JP2005314153A - チタン酸バリウム粉末の製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
粒径が0.5μmを超える粗大粒子を実質的に含有しておらず、平均粒子径が0.3μm以下の微粒であり、c/a比が1.0088以上であるBaTiO3粉末の、従来より簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】
焼成によりBaTiO3粉末を生成する金属化合物混合物を、700〜1000℃で仮焼成し、得られた中間焼成物中のBaCO3の量が全Baのうちの3〜8モル%となるように調整した後、900〜1050℃で該中間焼成物を本焼成するBaTiO3粉末の製造方法。BaCO3を含有する金属化合物混合物を、仮焼成後の中間焼成物中のBaCO3残存量が全Baのうちの3〜8モル%となるように仮焼成し、得られた中間焼成物を、本焼成後に得られる粉末が実質的にチタン酸バリウムのみからなる粉末となるように本焼成するBaTiO3粉末の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、チタン酸バリウム粉末の製造方法に関する。特に微粒でかつ高い正方晶性を有するチタン酸バリウム粉末の製造方法に関する。
チタン酸バリウムは高い誘電率を有するのでセラミック積層コンデンサーに用いられている。セラミック積層コンデンサは小型化が進み、誘電体層の厚みも薄いものが開発されているため、チタン酸バリウム粉末もより微細なものが求められている。近年では、誘電体層の一層の厚みは1μm程度にまで薄くなっており、このような薄く均質な誘電体層を製造するために、具体的には平均粒子径が0.3μm以下である微細なチタン酸バリウム粉末が求められている。
また、セラミック積層コンデンサには電気容量が大きいことが求められており、大きな容量を得るために、誘電率が高い誘電体が望まれている。正方晶性(ペロブスカイト構造のa軸とc軸の長さの比c/aを指す。)が高いチタン酸バリウム粉末は、誘電率が高いことが知られており、チタン酸バリウム粉末としては微粒子であるのみならず、c/aが1.0088以上の大きいものが求められている。
さらに、チタン酸バリウム粉末に粗大粒子が混入していると、セラミック積層コンデンサの耐電圧が低下することが知られており、例えば平均粒子径が0.3μmのチタン酸バリウム粉末においては、粒径が0.5μmを超える粒子が実質的に混入していない粉末が求められている。
そこで、このような粉末の製造方法として、エタノールに二酸化チタン粉末とバリウムアルコキシドをBa/Ti=0.02となるように加えて混合して噴霧乾燥させた後、300℃で1回焼成して二酸化チタン粒子表面にバリウム化合物を付着させ、次に、合計でモル比Ba/Tiが1.000となる量の炭酸バリウム(Ba中の炭酸バリウムは98モル%)を加えて混合、乾燥し、1000℃で2回目の焼成を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この製造方法によれば、BET比表面積が7.0m2/g(BET比表面積から算出した平均一次粒子径は0.14μmである。)と微粒で、正方晶性を示すc/aが1.0090と高く、粗大粒子の少ないチタン酸バリウム粉末を製造することができるとされている。
しかしながら、エタノールなどの可燃性の有機溶剤の噴霧乾燥には、防爆に対応した特殊な設備が必要となるため、可燃性の有機溶剤を用いた噴霧乾燥を行うことなく、微粒で正方晶性が高いチタン酸バリウム粉末を、より簡便に製造する方法が求められていた。
特開2002−265278号公報
本発明の目的は、粒径が0.5μmを超える粗大粒子を実質的に含有しておらず、平均粒子径が0.3μm以下の微粒であり、ペロブスカイト構造のa軸とc軸の長さの比であるc/a比が1.0088以上であるチタン酸バリウム粉末の、従来より簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者は上記の課題を解決すべく、チタンとバリウムを含有し、焼成によりチタン酸バリウムを生成する金属化合物混合物を焼成するチタン酸バリウム粉末の製造方法について鋭意検討した結果、焼成を仮焼成と本焼成の少なくとも2回に分けて行い、まず最高到達温度が一定範囲となるようにして金属化合物混合物の仮焼成を行い、得られた中間焼成物中の炭酸バリウムの量を特定量となるように調整した後、さらに最高到達温度が一定範囲となるようにして該中間焼成物の本焼成を行うことによるかまたは、焼成を仮焼成と本焼成の少なくとも2回に分けて行い、まず金属化合物混合物として炭酸バリウムを含有した金属化合物混合を用い、金属化合物混合物の仮焼成を、仮焼成後においては炭酸バリウムを特定量残存させるように行い、得られた中間焼成物の本焼成を、本焼成後においては炭酸バリウムが残存せず、得られた粉末が実質的にチタン酸バリウムのみからなる粉末となるように行うことにより、0.5μmを超える粗大粒子を実質的に含有せず、微粒でしかもc/a軸比が1.0088以上であり、高い正方晶性を有するチタン酸バリウム粉末が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、焼成によりチタン酸バリウムを生成する金属化合物混合物を焼成してチタン酸バリウム粉末を製造する方法であって、金属化合物混合物の仮焼成を、最高到達温度が700℃以上1000℃以下の温度範囲となるようにして行い、得られた中間焼成物中の炭酸バリウムの量が全バリウムのうちの3モル%以上8モル%以下の範囲となるように調整した後、該中間生成物の本焼成を、最高到達温度が900℃以上1050℃以下の温度範囲となるように行うことを特徴とするチタン酸バリウム粉末の製造方法を提供する。また本発明は、焼成によりチタン酸バリウムを生成する金属化合物混合物を焼成してチタン酸バリウム粉末を製造する方法であって、炭酸バリウムを含有する金属化合物混合物の仮焼成を、仮焼成後の中間焼成物中の炭酸バリウム残存量が全バリウムのうちの3モル%以上8モル%以下の範囲となるように行い、得られた中間焼成物の本焼成を、本焼成により得られる粉末が実質的にチタン酸バリウムのみからなる粉末となるように行うことを特徴とするチタン酸バリウム粉末の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、0.5μmを超える粗大粒子を実質的に含有せず、平均粒子径が0.3μm以下の微粒であり、c/aが1.0088以上と高く、凝集が少なく一次粒子まで分散されており、粒子密度が高いチタン酸バリウム粉末が得られ、このチタン酸バリウム粉末を焼結用に用いることにより、低温の焼結で高い焼結密度を有する焼結体が得られ、得られた焼結体は高い誘電率を有してるので、電子部品用、特に積層コンデンサ用、樹脂充填型コンデンサ用材料として好適であり、本発明は工業的に極めて有用である。
まず、本発明の第1の製造方法について説明する。
本発明の第1の製造方法においては、焼成によりチタン酸バリウムを生成する金属化合物混合物を用いる。該金属化合物混合物は、バリウム化合物とチタン化合物を混合することにより得ることができる。
バリウム化合物およびチタン化合物は特に限定されず、例えば、酸化物、炭酸塩、水酸化物、水酸化物のゲル、ハロゲン化物、酢酸塩、シュウ酸塩を用いることができる。バリウム化合物としては、具体的には、炭酸バリウム、水酸化バリウム、酢酸バリウム等を挙げることができる。チタン化合物としては、具体的には、二酸化チタン(チタニア)、四塩化チタン中和析出物(オルトチタン酸)を挙げることができる。取扱いやすさ、コストを考慮すると、チタン化合物としては、二酸化チタンが好適であり、バリウム化合物としては炭酸バリウムと水酸化バリウムが好適である。水酸化バリウムは結晶水が変動しやすく、また空気中の二酸化炭素と結合して炭酸バリウムを形成しやすいので、チタン酸バリウムのBa/Ti比を厳密に制御するためには保管と取扱いに十分な配慮が必要である。したがってバリウム化合物としては炭酸バリウムが最も好ましい。
バリウム化合物およびチタン化合物の粒径は小さい方が好ましく、BET比表面積から求めた平均粒径が0.1μm以下の微粒であることが好ましく、予め粉砕してもよい。
バリウム化合物と、チタン化合物とを、モル比Ba/Tiを所定の値(通常は1.000)となるように混合する。モル比Ba/Tiは±0.001の誤差範囲で所定の値に合わせる必要がある。その混合は、乾式または湿式の混合により行うことができる。混合は、通常工業的に用いられる方法を用いることができ、装置としてはボールミル、振動ミル、ヘンシェルミキサー、バーチカルグラニュレーター、ダイナミックミル等が挙げられる。可燃性有機溶剤を用いた湿式混合により混合した後に、得られたスラリーを噴霧乾燥することによっても金属化合物混合物を得ることはできるが、防爆仕様の大掛かりな設備が必要となり、工業的に不利なので好ましくない。
得られた金属化合物混合物を、最高到達温度が700℃以上1000℃以下の温度範囲となるようにして焼成して金属化合物混合物の仮焼成を行う。仮焼成は複数回に分けて行ってもよい。
仮焼成における雰囲気としては、例えば、酸素、酸素含有窒素(空気を含む)、酸素含有アルゴン、酸素含有ヘリウム、水蒸気、ハロゲン、ハロゲン化水素およびそれらの混合ガス等の酸化性雰囲気;窒素、アルゴン、ヘリウムおよびこれらの混合ガス等の不活性雰囲気を用いることができる。その中でも、得られるチタン酸バリウム粉末の粒径が小さくなる傾向があるので、酸化性雰囲気が好ましく、ハロゲン含有雰囲気がさらに好ましい。なお、気圧は0.01MPa程度の低い気圧から、0.08〜0.12MPa程度の常圧までの条件を用いることができ、常圧が好ましい。
仮焼成の雰囲気としてハロゲン含有雰囲気を用いる場合は、チタン酸バリウムが生成する温度(850℃程度)よりも低い温度で温度上昇途中(温度上昇途中において一定温度で保持する場合も含む。)においてハロゲン含有雰囲気を用い、チタン酸バリウムが生成する温度以上においては、例えば窒素や空気等の実質的にハロゲンを含有しない雰囲気を用いることが好ましい。ハロゲン含有雰囲気を用いて焼成を行う温度は、具体的には温度上昇中の800℃以下の温度範囲がより好ましく、さらに好ましくは500℃から700℃の温度範囲である。雰囲気中のハロゲンおよび/またはハロゲン化合物含有率は0.5体積%以上30体積%以下が好ましく、より好ましくは3体積%以上10体積%以下である。ハロゲン含有雰囲気中のガスでハロゲンおよびハロゲン化合物以外のガスとしては窒素、空気、アルゴン等を用いることができる。なお、本発明の製造方法において、ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。そして、ハロゲン含有雰囲気としては、分子状ハロゲン、ハロゲン化水素、ハロゲン化物の蒸気等を含む雰囲気が挙げられ、ハロゲン化水素含有雰囲気が好ましく、塩化水素含有雰囲気がより好ましい。
この仮焼成の雰囲気として、ハロゲン含有雰囲気を用いた場合、チタン酸バリウム粉末には、若干のハロゲンが物理吸着していることがある。もしくはハロゲン化バリウムとして残存していることがある。残存したハロゲンは電子材料用として好ましくないので除去することが好ましく、洗浄により除去することができる。しかし、水で洗浄した場合、ハロゲン等の不純物が除去されると同時に、若干量のバリウムが溶出し、モル比Ba/Tiが変動することがある。この場合、洗浄に用いた水の中のBaイオンを、例えば、洗浄に用いた水に炭酸水素アンモニウムのような炭酸塩を加えることにより、炭酸バリウムとして沈澱させて濾過等により捕集し、中間焼成物に加えることにより、モル比Ba/Tiの変動を防止することができる。
次に、仮焼成により得られた中間焼成物に含有される炭酸バリウムの量が、全バリウムのうちの3モル%以上8モル%以下の範囲となるように調整する。
この炭酸バリウムの量を調整する方法として、具体的には、仮焼成により得られた中間焼成物の粉末を、例えば炭酸水素アンモニウム水溶液のような炭酸イオンを含有する水溶液に浸漬する方法が挙げられる。仮焼成により生成した中間焼成物の表面のバリウムは、このような炭酸塩水溶液処理により炭酸バリウムに変化し、中間焼成物中の炭酸バリウムの含有量を3モル%以上8モル%以下の範囲に調整することができる。
また、炭酸バリウムの量を調整する別の方法として、仮焼成により得られた中間焼成物の粉末を、二酸化炭素と接触させる方法が挙げられる。仮焼成により得られた中間焼成物の表面のバリウムは、このような二酸化炭素処理により炭酸バリウムに変化し、中間焼成物中の炭酸バリウムの含有量を3モル%以上8モル%以下の範囲に調整することができる。このような二酸化炭素処理は室温でも行うことができ、仮焼成に続けて実施する場合は600℃以下まで降温して実施することができる。さらに、反応を促進するために少量の水蒸気を雰囲気に加えてもよい。
このようにして、炭酸バリウムの量を調整して得られた中間焼成物の全バリウムのうちの炭酸バリウムの含有量は、中間焼成物の加熱による重量変化などにより定量することができる。加熱による重量変化により定量する場合は、温度と重量を精密測定できる熱分析装置(TG−DTA)等の装置を用い、加熱による重量減少(炭酸バリウムが熱分解して二酸化炭素を放出して重量減少が生じる。)を測定する。仮焼成により得られた中間焼成物の粉末に二酸化炭素に接触させた場合、粒子は表面に二酸化炭素を吸着しており、加熱によって重量減少が生じるが、この吸着二酸化炭素は炭酸バリウムではない。したがって、炭酸バリウムによる重量減少と粉末表面に吸着した二酸化炭素による重量減少とを分離する必要がある。吸着した二酸化炭素の脱離は600〜700℃までに終了し、一方、炭酸バリウムの熱分解は700〜900℃で生じる。そこで700℃における重量から1000℃(1000℃では熱分解が終了する。)における重量を引いて重量減少とし、その重量減少を炭酸バリウムの熱分解によるものとし、その重量減少から炭酸バリウムの量を算出することができる。本発明の製造方法においては、炭酸バリウムの適切な量として3モル%以上8モル%以下の範囲を開示しているが、この範囲は構成元素が化学量論比で含有された純粋なBaTiO3の場合においては、0.5〜1.5重量%の重量減少の範囲に相当する。
なお、バリウムとチタンの複合酸化物には、本発明で製造されるBaTiO3(バリウムとチタンのモル比が1:1)の他に、Ba2TiO4、BaTi25等の、バリウムとチタンのモル比がチタン酸バリウムとは異なる化合物が存在し、仮焼成において、これらが少量生成することがある(これらの化合物はX線回折により検出することができる)。
次に、炭酸バリウムの量を調整した中間焼成物を、最高到達温度が900℃以上1050℃以下の範囲で、好ましくは950℃以上1030℃以下の範囲で、さらに好ましくは980℃以上1000℃以下の範囲で焼成して該中間焼成物の本焼成を行う。最高到達温度が900℃未満であると、炭酸バリウムが残存する傾向があり、1050℃を超えると、チタン酸バリウム粒子同士の焼結が生じて0.5μmを超える粗大粒子が生成する傾向がある。なお、本焼成は複数回に分けて行ってもよい。
本焼成における雰囲気としては、例えば、酸素、酸素含有窒素(空気を含む)、酸素含有アルゴン、酸素含有ヘリウム、水蒸気、およびそれらの混合ガスが好ましい。そして、気圧は0.01MPa程度の低い気圧から、0.08〜0.12MPa程度の常圧までの条件を用いることができ、常圧が好ましい。
通常の微粒チタン酸バリウム粉末をこの温度範囲で保持して加熱すると、粒成長(単一粒子の粒径の増加)や凝集(複数粒子の結合)が進展するが、本発明の中間焼成物を本焼成において焼成した場合には、微粒のチタン酸バリウムが生成し、粗大粒子は殆ど発生せず、しかも高いc/aを有するチタン酸バリウム粉末が得られるのである。
本焼成においては、中間焼成物中に含まれていた炭酸バリウムがチタン酸バリウムとなり、最終的に実質的に単相のチタン酸バリウムからなるチタン酸バリウム粉末となる。実質的に単相のチタン酸バリウムとは、通常のX線回折により、チタン酸バリウム以外の化合物が検出されないものをいう。
次に、本発明の第2の製造方法について説明する。
本発明の第2の製造方法においては、金属化合物混合物として炭酸バリウムを全バリウムに対する炭酸バリウムの量が8モル%を超えるように含有させた金属化合物混合物を用いる。炭酸バリウムが前記のとおり含有されていれば、金属化合物混合物は、本発明の第1の製造方法と同様にして製造することができる。
次に、得られた金属化合物混合物の仮焼成を行う。仮焼成においては、炭酸バリウムが全バリウムのうちの3モル%以上8モル%以下となるように炭酸バリウムを残存させて金属化合物混合物の焼成を行い、中間焼成物を得る。ここで、仮焼成においては、通常は800〜850℃程度の温度で0.5〜3時間程度保持して焼成を行い、これにより、炭酸バリウムが所定量残存した中間焼成物を得ることができる。この場合、中間焼成物を炉から取り出すことなく、後に説明する本焼成を続けて行うこともできるが、仮焼成と本焼成は別の焼成として行う必要があり、仮焼成と本焼成の間において、中間焼成物は、通常は少なくとも600℃まで冷却される。なお、仮焼成は複数回に分けて行ってもよい。なお、この第2の製造方法における仮焼成の雰囲気と圧力については、前記第1の製造方法の仮焼成と同様である。
次に、本焼成を行う。
本焼成は、中間焼成物中に含まれていた炭酸バリウムをチタン酸バリウムとし、中間焼成物が実質的に単相のチタン酸バリウムからなる粉末となるように中間焼成物を焼成して行う。本焼成において、到達最高温度の範囲は、前記第1の製造方法と同様である。なお、本焼成は複数回に分けて行ってもよい。なお、この第2の製造方法における本焼成の雰囲気と圧力については、前記第1の製造方法の本焼成と同様である。
このようにして、本発明の第1および第2の製造方法を実施することができる。
ここで、本発明の製造方法により微粒のチタン酸バリウム粉末を製造することができる理由は必ずしも明らかではないが、チタン酸バリウム粒子表面の炭酸バリウムがチタン酸バリウム粒子の粒成長や凝集を抑制するものと推測される。炭酸バリウムは必ずしもチタン酸バリウム表面に被膜層として存在している必要はないが、中間焼成物の粒子表面に炭酸バリウムが被覆されていることが好ましいと考えられ、中間焼成物の粒子表面に炭酸バリウムを被覆させる操作を行わない第2の製造方法より、例えば炭酸塩水溶液処理、あるいは二酸化炭素処理により、中間焼成物の粒子表面に炭酸バリウム被膜層を形成させる第1の製造方法の方が好ましい。
以上のようにして、本発明の製造方法により製造されるチタン酸バリウム粉末は、平均粒子径が0.3μm以下であり、平均粒子径を、粉末のBET比表面積から算出されるBET比表面積相当径で除した値が1以上1.5以下であり、実質上0.5μmを超える粗大粒子を含有せず、ペロブスカイト構造のa軸とc軸の比であるc/a軸比が1.0088以上であり、粒子密度が5.8g/cm3以上であり、軽装嵩密度が1.4g/cm3以上、重装嵩密度が1.8g/cm3以上である。レーザー散乱法による粒径測定は凝集粒子も含んだ状態で平均粒子径を算出している。一方、BET比表面積から換算したBET比表面積相当径は一次粒子の平均粒径に対応しているため、レーザー散乱法による平均粒子径をBET比表面積相当径で除した値は1以上となり、また数値が大きいほど凝集の度合が大きいことを示すことになる。本発明で提供されるチタン酸バリウム粉末は、この値が2以下、好ましくは1.5以下である。
また、本発明の製造方法により提供されるチタン酸バリウム粉末は、0.5μmを超える粗大粒子を実質的に含まないという特徴を有する。チタン酸バリウム粉末中に粗大粒子が含有されていると、焼結してコンデンサーを製造した場合に、粒界の量が粗大粒子の周囲だけ少なくなり、粒界は耐電圧向上に必要であることから、誘電体層の中の粗大粒子の存在する部分の耐電圧が低くなり、コンデンサが静電破壊し易くなるという問題が生じる。そのため、例えば、平均粒子径が0.3μm以下の微細なチタン酸バリウム粉末に対しては、0.5μmを超える粗大粒子が実質上混入していないことが求められており、本発明の製造方法により製造されるチタン酸バリウム粉末は、この点においても、コンデンサ製造用として好適である。
さらに、本発明の製造方法により提供されるチタン酸バリウム粉末は、粒子密度(粒子の嵩密度であり、粒子1個の重量を、粒子中のボイド等も含んだ粒子1個の体積で除した値の平均値である。)が5.8g/cm3以上(理論密度の96.3%以上)と高い値を示す。粒子密度が5.8g/cm3より小さい場合は、焼結体を製造した場合に焼結密度が低くなる傾向があり、焼結密度が低い場合は、コンデンサーとしての静電容量が低くなる問題が生じる。本発明の製造方法により製造されるチタン酸バリウム粉末は、この点においても、コンデンサ製造用として好適である。
さらにまた、本発明の製造方法により提供されるチタン酸バリウム粉末は、粉末としての充填密度が高いという特徴を有する。具体的には軽装嵩密度は1.4g/cm3以上と高く、重装嵩密度は1.8g/cm3以上と高い。成形体嵩密度が高い粉末を用いて焼結体を製造した場合、焼結密度が高くなる傾向があり、特にコンデンサ製造用として好適である。さらに、軽装嵩密度と重装嵩密度が高い粉末は、スラリーとしたときの溶媒量が少量でよく、スラリーも低粘度で扱いやすいものとなる。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.平均粒子径の測定
平均粒子径は、粉末を濃度0.2重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中に分散させ、超音波処理を実施した後にレーザー散乱式粒度分布測定装置(マルバーン社(英国)製、マスターサイザー2000型)を用いて測定した。測定に用いる屈折率の値は、文献値から2.40(実数部)、0.10(虚数部)とした。
2.BET比表面積、BET比表面積相当径の評価
粉末のBET比表面積は島津製作所製フローソーブII2300型によりBET1点法で測定した。BET比表面積相当径は、得られたBET比表面積の値から、6÷(チタン酸バリウムの理論密度(g/cm3))÷(BET比表面積(m2/g))により算出したBET比表面積相当径(μm)を用いた。なお、チタン酸バリウムの理論密度の値は、正方晶の6.02g/cm3を用いた。
3.生成相同定、正方晶性の評価
リガク製X線回折装置RINT型により生成相を同定した。また得られたXRDパターンについてリートベルト法による精密解析を行い、粉末の正方晶性(a軸とc軸の比、c/a)を求めた。
4.Ba/Ti比の評価
フィリップス社(オランダ)製蛍光X線装置PW1480型を用い、BaとTiのピーク強度を測定した。化学分析で組成を求めた標準試料から検量線を作成し、それを用いてBa/Ti比を求めた。
5.粒子密度の評価
ユアサアイオニクス製ウルトラピクノメータUPY−4型を用い、粒子密度を測定した。120℃で乾燥させた粉末を300kg/cm2の圧力で一軸成形したペレットを試料として測定した。
6.軽重装嵩密度の評価
50gの粉末を用い、ガラス製100mLのメスシリンダーに粉末を投入し、その時の体積を読みとり、重量÷体積で軽装嵩密度を算出した。その後、3cmのストローク幅で100回タッピングを行い、再び体積を読みとり、重量÷体積で重装嵩密度を算出した。なお、100回のタッピングの途中で体積減少は飽和し、事実上最密充填が完了していることを確認の上で重装嵩密度を得た。
7.炭酸バリウム量の評価
マックサイエンス製熱分析装置TG−DTA2200型を用い、粉末を10℃の昇温速度で1200℃まで加熱し、その際の重量変化を測定した。その重量変化の曲線から700℃における重量と1000℃における重量を読み取り、重量減少を算出し、その重量減少が炭酸バリウムの分解によるものとして炭酸バリウム量にを算出した。
8.粗大粒子の評価
日本電子のJSM−5200型走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて粉末を観察し、0.5μmを超える粗大粒子の存在を判定した。
実施例1
炭酸バリウム(商品名LC−1、日本化学製、BET比表面積10.2m2/g)、二酸化チタン(商品名PT−401M、石原テクノ社製、BET比表面積20.7m2/g、ルチル化率50.7%)の強熱減量(700℃に加熱して水分や揮発成分を除去したときの重量減少)を測定し、水分等の揮発成分による重量のずれを補正して、炭酸バリウムと二酸化チタンのモル比が1.000:1.000となるように、合計で1.1kg程度の粉末を秤量した。10Lポリエチレン製ポットおよび15mmφの鉄芯入りプラスチックボールを用い、乾式ボールミルで秤量した混合粉末を20時間混合した。混合後のBET比表面積は13.8m2/gであった。
混合粉末を石英ガラス製炉芯管を有する管状炉(炉芯管容積20L)を用いて仮焼を行った。空気雰囲気中で最高到達温度850℃で2時間保持して焼成した。なお、以降の全ての実施例、比較例の焼成は常圧(約1気圧であり、0.08〜0.12MPaの範囲内)で実施した。仮焼成後、粉末重量の25倍量の、濃度0.8重量%の炭酸水素アンモニウム水溶液で濾過、洗浄した。洗浄後の粉末を130℃で乾燥させたのちに熱分析装置を用いて炭酸バリウム量を測定した結果、モル比で7.3%のバリウムが炭酸バリウムとして残存していることを確認した。この中間焼成物を空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を行った。さらに、得られた粉末を、10Lポリエチレン製ポットおよび15mmφの鉄芯入りプラスチックボールを用いて20時間乾式ボールミルにより粉砕した。
得られた粉末は、XRD分析の結果、BaTiO3単相であり、c/aは1.0088であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.16μmであった。BET比表面積は7.43m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.36であった。粒子密度は5.84g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.44g/cm3、重装嵩密度は1.88g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子は認められなかった。これらの結果を表1に示した。
Figure 2005314153
実施例2
実施例1と同様に調製した混合原料を用い、塩化水素含有雰囲気で仮焼成した。空気雰囲気で昇温し、600℃から700℃の温度範囲で塩化水素3体積%−空気97体積%のガスを導入し、その後再び空気雰囲気に切り替えて850℃まで昇温し2時間保持して仮焼成を行った。次いで、実施例1と同条件で洗浄した結果、炭酸バリウムの量は6.3モル%であった。この焼成中間物を空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を行った。そして、実施例1と同条件でボールミルにより粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0094であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.16μmであった。BET比表面積は7.22m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.14であった。粒子嵩密度は5.88g/cm3、蛍光X線により求めたBa/Tiモル比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.45g/cm3、重装嵩密度は2.00g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子は認められなかった。
実施例3
実施例2と同条件で仮焼成を実施し、中間焼成物を室温で、イオン交換水でバブリングした二酸化炭素雰囲気に晒した。ガス量は粉末に対して大過剰であり、接触時間は1時間とした。処理後に炭酸バリウムの量を測定したところ3.7モル%であった。この中間焼成物を空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を行った。そして、実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0088であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.17μmであった。BET比表面積は6.98m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.36であった。粒子嵩密度は5.84g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は0.999であった。また軽装嵩密度は1.47g/cm3、重装嵩密度は1.92g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子は認められなかった。
実施例4
実施例2の仮焼成温度を880℃に変えた他は同条件で仮焼成を実施し、その後に実施例1と同条件で洗浄した。乾燥後に炭酸バリウムの量を測定したところ5.7モル%であった。この中間焼成物を空気雰囲気中で980℃で3時間保持して本焼成を実施し、実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0088であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.158μmであった。BET比表面積は7.01m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.11であった。粒子嵩密度は5.82g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は0.999であった。また軽装嵩密度は1.45g/cm3、重装嵩密度は2.02g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子は認められなかった。
実施例5
実施例2の仮焼成における保持温度を900℃に変えた他は同条件で仮焼成Aを実施し、仮焼成の後に実施例1と同条件で洗浄した。乾燥後に炭酸バリウムの量を測定したところ5.2モル%であった。この中間焼成物を空気雰囲気中で980℃で3時間保持して本焼成を行い、実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末は、XRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0089であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.17μmであった。BET比表面積は6.84m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.30であった。粒子嵩密度は5.88g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.47g/cm3、重装嵩密度は2.00g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子は認められなかった。
実施例6
実施例2の仮焼成温度を900℃に変えた他は同条件で焼成Aを実施し、仮焼成の後に実施例1と同条件で洗浄した。乾燥後に炭酸バリウムの量を測定したところ5.1モル%であった。この中間焼成物を空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を実施した。そして、実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0090であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.17μmであった。BET比表面積は6.66m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.23であった。粒子嵩密度は5.85g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.50g/cm3、重装嵩密度は2.01g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子は認められなかった。
比較例1
実施例1と同様に調製した混合粉末を用い、空気中で950℃で2時間保持して仮焼成を実施した。炭酸バリウムの量は1.3モル%であった。この中間焼成物をそのまま空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を実施し、実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0090であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.19μmであった。BET比表面積は7.07m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.56であった。粒子嵩密度は5.84g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は0.999であった。また軽装嵩密度は1.38g/cm3、重装嵩密度は1.81g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子が認められた。
比較例2
比較例1の仮焼成の保持温度を800℃に変更した他は同条件で仮焼成を実施した。炭酸バリウムの量は8.7モル%であった。この中間焼成物をそのまま空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を実施し、それから実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0087であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.15μmであった。BET比表面積は8.11m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.85であった。粒子嵩密度は5.76g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.33g/cm3、重装嵩密度は1.73g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子は認められなかった。
比較例3
実施例2と同条件で仮焼を実施した。炭酸バリウムの量は2.6モル%であった。この中間焼成物をそのまま空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して焼成を実施し、それから実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0088であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.17μmであった。BET比表面積は7.42m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.67であった。粒子嵩密度は5.82g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.44g/cm3、重装嵩密度は1.76g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子がわずかに認められた。
比較例4
実施例2の仮焼成の保持温度を950℃に変更した他は同条件で仮焼成を実施した。仮焼成の後、実施例2と同条件で洗浄した。乾燥後の炭酸バリウムの量は2.9モル%であった。この中間焼成物を空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を実施し、それから実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0091であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.19μmであった。BET比表面積は6.37m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.61であった。粒子嵩密度は5.86g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.41g/cm3、重装嵩密度は1.82g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子がわずかに認められた。
比較例5
実施例2の仮焼成における保持温度を950℃に変更した他は同条件で仮焼成を実施した。仮焼成の後、実施例3と同条件で二酸化炭素処理を施した。処理後の炭酸バリウムの量は1.6モル%であった。この中間焼成物を空気雰囲気中で1000℃で3時間保持して本焼成を実施し、それから実施例1と同条件でボールミル粉砕した。得られた粉末はXRD分析の結果BaTiO3単相であり、c/aは1.0087であった。レーザー散乱法で測定した平均粒子径は0.191μmであった。BET比表面積は6.17m2/gであり、平均粒径をBET比表面積で除した値は1.66であった。粒子嵩密度は5.84g/cm3、蛍光X線によるBa/Ti比は1.000であった。また軽装嵩密度は1.39g/cm3、重装嵩密度は1.78g/cm3であった。SEMによる観察では0.5μmを超える粗大粒子が認められた。

Claims (7)

  1. 焼成によりチタン酸バリウムを生成する金属化合物混合物を焼成してチタン酸バリウム粉末を製造する方法であって、金属化合物混合物の仮焼成を、最高到達温度が700℃以上1000℃以下の温度範囲となるようにして行い、得られた中間焼成物中の炭酸バリウムの量が全バリウムのうちの3モル%以上8モル%以下の範囲となるように調整した後、該中間生成物の本焼成を、最高到達温度が900℃以上1050℃以下の温度範囲となるように行うことを特徴とするチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  2. 該中間焼成物を炭酸イオンを含有する水溶液に浸漬することにより、該中間焼成物中の炭酸バリウムの量を調整する請求項1記載の製造方法。
  3. 該中間焼成物を600℃以下の温度で二酸化炭素と接触させ、該中間焼成物中の炭酸バリウムの量を調整する請求項1記載の製造方法。
  4. 焼成によりチタン酸バリウムを生成する金属化合物混合物を焼成してチタン酸バリウム粉末を製造する方法であって、炭酸バリウムを含有する金属化合物混合物の仮焼成を、仮焼成後の中間焼成物中の炭酸バリウム残存量が全バリウムのうちの3モル%以上8モル%以下の範囲となるように行い、得られた中間焼成物の本焼成を、本焼成により得られる粉末が実質的にチタン酸バリウムのみからなる粉末となるように行うことを特徴とするチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  5. 仮焼成における最高到達温度が700℃以上1000℃以下の温度範囲であり、本焼成における最高到達温度が900℃以上1050℃以下の温度範囲である請求項4記載の製造方法。
  6. 仮焼成を、800℃以下の温度ではフッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群より選ばれる1種以上のハロゲンを含む雰囲気中で、800℃を超える温度では実質的にハロゲンを含まない雰囲気中で行う請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法により製造されたチタン酸バリウム粉末であって、平均粒子径は0.05〜0.30μmであり、平均粒径を粉末のBET比表面積から算出されるBET比表面積相当径で除した値は1以上1.5以下であり、実質上0.5μmを超える粗大粒子を含有せず、ペロブスカイト構造のa軸とc軸の長さの比であるc/a軸比が1.0088以上であり、粒子密度が5.8g/cm3以上であり、軽装嵩密度が1.4g/cm3以上、重装嵩密度が1.8g/cm3以上であることを特徴とするチタン酸バリウム粉末。
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