとしては、前記ベース樹脂のポリアミド樹脂とは異種の樹脂が使用される。このような樹脂としては、下記式(1)で表される単位を有する化合物などが使用できる。
(式中、Z1およびZ2は、同一又は異なって、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基から選択され、かつ少なくとも一方が芳香族炭化水素基であり、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基及びアリール基から選択され、また、R1及びR2は、直結して環を形成してもよい)。
このような芳香族ナイロンには、ジアミンとジカルボン酸とから誘導されるポリアミドであって、ジアミン成分およびジカルボン酸成分のうち、少なくとも一方の成分が芳香族化合物であるポリアミド;芳香族アミノカルボン酸、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸を併用して得られるポリアミドが含まれる。芳香族ナイロンには、少なくとも2種の異なったポリアミド形成成分により形成されるコポリアミドも含まれる。
ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、2,4−ジアミノメシチレン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、キシリレンジアミン(特に、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン)、ビス(2−アミノエチル)ベンゼン、ビフェニレンジアミン、ビフェニル骨格を有するジアミン(例えば、4,4−ジアミノ−3,3′−エチルビフェニル)、ジフェニルアルカン骨格を有するジアミン[例えば、ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−エチル)ジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパンなど]、ビス(4−アミノフェニル)ケトン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、1,4−ナフタレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびそれらのN−置換芳香族ジアミンが挙げられる。また、1,3−シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族アミンおよびそれらのN−置換脂肪族ジアミンなどを併用してもよい。これらのジアミンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジアミンとしては、芳香族ジアミン(特に、キシリレンジアミン、N,N′−ジアルキル置換キシリレンジアミン)を使用するのが好ましい。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸などのC2−20脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;二量体化脂肪酸(例えば、ダイマー酸)などが挙げられる。これらのジカルボン酸は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸(特に、アジピン酸などのC6−20脂肪族ジカルボン酸)を使用するのが好ましい。
芳香族又は脂環族アミノカルボン酸としては、例えば、フェニルアラニン、チロシン、アントラニル酸、アミノ安息香酸などが例示される。アミノカルボン酸も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、芳香族ナイロンとして、難燃剤としての特性を損わない範囲で、ラクタム及び/又はα,ω−アミノカルボン酸との縮合体を使用してもよい。ラクタムとしては、プロピオラクタム、ブチロラクタム、バレロラクタム、カプロラクタム(ε−カプロラクタムなど)などのC3−12ラクタムなど、α,ω−アミノカルボン酸としては、7−アミノヘプタン酸、10−アミノデカン酸などが挙げられる。
その他の芳香族ナイロンの副成分として、一塩基酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、ニコチン酸など)、モノアミン類(例えば、エチルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミンなど)、二塩基酸類(例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シンコメロン酸など)、ジアミン類(例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、ラクタム類等から選択された少なくとも1種を粘度調整剤として使用できる。
芳香族ナイロンとしては、ジアミン成分が芳香族化合物であるポリアミド(例えば、ジアミン成分としてキシリレンジアミンを含むポリアミド又はコポリアミド)、好ましくは芳香族ジアミンとα,ω−C2−12ジカルボン酸とから得られるポリアミド[例えば、アジピン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド(MXD6)、スベリン酸とメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸とパラキシリレンジアミンとから得られるポリアミド(PMD6)、スベリン酸とパラキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸とN,N′−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、スベリン酸とN,N′−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸と1,3−フェニレンジアミンとから得られるポリアミド、アジピン酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタンとから得られるポリアミド、アジピン酸とメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンとから得られるコポリアミド、アジピン酸とメタキシリレンジアミン及びN,N′−ジメチルメタキシリレンジアミンとから得られるコポリアミドなど]などが挙げられる。特に好ましい芳香族ナイロンとしては、芳香族ジアミン(特に、キシリレンジアミン)とα,ω−C2−12脂肪族ジカルボン酸から得られるポリアミド(特に、MXD6)が挙げられる。これらのポリアミドは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの芳香族ナイロンは、例えば、特公昭44−22510号公報、特公昭47−51480号公報、特開昭57−200420号公報、特開昭58−111829号公報、特開昭62−283179号公報、工業化学雑誌74巻4号p.786(1971)、工業化学雑誌74巻10号p.2185(1971)、エンジニアリングプラスチック辞典p.74(技報堂出版、1998年)及びそれらに記載の参考文献を基に常圧直接法あるいは溶融重合法などにより調製される。
芳香族ナイロンの数平均分子量は、特に制限されず、例えば、300〜10×104、好ましくは500〜5×104程度の範囲から選択できる。
(ポリアリレート系樹脂)
ポリアリレート系樹脂には、下記式(2)
[−O−Ar−OC(O)−A1−C(O)−] (2)
(式中、Arは芳香族基を示し、A1は芳香族、脂環族、又は脂肪族基を示す)
で表される構造単位を有する化合物が使用できる。
このようなポリアリレート系樹脂は、ポリエステル化反応としてエステル交換法(例えば、アセテート法、フェニルエステル法など)、酸クロリド法、直接法、または重付加法などにより、溶融重合法、溶液重合法、または界面重合法などを使用して製造できる。
ポリアリレート系樹脂は、芳香族ポリオール成分とポリカルボン酸成分(芳香族ポリカルボン酸成分、脂肪族ポリカルボン酸成分、脂環式ポリカルボン酸成分など)との反応により得ることができる。ポリカルボン酸成分は、通常、少なくとも芳香族ポリカルボン酸成分を含む。
芳香族ポリオール(モノマー)としては、通常、単環式芳香族ジオール、多環式芳香族ジオールなどのジオール、又はそれらの反応性誘導体[例えば、芳香族ポリオールの塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、芳香族ポリオールのエステル(酢酸エステルなど)、シリル保護された芳香族ポリオール(トリメチルシリル化体など)など]が用いられる。
単環式芳香族ジオールとしては、例えば、ベンゼンジオール(レゾルシノール、ハイドロキノン、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールなど)、ナフタレンジオールなどの炭素数6〜20程度の芳香族環ジオールが挙げられる。
多環式芳香族ジオールとしては、ビス(ヒドロキシアリール)類(ビスフェノール類)、例えば、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2′−ビフェノール、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、前記Z1及びZ2の項で例示のジヒドロキシジアリールアルカン類の他、ビスフェノールFなどのビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカンなど;ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン[例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C3−12シクロアルカンなど];ビス(ヒドロキシアリール)カルボン酸[例えば、ビス−4,4−(ヒドロキシフェニル)ブタン酸などのビス(ヒドロキシアリール)C2−6カルボン酸など]などが挙げられる。また、その他の多環式芳香族ジオールには、ビス(ヒドロキシアリール)骨格を有する化合物、例えば、前記Z1及びZ2の項で例示のジ(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホキシドの他、ジ(ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビス(C1−4アルキル置換ヒドロキシフェニル)アルカン[例えば、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど]、テルペンジフェノール類(例えば、1,4−ジ(C1−4アルキル置換ヒドロキシフェニル)−p−メンタンなど)なども含まれる。
これら芳香族ポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましい芳香族ポリオールには、ベンゼンジオール類、ビスフェノール類、例えば、ビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカン(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなど)などが含まれる。
なお、前記芳香族ポリオールは、脂肪族又は脂環式ポリオールと併用してもよい。脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC1−10脂肪族ポリオールが挙げられる。また、前記脂肪族ポリオールには、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC3−10脂肪族環を有する脂肪族ポリオールも含まれる。脂環式ポリオールとしてはシクロヘキサンジオールなどのC3−10脂環式ポリオールが挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、単環式芳香族ジカルボン酸、多環式芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、又はそれらの反応性誘導体[例えば、芳香族ポリカルボン酸ハライド(芳香族ポリカルボン酸クロライドなど)、芳香族ポリカルボン酸エステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)、芳香族ポリカルボン酸無水物など]が挙げられる。
単環式芳香族環ジカルボン酸には、例えば、前記芳香族ナイロンの項で例示の芳香族カルボン酸(ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20程度のアリールジカルボン酸)が挙げられる。なお、前記ベンゼンジカルボン酸及びナフタレンジカルボン酸(特に、ベンゼンジカルボン酸)には、1又は2個のC1−4アルキル基が置換していてもよい。
多環式芳香族ジカルボン酸としては、ビス(アリールカルボン酸)類、例えば、ビフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)メタンなどのビス(カルボキシアリール)C1−6アルカン;ビス(カルボキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(カルボキシアリール)C3−12シクロアルカン;ビス(カルボキシフェニル)ケトンなどのビス(カルボキシアリール)ケトン;ビス(カルボキシフェニル)スルホキシドなどのビス(カルボキシアリール)スルホキシド;ビス(カルボキシフェニル)エーテルなどのビス(カルボキシアリール)エーテル;ビス(カルボキシフェニル)チオエーテルなどのビス(カルボキシアリール)チオエーテルなどが挙げられる。
好ましい芳香族ポリカルボン酸成分には、単環式芳香族ジカルボン酸(特に、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのベンゼンジカルボン酸)、ビス(カルボキシアリール)C1−6アルカンなどが含まれる。
脂肪族ポリカルボン酸(モノマー)としては、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂肪族ジカルボン酸(特にC2−20脂肪族ジカルボン酸)が挙げられ、ジカルボキシメチルシクロヘキサンなどのC3−10脂肪族環を有するジカルボン酸であってもよい。脂環式ポリカルボン酸としては、前記芳香族ナイロンの項で例示した脂環式ジカルボン酸(特にC3−20脂環式ジカルボン酸)が含まれる。
好ましいポリアリレート系樹脂には、芳香族ポリオールがベンゼンジオール類及び/又はビスフェノール類であるポリアリレート樹脂、例えば、ベンゼンジオール類(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)及び/又はビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビフェノール、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシビフェニルなど)とベンゼンジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸など)とのポリエステル、ベンゼンジオール類及び/又はビスフェノール類とビス(アリールカルボン酸)類[例えば、ビス(カルボキシフェニル)メタン、ビス(カルボキシフェニル)エタン、ビス(カルボキシフェニル)プロパンなどのビス(カルボキシアリール)C1−4アルカン]とのポリエステルなどが挙げられる。これらポリアリレート系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、ポリアリレート系樹脂は、芳香族ジオール及び芳香族ジカルボン酸に加えて、必要に応じて、オキシカルボン酸(オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸など)、芳香族トリオール、芳香族テトラオール[例えば、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンなど]、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸、オキシカルボン酸(例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸など)などを併用してもよい。
また、ポリアリレート系樹脂の末端は、アルコール類、カルボン酸類など(特に、一価のアルコール類、一価のカルボン酸類など)で封鎖(結合)してもよい。ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖する一価のアルコール類としては、例えば、一価のアリールアルコール類(C1−10アルキル基及び/又はC6−10アリール基が置換していてもよい一価のフェノール類、例えば、フェノール、o,m,又はp位に1〜2個のメチル基などのC1−4アルキル基を有するアルキルフェノール;o,m,又はp位にフェニル、ベンジル、クミル基などを有するアリールフェノールなど)、一価のアルキルアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ステアリルアルコールなどのC1−20アルキルモノアルコール類)、一価のアラルキルアルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどのC7−20アラルキルモノアルコール類)などが含まれる。
ポリアリレート系樹脂の末端を封鎖(結合)する一価のカルボン酸類としては、一価の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、オクタン酸などのC1−20脂肪族モノカルボン酸)、一価の脂環式カルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸などのC4−20脂環式モノカルボン酸)、一価の芳香族カルボン酸(安息香酸、トルイル酸、o,m,p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸等のC7−20芳香族モノカルボン酸)などが含まれる。また、前記カルボン酸類は、フェニル酢酸などの芳香族基が置換した一価の脂肪族カルボン酸(特に、C6−20芳香族基が置換したC1−10脂肪族モノカルボン酸)であってもよい。
また、ポリアリレート系樹脂は、ポリアリレート系樹脂以外の樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドなどとポリマーアロイを構成してもよい。前記ポリマーアロイは、単純混合物のみならずエステル交換反応させたポリマーアロイあるいは相溶化剤を含んだポリマーアロイも含まれる。
ポリアリレート系樹脂の数平均分子量は、例えば、300〜30×104、好ましくは500〜10×104程度である。
(芳香族エポキシ樹脂)
芳香族エポキシ樹脂には、エーテル系エポキシ樹脂[例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂(例えば、3,3′,5,5′−テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂など)、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、不飽和環状炭化水素化合物変性エポキシ樹脂(例えば、(ジ)シクロペンタジエン型エポキシ樹脂など)、スチルベン型エポキシ樹脂など]、芳香族アミン成分を用いたアミン系エポキシ樹脂などが含まれる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂を構成するビスフェノールは、前記ビス(ヒドロキシアリール)類に同じである。好ましいビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカン、特にビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールFなどのグリシジルエーテルが挙げられる。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂には、分子量の大きな前記ビスフェノールグリシジルエーテル(すなわち、フェノキシ樹脂)も含まれる。
ノボラック型エポキシ樹脂を構成するノボラック樹脂としては、芳香族環にアルキル基(例えば、C1−20アルキル基、好ましくはメチル基、エチル基などのC1−4アルキル基)が置換していてもよいノボラック樹脂(例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂など)を挙げることができる。好ましいノボラック型エポキシ樹脂には、C1−2アルキル基が置換していてもよいノボラック樹脂のグリシジルエーテルが含まれる。
アミン系エポキシ樹脂を構成する芳香族アミン成分には、単環式芳香族アミン(アニリン、トルイジンなど)、単環式芳香族ジアミン(ジアミノベンゼン、キシリレンジアミンなど)、単環式芳香族アミノアルコール(アミノヒドロキシベンゼンなど)、多環式芳香族性ジアミン(ジアミノジフェニルメタンなど)、多環式芳香族性アミンなどが挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、200〜5×104、好ましくは300〜1×104、さらに好ましくは400〜6,000程度である。また、フェノキシ樹脂の数平均分子量は、例えば、500〜5×104、好ましくは1,000〜4×104程度である。
芳香族エポキシ樹脂は、アミン系硬化剤(例えば、エチレンジアミンなどの脂肪族アミン、メタフェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族アミンなど)、ポリアミノアミド系硬化剤、酸および酸無水物系硬化剤などの硬化剤により硬化して用いてもよい。
これらの樹脂成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(ヒドロキシル基及び/又はアミノ基含有芳香族環を有する樹脂)
ヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有する芳香族環を有する樹脂としては、前記芳香族環を主鎖又は側鎖に有する樹脂が挙げられる。こられの樹脂のうち、芳香族環を主鎖に有する樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、変性フェノール樹脂[例えば、テルペンフェノール樹脂(例えば、特開平7−292214号公報に記載の樹脂、ヤスハラケミカル(株)製,商品名「YSポリスターシリーズ」「マイティーシリーズ」、荒川化学工業(株)製,商品名「タマノル」など)、ロジン変性フェノール樹脂(多価アルコールとの反応生成物も含む)、不飽和炭化水素化合物変性フェノール樹脂(例えば、ジシクロペンタジエン−フェノール重合体(例えば、特開昭61−291616号公報、特開昭62−201922号公報、特開平6−49181号公報に記載のフェノール樹脂など)、シクロペンタジエン−フェノール重合体(日本石油化学(株)製,商品名「DPP−600M」など))]が例示でき、芳香族環を側鎖に有する樹脂としては、芳香族ビニル樹脂が例示できる。
(1)ノボラック樹脂
ノボラック樹脂は、下記式(3)で表される繰り返し単位を有している。
(式中、R3〜R5は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基又はアリール基を示し、mは1以上の整数を示す)。
アルキル基としては、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル等のC1−20アルキル基、好ましくはC1−12アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチルなどのC6−20アリール基、置換アリール基(メチルフェニル、エチルフェニル基等のC1−4アルキル置換アリール基、ヒドロキシフェニル基など)が挙げられる。
ノボラック樹脂(特に、ランダムノボラック樹脂)は、一般に、フェノール類と、アルデヒド類との反応により得られる。フェノール類としては、例えば、フェノール、p−又はm−クレゾール、3,5−キシレノール、アルキルフェノール(例えば、t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのC1−20アルキルフェノール)、アリールフェノール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール)などが挙げられる。これらのフェノール類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、フェニルアセトアルデヒドなどの芳香族アルデヒドなどが挙げられる。好ましいアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドなどが挙げられる。また、トリオキサン、パラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドの縮合体も使用できる。フェノール類とアルデヒド類との割合は、前者/後者=1/0.5〜1/1(モル比)程度である。
フェノール類とアルデヒド類との縮合反応は、通常、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒としては、例えば、無機触媒(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)、有機触媒(p−トルエンスルホン酸、シュウ酸など)などが挙げられる。
特に、1〜2核体が低減されたフェノールノボラック樹脂が好ましく用いられる。このようなフェノールノボラック樹脂としては、例えば、商品名「スミライトレジンPR−53647」、「スミライトレジンPR−NMD−100シリーズ」、「スミライトレジンPR−NMD−200シリーズ」として住友デュレズ(株)から入手できる。
また、ノボラック樹脂として、オルソ/パラ比が1以上のハイオルソノボラック樹脂を使用してもよい。
特に、ノボラック樹脂としては、オルソ/パラ比が、1以上、例えば、1〜20(特に1〜15)程度であるノボラック樹脂、すなわち、いわゆるハイオルソノボラック樹脂が好ましく用いられる。このようなハイオルソノボラック樹脂としては、例えば、商品名「スミライトレジンHPNシリーズ」として住友デュレズ(株)から入手できる。
これらのノボラック樹脂の製造方法としては、特開2001−172348号公報、特開2000−273133号公報、特開2000−273132号公報、特開2000−226423号公報、特開平11−246643号公報、特開平10−204139号公報、特開平10−195158号公報等を参照できる。
なお、前述のフェノール類と、ジオキシベンゼン類、ナフトール類、ビスフェノール類(例えば、前記Z1及びZ2の項で例示のビスフェノール類)、アルキルベンゼン類(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレンなど)、アニリン類、フルフラール類、尿素類やトリアジン類(例えば、尿素、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなど)、テルペン類、カシューナット類、ロジン類などの共縮合成分との共縮合体も使用できる。特に、トリアジン類で変性されたアミノトリアジンノボラックは好ましい共縮合体である。このようなアミノトリアジンノボラックはフェノール類、トリアジン類、及びホルアルデヒド類を、塩基性触媒(アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなど)及び/又は酸性触媒(シュウ酸など)の存在下又は非存在下で共縮合する方法[例えば、DIC Technical Review No.3、p47(1997)、特開平8−253557号公報、特開平10−279657号公報など]により得られる。アミノトリアジンノボラックは、商品名「フェノライト」として大日本インキ化学工業(株)から入手できる。
また、ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール性水酸基の一部又は全部が、リン化合物(例えば、リン酸、亜リン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸などのリン酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化物、塩、又はエステル(特に、脂肪族エステル)など)、及びホウ素化合物(例えば、ホウ酸、有機ボロン酸、有機ボリン酸などのホウ酸類、及びこれらの無水物、ハロゲン化物、塩、又はエステルなど)から選択された少なくとも1種を用いて変性された変性ノボラック樹脂(例えば、リン酸変性ノボラック樹脂、ホウ酸変性ノボラック樹脂など)も使用できる。ノボラック樹脂の水酸基は、通常、リン酸エステル又はホウ酸エステルとして変性されている。
さらに、ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)のフェノール性水酸基の水素原子の一部又は全部が、金属イオン、シリル基もしくは有機基(アルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基など)で変性(又は置換)された変性ノボラック樹脂も使用できる。
好ましいノボラック樹脂としては、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂(例えば、t−ブチルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、p−オクチルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂)、およびこれらの共縮合体(アミノトリアジンノボラック樹脂)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
ノボラック樹脂(ランダムノボラック樹脂及びハイオルソノボラック樹脂)の数平均分子量は、特に制限されず、例えば、300〜5×104、好ましくは300〜1×104程度の範囲から選択できる。
(2)アラルキル樹脂
アラルキル樹脂は、下記式(4)で表される構造単位を有している。
(式中、Arは芳香族基を示し、Z3及びZ4は同一又は異なってアルキレン基を示し、R6は水素原子又はアルキル基を示す。Xはヒドロキシル基、アミノ基、又はN−置換アミノ基を示す)。
Arで示される芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族基、例えば、フェニレン基(o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基など)、ナフチレン基など、好ましくはフェニレン基(特に、p−フェニレン基)を挙げることができる。
Z3及びZ4で示されるアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレンなどのC1−6アルキレン基、好ましくはC1−4アルキレン基(特にC1−2アルキレン基)が挙げられる。R6で示されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル等のC1−20アルキル基(特にC1−4アルキル基)が挙げられる。
Xで示されるN−置換アミノ基には、モノ又はジC1−4アルキルアミノ基、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が含まれる。
アラルキル樹脂としては、Xがヒドロキシル基であるフェノールアラルキル樹脂を用いる場合が多い。好ましいフェノールアラルキル樹脂には、Z7及びZ8がメチレン基、Arがフェニレン基、R6が水素原子であり、下記式(5)で表されるp−キシレン置換フェノールを繰り返し単位として有する樹脂が含まれる。
アラルキル樹脂は、一般に、下記式(6)で表される化合物とフェノール類又はアニリン類との反応により得ることができる。フェノール類を用いるとフェノールアラルキル樹脂が、アニリン類を用いるとアニリンアラルキル樹脂を得ることができる。
Y−Z5−Ar−Z6−Y (6)
(式中、Yはアルコキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子を示す。Ar、Z5及びZ6は前記に同じ)。
式(6)において、Yで示されるアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基が含まれる。アシルオキシ基にはアセトキシ基などの炭素数が2〜5程度のアシルオキシ基が含まれる。また、ハロゲン原子には、塩素、臭素、ヨウ素などが含まれる。
前記式(6)で表される化合物としては、例えば、キシリレングリコールC1−4アルキルエーテル(p−キシリレングリコールジメチルエーテル、p−キシリレングリコールジエチルエーテルなど)などのアラルキルエーテル類、p−キシリレン−α,α′−ジアセテートなどのアシルオキシアラルキル類、p−キシリレン−α,α′−ジオールなどのアラルキルジオール類、p−キシリレン−α,α′−ジクロライド、p−キシリレン−α,α′−ジブロマイドなどのアラルキルハライド類が挙げられる。
フェノール類としては、例えば、前記ノボラック樹脂の項で例示のフェノール又はアルキルフェノールが挙げられる。これらフェノール類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
アニリン類としては、例えば、アニリン、アルキルアニリン(例えば、トルイジン、キシリジン、オクチルアニリン、ノニルアニリンなどのC1−20アルキルアニリン)、及びN−アルキルアニリン(例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどのN−C1−4アルキルアニリン)が挙げられる。これらアニリン類は、1種で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記式(6)で表される化合物と、フェノール類又はアニリン類との割合は、例えば、前者/後者=1/1〜1/3(モル比)程度、好ましくは1/1〜1/2.5(モル比)程度である。
このようにして得られたアラルキル樹脂の軟化点は、例えば、40〜160℃程度、好ましくは50〜150℃程度、さらに好ましくは55〜140℃程度である。尚、他のアラルキル樹脂として、特開2000−351822号公報記載のアラルキル樹脂も使用できる。
また、アラルキル樹脂は必要に応じて硬化又は変性してもよい。硬化又は変性は、通常、ポリアミン(ヘキサメチレンテトラミンなど)によるメチレン架橋、エポキシ化合物(エピクロルヒドリンなど)によるエポキシ変性などの慣用の方法により行うことができる。
(3)芳香族ビニル樹脂
芳香族ビニル樹脂としては、例えば、下記式(7)で表される構造単位を有する樹脂が使用できる。
(式中、R7は水素原子又はC1−3アルキル基、R8は芳香族環を示し、nは1〜3の整数である)。
式(7)において、好ましいC1−3アルキル基としては、メチル基が挙げられる。また、芳香族環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン環などのC6−20芳香族環が挙げられる。なお、芳香族環は、置換基(例えば、ヒドロキシル基;前記R3〜R5の項で例示のアルキル基;前記Yの項で例示のアルコキシ基など)を有していてもよい。
式(7)において、ヒドロキシル基の水素原子は、金属イオン、シリル基もしくはアルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基などの有機基(保護基)で保護されていてもよい。
このような誘導体から得られる樹脂は、例えば、下記式(8)に示される構造単位を有する。
[式中、R7は前記に同じ。R9は−OH, −OSi(R10)3及び−OM(Mは金属カチオン、OR10及びOCOR10であり、R10は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基である)からなる群より選ばれる基である。また、pは1〜3の整数である]。
前記式において、Mは一価のアルカリ金属カチオン(ナトリウム、リチウム、カリウムなど)、又は二価のアルカリ土類金属カチオン(マグネシウム、カルシウムなど)もしくは遷移金属カチオンのいずれかであってもよい。
前記式の置換基R9は、オルト位、メタ位又はパラ位のいずれか一つに位置していればよい。さらに、置換基R9に加えて、ペンダント芳香族環はC1−4のアルキル基で置換されていてもよい。
芳香族ビニル系樹脂には、前記構造単位(7)に対応するヒドロキシル基を有する芳香族ビニルモノマーの単独又は共重合体、または他の共重合性モノマーとの共重合体などが含まれる。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、ビニルフェノール、ジヒドロキシスチレン、ビニルナフトールなどのヒドロキシル基含有芳香族ビニルモノマーなどが含まれる。これらの芳香族ビニルモノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
他の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系モノマー[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸グリシジルなど)、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなど]、スチレン系モノマー(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルナフタリン、ビニルシクロヘキサンなど)、重合性多価カルボン酸(フマル酸、マレイン酸など)、マレイミド系モノマー(マレイミド、N−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミドなど)、ジエン系モノマー(イソプレン、1,3−ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなど)、ビニル系モノマー(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾールなどの窒素含有ビニルモノマーなど)などが挙げられる。これらの共重合性モノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ビニルモノマーと共重合性モノマーとの割合は、例えば、10/90〜100/0(重量%)、好ましくは30/70〜100/0(重量%)、さらに好ましくは40/60〜100/0(重量%)程度である。
好ましい芳香族ビニル樹脂は、ビニルフェノール単独重合体(ポリヒドロキシスチレン)、特にp−ビニルフェノール単独重合体である。
芳香族ビニル樹脂の数平均分子量は、特に制限されず、例えば、300〜50×104、好ましくは400〜30×104程度の範囲から選択できる。
これらの芳香族樹脂のうち、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ノボラック樹脂、アラルキル樹脂、芳香族ビニル樹脂、特にポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ノボラック樹脂が好ましい。
(C3)窒素含有化合物
難燃助剤として用いられる窒素含有化合物としては、(a)アミノ基を有する窒素含有環状化合物、(b)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と(イソ)シアヌール酸との塩、(c)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素酸との塩、(d)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と有機リン酸との塩、(e)ポリリン酸アミド、(f)尿素化合物、(g)アミジン化合物、(h)テトラゾール化合物等が挙げられる。
(a)アミノ基を有する窒素含有環状化合物
アミノ基を有する窒素含有環状化合物には、少なくとも1つのアミノ基と、少なくとも1つの窒素原子を環のヘテロ原子として有するヘテロ環状化合物が含まれ、ヘテロ環は、窒素以外にイオウ、酸素などの他のヘテロ原子を有していてもよい。このような窒素含有ヘテロ環には、窒素含有5員環(ピロール、ピラゾリン、イミダゾール、トリアゾール等)、窒素及び硫黄含有5員環(チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、チアジアゾリン等)、窒素及び酸素含有5員環(オキサゾリン、フラザン等)、窒素含有6員環(ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン等)、窒素及び酸素含有6員環(オキサジンなど)、窒素及び硫黄含有6員環(チアジン、チアジアジン等)、縮合複素環(インドール、インダゾール、キノリン、プリン等)などの複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不飽和窒素含有ヘテロ環などが含まれる。このような窒素含有環のうち、複数の窒素原子を環の構成原子として有する5又は6員不飽和窒素含有環が好ましく、特に、トリアゾール及びトリアジンが好ましい。
トリアゾール化合物としては、1,2,3−トリアゾール類(1H−1,2,3−トリアゾール類;2H−1,2,3−トリアゾール類など)、及び1,2,4−トリアゾール類(グアナゾールなどの1H−1,2,4−トリアゾール類;グアナジンなどの4H−1,2,4−トリアゾール類など)が例示でき、アミノ基はトリアゾール環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。アミノ基の個数は、特に制限されず、1〜3個、特に1〜2個程度である。
トリアジン化合物としては、1,3,5−トリアジン類[メラミン、置換メラミン(2−メチルメラミンなどのアルキルメラミン、グアニルメラミンなど)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−メラミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂など)などのメラミン又はその誘導体;アンメリン、アンメリドなどのシアヌール酸アミド類;グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、CTU−グアナミンなどのグアナミン又はその誘導体など]、アミノ基含有1,2,3−トリアジン類(5−位、4,5−位、4,5,6−位などにアミノ基が置換した1,2,3−トリアジン、4−アミノ−ベンゾ−1,2,3−トリアジンなど)、アミノ基含有1,2,4−トリアジン類(3−位、5−位、3,5−位などにアミノ基が置換した1,2,4−トリアジンなど)などの各種アミノトリアジン類が挙げられる。アミノ基は、トリアジン環の適当な部位(窒素原子及び炭素原子、特に炭素原子)に置換していてもよい。アミノ基の個数は特に制限されず、1〜4個、特に1〜3個(例えば、1〜2個)程度である。
これらのうち、アミノ基含有トリアジン化合物、特にアミノ基含有1,3,5−トリアジン類が好ましい。
(b)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と(イソ)シアヌール酸との塩
アミノ基を有する窒素含有環状化合物と(イソ)シアヌール酸との塩は、メラミン化合物と、シアヌール酸やイソシアヌール酸又はその誘導体との付加物(メラミン化合物と、シアヌール酸、イソシアヌール酸、又はその誘導体との塩)であり、前者と後者との割合(モル比)は、特に制限されないが、例えば、前者/後者=3/1〜1/2、好ましくは1/1〜2/1程度である。
メラミン化合物には、メラミン又は置換メラミン(2−メチルメラミンなどのアルキルメラミン、グアニルメラミン等)、メラミン縮合物(メラム、メレム、メロンなど)、メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−メラミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂など)、グアナミン又はその誘導体(グアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、CTU−グアナミン等)などが含まれる。シアヌール酸又はその誘導体には、シアヌール酸、イソシアヌール酸、アンメリン、アンメリド等が含まれる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物と(イソ)シアヌール酸との塩としては、例えば、メラミンシアヌレートなどのシアヌール酸のメラミン塩や、メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩等が例示できる。メラミンシアヌール酸類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、メラミンシアヌレートが好ましい。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物と(イソ)シアヌール酸との塩の製造方法は、特に制限されないが、メラミン化合物とシアヌール酸又はその誘導体との混合物を水スラリーとして調製し、充分に混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥する方法が好ましい。このようにして得られる粉末状化合物には、多少の未反応物として、メラミン化合物やシアヌール酸、イソシアヌール酸等が残存していてもよい。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物と(イソ)シアヌール酸との塩の平均粒径は0.01〜100μm、好ましくは0.1〜70μm、さらに好ましくは1〜50μm程度である。平均粒径が小さすぎると2次凝集し易く、樹脂に対する分散性が低下し、大きすぎると、難燃性が低下する。
(c)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素酸との塩
アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記(a)と同様の窒素含有環状化合物が使用できる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物は、環を構成する窒素原子部位(イミノ基)で酸素酸と塩を形成してもよいが、通常、環に置換した少なくとも1つのアミノ基と酸素酸とで塩を形成するのが好ましい。複数のアミノ基を有する場合、全てのアミノ基が酸素酸と塩を形成していてもよい。また、複数の同種又は異種の窒素含有化合物(前記窒素含有環状化合物や他のアミノ基含有窒素含有化合物)が1つのポリ酸と塩を形成して、ポリ酸の複塩を形成してもよい。
(酸素酸)
酸素酸には、硝酸、塩素酸(過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸など)、リン酸、硫酸、スルホン酸、ホウ酸、クロム酸、アンチモン酸、モリブデン酸、タングステン酸、スズ酸、ケイ酸などが含まれる。好ましい酸素酸には、リン酸(ポリリン酸)、硫酸、スルホン酸、ホウ酸が含まれる。
(1)アミノ基を有する窒素含有環状化合物のリン酸塩
リン酸には、ペルオクソリン酸、オルトリン酸、メタリン酸、亜リン酸(ホスホン酸)、次亜リン酸(ホスフィン酸)などの非縮合リン酸;ポリメタリン酸(HPO3)s(式中、sは、2以上の整数を示す)、次リン酸、無水リン酸(五酸化二リン)などの縮合リン酸(ポリリン酸)などが含まれる。また、前記ポリリン酸には下記式(9)で表される縮合リン酸類も含まれる。
(式中、qは2以上の整数を示す)。
前記式において、qは、好ましくは2〜200の整数、さらに好ましくは3〜100の整数である。
また、前記ポリリン酸には、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸なども含まれる。
複数の塩形成可能な部位を有するリン酸は、少なくとも一部の部位がアミンや尿素などの他のアミノ基含有化合物と部分塩(ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸尿素などの縮合酸の部分塩;オルトリン酸尿素などの非縮合酸の部分塩など)を形成してもよい。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物のリン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のリン酸塩、例えば、非縮合リン酸塩(オルトリン酸メラミン、ホスホン酸メラミンなどの非縮合リン酸のメラミン塩;前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など)、ポリリン酸塩[ピロリン酸メラミン塩(ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン)、これらのピロリン酸メラミン塩に対応する三リン酸塩、四リン酸塩などのポリリン酸メラミン類;前記ポリリン酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など]などが例示できる。また、ポリリン酸塩は、硫酸に由来する硫黄原子を含んでいてもよい。前記トリアジン塩に対応するトリアゾール塩なども使用できる。
ポリリン酸塩には、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、メタリン酸メラミン・メラム・メレム複塩や、前記イオウ原子を含むポリ酸(リン原子の他に、イオウ原子、酸素原子などを含むポリ酸)のメラミン・メラム・メレム複塩なども含まれる。これらの複塩の詳細は特開平10−306081号公報、特開平10−306082号公報を参照できる。
(2)アミノ基を有する窒素含有化合物の硫酸塩
硫酸としては、ペルオクソ一硫酸、硫酸、亜硫酸等の非縮合硫酸、ペルオクソ二硫酸やピロ硫酸等の縮合硫酸などが挙げられる。
アミノ基を有する窒素含有化合物の硫酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物の硫酸塩、例えば、縮合硫酸塩[硫酸メラミン類(硫酸メラミン、硫酸ジメラミン、硫酸グアニルメラミンなど)、硫酸メラミンに対応する亜硫酸メラミンなどの非縮合硫酸メラミン類;前記非縮合硫酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など)]、縮合硫酸塩[ピロ硫酸メラミン類(ピロ硫酸メラミン、ピロ硫酸ジメラミンなど)、ピロ硫酸メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩など]などが例示できる。また、前記トリアジン塩に対応するトリアゾール塩も使用できる。
なお、硫酸メラミンは、例えば、特開平8−231517号公報に記載の方法などにより得ることができる。ピロ硫酸ジメラムは、例えば、A.C.S. Symposium Series No. 425 “Fire and Polymers”、第15章、211〜238頁(American Chemical Society, Washington D.C., 1990)、特開平10−306082号公報に記載の方法などにより得ることができる。このような窒素含有環状化合物(トリアジン化合物)の硫酸塩としては、例えば、(株)三和ケミカルから「アピノン901」などとして入手可能である。
(3)アミノ基を有する窒素含有環状化合物のスルホン酸塩
スルホン酸としては、C1−10アルカンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸など)、C6−20アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)等の有機スルホン酸が挙げられる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物のスルホン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物(例えば、メラミン、メラム、メレム、メロン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなど)のスルホン酸塩[スルホン酸メラミン類(メタンスルホン酸メラミン、メタンスルホン酸メラム、メタンスルホン酸メレム、メタンスルホン酸メラミン・メラム・メレム複塩、メタンスルホン酸グアナミンなど)]が例示できる。このような窒素含有環状化合物(トリアジン化合物)の有機スルホン酸塩としては、例えば、日産化学工業(株)から「メタンスルホン酸メラム MMS−200」などとして入手可能である。
(4)アミノ基を有する窒素含有環状化合物のホウ酸塩
ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸などの非縮合ホウ酸;四ホウ酸、無水ホウ酸などの縮合ホウ酸などが挙げられる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物のホウ酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物のホウ酸塩、例えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸メラミン塩(オルトホウ酸モノ乃至トリメラミンなどのオルトホウ酸メラミン塩)、前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩などのオルトホウ酸塩;前記オルトホウ酸塩に対応するメタホウ酸塩]、ポリホウ酸塩[縮合ホウ酸メラミン塩(無水ホウ酸メラミン、四ホウ酸メラミンなど)、前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩]などが例示できる。
このような窒素含有環状化合物(トリアジン化合物)のホウ酸塩としては、例えば、DMS社から「melapur」、Joseph Storey & Co LTD社から「STORFLAM MLB」、Budenheim Iberica Comercial社から「BUDIT 313」などとして入手可能である。
前記酸素酸塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アミノ基を有する窒素含有環状化合物と酸素酸との割合は、特に制限されないが、例えば、前者/後者(モル比)=1/20〜20/1、好ましくは1/10〜10/1(例えば1/5〜10/1)、特に1/2〜8/1程度である。窒素含有環状化合物が有するアミノ基と酸素酸の塩形成可能部位との当量比も特に制限されず、例えば、10/1〜1/2、好ましくは5/1〜1/1、特に4/1〜1/1程度である。
(d)アミノ基を有する窒素含有環状化合物と有機リン酸との塩
アミノ基を有する窒素含有環状化合物としては、前記(a)と同様のアミノ基を有する窒素含有環状化合物が例示できる。
有機リン酸としては、例えば、前記(b)の項で例示した非縮合リン酸[リン酸(オルトリン酸など)、ホスホン酸など]の部分エステル、及び有機基で置換されたホスホン酸又はホスフィン酸などが例示できる。有機リン酸は、アミノ基を有する窒素含有環状化合物と塩を形成可能な部位を少なくとも1つ有していればよい。
リン酸エステル(有機オルトリン酸)には、アルコール類(一価又は多価アルコール、一価又は多価のフェノール類)のリン酸モノ又はジエステルが含まれる。前記アルコール類には、前記ポリアリレート系樹脂の項で例示した一価のアルコール(特にC1−10脂肪族モノオール)及び脂肪族ポリオールの他、グリセロール、ペンタエリスリトールなどのC1−10脂肪族ポリオール;ニトリロトリメタノールなどのヘテロ原子を有するC2−10脂肪族ポリオール;シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのC5−8脂環族モノオール(好ましくはC5−6シクロアルカノール);シクロヘキサンジオールなどのC5−8脂環族ジオール(好ましくはC5−6シクロアルカンジオール);フェノール、アルキルフェノール(例えば、p−又はm−クレゾール、3,5−キシレノール、トリメチルフェノール、t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのモノ乃至トリC1−20アルキルフェノール)、アリールフェノール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール)、ナフトール、ヒドロキシビフェニルなどの一価フェノール類;前記ポリアリレート系樹脂の項で例示した一価のアラルキルアルコール及び芳香族環ジオールなどが含まれる。
このようなリン酸エステルとしては、メチルホスフェート、ジブチルホスフェートなどのモノ又はジC1−10アルキルホスフェート;エチレングリコールモノホスフェート、ペンタエリスリトールビスホスフェートなどのC2−10脂肪族多価アルコールのモノ乃至テトラホスフェート;モノフェニルホスフェート、モノクレジルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノトリメチルフェニルホスフェート、ジフェニルホスフェート、ジクレジルホスフェート、ジキシリルホスフェート、ジトリメチルフェニルホスフェートなどの置換基(C1−4アルキル基など)を有していてもよい一価フェノール類のリン酸エステル(例えば、C1−4アルキル基を有していてもよいモノ又はジC6−14アリールホスフェート);フェニレンビスホスフェートなどの置換基(C1−4アルキル基など)を有していてもよい多価フェノール類のモノ又はジホスフェート(例えば、C1−4アルキル基を有していてもよいC6−14アリーレンモノ又はジホスフェート)など]、アルキル−アリールリン酸エステル[メチルフェニルホスフェートなどのC1−10アルキルC6−14アリールホスフェート(好ましくはC1−6アルキルC6−10アリールホスフェート)など]などが含まれる。
有機ホスホン酸には、前記リン酸エステルに対応するホスホン酸モノエステル、ホスホン酸のリン原子に直接結合した水素原子が有機基(脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などの有機基)で置換された有機ホスホン酸、前記アルコール類の有機ホスホン酸モノエステルなどが含まれる。
前記有機ホスホン酸には、脂肪族ホスホン酸[メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸などのアルキルホスホン酸;1−ヒドロキシエチリデン−1−ホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸などの脂肪族ポリオールのモノ又はジホスホン酸エステル;ホスホノ酢酸、3−ホスホノプロピオン酸などのホスホノC1−10脂肪族カルボン酸又はそのカルボン酸エステル(ホスホノ酢酸エチル、3−ホスホノプロピオン酸エチルなどのホスホノカルボン酸のカルボン酸エステル類など)などのホスホノカルボン酸類などの置換基(ヒドロキシル基、カルボキシル基、エステル基など)を有していてもよいC1−10アルキル基で置換されたホスホン酸(好ましくはC1−6アルキル置換ホスホン酸);エチレンビスホスホン酸などのC1−10アルキレンジホスホン酸;ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)などのヘテロ原子を有する脂肪族多価基で置換されたホスホン酸など]、芳香族ホスホン酸[フェニルホスホン酸、トリルホスホン酸などのC6−10アリールホスホン酸;ホスホノ安息香酸などのホスホノC7−15芳香族カルボン酸又はそのカルボン酸エステル(ホスホノ安息香酸エチルなどのホスホノ芳香族カルボン酸のカルボン酸エステル類など)などのホスホノカルボン酸;フェニレンビスホスホン酸などの置換基(C1−4アルキル基など)を有していてもよい芳香族多価基で置換されたホスホン酸など]などが含まれる。また、前記有機ホスホン酸はポリマーと結合したホスホン酸(ポリビニルホスホン酸など)であってもよい。
有機ホスホン酸モノエステルには、前記有機ホスホン酸と前記リン酸エステルの項で例示のアルコール類とのモノエステル、例えば、メチルホスホン酸モノメチルエステルなどのC1−10アルキルホスホン酸モノC1−6アルキルエステル;ホスホノカルボン酸のジエステル(エトキシカルボニルメチルホスホン酸モノエチル、エトキシカルボニルエチルホスホン酸モノエチルなどのC2−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルホスホン酸モノC1−6アルキルエステルなど);メチルホスホン酸モノフェニルエステルなどのC1−10アルキルホスホン酸モノC6−10アリールエステル;フェニルホスホン酸モノメチルエステルなどのC6−10アリールホスホン酸C1−6アルキルエステル;フェニルホスホン酸モノフェニルエステルなどのC6−10アリールホスホン酸モノC6−10アリールエステルなどが含まれる。なお、前記ホスホン酸エステルは、環状ホスホン酸エステル(9,10−ジヒドロ−10−ヒドロキシ−10−オキソ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなど)であってもよい。
有機ホスフィン酸には、ホスフィン酸のリン原子に有機基(脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基)が結合した有機ホスフィン酸が含まれる。このような有機ホスフィン酸としては、前記置換ホスホン酸に対応する置換ホスフィン酸、例えば、メチルエチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸などのモノ又はジC1−10アルキルホスフィン酸;メチルフェニルホスフィン酸などのC1−10アルキルC6−10アリールホスフィン酸;フェニルホスフィン酸などのC6−10アリールホスフィン酸;ホスフィニコカルボン酸[ホスフィニコジ酢酸などのホスフィニコジC1−6脂肪族カルボン酸;3−(メチルホスフィニコ)プロピオン酸などのC1−6アルキルホスフィニコ−モノC1−6脂肪族カルボン酸、3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸などのC6−10アリールホスフィニコ−モノC1−6脂肪族カルボン酸、これらのホスフィニコカルボン酸のカルボン酸エステルなど;ホスフィニコモノ又はジC6−10アリールカルボン酸又はそのカルボン酸エステル];ヒドロキシホスフィンオキシド(1−ヒドロキシジヒドロホスホニルオキシド、1−ヒドロキシホスホランオキシドなど)などが挙げられる。
前記有機リン酸塩は、塩形成可能な部位の一部又は全部でアミノ基を有する窒素含有環状化合物と塩を形成でき、いずれの塩も使用できる。このような有機リン酸塩としては、アミノ基含有トリアジン化合物の塩、例えば、有機リン酸エステルのメラミン塩(ペンタエリスリトールビスホスフェート・メラミン、ペンタエリスリトールビスホスフェート・ジメラミンなど)、C1−6アルキル置換ホスホン酸のメラミン塩、C1−6脂肪族ジオールのモノ又はジホスホン酸エステルのメラミン塩(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸・ジメラミン、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸・テトラメラミンなど)、ヘテロ原子を有する脂肪族多価基で置換されたホスホン酸のメラミン塩[ニトリロトリス(メチルホスホン酸)・テトラメラミン塩、ニトリロトリス(メチルホスホン酸)・ヘキサメラミン塩など]、及びC6−10アリールホスホン酸・メラミン(フェニルホスホン酸・メラミン、フェニルホスホン酸・ジメラミンなど)、ホスフィニコカルボン酸・メラミン塩[3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸・メラミン、3−(フェニルホスフィニコ)プロピオン酸・ジメラミンなどのアリールホスフィニコカルボン酸・メラミン塩];前記メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩;並びにペンタエリスリトールビスホスフェート・メラミン・メレムなどの前記メラミン塩に対応する複塩などが挙げられる。また、前記トリアジン化合物塩に対応するトリアゾール塩も使用できる。このような有機リン酸塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
このようなアミノ基を有する窒素含有化合物(特に、アミノ基含有トリアジン化合物)の有機リン酸塩の製造方法は、特に制限されないが、例えば、前記窒素含有化合物と有機リン酸と含む溶液又は分散液(水−アセトン混合系、水−アルコール混合系などの水溶液又は懸濁液など)を、適当な温度(例えば50〜100℃程度)で攪拌、混合し、生成する沈殿物を分離、乾燥する方法などにより製造できる。
(e)(ポリ)リン酸アミド
ポリリン酸アミドとしては、前記酸素酸の項で例示したリン酸類と、−N=C=N−又は−N=C(−N<)2で表されるユニットを有する化合物(シアナミド誘導体など)との縮合物であり、アミド態の窒素を含有する高分子化合物である。このようなポリリン酸アミドは、通常、前記リン酸と前記シアナミド誘導体とを、尿素及びリン酸尿素から選択された少なくとも一種(結合剤)の存在下で加熱(焼成など)することにより得られる。
前記リン酸類としては、非縮合リン酸(オルトリン酸、メタリン酸など)、ポリリン酸、リン酸の部分エステル(ポリリン酸アンモニウム、リン酸尿素など)などが好ましく使用できる。リン酸類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記シアナミド誘導体としては、アミノ基含有トリアジン類(メラミン、メラム、メレム、メロン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのアミノ基含有1,3,5−トリアジン類、3−アミノ−1,2,4−トリアジンなどのアミノ基含有1,2,4−トリアジン類など)、アミノ基含有トリアゾール類(2,5−ジアミノ−1,3,4−トリアゾールなどのアミノ基含有1,3,4−トリアゾール類など)などの環状シアナミド誘導体;グアニジン類[グアニジン、グアニジン誘導体(ジシアンジアミド、グアニル尿素など)など]などの非環状シアナミド誘導体などが挙げられる。好ましいシアナミド誘導体は、アミノ基含有1,3,5−トリアジン類、グアニジン又はその誘導体、特にメラミンなどである。このようなシアナミド誘導体は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。
(ポリ)リン酸アミドは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ポリリン酸アミドについては、例えば、特開平7−138463号公報を参照できる。このようなポリリン酸アミドは、特公昭53−2170号公報、特公昭53−15478号公報、特公昭55−49004号公報、特開昭61−126091号公報、特開平10−81691号公報、米国特許第4043987号明細書などに記載の方法などにより製造できる。ポリリン酸アミドは、「スミセーフPM」[住友化学工業(株)製]、「タイエンS」[太平化学産業(株)製]、「アピノンMPP」[(株)三和ケミカル製]、「Melapur」[DSM社製]、「Exolit」[クラリアント社製]、「AMGARD」[Albright&Wilson社製]として市販されている。
(f)尿素化合物
尿素化合物には、非環状尿素化合物及び環状尿素化合物が含まれる。
(非環状尿素化合物)
非環状尿素化合物には、尿素、アルキル基などの置換基が置換したN−置換尿素[例えば、N−メチル体、N−エチル体などのN−C1−6アルキル体、アルキレンジウレア(例えば、メチレンジウレアなどのC1−6アルキレンジウレアなど)など]、非環状ウレイド化合物[オキサルル酸などのC2−6ジカルボン酸のウレイド酸、ウレイド酢酸などのウレイド基含有C1−6モノカルボン酸、ウレイドコハク酸などのカルバミド基含有C2−6ジカルボン酸、又はそれらの誘導体(アミド、エステルなど)などのモノウレイド;アラントイン酸などのC2−6ジカルボン酸のジウレイドなど]、非環状の尿素縮合体[尿素の二量体(例えば、ビウレット、ビウレアなど)、尿素の多量体、尿素とアルデヒド化合物との縮合体など]などが含まれる。
(環状尿素化合物)
環状尿素化合物は、少なくとも1つの尿素ユニット−NHCONH−を環の構成ユニットとして有する限り、特に制限されず、単環化合物、芳香族炭化水素環との縮合環、架橋環などのいずれであってもよい。このような環状尿素化合物には、環状モノウレイド、環状ジウレイド等が挙げられる。これらの環状尿素化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
環状モノウレイドとしては、例えば、アルキレン尿素[メチレン尿素、エチレン尿素、クロトニリデン尿素(CDU)などのC1−10アルキレン尿素(好ましくはC1−6アルキレン尿素)など]、アルケニレン尿素(ビニレン尿素、シトシン等のC2−10アルケニレン尿素など)、アルキニレン尿素[C2−10アルキニレン尿素(好ましくはC2−6アルキニレン尿素)など]、アリーレン尿素(イメサチンなど)、ジカルボン酸のウレイド(パラバン酸、ジメチルパラバン酸、バルビツル酸、5,5−ジエチルバルビツル酸、ジリツル酸、ジアルル酸、アロキサン、アロキサン酸、イソシアヌール酸、ウラミル等)、β−アルデヒド酸のウレイド[ウラシル、5−メチルウラシル(チミン)、ジヒドロウラシル、ウラゾール、ベンゾイレン尿素等]、α−オキシ酸のウレイド[ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、1,1−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイン)、アラントイン等のヒダントイン類など]、又はその誘導体などが例示できる。
環状ジウレイドとしては、例えば、尿酸、3−メチル尿酸、プソイド尿酸、アセチレン尿素(グリコールウリル)、α−オキシ酸のジウレイド[1,1−メチレンビス(5,5−ジメチルヒダントイン)、アラントインなど]、p−ウラジンなどのジウレア、ジカルボン酸のジウレイド(アロキサンチン、プルプル酸等)、又はその誘導体などが例示できる。
これらの環状尿素化合物のうち、2つの尿素ユニットを環の構成ユニットとして有する環状ジウレイド、特にアセチレン尿素、尿酸、それらの誘導体が好ましい。
(g)アミジン化合物
アミジン化合物には、RC(=NH)NH2(Rは、水素原子、アルキル基、アシル基を示す)で表される構成単位を含むアミジン及びその誘導体が含まれる。アミジン類の構造は、非環状であっても、環状であってもよい。さらに、アミジン類には、前記Rがアミノ基であるグアニジン類(グアニジン又はその誘導体)も含まれ、その構造は、非環状であっても、環状であってもよい。非環状アミジンには、例えば、アミジン、ジシアンジアミド又はこれらの誘導体などが含まれる。好ましいアミジン類には、例えば、アミジン、ジシアンジアミド、グリコシアミン、グアノリン、クレアチン、クレアチニン、又はそれらの誘導体などが含まれる。
(h)テトラゾール化合物
テトラゾール化合物には、モノテトラゾール及びテトラゾールのアミン塩又は金属塩が含まれる。例えば、5−フェニルテトラゾール、5,5′−ビテトラゾールのアミン塩(例えば、2アンモニウム塩、2グアニジン塩、ピペラジン塩、メラミン塩、グアナミン塩、キシリレンジアミン塩など)、5,5′−ビテトラゾールの金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩など)などが挙げられる。
これらのテトラゾール化合物としては、特開平5−51476号公報、特開平6−166678号公報、特開2001−294497号公報などを参照できる。
これらの窒素含有化合物のうち、トリアジン骨格を有するアミノ基含有化合物と、硫酸、(ポリ)リン酸、スルホン酸、有機ホスホン酸及び有機ホスフィン酸から選択された成分との反応生成物(塩)(例えば、ポリリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、硫酸メラミン、メタンスルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、有機ホスフィン酸メラミン等)、(ポリ)リン酸とシアナミド類又は誘導体との反応生成物(塩)(例えば、リン酸アミド、ポリリン酸アミド等)、ビウレア、環状ジウレイド(例えば、尿酸、アセチレン尿素等)、又はジシアンジアミドなどが好ましい。
これらの窒素含有化合物(C3)は、エポキシ系化合物、カップリング剤(シラン系化合物、チタネート系化合物、アルミニウム系化合物など)、クロム系化合物などの表面改質剤により処理してもよい。また、窒素含有化合物(C3)は、金属、ガラス、トリアジン誘導体のシアヌール酸塩、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂又はこれらの共縮合樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂、ポリイミドなど)、熱可塑性樹脂などで被覆処理してもよい。これらの処理のうち、通常、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂など)で被覆処理する。例えば、窒素含有化合物(C2)の被覆処理方法として、特開昭52−125489号公報、特開昭62−21704号公報、特開昭63−110254号公報、特開平8−53569号公報、特開平8−53574号公報、特開2000−169120号公報、特開2001−131293号公報などを参照することができる。窒素含有化合物(C2)と被覆成分との割合は、特に制限されないが、例えば、被覆成分が被覆難燃剤の0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%(例えば、0.1〜8重量%)程度である。
(C4)無機金属系化合物
無機金属系化合物には、無機酸の金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物等が含まれる。
(1)無機酸の金属塩
塩を構成する無機酸としては、リン酸、ホウ酸、スズ酸、モリブデン酸、タングステン酸などの各種無機酸が使用できる。
無機酸と塩を形成する金属には、アルカリ金属(カリウム、ナトリウムなど);アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど);遷移金属(スカンジウムなどの第3A族金属;チタンなどの第4A族金属;バナジウムなどの第5A族金属;クロム、モリブデンなどの第6A族金属;マンガンなどの第7A族金属;鉄、コバルト、ニッケル、パラジウムなどの第8族金属;及び銅、銀などの第1B族金属)、第2B族金属(亜鉛など)、第3B族金属(アルミニウムなど)、第4B族金属(スズ、鉛など)、第5B族金属(アンチモン、ビスマスなど)などが含まれる。これらの金属は一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(リン酸の金属塩)
リン酸としては、非縮合リン酸[オルトリン酸、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸等]、縮合リン酸[次リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸(三リン酸、四リン酸等)、ポリメタリン酸、無水リン酸塩類等]が例示でき、特に非縮合リン酸が好ましい。金属は、多価金属、例えば、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B〜3B族金属、特に、アルカリ土類金属が好ましい。
リン酸の金属塩としては、前記リン酸と多価金属との塩の他、この多価金属リン酸塩に対応するリン酸水素塩が挙げられ、前記金属塩には、配位子(例えば、ヒドロキソ、ハロゲンなど)が配位していてもよい。
リン酸の金属塩としては、例えば、ピロリン酸塩(Ca2P2O7など)、ポリメタリン酸塩[Ca3(P3O9)2など]、無水リン酸塩類(Ca2(P4O12)、Ca5(P3O10)2など)の他、Ca5(PO4)3(OH)、Ca5(PO4)3(F,Cl)などの縮合リン酸塩を使用してもよいが、リン酸水素塩を用いるのが好ましい。
このようなリン酸水素塩としては、例えば、オルトリン酸水素マグネシウム(リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウムなど)、オルトリン酸水素カルシウム(リン酸二水素カルシウム、第二リン酸カルシウムなど)などのアルカリ土類金属リン酸水素塩;リン酸水素マンガン(リン酸水素マンガン(III)など)、リン酸水素鉄[Fe(H2PO4)3など]等の遷移金属リン酸水素塩;リン酸水素亜鉛、リン酸水素カドミウムなどの周期表第2B族金属のリン酸水素塩;リン酸水素アルミニウムなどの周期表第3B族金属のリン酸水素塩;リン酸水素スズなどの周期表第4B族金属のリン酸水素塩などの非縮合リン酸水素塩などである。これらのうち、実質的に無水のリン酸水素金属塩、特にアルカリ土類金属リン酸水素塩[リン酸二水素マグネシウム、リン酸二水素カルシウム、第二リン酸カルシウム(CaHPO4)など]が好ましい。
(ホウ酸の金属塩)
ホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸などの非縮合ホウ酸;ピロホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸などの縮合ホウ酸、並びに塩基性ホウ酸などが好ましい。
金属としては、アルカリ金属などを用いてもよいが、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B族金属の多価金属が好ましい。
ホウ酸金属塩は、通常、含水塩であり、例えば、非縮合ホウ酸塩[オルトホウ酸カルシウム、メタホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属非縮合ホウ酸塩;オルトホウ酸マンガン、メタホウ酸銅などの遷移金属非縮合ホウ酸塩;メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の非縮合ホウ酸塩(特にメタホウ酸塩)など]、縮合ホウ酸塩(四ホウ酸三マグネシウム、ピロホウ酸カルシウムなどのアルカリ土類金属縮合ホウ酸塩;四ホウ酸マンガン、二ホウ酸ニッケルなどの遷移金属縮合酸塩;四ホウ酸亜鉛、四ホウ酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の縮合ホウ酸塩など);塩基性ホウ酸塩(塩基性ホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸カドミウムなどの周期表第2B族金属の塩基性ホウ酸塩など)などが挙げられる。また、これらのホウ酸塩に対応するホウ酸水素塩(例えば、オルトホウ酸水素マンガンなど)なども使用できる。特に、アルカリ土類金属又は周期表第2B族金属ホウ酸塩(非縮合又は縮合ホウ酸塩)、特に、(含水)ホウ酸亜鉛類、(含水)ホウ酸カルシウム類が好ましい。
(スズ酸の金属塩)
スズ酸としては、スズ酸、メタスズ酸、オルトスズ酸、ヘキサヒドロオクソスズ酸等が例示できる。金属としては、アルカリ金属や、アルカリ土類金属、遷移金属、周期表2B族金属等の多価金属が例示できる。スズ酸の金属塩は、通常、含水塩であり、例えば、スズ酸のアルカリ金属塩(例えば、スズ酸ナトリウムやスズ酸カリウム等)、スズ酸のアルカリ土類金属塩(例えば、スズ酸マグネシウムなど)、スズ酸の遷移金属塩(例えば、スズ酸コバルトなど)、スズ酸の周期表2B族金属塩(例えば、スズ酸亜鉛など)が例示できる。これらのスズ酸の金属塩のうち、スズ酸の周期表2B族金属塩、特に(含水)スズ酸亜鉛類が好ましい。
(モリブデン酸の金属塩)
モリブデン酸の金属塩としては、前記リン酸金属塩及びホウ酸金属塩に対応する各種金属塩が使用できる。例えば、(含水)モリブデン酸亜鉛[例えば、キクチカラー(株)製の商品名「ボーコンSK−26,SKN−301,SKN−545,SKR−803,KSR−850」など]などが挙げられる。
(タングステン酸の金属塩)
タングステン酸の金属塩としては、前記リン酸金属塩及びホウ酸金属塩に対応する各種金属塩が使用できる。例えば、(含水)タングステン酸亜鉛などが挙げられる。
リン酸、ホウ酸、スズ酸、モリブデン酸及びタングステン酸以外の無機酸(酸素酸)の金属塩としては、前記リン酸金属塩及びホウ酸金属塩に対応する各種金属塩が使用できる。
(2)金属酸化物
金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化マンガン、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが挙げられる。
(3)金属水酸化物
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化ジルコニウムが挙げられる。
(4)金属硫化物
金属硫化物としては、例えば、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化亜鉛などが挙げられる。
これらの無機金属系化合物(C4)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C5)硫黄含有化合物
硫黄含有化合物としては、有機スルホン酸[アルカンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸(パーフルオロブタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホフタル酸、スルホナフトエ酸、フェノールスルホン酸、ナフトールスルホン酸、3−フェニルスルホニルベンゼンスルホン酸など)、スルホン化ポリマー(スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキシドなど)]、スルファミン酸、有機スルファミン酸、有機スルホン酸アミドの塩(アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)などが挙げられる。
(C6)ケイ素含有化合物
ケイ素含有化合物には、(ポリ)オルガノシロキサンやゼオライトなどが含まれる。(ポリ)オルガノシロキサンとしては、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(フェニルメチルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン、モノオルガノシロキサンなどの単独重合体(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなど)、又は共重合体などが含まれる。また、(ポリ)オルガノシロキサンとしては、分岐オルガノシロキサン(ポリメチルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリオルガノシルセスキオキサンなど)[例えば、東芝シリコーン(株)の商品名「XC99−B5664」、信越化学工業(株)の商品名「X−40−9243」、「X−40−9244」、「X−40−9805」、特開2001−40219号公報、特開2000−159995号公報、特開平11−158363号公報、特開平10−182832号公報、特開平10−139964号公報記載の化合物など]、分子末端や主鎖に、エポキシ基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などの置換基を有する変性(ポリ)オルガノシロキサン(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)の商品名「SiパウダーDC4−7051,DC4−7081,DC4−7105,DC1−9641など」など)なども使用できる。
ゼオライトとしては、A型、X型、Y型、β型、L型、モルデナイト型、ZSM型(ZSM−5型など)ゼオライトなどのNa型、H型、NH4型、又は遷移金属置換ゼオライトなどが挙げられる。
これらの難燃助剤(C)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
[難燃助剤(C)の使用割合]
難燃助剤(C)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜500重量部、好ましくは1〜300重量部、さらに好ましくは5〜200重量部程度である。
リン含有化合物(C1)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
ベース樹脂(A)と芳香族樹脂(C2)とは、通常、互いに異種の樹脂を使用し、その場合、ベース樹脂と芳香族樹脂との割合(重量比)は、ベース樹脂/芳香族樹脂=50/50〜100/0、好ましくは55/45〜100/0、さらに好ましくは60/40〜100/0程度である。
ベース樹脂(A)及び芳香族樹脂(C2)で構成された樹脂成分に対する窒素含有化合物(C3)及び無機金属系化合物(C4)の割合は、合計で又はそれぞれ、樹脂成分100重量部に対して0〜300重量部(例えば、0.1〜300重量部)の範囲から選択できるが、通常、樹脂成分100重量部に対して、例えば、0〜200重量部(例えば、1〜200重量部程度)、好ましくは0〜150重量部(例えば、3〜150重量部)、さらに好ましくは0〜100重量部(例えば、5〜100重量部)程度である。
硫黄含有化合物(C5)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0〜10重量部(例えば、0.01〜10重量部)、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度である。
ケイ素含有化合物(C6)の割合は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0〜50重量部(例えば、0.05〜50重量部)、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部程度である。
シアノ基含有複素環式化合物(B)と難燃助剤(C)との割合(重量比)は、シアノ基含有複素環式化合物/難燃助剤=99/1〜1/99、好ましくは98/2〜2/98、さらに好ましくは97/3〜3/97程度である。
[添加剤]
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて種々の添加剤(例えば、他の難燃剤、ドリッピング防止剤、酸化防止剤、安定剤など)を含んでいてもよい。添加剤の全体の含有量は、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは、0.1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
(他の難燃剤)
なお、本発明の難燃性樹脂組成物は、さらに難燃性を付与するため、他の難燃剤、例えば、アルコール系難燃剤、無機系難燃剤、ラジカル発生有機系難燃剤などを含んでいてもよい。
アルコール系難燃剤としては、多価アルコール(ペンタエリスリトールなど)、オリゴマーの多価アルコール(ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなど)、エステル化された多価アルコール、置換されたアルコール、セルロース類(セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、ペクトセルロース、アジポセルロースなど)、糖類(単糖類、多糖類など)、含窒素多価アルコール類[トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートなど]などが挙げられる。
無機系難燃剤には、膨張性黒鉛などが含まれる。
ラジカル発生有機系難燃剤としては、例えば、ベンジルラジカル発生化合物[C6−20アリール多置換エタン誘導体(例えば、2,3−ジフェニル−2,3−ジメチルブタンなど)、ポリ(α,α,α′,α′−テトラメチル−1,3−キシリレン)、ポリ(α,α,α′,α′−テトラメチル−1,4−キシリレン)など]、ニトロキシド発生化合物[2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ジヒドロキシ−ピペリジン、1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン又はそれらのカルボン酸エステル又はエーテル誘導体(特表2002−507238号公報記載のアミン化合物)など]などが挙げられる。
これら他の難燃剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
他の難燃剤の含有量は、例えば、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜50重量部程度、好ましくは0.05〜30重量部程度、特に0.1〜20重量部程度の範囲から選択できる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、長期間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤又は安定剤を含んでいてもよい。酸化防止剤又は安定剤には、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定剤)、ハイドロタルサイト類などが含まれる。
フェノール系酸化防止剤には、ヒンダードフェノール類、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC2−10アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジ又はトリオキシC2−4アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC3−8アルキレントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC4−8アルキレンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1−3アルキルピペリジン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキシ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1−3アルキルピペリジン)C2−20アルキレンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、オギザレートに対応するマロネート、アジペート、セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン、4,4′−ジ(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどが含まれる。
リン系安定剤(又は酸化防止剤)には、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3−6アルキルフェニル)ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイトなど]、(分岐C3−6アルキルフェニル)フェニルホスファイト[例えば、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、2−t−ブチルフェニルジフェニルホスファイトなど]、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ビス(C1−9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル)−4,4′−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチル)−4,4′−ビフェニレンジホスフォナイトなど)などが含まれる。リン系安定剤は、通常、分岐C3−6アルキルフェニル基(特に、t−ブチルフェニル基)を有している。
ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが含まれ、イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが含まれる。
これらの酸化防止剤は単独で又は二種以上使用できる。酸化防止剤の含有量は、例えば、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、特に0.1〜2重量部程度の範囲から選択できる。
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、フッ素系樹脂などのドリッピング防止剤を添加してもよい。ドリッピング防止剤により、燃焼時の火種及び融液の滴下(ドリップ)を抑制できる。フッ素系樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと、エチレン、プロピレン、アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体が含まれる。このようなフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体が例示される。これらのフッ素系樹脂は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記フッ素系樹脂は、粒子状で使用してもよく、平均粒径は、例えば、10〜5000μm程度、好ましくは100〜1000μm程度、さらに好ましくは100〜700μm程度であってもよい。
フッ素系樹脂の含有量は、例えば、ベース樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部程度、好ましくは0.1〜10重量部程度、さらに好ましくは0.1〜5重量部程度である。
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、目的に応じて他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、安定剤(紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など)、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、核剤、衝撃改良剤、摺動剤、発泡剤などが挙げられる。
[充填剤]
本発明の難燃性樹脂組成物は、機械的強度、剛性、耐熱性及び電気的性質などをさらに向上させるため、充填剤により改質されていてもよい。充填剤には、繊維状充填剤、非繊維充填剤(板状充填剤、粉粒状充填剤など)が含まれる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、繊維状ウォラストナイト、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂など)などが例示できる。
非繊維状充填剤のうち、板状(層状)充填剤には、例えば、カオリン、タルク、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔、層状リン酸塩(リン酸ジルコニウム、リン酸チタン等)などが例示できる。
粉粒状又は無定形状充填剤には、カーボンブラック、ホワイトカーボン、炭化ケイ素、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(ミルドガラスファイバーなど)、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、ケイ藻土等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等)、金属の炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、金属の硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム等)、金属粉末が含まれる。
好ましい繊維状充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維が挙げられ、好ましい非繊維状充填剤としては、粉粒状又は板状充填剤、特に、ガラスビーズ、ミルドファイバー、カオリン、タルク、マイカ、及びガラスフレークが挙げられる。
また、特に好ましい充填剤には、ガラス繊維、例えば、高い強度・剛性を有するガラス繊維(チョップドストランドなど)が含まれる。
充填剤を用いる場合、難燃性樹脂組成物中の充填剤の割合は、例えば、1〜60重量%程度、好ましくは1〜50重量%程度、さらに好ましくは1〜45重量%程度である。
これらの充填剤の使用に当たっては、必要ならば、収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。このような収束剤又は表面処理剤としては、官能性化合物が含まれる。前記官能性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、好ましくはエポキシ系化合物、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
充填剤は、前記収束剤又は表面処理剤により、収束処理又は表面処理されていてもよい。処理の時期については、充填剤の添加と同時に処理してもよく、添加前に予め処理してもよい。
また、併用される官能性表面処理剤又は収束剤の使用量は、充填剤に対して5重量%以下、好ましくは0.05〜2重量%程度である。
本発明の難燃剤は、燃焼時に樹脂表面の炭化を促進するためか、樹脂を高度に難燃化できる。また、シアノ基含有複素環式化合物と、特定の難燃助剤とを組み合わせることにより、少量であってもベース樹脂を効果的に難燃化でき、ブリードアウトや耐熱性を低下させることもない。
[難燃性樹脂組成物の製造方法]
本発明の難燃性樹脂組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物であってもよく、ベース樹脂と、難燃剤と、難燃助剤と、必要によりドリッピング防止剤や他の添加剤などとを慣用の方法で混合することにより調製できる。例えば、(1)各成分を混合して、一軸又は二軸の押出機により混練し押出してペレットを調製した後、成形する方法、(2)一旦、組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(3)成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法などが採用できる。さらに、押出機によるペレットの製造方法としては、(1)脆性充填剤(ガラス系充填剤など)を除く成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤成分を混合する製造方法、(2)リン系化合物及び脆性充填剤を除く成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤及びリン系化合物を(同じフィード位置で)同時混合する製造方法、(3)リン系化合物及び脆性充填剤を除く成分を先に溶融混合した後に、脆性充填剤及びリン系化合物を(別々のフィード位置で)順次混合する製造方法等が採用できる。この押出機によるペレット製造において、少量の芳香族化合物やハロゲン化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロホルム、トリクロロエチレンなど)を分散助剤として押出時に配合してもよい。この分散助剤は押出機のベント口から混練樹脂より除去される。また、成形品に用いられる組成物の調製において、ベース樹脂の粉粒体(例えば、ポリエステル系樹脂の一部又は全部を粉砕した粉粒体)と、他の成分(難燃剤など)とを混合して溶融混練すると、他の成分の分散を向上させるのに有利である。
なお、ハンドリングの観点から、非樹脂状成分(シアノ基含有複素環式化合物、リン系化合物、窒素含有化合物、無機金属系化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物など)と、樹脂状成分(ベース樹脂、芳香族樹脂など)とを一旦溶融混合することにより、マスターバッチを調製すると便利である。特に、赤リンを併用する場合、マスターバッチを調製する場合が多い。また、樹脂状成分でマスターバッチを構成する場合、ベース樹脂の一部をマスターバッチに用いることが多い。
マスターバッチには、例えば、(a)ベース樹脂の一部と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(b)芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(c)芳香族樹脂と樹脂状難燃剤と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(d)ベース樹脂の一部と芳香族樹脂と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(e)ベース樹脂の一部と樹脂状成分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチ、(f)ベース樹脂の一部と芳香族樹脂と樹脂状成分と非樹脂状成分とで構成されたマスターバッチなどが挙げられる。
なお、前記マスターバッチは、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フッ素系樹脂、酸化防止剤、リン系安定剤、充填剤などを含有していてもよい。
このようにして得られたマスターバッチと、ベース樹脂と、必要に応じて、残りの成分とを溶融混合することにより、難燃性樹脂組成物を製造できる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物を溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の方法で成形でき、形成された成形品は、難燃性および成形加工性に優れているため、種々の用途に使用できる。例えば、電気・電子部品、機械機構部品、オフィスオートメーション(OA)機器部品、家電機器部品、自動車部品、包装材料やケースなどに好適に用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、下記の試験により樹脂組成物の難燃性、ブルーミング性を評価した。
(燃焼性試験)
UL94に準拠して、試験片の厚み1.6mmで燃焼性を評価した。
(ブルーミング性の評価)
1.6mmの燃焼試験片を150℃で5時間加熱し、試験片表面の染み出し状態を目視観察し、以下の判断基準によりブルーミング性を評価した。
〇:染み出しが全く見られない
△:若干の染み出しが見られる
×:著しい染み出しが見られる。
[ベース樹脂 A]
A−1:ポリブチレンテレフタレート[ジュラネックス、固有粘度=0.83、ポリプラスチックス(株)製]
A−2:ポリスチレン[トーヨースチロールG19、東洋スチレン(株)製]
A−3:アクリロニトリル−スチレン共重合体[セビアンJD、ダイセル化学工業(株)製]
A−4:ポリエチレンテレフタレート[ベルペットEFG10、カネボウ合繊(株)製]
A−5:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体[セビアンDP611、ダイセル化学工業(株)製]
A−6:12.5mol%イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートコポリマー[固有粘度=1.0]
A−7:ポリカーボネート[パンライトL1225、帝人化成(株)製]
A−8:液晶性ポリエステル[ロッドランLC3000、ユニチカ(株)製]
A−9:液晶性ポリエステル[ベクトラA950、ポリプラスチックス(株)製]
A−10:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド[PPEポリマーYPX−100F、三菱ガス化学(株)製]
A−11:ナイロン−6[UBEナイロン6、宇部興産(株)製]
A−12:ポリアセタールコポリマー[ジュラコンM90−44、ポリプラスチックス(株)製]。
[難燃剤 B]
B−1:トリ(2−シアノエチル)イソシアヌレート
B−2:ビス(2−シアノエチル)イソシアヌレート
B−3:3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン
[難燃剤 B(比較例で用いた有機リン化合物)]
B−4:イソシアヌル酸。
[難燃助剤 C]
[リン含有化合物 C1]
C1−1:赤燐[ノーバエクセル140、燐化学工業(株)製]
C1−2:エチルメチルホスフィン酸アルミニウム[特開平11−60924号公報の実施例に準じて調製した]
C1−3:レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)
C1−4:ビフェノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)
C1−5:1,4−ピペラジンジイルビス(ジフェニルホスフェート)[N,N′−ビス(ジフェノキシホスフィニル)ピペラジン]
C1−6:4−メチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−オキシド
C1−7:10−ヒドロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド
C1−8:フェノキシホスファゼン[環状3,4量体]
C1−9:ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)
C1−10:ビスフェノール−Aビス(ジフェニルホスフェート)
C1−11:赤燐[ノーバエクセルF5、燐化学工業(株)製]
[芳香族樹脂 C2]
C2−1:ポリカーボネート[ユーピロンS3000、三菱ガス化学(株)製]
C2−2:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)オキシド[PPEポリマーYPX−100F、三菱ガス化学(株)製]
C2−3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂[エピコート1004K、油化シェルエポキシ(株)製]
C2−4:ポリアリレート[ポリアリレートU100、ユニチカ(株)製]
C2−5:ポリ(1,4−フェニレン)スルフィド
C2−6:ナイロンMXD6[レニー6002、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製]
C2−7:ノボラック型フェノール樹脂[PR−53647、住友デュレズ(株)製]
C2−8:ポリp−ビニルフェノール[マルカリンカーMS−1P、丸善石油化学(株)製]
C2−9:フェノールアラルキル樹脂[ミレックスXL−225、三井化学(株)製]。
[窒素含有化合物 C3]
C3−1:ポリリン酸メラム[PMP200、日産化学工業(株)製]
C3−2:メラミンシアヌレート[MC610、日産化学工業(株)製]
C3−3:ジシアンジアミド
C3−4:ビウレア
C3−5:CTU−グアナミン[味の素ファインテクノ(株)製]
[無機金属系化合物 C4]
C4−1:硼酸亜鉛[FireBrake ZB、ボラックス・ジャパン(株)製]
C4−2:水酸化マグネシウム[キスマ5E、協和化学工業(株)製]
C4−3:無水リン酸一水素カルシウム:平均粒子径=約30μm[太平化学産業(株)製]
[硫黄含有化合物 C5]
C5−1:スルホン化ポリスチレンのナトリウム塩[ライオン(株)製]。
[ケイ素含有化合物 C6]
C6−1:シリコーン樹脂[SiパウダーDC4−7015、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製]
C6−2:ゼオライト[ゼオラムA−3、東ソー(株)製]。
[酸化防止剤 D]
D−1:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][イルガノックス1010、チバガイギー(株)製]。
[リン系安定剤 E]
E−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[アデカスタブPEP36、アデカアーガス(株)製]
E−2:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト[サンドスタブP−EPQ、サンド(株)製]
E−3:ハイドロタルサイト[DHT−4A、協和化学工業(株)製]。
[ドリッピング防止剤 F]
F−1:ポリテトラフルオロエチレン。
[充填剤 G]
G−1:直径10μm、長さ3mmのガラスチョップドストランド
G−2:タルク[タルク3A、日本タルク(株)製]。
実施例1〜22及び比較例1〜18
上記成分を表1〜表5の割合(重量部)で混合し、小型混練機により樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をプレス成形により試験用成形品を作製し、特性を評価した。結果を表1〜表5に示す。
表から明らかなように、シアノ基を有する複素環式化合物(B)と、特定の難燃助剤(C)とを用いた実施例はいずれも、これらの成分のいずれかを欠く比較例に比べ、難燃性、ブルーミング性及び成形加工性に優れていた。