JP2009120773A - 自動車用薄肉軽量エンジンカバー - Google Patents

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Abstract

【課題】リサイクル・ナイロン66を利用し、従来のエンジンカバー並の振動騒音低減効果、耐熱性及び機械的特性を保持しつつ、軽量薄肉化を図る。
【解決手段】このエンジンカバーは平均肉厚が2.0mm以下で、(a)銅系安定剤含有ナイロン66製自動車エアバック繊維の端材及び使用済み回収品の少なくとも一方を必須成分とするポリアミド樹脂、(b)変性ポリプロピレン樹脂、(c)強化材、(d)金属不活性剤及び光・熱安定剤、並びに(e)粘度調整剤を含有する樹脂組成物からなる。質量比で(a)/(b)/(c)=45〜80/15〜35/5〜20である。樹脂組成物は、成分(a)〜(c)の総量を100質量部としたとき、成分(d)を0.005〜10質量部、成分(e)を0.05〜10質量部含む。樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が40g/10分以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は自動車用薄肉軽量エンジンカバーに関する。
近年の自動車用エンジンには、一般に、シリンダヘッドカバー上部にエンジンカバーが設けられている。エンジンカバーの主な役割は、エンジンからの放射音を低減させることである。なお、エンジンカバーには、エンジンを視覚的に遮ってエンジンルーム内の意匠性を高めるという役割もある。
この放射音低減の役割を果たすエンジンカバーには、シリンダーヘッド上の雰囲気で使用可能な耐熱性、高振動に耐える剛性や機械的特性が求められる。このため、エンジンカバー用硬質樹脂として、従来、ガラス繊維や無機フィラーで強化されたポリアミド6やポリアミド66等のポリアミド樹脂が用いられていた。また、エンジンカバーの平均肉厚は2.5〜3.0mm程度と厚くされていた。
ところで、近年、自動車には環境適性が求められるようになってきている。このため、エンジン周辺部品としてのエンジンカバーにおいては、カバーとしての本来の機能を維持しつつ、環境適性を配慮して、リサイクル樹脂材料を使用するとともに軽量化することが急務となっている。エンジンカバーにおいて、リサイクル樹脂材料の使用や軽量化が図られれば、資源の有効活用や低燃費化が達成される。
軽量化を図ったエンジンカバーとしては、ポリアミド樹脂に2質量%程度の膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層を分子レベルで分散させてなる低充填強化ポリアミド複合材料を用いたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、このポリアミド複合材料では、通常使用下のみならず、特に低温での耐衝撃性が不足している。また、この複合材料はポリアミドを主成分とする低充填強化ポリアミドである。このため、このポリアミド複合材料では、ポリアミド特有の高吸湿性が発現されてしまい、飽和吸水率が高くなる。その結果、エンジンルーム内での実使用環境下において、この材料は高吸水状態となる。そのため、このポリアミド複合材料よりなるエンジンカバーでは、機械的強度や弾性率が大幅に低下して、本来カバーに求められる剛性が不足し、機能面で問題となることが多い。
また、低比重化と低吸水性を達成できる樹脂組成物として、ポリオレフィン系共重合体を混合したポリアミド樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。
そこで、このポリアミド樹脂組成物をエンジンカバーに適用することが考えられる。しかし、このポリアミド樹脂組成物をエンジンカバーに適用した場合における軽量化効果は、樹脂の比重低減分のみである。また、このポリアミド樹脂組成物をエンジンカバーに適用しようとすると、ポリオレフィン系共重合体の混合による影響で、エンジンカバー形状の金型への射出成形性(充填性)が不足するため、薄肉化した製品形状に成形することが困難となる。
なお、特許文献4、5には、ポリアミドとポリオレフィンとのポリマーアロイからなるエンジンカバーが開示されている。しかし、これらの文献には、軽量化のためにエンジンカバーを薄肉化することや、そのための工夫、改良については何等記載されていない。
特開2007−31484号公報 特開平11−132102号公報 特許第2794943号公報 特許第3887354号公報 特開2000−17169号公報
一方、本発明者らは、エンジンカバーの軽量化を図るべく、エンジンカバーの機能を損なわずに低比重化できるポリアミド組成物の検討を独自に試みてきた。同時に、エンジンカバーの軽量化効果を大きくするため、カバーの薄肉化形状も検討し、エンジンカバーの機械特性を損なわない補強形状も精査してきた。しかし、検討してきたポリアミド材料は、薄肉形状金型へ充填性が不足しており、更なる改善の余地が残っていた。
また、資源の有効活用による環境適性に配慮して、リサイクル材料を利用した低比重ポリアミド樹脂組成物の設計においても課題が残っていた。
そこで、本発明者らは、さらにナイロン66製自動車用エアバック繊維を回収しペレット化したものを再利用することについて検討した。しかし、このナイロン66は元々高い分子量を有し、溶融粘度が高く、射出成形での流動性が不足して金型への充填性が乏しい。また、エアバック用ナイロン66には、高耐熱老化性を発現させるために、銅系の安定剤が含まれている。この銅系安定剤は、ナイロン66の耐熱老化性向上の点では、非常に高い効果を発現するが、ナイロン66とポリオレフィン系共重合体との混合物においては、ポリオレフィン系共重合体を害する。このため、ナイロン66とポリオレフィン系共重合体との混合物からなる樹脂成形体を、例えば150℃下で長時間保持すると、樹脂成形体全体が熱劣化して、機械的物性が低下するとともに、外観白化する。
したがって、リサイクル・ナイロン66をエンジンカバー用樹脂組成物に利用するには、リサイクル・ナイロン66中に含まれる銅系安定剤を不活性化することが課題となっていた。また、リサイクル・ナイロン66を含む樹脂組成物から薄肉のエンジンカバーを成形するには、溶融樹脂の金型への充填性を向上させることが課題となっていた。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、リサイクル・ナイロン66を利用しても、従来のエンジンカバー並の放射音低減効果、耐熱性及び機械的特性を保持しつつ、軽量薄肉化を図ることができ、しかも実使用環境下での経時的な剛性低下や外観不良を改良できる薄肉軽量エンジンカバーを提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、銅系安定剤を含んだナイロン66製自動車エアバック繊維の端材及び使用済み回収品の少なくとも一方を必須成分とするポリアミド樹脂、変性ポリプロピレン樹脂及び強化材を含む樹脂組成物が、平均肉厚2.0mm以下の薄肉形状の成形を可能とし、150℃の熱変色性に優れることを見出し、自動車用薄肉軽量エンジンカバーの発明に至った。
(1)すなわち、本発明の自動車用薄肉軽量エンジンカバーは、
(a)銅系安定剤を含んだナイロン66製自動車エアバック繊維の端材及び使用済み回収品の少なくとも一方を必須成分とするポリアミド樹脂
(b)結晶性ポリプロピレン樹脂に対して不飽和カルボン酸又はその誘導体がグラフト共重合されてなる変性ポリプロピレン樹脂
(c)強化材
(d)金属不活性剤及び光・熱安定剤、並びに
(e)粘度調整剤
を含有する樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物における前記成分(a)〜(c)の配合比が、質量比で、(a)/(b)/(c)=45〜80/15〜35/5〜20であり、前記樹脂組成物は、前記成分(a)〜(c)の総量を100質量部としたとき、前記成分(d)を0.005〜10質量部、前記成分(e)を0.05〜10質量部含み、昇温速度20℃/分にて示差走査熱量測定(DSC)により得られた融点のうち前記成分(a)の融点+10℃の温度下で荷重2160gにて測定した、前記樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が40g/10分以上であり、平均肉厚が2.0mm以下であることを特徴とする。
本発明の自動車用薄肉軽量エンジンカバーでは、前記樹脂組成物が前記成分(a)〜(e)を所定の配合比で含むことから、銅系安定剤を含んだナイロン66製自動車エアバック繊維の端材や使用済み回収品を利用するにもかかわらず、後述する実施例で示すように、従来のエンジンカバー並の放射音低減効果、耐熱性及び機械的特性を保持しつつ、平均肉厚が2.0mm以下という軽量薄肉化を図ることができ、しかも実使用環境下での経時的な剛性低下や外観不良を改良することができる。
前記ナイロン66製自動車エアバック繊維の端材とは、ナイロン66製自動車エアバックを製造する際に余るナイロン66繊維の残りの部分をいう。
(2)前記構成(1)において、前記金属不活性剤が、サリチル酸誘導体、ヒドラジン誘導体、シュウ酸誘導体及びジアミン系誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種及び/又は2種以上が複合化してなる複合体であることが好ましく、また、前記光・熱安定剤が、ヒンダートフェノール系安定剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール系安定剤、ベンゾフェノン系安定剤及びアミン系安定剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(3)前記構成(1)又は(2)において、前記粘度調整剤が、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族系ジカルボン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(4)前記構成(1)乃至(3)のいずれか一つにおいて、前記強化材が板状無機フィラー及び繊維状強化材であることが好ましい。
(5)前記構成(4)において、前記板状無機フィラー及び前記繊維状強化材の配合比が、質量比で、板状無機フィラー/繊維状強化材=35〜65/35〜65であることが好ましい。
(6)前記構成(1)乃至(5)のいずれか一つにおいて、相対湿度65%平衡吸水時の曲げ弾性率が2.5GPa以上であることが好ましい。
(7)前記構成(1)乃至(6)のいずれか一つにおいて、相対湿度65%平衡吸水率が2.5%以下であることが好ましい。
したがって、本発明の自動車用薄肉軽量エンジンカバーによれば、リサイクル・ナイロン66等の利用により資源の有効活用を図ることができ、またエンジンカバーの薄肉軽量化により自動車の低燃費化にも貢献することができる。
本発明の自動車用薄肉軽量エンジンカバーは、平均肉厚が2.0mm以下であり、(a)銅系安定剤を含んだナイロン66製自動車エアバック繊維の端材及び使用済み回収品のうちの少なくとも一方を必須成分とするポリアミド樹脂、(b)結晶性ポリプロピレン樹脂に対して不飽和カルボン酸又はその誘導体がグラフト共重合されてなる変性ポリプロピレン樹脂、(c)強化材、(d)金属不活性剤及び光・熱安定剤、並びに(e)粘度調整剤を含有する樹脂組成物からなる。
前記成分(a)としてのポリアミド樹脂は、銅系安定剤を含んだナイロン66製自動車エアバック繊維の端材及び使用済み回収品のうちの少なくとも一方(以下、ナイロン66製自動車エアバック繊維の端材及び使用済み回収品のうちの少なくとも一方のことを適宜「リサイクル・ナイロン66」と称する。)を必須成分とする。
リサイクル・ナイロン66に含まれる銅系安定剤としては、例えば、ヨウ化第1(第2)銅、塩化第1(第2)銅及び酢酸第1(第2)銅等のハロゲン化銅化合物が挙げられる。さらに、上記ハロゲン化銅化合物は、ハロゲン化銅と、2−メルカプトベンズイミダゾールや2−メルカプトベンズチアゾールなどの化合物との錯体として使用されるものでもよい。
ポリアミド樹脂は、必要に応じて、以下に挙げられるポリアミドを含むものである。すなわち、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2・2・4−または2・4・4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1・3−または1・4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−キシリレンジアミンのような脂肪族、脂環族や芳香族等のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸やイソフタル酸のような脂肪族、脂環族や芳香族等のジカルボン酸とから製造されるポリアミド樹脂、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸や12−アミノドデカン酸のようなアミノカルボン酸から製造されるポリアミド樹脂、ε−カプロラクタムやω−ドデカラクタムのようなラクタムから製造されるポリアミド樹脂およびこれらの成分からなる共重合ポリアミド樹脂、およびこれらポリアミド樹脂の混合物等が例示されるが、これに限定されるものではない。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリドデカノアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6・6)、ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ナイロン6・9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン6・12)、ポリキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリフエニレンフタラミド、ナイロン6/6・6、ポリ(キシリレンアジパミド/ヘキサメチレンアジパミド)等が挙げられる。このうち好ましいポリアミド組成物は、質量比で、リサイクル・ナイロン66/ナイロン6=10〜90/10〜90であり、より好ましくは、リサイクル・ナイロン66/ナイロン6=30〜70/30〜70であり、さらに好ましくは、リサイクル・ナイロン66/ナイロン6=40〜60/40〜60である。なお、リサイクル・ナイロン66以外の成分についても、使用済み回収品を用いることができる。
前記成分(a)のポリアミド樹脂としては、エンジンカバーの耐熱性を考慮すると、昇温速度20℃/分にて示差走査熱量測定(DSC)により得られた融点が200℃以上のものが好ましい。また、ポリアミド樹脂の分子量も特に制限はなく、通常、相対粘度(JIS K 6810−1970に準じ98%硫酸中で測定)が1.8以上のポリアミド樹脂が用いられるが、エンジンカバーで要求される機械的物性から2.2以上のものが特に好ましい。ポリアミド樹脂は成形性を損なわない範囲で分岐剤を共重合したものも成形品によっては使用することができる。特に好ましいポリアミドは96%硫酸中1%溶液で測定した相対粘度が2.2〜3.5のものである。
前記成分(b)の調整に用いられるポリプロピレン樹脂としては、アイソタクチツク又はアタクチツクのいずれでも使用することができるが、アイソタクチツクが好ましい。また、固有粘度が2.0〜3.0の結晶性ポリプロピレン樹脂が好ましい。また、ホモポリマー以外にプロピレン成分を80モル%以上含む他のオレフインとのランダム又はブロツク共重合体も使用することができる。ポリプロピレン樹脂としては、ASTM D―1238−62T(230℃荷重、2160g)で求めたメルトフローレート(MFR)が0.2〜3.0g/10分であるものが好ましい。
前記成分(b)である変性ポリプロピレン樹脂を得るため、ポリプロピレン樹脂を変性(グラフト共重合)させる変性剤は、不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれ、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンド−ビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジツク酸)、メチル−エンドシス−ビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(メチルナジツク酸)等が例示できる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、上記の酸の酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステル等の反応性誘導体が挙げられる。具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が例示できる。これらの中で、不飽和ジカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸無水物が好適に用いられる。特に、マレイン酸、ナジツク酸、又はこれらの酸無水物が好適である。これらの変性剤は、好適には、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して0.05〜2.0質量部の範囲で用いられる。
ポリプロピレン樹脂に変性剤を反応させる(グラフト共重合する)方法は、特に限定されないが、得られる変性ポリプロピレン樹脂中にゲルなどが含まれないようにすることが望ましい。また、流動性が低下すると加工性が悪くなるので望ましくない。具体的には、例えば、上記ポリプロピレン樹脂、変性剤、及びラジカル発生剤を配合し、溶融混練することによりグラフト反応が起こり、変性ポリプロピレン樹脂が得られる。ラジカル発生剤としては、公知の有機過酸化物又はジアゾ化合物が用いられ得る。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等を例示することができる。ラジカル発生剤の使用量は、ポリプロピレン樹脂に対して0.02〜0.5質量%が好ましい。
前記成分(c)としての強化材としては、板状無機フィラーと繊維状強化材とが併用されることが好ましい。板状無機フィラーの主なものとして、タルク、ワラストナイト、マイカ、シリカ、クレーや炭酸カルシウム等が挙げられ、これらを単独あるいは複合系で使用できる。軽量化と機械物性及び成形品外観のバランスを考慮すると、これらの中でもタルクが特に好ましい。また、繊維状強化材の主なものとして、ガラス繊維、炭素繊維やアラミド繊維等が挙げられ、これらを単独あるいは複合系で使用できる。
強化材における板状無機フィラー及び繊維状強化材の配合比は、質量比で、板状無機フィラー/繊維状強化材=35〜65/35〜65であることが好ましい。強化材における維状強化材の配合比が多すぎると、成形品のソリ変形性が高まり、少なすぎると、曲げ強度や曲げ弾性率などの向上効果が不足する。
前記樹脂組成物における前記成分(a)〜(c)の配合比は、質量比で、(a)/(b)/(c)=45〜80/15〜35/5〜20であるが、(a)/(b)/(c)
=50〜70/20〜30/10〜20であることが好ましい。(a)/(b)/(c)
=50〜70/20〜30/10〜20である場合のように、前記成分(b)の配合比が20以上になれば、相対湿度65%平衡吸水率(飽和水分率)が低くなって、実使用時(飽和吸水時)の曲げ弾性率や熱変形温度が高くなる。
前記樹脂組成物は、昇温速度20℃/分にて示差走査熱量測定(DSC)により得られた融点のうち(a)成分の融点+10℃下、荷重2160gにて測定したメルトフローレート(MFR)が40g/10分以上である。メルトフローレート(MFR)の上限は、好ましくは80g/10分であり、より好ましくは65g/10分であり、さらに好ましくは55g/10分である。このメルトフローレート(MFR)が小さすぎると射出成形時の金型充填性を確保することが困難となり、大きすぎると、流動性が高まりすぎて成形品のバリになり易いため生産上の問題となり、また耐衝撃強度も低下する。
前記成分(d)としての金属不活性剤及び光・熱安定剤は、リサイクル・ナイロン66中の銅系安定剤による変性ポリプロレンの熱劣化を防止するとともに、樹脂組成物全体の物性低下を防止するためのものである。
前記金属不活性剤は、サリチル酸誘導体、ヒドラジン誘導体、シュウ酸誘導体及びジアミン系誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種及び/又は2種以上が複合化してなる複合体であることが好ましい。
前記光・熱安定剤は、ヒンダートフェノール系安定剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール系安定剤、ベンゾフェノン系安定剤及びアミン系安定剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの金属不活性剤及び光・熱安定剤の好ましい組合せは、サリチル酸誘導体系金属不活性剤/ヒンダートフェノール系安定剤、ヒドラジン誘導体系金属不活性剤/ヒンダートフェノール系安定剤、シュウ酸誘導体金属不活性剤/ヒンダートフェノール系安定剤、ジアミン系誘導体金属不活性剤/ヒンダートフェノール系安定剤である。
また、金属不活性剤及び光・熱安定剤の総配合量は、前記成分(a)〜(c)の総量を100質量部としたとき、0.005〜10質量部であるが、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜3質量部である。
前記成分(e)としての粘度調整剤は、平均肉厚2.0mm以下の薄肉形状金型への溶融樹脂の充填性と得られたエンジンカバーの外観状態を向上させるためのものである。この粘度調整剤としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族系ジカルボン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
粘度調整剤の配合量は、前記成分(a)〜(c)の総量を100質量部としたとき、0.05〜10質量部であるが、好ましくは0.1〜3.0質量部であり、より好ましくは0.2〜1.0質量部である。また、この粘度調整剤としては、アジピン酸が最も好適に使用される。
前記樹脂組成物には、必要に応じてさらに各種の添加剤等を添加してもよい。この添加剤として、例えば、衝撃改良剤、熱老化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、その他の各種助剤が挙げられる。
以下、前記樹脂組成物から本発明の自動車用薄肉軽量エンジンカバーを成形する方法について、好ましい一例を説明する。
前記成分(a)〜(e)としてのポリアミド樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、強化材、金属不活性剤及び光・熱安定剤、並びに粘度調整剤を加熱下で混合する。なお、強化材、金属不活性剤及び光・熱安定剤、粘度調整剤、並びに必要に応じて添加される各種添加剤は、混合の初期段階、途中の段階、或いは最終段階のいずれで添加してもよい。また、ポリアミド樹脂と変性ポリプロピレン樹脂とを別々に溶融させ、両者を混合した後に、強化材、金属不活性剤及び光・熱安定剤、粘度調整剤、並びに必要に応じて添加される各種添加剤を添加してもよい。
上記混合は、従来の公知の装置を用いることができる。例えば、撹拌翼付き反応装置、一軸或いは二軸スクリユー押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキシングロール等の混練装置を、単独或いは組み合わせて使用することができる。加熱混合の温度は、ポリアミド樹脂の融点及び変性ポリプロピレン樹脂の融点のうち高い方の融点以上とすることが好ましい。
本発明の自動車用薄肉エンジンカバーの平均肉厚は2.0mm以下である。これにより、エンジンカバーを大きく軽量化することができる。ここに、このエンジンカバーの平均肉厚として、より好ましくは1.8mm以下である。なお、軽量化を図る観点からはエンジンカバーの平均肉厚は小さければ小さいほど好ましいが、平均肉厚を小さくすることには成形性や強度の面で限界があり、現在、平均肉厚の下限は1.5mmである。また、エンジンカバーの形状や大きさは特に限定されない。
本発明の自動車用薄肉エンジンカバーにおいて、相対湿度65%平衡吸水時の曲げ弾性率が2.5GPa以上であることが好ましく、より好ましくは3GPa以上である。この相対湿度65%平衡吸水時の曲げ弾性率が小さすぎると、エンジンルーム内での吸水などの実使用環境下において、機械的強度や弾性率が大幅に低下し、本来カバーに求められる剛性や諸機能を確保できない。
また、本発明の自動車用薄肉エンジンカバーにおいて、相対湿度65%平衡吸水率が2.5%以下であることが好ましく、より好ましくは2.3%以下であり、さらに好ましくは2.0%以下である。この相対湿度65%平衡吸水率が高すぎると、エンジンルーム内での吸水などの実使用環境下において、機械的強度や弾性率が大幅に低下し、本来カバーに求められる剛性や諸機能を確保できない。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1〜5、比較例1〜8)
以下の成分(a)〜(e)を準備した。
<成分(a):ポリアミド樹脂>
エアバック端材をリサイクルしたナイロン66(銅イオンを60ppm含む):TR−001TG(東洋紡績社製、相対粘度3.3)
ナイロン6:T−800(東洋紡績社製、相対粘度2.5)
<成分(b):変性ポリプロピレン樹脂>
無水マレイン酸変性のポリプロピレン:MMP−006(プライムポリマー社製)
<成分(c):強化材>
タルク:ミクロン406(林化成社製)
マイカ:タカラマイカM101(白石カルシウム社製)
ガラス繊維:03MAFT2A(オーウェンスコーニング社製)
<成分(d):金属不活性剤及び光・熱安定剤>
金属不活性剤:サリチル酸誘導体 アデカスタブ CDA−1(株式会社ADEKA社製)
金属不活性剤:アデカスタブ ZS−27 (株式会社ADEKA社製)
金属不活性剤:ヒドラジン系誘導体 イルガノックス MD1024(チバスペシャリティケミカルズ社製)
金属不活性剤:シュウ酸系誘導体 Naugard XL−1 (Naugard Chemicals社製)
金属不活性剤:ノクラックWhite(大内新興化学工業社製)
光・熱安定剤:ヒンダートフェノール系安定剤 イルガノックスB1171(チバスペシャリティケミカルズ社製)
<成分(e):粘度調整剤>
アジピン酸(ナカライテスク社製、試薬)
そして、前記成分(a)〜(e)を、実施例1〜5については下記表1に示される配合比率で、比較例1〜8については下記表2に示される配合比率で計量して、二軸スクリュー押出機内で溶融混練した。なお、表1及び表2において、前記成分(a)〜(c)の値は、質量比で、前記成分(a)〜(c)の総量を100とした場合の配合比である。また、表1及び表2において、成分(d)及び(e)の値は、前記成分(a)〜(c)の総量を100質量部としたときの質量部である。
この溶融混練は、35φ二軸押出機(東芝機械社製)を用い、シリンダ温度を260〜290℃の範囲に設定し、スクリュー回転数100rpm、吐出量18Kg/時間の条件で行った。また、ガラス繊維以外の原料はあらかじめ混合してメインホッパーから投入し、ガラス繊維はベント口からサイドフィードで投入した。
Figure 2009120773
Figure 2009120773
得られたポリアミド系樹脂組成物のペレットは射出成形機でそれぞれの評価試料(テストピース)を成形した。このテストピース作製時の成形条件では、下記表3、表4の実施例、比較例中のMFR測定と同じシリンダ温度設定とし、金型温度は共通の70℃とした。
得られた実施例1〜5、比較例1〜8の各テストピースについて、下記表3及び表4で示される各特性、物性値を下記の試験方法で測定した。
(1)曲げ弾性率
曲げ弾性率はISO−178に準拠して測定した。
(2)融点
融点の測定には示差走査型熱量計(DSC)を用いた。この測定では、各サンプルを水分率0.03%以下の乾燥状態でDSC装置に封入して、水分による変動を防止した。そして、窒素気流下で20℃/分の昇温速度にて300℃まで昇温し、300℃まで昇温したときの結晶の融解に起因して発現する吸熱ピークを測定し、そのピークトップを融点とした。
(3)メルトフローレート(MFR)
メルトフローレート(MFR)の測定は、JIS K−7210に準拠する。すなわち、成分(a)の融点プラス10℃の温度において荷重2160grをかけ、10分間で流動した樹脂量(gr)を測定した。このとき、各サンプルは水分率0.03%以下の乾燥状態で装置に装入し、水分によるMFRの変動を防止した。
(4)熱変形温度
熱変形温度の測定はJIS K−7210に準拠し、荷重条件は0.46MPa、昇温速度2℃/分とした。
(5)比重
比重の測定は、ASTM D−792に準拠する。測定サンプルには射出成形品の切り出し片を用い、エタノール中で測定を実施した。
(6)飽和水分率
飽和水分率は、相対湿度65%の時の平衡吸水率(相対湿度65%平衡吸水率)を測定した。この測定では、曲げ試験に用いるテストピースを、50℃・相対湿度65%の恒温・恒湿槽中に、初期質量からの質量変化が一定となるまで放置し、吸水率を質量増分から算出した。
(7)実使用時の曲げ弾性率
実使用時の曲げ弾性率(相対湿度65%平衡吸水時の曲げ弾性率)は、飽和水分率の測定と同様の方法で吸湿させたテストピースを用いて、初期と同様の条件にて曲げ試験を行い、求めた。
(8)材料物性
<曲げ弾性率保持率>
前記(1)の測定で準備したテストピースを前記(6)の条件で保管し、前記(7)の方法で実使用時の曲げ弾性率を測定した。この結果から曲げ弾性率の初期特性の保持率を下記の式により求め、下記の評価基準で評価した。
曲げ弾性保持率={[(初期の曲げ弾性率)―(各実使用時の曲げ弾性率)]/
(初期の曲げ弾性率)}×100(%)
○:保持率60%以上
×:保持率60%未満
(9)エンジンカバーの成形性
前記樹脂組成物から図1に示すエンジンカバー1を射出成形した。このエンジンカバー1は、板厚がほぼ均一な略平板状で略矩形状を呈し、4隅の裏面に内部が中空とされた取付部11を有している。各取付部11の下端面には貫通孔が設けられ、この貫通孔に弾性部材2が嵌合保持されている。この弾性部材2は、下端面に開口し、開口径よりも大きな内方拡径部をもつ取付孔21を有している。かかるエンジンカバー1は、図2の部分拡大断面図に示されるように、弾性部材2の取付孔21内に、エンジンカバー3の4隅に突設された被取付部31が圧入保持されることで、エンジンカバー3に取り付けられる。
このエンジンカバー1の射出成形においては、エンジンカバー形状の金型に対して、表3の実施例、表4の比較例中のMFR測定と同じシリンダ温度設定にて射出成形し、このときの充填圧力、および外観観察を行い、下記の規準で評価した。また、実施例1〜5及び比較例4〜8については、エンジンカバー1の平均肉厚を1.8mmとし、比較例1〜3については、エンジンカバー1の平均肉厚を2.5mmとした。
充填性の評価基準
○:射出圧力80MPa未満
×:射出圧力80MPa以上
外観の評価基準
○:色相・外観問題なし
×:ヒケ・シボムラ等あり
(10)エンジンカバー軽量化
表3の実施例、表4の比較例中のエンジンカバーのうち、比較例1(樹脂の比重:1.41、平均肉厚2.5mm)のエンジンカバー質量を規準として、その軽量化率を下記の式の通り求め、評価した。
軽量化率={[(比較例1のエンジンカバーの質量―各エンジンカバーの質量)]/
(比較例1のエンジンカバー質量)}×100(%)
◎:軽量化率30%以上
○:軽量化率25%以上かつ30%未満
×:軽量化率25%未満
(11)エンジンカバーの機能
<実使用時の曲げ弾性率>
前記(9)と同様に成形したエンジンカバーを実使用時(飽和水分率時:相対湿度65%の時の平衡吸水率)環境下で保管し、このカバーからの試験片を任意に5つ切出し、n=5にて曲げ弾性率を測定し、下記の規準にて評価した。
○:切出し試験片の5つの曲げ弾性率平均値が2.5GPa以上
×:切出し試験片の5つの曲げ弾性率平均値が2.5GPa未満
<実使用時の熱変形温度>
前記(9)と同様に成形したエンジンカバーを実使用時(飽和水分率時:相対湿度65%の時の平衡吸水率)環境下で保管し、このカバーからの試験片を任意に5つ切出し、n=5にて、JIS K−7207に準拠した荷重条件0.46MPa、昇温速度2℃/分で実施し、下記の規準にて評価した。
◎:180℃以上
○:170℃以上かつ180℃未満
×:170℃未満
<エンジンカバーの耐熱老化性>
前記(9)と同様のエンジンカバーの形状に対して、各実施例・比較例の樹脂組成物100質量部に対して、カーボンブラック1.5質量部を配合し、射出成形により黒色のエンジンカバーを得た。このカバーを150℃下に360h保管した。このときのカバーの外観状態、および変形・黒色からの変色状態について、以下の規準で評価した。
○:カバーのソリ・変形が3.0mm未満であり、黒色からの変色なし
×:カバーのソリ・変形が3.0mm以上であり、白色に変色した部分が発生
(12)総合判定
表1及び表4の材料評価、成形性、エンジンカバー軽量化、エンジンカバー機能に関する評価項目に対して、全て◎又は○である場合、総合判定は○、一つの項目でも×が在る場合は、総合判定は×とした。
なお、各評価基準を表5にまとめて示す。
Figure 2009120773
Figure 2009120773
Figure 2009120773
表3及び表4から分かるように、実施例1〜5はいずれも、低比重材料を用いており、この材料の飽和吸水時の曲げ弾性率の保持率が高かった。また、平均肉厚1.8mmの薄肉形状においても、射出成形時の充填性が良好で、製品外観も良好であった。この製品は、低比重材料を用いた薄肉形状であるため、エンジンカバーとしての軽量化が大きく達成できていた。エンジンカバーの機能についても、実使用時(=50℃×相対湿度65%保管の平衡吸水率)における曲げ弾性保持率が高く、カバー剛性が高かった。このエンジンカバーは、熱変形温度が高く、また150℃下保存時の耐熱老化性も良好であった。さらには、エンジンの振動にも耐え得る耐衝撃特性が良好であり、これらの観点で非常にバランスが良かった。
特に、前記成分(a)〜(c)の配合比が、質量比で、(a)/(b)/(c)=50〜70/20〜30/10〜20であり、前記成分(b)の配合比が20以上となっている実施例1、2及び5については、相対湿度65%平衡吸水率(飽和水分率)が1.8と低くなって、実使用時(飽和吸水時)の曲げ弾性率が2.8GPa以上、熱変形温度180℃以上と高くなった。
一方、比較例1は、リサイクル・ナイロン66を含んでいないこと、変性ポリプロピレン樹脂を含んでいないこと、およびエンジンカバーの厚みが2.0mmを超えていることから本発明の範囲外であり、材料比重が高いため、エンジンカバーが重かった。また、曲げ弾性保持率及び外観の評価も悪かった。
比較例2は、エンジンカバーの厚みが2.0mmを超えていることから、本発明の範囲外であり、曲げ弾性保持率、軽量化率及び外観の評価が悪かった。
比較例3は、リサイクル・ナイロン66、変性ポリプロピレン樹脂を含んでいないこと、強化材(c)の比率、およびエンジンカバーの厚みが2.0mmを超えていることから本発明の範囲外であり、曲げ弾性保持率、軽量化率及び外観の評価が悪かった。
比較例4は、リサイクル・ナイロン66を含んでいないこと、変性ポリプロピレン樹脂を含んでいないことから本発明の範囲外であり、MFRが小さいため、射出成形時の充填製、外観が悪いエンジンカバーとなった。また、曲げ弾性保持率の評価も悪かった。
比較例5は、金属不活性剤を含んでいない為、本発明の範囲外であり、150℃保管後、樹脂組成物が熱劣化し、エンジンカバーが白化した。
比較例6は、粘度調整剤を含んでいない為、本発明の範囲外であり、MFRが40g/10分未満となって本発明の範囲外であり、射出成形時の充填性が悪くなり、外観が悪化した。
比較例7は、リサイクル・ナイロン66を含んでいないため、本発明の範囲外であり、飽和吸水している実使用時の熱変形温度が低い為、150℃保管後の変形が大きく、エンジンカバーとして不適切であった。
比較例8は、(a)/(b)/(c)の配合比が本発明の範囲外であり、実使用時の飽和吸水している実使用時の熱変形温度が低い為、150℃保管後の変形が大きく、エンジンカバーとして不適切であった。また、曲げ弾性保持率の評価も悪かった。
<シャルピー衝撃強度>
さらに、得られた実施例1〜5の各テストピースについて、ISO−179に準拠して、シャルピー衝撃強度を測定した。下記表6に実施例1〜5のシャルピー衝撃強度(KJ/m)(ノッチ入り)を示す。
Figure 2009120773
表6からわかるように、前記メルトフローレート(MFR)65g/10分を超える実施例3及び4では、シャルピー衝撃強度が3.5kJ/mであったのに対し、前記メルトフローレート(MFR)55g/10分以下である実施例1、2及び5では、シャルピー衝撃強度が3.7kJ/mであった。これにより、メルトフローレート(MFR)の値が55g/10分以下となれば、初期の樹脂特性としての耐衝撃性が向上することがわかる。
本発明の実施例で成形したエンジンカバーの斜視図である。 上記エンジンカバーのシリンダヘッドカバーへの取付状態を示す部分断面図である。
符号の説明
1…エンジンカバー 3…シリンダヘッドカバー

Claims (7)

  1. (a)銅系安定剤を含んだナイロン66製自動車エアバック繊維の端材及び使用済み回収品の少なくとも一方を必須成分とするポリアミド樹脂
    (b)結晶性ポリプロピレン樹脂に対して不飽和カルボン酸又はその誘導体がグラフト共重合されてなる変性ポリプロピレン樹脂
    (c)強化材
    (d)金属不活性剤及び光・熱安定剤、並びに
    (e)粘度調整剤
    を含有する樹脂組成物からなり、
    前記樹脂組成物における前記成分(a)〜(c)の配合比が、質量比で、(a)/(b)/(c)=45〜80/15〜35/5〜20であり、
    前記樹脂組成物は、前記成分(a)〜(c)の総量を100質量部としたとき、前記成分(d)を0.005〜10質量部、前記成分(e)を0.05〜10質量部含み、
    昇温速度20℃/分にて示差走査熱量測定(DSC)により得られた融点のうち前記成分(a)の融点+10℃の温度下で荷重2160gにて測定した、前記樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が40g/10分以上であり、
    平均肉厚が2.0mm以下であることを特徴とする自動車用薄肉軽量エンジンカバー。
  2. 前記金属不活性剤が、サリチル酸誘導体、ヒドラジン誘導体、シュウ酸誘導体及びジアミン系誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種及び/又は2種以上が複合化してなる複合体であり、
    前記光・熱安定剤が、ヒンダートフェノール系安定剤、リン系安定剤、ベンゾトリアゾール系安定剤、ベンゾフェノン系安定剤及びアミン系安定剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用薄肉軽量エンジンカバー。
  3. 前記粘度調整剤が、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族系ジカルボン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用薄肉軽量エンジンカバー。
  4. 前記強化材が板状無機フィラー及び繊維状強化材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車用薄肉軽量エンジンカバー。
  5. 前記板状無機フィラー及び前記繊維状強化材の配合比が、質量比で、板状無機フィラー/繊維状強化材=35〜65/35〜65であることを特徴とする請求項4に記載の自動車用薄肉軽量エンジンカバー。
  6. 相対湿度65%平衡吸水時の曲げ弾性率が2.5GPa以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車用薄肉軽量エンジンカバー。
  7. 相対湿度65%平衡吸水率が2.5%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の自動車用薄肉軽量エンジンカバー。
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