JP2009051690A - 複合酸化物粉末及びその製造方法、複合酸化物粉末を用いたセラミック組成物並びにそれを用いたセラミック電子部品 - Google Patents

複合酸化物粉末及びその製造方法、複合酸化物粉末を用いたセラミック組成物並びにそれを用いたセラミック電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2009051690A
JP2009051690A JP2007219254A JP2007219254A JP2009051690A JP 2009051690 A JP2009051690 A JP 2009051690A JP 2007219254 A JP2007219254 A JP 2007219254A JP 2007219254 A JP2007219254 A JP 2007219254A JP 2009051690 A JP2009051690 A JP 2009051690A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite oxide
oxide powder
ceramic composition
powder
barium titanate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007219254A
Other languages
English (en)
Inventor
Isao Akeda
功 明田
Kimiomi Yokoyama
公臣 横山
Tomohito Hamaguchi
智史 濱口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Titanium Industry Co Ltd
Original Assignee
Fuji Titanium Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Titanium Industry Co Ltd filed Critical Fuji Titanium Industry Co Ltd
Priority to JP2007219254A priority Critical patent/JP2009051690A/ja
Priority to TW097130847A priority patent/TW200927659A/zh
Priority to CNA2008102124450A priority patent/CN101376592A/zh
Priority to KR1020080083673A priority patent/KR20090023180A/ko
Publication of JP2009051690A publication Critical patent/JP2009051690A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G23/00Compounds of titanium
    • C01G23/003Titanates
    • C01G23/006Alkaline earth titanates
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J6/00Heat treatments such as Calcining; Fusing ; Pyrolysis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B35/00Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/01Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics
    • C04B35/46Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics based on titanium oxides or titanates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2002/00Crystal-structural characteristics
    • C01P2002/70Crystal-structural characteristics defined by measured X-ray, neutron or electron diffraction data
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/54Particles characterised by their aspect ratio, i.e. the ratio of sizes in the longest to the shortest dimension
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/60Particles characterised by their size
    • C01P2004/62Submicrometer sized, i.e. from 0.1-1 micrometer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2004/00Particle morphology
    • C01P2004/60Particles characterised by their size
    • C01P2004/64Nanometer sized, i.e. from 1-100 nanometer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2006/00Physical properties of inorganic compounds
    • C01P2006/12Surface area

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Geology (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Thermal Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Ceramic Capacitors (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

【課題】粒子径が小さく、しかも、結晶性の良いチタン酸バリウム等の複合酸化物粉末を製造する。
【解決手段】チタン酸バリウム等の複合酸化物粉末を製造する固相合成法において、原料のチタン酸化物として、X線回折法により求められるルチル化率が90%より高く、100%以下であり、比表面積が150〜300m/gであるチタン酸化物を用いる。
この方法により、粒子径が0.06〜0.15μmの範囲であり、かつ、c/a軸比が1.0075〜1.010の範囲の優れた正方晶性を有するチタン酸バリウム粉末が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、チタンの金属元素と、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、鉛から選ばれる少なくとも一種の金属元素とを含む複合酸化物粉末及びその製造方法に関する。更に、本発明は前記の複合酸化物粉末を焼結したセラミック組成物、それを用いたセラミック電子部品及び積層セラミック電子部品に関する。
チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛等の複合酸化物粉末は焼結体の原料として用いられ、複合酸化物粉末をバインダと混合した後、シート成形法や印刷法等の方法を用いて基板上に粉末層を形成させ、次いで、焼結させて焼結体(以下、セラミック組成物ということもある)としている。そのセラミック組成物は、優れた誘電性、圧電性さらには半導性を有することから、コンデンサ、電波フィルター、着火素子、サーミスター等の電気・電子工業用材料として用いられている。
セラミック組成物は、セラミック電子部品として種々の電気機器・電子機器に組み込まれて使用されている。近年の電気機器・電子機器の小型化、軽量化、高性能化、多機能化に伴い、このようなセラミック電子部品に対する性能要求は更に厳しくなっている。コンピュータ等の集積回路に用いられる積層セラミックコンデンサを例にとると、このコンデンサは前記のセラミック組成物の薄層と内部電極が交互に多数積み重ねられ、電気的に並列接続された構造をとっているため、積層セラミックコンデンサの小型化、高容量化等の要求に伴い、セラミック組成物の薄層化、高誘電率化が一段と望まれている。このため、セラミック組成物の原材料である複合酸化物粉末の微粒子化、高結晶性化の性能要求、更には均質化、高分散化等の品質要求も益々顕著になっている。また、積層セラミックコンデンサの内部電極には白金、パラジウム、銀等の貴金属材料が用いられていたが、銅、ニッケル等の廉価な卑金属材料への転換が図られており、これに伴い、複合酸化物粉末に対して、一層低温で焼結でき、さらに、低酸素分圧の雰囲気下で焼結させても半導体化せず、耐還元性を有するものが嘱望されている。
チタンの金属元素と、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、鉛から選ばれる少なくとも一種の金属元素とを含む複合酸化物粉末を製造するには、各元素の酸化物や炭酸塩を混合し、電気炉やロータリーキルンを使用して焼成するいわゆる固相合成法、各元素のシュウ酸塩を水系で合成した後、焼成するいわゆるシュウ酸塩法、各元素のクエン酸塩を水系で合成した後、焼成するいわゆるクエン酸塩法、各元素の水溶液とアルカリ水溶液とを混合し、水熱処理した後、濾過し、洗浄し、乾燥するいわゆる水熱合成法などの方法があって、それぞれの方法において、複合酸化物粉末の微粒子化、高結晶性化等の改良研究が行われている。研究の主眼は、複合酸化物粉末の微粒子化に伴って生じる結晶性の低下を抑制する点にあり、例えば、固相合成法においては、加熱分解によって酸化バリウムを生成するバリウム化合物と、X線回折法によって求めたルチル化率が30%以上であり、比表面積が30m2/g以上である二酸化チタンとを、混合し、焼成すると、微粒であり、正方晶性(テトラゴナリティ)の指標となる結晶格子のc軸とa軸との比(c/a軸比)が高いチタン酸バリウム粉末が得られることを記載している(特許文献1参照)。
特開2006−306632号公報
前記特許文献1に記載の方法では、比表面積が30m2/g以上である微粒子二酸化チタンを用いることにより、微粒子であり、結晶性の高いチタン酸バリウム粉末が得られるとしているが、実施例のチタン酸バリウム粉末のSEM径(走査型電子顕微鏡径)は24〜90nm程度であるものの、結晶性の指標であるc/a軸比は1.002〜1.006程度であって(表2)、十分高いとはいい難い。
本発明者らは、より一層結晶性の良い複合酸化物粉末、特にチタン酸バリウム粉末を製造する方法を鋭意研究した結果、固相合成法の原料として用いるチタン酸化物のルチル化率が90%より高く、100%以下であり、比表面積が150〜300m/gのものを用いると、ルチル型の同一結晶構造であるため均一な反応を行うことができ、しかも、比表面積が大きいため反応性が高くなり、所望の結晶性、粒子径を有する複合酸化物粉末が得られることを見出した。
また、前記のチタン酸化物のルチル型結晶の結晶子径が10nm以下であると反応性がより一層高まることによって、所望の複合酸化物粉末が得られることを見出した。
また、前記のチタン酸化物が、四塩化チタンを中和して得られた生成物を150℃以下の温度で乾燥したものが好適であることなどを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)X線回折法により求められるルチル化率が90%より高く、100%以下であり、比表面積が150〜300m/gであるチタン酸化物と、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素を含む化合物とを混合し、焼成することを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法、
(2)前記(1)に記載の方法を用いて製造された、粒子径が0.06〜0.15μmの範囲である複合酸化物粉末、特に、c/a軸比が1.0075〜1.010であるチタン酸バリウム粉末、
(3)前記(2)の複合酸化物粉末又はチタン酸バリウム粉末を焼結したセラミック組成物、
(4)前記(3)に記載のセラミック組成物と、前記のセラミック組成物を挟んで対向するように設けられた電極とを備える、セラミック電子部品、特に、セラミック組成物を含む複数の層と、前記セラミック組成物の層間に形成された電極とを備える、積層セラミック電子部品、などである。
本発明は、チタン酸バリウム等の複合酸化物粉末を製造する方法において、原料のチタン酸化物として、X線回折法により求められるルチル化率が90%より高く、100%以下であり、比表面積が150〜300m/gであるチタン酸化物を用いることにより、粒子径が小さく、しかも、結晶性の良い複合酸化物粉末が得られる。
具体的には、粒子径が0.06〜0.15μmの範囲であり、かつ、c/a軸比が1.0075〜1.010の範囲の優れた正方晶性を有するチタン酸バリウム粉末が得られる。
また、前記の複合酸化物粉末の結晶性が良いことから低温焼結性や耐還元性が改善され、焼結体としたときの充填率を高めることができ、誘電性や圧電性等の特性を改善することができる。このため、本発明の方法による複合酸化物粉末を焼結したセラミック組成物を用いると、その優れた特性を利用して、小型化、軽量化、高性能化、多機能化を満足するセラミック電子部品、特に積層セラミック電子部品が得られる。
本発明は、チタン酸化物と、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素を含む化合物とを混合し、焼成する複合酸化物粉末の製造方法であって、X線回折法により求められるルチル化率が90%より高く、100%以下であり、比表面積が150〜300m/gであるチタン酸化物を用いる。チタン酸化合物は比表面積が大きいほど反応性が良いため好ましいが、大きすぎるとこのようなチタン酸化物を製造し難くなるため、比表面積が160〜250m/gが好ましく、160〜200m/gがより好ましい。比表面積はBET法の窒素吸着により求める。
前記のチタン酸化物は、チタンの酸化物(二酸化チタン)、あるいは、チタンの水和酸化物、含水酸化物、水酸化物といわれるものを含み、それらから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。また、チタン酸化物は一般にX線回折ピークによりルチル型結晶、アナタース型結晶、ブルッカイト型結晶が確認される。本発明のチタン酸化物としては、前記の3種類の結晶構造のうちルチル型結晶が多いものであって、X線回折法により求められるチタン酸化物のルチル化率が90%より高く、100%以下であるものが用いられ、95〜100%がより好ましく、アナタース型結晶、ブルッカイト型結晶のX線回折ピークが認められない程度のルチル化率100%が更に好ましい。チタン酸化物のルチル化率とは、チタン酸化物に含まれるルチル型結晶の割合をいい、X線回折(CuKα線を使用)によりルチル型結晶、アナタース型結晶、ブルッカイト型結晶の存在、あるいは不存在を確認し、前記の三種類の結晶形に対するルチル型結晶の含有割合を求める。また、ルチル型結晶の(110)面のX線回折ピークの半価幅からシェーラーの式(式1)を用いて、ルチル型結晶の結晶子径を求めることができる。ルチル型結晶の結晶子径としては、反応性の観点からより小さいものが好ましく、10nm以下がより好ましく、1〜10nmが更に好ましい。
式1:DHKL=K*λ/βcosθ
HKL:結晶子径(Å)
λ :X線の波長
β :回折ピークの半価幅
θ :Bragg's角
K :定数(=0.94)
一方、電子顕微鏡写真によると、チタン酸化物の一次粒子径は、1〜15nm程度と推定され、その一次粒子が集合して二次粒子を形成していてもよい。チタン酸化物の二次粒子の形状はどのような形状のものでも良く、例えば、粒状、球状、略球状、紡錘状等のものを用いることができる。粒状、球状、略球状の場合、粒子径を最大直径(数平均)で表すと、10〜300nmが好ましく、20〜150nmがより好ましく、30〜120nmが更に好ましい。また、紡錘状とは糸を紡ぐ錘に似た形をいい、両端がとがった円柱形に似た形をしているものである。このため、紡錘状には、針状、棒状、柱状、円柱状、多角柱状等と一般にいわれるものを含む。粒子の両端を結ぶ長さを長軸径、柱部の最も太い部分の長さを短軸径とし、その長軸径の数平均(平均長軸径)と短軸径の数平均(平均短軸径)の比を軸比とすると、軸比は大きいもののほうが好ましく、具体的には1.5以上であるのが好ましい。一方、チタン酸化物が微粒子になると軸比を大きくすることができ難いため1.5〜5程度がより好ましく、1.5〜4程度が更に好ましい。チタン酸化物の平均長軸径は、10〜300nmが好ましく、20〜150nmがより好ましく、30〜120nmが更に好ましい。チタン酸化物の二次粒子は、数個〜数百個が更に凝集して凝集粒子を形成する場合がある。このようなチタン酸化物の二次粒子形状、平均長軸径、平均短軸径は、電子顕微鏡で観察して、測定することができる。
さらに、例えば、粒状粒子は凝集して更に大きい多孔質の凝集粒子を形成し、紡錘状粒子は金平糖に似た凝集粒子を形成することもある
チタン酸化物の凝集粒子に関して、下記の方法により水中での粒子径(50%積算径(メジアン径))を測定することができ、本発明では固相合成の反応性の観点から0.06〜0.20μm程度が好ましい。
水中での粒度分布の測定方法
(1)チタン酸化物のスラリーを水酸化ナトリウム水溶液でpHを10.8に調整した後、ペイントシェーカーにて15分間分散させる。
(2)Pに換算して0.3mgのヘキサメタリン酸ナトリウムを加えた水300mlに、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.5に調整して、測定用分散媒とする。
(3)1リットルのポリエチレン製容器に、前記の測定用分散媒と、ペイントシェーカーにて作製した分散液(チタン酸化物スラリー)を数滴加え 、撹拌して、懸濁液を調製する。
(4)前記の懸濁液に、超音波発生器(シャープ製、UT−500)で1分間超音波を照射して、試料を分散させる。
(5)得られた分散液中の試料の粒度分布をレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製、LA−910)を用いて測定する。
本発明で用いるチタン酸化物は、TiO純度が99重量%以上の高純度のものが好ましく、99.5重量%以上がより好ましく、99.9重量%以上が更に好ましい。TiO純度は、水分、強熱減量成分(Ig―Loss)、塩素元素、炭素元素を除く不純物(例えば、ケイ素、鉄、アルミニウム、ニオブ、ナトリウム等の元素であり、それらの酸化物換算量)の合量を100(%)から引いた値で示す。ケイ素等の元素は蛍光X線法、ICP発光分光分析法又は原子吸光法により分析する。
本発明で用いるチタン酸化物は、液相法、気相法で製造することができ、ルチル化率、比表面積等の所望のチタン酸化物が製造できる条件を適宜選択する。液相法は、硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン、チタンアルコキシド等のチタン化合物の溶液を加水分解、中和する方法であって、比表面積が高く、ルチル型結晶の結晶子径の小さいものが得られ易いため好ましい。具体的な液相法としては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタニル等を中和あるいは加水分解して得られた含水酸化チタンを水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニウム化合物、炭酸アンモニウム化合物、アミン化合物等の塩基化合物水溶液中で加熱処理した後、濾過・洗浄し、次いで塩酸などの強酸水溶液中で加熱処理して得ることができる。前記塩基化合物としては、ルチル化率などの点で水酸化ナトリウムが最も好適であり、ナトリウムを十分除去するために酸によるリーチングなどを行うことが好ましい。更に、前記塩酸処理を三塩化チタンの存在下で行えば、長軸径が比較的大きく、結晶子径の小さい微細なチタン酸化物微粒子が得られるため、好ましい方法である。得られた生成物は分別し、乾燥する。乾燥温度が高すぎると比表面積が低下するため、乾燥温度は150℃以下の温度が好ましい。別の方法として、四塩化チタンを中和する方法を用いることができる。四塩化チタン溶液を撹拌しながら、中和剤を滴下して、四塩化チタンを中和する。中和剤としては水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニウム化合物、炭酸アンモニウム化合物、アミン化合物等を用いることができる。この方法でも、アルカリ金属水酸化物を中和剤として用いた場合には、アルカリ金属を十分除去するために酸によるリーチングなどを行うことが好ましい。このようにして得えられた生成物は、前記と同様に分別し、乾燥する。得られた中和生成物は分別し、乾燥する。乾燥温度は150℃以下の温度が好ましい。乾燥温度が150℃よりも高いと、中和生成物の比表面積が低下し易いため好ましくない。乾燥の下限温度は、乾燥ができる温度であればいずれの温度であっても良い。
一方、チタン酸化物の気相合成法は、四塩化チタンガスを酸素ガスで酸化する方法、あるいは、四塩化チタンガスを水蒸気で加水分解する方法であり、高純度のチタン酸化物が得られ易い方法である。水蒸気で加水分解する方法は、比表面積が高く、ルチル化率の高いチタン酸化物が得られやすいことからより好適である。
複合酸化物粉末を製造するための一方の原料である、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素を含む化合物(以下、金属化合物ということもある)としては、通常の固相合成法で用いられるものを例外なく用いることができ、それらの金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩等を用いることができる。前記の金属化合物としては炭酸塩が好適に用いられる。炭酸塩としては前記の金属元素の塩化物、硝酸塩、酢酸塩等の水可溶性塩の水溶液に炭酸アルカリ、炭酸アンモニウム等の炭酸化合物を添加したり、あるいは、炭酸ガスを吹き込んだりして、中和して得られるものを用いても良い。前記の金属化合物は比較的柔らかく、チタン酸化物との混合過程でチタン酸化物によって粉砕され易いものの、金属化合物の粒子径が複合酸化物粉末の特性にも影響するため、微粒子の金属化合物を用いると複合酸化物粉末の微粒子化に有効であるため好ましい。例えば、微粒子の指標としてBET法による比表面積で表すと5m2/g程度以上が好ましく、10m2 /g程度以上がより好ましく、20m2 /g程度以上が更に好ましい。
前記のチタン酸化物と、金属化合物とを混合して原料粉末とする。両方の混合量は目的とする複合酸化物粉末に応じて適宜設定することができる。例えば、一般式ABO型で表されるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物粉末を製造するには、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属原子(A)は、チタン酸化物のTi原子(B)に対する原子比で表して好ましくは0.9〜2.0の範囲、より好ましくは0.95〜1.05の範囲、更に好ましくは1.000〜1.035の範囲となるように混合する。前記の原子比が0.9より小さいと所望の組成の複合酸化物粉末が得られ難く、余剰の成分が複合酸化物に残存して誘電性や圧電性等の特性を損ない易いため好ましくない。また、ポリチタン酸バリウム、具体的にはBaTi、BaTi、BaTi11、BaTi20、BaTi1330、BaTi1740等のTi/Baの原子比Xが2以上の組成式を有するチタン酸バリウムを製造するには、その所定の原子比Xに対して、(X×0.95)〜(X×1.05)の範囲となるようにそれぞれの原料を混合するのが好ましい。
この混合の際に、セラミック組成物の必要とされる特性に応じて、ジルコニウム化合物を添加してチタン酸ジルコン酸塩を製造することもできる。また、必要に応じて添加剤として例えばランタン、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウム等の希土類元素やホウ素、アルミニウム、ケイ素、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、イットリウム、タングステン、ビスマス等の元素を適宜加えても良い。これらの添加剤は、酸化物、水酸化物であっても炭酸塩であっても良く、そのほかの化合物であっても良い。添加量は目的に応じて適宜設定することができる。
混合はチタン酸化物と金属化合物とがある程度均一に混合される程度であれば良く、混合度は適宜調整することができる。混合方法としては、乾式混合、湿式混合のいずれでも良く、例えば、らせん型混合機、リボン型混合機、流動化型混合機等の固定型混合機、円筒型混合機、双子円筒型混合機等の回転型混合機などを用いることができる。また、混合の前に圧縮粉砕型、衝撃圧縮粉砕型、せん断粉砕型、摩擦粉砕型等の粉砕機を用いて、チタン酸化物と金属化合物それぞれを混合前に粉砕しても良く、また、粉砕の際に同時に混合しても良い。原料粉末が微細であるほど、得られる複合酸化物粉末は微粒子となり易いため、原料粉末を粉砕するのが好ましく、粉砕機としては例えば、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル等の湿式粉砕機を好適に用いることができる。混合状態が、湿式粉砕機等を用いて湿潤状態あるいは懸濁状態(スラリー状態)にある場合は、必要に応じて分別し、乾燥し、粉砕しても良い。
このようにして得られた原料粉末は必要に応じて、例えば後述する流動層焼成や気体流通式の焼成法等を用いた固相合成反応では、適度な粒度にするために造粒するのが好ましく、転動造粒、流動層造粒、噴流層造粒、撹拌造粒、解砕造粒、圧縮造粒、押出し造粒、液滴固化造粒等の通常の方法によって造粒することができる。湿式粉砕機等を用いて懸濁状態(スラリー状態)である場合にはスプレードライヤー等を用いて噴霧乾燥して乾燥造粒するのが好ましい。噴霧乾燥による造粒は、原料粉末の飛散や不均一な気体接触を防ぐだけでなく、造粒粉体の粒度が比較的揃っているため、均一な固相合成が期待でき、好ましい。造粒粉体の平均粒度は流動可能な大きさ、あるいは、飛散の程度を考慮して任意に調整することができ、例えば、1〜10000μm程度であれば良く、5〜3000μm程度であれば飛散がより少ないので好ましく、10〜1000μm程度であればより好ましく、20〜500μm程度であれば更に好ましい。造粒粉体は球状、略球状、板状、立方体状、直方体状、棒状や、粉末内部に空間を有する中空状等どのような形状であっても良いが、流動し易い形状が好ましく、例えば球状、略球状、中空状等の形状が好ましい。なお、粉砕、混合、造粒の際に、原料粉末等に界面活性剤、樹脂、分散剤等の有機化合物を必要に応じて配合することもできる。造粒の際、特に噴霧乾燥の際に樹脂を添加すると、結合剤として作用して造粒粉体の粒度を調整するほかに、樹脂が焼成の際に分解して生成した空隙により多孔質となって造粒粉体内部から発生ガス(例えば、炭酸ガス等)の放出を図ることにもなるため好ましい。使用される材料は特に限定されず、目的に応じて適宜選択し、必要量を使用する。例えば、樹脂としては水系アクリル樹脂、水系メラミン樹脂、水系ウレタン樹脂等を用いることができ、原料粉末に対して1〜20重量%程度添加するのが好ましい。
次に、前記の原料粉末やそれを造粒した造粒粉体(以下、原料粉末と造粒粉体をあわせて原料粉末等という場合がある)を焼成装置に仕込む。使用する焼成装置は、通常の固相合成法等で用いられる焼成炉やそのほかの無機化学分野、特にセラミックス分野で用いられる加熱炉を用いることができ、大気圧未満で焼成が可能な真空焼成炉、減圧焼成炉や、原料粉末等を流動させながら焼成できる流動層焼成炉、気体流通式の焼成炉を好適に用いることができる。焼成温度、焼成保持時間は複合酸化物粉末に応じて適宜設定することができるが、例えば500〜1100℃程度であれば良く、焼成時間は例えば0.5〜10時間程度保持すれば良い。なお、焼成が終了した後は、取り出し温度まで冷却するが、冷却の速度は適宜設定することができ、徐々に冷却しても急速に冷却しても良い。
前記の原料粉末等を焼成装置に仕込み、室温から所定の焼成温度に達するまで昇温を開始すると、通常その途中の温度領域からチタン酸化物と金属化合物との反応あるいは有機化合物の分解等に伴って炭酸ガス、水蒸気等が発生する。この炭酸ガス等を焼成装置の外に排気すると、結晶性のより高い複合酸化物粉末が得られため好ましい。具体的には、真空焼成炉、減圧焼成炉を用いて原料粉末等を大気圧未満で焼成するのが好ましく、全圧が1×10Pa以下の雰囲気圧力下で行うのがより好ましく、全圧が1×10〜1×10Paの雰囲気圧力下で行うのが更に好ましい。また、炭酸ガス等を焼成装置の外に排気するために、気体を流通しながら焼成する気体流通式焼成炉、例えば、回転電気炉、固定床電気炉等の焼成炉を用いることができる。流通する気体は、後述する流動層焼成炉に使用する気体と同種のものを用いることができる。
別の方法として、流動層焼成炉を用いて、原料粉末等を流動させながら焼成する方法がより好ましい。流動状態は、均一流動層(完全流動層)を形成するような流動状態が好ましく、一方、流動層内に気泡が生じる濃厚流動層の状態であっても良く、あるいは、原料粉末等の一部が固定層を形成し、残部が流動している状態であっても良い。流動状態の調整は、原料粉末等の粒度と通気する気体の流速(流量)等で行うことができる。気体の通気は、炭酸ガス等の発生開始温度領域から発生終了温度領域までの少なくとも一部の期間、好ましくは全ての期間にわたって行うと、原料粉末等を流動させながら、発生する炭酸ガス等を焼成装置の外に効率的に排気することができるため好ましい。また、必要に応じて昇温開始の段階から気体を通気しても良く、発生終了以降では焼成終了まで気体を通気しても良く、更には、得られた複合酸化物粉末を取り出すまでの間、気体を通気しても良い。炭酸ガス等の発生開始温度は、使用する金属化合物の種類、組成や添加剤等によって異なるが、原料粉末等を熱分析すると炭酸ガス等の発生開始温度、発生終了温度を把握することができる。例えば、チタン酸化物と炭酸バリウムを混合した原料粉末の炭酸ガスの発生開始温度は約500℃程度になると考えられる。一方、発生終了温度は約850℃程度になると考えられるため、約500〜850℃の間は気体を通気することが好ましい。
通気する気体としては、通常の流動層焼成炉に使用される気体を用いることができるが、炭酸ガスが含まれていると複合酸化物粉末の結晶性等に影響するため好ましくなく、炭酸ガス含有量が少ない気体あるいは炭酸ガスを含まない気体を選ぶのが良い。このため、炭酸ガス含有量が0〜0.5容積%の気体を用いるのが好ましく、より好ましくは炭酸ガス含有量が0〜0.1容積%であり、更に好ましくは炭酸ガス含有量が0〜0.05容積%である。このような気体として例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、空気、酸素、合成空気、乾燥空気(ドライエアー)、圧縮空気等を用いることができ、これらから選ばれる一種の気体又は二種以上の混合気体を使用することができる。空気、合成空気、乾燥空気(ドライエアー)、圧縮空気には約400ppm程度の少量の炭酸ガスが含まれているものの、この程度の量では影響はないことを確認した。しかも、空気、合成空気、乾燥空気(ドライエアー)、圧縮空気を用いると、焼成の際に原料粉末等が還元され難いため、均質な複合酸化物粉末が得られ易く好ましい。通気する気体は、焼成装置に導入する前に予め加熱すると焼成装置の急激な温度低下を防ぐことができるため好ましい。また、通気する気体によって発生する炭酸ガス等の少なくとも一部を焼成装置の外に排気できるが、一方、通気する気体を循環使用することもでき、その際の循環気体中の炭酸ガス含有量は前記の範囲にするのが好ましい。
前記の方法によって、微粒子であり、しかも、結晶性の高い複合酸化物粉末、具体的にはチタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、カルシウム変性チタン酸バリウム、希土類元素変性チタン酸バリウム等のペロブスカイト型構造を有する化合物、Ti/Baの原子比が2以上の組成式を有するポリチタン酸バリウムなどが製造できる。複合酸化物粉末の粒子径としては好ましくは0.01〜0.3μmの範囲のもの、より好ましくは0.015〜0.2μmの範囲のもの、更に好ましくは0.01〜0.15μmの範囲のもの、最も好ましくは0.06〜0.15μmの範囲のものが得られる。複合酸化物粉末の粒子径(d)は、複合酸化物粉末を球状と仮定し、BET法による比表面積a(m/g)を用いる下記式2により求める。
式2・・・d=(6/ρ)/a
ただし、ρは比重であり、チタン酸バリウム粉末の場合はρ=5.90を用いる。
また、得られた複合酸化物粉末の結晶性は、X線回折測定を行い、ある結晶面による回折ピークのピーク高さ又は半値幅より評価するが、より精密にはX線回折データを基にリートベルト解析を行って判断する。特にチタン酸バリウム粉末の場合は、結晶格子のc軸とa軸との比(c/a軸比)から判断するが、c/a軸比が大きいほど、正方晶系チタン酸バリウムの結晶性が高くなる。具体的には本発明の方法によればc/a軸比を1.0075〜1.010、さらに好ましくは1.0080〜1.010の範囲とすることができる。結晶性が低い複合酸化物粉末、特に1.006未満のチタン酸バリウム粉末では、電子部品として用いるのに強誘電性が不足するため、c/a軸比を大きくするには、更なる熱処理を必要とし、粒成長を招く結果となる。正方晶チタン酸バリウムのc/a軸比の理論値はa=3.994、c=4.038の値からc/a=1.011と算出され、一方、立方晶チタン酸バリウムのc/a軸比は1.000である。
また、セラミック組成物の調製に際しては複合酸化物粉末に必要に応じて添加剤を混合しても良い。添加剤としては、セラミック組成物の必要とされる特性に応じて、例えばランタン、セリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウム等の希土類元素やホウ素、アルミニウム、ケイ素、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、イットリウム、タングステン、ビスマス等の元素を適宜用いても良い。また、焼結の際に粒子成長やセラミック組成物の電気特性を制御するための添加剤として例えば、ホウ素、ビスマスのほかに、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、ニオブ等の遷移金属、更にはケイ素、アルミニウム等の元素の化合物を挙げることができる。このような添加剤は、複合酸化物粉末の粉砕の段階に添加しても良く、粉砕後に混合しても良い。あるいは、複合酸化物粉末の焼結工程の任意の段階で添加しても良い。添加量は必要量を適宜設定することができる。混合機は、通常、無機化学分野、特にセラミックス分野で用いられる混合機、あるいは電子材料の分野において用いられる混合機を用いることができる。なお、粉砕、混合の際に、界面活性剤、樹脂、分散剤等の有機化合物を添加することもできる。このようにしてセラミック組成物原料を調製することができる。
少なくとも複合酸化物粉末を含む前記のセラミック組成物原料は、焼結させてセラミック組成物として、例えばセラミック電子部品の材料として好適に用いられる。セラミック電子部品は、セラミック組成物と、このセラミック組成物を挟んで対向するように設けられた電極とを備える。また、セラミック電子部品として、積層セラミック電子部品は、セラミック組成物を含む複数の層と、前記セラミック組成物の層間に形成された電極とを備えたものである。具体的な積層セラミック電子部品は積層セラミックコンデンサであって、複数の積層されたセラミック組成物層(誘電体層)と、これらセラミック組成物層間の特定の界面に沿って形成された内部電極とを含む、積層体を備えたものである。積層体の内部には、内部電極としての第1の内部電極と第2の内部電極とが交互に配置され、第1の内部電極は第1の外部電極に電気的に接続されるように、第2の内部電極は同様に第2の外部電極に電気的に接続されるように、各端縁を積層体の端面に露出させた状態でそれぞれ形成する。電極としては、例えば、白金、パラジウム、ニッケル、銀、銅等の金属あるいはそれらの合金を用いることができる。積層セラミック電子部品のセラミック組成物の各層の厚みは可能な限り薄いほうが良く、1μm以下であることが好ましい。
セラミック組成物やセラミック電子部品は、従来の方法を用いて製造することができる。セラミック組成物は例えば、少なくとも複合酸化物粉末を含むセラミック組成物原料をバインダと混合した後、加圧成形して所定形状のグリーンペレットに形成したり、あるいは、シート成形法や印刷法等の方法を用いて基板上に所定厚みのグリーンシートを形成し、次いで、焼結させる。セラミック電子部品は例えば、前記のグリーンペレットの両面に電極用金属を配合したペースト等を印刷あるいは塗布し、焼結する方法、あるいは、前記のグリーンシートを形成し、次いで、その上に内部電極用金属を配合したペースト等を印刷あるいは塗布し、それを複数回繰り返した後に焼結させる方法などを用いることができる。焼結条件はセラミック組成物原料の焼結度に応じて適宜設定することができるが、焼結温度は例えば、1000〜1500℃程度が好ましく、1100〜1300℃程度がより好ましい。焼結時間もセラミック組成物原料の組成に応じて適宜設定することができるが、0.5〜10時間程度が好ましい。焼結の際の雰囲気は、酸素、空気、合成空気、乾燥空気(ドライエアー)、圧縮空気等の酸素含有ガスでも良いが、電極用金属が酸化されない雰囲気が好ましく、非酸化性のガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等を好適に用いることができ、また、水素、一酸化炭素、アンモニア等の還元性ガスも好適に用いることができる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
実施例1
四塩化チタンを中和して得られた生成物を130℃の温度で乾燥したチタン酸化物(前記した方法で測定した比表面積190m/g、平均長軸径80nm、軸比3の紡錘状二酸化チタン、TiO純度99.98重量%、ルチル化率100%、ルチル型結晶の結晶子径9nm、水中での50%積算径0.077μm)と炭酸バリウム(比表面積30m/g)をバリウム/チタンの原子比が1.000になるように秤量し、ボールミルを用いて湿式粉砕混合し、次いで、混合スラリーを蒸発乾燥し、乳鉢で粉砕して原料粉末とした。
次いで、得られた原料粉末を20mmの厚みになるように50ccの坩堝に入れ、この坩堝を雰囲気制御が可能な固定床電気炉に置いて減圧下(200〜500Pa)の雰囲気圧力下で室温から850℃に昇温し、5時間保持して焼成し、チタン酸バリウム粉末(試料A)を得た。
実施例2
前記の実施例1において、焼成温度を900℃とすること以外は実施例1と同様にして、本発明のチタン酸バリウム粉末(試料B)を得た。
実施例3
前記の実施例1において、焼成温度を950℃とすること以外は実施例1と同様にして、本発明のチタン酸バリウム粉末(試料C)を得た。
実施例4
前記実施例1で得られたチタン酸化物と炭酸バリウムの混合スラリーをスプレードライヤーによって乾燥、造粒した。造粒粉体の平均粒子径は50μmであった。
次いで、造粒粉体を縦型の小型流動層焼成炉に投入し、流動用ガスとして乾燥空気(炭酸ガス400ppm程度含有)をガス線速度1.73cm/秒で通気して前記の造粒粉体を流動させながら、室温から950℃に昇温し、0.5時間保持して焼成し、本発明のチタン酸バリウム粉末(試料D)を得た。なお、乾燥空気の通気は昇温開始から試料取り出しまでの焼成全工程の間行い、乾燥空気の通気により、造粒粉体を流動させ、発生した炭酸ガスを流動層焼成炉の系外に排出した。
実施例5
前記の実施例4において、保持時間を1時間とすること以外は実施例4と同様にして、本発明のチタン酸バリウム粉末(試料E)を得た。
実施例6
前記の実施例4において、保持時間を1.5時間とすること以外は実施例4と同様にして、本発明のチタン酸バリウム粉末(試料F)を得た。
比較例1
前記の実施例1で用いたチタン酸化物に代えて、比表面積115m/gのチタン酸化物(ルチル化率100%、ルチル型結晶の結晶子径13nm、実施例1で用いたチタン酸化物を175℃で加熱したもの)を用いたこと、減圧下(200〜500Pa)の雰囲気圧力下で室温から800℃に昇温し、5時間保持して焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム粉末(試料G)を得た。
このようにして得られた試料A〜Gのチタン酸バリウム粉末をBET法によって比表面積a(m/g)を測定し、平均粒子径d(μm)を求めた。
またX線回折法で得られたデータを用い、リートベルト解析を行なって正方晶チタン酸バリウムの格子定数aとcを求め結晶性評価(正方晶性)c/a軸比を算出した。
この結果の表1から、本発明のチタン酸バリウム粉末は、粒子径が比較的小さく、しかも、高いc/a軸比を有し、優れた正方晶性(テトラゴナリティ)を有することがわかった。
Figure 2009051690
実施例1〜3に記載の実験を数回行った結果、得られたチタン酸バリウム粉末の品質にばらつきが少ないことを確認した。また、本発明ではチタン酸バリウムのほかに、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、カルシウム変性チタン酸バリウム、希土類元素変性チタン酸バリウム等のペロブスカイト型構造を有する化合物、Ti/Baの原子比が2以上の組成式を有するポリチタン酸バリウム等も同様に製造できることを確認した。更に、得られた複合酸化物粉末を焼結してセラミック組成物を得、それを用いてセラミック電子部品とした場合でも、本発明の優位性を確認した。
本発明の複合酸化物粉末は微粒子であって高い結晶性を有するため、それを焼結させることによって誘電性や圧電性等の優れた特性を有するセラミック組成物を簡便、かつ、容易に製造することができる。そのセラミック組成物は、セラミック電子部品、特に積層セラミック電子部品に使用すると、小型化、軽量化、高性能化、多機能化等を満足することができると期待される。
実施例1で用いたチタン酸化物の粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。 実施例1で用いたチタン酸化物のX線回折パターンである。

Claims (10)

  1. X線回折法により求められるルチル化率が90%より高く、100%以下であり比表面積が150〜300m/gであるチタン酸化物と、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素を含む化合物とを混合し、焼成することを特徴とする複合酸化物粉末の製造方法。
  2. チタン酸化合物に含まれるルチル型結晶の結晶子径が10nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  3. チタン酸化合物が、四塩化チタンを中和して得られた生成物を150℃以下の温度で乾燥したものであることを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  4. 前記の焼成を、全圧1×10Pa以下の雰囲気圧力下で行うことを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  5. 前記の混合物を流動状態で焼成することを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物粉末の製造方法。
  6. 請求項1に記載の方法を用いて製造された、粒子径が0.06〜0.15μmの範囲である複合酸化物粉末。
  7. 請求項1に記載の方法を用いて製造された、粒子径が0.06〜0.15μmの範囲であり、c/a軸比が1.0075〜1.010であるチタン酸バリウム粉末。
  8. 少なくとも請求項6に記載の複合酸化物粉末又は請求項7に記載のチタン酸バリウム粉末を焼結したセラミック組成物。
  9. 請求項8に記載のセラミック組成物と、前記のセラミック組成物を挟んで対向するように設けられた電極とを備える、セラミック電子部品。
  10. 請求項8に記載のセラミック組成物を含む複数の層と、前記セラミック組成物の層間に形成された電極とを備える、積層セラミック電子部品。
JP2007219254A 2007-08-27 2007-08-27 複合酸化物粉末及びその製造方法、複合酸化物粉末を用いたセラミック組成物並びにそれを用いたセラミック電子部品 Pending JP2009051690A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007219254A JP2009051690A (ja) 2007-08-27 2007-08-27 複合酸化物粉末及びその製造方法、複合酸化物粉末を用いたセラミック組成物並びにそれを用いたセラミック電子部品
TW097130847A TW200927659A (en) 2007-08-27 2008-08-13 Complex oxide powder, method for preparing the same, ceramic composition using the complex oxide powder and ceramic electronic parts using the ceramic composition
CNA2008102124450A CN101376592A (zh) 2007-08-27 2008-08-26 复合氧化物粉末及其制造方法、使用复合氧化物粉末的陶瓷组合物和使用该组合物的陶瓷电子部件
KR1020080083673A KR20090023180A (ko) 2007-08-27 2008-08-27 복합 산화물 분말 및 그 제조 방법, 복합 산화물 분말을 사용한 세라믹 조성물 그리고 그것을 사용한 세라믹 전자 부품

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007219254A JP2009051690A (ja) 2007-08-27 2007-08-27 複合酸化物粉末及びその製造方法、複合酸化物粉末を用いたセラミック組成物並びにそれを用いたセラミック電子部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009051690A true JP2009051690A (ja) 2009-03-12

Family

ID=40420337

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007219254A Pending JP2009051690A (ja) 2007-08-27 2007-08-27 複合酸化物粉末及びその製造方法、複合酸化物粉末を用いたセラミック組成物並びにそれを用いたセラミック電子部品

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP2009051690A (ja)
KR (1) KR20090023180A (ja)
CN (1) CN101376592A (ja)
TW (1) TW200927659A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011073947A (ja) * 2009-10-02 2011-04-14 Fuji Titan Kogyo Kk 複合酸化物及びその製造方法
JP2011219351A (ja) * 2010-03-25 2011-11-04 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物およびBaTi2O5系複合酸化物の製造方法
US20120141790A1 (en) * 2010-12-02 2012-06-07 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Method for manufacturing barium titanate powder and barium titanate powder manufactured by the same
JP2012197200A (ja) * 2011-03-22 2012-10-18 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の前駆体粉末、BaTi2O5系複合酸化物の前駆体粉末の製造方法、及びBaTi2O5系複合酸化物の製造方法
JP2012197201A (ja) * 2011-03-22 2012-10-18 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の製造方法
JP2013082600A (ja) * 2011-10-10 2013-05-09 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd ペロブスカイト粉末、その製造方法及びそれを利用した積層セラミック電子部品
JP2013224245A (ja) * 2012-03-19 2013-10-31 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の製造方法
KR101729533B1 (ko) 2010-06-07 2017-04-24 한국세라믹기술원 투명 피형 스트론튬 구리 산화물 반도체 조성물 및 이의 제조방법
JP2021102815A (ja) * 2015-03-10 2021-07-15 メタリシス リミテッド 金属製造法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102074351A (zh) * 2010-11-12 2011-05-25 无锡索垠飞科技有限公司 电容式储能电池及其制造方法
CN103482974A (zh) * 2013-09-29 2014-01-01 哈尔滨理工大学 CaCu3Ti4O12陶瓷粉体的制备方法
CN110015699B (zh) * 2019-05-24 2024-01-30 山东泽石新材料科技有限公司 一种过渡金属锂氧化物的制备方法及装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011073947A (ja) * 2009-10-02 2011-04-14 Fuji Titan Kogyo Kk 複合酸化物及びその製造方法
JP2011219351A (ja) * 2010-03-25 2011-11-04 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物およびBaTi2O5系複合酸化物の製造方法
KR101729533B1 (ko) 2010-06-07 2017-04-24 한국세라믹기술원 투명 피형 스트론튬 구리 산화물 반도체 조성물 및 이의 제조방법
US20120141790A1 (en) * 2010-12-02 2012-06-07 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Method for manufacturing barium titanate powder and barium titanate powder manufactured by the same
JP2012197200A (ja) * 2011-03-22 2012-10-18 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の前駆体粉末、BaTi2O5系複合酸化物の前駆体粉末の製造方法、及びBaTi2O5系複合酸化物の製造方法
JP2012197201A (ja) * 2011-03-22 2012-10-18 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の製造方法
JP2013082600A (ja) * 2011-10-10 2013-05-09 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd ペロブスカイト粉末、その製造方法及びそれを利用した積層セラミック電子部品
JP2013224245A (ja) * 2012-03-19 2013-10-31 Seiko Instruments Inc BaTi2O5系複合酸化物の製造方法
JP2021102815A (ja) * 2015-03-10 2021-07-15 メタリシス リミテッド 金属製造法

Also Published As

Publication number Publication date
TW200927659A (en) 2009-07-01
KR20090023180A (ko) 2009-03-04
CN101376592A (zh) 2009-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009051690A (ja) 複合酸化物粉末及びその製造方法、複合酸化物粉末を用いたセラミック組成物並びにそれを用いたセラミック電子部品
KR20080047297A (ko) 복합 산화물 분말 및 그 제조 방법, 복합 산화물 분말을사용한 세라믹 조성물 그리고 그것을 사용한 세라믹 전자부품
Hennings et al. Solid‐state preparation of BaTiO3‐based dielectrics, using ultrafine raw materials
US20070202036A1 (en) Production Of Barium Titanate Compounds
CN104797531B (zh) 包覆钛酸钡细颗粒及其制造方法
JP4743481B2 (ja) チタン含有ペロブスカイト型化合物およびその製造方法
KR101315001B1 (ko) 티탄산바륨 미립자
JP2007137759A (ja) チタン酸バリウム微粒子粉末及び分散体
KR101158953B1 (ko) 조성물의 제조 방법
JP3751304B2 (ja) チタン酸バリウムおよびそれを用いた電子部品
JP2005075700A (ja) 組成物の製造方法
JP5574881B2 (ja) 固体酸化物型燃料電池用空気極材料粉末及びその製造方法
JP2010120850A (ja) 組成物の製造方法
JP2007091505A (ja) チタン酸バリウム系粉末およびその製法
JP5119007B2 (ja) ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法
JP7110305B2 (ja) シュウ酸バリウムチタニルの製造方法及びチタン酸バリウムの製造方法
JP2004315344A (ja) 単結晶セラミックス粒子の製造方法
JP7110306B2 (ja) シュウ酸バリウムチタニルの製造方法及びチタン酸バリウムの製造方法
JP2011073947A (ja) 複合酸化物及びその製造方法
JP4806893B2 (ja) ペロブスカイト構造を有する酸化物粉末の製造方法
JP6573653B2 (ja) ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法
JP4534001B2 (ja) ジルコニウム酸カルシウム粉末
WO2017081842A1 (ja) ナノ構造体およびその製造方法
Ling et al. Stabilization of perovskite phase and dielectric properties of 0.95 PZN–0.05 BT derived from mechanical activation
JPH06321630A (ja) セラミツク誘電体用組成物