JP4766649B2 - 転がり摺動部材 - Google Patents

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本発明は、例えば、自動車等のスライドドアや、シートスライド等に用いられるローラやレールなどの転がり摺動部材に係わり、特に高温度、高面圧環境下での長期間使用に耐える摺動部材に関するものである。
バン型車等において、車両後半部への乗降には、スライドドアにより開閉される側面乗降口が使用される。
通常、スライドドアは、ドア体の上下縁と中間位置とに取り付けられた支持ローラが車体鋼板上、あるいは車体側に設けられたガイドレール上を転動することにより、開閉が円滑に行われるようになっている。
この支持ローラは、スライドドアに設けられた支軸に取り付けられる玉軸受から構成され、ガイドレールと接する玉軸受の外輪外周面には、ドア開閉時の支持ローラの転動や走行中の振動等により発生する金属音を軽減するため、合成樹脂製の外皮が一体的に成形されている。
このようなスライドドアに設けられた支持ローラが車体鋼板上もしくは車体側に設けられたガイドレール上を転動すると、支持ローラの樹脂外皮は次第に摩耗し、ローラ径の減少によるスライドドアの立て付け悪化と、樹脂外皮表面の荒れによる開閉音の悪化を引き起こす結果となる。
また、スライドドアは通常閉じた状態で保持されるため、支持ローラの樹脂製外皮部分に長期間荷重がかかり、樹脂外皮のクリープ変形による転がり摺動部材の真円度及び寸法変化や、これによるスライドドア開閉音の悪化を招く。
さらに使用環境によっては、当該使用部位の温度が50℃以上になることもあり、このような条件下では、耐熱性の低い樹脂材料を用いた場合、樹脂製外皮の変形を引き起こすことが考えられる。
また、車室外の空気と接触する条件(以下、「外装条件」と略記する)下で使用する場合、カーシャンプー、カーワックス、酸性雨、塩化カルシウム等の融雪材、ガソリン類など、種々の薬品類の付着が起こることが考えられ、これら薬品に対する耐性が低い樹脂製外皮では、薬品によるソルベントクラックを生じ、樹脂製外皮に割れが発生することになる。
このため、スライドドア開閉時の静粛性を長期間に亘って維持するためには、合成樹脂製外皮の特性として、ドア荷重条件下での耐摩耗性と、耐熱変形性、長期使用時の耐クリープ性が機械特性として必要となる。
さらに、このような支持ローラを外装条件にて使用する場合には、上記したようなカーワックス、カーシャンプー、酸、アルカリ、融雪材、ガソリン類を始めとする種々の薬品に対する耐性が必要となる。
この合成樹脂製外皮の耐久性を向上させるため、ローラ外径面の最大径部分を含む所定幅の部分を樹脂製とし、外径面の残り部分を金属製とすることにより、スライドドア開閉時の静粛性の向上を図ると共に、ローラ停止時の荷重による変形を防止する提案がなされている(特許文献1参照)。
さらに、外輪の外周面に、融点200℃以上の合成樹脂材から成る外皮を外輪と一体に形成することにより、支持ローラの耐熱性を向上させ、高温の状態においても外皮の変形を防止しようとする提案がなされている(特許文献2参照)。
なお、現在使用されている合成樹脂製外皮としてはPA46(ポリアミド46)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、POM(ポリオキシメチレン又はポリアセタール)などから成るものが知られている。
特開2000−81038号公報 特開2003−239946号公報
しかしながら、上記のようなスライドドア用の支持ローラにおいては、外輪外周面に一体に形成される樹脂製外皮の耐摩耗性と、長期荷重による耐クリープ性、高温条件における熱変形、さらに外装条件下の使用においては、耐薬品性、あるいは設計上の自由度が問題になることがあった。
例えば、特許文献2に記載されているポリアミド46やポリアミド66については、単位重量中に比較的多数のアミド結合を持っているために、融雪材として使用される塩化カルシウムに弱く、ポリブチレンテレフタレートについては、ガラス転移点が常温付近であるため常温ではゴム状態であって耐クリープ性が悪い。さらにPPSは融点が200℃以上あるが、強化繊維が充填されない状態では熱変形温度が低いため、車体の塗装工程において塗装炉を通過させることができない。また、PPSはガラス転移点も低いために高温の雰囲気条件下では物性が急激に変化することに加え、長期荷重によるクリープ変形を起しやすい。なお、PPSに強化繊維を入れた場合には、伸びの悪化と同時に脆くなり、耐摩耗性も悪化するという問題がある。
ポリフタルアミドは、材料メーカー毎に処方が異なり、融点、ガラス転移点及び結晶化度が変化し、一般的な結晶化度は20%程度であり、結晶化度が低い場合には耐摩耗性が悪く、実際の使用に当たっては結晶化度を確保する工夫が必要である。
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は、結晶化度の不足により耐摩耗性が悪く、一般的な樹脂と比較し高価であるほか、成形温度が高く成形性が悪く、比重が高いため成形品は重量が重くなり、結晶化度の不足により耐摩耗性が悪い。
また、ポリイミド樹脂は熱硬化性樹脂であるため、成形設備に制限があるという問題がある。
さらに実際に使用されているPOMは、ガラス転移点が0℃以下にあるため、実使用温度範囲では温度による物性の影響を受けやすいばかりでなく、酸に分解される性質があるため、外装条件に使用すると酸性物質の影響を受け、亀裂を発生するという問題がある。
そして、特許文献1に記載のガイドローラにおいては、レール面がローラ走行領域ではローラ軸と平行な面とされ、ローラの停止領域ではローラ軸に対して傾斜した面とされたレールと共に用いられるため、設計上の自由度が低いという問題がある。
このように、上記のような従来のローラにおいては、摩耗によりローラ表面が荒れることや、クリープ変形によりローラの真円度が低下し、スライドドアの開閉音が悪化(大きく、不快な音となる)するという現象が起きる。また薬品の付着により樹脂外皮が割れるほか、成形性が悪い、脆い、重い、製造コストが高い、設計上の自由度が低いというデメリットが生じてしまう。
本発明は、ローラを始めとする転がり摺動部材における上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、樹脂製外皮の耐クリープ性、耐摩耗性、耐熱変形性、耐薬品性を向上させ、もって当該部材の長寿命化と信頼性の向上と共に、長期間の静粛性維持を達成しながら、外装条件における使用をも実現させることができる転がり摺動部材を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、転がり摺動部材の摺動面を構成する樹脂材料の種類やその物性などについて鋭意検討を重ねた結果、摺動面を構成する樹脂組成物の結晶化度と転動による摩耗の間や、ガラス転移点とクリープ変形や熱変形の間に相関があることと共に、主として芳香族ジカルボン酸単位から成るジカルボン酸単位と、所定炭素数の脂肪族ジアミン単位から主として成るジアミン単位から構成される半芳香族ポリアミドを40質量%以上含むポリアミド樹脂組成物が外装使用環境において付着し得る薬品類に対する耐性を備えていることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の転がり摺動部材は、主として芳香族ジカルボン酸単位からなるジカルボン酸単位と、主として炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位からなるジアミン単位から成る半芳香族ポリアミドを質量比で40%以上含有し、ガラス転移点が100〜125℃であるポリアミド樹脂組成物から構成され、X線回折法によって測定した結晶化度が40〜50%である樹脂成形体を少なくとも相手部材との摺動面に備えていることを特徴としている。
本発明によれば、ローラやレールのような転がり摺動部材における相手材との摺動面に、半芳香族ポリアミドを質量比で40%以上含有し、100℃以上125℃以下のガラス転移点を有するポリアミド樹脂組成物から構成される樹脂成形体を備えたものとしたことから、耐熱性を向上させることができ、さらに当該樹脂成形体の結晶化度を40%以上50%以下のものとしたことによって耐摩耗性、耐クリープ性及び耐薬品性が向上し、長期間に亘って部材作動時の静粛性を維持することができる。そして、上記半芳香族ポリアミドを主として芳香族ジカルボン酸単位からなるジカルボン酸単位と、主として炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位からなるジアミン単位から成るものとしたことから、当該転がり摺動部材の外装使用環境において部材に付着することが考えられるカーシャンプーやワックス、ガソリンなどの各種薬品類に対する耐性を向上させることができる。
以下、本発明の転がり摺動部材について、さらに詳細に説明する。なお、本明細粗において「%」は、特記しない限り質量百分率を意味する。
本発明の転がり摺動部材は、上記したように、相手部材との摺動面に、特定組成の半芳香族ポリアミドを所定量以上含有すると共に、特定範囲のガラス転移点を備えたポリアミド樹脂組成物から構成され、特定範囲の結晶化度の樹脂成形体を備えたものであるが、本発明において、「転がり摺動部材」とは、当該摺動部材自体及び相手部材の少なくとも一方が回転しながら他方に接触及び/又は摺接するような部材を意味し、具体的には、例えば支持ローラやガイドローラ、キャプスタン、プーリーなどのように自身が回転するような部材のみならず、支持レールやガイドレールなどのように、回転する相手部材と接触し、自身は回転しないような部材をも包含する。なお、相手部材を構成する材料や、その摺動面の材質については特に限定されず、金属や樹脂材料などを広く適用することができ、その摺動面を本発明の転がり摺動部材と同様の樹脂成形体とすることもできる。
本発明の転がり摺動部材は、例えば上記したように、支軸に取り付けられる内輪と、この内輪に対して回転自在に取り付けられた外輪と、この外輪の外周側に装着された合成樹脂製外皮とを備えたローラに適用することができ、この場合、上記合成樹脂製外皮を上記樹脂成形体をもって形成する。このとき、必要に応じて内輪と外輪の間に、球状や円筒状、ピン状などの転動体を介在させることによって内外輪間の摩擦特性を改善することができる。
また、上記したようなローラを支持したり、案内したりするためのレールにも本発明の転がり摺動部材を適用することができ、この場合には、当該レールのローラ、すなわち相手転動部材との摺動面を上記したポリアミド樹脂組成物から構成され、上記結晶化度を有する樹脂成形体とする。このとき、当該レールの側に上記樹脂成形体を備えているので、ローラの側には、必ずしも当該樹脂成形体を設ける必要はない。
このようなローラや、レールを例えば自動車等のスライドドアにおける支持ローラやガイドレールに適用した場合には、4MPa以上、50℃以上の高面圧高温度環境にさらされることがあるにも拘らず、摺動表面の摩耗や変形を抑え、スライドドアの円滑で静粛な開閉作動を長期に亘って維持することができる。
図1は、本発明の転がり摺動部材の一実施形態として、当該転がり摺動部材を上記したようなスライドドア用の支持ローラに適用した例を示す断面図であって、図に示すローラ1は、支軸10に固定された玉軸受2と、この玉軸受2の外周に一体的に成形された合成樹脂製外皮3とから成る。また、図2は、上記ローラ1を使用した自動車のスライドドアシステムの外観を示す斜視図であって、自動車ボディに取り付けられたガイドレール11,12、13に、ローラ1を介してスライドドア14がスライド可能に支持されている。
図1において、玉軸受2は、支軸10に固定される内輪4と、回転自在に配置された外輪5と、これら内輪4と外輪5との間に形成される環状空間6に配置される複数の玉7と、これら玉7を保持する保持器8とから構成されている。
外輪5の外周面には、軸方向略中央部に周方向の溝5b、5cが形成されていると共に、この溝5b、5cを埋め込むようにして、特定成分及びガラス転移点を備えたポリアミド樹脂組成物から成り、上記特定範囲の結晶化度の樹脂成形体である外皮3が円周上に一体的に成形されている。
また、上記環状空間6の端部両側には、塵埃や水分等が侵入するのを防ぐとともに、環状空間6内に封入される潤滑剤(図示せず)の漏洩を防止するため、密封シール9が装着されている。
上記構造を備えたローラ1は、支軸10を介してスライドドア14の所定の位置に取り付けられ、車体側に設けられたガイドレール11〜13に嵌め入れられて、スライドドア14の開閉に伴って、これらレール上を転動するようになっている。
本発明において、転がり摺動部材の相手部材との摺動面に配置される樹脂成形体を構成するポリアミド樹脂組成物の一部をなす半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位から主として成る(具体的には、芳香族ジカルボン酸単位を30モル%以上含む)ジカルボン酸単位と、炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位から主として成る(具体的には、炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位を30モル%以上含む)ジアミン単位から成るポリアミドである。
ジカルボン酸単位における芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、60〜100モル%の範囲内が好ましく、70〜100モル%の範囲内がより好ましく、80〜100モル%の範囲内がさらに好ましい。また、ジアミン単位における炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位の含有量は、60〜100モル%の範囲内が好ましく、70〜100モル%の範囲内がより好ましく、80〜100モル%の範囲内がさらに好ましい。
上記した芳香族ジカルボン酸単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などから誘導される構造単位を挙げることができ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
これらのうちでも、経済性及び得られるポリアミドの性能の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導される構造単位が好ましく、テレフタル酸から誘導される構造単位がより好ましい。
半芳香族ポリアミドは、必要に応じて、上記した芳香族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の1種または2種以上から誘導される構造単位を含んでいてもよい。
これらの他のジカルボン酸単位の含有量は、全ジカルボン酸単位の40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましい。さらに、溶融成形が可能な範囲でトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多官能化合物から誘導される構造単位を含むこともできる。
炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位としては、例えば、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖脂肪族ジアミン;2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチルヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンなどから誘導される構造単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
これらのうちでも、経済性及び得られるポリアミドの物性の観点から、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される構造単位が好ましく、1,9−ノナンジアミン及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミンから誘導される構造単位がより好ましい。
半芳香族ポリアミドは、必要に応じて、上記した炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位以外の他のジアミン単位、例えば、シクロヘキシルジアミン、メチルシクロヘキシルジアミン、ビス(p−シクロヘキシル)メタンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンの1種または2種以上から誘導される構造単位を含有していてもよい。 これらの他のジアミン単位の含有量は、全ジアミン単位の40モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、さらに20モル%以下であることが一層好ましい。
半芳香族ポリアミドの融点は、樹脂成形体の結晶化度を高くし、機械的物性を良好にする観点から、250℃以上であることが好ましく、270〜330℃の範囲内であることがより好ましい。
本発明の転がり摺動部材を構成する樹脂成形体の結晶化度については、低すぎると耐磨耗性、耐クリープ性、耐薬品性がそれぞれ低下し、高過ぎると靭性の悪化につながるため、40%以上50%以下の結晶化度とすることが必要となる。なお、本発明において、結晶化度とは、X線回折法により測定した値を意味する。
また、転がり摺動部材を構成する樹脂成形体の結晶化度は、例えば、転がり摺動部材を成形する際の金型温度を、好ましくは使用する半芳香族ポリアミドのガラス転移点以上、融点以下、より好ましくは使用する半芳香族ポリアミドのガラス転移点+15℃上、融点以下の温度範囲に設定し、成形品を当該温度の金型内で、5〜60秒間保持するなどして樹脂の結晶化度を制御する従来公知の方法に従って、上記の範囲になるように調整することが可能である。
また、本発明に用いるポリアミド樹脂組成物のガラス転移点については、耐熱性の安全率の観点からは高い方がよいが、高過ぎると結果的に融点も上昇し成形性が悪くなるため、100℃以上125℃以下の範囲とする必要がある。なお、本発明において、ガラス転移点とは、DSC(示差走査熱量測定)によって測定した値を意味する。
なお、転がり摺動部材を構成するポリアミド樹脂組成物のガラス転移点は、使用する半芳香族ポリアミドの種類を適宜選択することによって上記の範囲に調整することができる。すなわち、上記範囲のガラス転移点を有する半芳香族ポリアミドを使用することによって、上記範囲のガラス転移点を有するポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明の転がり摺動部材において使用されるポリアミド樹脂組成物は、該組成物の全質量に対して60%以下となる割合で充填剤を含有することができる。充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維等の繊維状充填剤;チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー等の針状充填剤;タルク、マイカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、二酸化チタン、グラファイト、二硫化モリブデン、モンモリロナイト、ポリテトラフルオロエチレン、高分子量ポリエチレン等の粉末状充填剤などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらのなかでも、補強効果の観点からは、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカーを使用することが好ましく、摺動性の観点からは、アラミド繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、タルク、マイカ、二硫化モリブデン、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、高分子量ポリエチレンを使用することが好ましく、寸法安定性の観点からは、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、ホウ酸アルミニウムウィスカーを使用することが好ましい。
これら充填剤は、例えばシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤などによって表面処理されていてもよい。なお、充填剤の含有量が少ないと充填剤としての十分な効果を発揮させることができず、多すぎると異常摩耗の発生や靭性の低下をもたらすことがあるので、充填剤の含有量として好ましくは、ポリアミド樹脂組成物全体の質量に対して10%以上50%以下であり、更に好ましくは15%以上40%以下である。
さらに本発明において使用されるポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂組成物の全質量に対して最大で60%までの割合で種々の添加剤を含有することができる。このような添加剤の例としては、臭素化ポリマー、酸化アンチモン、酸化金属類、金属水酸化物、リン系化合物、リン含有ポリマー、シリコーン系化合物、窒素含有化合物等の難燃剤;ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物等の紫外線吸収剤;帯電防止剤;可塑剤;滑剤;結晶核剤;加工助剤;顔料、染料等の着色剤;耐衝撃性改良剤;他種の熱可塑性ポリマーなどを挙げることができる。
なお、これら添加剤の含有量が少ないと目的とする効果を十分に発揮することができず、多すぎると強度低下等の弊害を生じるため、添加剤の含有量として好ましくは、ポリアミド樹脂組成物全体の質量に対して2%以上55%以下であり、更に好ましくは5%以上20%以下である。
さらに、本発明の転がり摺動部材に使用されるポリアミド樹脂組成物には、上記の充填剤や添加剤の他に、必要に応じて、従来から公知の銅系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、結晶核剤、難燃剤あるいは他種ポリマーなども添加することができる。
本発明の転がり摺動部材において使用されるポリアミド樹脂組成物の調製法については、特に制限されず、ポリアミド系樹脂と必要に応じて他の成分とを均一に混合させ得る方法であればよく、通常溶融混練する方法が採用される。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を使用して行うことができ、その際に使用する装置の種類や溶融混練条件などは特に限定されないが、概ね300〜350℃の範囲の温度で1〜30分間混練することにより、本発明のポリアミド樹脂組成物を得ることができる。この場合、溶融混練によって調製したポリアミド樹脂組成物をそのまま成形に利用してもよいし、一旦ペレット化した後に成形してもよい。
本発明の転がり摺動部材は、上記のようなポリアミド樹脂組成物から成る樹脂成形体を相手部材との摺動面に備えたものであるから、各種薬品に対する耐性を有すると共に、摺動面の耐摩耗性に優れ、高面圧及び高温度環境に耐え、長期に亘って円滑で静粛な作動状態を維持することができるが、とりわけ4〜30MPaといった高面圧下や、50〜125℃といった高温度環境で使用される部材に適用することが望ましい。言うまでもなく、これより低い温度や面圧下での使用に何ら差し支えがある訳ではないが、このような高面圧及び高温度環境に適用することによって、従来の部材に較べて、本発明の転がり摺動部材の特長を最大限に発揮することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
後述する10種類の合成樹脂製外皮3を備えた10種のローラ1(図1参照)をそれぞれ作製し、これらローラの耐クリープ性、耐摩耗性、耐薬品性、作動時の静粛性について以下の評価試験を実施した。
なお、上記樹脂製外皮3の成形に際しては、図1に示したような内輪4と外輪5から成る玉軸受2を金型の所定位置に装着した後、型締を行い、玉軸受2の外輪5と金型との間に形成される空間部内に溶融した各樹脂材料を射出し、溶融樹脂材料を冷却して固化させた後、金型を開いて成形品を取り出すことによって、それぞれのローラを得た。上記外皮3の寸法については、厚さ5mm、幅15mm、直径30mmとした。
また、以下に説明する合成樹脂製外皮の結晶化度は、透過法による広角X線回折プロファイルより結晶領域からの回折強度と非晶領域からの回折強度を分離し、全回折強度に対する結晶領域からの強度の比から算出した。
そして、以下に説明する、合成樹脂製外皮として使用される樹脂又は樹脂組成物のガラス転移点は、示唆示差走査熱量計を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定した際に得られる値である。
<合成樹脂製外皮>
(1)実施例1(PA9T)
テレフタル酸単位を100モル%含むジカルボン酸単位及び炭素数9の脂肪族ジアミン単位(1,9−ノナンジアミン単位/2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=8/2(モル比))を100モル%含むジアミン単位から成ると共に、DCS(示差走査熱量測定)により測定したガラス転移点が125℃である半芳香族ポリアミド100%から成るポリアミド樹脂組成物から構成される合成樹脂製外皮である。
なお、X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は50%である。また、成形時の金型温度は140℃、保持時間は60秒である。
(2)実施例2(PA6T)
テレフタル酸単位を100モル%含むジカルボン酸単位及び炭素数6の脂肪族ジアミン単位(ヘキサメチレンジアミン単位/2−メチル−1,5−ペンタンジアミン単位=5/5(モル比))を100モル%含むジアミン単位から成ると共に、DCSにより測定したガラス転移点が100℃である半芳香族ポリアミド100%から成るポリアミド樹脂組成物から構成される合成樹脂製外皮である。
なお、X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は40%である。また、成形時の金型温度は115℃、保持時間は60秒である。
(3)実施例3(PA9T−GF30)
テレフタル酸単位を100モル%含むジカルボン酸単位及び炭素数9の脂肪族ジアミン単位(1,9−ノナンジアミン単位/2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=8/2(モル比))を100モル%含むジアミン単位から成ると共に、DCSにより測定したガラス転移点が125℃である半芳香族ポリアミド70重量部と、ガラス繊維30重量部から成るポリアミド樹脂組成物から成る合成樹脂製外皮である。
なお、X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は50%である。また、成形時の金型温度は140℃、保持時間は60秒である。
(4)比較例1(PA9T)
テレフタル酸単位を100モル%含むジカルボン酸単位及び炭素数9の脂肪族ジアミン単位(1,9−ノナンジアミン単位/2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=8/2(モル比))を100モル%含むジアミン単位から成ると共に、DCSにより測定したガラス転移点が125℃である半芳香族ポリアミド100%から成るポリアミド樹脂組成物から構成される合成樹脂製外皮である。
なお、X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は25%である。また、成形時の金型温度は120℃、保持時間は30秒である。
(5)比較例2(PA6T)
テレフタル酸単位を100モル%含むジカルボン酸単位及び炭素数6の脂肪族ジアミン単位(ヘキサメチレンジアミン単位/2−メチル−1,5−ペンタンジアミン単位=5/5(モル比))を100モル%含むジアミン単位から成ると共に、DCSにより測定したガラス転移点が100℃である半芳香族ポリアミド100%から成るポリアミド樹脂組成物から構成される合成樹脂製外皮である。
なお、X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は25%である。また、成形時の金型温度は95℃、保持時間は30秒である。
(6)比較例3(PPS)
DSCにより測定したガラス転移点が90℃のPPS(ポリフェニレンスルフィド、商品名「フォートロン」、ポリプラスチックス(株)製)を使用した合成樹脂製外皮である。X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は65%である。
(7)比較例4(PA46)
DSCにより測定したガラス転移点が80℃のPA46(商品名「スタニール」、DJEP製)を用いた合成樹脂製外皮である。X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は45%である。
(8)比較例5(PBT)
DSCにより測定したガラス転移点が22℃のエステル系樹脂であるPBT(商品名「タフペット」、三菱レイヨン(株)製)を用いた合成樹脂製外皮である。X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は40%である。
(9)比較例6(PEEK)
DSCにより測定したガラス転移点が140℃のポリエーテルエーテルケトン(商品名「PEEK」、ビクトレックス製)を用いた合成樹脂製外皮である。X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は35%である。
(10)比較例7(POM)
DSCにより測定したガラス転移点が−60℃のポリアセタール(商品名「ユピタール」、三菱エンジニアリングプラスチックス製)を使用した合成樹脂製外皮である。X線回折法により測定した当該合成樹脂製外皮の結晶化度は80%である。
<評価試験方法>
(1)クリープ試験
雰囲気温度を50℃とし、各ローラに2MPa〜15MPaの圧力を掛けた状態で400hr保持した後のローラの変形量をマイクロメータにより測定した。
(2)摩耗試験
雰囲気温度を50℃とし、各ローラに2MPa〜15MPaの圧力を掛けた状態で鉄板上を転動させ、10km転動させた後の摩耗量を重量測定により求めた。
(3)耐薬品性試験
雰囲気温度を50℃とし、各ローラに10MPaの圧力を掛けた状態でそれぞれの薬品を塗布し、200hr後に各ローラにおける樹脂製外皮の外観を観察し、亀裂の有無を確認した。
(4)実車スライドドアの開閉音試験
各実施例及び比較例ローラについて、未使用ローラ、3MPa×23℃×400hrのクリープ試験後、さらに3MPa×23℃×10kmの摩耗試験を実施したローラ(負荷条件A)、及び15MPa×50℃×400hrのクリープ試験後、さらに15MPa×50℃×10kmの摩耗試験を実施したローラ(負荷条件B)をそれぞれ実車スライドドアに取り付け、スライドドア開閉時の音圧を測定し、負荷試験後ローラの未使用ローラに対する音圧の増加分をそれぞれ確認した。
(5)すべり摩耗量(参考)
スラスト型摩擦摩耗試験機を使用し、雰囲気温度を23℃とし、各ローラに2MPa〜5MPaの圧力を掛けた状態で、鋼板上を10kmの距離だけ滑らせた後の摩耗量を重量測定により求めた。
これらの結果を表1にまとめて示す。
なお、上記評価試験の試験条件は、図2に示したような実車について、各ガイドレール11〜13に相当する部位の温度及びローラの接触圧力を実際に測定した結果に基づくものである。
すなわち、実車の各ガイドレール11〜13にそれぞれ熱伝対を取り付け、1年間に亘って温度測定を行なった結果、いずれのガイドレールについても、年間の4月から11月にかけて温度が50℃以上になることがあることが確認された。また、図2に示すガイドレール12とローラの間に面圧測定センサーとしてニッタ(株)製のタクタイルセンサーシートを挿入して接触圧力を測定した結果、接触圧力が5MPa以上となっていることが判明した。
また、表1では見やすくするために、クリープ変形量、転がり摩耗量及びすべり摩耗量を相対値に換算して表わした。クリープ変形量は、比較例5の雰囲気温度23℃、圧力2MPa、400hr保持後の変形量を1.0(基準)として比例換算し、変形量4.5以下を○、4.5超8.5以下を△、8.5超を×で表した。一方、転がり摩耗量は、比較例7の雰囲気温度23℃、圧力2MPa、10km転動後の摩耗量を1.0(基準)として比例換算し、摩耗量9未満を○、9以上12未満を△、12以上を×で表した。
すべり摩耗量は、比較例3の雰囲気温度23℃、圧力2MPa、10km転動後の摩耗量を1.0(基準)として比例換算し、摩耗量0.6未満を○、0.6以上0.9未満を△、0.9以上を×で表した。さらに、耐薬品性については、亀裂がないものを○、最大長さ500μm未満の亀裂があるものを△、最大長さ500μm以上の亀裂があるものを×で表した。ドア開平音については、音圧の増加分4dB未満を○、4dB以上を×で表した。
Figure 0004766649
表1の結果から以下のことが確認された。
(1)クリープ試験
23℃雰囲気下におけるローラ外皮のクリープ変形量は、各実施例、比較例とも大きな差は認められないが、50℃雰囲気下におけるクリープ変形量はガラス転移温度Tgが高いほど小さく、特にガラス転移点Tgが100℃以上140℃以下である樹脂組成物から成る外皮を供えたローラの結果が良好であった。
(2)摩耗試験
23℃雰囲気下におけるローラ外皮の摩耗量についても、各実施例、比較例とも大きな差は認められないが、50℃雰囲気下における摩耗量は、結晶化度が高いほど少なくなり、特に結晶化度が40%以上75%以下の樹脂組成物においてこの傾向が顕著である。また、実施例7(ポリアセタール)については結晶化度が高いのにも関わらず摩耗量が多いが、これは雰囲気温度がガラス転移点以上であるために、試験温度では樹脂がゴム状態となって、温度の影響を受けやすいために摩耗量が増大したものと考えられる。
(3)耐薬品性試験
外装条件を想定して、耐薬品性試験を実施した結果、実施例1〜3ではいずれの薬品に対しても亀裂の発生は認められなかった。
(4)実車スライドドア開閉音試験
負荷条件Aによるローラ、すなわち3MPa×23℃×400hrのクリープ試験後、3MPa×23℃×10kmの摩耗試験を実施したローラについては、各実施例、比較例とも大差は認められないものの、より過酷な15MPa×50℃×400hrのクリープ試験後、15MPa×50℃×10kmの摩耗試験を施した負荷条件Bによるローラの場合には、実施例については2dB以下の増加に留まり、転がり音増加の抑制効果が認められる一方、比較例については、4dB以上の音圧増加が認められた。
(5)すべり摩耗試験(参考)
各圧力下での実施例、比較例に大差は認められないことから、すべり摩耗に関する従来の知見では、本発明の課題を解決できないことが裏付けられた。
以上の結果から、スライドドア用支持ローラにおいて、耐磨耗性、耐クリープ性、耐熱性、耐薬品性全てについて十分な耐性を備え、長期間の使用によるスライドドアの開閉音の静粛性を維持できるローラとするためには、主として芳香族ジカルボン酸単位からなるジカルボン酸単位と、主として炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位からなるジアミン単位から成る半芳香族ポリアミドを質量比で40%以上含有し、ガラス転移点が100〜125℃であるポリアミド樹脂組成物から構成され、X線回折法により測定した結晶化度が4050%でる樹脂成形体から成る外皮を備えたローラとすれば良いことが判明した。
本発明の転がり摺動部材の一実施形態としてスライドドア用支持ローラの構造を示す軸方向断面図である。 図1に示した支持ローラを使用した自動車のスライドドアシステムの外観を示す斜視図である。
符号の説明
1 ローラ(転がり摺動部材)
3 合成樹脂製外皮(相手部材との摺動面に備えられた樹脂成形体)
4 内輪
5 外輪
10 支軸

Claims (6)

  1. 芳香族ジカルボン酸単位から主としてなるジカルボン酸単位と、炭素数4〜14の脂肪族ジアミン単位から主としてなるジアミン単位から成る半芳香族ポリアミドを質量比で40%以上含有し、ガラス転移点が100〜125℃であるポリアミド樹脂組成物から構成され、X線回折法により測定した結晶化度が40〜50%である樹脂成形体を少なくとも相手部材との摺動面に備えていることを特徴とする転がり摺動部材。
  2. 上記ポリアミド樹脂組成物におけるジカルボン酸単位の60〜100モル%がテレフタル酸単位であり、ジアミン単位の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位であることを特徴とする請求項1に記載の転がり摺動部材。
  3. 上記ポリアミド樹脂組成物が質量比で60%以下の充填剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の転がり摺動部材。
  4. 支軸に取り付けられる内輪と、該内輪に対して回転自在に取り付けられた外輪と、上記外輪の外周側に装着された合成樹脂製外皮とを備えたローラであって、当該合成樹脂製外皮が上記樹脂成形体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つの項に記載の転がり摺動部材。
  5. 上記内輪と外輪の間に、転動体が介装されていることを特徴とする請求項に記載の転がり摺動部材。
  6. 転動する相手部材との摺動面を備えたレールであって、当該摺動面が上記樹脂成形体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つの項に記載の転がり摺動部材。
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