JP2006089368A - チタン酸バリウムカルシウムおよびその製造方法ならびにコンデンサ - Google Patents

チタン酸バリウムカルシウムおよびその製造方法ならびにコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】 粒径が小さく粒径分布の狭い、分散性に優れ、結晶性が高く、電気特性に優れたチタン酸バリウムカルシウム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 (Ba1−XCaTiO(ただし0<X<0.2であり、0.98≦Y≦1.02である)の組成式で表され、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率が3mol%以下であり、比表面積Dが1m/g以上100m/g以下の範囲であることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウムを採用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、誘電材料、圧電材料、焦電材料、積層セラミックコンデンサ、薄膜材料等の電子材料に用いられるチタン酸バリウムカルシウム粒子及びその製造方法に関する。
詳しくは、比表面積Dが1〜100m/g、リートベルト法で算出した結晶格子のa軸長(単位:nm)とc軸長(単位:nm)より求めたc軸長とa軸長の比をyとしたときにDとyが一定の関係を満たす一般式(Ba(1−X)CaTiO(0<X<0.2、0.98≦Y≦1.02)で表される、斜方晶系ペロブスカイト化合物を3mol%以下含むチタン酸バリウムカルシウム粒子及びその製造方法に関する。
チタン酸バリウムは、Aサイトをバリウム、BサイトをTiが占め、チタンが中心から少しずれたペロブスカイト型構造をとるため、強誘電性を発現する。そのため、誘電性、圧電性、焦電性などの優れた電気特性を示すため、種々の電子材料として広く用いられている。
また、チタン酸バリウムカルシウムは、バリウムの一部をカルシウムに置換したチタン酸バリウム系の電子材料として広く用いられ、なかでもチタン酸バリウムの誘電特性の温度依存性、信頼性を改善したセラミクスコンデンサ材料として注目されている。
これらの材料の高誘電性を利用して、積層セラミクスコンデンサを始めとするさまざまなキャパシタ材料、誘電体フィルタ、誘電体アンテナ、誘電体共振器、誘電体デュプレクサ、キャパシタ、フェイズシフタ、圧電性を利用した積層圧電アクチュエーターなどが用途として例示されている。また、チタン酸バリウムを電子材料に用いる方法として、チタン酸バリウム粉末を溶剤と混合してスラリー化もしくはペースト化した後、成形・焼結、シート化などの方法で、薄膜形状物、磁器などとする方法がある。
また最近では、電子部品の小型化、軽量化、高性能化に対応した、粒径が小さく、粒度分布が狭く、分散性に優れ、高結晶で、高純度のチタン酸バリウムカルシウムの開発が望まれている。
たとえば、積層セラミクスコンデンサを小型化、軽量化、高容量化するには、チタン酸バリウムカルシウムの粒径を小さくし、積層間隔を小さくし積層数を増やす必要がある。
しかし、一般に、チタン酸バリウムカルシウムの粒径が小さくなると、c/a比が小さくなって立方晶に近づくが、c/a比が低くなると強誘電性が低下するため、誘電体材料として用いたときの静電容量が小さくなる。そのため、粒子が小さくても、高いc/a比を示すチタン酸バリウムカルシウムが望まれている。また、高いc/a比を示すには、高結晶であることが必要である。
また、チタン酸バリウムカルシウム粉末を溶剤と混合してスラリー化またはペースト化する際に、粉末が凝集したりすると、焼結密度が低下し、耐電圧、マイグレーションなどの電気特性が低下するという問題がある。さらに、チタン酸バリウムカルシウムに含まれる不純物も電気特性に悪影響を与える。
したがって、電子部品の小型化、軽量化、高性能化に対応するには、粒径が小さく、粒度分布が狭く、分散性に優れ、高純度のチタン酸バリウムカルシウムの開発が必要となる。
従来のチタン酸バリウムの製造方法としては、次のような手法が用いられている。
高純度で、高結晶のチタン酸バリウム粒子の製造方法としては、フラックス法がある。
しかしこの方法では、製造コストが非常に高いばかりでなく、粒子にするには粉砕するしかなく、粒径分布が広く、分散性のよくない粒子になる。そのため、粒子を材料とする電子材料には不向きである。
電子材料用のチタン酸バリウムを製造する方法としては、酸化物や炭酸塩を原料とし、それらの粉末をボールミル等で混合した後、約800℃以上の高温で反応させて製造する固相法や、まず蓚酸複合塩を調製し、これを熱分解してチタン含有複合酸化物粒子を得る蓚酸塩法、原料を水溶媒中で高温高圧として反応させて前駆体を得る水熱合成法、金属アルコシドを原料とし、それらを加水分解して前駆体を得るアルコシキド法などが一般に知られている。
また、チタン酸バリウムの製造方法として、チタン化合物の加水分解生成物と水溶性バリウムとを強アルカリ中で反応する方法(特許文献1)、酸化チタンゾルとバリウム化合物を強アルカリ水溶液中で反応させる方法(特許文献2、特許文献3)などが一般に知られており、これらの合成法の改良が盛んに行われている。
しかし上記の固相法は製造コストが低いものの、生成するチタン酸バリウム粒子は粒径が大きくなるという問題がある。粉砕を行えば粒径は小さくなるものの、粒度分布が広くなって成形密度が向上しないおそれがある。さらに粉砕によって結晶構造に歪が生じ、小型化、高性能化に適したチタン酸バリウム粉末が得られないという欠点がある。
また、上記の蓚酸塩法は固相法よりも小さな粒子が得られるものの、蓚酸に由来する炭酸基が不純物として残存する。また、内部に取り込まれた水に起因する水酸基の残留が多く、電気的特性が低下する。このように蓚酸塩法では、電気特性に優れたチタン酸バリウム粉末が得られないという問題がある。
上記の水熱合成法は、微粒のチタン酸バリウムが得られるが、内部に取り込まれた水に起因する水酸基が残留するため欠陥が多く、電気的特性に優れたチタン酸バリウム粒子が得られにくい。また、高温高圧条件下で行うため、専用設備が必要となり、コストが高くなるという問題がある。
上記のアルコキシド法では、水熱合成法よりも微粒のチタン酸バリウムが得られるが、内部に取り込まれた水に起因する水酸基が残留するため欠陥が多く、電気的特性に優れたチタン含有複合酸化物が得られにくい。
特公平3−39014号公報 国際公開第00/35811号パンフレット 国際公開第03/004416号パンフレット 特開2002−60219号公報 特開2003−48774号公報
特許文献1または特許文献2に記載の方法では、アルカリとして水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを用いているが、高純度のチタン酸バリウム粒子を得るためには、反応後にそれらのアルカリ成分を除去する工程が必要となる。実際には、除去工程においてバリウムの溶解と水酸基の取り込みとが同時に起こるため、結晶性の高いチタン酸バリウムが得られにくい場合がある。
一方、チタン酸バリウムカルシウムを製造するには、上記各手法において、原料にカルシウムを添加することにより製造する方法が考えられる。しかしながら、バリウムとカルシウムは原子半径が大きく異なるため、バリウムとカルシウムを均一に固溶させたチタン酸バリウムを製造するのは困難である。そのため、原料化合物の残存や副生成物としてチタン酸カルシウムなど斜方晶系ペロブスカイト化合物が混在し、電子部品の小型化、軽量化、高性能化に対応したチタン酸バリウムカルシウムの製造が困難になっている。また、バリウムとカルシウムを均一に固溶させるためには高温で熱処理する必要となるため、粒成長しやすくなり、微粒なチタン酸バリウムカルシウムの製造が困難になっているという問題がある。
また、特許文献3、特許文献4および特許文献5には、チタン酸バリウムカルシウムの製造方法が開示されている。
特許文献3および特許文献4に記載の方法では、微粒なチタン酸バリウムカルシウムを得ることができるが、バリウム化合物とカルシウム化合物を同時に投入するため、競争反応で副生成物として斜方晶系ペロブスカイト化合物が混在する。
また、特許文献4に記載の方法は、非常に煩雑な工程で、高価なチタンアルコキサイドを必要とする。
更に、特許文献5に記載の方法では、炭酸カルシウムと酸化チタンとチタン酸バリウムの1000℃以上の熱処理によるため、0.2μm以下の微粒なチタン酸バリウムカルシウムを得ることができない。
本発明の課題は、粒径が小さく粒径分布の狭い、分散性に優れ、結晶性が高く、電気特性に優れたチタン酸バリウムカルシウム及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。すなわち、
[1] (Ba1−XCaTiO(ただし0<X<0.2であり、0.98≦Y≦1.02である)の組成式で表され、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率が3mol%以下(0mol%を含む)であり、比表面積Dが1m/g以上100m/g以下の範囲であることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウム。
[2] リートベルト法により算出された結晶格子のa軸長とc軸長との比(c/a)をyとしたとき、前記yと前記比表面積Dとの関係が下記式(1)または下記式(2)を満たすことを特徴とする[1]に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
y≧1.0095−8.8×10−6×D(ただし1≦D≦9.7のとき) (1)
y≧1.003(ただし9.7<D≦100のとき) (2)
[3] チタン酸バリウムカルシウムが単結晶粒子を80%以上含んでいることを特徴とする[1]または[2]に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[4] 粒子内に1nm以上の空孔が存在しない粒子が80%以上含まれていることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[5] 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をD2としたときに、D2/D1が0.5〜1の範囲であることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[6] 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して95%となる粒径をD3、最大の粒径をD4としたときに、D3/D1が1〜1.8の範囲であり、D4/D1が1〜2の範囲であることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[7] 比表面積Dが5m/g以上100m/g以下の粉末であることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[8] 前記組成式におけるXが、0.05≦X<0.2であることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[9] 塩基性化合物を含むpH10以上のアルカリ性溶液中に、水酸化バリウムと酸化チタンとを投入してこれらを反応させることによりチタン酸バリウムを合成する工程と、次いで、水酸化カルシウムを投入して反応させることによりチタン酸バリウムカルシウムを合成する工程と、次いで、前記塩基性化合物を気化させて除去する工程と、を備えていることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[10] 水酸化バリウムと水酸化カルシウムのモル比を1:0〜0.8:0.2の範囲にするとともに、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムの合計モル量に対して酸化チタン量を0.98〜1.02倍とし、アルカリ性溶液中でこれら水酸化バリウムと水酸化カルシウムと酸化チタンを反応させてチタン酸バリウムカルシウムを製造することを特徴とする[9]に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[11] 前記のチタン酸バリウムの合成工程において、前記アルカリ性溶液中のバリウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させるとともに、前記のチタン酸バリウムカルシウムの合成工程において、カルシウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させることを特徴とする[9]または[10]に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[12] 前記の塩基性化合物の除去工程後に、350℃以上1200℃以下の範囲で熱処理を行なうことを特徴とする[9]乃至[11]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[13] チタン酸バリウム合成からチタン酸ンバリウムカルシウム合成までの工程において、反応溶液中の炭酸基の濃度を、CO換算で0ppm以上500ppm以下の範囲に制御することを特徴とする[9]乃至[12]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[14] 前記酸化チタンがブルーカイト型結晶を含有するものであることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[15] 前記酸化チタンが、チタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルであることを特徴とする[9]乃至[14]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[16] 前記塩基性化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、熱分解のうちの少なくとも一種以上の手段で気化する物質であることを特徴とする[9]乃至[15]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[17] 前記塩基性化合物が、有機塩基化合物であることを特徴とする[9]乃至[16]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[18] 前記塩基性化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドであることを特徴とする[9]乃至[17]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[19] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電材料。
[20] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするペースト。
[21] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするスラリー。
[22] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする薄膜状形成物。
[23] [1]乃至[8]のいずれかにに記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする誘電体磁器。
[24] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする焦電体磁器。
[25] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする圧電体磁器。
[26] [23]に記載の誘電体磁器を含むことを特徴とするコンデンサ。
[27] [22]乃至[26]のいずれかに記載の薄膜状形成物、磁器及びコンデンサからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする電子機器。
[28] [22]乃至[25]のいずれかに記載の薄膜状形成物または磁器を一種または二種以上含むことを特徴とするセンサー。
[29] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電体フィルム。
[30] [29]に記載の誘電体フィルムを用いて製造されたことを特徴とするコンデンサ。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、微粒で、分散性に優れた、不純物が少なく、結晶性が高い、任意の比率で固溶したチタン酸バリウムカルシウム粉末及びその製造方法が提供されるという格別な効果を有している。
このようなチタン酸バリウムカルシウム粉末及び該粉末を含むスラリー、ペーストは、優れた電気的特性を発揮できるものであり、性能に優れた磁器、薄膜、誘電体フィルム等の誘電材料、圧電材料、焦電材料等が得られる。さらに、これらを電子機器に用いることにより、電子機器の小型化、軽量化が可能となる。上記誘電体フィルムは誘電特性が優れているために、薄膜化しても優れた特性を発揮できるので、基板内コンデンサなどに応用可能である。当該コンデンサを携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器に採用すれば、機器の小型化、軽量化、高性能化に極めて有効である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、一般式(Ba(1−X)CaTiO(0<X<0.2、0.98≦Y≦1.02)で表される固溶型のペロブスカイト型化合物である。ここで「固溶」とは、単なる「混合」ではなく、一定の比率で原子が固溶した状態をいう。本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムの結晶構造は、X線回折測定により知ることができ、またチタン酸バリウムカルシウム中のバリウムとカルシウムの比率は、X線回折図のピーク位置から求めることができる。
粉末中のバリウムとカルシウムの比率(固溶比)Xは、好ましくは0〜0.2、より好ましくは0〜0.1である。例えば、固溶比Xは所望の電気特性に達するように調整することが好ましい。例えば、室温での誘電率は、チタン酸バリウム(X=0)が約1600を示し、X=0.15のチタン酸カルシウムバリウムが約900の値を示す。本発明のチタン酸バリウムカルシウムは、X,Yの値を100分の1以下、好ましくは1000分の1の精度で制御することができる。このように、バリウムとカルシウムの固溶比を調整することで、室温での誘電率を所望の値に調整したチタン酸バリウムカルシウムを得ることができる。
また、バリウムとカルシウムのモル数合計とチタンのモル数の比率(Y)は、好ましくは0.98〜1.02であり、好ましくは0.99〜1.01であり、より好ましくは0.995〜1.005であり、所望の電気特性に達するように調整する。比率Yは、1に近いほど欠陥がなく結晶性が高くなり好ましい。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムの電気特性を改善するために、別の化合物を添加して使用しても何ら支障はない。
一般に電子機器の小型化のためには、比表面積が1m/gより小さいと粒径が大きすぎ有効でなく、比表面積が100m/gを超えると凝集しやすくなる上、該粉体の取り扱いが難しくなる。本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、比表面積が1〜100m/g、好ましくは、5〜70m/g、より好ましくは5〜50m/gの範囲にある。なお本発明では、BET法で求めた比表面積値を採用することが望ましい。
Ca置換量に対するc軸長とa軸長の長さの関係は、J.Amer.Ceram.Soc.,38,142(1955)などに記載されている。Ca置換量が大きくなるほどc軸長とa軸長は小さくなる。本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、BET法で求めた比表面積をD(単位:m/g)とし、リートベルト法で求めたc軸長とa軸長の比(c/a)をyとしたときに、下記一般式(1)または(2)を満たし、微粒で、高いc/a比を示す特徴を有するものである。
y≧1.0095−8.8×10−6×D(ただし1<D≦9.7のとき) (1)
y≧1.003(ただし9.7<D≦100のとき) (2)
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムには、副生成物として斜方晶系ペロブスカイト化合物が3mol%以下の範囲で含まれていてもよい。斜方晶系ペロブスカイト化合物は、その存在量が3mol%より大きい場合はX線回折のピークとして検出される。また、その存在量が3mol%以下の場合は、チタン酸バリウムカルシウムの固溶比と全粉末の平均のCa混入量の差として求めることができる。チタン酸バリウムカルシウムの固溶比は、X線回折のピーク位置や、3つある逐次相転移点のうち斜方晶系と正方晶径の相転移点を測定することにより求まる。全粉末の平均のCa混入量は、全粉末をガラスビード法により作成した試料を蛍光X線法で求めることができる。また、斜方晶系ペロブスカイト化合物は、形状が異なり,走査型電子顕微鏡で観察して検出できる。
更に、本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、原料の水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化チタンが1000分1モル未満程度含まれていてもよい。
また、本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、80%以上が単結晶であるという特徴を有するものである。好ましくは90%以上が単結晶であり、より好ましくは100%である。単結晶であることは、TEM(透過電子顕微鏡)観察(好ましくはチタン酸バリウムカルシウム粒子を薄膜化して観察する)により知ることができる。
また、本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、粒子内に1nm以上の空孔が存在しない粒子が粒子全体の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは100%である。粒子内に水酸基あるいは水酸基が脱離したことに起因する欠陥が存在しないか、あるいは存在していたとしてもその大きさが1nm未満であることが望ましい。
チタン酸バリウムカルシウムに存在する水酸基は、赤外分光分析法により3500cm−1付近のピークとして検出されるが、粒子内の水酸基以外に表面に存在する水酸基も同時に検出される。しかし、表面に存在する水酸基は700℃より低い温度で脱離するので、予め700℃で熱処理後、赤外分光分析を行うことで粒子内の水酸基を検出することができる。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、粒内に1nm以上の空孔が存在しない粉末が粉末全体の80%以上を占めており、粒子内に水酸基あるいは水酸基が脱離したことに起因する欠陥がほとんど存在しないため、誘電率が高くなる。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をD2、95%となる粒径をD3、最大の粒径をD4としたときに、好ましくはD2/D1が0.5〜1である。D3/D1が好ましくは1〜1.8、好ましくはD4/D1が1〜2を満たす。本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、粒径が大きな斜方晶系ペロブスカイト化合物が少ないために、粒径分布が狭くなる。
D2/D1、D3/D1のそれぞれの値が1に近づくほど、一次粒子の粒度分布が狭くなり好ましい。
本発明の好ましい実施態様におけるD2/D1は、0.5以上1以下であり、好ましくは0.6以上1以下である。
また本発明の好ましい実施態様におけるD3/D1は、1以上1.8以下であり、好ましくは1以上1.7以下である。
さらに、また本発明の好ましい実施態様におけるD4/D1は、1以上2以下であり、好ましくは1以上1.9以下である。
このようなチタン酸バリウムカルシウムは、粒径が小さく、かつ、誘電率が高く電気特性の優れたものであり、これから得られる誘電体磁器等の誘電材料を用いることにより積層セラミクスコンデンサ等の小型の電子部品が得られ、さらにこれらの電子部品を用いることにより、電子機器の小型化、軽量化が可能となる。
次に、本発明のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法を説明する。
本発明のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法は、水酸化バリウムと水酸化カルシウムのモル比を1:0〜0.8:0.2の任意の範囲とし、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムの合計のモル数に対する酸化チタンの量を0.98〜1.02倍とし、これらを塩基性化合物の存在するpH10以上のアルカリ性溶液中で反応させることが好ましい。このとき、最初に前記アルカリ性溶液中で、水酸化バリウムと酸化チタンと反応させてチタン酸バリウムを合成する。そして次に、水酸化カルシウムを投入して更に反応させてチタン酸バリウムカルシウムを製造する。
本発明では、水酸化バリウムおよび酸化チタンを先に反応させてチタン酸バリウムを生成し、その後、このチタン酸バリウムに水酸化カルシウムを反応させてチタン酸バリウムカルシウムを得ることが好ましい。水酸化バリウムと水酸化カルシウムと酸化チタンを全て同時に投入して反応させると、水酸化バリウムおよび酸化チタンの反応と、酸化チタンおよびチタン酸バリウムの反応とが競争反応を起こし、斜方晶系ペロブスカイト化合物が生成してしまう傾向があるし、また、最大でも5mol%のカルシウムしか固溶することができない。本発明の好ましい方法によれば、先に結晶性が高いチタン酸バリウムを製造した後にカルシウムを反応させるので、斜方晶系ペロブスカイト化合物が3mol%以下のチタン酸バリウムカルシウムが製造でき、好ましくは2mol%以下、より好ましくは1mol%以下であり、特に好ましくは0mol%である。また、本発明の好ましい実施態様によれば、最大で20%程度のバリウムをカルシウムに置換させた結晶性の高いチタン酸バリウムカルシウムが製造できる。
より具体的には、本発明好ましい実施態様では、水酸化物を任意の割合で水酸化バリウムと水酸化カルシウムと酸化チタンゾルを所定比になるように配合して、任意の比率X、Yのチタン酸バリウムカルシウムを製造する。例えば、水酸化バリウム:水酸化カルシウム:酸化チタン=99モル:1モル:100モル投入することにより、Ba0.99Ca0.01TiO粉末が製造でき、水酸化バリウム:水酸化カルシウム:酸化チタン=90モル:10モル:100モル投入することにより、Ba0.9Ca0.1TiO粉末が製造できる。
より好ましくは、水酸化バリウム:水酸化カルシウム:酸化チタン=99.0モル:1.0モル:100.0モル投入することにより、Ba0.990Ca0.010TiO3.000粉末が製造でき、水酸化バリウム:水酸化カルシウム:酸化チタン=90.0モル:10.0モル:100.0モル投入することにより、Ba0.900Ca0.100TiO3.000粉末が製造できる。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムの製造方法においては、塩基性化合物の存在するアルカリ性溶液を使用することが好ましい。理由は定かではないが、アルカリ性が高いほどバリウムイオンとカルシウムイオンが酸化チタンと反応しやすくなるためと思われる。溶液のpHは10以上、好ましくは13以上、特に好ましくは14以上である。塩基性化合物の投入量の上限は、その塩基性化合物の水に対する飽和溶解度となる。
また本発明の好ましい実施態様では、塩基性化合物の存在するpH10以上のアルカリ性溶液中において、バリウムイオン残量が投入量の100分の1以下になるまで、好ましくは1000分の1以下になるまで酸化チタンと反応させてチタン酸バリウムを合成する。また、水酸化カルシウムを投入した後、カルシウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで、好ましくは1000分の1以下になるまで反応させてチタン酸バリウムカルシウムを製造する。これにより、原料の水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化チタンの含有量が100分の1モル未満、好ましくは1000分1モル未満であるチタン酸バリウムカルシウムを製造できる。換言すれば、X,Yの値を100分の1オーダー、好ましくは1000分の1オーダーに制御したチタン酸バリウムカルシウムを製造できる。
なお、反応後のバリウムイオン、カルシウム量は反応液の固体分を除去した後、反応液中の各イオン量をICP発光法や原子吸光法などで定量して求めることができる。
本発明では上述のように、反応後の液中の各イオンの合計濃度が投入量の100分の1以下になるまで、好ましくは1000分の1以下になるまで反応させる。好ましくは2000分の1以下、より好ましくは5000分の1以下、特に好ましくは10000分の1以下まで反応させる。このことにより、チタン酸バリウムカルシウムへの反応率を高め、未反応の水酸化物、酸化チタンなどの原料を低減し、高純度化し、結晶性を高める。反応後の合計濃度の減少率は、下記式(3)より求めることができる。
Figure 2006089368
また、上記の合成反応は、加熱、撹拌して行うのが最も工業的である。特に機械的に撹拌すると、原料同士が混合され好適である。また、反応溶液はアルカリ性のため、空気中のCOを吸収しやすい。そのため、反応液が空気と接触しないように、密封もしくは不活性ガスなどを吹き込みながら、反応を行うのが好ましい。反応溶液にCOが吸収されると、反応液中には炭酸基として含まれることになる。この炭酸基(炭酸種として、CO、HCO、HCO 、及びCO 2−を含む)は、水酸化バリウムや水酸化カルシウムと反応して安定な炭酸バリウムと炭酸カルシウムを生成する。炭酸バリウムや炭酸カルシウムは、酸化チタンと反応せずに、チタン酸バリウムカルシウム中に、不純物として残存してしまう傾向がある。したがって、反応溶液中の炭酸基の濃度(CO換算値。以下、特に断りのない限り同様である。)を制御することが好ましい。炭酸基の濃度を制御することにより、純度の高いチタン酸バリウムカルシウムを安定に製造できる。
反応溶液中の好ましいCO換算濃度は、0〜500質量ppmであり、好ましくは0〜200質量ppmであり、より好ましくは0〜100質量ppmである。反応液中の炭酸基の濃度を減少するためには、塩基性化合物を溶解する前の水を製造直前に加熱処理して脱炭酸するのが好ましい。
また、チタン酸バリウムカルシウムの結晶性を高めるには、反応温度をできるだけ高くするのが望ましい。反応温度を高くするには、100℃〜溶液の臨界温度までの水熱反応が可能であるが、このためには、オートクレーブ等の安全に配慮した設備を必要とする。
従って、95℃以上に煮沸し、温度を保持して行うのが好ましい。
水酸化バリウムと酸化チタンの反応時間は、通常、2時間以上であり、好ましくは3時間以上であり、より好ましくは4時間以上である。また、水酸化カルシウム投入後の反応時間は、通常、2時間以上であり、好ましくは4時間以上であり、より好ましくは6時間以上である。
チタン酸バリウムカルシウムの電気特性に悪影響を与える不純物としては、微量な金属イオンや陰イオンなどの成分が挙げられる。これら不純物を除去するためには、反応終了後のスラリーを電気透析、イオン交換、水洗、酸洗、浸透膜などで処理するなど種々の方法がある。しかしながら、これらの方法では、不純物イオンと同時にチタン酸バリウムカルシウムに含まれるバリウム等も同時にイオン化してスラリー中に一部溶解する場合があるため、所望の比率でバリウム及びカルシウムを固溶させるのが難しくなるだけでなく、結晶に欠陥が生じたりして、結晶性が低下する場合があるので注意を要する。また、反応液がアルカリ性のため、これらの処理中に空気中の二酸化炭素が混入しやすい。そのため、チタン酸バリウムカルシウムに含まれる炭酸塩が多くなる場合がある。
以上のことから、不純物の少ない原料を選定するとともに、合成反応および焼成における不純物の混入防止を行うことが好ましい。それに加えて、合成反応の終了後に、大気圧下または減圧下において、室温〜焼成可能温度の温度範囲で、不純物を蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体として除去するのが好ましい。このとき、アルカリ溶液中に含まれる塩基性化合物を同時に分解して気体として除去することが好ましい。
焼成は、一般にチタン含有複合酸化物の結晶性を向上させるために行われるが、一方では、焼成によって、不純物を蒸発、昇華、及び/または熱分解して気体として除去することができる。この方法により除去できる不純物としては、カーボン数の低い有機アミン、アンモニア塩の水酸化物などの有機塩基、及び原料中に含まれる不純物としての微量の有機物、炭酸塩などが挙げられる。通常、焼成は350〜1200℃の焼成可能温度で行われる。焼成雰囲気は特に制限はなく、通常、大気中もしくは減圧中で行われる。
尚、合成反応終了後に、スラリーの固液分離を行ってから焼成を行うのが、焼成での熱エネルギーの低減や結晶性の向上の観点から好ましい。固液分離には、粉末の沈降、濃縮、ろ過、及び/または乾燥、解砕の工程が含まれる。沈降、濃縮、ろ過により液中に溶解する不純物が除去できる。沈降速度、あるいはろ過速度を変えるために、凝集剤や分散剤を用いてもよい。該凝集剤あるいは分散剤は、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体として除去可能なものが好ましい。
乾燥工程は、水分を蒸発する工程であるが、塩基性化合物あるいは不純物の種類によっては、一部もしくは全量の不純物を、蒸発、昇華、及び/または熱分解によって除去可能である。乾燥には、減圧乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥等の方法が用いられる。乾燥は通常、室温〜350℃で、1〜24時間行われる。乾燥の雰囲気は特に制限はないが、通常大気中または不活性ガス中または減圧中で行われる。その後、適当な方法で解砕してもよい。
本発明に用いられるバリウムの水酸化物やカルシウムの水酸化物は、水酸化物であれば、無水塩でも水和物でもよく、特に限定されない。また、バリウム、カルシウムの塩を用いても、本発明のチタン酸バリウムカルシウムは製造できる。
また、本発明に用いられる酸化チタンゾルとしては、特に制限はないが、ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタンゾルが望ましい。もしくは、チタン塩を酸性溶液中で加水分解して得られた酸化チタンゾルが望ましい。
ブルーカイト型結晶を含有するものであればブルーカイト型結晶の酸化チタン単独、またはルチル型結晶やアナターゼ型結晶の酸化チタンを含んでもよい。ルチル型結晶やアナターゼ型結晶の酸化チタンを含む場合、酸化チタン中のブルーカイト型結晶の酸化チタンの割合は特に制限はないが、通常、1〜100質量%であり、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。これは、溶媒中において酸化チタン粉末が分散性に優れたものとするためには、不定形よりも結晶性であることが単粒化しやすいことから好ましく、特にブルーカイト型結晶の酸化チタンが分散性に優れているためである。この理由は明らかではないが、pH2におけるブルーカイト型結晶のゼータ電位が、ルチル型の結晶、アナターゼ型の結晶よりも高いことと関係していると考えられる。
ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粉末の製造方法は、アナターゼ型結晶の酸化チタン粉末を熱処理してブルーカイト型結晶を含む酸化チタン粉末を得る製造方法や、四塩化チタン、三塩化チタン、チタンアルコキシド、硫酸チタン等のチタン化合物の溶液を中和し、または加水分解することによって、酸化チタン粉末が分散した酸化チタンゾルとして得る液相での製造方法等がある。
製造原料にブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粉末を用いる場合は、酸化チタン粉末としてチタン塩を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルを用いることが好ましい。このような酸化チタンゾルは、粉末の粒径が小さく分散性に優れている。酸化チタンゾルの製造方法としては、例えば75〜100℃の熱水に四塩化チタンを加え、75℃以上であって溶液の沸点以下の温度で、塩素イオン濃度をコントロールしながら四塩化チタンを加水分解することにより、ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粉末をゾルとして得る方法(特開平11−43327号公報)や、75〜100℃の熱水に四塩化チタンを加え、硝酸イオン、燐酸イオンのいずれか一方または双方の存在下に、75℃以上であって溶液の沸点以下の温度で、塩素イオン、硝酸イオン及び燐酸イオンの合計の濃度をコントロールしながら四塩化チタンを加水分解することにより、ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粉末をゾルとして得る方法(国際公開第99/58451号パンフレット)が好ましい。
こうして得られたブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粉末の大きさは、1次粉末径が通常1〜100nmであり、好ましくは3〜50nmであり、より好ましくは5〜20nmである。100nmを越えると、これを原料として製造したチタン含有複合酸化物粉末の粒径が大きくなり、誘電材斜、圧電材料等の機能材料には適さない場合がある。1nm未満では、酸化チタン粉末を製造する工程での取り扱いが困難な場合がある。
チタン塩を酸性溶液中で加水分解して得られた酸化チタンゾルを用いる場合は、酸化チタンの結晶型に制限はなく、ブルーカイト型結晶相に限定されるものではない。
四塩化チタンや硫酸チタン等のチタン塩を酸性溶液中で加水分解すると、中性やアルカリ性の溶液中で行うよりも反応速度が抑制されるので粒径が単粒化し、分散性に潰れた酸化チタンゾルが得られる。また、塩素イオン、硫酸イオン等の陰イオンが、生成した酸化チタン粉末の内部に取り込まれにくいので、チタン含有複合酸化物粉末を製造した際にその粉末への陰イオンの混入を低減することができる。
一方、中性やアルカリ性の溶液中で加水分解すると、反応速度が大きくなり、初期に多くの核発生が起こることが多い。そのため、粒径は小さいが分散性が悪い酸化チタンゾルとなり、粉末が鬘状に凝集してしまう場合もある。このような酸化チタンゾルを原料として、チタン含有複合酸化物粉末を製造した場合、得られた粉末は粒径が小さくても、分散性が悪いものとなる場合がある。また、陰イオンが酸化チタン粉末の内部に混入しやすくなり、その後の工程でこれらの陰イオンを除去することが難しくなる場合がある。
チタン塩を酸性溶液中で加水分解し酸化チタンゾルを得る方法は、溶液が酸性に保持される方法であれは特に制限はないが、四塩化チタンを原料とし、還流冷却器を取り付けた反応器内で加水分解し、その際発生する塩素の逸出を抑制し、溶液を酸性に保持する方法(特開平11−43327号公報)が好ましい。
また、チタン塩の酸性溶液中の濃度は、0.01〜5mol/Lであることが好ましい。これは、濃度が5mol/Lを越えると、加水分解の反応速度が大きくなり、粒径が大きく分散性の悪い酸化チタンゾルが得られる場合があるためであり、0.01mol/L未満では、得られる酸化チタン濃度が少なくなり生産性が悪くなる場合があるためである。
酸化チタンゾルの投入方法としては、特に制限はないが、酸化チタンゾルの凝集を抑制し分散性に優れたチタン酸バリウムカルシウムを得るには、塩基性化合物の存在するアルカリ性溶液に少なくとも飽和溶解度以上のバリウムカルシウム塩投入し加熱、撹拌した反応液に、少量ずつ投入するのがよい。酸化チタンゾルを少量ずつ投入する方法としては、ポンプ等を用いて滴下する方法や液中に注入する方法などがあげられる。
本発明において反応溶液として用いられるアルカリ性溶液には塩基性化合物が含まれ、この塩基性化合物によってアルカリ性溶液のpHが10以上に保たれる。この塩基化合物は、特に制限はないが、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体となる物質が好ましい。例えば、アンモニア、水に対する溶解性の高いカーボン数の低い有機アミン、アンモニウム塩の水酸化物などの有機塩基が好ましい。
中でも、アンモニウム塩の水酸化物は、水に溶解すると乖離度が高く強い塩基として作用し、反応時に揮発することなく好適である。一方、アンモニアや水に対する溶解性の高いカーボン数の低い有機アミンは、塩基として弱く、低沸点のため使いにくい場合がある。
アンモニウム塩の水酸化物としては、工業的には、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)などが知られており、安価に入手できる。特に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドは、電子工業用に使用されており、不純物として金属イオン等が少ないものが入手できるだけでなく、135℃から140℃で熱分解し気体として除去できるので好適である。
安価な水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機化合物を用いても本発明のチタン酸バリウムカルシウム複合物粉末は製造できる。
これら塩基化合物は、特に制限はなく、これらは1種類単独で用いてもよく、2種類以上の化合物を任意の比率で混合して用いても支障はない。
このようにして製造されるチタン酸バリウムカルシウム粉末は、粒径が小さく粒径分布の狭い、分散性に優れた、結晶性が高く、電気特性に優れた、特に不純物が少ない、バリウムとカルシウムを任意の比に固溶させたものであり、誘電体磁器、焦電体磁器、圧電体磁器、薄膜状形成物に成形される。
これらの磁器、薄膜状形成物は、コンデンサの材料、センサーなどに用いられる。
また、チタン酸バリウムカルシウム粉末は、単品、あるいは添加剤、その他の材料等と混合して、水、既存の無機系バインダ、既存の有機系バインダからなる一種以上の溶剤でスラリー化あるいはペースト化して用いることも可能である。
チタン酸バリウムカルシウム粉末の電気特性は、粉末に焼結助剤等の各種添加剤を加えてディスク状に成形したもの、あるいは該粉末を含むスラリー、ペースト等に各種添加剤を加えて薄膜状に成形したもの等を、適当な条件で焼成した後、インピーダンスアナライザー等を使用して評価可能である。
チタン酸バリウムカルシウム粉末を含む充填材を、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種以上に分散させることにより高誘電率のフィルムを得ることが出来る。
チタン酸バリウムカルシウム粉末以外の充填材を含ませる場合には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化タンタルなどからなる群より1種以上を選択して使用することが可能である。
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂は特に制限されず、通常使用されている樹脂を使用することが可能であるが、熱硬化性樹脂としては例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビストリアジン樹脂等が好適である。熱可塑性樹脂としては例えばポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド等が好適である。
チタン酸バリウムカルシウム粉末を含む充填材を熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の少なくとも一種以上に均一に分散させるために、予め充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させスラリーを得るのが望ましい。
充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させスラリーを得る方法は特に限定されないが、湿式解砕の工程を含むのが望ましい。
溶剤としては特に制限されず、通常使用される溶剤であれば何でも使用可能であるが、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、メチルセルソルブ、を単独で或いは二種以上を混合して用いることが出来る。
充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させたスラリーを得るためにカップリング剤で処理することが望ましい。カップリング剤としては特に制限される物ではなく、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤があげられる。カップリング剤の親水基が、本発明のチタン酸バリウムカルシウム粉末を含む充填材表面の活性水素と反応し表面に被覆されるため、溶剤への分散性が良好になる。カップリング剤の疎水基は、その選択により樹脂への相溶性を高めることができる。例えば、樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、モノアミノ、ジアミノ、カチオニックスチリル、エポキシ、メルカプト、アニリノ、ウレイドなどのいずれかを官能基の一つに有するシランカップリング剤や、ホスファイト、アミノ、ジアミノ、エポキシ、メルカプトなどのいずれかを官能基の一つに有するチタネート系カップリング剤が好適である。樹脂としてポリイミド樹脂を用いる場合には、モノアミノ、ジアミノ、アニリノなどのいずれかを官能基の一つに有するシランカップリング剤や、モノアミノ、ジアミノなどのいずれかを官能基の一つに有するチタネート系カップリング剤が好適である。
これらのうち一種を単独で用いたり、二種以上を混合して用いたりすることができる。
カップリング材の配合量は、特に限定されず、チタン酸バリウムカルシウム粉末の一部または全部が被覆されていれば良いが、多いと未反応のまま残り悪影響を与える場合があり、少なすぎるとカップリング効果が低くなる場合もある。したがって、チタン酸バリウムカルシウム粉末を含む充填材の粒径及び比表面積、カップリング剤の種類によって、充填材が均一に分散できる配合量を選択することが好ましいが、チタン酸バリウムカルシウム粉末を含む充填材の0.05〜20質量%程度の配合量が望ましい。
カップリング剤の親水基とチタン酸バリウムカルシウム粉末を含む充填材表面の活性水素との反応を完結させるため、スラリーにしてから加熱処理する工程を含むのが望ましい。加熱温度と時間に特に制限はないが、100〜150℃で1時間から3時間加熱処理することが好ましい。また、溶剤の沸点が100℃以下のときは、加熱温度は溶剤の沸点以下とし、加熱時間をそれに応じて長くするとよい。
図1には、コンデンサの一例である積層型セラミックコンデンサの断面模式図を示す。
図1に示すように、この積層型セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極3、4が順次積層されてなる積層体5と、この積層体5の側面に取り付けられた外部電極6、7とから構成されている。内部電極3,4はその一端部がそれぞれ積層体5の側面に露出しており、各一端部が外部電極6,7にそれぞれ接続されている。
誘電体層2は、チタン酸バリウムカルシウムの粉末がバインダ等により固化成形されてなるものである。また、内部電極3,4は例えばNi、Pd、Ag等から構成される。また外部電極6,7は例えば、Ag,Cu,Ni等の焼結体にNiメッキを施したもので構成される。
図1に示すコンデンサ1は、例えば、図2に示すように、携帯電話機10の回路基板11に実装されて用いられる。
次に、上記の積層型セラミックコンデンサの製造方法の一例について説明する。
まず、チタン酸バリウムカルシウム粉末と、バインダと、分散剤と、水とを混合してスラリーを製造する。スラリーは予め真空脱気しておくことが好ましい。
次にこのスラリーをドクターブレード法などで基板に薄く塗布した後、加熱して水を蒸発させることにより、チタン酸バリウムカルシウム粉末を主成分とする誘電体層を形成する。
次に、得られた誘電体層にNi、Pd、Ag等の金属ペーストを塗布し、更に別の誘電体層を積層し、更に、内部電極となる金属ペーストを塗布する。この工程を繰り返し行うことにより、誘電体層と内部電極とが順次積層されてなる積層体が得られる。また積層体はプレスして誘電体層と内部電極とを密着させることが望ましい。
次に、積層体をコンデンサのサイズにカットしてから1000℃〜1350℃で焼成する。次に焼成後の積層体の側面に外部電極ペーストを塗布し、このペーストを600〜850℃で焼成する。最後に、外部電極の表面にNiメッキを施す。
このようにして、図1に示すような積層型セラミックコンデンサ1が得られる。
上記の積層型セラミックコンデンサ1は、本発明の好ましい実施態様である誘電率の高いチタン酸バリウムカルシウムを誘電体として用いているので、コンデンサの静電容量を高めることができる。また上記のコンデンサ1は、本発明の好ましい実施態様である粒径の小さなチタン酸バリウムカルシウムを誘電体として用いているので、誘電体層を薄くすることができ、これによりコンデンサ自体を小型にできる。また誘電体層が薄くなることで、コンデンサの静電容量をより高めることができる。
このような小型の積層型セラミックコンデンサは、電子機器類、特に携帯電話機をはじめとする携帯型機器の部品として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(誘電率測定方法)
得られたチタン酸バリウムカルシウムの誘電率は以下のようにして測定した。
チタン酸バリウムカルシウムとMgO(協和化学工業(株)製高純度酸化マグネシウム500−04R)、Y(信越化学(株)製微粉末イットリウムUU−HP)、SiO−BaO−Li(旭テクノグラス(株)製セラミックス低温焼結用硝子添加剤)をモル比で100:2:1.5:2になるように混合した。
混合粉0.3gを13mmφの金型で一軸成型した後、窒素雰囲気下において1020℃で2時間保持し焼成した。同様に、混合粉0.3gを13mmφの金型で一軸成型した後、窒素雰囲気下において、表1に示した温度で2時間保持し焼成した。
このようにして得られた焼結体のサイズを精密に測定した後に焼付け用銀電極を塗布し、大気雰囲気下において800℃で10分間焼成することにより電極を形成し単板コンデンサとした。
該コンデンサの面積、厚み、重量を測定し、焼結密度を求めた。
該コンデンサの静電容量をHEWLETT PACKARD社製LFインピーダンスアナライザー4192Aで測定し、測定周波数1kHz、測定温度―55℃から125℃での静電容量と焼結体のサイズから誘電率を算出した。
(実施例1)
四塩化チタン(住友チタニウム(株)製:純度99.9%)を0.25mol/Lの濃度で含む水溶液を用意した。この水溶液を、還流冷却器つきの反応器に投入し、塩素イオンの逸出を抑制し、かつ酸性に保ちながら、沸点付近まで加熱した。更にその温度で60分間保持して四塩化チタンを加水分解することにより、酸化チタンゾルを得た。得られた酸化チタンゾルを110℃で乾燥し、X線回折装置(理学電機(株)製X線回折装置RAD−B、ローターフレックス)で結晶型を調べたところ、ブルーカイト型結晶の酸化チタンであることがわかった。
次に、還流冷却管付き反応器に、窒素気流下で、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの20質量%水溶液(セイケム昭和(株)製、炭酸基濃度60ppm以下)450gと、水酸化バリウム8水和物119.89gを投入し、pH14とした水溶液を撹拌しながら煮沸した。次に、前記酸化チタンゾルを電気透析装置により塩素イオンを500ppmになるまで除去した後、沈降濃縮して得た酸化チタン濃度15質量%のゾル213.1gを、反応器に毎分7gの速度で滴下した。そのまま撹拌しながら煮沸を4時間維持した。反応液中の一部をろ過し、ろ液中のバリウムをICP発光法で測定したところ、バリウムイオンは2ppmであり、バリウムイオンは投入量の1000分の1以下まで反応していた。
次に、反応液に水酸化カルシウム(和光純薬工業(株)製:試薬特級)1.48gを投入し、そのまま撹拌しながら煮沸を6時間維持した。反応液中の一部からカルシウムイオンを抽出してカルシウムをICP発光法で測定したところ、カルシウムイオンは3ppmであり、カルシウムイオンは投入量の1000分の1以下まで反応していた。
その後、反応液をろ過して得られた固形分を、300℃で5時間乾燥して乾燥粉末とした。反応に用いた酸化チタン量と水酸化バリウムと水酸化カルシウム量から算出される理論収量に対する実収量の割合は99.9%であった。
乾燥粉末を乳鉢で解砕し、BET法にて粉末の比表面積を測定したところ、粉末の比表面積は48m/gであった。
この粉末を前述のX線回折装置により評価した。そのときのX線回析スペクトルを図3に示す。図3に示すように、斜方晶系ペロブスカイト化合物の回折ピークはみられず、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%以下であった。
また、X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末はバリウムとカルシウムが固溶したBa0.950Ca0.050TiO粉末であることが判明した。a軸長の長さとc軸長の長さより求めたyは1.0045であり、(1)式を満たしていた。
次に、粉末形状を走査型電子顕微鏡で拡大観察した。結果を図4に示す。
さらに、得られた試料を用い透過型電子顕微鏡(日立製作所,H−9000UHR)で観察した。EDXで元素分析をしたところ、図5に示すように、粉末に均一にバリウムとカルシウムが固溶していることがわかった。
更に、粉末に含まれる炭酸基の量については赤外分光分析装置(BIORAD社製FTS6000)を使用して定量した。炭酸基が全て炭酸バリウム、炭酸カルシウムであると仮定すると約1質量%に相当する量の炭酸基が検出された。なお、結晶格子内の水酸基に対応する3500cm−1付近の急峻な吸収ピークは現れなかった。
(実施例2)
実施例1で得られた粉末を、電気炉(株式会社デンケン製KDFP−90)に投入して焼成を行った。焼成条件は、毎分20℃で昇温し、950℃で2時間保持し、その後自然冷却する条件とした。このようにして実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末を得た。
実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末の比表面積をBET法により測定したところ、比表面積は6.8m/gであった。
また、熱処理後のチタン酸バリウムカルシウム粉末のX線回析スペクトルを図6に示す。図6に示すように斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークはみられず、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%以下であった。また、y(c/a)は1.0081であり、(1)式を満たしてした。
次に、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末について、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製)を用いて斜方晶系と正方晶径の相転移点を測定した。測定は、−40℃〜200℃までを10℃/分の速度で昇温し、200℃で10分維持した後、−40℃までを10℃/分の速度で降温させる条件とした。その結果、斜方晶系と正方晶径の相転移点は、−16℃であった。
また、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末について、ブッカー・エイエックス・エス(株)製:DSC320SAを用い、室温から100℃までを10℃/分の速度で昇温し、100℃で10分間保持し、その後、−100℃まで10℃/分で降温し、さらに150℃まで10℃/分で昇温した。この場合も、斜方晶系と正方晶径の相転移点は、−16℃であった。
次に、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末について、走査型電子顕微鏡で拡大観察した。SEM写真を図7に示す。
図7に示す写真を解析してチタン酸バリウムカルシウム粉末の面積を求め、球形換算した体積を求めた。同様にしてチタン酸バリウムカルシウム粉末個の体積を求め、粒径分布を測定した。画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をD2、95%となる粒径をD3、最大の粒径をD4としたときに、D2/D1は0.6であり、D3/D1は1.6であり、D4/D1は1.8であった。
さらに、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末を透過型電子顕微鏡で観察した。
EDXで元素分析をしたところ、図8に示すように、粉末に均一にバリウムとカルシウムが固溶していることがわかった。
また、図9に示すように、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末を、透過型電子顕微鏡により倍率25万倍で観察したが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
更に、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末は、電子線回析像より単結晶であることがわかった。
誘電率の測定結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1で得られた粉末を、1000℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、実施例3のチタン酸バリウムカルシウムを得た。
実施例3のチタン酸バリウムカルシウム粉末の比表面積は5.1m/gであった。また、yは1.0093であり、(1)式を満たしていた。更に、画像解析法で求めたD2/D1は0.6であり、D3/D1は1.7であり、D3/D1は1.8であった。
誘電率の測定結果を表1に示した。
(実施例4)
水酸化バリウム8水和物の投入量を107.27g、水酸化カルシウムの投入量を4.45g、とした以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例4のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
得られた実施例4のチタン酸バリウムカルシウム粉末の比表面積は49m/gであった。また、そのX線回折スペクトルには、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられず、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%以下であった。
更に、X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉体はバリウムとカルシウムが固溶したBa0.850Ca0.150TiO粉末であり、またyは1.0048であり(2)式を満たしていた。
更に、実施例4の粉末について、透過型電子顕微鏡により倍率25万倍で観察したが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
(実施例5)
実施例4で得られた粉末を、1100℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、実施例5のチタン酸バリウムカルシウム粉末を得た。
得られた実施例5の粉末の比表面積は5m/gであった。また、そのX線回折スペクトルには、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられず、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%以下であった。更に、yは1.0092であり、(1)式を満たしていた。更にまた、画像解析法で求めたD2/D1は0.6であり、D3/D1は1.8であり、D4/D1は1.9であった。また、透過型電子顕微鏡による観察を25万倍で行ったが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
誘電率の測定結果を表1に示した。
(実施例6)
オートクレーブ用反応器を用い、反応温度を110℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例6のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
得られた実施例6のチタン酸バリウムカルシウム粉末の非表面積は43m/gであった。また、そのX線回折スペクトルには、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられず、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%以下であった。
更に、X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉体はバリウムとカルシウムが固溶したBa0.950Ca0.050TiO粉末であり、またyは1.0038であり(2)式を満たしていた。
更に、実施例6の粉末について、透過型電子顕微鏡により倍率25万倍で観察したが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
(実施例7)
実施例6で得られた粉末を、880℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、実施例7のチタン酸バリウムカルシウムを得た。
得られた実施例7の粉末の比表面積は10m/gであった。また、そのX線回折スペクトルには、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられず、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%以下であった。更に、yは1.0067であり、(2)式を満たしていた。更にまた、画像解析法で求めたD2/D1は0.8であり、D3/D1は1.5であり、D4/D1は1.6であった。また、透過型電子顕微鏡による観察を25万倍で行ったが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
誘電率の測定結果を表1に示した。
(比較例1)
還流冷却管付き反応器に、窒素気流下で、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの20質量%水溶液(セイケム昭和(株)製、炭酸基濃度60ppm以下)を450gと、水酸化バリウム8水和物を119.89gと、水酸化カルシウム8水和物を1.48gとを投入し、pH14とした水溶液を撹拌しながら煮沸した。次に、実施例1と同様にして酸化チタンゾルを調製し、このゾルを電気透析装置により塩素イオンが500ppmになるまで除去した後、沈降濃縮して得た酸化チタン濃度15質量%のゾル213gを、反応器に毎分7gの速度で滴下した。そのまま撹拌しながら煮沸を4時間維持した。反応液中の一部をろ過し、ろ液中のバリウムをICP発光法で測定したところ、バリウムイオンは2ppmであり、バリウムイオンは投入量の1000分の1以下まで反応していた。
この後、上記以外の操作は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
得られた粉末の比表面積は38m/gであった。また、そのX線回折スペクトル図を図10及び図11に示した。図11は図10の拡大図である。図11において、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークを○印で示している。このように比較例1のチタン酸バリウムカルシウムには、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられた。これにより斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は、3モル%より大きいことが判明した。
(比較例2)
比較例1で得られた粉末を、1000℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、比較例2のチタン酸バリウムカルシウムを得た。
得られた粉末の比表面積は5.1m/gであった。そのX線回折スペクトル図を図12及び図13に示した。図13は図12の拡大図である。図13において、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークを○印で示している。このように比較例2のチタン酸バリウムカルシウムにも斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられた。これにより斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%より大きいことが判明した。またyは1.0077であり、(1)式を満たしていなかった。また、斜方晶系と正方晶径の相転移点の相転移点を測定したところ、−15℃であった。更に、画像解析法で求めたD2/D1は0.4であり、D3/D1は2.0であり、D4/D1は2.5であった。
誘電率の測定結果を表1に示した。
(比較例3)
水酸化バリウム8水和物の投入量を107.27g、水酸化カルシウムの投入量を4.45g、とした以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例3のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
得られた粉末の比表面積は38m/gであった。そのX線回折スペクトルには、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられた。これにより斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は、3モル%より大きいことが判明した。
(比較例4)
比較例3で得られた粉末を、1020℃で2時間保持した以外は実施例2と同様の操作で焼成することにより、比較例4のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
得られた粉末の比表面積は5.3m/gであった。また、そのX線回折スペクトルには、斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークがみられ、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率が3モル%より大きいことが判明した。また、yは1.0081であり、(1)式を満たしていなかった。更に、画像解析法で求めたD2/D1は0.3であり、D3/D1は2.2であり、D4/D1は2.8であった。
誘電率の測定結果を表1に示した。
Figure 2006089368
温度特性は、EIA規格のX7Rを満たすものは○、満たさないものは×と記した。
* は、コンデンサーを製造する際の、チタン酸バリウムとMgO(協和化学工業(株)製高純度酸化マグネシウム500−04R)、Y(信越化学(株)製微粉末イットリウムUU−HP)、SiO−BaO−Li(旭テクノグラス(株)製セラミックス低温焼結用硝子添加剤)をモル比で100:0.5:1.5:2になるようにした。
単板コンデンサで誘電率評価した結果を表1に示した。
実施例2,3,5,7の本発明のチタン酸バリウムカルシウムは、焼結密度が高く、その時の温度特性はEIA規格のX7Rを満たした。
比較例2,4のチタン酸バリウムカルシウムは、焼結密度が低いため、焼成温度があげられない。その結果、EIA規格のX7Rを満たす誘電率は低くなった。
本発明の好ましい実施態様である積層型セラミックコンデンサの一例を示す断面模式図である。 図1の積層型セラミックコンデンサを備えた携帯電話機の内部構造の一例を示す分解図である。 実施例1のBa0.950Ca0.050TiO粉末のX線回折スペクトル図の一例である。 実施例1のBa0.950Ca0.050TiO粉末の走査型電子顕微鏡写真の一例である。 実施例1のBa0.950Ca0.050TiO粉末の透過型電子顕微鏡写真とEDXによる元素分析図の一例である。 実施例2のBa0.950Ca0.050TiO粉末のX線回折スペクトル図の一例である。 実施例2のBa0.950Ca0.050TiO粉末の走査型電子顕微鏡写真の一例である。 実施例2のBa0.950Ca0.050TiO粉末の透過型電子顕微鏡写真とEDXによる元素分析図の一例である。 実施例2のBa0.950Ca0.050TiO粉末を25万倍で観察した透過型電子顕微鏡写真の一例である。 比較例1のBa0.950Ca0.050TiO粉末のX線回折スペクトル図の一例である。 図10を拡大したX線回折スペクトル図の一例である。 比較例2のBa0.950Ca0.050TiO粉末のX線回折スペクトル図の一例である。 図12を拡大したX線回折スペクトル図の一例である。
符号の説明
1…積層型セラミックコンデンサ(コンデンサ)、2…誘電体層

Claims (30)

  1. (Ba1−XCaTiO(ただし0<X<0.2であり、0.98≦Y≦1.02である)の組成式で表され、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率が3mol%以下(0mol%を含む)であり、比表面積Dが1m/g以上100m/g以下の範囲であることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウム。
  2. リートベルト法により算出された結晶格子のa軸長とc軸長との比(c/a)をyとしたとき、前記yと前記比表面積Dとの関係が下記式(1)または下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
    y≧1.0095−8.8×10−6×D(ただし1≦D≦9.7のとき) (1)
    y≧1.003(ただし9.7<D≦100のとき) (2)
  3. チタン酸バリウムカルシウムが単結晶粒子を80%以上含んでいることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
  4. 粒子内に1nm以上の空孔が存在しない粒子が80%以上含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
  5. 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をD2としたときに、D2/D1が0.5〜1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
  6. 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して95%となる粒径をD3、最大の粒径をD4としたときに、D3/D1が1〜1.8の範囲であり、D4/D1が1〜2の範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
  7. 比表面積Dが5m/g以上100m/g以下の粉末であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
  8. 前記組成式におけるXが、0.05≦X<0.2であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
  9. 塩基性化合物を含むpH10以上のアルカリ性溶液中に、水酸化バリウムと酸化チタンとを投入してこれらを反応させることによりチタン酸バリウムを合成する工程と、
    次いで、水酸化カルシウムを投入して反応させることによりチタン酸バリウムカルシウムを合成する工程と、
    次いで、前記塩基性化合物を気化させて除去する工程と、を備えていることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  10. 水酸化バリウムと水酸化カルシウムのモル比を1:0〜0.8:0.2の範囲にするとともに、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムの合計モル量に対して酸化チタン量を0.98〜1.02倍とし、アルカリ性溶液中でこれら水酸化バリウムと水酸化カルシウムと酸化チタンを反応させてチタン酸バリウムカルシウムを製造することを特徴とする請求項9に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  11. 前記のチタン酸バリウムの合成工程において、前記アルカリ性溶液中のバリウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させるとともに、
    前記のチタン酸バリウムカルシウムの合成工程において、カルシウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  12. 前記の塩基性化合物の除去工程後に、350℃以上1200℃以下の範囲で熱処理を行なうことを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  13. チタン酸バリウム合成からチタン酸ンバリウムカルシウム合成までの工程において、反応溶液中の炭酸基の濃度を、CO換算で0ppm以上500ppm以下の範囲に制御することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  14. 前記酸化チタンがブルーカイト型結晶を含有するものであることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  15. 前記酸化チタンが、チタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルであることを特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  16. 前記塩基性化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、熱分解のうちの少なくとも一種以上の手段で気化する物質であることを特徴とする請求項9乃至請求項15のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  17. 前記塩基性化合物が、有機塩基化合物であることを特徴とする請求項9乃至請求項16のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  18. 前記塩基性化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドであることを特徴とする請求項9乃至請求項17のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
  19. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電材料。
  20. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするペースト。
  21. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするスラリー。
  22. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする薄膜状形成物。
  23. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする誘電体磁器。
  24. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする焦電体磁器。
  25. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする圧電体磁器。
  26. 請求項23に記載の誘電体磁器を含むことを特徴とするコンデンサ。
  27. 請求項22乃至請求項26のいずれかに記載の薄膜状形成物、磁器及びコンデンサからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする電子機器。
  28. 請求項22乃至請求項25のいずれかに記載の薄膜状形成物または磁器を一種または二種以上含むことを特徴とするセンサー。
  29. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電体フィルム。
  30. 請求項29に記載の誘電体フィルムを用いて製造されたことを特徴とするコンデンサ。

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