JP2006199578A - ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物およびその製造方法並びにコンデンサ - Google Patents

ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物およびその製造方法並びにコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】粒径が小さく粒径分布の狭い、分散性に優れ、結晶性が高く、電気特性に優れたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】A(Ti(1−x)(ただし0<x<1、0.98≦y≦1.02であり、AはCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つであり、BはHf、Zrのうち少なくとも一つである。)の組成式で表されることを特徴とするペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を採用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、誘電材料、圧電材料、焦電材料、積層セラミックコンデンサ、薄膜材料等の電子材料に用いられるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物及びその製造方法に関する。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は、誘電性、圧電性、焦電性などの優れた電気特性を示すため、種々の電子材料として広く用いられている。
用途としては、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粒子の高誘電性を利用して、積層セラミックスコンデンサを始めとするさまざまなキャパシタ材料、誘電体フィルタ、誘電体アンテナ、誘電体共振器、誘電体デュプレクサ、キャパシタ、フェイズシフタ、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の圧電性を利用して、積層圧電アクチュエーターなどが例示されている。
たとえば、Ba(TiZr(1−X))Oの組成式で表されるチタン酸ジルコン酸バリウムは、室温で大きな比誘電率を有するため、大容量のコンデンサ材料として利用されている。
Pb(TiZr(1−X))Oの組成式で表されるチタン酸ジルコン酸鉛は、モルフォトロビック境界で大きな圧電特性を示すため、圧電材料の主流として利用されている。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を電子材料に用いる方法としては、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粉末を溶剤と混合してスラリー化もしくはペースト化した後、成形・焼結、シート化などの方法で、薄膜形状物、磁器などとする方法がある。
最近では、電子部品の小型化、軽量化、高性能化が望まれており、その材料には、それに対応した、粒径が小さく、粒度分布が狭く、分散性に優れ、高結晶化したペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の開発が望まれている。
たとえば、積層セラミクスコンデンサを小型化、軽量化、高容量化するには、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粒径を小さくし、積層間隔を小さくし積層数を増やす必要がある。しかし、一般に、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粒径が小さくなると、比誘電率が小さくなって誘電体材料として用いたときの静電容量が小さくなる。そのため、粒子が小さくても、高い比誘電率を示すペロブスカイト型チタン含有複合酸化物が望まれている。
また、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粉末を溶剤と混合してスラリー化またはペースト化する際に、粉末が凝集したりすると、焼結密度が低下し、耐電圧、マイグレーションなどの電気特性が低下するという問題がある。さらに、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物に含まれる不純物も電気特性に悪影響を与える。
したがって、電子部品の小型化、軽量化、高性能化に対応するには、高結晶で、粒径が小さく、粒度分布が狭く、分散性に優れ、高純度のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の開発が必要となる。
従来のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法としては、次のような手法が用いられている。
高純度で、高結晶のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粒子の製造方法としては、フラックス法がある。しかしこの方法では、製造コストが非常に高いばかりでなく、粒子にするには粉砕するしかなく、粒径分布が広く、分散性のよくない粒子になる。そのため、粒子を材料とする電子材料には不向きである。
電子材料用のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を製造する方法としては、Ti、Zr、Hf、酸化物とCa、Sr、Ba、Pb、Mgの炭酸塩を原料としこれらを所定量ずつ秤量して均一に混合し、それらの粉末をボールミル等で混合した後約800℃以上の高温で反応させて製造する固相法、まず蓚酸複合塩を調製しこれを熱分解してペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粒子を得る蓚酸塩法、原料を水溶媒中で高温高圧として反応させて前駆体を得る水熱合成法、金属アルコシドを原料としそれらを加水分解して前駆体を得るアルコシキド法などが一般に知られている。たとえば、これらを用いたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を製造する方法は、特許文献1−3に開示されている。
また、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の一つであるチタン酸バリウムの製造方法として、チタン化合物の加水分解生成物と水溶性バリウムとを強アルカリ中で反応する方法(特許文献4)、酸化チタンゾルとバリウム化合物を強アルカリ水溶液中で反応させる方法(特許文献5、特許文献6)などが一般に知られており、これらの合成法の改良が盛んに行われている。
しかし上記の固相法は製造コストが低いものの、生成するペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粒径が大きくなるという問題がある。粉砕を行えば粒径は小さくなるものの、粒度分布が広くなって成形密度が向上しないおそれがある。さらに粉砕によって結晶構造に歪が生じ、小型化、高性能化に適したペロブスカイト型チタン含有複合酸化物が得られないという欠点がある。
また、上記の蓚酸塩法は固相法よりも小さな粒子が得られるものの、蓚酸に由来する炭酸基が不純物として残存する。また、内部に取り込まれた水に起因する水酸基の残留が多く、電気的特性が低下する。このように蓚酸塩法では、電気特性に優れたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粉末が得られないという問題がある。
上記の水熱合成法は、微粒のチタン酸バリウムが得られるが、内部に取り込まれた水に起因する水酸基が残留するため欠陥が多く、電気的特性に優れたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物が得られにくい。また、高温高圧条件下で行うため、専用設備が必要となり、コストが高くなるという問題がある。
上記のアルコキシド法では、水熱合成法よりも微粒のチタン酸バリウムが得られるが、内部に取り込まれた水に起因する水酸基が残留するため欠陥が多く、電気的特性に優れたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物が得られにくい。
更に、特許文献4に記載の方法では、アルカリとして水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムを用いているが、高純度のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を得るためには、反応後にそれらのアルカリ成分を除去する工程が必要となる。実際には、除去工程においてバリウムの溶解と水酸基の取り込みとが同時に起こるため、結晶性の高いペロブスカイト型チタン含有複合酸化物が得られにくい。
特開平4−114919号公報 特開2002−274937号公報 特公平7−84350号公報 特公平3−39014号公報 国際公開第00/35811号パンフレット 国際公開第03/004416号パンフレット
本発明の課題は、粒径が小さく粒径分布の狭い、分散性に優れ、結晶性が高く、電気特性に優れた、一般式A(Ti(1−x)(ただし組成比を示すx、yが0<x<1、0.98≦y≦1.02であり、AはCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一種以上の元素であり、BはHf、Zrのうち少なくとも一種以上の元素である。
)で表される、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。すなわち、
[1] A(Ti(1−x)(ただし組成比を示すx、yが0<x<1、0.98≦y≦1.02であり、AはCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一種以上の元素であり、BはHf、Zrのうち少なくとも一種以上の元素である。)の組成式で表され、比表面積が1m/g以上100m/g以下の範囲であり、式(I)で定義される一次粒子の平均粒径D1が10〜1000nmの範囲であって、D1と二次粒子の平均粒子径D2の比D2/D1が1〜10の範囲であることを特徴とするペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
D1=6/ρS・・・・(I)(式(I)中、ρは粒子の密度であり、Sは比表面積である。)[2] 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をd1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をd2、粒径の小さいほうから積算して95%となる粒径をd3、最大の粒径をd4としたときに、d2/d1が0.1〜1の範囲であり、d3/d1が1〜1.8の範囲であり、d4/d1が1〜2の範囲であることを特徴とする前項1に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
[3] アルカリ金属が100ppm以下であり、塩素が600ppm以下であることを特徴とする前項1または前項2に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
[4] 前記AがBaであり、前記BがZrであり、組成比を示すxが0.4≦x<1の範囲であることを特徴とする前項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
[5] 前記AがBaとCaからなり、前記BがZrであり、組成比を示すxが0.4≦x<1の範囲であることを特徴とする前項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
[6] 前記AがPbであり、前記BがZrであり、組成比を示すxが0.3≦x≦0.7の範囲であることを特徴とする前項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
[7] 塩基性化合物を含むアルカリ性溶液中に、Ca、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩と、酸化チタン粒子とZr,Hfのうち少なくとも一つを含む化合物とを投入してこれらを反応させる工程を備えていることを特徴とする前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[8] 前記の反応工程後に、前記塩基性化合物を気体として除去する工程を備えていることを特徴とする前項7に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[9] 前記の塩基性化合物の除去工程後に、350℃以上1500℃以下の範囲で熱処理を行なうことを特徴とする前項7乃至8のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[10] 前記酸化チタン粒子がブルーカイト型結晶を含有するものであることを特徴とする前項7乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[11] 前記酸化チタン粒子が、チタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルであることを特徴とする前項7乃至10のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[12] 前記塩基性化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、熱分解のうちの少なくとも一種以上の手段で気化する物質であることを特徴とする前項7乃至11のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[13] 前記塩基性化合物が、有機塩基化合物であることを特徴とする前項7乃至12のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[14] 前記塩基性化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドであることを特徴とする前項7乃至13のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[15] 前記ZrもしくはHf化合物が水溶性化合物であることを特徴とする前項7乃至14のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[16] 前記ZrもしくはHf化合物の水に対する溶解度がZrO換算もしくはHfO換算で0.1質量%以上であることを特徴とする前項7乃至15のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[17] 前記Zr化合物が塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムの中から選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とする前項7乃至16のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
[18] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする誘電材料。
[19] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とするペースト。
[20] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とするスラリー。
[21] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする薄膜状形成物。
[22] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする誘電体磁器。
[23] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする焦電体磁器。
[24] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする圧電体磁器。
[25] 前項22に記載の誘電体磁器を含むことを特徴とするコンデンサ。
[26] 前項21乃至25のいずれかに記載の薄膜状形成物、磁器及びコンデンサからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする電子機器。
[27] 前項21乃至24のいずれかに記載の薄膜状形成物または磁器を一種または二種以上含むことを特徴とするセンサー。
[28] 前項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする誘電体フィルム。
[29] 前項28に記載の誘電体フィルムを用いて製造されたことを特徴とするコンデンサ。
本発明は、粒径が小さく、粒径分布が狭く、結晶性が高いA(Ti(1−x)(ただし0<x<1、0.98≦y≦1.02であり、AはCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つであり、BはHf、Zrのうち少なくとも一つである。)で表される、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物及びその製造方法を提供できるという格別な効果を有している。
このようなペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粉末及び該粉末を含むスラリー、ペーストは、優れた電気的特性を発揮できる。また、これらのスラリー、ペースト用いることにより、性能に優れた磁器、薄膜、誘電体フィルム等の誘電材料、圧電材料、焦電材料等が得られる。さらに、これらを電子機器に用いることにより、電子機器の小型化、軽量化が可能となる。上記誘電体フィルムは誘電特性が優れているために、薄膜化しても優れた特性を発揮できるので、基板内コンデンサなどに応用可能である。当該コンデンサを携帯電話やデジタルカメラ、PDA、各種小型携帯機器などの電子機器に採用すれば、機器の小型化、軽量化、高性能化に極めて有効である。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は、A(Ti(1−x)(組成比を示すx、yは0<x<1、0.98≦y≦1.02)の組成式で表され、AはCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうちの少なくとも一種以上の元素であり、BはHf、Zrのうちの少なくとも一種以上の元素である固溶型のペロブスカイト型化合物である。ここで「固溶」とは、単なる「混合」ではなく、一定の比率で原子が固溶した状態をいう。本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の結晶構造は、X線回折測定により知ることができ、またペロブスカイト型チタン含有複合酸化物中のTiとBの比率(固溶比)xは、X線回折図のピーク位置から求めることができる。
粉末中のTiとBの比率(固溶比)xは0<x<1である。好ましくは0.2≦x<1、より好ましくは0.4≦x<1、更に好ましくは0.3≦x<1である。
また、Aのモル数とチタンとBのモル数の合計の比率(y)は、好ましくは0.98以上1.02以下であり、好ましくは0.995以上1.015以下であり、より好ましくは0.99以上1.01以下であり、所望の電気特性に達するように調整する。比率Yは、1に近いほど欠陥がなく結晶性が高くなり好ましい。
本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の電気特性を改善するために、別の化合物を添加して使用しても何ら支障はない。
一般に電子機器の小型化のためには、比表面積が1m/g未満だと粒径が大きすぎ有効でなく、比表面積が100m/gを超えると凝集しやすくなる上、該粉体の取り扱いが難しくなる。本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は、比表面積が1m/g以上100m/g以下の範囲にある。なお本発明では、BET法で求めた比表面積値を採用することが望ましい。
本発明のペロブスカイト型チタン含有複合物酸化物は、微粒子でかつ粒径分布が狭く、凝集の少ない分散性に優れた粒子である。ここで、一次粒子の平均粒径D1は、BET法で求めた比表面積を、粒子を球形に換算して下記式(I)により求めることができる。
D1=6/ρS・・・・(I)
上記(I)式中、ρは粒子の比重であり、Sは粒子の比表面積である。
また、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の微粒子を溶媒中に分散し、凝集した粒子の二次粒子径を粒度分布計にて測定する。一般に、粒度分布計は、測定する粒度分布範囲に適したものが選定される。本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の二次粒子径は、遠心沈降法、マイクロトラック法、エレクトロゾーン法(コールターカウンター)、光散乱法などで測定できるが、感度が良いことから、光散乱法で測定することが好ましい。この方法により、二次粒子の粒度分布を測定し、平均粒径(もしくは最小から50%の粒径)D2を求める。ここで求まる粒径は球形換算径である。
一次粒子の平均粒径D1に対する二次粒子の平均粒径D2の比(D2/D1値)は、測定した粒子がともに球形であれば、理論上は1が最小になる。D2/D1値が大きくなればなるほど、一次粒子が凝集し、分散性が低下していることを示している。本発明の複合酸化物微粒子のD2/D1値は、1〜10であり、好ましくは1〜9、より好ましくは1〜8である。
本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は、画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をd1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をd2、95%となる粒径をd3、最大の粒径をd4としたときに、好ましくはd2/d1が0.1〜1である。d3/d1が好ましくは1〜1.8、好ましくはd4/d1が1〜2を満たす。
d2/d1、d3/d1、d4/d1のそれぞれの値が1に近づくほど、一次粒子の粒度分布が狭くなり好ましい。本発明の好ましい実施態様におけるd2/d1は、0.1以上1以下であり、好ましくは0.2以上1以下である。また本発明の好ましい実施態様におけるd3/d1は、1以上1.8以下であり、好ましくは1以上1.7以下である。さらに、また本発明の好ましい実施態様におけるd4/d1は、1以上2以下であり、好ましくは1以上1.9以下である。
更に、本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物のアルカリ金属含有量は、好ましくは100ppm以下であって、特に好ましくは0ppm以上80ppm以下である。塩素含有量は、好ましくは600ppm以下であって、特に好ましくは0ppm以上300ppm以下である。
このようなペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は、粒径が小さく、かつ、誘電率が高く電気特性の優れたものであり、これから得られる誘電体磁器等の誘電材料を用いることにより積層セラミクスコンデンサ等の小型の電子部品が得られ、さらにこれらの電子部品を用いることにより、電子機器の小型化、軽量化が可能となる。
次に、本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の好ましい製造方法を説明する。
本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の好ましい製造方法は、塩基性化合物の存在するアルカリ性溶液中に、酸化チタン粒子とCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩とZr,Hfのうち少なくとも一つを含む化合物とを投入してこれらを反応させる。
反応後、塩基性化合物を室温〜焼成温度の温度範囲で、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体として除去し、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を製造する。
本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法においては、塩基性化合物の存在するアルカリ性溶液を使用することが好ましい。理由は定かではないが、アルカリ性が高いほどAイオンとBイオンと酸化チタンと反応しやすくなるためと思われる。溶液のpHは10以上、好ましくは13以上、特に好ましくは14以上である。塩基性化合物の投入量の上限は、その塩基性化合物の水に対する飽和溶解度とする。
本発明の好ましい実施態様におけるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法では、酸化チタン粒子とCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩とZr,Hfのうち少なくとも一つを含む化合物を任意の割合で用いることで、それに応じたx、yの比率となるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を製造する。
例えば、チタン酸ジルコン酸バリウムを製造する場合には、酸化チタン粒子とBaの金属塩とZr化合物を、任意の割合で用いることにより、それに応じた割合のチタン酸ジルコン酸バリウムが製造できる。例えば、Baの金属塩:Zr化合物:酸化チタン=10モル:2モル:8モル投入することにより、Ba(Ti0.8Zr0.2)Oが製造でき、Baの金属塩:Zr化合物:酸化チタン=10モル:1モル:9モル投入することにより、Ba(Ti0.9Zr0.1)Oが製造できる。
なお、酸化チタン粒子とCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩とZr,Hfのうち少なくとも一つを含む化合物の投入方法、投入順序に特に制限はない。
上記の合成反応は、加熱、撹拌して行うのが最も工業的である。特に機械的に撹拌すると、原料同士が混合され好適である。また、反応溶液がアルカリ性のため、空気中のCOを吸収しやすい。そのため、反応液が空気と接触しないように、密封もしくは不活性ガスなどを吹き込みながら、反応を行うのが好ましい。反応溶液にCOが吸収されると、反応液中には炭酸基として含まれることになる。この炭酸基(炭酸種としてCO、HCO、HCO -、及びCO 2−を含む)は、Ca、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩と反応して安定な炭酸塩を生成する。この炭酸塩は、酸化チタンと反応せずに、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物中に、不純物として残存してしまう傾向がある。したがって、反応溶液中の炭酸基の濃度(CO換算値。以下、特に断りの無い限り同様である。)を制御することが好ましい。炭酸基の濃度を制御することにより、純度の高いペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を安定に製造できる。
反応溶液中の好ましいCO2換算濃度は、500質量ppm以下であり、好ましくは200質量ppm以下であり、特に好ましくは0質量ppm以上100質量ppm以下である。反応液中の炭酸基の濃度を減少させるためには、塩基性化合物を溶解する前の水を製造直前に加熱処理して脱炭酸しておくことが好ましい。
また、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の結晶性を高めるには、反応温度をできるだけ高くするのが望ましい。40〜120℃、好ましくは80〜120℃の温度に加熱保持する。反応温度を高くするには、溶液の臨界温度までの水熱反応が可能であるが、このためには、オートクレーブ等の安全に配慮した設備を必要とする。従って、95℃以上に煮沸し、温度を保持して行うのが好ましい。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を製造するための反応時間は、通常、2時間以上であり、好ましくは3時間以上であり、より好ましくは4時間以上である。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の電気特性に悪影響を与える不純物としては、微量な金属イオンや陰イオンなどの成分が挙げられる。これら不純物を除去するためには、反応終了後のスラリーを電気透析、イオン交換、水洗、酸洗、浸透膜などで処理するなど種々の方法がある。しかしながら、これらの方法では、不純物イオンと同時にペロブスカイト型チタン含有複合酸化物に含まれるバリウム等も同時にイオン化してスラリー中に一部溶解する場合があるため、所望の比率で酸化チタン粒子とCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩とZr,Hfのうち少なくとも一つを含む化合物を固溶させるのが難しくなるだけでなく、結晶に欠陥が生じたりして、結晶性が低下する場合があるので注意を要する。また、反応液がアルカリ性のため、これらの処理中に空気中の二酸化炭素が混入しやすい。そのため、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物に含まれる炭酸塩が多くなる場合がある。
以上のことから、不純物の少ない原料を選定するとともに、合成反応および焼成における不純物の混入防止を行うことが好ましい。それに加えて、合成反応の終了後に、大気圧下または減圧下において、室温〜焼成可能温度の温度範囲で、不純物を蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体として除去するのが好ましい。このとき、アルカリ溶液中に含まれる塩基性化合物を同時に分解して気体として除去することが好ましい。
焼成は、一般にペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の結晶性を向上させるために行われるが、一方では、焼成によって、不純物を蒸発、昇華、及び/または熱分解して気体として除去することができる。この方法により除去できる不純物としては、カーボン数の低い有機アミン、アンモニア塩の水酸化物などの有機塩基、及び原料中に含まれる不純物としての微量の有機物、炭酸塩などが挙げられる。通常、焼成は350〜1500℃の焼成可能温度で行われる。焼成雰囲気は特に制限はなく、通常、大気中もしくは減圧中で行われる。
尚、合成反応終了後に、スラリーの固液分離を行ってから焼成を行うのが、焼成での熱エネルギーの低減や結晶性の向上の観点から好ましい。固液分離には、粉末の沈降、濃縮、ろ過、及び/または乾燥、解砕の工程が含まれる。沈降、濃縮、ろ過により液中に溶解する不純物が除去できる。沈降速度、あるいはろ過速度を変えるために、凝集剤や分散剤を用いてもよい。該凝集剤あるいは分散剤は、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体として除去可能なものが好ましい。
乾燥工程は、水分を蒸発する工程であるが、塩基性化合物あるいは不純物の種類によっては、一部もしくは全量の不純物を、蒸発、昇華、及び/または熱分解によって除去することが可能である。乾燥には、減圧乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥等の方法が用いられる。乾燥は通常、室温〜350℃で、1〜24時間行われる。乾燥の雰囲気は特に制限はないが、通常大気中または不活性ガス中または減圧中で行われる。その後、適当な方法で解砕してもよい。
本発明に用いられるCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩は、この金属を含む金属塩であるならば、特に制限はない。これらの金属塩は水溶性であることが好ましく、通常、硝酸塩、酢酸塩、塩化物塩、水酸化物等である。また、これらは一種類単独でもよく、二種以上の金属塩を任意の比率で混合してもよい。具体的には、例えばBaである場合は、塩化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム等が、Srである場合は、塩化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム等が用いられる。なかでも、Ca、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩としては、反応後電気特性に悪影響を与える金属塩の陰イオンが残存しないため、水酸化物が好ましい。具体的には、例えばBaである場合は、水酸化バリウムが、Srである場合は、水酸化ストロンチウム等が用いられる。また、これらの水酸化物は、水酸化物であれば、無水塩でも水和物でもよく、特に限定されない。
また、本発明に用いられる酸化チタン粒子としては、特に制限はないが、ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粒子が望ましい。もしくは、チタン塩を酸性溶液中で加水分解して得られた酸化チタン粒子が望ましい。
ブルーカイト型結晶を含有するものであればブルーカイト型結晶の酸化チタン単独、またはルチル型結晶やアナターゼ型結晶の酸化チタンを含んでもよい。ルチル型結晶やアナターゼ型結晶の酸化チタンを含む場合、酸化チタン中のブルーカイト型結晶の酸化チタンの割合は特に制限はないが、通常、1〜100質量%であり、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。これは、溶媒中において酸化チタン粉末が分散性に優れたものとするためには、不定形よりも結晶性であることが単粒化しやすいことから好ましく、特にブルーカイト型結晶の酸化チタンが分散性に優れているためである。この理由は明らかではないが、pH2におけるブルーカイト型結晶のゼータ電位が、ルチル型の結晶、アナターゼ型の結晶よりも高いことと関係していると考えられる。
ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粒子の製造方法は、アナターゼ型結晶の酸化チタン粒子を熱処理してブルーカイト型結晶を含む酸化チタン粒子を得る製造方法や、四塩化チタン、三塩化チタン、チタンアルコキシド、硫酸チタン等のチタン化合物の溶液を中和し、または加水分解することによって、酸化チタン粒子が分散した酸化チタンゾルとして得る液相での製造方法等がある。
製造原料にブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粒子を用いる場合は、酸化チタン粒子としてチタン塩を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルを用いることが好ましい。このような酸化チタンゾルは、粉末の粒径が小さく分散性に優れている。酸化チタンゾルの製造方法としては、例えば75〜100℃の熱水に四塩化チタンを加え、75℃以上であって溶液の沸点以下の温度で、塩素イオン濃度をコントロールしながら四塩化チタンを加水分解することにより、ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粒子をゾルとして得る方法(特開平11−43327号公報)や、75〜100℃の熱水に四塩化チタンを加え、硝酸イオン、燐酸イオンのいずれか一方または双方の存在下に、75℃以上であって溶液の沸点以下の温度で、塩素イオン、硝酸イオン及び燐酸イオンの合計の濃度をコントロールしながら四塩化チタンを加水分解することにより、ブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粒子をゾルとして得る方法(国際公開第99/58451号パンフレット)が好ましい。
こうして得られたブルーカイト型結晶を含有する酸化チタン粒子の大きさは、1次粉末径が通常1〜1000nmであり、好ましくは3〜50nmであり、より好ましくは5〜20nmである。1000nmを越えると、これを原料として製造したペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末の粒径が大きくなり、誘電材斜、圧電材料等の機能材料には適さない場合がある。1nm未満では、酸化チタン粒子を製造する工程での取り扱いが困難な場合がある。
チタン塩を酸性溶液中で加水分解して得られた酸化チタンゾルを用いる場合は、酸化チタンの結晶型に制限はなく、ブルーカイト型結晶相に限定されるものではない。
四塩化チタンや硫酸チタン等のチタン塩を酸性溶液中で加水分解すると、中性やアルカリ性の溶液中で行うよりも反応速度が抑制されるので粒径が単粒化し、分散性に潰れた酸化チタンゾルが得られる。また、塩素イオン、硫酸イオン等の陰イオンが、生成した酸化チタン粒子の内部に取り込まれにくいので、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粒子を製造した際にその粒子への陰イオンの混入を低減することができる。
一方、中性やアルカリ性の溶液中で加水分解すると、反応速度が大きくなり、初期に多くの核発生が起こることが多い。そのため、粒径は小さいが分散性が悪い酸化チタンゾルとなり、粉末が鬘状に凝集してしまう場合もある。このような酸化チタンゾルを原料として、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を製造した場合、得られた粉末は粒径が小さくても、分散性が悪いものとなる場合がある。また、陰イオンが酸化チタン粉末の内部に混入しやすくなり、その後の工程でこれらの陰イオンを除去することが難しくなる場合がある。
チタン塩を酸性溶液中で加水分解し酸化チタンゾルを得る方法は、溶液が酸性に保持される方法であれは特に制限はないが、四塩化チタンを原料とし、還流冷却器を取り付けた反応器内で加水分解し、その際発生する塩素の逸出を抑制し、溶液を酸性に保持する方法(特開平11−43327号公報)が好ましい。
また、チタン塩の酸性溶液中の濃度は、0.01〜5mol/Lであることが好ましい。これは、濃度が5mol/Lを越えると、加水分解の反応速度が大きくなり、粒径が大きく分散性の悪い酸化チタンゾルが得られる場合があるためであり、0.01mol/L未満では、得られる酸化チタン濃度が少なくなり生産性が悪くなる場合があるためである。
酸化チタンゾルの投入方法としては、特に制限はないが、酸化チタンゾルの凝集を抑制し分散性に優れたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を得るには、pH10以上のアルカリ性溶液中に少量ずつ投入するのがよい。酸化チタンゾルを少量ずつ投入する方法としては、ポンプ等を用いて滴下する方法や液中に注入する方法などがあげられる。
本発明において反応溶液として用いられるアルカリ性溶液には塩基性化合物が含まれ、この塩基性化合物によってアルカリ性溶液のpHが10以上に保たれる。この塩基化合物は、特に制限はないが、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体となる物質が好ましい。例えば、アンモニア、水に対する溶解性の高いカーボン数の低い有機アミン、アンモニウム塩の水酸化物などの有機塩基が好ましい。
なかでも、アンモニウム塩の水酸化物は、水に溶解すると乖離度が高く強い塩基として作用し、反応時に揮発することなく好適である。一方、アンモニアや水に対する溶解性の高いカーボン数の低い有機アミンは、塩基として弱く、低沸点のため使いにくい場合がある。
アンモニウム塩の水酸化物としては、工業的には、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)などが知られており、安価に入手できる。特に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドは、電子工業用に使用されており、不純物として金属イオン等が少ないものが入手できるだけでなく、135℃から140℃で熱分解し気体として除去できるので好適である。
安価な水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機化合物を用いても本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は製造できる。
これら塩基化合物は、特に制限はなく、これらは1種類単独で用いてもよく、2種類以上の化合物を任意の比率で混合して用いても支障はない。
本発明において用いられるZr,Hf化合物に特に制限はないが、できれば水溶性の化合物が好ましい。理由は定かではないが、水に対する溶解度が高いほどAイオンやBイオンと反応しやすくなるためと思われる。
特に水に対する溶解度がZrO換算もしくはHfO換算で0.1質量%以上のものが好ましい。さらに好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上のものよい。
Zr,Hf化合物の水溶液中の形態には制限がなく、オキソニウムイオン、アコ錯体、アニオン性Zr、Hfイオンなどの形態をとる。
好適なZr化合物としては、たとえば、水酸化ジルコニウムのヒドロキシ基の一部もしくはすべてが置換されたものやアニオン性ジルコニウムがあげられる。置換基としては、酢酸、硝酸、硫酸、塩素、炭酸などがあげられる。また、これらのジルコニウム化合物は、水和物でもよい。
具体的には例えば、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムなどがあげられる。なかでも、炭酸ジルコニウムアンモニウムは、合成反応の終了後に、副生するアンモニア、炭酸基を大気圧下または減圧下において、室温〜焼成可能温度の温度範囲で、不純物を蒸発、昇華、及び/または熱分解により気体として除去できるので好ましい。
Zr,Hf化合物の投入方法には特に制限はないが、Zr,Hf化合物の凝集を抑制し分散性に優れたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を得るには、pH10以上のアルカリ性溶液中に、少量ずつ投入するのがよい。Zr,Hf化合物を少量ずつ投入する方法としては、ポンプ等を用いて滴下する方法や液中に注入する方法などがあげられる。
このようにして製造されるペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末は、粒径が小さく粒径分布の狭い、分散性に優れた、結晶性が高く、電気特性に優れた、特に不純物が少ない、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物であり、誘電体磁器、焦電体磁器、圧電体磁器、薄膜状形成物に成形される。
これらの磁器、薄膜状形成物は、コンデンサの材料、センサーなどに用いられる。
また、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末は、単品、あるいは添加剤、その他の材料等と混合して、水、既存の無機系バインダ、既存の有機系バインダからなる一種以上の溶剤でスラリー化あるいはペースト化して用いることも可能である。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末の電気特性は、粉末に焼結助剤等の各種添加剤を加えてディスク状に成形したもの、あるいは該粉末を含むスラリー、ペースト等に各種添加剤を加えて薄膜状に成形したもの等を、適当な条件で焼成した後、インピーダンスアナライザー等を使用して評価可能である。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を含む充填材を、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種以上に分散させることにより高誘電率のフィルムを得ることが出来る。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末以外の充填材を含ませる場合には、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化タンタルなどからなる群より1種以上を選択して使用することが可能である。
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂は特に制限されず、通常使用されている樹脂を使用することが可能であるが、熱硬化性樹脂としては例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ビストリアジン樹脂等が好適である。熱可塑性樹脂としては例えばポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド等が好適である。
ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を含む充填材を熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の少なくとも一種以上に均一に分散させるために、予め充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させスラリーを得るのが望ましい。
充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させスラリーを得る方法は特に限定されないが、湿式解砕の工程を含むのが望ましい。
溶剤としては特に制限されず、通常使用される溶剤であれば何でも使用可能であるが、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、メチルセルソルブ、を単独で或いは二種以上を混合して用いることが出来る。
充填材を溶剤または上記樹脂組成物と溶剤の混合物に分散させたスラリーを得るためにカップリング剤で処理することが望ましい。カップリング剤としては特に制限される物ではなく、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤があげられる。カップリング剤の親水基が、本発明のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を含む充填材表面の活性水素と反応し表面に被覆されるため、溶剤への分散性が良好になる。カップリング剤の疎水基は、その選択により樹脂への相溶性を高めることができる。例えば、樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、モノアミノ、ジアミノ、カチオニックスチリル、エポキシ、メルカプト、アニリノ、ウレイドなどのいずれかを官能基の一つに有するシランカップリング剤や、ホスファイト、アミノ、ジアミノ、エポキシ、メルカプトなどのいずれかを官能基の一つに有するチタネート系カップリング剤が好適である。樹脂としてポリイミド樹脂を用いる場合には、モノアミノ、ジアミノ、アニリノなどのいずれかを官能基の一つに有するシランカップリング剤や、モノアミノ、ジアミノなどのいずれかを官能基の一つに有するチタネート系カップリング剤が好適である。
これらのうち一種を単独で用いたり、二種以上を混合して用いたりすることができる。
カップリング材の配合量は、特に限定されず、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末の一部または全部が被覆されていれば良いが、多いと未反応のまま残り悪影響を与える場合があり、少なすぎるとカップリング効果が低くなる場合もある。したがって、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を含む充填材の粒径及び比表面積、カップリング剤の種類によって、充填材が均一に分散できる配合量を選択することが好ましいが、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を含む充填材の0.05〜20質量%程度の配合量が望ましい。
カップリング剤の親水基とペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を含む充填材表面の活性水素との反応を完結させるため、スラリーにしてから加熱処理する工程を含むのが望ましい。加熱温度と時間に特に制限はないが、100〜150℃で1時間から3時間加熱処理することが好ましい。また、溶剤の沸点が100℃以下のときは、加熱温度は溶剤の沸点以下とし、加熱時間をそれに応じて長くするとよい。
図1には、コンデンサの一例である積層型セラミックコンデンサの断面模式図を示す。
図1に示すように、この積層型セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極3、4が順次積層されてなる積層体5と、この積層体5の側面に取り付けられた外部電極6、7とから構成されている。内部電極3,4はその一端部がそれぞれ積層体5の側面に露出しており、各一端部が外部電極6,7にそれぞれ接続されている。
誘電体層2は、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の粉末がバインダ等により固化成形されてなるものである。また、内部電極3,4は例えばNi、Pd、Ag等から構成される。また外部電極6,7は例えば、Ag,Cu,Ni等の焼結体にNiメッキを施したもので構成される。
図1に示すコンデンサ1は、例えば、図2に示すように、携帯電話機10の回路基板11に実装されて用いられる。
次に、上記の積層型セラミックコンデンサの製造方法の一例について説明する。
まず、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末と、バインダと、分散剤と、水とを混合してスラリーを製造する。スラリーは予め真空脱気しておくことが好ましい。
次にこのスラリーをドクターブレード法などで基板に薄く塗布した後、加熱して水を蒸発させることにより、ペロブスカイト型チタン含有複合酸化物粉末を主成分とする誘電体層を形成する。
次に、得られた誘電体層にNi、Pd、Ag等の金属ペーストを塗布し、更に別の誘電体層を積層し、更に、内部電極となる金属ペーストを塗布する。この工程を繰り返し行うことにより、誘電体層と内部電極とが順次積層されてなる積層体が得られる。また積層体はプレスして誘電体層と内部電極とを密着させることが望ましい。
次に、積層体をコンデンサのサイズにカットしてから1000℃〜1350℃で焼成する。次に焼成後の積層体の側面に外部電極ペーストを塗布し、このペーストを600〜850℃で焼成する。最後に、外部電極の表面にNiメッキを施す。
このようにして、図1に示すような積層型セラミックコンデンサ1が得られる。
上記の積層型セラミックコンデンサ1は、本発明の好ましい実施態様である誘電率の高いペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を誘電体として用いているので、コンデンサの静電容量を高めることができる。また上記のコンデンサ1は、本発明の好ましい実施態様である粒径の小さなペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を誘電体として用いているので、誘電体層を薄くすることができ、これによりコンデンサ自体を小型にできる。また誘電体層が薄くなることで、コンデンサの静電容量をより高めることができる。
このような小型の積層型セラミックコンデンサは、電子機器類、特に携帯電話機をはじめとする携帯型機器の部品として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
四塩化チタン(住友チタニウム(株)製:純度99.9%)が0.25mol/Lの濃度で含まれる水溶液を用意した。この水溶液を、還流冷却器つきの反応器に投入し、塩素イオンの逸出を抑制し、かつ酸性に保ちながら沸点付近まで加熱した。更にその温度で60分間保持して四塩化チタンを加水分解することにより、酸化チタンゾルを得た。得られた酸化チタンゾルを110℃で乾燥し、X線回折装置(理学電機(株)製X線回折装置RAD−B、ローターフレックス)で結晶型を調べたところ、ブルーカイト型結晶の酸化チタンであることがわかった。
次に、還流冷却管付き反応器に、窒素気流下で、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)の20質量%水溶液(セイケム昭和(株)製、炭酸基濃度60ppm以下)450gと、水酸化バリウム8水和物(日本化学工業(株)製)126gを投入し、pH14とした水溶液を撹拌しながら煮沸した。次に、前記酸化チタンゾルを電気透析装置により塩素イオンを500ppmになるまで除去した後、沈降濃縮して得た酸化チタン濃度15質量%のゾル171gを、反応器に毎分7gの速度で滴下した。
次に、炭酸ジルコニウムアンモニウム(日本軽金属株式会社株式会社製、AZC(ZrO2換算20質量%含有))49gを、反応器に毎分7gの速度で滴下した。そのまま撹拌しながら煮沸を4時間維持した。
その後、反応液をろ過して得られた固形分を、300℃で5時間乾燥して乾燥粉末とした。
乾燥粉末を乳鉢で解砕し、得られた粉末を電気炉(株式会社デンケン製KDFP−90)に投入して熱処理を行った。熱処理条件は、毎分20℃で昇温して、950℃で2時間保持し、その後自然冷却する条件とした。
この粉末をX線回折装置(理学電機(株)製RAD−B ローターフレックス)を用いて評価した。図3に、X線回析スペクトルを示す。このX線回折強度に基づいてリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末はBa(Ti0.8Zr0.2)O粉末であることが判明した。
得られた粉末の比表面積をBET法にて測定したところ、粉末の比表面積は19m/gであった。式(I)より算出された一次粒子の平均粒径D1は、0.053μmであった。また、この粉体を純水中に分散させて光散乱型粒度分布測定装置(大塚電子(製)ELS−8000)により二次粒子の平均粒子径D2を測定した。解析手法として、Marquadtを使用した。二次粒子の平均粒子径D2は0.38μmであり、D2/D1=7.2であることがわかった。
次に、粉末形状を走査型電子顕微鏡で拡大観察した。結果を図4に示す。
図4に示す写真から、1つの粒子について、最長の長さと最短の長さの平均より粒子の直径を測定した。同様にして、無作為に選んだ粉末500個の体積を求めた。それらを粒径の小さいものから順に並べ、粒子の体積基準の粒径分布を求めた。この画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をd1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をd2、95%となる粒径をd3、最大の粒径をd4としたとき、d2/d1は0.6であり、d3/d1は1.4であり、d4/d1は1.6であった。
次に、乾燥粉末を溶解し、ICP発光法でカリウム(K)イオン量を測定したところ、30ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーで塩素(Cl)イオン量を測定したところ80ppmのClイオンが含まれていた。
(実施例2)
実施例1で合成したブルーカイト型酸化チタンゾルの代わりに市販のアナターゼ型酸化チタンゾル(石原産業株式会社製STS−02)を用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸ジルコン酸バリウム粉末を製造した。
乾燥粉末を乳鉢で解砕し、得られた粉末を、950℃で2時間の熱処理を行った。X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末はBa(Ti0.8Zr0.2)O粉末であることが判明した。
比表面積は23m/gで、式(I)よりD1=0.043μmとなり、またD2=0.38μmであったことから、D2/D1=8.8であることが判明した。更に、画像解析法で求めたd2/d1は0.4であり、d3/d1は1.5であり、d4/d1は1.8であった。
また、乾燥粉末を溶解してICP発光法でKイオン量を測定したところ、50ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ110ppmのClイオンが含まれていた。
(実施例3)
Zr化合物として、硝酸ジルコニウム(日本軽金属株式会社株式会社製(ZrO換算20質量%含有))49gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、チタン酸ジルコン酸バリウム粉末を製造した。
乾燥粉末を乳鉢で解砕して、得られた粉末について950℃で2時間の熱処理を行った。X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末はバリウムとチタンとジルコニウムが固溶したBa(Ti0.8Zr0.2)O粉末であることが判明した。
比表面積は15m/gで、式(I)よりD1=0.067μmとなり、またD2=0.58μmであったことから、D2/D1=8.7であることが判明した。更に、画像解析法で求めたd2/d1は0.5であり、d3/d1は1.3であり、d4/d1は1.7であった。
また、乾燥粉末を溶解してICP発光法でKイオン量を測定したところ、50ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ90ppmのClイオンが含まれていた。
(実施例4)
水酸化バリウム8水和物126gを投入する代わりに、水酸化バリウム8水和物120gと水酸化カルシウム1.5gを投入した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム粉末を製造した。
乾燥粉末を乳鉢で解砕し、得られた粉末について1100℃で2時間の熱処理を行った。そのときのX線回析スペクトルを図5に示す。X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末は(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.8Zr0.2)O粉末であることが判明した。
比表面積は4.3m/gで、式(1)よりD1=0.23μmとなり、またD2=1.20μmであったことから、D2/D1=5.2であることが判明した。また、画像解析法で求めたd2/d1は0.4であり、d3/d1は1.6であり、d4/d1は1.9であった。
更に、乾燥粉末を溶解してICP発光法でKイオン量を測定したところ、70ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ100ppmのClイオンが含まれていた。
(比較例1)
TMAHを添加しないかわりに純水450gを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸ジルコン酸バリウム粉末を製造した。このときの反応液のpHは、7.9であった。
乾燥粉末を乳鉢で解砕して、得られた粉末を950℃で2時間の熱処理を行った。得られた粉体は、Ba(Ti0.8Zr0.2)O粉末に、大量の炭酸バリウムと酸化チタンと酸化ジルコニウムが混在していることがわかった。
(比較例2)
Zr化合物として、酸化ジルコニウム(日本電工株式会社製N−PC)10gを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸ジルコン酸バリウム粉末を製造した。
乾燥粉末を乳鉢で解砕して、得られた粉末を950℃で2時間の熱処理を行った。得られた粉体は、Ba(Ti0.8Zr0.2)O粉末に、大量の炭酸バリウムと酸化チタンと酸化ジルコニウムが混在していることがわかった。
(比較例3)
水酸化バリウム8水和物126.2gを投入する代わりに、塩化バリウム2水和物98gを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸ジルコン酸バリウム粉末を製造した。
乾燥粉末を乳鉢で解砕して、得られた粉末を、950℃で2時間の熱処理を行った。X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末はBa(Ti0.8Zr0.2)O粉末であることが判明した。
比表面積は20m/gで、式(1)よりD1=0.050μmとなり、またD2=0.40μmであったことから、D2/D1=8.0であることが判明した。更に画像解析法で求めたd2/d1は0.4であり、d3/d1は1.8であり、d4/d1は2.2であった。
また、乾燥粉末を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、50ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ60000ppmのClイオンが含まれていた。
(比較例4)
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの20質量%水溶液450gの代わりに、KOHの20質量%水溶液450gを用いた以外は実施例1と同様の操作でチタン酸ジルコン酸バリウム粉末を製造した。
乾燥粉末を乳鉢で解砕し、得られた粉末を、950℃で2時間の熱処理を行った。X線回折強度からリートベルト解析を実施したところ、得られた粉末はBa(Ti0.8Zr0.2)O粉末であることが判明した。
比表面積は19m/gで、式(1)よりD1=0.053μmとなり、またD2=0.45μmであったことから、D2/D1=8.5であることが判明した。また、画像解析法で求めたd2/d1は0.2であり、d3/d1は1.9であり、d4/d1は2.2であった。
乾燥粉末を溶解し、ICP発光法でKイオン量を測定したところ、70000ppmのKイオンが含まれていた。また、陰イオンクロマトグラフィーでClイオン量を測定したところ70ppmのClイオンが含まれていた。
以上のように、実施例1乃至4の製造方法により製造されたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は、いずれも小さな粒径を有しており、K(アルカリ金属)や塩素(Cl)の不純物量が極めて少なく、コンデンサの電極材料等として優れた物性を有していることが判明した。一方、比較例1乃至4の製造方法により製造されたペロブスカイト型チタン含有複合酸化物は、酸化チタンと酸化ジルコニウムが混在したものや(比較例1,2)、K(アルカリ金属)若しくは塩素(Cl)の不純物量が多いものが得られ、コンデンサをはじめとする電子部品の材料としては好ましくないことが判明した。
本発明の好ましい実施態様である積層型セラミックコンデンサ一例を示す断面模式図である。 図1の積層型セラミックコンデンサを備えた携帯電話機の内部構造の一例を示す分解図である。 実施例1のBa(Ti0.8Zr0.2)O粉末のX線回折スペクトル図である。 実施例1のBa(Ti0.8Zr0.2)O粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例4の(Ba0.95Ca0.05)(Ti0.8Zr0.2)O粉末のX線回折スペクトル図である。
符号の説明
1…積層型セラミックコンデンサ(コンデンサ)、2…誘電体層

Claims (29)

  1. A(Ti(1−x)(ただし組成比を示すx、yが0<x<1、0.98≦y≦1.02であり、AはCa、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一種以上の元素であり、BはHf、Zrのうち少なくとも一種以上の元素である。)の組成式で表され、比表面積が1m/g以上100m/g以下の範囲であり、式(I)で定義される一次粒子の平均粒径D1が10〜1000nmの範囲であって、D1と二次粒子の平均粒子径D2の比D2/D1が1〜10の範囲であることを特徴とするペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
    D1=6/ρS・・・・(I)(式(I)中、ρは粒子の密度であり、Sは比表面積である。)
  2. 画像解析法で求めた体積基準の平均粒径をd1、粒径の小さいほうから積算して5%となる粒径をd2、粒径の小さいほうから積算して95%となる粒径をd3、最大の粒径をd4としたときに、d2/d1が0.1〜1の範囲であり、d3/d1が1〜1.8の範囲であり、d4/d1が1〜2の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
  3. アルカリ金属が100ppm以下であり、塩素が600ppm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
  4. 前記AがBaであり、前記BがZrであり、組成比を示すxが0.4≦x<1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
  5. 前記AがBaとCaからなり、前記BがZrであり、組成比を示すxが0.4≦x<1の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
  6. 前記AがPbであり、前記BがZrであり、組成比を示すxが0.3≦x≦0.7の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物。
  7. 塩基性化合物を含むアルカリ性溶液中に、Ca、Sr、Ba、Pb、Mgのうち少なくとも一つを含む金属塩と、酸化チタン粒子とZr,Hfのうち少なくとも一つを含む化合物とを投入してこれらを反応させる工程を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  8. 前記の反応工程後に、前記塩基性化合物を気体として除去する工程を備えていることを特徴とする請求項7に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法
  9. 前記の塩基性化合物の除去工程後に、350℃以上1500℃以下の範囲で熱処理を行なうことを特徴とする請求項7乃至8のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  10. 前記酸化チタン粒子がブルーカイト型結晶を含有するものであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  11. 前記酸化チタン粒子が、チタン化合物を酸性溶液中で加水分解してなる酸化チタンゾルであることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  12. 前記塩基性化合物が、大気圧下または減圧下で、蒸発、昇華、熱分解のうちの少なくとも一種以上の手段で気化する物質であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  13. 前記塩基性化合物が、有機塩基化合物であることを特徴とする請求項7乃至12のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  14. 前記塩基性化合物が、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドであることを特徴とする請求項7乃至13のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  15. 前記ZrもしくはHf化合物が水溶性化合物であることを特徴とする請求項7乃至14のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  16. 前記ZrもしくはHf化合物の水に対する溶解度がZrO換算もしくはHfO換算で0.1質量%以上であることを特徴とする請求項7乃至15のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  17. 前記Zr化合物が塩基性炭酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウムの中から選ばれる一種以上の化合物であることを特徴とする請求項7乃至16のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物の製造方法。
  18. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする誘電材料。
  19. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とするペースト。
  20. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とするスラリー。
  21. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする薄膜状形成物。
  22. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする誘電体磁器。
  23. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする焦電体磁器。
  24. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする圧電体磁器。
  25. 請求項22に記載の誘電体磁器を含むことを特徴とするコンデンサ。
  26. 請求項21乃至25のいずれかに記載の薄膜状形成物、磁器及びコンデンサからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする電子機器。
  27. 請求項21乃至24のいずれかに記載の薄膜状形成物または磁器を一種または二種以上含むことを特徴とするセンサー。
  28. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のペロブスカイト型チタン含有複合酸化物を含むことを特徴とする誘電体フィルム。
  29. 請求項28に記載の誘電体フィルムを用いて製造されたことを特徴とするコンデンサ。
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