JP4296748B2 - 軸受及びその取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載されたオルタネータなどのエンジン補機等に使用される軸受及び軸受の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば自動車のオルタネータ内に組込まれる軸受では、その使用温度域が高温であるため(max150℃)、外輪とこれが嵌合されるハウジングとの間にクリープ防止部材を配置して、外輪がハウジングに対して空転(クリープ)するのを防いでいた。具体的にいえば、上記クリープ防止部材には、従来、ポリアミド11やポリブチレンテレフタレートを母材とする合成樹脂材料が用いられており、軸受用鋼製の外輪と、この軸受用鋼よりも熱膨張量が大きいアルミ材等により構成されたハウジングとの間で、当該防止部材が上記ハウジングよりも大きく熱膨張することにより、ハウジングに対する外輪の空転を防いでいた。
【0003】
ところが、近年、上記のような軸受には、従来の高温仕様をさらに上回る温度域に対する耐熱性が要求されるようになってきており、上記クリープ防止部材ではクリープを防止できないことがあった。具体的にいえば、上記オルタネータなどのエンジン補機等ではその小型化が求められており、この小型化によって軸受が組込まれる上記ハウジングのコンパクト化やエンジン補機等を冷却するクーラのコンパクト化による冷却能力の低下等により、ハウジング内の温度上昇が大きくなったり、軸受が十分に冷却されなかったりして、軸受が上記高温仕様を上回る150〜180℃の高温環境下で使用されることがあった。このような150℃を超える高温環境下で使用された場合、上記ポリアミド11やポリブチレンテレフタレート樹脂自体が劣化してしまい、そのクリープ防止部材の性能が著しく低下し、外輪がハウジングに対して空転するのを防止できないことがあった。また、クリープ防止部材に熱劣化が生じることから、軸受、ひいては当該軸受が組込まれる装置の早期不具合を招いた。
【0004】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、高温環境下でも軸受がその取付部に対して空転するのを防止することができ、よって軸受及び当該軸受が組込まれる装置の長寿命化を図ることができる軸受及びその取付構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外輪の外周面にクリープ防止部材を設け、前記外輪の外周面がハウジングに設けられた嵌合穴の内周面に嵌合される軸受であって、前記クリープ防止部材は、前記外輪の外周面上で軸方向中心に関して対称的に設けられた一対の溝内それぞれに形成されているとともに、前記溝と前記嵌合穴の内周面との間に配置されて前記ハウジングに対する前記外輪の締め代を確保し、前記ハウジングに対してクリープトルクを発生して前記外輪の前記ハウジングに対する取付状態を維持するものであり、前記一対の溝は、それぞれ、軸方向内側の内側側面が軸方向に直交する方向に沿って形成されているとともに、軸方向外側の内側側面を当該溝の底部から径方向外側に向かうにつれて軸方向外方に向かうように傾斜させることで、その溝幅が底部から径方向外側に向かって広がるように形成されており、前記クリープ防止部材には、軸方向外側で径方向内側に突出した突起部が、当該クリープ防止部材の軸方向外側端部から前記溝の底部に向かってかつ前記内側側面に沿って設けられ、前記クリープ防止部材を、ポリアミド9T樹脂を主成分とし、ポリオレフィンを含む合成樹脂材料により構成したことを特徴とするものである(請求項1)。
【0006】
上記のように構成された軸受におけるクリープ防止部材の主成分たるポリアミド9T樹脂は、上記従来例でのポリアミド11やポリブチレンテレフタレートに比べて耐熱性に優れた樹脂である。本発明の発明者等は、このポリアミド9T樹脂にポリオレフィンを含ませることにより、当該ポリアミド9T樹脂の耐熱性を損なうことなく、上記合成樹脂材料の靱性を向上し、かつ当該樹脂材料の線膨張係数を大きくし、150〜180℃の高温環境下でも嵌合穴の内周面に対して空転しない軸受を構成することができることを見出した。
【0007】
また、上記軸受(請求項1)において、前記合成樹脂材料が、前記ポリオレフィンを2〜10重量%含むことが好ましい(請求項2)。
この場合、ポリオレフィンの含有割合を上記範囲内の値とすることにより、上記合成樹脂材料の靱性を効果的に向上することができるとともに、当該樹脂材料の線膨張係数を大きくすることができる。しかも、成形加工性に優れた樹脂材料を構成することができる。
【0008】
また、前記クリープ防止部材は、前記溝に射出成形することによって形成されたことを特徴とするものである(請求項3)。
【0009】
上記のように構成された軸受においても、軸受及びハウジングが上記150〜180℃の高温環境下で使用された場合、上記クリープ防止部材が嵌合穴の内周面に応じて円滑に熱膨張し、かつ当該防止部材に熱劣化が生じることなく、嵌合穴の内周面に対する取付状態を維持することができる。
さらに、前記外輪は、軸受用鋼製であり、前記ハウジングは前記軸受用鋼よりも熱膨張の大きいものであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の軸受及び軸受の取付構造の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、オルタネータ内に組込まれる軸受に適用した場合を例示して説明する。
図1は、本発明の一実施形態による玉軸受及びこれが適用されたオルタネータの要部構成を示す断面図である。図において、本実施形態の玉軸受1は、回転輪としての内輪2と、固定輪としての外輪3と、これら内外輪2,3間に転動自在に設けられた転動体としてのボール4と、ボール4を保持する保持器5と、内外輪2,3間の環状開口部を密封するシール6とを備えている。また、本実施形態では、オルタネータの回転軸10を上記内輪2に一体回転可能に嵌合するとともに、外輪3をアルミニウム合金製のハウジング11に設けられた嵌合穴の内周面11aに嵌合することにより、回転軸10を回転自在に支承している。さらに、玉軸受1は、外輪3とハウジング11との間にクリープ防止部材7,8が介在するよう上記オルタネータ内に組込まれている。尚、上記回転軸10には、例えば浸炭鋼や炭素鋼に適宜熱処理や高周波焼入れなどで表面硬化処理されたものが用いられている。
【0011】
上記内輪2及び外輪3には、例えば耐熱軸受用鋼に玉軸受1の使用温度域に応じて適宜耐熱処理を施したものが用いられており、150〜180℃の高温環境下でも使用できるようになっている。上記耐熱軸受用鋼の具体例には、本出願人等の特許第2724019号公報に開示されたものがある。この耐熱軸受用鋼は、高温時における高い組織変化抵抗を有するとともに、浸炭鋼等のようにコストの高い表面硬化熱処理を施す必要がなく、浸炭鋼等を用いた場合に比べて製造コストを低減することができる。
【0012】
上記ボール4は、SUJ2等の軸受用鋼やステンレス鋼により構成されており、これらの鋼素材に焼き入れ、焼き戻し処理などの耐熱処理を行うことで上記高温環境下でも必要な強度を確保している。尚、セラミックス材料からなるセラボールをボール4として使用することもできる。
また、ボール4は、グリース潤滑により内輪2及び外輪3上を転動するようになっており、このグリースにはエーテル系またはフッ素系グリースが使用されて、上記高温環境下でもグリースの油分蒸発による潤滑性の低下を防ぐことができるようになっている。
【0013】
上記保持器5には、例えばポリアミド46(PA46)をガラス繊維で強化し耐熱性を向上したものやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材により構成されたものが用いられている。このような保持器5を用いることにより、上記高温環境下でも当該保持器5の溶融や変形及びこれに起因するボール4等への干渉(転がり不良など)を防止することができる。
上記シール6には、上記高温環境下で長時間使用した場合でも硬化の程度が小さく弾性が残る素材、例えばフッ素系ゴムが使用されており、上記内外輪2,3間の環状開口部の密封性を維持するようになっている。
【0014】
上記クリープ防止部材7,8は、図2も参照して、例えばリング状に形成されたものであり、ポリアミド9T(PA9T)樹脂を主成分とし、ポリプロピレン(PP)やエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のポリオレフィンを含ませた合成樹脂材料により構成されている。これらクリープ防止部材7,8は互いに軸方向中心に関して対称に配置されたものであり、外輪3の外周面3a上で軸方向中心に関して対称的に設けられた溝3b,3c内に上記合成樹脂材料を射出成形(例えば、インサート成形)することによって形成されている。また、クリープ防止部材7,8には、軸方向外側で径方向内側に突出した突起部7a,8a(図2)が設けられている。このような突起部7a,8aを設けたことにより、射出成形時におけるクリープ防止部材7,8の外輪3に対する接合性を高めている。
【0015】
また、上記クリープ防止部材7,8は外輪3の溝3b,3cと上記嵌合穴の内周面11aとの間に介在するよう嵌合穴内に配置されており、これらの防止部材7,8が周囲温度の変化に応じて膨張または収縮することにより、ハウジング11に対する外輪3の締め代を確保し、所定のクリープトルクを発生して外輪3のハウジング11に対する取付状態を維持するようになっている。尚、外輪3の直径が23mmである場合、クリープ防止部材7,8の具体的な厚さ寸法(径方向寸法)は0.5mm程度である。
【0016】
上記合成樹脂材料は、優れた耐熱性を有するベース樹脂としてのポリアミド9T樹脂に充填材としてのポリオレフィンを2〜10重量%含有させたものであり、ポリアミド9T樹脂が本来的に有する耐熱性を損なうことなくそのポリアミド9T樹脂の靱性を向上し、さらには線膨張係数をハウジング11の素材であるアルミニウムの値(2.4×10-5(/℃))よりも大きい値、好ましくは6.0×10-5(/℃)以上とした樹脂材料である。また、この合成樹脂材料は、150〜180℃の上記高温環境下でも、劣化することがなく、さらには破断や亀裂などが発生しない優れた引張破断伸びや耐衝撃強度などの機械的特性を有している。したがって、この樹脂材料により構成したクリープ防止部材7,8は上記高温環境下でも、ハウジング11の熱膨張に応じて適切に膨張し、そのハウジング11に対する外輪3の締め代を維持してクリープが発生するのを防止することができる。
また、この合成樹脂材料は、吸水率が小さく空気中の水分や上記グリースなどで膨潤することのない良好な寸法安定性を有しており、クリープ防止部材7,8として必要な耐水性及び耐薬品性を備えている。
【0017】
詳細には、上記ポリアミド9T樹脂は、下記の化学式1に示すように、テレフタル酸とノナンジアミンとの重合体であり、芳香環と高級脂肪族鎖と有する半芳香族ポリアミド樹脂である。このポリアミド9T樹脂の具体例には、株式会社クラレ製、品名ジェネスターがある。
【0018】
【化1】
【0019】
また、このポリアミド9T樹脂は、上記従来例でのポリアミド11やポリブチレンテレフタレートに比べて高耐熱な樹脂であり、150〜180℃の上記高温環境下でも優れた機械的特性を有している。
具体的には、図3に示すように、ポリアミド9T(PA9T)樹脂の引張強さは、上記ポリアミド11(PA11)やポリブチレンテレフタレート(PBT)に比べ格段に大きい値である。
【0020】
ここで、本発明の発明者等が実施した検証試験の試験結果の一例について表1を参照して説明する。
この検証試験は、ポリアミド9T樹脂に対するポリオレフィンの含有割合を変化させた場合での樹脂材料の物性変化を検証したものであり、ポリオレフィンとして2重量%及び5重量%のポリプロピレンをポリアミド9T樹脂にそれぞれ含有させた実施例1及び2と、ポリプロピレンを全く含んでいないポリアミド9T樹脂からなる比較例1とを準備した。さらに、保持器5に用いられるポリアミド46(非強化)を比較例2として用意して、ASTM規格に準拠した試験方法によって表1に例示した引張破断伸びなどの物性を測定した。
【0021】
【表1】
【0022】
表1に示すように、ポリオレフィンを含んだ実施例1,2は、ポリオレフィンを含んでいない比較例1に比べて、引張破断伸び及び耐衝撃強度が向上し、さらに150℃の高温時での線膨張係数が大きくなることが明らかである。また、上記実施例1,2は、比較例2と同等以上の耐衝撃強度を有するとともに、クリープ防止部材7,8として特に要求される引張破断伸びが比較例2に比べても優れていることが実証された。ここで、引張破断伸びが大きいと、樹脂が伸びた状態での内部応力が小さくなるため破断し難くなり、クリープ防止部材7,8として好ましい。
また、ポリオレフィンの含有割合を2重量%未満とした場合、引張破断伸び、高温での線膨張係数、及び耐衝撃強度を十分に大きくすることができなかった。一方、ポリオレフィンを10重量%を超えて含有させた場合は、樹脂材料が着色したり、場合によっては樹脂材料の流動性(粘性)が低下し金型に樹脂材料が付着したりして、当該樹脂材料の成形加工性が低下した。
このように、ポリアミド9T樹脂に2〜10重量%のポリオレフィンを含有させることにより、合成樹脂材料の高温における線膨張係数をより確実に大きくすることができるとともに、当該樹脂材料の靱性を効果的に向上し、引張破断伸びなどの機械的特性も向上することができる。しかも、優れた成形加工性の樹脂材料を構成することができ、クリープ防止部材7,8を容易に形成することができる。尚、上記説明では、ポリオレフィンとしてポリプロピレンを含む樹脂材料について示したが、エチレン−プロピレン−ジエンゴムでも同様の結果が得られる。また、複数種類のポリオレフィンを混合しても同様である。
【0023】
以上のように、本実施形態の玉軸受1及びその取付構造では、ポリアミド9T樹脂にポリオレフィンを含有させた上記合成樹脂材料によってクリープ防止部材7,8を構成するとともに、これらのクリープ防止部材7,8を外輪3の溝3b,3cに形成して、当該防止部材7,8を上記溝3b,3cとハウジング11の嵌合穴の内周面11aとの間に介在させている。これにより、ハウジング11の内部温度が上昇し玉軸受1の周囲温度が150〜180℃の高温環境下になった場合でも、クリープ防止部材7,8によって外輪3が上記嵌合穴内で空転するのを防ぐことができ、ハウジング11に対する玉軸受1の空転を防止することができる。また、上記合成樹脂材料は上記高温環境下でも劣化しないことから、熱劣化がクリープ防止部材7,8に生じることがなく、長期間にわたってクリープ防止を行うことができる。この結果、玉軸受1及びこれが組込まれるオルタネータに早期不具合が発生するのを防ぐことができる。また、クリープ防止部材7,8は互いに軸方向中心に関して対称に配置されているので、これらの防止部材7,8が周囲温度の変化に伴い膨張または収縮したときに外輪外周面3aがハウジング11の内周面11aに対して傾くことがなく、アキシャル振れなどの回転振れを防いで玉軸受1の軸受精度が低下するのを防止することができる。また、クリープ防止部材7,8は耐衝撃強度に優れているので、外輪3やハウジング11側から当該防止部材7,8に作用する外力、例えば外輪3を介して伝えられるボール4の転動による転がり衝撃や振動またはハウジング11を介して伝えられる外部振動に対する耐久性を向上した長寿命な玉軸受1を構成することができる。
【0024】
尚、上記の説明では、玉軸受1の外輪外周面3aに設けた溝3b,3cにクリープ防止部材7,8を形成した構成について説明したが、本発明は上記ポリアミド9T樹脂をベース樹脂としてポリオレフィンを含有する合成樹脂材料により形成したクリープ防止部材を、軸受とこれが取り付けられる取付部との間に介在させて当該軸受の空転を防止するものであればよく、クリープ防止部材の形状や設置数、軸受の軸受形式、あるいは軸受と取付部との間の取付形態などは上記のものに何等限定されない。具体的には、例えば上記溝3b,3cに代わりにハウジング(取付部)11の上記嵌合穴の内周面11aに凹部を設けて、円筒状のクリープ防止部材を配置する構成でもよい。また、外輪の軸方向両端面と取付部側に設けた円環状部材との間にドーナツ状のクリープ防止部材を配置して、上記円環状部材で軸方向両端面を挟持することで外輪を取付部に固定してもよい。また、内輪及び外輪がそれぞれ固定輪及び回転輪として用いられる軸受では、取付部よりも線膨張係数が大きい上記クリープ防止部材を、軸受の取付面としての内輪内周面や軸方向端面、あるいはその内輪が固定される取付部側に装着して、これらの取付面と取付部との間に介在させてよい。
【0025】
また、上記の説明では、合成樹脂材料を射出成形することにより、クリープ防止部材を形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸受の取付面に合成樹脂材料を直接塗布することにより、クリープ防止部材を取付面上に形成してよい。また、クリープ防止部材の厚みやその他寸法形状は、軸受形状やハウジング形状、さらに温度や振動などの使用条件により、適宜変更することができる。
また、上記実施例では、転がり軸受に適用した場合を説明したが、滑り軸受等の他の軸受にも適用可能である。また、本発明のクリープ防止部材は、高温クリープを抑制すべき他の一般的な機械部品及び機械部品の取付構造にも適用可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の軸受によれば、ポリアミド9T樹脂にポリオレフィンを含有させた合成樹脂材料により上記クリープ防止部材を構成しているので、150〜180℃の高温環境下で当該軸受が使用された場合でも、クリープ防止部材は熱劣化を生じることなく、長期間にわたって取付部に対して軸受が空転するのを防止することができる。この結果、軸受及び当該軸受が組込まれる装置の長寿命化を図ることができる。
【0027】
請求項2の軸受によれば、2〜10重量%のポリオレフィンが上記合成樹脂材料に含まれているので、その樹脂材料の高温における線膨張係数をより確実に大きくすることができるとともに、当該樹脂材料の靱性を効果的に向上することができる。さらには、上記樹脂材料の成形加工性を向上できるので、所望の寸法形状のクリープ防止部材を容易に形成することができる。
【0028】
請求項3の軸受の取付構造によれば、軸受及び取付部が上記高温環境下で使用された場合でも、上記クリープ防止部材が軸受と取付部との間に介在されているので、軸受の取付部に対する取付状態を維持することができる。しかも、クリープ防止部材は上記高温環境下でも熱劣化を生じることがないので、長期間にわたって取付部に対して軸受が空転するのを防止することができ、軸受及び当該軸受が組込まれる装置の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による玉軸受及びこれが適用されたオルタネータの要部構成を示す断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、図1に示したクリープ防止部材を示す断面図である。
【図3】上記クリープ防止部材の主成分たるポリアミド9T樹脂と既存の合成樹脂との高温環境下での引張強さを示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受
3 外輪
3a 外周面(取付面)
7,8 クリープ防止部材
11 ハウジング(取付部)
Claims (4)
- 外輪の外周面にクリープ防止部材を設け、前記外輪の外周面がハウジングに設けられた嵌合穴の内周面に嵌合される軸受であって、
前記クリープ防止部材は、前記外輪の外周面上で軸方向中心に関して対称的に設けられた一対の溝内それぞれに形成されているとともに、前記溝と前記嵌合穴の内周面との間に配置されて前記ハウジングに対する前記外輪の締め代を確保し、前記ハウジングに対してクリープトルクを発生して前記外輪の前記ハウジングに対する取付状態を維持するものであり、
前記一対の溝は、それぞれ、軸方向内側の内側側面が軸方向に直交する方向に沿って形成されているとともに、軸方向外側の内側側面を当該溝の底部から径方向外側に向かうにつれて軸方向外方に向かうように傾斜させることで、その溝幅が底部から径方向外側に向かって広がるように形成されており、
前記クリープ防止部材には、軸方向外側で径方向内側に突出した突起部が、当該クリープ防止部材の軸方向外側端部から前記溝の底部に向かってかつ前記内側側面に沿って設けられ、
前記クリープ防止部材を、ポリアミド9T樹脂を主成分とし、ポリオレフィンを含む合成樹脂材料により構成したことを特徴とする軸受。 - 前記合成樹脂材料が、前記ポリオレフィンを2〜10重量%含んだことを特徴とする請求項1記載の軸受。
- 前記クリープ防止部材は、前記溝に射出成形することによって形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸受。
- 前記外輪は、軸受用鋼製であり、前記ハウジングは前記軸受用鋼よりも熱膨張の大きいものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の軸受。
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