JP2001270714A - Yag微粉末の製造法 - Google Patents

Yag微粉末の製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】1次粒子径が小さく凝集のないYAG粉末を得
る。 【構成】 イットリウムとアルミニウムの酸性塩水溶液
を0.1モル/l〜2.5モル/lの範囲の炭酸含有塩
基性塩水溶液に滴下して硫酸イオンが存在する条件でp
Hを7.4〜9に調整してX線的にはアモルファス相で
あるが炭酸イットリムとドーソナイトが3対5の割合で
混合したものに相当する組成を有する沈殿を生成せし
め、該沈殿から結晶性の炭酸イットリウムが生成する以
前にろ過した後、該沈殿を洗浄し、仮焼してイットリウ
ム−アルミニウム−ガーネット粉末とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イットリウム−ア
ルミニウム−ガーネット(以下、YAGという)焼結体
原料ばかりでなくサイアロンや窒化アルミニウム等の焼
結助剤、蛍光体原料、触媒等として有用な分散性に優れ
たYAG微粉末を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、YAGはレーザー材料として
ばかりでなく高温材料や種々の検出素子材料などの重要
な材料として知られている。それらの材料を効率良く安
価に製造するには易焼結性YAG粉末の調製が必要不可
欠である。また、サイアロンや窒化アルミニウム等を緻
密に焼結するには緻密化促進剤としてYAG等の分散性
の良いイットリウムの化合物が利用されている。
【0003】YAG焼結体の原料粉末の多くは、酸化イ
ットリウム粉末と酸化アルミニウム粉末をYAG組成に
なる割合で混合し、これを仮焼して固相反応でYAG相
の粉末とした後に、ボールミル等で粉砕する方法で製造
している。
【0004】また、イットリウムイオンとアルミニウム
イオンを含む酸性水溶液を水酸化ナトリウムまたはアン
モニアで中和してイットリウム化合物とアルミニウム化
合物を共沈させ、得られた共沈物を仮焼して、YAGを
合成する製造法も開発されている。この共沈法をさらに
高度化した、水酸化ナトリウムやアンモニア水の代わり
に尿素の熱分解で発生するアンモニアで共沈させ、該共
沈物を仮焼して、YAG粉末を合成する製造法(尿素に
よる均一沈殿法:特開平2−92817号公報参照)も
開発されている。さらに、イットリウムとアルミニウム
のアルコキシドを加水分解する方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】酸化イットリウム粉末
と酸化アルミニウム粉末を仮焼して、YAG粉末を合成
する方法では、YAG単一相を得るために1600℃以
上で仮焼する必要がある。このために得られた粉末の粒
径は大きく、焼結性に劣るので、ボールミル等で粉砕す
る必要があった。粉末の粉砕はボール等で粉末粒子に機
械的衝撃を与えて行うが、この衝撃でボール等から不純
物が剥離して試料に混入するという欠点があった。
【0006】近年、鋼球にプラスチックを覆い、実質的
に不純物の混入がない粉砕用のボールも開発された。し
かしながら、このボールの粉砕能力は非常に小さく、粉
末粒子の粒径が1μm以下になるまで粉砕することはで
きず、必然的にこの方法で製造したYAG粉末の焼結性
は非常に悪いという欠点があった。
【0007】通常の共沈法で得られる沈殿はゼリー状で
あり、該沈殿を乾燥すると非常に硬い塊となる。これを
砕いても1次粒子までほぐすことは不可能で、1次粒子
が多数集合した凝集粒子を形成している。該粉末を仮焼
してYAG粉末にしてもこの凝集は残っており、焼結性
に劣るという欠点があった。
【0008】上記の尿素の熱分解による共沈法で得られ
る沈殿粒子は適度の硬さのフロックを形成し、ろ過速度
が速く容易に洗浄できるという長所がある。しかしなが
ら、得られたYAG前駆体中のイットリウムとアルミニ
ウムが大きく分離しているので、YAG単一相を得るに
は1300℃以上で仮焼する必要があり、得られたYA
Gは焼結性に劣るという欠点があった。
【0009】アルコキシドの水和による製造法では、イ
ットリウムとアルミニウムが原子オーダーで混合した組
成変動が無視できるYAG前駆体を製造できるが、アル
コキシドは高価であるばかりでなく、大気中の水と容易
に反応するのでその取り扱いが困難であるという欠点が
あった。
【0010】本発明は、このような問題点を解消すべく
案出されたものであり、特定条件下で合成したX線的に
はアモルファスであるが、組成的には炭酸イットリウム
(Y 2 (CO3 3 ・nH2 O、ここで、nは水和水の
数であり、沈殿の合成条件や乾燥の程度で異なる)とド
ーソナイト(NH4 AlCO3 (OH)2 )が3対5の
割合で混合したものに相当する組成を有する前駆体を製
造し、該前駆体を仮焼することにより、1次粒子径が小
さく凝集のないYAG粉末を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、上
記課題を解決するために、イットリウムとアルミニウム
の酸性塩水溶液を0.1モル/l〜2.5モル/lの範
囲の炭酸含有塩基性塩水溶液に滴下して硫酸イオンが存
在する条件でpHを7.4〜9に調整してX線的にはア
モルファス相であるが炭酸イットリムとドーソナイトが
3対5の割合で混合したものに相当する組成を有する沈
殿を生成せしめ、該沈殿から結晶性の炭酸イットリウム
が生成する以前にろ過した後、該沈殿を洗浄,仮焼して
YAG粉末とすることを特徴とする。
【0012】また、上記のYAG微粉末の製造法におい
て、ろ過したアモルファス状の沈殿を800〜1300
℃で仮焼し、一次粒子の大きさが40〜400nmのY
AG粉末にすることを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明者等は、1次粒子が細かく凝集粒子のな
い焼結用YAG粉末について種々調査・研究した。その
結果、特定条件化で合成したX線的にはアモルファスで
あるが炭酸イットリムとドーソナイトが3対5の割合で
混合したものに相当する組成を有する沈殿から得られた
YAG粉末は焼結原料粉末や種々の添加剤粉末として好
適であることを見出した。
【0014】すなわち、イットリウムとアルミニウムの
酸性塩水溶液を炭酸水素アンモニウム水溶液に滴下し
て、硫酸イオンの存在下で生成した沈殿粒子を該沈殿粒
子が結晶化する以前にろ過、洗浄し、乾燥すると、この
乾燥体は乳鉢等で軽く砕くだけで容易に微粉化できる。
これを仮焼して得た粉末は、添加物を用いることなく通
常の焼結法でYAG透明焼結体が製造できるほど焼結性
に優れている。
【0015】本発明の方法で調製した前駆体は、複酸化
物の易焼結性粉末の前駆体に求められる(1)仮焼時の
大きな凝集粒子生成の原因となる微細粒子の緻密で大き
な集合が存在しないこと、(2)仮焼後に異常粒成長の
原因となる大きな組成変動がないこと等の要件を満足す
る。このため、該YAG前駆体を仮焼することにより微
細な1次粒子が個々に分離した易焼結性のYAG粉末が
得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のYAG前駆体は、イット
リウムイオンを含む酸性水溶液とアルミニウムイオンを
含む酸性水溶液をイットリウムイオンとアルミニウムイ
オンの比が3対5になるように混合し、この溶液を50
℃以下の温度で濃度が0.1モル/l〜2.5モル/l
の炭酸含有塩基性塩水溶液に滴下して硫酸イオンが存在
する条件でpHを7.4〜9に調整して沈殿させる方法
で合成する。
【0017】本発明の原料のイットリウム酸性塩として
は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の水溶性無機酸
塩または有機酸塩のうち、一種または2種以上が使用さ
れる。また、アルミニウムの酸性塩原料として、塩化
物、硝酸塩、アンモニウム明礬等の水溶性無機酸塩また
は有機酸塩のうち、一種または2種以上が使用される。
【0018】本発明で使用する炭酸含有塩基性塩には、
炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等が例示され
るが、本発明の特徴を発揮する炭酸含有塩基性塩であれ
ば特にその種類に限定されない。また、それらは一種ま
たは2種以上で使用される。これらの化合物の中で,炭
酸水素アンモニウムは、該化合物の水溶液中の濃度が多
少変化しても、さらには沈殿反応の進行の程度によらず
pHはほぼ7.6〜8を保つので、炭酸含有塩基性塩の
中で特に好ましい。
【0019】本発明で使用する硫酸イオンを生じさせる
化学物質として硫酸や硫酸アンモニウム、硫酸アルミニ
ウム、硫酸イットリウム、アンモニウム明礬等が例示さ
れるが、本発明の特徴を発揮する水溶液中で硫酸イオン
を発生させる化学物質であれば特にその種類に制限され
ない。また、それらは一種または2種以上で使用され
る。
【0020】本発明では、イットリウムイオンとアルミ
ニウムイオンを含む水溶液のアルミニウムイオンの濃度
は0.05モル/l以上が好ましい。この濃度以下であ
ると沈殿物はベーマイトを含み、ろ過が非常に困難であ
ると同時に仮焼後に得られるYAG粉末は硬い凝集粒子
を含むので好ましくない。該溶液のアルミニウムイオン
濃度の上限は特に制限は無く、飽和溶液でも好ましい結
果が得られる。
【0021】しかしながら、飽和濃度は温度によって顕
著に変化するので、飽和濃度に近い溶液を用いると、沈
殿操作中に溶液温度が低下した場合、塩が晶析してそれ
以上の作業ができなくなることもある。このことから該
溶液のアルミニウムイオン濃度は0.01モル/l〜
0.5モル/lが特に好ましい。一方、イットリムイオ
ン濃度はアルミニウムイオンとイットリウムイオンの濃
度比が5対3という条件から自動的に決定される。
【0022】本発明に使用される炭酸含有塩基性塩水溶
液の濃度は0.1モル/l〜2.5モル/lの範囲が好
ましい。該濃度が0.1モル/l以下であると沈殿反応
時の炭酸イオンの量が少なく本発明で必要なドーソナイ
トの化学組成を有する沈殿の代わりにベーマイトが沈殿
する。この沈殿はゼラチン質で乾燥すると硬い凝集粒子
を作るので好ましくない。
【0023】一方、該濃度が2.5モル/l以上になる
と炭酸イットリウムが急激に成長し、沈殿中のイットリ
ウムとアルミニウムの分離が進み、YAG単一相となる
仮焼温度が高くなり、焼結性が低下するので好ましくな
い。
【0024】本発明の前駆体は、硫酸イオンの存在する
条件でpHが7.4〜9の間で調製する必要がある。p
Hが7.4以下であると、アルミニウムイオンは完全に
沈殿するが、イットリウムイオンの一部は水溶液に残
る。このため、pHが7.4以下であると、沈殿中のイ
ットリウムとアルミニウムの組成はYAGの組成からず
れるので好ましくない。一方、pHが9よりも高いと沈
殿中に異常に大きな炭酸イットリウム粒子が生成し、前
駆体中のイットリウムとアルミニウムの分離が進み、Y
AG単一相粉末を製造するための仮焼温度が高くなり、
焼結性が悪くなるので好ましくない。
【0025】本発明の沈殿反応時における硫酸イオン
は、沈殿物の極めて微細な1次粒子を集合させて、約
0.02μm〜1μmのサイズの個々に分離した丸みの
ある凝集粒子を形成させる働きを有する。該沈殿物を仮
焼すると、同じ凝集粒子に属する1次粒子から生成した
YAG粒子は互いに合体し、1個または少数個のYAG
の1次粒子になる。
【0026】しかしながら、この仮焼過程で別の凝集粒
子に属した1次粒子から生成したYAG粒子とは強固に
焼結することはないので、仮焼して得られるYAG粉末
は平均粒径が0.02μm〜0.06μmの個々に分離
した粒子で構成される。
【0027】本発明で使用する硫酸イオンの量は、YA
Gに対してモル比で0.01以上あれば効果を発揮す
る。該モル比として0.1以上が特に好ましい。しかし
ながら、該モル比として1以上になると、硫酸イオンの
使用量の割に使用効果の向上は認められない。
【0028】本発明で生成する沈殿の乾燥体は炭酸イッ
トリウムとドーソナイトが3対5の割合で混合した化学
組成を有する。該乾燥体はX線的にはアモルファス相で
ある。沈殿生成後に長時間熟成すると、アモルファス質
の該沈殿からまず結晶質の炭酸イットリウムが出現し、
さらに熟成を続けると結晶質のドーソナイトが認められ
るようになる。
【0029】結晶性の炭酸イットリウムが出現すると沈
殿物中のイットリウムとアルミニウムの分離が進み、仮
焼によりYAG単一相の粉末を製造するにはより高温で
仮焼する必要がある。その結果,仮焼して得られるYA
G粉末は大きくなり焼結性が悪くなる。このため、本発
明では沈殿の熟成は10時間以内に制限する必要があ
る。
【0030】本発明では、イットリウムとアルミニウム
の酸性溶液を炭酸含有塩基性塩水溶液に滴下し終わった
直後に、ろ過洗浄工程に入っても好ましい結果が得られ
る。特に好ましい熟成時間はYAG前駆体の生成量や沈
殿反応に使用する容器などの個々の合成条件により異な
るので,実際の合成プロセスごとに求める必要がある。
本発明における沈殿反応温度が50℃以上であると、洗
浄操作に入る前に該前駆体から結晶質の炭酸イットリウ
ムとドーソナイトが生成・成長し、イットリウムとアル
ミニウムの分離が進むので、YAG単一相粉末を得るに
は仮焼温度が高くなり、焼結性が低下するので好ましく
ない。該温度が50℃以下であると、YAG前駆体がア
モルファス状態から結晶性の炭酸イットリウムやドーソ
ナイトへ変化するまでにかなり時間があり、洗浄を十分
に行えるので好ましい。
【0031】本発明の沈殿の洗浄は、沈殿反応後の水溶
液に存在する硝酸イオンやアンモニウムイオン等の不要
なイオンを除去するために行う。この除去の目的が達成
できるならば、洗浄の方法や洗浄回数などは特に制限は
ない。
【0032】本発明の方法で製造したYAG前駆体を仮
焼すると、1次粒子が0.01μm〜0.2μmと微細
で、凝集粒子のないYAG粉末が製造できる。仮焼温度
は900℃〜1300℃が好ましい。仮焼温度が900
℃よりも低いと仮焼後に得られる粉末はYAGの単一相
でないので、焼結による緻密化は不均一になり焼結で気
孔を完全に取り除くことはできない。また、粒子サイズ
も小さいので、成形体作製時の粒子の成形性も悪い。他
方、1300℃を超える高温で仮焼すると、1次粒子や
2次粒子の成長が激しく、粒度分布が広く不均一な粒子
となるので好ましくない。
【0033】
【実施例】実施例1:マグネチックスターラーで炭酸水
素アンモニウム濃度が1.5モル/lの水溶液200m
lを攪拌する。この液に0.15モル/lのアンモニウ
ム明礬と0.09モル/lの硝酸イットリウムを含む酸
性の水溶液の320mlを5ml/minの速度で滴下
して沈殿を生成する。この時のpHは7.8であった。
【0034】沈殿が生成した水溶液を滴下後30分間攪
拌したのち、ろ過する。ろ過後の沈殿物を蒸留水に分散
し、ろ過する。この蒸留水への分散とろ過を4回繰り返
して、沈殿物を洗浄する。最終的にろ過した沈殿物は室
温の窒素ガス気流中で乾燥する。この乾燥前駆体を乳鉢
で軽くほぐす。この前駆体の一部を化学分析したりX線
回折法で結晶構造を調べたり、SEM観察試料などの前
駆体の特性づけに使用する。残りの前駆体は管状電気炉
で酸素気流中で、2時間仮焼する。
【0035】本実施例で生成したYAG前駆体及び仮焼
YAG粉末のX線回折データを図1に示す。この図でG
はYAGのX線回折ピークを、PはYAlO3 のX線回
折ピークを、また各温度は仮焼温度を示す。この図から
分かるように、前駆体からは特定の回折ピークは得られ
ないので、前駆体はアモルファスである。
【0036】化学分析の結果、Al:Y:C:NH4
モル比は1:0.67:1.89:0.95であった。
この値は炭酸イットリウム(Y2 (CO3 3 )とドー
ソナイト(NH4 AlCO3 (OH)2 )が3対5の割
合で混合したものに相当する。図2に1100℃で仮焼
したYAG粉末のSEM写真を示す。この図から分かる
ように、100nm〜200nmの1次粒子が個々に分
離していて、凝集が殆ど認められない。このYAG粉末
を200MPaの静水圧で成形した後に真空雰囲気、1
700℃で1時間焼結すると焼結密度は理論密度の9
9.9%であり、透光性に優れた焼結体を製造できた.
【0037】実施例2:マグネチックスターラーで炭酸
水素アンモニウム濃度が1.5モル/lの水溶液200
mlを攪拌する。この液に0.15モル/lの硝酸アル
ミニウムと0.09モル/lの硝酸イットリウムおよび
0.009モル/lの硫酸アンモニウムを含む酸性の水
溶液の320mlを5ml/minの速度で滴下して沈
殿を生成する。この時のpHは7.8であった。生成し
た沈殿を実施例1の方法で洗浄、仮焼した。得られた仮
焼粉末の形態や焼結性はほぼ実施例1で得られた仮焼粉
末と同じであった。
【0038】実施例3:マグネチックスターラーで炭酸
アンモニウム濃度が0.8モル/lの水溶液200ml
を攪拌する。この液に0.15モル/lのアンモニウム
明礬と0.09モル/lの硝酸イットリウムを含む酸性
の水溶液の320mlを5ml/minの速度で滴下し
て沈殿を生成する。この時のpHは8であった。その後
の操作は実施例1の方法で行った。得られた前駆体やY
AG粉末の形態は実施例1で得られたものとほぼ同じで
あった。酸素気流中、1100℃、2時間仮焼したYA
G粉末の成形体を実施例1の条件で焼結すると、実施例
1とほぼ同じ透明度の焼結体が得られた。
【0039】比較例1:熟成を48時間行った以外は実
施例1と同じ条件でYAG前駆体やYAG粉末を合成し
た。図3に得られた前駆体と1100℃で仮焼した粉末
のX線回折データを示す。この図で、YやM、P、G、
D、CはそれぞれY2 3 、Y4 Al29 、YAlO
3 、H4 AlCO3 (OH)2 、Y2 (CO3 3 から
のX線回折ピークである。また、YAG単一相を得るに
は1100℃以上で仮焼する必要があることが分かる。
1200℃で仮焼したYAG粉末を用いて実施例1の方
法で焼結したところ、焼結密度は理論密度の85%であ
り、熟成によりYAG粉末の焼結性が低下した。
【0040】比較例2:マグネチックスターラーで炭酸
水素アンモニウム濃度が0.05モル/lの水溶液10
00mlを攪拌する。この液にアンモニウム明礬を0.
15モル/lと硝酸イットリウムを0.09モル/l含
む酸性の水溶液の80mlを5ml/minの速度で滴
下して沈殿を生成する。この時のpHは7.6であっ
た。その後の処理は実施例1の方法で行った。
【0041】得られた沈殿を乾燥すると硬い塊となっ
た。これを乳鉢で砕き実施例1の条件で仮焼したとこ
ろ、微細な1次粒子が硬く凝集したYAG粉末を得た。
実施例1と同じ条件で焼結したところ嵩密度は理論密度
の約94%であった。
【0042】比較例3:炭酸水素アンモニウム水溶液を
酸性水溶液に滴下する以外は実施例1と同じ条件でYA
G前駆体やYAGを合成した。ベーマイトと炭酸イット
リウムが混合した前駆体が得られた。仮焼後のYAG粉
末は微細な1次粒子が硬く凝集していて、実施例1の条
件で焼結したところ、焼結密度は理論密度の92%であ
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1における前駆体および該前駆
体を仮焼した粉末のX線回折パターンを示すグラフであ
る。
【図2】図2は、実施例1における前駆体を1100℃
で仮焼した粉末の図面代用SEM写真である。
【図3】図3は、比較例1における48時間熟成した前
駆体および1100℃で2時間仮焼した粉末のX線回折
パターンを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 李 鐘欣 茨城県つくば市並木1丁目1番科学技術庁 無機材質研究所内 Fターム(参考) 4G031 AA08 AA29 GA05 4G076 AA02 AA18 AB04 AB07 AB08 AB12 BA13 BA42 CA05 CA26 CA29 CA35 DA01 DA11 DA30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イットリウムとアルミニウムの酸性塩水
    溶液を0.1モル/l〜2.5モル/lの範囲の炭酸含
    有塩基性塩水溶液に滴下して硫酸イオンが存在する条件
    でpHを7.4〜9に調整してX線的にはアモルファス
    相であるが炭酸イットリムとドーソナイトが3対5の割
    合で混合したものに相当する組成を有する沈殿を生成せ
    しめ、該沈殿から結晶性の炭酸イットリウムが生成する
    以前にろ過した後、該沈殿を洗浄し,仮焼してイットリ
    ウム−アルミニウム−ガーネット粉末とすることを特徴
    とするYAG微粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、ろ過した
    アモルファス状の沈殿を800〜1300℃で仮焼し、
    一次粒子の大きさが40〜400nmのイットリウム−
    アルミニウム−ガーネット粉末にするイットリウム−ア
    ルミニウム−ガーネット微粉末の製造方法。
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