JP2009114015A - 炭酸バリウム粒子粉末、その製造方法およびペロブスカイト型チタン酸バリウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒子表面に1又は2以上のくびれ部を有する棒状粒子を含み、前記棒状粒子のアスペクト比が1.5〜4.5である棒状炭酸バリウム粒子粉末。前記棒状粒子のBET比表面積が15m2/g以上である。前記くびれ部が、棒状粒子の長軸方向に対して直角方向または傾斜方向に設けられている。針状炭酸バリウム粒子粉末を含む水性スラリーを50℃以上で加熱処理する工程を有する棒状炭酸バリウム粒子粉末の製造方法。
【選択図】図1
Description
また、下記特許文献5には、水酸化バリウム濃度が特定範囲にある水酸化バリウム水性懸濁液を攪拌しながら、該懸濁液に二酸化炭素ガスを特定流量で、クエン酸の存在下にて導入して製造された、アスペクト比が3〜20の針状の炭酸バリウムが開示されている。さらに、針状の炭酸バリウムをセラミックス製ビーズを用いて粉砕してアスペクト比が2以下の粒状の炭酸バリウムを得る方法が開示されている。その粒状の炭酸バリウムは、針状の炭酸バリウムを小さくした形状を有する粒子である。
(第1の発明の棒状炭酸バリウム粒子粉末)
本発明の第1の発明の棒状炭酸バリウム粒子粉末は、粒子表面に1又は2以上のくびれ部を有する棒状粒子を含み、前記棒状粒子のアスペクト比が1.5〜4.5であることを特徴とする。
また、本発明において、アスペクト比とは、走査型電子顕微鏡観察から求められる、各粒子について長軸(A)と短軸(B)の長さの比(A/B)を求め、200個の粒子の測定値の平均値を示す。
また、本発明の棒状炭酸バリウム粒子粉末は、短軸の長さが0.03〜0.10μm、好ましくは0.04〜0.06μmであることが望ましい。
本発明の第2の発明の粒状炭酸バリウム粒子粉末は、粒子表面にくびれ部がない粒状粒子と、粒子表面に1又は2以上のくびれ部を有する粒状粒子を含み、アスペクト比が1.3〜3.0、好ましくは1.3〜2.5であることを特徴とする。基本的に前記第1の発明の棒状炭酸バリウム粒子粉末を粉砕処理することにより得られ、第1の発明の棒状炭酸バリウム粒子粉末と比べ更にアスペクト比が小さい粒状炭酸バリウム粒子粉末である。
次に、本発明の前記特性を有する炭酸バリウム粒子粉末の製造方法について説明する。
本発明の炭酸バリウム粒子粉末の製造方法において、針状の炭酸バリウム粒子粉末を含む水性スラリーを特定条件下で加熱処理することにより、本発明の第1の発明の棒状炭酸バリウム粒子粉末を得ることができ、更に該第1の発明の棒状炭酸バリウム粒子粉末を粉砕処理することにより第2の発明の粒状炭酸バリウム粒子粉末を得ることができる。
本発明で使用する原料の針状の炭酸バリウム粒子粉末は、アスペクト比が4.5以上、好ましくは4.5〜10、さらに好ましくは4.5〜8.0であると加熱処理時間を短く出来る点で好ましい。
水酸化バリウムと、炭酸源との反応は、水酸化バリウムを溶解した水溶液に、炭酸源を添加して行われる。
前記炭酸源の水酸化バリウムを溶解した水溶液への添加量は、水酸化バリウム中のBa原子と炭酸源中のCO3分子の(Ba/CO3)モル比で0.2〜1である。この理由は(Ba/CO3)モル比が0.2未満では炭酸塩の添加量が多くなりコスト増を招くので好ましくない。一方、1を超えると未反応の水酸化バリウムが多くなり、バリウムの収量が低下することになるからである。通常、反応効率を上げるためにCO3過剰で反応を行い、(Ba/CO3)モル比が0.3〜0.8であると反応効率と経済性の点で好ましい。
られる炭酸バリウムの粒子径は小さくなることが確認されており、可溶性バリウム塩と可溶性炭酸塩および/または二酸化炭素は30℃以下で反応させることが望ましい。
本発明において、かかる反応は、粒子成長抑制剤の存在下に行うと、粒子成長を抑制し、さらに高比表面積の針状の炭酸バリウム粒子粉末を製造することが出来、この高比表面積の針状の炭酸バリウム粒子粉末を原料として用いることで、さらに高比表面積の本発明の炭酸バリウム粒子粉末を得ることができる。
かかる粒子成長抑制剤は、上記反応系において、水酸化バリウムと、炭酸源との反応時に常に存在していればよく、その添加時は特に限定されないが、より比表面積の大きな炭酸バリウム粒子粉末を得るためには、水酸化バリウムを含む水溶液に予め添加しておくか、炭酸源の添加終了後、すぐに添加した方がよい。添加の方法は、特に制限されるものではないが、炭酸源の添加終了後に、粒子成長抑制剤を添加する場合は、予め粒子成長抑制剤を0.1〜10重量%程度含む水溶液を調製しておいて、この溶液を反応系に添加すればよい。
反応終了後、常法により固液分離し、必要により洗浄、乾燥、更に解砕、分級等を行って、本発明で使用する針状の炭酸バリウム粒子粉末とするが、反応終了後の針状の炭酸バリウムを含む反応液をそのまま、後述する針状の炭酸バリウム粒子粉末を含む水性スラリーとしてそのまま用いることも出来る。
針状の炭酸バリウム粒子粉末を含む水性スラリーの濃度は、特に制限されるものではないが、4〜95重量%、好ましくは4〜20重量%であるとスラリーの粘性が低いので取り扱いが容易となる点で特に好ましい。
この加熱処理により、前記針状の炭酸バリウム粒子粉末のアスペクト比が4.5以下に低減することができると共に、粒子表面にくびれ部を生成させることができる。なお、加熱処理温度が50℃未満では、いくら時間をかけても本発明の炭酸バリウム粒子粉末を得ることが出来ない。加熱処理温度は、好ましくは80℃以上で、高ければ高いほど短時間でアスペクト比が低減し、更にくびれ部も生成されるが、100℃以上で加熱処理を行う場合はオートクレープ等を用いることが好ましい。本発明において、加熱処理温度は50〜180℃、好ましくは110℃〜150℃であるとアスペクト比の制御が容易であることと、熟成時間が短くて済む点で特に好ましい。
かくして得られる棒状炭酸バリウム粒子粉末の好ましい物性は、粒子表面のくびれ部の数が1以上、好ましくは5〜25で、アスペクト比が1.5〜4.5、好ましくは1.5〜3.0である。更に長軸が0.1〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.3μm、BET比表面積が15m2/g以上、好ましくは20m2/g、特に好ましくは20〜35m2/gであることが特に好ましい。
粉砕方法は、強力なせん断力が作用する機械的手段により行われ、湿式法又は乾式法で行うことができる。湿式法としては、ビーズミル、ボールミルにより行うことができ、また、乾式法としては、ジェットミル、ビーズミルにより行うことができる。なお、粉砕条件等は使用する粉砕装置により最適条件を適宜選択して行えばよい。
炭酸バリウム粒子粉末と二酸化チタンとの混合方法は、乾式又は湿式のいずれの方法でもよいが、均一混合が容易な点でビーズミル、ボールミル等の常法による湿式混合装置で行うことが好ましい。
実施例1〜5
水酸化バリウム・8水塩50.0gと市販のクエン酸0.156g(純度100%換算)、水1500gを反応容器に仕込み、水酸化バリウム及びクエン酸を溶解させる。次いで該反応溶液を10000rpmで攪拌しながら、炭酸ガス0.0056gを流速0.0112g/分の速度で吹き込んで反応を行って針状の炭酸バリウムを析出させた。この時の反応温度は、20℃で、反応時間30秒で行った。
加熱処理後、スラリーを常法により固液分離し、120℃で6時間乾燥し、解砕を行って炭酸バリウムを得、これを棒状炭酸バリウム粒子粉末試料とした。
反応容器を密閉容器(オートクレーブ)から開放容器(フラスコ)にし、表1に記載の温度と時間で加熱処理を行った以外は実施例1〜5と同じ条件で棒状炭酸バリウム粒子粉末試料を得た。
実施例1と同様にして針状の炭酸バリウムを析出させた後、加熱処理を行う工程においてスラリーを濃縮して12重量%として加熱処理を行った以外は実施例1と同様にして棒状炭酸バリウム粒子粉末試料を得た。
棒状炭酸バリウム粒子粉末を粉砕処理を行った実施例を示す。
実施例1と同様にして棒状炭酸バリウム粒子粉末を得た後、その後、ビーズミル装置1を用いて、0.4mm径のジルコニアビーズを充填率が85%になるようにビーズミル装置に投入し、ジルコニアビーズを周速度10m/sで攪拌し、湿式粉砕処理を行った。
加熱処理を行わない以外は実施例1と同様にして、針状の炭酸バリウム粒子粉末試料を得た。
加熱温度を40℃で7日間とした以外は実施例7と同様にして炭酸バリウム粒子粉末試料を得た。
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られた炭酸バリウム粒子粉末試料について、BET比表面積、アスペクト比、長軸の長さ及びくびれ部を測定した。その結果を表2に示した。
なお、下記の表3に実施例9の粒子表面にくびれ部がない粒子と、くびれ部を有する粒子の各々のアスペクト比、長軸の長さ及びくびれ部を示す。
実施例3、実施例9及び比較例1で得られた炭酸バリウム粒子粉末と、高純度二酸化チタン(チタン工業株式会社製、品名;クロルス酸化チタンKA−10C、BET比表面積;9.2m2/g、平均粒径0.37μm)とをTi/Baのモル比で1.006となるように湿式混合機としてボールミル(ビーズ径0.5mmのジルコニアビーズ)を用い、十分混合した後、130℃で2時間乾燥後、粉砕した。次いで、粉砕物を900℃で2時間、大気中で仮焼し、冷却後、粉砕を行ってチタン酸バリウムを得た。
2 くびれ部
3 棒状粒子の長軸
4 棒状粒子の短軸
5 山
Claims (14)
- 粒子表面に1又は2以上のくびれ部を有する棒状粒子を含み、前記棒状粒子のアスペクト比が1.5〜4.5であることを特徴とする棒状炭酸バリウム粒子粉末。
- 前記棒状粒子の長軸長さが0.1〜0.5μmである請求項1記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末。
- 前記棒状粒子のBET比表面積が15m2/g以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末。
- 前記くびれ部が、棒状粒子の長軸方向に対して直角方向または傾斜方向に設けられている請求項1乃至3のいずれかの項に記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末。
- 粒子表面にくびれ部がない粒状粒子と、粒子表面に1又は2以上のくびれ部を有する粒状粒子を含み、アスペクト比が1.3〜3.0であることを特徴とする粒状炭酸バリウム粒子粉末。
- BET比表面積が15m2/g以上であることを特徴とする請求項5記載の粒状炭酸バリウム粒子粉末。
- 針状炭酸バリウム粒子粉末を含む水性スラリーを50℃以上で加熱処理する工程を有することを特徴とする請求項1記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末の製造方法。
- 前記針状炭酸バリウム粒子粉末のアスペクト比は4.5以上であることを特徴とする請求項7記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末の製造方法。
- 前記針状炭酸バリウム粒子粉末は、水酸化バリウムと、二酸化炭素又は可溶性炭酸塩から選ばれる炭酸源を水溶媒中で反応させて生成されたものを使用することを特徴とする請求項7または8記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末の製造方法。
- 前記水酸化バリウムと、炭酸源との反応は、多価アルコール、ピロリン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、カルボン酸塩、ポリカルボン酸又はポリカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の粒子成長抑制剤の存在下に行うことを特徴とする請求項9記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末の製造方法。
- 前記炭酸源が二酸化炭素であることを特徴とする請求項9又は10記載の棒状炭酸バリウム粒子粉末の製造方法。
- 針状炭酸バリウム粒子粉末を含む水性スラリーを50℃以上で加熱処理して棒状炭酸バリウム粒子粉末を得る工程、該棒状炭酸バリウム粒子粉末を粉砕処理する工程を有することを特徴とする請求項5記載の粒状炭酸バリウム粒子粉末の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかの項に記載の炭酸バリウム粒子粉末と、二酸化チタンとを混合し、得られた混合物を仮焼することを特徴とするペロブスカイト型チタン酸バリウムの製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれかの項に記載の炭酸バリウム粒子粉末からなることを特徴とするペロブスカイト型チタン酸バリウム製造用のバリウム源。
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