JP2006089368A - チタン酸バリウムカルシウムおよびその製造方法ならびにコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (Ba1−XCaX)YTiO3(ただし0<X<0.2であり、0.98≦Y≦1.02である)の組成式で表され、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率が3mol%以下であり、比表面積Dが1m2/g以上100m2/g以下の範囲であることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウムを採用する。
【選択図】 なし
Description
しかし、一般に、チタン酸バリウムカルシウムの粒径が小さくなると、c/a比が小さくなって立方晶に近づくが、c/a比が低くなると強誘電性が低下するため、誘電体材料として用いたときの静電容量が小さくなる。そのため、粒子が小さくても、高いc/a比を示すチタン酸バリウムカルシウムが望まれている。また、高いc/a比を示すには、高結晶であることが必要である。
また、チタン酸バリウムカルシウム粉末を溶剤と混合してスラリー化またはペースト化する際に、粉末が凝集したりすると、焼結密度が低下し、耐電圧、マイグレーションなどの電気特性が低下するという問題がある。さらに、チタン酸バリウムカルシウムに含まれる不純物も電気特性に悪影響を与える。
したがって、電子部品の小型化、軽量化、高性能化に対応するには、粒径が小さく、粒度分布が狭く、分散性に優れ、高純度のチタン酸バリウムカルシウムの開発が必要となる。
高純度で、高結晶のチタン酸バリウム粒子の製造方法としては、フラックス法がある。
しかしこの方法では、製造コストが非常に高いばかりでなく、粒子にするには粉砕するしかなく、粒径分布が広く、分散性のよくない粒子になる。そのため、粒子を材料とする電子材料には不向きである。
また、特許文献4に記載の方法は、非常に煩雑な工程で、高価なチタンアルコキサイドを必要とする。
更に、特許文献5に記載の方法では、炭酸カルシウムと酸化チタンとチタン酸バリウムの1000℃以上の熱処理によるため、0.2μm以下の微粒なチタン酸バリウムカルシウムを得ることができない。
[1] (Ba1−XCaX)YTiO3(ただし0<X<0.2であり、0.98≦Y≦1.02である)の組成式で表され、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率が3mol%以下(0mol%を含む)であり、比表面積Dが1m2/g以上100m2/g以下の範囲であることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウム。
[2] リートベルト法により算出された結晶格子のa軸長とc軸長との比(c/a)をyとしたとき、前記yと前記比表面積Dとの関係が下記式(1)または下記式(2)を満たすことを特徴とする[1]に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
y≧1.0095−8.8×10−6×D3(ただし1≦D≦9.7のとき) (1)
y≧1.003(ただし9.7<D≦100のとき) (2)
[3] チタン酸バリウムカルシウムが単結晶粒子を80%以上含んでいることを特徴とする[1]または[2]に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[4] 粒子内に1nm以上の空孔が存在しない粒子が80%以上含まれていることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[5] 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をD2としたときに、D2/D1が0.5〜1の範囲であることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[6] 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して95%となる粒径をD3、最大の粒径をD4としたときに、D3/D1が1〜1.8の範囲であり、D4/D1が1〜2の範囲であることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[7] 比表面積Dが5m2/g以上100m2/g以下の粉末であることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[8] 前記組成式におけるXが、0.05≦X<0.2であることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
[9] 塩基性化合物を含むpH10以上のアルカリ性溶液中に、水酸化バリウムと酸化チタンとを投入してこれらを反応させることによりチタン酸バリウムを合成する工程と、次いで、水酸化カルシウムを投入して反応させることによりチタン酸バリウムカルシウムを合成する工程と、次いで、前記塩基性化合物を気化させて除去する工程と、を備えていることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[10] 水酸化バリウムと水酸化カルシウムのモル比を1:0〜0.8:0.2の範囲にするとともに、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムの合計モル量に対して酸化チタン量を0.98〜1.02倍とし、アルカリ性溶液中でこれら水酸化バリウムと水酸化カルシウムと酸化チタンを反応させてチタン酸バリウムカルシウムを製造することを特徴とする[9]に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[11] 前記のチタン酸バリウムの合成工程において、前記アルカリ性溶液中のバリウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させるとともに、前記のチタン酸バリウムカルシウムの合成工程において、カルシウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させることを特徴とする[9]または[10]に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[12] 前記の塩基性化合物の除去工程後に、350℃以上1200℃以下の範囲で熱処理を行なうことを特徴とする[9]乃至[11]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[13] チタン酸バリウム合成からチタン酸ンバリウムカルシウム合成までの工程において、反応溶液中の炭酸基の濃度を、CO2換算で0ppm以上500ppm以下の範囲に制御することを特徴とする[9]乃至[12]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[14] 前記酸化チタンがブルーカイト型結晶を含有するものであることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[15] 前記酸化チタンが、チタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルであることを特徴とする[9]乃至[14]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[16] 前記塩基性化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、熱分解のうちの少なくとも一種以上の手段で気化する物質であることを特徴とする[9]乃至[15]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[17] 前記塩基性化合物が、有機塩基化合物であることを特徴とする[9]乃至[16]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[18] 前記塩基性化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドであることを特徴とする[9]乃至[17]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
[19] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電材料。
[20] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするペースト。
[21] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするスラリー。
[22] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする薄膜状形成物。
[23] [1]乃至[8]のいずれかにに記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする誘電体磁器。
[24] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする焦電体磁器。
[25] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする圧電体磁器。
[26] [23]に記載の誘電体磁器を含むことを特徴とするコンデンサ。
[27] [22]乃至[26]のいずれかに記載の薄膜状形成物、磁器及びコンデンサからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする電子機器。
[28] [22]乃至[25]のいずれかに記載の薄膜状形成物または磁器を一種または二種以上含むことを特徴とするセンサー。
[29] [1]乃至[8]のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電体フィルム。
[30] [29]に記載の誘電体フィルムを用いて製造されたことを特徴とするコンデンサ。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、一般式(Ba(1−X)CaX)YTiO3(0<X<0.2、0.98≦Y≦1.02)で表される固溶型のペロブスカイト型化合物である。ここで「固溶」とは、単なる「混合」ではなく、一定の比率で原子が固溶した状態をいう。本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムの結晶構造は、X線回折測定により知ることができ、またチタン酸バリウムカルシウム中のバリウムとカルシウムの比率は、X線回折図のピーク位置から求めることができる。
y≧1.003(ただし9.7<D≦100のとき) (2)
更に、本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、原料の水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化チタンが1000分1モル未満程度含まれていてもよい。
また、本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、粒子内に1nm以上の空孔が存在しない粒子が粒子全体の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは100%である。粒子内に水酸基あるいは水酸基が脱離したことに起因する欠陥が存在しないか、あるいは存在していたとしてもその大きさが1nm未満であることが望ましい。
本発明の好ましい実施態様におけるチタン酸バリウムカルシウムは、粒内に1nm以上の空孔が存在しない粉末が粉末全体の80%以上を占めており、粒子内に水酸基あるいは水酸基が脱離したことに起因する欠陥がほとんど存在しないため、誘電率が高くなる。
本発明の好ましい実施態様におけるD2/D1は、0.5以上1以下であり、好ましくは0.6以上1以下である。
また本発明の好ましい実施態様におけるD3/D1は、1以上1.8以下であり、好ましくは1以上1.7以下である。
さらに、また本発明の好ましい実施態様におけるD4/D1は、1以上2以下であり、好ましくは1以上1.9以下である。
本発明のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法は、水酸化バリウムと水酸化カルシウムのモル比を1:0〜0.8:0.2の任意の範囲とし、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムの合計のモル数に対する酸化チタンの量を0.98〜1.02倍とし、これらを塩基性化合物の存在するpH10以上のアルカリ性溶液中で反応させることが好ましい。このとき、最初に前記アルカリ性溶液中で、水酸化バリウムと酸化チタンと反応させてチタン酸バリウムを合成する。そして次に、水酸化カルシウムを投入して更に反応させてチタン酸バリウムカルシウムを製造する。
より好ましくは、水酸化バリウム:水酸化カルシウム:酸化チタン=99.0モル:1.0モル:100.0モル投入することにより、Ba0.990Ca0.010TiO3.000粉末が製造でき、水酸化バリウム:水酸化カルシウム:酸化チタン=90.0モル:10.0モル:100.0モル投入することにより、Ba0.900Ca0.100TiO3.000粉末が製造できる。
なお、反応後のバリウムイオン、カルシウム量は反応液の固体分を除去した後、反応液中の各イオン量をICP発光法や原子吸光法などで定量して求めることができる。
従って、95℃以上に煮沸し、温度を保持して行うのが好ましい。
また、チタン塩の酸性溶液中の濃度は、0.01〜5mol/Lであることが好ましい。これは、濃度が5mol/Lを越えると、加水分解の反応速度が大きくなり、粒径が大きく分散性の悪い酸化チタンゾルが得られる場合があるためであり、0.01mol/L未満では、得られる酸化チタン濃度が少なくなり生産性が悪くなる場合があるためである。
これら塩基化合物は、特に制限はなく、これらは1種類単独で用いてもよく、2種類以上の化合物を任意の比率で混合して用いても支障はない。
これらの磁器、薄膜状形成物は、コンデンサの材料、センサーなどに用いられる。
これらのうち一種を単独で用いたり、二種以上を混合して用いたりすることができる。
図1に示すように、この積層型セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極3、4が順次積層されてなる積層体5と、この積層体5の側面に取り付けられた外部電極6、7とから構成されている。内部電極3,4はその一端部がそれぞれ積層体5の側面に露出しており、各一端部が外部電極6,7にそれぞれ接続されている。
誘電体層2は、チタン酸バリウムカルシウムの粉末がバインダ等により固化成形されてなるものである。また、内部電極3,4は例えばNi、Pd、Ag等から構成される。また外部電極6,7は例えば、Ag,Cu,Ni等の焼結体にNiメッキを施したもので構成される。
図1に示すコンデンサ1は、例えば、図2に示すように、携帯電話機10の回路基板11に実装されて用いられる。
まず、チタン酸バリウムカルシウム粉末と、バインダと、分散剤と、水とを混合してスラリーを製造する。スラリーは予め真空脱気しておくことが好ましい。
次にこのスラリーをドクターブレード法などで基板に薄く塗布した後、加熱して水を蒸発させることにより、チタン酸バリウムカルシウム粉末を主成分とする誘電体層を形成する。
次に、得られた誘電体層にNi、Pd、Ag等の金属ペーストを塗布し、更に別の誘電体層を積層し、更に、内部電極となる金属ペーストを塗布する。この工程を繰り返し行うことにより、誘電体層と内部電極とが順次積層されてなる積層体が得られる。また積層体はプレスして誘電体層と内部電極とを密着させることが望ましい。
次に、積層体をコンデンサのサイズにカットしてから1000℃〜1350℃で焼成する。次に焼成後の積層体の側面に外部電極ペーストを塗布し、このペーストを600〜850℃で焼成する。最後に、外部電極の表面にNiメッキを施す。
このようにして、図1に示すような積層型セラミックコンデンサ1が得られる。
このような小型の積層型セラミックコンデンサは、電子機器類、特に携帯電話機をはじめとする携帯型機器の部品として好適に用いることができる。
(誘電率測定方法)
得られたチタン酸バリウムカルシウムの誘電率は以下のようにして測定した。
チタン酸バリウムカルシウムとMgO(協和化学工業(株)製高純度酸化マグネシウム500−04R)、Y2O3(信越化学(株)製微粉末イットリウムUU−HP)、SiO2−BaO−Li2O3(旭テクノグラス(株)製セラミックス低温焼結用硝子添加剤)をモル比で100:2:1.5:2になるように混合した。
混合粉0.3gを13mmφの金型で一軸成型した後、窒素雰囲気下において1020℃で2時間保持し焼成した。同様に、混合粉0.3gを13mmφの金型で一軸成型した後、窒素雰囲気下において、表1に示した温度で2時間保持し焼成した。
このようにして得られた焼結体のサイズを精密に測定した後に焼付け用銀電極を塗布し、大気雰囲気下において800℃で10分間焼成することにより電極を形成し単板コンデンサとした。
該コンデンサの面積、厚み、重量を測定し、焼結密度を求めた。
該コンデンサの静電容量をHEWLETT PACKARD社製LFインピーダンスアナライザー4192Aで測定し、測定周波数1kHz、測定温度―55℃から125℃での静電容量と焼結体のサイズから誘電率を算出した。
四塩化チタン(住友チタニウム(株)製:純度99.9%)を0.25mol/Lの濃度で含む水溶液を用意した。この水溶液を、還流冷却器つきの反応器に投入し、塩素イオンの逸出を抑制し、かつ酸性に保ちながら、沸点付近まで加熱した。更にその温度で60分間保持して四塩化チタンを加水分解することにより、酸化チタンゾルを得た。得られた酸化チタンゾルを110℃で乾燥し、X線回折装置(理学電機(株)製X線回折装置RAD−B、ローターフレックス)で結晶型を調べたところ、ブルーカイト型結晶の酸化チタンであることがわかった。
また、X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末はバリウムとカルシウムが固溶したBa0.950Ca0.050TiO3粉末であることが判明した。a軸長の長さとc軸長の長さより求めたyは1.0045であり、(1)式を満たしていた。
さらに、得られた試料を用い透過型電子顕微鏡(日立製作所,H−9000UHR)で観察した。EDXで元素分析をしたところ、図5に示すように、粉末に均一にバリウムとカルシウムが固溶していることがわかった。
実施例1で得られた粉末を、電気炉(株式会社デンケン製KDFP−90)に投入して焼成を行った。焼成条件は、毎分20℃で昇温し、950℃で2時間保持し、その後自然冷却する条件とした。このようにして実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末を得た。
また、熱処理後のチタン酸バリウムカルシウム粉末のX線回析スペクトルを図6に示す。図6に示すように斜方晶系ペロブスカイト化合物のピークはみられず、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率は3モル%以下であった。また、y(c/a)は1.0081であり、(1)式を満たしてした。
また、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末について、ブッカー・エイエックス・エス(株)製:DSC320SAを用い、室温から100℃までを10℃/分の速度で昇温し、100℃で10分間保持し、その後、−100℃まで10℃/分で降温し、さらに150℃まで10℃/分で昇温した。この場合も、斜方晶系と正方晶径の相転移点は、−16℃であった。
図7に示す写真を解析してチタン酸バリウムカルシウム粉末の面積を求め、球形換算した体積を求めた。同様にしてチタン酸バリウムカルシウム粉末個の体積を求め、粒径分布を測定した。画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をD2、95%となる粒径をD3、最大の粒径をD4としたときに、D2/D1は0.6であり、D3/D1は1.6であり、D4/D1は1.8であった。
EDXで元素分析をしたところ、図8に示すように、粉末に均一にバリウムとカルシウムが固溶していることがわかった。
また、図9に示すように、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末を、透過型電子顕微鏡により倍率25万倍で観察したが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
更に、実施例2のチタン酸バリウムカルシウム粉末は、電子線回析像より単結晶であることがわかった。
誘電率の測定結果を表1に示した。
実施例1で得られた粉末を、1000℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、実施例3のチタン酸バリウムカルシウムを得た。
誘電率の測定結果を表1に示した。
水酸化バリウム8水和物の投入量を107.27g、水酸化カルシウムの投入量を4.45g、とした以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例4のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
更に、X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉体はバリウムとカルシウムが固溶したBa0.850Ca0.150TiO3粉末であり、またyは1.0048であり(2)式を満たしていた。
更に、実施例4の粉末について、透過型電子顕微鏡により倍率25万倍で観察したが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
実施例4で得られた粉末を、1100℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、実施例5のチタン酸バリウムカルシウム粉末を得た。
誘電率の測定結果を表1に示した。
オートクレーブ用反応器を用い、反応温度を110℃にした以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例6のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
更に、X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉体はバリウムとカルシウムが固溶したBa0.950Ca0.050TiO3粉末であり、またyは1.0038であり(2)式を満たしていた。
更に、実施例6の粉末について、透過型電子顕微鏡により倍率25万倍で観察したが、水酸基が脱離したことに起因する欠陥は観察されなかった。
実施例6で得られた粉末を、880℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、実施例7のチタン酸バリウムカルシウムを得た。
誘電率の測定結果を表1に示した。
還流冷却管付き反応器に、窒素気流下で、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの20質量%水溶液(セイケム昭和(株)製、炭酸基濃度60ppm以下)を450gと、水酸化バリウム8水和物を119.89gと、水酸化カルシウム8水和物を1.48gとを投入し、pH14とした水溶液を撹拌しながら煮沸した。次に、実施例1と同様にして酸化チタンゾルを調製し、このゾルを電気透析装置により塩素イオンが500ppmになるまで除去した後、沈降濃縮して得た酸化チタン濃度15質量%のゾル213gを、反応器に毎分7gの速度で滴下した。そのまま撹拌しながら煮沸を4時間維持した。反応液中の一部をろ過し、ろ液中のバリウムをICP発光法で測定したところ、バリウムイオンは2ppmであり、バリウムイオンは投入量の1000分の1以下まで反応していた。
この後、上記以外の操作は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
比較例1で得られた粉末を、1000℃で2時間保持した以外は実施例2と同様にして焼成を行うことにより、比較例2のチタン酸バリウムカルシウムを得た。
誘電率の測定結果を表1に示した。
水酸化バリウム8水和物の投入量を107.27g、水酸化カルシウムの投入量を4.45g、とした以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較例3のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
比較例3で得られた粉末を、1020℃で2時間保持した以外は実施例2と同様の操作で焼成することにより、比較例4のチタン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
誘電率の測定結果を表1に示した。
* は、コンデンサーを製造する際の、チタン酸バリウムとMgO(協和化学工業(株)製高純度酸化マグネシウム500−04R)、Y2O3(信越化学(株)製微粉末イットリウムUU−HP)、SiO2−BaO−Li2O3(旭テクノグラス(株)製セラミックス低温焼結用硝子添加剤)をモル比で100:0.5:1.5:2になるようにした。
単板コンデンサで誘電率評価した結果を表1に示した。
実施例2,3,5,7の本発明のチタン酸バリウムカルシウムは、焼結密度が高く、その時の温度特性はEIA規格のX7Rを満たした。
比較例2,4のチタン酸バリウムカルシウムは、焼結密度が低いため、焼成温度があげられない。その結果、EIA規格のX7Rを満たす誘電率は低くなった。
Claims (30)
- (Ba1−XCaX)YTiO3(ただし0<X<0.2であり、0.98≦Y≦1.02である)の組成式で表され、斜方晶系ペロブスカイト化合物の含有率が3mol%以下(0mol%を含む)であり、比表面積Dが1m2/g以上100m2/g以下の範囲であることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウム。
- リートベルト法により算出された結晶格子のa軸長とc軸長との比(c/a)をyとしたとき、前記yと前記比表面積Dとの関係が下記式(1)または下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
y≧1.0095−8.8×10−6×D3(ただし1≦D≦9.7のとき) (1)
y≧1.003(ただし9.7<D≦100のとき) (2) - チタン酸バリウムカルシウムが単結晶粒子を80%以上含んでいることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
- 粒子内に1nm以上の空孔が存在しない粒子が80%以上含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
- 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をD2としたときに、D2/D1が0.5〜1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
- 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をD1、粒径の小さいほうから積算して95%となる粒径をD3、最大の粒径をD4としたときに、D3/D1が1〜1.8の範囲であり、D4/D1が1〜2の範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウム。
- 比表面積Dが5m2/g以上100m2/g以下の粉末であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
- 前記組成式におけるXが、0.05≦X<0.2であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のチタン酸バリウムカルシウム。
- 塩基性化合物を含むpH10以上のアルカリ性溶液中に、水酸化バリウムと酸化チタンとを投入してこれらを反応させることによりチタン酸バリウムを合成する工程と、
次いで、水酸化カルシウムを投入して反応させることによりチタン酸バリウムカルシウムを合成する工程と、
次いで、前記塩基性化合物を気化させて除去する工程と、を備えていることを特徴とするチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。 - 水酸化バリウムと水酸化カルシウムのモル比を1:0〜0.8:0.2の範囲にするとともに、水酸化バリウム及び水酸化カルシウムの合計モル量に対して酸化チタン量を0.98〜1.02倍とし、アルカリ性溶液中でこれら水酸化バリウムと水酸化カルシウムと酸化チタンを反応させてチタン酸バリウムカルシウムを製造することを特徴とする請求項9に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- 前記のチタン酸バリウムの合成工程において、前記アルカリ性溶液中のバリウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させるとともに、
前記のチタン酸バリウムカルシウムの合成工程において、カルシウムイオンの残量が投入量の100分の1以下になるまで反応させることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。 - 前記の塩基性化合物の除去工程後に、350℃以上1200℃以下の範囲で熱処理を行なうことを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- チタン酸バリウム合成からチタン酸ンバリウムカルシウム合成までの工程において、反応溶液中の炭酸基の濃度を、CO2換算で0ppm以上500ppm以下の範囲に制御することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- 前記酸化チタンがブルーカイト型結晶を含有するものであることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- 前記酸化チタンが、チタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルであることを特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- 前記塩基性化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、熱分解のうちの少なくとも一種以上の手段で気化する物質であることを特徴とする請求項9乃至請求項15のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- 前記塩基性化合物が、有機塩基化合物であることを特徴とする請求項9乃至請求項16のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- 前記塩基性化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドであることを特徴とする請求項9乃至請求項17のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムの製造方法。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電材料。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするペースト。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とするスラリー。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする薄膜状形成物。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする誘電体磁器。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする焦電体磁器。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを用いて製造されたことを特徴とする圧電体磁器。
- 請求項23に記載の誘電体磁器を含むことを特徴とするコンデンサ。
- 請求項22乃至請求項26のいずれかに記載の薄膜状形成物、磁器及びコンデンサからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする電子機器。
- 請求項22乃至請求項25のいずれかに記載の薄膜状形成物または磁器を一種または二種以上含むことを特徴とするセンサー。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のチタン酸バリウムカルシウムを含むことを特徴とする誘電体フィルム。
- 請求項29に記載の誘電体フィルムを用いて製造されたことを特徴とするコンデンサ。
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