JP5119007B2 - ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法に関するものであり、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の機能性セラミックの原料として有用なペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法に関するものである。
ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、従来、圧電体、積層セラミックコンデンサ等の機能性セラミックの原料として用いられてきた。ところが、近年、積層セラミックコンデンサは、高容量化のために積層数の増加や高誘電率化が求められており、このため、原料であるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末には、微細で、高い正方晶性を持つことが要望されている。
ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する1つの方法として、炭酸バリウムと二酸化チタンとを混合し、得られる混合物を仮焼する、所謂、固相法が知られている。この固相法では、微細で正方晶性の高い得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末が得らにくいという問題がある。
なお、固相法で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウムの正方晶性を高めるには、炭酸バリウムと二酸化チタンを含む混合物を仮焼して該ペロブスカイト型チタン酸バリウムを製造する際の仮焼温度を高くすることも有効であるが、仮焼温度を高くすると、粒子の成長や粒子同士の凝結が生じ、得られるペロブスカイト型チタン酸バリウムの微細化が困難になる。
このため、例えば、下記特許文献1には、炭酸バリウムと比表面積が10m/g以上の二酸化チタン等の金属酸化物を混合し、得られる混合物を2×10Pa以下の酸素分圧下において仮焼する方法が提案されている。
また、下記特許文献2には炭酸バリウムと、ルチル化率が30%以下であり、BET比表面積が5m/g以上の二酸化チタンとを、好ましくは全圧力が1×10Pa以下の雰囲気圧力下で仮焼する方法が提案されている。
また、下記特許文献3には、炭酸バリウムと酸化チタンの混合物を、温度600〜1100℃、かつ、二酸化炭素分圧が400〜1000ppmの雰囲気下で仮焼する方法が提案されている。
特開2001−316114号公報 特開2002−255552号公報 特開2006−327890号公報
前記従来技術のように固相法によりペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法が種々検討されているが、更に工業的に有利な方法で微細で、且つ高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法が要望されていた。
従って、本発明の目的は、固相法において工業的に有利な方法で微細で、且つ同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、炭酸バリウムと二酸化チタンとを含む混合物を仮焼する際に、炉内に炭酸ガスが多量に存在すると、得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末には当該粉末の表面や内部に炭酸バリウムが生成されるため、正方晶の指標となるc軸とa軸の比(c/a)が低くなり、強誘電体として特性の低いペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末が製造されること、また仮焼中の炭酸ガスの発生を抑制すれば微細で、同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造することができること、更に仮焼を加湿空気の存在下に行うと、炭酸ガスが加湿空気中の水蒸気により効果的に吸収され、このため仮焼中の炭酸ガスの濃度を低減でき、また、得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は微細で、同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つものになることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明が提供しようとするペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法は、炭酸バリウムと二酸化チタンを含む混合物を焼成炉中で仮焼してペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法において、前記仮焼を、温度を調整した水に空気を通して加湿した露点が15℃以上の加湿空気を焼成炉中に導入しながら行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、工業的に有利な方法で、微細で、同じ仮焼温度でも高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造することが出来る。製造されたペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の電子部品用機能性セラミックの原料として有用である。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明に係るペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法は、炭酸バリウムと二酸化チタンを含む混合物を仮焼してペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法において、前記仮焼を加湿空気の存在下に行うことを特徴とする。
本発明で使用する原料の炭酸バリウムは、工業的に入手可能のものであれば特に制限なく使用することが出来るが、BET比表面積が10m/g以上、好ましくは30〜50m/gであると微細で正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムを作製できる点から好ましい。
また、使用する炭酸バリウムは上記物性を有することに加え、走査型電子顕微鏡写真(SEM)観察から求められる平均粒径が0.1μm以下、好ましくは0.03〜0.05μmのものを使用すると微細で正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムを作製できる点から好ましい。
なお、本発明において平均粒径は、特に断らない場合は任意に抽出したサンプル1000個について走査型電子顕微鏡観察(SEM)から求めた平均の値を示す。
もう一方の原料の二酸化チタンも工業的に入手可能のものであれば特に制限なく使用することが出来るが、BET比表面積が5m/g以上、好ましくは8〜50m/gであると微細で正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムを作製できる点から好ましい。
また、使用する二酸化チタンは上記物性を有することに加え、SEM観察から求められる平均粒径が0.1μm以下、好ましくは0.03〜0.05μmのものを使用すると微細で正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムを作製できる点から好ましい。
なお、前記炭酸バリウム及び二酸化チタンは高純度なペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を得るため高純度のものを使用することが好ましく、これら原料の粒子形状は針状、球状、粒状或いは不定形のものであっても特に制限なく使用することができる。
本発明の反応操作は、まず前記炭酸バリウムと二酸化チタンとを均一に混合し、均一混合物を得る。
炭酸バリウムと二酸化チタンとの混合割合は、BaとTiのモル比(Ba/Ti)で0.99〜1.01、好ましくは0.995〜1.005である。この理由はBaとTiのモル比(Ba/Ti)が0.99未満ではチタンリッチとなり、正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムが得られなくなり、一方、BaとTiのモル比(Ba/Ti)が1.01を超えるとバリウムリッチとなり、正方晶性の高いペロブスカイト型チタン酸バリウムが得られなくなり好ましくない。
なお、本発明において、ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末としたときにAサイト元素のBa原子の一部代替となるCa又は/及びSr原子を含む化合物、Bサイト元素のTi原子の一部代替としてZr原子を含む化合物を、前記混合物に含有させることが出来る。この場合、Baの一部代替とするCa又は/及びSr原子の含有量は、特に制限されるものではないがBa原子に対してCa又は/及びSr原子として50モル%未満の含有量とすることが好ましい。一方、Tiの一部代替とするZr原子の含有量も、特に制限されるものではないがTi原子に対してZr原子として50モル%未満の含有量とすることが好ましい。BaとCa及び/又はSr(Aサイト元素)に対するTiとZr(Bサイト元素)の混合割合はモル比(Aサイト元素/Bサイト元素)で0.99〜1.01、好ましくは0.995〜1.005とすることが好ましい。なお、前記Ca、Sr、Zr原子を含む化合物としては、これらの炭酸塩、酸化物、有機酸塩等を用いることができ、また、物性等は特に制限されるものではないが、各原料への分散性の点で微細なものが特に好ましい。
前記炭酸バリウムと二酸化チタンの混合方法は、炭酸バリウムと二酸化チタンが上記割合で均一に混合されるように、湿式法または乾式法による強力な剪断力が作用する機械的手段にて行われる。
湿式法は、ボールミル、ビーズミル、ディスパーミル、ホモジナイザー、振動ミル、サンドグラインドミル、アトライターおよび強力撹拌機等の装置にて操作される。一方、乾式法では、ハイスピードミキサー、スーパーミキサー、ターボスフェアミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーおよびリボンブレンダー等の装置を用いることができる。これらの中でも、本発明では湿式法による調製が均一混合物を得、更に高い誘電率を有する誘電体が得られる点で特に好ましい。
湿式混合で用いる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドおよびジエチルエーテル等が用いられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールを用いると組成変化が少ないものが得られ、更に得られる誘電体セラミック自体も誘電率が高いものが得られる点で好ましい。
なお、分散性を向上させる目的で必要により前記湿式混合の際に分散剤をスラリーに添加することが出来る。なお、湿式で混合処理を行った後は、所望により噴霧乾燥機によりスラリーごと乾燥する方法を適用できる。
なお、これら均一混合操作は、例示した機械的手段に限定されるものではない。また、ジェットミル等の混合および粉砕を同時に行える装置を用いて粒度調整を兼ねて混合操作を行っても差し支えない。
本発明のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法において、前記炭酸バリウムと二酸化チタンを均一に混合処理した混合物を仮焼する。
仮焼温度は700〜1200℃、好ましくは800〜1000℃である。この理由は仮焼温度が700℃未満ではペロブスカイト型チタン酸バリウムへと変化する固相反応が起きず、未反応のままになりやすく、一方、仮焼温度が1200℃を超えると生成したペロブスカイト型チタン酸バリウムが粒成長をおこすになる傾向があるため好ましくない。仮焼時間は4時間以上、好ましくは6〜30時間である。また、本発明では、仮焼は前記混合物を通常700〜1200℃、好ましくは800〜1000℃で仮焼した後、該仮焼物を粉砕し、所望により造粒した後、さらに通常700〜1200℃、好ましくは800〜1000℃で仮焼を行ってもよいし、また、この仮焼は、粉体特性を均質とするため、一度仮焼したものを粉砕し、再仮焼を行ってもよい。
仮焼に使用する焼成炉はバッチ式又は連続式の電気炉、ガス炉が使用でき、その一例としてローラーハースキルン、ロータリーキルン、プッシャー炉等が挙げられる。
本発明のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法において、前記仮焼を大気下で加湿空気の存在下に行うことが特に重要な要件となる。
具体的な操作は、加湿空気を焼成炉内に導入しながら仮焼を行えばよい。
前記加湿空気には、空気を、温度を調整した水に通して加湿した空気、または空気に水蒸気を混合して加湿した空気等を用いることができる。
前記加湿空気中の水分含有量は特に制限されるものではないが、露点が15℃以上、好ましくは20〜26℃、特に好ましくは21〜25℃の加湿空気を用いると、固相反応において焼成炉内で発生した炭酸ガスを効率的に吸収させるという点で特に好ましい。
図1は湿度図表を示し、温度(℃)と乾燥空気1mに含まれる飽和水蒸気量(湿度100%)(g)の関係を示すグラフである。図1における飽和水蒸気量と温度の関係を表1に示す。なお、表1の温度(℃)は露点を示す。
Figure 0005119007
図2は、湿度曲線から露点を求めるためのグラフである。露点は図2に基づいて求めることができる。図2において、曲線Hsは湿度100%の湿度曲線、曲線H1は任意の湿度a%の湿度曲線である。但し、aは湿度100%未満の湿度示す。曲線Hsは図1に示す曲線と同一である。温度t2、湿度a%の加湿空気Haは、曲線H1の温度t2における水蒸気量h2の水蒸気を含有している。そのために、温度t2、湿度a%の加湿空気Aの露点を求めるには、水蒸気量h2を飽和水蒸気曲線Hsの方向に移動して、水蒸気量h2と曲線Hsとの交点h1における温度t1が、加湿空気Haの露点となる。
焼成炉内への加湿空気の導入割合は、焼成炉の容量により異なるが、例えば焼成炉の容量が3Lのものを使用する場合には、1L/min以上、好ましくは2〜5L/minであると固相反応において焼成炉内で発生した炭酸ガスを効率よく吸収させ、かつ、加湿された加湿空気により炉内温度が低下することを防ぐ点で好ましい。なお、前記加湿された加湿空気の焼成炉への導入時期は、少なくも炭酸バリウムと二酸化チタンの固相反応によりペロブスカイト型チタン酸バリウムが生成される前に前記焼成炉に導入することが、反応過程で生成する炭酸ガスを効果的に吸収し、炭酸ガスの発生を抑制できる点で特に好ましい。
仮焼後のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、例えば、必要により酸溶液で洗浄し、水洗い、乾燥、粉砕、分級することにより製品とすることができる。乾燥方法は常法を用いればよく特に限定されるものでないが、湿式粉砕処理を行った場合は、例えば、噴霧乾燥機を用いる方法も適用することができる。
本発明で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、正方晶の指標となるc軸とa軸の比(c/a)が好ましくは1.004以上、好ましくは1.006〜1.010であり高い正方晶性を有する。更に本発明で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の好ましい物性は、電子顕微鏡観察により求められる平均粒径が0.5μm以下、好ましく0.05〜0.3μmであり、BET比表面積が2m/g以上、好ましくは3〜20m/gであり、また、極めて高純度で、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の電子部品用機能性セラミックの原料として有用なペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末である。
なお、必要により、仮焼の前、すなわち、炭酸バリウムと二酸化チタンとの混合時又は仮焼後に、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の希土類元素、Li、Bi、Zn、Mn、Al、Si、Sr、Co、V、Nb、Ni、Cr、B、Fe及びMgから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する副成分元素含有化合物とを混合し、この後に仮焼を行うと、副成分元素の酸化物を含むチタン系ぺロブスカイト型セラミック原料粉末を得ることができる。
これらの副成分元素含有化合物の組み合わせや添加量は、生成するセラミック原料粉末に必要な誘電特性に合わせて任意に設定することができる。具体的な副成分元素含有化合物の添加量は、ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末100重量部に対して、副成分元素含有化合物中の元素として、通常0.1〜5重量部である。なお、前記副成分元素含有化合物は無機物又は有機物のいずれであってもよい。例えば、前記の元素を含む酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩及びアルコキシド等が挙げられる。副成分元素含有化合物がSi元素を含有する化合物である場合は、前記酸化物等に加えて、シリカゾルや珪酸ナトリウム等も用いることができる。
本発明で得られるぺロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、積層コンデンサの製造原料として使用することができる。例えば、まず、上記ぺロブスカイト型チタン酸バリウム粉末と、添加剤、有機系バインダ、可塑剤、分散剤等の従来公知の配合剤とを混合し分散させてスラリー化し、該スラリー中の固形物を成形してセラミックシートを得る。次にこのセラミックシートの一面に内部電極形成用導電ペーストを印刷し、乾燥後、複数枚のセラミックシートを積層し、次に厚み方向に圧着することにより積層体を形成する。さらに、この積層体を加熱処理して脱バインダ処理を行い、焼成して焼成体を得る。その後、この焼成体にIn―Gaペースト、Niペースト、Agペースト、ニッケル合金ペースト、銅ペースト、銅合金ペースト等を塗布して焼き付けることにより積層コンデンサを得ることができる。
また、本発明で得られるペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂に配合し、樹脂シート、樹脂フィルム、接着剤等としてプリント配線板や多層プリント配線板等の材料に好適に用いることができる。また、前記ペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、EL素子の誘電体材料、内部電極と誘電体層との収縮差を抑制するための共材、電極セラミックス回路基板やガラスセラミックス回路基板の基材及び回路周辺材料の原料、排ガス除去や化学合成等の反応時に使用される触媒、帯電防止効果やクリーニング効果を付与する印刷トナーの表面改質材等として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例において平均粒径は、任意に抽出したサンプル1000個について走査型電子顕微鏡観察(SEM)から求めた平均値として求めた。
<炭酸バリウム試料>
炭酸バリウムは、下記の表2に示す物性を有する市販のものを使用した。
Figure 0005119007
<二酸化チタン試料>
二酸化チタンは、下記の表3に示す物性を有する市販のものを使用した。
Figure 0005119007
実施例1〜3
前記炭酸バリウム試料と、前記二酸化チタン試料とをBa/Tiのモル比で1.00となるように湿式混合機としてボールミル(ビーズ径;1mmのジルコニアビーズ、溶媒:水)を用い、6時間混合処理した後、130℃で2時間乾燥して、乾燥粉を得た。
図3に示す電気式バッチ炉からなる焼成炉にて、大気下で前記乾燥粉7gを2.5℃/分の昇温速度で表4に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
図3に示す焼成炉の炉1の内部の四面は、アルミナファイバーボードで覆われ、炉内にアルミナからなる試料容器2の筒の中に試料3が収容されており、導入管4の導入口5から加湿空気6を炉内へ導入し、排出管7の排出口8から加湿空気を炉外へ排出する。
仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に、空気を30℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気A(露点21℃)を2L/minの割合で導入しながら行った。焼成炉の容量は3Lである。
なお、加温前の空気の状態は、27.8℃、湿度24%、露点7℃である。30℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気Aは、導入口5の測定値で、26.1℃、湿度72%、露点21℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
実施例4〜6
実施例1と同様に乾燥粉を調製し、乾燥粉7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表4に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に、空気を45℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気B(露点25℃)を2L/minの割合で導入しながら行った。
なお、加温前の空気の状態は、27.8℃、湿度24%、露点7℃である。45℃に加温された水中を通して加湿した加湿空気Bは、導入口5の測定値で、27.1℃、湿度87%、露点25℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
比較例1〜3
実施例1と同様に乾燥粉を調製し、乾燥粉7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表4に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
仮焼は焼成炉に、空気を導入しないで行った。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
比較例4〜6
実施例1と同様に乾燥粉を調製し、乾燥粉7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表4に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。なお、仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に炭酸ガスを2L/minの割合で導入しながら行った。
なお、炭酸ガスは加温しないものを用いた。加温しない炭酸ガスは、導入口5の測定値で、22.3℃、湿度37%、露点8℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
比較例7〜9
実施例1と同様に乾燥粉を調製し、乾燥粉7gを電気式バッチ炉にて2.5℃/分の昇温速度で表4に示す温度まで昇温し、6時間保持して仮焼した。
なお、仮焼は仮焼開始とともに焼成炉に空気を2L/minの割合で導入しながら行った。
なお、空気の状態は、導入口5の測定値で、27.8℃、湿度24%、露点7℃である。
仮焼終了後、冷却し、粉砕を行ってチタン酸バリウム粉末を得た。
Figure 0005119007
<チタン酸バリウム試料の物性評価>
実施例1〜6及び比較例1〜9で得られたチタン酸バリウム試料について、平均粒径、BET比表面積、正方晶の指標となるc軸とa軸の比(c/a)を測定した。その結果を表5に示す。なおc軸とa軸の比はX線回折により求めた。
Figure 0005119007
表5より、仮焼を加湿空気を導入して行って得られるチタン酸バリウムは、仮焼温度が同じで加湿空気を導入しないで仮焼して得られたものと比べ、正方晶の指標となるc軸とa軸の比(c/a)が高く正方晶性に優れていることが分かる。
本発明は、微細で、高い正方晶性を持つペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造することが出来るので、製造されたペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末は、特に、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の電子部品用機能性セラミックの原料として利用することができる。
温度と乾燥空気1mに含まれる飽和水蒸気量(湿度100%)の関係を示すグラフである。 湿度曲線から露点を求めるためのグラフである。 焼成炉の一実施態様を示す概略図である。
符号の説明
1 炉
2 試料容器
3 試料
4 導入管
5 導入口
6 加湿空気
7 排出管
8 排出口
9 ふた
10 基台

Claims (4)

  1. 炭酸バリウムと二酸化チタンを含む混合物を焼成炉中で仮焼してペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末を製造する方法において、前記仮焼を、温度を調整した水に空気を通して加湿した露点が15℃以上の加湿空気を焼成炉中に導入しながら行うことを特徴とするペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
  2. 前記仮焼は700〜1200℃で行う請求項1に記載のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
  3. 前記炭酸バリウムはBET比表面積が10m/g以上のものを用いる請求項1または2に記載のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
  4. 前記二酸化チタンはBET比表面積が5m/g以上のものを用いる請求項1乃至のいずれかの項に記載のペロブスカイト型チタン酸バリウム粉末の製造方法。
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