JP2009128299A - 物体方位検出装置及び物体方位検出システム - Google Patents

物体方位検出装置及び物体方位検出システム Download PDF

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Abstract

【課題】受信素子の間隔の広狭に拘らず、物体の方位を精度良く検出する。
【解決手段】物体位置検出装置1は、受信マイク6aが受信した反射波に対してパルス圧縮部10aが検出した複素相関値と、他の受信マイク6bが受信した反射波に対してパルス圧縮部10bが検出した複素相関値との位相差を位相差算出部13により算出し、その算出した位相差、受信マイク6a,6bとの間隔及び送信波の波長に基づいて物体の方位を方位算出部14により算出する。相関検出演算が線形演算であるために演算前後で受信信号間の位相差が保持されるため、S/Nを向上させながらも位相差を用いた方位検出が可能となり、受信マイク6aと受信マイク6bとの間隔の広狭に拘らず、物体の方位を精度良く検出することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、送信手段から送信波を送信し、物体で反射した反射波を複数の受信素子により受信し、その受信した反射波間の時間差や位相差情報に基づいて、物体の方位を検出する物体方位検出装置及び物体方位検出システムに関する。
送信信号を自己相関の高い符号で符号化して送信波を生成して送信手段から送信し、物体で反射した反射波を受信素子により受信し、その受信した反射波を直交復調して受信信号を生成し、その生成した受信信号と送信信号との相関検出(パルス圧縮)をすることで、S/Nを向上させ、相関検出した結果の絶対値情報を用いて、物体までの距離を検出する技術が供されている(例えば特許文献1参照)。
特開2005−249770号公報
ところで、従来、受信信号の絶対値情報を用いて物体の方位を算出する方法として、物体で反射した反射波を複数の受信素子により受信し、各受信素子における受信信号間の時間差を利用する三角測量方式がある。三角測量方式を適用する構成では、各受信素子における受信信号間の時間差を正確に検出する必要がある。この時間差は素子間の間隔によって異なり、素子間隔が狭くなるほど時間差が小さくなるため、正確な検出が困難となり、精度を確保することが困難となる。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、受信素子の間隔の広狭に拘らず、S/Nを向上させながらも、物体の方位を精度良く検出することを可能とする物体方位検出装置及び物体方位検出システムを提供することにある。
請求項1に記載した物体方位検出装置によれば、送信波生成手段は、送信信号を自己相関の高い符号で符号化して送信波を生成し、送信手段は、送信波生成手段が生成した送信波を送信する。そして、物体で反射した反射波をアレイ状に配置された複数の受信素子からなる受信手段が受信すると、直交復調手段は、各受信素子が受信した反射波を直交復調して受信信号を生成し、相関検出手段は、送信波生成手段が送信波を生成する際に用いた符号を用いて、直交復調手段が生成した受信信号と送信信号との複素相関値を検出する。このとき、位相差算出手段は、一の受信素子が受信した反射波に対して相関検出手段が検出した複素相関値と、他の受信素子が受信した反射波に対して相関検出手段が検出した複素相関値との位相差を算出し、方位算出手段は、位相差算出手段が算出した位相差、一の受信素子と他の受信素子との間隔及び送信波の波長に基づいて方位を算出する。このように、相関検出演算が線形演算であるために、演算前後で位相差が保持されることに着目し、一の受信素子での相関値と他の受信素子での相関値との位相差を算出して方位を算出することにより、各受信素子における受信信号間の時間差に係る種々の問題点を考慮する必要がなく、S/Nを向上させながらも、受信素子の間隔の広狭に拘らず、物体の方位を精度良く検出することができる。
請求項2に記載した物体方位検出装置によれば、送信波生成手段は、送信信号を自己相関の高い符号で符号化して送信波を生成する時間帯と、送信信号を自己相関の高い符号で符号化することなく送信波を生成する時間帯とを切換えて送信波を生成する。これにより、送信信号を自己相関の高い符号で符号化して送信波を生成することにより、遠い距離にある物体の方位を精度良く検出することができ、且つ、送信信号を自己相関の高い符号で符号化することなく送信波を生成することにより、符号化する場合と比較して送信波の送信時間を短くすることができるため、送信波が受信素子に直接回り込むことにより反射波が受信困難となる時間が短くなり、近い距離にある物体の方位をも検出することができる。
請求項4に記載した物体方位検出装置によれば、送信波生成手段は、送信信号を符号長が同一で且つ符号列が異なる複数の符号で符号化可能であり、送信信号を当該複数の符号のうちから選択した符号で符号化して送信波を生成する。これにより、他の物体方位検出装置が近くに存在する場合であっても、他の物体方位検出装置が用いる符合とは異なる符合を用いることにより、他の物体方位検出装置からの送信波などの妨害波を検出することによる誤検出を低減することができる。
請求項5に記載した物体方位検出装置によれば、送信波生成手段は、送信信号を周囲の妨害波との相関が最大となる符号以外の符号または周囲の妨害波との相関が最小となる符号で符号化して送信波を生成する。これにより、周囲の妨害波との相関が最大となる符号以外の符号または周囲の妨害波との相関が最小となる符号を用いることにより、上記した請求項4に記載したものと同様にして、他の物体方位検出装置からの送信波などの妨害波を検出することによる誤検出を低減することができる。
請求項7に記載した物体方位検出装置によれば、受信手段は、少なくとも4つの受信素子が格子状に配置され、位相差算出手段は、水平方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出し、垂直方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出する。そして、方位算出手段は、位相差算出手段が算出した水平方向に配置された受信素子同士の位相差、当該水平方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の水平方向の方位を算出し、位相差算出手段が算出した垂直方向に配置された受信素子同士の位相差、当該垂直方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の垂直方向の方位を算出する。これにより、水平方向の方位と垂直方向の方位との双方の方位を算出することにより、物体の3次元的な方位を検出することができる。
請求項8に記載した物体方位検出装置によれば、受信手段は、少なくとも3つの受信素子が三角形状に配置され、位相差算出手段は、水平方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出し、垂直方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出する。そして、方位算出手段は、位相差算出手段が算出した水平方向に配置された受信素子同士の位相差、当該水平方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の水平方向の方位を算出し、位相差算出手段が算出した垂直方向に配置された受信素子同士の位相差、当該垂直方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の垂直方向の方位を算出する。これにより、上記した請求項7に記載したものと同様にして、水平方向の方位と垂直方向の方位との双方の方位を算出することにより、物体の3次元的な方位を検出することができる。
請求項10に記載した物体方位検出システムによれば、複数の上記した請求項1ないし9のいずれかに記載した物体方位検出装置を複数備え、各相関検出手段は、各送信波生成手段が送信波を生成する際に用いる符号の全てを用いて相関検出を行うことが可能であり、それら全ての符号のうちいずれかを用いて、各直交復調手段が生成した受信信号と送信信号との複素相関値を検出する。これにより、一の物体方位検出装置から送信されて物体で反射した反射波を他の物体方位検出装置においても検出することができるため、広範囲な検出エリアを実現することができる。
以下、本発明を、物体の位置を検出する物体位置検出装置に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。尚、物体位置検出装置は、例えば車両周囲の障害物を検出することを目的して車両に搭載される車載用超音波ソナーとして適用される。図1は、物体位置検出装置の構成を機能ブロック図により示している。物体位置検出装置1は、符号生成部2、送信波生成部3(本発明でいう送信波生成手段)、送信マイク4(本発明でいう送信手段)、正弦波発生部5、受信マイク6a,6b(本発明でいう受信手段)、A/D変換部7、直交復調部8(本発明でいう直交復調手段)、LPF(ローパスフィルタ)9a〜9d、パルス圧縮部10a,10b(本発明でいう相関検出手段)、閾値判定部11、距離算出部12、位相差算出部13(本発明でいう位相差算出手段)、方位算出部14(本発明でいう方位算出手段)及び位置算出部15を備えて構成されている。
符号生成部2は、複数のパルスからなるパルス列、例えば7bitBarker符号列により構成される送信信号(パルス信号)を生成し、その生成した送信信号を送信波生成部3及びパルス圧縮部10a,10bに出力する。送信波生成部3は、符号生成部2から送信信号を入力すると、その入力した送信信号をデジタル位相符号変調し、複数の符号の組み合わせからなる符号系列にしたがって送信信号のパルス列毎に位相を変更し、そのパルス列毎に位相を変更した送信信号を送信波として送信マイク4及び正弦波発生部5に出力する。
送信マイク4は、圧電素子がカバーに覆われる形状をなし、圧電素子が駆動することでカバーが共振する共振型マイクにより構成され、送信波生成部3から送信波を入力すると、その入力した送信波を変調波として圧電素子に供給し、圧電素子が駆動してカバーが共振することで送信波を外部に向けて送信する。正弦波発生部5は、送信波生成部3から送信波を入力すると、その入力した送信波の角周波数に同期した角周波数の正弦波を発生し、その発生した正弦波を直交復調部8(移相器14及び乗算器15a〜15d)に出力する。この場合、正弦波発生部5は、発生した正弦波を移相することなく乗算器15a,15cに出力する一方で、発生した正弦波を移相器14で移相させて(位相をπ/2だけ変更させて)乗算器15b,15dに出力する。
受信マイク6a,6bは、上記した送信マイク4と同様にして、圧電素子がカバーに覆われる形状をなし、圧電素子が駆動することでカバーが共振する共振型マイクにより構成され、送信マイク4から送信された送信波が物体で反射した反射波を受信すると、圧電素子が発生した電圧に対応する受信信号をA/D変換部7に出力する。A/D変換部7は、受信マイク6aから受信信号を入力すると、その入力した受信信号を所定のサンプリング周波数(例えば送信信号の周波数の数倍程度の周波数)でサンプリングしてデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に変換した受信信号を乗算器15a,15bに出力し、また、受信マイク6bから受信信号を入力すると、その入力した受信信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に変換した受信信号を乗算器15c,15dに出力する。
乗算器15aは、A/D変換部7から受信信号を入力すると共に正弦波発生部5から正弦波を入力すると、それら入力した受信信号と正弦波とを乗算し、一方、乗算器15bは、A/D変換部7から受信信号を入力すると共に正弦波発生部5から移相器14で移相された正弦波を入力すると、それら入力した受信信号と正弦波とを乗算する。つまり、受信マイク6aが反射波を受信したことで生成した受信信号を同相成分(I成分)と直交成分(Q成分)とに分離する。同様にして、乗算器15cは、A/D変換部7から受信信号を入力すると共に正弦波発生部5から正弦波を入力すると、それら入力した受信信号と正弦波とを乗算し、一方、乗算器15dは、A/D変換部7から受信信号を入力すると共に正弦波発生部5から移相器14で移相された正弦波を入力すると、それら入力した受信信号と正弦波とを乗算する。つまり、受信マイク6bが反射波を受信したことで生成した受信信号を同相成分(I成分)と直交成分(Q成分)とに分離する。
LPF9a,9bは、それぞれ乗算器15a,15bからI成分及びQ成分の受信信号を入力すると、それら入力した受信信号の高周波成分を除去し、その高周波成分を除去したI成分及びQ成分の受信信号をパルス圧縮部10aに出力する。同様にして、LPF9c,9dは、それぞれ乗算器15c,15dからI成分及びQ成分の受信信号を入力すると、それら入力した受信信号の高周波成分を除去し、その高周波成分を除去したI成分及びQ成分の受信信号をパルス圧縮部10bに出力する。
パルス圧縮部10aは、相関フィルタにより構成され、LPF9aからI成分の受信信号を入力すると共にLPF9bからQ成分の受信信号を入力すると、それら入力した受信信号に対して符号生成部2から入力した送信信号の符号を時間的に異なるタイミングで乗じ、その乗算結果とそれ以前の乗算結果との差分ベクトルを個々の符号毎に演算し、その演算した個々の符号毎の差分ベクトルを加算し、その加算結果を平均化することで、受信マイク6aが反射波を受信したことで生成した受信信号と送信信号との相関値をI成分及びQ成分の成分毎に算出し、それら算出結果を表す複素相関値信号を閾値判定部11に出力する。
同様にして、パルス圧縮部10bは、相関フィルタにより構成され、LPF9cからI成分の受信信号を入力すると共にLPF9dからQ成分の受信信号を入力すると、それら入力した受信信号に対して符号生成部2から入力した送信信号の符号を時間的に異なるタイミングで乗じ、その乗算結果とそれ以前の乗算結果との差分ベクトルを個々の符号毎に演算し、その演算した個々の符号毎の差分ベクトルを加算し、その加算結果を平均化することで、受信マイク6bが反射波を受信したことで生成した受信信号と送信信号との相関値をI成分及びQ成分の成分毎に算出し、それら算出結果を表す複素相関値信号を閾値判定部11に出力する。
閾値判定部11は、パルス圧縮部10a,10bから複素相関値信号を入力すると、それら入力した複素相関値信号から受信信号の振幅を計算し、その計算した受信信号の振幅が予め設定された閾値(振幅レベル)以上であるときに、その閾値以上の振幅を表す時間から受信マイク6a,6bが反射波を受信した受信タイミングを判定し、その判定した反射波の受信タイミングを距離算出部12及び位相差算出部13に出力する。ここで、受信信号の振幅を計算するときには、予め決められた受信マイクからの複素相関値信号を用いても良いし、複数の受信マイクからの複素相関値信号を合成したものを用いたりしても良い。
距離算出部12は、送信波生成部3から送信波の送信タイミングを入力すると共に閾値判定部11から反射波の受信タイミングを入力すると、それら入力した送信波の送信タイミングと反射波の受信タイミングとの間の時間差に基づいて物体までの距離を算出し、その算出した距離を位置算出部15に出力する。
位相差算出部13は、閾値判定部11から反射波の受信タイミングを入力すると、受信マイク6aが反射波を受信した受信タイミングと、受信マイク6bが反射波を受信した受信タイミングでの位相差を算出し、その算出した位相差を方位算出部14に出力する。方位算出部14は、位相差算出部13から位相差を入力すると、その入力した受信マイク6aが反射波を受信した受信タイミングと、受信マイク6bが反射波を受信した受信タイミングでの位相差、受信マイク6a,6bの間隔及び送信波の波長に基づいて物体の方位を算出し、その算出した方位を位置算出部15に出力する。
ここで、受信マイク6aが反射波を受信した受信タイミングと受信マイク6bが反射波を受信した受信タイミングでの位相差(φ)、受信マイク6a,6bの間隔(d)、送信波の波長(λ)は、次式に示す関係となるので(図2参照)、これらのパラメータから方位(θ)を算出することができる。
2π/λ・d・sinθ=φ
θ=arcsin(λ・φ/2π・d)
位置算出部15は、距離算出部12から物体までの距離を入力すると共に方位算出部14から物体の方位を入力すると、それら入力した物体までの距離及び物体の方位に基づいて物体の位置を算出し、その算出した位置を出力する。
次に、上記した構成の作用について、図3ないし図6を参照して説明する。図3は、上記した物体位置検出装置1が物体の位置を検出する処理の流れをフローチャートとして示している。物体位置検出装置1は、送信波生成部3により送信波を生成し(ステップS1)、送信波生成部3が生成した送信波を送信マイク4から送信する(ステップS2)。
次いで、物体位置検出装置1は、送信マイク4から送信された物体で反射した反射波を受信マイク6a,6bにより受信すると(ステップS3)、その反射波に対応する受信信号をA/D変換部7によりデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に変換した受信信号を直交復調部8により直交復調し(ステップS4)、直交復調した受信信号から高周波成分をLPF9a〜9dにより除去し、受信信号と送信信号との複素相関値をパルス圧縮部10a,10bにより算出する(ステップS5)。
次いで、物体位置検出装置1は、相関値信号から受信信号の振幅を計算し、その計算した受信信号の振幅が予め設定された閾値以上であるか否かを閾値判定部11により判定し(ステップS6)、受信信号の振幅が閾値以上であれば(ステップS6にて「YES」)、送信波の送信タイミングと反射波の受信タイミングとの間の時間差に基づいて物体までの距離を距離算出部12により算出する(ステップS7)。
次いで、物体位置検出装置1は、受信マイク6aが反射波を受信した受信タイミングと受信マイク6bが反射波を受信した受信タイミングでの位相差を位相差算出部13により算出し(ステップS8)、その算出した位相差、受信マイク6a,6bの間隔及び送信波の波長に基づいて物体の方位を方位算出部14により算出する(ステップS9)。そして、物体位置検出装置1は、それら算出した物体までの距離及び物体の方位に基づいて物体の位置を位置算出部15により算出する。
図4及び図5は、パルス圧縮部10a,10bにおける相関検出演算前後で位相差が保存される原理を概略的に示している。図4及び図5では、7bitBarker符号(符号系列:1011000)で符号化され、且つ位相が90度ずれている関係にある反射波を受信マイク6a及び受信マイク6bにより受信した場合を示しており、パルス圧縮部10a及びパルス圧縮部10bから出力される相関値信号も位相が90度ずれている関係になり、つまり、相関検出演算前後で、信号の大きさは符号長倍(本実施形態では7倍)となりつつも、位相差は保持されることになる。
ところで、送信波生成部3は、符号生成部2から入力した送信信号をデジタル位相符号変調して送信波として送信マイク4及び正弦波発生部5に出力する時間帯と符号生成部2から入力した送信信号をデジタル位相符号変調することなく送信波として送信マイク4及び正弦波発生部5に出力する時間帯とを切換えるように構成されていても良い。図5は、送信マイクのすぐ隣に受信マイクを配置した構成において、送信波生成部3が符号生成部2から入力した送信信号をデジタル位相符号変調したか否かでの送信波の受信マイクへの回り込みと反射波との時系列の関係を示しており、検出対象となる物体までの距離が遠い場合に送信信号をデジタル位相符号変調して送信したとしても、送信波と反射波とが重なる時間帯は発生することはないが、検出対象となる物体までの距離が近い場合に送信信号をデジタル位相符号変調して送信すると、図5(a)に示すように、送信波と反射波とが重なる時間帯が発生する可能性が高く、物体の位置を適切に検出することが困難となる。
一方、送信信号をデジタル位相符号変調することなく送信すれば、図5(b)に示すように、送信波と反射波とが重なる時間帯が発生する可能性は低くなり、検出対象となる物体までの距離が近い場合であっても、物体の位置を検出することが可能となる。すなわち、送信信号をデジタル位相符号変調して送信する時間帯と送信信号をデジタル位相符号変調することなく送信する時間帯とを例えば短い所定周期で切換えるように構成すれば、物体までの距離に拘らず物体の位置を検出することができる。尚、この場合は、送信信号をBarker符号やM系列などの自己相関の高い符号で符号化して送信波を生成することになる。
また、送信信号を符号長が同一で且つ符号列が異なる複数の符号のうちから選択した符号で符号化して送信波を生成したり、送信信号を周囲の妨害波との相関値が最大となる符号以外の符号または周囲の妨害波との相関値が最小となる符号で符号化して送信波を生成したりするようにしても良く、そのように構成すれば、他の超音波ソナーや物体方位検出装置が近くに存在する場合であっても、他からの送信波や反射波を検出することによる誤検出を低減することができる。尚、この場合は、送信信号をM系列、Gold符号、直交符号など、同じ符号長で複数の符号系列を生成できる符号を用いて符号化して送信波を生成することになる。
また、以上は、受信手段が受信マイク6a,6bの2つの受信マイクからなる構成を説明したが、4つの受信マイクを格子状に配置して受信手段を構成しても良く、水平方向に配置された受信マイク同士での相関値の位相差を算出し、その算出した水平方向に配置された受信マイク同士での相関値の位相差、当該受信マイク同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の水平方向の方位を算出し、また、垂直方向に配置された受信マイク同士での相関の位相差を算出し、その算出した垂直方向に配置された受信マイク同士での相関値の位相差、当該受信マイク同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の垂直方向の方位を算出することで、物体の3次元的な位置を算出するようにしても良い。
また、3つの受信マイクを三角形状に配置して受信手段を構成しても良く、この場合も、4つの受信マイクを格子状に配置する場合と同様にして、水平方向に配置された受信マイク同士での相関の位相差を算出し、その算出した水平方向に配置された受信マイク同士での相関の位相差、当該受信マイク同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の水平方向の方位を算出し、また、垂直方向に配置された受信マイク同士での相関値の位相差を算出し、その算出した垂直方向に配置された受信マイク同士での相関値の位相差、当該受信マイク同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の垂直方向の方位を算出することで、物体の3次元的な位置を算出するようにしても良い。
また、上記した物体位置検出装置1を例えば車両のバンパーなどに複数配置し、それら複数の物体方位検出装置1において、送信波を生成する際に用いる全ての符号を用いてパルス圧縮部10a,10bが相関検出を行うことを可能に構成すれば、いずれか1つの物体方位検出装置1から送信されて物体で反射した反射波を他の物体方位検出装置1においても検出することができるため、広範囲な検出エリアを実現することができる。例えば4個の物体位置検出装置1a〜1dが配置されており、物体位置検出装置1aが符号aを用いて符号化して生成した送信波を送信し、物体位置検出装置1bが符号bを用いて符号化して生成した送信波を送信し、物体位置検出装置1cが符号cを用いて符号化して生成した送信波を送信し、物体位置検出装置1dが符号dを用いて符号化して生成した送信波を送信する場合であれば、それら物体位置検出装置1a〜1dにおける各パルス圧縮部10a,10bが符号a〜dの全てを用いて相関検出を行うことが可能であり、それら符号a〜dのいずれかを用いて相関検出を行うことにより、補完する関係を構築することができ、広範囲な検出エリアを実現することができる。
以上に説明したように本実施形態によれば、物体位置検出装置1において、デジタル位相符号変調した送信波を送信マイクより送信し、受信マイク6a及び受信マイク6bで反射波を受信したのち、パルス圧縮部10a及びパルス圧縮部10bにおいて、送信符号との複素相関値をそれぞれ検出し、相関値同士の位相差を位相差算出部13により算出し、その算出した位相差、受信マイク6a,6bとの間隔及び送信波の波長に基づいて物体の方位を方位算出部14により算出するように構成したので、相関検出演算が線形演算であるために演算前後で位相差が保持されることに着目することにより、受信マイク6a,6bにおける受信信号間の時間差に係る種々の問題点を考慮する必要がなく、受信マイク6aと受信マイク6bとの間隔の広狭に拘らず、S/Nを向上させながらも、物体の方位を精度良く検出することができる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
送信マイクと受信マイクとが分離されている構成に限らず、送信マイクの機能と受信マイクの機能との双方の機能を有する送受信マイクを採用する構成であっても良い。
本発明の一実施形態を示す機能ブロック図 位相差(φ)、受信マイク同士の間隔(d)、送信波の波長(λ)及び物体の方位(θ)の関係を示す図 フローチャート パルス圧縮で位相差が保存される原理を概略的に示す図 図4相当図 デジタル位相符号変調したか否かでの送信波と反射波との時系列の関係を概略的に示す図
符号の説明
図面中、1は物体位置検出装置(物体方位検出装置)、3は送信波生成部(送信波生成手段)、4は送信マイク(送信手段)、6a,6bは受信マイク(受信手段)、8は直交復調部(直交復調手段)、10a,10bはパルス圧縮部(相関検出手段)、13は位相差算出部(位相差算出手段)、14は方位算出部(方位算出手段)である。

Claims (10)

  1. 送信信号を自己相関の高い符号で符号化して送信波を生成する送信波生成手段と、前記送信波生成手段が生成した送信波を送信する送信手段と、物体で反射した反射波を、アレイ状に配置された複数の受信素子で受信する受信手段と、前記各受信素子が受信した反射波を直交復調して受信信号を生成する直交復調手段と、前記送信波生成手段が送信波を生成する際に用いた符号を用いて、前記直交復調手段が生成した受信信号と前記送信信号との複素相関値を検出する相関検出手段とを備えた物体方位検出装置であって、
    一の受信素子が受信した反射波に対して前記相関検出手段が検出した相関値と、他の受信素子が受信した反射波に対して前記相関検出手段が検出した相関値との位相差を算出する位相差算出手段と、
    前記位相差算出手段が算出した位相差、前記一の受信素子と前記他の受信素子との間隔及び送信波の波長に基づいて物体の方位を算出する方位算出手段とを備えたことを特徴とする物体方位検出装置。
  2. 請求項1に記載した物体方位検出装置において、
    前記送信波生成手段は、送信信号を自己相関の高い符号で符号化して送信波を生成する時間帯と、送信信号を自己相関の高い符号で符号化することなく送信波を生成する時間帯とを切換えて送信波を生成することを特徴とする物体方位検出装置。
  3. 請求項1または2に記載した物体方位検出装置において、
    前記送信波生成手段は、送信信号をBarker符号、M系列、Gold符号または直交符号で符号化して送信波を生成することを特徴とする物体方位検出装置。
  4. 請求項1に記載した物体方位検出装置において、
    前記送信波生成手段は、送信信号を符号長が同一で且つ符号列が異なる複数の符号で符号化可能であり、送信信号を当該複数の符号のうちから選択した符号で符号化して送信波を生成することを特徴とする物体方位検出装置。
  5. 請求項1に記載した物体方位検出装置において、
    前記送信波生成手段は、送信信号を周囲の妨害波との相関が最大となる符号以外の符号または周囲の妨害波との相関が最小となる符号で符号化して送信波を生成することを特徴とする物体方位検出装置。
  6. 請求項4または5に記載した物体方位検出装置において、
    前記送信波生成手段は、送信信号をM系列、Gold符号または直交符号で符号化して送信波を生成することを特徴とする物体方位検出装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載した物体方位検出装置において、
    前記受信手段は、少なくとも4つの受信素子が格子状に配置され、
    前記位相差算出手段は、水平方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して前記相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出し、垂直方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して前記相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出し、
    前記方位算出手段は、前記位相差算出手段が算出した水平方向に配置された受信素子同士の位相差、当該水平方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の水平方向の方位を算出し、前記位相差算出手段が算出した垂直方向に配置された受信素子同士の位相差、当該垂直方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の垂直方向の方位を算出することを特徴とする物体方位検出装置。
  8. 請求項1ないし6のいずれかに記載した物体方位検出装置において、
    前記受信手段は、少なくとも3つの受信素子が三角形状に配置され、
    前記位相差算出手段は、水平方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して前記相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出し、垂直方向に配置された各受信素子が受信した各反射波に対して前記相関検出手段が検出した相関値同士の位相差を算出し、
    前記方位算出手段は、前記位相差算出手段が算出した水平方向に配置された受信素子同士の位相差、当該水平方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の水平方向の方位を算出し、前記位相差算出手段が算出した垂直方向に配置された受信素子同士の位相差、当該垂直方向に配置された受信素子同士の間隔及び送信波の波長に基づいて物体の垂直方向の方位を算出することを特徴とする物体方位検出装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載した物体方位検出装置において、
    前記送信波生成手段は、送信波を超音波で生成することを特徴とする物体方位検出装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載した物体方位検出装置を複数備え、
    それら複数の物体方位検出装置において、各相関検出手段は、各送信波生成手段が送信波を生成する際に用いる符号の全てを用いて相関検出を行うことが可能であり、前記全ての符号のうちいずれかを用いて、各直交復調手段が生成した受信信号と前記送信信号との複素相関値を検出することを特徴とする物体方位検出システム。
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