JP4072314B2 - 電食防止転がり軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は軌道輪の表面に絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、玉軸受や転がり軸受等の転がり軸受においては、軌道輪と転動体の間に生じる電食現象を防止するため、軌道輪の表面に絶縁皮膜を形成して、外部から軌道輪に流れ込む電流を遮断するようにしている(実開平2−85016号)。
【0003】
このような絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受として、特開平3−277818号には、ガラス繊維を含有したポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPSと略記する。)の皮膜を有するもの、実開平5−89953号にはポリアミド樹脂またはPPS等の熱可塑性樹脂を皮膜材料に用いたものがそれぞれ開示されている。
【0004】
これらは、軌道輪の表面に絶縁性の高い樹脂製皮膜を形成したものであるから安定した電食防止機能があり、また射出成形によって皮膜を軌道輪に一体成形するので、成形性がよく低コストで皮膜を形成できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の電食防止転がり軸受は、たとえば100℃を越えるような高温で長時間使用した場合に、絶縁皮膜が軸受荷重によってクリープ変形することがあり、言い換えれば高温で長時間使用した場合に、軸受の締め代が経時的に小さくなるという問題がある。
【0006】
因みに、軸受を軸またはハウジングに取り付ける際には、通常、回転荷重のかかる軸を「しまりばめ(タイト・フィット)」によって固定するようにしているが、このような「しまりばめ」を行なうためには、軌道輪と軸またはハウジングとのはめあい面に締め代(しめしろ)を与えておく必要がある。
【0007】
一般に最大の締め代は、軸径または外径の1/1000以下であり、上述のように締め代が経時的に小さくなると、軸受のはめあい面にラジアル方向、アキシャル方向および回転方向に相対的な動きが生じ、はめあい面に摩耗が起こるなどの好ましくない問題が生じる場合がある。
【0008】
絶縁皮膜を薄い厚みで形成して締め代の経時変化を小さくすることは、理論的には可能であるが、例えば0.2mm程度の膜厚の樹脂製絶縁皮膜を均一な厚みで形成することは容易でない。樹脂の溶融粘度が高いために金型に樹脂が充填不良となるためである。実際、絶縁皮膜の厚さが0.3mm以上なければ割れやすくなるか、または均一な厚さに形成し難くなり、絶縁皮膜の薄膜化によって締め代の経時変化を実用的に抑制することはできなかった。
【0009】
大きな荷重がかかる条件で長時間使用される電食防止転がり軸受としては、図4に示すように、電気鉄道車両の電動機11とその回転力伝達機構に用いられる電食防止転がり軸受12、13があり、このような用途に適用できる転がり軸受が要望されている。
【0010】
また、絶縁皮膜の形成材料であるPPSにガラス繊維を添加することによって絶縁皮膜の耐クリープ性を改善できるが、射出成形性を維持できるガラス繊維の含有量では耐クリープ性を充分に向上させることはできなかった。
【0011】
また、PPSは、90℃前後にガラス転移点(Tg)を有する樹脂であるから、PPSのTg以上の高温ではPPS組成物からなる軸受の使用耐久性は悪くなる。
【0012】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決し、軌道輪の表面に形成された絶縁皮膜の耐クリープ性が良く、高温高荷重の条件でも長時間にわたって軸受の締めしろが経時的に安定し、円滑に回転する電食防止転がり軸受を提供することである。
【0013】
特に、この発明の課題は、PPSのガラス転移点を越えるような高温で長時間使用された場合にも高い軸受荷重などによって絶縁皮膜がクリープ変形せず、このような高温高荷重の使用条件でも軸受の締めしろが経時的に安定し、円滑に回転する電食防止転がり軸受を提供することである。
【0014】
また、大荷重がかかる条件で長時間使用される電食防止転がり軸受として、特に電気鉄道車両の電動機からの回転力伝達機構に適用できるような電食防止転がり軸受を提供することもこの発明の課題である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記のように軸受の締めしろが経時的に安定している電食防止転がり軸受を提供するという課題を解決するため、この発明においては、軌道輪の表面に絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受において、前記絶縁皮膜は、120℃で20MPaの圧力を24時間加える加熱加圧条件で圧縮による永久ひずみが2%以下の樹脂からなる絶縁皮膜である電食防止転がり軸受としたのである。
【0016】
上記したように所定の加熱加圧条件で圧縮による永久ひずみが2%以下の樹脂で絶縁皮膜を形成すると、軸受の締め代が経時的に充分に安定した電食防止転がり軸受になり、繰り返し高温にさらされても外径面とハウジングとの隙間の大きさが変化せず、また幅面の軸受抜け止めリングの締め付けボルトが緩むことがなくなり、軸受の締めしろが経時的に安定し、円滑に回転する電食防止転がり軸受になる。
【0017】
逆に、所定の加熱加圧条件で圧縮による永久ひずみが2%を越える樹脂で絶縁皮膜を形成すると、絶縁皮膜をかなり厚く形成することが必要になったりし、また軸受の締め代が変化してガタツキが生じたり、それによって嵌めあい面に摩耗が生じやすくなる。
【0018】
また、軌道輪の表面に絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受において、PPS樹脂のガラス転移点を超える高温で長時間使用された場合に、PPS製絶縁皮膜が変形するという課題を解決するために、前記絶縁皮膜を、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)30〜80容量%およびポリアミドイミド樹脂5〜65容量%を含有する樹脂組成物で形成したのである。
【0019】
PPSとポリアミドイミド樹脂を配合した樹脂組成物で絶縁皮膜を形成した転がり軸受は、従来のPPSベースの絶縁皮膜に比べ、特に高温時の耐クリープ性に優れており、軸受の締めしろが経時的に充分によく安定した電食防止転がり軸受になる。
【0020】
ポリアミドイミド樹脂を所定量だけ配合した樹脂組成物で絶縁皮膜を形成した転がり軸受は、前記樹脂組成物が溶融状態で射出成形可能な流動性があり、軸受の要部に絶縁皮膜を複合成形することができるものであり、効率よく製造できるものである。
【0021】
また、従来のPPS樹脂組成物からなる絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受における上記の課題を解決するために、軌道輪の表面に絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受において、前記絶縁皮膜を、ポリフェニレンスルフィド樹脂30〜80容量%、ポリアミドイミド樹脂5〜65容量%および絶縁性無機物5〜50容量%を含有する樹脂組成物で形成したことを特徴とする電食防止転がり軸受としたのである。
【0022】
上記の樹脂組成物からなる絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受は、高温時の耐クリープ性が特に優れており、軸受の締めしろが経時的によく安定した電食防止転がり軸受になる。
【0023】
このような電食防止転がり軸受における絶縁皮膜は、外輪と内輪からなる軌道輪のうち、外輪の外周面と内輪の内周面の少なくとも一方の周面および内・外輪のうち少なくとも一方の側面を覆うように形成された絶縁皮膜とすることが、軸受の締めしろを経時的に安定させるという所期した効果を確実に得るために好ましい。
【0024】
このように構成される電食防止転がり軸受は、電気鉄道車両の電動機もしくはその回転力伝達機構または両者に用いられた際に、電動機の回転軸に電気が流れた場合でも、他の回転力伝達機構を構成する金属部品または鉄道のレールに漏電しないので、確実な電食防止性の期待に応える電食防止転がり軸受になる。
【0025】
すなわち、上記した電食防止転がり軸受は、電気鉄道車両の電動機またはその回転力伝達機構に用いられる電食防止転がり軸受、特に電気機関車の主電動機(モーター)の回転軸支持用の電食防止転がり軸受として適用できるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態を以下に図面を参照して説明する。
【0027】
図1および図2に示す実施形態は、内輪1と外輪2からなる軌道輪の表面に絶縁皮膜4を射出成形で形成した電食防止転がり軸受である。すなわち、外輪2の表面(外周面と側面)には円周溝3、3’を機械加工により形成し、その上に一定の厚さの絶縁皮膜4を射出成形により形成して円筒ころ軸受を作成したものである。
【0028】
図2に示すように、リング状の射出成形体である絶縁皮膜4は、その内周側に外輪2の円周溝3、3’に嵌め合い可能な突条5、または環状突部5’を有しており、これらに円周溝3、3’を係合させて絶縁皮膜4の軸方向および半径方向のずれを防止している。なお、図1中、符号6は転動体の「ころ」であり、7はハウジング、8、9は保持器、10は軸受を抜け止めするリングである。
【0029】
絶縁皮膜を形成する対象は、内輪1、外輪2のそれぞれ一方または、両者であってもよく、外輪2の外周面と内輪1の内周面の少なくとも一方の周面および内・外輪のうち少なくとも一方の側面を覆うように形成することが好ましい。軸受の種類としては、玉軸受、ころ軸受、またラジアル軸受またはスラスト軸受などのいずれを採用してもよい。
【0030】
このようにして絶縁皮膜を設けた電食防止転がり軸受は、図4に示すように、電気鉄道車両の電動機(モーター)の回転軸を支持する転がり軸受12、13などの回転力伝達機構の要所に用いられる。なお、図4中の符号14は、車軸を示し、15、16は歯車を示し、17は車輪を示している。
【0031】
この発明の絶縁皮膜を形成する耐熱性樹脂材料について以下に説明する。後述のように、絶縁皮膜を形成する樹脂材料としては、PPSの他に、ポリアミドイミド樹脂(以下、PAIと略記する。)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリシアノエーテル樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの配合割合は、後述するPPSの場合と同様の理由によって30〜80容量%である。
【0032】
この発明の絶縁皮膜の形成材料に用いるPPSは、下記の化1で示されるものである。
【0033】
【化1】
【0034】
特に典型的なPPSは、下記の化2で示されるものである。
【0035】
【化2】
【0036】
この樹脂は、米国フィリップス・ペトローリアム社から「ライトン」の商標で市販され、その製造方法は米国特許第 3,354,129号(対応特許特公昭45−3368号)に開示されている。同公報の記載によると、ライトンはN−メチルピロリドン溶媒中、160〜250℃、加圧条件下にp−ジクロルベンゼンと二硫化ソーダとを反応させることによって製造され、樹脂中に交差結合が全くないものから部分的交差結合を有するものに至るまで各種重合度のものを後熱処理工程にかけて自由に製造することができるので、目的の溶媒ブレンドに適正な溶融粘度特性を有するものを任意に選択使用することが可能である。また、この発明に用いるPPSは、架橋構造をとらずに直鎖状のものであってもよい。
【0037】
絶縁皮膜を構成するPPSの配合割合は、30〜80容量%である。PPSの配合量が、30容量%未満では、PPS本来の絶縁性や成形容易性が生かされ難くなり、80容量%を越えて多量に配合すると、他の所定成分によって高温時の耐クリープ性の改善を充分に行なえないからである。
【0038】
この発明に用いるポリアミドイミド樹脂(以下、PAIと略記する。)は、下記の化3の式で示されるものであり、R1 は少なくとも1つのベンゼン環を含む芳香族基であり、そのうちの2価は2個のカルボニル基がR1 のベンゼン環内の隣接する炭素原子に結合しているものである。そして、この発明に用いるPAIは、このような構造と共に他のアミド結合を含有する化合物との共重合体であってもよい。
【0039】
【化3】
【0040】
(式中、R1は少なくとも一つのベンゼン環を含む3価の芳香族基、R2は2価の有機基、R3は水素、メチル基またはフェニル基を表わす。)
なお、化3式中の望ましいR1を例示すると、下記の化4に示す通りである。
【0041】
【化4】
【0042】
また、化3式中の望ましいR2を例示すると、−(CH2 )m−、(式中、mは4〜12の飽和脂肪族炭化水素基)、および下記の化5に示すものがある。
【0043】
【化5】
【0044】
(化5に示した基の一般式中、Yは、1〜3の整数、X4は1〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基もしくは芳香族基である。)
また、これらのPAI樹脂に対して、以下の構造を有する単位を共重合させることは、PPSとの相溶性を向上させ、またさらに溶融流動性を向上させる点でより好ましい。
【0045】
【化6】
【0046】
【化7】
【0047】
化6の式中のAr1は、2価の芳香族基であり、その具体例としては、次の化8に示すものが挙げられる。
【0048】
【化8】
【0049】
また、化7の式中に示されるR1は、2価の脂肪族基であり、その具体例としては、−(CH2)m−が挙げられる。より好ましい−(CH2)m−としては、m=2〜12のものであり、特に好ましいものはm=4〜12のものである。
【0050】
化3で示される構造および化6で示される構造からなる共重合体は、化3および化6の各構造の合計100モル%に対し、好ましくは化3が10〜70モル%、化6が90〜30モル%からなる組成のものが好ましい。
【0051】
また、化3で示される構造および化7で示される構造からなる共重合体は、化3および化7の各構造の合計100モル%に対し、好ましくは化3が10〜50モル%、化7が90〜50モル%からなる組成のものが好ましい。
【0052】
化3、化6および化7の構造からなる共重合体は、化3が10〜70モル%、化6が1〜89モル%、化7が1〜70モル%からなる組成のものが好ましい。そして、以上のような共重合体における各構造の配列としては、ランダム、ブロックまたは交互のいずれであってもよい。
【0053】
このようなPAIの製造方法は、米国特許第3625911号、特公昭50−33120号公報などの特許公報類に開示されているように周知であるが、例えば下記の化9のような芳香族トリカルボン酸無水物またはその誘導体と、H2N−R2−NH2、OCN−R2−NCO、(式中、R2は、前記した化3または化4で説明したものと同じ。)で表わされる有機ジアミンまたはその誘導体とを、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドンなどの極性有機溶媒中で所定温度にて所要時間反応させてポリアミド酸を生成し、これを加熱その他の方法でイミド化状態に転化する。
【0054】
【化9】
【0055】
この方法で製造されるPAIとしては、下記の化10の式で示されるものがあり、その市販品として米国アモコ社製:トーロン(登録商標)が挙げられる。
【0056】
【化10】
【0057】
上記の方法により得られるPAIは溶融流動性が劣るので、より流動性の良いPAIを得るために、芳香族トリカルボン酸無水物およびジイソシアネートから製造する方法を採用することが好ましい。また、重合の際に、特開平6−322060に示されるようなアミド化とイミド化を段階的に進ませるような条件下で反応させることがより好ましい。
【0058】
また、PAIとPPSの相溶性を改良する目的でポリアミドイミドの前駆体を用いたり、第3成分としてイソシアネート化合物を添加することもできる。
【0059】
絶縁皮膜を構成するPAIの配合割合は、5〜65容量%である。PAIの配合量が、5容量%未満では、高温時の耐クリープ性の改善を充分に行なえないからであり、65容量%を越えて多量に配合すると、他の成分であるPPSの絶縁性や成形容易性が充分に生かされ難くなり、溶融状態で流動性が低下し、射出成形が困難になる。
【0060】
次に、この発明に用いる芳香族ポリエーテルケトン樹脂(以下、PEKと略記する。)は、下記の化11の式にそれぞれ示した繰り返し単位からなる重合体、またはそのような繰り返し単位と共に、たとえば下記の化12の式にそれぞれ示した繰り返し単位をPEK本来の特性を失わないように重合させた共重合体である。
【0061】
【化11】
【0062】
【化12】
【0063】
そのようなPEKの市販品としては、下記の化13で表わされるビクトレックス(VICTREX)社製:PEEK、下記の化14の式で表わされるビクトレックス(VICTREX)社製:PEK、または下記の化15の式で表わされるBASF社製:Ultrapekが挙げられる。これらは、上記した市販品の他、特開昭54−90296号公報などに記載された周知の方法に従って製造することもできる。
【0064】
【化13】
【0065】
【化14】
【0066】
【化15】
【0067】
次に、この発明に用いるポリシアノアリールエーテル樹脂(以下、PENと略記する。)は、下記の化16で表わされる繰り返し単位からなる重合体、または前記繰り返し単位と共に、下記の化17の式で表わされる繰り返し単位とがPEN本来の特性を損なわないように、約20モル%以下の比率で共存した重合体である。
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】
このようなPENは、p−クロルフェノールを溶媒とする0.2g/dl濃度溶液の60℃における還元粘度(η7sp/C)が0.3g/dl以上のものが好ましい。これらは、出光興産社からポリエーテルニトリル(ID300)として市販されている。なお、PENの製造方法は、特開昭63−3059号公報の実施例に開示されている。
【0071】
この発明に用いる熱可塑性ポリイミド樹脂は、前記化18に示される繰り返し単位構造を有する重合体であり、ジアミン成分として下記の化19で示されるエーテルジアミンを使用し、これと一種以上のテトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミド酸を脱水環化して得られるものである。そのうち、R1〜R4が全て水素原子であって特に典型的なものは、三井化学社から「AURUM」の商標で市販されており、その製造方法は特開昭61一143478号公報、特開昭62−688I7号公報、特開昭62−86021号公報等により周知である。
【0072】
【化18】
【0073】
(式中、Xは直接結合、炭素数1〜10の炭化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基およびスルホン基からなる群より選ばれた基を表わし、R1〜R4は水素、炭素数1〜5の低級アルキル基、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、塩素または臭素を表わし、互いに同じであっても異なっていても良い。Yは炭素数2以上の脂肪族基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からなる群から選ばれた4価の基を表わす。)
【0074】
【化19】
【0075】
この熱可塑性ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂固有の耐熱性を保ちながら熱可塑性を示すので、圧縮成形、射出成形または押出成形その他の溶融成形方法によって比較的容易に成形できるものである。
【0076】
また、前記化19の式で示されるジアミンの具体例として、以下に示すものが挙げられる。すなわち、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、l,l−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、l,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2−〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル〕プロパン、2−〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(3−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル−l,l,l,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)−3−メチルビフェニル、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3´−ジメチルビフェニル、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルビフェニル、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3´,5,5´テトラメチルビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン等が挙げられ、これらは単独または二種以上混合して用いられる。
【0077】
また、上記熱可塑性ポリイミド樹脂の溶融流動性を損なわない範囲で他のジアミンを混合して用いることもできる。混合して用いることができるジメチルアミンは、たとえば、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、3, 3´−ジアミノジフェニルスルホン、3,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノベンゾフェノン、3,4´−ジアミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)べンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、l,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン等が挙げられ、これらのジアミンは、通常30%以下好ましくは5%以下の割合で混合して用いることができる。
【0078】
なお、この発明で特に好ましく用いられる熱可塑性ポリイミド樹脂は、前記ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させ脱水閉環して得られる。テトラカルボン酸二無水物は、下記の化20の式(式中Yは前記した化2の式中のYと同じ)で表わされるテトラカルボン酸二無水物である。
【0079】
【化20】
【0080】
上記化20の式で表わされるテトラカルボン酸二無水物の具体的な化合物名は、たとえばエチレンテトラカルボン酸二無水物、l,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2´p−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフエニル)メタン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、l,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、l,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,l0−ベリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、l,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4´−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物等が挙げられる。そして、これらテトラカルボン酸二無水物は、単独または2種以上用いる。
【0081】
また、この発明に用いる絶縁性無機物は、耐熱性樹脂を主成分とする樹脂組成物の絶縁性を維持しながら、高温時の耐クリープ性をより確実に改良するために配合されるものであり、好ましい絶縁性無機物としては、以下のものが挙げられる。なお、これらは一種以上を併用して配合してもよく、表面処理を施したものであってもよい。
【0082】
すなわち、この発明に用いる絶縁性無機物の具体例としては、ガラス繊維、酸化カルシウム、クレー、焼成クレー、シリカ、ガラス球、アラミド繊維、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アスベスト、アルミン酸ナトリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、カリウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、鉄ミョウバン、シラスバルーン、ガラスバルーン、酸化亜鉛、酸化亜鉛ウィスカ、三酸化アンチモン、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、酸化チタン、酸化チタンウィスカ、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカ、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、酸化鉄、チタン酸カリウム、チタン酸カリウムウィスカ、アスベスト、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムが挙げられる。
【0083】
例示したような絶縁性無機物は、繊維状の形態のものでは、繊維径0.1〜20μm、繊維長20〜3000μm程度の大きさのものが好ましく、粒状形態のものでは、粒径1〜100μm程度のものを用いて好ましい結果を得ている。
【0084】
なお、絶縁性無機物を配合するにあたっては、軸受からの発熱を放散させるため、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどの熱伝導性のよいものを選んだり、交流電圧下での電流値を小さくするための誘電率の低い材料を選んでもよい。
【0085】
絶縁皮膜を構成する絶縁性無機物の配合割合は、5〜50容量%である。絶縁性無機物の配合量が、5容量%未満では、高温時の耐クリープ性の改善を充分に改善できないからであり、50容量%を越えて多量に配合すると、他の成分であるPPSによる絶縁性や成形容易性が充分に生かされないと共に、溶融状態で流動性が低下して射出成形を行なうことが困難になるからである。
【0086】
この発明の樹脂組成物の原材料を添加混合する方法は、特に限定するものではなく、広く用いられている通常の方法を採用できる。たとえば、主成分となる樹脂、その他の諸原料をそれぞれ個別に、または配合後にヘンシェルミキサー、ボールミル、タンブラーミキサー等の混合機によって適宜乾式混合し、その後、溶融混合性のよい射出成形機もしくは溶融押出成形機に供給するか、または予め熱ロール、ニーダ、バンバリーミキサー、溶融押出機などで溶融混合するなどの方法を採ることができる。また、PPSとPAIを予め溶融混合した後、その他の成分を混合し、さらに溶融混合する方法を採用してもよい。
【0087】
さらに、この発明の樹脂組成物を成形するには、製造効率からみて射出成形を行うことが好ましいが、適宜に他の周知の成形方法を採用してもよい。すなわち、射出成形以外でこの発明の樹脂組成物を成形するには、圧縮成形、押出成形等の周知の合成樹脂成形方法、または組成物を溶融混合した後、これをジェットミル、冷凍粉砕機等によって粉砕し、所望の粒径に分級するか、または分級せずにそのまま流動浸漬塗装、静電粉体塗装などを行なう方法を採用できる。また、得られた粉末を溶剤に分散させて、スプレー塗装または浸漬塗装を行なうこともできる。
【0088】
【実施例および比較例】
実施例および比較例に用いた諸原材料を一括して示すと次の通りである。なお、括弧内に示した番号は以下の表中の原材料の番号に一致させており、表中の各成分の配合割合は、全て容量%である。
(1)ポリアミドイミド樹脂[PAI▲1▼]
(無水トリメリット酸18モル%、イソフタル酸32モル%、2,4−トリレンジイソシアネート50モル%を原料にして、先ずアミド化し、次いでイミド化させる条件で、N−メチルピロリドン中で共重合されたポリアミドイミド樹脂)、
(2)ポリアミドイミド樹脂[PAI▲2▼]
(無水トリメリット酸50モル%、2,4−トリレンジイソシアネート50モル%を原料にして、先ずアミド化し、次いでイミド化させる条件で、N−メチルピロリドン中で重合されたポリアミドイミド樹脂)、
(3)ポリフェニレンサルファイド樹脂[PPS▲1▼]
(トープレン社製:セミリニア型PPS T2)
(4)ポリフェニレンサルファイド樹脂[PPS▲2▼]
(トープレン社製:リニア型PPS LR−03)
(5)ポリフェニレンサルファイド樹脂[PPS▲3▼]
(トープレン社製:T4AG)
(6)ガラス繊維[GF]
(旭ファイバーグラス社製:チョップドストランド 03MA497)
(7)ガラスビーズ[GB]
(東芝バロティーニ社製:EGB731APN)
(8)窒化アルミニウム粉末[AlN]
(共立窯業社製:AlN−7)。
【0089】
〔実施例4、参考例1〜3〕
図1に示すように、実施例は、標準型の軸受の内輪1を設けると共に、NU214の外輪2の表面には円周溝3を機械加工により形成し、その上に一定の厚さ(1mm)の絶縁皮膜4を射出成形により被覆した円筒ころ軸受(外径170mm、内径95mm、幅32mm)である。絶縁皮膜4は、表1に示す材料を一括混合し、射出成形で形成した。
【0090】
図2に示すように、リング状の成形体である絶縁皮膜4は、その内周側に外輪2(図1)の円周溝3に密接する突条5を有すると共に、外輪2の円周溝3’に密接する環状突部5’を有しており、これらが係合しているので絶縁皮膜4のずれは防止されている。
【0091】
絶縁皮膜4および後述する圧縮永久歪み測定用の試験片を形成するには、原材料を表1に示す割合(容量%)で配合してヘンシェルミキサーで混合し、これを二軸溶融押出機に供給し、シリンダー温度:280〜340℃、回転数:100rpmの溶融混合条件で押出し造粒し、得られたペレットを樹脂温度280〜340℃、射出圧力800kgf/cm2 、金型温度140℃の射出成形条件で形成した。そして、絶縁皮膜を用いて図1および図2に示す軸受を製造し、以下の試験を行なった。
<圧縮永久歪みの測定試験>
圧縮永久歪み測定用の試験片は、JIS1号ダンベルを射出成形し、それから4mm角の立方体試験片を切削加工により削り出したものを用いた。そして、射出成形時の樹脂の流れ方向に平行な向かい合う2面を、2枚のステンレス鋼製の平板治具で挟み、治具の外側から加圧し、試験片に20MPaの圧力を加えた。その状態で120℃に加熱し、24時間保持した後、常温まで冷却し抜圧した。抜圧後、直ちに加圧方向の試験片厚み(B,mm)を測定し、試験前の厚み(A,mm)とから次式により圧縮永久歪みを求め、表1中に併記した。
圧縮永久歪み(%)=(A−B)/A×100。
<高温条件の軸受の耐クリープ性(外径寸法変化量)>
図1,2に示す実施例の軸受(100℃)での締め代0.3mmを100℃で100時間放置して、常温に戻した後の外形寸法変化量(μm)を測定し、その結果を表1中に併記した。
【0092】
【表1】
【0093】
〔比較例1〜4〕
絶縁皮膜を表2に示す組成で形成したこと以外は、実施例と全く同様にして、図1および図2に示す軸受を製造し、実施例と同様の条件で圧縮永久歪みおよび耐クリープ性を調べ、その結果を表2に示した。
【0094】
【表2】
【0095】
表1および表2の結果からも明らかなように、120℃で20MPaの圧力を24時間加える加熱加圧条件で圧縮永久ひずみが2%を越える樹脂からなる絶縁皮膜を設けた比較例1〜4は、高温で放置する時間経過に対応して締め代が大きくなり、耐クリープ性が不充分な絶縁皮膜を有するものであることがわかる。
【0096】
これに対して、所定の圧縮永久歪の条件を満足する実施例4は、射出成形性がよく、しかも100時間経過後において、比較例よりも耐クリープ性に優れている点において明らかに有利なものであった。
【0097】
〔実施例5〜9〕
絶縁皮膜4は、原材料を表3に示す割合(容量%)で配合してヘンシェルミキサーで混合し、これを二軸溶融押出機に供給し、シリンダー温度:280〜340℃、回転数:100rpmの溶融混合条件で押出し造粒し、得られたペレットを樹脂温度280〜350℃、射出圧力800kgf/cm2、金型温度100〜160℃の射出成形条件で成形した。射出成形時の成形容易性について、結果を良・不良の2段階に評価し、表中に良(○印)、不良(×印)の記号で示した。
【0098】
【表3】
【0099】
また、高温時の耐クリープ性を評価するため、絶縁皮膜を用いて図1および図2に示す軸受を製造し、この軸受(120℃での締めしろ0.3mm)を120℃で3000時間放置して軸受の締めしろの経時変化を測定し、その結果を図3のグラフに示した。
【0100】
〔比較例5〜11〕
絶縁皮膜を表4に示す組成で形成したこと以外は、実施例と全く同様にして、前記図1に示す軸受を製造し、実施例と同様の条件で成形性を調べ、その結果を表4に示した。なお、比較例6、9および11は、溶融時の流動性が悪く、軸受絶縁層を形成できなかった。
【0101】
【表4】
【0102】
また、比較例5については、実施例の高温時の耐クリープ性の評価法と全く同様の条件で軸受の締めしろの経時変化を測定し、その結果を図3のグラフに併記した。
【0103】
表3、4および図3の結果からも明らかなように、PAIを配合しない樹脂組成物からなる絶縁皮膜を設けた比較例5は、高温で放置する時間の経過にしたがって締めしろが大きく低下し、耐クリープ性が不充分であった。また、PPS、PAIおよび絶縁性無機物の各配合割合が所定範囲外であった比較例5〜11は、射出成形性および高温での耐クリープ性を同時に満足できるものでなかった。
【0104】
これに対して、所定の配合割合を満足する実施例5〜9は、射出成形性がよく、しかも3000時間経過後において比較例より耐クリープ性に優れている点において明らかに有利であった。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、本願の各請求項に係る発明のうち、120℃で20MPaの圧力を24時間加える加熱加圧条件で圧縮永久ひずみが2%以下の樹脂からなる絶縁皮膜を設けた電食防止転がり軸受は、軌道輪の表面に形成された絶縁皮膜の耐クリープ性が良く、高温高荷重の条件でも長時間にわたって軸受の締めしろが経時的に安定し、円滑に回転する電食防止転がり軸受であるという利点がある。
【0106】
本願の各請求項に係る発明のうち、PPSとポリアミドイミド樹脂を配合した樹脂組成物でもって絶縁皮膜を形成した電食防止転がり軸受は、高温で長時間使用された場合に軸受荷重を受けても絶縁皮膜がクリープ変形せず、このような使用条件下で軸受の締めしろが経時的に安定する電食防止転がり軸受となる利点がある。
【0107】
また、ポリアミドイミド樹脂を所定量だけ配合した樹脂組成物でもって絶縁皮膜を形成した転がり軸受は、溶融状態で射出成形可能な流動性があり、成形容易性も兼ね備えている。
【0108】
上記の組成材料に加えて絶縁性無機物5〜50容量%を添加した樹脂組成物からなる絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受は、高温時の耐クリープ性が極めて優れており、軸受の締めしろが経時的に極めてよく安定した電食防止転がり軸受になる。
【0109】
以上のような利点を有する電食防止転がり軸受は、特に電食の起こりやすく、かつ大荷重がかかる条件で長時間使用される転がり軸受である電気鉄道車両の電動機からの回転力伝達機構、特に電気機関車の主電動機の回転軸支持用の電食防止転がり軸受に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の転がり軸受のハウジングへの取り付け状態を示す断面図
【図2】転がり軸受の外輪表面に被覆される絶縁皮膜の断面図
【図3】実施例および比較例の転がり軸受の締めしろと高温放置時間の関係を示す図表
【図4】電食防止転がり軸受の使用状態を示す電気鉄道車両の要部の説明図
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3、3’ 円周溝
4 絶縁皮膜
5 突条
5’ 環状突部
6 ころ
7 ハウジング
8、9 保持器
10 リング
11 電動機
12、13 転がり軸受
14 車軸
15、16 歯車
17 車輪
Claims (3)
- 軌道輪の表面に絶縁皮膜を有する電食防止転がり軸受において、前記絶縁皮膜を、ポリフェニレンスルフィド樹脂30〜75容量%、ポリアミドイミド樹脂10〜45容量%およびガラス繊維15〜30容量%を含有する樹脂組成物で形成し、前記絶縁被膜は120℃で20MPaの圧力を24時間加える加熱加圧条件で圧縮永久ひずみが2%以下の樹脂からなる絶縁被膜であることを特徴とする電食防止転がり軸受。
- 絶縁皮膜が、外輪と内輪からなる軌道輪における外輪の外周面と内輪の内周面の少なくとも一方の周面および内・外輪のうち少なくとも一方の側面を覆うように形成されている絶縁皮膜である請求項1に記載の電食防止転がり軸受。
- 電食防止転がり軸受が、電気鉄道車両の電動機またはその回転力伝達機構に用いられる電食防止転がり軸受である請求項1または2に記載の電食防止転がり軸受。
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