JP2999219B2 - 芳香族ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリアミド樹脂組成物

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JP2999219B2 JP12240290A JP12240290A JP2999219B2 JP 2999219 B2 JP2999219 B2 JP 2999219B2 JP 12240290 A JP12240290 A JP 12240290A JP 12240290 A JP12240290 A JP 12240290A JP 2999219 B2 JP2999219 B2 JP 2999219B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、摺動部品を得るに好適な芳香族ポリアミド
樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、剛性と耐衝撃性と
のバランス、特に耐熱性および自己潤滑性に優れた摺動
部品を提供し得るような摺動部品を得るに好適な芳香族
ポリアミド樹脂組成物に関する。
発明の技術的背景 ポリアミドは、機械的特性、耐摩耗性などに優れてい
るため、ギヤ、カム、軸受などの摺動部品に広く用いら
れている。ところで、特開昭60−144351号公報には、ポ
リアミド(脂肪族ポリアミド)70〜98重量%と、特定の
粒径分布を有する超高分子量ポリエチレン粉末30〜2重
量%とを溶融混練して得られるポリアミド樹脂組成物が
開示されている。しかしながら、このような脂肪族系の
ポリアミド樹脂組成物は、機械的特性、耐摩耗性に優れ
ているものの、耐熱性および自己潤滑性が必ずしも充分
でなかった。
また、特開昭62−57458号公報には、耐熱特性、機械
的特性、化学的物理的特性および成形特性に優れたポリ
アミド組成物として、特定の芳香族ポリアミドとポリア
ミドとからなるポリアミド組成物が開示されている。し
かしながら、このような芳香族系のポリアミド樹脂組成
物は、脂肪族系のポリアミド樹脂組成物と比較して耐熱
性が向上しているものの、その向上効果は必ずしも充分
でなく、また自己潤滑性も必ずしも充分でなかった。
したがって、従来より剛性と耐衝撃性とのバランス、
特に耐熱性および自己潤滑性に優れた摺動部品を提供し
得るような摺動部品を得るに好適な芳香族ポリアミド組
成物の出現が望まれていた。
発明の目的 本発明は、芳香族ポリアミドが本来具備している機械
的性質を維持しつつ、剛性と耐衝撃性とのバランス、特
に耐熱性および自己潤滑性に優れた摺動部品を得るのに
好適な摺動部品を得るに好適な芳香族ポリアミド樹脂組
成物を提供することを目的としている。
発明の概要 本発明に係る摺動部品を得るに好適な芳香族ポリアミ
ド組成物は、 芳香族ポリアミド(A):80〜40重量部と、変性ポリ
エチレン(B):20〜60重量部(但し、成分(A)と成
分(B)との合計重量を100重量部とする)とからな
り、 該芳香族ポリアミド(A)は、 テレフタル酸成分単位30〜100モル%と、テレフタル
酸成分単位以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜40モ
ル%および/または脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜70
モル%とからなる芳香族ジカルボン酸成分単位(a)
(但し、全ジカルボン酸成分単位の合計を100モル%と
する。)と、 脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂
環族アルキレンジアミン成分単位とからなるジアミン成
分単位(b) とからなる繰返し単位から構成され、 かつ、30℃濃硫酸中で測定した極限粘度が0.5〜3.0dl
/gの範囲にあり、かつ、融点が280℃以上であり、ま
た、 前記変性ポリエチレン(B)は、 α,β−不飽和カルボン酸、その無水物またはその誘
導体でグラフト変性され、かつX線による結晶化度が60
%以上であり、極限粘度[η]が0.8〜35dl/gであるこ
とを特徴としている。
発明の具体的説明 以下、本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂
組成物について具体的に説明する。
本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、芳香族ポリアミド(A)と変性ポリエチレン(B)
とから構成されている。
芳香族ポリアミド(A) 本発明で用いられる芳香族ポリアミドは、特定のジカ
ルボン酸成分単位(a)と、ジアミン成分単位(b)と
からなる繰返し単位から構成されている。
そして、本発明において、使用される芳香族ポリアミ
ド(以下単にポリアミドともいう)を構成する特定のジ
カルボン酸成分単位(a)は、必須成分としてテレフタ
ル酸成分単位を含む。このようなテレフタル酸成分単位
を含むポリアミドの繰返し単位は、次式[I−a]で表
わすことができる。
ただし、上記式[I−a]において、R1は、脂肪族ア
ルキレン基、好ましくは炭素原子数4〜25のアルキレン
基および/または脂環族アルキレン基を表わす。
本発明において使用されるポリアミドを構成する特定
のジカルボン酸成分単位は、上記のようなテレフタル酸
成分単位以外に他のジカルボン酸成分単位を含んでいて
もよい。
このようなテレフタル酸成分以外の他のジカルボン酸
成分単位としては、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボ
ン酸成分単位と脂肪族ジカルボン酸成分単位とがある。
従って、本発明で使用されるテレフタル酸以外の芳香
族ジカルボン酸成分単位の例としては、イソフタル酸
(IA)、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸等から導かれる成分単位を挙げることが
できる。本発明のポリアミドがテレフタル酸以外の芳香
族ジカルボン酸成分単位を含む場合、このような成分単
位としては、イソフタル酸またはナフタレンジカルボン
酸成分単位が好ましく特にイソフタル酸成分単位が好ま
しい。
このようなテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分単位のうち、本発明において特に好ましいイソフタル
酸成分単位を有する繰返し単位は、次式[I−b]で表
わすことができる。
ただし、上記式[I−b]において、R1は脂肪族アル
キレン基、好ましくは炭素原子数4〜25の脂肪族アルキ
レン基および/または脂環族アルキレン基を表わす。
さらに、本発明において、使用される脂肪族ジカルボ
ン酸成分単位は、炭素原子数は特に限定されないが、通
常、4〜20、好ましくは6〜12のアルキレン基を有する
脂肪族ジカルボン酸から誘導される。このような脂肪族
ジカルボン酸成分単位を誘導するために用いられる脂肪
族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸
(AA)、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン
酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸を
挙げることができる。本発明のポリアミドが脂肪族ジカ
ルボン酸成分単位を含む場合、このような成分単位とし
ては、特にアジピン酸成分単位が好ましい。
このような脂肪族ジカルボン酸成分単位を含む繰返し
単位は、次式[II]で表わすことができる。
ただし、上記式[II]において、nは通常、4〜20、
好ましくは6〜12の整数を表わす。R1は前記と同様であ
る。
上記のようなジカルボン酸成分とともに、本発明で使
用されてポリアミド(A)を構成するジアミン成分単位
(b)は、脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/
または脂環族アルキレンジアミン成分単位から誘導され
る成分単位であり、脂肪族アルキレンジアミン成分単位
の内では炭素原子数4〜18の脂肪族アルキレンジアミン
から誘導される成分単位が好ましい。
このような脂肪族アルキレンジアミン成分単位の具体
例としては、 1,4−ジアミノブタン 1,6−ジアミノヘキサン、 トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン 1,7−ジアミノヘプタン、 1,8−ジアミノオクタン、 1,9−ジアミノノナン、 1,10−ジアミノデカン、 1,11−ジアミノウンデカン、 1,12−ジアミノドデカン 等の直鎖状アルキレンジアミン、 および、 1,4−ジアミノ−1,1−ジメチルブタン、 1,4−ジアミノ−1−エチルブタン、 1,4−ジアミノ−1,2−ジメチルブタン、 1,4−ジアミノ−1,3−ジメチルブタン、 1,4−ジアミノ−1,4−ジメチルブタン、 1,4−ジアミノ−2,3−ジメチルブタン、 1,2−ジアミノ−1−ブチルエタン、 1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、 1,6−ジアミノ−2,4−ジメチルヘキサン、 1,6−ジアミノ−3,3−ジメチルヘキサン、 1,6−ジアミノ−2,2−ジメチルヘキサン、 1,6−ジアミノ−2,2−4−トリメチルヘキサン、 1,6−ジアミノ−2,4,4−トリメチルヘキサン、 1,7−ジアミノ−2,3−ジメチルヘプタン、 1,7−ジアミノ−2,4−ジメチルヘプタン、 1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、 1,7−ジアミノ−2,2−ジメチルヘプタン、 1,8−ジアミノ−1,3−ジメチルオクタン、 1,8−ジアミノ−1,4−ジメチルオクタン、 1,8−ジアミノ−2,4−ジメチルオクタン、 1,8−ジアミノ−3,4−ジメチルオクタン、 1,8−ジアミノ−4,5−ジメチルオクタン、 1,8−ジアミノ−2,2−ジメチルオクタン、 1,8−ジアミノ−3,3−ジメチルオクタン、 1,8−ジアミノ−4,4−ジメチルオクタン、 1,6−ジアミノ−2,4−ジエチルヘキサン、 1,9−ジアミノ−5−メチルノナン等の分岐を有する
鎖状のアルキレンジアミンから誘導される成分単位を挙
げることができる。
このような直鎖状あるいは分枝を有する鎖状のアルキ
レンジアミン成分単位のうちでは、直鎖状のアルキレン
ジアミン成分単位が好ましく、とくに1,6−ジアミノヘ
キサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカ
ン、1,12−ジアミノドデカン等の直鎖状アルキレンジア
ミンのうちの1種あるいは2種以上の化合物から誘導さ
れる成分単位が好ましく、さらに好ましくは、1,6−ジ
アミノヘキサン成分単位が好ましい。
脂環族ジアミン成分単位は、通常、炭素原子数が6〜
25程度であり、かつ少なくとも1個の脂環族炭化水素環
を含むジアミンから誘導される成分単位である。
このような脂環族ジアミン成分単位としては、具体的
には、たとえば、 1,3−ジアミノシクロヘキサン、 1,4−ジアミノシクロヘキサン、 1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、 1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、 イソホロンジアミン、 ピペラジン、 2,5−ジメチルピペラジン、 ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、 ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、 4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシル
プロパン、 4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシル
メタン、 4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジメチ
ルジシクロヘキシルメタン、 4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジメチ
ルジシクロヘキシルプロパン、 α−α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−p−
ジイソプロピルベンゼン、 α−α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−m−
ジイソプロピルベンゼン、 α−α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,4
−シクロヘキサン、 α−α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,3
−シクロヘキサンなどの脂環族ジアミンから誘導される
成分単位を挙げることができる。
これらの脂環族ジアミン成分単位のうちでは、ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシ
クロヘキシル)メタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメ
チルジシクロヘキシルメタンが好ましく、特にビス(4
−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノ
シクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)
シクロヘキサン等の脂環族ジアミンから誘導される成分
単位が好ましい。
本発明で使用されるポリアミドは、全ジカルボン酸成
分単位100モル%中、 テレフタル酸成分単位を30〜100モル%; テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位を0
〜40モル% および/または、 脂肪族ジカルボン酸成分単位を0〜70モル%の量で含
む繰返し単位から構成されている。
なお、上記の繰返し単位は、芳香族ジカルボン酸成分
単位として、上記の主成分単位であるテレフタル酸成分
単位、さらにイソフタル酸成分単位に代表されるテレフ
タル酸以外の二価の芳香族カルボン酸から誘導される成
分単位および上述の脂肪族ジカルボン酸成分単位の外
に、少量のトリメリット酸、ピロメリット酸等の三塩基
性以上の多価カルボン酸から誘導される成分単位を含む
繰返し単位を含有していてもよい。本発明で使用される
ポリアミド中におけるこのような多価カルボン酸から誘
導される成分単位を含む繰返し単位の含有率は、通常は
0〜5モル%である。
上記のようなポリアミドは、濃硫酸中30℃の温度で測
定した極限粘度[η]が通常0.5〜3.0dl/g、好ましくは
0.5〜2.8dl/g、特に好ましくは0.6〜2.5dl/gの範囲であ
る。しかも、このポリアミドの融点は280℃以上、好ま
しくは300〜330℃である。このような融点を示すポリア
ミドが配合された組成物を用いて、摺動部品等を形成す
ると耐熱性等に優れた成形品が得られる。
本発明で使用されるポリアミドは、前記式[I−
a]、[I−b]および前記式[II]で表わされる繰返
し単位を含有するポリアミドであってもよく、また、前
記式[I−a]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単
位とするポリアミドと、前記式[I−b]で表わされる
繰返し単位を主な繰返し単位とするポリアミドと、前記
式[II]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位とす
るポリアミドとからなるポリアミドの混合物であっても
よい。
本発明で使用されるポリアミドが混合物である場合、
これらの混合物のうちでも前記式[I−a]で表わされ
る繰返し単位を主な繰返し単位とするポリアミドと、前
記式[I−b]および/または[II]を主な繰返し単位
とするポリアミドとからなる組成物であることが好まし
い。この場合、式[I−a]で表わされる繰返し単位を
主な繰返し単位とするポリアミドの含有率は、通常は30
重量%以上である。
さらにこの場合、前記式[I−b]表わされる繰返し
単位を主な繰返し単位とするポリアミドと、前記式[I
I]で表わされる繰返し単位を主な繰返し単位とするポ
リアミドの混合物との配合比率は、重量比で、通常は0:
100〜40:60、好ましくは0:100〜30:70である。
本発明で使用されるポリアミドは、従来から用いられ
てるポリアミドよりも非常に高いガラス転移温度(Tg)
を示す。すなわち、本発明で使用されるポリアミドのガ
ラス転移温度は、通常は70〜150℃、好ましくは80〜140
℃であり、従来のポリアミドたとえば6,6−ナイロンよ
りも、通常20〜100℃もガラス転移温度が高くなる。
上記のような芳香族ポリアミド(A)は、従来公知の
種々の方法により製造することができる。
たとえば、芳香族ジカルボン酸をハライドにし、直鎖
脂肪族アルキレンジアミンと均一溶液中で重縮合させる
溶液法、極性溶媒中に溶解した芳香族ジカルボン酸のハ
ライドと非極性溶媒中に溶解した直鎖脂肪族アルキレン
ジアミンとを界面で縮合させる界面法などによって芳香
族ポリアミド(A)を製造することができる。また、溶
融重合法あるいは固相重合法により、上記のような芳香
族ポリアミド(A)を製造することもできる。
本発明においては、芳香族ポリアミド(A)は、芳香
族ポリアミド(A)および変性ポリエチレン(B)の合
計重量100重量部に対し、80〜40重量部、好ましくは80
〜60重量部の量で用いられる。
変性ポリエチレン(B) 本発明で用いられる変性ポリエチレン(B)は、α,
β−不飽和カルボン酸、その無水物、またはその誘導体
でグラフト変性された極限粘度[η]0.8〜35dl/gの高
分子量変性ポリエチレンである。この変性ポリエチレン
のX線による結晶化度は60%以上、より好ましくは70%
以上である。このような結晶化度を有する変性ポリエチ
レンを用いると、得られる組成物は剛性が高く、耐熱性
に優れる。
本発明で用いられるポリエチレンとしては、具体的に
は、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、低密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン
が挙げられる。
本発明において、135℃のデカリン溶媒中で測定した
グラフト変性前のポリエチレンの極限粘度[η]は、0.
8〜35dl/g、好ましくは1.0〜15dl/g、さらに好ましくは
2.0〜10dl/gである。
本発明でグラフトモノマーとして使用されるα,β−
不飽和カルボン酸等としては、たとえば、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフ
タル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ナジ
ック酸 (エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5
−エン−2,3−ジカルボン酸)またはこれらの酸無水物
あるいはこれらの誘導体、たとえば酸ハライド、アミ
ド、イミド、エステルなどが挙げられ、具体的には、塩
化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水シ
トラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチ
ルなどが挙げられる。これらの内では、不飽和ジカルボ
ン酸またはその酸無水物が好ましく、特にマレイン酸、
ナジック酸 またはこれらの酸無水物が好適である。
本発明で用いられる変性ポリエチレン(B)のグラフ
トモノマーのグラフト割合は、該ポリエチレン1gに対し
て、0.001〜0.04mg当量、好ましくは0.005〜0.03mg当量
の範囲である。
また、本発明においては、グラフトモノマーとして、
上記のようなα,β−不飽和カルボン酸等の代わりに、
ポリオレフィンのエポキシ変性で用いられる変性剤、た
とえばグリシジルメタクリレート(GMA)、アリルグリ
シジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジ
ルイタコネートなどのグリシジル化合物を用いることも
可能である。
上記の変性ポリエチレンは実質的に未変性のポリエチ
レンを含まないことが好ましく、変性ポリエチレンとし
ては、α,β−不飽和カルボン酸などのグラフトモノマ
ーをポリエチレンにグラフト化して得られる編英ポリエ
チレンそのものが好ましく、この変性ポリエチレンに未
変性のポリエチレンを加えてブレンドしてなる変性ポリ
エチレンを用いてもあまり優れた特性を有する成形体は
得られない。
本発明において、135℃のデカリン溶媒中で測定した
変性ポリエチレン(B)の極限粘度[η]は、0.8〜35d
l/g、好ましくは1.0〜15dl/g、さらに好ましくは2.0〜1
0dl/gである。
極限粘度[η]が上記のような範囲内にある高分子量
の変性ポリエチレン(B)を用いると、前記芳香族ポリ
アミド(A)が本来具備する機械的性質を維持しつつ、
剛性と耐衝撃性とのバランスに優れるとともに、耐熱性
および自己潤滑性にも優れた摺動部品を得るのに好適な
摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組成物が得られる。
不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれるグラ
フトモノマーを前記のベースとなるポリエチレンにグラ
フト共重合して上記のような変性ポリエチレン(B)を
製造するには、従来公知の種々の方法を採用することが
できる。たとえば、ポリエチレンを溶融させグラフトモ
ノマーを添加してグラフト共重合させる方法、あるいは
ポリエチレンを溶媒に溶解させグラフトモノマーを添加
してグラフト共重合させる方法がある。いずれの場合に
も、上記グラフトモノマーを効率よくグラフト共重合さ
せるためには、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施す
ることが好ましい。グラフト反応は通常60〜350℃の温
度で行なわれる。ラジカル開始剤の使用割合はポリエチ
レン100重量部に対して通常0.001〜1重量部の範囲であ
る。ラジカル開始剤としては有機ペルオキシド、有機ペ
ルエステル、その他アゾ化合物が挙げられる。これらラ
ジカル開始剤の中でもジクミルペルオキシド、ジ−tert
−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert
−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビ
ス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンな
どのジアルキルペルオキシドが好ましい。
本発明においては、変性ポリエチレン(B)は、芳香
族ポリアミド(A)および変性ポリエチレン(B)の合
計重量100重量部に対し、20〜60重量部、好ましくは20
〜40重量部の量で用いられる。
本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、上記のように芳香族ポリアミド(A)と変性ポリエ
チレン(B)とを必須の構成成分とするが、これらの必
須成分の他に必要に応じて、無機充填剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、光保護剤、耐熱安定剤、亜燐酸塩安定
剤、過酸化物分解剤、塩基性補助剤、増核剤、可塑剤、
潤滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料などを含んで
いてもよい。
上記の無機充填剤としては、粉末状、粒状、板状、繊
維状、ストランド状、クロス状、マット状を有する種々
の充填剤などを挙げることができ、具体的には、シリ
カ、アルミナ、シリカアルミナ、タルク、ケイソウ土、
クレー、カオリン、石英、ガラス、マイカ、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、セッコウ、ベンガラ、二酸化チ
タン、酸化亜鉛、アルミニウム、銅、ステンレスなどの
粉状、板状の無機系化合物、ガラス繊維、カーボン繊
維、ホウ素繊維、セラミック繊維、石綿繊維、ステンレ
ススチール繊維などの繊維状の無機化合物またはこれら
のクロス状物などの2次加工品などが挙げられる。
また、これらの充填剤をシランカップリング剤あるい
はチタンカップリング剤などで処理して使用することも
できる。
前記無機充填剤のうち、粉末状の無機充填剤として
は、具体的には、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、
二酸化チタン、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリ
テトラフルオロエチレンなどを挙げることができ、特に
グラファイト、二硫化モリブデンまたはポリテトラフル
オロエチレンを使用すると、本発明に係る摺動部品用芳
香族ポリアミド樹脂組成物から得られる成形体の動摩擦
係数、テーバー摩耗、限界PV値などの耐摩耗性が向上す
るようになるので好ましい。
このような粉末状の無機充填剤の平均粒径は、通常、
0.1mμ〜200μm、好ましくは1mμ〜100μmの範囲にあ
ることが望ましい。平均粒径がこのような範囲にある
と、芳香族ポリアミド樹脂組成物から得られる成形体の
耐摩耗性が著しく向上してくるので好ましい。
このような粉末状の無機充填剤は、芳香族ポリアミド
(A)および変性ポリエチレン(B)の合計重量100重
量部に対して、通常、200重量部以下の量で、好ましく
は150重量部以下の量で、特に好ましくは10〜100重量部
の量で含まれていることが望ましい。
また、前記充填剤のうちで、繊維状の無機充填剤とし
ては、具体的には、ガラス繊維、カーボン繊維またはホ
ウ素繊維などを挙げることができる。このような繊維を
使用すると、芳香族ポリアミド樹脂組成物から得られる
成形体の引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率などの機械的
特性、熱変形温度などの耐熱特性、耐水性などの物理的
化学的特性などが向上するようになるので好ましい。
上記のような繊維状の無機充填剤の平均長さは、通
常、0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmの範囲にあること
が望ましい。繊維状の無機充填剤の平均長さがこのよう
な範囲にあると、芳香族ポリアミド樹脂組成物の成形性
が向上し、かつこの芳香族ポリアミド樹脂組成物から得
られる成形体の熱変形温度などの耐熱特性、引張強度、
曲げ強度などの機械的特性などが向上するようになるの
で好ましい。
このような繊維状の無機充填剤は、芳香族ポリアミド
(A)および変性ポリエチレン(B)の合計重量100重
量部に対して、通常、150重量部以下の量で、好ましく
は5〜100重量部の量で、さらに好ましくは10〜50重量
部の量で本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物に含まれ
ることが望ましい。
本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、前記摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組成物の各構
成成分を溶融状態に維持しながら充填剤を配合するなど
の方法により調製することができる。この際、押出機、
ニーダーなどを用いることができる。
上記のような本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミ
ド樹脂組成物は、通常の溶融成形法、たとえば圧縮成形
法、射出成形法または押出し成形法などによって成形す
ることができる。
本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組成物
の用途としては、摺動部品、たとえばビデオ、ラジカ
セ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品に用いら
れるギア、カム(ダンパーカムを含む)、スイッチ(マ
イクロスイッチを含む)ローラー、リール、ブッシュな
どの摺動部品、ファクシミリ、コンピューター、タイプ
ライター、ワープロ、複写機などのOA機器に用いられる
ギア、スイッチ、レバー、キーボード、キースライダー
などの摺動部品、コンベア、コンバイン、自動販売機、
健康機具などの一般機械に用いられる軸受、ローラー、
バケット、パッカー、ギアなどの摺動部品、自動車に用
いられるサスペンションブッシュなどの摺動部品、建築
資材に用いられるドア部品、カーテンローラー、サッシ
ガイドローラ、水道メーター羽根車などの摺動部品、玩
具に用いられるギア類などの摺動部品が挙げられる。
発明の効果 本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、テレフタル酸成分単位を含有する芳香族ジカルボン
酸成分単位(a)および特定のジアミン成分単位(b)
からなる芳香族ポリアミド(A)と、α,β−不飽和カ
ルボン酸無水物などのグラフトモノマーで変性された特
定の結晶化度を有する高分子量変性ポリエチレン(B)
とを特定割合で含んでなるので、この組成物を用いれ
ば、芳香族ポリアミドが本来具備している機械的性質を
維持しつつ、剛性と耐衝撃性とのバランス、特に耐熱性
および自己潤滑性に優れた摺動部品が得られるという効
果がある。
また本発明に係る摺動部品用芳香族ポリアミド樹脂組
成物は、従来のポリアミドと比較して吸湿による機械的
物性の低下および吸湿による寸法変化が少ないという効
果がある。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 [芳香族ポリアミドの合成] 1,6−ジアミノヘキサン254g(2.19M)、テレフタル酸
247g(1.49M)、イソフタル酸106g(0.64M)と触媒とし
て次亜リン酸ナトリウム0.45g(4.25×10-3M)とイオン
交換水148mlを1.0の反応器に仕込み、窒素置換後250
℃、35kg/cm2で1時間反応を行なった。反応終了後反応
器より約10kg/cm2低く設定した圧力の受器へ抜き出し、
極限粘度[η]が0.10dl/g(濃硫酸、30℃)のポリアミ
ド545gを得た。
次いで、このポリアミドを乾燥した後、二軸押出機を
用いてシリンダー設定温度330℃で溶融重合して極限粘
度[η]が1.1dl/g(濃硫酸、30℃)の芳香族ポリアミ
ドを得た。
この芳香族ポリアミド中のテレフタル酸成分単位のモ
ル%は71%であり、融点は320℃であった。
[変性ポリエチレンの合成] 極限粘度[η]が3.74dl/gであり、X線による結晶化
度が75%である高密度ポリエチレン[三井石油化学工業
(株)ハイゼックス8000F]のペレット5kgに、アセトン
25gに溶解させた無水マレイン酸50g、有機過酸化物[日
本油脂(株)製、パーヘキシン25B 商標2gを加えて充
分混合した後、二軸押出機[池貝鉄工(株)、PCM45]
によりシリンダー温度250℃で溶融下反応を行ない、ペ
レタイザーにてペレット化した。得られた変性ポリエチ
レンのX線による結晶化℃は75%であり、極限粘度
[η]は3.50dl/gであった。
得られた樹脂の無水マレイン酸含量は、0.96重量%で
あった。
[熱可塑性樹脂組成物の製造] 上記の芳香族ポリアミド60重量部と上記の変性ポリエ
チレン40重量部との合計100重量部と、配合剤としてテ
トラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ)ヒドロシンナメート]メタン[日本チバガイギ
ー(株)製、商品名IRGANOX1010]0.35重量部、テトラ
キス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニ
レンジフォスファイト[SANDOZ社製、商品名サイドスタ
ッブP−EPQ]0.1重量部およびステアリン酸カルシウム
[日本油脂(株)製]0.08重量部とをヘンシェルミキサ
ー(三井池製作所製、75)を用いて混合し、次いで、
二軸押出機[池具鉄工(株)製、PCM−45]を用いて、
シリンダー設定温度320℃スクリュー回転数150rpmの条
件でペレタイズしてペレットを得た。
このようにして得られた芳香族ポリアミド樹脂組成物
のペレットを射出成形機[東芝機械製、IS−55)を用い
て、以下の条件で角板を射出成形した。
[射出成形条件] シリンダー温度(℃):320 射出圧力(kg/cm2 ):1次/2次=1000/800 金 型 温 度(℃):50 上記角板について、引張特性、曲げ特性、耐衝撃性、
耐熱性および自己潤滑性を下記の方法に従って評価し
た。
[評価方法] (1)引張特性 ASTM D 638、ただし試験片形状をASTM 4号とし、引張
速度を20mm/分とし、破断点抗張力(TS:kg/cm2)および
破断点伸び(EL:%)を求める。
(2)曲げ特性 ASTM D 790に準じてサイズ3mm×12.7mm×127mmの試験
片を用い、曲げ試験を行なって曲げ強度と曲げ弾性率を
求める。
(3)耐衝撃性 ASTM D 256(ノッチ付)に順じてサイズ3mm×12.7mm
×63.5mmの試験片を用い、衝撃試験を行なって衝撃強度
を求める。
(4)耐熱性 耐熱性は熱変形温度で評価する。
熱変形温度は、ヒートディストーションテスター(東
洋精機製)を用い、ASTM D 648に準じる。
試験片のサイズ:6mm×12.7mm×127mm 荷重:4.64kg/cm2 (5)自己潤滑性 (i)動摩擦係数:松原式摩擦摩耗試験機(東洋ボール
ドウィン製)を用いて、圧縮荷重7.5kg/cm2、すべり速
度12m/分の条件下30分間行ない、摩擦係数を求めた。相
手材はSUS304、摺動面粗度は6sに加工して用いた。
テストピース:射出成形角板(130mm×120mm×3mm)を
用いた。
(ii)限界PV値(kg/cm2・m/分):松原式摩擦摩耗試験
機(東洋ボールドウィン製)を用いて、すべり速度12m/
分、圧縮荷重を2.5kg/cm2から2.5kg/cm2とびに25kg/cm2
まで段階的に大きくし、各条件下30分持続して樹脂が摩
擦熱で溶融するPV値(荷重×速度)を求めた。相手材は
SUS304、摺動面粗度は6sに加工して用いた。
テストピース:射出成形角板(130mm×120mm×3mm)を
用いた。
なお、限界PV値とは、軸受材料が一定の荷重(P)と
速度(V)以上になった場合に、軸受材料が発熱して融
けたり、あるいは焼けついたりする負荷の限界値をい
う。
[結晶化度測定方法] 250℃のホットプレスで溶融後、23℃のコールドプレ
スにより冷却し1.0mmのプレスシートを作製し、20時間
経過後プレスシートから2×4cmの試料を採取し、X線
回折法によりX線回折曲線を測定し、反射角2θ:4〜30
度をベースラインとして、結晶部と無定形分に分離しそ
の面積を測定した後結晶部を重量%として求めた。
評価結果を表1に示す。
実施例2 実施例1において、上記芳香族ポリアミド80重量部
と、実施例1の変性ポリエチレン40重量部の代わりに、
下記の変性ポリエチレン20重量部とを用いた以外は、実
施例1と同様にして、ペレットさらには角板を得、得ら
れた角板について前記物性を評価した。
[変性ポリエチレンの合成] 極限粘度[η]が1.45dl/gであり、X線による結晶化
度が80%である高密度ポリエチレン[三井石油化学工業
(株)ハイゼックス2200J]のペレット5kgに、アセトン
25gに溶解させた無水マレイン酸50g、有機過酸化物[日
本油脂(株)製、パーヘキシン25B 商標2gを加えて充
分混合した後、二軸押出機[池具鉄工(株)、PCM45]
によりシリンダー温度250℃で溶融下反応を行ない、ペ
レタイザーにてペレット化した。得られた樹脂(変性ポ
リエチレン)のX線による結晶化度は80%であり、極限
粘度[η]は1.30dl/gであった。
得られた樹脂の無水マレイン酸含量は、0.97重量%で
あった。
評価結果を表1に示す。
比較例1 実施例1において、実施例1の芳香族ポリアミドおよ
び変性ポリエチレンの代わりに、ポリカプラミド[ユニ
チカ(株)製、ナイロン6品番A 1030BRL]100重量部を
用いた以外は、実施例1と同様にして、ペレットさらに
は角板を得、得られた角板について前記物性を評価し
た。
評価結果を表1に示す。
実施例3 実施例1において、芳香族ポリアミドおよび変性ポリ
エチレンの配合量をそれぞれ90重量部、10重量部とした
以外は、実施例1と同様にして、ペレットさらには角板
を得、得られた角板について前記物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
実施例4 実施例1において、芳香族ポリアミドの配合量を80重
量部とし、実施例1の変性ポリエチレン40重量部の代わ
りに、下記の変性ポリエチレン20重量部を用いた以外
は、実施例1と同様にして、ペレットさらには角板を
得、得られた角板について前記物性を評価した。
[変性ポリエチレンの合成] 極限粘度[η]が2.3dl/gであり、X線による結晶化
度が79%である高密度ポリエチレン[三井石油化学工業
(株)ハイゼックス6200B]のペレット5kgに、アセトン
25gに溶解させた無水マレイン酸50g、有機過酸化物[日
本油脂(株)製、パーヘキシン25B 商標]2gを加えて
充分混合した後、二軸押出機[池具鉄工(株)、PCM4
5]によりシリンダー温度250℃で溶融下反応を行ない、
ペレタイザーにてペレット化した。得られた樹脂(変性
ポリエチレン)のX線による結晶化度は79%であり、極
限粘度[η]は2.1dl/gであった。
得られた樹脂の無水マレイン酸含量は、0.98重量%で
あった。
評価結果を表1に示す。
比較例2 実施例1において、実施例1の芳香族ポリアミドおよ
び変性ポリエチレンの代わりに、実施例1の芳香族ポリ
アミド100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、ペレットさらには角板を得、得られた角板について
前記物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
比較例3 実施例1において、芳香族ポリアミドの配合量を80重
量部とし、実施例1の変性ポリエチレン40重量部の代わ
りに、下記の未変性の超高分子量ポリエチレン20重量部
を用いた以外は、実施例1と同様にして、ペレットさら
には角板を得、得られた角板について前記物性を評価し
た。
[超高分子量ポリエチレンの合成] 内容積2のオートクレーブに精製ヘキサン750mlを
装入する。トリエチルアルミニウム0.75mmol、ジフェニ
ルジメトキシシラン0.075mmolおよび予備重合処理され
た触媒成分をチタン原子に換算して0.075mmol装入して
撹拌した。その後、70℃まで昇温してエチレンの供給を
はじめ70℃で全圧6.0kg/cm2Gを維持するよう5時間に亙
って供給して重合を行なった。
重合終了後、降温、脱圧した。得られた超高分子量ポ
リエチレンの収量は198gで、極限粘度[η](デカリン
中、135℃)は17.4dl/g、トルクは42kg・cmであった。
評価結果を表1に示す。
比較例4 実施例1において、実施例1の芳香族ポリアミドおよ
び変性エチレンの代わりに、ポリカプラミド[ユニチカ
(株)製、ナイロン6品番A 1030BRL]80重量部および
比較例3の超高分子量ポリエチレン20重量部を用いた以
外は、実施例1と同様にして、ペレットさらには角板を
得、得られた角板について前記物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
実施例5 実施例1において用いられた芳香族ポリアミドに代え
て、下記の芳香族ポリアミドを用いた以外は実施例1と
同様にしてペレットさらには角板を得、得られた角板に
ついて前記物性を評価した。
評価結果を表1に示す。
[芳香族ポリアミドの合成] 1,6−ジアミノヘキサン255.6g(2.2M)、テレフタル
酸(TA)109.6(0.66M)、アジピン酸(AA)225.1g(1.
54M)と触媒として次亜リン酸ナトリウム0.47g(4.4×1
0-3M)とイオン交換水146mlを1.0の反応器に仕込み、
窒素置換後250℃、35kg/cm2で1時間反応を行なった。
反応終了後反応器より約10kg/cm2低く設定した圧力の受
器へ抜き出し、極限粘度[η]が0.18dl/g(濃硫酸、30
℃)のポリアミド510gを得た。
次いで、このポリアミドを乾燥した後、二軸押出機を
用いてシリンダー設定温度310℃で溶融重合して極限粘
度[η]が1.13dl/g(濃硫酸、30℃)の芳香族ポリアミ
ドを得た。
この芳香族ポリアミド中のテレフタル酸成分単位のモ
ル%は30%であり、融点は281℃であった。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テレフタル酸成分単位30〜100モル%と、
    テレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカルボン酸成分単
    位0〜40モル%および/または脂肪族ジカルボン酸成分
    単位0〜70モル%とからなる芳香族ジカルボン酸成分単
    位(a)(但し、全ジカルボン酸成分単位の合計を100
    モル%とする。)と、 脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環
    族アルキレンジアミン成分単位とからなるジアミン成分
    単位(b) とからなる繰返し単位から構成され、 かつ、30℃濃硫酸中で測定した極限粘度が0.5〜3.0dl/g
    の範囲にあり、かつ、融点が280℃以上である芳香族ポ
    リアミド(A);80〜40重量部と、 α,β−不飽和カルボン酸、その無水物またはその誘導
    体でグラフト変性され、かつX線による結晶化度が60%
    以上であり、極限粘度[η]が0.8〜35dl/gである変性
    ポリエチレン(B);20〜60重量部 (ただし、成分(A)と成分(B)の合計重量は100重
    量部とする)とからなることを特徴とする芳香族ポリア
    ミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】変性ポリエチレン(B)の極限粘度[η]
    が2.0〜10.0dl/gであることを特徴とする請求項第1項
    記載の芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項第1項または第2項記載の芳香族ポ
    リアミド樹脂組成物からなる摺動部品用芳香族ポリアミ
    ド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項第1項〜第3項のいずれかに記載の
    芳香族ポリアミド樹脂組成物からなる摺動部品。
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