JP2009275121A - 電気安全性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気電子部品の電気的安全性、特に耐トラッキング性、グローワイヤー性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)成分:ポリアミド樹脂100重量部に、(B)成分:難燃剤10〜90重量部、(C)成分:エポキシ基、カルボキシル基又はエステル基の少なくとも1種の官能基を有する官能性化合物をオレフィン系重合体100重量部に対し0.05〜5重量部付加させてなる変性オレフィン系重合体であって、JIS K7210規格に準拠し、温度180℃、荷重21.17Nで測定したメルトボリュームーレート(MVR)が100〜500g/10分である変性オレフィン系重合体1〜50重量部を含有してなることを特徴とする、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気安全性に優れたポリアミド樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、電気・電子部品の電気的安全性、特に耐トラッキング性、グローワイヤー性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物、特にコネクター用途に好適な難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
一般にポリアミド樹脂は、成形性、機械的特性、電気的特性、耐薬品性に優れていることから、自動車電装部品、電気・電子部品等の種々の用途、特にコネクターに広く使用されており、樹脂の特性と要求ニーズに応じて種々の処方により高機能化と高性能化を実現してきた。
しかし、近年、これらの部品に対する要求レベル、特に電気的安全性に対する要求性能がますます高くなり、これに伴い、ポリアミド樹脂に対しも更なる高機能化と高性能化が期待されてきている。例えば、IEC60695−2−13規格におけるグローワイヤー着火温度(以下、「GWIT」と記載することがある)の要求レベルが、725℃以上から775℃以上に改訂され、IEC60112規格による耐トラッキング性に関しては、比較トラッキング指数(Comparative Tracking Index(CTI))が3mm厚みで250V以上である必要がある。従来から、コネクター製造用材料として使用されてきたシアヌル酸メラミンを配合したポリアミド樹脂組成物では、耐トラッキング性は600Vであるが、例えば厚み3mmのような肉厚部において、コネクターに要求される上記のような改訂後のグローワイヤー着火温度に合格できなかったり、また引張強度がやや低く、実用的に問題が残る場合があることがわかった。また、一方では、部品の小型化の進行に伴い、薄肉部分(例えば、ヒンジ部分等)における機械的特性、特に靭性が不足するといった問題も起こる場合がある。一方、ハロゲン系難燃剤を配合したポリアミド樹脂組成物では、3mm厚みのグローワイヤー着火温度が775V以上ではあり、機械強度的には実用的に十分な性能を有するが、耐トラッキング性に関しては、CTIが250V未満で要求レベルに不合格となることが判明している。このように従来のコネクター製造用材料として使用されているポリアミド樹脂組成物は、これらグローワイヤー性、耐トラッキング性及び機械的強度の3つの特性をすべて満足するものは存在しなかった。
ここで特許文献1には、(a)ポリアミド樹脂100重量部に対し、(b)無機充填材5〜300重量部、(c)ハロゲン系難燃剤5〜125重量部、(d)金属酸化物1〜50重量部、(e)ほう酸金属化合物3〜100重量部、(f)α,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン樹脂0.1〜50重量部及び(g)ポリオレフィン樹脂0.1〜50重量部を含有するポリアミド樹脂組成物に関する技術が提案されている。該特許文献には、高電圧アークトラッキング性(HVTR)の電気特性を改良し、同時に難燃性を確保する方法が記載されているが、グローワイヤー性や耐トラッキング性については全く記載がない。また具体的用途も、電磁開閉器部品が示されているのみである。また、上記(f)成分や(g)成分のメルトボリュームレート(MVR)と、電気特性との関係についての記載はない。
また、特許文献2には、樹脂成分100重量部中、(A)ポリアミド系樹脂が97〜70重量部、(B)無水マレイン酸で変性された樹脂が3〜30重量部、(C)ポリオレフィン系樹脂が0〜27重量部を占めており、該樹脂成分100重量部に対し、(D)メラミンシアヌレートが25〜60重量部配合されてなる難燃性樹脂組成物であって、(A)ポリアミド系樹脂の重量割合が、(B)無水マレイン酸で変性された樹脂、(C)ポリオレフィン系樹脂、(D)メラミンシアヌレートの合計重量以上であることを特徴とするフィルムやシート用の難燃性樹脂組成物に関する技術が提案されている。ここで、(B)成分や(C)成分は、アンチドリッピング性の改良のために配合すると記載されており、これら成分のMVRについての記載はなく、一般的なポリオレフィン樹脂のMVRの範囲内であると推測される。また、電気・電子部品に使用する際に満足しなければならない、上記の耐トラッキング性やグローワイヤー性についての記載や、電気・電子部品に関する記載も一切ない。
さらに、特許文献3には、(a)ポリアミド樹脂30〜70wt%、(b)リン酸メラミン系難燃剤10〜40wt%及び(c)ガラス繊維5〜50wt%とからなるガラス繊維強化難燃性ポリアミド樹脂組成物であって、(c)ガラス繊維が、無水マレイン酸と不飽和単量体とのコポリマー及び/又はアクリル酸系コポリマー及びシラン系カップリング剤とを含む(d)集束剤で表面処理されていることを特徴とするガラス繊維強化難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する技術が提案され、この樹脂組成物は、難燃性、電気特性及び機械的特性が優れていることが記載されている。しかし、本発明者らの検討の結果、該特許文献に記載の樹脂組成物では、靭性ならびにグローワイヤー性が不十分であることがわかった。
一方、特許文献4では、熱可塑性樹脂100重量部、及び、トリアジン化合物の硫酸塩、例えば、メラミン硫酸塩、ベンゾグアナミン硫酸塩10〜300重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物に関する技術が提案されているが、熱可塑性樹脂に関しては「特にポリオレフィンが好適に使用される」と記載されているのみで、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を使用した実施例はないし、また、耐トラッキング性やグローワイヤー性に関する記載もない。また、該特許文献に記載の熱可塑樹脂組成物は、薄肉部の難燃性が低いといった問題がある。
特開平11−302535号公報 特開2004−339265号公報 特開2002−284989号公報 特開平8−48812号公報
本発明は、このような状況にあって、難燃性、耐トラッキング性グローワイヤー性及び機械的強度の全ての条件を満足できる樹脂組成物を提供すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は次のとおりである。
1.IEC60695−2−13規格による厚み3mm以下の試験片のグローワイヤー着火温度が775℃以上である難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
2.IEC60112規格による厚み3mmの試験片のCTIが250V以上である難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
3.UL94規格による厚み0.8mmの試験片の難燃性がV−2以上の自消性である難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
4.引張強度及び引張伸度等の機械的強度(特に、薄肉部分)に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
上記課題を解決するため、第一発明では、(A)成分:ポリアミド樹脂100重量部に、(B)成分:難燃剤10〜90重量部、(C)成分:エポキシ基、カルボキシル基又はエステル基の少なくとも1種の官能基を有する官能性化合物をオレフィン系重合体100重量部に対し0.05〜5重量部付加させてなる変性オレフィン系重合体であって、JIS K7210規格に準拠し、温度180℃、荷重21.17Nで測定したメルトボリュームーレート(MVR)が100〜500g/10分である変性オレフィン系重合体1〜50重量部を含有してなることを特徴とする、難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供する。
本発明は、以下の詳細に説明するとおり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、IEC60695−2−13規格における厚み3mm以下の試験片のグローワイヤー着火温度が775℃上であり、グローワイヤー性に優れている。
2.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、IEC60112規格による厚み3mmの試験片のCTIが250V以上であり、耐トラッキング性に優れている。
3.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、UL94規格による厚み0.8mmの試験片の難燃性がV−2以上の自消性であり難燃性に優れている。
4.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、引張強度及び引張伸度等の機械的強度(特に、薄肉部分)に優れている。
5.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品は、機械的強度や電気安全性に優れているため、コネクター等の電気機器相互間又は機器内部で、配線を接続する装置(デバイス)として有用である。
以下、本発明を詳細に説目する。
(A)ポリアミド樹脂
本発明における(A)成分のポリアミド樹脂は、重合可能なω−アミノ酸、ラクタム、好ましくは3員環以上のラクタム、又はジカルボン酸とジアミン等を原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂、又はこれらのポリアミド共重合体やブレンド物をいう。
ω−アミノ酸としては、ε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸や、2−クロロ−パラアミノメチル安息香酸、2−メチル−パラアミノメチル安息香酸、4−アミノメチル安息香酸等の芳香族アミノ酸等が挙げられる。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、キシリレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸−2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。
ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4(又は2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、テレフタルジアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸とジアミンからなる塩は、加圧、高温度下、水溶液中で中和することにより得られる。このようにして得られた塩や、上記記載のω−アミノ酸類やラクタム類を、加圧、高温度下で縮合させることによりオリゴマー化反応を進行させ、その後減圧することにより適切な溶融粘度まで重合を進行させて、本発明で使用するポリアミド樹脂を製造することができる。
(A)成分のポリアミド樹脂としては、例えば、ε−カプロラクタム又はε−アミノカプロン酸を主原料とするポリアミド6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩を主原料とするポリアミド66、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩と、ε−カプロラクタム又はε−アミノカプロン酸とを主原料とした6/66共重合体が挙げられ、これらのポリアミド樹脂のブレンド物でもよい。中でも好ましいのは、ポリアミド6、ポリアミド66である。
(A)成分のポリアミド樹脂は、ISO307規格に準拠して、温度25℃、96重量%の硫酸中、ポリアミド樹脂濃度0.5重量%で測定した粘度数が、70〜200ml/gのものが好ましい。粘度数が70ml/g未満であると靱性、成形品の外観が劣る傾向にあり、200ml/gを超えるとコンパウンド性及び成形加工性が低下し、グローワイヤー性及び成形品外観が劣る場合がある。
(A)成分のポリアミド樹脂の末端は、カルボン酸又はアミンによって封止されていてもよく、末端を封止する場合には、炭素数6〜22のカルボン酸又はアミンによって封止されたポリアミド樹脂が好ましい。具体的に、封止に使用できるカルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸類が挙げられる。また、アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第一級アミン類が挙げられる。封止に使用するカルボン酸又はアミンの量は、樹脂組成物成形時の溶融粘度の観点から30μeq/g程度がよい。
(B)難燃剤
本発明における(B)成分の難燃剤は、従来から知られているポリアミド樹脂用難燃剤を使用できる。具体的には、トリアジン環を有する窒素化合物、リン酸エステル化合物、ホスフィン酸金属塩、ホスファゼン化合物、赤燐等の含リン化合物、ハロゲン含有有機化合物等を挙げることができる。これら難燃剤は、2種以上の混合物であってもよい。
トリアジン環を有する窒素化合物としては、シアヌル酸類、メラミン類、シアヌル酸メラミン類、メラミンと無機酸の塩等が挙げられる。
シアヌル酸類の具体例としては、シアヌル酸、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレート、イソシアヌル酸、トリメチルイソシアネート、トリエチルイソシアネート、トリ(n−プロピル)イソシアヌレート、ジエチルイソシアヌレート、メチルイソシアヌレート等が挙げられる。
メラミン類としては、メラミン、メラミン誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物及びメラミンの縮合物等が挙げられる。より具体的には、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、アリールグアナミン、メラム、メレム、メロン等が挙げられる。
シアヌル酸メラミン類としては、シアヌル酸とメラミン類との等モル反応物が挙げられる。また、シアヌル酸メラミン類中のアミノ基又は水酸基のいくつかが、他の置換基で置換されていてもよい。このうちシアヌル酸メラミンは、例えば、シアヌル酸の水溶液とメラミンの水溶液とを混合し、90〜100℃で撹拌下反応させ、生成した沈殿を濾過することによって得ることができ、白色の固体であり、市販品をそのまま、あるいはこれを微粉末状に粉砕して使用するのが好ましい。
上記のシアヌル酸類、メラミン類、シアヌル酸メラミン類の中でも、好ましくは、1分子中にトリアジン環を2つ以上有する化合物、具体的にはシアヌル酸メラミン、メラム、メレム、メロン等が挙げられる。これらは、耐熱温度が高いので、成形温度において、分解ガスが発生する等して成形中にトラブルを起こすことが少なくなり、成形の上でより適している。
シアヌル酸類、メラミン類、シアヌル酸メラミン類の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し、10〜60重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましい。含有量が10重量部未満であるとグローワイヤー性が低下する傾向にあり、60重量部を超えると靭性や生産性や低下する傾向にある。
メラミンと無機酸の塩としては、例えば硫酸メラミン等のアミノトリアジン化合物の硫酸塩、リン酸メラミン類等が挙げられる。
アミノトリアジン化合物は、一般式(I)で下記のように表すことができ、トリアジン又は炭化水素基等で置換された置換トリアジンにアミノ基が少なくとも1つ置換した化合物である。トリアジンとしては1,3,5−トリアジンが最も一般的である。トリアジンに置換した炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基、又は、フェニル基等の炭素数6〜10のアリール基が好適である。本発明で好適に用いられるアミノトリアジン化合物の硫酸塩とは、トリアジン又は炭化水素基等で置換された置換トリアジンにアミノ基が少なくとも1つ置換したアミノトリアジン化合物の硫酸塩である
Figure 2009275121
一般式(I)において、R1及びRは、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
アミノトリアジン化合物を具体的に例示すれば、メラミン、ベンゾグアナミン、メチルグアナミン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。これらアミノトリアジン化合物の粒径は、特に制限はないが、機械的強度及び成形品外観の観点から、平均粒径(メディアン径)が0.1〜50μmのものが好ましく、中でも0.1〜30μmのものがより好ましい。
また、硫酸塩を調製する際の硫酸は、一般に入手可能なものであれば特に制限ない。硫酸の濃度は特に制限されず、濃硫酸又は希硫酸のいずれであってもよく、取り扱い易さの観点から希硫酸が好ましい。
アミノトリアジン化合物の硫酸塩の製造方法としは、特に制限はなく、従来公知の方法が挙げられる。例えば、アミノトリアジン化合物を予め水に分散させた状態で室温で硫酸を少しずつあるいは一度に加える方法、室温でアミノトリアジン化合物をボールミル等で粉砕、攪拌しながら硫酸を加える方法、硫酸中にアミノトリアジン化合物を添加していく方法等が挙げられる。
アミノトリアジン化合物の硫酸塩中の硫黄原子の割合は3〜20重量%のものが、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着する現象が少なく好ましい。なお、該硫黄原子量は、アミノトリアジン化合物と塩を形成しているものと形成していないフリーのものとの合計量とする。
本発明のアミノトリアジン化合物の硫酸塩をしては、硫酸メラミンが好適である。硫酸メラミンは、例えば、特開平8−231517号公報に記載の方法により、製造することができる。
リン酸メラミン類とは、リン酸とメラミン類との反応生成物である。これは、メラミン又はメラミンの縮合生成物と、リン酸、ピロリン酸、又はポリリン酸との実質的に等モルの反応生成物を意味し、その製法は限定されない。通常、窒素雰囲気下、リン酸メラミンを加熱縮合して得られるポリリン酸メラミン(化学式「(C・HP0」(ここでnは縮合度を表す))を挙げることが出来る。
リン酸メラミンを構成するリン酸としては、具体的には、オルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等が挙げられる。特に、オルトリン酸又はピロリン酸を使用したメラミンとの付加物を縮合したポリリン酸メラミンは難燃剤としての効果が高い。特に、耐熱性の観点から、斯かるポリリン酸メラミンの縮合度nは5以上が好ましい。
また、ポリリン酸メラミンはポリリン酸とメラミンの等モルの付加塩であってもよく、上記のポリリン酸とメラミンの全てが付加塩を形成していてもよく、また、これらの混合物であってもよい。すなわち、メラミンとの付加塩を形成するポリリン酸として、いわゆる縮合リン酸と呼ばれる鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸を使用してもよい。これらのポリリン酸の縮合度nは通常3〜50であるが、得られるポリリン酸メラミン付加塩の耐熱性の観点から、ポリリン酸の縮合度nは5以上が好ましい。
また、ポリリン酸メラミン付加塩は、メラミンとポリリン酸との混合物を例えば水スラリーとなし、よく混合して両者の反応生成物を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し、更に必要であれば焼成し、得られた固形物を粉砕して得られる粉末である。
また、ポリリン酸メラミンは、リン酸とメラミン縮合生成物の付加塩であってもよく、リン酸とメラミン縮合生成物の全てが付加塩を形成していてもよく、また、これらの混合物であってもよい。リン酸と付加塩を形成するメラミン縮合生成物としては、メレム、メラム、メロン等が挙げられる。
本発明においては、成形品の機械的強度や外観の観点から、ポリリン酸メラミンの数平均粒径は、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは0.5〜20μmである。斯かる粉末を使用することにより、高い難燃性を発現するばかりでなく、成形品の強度が著しく向上する。また、ポリリン酸メラミンは、必ずしも完全に純品である必要はなく、未反応のメラミン、メラミン縮合物、リン酸、ポリリン酸が多少残存していてもよい。ポリリン酸メラミン中のリン原子の割合は、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着する現象が少ないとの理由から8〜18重量%が好ましい。
メラミンと無機酸の塩の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜70重量部が好ましく、10〜60重量部がより好ましく、10〜50重量部がさらに好ましい。10重量部未満であると、十分なグローワイヤー性の改善効果が発揮されない傾向にあり、60重量部より多いと、靱性が低下する場合がある。
リン酸エステル化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等が挙げられる。中でも、下記一般式(II)で表されるリン酸エステル化合物が好ましい。
Figure 2009275121
一般式(II)において、R 〜R10 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。耐加水分解性を向上させるためには炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、中でもメチル基が好ましい。mは0〜10の整数であり、好ましくは1〜3、特に好ましくは1である。R11は2価以上の有機基を表す。この場合2価以上の有機基とは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等から炭素に結合している水素原子の1個以上を除いてできる2価以上の基を意味する。具体的には、下記(III)で示される構造のものが挙げられる。
Figure 2009275121
リン酸エステル化合物の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜60重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましい。10重量部未満であるとグローワイヤー性が低下する傾向にあり、60重量部より多いと難燃剤がブリードアウトする場合がある。
ホスフィン酸金属塩とは、以下の一般式(IV)で表されるホスフィン酸塩及び/又は以下の一般式(V)で表されるジホスフィン酸塩である(以下、両者を「(ジ)ホスフィン酸塩」と示すことがある)。
Figure 2009275121
Figure 2009275121
一般式(IV)及び(V)中、R12〜R15は、同一か又は異なり、線状もしくは分枝状の炭素数1〜6のアルキル及び/又は炭素数6〜10のアリール、R16は、線状もしくは分枝状の炭素数1〜10のアルキレン、炭素数7〜10のアリーレン、炭素数7〜10のアルキルアリーレン又は炭素数7〜10のアリールアルキレン、Mは、Ca、Mg、Al又はZn、pはMの価数を表し、2q=pxであり、qは1又は3、xは1又は2である)
12〜R15としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基等が挙げられる。R16としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−オクチレン基、n−ドデシレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。Mとしては、好ましくは、Ca、Al又はZnである。
(ジ)ホスフィン酸塩は、例えば、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物又は金属酸化物を使用して水性媒体中で製造される。(ジ)ホスフィン酸塩は、本質的にモノマー性化合物であるが、反応条件に依存し、環境によっては縮合度が1〜3のポリマー性ホスフィン酸塩となる場合もある。
ホスフィン酸としては、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等が挙げられる。また、上記のホスフィン酸と反応させる金属成分としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及び/又は亜鉛イオンを含む金属炭酸塩、金属水酸化物又は金属酸化物が挙げられる。
ホスフィン酸塩としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
ジホスフィン酸塩としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)亜鉛等が挙げられる。
上記の(ジ)ホスフィン酸塩の中では、特に、難燃性、電気特性の観点から、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。
本発明においては、成形品の機械的強度や成形品外観の観点から、(ジ)ホスフィン酸塩の数平均粒径は、通常100μm以下、好ましくは80μm以下である。特に、0.5〜50μmの粉末を使用することにより、高い難燃性を発現するばかりでなく成形品の強度が著しく向上する。更に、(ジ)ホスフィン酸塩中のリン原子の割合は、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着する現象が少ないとの観点から、5〜40重量%が好ましい。(ジ)ホスフィン酸塩は、難燃剤として作用するが、リン酸メラミン類と併用することにより、優れた難燃性と優れた電気特性を発現することが出来る。
(ジ)ホスフィン酸塩の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜60重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましい。10重量部未満であるとグローワイヤー性が低下する傾向にあり、60重量部より多いと靭性や生産性が低下する場合がある。
ホスファゼン化合物は、分子中に−P=N−結合を有する有機化合物、好ましくは、下記一般式(VI)で表される環状フェノキシホスファゼン、下記一般式(VII)で表される鎖状フェノキシホスファゼン、ならびに、下記一般式(VI)及び下記一般式(VII)からなる群より選択される少なくとも1種のフェノキシホスファゼンが、下記一般式(VIII)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
Figure 2009275121
一般式(VI)において、yは3〜25の整数であり、Phはフェニル基を示す。
Figure 2009275121
一般式(VII)において、Xは−N=P(OPh)基、又は、−N=P(O)OPh基であり、Yは−P(OPh)基、又は、−P(O)(OPh)基であり、sは3〜10000の整数であり、Phはフェニル基を示す。
Figure 2009275121
一般式(VIII)において、Aは−C(CH−、−SO−、−S−、又はO−であり、tは0又は1である。好ましくは、Aが−C(CH−、−SO−、−S−である。
一般式(VI)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120〜130℃の温度で反応させて得られる環状及び直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。また、該環状フェノキシホスファゼン化合物は、一般式(VI)中のyが3〜8の整数である化合物が好ましい。
一般式(VII)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220〜250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3〜10000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。該直鎖状フェノキシホスファゼン化合物の、一般式(VII)中のsは、好ましくは3〜1000、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜25である。
架橋フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、4,4'−スルホニルジフェニレン(ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2−(4,4'−ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4'−オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4'−チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4'−ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、一般式(VI)で表される環状ホスファゼン化合物及び/又は一般式(VII)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基及びフェニレン基数を基準として、通常50〜99.9%、好ましくは70〜90%である。また、該架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
上記環状フェノキシホスファゼン化合物及び鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、H.R.Allcook著「Phosphorus−Nitrogen Compounds(Academic Press,(1972))」、J.E.Mark、H.R.Allcook、R.West著「Inorganic Polymers(Prentice−Hall International、Inc.(1992))」に記載されている方法によって合成することができる。
ホスファゼン化合物の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し、10〜60重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましい。含有量が10重量部未満であると難燃性の改良効果が小さい場合があり、60重量部を超えると機械的強度が低下したり、離型不良や金型汚染等のトラブルが発生する場合がある。
赤燐とは、粉砕を必要としない黄燐の転化処理法により直接得られる、破砕面のない球体様赤燐であって、熱硬化性樹脂によって被覆された被覆赤燐粉末が好ましい。被覆に適した熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びアニリン樹脂が挙げられ、これら熱硬化性樹脂群から選ばれる少なくとも1種の樹脂によって被覆されたものが好ましい。熱硬化性樹脂の被覆量は、赤燐100重量部に対し1〜35重量部が好ましい。
被覆赤燐粉末は、さらに被覆膜の熱硬化性樹脂中に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛及びチタンの水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機化合物を分散含有させたものが好ましい。またこれら無機化合物は上記熱硬化性樹脂の被膜の下に、赤燐と接触させて含有させたものが好ましい。被覆赤燐粉末の平均粒径は、好ましくは0.5〜40μmのものである。平均粒径が0.5μm未満であると分散性が低下する傾向にあり、40μmを超えると機械的特性や難燃性が低下する場合がある。被覆赤燐粉末のより好ましい平均粒径は、1〜35μmの範囲である。
熱硬化性樹脂によって被覆した被覆赤燐粉末は、赤燐単独のものに比べて取り扱い等の安全性が著しく改善されるが、さらに安全性を期すために、あらかじめ被覆赤燐粉末と熱可塑性樹脂とを溶融混練したマスターペレットとして使用するのが好ましい。この場合、マスターペレット調製用に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エチレンエチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又は芳香族ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂又は芳香族ポリカーボネート樹脂等が好適である。
マスターペレット中の被覆赤燐粉末の含有量は、マスターペレットを調製する際に使用する熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、通常10〜50重量%である。10重量%未満では、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物調整の際に配合するマスターペレットの量が相対的に増え、50重量%より多いとマスターペレット化が困難な傾向となり、安全性が低下する場合がある。
赤燐の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し、10〜60重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましい。含有量が10重量部未満であるとグローワイヤー性が低下する傾向にあり、60重量部を超えると靭性や生産性が低下する傾向にある。
ハロゲン含有有機化合物としては、ハロゲン系難燃剤として知られているものが使用可能である。具体的には、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系共重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。好ましくは、デカブロモジフェニルオキサイド、1,2(ペンタブロモフェニル)−エタン、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物及びハロゲンリン酸エステル等が挙げられる。中でも好ましいのは、汎用性の点より、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、デカブロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物等である。
これらの難燃剤の中でも、難燃性の点から、シアヌル酸メラミン、硫酸メラミン、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物又はこれらから選ばれる2種以上の混合物がより好ましい。これらの中でも、硫酸メラミンが、難燃性、グローワイヤー性、耐トラッキング性のバランスに優れ、最も好ましい。
(B)成分の難燃剤の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し10〜90重量部であり、好ましくは10〜60重量部、より好ましくは10〜50重量部である。含有量が10重量部未満では、難燃性が不十分である場合があり、90重量部を超えると機械的特性、成形性が低下しやすい傾向にある。
本発明においては、成形時のガスやモールドデポジットの発生、難燃剤のブリードアウトを抑制するために、難燃剤との相溶性に優れた、ポリアミド樹脂以外の次のような熱可塑性樹脂を1種類以上配合することが好ましい。特に、難燃剤としてホスフィン酸金属塩、ホスファゼン化合物を使用する場合に、この効果が大きい。
ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂、スチレン系重合体、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ノボラックフェノール樹脂、液晶樹脂が例示され、(B)リン系難燃剤、特にホスファゼン化合物との相溶性の観点から、スチレン系重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく、ポリフェニレンエーテル系樹脂又はポリフェニレンエーテル系樹脂とスチレン系重合体の混合樹脂が特に好ましい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エ−テル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エ−テル等が挙げられ、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ−テルが好ましい。
スチレン系重合体としては、例えば、一般用ポリスチレン(GPPS)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)等のスチレン系樹脂の他、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマーが挙げられ、好ましくはスチレン系エラストマーである。
ポリフェニレンエーテル系樹脂とスチレン系重合体を併用する場合は、両者の含有重量比率(ポリフェニレンエーテル系樹脂/スチレン系重合体)が99/1〜20/80であることが好ましく、97/3〜40/60がより好ましい。このような含有重量比率とすることにより、十分な難燃性を確保でき、成形時の流動性も良好であり、かつ難燃剤のブリードアウトを十分に抑制することができる。
これらの熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂との相溶性を高めるために、例えば、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸や、これらの酸無水物又はこれらの誘導体を用いて酸変性されていてもよい。この酸変性は、ポリアミド樹脂に混練する前に事前に行うことに限定されるものではなく、ポリアミド樹脂の混練時にこれらの変性剤を配合して変性してもよい。
これらのポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂中の0.5〜40重量%であることが好ましく、0.5〜30重量%であることが好ましい。含有量が0.5重量%未満であると、モールドデポジットの発生や、難燃剤のブリードアウトを十分に抑制することができない場合があり、含有量が40重量%を超えると、耐トラッキング性や生産性が低下する傾向にある。
本発明の樹脂組成物には、難燃性を高めるために難燃助剤を配合してもよい。好ましい難燃助剤としては、酸化アンチモン化合物等の金属酸化物、硼酸金属塩、含水無機化合物等が挙げられる。難燃助剤は樹脂組成物の引張伸度を低下させる場合があるので、配合量は少量になるように工夫する必要がある。
金属酸化物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも汎用性の点から三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等のアンチモン化合物が好ましい。アンチモン化合物は、特に、難燃剤としてハロゲン含有有機化合物を使用する場合に、難燃性向上効果が高い。
これら金属酸化物の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し5〜30重量部が好ましく、7〜25重量部がより好ましく、10〜20重量部がさらに好ましい。金属酸化物の含有量が5重量部未満であると、難燃性が低下しやすい傾向にあり、30重量部を越えると電気的安全性及びに靱性が低下する場合がある。
硼酸金属塩としては、硼酸亜鉛、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウム等が挙げられる。中でも好ましいのは、硼酸亜鉛である。硼酸亜鉛としては、酸化亜鉛と硼酸を主成分とするものであれば、組成比率等特に制限はない。
硼酸金属塩の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し3〜30重量部が好ましく、4〜25重量部がより好ましく、5〜20重量部がさらに好ましい。含有量が3重量部未満であると難燃性の向上効果が低い場合があり、30重量部を越えると靱性が低下しやすい傾向にある。
難燃助剤として好ましく用いられる、上記のアンチモン化合物及び硼酸金属塩を併用する場合は、両者の合計含有量が(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し5〜50重量部が好ましく、6〜40重量部がより好ましい。合計含有量が5重量部未満であると、難燃性が低下する場合があり、50重量部を越えると靱性が低下し易い傾向にある。
含水無機化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛が挙げられ、平均粒径が0.1〜10μmのものが好ましい。これら含水無機化合物の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し1〜30重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましく、7〜20重量部がさらに好ましい。含水無機化合物の含有量が5重量部未満であると、難燃性が低下しやすい傾向にあり、30重量部を越えると靱性が低下する場合がある。
本発明においては、主に樹脂組成物の耐トラッキング性及び耐衝撃性を向上させる目的で、(C)エポキシ基、カルボキシル基又はエステル基の少なくとも1種の官能基を有する官能性化合物をオレフィン系重合体100重量部に対し0.05〜5重量部付加させてなる変性オレフィン系重合体であって、JIS K7210規格に準拠し、温度180℃、荷重21.17Nで測定したメルトボリュームーレート(MVR)が100〜500g/10分である変性オレフィン系重合体(以下、単に「変性オレフィン系重合体」と略記することがある)を配合する。本発明の(C)変性オレフィン系重合体は、耐衝撃性向上目的で一般に用いられる耐衝撃性改良剤に比べ、グローワイヤー性をより良好に維持することができる。
本発明においてオレフィン系重合体とは、α−オレフィンを重合して得られる単独重合体又は2種以上のα−オレフィンを重合して得られる共重合体をいう。また、上記のオレフィン系重合体は、α−オレフィンにα−オレフィン以外の単量体を共重合させたものでもよい。
α−オレフィンとしては、炭素数2〜10オレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。これらの中でも、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
単独重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。2種以上のα−オレフィンを重合させて得られる共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体等が挙げられ、中でもプロピレン系重合体が好ましい。
プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと炭素数2〜10のプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。より具体的には、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体等が挙げられる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
本発明においては、前記のオレフィン系重合体に、エポキシ基、カルボキシル基又はエステル基の少なくとも1種の官能基を有する官能性化合物(以下、単に「官能性化合物」と略記することがある)を付加させる必要がある。オレフィン系重合体に付加させる官能性化合物の付加量は、オレフィン系重合体100重量部に対し、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。官能性化合物の付加量が0.05重量部未満であると、成形品の表面に難燃剤等のブリードアウトが起こり、グローワイヤー性や電気安全性の確保が困難になる。付加量が5重量部を超えると、成形時の流動性が著しく低下し、コネクター等の薄肉成形品の成形が困難となり、いずれも好ましくない。オレフィン系重合体に対する官能性化合物の付加量は、変性オレフィン系重合体製造時のオレフィン系重合体に対する官能性化合物の仕込み量を変えることによって調整することができる。
変性オレフィン系重合体は、オレフィン系重合体を反応性に変える方法として従来から知られている方法によって調製できる。例えば、オレフィン系重合体の重合反応中に、エポキシ化合物、不飽和酸無水物、不飽和酸化合物及び/又は不飽和酸エステル等の官能性化合物を共重合成分として導入する方法、オレフィン系重合体に、官能性化合物とラジカル発生剤を混合し、溶融混練してグラフト共重合させる方法等が挙げられる。特にオレフィン系重合体がポリプロピレン樹脂の場合には、官能性化合物をグラフト共重合させる方法が、容易であり好ましい。
オレフィン系重合体の変性に用いられるエポキシ基を有する官能性化合物としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、及びα−クロロアリル、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸等のグリシジルエステル類、又はビニルグリシジルエ−テル、アリルグリシジルエ−テル、グリシジルオキシエチルビニルエ−テル、スチレン−p−グリシジルエ−テル等のグリシジルエ−テル類、p−グリシジルスチレン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。これらの中で特に好ましいものは、メタクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエ−テルである。
エポキシ基を有する官能性化合物を付加させてなるエポキシ基含有オレフィン系重合体の具体例としては、例えば、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−プロピレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−一酸化炭素−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸グリシジル共重合体、プロピレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル−g−ポリスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸グリシジル共重合体−g−ポリアクリルニトリル−スチレン共重合体、プロピレン−g−アクリル酸グリシジル共重合体、プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる(なお、「−g−」はグラフト共重合であることを示し、以下同様である。)。中でも好ましいのは、プロピレン−g−アクリル酸グリシジル共重合体、プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体である。これらのエポキシ基含有オレフィン系重合体は、2種以上の混合物であってもよい。
オレフィン系重合体の変性に用いられるカルボキシル基又はエステル基を有する官能性化合物としては、不飽和酸無水物、不飽和酸、不飽和酸エステル等が挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリル酸等の酸、あるいは、アクリル酸又はメタクリル酸のメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、2−エチルヘキシル−、シクロヘキシル−、ドデシル−、オクタデシル−等のエステル類が挙げられ、2種以上併用してもよい。中でも特に好ましいのは、無水マレイン酸及び/又はマレイン酸である。
カルボキシル基又はエステル基を有する官能性化合物を付加させてなるカルボキシル基含有又はエステル基含有オレフィン系重合体の具体例としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン−プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン−ブテン−g−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−エチレン−g−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−g−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ヘキセン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン−g−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−g−ポリスチレン共重合体等を挙げられ、2種以上を併用してもよい。中でも、耐熱性、グローワイヤー性等の観点から特に好ましいのは、プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−エチレン−g−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−g−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−ヘキセン−g−無水マレイン酸共重合体である。
また、エチレン−メタクリル酸グリシジル−g−ポリアクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−g−ポリメタクリル酸メチル共重合体等も、本発明における変性オレフィン系重合体に含まれる。
また、変性オレフィン系重合体を溶融混練法で製造する際には、上記の官能性化合物と同時にラジカル発生剤を使用してもよい。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物が好ましい。具体的には、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等が挙げられる。パーオキシエステル類の具体例としては、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。ヒドロパーオキサイド類の具体例としては、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、1分間半減期温度が190℃以下のものが好ましく、上に例示した中では、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
ラジカル発生剤の使用量は、オレフィン系重合体100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲が好ましく、0.01〜1.0重量部がより好ましい。使用量が0.01重量部未満では、オレフィン系重合体に十分な変性量が得られず、10重量部を超えるとポリオレフィン系重合体の分子量が小さくなりすぎて製造そのものが困難になる場合がある。上記ラジカル発生剤は、有機溶剤等に溶解して混合することもできる。また、炭酸カルシウム、タルク、シリカ等の無機充填材を配合したものであってもよい。
本発明においては、(C)成分の変性オレフィン系重合体のメルトボリュームーレート(MVR)が100〜500g/10分である必要がある。MVRが、100g/10分未満であると、変性オレフィン系重合体が樹脂組成物中に均一に分散せず、CTIが低下する。また、500g/10分を超えると、成形時にガスが発生する等の問題があり、グローワイヤー性が低下する。好ましいMVRは100〜450g/10分であり、より好ましくは120〜400g/10分である。
(C)成分として好ましく用いられる変性プロピレン系重合体は、通常、ポリプロピレン樹脂、官能性化合物、ラジカル発生剤等を所定量秤量し、均一に混合した後、溶融混練する方法によって製造することができる。混合装置としては、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等が挙げられ、溶融混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が挙げられる。溶融混練温度は、ラジカル発生剤の半減期温度によるが、通常120〜300℃の範囲、好ましくは150〜280℃の範囲で選ばれる。混練時間は、混練温度、ラジカル発生剤の種類、添加量等によるが、通常0.1〜30分、好ましくは0.5〜10分である。なお、本発明における変性プロピレン系重合体の製造に原料として用いるポリプロピレン樹脂のMVRは、0.1〜400g/10分が好ましく、中でも0.2〜200g/10分が好ましい。官能性化合物としては、不飽和酸無水物を用いることが好ましい。
ポリアミド樹脂に変性オレフィン系重合体を配合した場合、ポリアミド樹脂の末端と変性オレフィン系重合体のオレフィン系重合体に付加した官能性化合物の官能基とが反応することにより、ポリアミド樹脂の末端が変性オレフィン系重合体で封止されると考えられる。末端封止されたこのようなポリアミド樹脂は、外部から与えられる熱による末端からの分子の分解が抑制されるため、樹脂組成物のグローワイヤー性を良好に維持することができる。特に、上記のような変性量の高い、さらにMVRの高い変性オレフィン系重合体を使用した場合は、ポリアミド樹脂末端との反応性がより高いため、その効果が顕著に現れる。
(C)成分の変性オレフィン系重合体の含有量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対して1〜50重量部であり、好ましくは1〜45重量部、より好ましくは1〜40重量部である。含有量が1重量部未満であると、本発明の目的である耐トラッキング性の改良効果が十分ではなく、50重量部を超えると難燃性が低下する。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、該難燃剤の凝集を防ぎ分散性をより向上させ、該難燃剤の凝集による靭性や機械的強度の低下を抑制するために、(D)分散剤を配合することが好ましい。しかし、分散剤は、樹脂組成物の難燃性やグローワイヤー性を低下させる場合があるので、その種類及び配合量を慎重に選択する必要がある。
本発明においては、カルボン酸アミド系ワックス、高級脂肪酸金属塩及び高級脂肪酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。なかでも、カルボン酸アミド系ワックスは、樹脂組成物の難燃性、グローワイヤーの着火温度を低下させることなく、コネクター等の電気・電子機器部品を射出成形する際の離型性の向上効果が大きく、成形性を高めることができるため特に好ましい。上記3種の分散剤は、難燃剤の分散性を向上させる効果とともに、成形時の離型性を改善する効果をも有する。
カルボン酸アミド系ワックスとしては、例えば、高級脂肪族モノカルボン酸及び/又は多塩基酸とジアミンとの脱水反応によって得られる化合物が挙げられる。
高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
多塩基酸としては、二塩基酸以上のカルボン酸で、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、及び、フタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類、及び、シクロヘキシルジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸等の脂環族ジカルボン酸類が挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
カルボン酸アミド系ワックスとしては、ステアリン酸とセバシン酸とエチレンジアミンを重縮合してなる化合物が好ましく、ステアリン酸2モルとセバシン酸1モルとエチレンジアミン2モルを反応させ、重縮合させた化合物がより好ましい。
高級脂肪酸金属塩とは、例えば、上述の高級脂肪族モノカルボン酸の金属塩が挙げられ、具体的には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム等が好ましい。
高級脂肪酸エステル化合物としては、例えば、上述の高級脂肪族モノカルボン酸とアルコールとのエステル化合物が挙げられ、具体的には、ステアリルステアレート、グリセリンステアレート、ペンタエリストールステアレート等が好ましい。
(D)分散剤の配合量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対し0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜1重量部がより好ましい。配合量が0.01重量部未満であると、難燃剤の分散性が低下し機械的強度が低下する場合があり、成形時の離型性も低下する傾向にある。また、配合量が3重量部を超えると、機械的強度や難燃性が低下したり、プレートアウトやブルーミング等の不具合が発生したりする場合がある。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、他の各種樹脂添加剤を配合することができる。各種樹脂添加剤としては、例えば、ドリップ防止剤、銅系、リン系又は硫黄系の熱安定剤、紫外線吸収剤、耐侯性改良剤、発泡剤、(C)成分以外の耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、流動性改良剤、染料、顔料、有機充填材、タルクやワラストナイト、(導電性)カーボンブラック等の無機充填材、造核剤等が挙げられる
本発明に係るポリアミド樹脂組成物を調製するには、目的の成形品を成形する直前までの任意の段階で、従来から知られている種々の方法によればよい。例えば、(1)(A)ポリアミド樹脂、(B)難燃剤、(C)変性オレフィン系重合体、さらに要すれば他の樹脂添加剤を所定の割合で秤量し、ブレンダー等で混合し、ドライブレンドする方法、(2)この(1)で得られたドライブレンド物を、単軸又は二軸押出機等の溶融混練機により溶融混練、ペレット化する方法、(3)あらかじめ所定量より多い(B)難燃剤又は(C)変性オレフィン系重合体を、(A)ポリアミド樹脂や他の熱可塑性樹脂に練り込んだマスターペレットを調製し、これを残りの希釈用ポリアミド樹脂とドライブレンドする方法、(4)この(3)で得られたドライブレンド物を、単軸又は二軸押出機等の溶融混練機により溶融混練、ペレット化する方法等が挙げられる。本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物がより優れた特性を発揮するためには、溶融混練法によって、シリンダー温度230〜280℃で減圧下溶融混練するのが好ましい。樹脂温度が280℃を超えると難燃剤が分解し、本発明で目的とするグローワイヤー性を達成できない場合がある。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物を原料として、コネクター等の電気・電子部品を製造する方法としては特に限定されるものではなく、上記(1)〜(4)の方法で調製した、ドライブレンド物やペレット形態のポリアミド樹脂組成物を用い、従来から知られている成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、熱成形法、回転成形法、圧縮成形法等によって製造する方法が挙げられる。中でも、生産性、製品性能の観点から、射出成形法が好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に記載した例に制限されるものではない。なお、以下の記載の例において、使用した各成分の特性等の詳細は次のとおりである。また、これら成分より構成される樹脂組成物、得られた製品についての評価は、以下に記載の方法で行った。
<変性プロピレン重合体の評価方法>
(1)マレイン酸無水物単位の付加量:以下に記載の参考例で得られた変性プロピレン重合体のペレット用い、熱プレス法によって厚さ約100μmのフィルムを作製した。このフィルムから、アセトン溶媒で1時間、ソックスレー法により未反応マレイン酸無水物を抽出し、その後、真空乾燥機で3時間、減圧乾燥した。乾燥後のフィルムについて、赤外線吸収スペクトル法によって、マレイン酸無水物に由来する波長(1780cm−1)のピークよりマレイン酸無水物単位付加量を測定した。
(2)MVR:以下に記載の参考例で得られた変性プロピレン重合体のペレットについて、JIS K7210規格に準拠して、温度180℃、荷重21.17Nの条件下で測定した。数値が大きいほど、流動性が良好であることを示す。
<樹脂組成物の評価方法>
(3)難燃性:下記記載の方法で作製した大きさが127mm×12.7mmで、厚さが0.8mmの試験片について、UL−94規格に準拠し測定を行った。この試験による難燃性は、V−0が良好で、V−2はV−0より劣るが自消性の優れた難燃性の範囲である。
(4)耐トラッキング性:下記に記載の方法で作製した大きさが100mm×100mmで、厚さが3mmの試験片について、IEC60112規格に準拠しCTIの測定を行った。なお、印加電圧は50V単位で行った。
(5)グローワイヤー性:下記記載の方法で作製した大きさが80mm×80mm、厚さが1mm、2mm及び3mmの試験片について、IEC60695−2−13規格に準拠し測定を行った。25℃の間隔で試験を行い、着火を起こさない最高温度で評価した。この温度が高いほど、グローワイヤー性が優れていると判断できる。
(6)引張強度、伸度:下記記載の方法で作製した厚さ1mmのJIS4号ダンベル片を成形し、JIS K7113規格に準拠して、引張強度と引張伸度を測定した。数値が高いほど靱性が良好であることを示す。
<参考例1(変性プロピレン重合体−1の製造例)>
ポリプロピレン{MVR=1g/10分(180℃、21.17N荷重)}100重量部、マレイン酸無水物(三菱化学(株)製)2重量部、ベンゾイルパーオキシド(日本油脂社製、「商品名:ナイパーBMT−K−40」)3.5重量部をそれぞれ秤量し、これらをスーパーミキサーによって1分間混合し、混合物を得た。次いで、得られた混合物を、二軸押出機(日本製鋼所社製、「型式:TEX30HCT」、シリンダー内径30mm、L/D=42)を使用し、シリンダー設定温度230℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/時間の条件で溶融混練し、これをダイよりストランド状に押出し、カッターで切断して、変性プロピレン重合体−1のペレットを得た。得られた変性プロピレン重合体のMVRは200g/10分であり、ポリプロピレン100重量部に対するマレイン酸無水物単位の付加量は1.0重量部であった。
<参考例2(変性プロピレン重合体−2の製造例)>
ポリプロピレン{MVR=1g/10分(180℃、21.17N荷重)}100重量部、マレイン酸無水物(参考例1に同じ)3重量部、ベンゾイルパーオキシド(参考例1に同じ)4重量部をそれぞれ秤量し、参考例1と同様の方法で溶融混練し、ペレット化し、変性プロピレン重合体−2のペレットを得た。この変性プロピレン重合体−2は、MVRが300g/10分、ポリプロピレン100重量部に対するマレイン酸無水物単位の付加量は1.5重量部であった。
<参考例3(変性プロピレン重合体−3の製造例)>
ポリプロピレン{MVR=1g/10分(180℃、21.17N荷重)}100重量部、マレイン酸無水物(参考例1に同じ)4重量部、ベンゾイルパーオキシド(参考例1に同じ)5重量部をそれぞれ秤量し、参考例1と同様の方法で溶融混練し、ペレット化し、変性プロピレン重合体−3のペレットを得た。この変性プロピレン重合体−3は、MVRが400g/10分、ポリプロピレン100重量部に対するマレイン酸無水物単位の付加量は2.0重量部であった。
<参考例4(変性プロピレン重合体−4の製造例)>
ポリプロピレン{MVR=1g/10分(180℃、21.17N荷重)}100重量部、マレイン酸無水物(参考例1に同じ)1.5重量部、ベンゾイルパーオキシド(参考例1に同じ)1.5重量部をそれぞれ秤量し、参考例1と同様の方法で溶融混練し、ペレット化し、変性プロピレン重合体−4のペレットを得た。この変性プロピレン重合体−4は、MVRが20g/10分、ポリプロピレン100重量部に対するマレイン酸無水物単位の付加量は0.2重量部であった。
<参考例5(変性プロピレン重合体−5の製造例)>
ポリプロピレン{MVR=1g/10分(180℃、21.17N荷重)}100重量部、マレイン酸無水物(参考例1に同じ)5重量部、ベンゾイルパーオキシド(参考例1に同じ)6重量部をそれぞれ秤量し、参考例1と同様の方法で溶融混練し、ペレット化し、変性プロピレン重合体−5のペレットを得た。この変性プロピレン重合体−5は、MVRが600g/10分、ポリプロピレン100重量部に対するマレイン酸無水物単位の付加量は2.5重量部であった。
<実施例に使用した成分>
(A−1)ポリアミド6:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、「商品名:ノバミッド(登録商標)1013J」、粘度数138ml/g
(B−1)硫酸メラミン:三和ケミカル社製、「商品名:アピノン901」、硫酸メラミン中の硫黄成分9重量%、平均粒径(カタログ値)17±2.0μm
(B−2)シアヌル酸メラミン:三菱化学(株)製、「商品名:MX44」を粉砕したもの、平均粒径(メディアン径)7μm
(B−3)ハロゲン系難燃剤:アルベマール日本社製、「商品名:SAYTEX8010」
(B−4)三酸化アンチモン:森六社製、「商品名:MIC−3」
(C−1)変性プロピレン重合体−1:上記参考例1に記載した方法で製造した。MVRが200g/10分、マレイン酸無水物単位の付加量1.0重量部
(C−2)変性プロピレン重合体−2:上記参考例2に記載した方法で製造した。MVRが300g/10分、マレイン酸無水物単位の付加量1.5重量部
(C−3)変性プロピレン重合体−3:上記参考例3に記載した方法で製造した。MVRが400g/10分、マレイン酸無水物単位の付加量2.0重量部
(C−4)変性プロピレン重合体−4:上記参考例4に記載した方法で製造した。MVRが20g/10分、マレイン酸無水物単位の付加量0.2重量部
(C−5)変性プロピレン重合体−5:上記参考例5に記載した方法で製造した、MVRが600g/10分、マレイン酸無水物単位の付加量が2.5重量部
(D−1)カルボン酸アミド系ワックス:共栄社化学社製、「商品名:WH255」、ステアリン酸、セバシン酸及びエチレンジアミンの重縮合物
[実施例1〜実施例5、比較例1〜比較例7]
<樹脂組成物の調製>
ポリアミド樹脂と各種添加剤を、表−1に示す配合量で秤量し、タンブラーミキサーで30分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(日本製鋼所社製、「型式:TEX30HCT」、シリンダー内径30mm、L/D=42)によって、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hの条件下で溶融混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
<試験片の作製方法>
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを120℃で8時間、真空乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製、「型式:J75ED」)を使用し、シリンダー温度255℃、金型温度80℃の条件で、上記(3)〜(6)評価用の試験片を作成した。得られた試験片につき、上記(3)〜(6)の評価を行った。評価結果を、表−1に示す。
Figure 2009275121
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、難燃性、耐トラッキング性、グローワイヤー性及び機械的物性の全てに優れ、バランスのとれた樹脂組成物であることがわかった(実施例1〜5)。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、上記のような性能を有しているため、電気機器相互間又は機器内部で配線を接続する部品や機器として、特に、家電機器、通信機器、OA機器、コンピューター、カーエレクトロニクス機器等の部品として広く使用されるコネクター用材料に好適である。

Claims (6)

  1. (A)成分:ポリアミド樹脂100重量部に、(B)成分:難燃剤10〜90重量部、(C)成分:エポキシ基、カルボキシル基又はエステル基の少なくとも1種の官能基を有する官能性化合物をオレフィン系重合体100重量部に対し0.05〜5重量部付加させてなる変性オレフィン系重合体であって、JIS K7210規格に準拠し、温度180℃、荷重21.17Nで測定したメルトボリュームーレート(MVR)が100〜500g/10分である変性オレフィン系重合体1〜50重量部を含有してなることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  2. (B)成分がアミノトリアジン化合物の硫酸塩である、請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  3. アミノトリアジン化合物の硫酸塩が硫酸メラミンである、請求項2に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  4. (C)成分が変性プロピレン系重合体である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  5. (C)成分がオレフィン系重合体に酸無水物をグラフト共重合させてなる変性オレフィン系重合体である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のコネクター製造用難燃性ポリアミド樹脂組成物。
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