JP4307882B2 - 難燃性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。特に、電気・電子分野のコネクター、ブレーカー、マグネットスイッチ等の部品、自動車分野の電装部品等の部品材料に好適に用いられる難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。とりわけ、本発明は、ポリアミド樹脂が本来有する機械的特性、電気特性を損なうことなく難燃性を向上させ、かつ塩素、臭素等のハロゲン系難燃剤、アンチモン系助難燃剤並びリン系難燃剤を含有しない難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリアミド樹脂は、機械的性質、成形加工性、電気絶縁性等に優れることから、自動車部品、機械部品、電気・電子部品などの広範な分野で使用されている。しかしながら、ポリアミド樹脂は易燃性であり、安全性の問題から種々の難燃化技術が提案されてきた。そして、それらは一般的に高い難燃化効果を持つ臭素化合物等のハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンをポリアミド樹脂に配合する方法が取られている。
【0003】
例えば、ポリアミド樹脂への塩素置換多環式化合物の添加(例えば、特許文献1参照。)や臭素系難燃剤、例えば、デカブロモジフェニルエーテルの添加(例えば、特許文献2参照。)、臭素化ポリスチレンの添加(例えば、特許文献3及び特許文献4参照。)、臭素化ポリフェニレンエーテルの添加(例えば、特許文献5参照。)、臭素化架橋芳香族重合体の添加(例えば、特許文献6参照。)、臭素化スチレン−無水マレイン酸重合体の添加(例えば、特許文献7参照。)等が知られている。特にこれらハロゲン系難燃剤をガラス繊維等で強化したポリアミド樹脂に配合した組成物は高度の難燃性と高い剛性から、電気・電子部品用途、特にプリント積層板に搭載されたり、接続されたりするコネクター用途に多用されてきた。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は難燃性を向上させる一方、射出成形などの加熱加工時に、腐食性のハロゲン化水素を発生し、金型等を腐食する問題があった。また、ハロゲン系難燃剤と併用されるアンチモン化合物も難燃性を向上させる一方、電気・電子用途に必要な電気特性(耐トラッキング性)を大きく低下させる問題があった。
【0004】
このことから、ハロゲンフリーのリン系難燃剤が注目され、数多く検討がなされてきた。例えば、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、あるいはポリリン酸メラミンをガラス繊維強化ポリアミド樹脂に使用するハロゲンフリーの難燃技術(例えば、特許文献8参照。)、無機質強化ポリアミド樹脂にポリリン酸メラミンを加え、チャー化触媒及び/又はチャー形成剤を併用する難燃技術(例えば、特許文献9参照。)が提案されているが、これらの技術では、電気・電子部品のコネクター用途で特に要求される薄肉成形品でのUL94V−0規格を満足するためには、リン酸メラミン系難燃剤を多く用いる必要があり、この為、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の機械的特性が大きく低下するばかりでなく、電気特性、とりわけ高い電圧環境下に於いて使用される電気部品に要求される耐トラッキング性を大きく低下させた。さらには成形加工時の離型性にも劣り、必ずしも電気・電子部品用の成形材料として満足されるものではなかった。
【0005】
また、薄肉成形品での難燃規格UL94V−0を達成する技術として、イントメッセント型難燃剤である硫酸メラミンをガラス繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂に適用した技術(例えば、特許文献10参照。)も開示されているが、この技術においてもポリアミド樹脂成分量に対して難燃剤を多く配合する必要があり、上記と同様の問題があった。さらには、薄肉成形品での難燃規格UL94V−0を達成しつつ、高い耐トラッキング性を付与する技術として、無機質強化ポリアミド樹脂にリン酸メラミン複合難燃剤に加え、アルカリ土類金属塩を配合する技術(例えば、特許文献11参照。)も提案されているが、この技術で得られた成形品は非常に脆い問題があった。更には成形加工性においても満足出来なく、また成形品を例えば60℃、95%RH等の高温高湿の環境下で長時間放置時、成形品表面にポリアミドオリゴマーや難燃剤が析出する、いわゆるブリードアウト現象が生じるなどの問題があり満足出来るものではなかった。
【0006】
これらに対して、ホウ酸亜鉛化合物を難燃剤としての難燃材開発も行われている。ポリアミド樹脂、無機充填材、臭素系難燃剤、ホウ酸亜鉛、熱安定剤からなるアンチモン化合物の代替にホウ酸亜鉛化合物を使用する難燃化技術(例えば、特許文献12参照。)が開示されている。しかし、ここでも難燃剤としてのハロゲン化合物が必須成分であり、これを使用せずに難燃性を付与することは難しい。
またハロゲン化合物を使用しない技術として、ポリアミドに赤リン、ホウ酸亜鉛、ガラス繊維などの無機充填剤を配合する技術(例えば、特許文献13参照。)やポリアミド樹脂に赤リン、ホウ酸亜鉛、酸化剤を配合する技術(例えば、特許文献14参照。)等が開示されている。しかし、これらの技術においても、難燃剤としてホスフィンの発生が懸念されている赤リンを難燃剤として使用する必要があり、やはりこれを使用せずに難燃性を付与することは難しい。
【0007】
さらに、ハロゲン化合物と赤リンを使用しない技術として、ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性樹脂にポリフェニレンエーテル系樹脂、リン酸エステルなどのリン系難燃剤、ホウ酸金属塩、シアヌール酸メラミン等の難燃剤等を配合する技術(例えば、特許文献17〜20参照。)が開示されている。しかし、これらの技術においては、リン酸エステル等のリン系化合物が必須成分であり、リン系難燃剤無しに難燃性を付与することは難しい。さらに、これらの明細書中には、ホウ酸金属塩とメラミンシアヌレートの両者を使用するときの好ましい相対比率の記載や実施例、比較例においてもホウ酸金属塩とメラミンシアヌレートの両者が使用された例の記載はない。
【0008】
次に、ポリアミドにポリフェノールのホスフィン酸エステル、ホウ酸亜鉛、芳香族主鎖を有する熱可塑性樹脂を配合する技術(例えば、特許文献15参照。)が開示されている。この技術においても、ポリフェノールのホスフィン酸エステル等のリン系化合物が必須成分であり、リン系難燃剤無しに難燃性を付与することは難しい。また、この明細書中の実施例にリン系難燃剤と共にホウ酸亜鉛とメラミンシアヌレートの両者も併用された例があるが、ホウ酸金属塩とメラミンシアヌレートの両者の相対比、合計量のどちらも本願技術で最も効果がある範囲とは異なる。
【0009】
更に、ポリアミドとポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂に、種々のリン系難燃剤、シアヌール酸メラミン、ホウ酸亜鉛、シランカップリング剤を配合する技術(例えば、特許文献16参照。)も開示されている。この技術においても、種々のリン系化合物が必須成分であり、リン系難燃剤無しに難燃性を付与することは難しい。また、この明細書中の実施例、比較例にリン系難燃剤と共にホウ酸亜鉛とメラミンシアヌレートの両者も様々な比率で併用された例があるが、ホウ酸金属塩とメラミンシアヌレートの両者の樹脂に対する合計量は、本願技術の最も効果がある範囲と異なる。さらに、これらもリン系難燃剤を含む系であり、電気特性が大きく低下してしまう問題やブリードアウトの問題が懸念される。
【0010】
そこで、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃助剤に加えて、リン系難燃剤も使わない技術としては、ポリアミド等のポリマーにポリフェニレンエーテル等のチャー形成剤、硫黄化合物、ホウ酸亜鉛などの金属化合物、強化材、フロー改良剤を配合する技術(例えば、特許文献21参照。)が、開示されている。しかし、この技術は、硫黄化合物を難燃剤として使用する技術であり、メラミン等の窒素系難燃剤は、任意成分として記載されているが、実施例、比較例においてもホウ酸亜鉛、窒素系難燃剤を同時に使用した例は無く、ホウ酸亜鉛と窒素系難燃剤の難燃性への相乗効果は記載されていない。
【0011】
また、ポリアミドにホウ酸亜鉛を配合し、ハロゲン系難燃剤を含まない技術が開示されている。(例えば、特許文献22参照。)しかし、この技術は、電気特性の向上が主目的であり、難燃性についての効果は一切記載されていない。さらに、明細書中にメラミン等は含有しないことが好ましいとの記載がある。そして比較例中に、ホウ酸亜鉛とシアヌール酸メラミンを同時に使用した例があるが、それらの例には、同時にハロゲン系難燃剤も配合されており、さらにはホウ酸亜鉛とシアヌール酸メラミンの両者の相対比は本願技術の最も効果がある範囲と異なる。
【0012】
【特許文献1】
特開昭48−29846号公報
【特許文献2】
特開昭47−7134号公報
【特許文献3】
特開昭51−47044号公報
【特許文献4】
特開平4−175371号公報
【特許文献5】
特開昭54−116054号公報
【特許文献6】
特開昭63−317552号公報
【特許文献7】
特開平3−168246号公報
【特許文献8】
特表平10−505875号公報
【特許文献9】
国際公開第98/45364号パンフレット
【特許文献10】
特開2000−119512号公報
【特許文献11】
国際公開第00/09606号パンフレット
【特許文献12】
特表2002−506905号公報
【特許文献13】
特開平6−145504号公報
【特許文献14】
特開2001−247778号公報
【特許文献15】
特開平3−76759号公報
【特許文献16】
特開2002−342358号公報
【特許文献17】
特開2002−105334号公報
【特許文献18】
特開2002−105335号公報
【特許文献19】
特開2002−105336号公報
【特許文献20】
特開2000−160031号公報
【特許文献21】
特表平9−507265号公報
【特許文献22】
特開2002−309081号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塩素、臭素等のハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃助剤並びにリン系難燃剤を含有せずに、ポリアミド樹脂が本来有する機械的特性、耐薬品性、流動性、良成形性、電気特性を損なうことなく、燃焼時のドリップ発生の抑制などの難燃性を大きく向上された難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂及び/又はポリフェニレンスルフィド樹脂、ホウ酸金属化合物、窒素系難燃剤を必須成分として、樹脂成分に対する難燃剤成分の重量比、樹脂成分中に占めるポリフェニレンエーテル樹脂及び/又はポリフェニレンスルフィド樹脂の重量割合、難燃剤成分中に占めるホウ酸金属化合物の重量割合、この三者を特定の範囲にした組成物において、問題となっていた大きな電気特性低下の問題や射出成形などの加熱加工時に、腐食性のハロゲン化水素等が発生し、金型等を腐食する点を解決ができ、さらに優れた押出性や成形性なども併せ持ち、かつ燃焼時のドリップ発生が抑制された難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供できることを見いだした。さらに、強化材、シリコーン化合物を任意成分として組み合わせた際に、UL試験評価での難燃性を更に向上させることができ、さらに物性の改良、流動性の向上等の更なる性質の改良が実現できることを見いだし、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0015】
また、本発明は、塩素、臭素等のハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃助剤並びにリン系難燃剤を含有せずに、ポリアミド樹脂にポリフェニレンエーテル樹脂及び/又はポリフェニレンスルフィド樹脂、及びホウ酸金属化合物と窒素系難燃剤を配合して難燃化を達成することに成功したものである。
すなわち、本発明は、
ポリアミド樹脂(a)成分とポリフェニレンエーテル樹脂及び/又はポリフェニレンスルフィド樹脂(b)成分を含み、かつ(a)成分と(b)成分が85重量%以上である樹脂成分の合計量100重量部に対し、xZnO・yB 2 O 3 ・zH 2 O(x>0、y>0、z≧0)で表されるホウ酸亜鉛化合物(c)成分とメラミンシアヌレート(d)成分の合計量が30〜200重量部と強化材(e)成分を5〜150重量部含む難燃性ポリアミド樹脂組成物であって、さらに下記の重量関係式(1)および重量関係式(2)からなり、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系助難燃剤並びにリン系難燃剤を含有しない難燃性ポリアミド樹脂組成物。
(b)/{(a)+(b)}=0.001〜0.5 式(1)
(c)/{(c)+(d)}=0.04〜0.7 式(2)
本発明について、以下具体的に説明する。
【0016】
本発明の(a)成分としては、例えば、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物などが挙げられ、具体的にはポリ(カプロラクタム)(以下ポリアミド6と略す)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(以下ポリアミド66と略す)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(以下ポリアミド46と略す)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(以下ポリアミド610と略す)、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド)(以下ポリアミド612と略す)、ポリ(ウンデカメチレンアジパミド)(以下ポリアミド116)、ポリ(ウンデカラクタム)(以下ポリアミド11と略す)が挙げられる。
【0017】
また、ポリ(ドデカラクタム)(以下ポリアミド12と略す)等の脂肪族ポリアミドやポリ(メタキシリレンアジパミド)(以下ポリアミドMXD6と略す)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)(以下ポリアミド6Tと略す)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)(以下ポリアミド6Iと略す)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(以下ポリアミド9Tと略す)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)(以下ポリアミド4Iと略す)等の芳香族成分を含むポリアミド及び上記の脂肪族ポリアミド同士や芳香族成分を含むポリアミド同士や脂肪族ポリアミド同士と芳香族成分を含むポリアミドの共重合体や混合物を挙げることができる。
【0018】
本発明により好ましいポリアミドは、ポリアミド自身が持つ難燃性が高い芳香族成分を含むポリアミドである。更に好ましいポリアミドとしては、芳香族二酸であるイソフタル酸やテレフタル酸成分を含むものより重合されたポリアミドが高い難燃性を発現するので特に好ましい。例えば、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミド4I、及びこれらの共重合体や混合物が挙げられる。更に好ましくは、66/6I共重合ポリアミド、66/6I/6T三元共重合ポリアミド、66/6I/6三元共重合ポリアミド、ポリアミド9T、ポリアミド6Iが高い難燃性と成形性を併せて満足するので好ましい。
【0019】
具体的には、(1)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位60〜95重量%及びポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位5〜40重量%からなる共重合体、(2)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位50〜94重量%、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位5〜40重量%及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド単位1〜10重量%からなる3元共重合体、(3)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)成分60〜95重量%及びポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)成分5〜40重量%を含有する混合ポリアミド、(4)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)成分50〜94重量%、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)成分5〜40重量%及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド成分1〜10重量%を含有する混合ポリアミドが挙げられ、これらの芳香族成分を含むポリアミドは更に好ましい。
【0020】
また、上記(2)中のポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド単位及び(4)中のポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド成分としては、ポリ(カプロラクタム)即ちポリアミド6の単位及び成分などが挙げられる。
また次に、本発明により好ましいポリアミドである芳香族成分を含むポリアミドとしてはジアミンであるキシリレンジアミン成分(メタキシリレンジアミンやパラキシリレンジアミンが挙げられる)を含むものより重合されたポリアミドも不燃層(又は炭化層)生成量が大きく、高い難燃性を発現するので特に好ましい。この様なものとして、具体的にはポリアミドMXD6が挙げられ、ホウ酸金属化合物等と組み合わせて用いた際に燃焼時に不燃層(又は炭化層)を形成し、優れた難燃性を発現するので好ましい。
【0021】
(b)成分は、ポリマー構造中に芳香環を持つ熱可塑性樹脂であり、燃焼時に不燃層(又は炭化層)を多く形成し、優れた難燃性を発現する。そして中でも、ポリフェニレンエーテル樹脂が最も好ましい。
そのポリフェニレンエーテル樹脂とは、繰り返し単位構造からなり、
還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が、0.15dl/g以上1.0dl/g以下の範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体である。さらに好ましい還元粘度は、0.20dl/g以上0.70dl/g以下の範囲、最も好ましくは0.40dl/g以上0.60dl/g以下の範囲である。また、流動性や成形性を改良するために低い還元粘度のものを併用することもでき、低い還元粘度のものとしては0.03dl/g以上0.40dl/g以下の範囲であり、好ましくは、0.06dl/g以上0.30dl/g以下の範囲である.
【0022】
【化5】
【0023】
(R1、R4は、それぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキルまたは炭化水素オキシを表す。R2、R3は、それぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキルまたはフェニルを表す。)
【0024】
具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0025】
本発明で使用するポリフェニレンエーテルの製造方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法がある。米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテルの製造方法として好ましい。
【0026】
さらに、ポリフェニレンエーテル樹脂の内、一部又は全部を無水マレイン酸などの酸無水物(相溶化剤)で変性したものであると、ポリアミド樹脂との相溶性を高めることによって、物性、外観、難燃性等が向上し好ましい。また、この際の方法は特に限定せず、一度相溶化剤とポリフェニレンエーテル樹脂等を押出機中等で反応させて、変性されたポリフェニレンエーテル樹脂等を得た後に、これとポリアミド樹脂等とを混練させる二段法でも、一度に相溶化剤、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等を押出機等で混練する一段法でも構わない。
【0027】
これら(a)成分、(b)成分の樹脂以外にも、加工性、難燃性、電気特性、機械特性を向上させる目的で、他の樹脂を本目的の発明を損なわない範囲で添加することができる。このようなものとしては、HIPS、ABS等のポリスチレン系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0028】
本発明で用いられる(c)成分は、具体的にはホウ酸亜鉛化合物、ホウ酸マグネシウム化合物、ホウ酸カルシウム化合物、ホウ酸アルミニウム化合物やコレマナイト等のホウ酸鉱等が挙げられる。本発明に好ましいホウ酸金属化合物としては、燃焼時に熱源である炎から樹脂への熱を遮断すること(断熱能力)によって、樹脂の分解で燃料となるガスの発生を抑制し、難燃性を高めるのに必要な不燃層(又は炭化層)の形成効率が高く、即ち難燃性に優れるので、xZnO・yB2O3・zH2O(x>0、y>0、z≧0)で表されるホウ酸亜鉛化合物が挙げられる。更に好ましくは、2ZnO・3B2O3・3.5H2O、4ZnO・B2O3・H2O、2ZnO・3B2O3で表されるホウ酸亜鉛化合物が挙げられ、特に好ましくは、燃焼時に脱水することによって水蒸気を発生し、不燃層をより発泡させ、不燃層の断熱能力を更に増大させるができ、同時に水の気化熱により燃焼系中を冷却できる、2ZnO・3B2O3・3.5H2O、4ZnO・B2O3・H2Oで表されるホウ酸亜鉛水和物が挙げられ、最も好ましくは、含有する水の比率が高い2ZnO・3B2O3・3.5H2Oが挙げられる。
【0029】
さらには、これらのホウ酸金属化合物はシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等の表面処理剤で処理されていてもよい。また、平均粒径は、より小さい方が物性への影響が少なく、また表面積(樹脂とホウ酸金属化合物との界面)が大きくなり難燃効果も大きくなる。従って、好ましくは30μm以下であり、更に好ましくは、15μm以下であり、特に好ましくは10μm以下である。
【0030】
本発明で用いられる(d)成分は、具体的には、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンが挙げられる。これらの化合物は、燃焼時に昇華や分解する際に、大きく吸熱して燃焼系中冷却する効果、分解時に発生する窒素ガス等による不燃層を発泡させる効果、樹脂の分解ガス(可燃性ガス)や空気中の酸素を希釈する効果などの燃焼反応を止める働きにより、難燃性を付与することができる。更に好ましくは、分解温度が高く、融点の高いポリアミド樹脂に適したメラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンが挙げられ、最も好ましくはメラミンシアヌレートである。
【0031】
また、平均粒径はより小さい方が物性への影響が少なく、また表面積(樹脂とホウ酸金属化合物との界面)が大きくなり難燃効果も大きくなる。従って、好ましくは30μm以下であり、更に好ましくは、15μm以下であり、特に好ましくは10μm以下である。
本発明に用いる(e)成分は任意成分であり、本成分が無くとも、本発明の目的は達成されるが、更なる難燃性、機械特性の向上を図る際には、本成分を添加することができる。
【0032】
(e)成分としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウオラストナイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン等の繊維状、粒状、板状、あるいは針状の無機質強化材が挙げられる。これらの強化材は二種以上組み合わせて用いてもよい。特にガラス繊維等の繊維状強化剤が燃焼時のドリップ抑制効果が高く、また、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)強化を行い、発泡した不燃層(又は炭化層)の形状を維持し、高い難燃化を実現できるので好ましく使用される。
【0033】
また、ガラス繊維は長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は表面処理した物を用いるのが好ましい。とりわけ、ガラス繊維を用いると、物性、難燃性が優れるため特に好ましい。そのなかでもガラス繊維の平均繊維径が5〜30μmが好ましい。また、ガラス繊維の表面処理をしたものが優れた物性を付与するので一層好ましい。
【0034】
強化材は配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)の強度を一層向上させることができ、燃焼時に一度生成した不燃層(又は炭化層)が破損しにくくなり、安定した断熱能力を発揮できるようになり、より大きな難燃効果が得られる。さらに、材料に高い剛性も付与することができる。
本発明で用いられる(f)成分は任意成分であり、本成分が無くとも、本発明の目的は達成されるが、更なる難燃性、流動性、機械特性、離型性の向上を図る際には、本成分を添加することができる。
(f)成分の構造は、以下に示す4つのシロキサン単位(M単位、D単位、T単位、Q単位)の少なくともいずれかが重合してなるポリマーである。
【0035】
1)M単位(一官能性)
【化6】
【0036】
2)D単位(二官能性)
【化7】
【0037】
3)T単位(三官能性)
【化8】
【0038】
4)Q単位(四官能性)
【化9】
【0039】
(但し、Rは、それぞれ同一又は異なる置換基で、アルキル基、アリール基、ベンジル基、ビニル基、アリル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メチルエステル基およびエチルエステル基から選択される。)
【0040】
この内、特にT単位及び/又はQ単位を含有すると分岐状構造となる。そして、本発明の(f)成分の構造は特に規定が無く、分岐状でも直鎖状でも良く、液状でも固体状でも良い。
この様なものとしては、例えば以下のものが挙げられる。直鎖状のオルガノポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ビニルメチルオルガノポリシロキサン、ビニルフェニルメチルポリシロキサン等が挙げられ、分岐状のオルガノポリシロキサンとしてはメチルポリシロキサンレジン、メチルフェニルポリシロキサンレジン、フェニルポリシロキサンレジン、ビニルメチルオルガノポリシロキサンレジン、ビニルフェニルメチルポリシロキサンレジン等が挙げられる。更に変性したオルガノポリシロキサン(レジン)として、アミノ変性オルガノポリシロキサン(レジン)である。
【0041】
また、エポキシ変性オルガノポリシロキサン(レジン)、カルボキシル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、カルビノール変性オルガノポリシロキサン(レジン)、メタクリル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、メルカプト変性オルガノポリシロキサン(レジン)、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、メチルスチリル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、高級アルキル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、高級アルキル脂肪酸エステル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、アルキルアラルキル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、ヒドロキシル変性オルガノポリシロキサン(レジン)、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン(レジン)、アルコール変性オルガノポリシロキサン(レジン)、フッ素変性オルガノポリシロキサン(レジン)、シラノール変性オルガノポリシロキサン(レジン)等が挙げられ、これらの有機置換基の導入位置はオルガノポリシロキサンの主鎖末端や側鎖が挙げられ、導入率は一部又は全部でも良い。
【0042】
ポリアミド分子中には極性の高いアミド結合が存在するが、シリコーン分子中にはさほど高い極性の官能基はないために、両者の相溶性は乏しい。そのために多量にシリコーンを含む場合には、成形片に剥離などによって外観が悪化するときがあるので、このことを回避するために、使用するシリコーン化合物の主鎖末端や側鎖の一部又は全部をここに挙げたアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メルカプト基、高級アルキル脂肪酸エステル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等のような極性官能基によって変性されたシリコーンを用いることができる。
シリコーンは配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)が、一層大きく膨らみ断熱能力に富んだものになり、より一層大きな難燃効果が得られる。また、良流動性や耐衝撃性も付与することができる。
【0043】
これらシリコーンの有機置換基の内にビニル基を含有するものが好ましい。また、ビニル基が直接ケイ素原子に結合したシリコーン化合物が高い難燃性を発現するので特に好ましく、末端基(トリメチルシリル基やアルコキシ基等)を除くケイ素原子に結合している全有機置換基即ちケイ素原子に結合しているアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等)、アリール基(フェニル基等)、ベンジル基、ビニル基、アリル基、アミノ基等の有機置換基の内のビニル基率がモル比で2%以上であるシリコーンが一層高い難燃性を発現するので、更に好ましい。理由は明らかではないが、燃焼時に反応性の高いビニル基を含有するシリコーンが不燃層を形成し易くするので、優れた難燃効果即ち燃焼時のドリップ抑制効果を発揮すると考えている。
【0044】
また、シリコーン化合物の添加方法は特に限定せず、一度シリコーン化合物とポリアミド樹脂等の樹脂成分を押出機等で混練させて、シリコーン化合物含有の樹脂組成物を得た後に、これとホウ酸金属化合物、窒素系難燃剤、強化材等とを混練させる二段法でも、一度に、シリコーン化合物、ホウ酸金属化合物、窒素系難燃剤、強化材、ポリアミド樹脂を混練する一段法でも構わず、シリコーン化合物が液状である場合は、液添ポンプなどの液添装置で、押出機中の溶融樹脂への添加でも、樹脂のペレットなどに外潤でブレンドした後に、押出機などで混練する方法などが挙げられる。この内、液添装置を用いる場合には、シリコーン化合物のタンクやシリコーン化合物の流路をヒーターなどで加熱し粘度を下げても構わない。また、固体状の時には、押出機のトップの供給口(トップフィーダー)や押出機途中の供給口(サイドフィーダー)等からの供給や樹脂のペレットなどとブレンドした後に、押出機などで混練する方法などが挙げられる。
【0045】
本発明の好ましい態様として、(a)成分、(b)成分、(c)成分、および(d)成分が必須成分であり、この四成分により、本発明の目的は達成させることができる。そして、(e)成分及び(f)成分は任意成分であり、添加することによって更なる難燃性の付与、機械特性の向上、流動性の向上等の効果が追加される。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物において、(a)成分と(b)成分を含む樹脂成分において、この(a)成分と(b)成分の両者の合計重量は、難燃性、機械物性の観点から樹脂成分全体重量の85%以上であることが好ましい。更に好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上で、最も好ましくは100%である。
【0046】
次に、(a)成分と(b)成分両者の内(b)成分の重量割合
(b)/{(a)+(b)} 式(1)
は、難燃性の観点から0.001以上であり、電気特性、溶融流動性(押出性、成形性)の観点から0.5以下が好ましい。
(c)成分と(d)成分の合計重量は、(a)成分と(b)成分を含む樹脂成分の合計量100重量部に対して、難燃性の観点から30重量部以上であり、加工性、機械特性の観点から200重量部以下が好ましい。より好ましくは、35重量部以上150重量部以下であり、更に好ましくは、40重量部以上100重量部以下であり、特に好ましくは、45重量部以上80重量部以下である。
【0047】
次に、(c)成分と(d)成分両者の内(c)成分の割合
(c)/{(c)+(d)} 式(2)
は、難燃性、溶融流動性(押出性、成形性)の観点から0.04以上であり0.7以下が好ましい。より好ましくは0.05以上0.65以下であり、更に好ましくは0.06以上0.5以下であり、特に好ましくは、0.7以上0.35以下であり、最も好ましくは、0.1以上0.2以下である。
【0048】
(e)成分は、任意成分であるが、添加する際の重量割合は、(a)成分と(b)成分を含む樹脂成分100重量部に対して、引張強度や剛性等の機械物性向上の観点から5重量部以上であり、押出性や成型加工性の観点から150重量部以下が好ましい。より好ましくは10重量部以上100重量部以下であり、更に好ましくは20重量部以上80重量部以下である。
(f)成分は、任意成分であるが、添加する際の重量割合は、(a)成分と(b)成分を含む樹脂成分100重量部に対して、難燃性向上、流動性向上、耐衝撃性向上、離型性向上の観点0.01重量部以上であり、混練時の分解ガス、成型加工時に成形金型に付着する汚染性物質量の観点から100重量部以下が好ましい。より好ましくは0.05重量部以上50重量部以下であり、更に好ましくは0.1重量部以上30重量部以下である。
【0049】
本明細書中でのハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、リン系難燃剤とは、ハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物の中で難燃性を高めることを目的とした化合物に該当する。しかし、本願の難燃性に影響を与えない範囲で、難燃性以外の耐熱安定性など性質を高めるため等の目的のハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物はこの表現からは外れる。
【0050】
難燃性を高めることを目的とした化合物として、まずハロゲン化合物として、例として、塩素系難燃剤として塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、ドデカクロロペンタシクロオクタデカ−7,15−ジエン(オキシデンタルケミカル社製デクロランプラス25<登録商標>)、無水ヘット酸等、臭素系難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、デカブロモジフェニルオキサイド(DBDPO)、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン(BPBPE)、テトラブロモビスフェノールAエポキシ樹脂(TBBAエポキシ)、テトラブロモビスフェノールAカーボネート(TBBA−PC)、エチレン(ビステトラブロモフタル)イミド(EBTBPI)、エチレンビスペンタブロモジフェニルが挙げられる。
【0051】
また、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン(TTBPTA)、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP−TBBA)、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールS(DBP−TBBS)、臭素化ポリフェニレンエーテル(ポリジプロモフェニレンエーテル等を含む)(BrPPE)、臭素化ポリスチレン(ポリジブロモスチレン等を含む)(BrPS)、臭素化架橋芳香族重合体、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化スチレン−無水マレイン酸重合体、テトラブロモビスフェノールS(TBBS)、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート(TTBNPP)、ポリブロモトリメチルフェニルインダン(PBPI)が挙げられる。
【0052】
さらに、トリス(ジブロモプロピル)−イソシアヌレート(TDBPIC)等、反応型難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA(TBBA)(臭素系難燃剤にも記載)、テトラブロモフタレート、テトラブロモフタレートジオール、テトラブロモフタレートエステル、テトラブロモフタレートジソジウム、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、トリブロモフェノール(TBP)、ジブロモフェノール、ジブロモメタクレゾール、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)(PPBBA)、クロレント酸、無水クロレント酸、臭素化フェノール、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、ビニルブロマイド、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン等が挙げられる。
【0053】
次に、アンチモン化合物としては、例として、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン類やアンチモン酸ソーダ等が挙げられる。
三番目に、リン化合物としては、例として、赤リン系難燃剤として赤リン、リン酸エステル系難燃剤として、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)、トリキシレニルフォスフェート(TXP)、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート(TBP)、トリオクチルフォスフェート(TOP)、トリス(ブトキシエチル)フォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート(CDP)、キシレニルジフェニルフォスフェート、ビス(ノニルフェニル)フェニルフォスフェート(DNP)、クレジルビス(ジ2,6−キシレニル)フォスフェートが挙げられる。
【0054】
また、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)フォスフェート(RDP)、ビスフェノールAビス(ジフェニル)フォスフェート(BPA−DP)、ビスフェノールAビス(ジクレジル)フォスフェート(BPA−DC)、レゾルシノールビス(ジ2,6−キシレニル)フォスフェート、ジエチルーN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフォネート、ジメチルメチルフォスフォネート等が挙げられる。
さらにまた、ハロゲン化リン酸エステル系難燃剤として、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(クロロプロピル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート等が挙げられる。
【0055】
また、リン酸アミド系難燃剤として、トリフェニルフォスフォルアミド等、リン酸塩系難燃剤として、ポリリン酸アンモニウム(APP)、リン酸メラミン、リン酸グアニジン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等、フォスフィン系難燃剤としては、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィンオキサイド、テトラキス(ヒドロキシメチル)フォスフォニウムクロライド、テトラキス(ヒドロキシメチル)サルフェイト等、フォスファゼン系難燃剤としては、プロポキシフォスファゼン、フェノキシフォスファゼン、アミノフォスファゼン、ポリ(フロロアルキルフォスファゼン)、ジプロポキシフォスファゼン等のリン化合物が挙げられる。
【0056】
一方、本願の難燃性に影響を与えない範囲で、耐熱安定性向上や変色防止等のための化合物として一般的に用いられているもの、例えば、ハロゲンを含むものとしては、ヨウ化カリウム、臭化カルウム、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等のハロゲン化合物、リン系の熱安定剤としては、リン酸銅、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4‘−ビフェニレンフォスフォナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)フォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイトが挙げられる。
【0057】
また、4,4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニル・フェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、リン酸トリメチル、次亜リン酸ナトリウム等のリン化合物等が挙げられる。
【0058】
本発明の強化された難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定はなく、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂及び/又はポリフェニレンスルフィド樹脂、ホウ酸金属化合物、強化材(任意成分)、シリコーン化合物(任意成分)等を常用の単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法等であればよい。
【0059】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば難燃剤、エラストマー、フィブリル化剤、顔料、染料等の着色剤や、熱可塑性樹脂の一般的な熱安定剤である銅系熱安定剤(例えばヨウ化銅、酢酸銅等とヨウ化カリウム、臭化カルウムとの併用)、ヒンダードフェノール系酸化劣化防止剤に代表される有機系耐熱剤、耐候性改良剤、核剤、可塑剤、帯電防止剤等の添加剤等を添加することができる。また、不燃層(又は炭化層)の発泡を促進し、断熱効果を増大し、高難燃性を発現するために、燃焼時に水蒸気、窒素、二酸化炭素等のガス成分を発生させる成分、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化金属化合物、炭酸カルシウム等の炭酸金属化合物を添加させることもできる。
本発明の組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など公知の方法によってコネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等の電気、電子、自動車用途の各種成形品に成形される。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。
[原材料]
(a)成分 ポリアミド樹脂
(a−1):製造例1のポリアミド66/6I (共重合成分のモル比 66:6I=85:15)
(b)成分 ポリフェニレンエーテル樹脂及び/又はポリフェニレンスルフィド樹脂
(b−1):製造例2の無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル樹脂
【0061】
(c)成分 ホウ酸金属化合物
(c−1):ホウ酸亜鉛(水和物)2ZnO・3B2O3・3.5H2O U.S. Borax社製 商品名 Firebrake ZB
(d)成分 窒素系難燃剤
(d−1):メラミンシアヌレート 三菱化学(株)製 商品名 MCAC0
(e)成分 強化材
(e−1):ガラス繊維 日本電気硝子(株)製 商品名 ECT03T275H/PL(平均繊維径10μm)
【0062】
(f)成分 シリコーン化合物
(f−1):ビニル基含有シリコーン(20℃において液状) 信越化学工業(株)製 商品名 X−40−9243
このシリコーン化合物を重クロロホルムに溶解させ、29Si−NMR及び1H−NMR測定し、シリコーン化合物の構造解析を行い、ケイ素原子に結合したビニル基を確認した。また、この測定で得られた積分比よりこのシリコーン化合物は末端基(トリメチルシリル基やアルコキシ基等)を除くケイ素上の全有機置換基、即ちケイ素原子に結合しているアルキル基、アリール基、ベンジル基、ビニル基、アリル基、アミノ基の有機置換基の内、ビニル基率はモル比で10%であった。
(f−2):メチルフェニルシリコーンオイル(20℃において液状) 信越化学工業(株)製 商品名 KF50−100
【0063】
【製造例1】
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩2.00kgとイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩0.35kg、アジピン酸0.1kg、および純水2.5kgを5Lのオートクレーブの中に仕込み良く撹拌した。充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。この際、オートクレーブ内の水蒸気による自然圧で内圧はゲージ圧で1.76MPaになるが、1.76MPa以上の圧にならないよう水を反応系外に除去しながら加熱を続けた。更に2時間後内温が260℃に到達した時点で加熱を止め、オートクレーブのバルブを閉止し、約8時間かけて室温まで冷却した。冷却後オートクレーブを開け、約2kgのポリマーを取りだし粉砕した。得られた粉砕ポリマーを、10Lのエバポレーターに入れ窒素気流下、200℃で10時間固相重合した。固相重合によって得られたポリアミドは、融点245℃、硫酸相対粘度2.38であった。
【0064】
【製造例2】
2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して得られた還元粘度(0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃測定)0.52のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(以下ポリフェニレンエーテルと略記)を100重量部と、相溶化剤として無水マレイン酸を1.0重量部とを上流側に1ヶ所(以下top−Fと略記)と、押出機中央部並びにダイに近い下流側の2ヶ所に供給口(以下押出機中央部をside−1、ダイに近い下流側をside−2とそれぞれ略記)を有する二軸押出機(Werner&Pfleiderer社製:ZSK−40)のside−1とside−2は塞いだ状態にして、シリンダー設定温度320℃、スクリュー回転300rpm、吐出量20.15kg/hrの条件下で、ポリフェニレンエーテルと無水マレイン酸をドライブレンドしたものをtop−Fより供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒し無水マレイン酸変性ポリフェニレンエーテルのペレットを得た。
【0065】
[測定方法]
(1)UL−94VB
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法を用いて1サンプル当たりそれぞれ10本ずつ測定を行った。なお試験片は長さが127mm、幅が12.7mm、厚みが1/16インチとし、射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて成形して得た。また厚みが1/16インチの試験片でV−0又はV−1であったサンプルについてはより厳しい条件となる厚さが1/32インチについても射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて成形して得た。
【0066】
ドリップには、各試料の試験中に綿着火の原因となるドリップをしたサンプル数を示した。
平均燃焼時間(s)には、各試料10秒間を2回即ち計20回接炎後の消炎時間の平均燃焼時間を示した。
最大燃焼時間(s)には、同じく計20回接炎後の消炎時間の最大燃焼時間を示した。しかし、試験片が燃え尽きてしまった場合や消炎時間が長すぎて、明らかにV−0、V−1、V−2のいずれのも該当しない場合のサンプルについては平均時間、最大時間には値を記載しない。評価にはUL94垂直燃焼試験によって分類される難燃性のクラスを示した。
【0067】
分類方法の概要は以下の通り。詳細はUL94規格に準じる。
V−0:綿着火無し 平均燃焼時間5秒以下 最大燃焼時間10秒以下
V−1:綿着火無し 平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
V−2:綿着火有り 平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
V−2out:上記3項目に該当しない
【0068】
(2)電気特性(CTI)
IEC Publication 112規格の方法で、日立化成工業(株)製耐トラッキング試験機 HAT−500−3型の装置を用いて、耐トラッキング試験を行った。なお試験片は130mm*130mm*3.0mm(厚み3.0mm)とし、射出成形機(東芝機械製:IS150)を用いて成形して得た。測定の概要は試験片を装置にセットし、試験片表面に接触させた二本の電極によって100〜600Vの電圧を印加し、その電極間に0.1%塩化アンモニウム水溶液を30秒毎に滴下し、試験片がトラッキングを起こすことなく、50滴の間絶縁破壊しない最大電圧(CTI)を測定し、その値を示した。この値が高いほど耐トラッキング性に優れる。
【0069】
(3)機械特性
射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて、ASTM D790の曲げ試験片(厚さ3mm)を成形し、ASTM D790に準拠した方法で曲げ試験を実施し、曲げ強度、曲げ弾性率を求めた。
(4)押出性
組成物を作製するに当たり、二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度240℃、スクリュー回転150rpm、吐出量30kg/hrの条件下で行ったが、この条件で問題なく、押出が可能で組成物が得られたものを合格(○)。押出が不可能だったものを不合格(×)とした。
【0070】
【比較例1】
表1に示す組成物を得た。
原材料(即ち、押出機への投入速度の設定)はa−1が33.6重量%、b−1が14.4重量%、c−1が32.0重量%、e−1が20.0重量%となるように用意し、上流側に1ヶ所(以下top−Fと略記)と、押出機中央部並びにダイに近い下流側の2ヶ所に供給口(以下押出機中央部をside−1、ダイに近い下流側をside−2とそれぞれ略記)を有する二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度240℃、スクリュー回転150rpm、吐出量30kg/hrの条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0071】
【比較例2】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0072】
【実施例1】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VBを調べた。その結果を表1に示す。
【0073】
【実施例2】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0074】
【実施例3】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VBを調べた。その結果を表1に示す。
【0075】
【実施例4】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VBを調べた。その結果を表1に示す。
【0076】
【実施例5】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0077】
【実施例6】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0078】
【実施例7】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0079】
【比較例3】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0080】
【比較例4】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0081】
【比較例5】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0082】
【比較例6】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0083】
【比較例7】
比較例1と同条件下で、a−1とb−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得ようとした。この時、同時に押出性について調べた。
しかし、流動性が低くなったために、上記の条件での押出は、押出機のトルクがオーバー(モーター過負荷)してしまうために押出はできなかったため、UL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性等も調べられなかった。よって、押出性の結果だけを表1に示す。
【0084】
【比較例8】
比較例1と同条件下で、a−1はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0085】
【実施例8】
比較例1と同条件下で、a−1、b−1、f−1(f−1は液状なので。予めa−1とb−1のブレンド物に外潤しておいた。)はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0086】
【実施例9】
比較例1と同条件下で、a−1、b−1、f−2(f−2は液状なので。予めa−1とb−1のブレンド物に外潤しておいた。)はtop−Fから、c−1、d−1はside−1から、e−1はside−2から合計の吐出量が30kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この時、同時に押出性について調べた。
得られたペレットを前記した測定方法にてUL−94VB、電気特性(CTI)、機械特性を調べた。その結果を表1に示す。
【0087】
表1の実施例1〜9と比較例1〜8から分かるように、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃助剤、リン系難燃剤を含まないポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂にポリフェニレンエーテル樹脂と非ハロゲン、非アンチモン、非リンの難燃剤であるホウ酸金属化合物と窒素系難燃剤を特定の重量比率で添加することによって、ポリアミド樹脂がもつ電気特性、機械特性、成形性、押出性をあまり低下させること無く、難燃性を向上させることができ、これら全ての特性特性のバランスを持たせることができた。また、シリコーンを添加することによって難燃性と成形性を更に大きく向上させることができた。
【0088】
【表1】
【0089】
【発明の効果】
本発明の組成物は、塩素、臭素等のハロゲン系難燃剤、アンチモン系助難燃剤並びリン系難燃剤を含有しない難燃性ポリアミド樹脂材料であり、ポリアミド樹脂が本来有する機械的特性、耐薬品性、良成形性、電気特性を損なうことなく、難燃性、電気特性を向上させ、金型腐食を低減でき、家電部品、電子部品、自動車部品等の用途に好適に用いることが出来る。
Claims (17)
- ポリアミド樹脂(a)成分とポリフェニレンエーテル樹脂及び/又はポリフェニレンスルフィド樹脂(b)成分を含み、かつ(a)成分と(b)成分が85重量%以上である樹脂成分の合計量100重量部に対し、xZnO・yB 2 O 3 ・zH 2 O(x>0、y>0、z≧0)で表されるホウ酸亜鉛化合物(c)成分とメラミンシアヌレート(d)成分の合計量が30〜200重量部と強化材(e)成分を5〜150重量部含む難燃性ポリアミド樹脂組成物であって、さらに下記の重量関係式(1)および重量関係式(2)からなり、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系助難燃剤並びにリン系難燃剤を含有しない難燃性ポリアミド樹脂組成物。
(b)/{(a)+(b)}=0.001〜0.5 式(1)
(c)/{(c)+(d)}=0.04〜0.7 式(2) - さらに、シリコーン化合物(f)成分を0.1〜100重量部含む請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (a)成分が、芳香族成分を含むポリアミド樹脂である請求項1または2のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 芳香族成分を含むポリアミド樹脂が、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸成分を含むものより重合されたものである請求項3に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物
- 芳香族成分を含むポリアミド樹脂が、
(1)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位及びポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位からなる共重合体、
(2)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位及びポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)単位からなる3元共重合体、
(3)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位及びポリ(カプロラクタム)単位からなる3元共重合体、
(4)ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)および
(5)ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)
からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である請求項3に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。 - 芳香族成分を含むポリアミド樹脂が、
(1)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位60〜95重量%及びポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位5〜40重量%からなる共重合体、
(2)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位50〜94重量%、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位5〜40重量%及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド単位1〜10重量%からなる3元共重合体、
(3)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)成分60〜95重量%及びポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)成分5〜40重量%を含有する混合ポリアミドおよび
(4)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)成分50〜94重量%、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)成分5〜40重量%及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド成分1〜10重量%を含有する混合ポリアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である請求項3に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。 - 芳香族成分を含むポリアミド樹脂が、キシリレンジアミンを含むものより重合されたものである請求項3に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (b)成分がポリフェニレンエーテル樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (b)成分がポリフェニレンエーテル樹脂であり、その一部又は全部が相溶化剤により変性されたポリフェニレンエーテル樹脂である請求項1〜7いずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (c)成分が、xZnO・yB2O3・zH2O(x>0、y>0、z>0)で表されるホウ酸亜鉛水和物である請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (c)成分が、2ZnO・3B2O3・3.5H2Oで表される化合物である請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (e)成分が、繊維状フィラーである請求項1〜11のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (e)成分がガラス繊維である請求項1〜12のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (f)成分が、ビニル基を含有するシリコーン化合物である請求項2〜13のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (f)成分が、ケイ素原子に結合しているアルキル基、アリール基、ベンジル基、ビニル基、アリル基、アミノ基の有機置換基の内、ビニル基率がモル比で2%以上となることを特徴とする請求項2〜13のいずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜16いずれかに記載の難燃性樹脂組成物からなる成形品。
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