JP2003287043A - 軸受及びその取付構造 - Google Patents

軸受及びその取付構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温環境下でも軸受がその取付部に対して空
転するのを防止することができ、よって軸受及び当該軸
受が組込まれる装置の長寿命化を図ることができる軸受
及びその取付構造を提供する。 【解決手段】 玉軸受1の外輪3の外周面(取付面)3
aに、環状の溝3b,3cを設ける。これらの溝3b,
3c内に、ポリアミド9T樹脂を主成分とし、ポリオレ
フィンを含む合成樹脂材料により構成したリング状のク
リープ防止部材7,8を形成し、当該防止部材7,8を
介在させて玉軸受1をハウジング(取付部)11の嵌合
穴の内周面11aに嵌合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載され
たオルタネータなどのエンジン補機等に使用される軸受
及び軸受の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】例えば
自動車のオルタネータ内に組込まれる軸受では、その使
用温度域が高温であるため(max150℃)、外輪とこ
れが嵌合されるハウジングとの間にクリープ防止部材を
配置して、外輪がハウジングに対して空転(クリープ)
するのを防いでいた。具体的にいえば、上記クリープ防
止部材には、従来、ポリアミド11やポリブチレンテレ
フタレートを母材とする合成樹脂材料が用いられてお
り、軸受用鋼製の外輪と、この軸受用鋼よりも熱膨張量
が大きいアルミ材等により構成されたハウジングとの間
で、当該防止部材が上記ハウジングよりも大きく熱膨張
することにより、ハウジングに対する外輪の空転を防い
でいた。
【0003】ところが、近年、上記のような軸受には、
従来の高温仕様をさらに上回る温度域に対する耐熱性が
要求されるようになってきており、上記クリープ防止部
材ではクリープを防止できないことがあった。具体的に
いえば、上記オルタネータなどのエンジン補機等ではそ
の小型化が求められており、この小型化によって軸受が
組込まれる上記ハウジングのコンパクト化やエンジン補
機等を冷却するクーラのコンパクト化による冷却能力の
低下等により、ハウジング内の温度上昇が大きくなった
り、軸受が十分に冷却されなかったりして、軸受が上記
高温仕様を上回る150〜180℃の高温環境下で使用
されることがあった。このような150℃を超える高温
環境下で使用された場合、上記ポリアミド11やポリブ
チレンテレフタレート樹脂自体が劣化してしまい、その
クリープ防止部材の性能が著しく低下し、外輪がハウジ
ングに対して空転するのを防止できないことがあった。
また、クリープ防止部材に熱劣化が生じることから、軸
受、ひいては当該軸受が組込まれる装置の早期不具合を
招いた。
【0004】上記のような従来の問題点に鑑み、本発明
は、高温環境下でも軸受がその取付部に対して空転する
のを防止することができ、よって軸受及び当該軸受が組
込まれる装置の長寿命化を図ることができる軸受及びそ
の取付構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、軸受の取付面
にクリープ防止部材を設けた軸受であって、前記クリー
プ防止部材を、ポリアミド9T樹脂を主成分とし、ポリ
オレフィンを含む合成樹脂材料により構成したことを特
徴とするものである(請求項1)。
【0006】上記のように構成された軸受におけるクリ
ープ防止部材の主成分たるポリアミド9T樹脂は、上記
従来例でのポリアミド11やポリブチレンテレフタレー
トに比べて耐熱性に優れた樹脂である。本発明の発明者
等は、このポリアミド9T樹脂にポリオレフィンを含ま
せることにより、当該ポリアミド9T樹脂の耐熱性を損
なうことなく、上記合成樹脂材料の靱性を向上し、かつ
当該樹脂材料の線膨張係数を大きくし、150〜180
℃の高温環境下でも取付部に対して空転しない軸受を構
成することができることを見出した。
【0007】また、上記軸受(請求項1)において、前
記合成樹脂材料が、前記ポリオレフィンを2〜10重量
%含むことが好ましい(請求項2)。この場合、ポリオ
レフィンの含有割合を上記範囲内の値とすることによ
り、上記合成樹脂材料の靱性を効果的に向上することが
できるとともに、当該樹脂材料の線膨張係数を大きくす
ることができる。しかも、成形加工性に優れた樹脂材料
を構成することができる。
【0008】また、本発明の軸受の取付構造は、請求項
1または2記載のクリープ防止部材を、軸受とその取付
部との間に介在させて、前記軸受を取付部に取り付けた
ことを特徴とするものである(請求項3)。
【0009】上記のように構成された軸受の取付構造で
は、軸受及び取付部が上記150〜180℃の高温環境
下で使用された場合でも、上記クリープ防止部材が取付
部に応じて円滑に熱膨張し、かつ当該防止部材に熱劣化
が生じることなく、軸受の取付部に対する取付状態を維
持することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の軸受及び軸受の取
付構造の好ましい実施形態について、図面を参照しなが
ら説明する。尚、以下の説明では、オルタネータ内に組
込まれる軸受に適用した場合を例示して説明する。図1
は、本発明の一実施形態による玉軸受及びこれが適用さ
れたオルタネータの要部構成を示す断面図である。図に
おいて、本実施形態の玉軸受1は、回転輪としての内輪
2と、固定輪としての外輪3と、これら内外輪2,3間
に転動自在に設けられた転動体としてのボール4と、ボ
ール4を保持する保持器5と、内外輪2,3間の環状開
口部を密封するシール6とを備えている。また、本実施
形態では、オルタネータの回転軸10を上記内輪2に一
体回転可能に嵌合するとともに、外輪3をアルミニウム
合金製のハウジング11に設けられた嵌合穴の内周面1
1aに嵌合することにより、回転軸10を回転自在に支
承している。さらに、玉軸受1は、外輪3とハウジング
11との間にクリープ防止部材7,8が介在するよう上
記オルタネータ内に組込まれている。尚、上記回転軸1
0には、例えば浸炭鋼や炭素鋼に適宜熱処理や高周波焼
入れなどで表面硬化処理されたものが用いられている。
【0011】上記内輪2及び外輪3には、例えば耐熱軸
受用鋼に玉軸受1の使用温度域に応じて適宜耐熱処理を
施したものが用いられており、150〜180℃の高温
環境下でも使用できるようになっている。上記耐熱軸受
用鋼の具体例には、本出願人等の特許第2724019
号公報に開示されたものがある。この耐熱軸受用鋼は、
高温時における高い組織変化抵抗を有するとともに、浸
炭鋼等のようにコストの高い表面硬化熱処理を施す必要
がなく、浸炭鋼等を用いた場合に比べて製造コストを低
減することができる。
【0012】上記ボール4は、SUJ2等の軸受用鋼や
ステンレス鋼により構成されており、これらの鋼素材に
焼き入れ、焼き戻し処理などの耐熱処理を行うことで上
記高温環境下でも必要な強度を確保している。尚、セラ
ミックス材料からなるセラボールをボール4として使用
することもできる。また、ボール4は、グリース潤滑に
より内輪2及び外輪3上を転動するようになっており、
このグリースにはエーテル系またはフッ素系グリースが
使用されて、上記高温環境下でもグリースの油分蒸発に
よる潤滑性の低下を防ぐことができるようになってい
る。
【0013】上記保持器5には、例えばポリアミド46
(PA46)をガラス繊維で強化し耐熱性を向上したも
のやポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材により
構成されたものが用いられている。このような保持器5
を用いることにより、上記高温環境下でも当該保持器5
の溶融や変形及びこれに起因するボール4等への干渉
(転がり不良など)を防止することができる。上記シー
ル6には、上記高温環境下で長時間使用した場合でも硬
化の程度が小さく弾性が残る素材、例えばフッ素系ゴム
が使用されており、上記内外輪2,3間の環状開口部の
密封性を維持するようになっている。
【0014】上記クリープ防止部材7,8は、図2も参
照して、例えばリング状に形成されたものであり、ポリ
アミド9T(PA9T)樹脂を主成分とし、ポリプロピ
レン(PP)やエチレン−プロピレン−ジエンゴム(E
PDM)等のポリオレフィンを含ませた合成樹脂材料に
より構成されている。これらクリープ防止部材7,8は
互いに軸方向中心に関して対称に配置されたものであ
り、外輪3の外周面3a上で軸方向中心に関して対称的
に設けられた溝3b,3c内に上記合成樹脂材料を射出
成形(例えば、インサート成形)することによって形成
されている。また、クリープ防止部材7,8には、軸方
向外側で径方向内側に突出した突起部7a,8a(図
2)が設けられている。このような突起部7a,8aを
設けたことにより、射出成形時におけるクリープ防止部
材7,8の外輪3に対する接合性を高めている。
【0015】また、上記クリープ防止部材7,8は外輪
3の溝3b,3cと上記嵌合穴の内周面11aとの間に
介在するよう嵌合穴内に配置されており、これらの防止
部材7,8が周囲温度の変化に応じて膨張または収縮す
ることにより、ハウジング11に対する外輪3の締め代
を確保し、所定のクリープトルクを発生して外輪3のハ
ウジング11に対する取付状態を維持するようになって
いる。尚、外輪3の直径が23mmである場合、クリー
プ防止部材7,8の具体的な厚さ寸法(径方向寸法)は
0.5mm程度である。
【0016】上記合成樹脂材料は、優れた耐熱性を有す
るベース樹脂としてのポリアミド9T樹脂に充填材とし
てのポリオレフィンを2〜10重量%含有させたもので
あり、ポリアミド9T樹脂が本来的に有する耐熱性を損
なうことなくそのポリアミド9T樹脂の靱性を向上し、
さらには線膨張係数をハウジング11の素材であるアル
ミニウムの値(2.4×10-5(/℃))よりも大きい
値、好ましくは6.0×10-5(/℃)以上とした樹脂
材料である。また、この合成樹脂材料は、150〜18
0℃の上記高温環境下でも、劣化することがなく、さら
には破断や亀裂などが発生しない優れた引張破断伸びや
耐衝撃強度などの機械的特性を有している。したがっ
て、この樹脂材料により構成したクリープ防止部材7,
8は上記高温環境下でも、ハウジング11の熱膨張に応
じて適切に膨張し、そのハウジング11に対する外輪3
の締め代を維持してクリープが発生するのを防止するこ
とができる。また、この合成樹脂材料は、吸水率が小さ
く空気中の水分や上記グリースなどで膨潤することのな
い良好な寸法安定性を有しており、クリープ防止部材
7,8として必要な耐水性及び耐薬品性を備えている。
【0017】詳細には、上記ポリアミド9T樹脂は、下
記の化学式1に示すように、テレフタル酸とノナンジア
ミンとの重合体であり、芳香環と高級脂肪族鎖と有する
半芳香族ポリアミド樹脂である。このポリアミド9T樹
脂の具体例には、株式会社クラレ製、品名ジェネスター
がある。
【0018】
【化1】
【0019】また、このポリアミド9T樹脂は、上記従
来例でのポリアミド11やポリブチレンテレフタレート
に比べて高耐熱な樹脂であり、150〜180℃の上記
高温環境下でも優れた機械的特性を有している。具体的
には、図3に示すように、ポリアミド9T(PA9T)
樹脂の引張強さは、上記ポリアミド11(PA11)や
ポリブチレンテレフタレート(PBT)に比べ格段に大
きい値である。
【0020】ここで、本発明の発明者等が実施した検証
試験の試験結果の一例について表1を参照して説明す
る。この検証試験は、ポリアミド9T樹脂に対するポリ
オレフィンの含有割合を変化させた場合での樹脂材料の
物性変化を検証したものであり、ポリオレフィンとして
2重量%及び5重量%のポリプロピレンをポリアミド9
T樹脂にそれぞれ含有させた実施例1及び2と、ポリプ
ロピレンを全く含んでいないポリアミド9T樹脂からな
る比較例1とを準備した。さらに、保持器5に用いられ
るポリアミド46(非強化)を比較例2として用意し
て、ASTM規格に準拠した試験方法によって表1に例
示した引張破断伸びなどの物性を測定した。
【0021】
【表1】
【0022】表1に示すように、ポリオレフィンを含ん
だ実施例1,2は、ポリオレフィンを含んでいない比較
例1に比べて、引張破断伸び及び耐衝撃強度が向上し、
さらに150℃の高温時での線膨張係数が大きくなるこ
とが明らかである。また、上記実施例1,2は、比較例
2と同等以上の耐衝撃強度を有するとともに、クリープ
防止部材7,8として特に要求される引張破断伸びが比
較例2に比べても優れていることが実証された。ここ
で、引張破断伸びが大きいと、樹脂が伸びた状態での内
部応力が小さくなるため破断し難くなり、クリープ防止
部材7,8として好ましい。また、ポリオレフィンの含
有割合を2重量%未満とした場合、引張破断伸び、高温
での線膨張係数、及び耐衝撃強度を十分に大きくするこ
とができなかった。一方、ポリオレフィンを10重量%
を超えて含有させた場合は、樹脂材料が着色したり、場
合によっては樹脂材料の流動性(粘性)が低下し金型に
樹脂材料が付着したりして、当該樹脂材料の成形加工性
が低下した。このように、ポリアミド9T樹脂に2〜1
0重量%のポリオレフィンを含有させることにより、合
成樹脂材料の高温における線膨張係数をより確実に大き
くすることができるとともに、当該樹脂材料の靱性を効
果的に向上し、引張破断伸びなどの機械的特性も向上す
ることができる。しかも、優れた成形加工性の樹脂材料
を構成することができ、クリープ防止部材7,8を容易
に形成することができる。尚、上記説明では、ポリオレ
フィンとしてポリプロピレンを含む樹脂材料について示
したが、エチレン−プロピレン−ジエンゴムでも同様の
結果が得られる。また、複数種類のポリオレフィンを混
合しても同様である。
【0023】以上のように、本実施形態の玉軸受1及び
その取付構造では、ポリアミド9T樹脂にポリオレフィ
ンを含有させた上記合成樹脂材料によってクリープ防止
部材7,8を構成するとともに、これらのクリープ防止
部材7,8を外輪3の溝3b,3cに形成して、当該防
止部材7,8を上記溝3b,3cとハウジング11の嵌
合穴の内周面11aとの間に介在させている。これによ
り、ハウジング11の内部温度が上昇し玉軸受1の周囲
温度が150〜180℃の高温環境下になった場合で
も、クリープ防止部材7,8によって外輪3が上記嵌合
穴内で空転するのを防ぐことができ、ハウジング11に
対する玉軸受1の空転を防止することができる。また、
上記合成樹脂材料は上記高温環境下でも劣化しないこと
から、熱劣化がクリープ防止部材7,8に生じることが
なく、長期間にわたってクリープ防止を行うことができ
る。この結果、玉軸受1及びこれが組込まれるオルタネ
ータに早期不具合が発生するのを防ぐことができる。ま
た、クリープ防止部材7,8は互いに軸方向中心に関し
て対称に配置されているので、これらの防止部材7,8
が周囲温度の変化に伴い膨張または収縮したときに外輪
外周面3aがハウジング11の内周面11aに対して傾
くことがなく、アキシャル振れなどの回転振れを防いで
玉軸受1の軸受精度が低下するのを防止することができ
る。また、クリープ防止部材7,8は耐衝撃強度に優れ
ているので、外輪3やハウジング11側から当該防止部
材7,8に作用する外力、例えば外輪3を介して伝えら
れるボール4の転動による転がり衝撃や振動またはハウ
ジング11を介して伝えられる外部振動に対する耐久性
を向上した長寿命な玉軸受1を構成することができる。
【0024】尚、上記の説明では、玉軸受1の外輪外周
面3aに設けた溝3b,3cにクリープ防止部材7,8
を形成した構成について説明したが、本発明は上記ポリ
アミド9T樹脂をベース樹脂としてポリオレフィンを含
有する合成樹脂材料により形成したクリープ防止部材
を、軸受とこれが取り付けられる取付部との間に介在さ
せて当該軸受の空転を防止するものであればよく、クリ
ープ防止部材の形状や設置数、軸受の軸受形式、あるい
は軸受と取付部との間の取付形態などは上記のものに何
等限定されない。具体的には、例えば上記溝3b,3c
に代わりにハウジング(取付部)11の上記嵌合穴の内
周面11aに凹部を設けて、円筒状のクリープ防止部材
を配置する構成でもよい。また、外輪の軸方向両端面と
取付部側に設けた円環状部材との間にドーナツ状のクリ
ープ防止部材を配置して、上記円環状部材で軸方向両端
面を挟持することで外輪を取付部に固定してもよい。ま
た、内輪及び外輪がそれぞれ固定輪及び回転輪として用
いられる軸受では、取付部よりも線膨張係数が大きい上
記クリープ防止部材を、軸受の取付面としての内輪内周
面や軸方向端面、あるいはその内輪が固定される取付部
側に装着して、これらの取付面と取付部との間に介在さ
せてよい。
【0025】また、上記の説明では、合成樹脂材料を射
出成形することにより、クリープ防止部材を形成した場
合について説明したが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、例えば軸受の取付面に合成樹脂材料を直接塗
布することにより、クリープ防止部材を取付面上に形成
してよい。また、クリープ防止部材の厚みやその他寸法
形状は、軸受形状やハウジング形状、さらに温度や振動
などの使用条件により、適宜変更することができる。ま
た、上記実施例では、転がり軸受に適用した場合を説明
したが、滑り軸受等の他の軸受にも適用可能である。ま
た、本発明のクリープ防止部材は、高温クリープを抑制
すべき他の一般的な機械部品及び機械部品の取付構造に
も適用可能である。
【0026】
【発明の効果】以上のように構成された本発明は以下の
効果を奏する。請求項1の軸受によれば、ポリアミド9
T樹脂にポリオレフィンを含有させた合成樹脂材料によ
り上記クリープ防止部材を構成しているので、150〜
180℃の高温環境下で当該軸受が使用された場合で
も、クリープ防止部材は熱劣化を生じることなく、長期
間にわたって取付部に対して軸受が空転するのを防止す
ることができる。この結果、軸受及び当該軸受が組込ま
れる装置の長寿命化を図ることができる。
【0027】請求項2の軸受によれば、2〜10重量%
のポリオレフィンが上記合成樹脂材料に含まれているの
で、その樹脂材料の高温における線膨張係数をより確実
に大きくすることができるとともに、当該樹脂材料の靱
性を効果的に向上することができる。さらには、上記樹
脂材料の成形加工性を向上できるので、所望の寸法形状
のクリープ防止部材を容易に形成することができる。
【0028】請求項3の軸受の取付構造によれば、軸受
及び取付部が上記高温環境下で使用された場合でも、上
記クリープ防止部材が軸受と取付部との間に介在されて
いるので、軸受の取付部に対する取付状態を維持するこ
とができる。しかも、クリープ防止部材は上記高温環境
下でも熱劣化を生じることがないので、長期間にわたっ
て取付部に対して軸受が空転するのを防止することがで
き、軸受及び当該軸受が組込まれる装置の長寿命化を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による玉軸受及びこれが適
用されたオルタネータの要部構成を示す断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、図1に示したクリープ防
止部材を示す断面図である。
【図3】上記クリープ防止部材の主成分たるポリアミド
9T樹脂と既存の合成樹脂との高温環境下での引張強さ
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受 3 外輪 3a 外周面(取付面) 7,8 クリープ防止部材 11 ハウジング(取付部)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸受の取付面にクリープ防止部材を設けた
    軸受であって、 前記クリープ防止部材を、ポリアミド9T樹脂を主成分
    とし、ポリオレフィンを含む合成樹脂材料により構成し
    たことを特徴とする軸受。
  2. 【請求項2】前記合成樹脂材料が、前記ポリオレフィン
    を2〜10重量%含んだことを特徴とする請求項1記載
    の軸受。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のクリープ防止部材
    を、軸受とその取付部との間に介在させて、前記軸受を
    取付部に取り付けたことを特徴とする軸受の取付構造。
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