JPH10310697A - 半芳香族ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

半芳香族ポリアミド樹脂組成物

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JPH10310697A
JPH10310697A JP10052273A JP5227398A JPH10310697A JP H10310697 A JPH10310697 A JP H10310697A JP 10052273 A JP10052273 A JP 10052273A JP 5227398 A JP5227398 A JP 5227398A JP H10310697 A JPH10310697 A JP H10310697A
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佳正 小合
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 成形の際に金型汚れが生じにくく、且つ高温
高湿下でのクリープ特性を始めとする優れた特性を有す
る成形体を製造可能な半芳香族ポリアミド樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】 (A)主たる構成成分単位がジカルボン
酸成分単位とジアミン成分単位とからなるポリアミドで
あって、該ジカルボン酸成分単位の少なくとも45モル
%以上が、テレフタル酸成分単位であり、該ジアミン成
分単位が、炭素原子数4〜18の直鎖アルキレンジアミ
ン成分単位55〜99モル%および側鎖アルキル基を有
する炭素原子数4〜18のアルキレンジアミン成分単位
1〜45モル%から成る融点280〜330℃のポリア
ミド共重合体99ないし60重量%、及び(B)エチレ
ンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの共重合体
を不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したグラフ
ト量が0.01〜5重量%である変性エチレン・α−オ
レフィン共重合体1ないし40重量%、からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形体を製造する
際に金型汚れが少なく、高温高湿下での耐クリープ性に
優れ、効率よく成形体を製造することができる半芳香族
ポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から耐衝撃性を有する半芳香族ポリ
アミドに関しては、種々の提案がされており、例えば特
開平4−108855号公報には、テレフタル酸単位5
0〜100モル%およびテレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸あるいは炭素数6〜18の直鎖状脂肪族ジカル
ボン酸単位0〜40モル%からなるジカルボン酸単位
(a)と、アルキレンジアミン単位(b)とを有する半
芳香族ポリアミドと変性弾性共重合体とからなるポリア
ミド組成物を製造する方法について開示されている。
【0003】また、このような半芳香族ポリアミドと変
性弾性重合体とからなる組成物は、耐熱性および耐衝撃
性に優れていることも知られている。(特開平2−41
318号、特開平5−98152号号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなポリアミド
は、耐衝撃性、耐熱性、機械的特性および化学的物理的
特性に関しては著しく優れているが、金型を用いて射出
成形を繰り返した場合、金型内に白い粉が析出すること
があった。又、電子機器として用いた場合、高温高湿下
でのクリープの特性が十分でなく、改善が望まれてい
た。
【0005】本発明者等がこの粉を分析した結果、この
粉は未反応モノマー、低次オリゴマー成分及びポリマー
分解物であることが判明した。この未反応モノマー、低
次オリゴマーあるいはポリマー分解物成分は電子部品、
特にコネクターのような微細な部品を成形する場合、外
観を損ねたり、寸法精度が出ない等の点で問題になる。
また、金型内に発生する白い粉は金型のベント穴が詰ま
ることがあるため、成形を停止して金型を清掃する必要
があった。
【0006】したがって、剛性、耐衝撃性、曲げ強度な
どの機械的強度に優れ、クリープ特性が優れ、かつ耐衝
撃性、耐熱性に優れるなど化学的物理的特性に優れ、し
かも成形時に金型汚れを起こしにくく、その上金型のベ
ントのつまりがなく、外観に優れた精密成形品を製造し
うるような半芳香族ポリアミド樹脂組成物の出現が望ま
れていた。
【0007】本発明は、成形の際に金型汚れが生じにく
く、且つ高温高湿下でのクリープ特性を始めとする優れ
た特性を有する成形体を製造可能な半芳香族ポリアミド
樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(A)主たる構成成分単位がジカルボン酸成分単位とジ
アミン成分単位とからなる繰り返し単位から形成される
ポリアミドであって、該ジカルボン酸成分単位の少なく
とも45モル%以上が、テレフタル酸成分単位であり、
該ジアミン成分単位が、炭素原子数4〜18の直鎖アル
キレンジアミン成分単位55〜99モル%および側鎖ア
ルキル基を有する炭素原子数4〜18のアルキレンジア
ミン成分単位1〜45モル%から成る融点280〜33
0℃のポリアミド共重合体99ないし60重量%、及び
(B)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィン
との共重合体であって、(i)密度が0.89〜0.9
5g/cm3 の範囲にあり、(ii)示差走査型熱量計
(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の
温度(融点;Tm)が90ないし127℃であり、且つ
(iii) X線回折法により測定した結晶化度が20%ない
し60%であるエチレン・α−オレフィン共重合体を、
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したグラフト
量が0.01〜5重量%である変性エチレン・α−オレ
フィン共重合体1ないし40重量%、からなることを特
徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物に関する。本発
明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド共重
合体(A)として、全ジカルボン酸単位当り55モル%
以下の範囲でテレフタル酸以外の芳香族カルボン酸単位
及び/又は炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位を
含有しているものを用いるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明では、半芳香族ポリアミド
の内でも上記(A)の特定の半芳香族ポリアミドを選択
し、変性エチレン・α−オレフィン共重合体の内でも上
記(B)の特定の変性エチレン・α−オレフィン共重合
体を選択し、これらを組み合わせたことが特徴であり、
これにより、成形中のオリゴマー析出量を少なくし、成
形金型のベント孔のつまりを抑制し、長時間成形を可能
にする。また、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、流動性が優れており、成形温度を低くできるという
利点をもたらす。更に本発明の半芳香族ポリアミド樹脂
組成物は、高温高湿下でのクリープ特性、耐熱老化性、
耐熱変形性に優れている。しかも、このような靭性の低
下を抑制することによっても、芳香族ポリアミドが本質
的に有している他の優れた特性、例えば機械的強度、低
吸水性などの特性が殆ど低下しないという利点もある。
【0010】[ポリアミド(A)]本発明の樹脂組成物
で用いるポリアミド(A)は、主たる構成成分単位が特
定のジカルボン酸成分単位[a]と、特定の脂肪族ジア
ミン成分単位[b]とからなる繰り返し単位から構成さ
れている。
【0011】本発明で用いるポリアミド中に存在する全
ジカルボン酸成分単位を100モル%とすると、本発明
のポリアミドは、テレフタル酸成分単位(a−1)を4
5〜100モル%、好ましくは50〜90モル%、さら
に好ましくは60〜80モル%の量で含有している。ま
た、このポリアミドは、テレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位(a−2)を0〜55モル%、好まし
くは0〜40モル%、さらに好ましくは0〜30モル%
の量で含有している。さらに、このポリアミドは、脂肪
族ジカルボン酸成分単位(a−3)を0〜55モル%の
量で含有している。上記ポリアミドが少量の脂肪族ジカ
ルボン酸成分単位(a−3)を有することにより、具体
的には、10〜50モル%、さらに好ましくは20〜4
0モル%の量で含有することによりその成形性が向上す
る。なお、脂肪族ジカルボン酸成分単位の含有率が55
モル%を超えると、必然的にテレフタル酸成分単位の含
有率が45モル%を下回ることになり、このようなポリ
アミドには、吸水率が高く、融点も280℃を下まわる
傾向がある。従って、このようなポリアミドから形成さ
れた成形体は、吸水による寸法変化が大きくなる、又は
耐熱性が十分でない傾向がある。
【0012】上記のジカルボン酸成分単位と共に繰り返
し単位を形成するジアミン成分単位[b]は、炭素原子
数4〜18の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン成分単
位、および、側鎖アルキル基を有する炭素原子数4〜1
8のアルキレンジアミン成分単位である。
【0013】本発明で用いるポリアミドは、全ジアミン
成分単位100モル%に対し、炭素原子数4〜18の直
鎖状脂肪族アルキレンジアミン成分単位(b−1)を5
5〜99モル%、好ましくは70〜98モル%、さらに
好ましくは80〜95モル%、特に好ましくは85〜9
3モル%の量で含有している。また側鎖アルキル基を有
する炭素原子数4〜18のアルキレンジアミン成分単位
(b−2)を、1〜45モル%、好ましくは2〜30モ
ル%、さらに好ましくは5〜20モル%、特に好ましく
は7〜15モル%の量で含有している。このように二種
類の特定のアルキレンジアミン成分単位を上記のような
量で含有することにより、本発明の組成分の主成分たる
ポリアミドの融点が射出成形の際に成形体(或いは溶融
したポリアミド)がガス焼けを引き起こさない程度にま
で低下する。又、金型内への白い粉の析出が軽減され、
しかもポリアミドのTgが80℃以上と高く、高温高湿
下でのクリープ特性が優れており、かつ結晶化速度が速
い。
【0014】すなわち、炭素原子数4〜18の直鎖アル
キレンジアミン成分単位(b−1)の含有率が99モル
%を超えると、射出成形時の白粉の発生が起きやすくな
る。また、側鎖アルキル基を有する炭素原子数4〜18
のアルキレンジアミン成分単位(b−2)の含有率が4
5モル%を超えるとポリアミドの結晶化速度が遅くなり
耐熱特性が十分でなくなる。
【0015】上記のようなジカルボン酸成分単位とジア
ミン成分単位とからなるポリアミド繰り返し単位を式で
表すと以下のようになる。ポリアミドを形成する繰り返
し単位は、必須成分単位であるジカルボン酸成分単位
[a]として、テレフタル酸成分単位(a−1)を有し
ている。このようなテレフタル酸成分単位(a−1)を
有する繰り返し単位は、次式[I−a]
【化1】 式中、R1 は、側鎖を有することもある炭素原子数4〜
18のアルキレン基である、で表すことができる。この
ジカルボン酸成分単位[a]は、全部が上記[I−a]
で表される成分単位である必要はなく、上記のようなテ
レフタル酸成分単位(a−1)の一部が他のジカルボン
酸成分で置き換わった単位から成っていてもよい。
【0016】このテレフタル酸成分以外の他のカルボン
酸成分単位には、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン
酸成分単位(a−2)と脂肪族ジカルボン酸成分単位
(a−3)とがある。
【0017】テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分単位(a−2)の例としては、イソフタル酸成分単
位、2−メチルテレフタル酸成分単位およびナフタレン
ジカルボン酸成分単位を挙げることができる。このよう
なテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸から誘導され
る成分単位としては、特にイソフタル酸成分単位が好ま
しい。
【0018】このようなテレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位(a−2)のうち、本発明において特
に好ましいイソフタル酸成分単位を有する繰り返し単位
は、次式[I−b]
【化2】 式中、R1 は側鎖を有することもある炭素原子数4〜1
8のアルキレン基である、で表わすことができる。
【0019】脂肪族ジカルボン酸成分単位(a−3)
は、炭素原子数4〜20、好ましくは6〜12のアルキ
レン基を有する脂肪族ジカルボン酸から誘導される。こ
のような脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、
アジピン酸、アゼライン酸およびセバシン酸を挙げるこ
とができる。脂肪族ジカルボン酸成分単位としては、特
にアジピン酸成分単位およびセバシン酸成分単位が好ま
しい。
【0020】ジカルボン酸成分単位[a]を構成する他
のジカルボン酸成分単位として、脂肪族ジカルボン酸成
分単位(a−3)を有する繰り返し単位は、次式[II]
【化3】 式中、R1 は側鎖を有することもある炭素原子数4〜1
8のアルキレン基であり、nは通常2〜18、好ましく
は4〜10の整数を表わす、で表わすことができる。
【0021】本発明で用いるポリアミドを形成するジア
ミン成分単位[b]は、炭素原子数4〜18の直鎖アル
キレンジアミン成分単位(b−1)および側鎖アルキル
基を有する炭素原子数4〜18のアルキレンジアミン成
分単位(b−2)である。
【0022】このような直鎖アルキレンジアミン成分単
位(b−1)の具体的な例としては、1,4−ジアミノ
ブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノ
ヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミ
ノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジア
ミノウンデカンおよび1,12−ジアミノドデカンを挙
げることができる。これらのなかでは、1,6−ジアミ
ノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジ
アミノデカンおよび1,12−ジアミノドデカンから誘
導される成分単位が好ましく、本発明のポリアミド中に
はこれらの成分単位が複数種類含有されていてもよい。
さらに、これらの中でも、1,6−ジアミノヘキサンか
ら誘導される成分単位が特に好ましい。
【0023】また、側鎖アルキル基を有する炭素原子数
4〜18のアルキレンジアミン成分単位(b−2)の具
体的な例としては、1−ブチル−1,2−ジアミノ−エ
タン、1,1−ジメチル−1,4−ジアミノ−ブタン、
1−エチル−1,4−ジアミノ−ブタン、1,2−ジメ
チル−1,4−ジアミノ−ブタン、1,3−ジメチル−
1,4−ジアミノ−ブタン、1,4−ジメチル−1,4
−ジアミノ−ブタン、2,3−ジメチル−1,4−ジア
ミノ−ブタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタ
ン、2,5−ジメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、
2,4−ジメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、3,
3−ジメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、2,2−
ジメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、2,2,4−
トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、2,4,4
−トリメチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、2,4−
ジエチル−1,6−ジアミノ−ヘキサン、2,3−ジメ
チル−1,7−ジアミノ−ヘプタン、2,4−ジメチル
−1,7−ジアミノ−ヘプタン、2,5−ジメチル−
1,7−ジアミノ−ヘプタン、2,2−ジメチル−1,
7−ジアミノ−ヘプタン、2−メチル−4−エチル−
1,7−ジアミノ−ヘプタン、2−エチル−4−メチル
−1,7−ジアミノ−ヘプタン、2,2,5,5−テト
ラメチル−1,7−ジアミノ−ヘプタン、3−イソプロ
ピル−1,7−ジアミノ−ヘプタン、3−イソオクチル
−1,7−ジアミノ−ヘプタン、1,3−ジメチル−
1,8−ジアミノ−オクタン、1,4−ジメチル−1,
8−ジアミノ−オクタン、2,4−ジメチル−1,8−
ジアミノ−オクタン、3,4−ジメチル−1,8−ジア
ミノ−オクタン、4,5−ジメチル−1,8−ジアミノ
−オクタン、2,2−ジメチル−1,8−ジアミノ−オ
クタン、3,3−ジメチル−1,8−ジアミノ−オクタ
ン、4,4−ジメチル−1,8−ジアミノ−オクタン、
3,3,5−トリメチル−1,8−ジアミノ−オクタ
ン、2,4−ジエチル−1,8−ジアミノ−オクタン、
および5−メチル−1,9−ジアミノ−ノナンから誘導
される成分単位を挙げることができる。
【0024】なお、本発明において、側鎖アルキル基を
有するアルキレンジアミン成分単位の説明で示す炭素原
子数は、特に限定しないかぎり、主鎖アルキレン基の炭
素原子数と側鎖アルキル基の炭素原子数との合計であ
る。
【0025】上記のような側鎖アルキル基を有するアル
キレンジアミン成分単位の中でも、炭素原子数1〜2の
側鎖アルキル基を1〜2個有すと共に、主鎖の炭素原子
数が4〜10である側鎖アルキルジアミンから誘導され
る成分単位が好ましく、さらに2−メチル−1,5−ジ
アミノペンタン成分単位が特に好ましい。
【0026】以下に本発明で用いる特に好ましい側鎖ア
ルキルジアミンである2−メチル−1,5−ジアミノペ
ンタンから誘導された成分単位を有する繰り返し単位の
例を、下記式[III]
【化4】 式中、R2 は、その45乃至100モル%がp−フェニ
レン基であるという条件下に、p−フェニレン基、m−
フェニレン基またはアルキレン基などの二価の炭化水素
基である、に示す。
【0027】本発明で用いることのできるポリアミド
は、ジカルボン酸成分単位として、上記の主成分単位で
あるテレフタル酸成分単位、さらにイソフタル酸成分単
位に代表されるテレフタル酸以外の二価の芳香族カルボ
ン酸から誘導される成分単位および上述の脂肪族ジカル
ボン酸成分単位の外に、少量のトリメリット酸あるいは
ピロメリット酸のような三塩基性以上の多価カルボン酸
から誘導される成分単位を含有していてもよい。ポリア
ミド中に、このような多価カルボン酸から誘導される成
分単位は、通常は0〜5モル%含有されている。
【0028】本発明で用いるポリアミドについて、濃硫
酸中30℃の温度で測定した極限粘度[η]は、通常は
0.5〜3.0dl/g、好ましくは0.5〜2.8d
l/g、特に好ましくは0.6〜2.5dl/gの範囲
にある。
【0029】また、本発明で用いるポリアミドは、従来
から使用されている脂肪族ポリアミドよりも高い融点を
示すが、その融点は多くの場合310℃を超えない。す
なわち本発明で用いるポリアミドは、通常は280〜3
05℃の融点を有しており、多くの場合、290〜30
5℃の範囲内に融点を有する。さらに本発明で用いるポ
リアミドは、耐熱性が特に優れていると共に、吸水率が
低く、成型品のアニールによる後結晶化が少ない。また
本発明で用いるポリアミドの非晶部におけるガラス転移
温度は通常は80℃以上、好ましくは90〜150℃の
範囲内にある。
【0030】本発明で用いるポリアミドは、ジカルボン
酸成分とジアミン成分との重縮合により製造することが
できる。具体的には、このポリアミドは、テレフタル
酸、或いは更にテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン
酸、脂肪族ジカルボン酸と、直鎖状ジアルキレンジアミ
ン、及び側鎖アルキル基を有するアルキレンジアミンと
を、上述の量で水性媒体中に配合し、次亜リン酸ナトリ
ウム等の触媒の存在下に、加圧しながら加熱してまずポ
リアミド前駆体を製造し、次いでこのポリアミド前駆体
を溶融混練することにより製造することができる。な
お、ポリアミド前駆体を製造する際には、安息香酸のよ
うな分子量調整剤を配合することもできる。
【0031】また、本発明で用いるポリアミドは、側鎖
アルキル基を有するポリアミドと側鎖を有しないポリア
ミドとを個別に製造し、これらを溶融混練することによ
りアミド交換反応を行わせて製造することもできる。
【0032】また、本発明で用いるポリアミドは、ジカ
ルボン酸成分単位およびジアミン成分単位が上記範囲内
になるように、組成の異なる少なくとも2種類のポリア
ミドの配合量を調整して、これを溶融混練することによ
り製造することもできる。
【0033】例えば、本発明で用いるポリアミド(A)
の代表的なものとして、 (A−1):ジカルボン酸成分単位が、テレフタル酸成
分単位45〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香
族ジカルボン酸成分単位0〜55モル%および/または
炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜
55モル%とからなり、且つジアミン成分単位が、炭素
原子数4〜18の直鎖アルキレンジアミン成分単位10
0モル%であるポリアミド(以下、「直鎖ポリアミド」
と呼ぶ)及び、 (A−2):ジカルボン酸成分単位が、テレフタル酸成
分単位45〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香
族ジカルボン酸成分単位0〜55モル%および/または
炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜
55モル%とからなり、且つジアミン成分単位が、炭素
原子数4〜18の直鎖アルキレンジアミン成分単位5〜
95モル%および側鎖アルキル基を有する炭素原子数4
〜18のアルキレンジアミン成分単位5〜95モル%か
らなるポリアミド(以下、「側鎖ポリアミド」と呼ぶ)
を例示することができ、直鎖ポリアミド(A−1)と側
鎖ポリアミド(A−2)とは、溶融混練等により組み合
わされていてもよい。
【0034】直鎖ポリアミド(A−1)としては、以下
のものを例示することができる。 (A−1−1):前記式[I−a]と[II]の構成成分
単位からなるポリアミド。但し、式[I−a]及び[I
I]中のR1 基は、何れも直鎖のアルキレン基(C数:
4〜18)とする。この場合、[I−a]単位が45モ
ル%以上、好ましくは45乃至70モル%、最も好まし
くは45乃至60モル%、[II]単位が55モル%以
下、好ましくは55乃至30モル%、最も好ましくは5
5乃至40モル%の範囲にあるのがよい。
【0035】(A−1−2):前記式[I−a]と[I
−b]と[II]との構成成分単位からなるポリアミド。
但し、式[I−a],[I−b]及び [II]中のR1
は、何れも直鎖のアルキレン基(C数:4〜18)とす
る。この場合、[I−a]単位が50乃至80モル%、
好ましくは60乃至70モル%、[I−b]単位が10
乃至40モル%、好ましくは20乃至30モル%、[I
I]単位が30乃至5モル%、好ましくは20乃至10
モル%の範囲にあるのがよい。
【0036】側鎖ポリアミド(A−2)としては、以下
のものを例示することができる。 (A−2−1):前記式[I−a]と [III]との構成成
分単位からなるポリアミド。但し、式[I−a]中のR
1 基は直鎖のアルキレン基(C数:4〜18)とし、式
[III]中のR2 基は、p−フェニレン基とする。この場
合、[I−a]単位が5乃至95モル%、好ましくは3
0乃至70モル%、最も好ましくは40乃至60モル
%、 [III]単位が、95乃至5モル%、好ましくは70
乃至30モル%、最も好ましくは60乃至40モル%の
範囲にあるのがよい。
【0037】(A−2−2):前記式[I−a]と[I
−b]と [III]との構成成分単位からなるポリアミド。
但し、式[I−a] 及び[I−b]中のR1 基は何れも
直鎖のアルキレン基(C数:4〜18)とし、式 [III]
中のR2 基は、p−フェニレン基とする。。この場合、
[I−a]単位が25乃至65モル%、好ましくは30
乃至50モル%、[I−b]単位が5乃至30モル%、
好ましくは10乃至20モル%、 [III]単位が30乃至
70モル%、好ましくは40乃至60モル%の範囲にあ
るのがよい。
【0038】上記の直鎖ポリアミド(A−1)と側鎖ポ
リアミド(A−2)とを組み合わせてポリアミド(A)
として用いる場合、直鎖ポリアミド(A−1)が45重
量部以上、特に50乃至95重量部、側鎖ポリアミド
(A−2)を5重量部以上、特に5乃至50重量部の量
で用いるのが好ましい。これらの中でも、(A−1−
1)の直鎖ポリアミドと(A−2−1)の側鎖ポリアミ
ドとからポリアミド(A)を調製する場合、(A−1−
1)を45乃至95重量%、好適には60乃至90重量
%、最も好適には70乃至85重量%、(A−2−1)
が55乃至5重量%、好適には40乃至10重量%、最
も好適には30乃至15重量%の量で用いるのがよい。
この範囲において、クリープが優れ、白い粉の発生の少
ない半芳香族ポリアミド樹脂組成物を得ることができ
る。
【0039】[変性エチレン・α−オレフィン共重合体
(B)]本発明で用いる変性エチレン・α−オレフィン
共重合体(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体
[B1]を不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフ
ト変性されたものである。
【0040】このグラフト変性前のエチレン・α−オレ
フィン共重合体[B1]は、エチレンと炭素原子数3〜
20のα−オレフィンとからなる。このエチレン・α−
オレフィン共重合体[B1]のエチレン含有量は、70
モル%以上、好ましくは80〜98モル%である。
【0041】上記α−オレフィンとしては、具体的に
は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−
デセンなどが挙げられる。中でも、1−ブテン、1−ヘ
キセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好
ましく用いられる。これらのα−オレフィンは、単独
で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0042】また、エチレン・α−オレフィン共重合体
[B1]は、密度が0.89〜0.95g/cm3 、好
ましくは0.90〜0.94g/cm3 、特に好ましく
は0.91〜0.93g/cm3 の範囲にあるものであ
る。この範囲でクリープ特性が優れ、白い粉の発生の少
ない組成物を得ることが出来る。
【0043】さらに、エチレン・α−オレフィン共重合
体[B1]は、示差走査型熱量計(DSC)により測定
した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(融点;Tm)が
90℃乃至127℃、好ましくは95〜120℃の範囲
である。
【0044】さらにまた、エチレン・α−オレフィン共
重合体[B1]は、X線回折法により測定した結晶化度
が20〜60%、さらに好ましくは25〜55%、好ま
しくは30〜50%の範囲にあり、樹脂状である。
【0045】また、エチレン・α−オレフィン共重合体
[B1]のメルトフローレート(MFR;ASTM D
1238、190℃、2.16kg荷重)は、通常
0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50
g/10分、さらに好ましくは0.2〜20g/10分
の範囲にある。
【0046】上記のような物性を有するエチレン・α−
オレフィン共重合体[B1]は、チタン(Ti)系、バ
ナジウム(V)系、ジルコニウム(Zr)系等の触媒を
用いて、従来公知の方法で製造することができる。
【0047】本発明で用いる変性エチレン・α−オレフ
ィン共重合体(B)は、不飽和カルボン酸またはその誘
導体のグラフト量が、変性エチレン・α−オレフィン共
重合体(B)100重量%に対して、0.01〜5重量
%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲にある。
【0048】上記エチレン・α−オレフィン共重合体
[B1]にグラフトされる不飽和カルボン酸としては、
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。また不飽和カル
ボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミ
ド、イミド、金属塩等が挙げられる。具体的には、無水
マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、マレ
イン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステ
ル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエ
ステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジ
エチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、
マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン
酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエ
チルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレ
イン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミ
ド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノブチルアミ
ド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、
N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アク
リル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル
酸カリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。こ
れらのグラフトモノマーの中では無水マレイン酸を使用
するのが最も好ましい。
【0049】上記のような不飽和カルボン酸またはその
誘導体(グラフトモノマー)を用いたエチレン・α−オ
レフィン共重合体[B1]にのグラフト変性は、従来公
知の種々の方法で行なうことができる。たとえば、エチ
レン・α−オレフィン共重合体[B1]を押出機を用い
て溶融させ、グラフトモノマーを添加してグラフト共重
合させる溶融変性法、あるいはエチレン・α−オレフィ
ン共重合体[B1]を溶媒に溶解させ、グラフトモノマ
ーを添加してグラフト共重合させる溶液変性法がある。
いずれの場合にも、グラフトモノマーを効率よくグラフ
ト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に反
応を開始することが好ましい。
【0050】ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシ
ド、有機ペルエステルなどが好ましく用いられる。具体
的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイル
ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−
ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−
ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベン
ゼン、ラウロイルペルオキシド等の有機ペルオキシド;
tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチル
ペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエ
ート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、te
rt−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペ
ル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバ
レート、クミルペルビバレート、tert−ブチルペル
ジエチルアセテート等の有機ペルエステル;アゾイソブ
チロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート等のアゾ化
合物などが用いられる。これらのうちでは、ジクミルペ
ルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)
ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ter
t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(te
rt−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどの
ジアルキルペルオキシドが好ましい。上記のようなラジ
カル開始剤は、エチレン・α−オレフィン共重合体[B
1]100重量部に対して、通常0.001〜1重量部
の割合で用いられる。
【0051】また、上記グラフト反応に際し、スチレン
のような他のモノマーを共存させてもよい。
【0052】[半芳香族ポリアミド樹脂組成物]本発明
の半芳香族ポリアミド樹脂組成物には、臭素化スチレン
モノマーから製造した下記式[IV]
【化5】 式中、mは1以上5以下の数である、の構造単位を主要
構成成分とするポリ臭素化スチレン、ポリエチレンエー
テルの臭素化物、ポリスチレンの臭素化物等の有機難燃
剤を配合することが出来る。
【0053】ポリ臭素化スチレンは二臭素化スチレン単
位を60重量%以上含有しているものが好ましく、70
重量%以上含有しているものが特に好ましい。二臭素化
スチレン以外に一臭素化スチレンおよび/または三臭素
化スチレンを40重量%以下、好ましくは30重量%以
下共重合したポリ臭素化スチレンであってもよい。
【0054】この有機難燃剤の添加量は、半芳香族ポリ
アミド樹脂100重量部に対して0〜60重量部であ
り、好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜1
5重量部である。また難燃性をより十分出すためには4
0〜60重量部程度入れることが好ましい。0.5重量
部未満では難燃効果が不十分であり、60重量部より多
いときには機械的、熱的特性が低下するため好ましくな
い。
【0055】本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物に
おいて、上記有機難燃剤以外に酸化アンチモン、アンチ
モン酸ソーダ、酸化スズ、酸化鉄、酸化亜鉛、硝酸亜鉛
の中から選ばれた少なくとも1種の難燃助剤を使用する
ことができ、特にアンチモン酸ソーダ、とりわけ550
℃以上の高温で熱処理した実質的に無水のアンチモン酸
ソーダが好ましい。難燃助剤の添加量は0〜10重量部
であり、好ましくは2〜8重量部である。
【0056】本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物に
は、更に必要に応じてPPS(ポリフェニレンスルフィ
ド)、PPE(ポリフェニルエーテル)、PES(ポリ
エーテルスルフォン)、PEI(ポリエーテルイミ
ド)、LCP(液晶ポリマー)およびこれらの樹脂の変
性物などの耐熱性樹脂を配合することもでき、特にポリ
フェニレンスルフィドが好ましい。本発明の半芳香族ポ
リアミド樹脂組成物中における上記耐熱性樹脂の配合量
は通常は50重量%未満、好ましくは0〜40重量%で
ある。
【0057】さらに、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂
組成物には、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止
剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などの酸化
防止剤(耐熱安定剤)を配合することができる。
【0058】リン系酸化防止剤の例としては、9,10
−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレ
ン−10−オキシド、トリフェニルホスファイト、2−
エチルヘキシル酸ホスフェート、ジラウリルホスファイ
ト、トリ−iso−オクチルホスファイト、トリス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリラウリルホスファイト、トリラウリル−ジ−チ
オホスファイト、トリラウリル−トリ−チオホスファイ
ト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリル
ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(モノノ
ニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、
1,1,3−トリス(2−メチル−ジ−トリデシルホス
ファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−ter
t−ブチル)トリデシルホスファイト、4,4′−ブチ
リデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチル−ジ
−トリデシル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホ
スファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスフ
ァイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)4,4′−ビスフェニレンジホスファイト、ジ
ステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリ
デシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、
2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)オクチルホスファイト、ソルビット−トリ
ス−ホスファイト−ジステアリル−モノ−C30−ジオー
ルエステルおよびビス(2,4,6−トリ−tert−
ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
を挙げることができる。これらの中でもビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール
−ジ−ホスファイトおよびビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
−ジ−ホスファイトなどのペンタエリスリトール−ジ−
ホスファイト系のリン系酸化防止剤、並びに、テトラキ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′
−ビスフェニレンジホスファイトを挙げることができ
る。
【0059】フェノール系酸化防止剤の例としては、
3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニル]−
1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,6−ジ−te
rt−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t
ert−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−
(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチ
ルフェノール)プロピオネート、スチレン化フェノー
ル、4−ヒドロキシ−メチル−2,6−ジ−tert−
ブチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチル−ハ
イドロキノン、シクロヘキシルフェノール、ブチルヒド
ロキシアニゾール、2,2′−メチレン−ビス−(4−
メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′
−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチ
ルフェノール)、4,4′−イソ−プロピリデンビスフ
ェノール、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−
6−tert−ブチルフェノール)、1,1−ビス−
(4−ヒドロオキシ−フェニル)シクロヘキサン、4,
4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチ
ルフェノール)、2,6−ビス(2′−ヒドロオキシ−
3′−tert−ブチル−5′−メチルメチルベンジ
ル)4−メチル−フェノール、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロオキシ−5−tert−ブチル−
フェニル)ブタン、1,3,5−トリス−メチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロオキシ−ベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチ
レン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロオキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロオキシフ
ェニル)イソシアヌレート、トリス[β−(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニル−オキシエチル]イソシアネート、4,4′−チ
オビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−tert
−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−メチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)、およびN,
N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブ
チルフェノール−4−ヒドロキシシンナムアミド)を挙
げることができる。
【0060】また、アミン系酸化防止剤の例としては、
4,4′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニ
ルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−
β−ナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェ
ニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フ
ェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニ
ル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イ
ソプロピル−p−フェニレンジアミン、アルドール−α
−ナフチルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−
ジハイドロキノンのポリマーおよび6−エトキシ−2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンを挙げ
ることができる。
【0061】さらに、イオウ系酸化防止剤の例として
は、チオビス(β−ナフトール)、チオビス(N−フェ
ニル−β−ナフチルアミン)、2−メルカプトベンゾチ
アゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ドデシ
ルメルカプタン、テトラメチルチウラムモノサルファイ
ド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジ
ブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサ
ンテート、ジラウリルチオジプロピオネートおよびジス
テアリルチオジプロピオネートを挙げることができる。
【0062】これらの酸化防止剤は、単独であるいは組
み合わせて使用することができる。このような酸化防止
剤の中でも特にリン系酸化防止剤を単独で、あるいは他
の酸化防止剤と組み合わせて使用することが特に好まし
い。
【0063】これらの酸化防止剤は、樹脂成分100重
量部に対して、0.05〜2重量部の量で使用される。
特に0.1〜1.5重量部の範囲内の量で使用すること
が好ましく、0.2〜1.0重量部の範囲内の量で使用
することが特に好ましい。
【0064】また、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組
成物には、無機質強化材として、繊維状、粉状、粒状、
板状、針状、クロス状、マット状等の形状を有する種々
の無機充填材を配合することができる。
【0065】たとえば、繊維状の無機充填剤の好適な例
としては、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維およ
びホウ素繊維を挙げることができる。中でも特にガラス
繊維が好ましい。ガラス繊維を使用することにより、成
形性が向上すると共に、無機質強化材を含有する成形体
の引張り強度、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的特性お
よび熱変形温度などの耐熱特性が向上する。上記のよう
なガラス繊維の平均長さは、通常は、0.1〜20m
m、好ましくは0.3〜6mmの範囲にあり、アスペク
ト比が、通常は10〜2000、好ましくは30〜60
0の範囲にある。平均長さおよびアスペクト比がこのよ
うな範囲内にあるガラス繊維を使用することが好まし
い。このようなガラス繊維は、樹脂成分100重量部に
対して、通常200重量部以下の量で、好ましくは5〜
180重量部の量で、さらに好ましくは5〜150重量
部の量で配合される。
【0066】上記の繊維状の無機充填材の他、本発明に
おいて使用される粉末状、粒状、板状、針状、クロス
状、マット状等の形状を有する種々の充填材の例として
は、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、炭酸カルシウ
ム、二酸化チタン、タルク、ワラストナイト、ケイソウ
土、クレー、カオリン、球状ガラス、マイカ、セッコ
ウ、ベンガラ、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛などの
粉状あるいは板状の無機化合物、チタン酸カリウムなど
の針状の無機化合物を挙げることができる。
【0067】これらの充填材は、2種以上混合して使用
することもできる。また、これらの充填材をシランカッ
プリング剤あるいはチタンカップリング剤などで処理し
て使用することもできる。
【0068】なお、このような充填材の平均粒径は、通
常0.1〜200μm、好ましくは1〜100μmの範
囲内にある。
【0069】このような充填材は、樹脂成分100重量
部に対して、通常200重量部以下の量で、好ましくは
100重量部以下の量で、特に好ましくは1〜50重量
部の量で使用される。
【0070】また、本発明のポリアミド樹脂組成物に
は、特性を損なわない範囲内で、上記の成分の他に、有
機充填剤、熱安定剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、スリ
ップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔
料、染料、天然油、合成油およびワックス等の添加剤が
配合されていてもよい。
【0071】有機充填材の例としては、ポリパラフェニ
レンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタル
アミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミド、ポリメ
タフェニレンイソフタルアミド、ジアミノジフェニルエ
ーテルとテレフタル酸(イソフタル酸)との縮合物およ
びパラ(メタ)アミノ安息香酸の縮合物などの全芳香族
ポリアミド;ジアミノジフェニルエーテルと無水トリメ
リット酸または無水ピロメリット酸との縮合物などの全
芳香族ポリアミドイミド;全芳香族ポリエステル;全芳
香族ポリイミド;ポリベンツイミダゾールおよびポリイ
ミダゾフェナントロリンなどの複素環含有化合物;並び
に、ポリテトラフルオロエチレンなどから形成されてい
る粉状、板状、繊維状あるいはクロス状物などの二次加
工品などを挙げることができる。
【0072】上記のようにして調製した半芳香族ポリア
ミド樹脂組成物を用いて、通常の溶融成形法、例えば圧
縮成形法、射出成形法または押し出し成形法などを利用
することにより、所望の形状の成形体を製造することが
できる。
【0073】例えば、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂
組成物を、シリンダ温度が350〜300℃程度に調整
された射出成形機に投入して溶融状態にして、所定の形
状の金型内に導入することにより成形体を製造すること
ができる。
【0074】本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物を
用いて製造される成形体の形状に特に制限はなく、例え
ば電動工具および一般工業部品、ギヤおよびカムなどの
ような機械部品、ならびに、プリント配線基板および電
子部品のハウジングなどのような電子部品など種々の形
態の成形体を製造することができ、特に自動車内外装部
品、エンジンルーム内部品および自動車電装部品などを
形成するための樹脂としても好適である。
【0075】さらに、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂
組成物は、電子回路を相互に連結するコネクター製造用
の樹脂として有用性が高い。すなわち、上記のような半
芳香族ポリアミド樹脂組成物から製造されたコネクター
は、優れた耐熱性を有していることは勿論、このコネク
ターは高温高湿下で応力下での変形が少ない。
【0076】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの例
に何ら制約されるものではない。尚、実施例において、
融点及び結晶化度の測定、及び得られた樹脂組成物の性
能評価は、次の方法により行った。
【0077】融点:DSCの吸熱曲線を求め、最大ピー
ク位置の温度を融点(Tm)とした。吸熱曲線は、試料
をアルミパンに詰め、200℃まで急激に昇温し、20
0℃で5分間保持した後、20℃/分で室温まで降温
し、ついで10℃/分で昇温させることにより求めた。 結晶化度:試料を用いて1mmのプレスシートを作成
し、23℃でX線回折法により測定した。
【0078】1.機械的強度 曲げ弾性率(FM) ASTMD−790の方法により測定した。 アイゾット衝撃強度(IZ) ASTMD−256(ノッチ有)の方法により測定し
た。 2.曲げクリープ特性 JIS K7116の方法に準じて行った。但し、試験
雰囲気はJIS C0022で規定された温度40℃、
相対湿度93%の条件を採用し、7日後の歪量で評価し
た。また、測定雰囲気を23℃,50%RH、又は40
℃,95%RHとし、各実施例及び比較例で得られた試
験片について、経過時間(日数)とクリープ変形量(m
m)との関係を図2及び図3に示した。 3.金型詰まりの評価 (1)試験片を作成するための図1(A)のような金型
に、末端部に深さ10μm、幅3mm金型のガス抜き
(エアベント)を設置し、以下に示す成形条件で射出成
形した。 (2)成形条件 a.成型機:住友重機械工業株式会社製 SG50−M
III b.成形条件 シリンダ設定温度:330℃ 金型温度 :120℃ 射出速度 :60mm/sec (3)ベント閉塞の判断 未反応モノマー、低次オリゴマー、ポリマー分解物など
の成分が多いポリアミドの成形を繰り返すと、これらの
成分がベントに堆積し、ベントを閉塞させる。また、ベ
ントが閉塞すると、金型内のエアが抜けにくくなり、最
終充填部でガスが断熱圧縮を起こし、高温となる。ガス
が高温となると、接電している樹脂が炭化黒化するた
め、“ガス焼け”が発生し、図1(B)に示す様に、得
られる試験片先端部が黒くなる。 4.熱変形温度(HDT) ASTMD 648の方法により測定した。
【0079】[参考例1]1,6−ジアミノヘキサン1
39.3g(1.20モル)、2−メチル−1,5−ジ
アミノペンタン139.3g(1.20モル)、テレフ
タル酸365.5g(2.2モル)、触媒として次亜リ
ン酸ナトリウム0.55g(5.2×10-3モル)、及
びイオン交換水64ml、を1リットルの反応器に仕込
み、窒素置換後、250℃、35kg/cm2 の条件で
1時間反応を行った。1,6−ジアミノヘキサンと2−
メチル−1,5−ジアミノペンタンとのモル比は50:
50である。1時間経過後、この反応器内に生成した反
応生成物を、この反応器と連結され、かつ圧力を約10
kg/cm2 低く設定した受器に抜き出し、極限粘度
[η]が0.15dl/gのポリアミド前駆体561g
を得た。
【0080】次いで、このポリアミド前駆体を乾燥し、
二軸押出機を用いてシリンダー設定温度330℃で溶融
重合して芳香族ポリアミド(PA−1)を得た。この芳
香族ポリアミドの組成は次の通りである。ジアミン成分
単位中の1,6−ジアミノヘキサン成分単位含有率は、
50モル%、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン成
分単位含有率は、50モル%であった。
【0081】[参考例2]1,6−ジアミノヘキサン2
69.3g(2.32モル)、テレフタル酸205.6
g(1.24モル)、アジピン酸148.0g(1.0
1モル) 触媒として次亜リン酸ナトリウム0.48g(4.50
×10-3モル)、分子量調節剤として安息香酸3.43
g(2.81×10-2モル)、及びイオン交換水62m
l、を1リットルの反応器に仕込み、窒素置換後、25
0℃、35kg/cm2 の条件で1時間反応を行った。
テレフタル酸とアジピン酸とのモル比は55:45であ
る。1時間経過後、この反応器内に生成した反応生成物
を、この反応器と連結され、かつ圧力を約10kg/c
2 低く設定した受器に抜き出し、極限粘度[η]が
0.15dl/gのポリアミド前駆体559gを得た。
【0082】次いで、このポリアミド前駆体を乾燥し、
二軸押出機を用いてシリンダー設定温度330℃で溶融
重合して芳香族ポリアミド(PA−2)を得た。この芳
香族ポリアミドの組成は次の通りである。ジカルボン酸
成分単位中におけるテレフタル酸成分単位含有率は、5
5モル%、アジピン酸成分単位含有率は、45モル%で
ある。
【0083】[実施例1]参考例1で製造した[η]が
1.05dl/gのポリアミドと、参考例2で製造した
[η]が1.00dl/gのポリアミドとをそれぞれ乾
燥した後、25:75の重量比をブレンドし、二軸押出
機を用いてシリンダー設定温度330℃で溶融押出させ
て側鎖にメチル基を有する芳香族ポリアミド組成物を得
た。この芳香族ポリアミドの組成は次の通りである。ジ
アミン成分単位中における1,6−ジアミノヘキサン成
分単位含有率は、88モル%、2−メチル−1,5−ジ
アミノペンタン成分単位含有率は、12モル%である。
ジカルボン酸成分単位中におけるテレフタル酸成分単位
含有率は、66モル%、アジピン酸成分単位含有率は、
34モル%である。
【0084】[変性エチレン・1−ブテン共重合体の製
造]Ti系触媒を用いて調製したエチレン・1−ブテン
共重合体[(PE−1)と略す;密度=0.920g/
cm3 、融点(Tm)=124℃、結晶化度=48%、
MFR(ASTM D 1238 、190 ℃、2.16kg荷重)=1.0
g/10分、エチレン含有量=96モル%]100重量
部、無水マレイン酸0.8重量部、及び過酸化物[商品
名 パーヘキシン−25B、日本油脂(株)製]0.0
7重量部、をヘキシェルミキサーで混合し、得られた混
合物を230℃に設定した65mmφの一軸押出機で溶
融グラフト変性することによって、変性エチレン・1−
ブテン共重合体[(MAH−PE−1)と略す]を得
た。この変性エチレン・1−ブテン共重合体(MAH−
PE−1)の無水マレイン酸グラフト量をIR分析で測
定したところ、0.8重量%であった。またMFR(AS
TM D 1238 、190 ℃、2.16kg荷重)は0.27g/1
0分であり、融点は122℃であった。
【0085】[樹脂組成物の製造]上記のようにして得
られた変性エチレン・1−ブテン共重合体(MAH−P
E−1)20重量部と、上記の方法で得た半芳香族ポリ
アミド組成物80重量部及びタルク2重量部とを、表1
に示した割合で混合し、次いで、30mmφのベント式
二軸スクリュー押出機を用いて300〜335℃のシリ
ンダー温度条件で溶融混合した。こうして得られたペレ
ットを用いて射出成形試験片を調製し、この試験片につ
いて、性能を評価した。評価結果を表1に示す。
【0086】[実施例2]1,6−ジアミノヘキサン2
46.0g(2.116モル)、2−メチル−1,5−
ジアミノペンタン34.4g(0.302モル)、テレ
フタル酸249.4g(1.50モル)、アジピン酸1
13.5g(0.77モル)、触媒として次亜リン酸ナ
トリウム0.45g(4.25×10-3モル)及びイオ
ン交換水65ml、を1リットルの反応器に仕込み、窒
素置換後、250℃、35kg/cm2 の条件で1時間
反応を行った。1時間経過後この反応器内に生成した反
応生成物を、この反応器と連結され、かつ圧力を約10
kg/cm2 低く設定した容器に抜き出し、極限粘度
[η]が0.15dl/gのポリアミド前駆体554g
を得た。次いで、このポリアミド前駆体を乾燥し、二軸
押出機を用いてシリンダー設定温度330℃で溶融重合
して芳香族ポリアミド(PA−3)を得た。この芳香族
ポリアミドの組成は次の通りである。ジアミン成分単位
中の1,6−ジアミノヘキサン成分単位含有率は、88
モル%、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン成分単
位含有率は、12モル%である。ジカルボン酸成分単位
中におけるテレフタル酸成分単位含有率は、66モル
%、アジピン酸成分単位含有率は、34モル%である。
このようにして得たポリアミド(PA−3)を用いる以
外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0087】[比較例1]半芳香族ポリアミド樹脂とし
て参考例1で製造したポリアミド樹脂のみを用いる以外
は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0088】[比較例2]半芳香族ポリアミド樹脂とし
て、参考例2で製造したポリアミド樹脂のみを用いる以
外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0089】[比較例3] [変性エチレン・1−ブテン共重合エラストマーの製
造]V系触媒を用いて調製したエチレン・1−ブテン共
重合体[密度=0.88g/cm3 、MFR(ASTM D 1
238 、190 ℃、2.16kg荷重)=3.6g/10分、エチレン
含有量=90モル%、融点(Tm)=72℃、結晶化度
=16%]100重量部、無水マレイン酸0.5重量
部、及び過酸化物[商品名 パーヘキシン−25B、日
本油脂(株)製]0.045重量部、をヘキシェルミキ
サーで混合し、得られた混合物を230℃に設定した6
5mmφの一軸押出機で溶融グラフト変性することによ
って、変性エチレン・1−ブテン共重合体[MAH−P
E−2と略す]を得た。この変性エチレン・1−ブテン
共重合体(MAH−PE−2)の無水マレイン酸グラフ
ト量をIR分析で測定したところ、0.5重量%であっ
た。またMFR(ASTM D 1238 、190 ℃、2.16kg荷
重)は2.1g/10分であり、融点は71℃であった。
このMAH−PE−2を用いる以外は実施例1と同様に
行った。結果を表1に示す。
【0090】[実施例3]参考例1で製造した[η]が
1.05dl/gのポリアミド前駆体と、参考例2で製
造した[η]が1.00dl/gのポリアミドとをそれ
ぞれ乾燥した後、37.5:62.5の重量比をブレン
ドし、二軸押出機を用いてシリンダー設定温度330℃
で溶融押出させて側鎖にメチル基を有する芳香族ポリア
ミド組成物を得た。この芳香族ポリアミドの組成は次の
通りである。ジアミン成分単位中における1,6−ジア
ミノヘキサン成分単位含有率は、81モル%、2−メチ
ル−1,5−ジアミノペンタン成分単位含有率は、19
モル%である。ジカルボン酸成分単位中におけるテレフ
タル酸成分単位含有率は、72モル%、アジピン酸成分
単位含有率は、28モル%である。
【0091】[樹脂組成物の製造]実施例で用いた変性
エチレン・1−ブテン共重合体(MAH−PE−1)2
0重量部と、上記の方法で得た半芳香族ポリアミド組成
物80重量部及びタルク1重量部とを、表1に示した割
合で混合し、次いで、30mmφのベント式二軸スクリ
ュー押出機を用いて300〜335℃のシリンダー温度
条件で溶融混合した。こうして得られたペレットを用い
て射出成形試験片を調製し、この試験片について、性能
を評価した。評価結果を表1に示す。
【0092】[比較例4]実施例1においてMAHPE
−1を配合しない以外は実施例1と同様に行った。結果
を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】本発明の半芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、流動性が優れており、成形温度を低くできる。ま
た、本発明の樹脂組成物は、成形中のオリゴマー析出量
が少ないため、成形金型のベント孔がつまりにくく、長
時間成形に適している。更に、本発明の樹脂組成物は、
耐熱老化性、耐熱変形性に優れている。このような特性
を利用して、本発明の樹脂組成物は、電動工具、一般工
業部品、機械部品、電子部品、自動車内外装部品、エン
ジンルーム内部品、自動車電装部品用の熱可塑性樹脂と
して好適に使用することができる。本発明の半芳香族ポ
リアミド樹脂組成物を使用することにより、上記のよう
に良好な靭性を有する成形品を製造することができ、し
かもこのような靭性の低下を抑制することによっても、
芳香族ポリアミドが本質的に有している他の優れた特
性、例えば機械的強度、低吸水性などの特性が殆ど低下
しないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において、金型詰まりの評価に使用した
金型の断面図(A)及び成型品の「ガス焼け」を示す図
(B)である。
【図2】実施例及び比較例について、測定雰囲気を23
℃、50%RHとし、経過時間(日数)とクリープ変形
量(mm)との関係を示すグラフである。
【図3】実施例及び比較例について、測定雰囲気を40
℃、95%RHとし、経過時間(日数)とクリープ変形
量(mm)との関係を示すグラフである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)主たる構成成分単位がジカルボン
    酸成分単位とジアミン成分単位とからなる繰り返し単位
    から形成されるポリアミドであって、 該ジカルボン酸成分単位の少なくとも45モル%以上
    が、テレフタル酸成分単位であり、 該ジアミン成分単位が、炭素原子数4〜18の直鎖アル
    キレンジアミン成分単位55〜99モル%および側鎖ア
    ルキル基を有する炭素原子数4〜18のアルキレンジア
    ミン成分単位1〜45モル%から成る融点280〜33
    0℃のポリアミド共重合体99ないし60重量%、及び (B)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィン
    との共重合体であって、 (i)密度が0.89〜0.95g/cm3 の範囲にあ
    り、 (ii)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱
    曲線の最大ピーク位置の温度(融点;Tm)が90ない
    し127℃であり、且つ (iii) X線回折法により測定した結晶化度が20%ない
    し60%であるエチレン・α−オレフィン共重合体を、
    不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性したグラフト
    量が0.01〜5重量%である変性エチレン・α−オレ
    フィン共重合体1ないし40重量%、からなることを特
    徴とする半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリアミド共重合体(A)が、全ジカル
    ボン酸単位当り55モル%以下の範囲でテレフタル酸以
    外の芳香族カルボン酸単位及び/又は炭素数4〜20の
    脂肪族ジカルボン酸単位を含有している請求項1に記載
    の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 炭素原子数4〜18の直鎖アルキレンジ
    アミン成分単位が、1,6−ジアミノヘキサン成分単位
    であることを特徴とする請求項1記載の半芳香族ポリア
    ミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 側鎖アルキル基を有する炭素原子数4〜
    18のアルキレンジアミン成分単位が、2−メチル−
    1,5−ジアミノペンタン成分単位であることを特徴と
    する請求項1記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリアミド共重合体(A)が、(a)ジ
    カルボン酸成分と側鎖アルキル基を有する炭素原子数4
    〜18のアルキレンジアミン成分を含有するジアミン成
    分とを重縮合させるか、(b)ジカルボン酸成分と側鎖
    アルキル基を有する炭素原子数4〜18のアルキレンジ
    アミン成分を含有するジアミン成分とを予め重縮合させ
    て得られる側鎖含有ポリアミド前駆体と他のポリアミド
    前駆体とを重縮合させるか、或いは(c)ジカルボン酸
    成分と側鎖アルキル基を有する炭素原子数4〜18のア
    ルキレンジアミン成分を含有するジアミン成分とを予め
    重縮合させて得られる側鎖含有ポリアミドと他のポリア
    ミドとの間でアミド交換反応させるかして、得られたも
    のであることを特徴とする請求項1記載の半芳香族ポリ
    アミド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリアミド共重合体(A)が、ジカル
    ボン酸成分単位が、テレフタル酸成分単位45〜100
    モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分
    単位0〜55モル%および/または炭素原子数4〜20
    の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜55モル%とからな
    り、且つジアミン成分単位が、炭素原子数4〜18の直
    鎖アルキレンジアミン成分単位5〜95モル%および側
    鎖アルキル基を有する炭素原子数4〜18のアルキレン
    ジアミン成分単位5〜95モル%からなる側鎖含有ポリ
    アミド5〜50重量部と、ジカルボン酸成分単位が、
    テレフタル酸成分単位45〜100モル%と、テレフタ
    ル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜55モル%
    および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン
    酸成分単位0〜55モル%とからなり、且つジアミン成
    分単位が、炭素原子数4〜18の直鎖アルキレンジアミ
    ン成分単位100モル%である芳香族ポリアミド50〜
    95重量部とからなる組成物であることを特徴とする請
    求項5記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 炭素原子数4〜18の直鎖アルキレンジ
    アミン成分単位が、1,6−ジアミノヘキサン成分単位
    であることを特徴とする請求項6記載の半芳香族ポリア
    ミド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 側鎖アルキル基を有する炭素原子数4〜
    18のアルキレンジアミン成分単位が、2−メチル−
    1,5−ジアミノペンタン成分単位であることを特徴と
    する請求項6または7に記載の半芳香族ポリアミド樹脂
    組成物。
  9. 【請求項9】 ポリアミド樹脂組成物が、樹脂成分10
    0重量部に対して、1〜200重量部の無機充填材を含
    有することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載
    の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 無機充填剤がタルクであることを特徴
    とする請求項9記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物。
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