JPH0959438A - ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物

Info

Publication number
JPH0959438A
JPH0959438A JP21776895A JP21776895A JPH0959438A JP H0959438 A JPH0959438 A JP H0959438A JP 21776895 A JP21776895 A JP 21776895A JP 21776895 A JP21776895 A JP 21776895A JP H0959438 A JPH0959438 A JP H0959438A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
resin composition
polyamide
polyolefin
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP21776895A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3243978B2 (ja
Inventor
Yukihiko Asano
之彦 浅野
Kazuhiro Doi
一弘 土井
Kiyoshi Tsurusawa
清 鶴澤
Yutaka Matsutomi
豊 松富
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP21776895A priority Critical patent/JP3243978B2/ja
Publication of JPH0959438A publication Critical patent/JPH0959438A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3243978B2 publication Critical patent/JP3243978B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、樹脂組成物全体に対して、ポリア
ミド(A)30〜80重量%、変性ポリオレフィン
(B)5〜50重量%、および、未変性ポリオレフィン
(C)5〜65重量%からなり、成分(A)がマトリッ
クス相を形成し、ポリオレフィン相がコア−シェル型粒
子構造の分散相を呈する樹脂組成物であって、成分
(B)がα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体で
変性された結晶性ポリプロピレン系樹脂であり、成分
(C)が引張弾性率200MPa以下の未変性エチレン
・α−オレフィン共重合体と、未変性結晶性ポリプロピ
レン系樹脂とからなるポリアミド−ポリオレフィン樹脂
組成物に関する。 【効果】 本発明の樹脂組成物は、低吸水性、寸法安定
性、軽量性や、剛性、靱性などの機械的特性および成形
加工性に優れ、かつその射出成形品がウェルド強度に優
れるものであり、機械部品、自動車部品、電気・電子部
品などの広い分野、好適には自動車用電装部品に使用さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアミド樹脂とポリ
オレフィン樹脂とからなる低吸水性、寸法安定性、剛
性、靱性および成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物、特
にポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物に関する。本
発明の熱可塑性樹脂組成物は、機械部品、自動車部品、
電気・電子部品など広い分野に使用できる。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】ポリアミド樹脂は、機
械的特性、耐熱性、耐薬品性および成形性をバランスよ
く備えているため、電気・電子部品および自動車部品な
どに広く用いられている。しかしながら、ポリアミド樹
脂は、吸湿性であるため、吸湿により寸法変化および曲
げ強さ、弾性率などの機械的性質の大きな低下を来た
し、寸法精度が必要とされる部品などには、その使用範
囲を大きく制約されることが多い状況にあり、その改善
が望まれている。
【0003】一方、ポリプロピレン樹脂は、軽量性およ
び低吸水性であり、成形時の流動性に優れ、かつ、低価
格であることから自動車部品および電気部品に多く用い
られている。しかしながら、耐熱性、強度および剛性が
不十分なこと、さらに結晶性に起因する成形時の収縮率
が大きく成形品の寸法精度に劣るため、その使用範囲が
制約されている。
【0004】そこで従来、ポリアミド樹脂の吸水による
寸法変化を改善するために、ポリアミド主鎖に芳香族の
ジカルボン酸あるいはジアミン、あるいはそれらの塩か
らなるモノマー単位を共重合により導入する方法、ある
いは、低吸水性のポリマーをブレンドする方法などが開
示されている。この場合、ブレンドに用いられる低吸水
性ポリマーとしては、不飽和カルボン酸またはその誘導
体で変性されたポリプロピレン、ポリエチレン、および
それらの共重合体からなる結晶性樹脂あるいはゴムが知
られている。
【0005】例えば、特公昭42−12546号公報に
は、ポリアミドが50〜99重量%と、不飽和カルボン
酸とオレフィンとの共重合体が50〜1重量%とからな
る相溶性の改善された熱可塑性樹脂組成物が開示されて
いる。これらの樹脂組成物は、機械的性質において特に
破断特性が優れているものの、開示されている樹脂組成
物では、低吸水性化と剛性および耐熱性との兼備が不十
分である。
【0006】特公昭45−30945号公報には、オレ
フィン系ポリマーと、ポリアミドおよび/またはポリエ
ステルと、酸、エステル、アミド、酸無水物およびエポ
キシ基の少なくとも1個で変性したポリオレフィンとか
らなる分散性の良好な繊維に適した樹脂組成物の製造方
法が開示されている。しかし、得られる樹脂組成物は、
射出成形品および押出成形品に適用した場合は、成形時
の収縮率が大きく、成形品の寸法精度に劣るとともに、
耐衝撃性が不十分であるなどの問題がある。
【0007】特公平5−70669号公報には、ポリア
ミドと変性エチレン・プロピレンブロックコポリマーと
からなる低吸水性化ポリアミド樹脂組成物が開示されて
いる。この樹脂組成物は、剛性および耐熱性を著しく損
なうことなくポリアミド樹脂の低吸水性化がある程度図
られているものの、低吸水性化のレベルは不十分な状況
にある。
【0008】特開昭62−223250号公報には、結
晶性ポリオレフィンを、ポリアミドおよび不飽和カルボ
ン酸誘導体と混練することにより得られる変性ポリオレ
フィンを、さらにポリアミドおよびポリオレフィンとと
もに混練することにより、低吸水性、引張り強さおよび
表面光沢に優れた樹脂組成物が開示されている。しかし
ながら、この樹脂組成物は、剛性と耐衝撃性の両立が不
十分な状況にある。
【0009】特公平5−8939号公報には、上記樹脂
組成物に、さらに、低結晶性エチレン・α−オレフィン
共重合体を加えてなる耐衝撃性に優れた樹脂組成物が開
示されている。しかしながら、この樹脂組成物では、吸
水性は改善されているものの剛性レベルが低く、低吸水
性と機械的性質の両立が不十分な状況にある。
【0010】特開平1−51458号公報には、ポリア
ミド樹脂と不飽和カルボン酸変性結晶性ポリプロピレン
と不飽和カルボン酸変性エチレン・α−オレフィン共重
合体とからなる、吸水時の寸法変化が小さく、剛性およ
び耐衝撃性の優れたポリアミド樹脂組成物が開示されて
いる。しかしながら、ポリアミド樹脂成分の多い組成物
では、機械的性質が優れているものの、吸水性の改善が
不十分であり、低吸水性化と機械的性質との両立は依然
として十分達成されているとは言えない。
【0011】特開昭64−87652号公報には、一部
変性した結晶性プロピレン・エチレンブロック共重合体
とポリアミド樹脂および変性エチレン・α−オレフィン
共重合体ゴムとからなる耐衝撃性の優れたポリプロピレ
ン樹脂組成物が開示されている。しかしながら、これら
は、ポリプロピレン樹脂をマトリックスとし、ポリアミ
ド樹脂を分散相とするものであり、ポリプロピレン樹脂
に比べて、耐熱性および機械的特性の向上が図られてい
るものの、ポリアミド樹脂の特性に対しては、大幅に剛
性および耐熱性が低下したものに留まっている。
【0012】特開平1−146942号公報には、不飽
和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性された変
性ポリオレフィン共重合体が40〜60重量%と、ポリ
アミド樹脂が60〜40重量%とよりなる組成物におい
て、メルトフローレート(MFR)が2.0g/10分
以下の比較的高分子量の変性ポリオレフィンを用いるこ
とにより、剛性、耐水性およびウェルド強度の優れた樹
脂組成物が得られることが開示されている。しかしなが
ら、この樹脂組成物では、耐衝撃性の改善効果が見られ
ず、成形収縮率が高く、成形における寸法安定性に乏し
いとともに、溶融流動性が十分でないという課題を残し
ている。
【0013】特開平3−91560号公報には、ポリア
ミド樹脂100重量部に対し、変性ポリオレフィン樹脂
1〜100重量部およびポリプロピレン樹脂5〜250
重量部からなるポリアミド樹脂と変性ポリオレフィン樹
脂とポリプロピレン樹脂との混合物に対して、有機耐熱
安定剤0.01〜3.0重量部および特定のカーボンブ
ラック0.1〜5.0重量部を配合してなる耐熱老化性
に優れたポリアミド樹脂組成物が開示されている。しか
しながら、この樹脂組成物では、耐衝撃性および成形時
寸法安定性が十分でないという課題を残している。
【0014】特開平3−109452号公報には、ポリ
プロピレンとポリアミドからなる成形材料において、成
形材料100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂10
〜89.9重量部、ポリアミド樹脂10〜89.9重量
部、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン0.1〜5重
量部、衝撃改良材0〜30重量部および強化材0〜60
重量部からなる樹脂組成物は、優れた靱性、剛性および
熱変形安定性を示すことが開示されている。しかしなが
ら、この樹脂組成物においても、成形時の溶融流動性や
軽量性が十分でなく、課題を残している。
【0015】特開平3−115342号公報には、ポリ
プロピレン94〜50重量%、変性ポリオレフィン1〜
40重量%およびポリアミド5〜40重量%からなり、
用いるポリアミドに対するポリプロピレンの溶融粘度比
が1以上であるポリプロピレン樹脂組成物が開示されて
いる。しかしながら、この樹脂組成物は、ポリプロピレ
ンに比べて耐熱性が改善されているものの、成形時の寸
法安定性、および、靱性の改善レベルが十分でない。
【0016】特開平3−146552号公報には、ポリ
アミド40〜80重量%、変性ポリオレフィン1〜40
重量%およびポリプロピレン20〜60重量%からなる
樹脂組成物において、成形温度における剪断速度350
0sec-1の溶融粘度比ηPP/ηPAを0.75以上とす
ることにより、優れた塗装性を示すことが開示されてい
る。しかしながら、この樹脂組成物においても、耐衝撃
性や成形時の寸法安定性が十分でない。
【0017】特開平3−207735号公報には、ポリ
アミド、ポリオレフィンおよび変性ポリオレフィンから
なる樹脂組成物において、引張降伏強度が300kg/
cm 2 以上の変性ポリオレフィンを用いることにより、
機械的特性、特にウェルド強度に優れた樹脂成形品が得
られることが開示されている。しかしながら、この樹脂
組成物においては、成形時の固化に伴う収縮率が大き
く、成形品の寸法安定性および靱性が不十分である。
【0018】特公昭55−44108号公報には、エチ
レン、カルボニル化合物、α、β−不飽和カルボン酸お
よびその誘導体、不飽和エポキシド、カルボン酸および
その誘導体、アクリル酸エステル、芳香族側鎖を有する
単量体、不飽和炭素−炭素単量体のうち、少なくとも1
個以上の残基を有するポリマーが、ポリアミドマトリッ
クス樹脂中で分離した粒子中に共存する多相熱可塑性樹
脂組成物が開示されている。しかしながら、この組成物
は、耐衝撃性および曲げ弾性率に優れる一方、低吸水性
化が不十分であり、機械的特性と吸水時寸法安定性との
兼備が実現されていない。
【0019】特公昭62−13379号公報には、エチ
レン系共重合体にα、β−不飽和カルボン酸またはその
誘導体を0.05〜1.5重量%グラフトさせた変性エ
チレン系共重合体とポリアミド樹脂とを、2/3:1〜
6:1の比で含んでなる柔軟性を有する熱可塑性樹脂組
成物が開示されている。しかしながら、この熱可塑性樹
脂組成物においては、柔軟性および耐衝撃性は改善され
ているものの、剛性および破断時の伸びにおける低下を
来たしている。
【0020】特公昭56−9943号公報には、不飽和
カルボン酸付加ポリオレフィン樹脂を含むポリオレフィ
ン樹脂と窒素含有樹脂および充填剤とからなる機械的強
度、耐熱性および塗装性に優れたポリオレフィン樹脂組
成物が開示されている。しかしながら、この樹脂組成物
は、曲げ強さ、熱変形温度および塗装性は改善されるも
のの、剛性、靱性、軽量性および寸法安定性の兼備に課
題を残している。
【0021】特開昭59−232135号公報には、変
性ポリオレフィン、ポリアミドおよび結晶性ポリオレフ
ィンからなり、オレフィン単位量が全体の70重量%以
上である染色性の優れたポリオレフィン樹脂組成物が開
示されている。しかしながら、このポリオレフィン樹脂
組成物は、ポリオレフィンを主成分とするものであるか
ら、射出成形品に適用された場合、強度、剛性、耐熱性
などの特性はポリオレフィンより改善されるものの、そ
の改善レベルはなお十分ではないといった課題を残して
いる。
【0022】特公昭63−53218号公報には、ポリ
アミド樹脂と変性ポリオレフィン樹脂とからなる機械的
特性および低吸水性を併せ有する樹脂組成物が開示され
ている。しかしながら、開示された樹脂組成物では、剛
性および低吸水性のバランスが必ずしも十分ではない。
【0023】特公昭64−421号公報には、ポリアミ
ドと、結晶化度40%以上のポリオレフィンと、結晶化
度35%以下のエチレン・α−オレフィン共重合体を
α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性した
変性ポリオレフィンとからなる樹脂組成物が開示されて
いる。この樹脂組成物では、耐衝撃性および外観が改善
されているものの、剛性と低吸水性のバランスが十分で
ない。
【0024】特公平2−42109号公報および特公平
2−42379号公報には、ポリプロピレン樹脂とポリ
アミド樹脂と変性プロピレン・α−オレフィン共重合体
を加えてなる剛性、耐衝撃性、光沢および耐熱性に優れ
たプロピレン重合体組成物が開示されている。しかしな
がら、開示された樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂を
マトリックスとするものであるから、曲げ弾性率で示さ
れる剛性は、ポリアミド樹脂のそれに比べかなり低いレ
ベルに留まるものになっている。
【0025】以上述べたように、従来公知のポリアミド
樹脂組成物においては、ポリアミド樹脂の有する機械的
強度、耐熱性および成形性と、ポリオレフィン樹脂の有
する軽量性および低吸水性とをバランスよく備えている
とはいえず、これらポリアミド樹脂の有する特性とポリ
オレフィン樹脂の有する特性とを兼ね備えているととも
に、さらに、両樹脂に不足している、成形時の低反り
性、寸法安定性および耐衝撃性を備えている、高度に特
性バランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が、さらに、求
められている。
【0026】本発明者らは、かかる状況に鑑み、特願平
6−171187号明細書において、ポリアミドと変性
ポリオレフィンと未変性ポリオレフィンからなり、ポリ
アミドが連続相を形成する一方、ポリオレフィン相(変
性ポリオレフィンおよび未変性ポリオレフィン)がコア
−シェル型粒子構造の分散相を呈し、かつ、変性ポリオ
レフィンがα、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体
で変性された、23℃における曲げ弾性率が1GPa以
上の結晶性ポリプロピレン系樹脂であるとともに、未変
性ポリオレフィンが23℃における引張弾性率が200
MPa以下であるエチレン・α−オレフィン共重合体で
ある樹脂組成物を、先に提案した。しかしながら、上記
提案に具体化された樹脂組成物は、射出成形品として用
いる用途によっては、ウェルド強度が十分でないことが
あった。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来公知の
ポリアミド樹脂組成物における上記問題点を解決した、
すなわち、ポリアミド樹脂の有する機械的強度、耐熱性
および成形性と、ポリオレフィン樹脂の有する軽量性お
よび低吸水性とをバランスよく備えるとともに、両樹脂
に不足している、成形時の低反り性、寸法安定性および
耐衝撃性を備え、さらにウェルド強度に優れた射出成形
品を与える熱可塑性樹脂組成物、特にポリアミド−ポリ
オレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹
脂と、特定の曲げ弾性率を有する、変性された結晶性ポ
リプロピレン系樹脂と、さらに、特定範囲の共重合組成
および特定の引張弾性率を有するエチレン・α−オレフ
ィン共重合体、および、特定の曲げ弾性率を有する結晶
性ポリプロピレン系樹脂の少なくとも2種以上の未変性
のポリオレフィン樹脂とを特定割合で配合することによ
り、上述の目的を満足する熱可塑性樹脂組成物が得られ
ることを見出し、本発明に到達した。
【0029】すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂
(A)、変性ポリオレフィン樹脂(B)および未変性ポ
リオレフィン樹脂(C)からなる樹脂組成物において、
該樹脂組成物全体に対して、ポリアミド樹脂(A)が3
0〜80重量%、変性ポリオレフィン樹脂(B)が5〜
50重量%、および、未変性ポリオレフィン樹脂(C)
が5〜65重量%(ただし、成分(A)と成分(B)と
成分(C)の合計は100重量%)からなり、かつ、変
性ポリオレフィン樹脂(B)が、α、β−不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体で変性された、23℃における曲
げ弾性率が1GPa以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂
であり、そして、未変性ポリオレフィン樹脂(C)が2
3℃における引張弾性率が200MPa以下であるエチ
レン・α−オレフィン共重合体成分(C1)と、23℃
における曲げ弾性率が1GPa以上の未変性の結晶性ポ
リプロピレン系樹脂(C2)からなることを特徴とする
ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物に関する。
【0030】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述した
ように、ポリアミド樹脂の有する機械的強度、耐熱性お
よび成形性と、ポリオレフィン樹脂の有する軽量性およ
び低吸水性とをバランスよく備えるとともに、両樹脂に
不足している、成形時の低反り性、寸法安定性および耐
衝撃性を備え、さらにウェルド強度に優れた射出成形品
を与えるポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物であ
る。
【0031】そこで、本発明において、前記課題を達成
する手段としては、熱可塑性ポリアミド樹脂(A)と、
前記特定の曲げ弾性率を有する、α、β−不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体で変性された結晶性ポリプロピレ
ン系樹脂(B)と、さらに、前記特定の引張弾性率を有
する未変性のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
(C1)と前記特定の曲げ弾性率を有する未変性の結晶
性ポリプロピレン系樹脂(C2)とを特定の割合で配合
してなる樹脂組成物において、前記熱可塑性ポリアミド
樹脂(A)を連続相(マトリックス相)と成す一方、前
記変性された結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)と、さ
らに、前記未変性のエチレン・α−オレフィン共重合体
ゴム(C1)および前記未変性の結晶性ポリプロピレン
系樹脂(C2)とからなるポリオレフィン樹脂成分は、
コア−シェル型の複合粒子分散相と成すことによるであ
る。
【0032】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の樹脂組成物に用いられる熱可塑性ポリアミド樹脂
(以下、単に「ポリアミド」という)(A)としては、
ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデ
カメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−
トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または
1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス
(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−
キシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族および芳香族
などのジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸などの脂肪族、脂環族および芳香族などのジカ
ルボン酸との重縮合によって得られるポリアミド、ε−
カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムか
ら得られるポリアミド、あるいは、これらのポリアミド
からなる共重合ポリアミドや、これらのポリアミドおよ
び/または共重合ポリアミドの混合物などが例示され
る。
【0033】具体的には、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイ
ロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/6
6、ナイロン66/610、ナイロン6/9、ナイロン
6/11、ナイロン6/12、ナイロン6/610、ナ
イロン6/612、ナイロン6/66/610、ナイロ
ン6/66/612、ナイロン6T(T:テレフタル酸
成分)、ナイロン6I(I:イソフタル酸成分)、ナイ
ロン6/6T、ナイロン6/6I、ナイロン66/6
T、ナイロン66/6Iなどが挙げられる。これらのう
ち成形性、機械的物性バランスおよびコストの点から
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロ
ン12、ナイロン6/66、ナイロン6T、ナイロン6
6/6Tなどの使用が好ましい。特に好ましくは、ナイ
ロン6、ナイロン66、および、これらの共重合体、な
らびにそれらの混合物である。また、前記成分(A)と
して用いるポリアミドの分子量としては、特に限定され
るものではないが、98%硫酸溶液中におけるポリマー
濃度1g/dlで測定された相対粘度が1.0以上、好
ましくは2.0〜4.0のものが望ましい。ポリアミド
の相対粘度が1.0以上、2.0未満では、最終的に得
られるポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物の機械的
強度が低下することがあり、1.0未満になると、この
ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度の
低下が顕著である。またポリアミドの相対粘度が4.0
を越えると、このポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成
物の溶融粘度が高くなり、成形性の低下などが生じるこ
とがある。
【0034】本発明の樹脂組成物の成分(B)として用
いられる変性ポリオレフィン樹脂(以下、単に「変性ポ
リオレフィン」という)は、α、β−不飽和カルボン酸
またはその誘導体で変性された結晶性ポリオレフィンで
あり、後述する曲げ弾性率が1GPa以上の結晶性ポリ
プロピレン系樹脂を、α、β−不飽和カルボン酸または
その誘導体で変性させたものである。ここで用いられる
α、β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタ
クリル酸、メチルメタクリル酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、フラン酸、ペンテン酸、ビニル酢酸、アンゲリ
カ酸などの一塩基性不飽和カルボン酸、マレイン酸、ク
ロロマレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イ
タコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、エンドシス−
ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジ
カルボン酸(商品名:ナジック酸)などの二塩基性不飽
和カルボン酸、クエン酸、アコニット酸などの三塩基性
不飽和カルボン酸などが挙げられる。また、α、β−不
飽和カルボン酸の誘導体としては、前記一塩基性、二塩
基性もしくは三塩基性不飽和カルボン酸の誘導体、例え
ば酸ハライド、アミド、イミド、無水物、塩(ナトリウ
ム塩や亜鉛塩など)およびエステルなどが挙げられる。
これら誘導体の具体例としては、塩化マレニル、アクリ
ルアミド、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−
メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラ
コン酸、エンドシス−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−
5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(商品名:無水
ナジック酸)、無水アコニット酸、アクリル酸ナトリウ
ム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸メチル、メタクリル酸
メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、
イタコン酸ジエチル、シトラコン酸ジブチル、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジグリシ
ジルマレエートなどが用いられる。これらα、β−不飽
和カルボン酸またはその誘導体の中でも、好ましいもの
は、アクリル酸、メタクリル酸、クエン酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ナジック
酸、およびこれらのナトリウム塩や亜鉛塩であり、特に
好ましいものは、無水マレイン酸および無水イタコン酸
である。
【0035】変性ポリオレフィン(B)中における、上
記α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体の含有量
は、0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%
が特に好ましい。α、β−不飽和カルボン酸またはその
誘導体の含有量が0.05重量%より低すぎると、ポリ
アミドとポリオレフィン相の密着性が不十分であり、得
られる樹脂組成物の組織構造が不安定になるとともに、
機械的強度が低くなるので好ましくない。また、5重量
%よりも高すぎると、得られる樹脂組成物において溶融
流動性の低下を来たすので好ましくない。ポリオレフィ
ン、すなわち、後述する曲げ弾性率が1GPa以上の結
晶性ポリプロピレン系樹脂の変性方法としては、特に制
限されるものではなく、例えば、該ポリオレフィンの溶
融状態あるいは溶液状態において、該ポリオレフィンと
上記α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラ
ジカル開始剤とともに加熱攪拌する方法など、公知の方
法を用いることができる。
【0036】ラジカル開始剤は、上記ポリオレフィンの
変性に際して、上記ポリオレフィンと上記α、β−不飽
和カルボン酸またはその誘導体とを効率よくグラフト反
応させるためのものであり、ヒドロペルオキシド、ジア
ルキルペルオキシドおよびペルオキシエステルなどの有
機過酸化物や、アゾ化合物などが用いられる。前記有機
過酸化物の例としては、ベンゾイルペルオキシド、ジク
ロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、
ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチル
クミルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、
クメンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5
−ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−
ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシヘ
キシン−3、tert−ブチルペルオキシベンゾエート
などを好適に挙げることができる。また、前記アゾ化合
物の例としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチ
ルアゾイソブチレートなどを好適に挙げることができ
る。これらのラジカル開始剤は、好ましくは上記ポリオ
レフィン100重量部に対して0.1〜2.0重量部の
範囲内で使用されるが、ラジカル開始剤の種類および使
用量とも上記に限定されるものではない。
【0037】本発明の樹脂組成物における変性ポリオレ
フィン(B)を構成する変性前の結晶性ポリプロピレン
系樹脂としては、プロピレン単独重合体が高弾性率を有
することから適当であるが、これに限定されるものでは
なく、プロピレンと20モル%以下のα−オレフィンと
のブロックあるいはランダム共重合体であってもよい。
そして、α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘ
キセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1
−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1
−オクタデセンなどの炭素原子数2以上、特に2〜18
程度のα−オレフィン(ただし、プロピレンは除く)の
一種または二種以上の混合物を好適に挙げることができ
る。さらに、上記成分(B)の分子量の目安としては、
ASTM D1238に従って測定される、荷重2.1
6kg、230℃におけるメルトフローレート(以下
「MFR」と略記)が1g/10分以上、好ましくは1
0〜200g/10分、さらに好ましくは10〜100
g/10分であることが望ましい。MFRが1g/10
分より小さい場合は、得られる熱可塑性樹脂組成物、す
なわち、ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物中にお
けるポリオレフィン分散相のサイズが大きくなり、耐衝
撃性などの破壊特性が低くなるので好ましくない。な
お、MFRが1〜10g/10分の範囲では、この好ま
しくない現象が発現する傾向がある。また、MFRが2
00g/10分を越えると、成分(A)の溶融粘度に比
較して成分(C)の溶融粘度が低くなりすぎ、成分
(A)が連続相を形成するのが困難になり、得られる前
記樹脂組成物の機械的強度を低下させることがある。そ
して、MFRが100〜200g/10分の範囲では、
前記200g/10分を越える場合程ではないが、この
ような好ましくない現象が見られるようになる。
【0038】さらには、本発明の樹脂組成物の成分
(B)として用いられる変性ポリオレフィンは、AST
M D790に従って測定される、23℃における曲げ
弾性率が1GPa以上、特には1.5GPa以上である
ことが好ましい。曲げ弾性率が1GPa未満の場合、得
られる樹脂組成物の剛性が低くなり、本発明の目的を達
成することができない。
【0039】次に、本発明の樹脂組成物の成分(C)と
して用いられる未変性ポリオレフィン樹脂(以下、単に
「未変性ポリオレフィン」という)は、未変性のエチレ
ン・α−オレフィン共重合体(C1)と未変性の結晶性
ポリプロピレン系樹脂(C2)とからなる少なくとも2
種以上の未変性ポリオレフィンである。そして、成分
(C1)は、後述するα−オレフィンから選ばれる少な
くとも2種以上の単量体を共重合して得られる、23℃
における引張弾性率が200MPa以下のα−オレフィ
ン共重合体であり、成分(C2)は、後述する、23℃
における曲げ弾性率が1GPa以上の結晶性ポリプロピ
レン系樹脂である。
【0040】上記成分(C)のうち、成分(C1)とし
て用いられる未変性オレフィン共重合体を構成するα−
オレフィン成分単位としては、炭素原子数2以上、特に
2〜18のα−オレフィンであり、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペン
テン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1
−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキ
サデセン、1−オクタデセンなどを例示することがで
き、これらの一種または二種以上の混合物である。そし
て、これらのオレフィンモノマー単位のうち、エチレン
を必須単位とするものである。その共重合モノマー単位
としては特に制限はなく、エチレン以外の上記α−オレ
フィンのいずれであってもよいが、特にプロピレン、1
−ブテンおよび1−オクテンのうちの一種、または、こ
れらの二種以上の混合物を好ましく用いることができ
る。成分(C1)として用いられる未変性オレフィン共
重合体の共重合組成としては、エチレン単位が30〜8
5モル%、好ましくは45〜85モル%である。エチレ
ン含量がこの範囲より高い場合は、成分(C2)と成分
(C1)との親和性が不十分で、得られる樹脂組成物の
機械的強度が低くなる。エチレン含量がこの範囲より低
い場合には、得られる樹脂組成物の耐衝撃性の改良効果
が小さくなるとともに、成形固化時の収縮が大きくな
り、該樹脂組成物を成形して得られる成形品の寸法安定
性が低くなる。なお、これらの好ましくない現象の発生
を確実に抑えるためには、エチレン含量は前述の好まし
い範囲にするのがよい。
【0041】さらに、成分(C1)は、分子鎖に沿った
モノマー単位の配列において、プロピレンあるいは1−
ブテン単位が3個連続して存在する確率が0〜0.5の
範囲であることが好ましい。この範囲を逸脱する場合に
は、得られる樹脂組成物の引張強度および耐衝撃性が改
良されない場合があるので好ましくない。また、成分
(C1)は、室温で柔軟性のものが適しており、AST
M D638に従って測定される、23℃における引張
弾性率が200MPa以下のものが好ましい。引張弾性
率がこれより高いと、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が
低くなるとともに、成形収縮率や成形時の反りの改善効
果が十分でない場合がある。
【0042】さらにまた、上記成分(C1)の分子量の
目安としては、ASTM D1238に従って測定され
る、荷重2.16kg、230℃におけるMFRが0.
5g/10分以上、好ましくは1〜100g/10分、
さらに好ましくは5〜70g/10分であることが望ま
しい。MFRが0.5g/10分より小さい場合は、得
られる熱可塑性樹脂組成物、すなわち、ポリアミド−ポ
リオレフィン樹脂組成物中におけるポリオレフィン分散
相のサイズが大きくなり、耐衝撃性などの破壊特性が低
くなるので好ましくない。なお、MFRが0.5〜1g
/10分の範囲では、この好ましくない現象が発現する
傾向がある。また、MFRが100g/10分を越える
と、成分(A)の溶融粘度に比較して成分(C1)の溶
融粘度が低くなりすぎ、成分(A)が連続相を形成する
のが困難になり、得られる前記樹脂組成物の機械的強度
を低下させることがある。そして、MFRが1〜5g/
10分の範囲および70〜100g/10分の範囲で
は、それぞれ、前記0.5〜1g/10分の範囲および
100g/10分を越える範囲である場合程ではない
が、上述したような好ましくない現象が見られるように
なる。
【0043】一方、上記成分(C)のうち、成分(C
2)として用いられる未変性の結晶性ポリプロピレン系
樹脂としては、プロピレンの単独重合体、および、プロ
ピレンと20モル%以下のエチレン、1−ブテン、1−
ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、
1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセ
ン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタ
デセンなどの炭素原子数2以上、特に2〜18のα−オ
レフィン(ただし、プロピレンは除く)の一種または二
種以上の混合物とのブロックあるいはランダム共重合体
を用いることができる。これらの中でも、ホモポリプロ
ピレン(プロピレンの単独重合体)、エチレン・プロピ
レンブロック共重合体およびエチレン・プロピレンラン
ダム共重合体を好ましく用いることができる。そして、
本発明の樹脂組成物に用いられる上記成分(C2)は、
ASTM D790に従って測定される、23℃におけ
る曲げ弾性率が1GPa以上のものであることが必要で
ある。曲げ弾性率が1GPa未満である場合、得られる
樹脂組成物の剛性が低くなり、本発明の目的を達成する
ことができない。
【0044】また、上記成分(C2)の分子量の目安と
しては、ASTM D1238に従って測定される、荷
重2.16kg、230℃におけるMFRが50g/1
0分以下、好ましくは0.1〜30g/10分、さらに
好ましくは0.5〜15g/10分であることが望まし
い。MFRが50g/10分より大きい場合は、成分
(C2)の添加効果が小さくなるので好ましくない。な
お、MFRが30〜50g/10分の範囲では、成分
(C2)の添加効果が小さくなることがあり、15〜3
0g/10分の範囲では、30〜50g/10分の範囲
である場合程ではないがその傾向が見られるようにな
る。また、MFRが0.1g/10分未満の場合は、成
分(C2)が独立相を形成し、目的とするコア−シェル
構造の優位性を得ることができなくなることがあり、
0.1〜0.5g/10分の範囲では、前記0.1g/
10分未満の場合程ではないがその傾向が見られるよう
になる。
【0045】本発明のポリアミド−ポリオレフィン樹脂
組成物においては、さらにまた、上記成分(C1)およ
び成分(C2)は、極性基あるいは反応性基で変性され
ていないことが必要である。上記成分(C1)および成
分(C2)がポリアミド(A)と反応する残基あるいは
親和性のある残基で変性されていると、得られる樹脂組
成物において、ポリオレフィン相はコア−シェル型分散
構造を形成せず、後述する、ポリオレフィン相のコア−
シェル構造の有利な特性が得られない。
【0046】ところで、本発明の樹脂組成物は、ポリア
ミド(A)を連続相(マトリックス相)とすることが不
可欠である。ポリアミド成分(A)が連続相を形成する
ことにより、耐熱性および機械的特性の優れたポリアミ
ド樹脂の特性を、得られる樹脂組成物の特性に大きく反
映させることができ、弾性率、耐熱性および破壊強度の
優れた樹脂組成物を得ることができる。ポリアミド成分
(A)が不連続相を形成すると、得られる樹脂組成物の
機械的特性や耐熱性は低くなり、本発明の目的を達成す
ることができない。
【0047】一方、本発明の樹脂組成物において、前記
の成分(B)および成分(C)で形成される分散相は、
コア−シェル構造を有する複合粒子型分散構造を呈する
ことが必要である。該コア−シェル構造において、変性
ポリオレフィン成分(B)および未変性の結晶性ポリプ
ロピレン系樹脂成分(C2)がシェル相を形成し、そし
て、未変性のエチレン・α−オレフィン共重合体成分
(C1)がコア相を形成することにより、曲げ弾性率、
引張および曲げ強度、および耐衝撃性などの機械的特性
に優れ、かつ、成形時の流動性に優れるとともに、ウェ
ルド強度の優れた射出成形品を与える、本発明の目的を
満足する樹脂組成物を得ることができる。これらのポリ
オレフィン成分〔すなわち、成分(B)、成分(C1)
および成分(C2)〕として、いずれもポリアミド
(A)と親和性を有する極性基で変性されたものを用い
た場合、それぞれのポリオレフィン成分は、ポリアミド
マトリックス相(A)中で、個別に分散する形態を呈
し、上記のコア−シェル構造の優位性を得ることができ
ない。
【0048】本発明の樹脂組成物における前記成分
(A)、成分(B)および成分(C)の配合割合は、ポ
リアミド〔成分(A)〕が30〜80重量%、変性ポリ
オレフィン〔成分(B)〕が5〜50重量%、および、
未変性ポリオレフィン〔成分(C)〕が5〜65重量%
(ただし、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計
は100重量%)であることが必要である。そして、成
分(C1)および成分(C2)の配合割合は、成分
(A)と成分(B)と成分(C)の合計100重量%に
対して、成分(C1)が3〜63重量%であり、成分
(C2)が2〜47重量%である。なお、前記成分
(B)および成分(C)の配合割合は、好ましくは、そ
れぞれ、5〜40重量%および15〜50重量%(ただ
し、成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計は10
0重量%)である。また、前記成分(C1)および成分
(C2)の好ましい配合割合としては、成分(A)と成
分(B)と成分(C)の合計100重量%に対して、成
分(C1)が10〜40重量%であり、成分(C2)が
5〜40重量%である。
【0049】成分(A)が80重量%を越えるようにな
ると、得られる樹脂組成物の吸水性の改良効果が不十分
で、吸湿による成形品の寸法変化が大きくなるので好ま
しくない。また、成分(A)の配合割合が30重量%未
満になると、ポリアミド相〔成分(A)〕の連続性が保
持されなくなり、得られる樹脂組成物において、機械的
特性および耐熱性の低下を来たすので好ましくない。
【0050】さらに、本発明の樹脂組成物における成分
(B)の配合割合が5重量%未満では、ポリアミド成分
とポリオレフィン成分の相溶性が悪くなるとともに、得
られる樹脂組成物において、目的とするレベルの低吸水
性と曲げ弾性率を得ることができない。また、成分
(B)の配合割合が50重量%を越えると、本発明の目
的とする機械的特性および耐熱性を有する樹脂組成物を
得ることができない。本発明の樹脂組成物中における成
分(B)の配合割合が前記範囲を外れる場合の上述した
ような好ましくない現象を確実に発生させないようにす
るには、成分(B)の配合割合は、前述の好ましい範囲
にすべきである。
【0051】本発明の樹脂組成物における成分(C1)
の配合割合が63重量%を越える場合には、成分(C
1)が連続相を形成し、得られる樹脂組成物の曲げ弾性
率が低くなり、本発明の目的を満足することができな
い。一方、成分(C1)の配合割合が3重量%未満にな
ると、得られる樹脂組成物において、耐衝撃性が低くな
るとともに、成形時の収縮率が大きくなり、適当でな
い。そして、本発明の樹脂組成物における成分(C2)
の配合割合が47重量%を越える場合には、得られる樹
脂組成物中におけるポリオレフィン相の分散構造が不安
定になり、該樹脂組成物の機械的強度および衝撃強度が
低くなるとともに、成分(C1)の配合割合が低くな
り、成形時の収縮率が大きくなるので好ましくない。一
方、成分(C2)の配合割合が2重量%未満になると、
該樹脂組成物から得られる成形品のウェルド強度が改善
されず、本発明の目的を満足することができなくなり、
適当でない。さらには、本発明の樹脂組成物における未
変性ポリオレフィン、つまり、成分(C)の配合割合が
65重量%を越える場合には、成分(C)が連続相を形
成し、得られる樹脂組成物の曲げ弾性率が低くなり、本
発明の目的を達成することができない。また、成分
(C)の配合割合が5重量%未満になると、得られる樹
脂組成物の耐衝撃性が低くなるとともに、成形時の収縮
率が改善されず、適当でない。なお、成分(C1)、成
分(C2)および成分(C)の配合割合においても、前
記成分(B)の場合と同様、上述した好ましくない現象
の発生を確実に抑えるためには、それぞれ、前述の好ま
しい範囲にすべきである。
【0052】本発明の樹脂組成物の製造方法は特に制限
されるものではなく、種々の公知の方法が用いられ得
る。例えば、前述したような本発明の配合割合で成分
(A)、成分(B)および成分(C)〔つまり、成分
(C1)および成分(C2)〕を室温で予備混合した
後、これら各成分の溶融が十分に進行し、かつ、分解し
ない温度として、220℃以上、好ましくは240〜3
00℃の温度で、溶融混練する方法を適用することがで
きる。この場合、予備混合は、通常の混合に使用される
ヘンシェルミキサーなどの高速回転混合機およびコーン
ブレンダーやタンブラーなどの低速回転混合機などを用
いて行うことができる。また、溶融混練は、単軸または
二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの通常
の溶融混練加工機を使用して行うことができる。
【0053】本発明の熱可塑性樹脂組成物、つまりポリ
アミド−ポリオレフィン樹脂組成物は、その成形性およ
び物性を損なわない範囲で繊維状、粉末状、フレーク状
あるいはマット状などの各種形状の強化材や充填剤を添
加配合することができる。これら強化材および充填剤の
具体例としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊
維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊
維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊
維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、ステン
レス鋼繊維、アルミニウム、チタン、銅、真鍮、マグネ
シウムなどの無機質および金属繊維、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリアクリロニトリル、セルロースなどの有
機質繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレ
ス鋼、アルミニウム、金および銀などの金属粉末、ヒュ
ームドシリカ、ケイ酸アルミニウム、ガラスビーズ、カ
ーボンブラック、石英粉末、タルク、クレイ、酸化チタ
ン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化
マグネシウム、酸化カルシウム、硫酸マグネシウム、チ
タン酸カリウムおよびケイソウ土などが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。なお、強化材および
充填剤が繊維状物質の場合は、平均繊維径が0.1〜3
0μm、かつ平均繊維長/平均繊維径の比が10以上の
ものが好ましく使用される。また、これらの強化材およ
び充填剤は、公知のシランカップリング剤やチタネート
系カップリング剤で表面処理されたものでもよい。
【0054】前記強化材および充填剤の使用量は、本発
明の樹脂組成物100重量部に対して1〜300重量
部、好ましくは10〜250重量部である。使用量が1
重量部未満では、強化材および充填剤の添加効果が認め
られず、300重量部を越えると、ポリアミド−ポリオ
レフィン樹脂組成物の成形性や機械的物性の低下が生じ
るので、いずれの場合も好ましくない。なお、これらの
強化材および充填剤は、単独で使用してもよく、また、
2種類以上を混合して用いてもよい。
【0055】さらに、本発明のポリアミド−ポリオレフ
ィン樹脂組成物に、必要に応じて、ヒンダードフェノー
ル、ハイドロキノン、チオエーテル、ホスファイト、ア
ミン類およびこれらの置換体や銅化合物などの酸化防止
剤、ハロゲン化銅、ハロゲン化塩およびメラミンなどの
熱安定剤、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリ
アゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、ステア
リン酸およびその塩、ステアリルアルコールなどの離型
剤、赤リン、酸化錫、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸
バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化カルシウム、ハイドロタルサイトなどの無機難燃
剤、ハロゲン系、リン酸エステル系、メラミンあるいは
シアヌル酸系の有機難燃剤、三酸化アンチモンなどの難
燃助剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ
アルキレングリコール、アルキルベタインなどの帯電防
止剤、その他結晶化促進剤、染料、顔料などの添加剤を
1種類以上添加することが可能である。
【0056】また、本発明のポリアミド−ポリオレフィ
ン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、適
量のポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エ
チレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコ
ール共重合体、ポリ酢酸ビニルおよびポリ塩化ビニルな
どのビニル化合物重合体、ポリ1−ブテン、ポリ4−メ
チル−1−ペンテンなどのポリオレフィン、ポリアミ
ド、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマ
ー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートなどの熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリフ
ェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂や、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、エ
ポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を添加することができ
る。
【0057】本発明のポリアミド−ポリオレフィン樹脂
組成物は、前記の成分(A)、成分(B)、成分(C
1)および成分(C2)の4成分の他に、必要により添
加する、前述したような添加剤を所定量配合してなる樹
脂組成物であるが、その配合順序については特に制限は
なく、各成分を同時に配合してもよく、また、前記成分
(A)、成分(B)、成分(C1)および成分(C2)
の4成分を先ず配合して混合物を製造した後、前述の添
加剤などの他の成分を配合してもよい。
【0058】上述のようにして得られた本発明のポリア
ミド−ポリオレフィン樹脂組成物は、射出成形、圧縮成
形および押出成形などにより各種用途の成形品に加工す
ることができる。
【0059】
【実施例】以下に、実施例および比較例に基づいて本発
明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、その要
旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるもので
はない。なお、以下の各実施例および比較例に記載する
機械的性質の測定は、下記に準じて行った。 (1)引張特性(引張強度、引張弾性率および引張破断
伸び):ASTM D638 (2)曲げ弾性率:ASTM D790 (3)アイゾット衝撃強度:ASTM D256 (4)荷重たわみ温度:ASTM D648、荷重4.
6kg/cm2
【0060】(5)溶融粘度 ノズル直径/長さ=1/10(mm/mm)のノズルを
装着したプランジャー式キャピラリーレオメーターを用
い、設定温度280℃、剪断速度240sec -1におい
て測定した。
【0061】(6)吸水性 ASTM 4号試験片(厚さ1mm)の試験片を用い、
温度40℃、相対湿度90%の恒温恒湿器中に、190
時間静置し、成形後の絶対乾燥時(絶乾時)の重量と吸
水後の重量とから吸水重量増加率として、下記数式1に
より求めた。
【0062】
【数1】
【0063】(7)ウェルド強度 ASTM 1号試験片(厚さ1/8インチ)の形状のキ
ャビティーに、その両端に設けた2つのゲートから所望
の樹脂組成物を充填し、試験片の中央部付近にウェルド
部を形成させたダンベル状試験片(厚み3.2mm)を
得た。該ダンベル状試験片を用い、引張試験により、引
張破断強度を測定し、該測定値から、ウェルド部のない
同形状の試験片の引張試験により求めた引張強度に対す
る保持率(ウェルド強度保持率)を求め、ウェルド強度
を評価した。
【0064】また、以下の各実施例および比較例におい
て用いられたポリアミド〔成分(A)〕、変性ポリオレ
フィン〔成分(B)〕および未変性ポリオレフィン〔成
分(C)〕の諸物性は、下記の方法に従って測定した。 (a)相対粘度(ηr) JIS K6810に従い、98%硫酸溶液中のポリマ
ー濃度1g/dlの溶液中で25℃において測定した。
【0065】(b)プロピレン含量13 C−NMRスペクトルにより、PPP、PPE、EP
E、PEP、EEPおよびEEE(ただし、EおよびP
は、それぞれ、エチレン単位およびプロピレン単位を示
す。以下において同じ)の各トライアッドの連鎖分率か
らプロピレン単位の含有量を算出し、モル分率で表わし
た。
【0066】(c)1−ブテン含量13 C−NMRスペクトルにより、BBB、BBE、EB
E、BEB、EEBおよびEEE(ただし、EおよびB
は、それぞれ、エチレン単位および1−ブテン単位を示
す。以下において同じ)の各トライアッドの連鎖分率か
ら1−ブテン単位の含有量を算出し、モル分率で表わし
た。
【0067】(d)成分(C)中における3個のプロピ
レン単位の連鎖分率13 C−NMRスペクトルにより、PPP、PPE、EP
E、PEP、EEPおよびEEEの各トライアッドの連
鎖の総量に対するPPPの連鎖の分率を算出して、モル
分率で表わした。
【0068】(e)成分(C)中における3個の1−ブ
テン単位の連鎖分率13 C−NMRスペクトルにより、BBB、BBE、EB
E、BEB、EEBおよびEEEの各トライアッドの連
鎖の総量に対するBBBの連鎖の分率を算出して、モル
分率で表わした。
【0069】(f)無水マレイン酸変性量 1785cm-1および840cm-1での赤外吸収スペク
トルの吸光度比より算出した。
【0070】(g)X線結晶化度 厚さ0.5mmのプレスシートを用い、2θ=5〜35
°の範囲のX線回折強度曲線において、2θ=16°を
ピークとする滑らかな曲線により、結晶部と非晶部とに
分離し、結晶部の面積の割合を求め、これをX線結晶化
度とした。
【0071】(h)メルトフローレート(MFR) メルトインデクサーを使用し、ASTM D1238に
従って、荷重2.16kg、230℃において測定し
た。
【0072】実施例1〜4 ポリアミド〔成分(A)〕としてナイロン66(PA6
6、ηr=2.51)と、変性ポリオレフィン〔成分
(B)〕として、表1に示すポリマータイプ、プロピレ
ン含量、MFRおよび曲げ弾性率を有する結晶性ポリプ
ロピレン系樹脂を用い、表1に示す変性基種および変性
量でもって変性された4種類の変性結晶性ポリプロピレ
ン系樹脂(以下「mPP1」などと略記)のうち、mP
P1(無水マレイン酸変性ホモポリプロピレン、MF
R:40g/10分、曲げ弾性率1.9GPa、無水マ
レイン酸変性量:0.2重量%)と、未変性エチレン・
α−オレフィン共重合体〔成分(C1)〕として、表2
に示すα−オレフィンの種類、プロピレンあるいは1−
ブテンの含量、3個のプロピレン単位あるいは1−ブテ
ン単位の連鎖分率、X線結晶化度、MFR、引張弾性
率、変性基種および変性量を有する5種類のエチレン・
α−オレフィン共重合体ゴム(以下「EPR1」などと
略記)のうち、EPR1(プロピレン含量:18モル
%、MFR:9g/10分、引張弾性率:10MPa)
と、未変性結晶性ポリプロピレン系樹脂〔成分(C
2)〕として、表3に示すポリマータイプ、プロピレン
含量、MFRおよび曲げ弾性率を有する5種類の結晶性
ポリプロピレン系樹脂(以下「PP6」などと略記)の
うち、PP6(ホモポリプロピレン、プロピレン含量:
100モル%、MFR:0.8g/10分、曲げ弾性
率:1.6GPa)とを、それぞれ表4に示す配合割合
で、タンブラーを用いてドライブレンド後、30mmφ
二軸押出機を使用して280℃で溶融混練し、ポリアミ
ド−ポリオレフィン樹脂組成物を得た。そして、この得
られた樹脂組成物を乾燥後、射出成形して物性測定用の
試験片を作製した。各実施例について、得られた樹脂組
成物の機械的性質を、それぞれ、表4に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】比較例1 成分(C2)の配合割合を15重量%に変えて0重量%
としたこと、すなわち、成分(C2)としてのPP6を
用いなかったこと、および、成分(B)の配合割合を1
5重量%に変えて30重量%としたこと以外は、実施例
3と同様にして物性測定用の試験片を作製した。得られ
た樹脂組成物の機械的性質は、表4に示す通りであり、
実施例3の場合に比べ、ウェルド強度保持率が著しく劣
るものであった。
【0077】比較例2 成分(C2)の配合割合を15重量%に変えて0重量%
としたこと、すなわち、成分(C2)としてのPP6を
用いなかったこと、および、成分(C1)の配合割合を
20重量%に変えて35重量%としたこと以外は、実施
例3と同様にして物性測定用の試験片を作製した。得ら
れた樹脂組成物の機械的性質は、表4に示す通りであ
り、実施例3の場合に比べ、ウェルド強度保持率が著し
く劣るものであった。
【0078】
【表4】
【0079】実施例5〜8 成分(B)としてmPP1に代えて、実施例5〜7にお
いてはmPP2を、実施例8においてはmPP3を用い
たこと、成分(C1)としてEPR1に代えて、実施例
5ではEPR2、実施例6ではEPR3、実施例7およ
び8ではEPR4を用いたこと、成分(C2)としてP
P6に代えて、実施例6ではPP7(ホモPP)、実施
例7ではPP8(ブロックPP)、実施例8ではPP9
(ランダムPP)を用いたこと、そして、各成分の配合
割合を、実施例5〜8とも、成分(A)については70
重量%に変えて55重量%、成分(B)については10
重量%に変えて20重量%、成分(C1)については1
0重量%に変えて15重量%としたこと以外は、実施例
1と同様にして物性測定用の試験片を作製した。得られ
た樹脂組成物の機械的性質は、表5に示す通りであっ
た。
【0080】比較例3 成分(C2)の配合割合を10重量%に変えて0重量%
としたこと、すなわち、成分(C2)としてのPP8を
用いなかったこと、および、成分(B)の配合割合を2
0重量%に変えて30重量%としたこと以外は、実施例
7と同様にして物性測定用の試験片を作製した。得られ
た樹脂組成物の機械的性質は、表5に示す通りであり、
実施例7の場合に比べ、ウェルド強度保持率が著しく劣
っていた。
【0081】比較例4 成分(C1)としてEPR4に代えて、表2に示す無水
マレイン酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
(EPR5)を用いたこと以外は、実施例6と同様にし
て物性測定用の試験片を作製した。得られた樹脂組成物
の機械的性質は、表5に示す通りであり、実施例6の場
合に比べ、ウェルド強度保持率が著しく劣っていた。
【0082】
【表5】
【0083】実施例9 成分(A)としてナイロン66に代えて、ナイロン6
(PA6、ηr=2.78)を用いたこと、そして各成
分の配合割合を、成分(A)については70重量%に変
えて50重量%、成分(B)については10重量%に変
えて15重量%、成分(C1)については10重量%に
変えて20重量%、成分(C2)については10重量%
に変えて15重量%としたこと、および、溶融混練温度
を280℃に変えて245℃としたこと以外は、実施例
1と同様にして物性測定用の試験片を作製した。得られ
た樹脂組成物の機械的性質は、表6に示す通りであっ
た。
【0084】実施例10 成分(B)としてmPP1に代えてmPP4としたこ
と、成分(C2)としてPP6に代えてPP7としたこ
と、成分(A)の配合割合を50重量%に変えて60重
量%としたこと、成分(B)の配合割合を15重量%に
変えて10重量%としたこと、および、成分(C2)の
配合割合を15重量%に変えて10重量%としたこと以
外は、実施例9と同様にして物性測定用の試験片を作製
した。得られた樹脂組成物の機械的性質は、表6に示す
通りであった。
【0085】比較例5 成分(C2)の配合割合を15重量%に変えて0重量%
としたこと、すなわち、成分(C2)としてのPP6を
用いなかったこと、および、成分(B)の配合割合を1
5重量%に変えて30重量%としたこと以外は、実施例
9と同様にして物性測定用の試験片を作製した。得られ
た樹脂組成物の機械的性質は、表6に示す通りであり、
実施例9の場合に比べ、ウェルド強度保持率がかなり劣
るものであった。
【0086】比較例6 成分(C2)としてPP6に代えてPP10(ランダム
PP)を用いたこと以外は、実施例9と同様にして物性
測定用の試験片を作製した。得られた樹脂組成物の機械
的性質は、表6に示す通りであり、実施例9の場合に比
べ、ウェルド強度保持率が著しく劣るものであった。
【0087】比較例7 成分(A)、成分(B)、成分(C1)および成分(C
2)の配合割合を50重量%、15重量%、20重量%
および15重量%に変えて、それぞれ、表6に示す配合
割合としたこと以外は、実施例9と同様にして物性測定
用の試験片を作製した。得られた樹脂組成物の機械的性
質は、表6に示す通りであり、実施例9の場合に比べ、
ウェルド強度保持率が著しく劣るものであった。
【0088】
【表6】
【0089】
【発明の効果】ポリアミド、α、β−不飽和カルボン酸
またはその誘導体で変性された結晶性ポリプロピレン系
樹脂、未変性のエチレン・α−オレフィン共重合体およ
び未変性の結晶性ポリプロピレン系樹脂を特定の割合で
配合してなり、ポリアミドをマトリックス相とし、変性
結晶性ポリプロピレン系樹脂、未変性エチレン・α−オ
レフィン共重合体および未変性結晶性ポリプロピレン系
樹脂をコア−シェル型粒子構造の分散相と成す本発明の
熱可塑性樹脂組成物は、従来公知のポリアミド系樹脂組
成物に比べて、低吸水性、寸法安定性、軽量性や、剛
性、靱性などの機械的特性に優れ、かつ、成形加工性に
優れるとともに、ウェルド強度に優れた射出成形品を与
えるポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物であり、機
械部品、自動車部品、電気・電子部品などの広い分野に
使用できる。特に自動車用電装部品に好適に使用される
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松富 豊 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社高分子研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド(A)、変性ポリオレフィン
    (B)および未変性ポリオレフィン(C)からなる樹脂
    組成物において、該樹脂組成物全体に対して、ポリアミ
    ド(A)が30〜80重量%、変性ポリオレフィン
    (B)が5〜50重量%、および、未変性ポリオレフィ
    ン(C)が5〜65重量%(ただし、成分(A)と成分
    (B)と成分(C)の合計は100重量%)からなり、
    ポリアミド(A)が連続相を形成する一方、変性ポリオ
    レフィン(B)と未変性ポリオレフィン(C)からなる
    ポリオレフィン分散相がコア−シェル型粒子構造の分散
    相を呈する樹脂組成物であって、かつ、変性ポリオレフ
    ィン(B)が、α、β−不飽和カルボン酸またはその誘
    導体で変性された、23℃における曲げ弾性率が1GP
    a以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂であり、そして、
    未変性ポリオレフィン(C)が23℃における引張弾性
    率が200MPa以下であるエチレン・α−オレフィン
    共重合体成分(C1)と、23℃における曲げ弾性率が
    1GPa以上の未変性の結晶性ポリプロピレン系樹脂
    (C2)からなることを特徴とするポリアミド−ポリオ
    レフィン樹脂組成物。
JP21776895A 1995-08-25 1995-08-25 ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3243978B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21776895A JP3243978B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21776895A JP3243978B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0959438A true JPH0959438A (ja) 1997-03-04
JP3243978B2 JP3243978B2 (ja) 2002-01-07

Family

ID=16709436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21776895A Expired - Fee Related JP3243978B2 (ja) 1995-08-25 1995-08-25 ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3243978B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7015283B2 (en) 2003-10-10 2006-03-21 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Compositions of polypropylene and polyamide
JP2006291118A (ja) * 2005-04-14 2006-10-26 Asahi Kasei Chemicals Corp 自動車冷却空調部品用ポリアミド樹脂組成物
JP2009275121A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 電気安全性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物
WO2013191307A1 (en) 2012-06-22 2013-12-27 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Resin composition

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7015283B2 (en) 2003-10-10 2006-03-21 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Compositions of polypropylene and polyamide
US7402628B2 (en) 2003-10-10 2008-07-22 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Compositions of polypropylene and polyamide
JP2006291118A (ja) * 2005-04-14 2006-10-26 Asahi Kasei Chemicals Corp 自動車冷却空調部品用ポリアミド樹脂組成物
JP2009275121A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 電気安全性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物
WO2013191307A1 (en) 2012-06-22 2013-12-27 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Resin composition
US9249300B2 (en) 2012-06-22 2016-02-02 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Resin composition

Also Published As

Publication number Publication date
JP3243978B2 (ja) 2002-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0683210B1 (en) Resin composite containing polyamide matrix and polyolefin grains dispersed therein
WO1987006248A1 (en) Thermoplastic resin composition
WO1999024483A1 (en) Non-massing tougheners for polyamides
JP3305431B2 (ja) すぐれた加工性を有する充填剤入りポリフタルアミド配合物ならびに該配合物による複合体および充填剤入り物品
JPH0242109B2 (ja)
JPS63213562A (ja) 繊維強化耐熱性ポリオレフイン組成物
JP3013966B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
EP0263887A1 (en) Process for preparing thermoplastic resin composition
JPH05262930A (ja) ポリオレフィン系組成物
JPS6053550A (ja) 無機充填剤配合ポリプロピレン組成物
JP3013971B2 (ja) ポリアミド−ポリプロピレン系樹脂組成物
JP3243978B2 (ja) ポリアミド−ポリオレフィン樹脂組成物
JPS6128539A (ja) プロピレン重合体組成物
JP3395491B2 (ja) ポリアミド−ポリオレフィン系樹脂組成物
JPH06234897A (ja) ブロー成形用組成物
JPH06228436A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS62236851A (ja) 強化熱可塑性樹脂組成物
JPH0912872A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPS59136346A (ja) ポリアミド組成物
JPS59207951A (ja) ポリ4−メチル−1−ペンテン組成物の製造方法
JPH0931324A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH02107664A (ja) ガラス繊維強化熱可塑性樹脂組成物
JPH0616930A (ja) 食品用容器
JPH06279649A (ja) 樹脂組成物
JP3445318B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071026

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081026

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091026

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101026

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees