JP5119008B2 - ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法に関するものであり、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の機能性セラミックの原料として有用なペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法に関するものである。
ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、従来、圧電体、積層セラミックコンデンサ等の機能性セラミックの原料として用いられてきた。ところが、近年、積層セラミックコンデンサは、高容量化のために積層数の増加や高誘電率化が求められており、このため、原料であるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末には、微細で、高い正方晶性を持つことが要望されている。
ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する1つの方法として、Ba原子とTi原子を含む複合有機酸塩を仮焼する方法がある。例えば、塩化バリウムと塩化チタンを含む溶液と、シュウ酸水溶液とを接触させ反応を行ってシュウ酸バリウムチタニルを得た後、該シュウ酸バリウムチタニルを仮焼し脱シュウ酸処理するシュウ酸塩法が代表的である。このシュウ酸塩法で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、微細で正方晶性の高いものが得らにくいという問題がある。
このため、例えば、下記特許文献1には、水溶性バリウム塩と水溶性チタニウム塩及びシュウ酸の水溶液を同時に混合し、得られたゲルを短時間に強力攪拌解砕することにより得られた微細なシュウ酸バリウムチタニル(BaTiO(C)・4HO)の結晶を700〜900℃で仮焼する方法が提案されている。
また、下記特許文献2及び3には、シュウ酸バリウムチタニルを湿式粉砕処理して、微細なシュウ酸バリウムチタニルを得た後、得られたシュウ酸バリウムチタニルを仮焼する方法が提案されている。
また、下記特許文献4には塩化バリウム水溶液と塩化チタン水溶液との混合水溶液をシュウ酸水溶液に添加してバリウムチタン酸オキサラートを沈澱させた後、エージングし、洗浄、濾過、乾燥させてバリウムチタン酸オキサラートを製造する段階;製造したバリウムチタン酸オキサラートを1次仮焼後、1次粉砕して微粒のチタン酸バリウム粉末を製造する段階;および前記微粒のチタン酸バリウム粉末を2次仮焼後、2次粉砕する段階、を含む方法が提案されている。
特開昭61−146710号公報 特開2004−123431号公報 特開2002−53320号公報 特開2003−212543号公報
前記従来技術のように複合有機酸塩を用いるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法が種々検討されているが、更に工業的に有利な方法で、微細で、且つ高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法が要望されていた。
従って、本発明の目的は、複合有機酸塩を用い工業的に有利な方法で、微細で、且つ同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、Ba原子とTi原子を含む複合有機酸塩を仮焼する際に、炉内に炭酸ガスが多量に存在すると、得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末には当該粉末の表面や内部に炭酸バリウムが生成されるため、正方晶の指標となるc軸とa軸の比(c/a)が低くなり、強誘電体として特性の低いペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末が製造されること、また仮焼中の炭酸ガスの発生を抑制すれば、微細で同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造することができること、更に仮焼を加湿空気の存在下に行うと、炭酸ガスが加湿空気中の水蒸気により効果的に吸収され、このため仮焼中の炭酸ガスの濃度を低減でき、また、得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は微細で、同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つものになることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明が提供しようとするペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法は、Ba原子とTi原子を含む複合有機酸塩を焼成炉中で仮焼してペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法において、前記仮焼を、温度を調整した水に空気を通して加湿した加湿空気を焼成炉中に導入しながら行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、工業的に有利な方法で、微細で、同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造することが出来る。製造されたペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の電子部品用機能性セラミックの原料として有用である。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明に係るペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法は、Ba原子とTi原子を含む複合有機酸塩を仮焼してペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法において、前記仮焼を加湿空気の存在下に行うことを特徴とする。
本発明で使用する原料のBa原子とTi原子を含む複合有機酸塩(以下、「複合有機酸塩」と略記する)としては、BaとTiの複塩を形成できるものであれば、特に制限なく使用することができる。このような複合有機酸塩としては、例えば、ギ酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩等のカルボン酸塩或いはこれらカルボン酸を2種以上含む例えば、シュウ酸と乳酸の両方を含むカルボン酸の複合塩(特願2007−40018号参照)等が挙げられる。例えば、シュウ酸バリウムチタニル、クエン酸バリウムチタニル、コハク酸バリウムチタニル等が挙げられる。
これらの中、本発明において、シュウ酸塩、クエン酸塩が好ましく、とりわけシュウ酸塩がBa/Tiの原子比が1近傍のものが容易に製造でき、また製造コストの点からも特に好ましい。
複合有機酸塩中のBa原子とTi原子の含有割合は、Ba原子とTi原子のモル比(Ba/Ti)で、0.99〜1.01、好ましくは0.995〜1.005であると微細で正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムを作製する点から特に好ましい。
なお、本発明において、前記複合有機酸塩はペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末とした場合のAサイト元素のBa原子の一部代替として、Ca又は/及びSr原子が含有されていてもよく、また、Bサイト元素のTi原子の一部代替としてZr原子が含有されていてもよい。この場合、Baの一部代替とするCa又は/及びSr原子の代替量は、特に制限されるものではないがBa原子に対して50モル%未満とすることが好ましい。一方、Tiの一部代替とするZr原子の代替量も、特に制限されるものではないがTi原子に対して50モル%未満とすることが好ましい。BaとCa及び/又はSr(Aサイト元素)に対するTiとZr(Bサイト元素)の混合割合はモル比(Aサイト元素/Bサイト元素)で0.99〜1.01、好ましくは0.995〜1.005とすることが好ましい。
本発明で用いられる複合有機酸塩の他の物性は特に制限されるものではないが、走査型電子顕微鏡写真(SEM観察)により求められる平均粒径が200μm以下、好ましくは100μm以下であると微細で正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムを作製する点で好ましい。なお、前記走査型電子顕微鏡写真(SEM観察)から求めた平均粒径は、任意に抽出したサンプル1000個について走査型電子顕微鏡観察(SEM観察)から求めた平均の値を示す。
本発明で使用する複合有機酸塩は、公知の方法で製造することが出来る。例えば、シュウ酸塩の場合は、塩化チタン及び塩化バリウムを含む水溶液と、シュウ酸水溶液を接触させてシュウ酸塩を析出させ、必要により熟成反応を行い、次いで常法により固液分離して回収し、必要により洗浄、乾燥、粉砕等を行うことにより製造することが出来る。例えば、特開2006−321722号公報、特開2006−321723号公報、特開2006−348026号公報、特開2004−123431号公報等に記載されている方法により製造される複合有機酸塩が挙げられる。
また、クエン酸塩の場合は、チタンのクエン酸溶液に塩化バリウムの溶液を添加し、クエン塩を析出させ、必要により熟成反応を行い、次いで常法により固液分離して回収し、必要により洗浄、乾燥、粉砕等を行うことにより製造することが出来る。例えば、米国特許第3,231,328号公報等に記載されている方法により製造される複合有機酸塩が挙げられる。
また、シュウ酸と乳酸の両方を含むカルボン酸の複合塩は、チタン成分、バリウム成分及び乳酸成分を含む溶液と、シュウ酸成分を含む溶液とをアルコールを含む溶媒中で接触して反応することにより製造することが出来る(特願2007−40018号参照)。
なお、複合有機酸塩の粉砕を行う場合は、湿式で行うことが好ましく、例えば、該複合有機酸塩を含むスラリーを、湿式粉砕装置に装入して粉砕処理する方法が挙げられる。湿式粉砕装置としては、例えば、ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。上記スラリーの調製に用いられる溶媒としては、複合有機酸塩に対して不活性であるものが用いられ、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド及びジエチルエーテル等が挙げられる。この中、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド及びジエチルエーテル等の有機溶媒で且つBaとTiの溶出が少ないものを用いると、結晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を得ることができるため好ましい。上記溶媒は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、湿式処理後、乾燥は噴霧乾燥機によりスラリーごと行ってもよい。
なお、前記複合有機酸塩は高純度なペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を得るため高純度のものを使用することが好ましい。
本発明の反応操作は、前記複合有機酸塩を仮焼する。最終製品に含まれる有機物は、材料の誘電体特性を損なうとともに、セラミック化のための熱工程における挙動の不安定要因となるので好ましくない。従って、本発明では仮焼により複合有機酸塩を熱分解して目的とするペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を得ると共に、複合有機酸塩由来の有機物を十分除去する必要がある。
仮焼温度は700〜1200℃、好ましくは800〜1000℃である。この理由は仮焼温度が700℃未満ではペロブスカイト型チタン酸バリウムへの生成反応が進まず、未反応のままになりやすく、一方、仮焼温度が1200℃を超えると生成したペロブスカイト型チタン酸バリウムが粒成長をおこす傾向があるため好ましくない。
仮焼時間は4時間以上、好ましくは6〜30時間である。また、この仮焼は、粉体特性を均質とするため、一度仮焼したものを粉砕し、再仮焼を行ってもよい。仮焼に使用する焼成炉はバッチ式又は連続式の電気炉、ガス炉が使用でき、その一例としてローラーハースキルン、ロータリーキルン、プッシャー炉等が挙げられる。
本発明のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法において、前記仮焼を大気下で加湿空気の存在下に行うことが特に重要な要件になる。
具体的な操作は、加湿空気を焼成炉内に導入しながら仮焼を行えばよい。
前記加湿空気には、空気を、温度を調整した水に通して加湿した空気、または空気に水蒸気を混合して加湿した空気等を用いることができる。
前記加湿空気中の水分含有量は特に制限されるものではないが、露点が15℃以上、好ましくは20〜26℃、特に好ましくは21〜25℃の加湿空気を用いると、ペロブスカイト型チタン酸バリウムへの生成反応において焼成炉内で発生した炭酸ガスを効率的に吸収させるという点で特に好ましい。
図1は湿度図表を示し、温度(℃)と乾燥空気1mに含まれる飽和水蒸気量(湿度100%)(g)の関係を示すグラフである。図1における飽和水蒸気量と温度の関係を表1に示す。なお、表1の温度(℃)は露点を示す。
Figure 0005119008
図2は、湿度曲線から露点を求めるためのグラフである。露点は図2に基づいて求めることができる。図2において、曲線Hsは湿度100%の湿度曲線、曲線H1は任意の湿度a%の湿度曲線である。但し、aは湿度100%未満の湿度示す。曲線Hsは図1に示す曲線と同一である。温度t2、湿度a%の加湿空気Haは、曲線H1の温度t2における水蒸気量h2の水蒸気を含有している。そのために、温度t2、湿度a%の加湿空気Aの露点を求めるには、水蒸気量h2を飽和水蒸気曲線Hsの方向に移動して、水蒸気量h2と曲線Hsとの交点h1における温度t1が、加湿空気Haの露点となる。
焼成炉内への加湿空気の導入割合は、焼成炉の容量により異なるが、例えば焼成炉の容量が3Lのものを使用する場合には、1L/min以上、好ましくは2〜5L/minであると、ペロブスカイト型チタン酸バリウムへの生成反応において焼成炉内で発生した炭酸ガスを効率よく吸収させ、かつ、加湿された加湿空気により炉内温度が低下することを防ぐ点で好ましい。なお、前記加湿された加湿空気の焼成炉への導入時期は、少なくも複合有機酸塩が熱分解する前に前記焼成炉に導入することが、反応過程で生成する炭酸ガスを効果的に吸収し、炭酸ガスの発生を抑制できる点で特に好ましい。
仮焼後のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、例えば、必要により酸溶液で洗浄し、水洗い、乾燥、粉砕、分級することにより製品とすることができる。乾燥方法は常法を用いればよく特に限定されるものでないが、湿式粉砕処理を行った場合には、例えば、噴霧乾燥機を用いる方法が適用できる。
本発明で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、正方晶の指標となるc軸とa軸の比(c/a)が好ましくは1.004以上、好ましくは1.006〜1.010であり高い正方晶性を有する。更に本発明で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の好ましい物性は、走査型電子顕微鏡観察により、任意に抽出したサンプル1000個について走査型電子顕微鏡観察から求めた平均粒径が0.5μm以下、好ましく0.05〜0.3μmであり、BET比表面積が2m/g以上、好ましくは3〜20m/gであり、また、極めて高純度で、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の電子部品用機能性セラミックの原料として有用なペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末である。
なお、必要により、複合有機酸塩に副成分元素含有化合物を混合し、この後に仮焼を行うと、副成分元素の酸化物を含むぺロブスカイト型セラミック原料粉末を得ることができる。また、仮焼後のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末に副成分元素含有化合物を添加し再仮焼することによっても副成分元素を含有するペロブスカイト型セラミック原料粉末を得ることができる。前記副成分元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の希土類元素、Li、Bi、Zn、Mn、Al、Si、Sr、Co、V、Nb、Ni、Cr、B、Fe及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素として用いられる。
なお、これらの副成分元素含有化合物の組み合わせや添加量は、生成するセラミックに必要な誘電特性に合わせて任意に設定することができる。具体的な副成分元素含有化合物の添加量は、ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末100重量部に対して、副成分元素含有化合物中の元素として、通常0.1〜5重量部である。なお、前記副成分元素含有化合物は無機物又は有機物のいずれであってもよい。例えば、前記の元素を含む酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩及びアルコキシド等が挙げられる。副成分元素含有化合物がSi元素を含有する化合物である場合は、前記酸化物等に加えて、シリカゾルや珪酸ナトリウム等も用いることができる。
本発明で得られるぺロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、積層コンデンサの製造原料として使用することができる。例えば、まず、上記ぺロブスカイト型チタン酸バリウム粉末と、添加剤、有機系バインダ、可塑剤、分散剤等の従来公知の配合剤とを混合し分散させてスラリー化し、該スラリー中の固形物を成形してセラミックシートを得る。次にこのセラミックシートの一面に内部電極形成用導電ペーストを印刷し、乾燥後、複数枚のセラミックシートを積層し、次に厚み方向に圧着することにより積層体を形成する。さらに、この積層体を加熱処理して脱バインダ処理を行い、仮焼して仮焼体を得る。その後、この焼成体にIn―Gaペースト、Niペースト、Agペースト、ニッケル合金ペースト、銅ペースト、銅合金ペースト等を塗布して焼き付けることにより積層コンデンサを得ることができる。
また、本発明で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂に配合し、樹脂シート、樹脂フィルム、接着剤等としてプリント配線板や多層プリント配線板等の材料に好適に用いることができる。また、前記ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、EL素子の誘電体材料、内部電極と誘電体層との収縮差を抑制するための共材、電極セラミックス回路基板やガラスセラミックス回路基板の基材及び回路周辺材料の原料、排ガス除去や化学合成等の反応時に使用される触媒、帯電防止効果やクリーニング効果を付与する印刷トナーの表面改質材等として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<シュウ酸バリウムチタニルの調製>
塩化バリウム2水塩600g(2.456モル)及び四塩化チタン444g(2.342モル)を水4100mlに溶解した混合溶液を調製し、これをA液とした。次にシュウ酸620gを70℃の温水1500mlに溶解しシュウ酸水溶液を調製し、これをB液とした。A液にB液を70℃に保持しながら攪拌下に120分かけて添加し、更に70℃で1時間攪拌下に熟成した。冷却後、ろ過してシュウ酸バリウムチタニルを回収した。次いで回収したシュウ酸バリウムチタニルを蒸留水4.5Lで3回リパルプして洗浄した。次いで、105℃で乾燥し、粉砕してシュウ酸バリウムチタニル(BaTiO(C)・4HO)1000gを得た。得られたシュウ酸バリウムチタニルの物性値を表2に示す。
なお、Ba/Tiモル比は蛍光X線分析した値に基づいて算出した。また、平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)写真により任意に抽出したサンプル1000個について求めた平均値とした。
Figure 0005119008
実施例1〜4
図3に示す電気式バッチ炉からなる焼成炉にて、大気下で前記シュウ酸バリウムチタニル試料7gを2.5℃/分の昇温速度で表3に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
図3に示す焼成炉の炉1の内部の四面は、アルミナファイバーボードで覆われ、炉内にアルミナからなる試料容器2の筒の中に試料3が収容されており、導入管4の導入口5から加湿空気6を炉内へ導入し、排出管7の排出口8から加湿空気を炉外へ排出する。
仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に、空気を30℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気A(露点21℃)を2L/minの割合で導入しながら行った。焼成炉の容量は3Lである。
なお、加温前の空気の状態は、27.8℃、湿度24%、露点7℃である。30℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気Aは、導入口5の測定値で、26.1℃、湿度72%、露点21℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
実施例5〜8
実施例1と同様にシュウ酸バリウムチタニル試料7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表3に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に、空気を45℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気B(露点25℃)を2L/minの割合で導入しながら行った。
なお、加温前の空気の状態は、27.8℃、湿度24%、露点7℃である。45℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気Bは、導入口5の測定値で、27.1℃、湿度87%、露点25℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
比較例1〜4
実施例1と同様にシュウ酸バリウムチタニル試料7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表3に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
仮焼は焼成炉に、空気を導入しないで行った。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
比較例5〜8
実施例1と同様にシュウ酸バリウムチタニル試料7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表3に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。なお、仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に炭酸ガスを2L/minの割合で導入しながら行った。
なお、炭酸ガスは加温しないものを用いた。加温しない炭酸ガスは、導入口5の測定値で、22.3℃、湿度37%、露点8℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
比較例9〜12
実施例1と同様にシュウ酸バリウムチタニル試料7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表3に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
なお、仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に空気を2L/minの割合で導入しながら行った。
なお、空気の状態は、導入口5の測定値で、27.8℃、湿度24%、露点7℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
Figure 0005119008
<チタン酸バリウム試料の物性評価>
実施例1〜8及び比較例1〜12で得られたチタン酸バリウム試料について、平均粒径、BET比表面積、正方晶の指標となるc軸とa軸の比、c/aを測定した。その結果を表4に示す。なお、c軸とa軸の比はX線回折により求めた。また、平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)写真により任意に抽出したサンプル1000個について求めた平均値とした。
Figure 0005119008
(注)比較例5において、結晶性のチタン酸バリウムが生成されなかったため、c/aを測定することが出来なかった。
表4より、仮焼を加湿空気を導入して行って得られるチタン酸バリウムは、仮焼温度が同じで加湿空気を導入しないで仮焼して得られたものや、BET比表面積が同程度の比較例のものと比べ、正方晶の指標となるc軸とa軸の比(c/a)が高く正方晶性に優れていることが分かる。
本発明は、微細で、高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造することが出来るので、製造されたペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の電子部品用機能性セラミックの原料として利用することができる。
温度と乾燥空気1mに含まれる飽和水蒸気量(湿度100%)の関係を示すグラフである。 湿度曲線から露点を求めるためのグラフである。 焼成炉の一実施態様を示す概略図である。
符号の説明
1 炉
2 試料容器
3 試料
4 導入管
5 導入口
6 加湿空気
7 排出管
8 排出口
9 ふた
10 基台

Claims (5)

  1. Ba原子とTi原子を含む複合有機酸塩を焼成炉中で仮焼してペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法において、前記仮焼を、温度を調整した水に空気を通して加湿した加湿空気を焼成炉中に導入しながら行うことを特徴とするペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
  2. 前記加湿空気の露点は15℃以上である請求項1に記載のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
  3. 前記仮焼は700〜1200℃で行う請求項1または2に記載のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
  4. 前記複合有機酸塩がカルボン酸塩である請求項1乃至のいずれかの項に記載のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
  5. 前記複合有機酸塩がシュウ酸塩である請求項1乃至のいずれかの項に記載のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
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